JP2000044859A - 印刷用インク及び印刷装置 - Google Patents

印刷用インク及び印刷装置

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JP2000044859A
JP2000044859A JP21318798A JP21318798A JP2000044859A JP 2000044859 A JP2000044859 A JP 2000044859A JP 21318798 A JP21318798 A JP 21318798A JP 21318798 A JP21318798 A JP 21318798A JP 2000044859 A JP2000044859 A JP 2000044859A
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ink
resin
printing
solvent
oil
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JP21318798A
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English (en)
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Yukitaka Watarai
幸隆 渡会
Masatoshi Sato
正寿 佐藤
Yasuo Katano
泰男 片野
Minoru Morikawa
穣 森川
Takashi Hara
敬 原
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Tohoku Ricoh Co Ltd
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Ricoh Co Ltd
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オフセット印刷に用いる油性印刷インク(オ
イルを含むオフセットインク、水無平版インク、活版イ
ンク)としてその性能に経時変化を起こさないインク
と、このインクに適した記録、定着手段を備え安定的に
良好な印字品質が得られる印刷装置を提供する。 【解決手段】 記録媒体1にインク2を転写後、インク
転移面にインク含有溶剤に対して膨潤性を示す固体部材
11を接触させインクの定着を行う。その際加熱すると
良い。用いるインクは、ビヒクル成分としてヨウ素値が
100以下のオイルとオイルに溶解させた樹脂及び該樹
脂と相溶性を示す溶剤を含有し、経時的な変質を起こさ
ないもので、樹脂は、ロジン変性フェノール樹脂、ロジ
ン変性エステル樹脂、石油樹脂、DCPD樹脂、アルキ
ド樹脂等が適当で、溶剤は、脂肪族炭化水素、芳香族、
ケトン類、アルコール類等、極性溶剤、無極性溶剤何れ
でもよく、100℃以上の高沸点で不揮発性溶剤が望ま
しい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆるオフセッ
ト印刷といわれる印刷技法に用いるインク及び印刷装置
に関し、より詳細には、、プリンタを含む当該印刷装置
の画像記録に用いるインク及びそのインクに適した記録
媒体への定着手段を有する印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】当該印刷技法において従来から用いられ
ているインクは、樹脂及び該樹脂と相溶性を示す溶剤を
含有したインクで、市販されている油性印刷インク(オ
フセットインク、水無平版インク、活版インク)はもと
より、酸化重合反応機構等のインク硬化成分を持たない
その他のインクでも、記録媒体にインクが転写された時
にインク濃度を低下させることなく、インクの定着を短
時間で行うことができ、性質が経時変化を起こさないと
いう性能面で、また、その定着方法としても十分なもの
が得られなかった。こうした問題に対して解決手段が求
められてきたところ、記録媒体にインクを転写後、イン
ク転移面にインク含有溶剤に対して膨潤性を示す固体部
材を接触させて、インクの定着を短時間で行うように
し、そこで用いられるインクとして、インク中に樹脂及
び該樹脂と相溶性を示す溶剤を含有しているインクを用
いるものが提案された。樹脂としては、ロジン変性フェ
