JP2000051234A - 歯科サンドブラスト用ハンドピース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 歯科サンドブラスト用ハンドピースにおい
て、噴射ノズルの粉詰まりを防止する。 【構成】 歯科サンドブラスト用ハンドピース（10）
は、粉体容器（28）に圧縮空気を供給する第１の圧縮空
気供給管路（42）と、噴射ノズル（62）に圧縮空気を供
給する第２の圧縮空気供給管路（70）を有する。第１圧
縮空気供給管路（42）には第１逆止弁（50）が、第２圧
縮空気供給管路（70）には第２逆止弁（72）が設けてあ
り、第１逆止弁（50）の開弁圧力は第２逆止弁（72）の
開弁圧力よりも高く設定してある。圧縮空気の供給を停
止すると、第２逆止弁（72）よりも先に第１逆止弁（5
0）が閉じるので、噴射ノズル（62）には圧縮空気だけ
がしばらくの間供給され、噴射ノズル（62）は清掃され
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、重曹粉末やアルミ
ナ粉末のような研削性粉体を歯牙に吹き付けることによ
り歯牙を研磨又は切削するようになった歯科サンドブラ
スト用ハンドピースの改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】重曹粉末やアルミナ粉末のような研削性
粉体を圧縮空気を用いて歯牙に吹き付けることにより歯
牙を研磨又は切削するための歯科サンドブラスト用ハン
ドピースは知られている（例えば、特開昭61-109560
号）。また、研削性粉体を貯蔵した粉体容器に圧縮空気
を供給し、圧縮空気と研削性粉体との混合物を噴射ノズ
ルから噴射するようになった歯科サンドブラスト用ハン
ドピースは本出願人によって提案されている（特願平9-
284453号）。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】この種の歯科サンドブ
ラスト用ハンドピースにおいては、非使用時に噴射ノズ
ル内に粉体が残留することがあると、空気中の湿気によ
り粉体が固まり、粉詰まりの原因となる。

【０００４】本発明の目的は、使用の終了に応じて噴射
ノズルが自動的に清掃され、噴射ノズル内に粉体が残留
することのない歯科サンドブラスト用ハンドピースを提
供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の歯科サンドブラ
スト用ハンドピースは、圧縮空気入口と、圧縮空気と研
削性粉体との混合物を噴射するための噴射ノズルと、研
削性粉体を貯蔵するための粉体容器と、前記粉体容器に
圧縮空気を供給するべく前記圧縮空気入口を粉体容器に
接続する第１の圧縮空気供給管路と、前記噴射ノズルに
圧縮空気を供給するべく前記圧縮空気入口を噴射ノズル
に接続する第２の圧縮空気供給管路と、粉体容器内の研
削性粉体を噴射ノズルに供給するべく粉体容器を噴射ノ
ズルに接続する粉体供給管路とを備えている。本発明
は、前記第１および第２の圧縮空気供給管路には研削性
粉体を含んだ空気が圧縮空気入口に向かって逆流するの
を阻止するための第１および第２の逆止弁を夫々設け、
前記第１の逆止弁の開弁圧力（閉弁圧力と同義）は前記
第２の逆止弁の開弁圧力よりも高く設定したことを特徴
とするものである。

【０００６】使用に際しては歯科サンドブラスト用ハン
ドピースは歯科用ホースを介して歯科用ユニットに接続
され、この歯科用ホースにより歯科用ユニットから圧縮
空気の供給を受ける。一般に歯科用ユニットにはフット
バルブが設けてあり、圧縮空気の供給はこのフットバル
ブを足で操作することにより制御される。サンドブラス
ト用ハンドピースの使用の終了に伴い、歯科医或いは施
術者がフットバルブを閉じると、フットバルブよりも下
流の歯科用ホース内の圧縮空気の圧力は急速に低下する
であろう。しかしながら、歯科用ホース内には比較的短
時間ではあるが圧縮空気圧力が残留し、この残留圧力が
消失するまでの間はサンドブラスト用ハンドピースを通
って空気の流れが維持される。

