JP2000051136A - 洗浄機のラック - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗浄作業後にラックを早期に乾燥できるよう
にする。 【解決手段】 合成樹脂製のラック本体２には、支持ピ
ン３を含んだ全表面にわたって、酸化チタンを主成分と
した光半導体層１１が形成される。ラック１に対して厨
房内に配設された蛍光灯の光が照射されると、光半導体
層１１が持つところの、光励起により表面に親水性を示
すという機能によって、ラック本体２の表面に水膜Ｗが
形成された状態になり、洗浄並びにすすぎが終了したあ
とでもラック本体２の表面には水滴ができない。そのた
め、機外に出されたラック１の表面は短時間で乾燥し、
食器におけるラック１との接触部分でも乾きやすくな
り、またラック１を食器収納場所等に運ぶ場合にも、ラ
ック１から水滴が落ちることが防がれる。酸化チタンは
酸化機能を発揮するから、雑菌等の繁殖を抑制する抗菌
機能を呈し、ラック１の表面が清浄に保たれて衛生面上
でも優れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、食器洗浄機等にお
いて食器等の被洗浄物を収納するのに使用されるラック
に関する。

【０００２】

【従来の技術】食器洗浄機の一般的な使い方は、洗浄す
べき食器をラックに収納して洗浄室内に入れ、洗浄水を
吹き付ける洗浄工程と、温水を吹き付けるすすぎ工程を
行ったのち、ラックごと機外に取り出すようになってい
る。ここで近年、食器収納用のラックは、安価に生産で
きかつ軽量であることから、合成樹脂製のものが主流と
なっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】一方、合成樹脂製のラ
ックは、食器等と比べて熱容量が小さいという事情があ
る。そのため、すすぎが終了して食器がラックごと機外
に出された場合、食器は７０℃程度に加熱されているの
で比較的早期に乾燥できるが、樹脂製のラックはなかな
か乾かなくて、食器との接触部分等で水滴が残りやす
い。そうすると、食器におけるラックとの接触部分での
乾きが遅れるという不具合を招く。また、機外に出され
たのち、引き続いてラックごと食器の収納場所に運ぶよ
うな場合には、ラックから水滴が滴り落ちて周辺を水浸
しにしてしまうということもあった。本発明は上記のよ
うな事情に基づいて完成されたものであって、その目的
は、洗浄作業後にラックを早期に乾燥できるようにする
ところにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの手段として、請求項１の発明に係る洗浄機のラック
は、食器等の被洗浄物を収納するラック本体の表面に、
光励起に対応して表面が親水性を示す光半導体層が形成
されているところに特徴を有する。請求項２の発明は、
請求項１記載のものにおいて、前記光半導体層が酸化チ
タンを主成分として構成されているところに特徴を有す
る。

【０００５】

【発明の作用及び効果】＜請求項１の発明＞光半導体層
の持つ親水性機能によって、ラックの表面には薄い水の
膜が濡れ広がり、水滴ができない。そのため洗浄後に暖
かくなったラックは短時間で乾燥する。被洗浄物におけ
るラックとの接触部分でも乾きやすくなり、またラック
を運ぶときにも水滴が落ちることが防がれる。 ＜請求項２の発明＞光半導体層として形成された酸化チ
タンは光励起により酸化機能を発揮するので、有機物を
分解して抗菌、脱臭等に有効なラックが得られる。

【０００６】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図１
及び図２に基づいて説明する。本実施形態のラック１
は、ＡＢＳ樹脂等の合成樹脂材により成形されたラック
本体２を有している。このラック本体２は、図１に示す
ように、上面の開口された方形の箱形に形成されてお
り、その底面には、複数本の支持ピン３が整列して一体
的に立てられている。ラック本体２の左右の側壁の上縁
には、取っ手４が設けられている。

【０００７】洗浄すべき食器Ａは、同図の鎖線に示すよ
うに、支持ピン３の間に立て掛けることでラック１内に
収納される。そして、このラック１が食器洗浄機（図示
せず）の洗浄室内に入れられ、まず洗浄水が吹き付けら
れることで洗浄が行われ、続いて温水が吹き付けられる
ことですすぎが行われ、すすぎ工程が終了すると、食器
Ａがラック１ごと機外に取り出されるようになってい
る。