ノール樹脂、ロジン変性エステル樹脂、石油樹脂、DC
PD樹脂、アルキド樹脂等を適当であるとした。樹脂と
相溶性を示す溶剤としては、脂肪族炭化水素、芳香族、
ケトン類、アルコール類等、極性溶剤、無極性溶剤何れ
でもよく、100℃以上の高沸点で不揮発性溶剤が望ま
しく、一例としては、市販のオフセットインク、活版イ
ンク、水無平版インク、孔版インクなどの油性インクが
あげられる。また、この油性インクには樹脂を溶解させ
るオイルや酸化重合乾燥に必要な乾性油(不飽和脂肪
酸)やその他の硬化剤を含有するものがある。そして、
含有するオイル成分の経時変化により長く置くとインク
の表面に薄いフィルムを生成する、いわゆるfilmi
ng、といった現象が起きて、印刷装置で使用する際に
必要なインクの性能を損なうといった問題点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点に鑑みてなされたもので、オフセ
ット印刷において用いる油性印刷インク(オイルを含む
オフセットインク、水無平版インク、活版インク)とし
てその性能に経時変化を起こさないインクを提供し、さ
らに、このインクを用いるに適した記録、定着手段を備
えることにより安定的に良好な印字品質が得られる印刷
装置を提供することをその解決すべき課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、ビヒ
クルの成分としてヨウ素値が100以下のオイルを含有
させたことを特徴としたものである。
【0005】請求項2の発明は、請求項1記載の印刷用
インクにおいて、ビヒクルの成分としてさらに樹脂を前
記ヨウ素値が100以下のオイルに該樹脂を溶解させる
ことにより含有させたことを特徴としたものである。
【0006】請求項3の発明は、ビヒクルの成分として
ヨウ素値が100以下のオイルに樹脂を溶解させた成分
と該樹脂に対して相溶性を示す溶剤を含有させた印刷用
インクを用いる印刷装置であって、記録媒体へのインク
転写後、該インクが含有する溶剤に対して膨潤性を示す
固体部材を該記録媒体表面上の記録画像を形成するイン
クに接触させる固体部材接触手段を備えたことを特徴と
したものである。
【0007】請求項4の発明は、請求項3記載の印刷装
置において、前記固体部材接触手段における固体部材
が、シリコーン樹脂を含有することを特徴としたもので
ある。
【0008】請求項5の発明は、請求項3又は4記載の
印刷装置において、前記固体部材接触手段における固体
部材を加熱する手段を設けたことを特徴としたものであ
る。
【0009】請求項6の発明は、請求項3ないし5のい
ずれか1記載の印刷装置において、前記固体部材接触手
段が複数設けられたことを特徴としたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の印刷用インク及び印刷装
置の一実施形態を添付した図面を参照して以下に説明す
る。 (請求項1の発明)ヨウ素値が100以下のオイルに
は、一般にヨウ素値が100以下のオイルと呼ばれる、
ひまし油,やし油,鉱物油が含まれ、一部に綿実油やぬ
か油等の半乾性油も含まれる。これらのオイルは二重結
合の数が少なく、空気中の酸素と反応固化を極めておこ
し難い特徴を持つ。ビヒクルの成分にこれらのオイルを
含有させることにより、オフセット印刷用のインクとし
てこれを印刷装置への使用に供する。
【0011】(請求項1の発明の実施例) 作製インク例:ヨウ素値が100以下のオイルとして、
ひまし油を用い、3種のインクA、BおよびCを下記の
表1の組成で作製した。なお、表1中の数字は、重量%
を示す。
【0012】
【表1】
【0013】評価結果:下記表2に、上記表1に示され
る各インクの評価結果を従来例と対比して示す。 従来のオフセットインクと本発明のインクとを、30℃
にて1週間放置すると、従来のオフセットインクは、イ
ンク表面に薄いフィルムが生成されてしまう(いわゆる
filming)。一方、本発明のインクは、外観上変化がな
く、ガラス棒にて撹拌しても変化を感じず、経時変化を
認めることができなかった。
【0014】
【表2】
【0015】(請求項2の発明)上記請求項1の発明の
実施形態にて説明した種々のオイル或いはこれらのオイ
ルと同様の性質を示すヒマシ油変性アルキッド樹脂やヤ
シ油変性アルキッド樹脂に、次に挙げる樹脂を溶解させ
るもので、その樹脂としてはロジン系樹脂,ロジン変性