【０００７】本発明に従い、第１圧縮空気供給管路に設
けた第１逆止弁の開弁圧力は第２圧縮空気供給管路に設
けた第２逆止弁の開弁圧力よりも高く設定してあるの
で、フットバルブの閉鎖に応じて歯科用ホース内の圧縮
空気の圧力が低下するにつれて先ず第１逆止弁が閉弁す
る。その結果、粉体容器への圧縮空気の供給が先ず止ま
り、粉体容器から噴射ノズルへの粉体の供給が停止す
る。この時には第２逆止弁は未だ開弁しているので、残
留圧力が消失するまでの間は噴射ノズルには第２圧縮空
気供給管路を介して圧縮空気が供給され続ける。第２圧
縮空気供給管路から供給されるこの残留圧力による圧縮
空気流により噴射ノズル内の粉体は噴射ノズルから排出
され、噴射ノズルは清掃される。

【０００８】好ましい実施態様においては、それぞれの
逆止弁は、互いに接触して並置された２つのＯリングか
らなる。この構成によれば、逆止弁の開弁圧力を容易に
設定することが可能になると共に、逆止弁の構造を簡素
化することができる。

【０００９】好ましい実施態様においては、第１の圧縮
空気供給管路には同管路を遮断するための手動遮断弁を
設ける。このようにすれば、噴射ノズルの清掃を一層完
全に行うことができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】図１および図２を参照するに、本
発明の歯科サンドブラスト用ハンドピース１０は手で把
持することの可能な細長いハンドピース本体１２を有す
る。本体１２は図示したように互いに螺合又は接合され
た複数の部分により構成することができる。

【００１１】本体１２の後部には規格化されたホース継
ぎ手の雄部材１４を受け入れるようになった公知の形式
の雌部材１６が形成されている。ホース継ぎ手の雄部材
１４は歯科用ホース１８の端部に周知の態様で装着され
ている。歯科用ホース１８は図１に模式的に示した歯科
用ユニット２０から延長している。歯科用ユニット２０
の内蔵コンプレッサ（図示せず）から歯科用ホース１８
（ひいては、ハンドピース１０）への圧縮空気の供給は
歯科用ユニット２０に付設したフットバルブ２２により
制御される。

【００１２】本体１２の下側には支持部２４が形成して
あり、この支持部２４にはナット２６を用いて粉体容器
２８が取り付けてある。粉体容器２８は互いに螺合され
たキャップ３０と本体３２とで構成することができ、本
体３２をキャップ３０から弛めて取り外すことにより重
曹粉末やアルミナ粉末のような研削性粉体を容器２８内
に充填することができる。

【００１３】ホース継ぎ手の雄部材１４の圧縮空気供給
口３４に面してハンドピース本体１２には圧縮空気入口
３６が形成してあり、歯科用ユニット２０からの圧縮空
気が圧縮空気入口３６に供給されるようになっている。
この圧縮空気入口３６はフィルター室３８に連通してい
る。フィルター室３８には焼結金属などで形成された円
板状の微多孔性フィルター４０が嵌合してある。このフ
ィルター４０は粉体容器２８内の研削性粉体がホース継
ぎ手の方に流出するのを防止する機能を有する。このフ
ィルター４０は本発明の目的を達成する上では不可欠で
はなく、省略することができる。

【００１４】フィルター室３８は、一方において、第１
の圧縮空気供給管路４２により粉体容器２８に連通させ
てあり、粉体容器２８内に圧縮空気を供給するようにな
っている。図示した実施例では、第１圧縮空気供給管路
４２は、本体１２に形成された圧縮空気供給通路４４
と、この通路４４に接続された給気管４６とで構成され
ている。

【００１５】給気管４６の先端には、容器２８内の研削
性粉体４８が圧縮空気供給管路４２を介してホース継ぎ
手の方に逆流するのを阻止するための第１の逆止弁５０
が設けてある。

【００１６】図３の拡大図を参照するに、図示した実施
例では、第１逆止弁５０は給気管４６の先端に圧入など
により固定した本体５２を有する。この本体５２には給
気管４６に連通する軸方向通路５４と、この軸方向通路
５４に直径方向に交差する給気孔５６が形成してある。

【００１７】本体５２の外周には環状溝５８が形成して
あり、給気孔５６はこの環状溝５８に開口している。環
状溝５８にはエラストマーからなる上下一対のＯリング
６０がピッタリと装着してある。

【００１８】これら一対のＯリング６０は給気孔５６を
閉鎖する弾性閉鎖部材ないし弁体として作用するもの
で、圧縮空気供給管路４２から圧縮空気が送られて来た
時には、Ｏリング６０は半径方向外側に膨張して、圧縮
空気が粉体容器２８内に進入するのを許容するが、圧縮
空気の供給を遮断した時には、 ２つのＯリング６０は
環状溝５８内で互いにピッタリと密着し、研削性粉体４
８が給気孔５６内に進入するのを防止する。

