JP2000053961A - 地盤改良工法 - Google Patents

地盤改良工法

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JP2000053961A
JP2000053961A JP10223198A JP22319898A JP2000053961A JP 2000053961 A JP2000053961 A JP 2000053961A JP 10223198 A JP10223198 A JP 10223198A JP 22319898 A JP22319898 A JP 22319898A JP 2000053961 A JP2000053961 A JP 2000053961A
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Norio Iwasaki
則夫 岩崎
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Zenitaka Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セメント等の固形化材による土壌の硬化強度
を予定範囲に維持し、かつ、土壌中の汚染物質の不溶化
を確実に実施する地盤改良工法を提供する。 【解決手段】 鉛やその化合物等の汚染物質が含まれる
汚染土壌に、pH調整材をセメント等の固形化材ととも
に混入する。すなわち、セメント等の固形化材に石灰石
粉末などをpH調整材として混ぜ合わせ、土壌固化材と
して汚染土壌に混入することにより、鉛やその化合物の
溶出がなくなり、しかも、固化材による土壌の硬化強度
が一定以内に抑えられた。そこで、セメントの量は必要
最小限にとどめ、地盤改良に必要な固化材の量は、pH
調整材などの混合材料でまかなう方法を考案した。粉体
噴射機械撹拌方式では、混合するpH調整材を粉体で使
用する。スラリ系の深層混合処理工法においては、セメ
ントとpH調整材とをアジテータ等で事前に混合した材
料に、水を加えてスラリを作成して使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地盤改良工法に係
り、特に、土壌に含まれている鉛やその化合物などの汚
染物質の溶出を防止するのに好適な地盤改良工法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】地盤中には重金属等の汚染物質が土壌に
含まれていることがある。これらの汚染物質が地下水な
どに溶出すると人体に悪影響を及ぼす場合がある。対象
となる汚染物質の種類と対策の基準である「土壌の汚染
に係る環境基準」(平成3年8月23日付け環境庁告示
第46号)を表1に示す。本発明が対象とする鉛および
その化合物の溶出量値は、検液1リットルにつき0.0
1mg以下が基準値である。
【0003】
【表1】
【0004】土壌を調査した結果、表1に示すように、
溶出量値IIを超える汚染土壌が検出された場合、汚染物
質の不溶化処理を実施し、実施後もなお溶出量値IIを超
える汚染土壌は、コンクリートを用いた遮断槽内に封じ
込める等、汚染土壌を環境から遮断する。また、溶出量
値 Iを超え、II以下の場合は、不透水シートなどによ
り、地下水への影響を防止するなどの対策が選定されて
いる。
【0005】ここで、地盤中に含まれる汚染土壌に対す
る対策として、遮断工や遮水工によって汚染土壌を周囲
の土壌から隔離する方法と、汚染土壌に固形化材等を加
えて地盤を改良し、汚染物質の流出を防止する方法につ
いて説明する。前者のうち、遮断工とは、高レベルの汚
染土壌をコンクリート等による仕切設備により、上面も
含めて完全に地中に封じ込める方法である。また、遮水
工は、汚染レベルの相対的に低い土壌に適用され、汚染
物質が外部へ漏出・流出しないように、底面および側面
を不透水シートなどにより地下水から遮断する方法であ
る。
【0006】不透水シートは、廃棄物の最終処分場等で
破損事故や耐久性に問題が指摘されており、汚染物質が
漏出する可能性がある。また、遮水壁に鋼矢板を使用し
た場合、埋め殺しする必要のため高価であり、一方、地
下水による腐食の恐れがある。また、コンクリート製連
続壁の場合は、工期がかかり構築費も高価であるなどの
問題点がある。いずれにおいても、地上部の跡地の利用
