JP2000028696A - 核磁気共鳴分析装置用希釈冷凍機 - Google Patents

核磁気共鳴分析装置用希釈冷凍機

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JP2000028696A JP10214892A JP21489298A JP2000028696A JP 2000028696 A JP2000028696 A JP 2000028696A JP 10214892 A JP10214892 A JP 10214892A JP 21489298 A JP21489298 A JP 21489298A JP 2000028696 A JP2000028696 A JP 2000028696A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 NMR分析に供される試料を冷却保持しかつ
共振回路を組込んだ希釈冷凍機として、共振回路のチュ
ーニングが行なえるように可変コンデンサを用い、かつ
外部からの熱侵入を抑制し、しかも全体の外径を小さく
し得るようにする。 【解決手段】 液体Heによって冷却される内側容器内
の中央に中空な支持管を垂直に挿入し、この支持管を熱
伝導ブロック、分留室、熱交換器を貫通してプランジャ
に連結されるようにし、プランジャの下側の混合室を試
料室と兼ねて、共振回路のコイルと試料を保持するよう
にし、かつ共振回路の可変コンデンサを低温の混合室兼
試料室直上のプランジャ内部に設けるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、核磁気共鳴分析
装置において、試料を冷却保持するとともに、試料に印
加する高周波信号の共振回路を組込んだ希釈冷凍機に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、核磁気共鳴(以下NMRと記す)
分析が各種試料の分析に使用されるようになっている。
NMR分析は、ナイトシフトと称される量やケミカルシ
フトと称される量により物質の表面の電子状態を観察し
て分析するものであり、試料を磁場中に置くとともに試
料に対して共振回路のコイルによって磁気共鳴周波数付
近の高周波信号(交流電場)を与えて各シフト量の測定
を行なうのであるが、各シフト量は磁場の強さに比例し
て大きくなる。一方磁場を強くすれば、磁気共鳴周波数
も高くなるから、試料に加える交流電場の周波数も高く
する必要がある。この点について次に簡単に説明する。
【0003】磁気共鳴周波数fは物質によって固有の値
ではあるが、磁場Hの大きさによって変化し、その磁気
共鳴周波数fと磁場Hとの関係は、次の(1)式によっ
て与えられる。 f=γ/2π・H …(1) γは物質によって定まる定数であって、プロトン(H)
ではγ/2π=42MHz/T、銅(Cu)ではγ/2
π=10MHz/Tである。したがって磁場が強いほど
磁気共鳴周波数が高くなる。例えば0.25T(テス
ラ)の磁場中においては、プロトン(H)ではf=10
MHz、銅(Cu)ではf=2.5MHzであるが、
1.0Tの磁場中においてはプロトン(H)ではf=4
2MHz、銅(Cu)ではf=10MHzとなる。
【0004】一方前述の各シフトは、核のスピンが周り
の電子のスピンや軌道によって式(1)からずれること
によって生じる量であり、式(1)からのずれ量をkと
して(1)式を書き改めれば、次の(2)式で表わされ
る。 f=(1+k)・γ/2π・H …(2) このkの値は0.001〜0.01程度の微小な値であ
り、したがって各シフトを高感度で検出するためには、
磁場を強くして磁気共鳴周波数を高くする必要があり、
そのため試料に印加する交流電場の高周波信号も高くす
る必要があるのである。
【0005】ところで試料に印加する交流電場は、コン
デンサとコイルからなる共振回路のコイルを試料直近に
配置することによって試料に与えられる。共振回路の周
波数Fは、F=1/(LC)1/2 で与えられるから、そ
の周波数を高くするためには、コンデンサの容量Cとコ
イルのインダクタンスLを小さくする必要がある。
【0006】一方強磁場を発生する電磁石としては超電
導マグネットを用いることが有利であり、高分解能NM
R分析装置では実際に超電導マグネットを用いることが
行なわれている。また高分解能NMR分析装置では、熱
振動などによる熱的・磁気的なノイズによる影響を排除
して高感度を得るため、試料を1〜10-3K程度の超低
温に保持することが望まれており、そこで液体ヘリウム
3He, 4He)を用いて1〜10-3K程度の超低温
を得ることができる希釈冷凍機を、試料の冷却保持のた
めに適用することが考えられている。
【0007】希釈冷凍機は、 3Heの液相と 4Heの液
相との混合液が0.8K以下で2相分離して、低温で 3
Heを6.4%含む希薄相と、 3Heを100%含む濃
厚相とが共存すること、そして濃厚相の 3Heを希薄相
へ溶け込ませ(希釈させる)れば、外部から熱を吸収
し、その結果1〜10-3Kの超低温を得ることができる
という現象を利用したものである。この希釈冷凍機の原
理については、例えば「日本物理学会誌」第37巻第5
号(1982)の第409頁〜第418頁( 3He− 4
He希釈冷凍機の原理と設計上の問題点I)、「日本物
理学会誌」第37巻第7号(1982)の第595頁〜
