JP2000052898A - バンパー構造 - Google Patents

バンパー構造

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JP2000052898A
JP2000052898A JP10221800A JP22180098A JP2000052898A JP 2000052898 A JP2000052898 A JP 2000052898A JP 10221800 A JP10221800 A JP 10221800A JP 22180098 A JP22180098 A JP 22180098A JP 2000052898 A JP2000052898 A JP 2000052898A
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energy
energy absorbing
hollow
bumper
collision
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JP10221800A
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Mitsuo Tsuge
光雄 柘植
Harumichi Hino
治道 樋野
Kaoru Isurugi
薫 石動
Takashi Sasamoto
隆 佐々本
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Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アルミニウム合金押出中空形材からなるバン
パー補強材に剛性を附与し、且つその衝突に際しての衝
撃エネルギー吸収性能を向上する。 【構成】 バンパー補強材4の中空部内に、四辺形又は
円形中空断面を有しその中空軸方向に規則的に座屈変形
するアルミニウム合金押出形材等からなるエネルギー吸
収形材50を衝撃方向に平行に配置する。規則的座屈を
誘導するためその中空壁に座屈の張り出し又は折れ込み
に対応する凹部・凸部又は溶接ビード等による軟化部を
形成する。 【効果】 規則的な座屈変形により衝撃エネルギー吸収
量が大きく、またバンパー補強材の変形を防止して、効
果的に車体及び搭乗者を保護する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、衝突の際に車体に加わ
る衝撃を吸収して車体の損壊を防止し、搭乗者を保護す
るため車両の前端部又は後端部に設置されるバンパーに
関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両はその走行中、他の物体
や車両同士で接触や衝突した場合に備えて、車体や搭乗
者を保護するために種々の構造が採用されている。近
年、モータリゼーションの発達に伴い、日常生活におい
ても自動車の利用が不可欠になってきていることから、
これらの接触や衝突に対する安全性が一層強く要求さ
れ、また、一方で省エネルギー化や環境保護の要請から
車体構造の軽量化等の工夫も必要になっている。このよ
うな車両の衝突等に対する安全性向上の要請に応えるも
のとして本発明者らは、先に特開平8−310440号
公報に複数の中空部を持つアルミニウム合金製押出形材
により形成され、長手方向の規則的座屈により衝突時の
衝撃を吸収する自動車用フレーム材を提案したところで
ある。
【0003】この衝撃吸収フレーム材は車体フレームの
前後部に設けられて衝突の際の衝撃を吸収するものであ
るが、衝突に対する車体各部の衝撃エネルギー吸収量の
配分は、搭乗者を保護するために車両安全設計上重要な
要件であって、車室の前後の構造物によって、これらの
エネルギーを最大限吸収して車室の損壊を最小限に留め
ると共に車室全体に加わる衝撃を緩和して搭乗者に対す
るショックを和らげる必要がある。たとえば、上記の公
報にも記載されているように本発明者らの行った車室前
方にエンジンルームを配した形式の車両における測定結
果では、衝突エネルギーの少なくとも70%がフェン
ダ、ボンネット等の外装部及びバンパー、エンジン、車
輪等の車体フレーム以外の構造部材で吸収されていた。
【0004】このうち、バンパーは車体を保護しあるい
はその損傷を軽減するという本来の機能からして重要で
あって、図1に示すようにバンパー1は、車体の前後端
部に設置され、前後方向及び斜め方向からの接触や衝突