が制限されるか、あるいは使用できなくなり、土地の有
効利用が困難となる。
【0007】後者の地盤改良工法とは、汚染土壌に固形
化材等を加えて汚染物質を固定し、地下水などへの流出
を防止する方法である。地盤の浅い土壌を改良するとき
は、地上から掘削機械を用いて、セメントなどの固形化
材を土壌に撹拌混合して固形化処理するいわゆる安定処
理工法がある。また、地盤の深いところの土壌まで改良
するときは、深層混合処理工法と呼ばれる工法が採用さ
れる。
【0008】これは、固形化材を粉体でコンプレッサに
より深層の汚染土壌に圧送し、機械的に撹拌する方法
で、粉体噴射機械撹拌方式という。また、固形化材をス
ラリ状として地中にポンプ圧送する方法もある。いずれ
も、地中の深層で汚染土壌を固形化材により固形化処理
して、汚染物質を地下水などに対して不溶化させようと
するものである。
【0009】このような汚染土壌の固形化処理につい
て、「重金属等に係る土壌汚染調査・対策指針」(平成
6年11月、環境庁水質保全局発行)に、以下の留意点
が記載されているので付記する。「化学的処理以外で
は、有害化学物質の物理的封入等を目的とした水硬性セ
メントによる固形化が適当である。事前にテーブルテス
トを行い、固形化が十分行われることを確認のうえ、実
施する。 (ア)固形化材は水硬性セメントとし、その配合量は土
壌1m3 当たり150kg以上とする。 (イ)コンクリート固形化の強度は、その処理に当たっ
て容易に溶解しない程度のものとする。 (ウ)コンクリート固形化の大きさは、一辺の最小寸法
を5cm以上とし、表面積を小さくする。」
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術では、
粉体噴射機械撹拌方式で深層地盤の改良を行う場合、次
のような問題点があった。地盤の深層にセメント等の粉
体をコンプレッサで空気搬送するためには、一定量以上
の粉体量が必要である。上記の粉体噴射機械撹拌方式で
は、搬送するセメントの最低施工可能限度量は、対象土
量1m3に対して60kgといわれている。また、セメ
ント量が少ないと、当然ながら地盤改良の撹拌効果が少
なくなるので、一定量以上のセメントを供給することに
なる。
【0011】しかし、セメント(固形化材)の量を多くす
ると、土壌の硬化強度が大きくなり過ぎるため、例え
ば、不溶化処理を行った土壌に建物を建設する場合な
ど、建物の杭基礎の施工が困難であり、地下室等の構築
のための掘削作業が困難になるという問題があった。ま
た、多量のセメントにより、土壌のpH濃度が高くな
り、例えば、pH12を超えると、鉛やその化合物な
ど、一部の汚染物質が地下水に溶出をはじめるという問
題があった。
【0012】このように、固形化材を少なくすると、空
気搬送が困難となり、深層混合処理工法による効果も期
待できないし、固形化材を多くすると硬化強度が出過ぎ
て、pH値も高くなるという問題があった。そのため、
地盤深層中の汚染物質の不溶化は、現実には極めて困難
であった。
【0013】本発明の目的は、上記問題点を解消するた
めになされたもので、セメント等の固形化材による土壌
の硬化強度を予定範囲に維持し、かつ、土壌中の汚染物
質、特に鉛やその化合物を確実に不溶化する地盤改良工
法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題は以下のように
達成される。本発明の地盤改良工法は、鉛またはその化
合物が汚染物質として存在する汚染土壌に、pH調整材
を混入して前記汚染物質を不溶化させることを特徴とす
るものである。
【0015】本発明者らは、深層地盤中に含まれる汚染
物質の固定化の方策を、種々、検討してきたが、汚染土
壌に供給する固化材として、セメントに石灰石などの粉
末をpH調整材として混ぜ合わせた粉体を、土壌固化材
として汚染土壌に混入することにより、鉛やその化合物
の溶出がなくなり、しかも、固化材による土壌の硬化強
度も一定以内に抑えられることを見い出した。
【0016】そこで、粉体噴射機械撹拌方式では、セメ
ントの量は必要最小限にとどめ、地盤改良に必要で空気
搬送可能な固化材の量は、pH調整材などの混合材料で
まかなう方法を考案した。地盤の浅い改良についても、
セメントを極端に少なくする場合は、pH調整材などの
混合材料を粉体で使用することができる。なお、スラリ