フェノール樹脂,ロジン変性アルキッド樹脂,重合ロジ
ン,水素化ロジン,ロジンエステル,水素化ロジンエス
テルさらには石油樹脂,DCPD樹脂,アルキッド樹脂
等がある。ビヒクルとして上記したようにオイルに樹脂
を溶解した組成物を成分として含有させることにより、
オフセット印刷用のインクとしてこれを印刷装置への使
用に供する。
【0016】(請求項2の発明の実施例) 作製インク例:ヨウ素値が100以下のオイルとして、
ヒマシ油、ヒマシ油変性アルキッド樹脂、ヤシ油および
ヤシ油変性アルキッド樹脂を用い、顔料4種それぞれに
ついてオイルの組成を6種変えることにより合計16種
のインク(本発明AないしV)を下記の表3ないし表6
の組成で作製した。なお、表3ないし表6中の数字は、
重量%を示す。また、本発明との比較のために、ヨウ素
値が100を越えるオイルとしてアマニ油、オイチシカ
油、シナキリ油及びこれらの変性アルキッド樹脂を成分
とし、本発明の実施例に対応するインク(従来Aないし
X)を下記表7ないし10に示す組成で作製しテストを
行った。
【0017】
【表3】
【0018】
【表4】
【0019】
【表5】
【0020】
【表6】
【0021】
【表7】
【0022】
【表8】
【0023】
【表9】
【0024】
【表10】
【0025】評価結果:下記表11に、上記表3ないし
表6に示されるインクAないしVの評価結果を従来例と
対比して示す。従来のオフセットインクと本発明のイン
クとを、30℃にて1週間放置すると、従来のオフセッ
トインクは、インク表面に薄いフィルムが生成されてし
まう(いわゆるfilming)。一方、本発明のインクは、
外観上変化がなく、ガラス棒にて撹拌しても変化を感じ
ず、経時変化を認めることができなかった。
【0026】
【表11】
【0027】(請求項3の発明)図1乃至図5は、それ
ぞれ請求項3の発明の実施形態を説明するための図で、
図中、1は記録媒体、2はインク、3は記録層、4は基
板、5は版、10はインク定着ユニット、11は接触固
体部材、12は加圧ローラで、図1は平版による直刷り
の構成例、図2はオフセット印刷の構成例、図3は凸版
印刷の構成例、図4は孔版印刷の構成例、図5は簡易孔
版印刷の構成例にそれぞれ用いた場合の例を示す。ここ
で、記録媒体1は矢印A方向に搬送されるものとする。
【0028】この実施形態では、以下に説明するよう
に、記録媒体1にインク2を転写後、インク転移面にイ
ンク含有溶剤に対して膨潤性を示す接触固体部材11を
接触させて、インクの定着を行うものである。ここで用
いられるインクは、インク中に樹脂及び樹脂と相溶性を
示す溶剤を含有しているインクである。樹脂としてはロ
ジン変性フェノール樹脂,ロジン変性エステル樹脂,石
油樹脂,DCPD樹脂,アルキッド樹脂等が適当であ
る。樹脂と相溶性を示す溶剤としては、脂肪炭化水素,
芳香族,ケトン類,アルコール類等,極性溶剤,無極性
溶剤の何れでもよく、100℃以上の高沸点で不揮発性
溶剤が望ましい。また、ビヒクルの成分として樹脂を溶
解させるオイルを含有させ、そのオイル成分としてヨウ
素値が100以下のものを用いる。
【0029】上記したインクに含有される溶剤に対して
膨潤性を示す接触固体部材11における膨潤性とは、固
体部材に含有溶剤を滴下すると1分程度以下で溶剤滴下
領域が体積膨張する性質を示す。このような性質を示す
固体部材として、有機材料,無機材料の何れでもよい
が、特に樹脂部材が望ましく、樹脂としては、ポリマー
やポリマーブレンドやポリマーアロイや、それらの架橋
体や加硫体が望ましい。また、記録媒体1との接触性が
よくなり、インク定着効率がよいことから、ゴムなどの
弾性が大きな部材が望ましい。具体的にはシリコーン樹
脂(ポリマー及びゴム),ブチルゴム,クロロプレンゴ
ム,天然ゴム,飴ゴム,オレフィン系エラストマー等が
望ましい。
【0030】上記したインクの硬化現象は、以下のよう
に説明できる。本発明者らは硬化前後でインク中の溶剤
含有量が低下することを確認した。すなわち、インク硬
化は、固体部材との接触によりインク含有溶剤が固体部
材に拡散してインク中での含有量が低下するためと推定
している。インク溶剤に対して浸透も膨潤性も示さない
固体部材接触の場合、含有溶剤は接触部材に拡散しにく
いことが予想されインクが硬化しないのは容易に考えら
れる。一方、インク溶剤に対して、膨潤性を示さず浸透