に対して車体を保護するよう機能する。その構造は、通
常図2に示すようにバンパー表皮2、エネルギー吸収フ
ォーム3、バンパー補強材4からなり、車体フレーム5
に対する衝突等の衝撃をこれらの衝撃緩衝構造を介して
緩和するようにされている。バンパー補強材は、口形、
日形、目形あるいは田形等の中空断面のアルミニウム合
金押出形材からなり、車体の前後部形状に合わせて曲げ
加工し、車体に取り付けるための穴明け加工を行って、
取付ボルトにより車体に固定される。これらのアルミニ
ウム合金押出形材は、車体構造重量を軽量化できること
から最近の省エネルギー化や二酸化炭素排出量削減等の
環境保護の要請に応えるものであると共に、アルミニウ
ム合金は押出形材として中空部を含む自由な断面形状の
成形が容易にできるため、これらの断面形状により剛性
を持たせると共に衝突に際してその衝撃エネルギーをそ
の断面形状の変形で吸収させて安全性の向上を図ること
が期待される。
【0005】しかしながら、このようなバンパー構造に
おいては衝突による衝撃はエネルギー吸収フォームを介
してバンパー補強材に伝えられ、バンパー補強材と車体
フレームとの間に荷重が集中するためバンパー補強材は
これらの箇所で断面形状の座屈を生じ易く、容易に圧潰
してバンパー補強材が車体側に侵入してバンパー後方の
車体を損傷するばかりでなく、衝撃エネルギー吸収量も
小さいため車体の保護機能を十分に発揮できない。さら
に、図3に示すように斜め前方からの衝突に対しては、
車体フレームの取付位置より外方は支持点のない片持梁
構造となるため、接触程度の軽度の衝撃に対しても自由
端となるバンパー先端側は内側に向かって容易に曲げら
れて屈曲した状態となって車体側に喰い込み、保護作用
を達成し難い。これら車体の前後側部は、衝突事故のほ
か往々にして構造物に接触し易く、これらの箇所に集中
するランプ等の高価な部品を損傷する結果となる。
【0006】このような衝突を受けたバンパー補強材の
破損状態を図4に示す。アルミニウム合金中空押出し形
材からなるバンパー補強材4は、上記のように荷重が集
中する車体フレームとの取り付け部で座屈してしわBに
見られるように圧潰し、更に端部側に曲げられている。
この結果、衝撃や荷重に対する強度が十分に保てず、ま
た、上記の曲げ荷重の集中箇所等より座屈して容易に断
面を圧潰させることとなるため衝撃エネルギーの吸収効
果を十分に発揮できないこととなる。これに対して、バ
ンパー補強材の強度を大きくする、あるいはこれらの荷
重の集中箇所の強度を大きくする等の措置が考えられる
が、全体強度を増すことは荷重が大きいだけに直接重量
増を招く結果となり、また部分的な補強構造もスペース
に余裕がなく、構造を複雑にするため採用が困難であっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題を解消すべく案出されたものであり、アルミニウム
合金押出中空形材からなるバンパー補強材にその中空構
造を利用して、前後方向及び斜め方向からの衝撃に対し
て十分な強度を付与すると共に大きな衝撃エネルギー吸
収効果を発揮させ、衝突等に対して効果的に車体を保護
できる簡単且つ軽量な構造を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、その目的を達
成するため、アルミニウム合金押出形材からなるバンパ
ー補強材において、軸方向に規則的座屈変形することに
より衝撃エネルギーを吸収するエネルギー吸収形材をそ
の軸方向を想定される衝突方向に沿ってほぼ平行に該バ
ンパー補強材の中空部内に配置してなるアルミニウム合
金押出形材からなるバンパー補強材であり、また、その
エネルギー吸収形材は、バンパー補強材の断面形状に応
じて1以上の四辺形の組合せ又は円形からなる断面形状
の中空形材よりなり、これをバンパー補強材の中空部内
に1以上配置してなるものであり、さらに、そのエネル
ギー吸収形材は、その軸方向の荷重に対して規則的座屈
変形を誘起する予備変形部又は溶接ビード等による軟化
領域を形成してなり、軸方向に規則的座屈変形すること
により衝撃エネルギーを吸収するものである。
【0009】また、衝突に際して前記座屈変形により前
記エネルギー吸収形材が吸収するエネルギーを次の定義
による式(1)、(2)で算出することにより、設計作