系の深層混合処理工法においては、セメントとpH調整
材とをアジテータ等で事前に混合した材料に、水を加え
てスラリを作成し使用してもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実験
例として説明する。なお、不溶化後の土壌からの鉛溶出
量の分析については、表1・「土壌の汚染に係る環境基
準」に準じて行った。
【0018】[実験例1] 対象土壌 ⇒ 埋土(1.7t/m3) 使用セメント ⇒ 高炉セメント pH調整材:使用せず 配合(重量比) ⇒ セメントのみ使用 実験方法 ⇒ (1)土壌より、中小礫、木片等を除去し、土塊、団粒
を粗砕後、非金属製2mmふるい後、十分混合する。 (2)この土壌に、土壌採取地の地下水をひたひたにな
るまで加える。 (3)さらに、高炉セメントを、添加量が、0、1、
2、3、5、10%となるように加え、乳鉢でよく混練
する。 (4)この試料に、重量体積比10%の割合で蒸留水を
混合し、常温、常圧で毎分約200回、6時間振とうし
て土壌中の汚染物質(鉛)を溶出させる。 (5)溶出した試料液を10〜30分間静置後、毎分3
000回転で20分間遠心分離し、この上澄み液を孔径
0.45μmメンブランフィルタで濾過する。 (6)濾過液を電気加熱原子吸光光度法により分析す
る。分析の結果を表2および図1、2に示す。表2およ
び図1、2は、セメントおよびpH調整材の添加量と、
鉛の溶出量および不溶化後の土壌のpH値を示す。
【0019】
【表2】
【0020】実験結果 ⇒ 表2および図1、2に示すように、本例ではpH調
整材を無添加とし、セメントを加えない状態では、pH
8.5であり、0.027mg/lの鉛が溶出し、表1の
基準値を超えている。 セメント添加量が、1%(17kg/m3 )、2%
(34kg/m3 )では、pH11.8程度となり、鉛
の溶出量は0.002〜0.007mg/lで、表1の基
準値以下となり不溶化されている。 セメント添加量が、3%(51kg/m3 )以上に
なると、pHは11.9以上となり、鉛の溶出量も基準
値の0.01mg/lを超えてしまう。 本例の埋土では、セメント添加量が1〜2%で不溶
化可能であるが、現実には粉体量が少なすぎて、地盤中
の目的とする土壌までの搬送が困難である。
【0021】[実験例2] 対象土壌 ⇒ シルト混り細砂(1.7t/m3) 使用セメント ⇒ 高炉セメント pH調整材 ⇒ 石灰石粉末(炭酸カルシウム) 配合(重量比) ⇒ セメント:石灰石粉末=1:1 実験方法 ⇒ (1)土壌より、中小礫、木片等を除去し、土塊、団粒
とを粗砕後、非金属製2mmふるい後、十分混練する。 (2)この土壌に、土壌採取地の地下水をひたひたにな
るまで加える。 (3)さらに、高炉セメントと石灰石粉末を1:1に予
め混合しておいた不溶化材を、高炉セメントの添加量が
0、0.5、1.5、2、2.5、3.5、7%になるよう
に加え、乳鉢でよく混練し、12時間静置する。 (4)この試料に、重量体積比10%の割合で蒸留水を
混合し、常温、常圧で毎分約200回、6時間振とう、
土壌中の汚染物質を溶出させpHを測定する。 (5)溶出した試料液を10〜30分間静置後、毎分3
000回転で20分間遠心分離し、この上澄み液を孔径
0.45μmメンブランフィルタで濾過する。 (6)濾過液を電気加熱原子吸光光度法により分析す
る。分析の結果を表3および図3、4に示す。表3およ
び図3、4は、セメントおよびpH調整材の添加量と、
鉛の溶出量および不溶化後の土壌のpH値を示す。
【0022】
【表3】
【0023】実験結果 ⇒ 表3および図3、4に示すように、本例では、セメ
ントおよびpH調整材が無添加の状態では、土壌のpH
は約9.3で、0.02mg/lの鉛の溶出があり、表1
の基準値を超えている。 セメント0.5%(8.5kg/m3 )、石灰石粉末
0.5%(8.5kg/m3 )の添加では、pH10.6
で溶出量0.002mg/lとなった。 セメントの添加量を、1.5%(25.5kg/m
3 )、2%(34kg/m3 )、2.5%(42.5kg
/m3 )とし、石灰石粉末の添加量もセメントと同量、
すなわち、1:1の重量比でブレンド配合した場合、土
壌のpHは11.6〜11.9で、鉛溶出量は0mg/l
となり不溶化されていた。 セメント量を3.5%(59.5kg/m3 )以上、
石灰石粉末もセメントと同量を添加すると、pH12.