性を示す接触固体部材はともにインク接触時に含有溶剤
の接触固体部材中に拡散が起こりうる。しかし、両者に
おけるインク硬化度合いは大きく異なっている。
【0031】本発明者らは、この違いを以下のように考
える。すなわち、溶剤に対して膨潤性を示さず浸透性を
示す部材は、一般に多孔質構造の場合が多い。そのた
め、インクと接触するとインク自身がある程度接触固体
部材中に浸透することが予想される。このため、インク
に含有される溶剤がインクから分離しにくくなり硬化し
難いと思われる。一方、膨潤性を示す部材は、分子鎖の
網目が密な場合が多く、このため、インク自身が接触固
体部材に拡散しにくく、含有溶剤のみがその固体中に拡
散するためインクが硬化すると思われる。更に、溶剤に
対するこの固体の膨潤性は固体と溶剤の溶解度パラメー
タ(SP値)により最適化ができる。インクの溶剤がわ
かっている場合、そのSP値に近い値を持つ接触固体部
材を選定すれば、インク硬化の効率化が図れる。
【0032】この接触固体部材11を適用する際の装置
構成としては、図6〜図8に示すごとく一般的なオフセ
ット印刷機にそのまま取り付けた構成、すなわち、転写
直後の記録媒体の搬送路に印刷機に大幅な設計変更を加
えることなく設けるのがよい。また、多色刷りにおいて
は、図9(A)に示す構成例のごとく、各色インク転写
部C,M,Y,Kの間に接触固体部材11によるインク
定着を行うと記録紙上の前色インクをある程度硬化させ
た後に次色インクを転写できるため、記録紙上の前色イ
ンクが次色用の版又はブランケット上に転移せずに、高
速多色印刷が可能となる。また、各色ごとにインク定着
するため定着効率がよくなる。しかし、使用するインク
や紙、装置構成などにより、転写時において他色と混ざ
りにくい場合には、図9(B)に示すように、最後に定
着を行ってもよい。
【0033】(請求項3の発明の実施例) 使用インク組成:請求項2の発明の実施例における本発
明インクA〜V(表3〜表6参照) 接触固体部材:インク含有溶剤に対して膨潤性を示す接
触固体部材として、ブチルゴム,クロロプレンゴム,天
然ゴム,飴ゴム,オレフィン系エラストマ,シリコーン
ゴムの各板材を使用(厚みはどれもおおよそ1mm)。 評価方法:各インクをフッ素ゴム(バインド)製のハン
ドローラで薄く練り、アート紙上でローラを転がすこと
で紙上にインクを塗布した。その後、アート紙をホット
プレート上に置き、加熱しながら上記接触固体部材をイ
ンク面に一定時間接触させ、接触固体部材を剥離後、イ
ンク面をウエスで拭くことでインクの定着を評価した。 評価結果:表12のごとく、何れの接触固体部材も、加
熱することで硬化時間が短縮される。
【0034】
【表12】
【0035】(請求項4の発明)この実施形態は、請求
項3の発明の実施形態において、当該接触固体部材11
をシリコーン樹脂としたものである。本発明者らは、イ
ンク溶剤に対して膨潤性を示す固体部材をさまざま検討
した結果、この中で、シリコーン樹脂が特に優れている
ことを見出した。シリコーン樹脂は、接触固体部材のう
ちで硬化時間が早く、更に、他の接触固体部材は、イン
クがある程度硬化しないうちにインク層から離すと若干
インクが固体部材表面に付着するのに対して、シリコー
ン樹脂はインクが軟らかいうちに離してもシリコーン樹
脂表面にインクが付着しないことを特徴とする。すなわ
ち、インク濃度低下を起こさずにインク定着を行う方法
において、シリコーン樹脂は最も信頼性が高いと言え
る。シリコーン樹脂はインクが軟らかいうちに離しても
インクがシリコーン樹脂表面に付着しないのは、シリコ
ーン樹脂の表面エネルギーが低いこと、WBFL理論に
示されるごとくシリコーン樹脂表面には極薄いシリコー
ンオイル層が形成されていることが寄与していると思わ
れる。しかし、単に表面エネルギーが低い部材はフッ素
樹脂など他にもあるが、フッ素樹脂はインク含有溶剤に
対して膨潤性が乏しく、インク硬化に効果がない。すな
わち、シリコーン樹脂は、インクが付着せず、且つ、イ
ンク含有溶剤に対して膨潤性を示すという特異な性質を
持っており、このシリコーン樹脂と組み合わせることで
インク定着の信頼性が飛躍的に向上する。
【0036】ここで、用いるシリコーン樹脂は、シロキ
サン構造を単位とした鎖状高分子や分枝状高分子や熱加
硫シリコーンゴムのごとき架橋体又は加硫体の何れでも
よい。また、ジメチル系やメチルビニル系,メチルフェ