【００１９】再び図２を参照するに、ハンドピース本体
１２には噴射ノズル６２が装着してあり、この噴射ノズ
ル６２は噴射管６４に連通している。粉体容器２８は粉
体供給通路６６を介して噴射管６４に接続してある。圧
縮空気供給管路４２を介して粉体容器２８内に圧縮空気
が供給されると、研削性粉体４８は容器２８内で舞い上
がり、粉体は供給通路６６を介して噴射管６４に送られ
る。

【００２０】圧縮空気供給通路４２には押しボタン式の
遮断弁６８が設けてあり、粉体容器２８への圧縮空気の
供給を遮断するようになっている。

【００２１】フィルター室３８は、他方において、第２
の圧縮空気供給管路７０により噴射管６４に接続してあ
り、噴射管６４に直接に圧縮空気を供給するようになっ
ている。この第２圧縮空気供給管路７０には、第２の逆
止弁７２が配置してある。図４を参照するに、第２逆止
弁７２も第１逆止弁５０と同様の構造にすることがで
き、弁本体７４の環状溝７６に装着された一対のＯリン
グ７８を備えている。第１逆止弁５０と同様に、弁本体
７４には、フィルター室３８に連通する軸方向通路８０
と、この軸方向通路８０に直径方向に交差して環状溝７
６に開口する給気孔８２が形成してある。第２逆止弁７
２の作用は基本的に第１逆止弁５０と同様である。

【００２２】本発明に従い、第１圧縮空気供給管路４２
の第１逆止弁５０と第２圧縮空気供給管路７０の第２逆
止弁７２とは、第１逆止弁５０の開弁圧力が第２逆止弁
７２の開弁圧力よりも大きくなるように設定してある。
開弁圧力のこのような設定は、例えば、Ｏリング６０お
よび７８の太さ、直径或いは予荷重を選択することによ
り行うことができる。

【００２３】ハンドピース本体１２には、また、水供給
管路８４が設けてあり、噴射ノズル６２から噴射される
粉体と圧縮空気との混合物に必要に応じて更に水を添加
してミストを形成できるようになっている。この水供給
管路８４の入口はホース継ぎ手の雄部材１４の水供給口
８６に連通させてあり、その出口は、図５に示したよう
に、二重管構造のノズル６２の外側管路に連通させてあ
る。

【００２４】次に、この歯科サンドブラスト用ハンドピ
ース１０の使用の態様を説明する。ハンドピースの使用
に先立ち、粉体容器２８の本体３２を弛めてキャップ３
０から取り外し、研削性粉体４８を所望のレベルまで入
れた後、再び本体３２をキャップ３０にねじ込む。歯牙
や義歯の研磨には重曹粉末を使用し、切削にはアルミナ
粉末を使用することができる。

【００２５】サンドブラスト用ハンドピース１０に歯科
用ユニットからのホース１８を接続した上で、歯科用ユ
ニット２０のフットスイッチ２２を操作してハンドピー
ス１０に圧縮空気を供給すると、圧縮空気はフィルター
４０を通ってフィルター室３８内に流入する。圧縮空気
はそこから第１圧縮空気供給管路４２と第２圧縮空気供
給管路７０に分かれて供給される。第１圧縮空気供給管
路４２に送られた圧縮空気は第１逆止弁５０のＯリング
６０の対を押し開きながら粉体容器２８内に進入する。
粉体容器２８内で舞い上げられた研削性粉体４８は供給
通路６６を介して噴射管６４に送られ、第２圧縮空気供
給管路７０から供給された圧縮空気と混合され、混合物
は噴射ノズル６２から噴射される。歯科医は、必要に応
じて給水制御用フットバルブ（図示せず）を操作して水
供給管路８４に水を供給し、粉体と圧縮空気と水とのミ
ストを噴射ノズル６２から噴射させることもできる。