【０００８】さて、上記したラック本体２には、支持ピ
ン３を含んだ全表面にわたって、図２に示すように、酸
化チタンを主成分とした光半導体層１１が形成されてい
る。なお、この光半導体層１１の膜厚は強調するために
実際よりも厚く図示されている。

【０００９】上記した光半導体層１１の形成方法として
は、以下に挙げるものがある。 第１例：塗膜形成要素としてシリコーンにアナターゼ型
チタニアルゾルを添加して、チタニア含有塗料用組成物
を調整し、これをラック本体２の表面に塗布し、所定の
温度で硬化させてアナターゼ型チタニア粒子がシリコー
ン塗膜中に分散された光半導体層１１を形成する。

【００１０】第２例：まずラック本体２の表面に無定形
シリカの薄膜を形成し、次にテトラエトキシチタンＴｉ
（ＯＣ₂Ｈ₅）₄ とエタノールとの混合物からなるチタニ
アコーティング溶液を調整し、この溶液をラック本体２
の表面に塗布して乾燥させる。テトラエトキシチタンの
加水分解によって、水酸化チタンが生成し、さらに脱水
縮重合によって無定形チタニアが生成する。

【００１１】第３例：上記の第２例と同様に、ラック本
体２の表面上に無定形シリカの薄膜を形成し、スパッタ
リング法により無定形ＴｉＯ₂ からなる薄膜を形成して
もよい。 上記の各例のように形成された酸化チタンを主成分とし
た光半導体層１１は、光（特に紫外線）励起に対応して
表面が親水性を示すものである。併せて、光励起による
酸化機能を有し、有機物を分解して抗菌、脱臭等に有効
となる。

【００１２】本実施形態の作用は、以下のようである。
ラック１に対して厨房内に配設された蛍光灯の光が照射
されると、光半導体層１１が持つところの、光励起によ
り表面に親水性を示すという機能によって、図２に示す
ように、ラック本体２の表面に水膜Ｗが形成された状態
になる。そのため、洗浄並びにすすぎが終了したあとで
も、ラック本体２の表面には水滴ができない。

【００１３】したがって、すすぎにより暖められて機外
に出されたラック１は、短時間で乾燥する。そのため、
食器Ａにおけるラック１との接触部分（ラック本体２の
底面や支持ピン３との接触部分）でも乾きやすくなり、
食器Ａの拭き作業が省略または簡略される。また、食器
Ａを直ちに片付けるべくラック１を所定の食器収納場所
に運ぶような場合にも、ラック１から水滴が落ちること
が防がれ、厨房内等を清浄に保つことができる。また、
光半導体層１１として形成された酸化チタンは酸化機能
を発揮するから、雑菌等の繁殖を抑制する抗菌機能を呈
し、ラック１の表面が清浄に保たれて衛生面上でも好適
となる。

【００１４】＜他の実施形態＞本発明は上記記述及び図
面によって説明した実施形態に限定されるものではな
く、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に
含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内
で種々変更して実施することができる。 （１）ラックの表面に親水性を持たせるための他の手段
として、ラック本体の成形原料となるペレットの表面に
酸化チタンを厚肉にコーティングしておき、このペレッ
トによりラック本体を成形することで、ラック本体の表
面側に光半導体の存在する部分を形成するようにしても
よい。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施形態に係るラックの斜視図

【図２】 その部分拡大断面図

【符号の説明】

１…ラック ２…ラック本体 ３…支持ピン １１…光
半導体層 Ｗ…水膜 Ａ…食器

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 食器等の被洗浄物を収納するラック本体
   の表面に、光励起に対応して表面が親水性を示す光半導
   体層が形成されていることを特徴とする洗浄機のラッ
   ク。
2. 【請求項２】 前記光半導体層が酸化チタンを主成分と
   して構成されていることを特徴とする請求項１記載の洗
   浄機のラック。