ニルビニル系等の変性シリコーン樹脂の何れでもよい。
この樹脂は、剛体やゴムのごとき弾性体やゲルのごとき
半固体の何れでもよい。また、シリコーン樹脂を含有し
た弾性体も優れる。更に、架橋型シリコーン樹脂を用い
る場合、架橋密度が低い方が溶剤膨潤性に優れるため、
より望ましい。
【0037】(請求項4の発明の実施例) 使用インク組成:請求項2の発明の実施例における本発
明インクA〜V(表3〜表6参照) 接触固体部材:インク含有溶剤に対して膨潤性を示す接
触固体部材として、シリコーンゴムのローラ部材を使
用。 評価方法:各インクをフッ素ゴム(バインド)製のハン
ドローラで薄く練り、アート紙上でローラを転がすこと
で紙上にインクを塗布した。その後、アート紙上にシリ
コーンゴムローラを一定速度で転がし、接触固体部材を
剥離後、インク面をウエスで拭くことでインクの定着を
評価した。 評価結果:まだインクが硬化しない状態でも、シリコー
ンローラがインクが付着したアート紙上を転がっても全
くローラ表面にはインクは付着しなかった。また、イン
クはすばやく硬化した。
【0038】(請求項5の発明)この実施形態は、上記
請求項3の発明の実施形態において、当該接触固体部材
と接触する前、又は、接触時に該記録媒体を加熱するこ
とにより該記録媒体表面のインクを硬化させるものであ
る。一般に、樹脂と樹脂に相溶性を示す溶剤との相溶性
の相関は図10のごとく表わされる。すなわち、樹脂と
溶剤が相溶していても、下限臨界溶液温度以上又は上限
臨界溶液温度以下になると樹脂と溶剤は相分離してしま
う。例えば、図10で、ある樹脂比率(同図中P%)を
決めると、相溶している樹脂液をその時の下限臨界溶液
温度T2c以上で加熱する、もしくは、上限臨界溶液温
度T1c以下に冷却すると、樹脂液は、樹脂と溶剤に分
離してしまう。本発明者らは、この性質と上記の固体接
触による硬化を組み合わせることでインク硬化時間を更
に短縮できることを見出した。このうち、加熱する方法
は、冷却する方法に比べ一般に安価な装置を利用できる
利点を有する。
【0039】そこで、記録媒体上のインクを接触固体部
材と接触する前、又は接触時に加熱することでインク硬
化をより促進させる。加熱温度は上限臨界溶液温度以上
にすれば最も効果的であるが、加熱のための消費電力を
大きくする必要がある。検討の結果、固体接触と組み合
わせると、必ずしも上限臨界溶液温度以上に加熱しなく
ても、加熱することでインク硬化時間が短縮できること
を見出した。これは、加熱するだけで樹脂と溶剤との相
溶性の均一性が崩れやすくなり、更に接触固体部材に溶
剤が拡散することで硬化が促進されるためと思われる。
なお、加熱によりインク含有溶剤が蒸発するために硬化
が促進されることも考えられたが、本発明者らが検討し
たときの加熱温度はインク含有溶剤が揮発する温度に対
してかなり低く、低温加熱で硬化促進効果があることか
ら、溶剤の蒸発による寄与は低いと思われる。
【0040】加熱方法としては、接触固体部材11を図
11に例示されるごとく、支持部材としての中空のロー
ラ41上に形成し、内側から赤外線ヒーター42で加熱
する構成が最も簡素である。また、図12に示すように
実施することができる。図12において、40は加熱源
で、図示例の場合の加熱源40は加熱ローラとしてお
り、接触固体部材11と脱着できる機構を有する。固体
部材中のインク含有溶剤量に応じて加熱ローラ40の脱
着をコントロールすることにより加熱を調整し溶剤を除
去する。
【0041】(請求項5の発明の実施例) 使用インク組成:請求項2の発明の実施例における本発
明インクA〜V(表3〜表6参照) 版:水なし平版 接触固体部材:インク含有溶剤に対して膨潤性を示す接
触固体部材としてシリコーンゴムのローラ部材(表面粗
度0.5μm,ゴム硬度20度,ローラ径φ150m
m)を使用。 記録用紙:アート紙 接触固体部材加熱装置:図11に示すごとくに、ヒータ
を内臓した中空シリコーンゴムローラ(普通紙複写機の
定着ユニット)を使用。加熱設定温度は60℃。 評価方法:単色枚葉紙市販オフセット印刷機(リコー1
310)を改造し、図12のごとく、インク転写後の排
紙部に接触固体部材としてのシリコーンローラと加熱装
置を(図1参照)配置した。加熱ローラは印刷後接触固
体部材に接触し、5分間ローラどうしを回転した。上記
インクを用い、1cm×1cmのベタ画像パターンを印
刷し、インク面をウエスで拭くことでインクの定着を評