1以上となり、鉛溶出量も基準値の0.01mg/lを
超えてしまった。 シルト混り細砂の土質の場合、セメント添加量を
0.5〜2.5%程度にすると不溶化できることが判明し
た。
【0024】[実験例3] 対象土壌 ⇒ シルト質細砂(1.7t/m3) 使用セメント ⇒ 高炉セメント pH調整材 ⇒ 石灰石粉末(炭酸カルシウム) 配合(重量比) ⇒ セメント:石灰石粉末=1:1 実験方法 ⇒ 実験例2と同様の方法で実験した。濾過
液を電気加熱原子吸光光度法により分析した結果を表4
および図5、6に示す。表4および図5、6は、セメン
トおよびpH調整材の添加量と、鉛の溶出量および不溶
化後の土壌のpH値を示す。
【0025】
【表4】
【0026】実験結果 ⇒ 表4および図5、6に示すように、本例では、セメ
ントおよびpH調整材が無添加の状態で、pH9.8、
溶出量0.013mg/lで、表1の基準値を超えてい
る。 実験例2と同様に、セメントと石灰石粉末を1:1
の重量比で、セメント添加量が0.5〜2.5%では、p
H10.7〜11.9で、溶出量は0.001〜0.006
mg/lと不溶化されていた。 セメント量が3.5%以上では、同量の石灰石粉末
を添加しても、pH12以上となり、鉛溶出量も基準値
を超えた。 シルト質細砂の土質の場合、セメント添加量を0.
5〜2.5%程度にすると不溶化できることが判明し
た。
【0027】[実験例4]一実験例として野外の現場で
試験施工を行った。図7〜10に実験の結果を示す。図
7、8は、粉体の吐出量別、深度別の鉛溶出量を示し、
図7は撹拌1回(固化材を撹拌しながら地中から地上へ
撹拌機を引き上げる撹拌作業)、図8は撹拌3回(さら
に地中に撹拌機を往復させる固化材の撹拌作業)を実施
した場合である。また、同様に、図9は、撹拌1回の場
合の粉体の吐出量別、深度別のpH値を示し、図10
は、撹拌3回の場合の粉体の吐出量別、深度別のpH値
を示す図である。
【0028】高炉セメントと石灰石粉末とを、重量比で
1:1に、予めセメント工場で混合したものを使用した
(混合比率は工場で変更可能である)。粉体噴射機械撹
拌方式で、粉体量を、80、70、60、50kg/m
3 の4種類で実施した。粉体噴射機械撹拌工法では、5
0kg/m3 と60kg/m3 のとき、一定量の粉体を
地中に均一に供給することができなかった。70kg/
3 と80kg/m3では、良好に均一に供給させるこ
とができた。70kg/m3 の供給量に対して、汚染土
壌の改良後のpHは10.8〜11.2となり、また、溶
出試験からも鉛およびその化合物の溶出は認められなか
った。80kg/m3 の場合は、基準溶出量0.01m
g/lには達していないが、0.003〜0.007mg
/lの溶出量が認められた。
【0029】上記により、固化材の供給量の安定性と鉛
の溶出性を考慮して、固化材量は70kg/m3 (高炉
セメント35kg/m3 +pH調整材35kg/m3
を本施工で実施することに決定した。
【0030】撹拌の回数は1回と3回で比較したが、3
回の方が撹拌は非常に良く、鉛およびその化合物の溶出
は認められなかった。しかし、施工上、3回撹拌を行う
と、粉体噴射機械撹拌工法の粉体供給時に、固化材が目
詰まりを起こしやすいことが判明した。1回の撹拌でも
かなりよく混合されており、不溶化のための撹拌は十分
に行われていると判断された。
【0031】強度的には試験を行っていないが、70k
g/m3 配合では、改良1日後では現状の地盤よりやや
硬い程度で、掘削が不可能な程度までは固まっていなか