【００２６】歯科処置が終わると、歯科医はフットバル
ブ２２を閉じることにより歯科用ホース１８への圧縮空
気の供給を停止する。圧縮空気の供給を停止すると、歯
科用ホース１８内の圧縮空気が噴射ノズル６２から流出
することにより、歯科用ホース１８内の空気圧力は急速
に低下する。しかるに、第１圧縮空気供給管路４２の第
１逆止弁５０の開弁圧力は高く設定してあるので、歯科
用ホース１８内の空気圧力の低下に応じて先ず第１逆止
弁５０が閉弁し、粉体容器２８への圧縮空気の供給を遮
断する。これにより粉体容器２８から噴射管６４への粉
体の供給は停止する。この時には第２逆止弁７２は未だ
開弁しているので、歯科用ホース１８内の残留圧力が消
失するまでの短時間の間は噴射ノズル６２には第２圧縮
空気供給管路７０を介して圧縮空気が供給され続ける。
この空気流により噴射管６４および噴射ノズル６２内の
粉体は排出され、噴射管６４と噴射ノズル６２は清掃さ
れる。このように、フットバルブ２２を閉じた時には自
動的に噴射管６４および噴射ノズル６２が清掃されるの
で、ハンドピース１０の非使用時に噴射管６４および噴
射ノズル６２が粉詰まりを起こすことがない。

【００２７】噴射管６４および噴射ノズル６２の清掃は
押しボタン式の遮断弁６８を操作することにより積極的
に行うこともできる。即ち、噴射管６４を積極的に清掃
したい場合には、歯科医はハンドピース本体１２に設け
た遮断弁６８を押すことにより、２〜３秒の間だけ圧縮
空気供給通路４２を遮断する。これにより、噴射管６４
および噴射ノズル６２には第２圧縮空気供給管路７０か
らの圧縮空気だけが供給されるので、噴射管６４および
噴射ノズル６２の内壁に付着した研削性粉体は吹き飛ば
され、内壁は清掃される。

【００２８】ハンドピース１０の非使用時には第１逆止
弁５０と第２逆止弁７２は閉じているので、研削性粉体
がホース継ぎ手の方に進入することがない。

【００２９】

【発明の効果】このように、本発明によれば、サンドブ
ラスト用ハンドピース１０の使用の終了に伴い噴射管６
４および噴射ノズル６２が自動的に清掃され、噴射管６
４および噴射ノズル６２内に粉体が残留することがない
ので、粉詰まりを起こすことがない。従って、必要に応
じて何時でも圧縮空気の供給を再開することによりハン
ドピースを作動させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の歯科サンドブラスト用ハンドピースの
側面図で、ハンドピースからホース継ぎ手を分離したと
ころを示し、歯科用ユニットは模式的に示してある。

【図２】図１に示したハンドピースの断面図で、ハンド
ピースとホース継ぎ手とを接続したところを示す。

【図３】図２に示した第１逆止弁の拡大断面図である。

【図４】図２に示した第２逆止弁の拡大断面図である。

【図５】図１に示したハンドピースのノズルの拡大断面
図である。

【符号の説明】

１０： 歯科サンドブラスト用ハンドピース ２８： 粉体容器 ３６： 圧縮空気入口 ４２： 第１圧縮空気供給管路 ５０： 第１逆止弁 ６２： 噴射ノズル ６６： 粉体供給管路 ７０： 第２圧縮空気供給管路 ７２： 第２逆止弁

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 圧縮空気入口（３６）と、圧縮空気と研
   削性粉体との混合物を噴射するための噴射ノズル（６
   ２）と、研削性粉体を貯蔵するための粉体容器（２８）
   と、前記粉体容器に圧縮空気を供給するべく前記圧縮空
   気入口を粉体容器に接続する第１の圧縮空気供給管路
   （４２）と、前記噴射ノズルに圧縮空気を供給するべく
   前記圧縮空気入口を噴射ノズルに接続する第２の圧縮空
   気供給管路（７０）と、粉体容器内の研削性粉体を噴射
   ノズルに供給するべく粉体容器を噴射ノズルに接続する
   粉体供給管路（６６）とを備えた歯科サンドブラスト用
   ハンドピースにおいて、 前記第１および第２の圧縮空気供給管路（４２、７０）
   には研削性粉体を含んだ空気が圧縮空気入口に向かって
   逆流するのを阻止するための第１および第２の逆止弁
   （５０、７２）を夫々設け、前記第１の逆止弁（５０）
   の開弁圧力は前記第２の逆止弁（７２）の開弁圧力より
   も高く設定したことを特徴とする歯科サンドブラスト用
   ハンドピース（１０）。