業を容易とするものである。 角形中空断面のエネルギー吸収形材の場合: US ={4.72×(B+H)0.30×t1.81×E0.15×((σB +σ0.2 )/ 2)/1000}×m×n×L (KN・mm)・・・ (1) 円形中空断面のエネルギー吸収形材の場合: Uc ={4.19×D0.45×t1.7 ×E0.15×((σB +σ0.2 )/2)/1 000}×n×L (KN・mm)・・・ (2) ただし、 US :角形中空断面の吸収エネルギー量 (KN・m
m) Uc :円形中空断面の吸収エネルギー量 (KN・m
m) D :外径 (mm) B :長辺の長さ (mm) H :短辺の長さ (mm) E :ヤング率 (GPa ) σB :材料の引張り強さ (MPa ) σ0.2 :材料の0.2%耐力 (MPa ) m :多角形又は円形断面の中空部の数 n :エネルギー吸収形材の数 L :車体設計上変形可能な領域 (mm)
【0010】
【作用】本発明者らは、前記のバンパー補強材の座屈に
よる圧潰がいずれも荷重や衝撃の集中する箇所において
発生し、衝撃エネルギーの集中箇所ともなっているこ
と、また、先に本発明者らが特開平8−310440号
公報において提案した衝撃吸収フレームの規則的座屈変
形する中空構造の衝撃エネルギー吸収特性及びその構造
がコンパクトでかつ断面構造がアルミニウム合金押出形
材として容易に形成できることに着目して、前記規則的
座屈変形する中空構造の部材がそのコンパクトな構造に
よりバンパー補強材の中空部を利用してこれらの箇所に
配置することができ、かつバンパー補強材の構造を変更
することなく所定の強度を付与すると共に優れた衝撃エ
ネルギー吸収特性を発揮できることに想致し、これらの
問題を解決し、本発明を完成したものである。
【0011】請求項1の構成は、バンパー補強材が中空
のアルミニウム合金押出形材からなる構造を利用して、
その中空部内に規則的に座屈して衝撃エネルギーを吸収
するエネルギー吸収形材を配置したもので、一定程度以
下の荷重に対しては、中空部内側からバンパー補強材の
前後壁を支持して座屈等にいたる断面変形を防止してそ
の中空構造による強度を効果的に発揮させると共に一定
程度以上の荷重に対してはそれ自体が規則的に座屈して
潰れる際の大きなエネルギー吸収量により車体に加わる
衝撃を緩和することができる。
【0012】また、前記エネルギー吸収形材をバンパー
補強材の断面形状に応じて1以上の四辺形の組合せ又は
円形からなる断面形状の中空形材により形成し、これを
バンパー補強材の中空部内に1以上配置した構造は、バ
ンパー補強材の口形、日形、目形あるいは田形等の断面
形状に応じてエネルギー吸収形材の断面形状と配置数及
び配置位置を選択し、バンパー補強材の衝撃に対する剛
性及び衝撃吸収エネルギー特性を適切なものとして、車
体及び搭乗者に対する保護作用を効果的に発揮すること
ができる。一般に強度部材が座屈等により変形する際に
は、その構造上の強度限界を超えると直ちに全体に及ぶ
座屈変形が発生・進行して同時に負荷荷重が低下してし
まうため、衝撃吸収エネルギーを大きくできない。エネ
ルギー吸収形材に形成した規則的座屈を誘起する予備変
形部或いは溶接ビード等による軟化領域は、所定の形態
で規則的座屈変形を生じさせることができるものであ
り、規則的な座屈変形が反復して生じることにより、前
記エネルギー吸収形材の全体に潰れが至る間に持続して
大きなエネルギーを吸収することができる。また、これ
らエネルギー吸収形材の構造上の強度限界でこの座屈が
発生すると車体に加わる衝撃が大きくなるが、この限界
以下の適切な剛性の範囲内で座屈を発生させることがで
きるためこれらの衝撃を緩和することができる。
【0013】さらに、バンパー補強材の設計上許容でき
る変形範囲等の条件が定まれば、これらの設計強度条件
に対して吸収されるエネルギー量は既に知られている
(1)、(2)式に前記エネルギー吸収形材のデータ諸
元を導入することにより、必要とするエネルギー吸収量
を容易に求めることができるため、手間がかかり且つコ
ストの嵩む破壊テスト前に、所定の設計作業を進めるこ
とができる。
【0014】
【実施の態様】本発明のバンパー補強材の具体例を以下
図面を参照して説明する。図5(a)に示すバンパー補
強材4は、図5(b)に示すように隔壁45、45によ
って仕切られた上下2つの中空ホロー部内にそれぞれエ
ネルギー吸収形材50を挿入固定したもので、前面から
の衝突、すなわち図の上方からの衝撃により、車体フレ
ームに対する取付部左右でバンパー補強材が曲げられ、
車体フレーム取付部近傍で皺Bを生じて前後方向に潰れ
ているが、なお端面では大旨その断面形状が保たれてい
て衝撃の大きさに応じた潰れ方をしていることが判る。