った。オーガーによる試料採取のための掘削を実施した
硬さから判定した。
【0032】上記いくつかの実験により、次のことが考
察される。 (1)セメントによる土壌pH値の上昇が、pH調整材
の混入によって調整でき、土壌pH値を所定範囲に保持
することにより、pH値上昇によって流出する鉛などの
汚染物質の溶出を防止できる。
【0033】(2)セメントの量を最小限もしくは所定
量に調整することにより、土壌の硬化強度を低く調整で
きる。鉛の溶出を抑制するためには普通ポルドランドセ
メントより高炉セメントの方が有効であるという結果を
得た。また、セメント量がpHに与える影響が大きいた
め、セメント量を抑え、粉体量としては60kg/m3
以上を確保するために、石灰石粉末をpH調整材として
使用する必要があることが判明した。
【0034】(3)pHによって、重金属などの汚染物
質の地下水等への溶解度は、一般的に変化する。両性金
属である鉛については、本実験のように、溶出量が最も
少ないpH値を中心に低い場合(酸性側)でも、高い場
合(アルカリ性側)でも溶出量は増加する。亜鉛、銅な
ども鉛と同様である。また、六価クロム、カドミウムの
ように、あるpH値より酸性に傾くと溶出量が増加する
ものもある。このように、その他の含有量の多い汚染物
質の再溶出には十分注意した上で、汚染物質に応じたp
Hを調整することで目的の汚染物質の流出量を抑制する
ことができる。
【0035】(4)pH調整材としては、セメントのみ
使用するとpHが約13程度となることから、対象物質
が鉛の場合には、混合後にpHが10.5〜11.8の範
囲に入るようにできる粉体(粉体で施工する場合)ある
いは液体(スラリーで施工する場合)であればなんでも
良い。一般的には、石灰石粉末、石膏、フライアッシ
ュ、スラグ粉末等のいずれか、またはそれらの混合物が
好ましい。
【0036】(5)固化材としてのセメントは、粘性土
で150kg/m3 、砂質土で100kg/m3 程度混
合することで、強度的には一軸圧縮強度で5〜10kg
f/cm2程度に改良されるが、場合によっては10k
g/cm2を超過し、容易に掘削することが不可能とな
る問題がある。掘削するなどの作業が将来ない場合は、
セメント量を大量に配合し、完全な固化処理とする場合
もある。また、セメント量が20kg/m3 以下の場合
には、固化処理ができず、地盤を乱しただけとなり、逆
に強度低下を起こす場合がある。
【0037】本実験では、固形化を目的としたケースを
実施していないため推測が困難であるが、一般的には、
微細な空隙や細管が多く、汚染物質の封じ込めに都合が
よく、水和の初期に細孔に入り込んだ汚染物質が水和の
進行に伴う細孔の不連続化により物理的に封じ込められ
る効果がある。
【0038】(6)セメントとpH調整材との混合割合
は、対象とする汚染土壌を不溶化するための最少セメン
ト量(調整するpH値)と深層混合処理工法で施工可能
な最少粉体量あるいは、スラリー量から決定される。今
回試験した地盤では、セメント量で30kg〜40kg
であり、粉体噴射機械撹拌工法で施工可能な粉体量は7
0kg/m3 であったので、セメントとpH調整材の混
合比率は重量比で1:1とした。
【0039】なお、pH調整材の効果は、単に物理的な
地中への吐出量を一定量以上にするために使用してお
り、セメントによるpHの上昇を積極的に抑制するもの
ではない。そのため、混合する割合は、適正な吐出量を
確保することが主な目的であり、適正な吐出量からセメ