価した。 評価結果:印刷速度40ppm/A4において、このイ
ンク定着ユニットを装着することで、印刷後の紙上のイ
ンクは十分定着されていた。 また、加熱しない場合、1000枚印刷を50回繰り返
すと定着能力が低下したが、加熱することで、1000
枚印刷を100回繰り返しても問題はなかった。
【0042】(請求項6の発明)この実施形態は、請求
項3の発明の実施形態において、当該接触固体部材11
が複数設けられた印刷装置である。図13にその具体例
を示す。接触固体部材が一つであり、ある程度接触時間
をとらないと硬化が起こらない固体部材を用いる場合、
十分なインク定着を行うためには、記録後の印刷物の接
触部材通過速度が遅くなってしまう。そこで、接触固体
部材を複数設けることで接触時間を等価的にかせぐこと
ができる。オフセット印刷に限らず、活版印刷,孔版印
刷,グラビア印刷等、インク中に樹脂と樹脂と相溶性を
示す溶剤を含有したインクを用いる印刷装置すべてに適
用できる。
【0043】(請求項6の発明の実施例) 使用インク組成:請求項2の発明の実施例における本発
明インクA〜V(表3〜表6参照) 版:ピンクマスタ 接触固体部材:インク含有溶剤に対して膨潤性を示す接
触固体部材としてシリコーンゴムのローラ部材(表面粗
度0.5μm,ゴム硬度20度,ローラ径φ40m
m)。 記録用紙:上質紙 評価方法:単色枚葉紙市販オフセット印刷機(リコー1
310)を改造し、図13のごとく、インク転写後の排
紙部に接触固体部材としてのシリコーンローラを20本
配置した。上記インクを用い、1cm×1cmのベタ画
像パターンを印刷し、インク面をウエスで拭くことでイ
ンクの定着を評価した。 評価結果:印刷速度140ppm/A4において、この
インク定着ユニットを装着することで、印刷後の紙上の
インクは十分定着された。
【0044】
【発明の効果】請求項1の発明の効果:経時的に変質の
少ないインクが提供されることにより、インキングロー
ラを印刷使用後に清掃の必要がなくなり、保守作業が楽
になった。また、放置後でも、インキングローラにイン
クが残存しているために、直ぐに印刷が開始でき、生産
性が向上した。
【0045】請求項2の発明の効果:請求項1の発明の
効果に加え、インクに樹脂を加えることによりインクの
タック値の調整ができることから、オフセット印刷技法
による種々の印刷装置に広く使用することができ、印字
品質の向上が図られる。
【0046】請求項3の発明の効果:請求項1及びの請
求項2の発明の効果に加えて、溶剤に対する膨潤性を示
す固体部材をインクに接触させることにより、紙へのイ
ンクの定着率が向上し裏移りが低減するため、印字品質
に対する信頼性が向上し、さらに定着に要する時間が短
縮され生産性が向上する。
【0047】請求項4の発明の効果:請求項3の発明に
よる定着性向上効果がさらに短い時間で達成できる。ま
た、溶剤に対する膨潤性を示す固体部材としてシリコー
ン部材を用いることによりそこにインクが付着しないた
め、紙表面のインク量が変化せず、画像濃度が安定であ
る。また、シリコーン部材をローラ状とするとき、再使
用ができ、その直径を小さくできる。
【0048】請求項5の発明の効果:請求項3の発明に
よる定着性向上効果が請求項4よりも更に短い時間で達
成でき、印字品質の信頼性についても更によくなる。
【0049】請求項6の発明の効果:請求項3ないし5
の発明に比べ、更に信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 請求項3の発明による印刷装置の実施形態の
要部構成を示す図である。
【図2】 請求項3の発明による印刷装置の他の実施形
態の要部構成を示す図である。
【図3】 請求項3の発明による印刷装置の他の実施形
態の要部構成を示す図である。
【図4】 請求項3の発明による印刷装置の他の実施形
態の要部構成を示す図である。
【図5】 請求項3の発明による印刷装置の他の実施形
態の要部構成を示す図である。
【図6】 定着ユニットを印刷装置内に組み込んで印刷
装置の実施形態の一例を示す概略構成図である。
【図7】 定着ユニットを多色刷り印刷に適用した本発
明による実施形態を示す図である。
【図8】 定着ユニットを多色刷り印刷に適用した本発
明による他の実施形態を示す図である。
【図9】 定着ユニットを多色刷り印刷に適用した本発
明による更に他の2つの実施形態を示す図である。