図5(b)は図5(a)のA−A線に沿う矢視断面を示
し、バンパー補強材の中空部に挿入固定されたエネルギ
ー吸収形材50には座屈55が反復して規則的に進行し
て発生している。このように、エネルギー吸収形材50
はエネルギー吸収形材により補強されると共にエネルギ
ー吸収形材はその中空の軸方向に順次潰れていくために
バンパー補強材の断面形状の変化が前後方向のつぶれ以
外に最小限にとどまり、全体の曲げ変形も少ない。
【0015】またバンパー補強材の車体フレーム取付部
より外方側は片持梁構造となるため、斜め方向からの衝
突等のように該取付部より外側に対する衝撃に対して荷
重が該取付部に集中するため、バンパー補強材は軽い衝
撃に対しても該取付部で座屈を生じて車体内側に曲げら
れ、車体側に侵入して喰い込むため車体を損傷する原因
となる。エネルギー吸収形材50は、このバンパー補強
材の車体フレーム取付部に設置することにより、上記の
ように効果的にバンパー補強材の剛性を付与するから、
このような軽度の衝撃に対するバンパー補強材の変形を
防止できる。
【0016】このように本発明のエネルギー吸収形材を
設置したバンパー補強材は接触や軽い衝突に耐える強度
を有し、あるいは衝撃に応じて衝撃エネルギーを吸収し
て車体を保護し、また、大きな衝撃により圧潰する際に
は大きな衝撃エネルギーを吸収して、車体側及び搭乗者
を効果的に保護することができる。さらに、エネルギー
吸収形材は、バンパー補強材の中空構造を利用して、任
意の位置に設置できることから、その設置位置を適宜に
選ぶことにより、より効果的に斜め方向からの衝突に対
処することができる。
【0017】図6(a)に図5のバンパー補強材が衝突
バリヤー10に示す斜め前方からの衝突に対処するため
エネルギー吸収形材50をバンパー補強材の車体フレー
ム5への取付部に並列に設置した例を示す。図におい
て、斜め方向からの衝突に対しては、バンパー補強材は
片持梁支持となるため、軽い衝撃でも車体側に屈曲して
侵入するが、斜め衝突方向に平行にエネルギー吸収形材
50をを並列に設置することにより、このような曲げに
対する大きな剛性を付与し、また、衝撃エネルギー吸収
量を大きくすることができる。さらに、図6(b)にバ
ンパー補強材4をその両端側の曲げ部のほかブラケット
6によって端部で車体フレームに支持し、それぞれの位
置に斜め衝突方向に平行にエネルギー吸収形材50を設
置した例を示す。このようにエネルギー吸収形材50を
設置することにより、バンパー補強材の片持梁支持構造
の欠点を解消し、さらにエネルギー吸収形材50による
剛性向上及び衝撃エネルギー吸収能を効果的に発揮して
衝突事故等の際の安全性を向上することができる。
【0018】図7(a)〜(e)に本発明のエネルギー
吸収形材の構造とバンパー補強材の断面形状に応じた設
置例を示す。図7(a)は、バンパー補強材の2つの中
空部にわたってその前後壁を貫いてエネルギー吸収形材
を配置した例で、エネルギー吸収形材の前後端をバンパ
ー補強材の前後壁に溶接して固着する。エネルギー吸収
形材後方は、車体フレームに取り付けられていて衝突の
衝撃を受けると、バンパー補強材の端部側の衝突等によ
る曲げ荷重に対しては、バンパー補強材の座屈変形に対
して大きな剛性を付与することにより、バンパー補強材
が曲げられて車体側に侵入することを防止し、エネルギ
ー吸収形材の軸方向の衝撃に対しては規則的に座屈変形
して効果的にエネルギーを吸収して車体を保護する。
【0019】図7(b)のものは、エネルギー吸収形材
をバンパー補強材の中空部端部内に配置した例で、バン
パー補強材端部において車体フレームに取り付けること
によりバンパー補強材端部の斜め方向の衝突による曲が
りに対処でき、片持梁の欠点を解消できる。この場合、
エネルギー吸収形材50の位置において図6(b)に示
したと同様のブラケットによりバンパー補強材の端部は
支持されている。図7(c)に示すバンパー補強材は、
バンパー補強材の断面形状に応じて円筒状の単純な構造
のエネルギー吸収形材を分散、あるいは2カ所の車体フ
レーム取付部等の適宜の箇所に配置する場合に適し、よ
り簡単な構造により効果を得ることができる。
【0020】図7(d)、(e)はいずれもバンパー補
強材の端部中空部内にエネルギー吸収形材を配置した例
で、バンパー補強材に格別の予備的な加工を要しないた
め、バンパー補強材端部で車体フレームに取り付ける場
合には簡単な構造で効果的である。図8は、図7
(a)、(b)に用いたエネルギー吸収形材50が規則