ントによるpH調整等に必要な適正量を差し引いた量が
pH調整材の使用量となる。よって、適正吐出量に対す
るセメント適正量の比により混合割合が決まる。
【0040】(7)固化材の形態として、粉体の長所
は、運搬や取扱が容易なこと、地下水が豊富で汚染土壌
に含まれる水が多く、セメントにあえて水を加える必要
がない場合、予め水を加える作業が必要とならないこと
があげられる。欠点としては、湿度により貯留タンクな
どの中で固まりとなり、連続した不溶化材の供給を阻害
する可能性があることがあげられる。また、均一に撹拌
するのにやや時間がかかる。スラリの場合の長所は、均
一に撹拌しやすく、湿度を注意する必要がなく供給施設
がやや単純で済むことがあげられる。欠点としては、水
を加えるため、地盤中への注入量が(体積)が多くな
り、地表面が盛り上がる場合がある。夏場での施工では
スラリの硬化が早く注入ホース内で目詰まりを起こすこ
とがある。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の地盤改良
工法によれば、セメント等の固形化材による土壌の硬化
強度を予定範囲に調整でき、かつ、土壌のpH値を調整
することにより、鉛などの汚染物質の不溶化を確実に行
うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例1におけるセメント添加量と鉛溶出量と
の関係を示す図である。
【図2】実験例1におけるセメント添加量と土壌pH値
との関係を示す図である。
【図3】実験例2におけるセメント添加量と鉛溶出量と
の関係を示す図である。
【図4】実験例2におけるセメント添加量と土壌pH値
との関係を示す図である。
【図5】実験例3におけるセメント添加量と鉛溶出量と
の関係を示す図である。
【図6】実験例3におけるセメント添加量と土壌pH値
との関係を示す図である。
【図7】撹拌1回の野外実験における粉体の吐出量別深
度別鉛溶出量を示す図である。
【図8】撹拌3回の野外実験における粉体の吐出量別深
度別鉛溶出量を示す図である。
【図9】撹拌1回の野外実験における粉体の吐出量別深
度別pH値を示す図である。
【図10】撹拌3回の野外実験における粉体の吐出量別
深度別pH値を示す図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉛またはその化合物が汚染物質として存
    在する汚染土壌に、pH調整材を混入して前記汚染物質
    を不溶化させることを特徴とする地盤改良工法。
  2. 【請求項2】 前記pH調整材は、前記汚染土壌のpH
    を10.5〜11.8に調整するものである請求項1に記
    載の地盤改良工法。
  3. 【請求項3】 前記pH調整材は、石灰石、石膏、フラ
    イアッシュ、スラグ等のいずれかの粉体、またはそれら
    を混合した粉体である請求項1に記載の地盤改良工法。
  4. 【請求項4】 前記pH調整材をセメントと混合して前
    記汚染土壌に混入する請求項1に記載の地盤改良工法。
  5. 【請求項5】 前記セメントは、高炉セメントである請
    求項4に記載の地盤改良工法。
  6. 【請求項6】 前記pH調整材として石灰石粉末を用
    い、高炉セメントと石灰石粉末とを、1:1〜3の重量
    比で混合した粉体を、前記汚染土壌に混入する請求項1
    に記載の地盤改良工法。
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