【図10】 インク中における樹脂含有率と環境温度と
の相関を示す図である。
【図11】 接触固体部材を加熱する加熱手段の一実施
形態を示す図である。
【図12】 請求項5の発明による印刷装置の実施形態
の構成を示す図である。
【図13】 請求項6の発明による印刷装置の実施形態
の構成を示す図である。
【符号の説明】
1…記録媒体、2…インク、3…記録層、4…基板、5
…版、10…インク定着ユニット、11…接触固体部
材、12…加圧ローラ、13…定着前印刷物搬送用ガイ
ドローラ、14…印刷物ガイドローラ、20…印刷部、
22…定着後印刷物、23…記録用紙、24…ロール
紙、30…印刷装置、40…加熱源。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡会 幸隆 宮城県柴田郡柴田町大字中名生字神明堂3 −1 東北リコー株式会社内 (72)発明者 佐藤 正寿 宮城県柴田郡柴田町大字中名生字神明堂3 −1 東北リコー株式会社内 (72)発明者 片野 泰男 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 森川 穣 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 原 敬 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2C020 BA00 CA06 4J039 AB03 AB04 AB06 AB08 AD18 AE02 AE06 AF01 AF07 BA04 BC02 BC03 BC07 BC16 BC19 BC60 BE12 EA43 GA02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビヒクルの成分としてヨウ素値が100
    以下のオイルを含有させたことを特徴とする印刷用イン
    ク。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の印刷用インクにおいて、
    ビヒクルの成分としてさらに樹脂を前記ヨウ素値が10
    0以下のオイルに該樹脂を溶解させることにより含有さ
    せたことを特徴とする印刷用インク。
  3. 【請求項3】 ビヒクルの成分としてヨウ素値が100
    以下のオイルに樹脂を溶解させた成分と該樹脂に対して
    相溶性を示す溶剤を含有させた印刷用インクを用いる印
    刷装置であって、 記録媒体へのインク転写後、該インクが含有する溶剤に
    対して膨潤性を示す固体部材を該記録媒体表面上の記録
    画像を形成するインクに接触させる固体部材接触手段を
    備えたことを特徴とする印刷装置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の印刷装置において、前記
    固体部材接触手段における固体部材が、シリコーン樹脂
    を含有することを特徴とする印刷装置。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4記載の印刷装置におい
    て、前記固体部材接触手段における固体部材を加熱する
    手段を設けたことを特徴とする印刷装置。
  6. 【請求項6】 請求項3ないし5のいずれか1記載の印
    刷装置において、前記固体部材接触手段が複数設けられ
    たことを特徴とする印刷装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001232761A (ja) * 2000-02-21 2001-08-28 Duplo Seiko Corp インク乾燥システムを有する孔版印刷機
US6644187B2 (en) 2000-04-28 2003-11-11 Tohoku Ricoh Co., Ltd. Printer and sheet conveying device therefor
CN103173065A (zh) * 2013-04-19 2013-06-26 浙江科信油墨有限公司 一种胶印油墨及其制备方法
CN112552737A (zh) * 2020-12-10 2021-03-26 天津天女化工集团股份有限公司 一种胶印免喷粉油墨

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