的に座屈変形した状態を示す斜視図である。このよう
に、エネルギー吸収形材は、バンパー補強材に剛性を附
与して両端側における接触や衝突に際してのバンパー補
強材の車体側への侵入を防止すると共に、大きな衝撃に
対してその軸方向の規則的座屈変形により大きな衝撃エ
ネルギーを吸収して車体及び搭乗者を保護する。
【0021】さらに、前記したように衝突に際してはエ
ネルギー吸収形材は衝撃エネルギー吸収量を大きくする
と共に、車室全体に加わる衝撃を緩和して搭乗者へのシ
ョックを和らげることが必要である。本発明のエネルギ
ー吸収形材においては、この座屈変形の開始位置に予め
一定の変形部あるいは溶接ビード等により強度を低下さ
せた軟化部を形成しておくことにより、規則的な座屈を
誘起して連続的に座屈変形を進行させることができ、こ
れによってエネルギー吸収量を大きくすると共に、座屈
変形開始時の車室側に伝達される衝撃を緩和することが
できる。
【0022】すなわち、本発明のエネルギー吸収形材の
座屈変形は隣接する辺或いは円筒の場合は一定の円周間
隔で交互に内側と外側とに張り出し及び折れ込みを生じ
ていわばアコーディオン状に折り畳まれた形状に規則的
に座屈することにより、座屈回数を大きくしてエネルギ
ー吸収量を大きくすると共に、一定以上の荷重に達する
と座屈変形を速やかに誘起することにより車室に対する
衝撃を緩和することができる。このため、座屈開始位置
に各辺に沿って又は円周上一定間隔でこれらの変形方向
に凸部、或いは凹部を形成しておくことにより、このよ
うな規則的座屈を誘導することができる。また、溶接ビ
ードを形成することにより、同様に内側に対する折れ込
み或いは外側に対する張り出し変形を誘導することがで
きる。
【0023】衝突に対する車体各部の衝撃エネルギー吸
収量の配分は、前記したように車両安全設計上重要な要
件であって、このため、これら車体各部の衝撃吸収エネ
ルギー量の積算はこれまで、種々試みられているところ
である。たとえば、予想される衝突時の速度として、J
IS D1060で採用されているFMVSS−204
(米国自動車安全規格)に適合する50km/時を基準
として、これと車両総重量とから計算されるエネルギー
を算出して、これを車体各部の構造で吸収可能な配分を
計算するのであるが、車体フレーム以外の構造は強度以
外の種々の要因で定められるため一概に算出できない。
このため、実車モデルを用いた破壊テスト等で測定され
るが、手間がかかると共に経費が嵩み実行上困難を伴う
のであり、バンパー補強材のような衝撃吸収部材に関し
ては実際に破壊テスト等を行うことなく、簡単にその衝
撃エネルギー吸収量を算出する方法が実用上望まれる。
【0024】本発明者らは、中空構造の構造部材がその
中空軸方向に連続的に座屈することによる衝撃エネルギ
ーの吸収量を算出する方法を先に提案して(特開平8−
310440号公報)いるが、本発明のエネルギー吸収
形材の衝撃エネルギー吸収機構は上記と共通するもので
あるから、上記に提案された算出方法により容易に算出
することができる。
【0025】すなわち、上記の方法によれば、角形中空
断面のエネルギー吸収形材の場合、図8の如く規則的に
折り畳まれ、その吸収エネルギー量は: US ={4.72×(B+H)0.30×t1.81×E0.15×((σB +σ0.2 )/ 2)/1000}×m×n×L (KN・mm)・・・ (1) ただし、 US :角形中空断面の吸収エネルギー量 (KN・m
m) B :長辺の長さ (mm) H :短辺の長さ (mm) E :ヤング率 (GPa ) σB :材料の引張り強さ (MPa ) σ0.2 :材料の0.2%耐力 (MPa ) m :多角形又は円形断面の中空部の数 n :エネルギー吸収形材の数 L :車体設計上変形可能な領域 (mm)
【0026】また、図7(c)におけるような、円形中
空断面のエネルギー吸収形材の場合、規則的座屈変形を
誘起する予備的変形部又は軟化領域を120度方向に形
成しておくことにより120度毎に内側に順次規則的に
折りたたまれ、この場合、上記のB(個々の中空部の断
面における幅)及びH(個々の中空部の断面における高
さ)を外径Dに置き換え、m(中空部の数)=1、とし
て、円形中空断面の吸収エネルギー量Uc (KN・m
m)を実験値により求めると、次式が得られる。 Uc ={4.19×D0.45×t1.7 ×E0.15×((σB +σ0.2 )/2)/1 000}×n×L (KN・mm)・・・ (2)
【0027】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、車両のバンパーを構成するアルミニウム合金押出形
材製バンパー補強材に対して、エネルギー吸収形材を中
空部内に配置する簡単な構造により重量増が少なく効果
的な補強効果を発揮し、前方及び斜め方向からの衝突に
対して十分な強度を付与すると共に、強い衝撃に対して
は大きな衝撃エネルギー吸収効果を発揮してその安全性
を確保することができるものである。また、吸収エネル
ギー量の算出も容易であるため安全設計上極めて有用で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 バンパーを有する自動車前面概略構造。
【図2】 同上断面図。
【図3】 バンパーと斜め衝突との関係を示す図。
【図4】 衝突により圧潰したバンパー補強材を示す
図。
【図5】 本発明のエネルギー吸収形材を配置したバン
パー補強材の衝突による変形状態を示す図:外観
(a)、A−A線矢視断面図(b)。
【図6】 本発明のエネルギー吸収形材の配置とバンパ
ー補強材の取付け構造の関係図:(a)、(b)
【図7】 本発明のエネルギー吸収形材の構造と配置
例:(a)〜(e)
【図8】 本発明のエネルギー吸収形材が規則的に座屈
した状態を示す図。
【符号の説明】
1:バンパー 2:バンパー表皮 3:エネルギー
吸収フォーム 4:バンパー補強材 5:車体フレ
ーム 6:ブラケット 10:被衝突体 41:前壁 42:後壁 43:側壁 45:隔
壁 50:エネルギー吸収形材 55:規則的座屈
B:座屈に伴うしわ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石動 薫 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内 (72)発明者 佐々本 隆 静岡県庵原郡蒲原町蒲原1丁目34番1号 日本軽金属株式会社グループ技術センター 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム合金押出形材からなるバン
    パー補強材において、軸方向に規則的座屈変形すること
    により衝撃エネルギーを吸収するエネルギー吸収形材を
    その軸方向を想定される衝突方向に沿ってほぼ平行に該
    バンパー補強材の中空部内に配置してなることを特徴と
    するアルミニウム合金押出形材からなるバンパー補強
    材。
  2. 【請求項2】 前記エネルギー吸収形材は、バンパー補
    強材の断面形状に応じて1以上の四辺形の組合せ又は円
    形からなる断面形状の中空形材よりなり、これをバンパ
    ー補強材の中空部内に1以上配置してなることを特徴と
    する請求項1記載のアルミニウム合金押出形材からなる
    バンパー補強材。
  3. 【請求項3】 前記エネルギー吸収形材は、その軸方向
    の荷重に対して規則的座屈変形を誘起する予備変形部又
    は溶接ビード等による軟化領域を形成してなることを特
    徴とする請求項1又は2記載のアルミニウム合金押出形
    材からなるバンパー補強材。
  4. 【請求項4】 前記エネルギー吸収形材が衝突に際して
    吸収するエネルギーを下式で算出された値を衝突に際し
    て吸収すべきエネルギーより大きくしてなることを特徴
    とする請求項1ないし3記載のアルミニウム合金押出形
    材からなるバンパー補強材。 角形中空断面のエネルギー吸収形材の場合: US ={4.72×(B+H)0.30×t1.81×E0.15×((σB +σ0.2 )/ 2)/1000}×m×n×L (KN・mm)・・・ (1) 円形中空断面のエネルギー吸収形材の場合: Uc ={4.19×D0.45×t1.7 ×E0.15×((σB +σ0.2 )/2)/1 000}×n×L (KN・mm)・・・ (2) ただし、 US :角形中空断面の吸収エネルギー量 (KN・m
    m) Uc :円形中空断面の吸収エネルギー量 (KN・m
    m) D :外径 (mm) B :長辺の長さ (mm) H :短辺の長さ (mm) E :ヤング率 (GPa ) σB :材料の引張り強さ (MPa ) σ0.2 :材料の0.2%耐力 (MPa ) m :多角形又は円形断面の中空部の数 n :エネルギー吸収形材の数 L :車体設計上変形可能な領域 (mm)
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