第600頁( 3He− 4He希釈冷凍機の原理と設計上
の問題点II)などにおいて説明されているが、その原
理的な構成を図4に示す。
【0008】図4において、真空ポンプ1は 3Heを強
制循環させるためのものであり、この真空ポンプ1から
送り出された300K程度の温度の気体 3Heは、液体
4Heを減圧して1.3K程度に保った1Kポット2に
熱的に接触する凝縮器(コンデンサ)3において液化
し、さらにインピーダンス4を介して分留器5内の熱交
換器6に送られる。この分留器5は、後述するように 3
Heと 4Heとの飽和蒸気圧の差を利用して 4He− 3
Heの混合液中から 3Heを選択的に排出させるための
ものであるが、凝縮器3から送られて来た 3Heはこの
分留器5に熱接触する熱交換器6において熱交換され
て、0.5〜0.7K程度まで冷却される。さらにその
3Heは、インピーダンス7を経て熱交換器8において
100mK程度まで冷却され、混合器9に送り込まれ
る。混合器9では、前述のような100% 3Heの濃厚
相と、 3Heが 4Heに溶け込んだ 4He−6.4% 3
Heの希薄相とに2相分離しており、密度差により下層
が希薄相( 4He−6.4% 3He)、上層が濃厚相(
3He相)となる。そして濃厚相に送り込まれた 3He
が希薄相に溶け込む際に、既に述べたように熱吸収が生
じ、10mKのオーダーの超低温に冷却される。すなわ
ちこの混合器9が冷凍機としてのコールドヘッドとなる
から、この部分に冷却対象物としての試料を保持してお
けば、そのサンプルを10mKのオーダーに冷却するこ
とができる。
【0009】混合器9の希薄相における 3He濃度は
6.4%を保ち、一方前記分留器5内の 4He− 3He
混合液中からは 4Heと 3Heとの飽和蒸気圧の熱によ
って 3Heのみがガス化して排出されて行くから、分留
器5内の 3He濃度は0.5〜0.7Kで1%程度とな
り、そのため混合器9の希薄相と分留器5の混合液とで
3Heの濃度差が生じ、そのため両者間の濃度勾配によ
って混合器9内の希薄相中から 3Heが分留器5側へ引
込まれ、それに伴なって混合器9においては100% 3
Heの濃厚相から希薄相への 3Heの溶け込みが連続的
に生じることになる。そして混合器9から 3Heが分留
器5へ引込まれる間においてその 3Heは熱交換器8を
通過し、前述の往路側の 3Heを冷却する。
【0010】分留器5においては、既に述べたように飽
和蒸気圧の差によって 4He− 3He混合液中から 3
eのみが蒸発し、前述の真空ポンプ1によって排気され
る。真空ポンプ1に吸引された 3Heは、前述のように
再び凝縮器3へ送られる。
【0011】以上のようにして、希釈冷凍機では、10
mKオーダーの超低温を得ることができるから、高分解
能NMR分析装置における試料の冷却保持に最適である
と考えられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで前述のような
希釈冷凍機を用いて高分解能NMR分析装置の試料を冷
却する場合、試料には前述のように共振回路のコイルに
よって磁気共鳴周波数付近の周波数の高周波信号(交流
電場)を与えなければならず、そこで一般には共振回路
のコイルを混合器の直近の位置に配置して、コイルによ
り試料を取囲む構成とするのが通常である。一方、既に
述べたように共振回路において共振周波数を高くするた
めにはコンデンサの容量Cおよびコイルのインダクタン
スLを小さくする必要があるが、コンデンサをコイルか
ら離れた位置に配置した場合、コンデンサとコイルとを
電気的に結ぶ同軸ケーブル等の接続線の浮遊容量(一般
には20pF程度存在する)が無視できなくなり、その
ため高くてもせいぜい20〜30MHz程度までの共振
周波数しか得られなくなる。したがって高分解能NMR
分析装置用の希釈冷凍機として、高い感度を得るべく共
振回路の共振周波数を高くするためには、コンデンサを
もコイルの近くの位置、すなわち混合器直近の位置に配
設することが望まれる。
【0013】また高分解能NMR分析装置における共振
回路としては、共振周波数のチューニングを行なうため
に、コンデンサとして可変コンデンサを使用することが
望まれる。
【0014】しかしながら、従来の一般的な希釈冷凍機
を用いた場合、共振回路のコンデンに可変コンデンサを
用い、かつその可変コンデンサを混合器の直近に配置す
ることは、実際上は極めて困難であった。
【0015】すなわち、従来の希釈冷凍機において可変
コンデンサを混合装置直近に配置してNMR分析装置に
用いる場合、具体的には図5に示すような構成が考えら
れている。この図5のNMR分析装置用希釈冷凍機につ
いて次に説明する。
【0016】外側真空断熱層10によって取囲まれた有
底円筒状の外側容器12内には冷媒としての液体ヘリウ
ム14が注入されており、この外側容器12内の液体ヘ
リウム14中には有底円筒状の内側容器18が浸漬され
ている。さらにその内側容器18内には、図4について
説明したと同様に、上方から1Kポット2、分留器5、
熱交換器8、混合器9が配設されており、また凝縮器3
が1Kポット2内に、分留器5内に熱交換器6がそれぞ
れ配設されている。これらの1Kポット2および凝縮器
3から混合器9までの構成は、原理的には既に図4につ
いて説明したものと同様であるから、その詳細は省略す
る。内側容器18内における1Kポット2、分留器5、
熱交換器8、混合器9の周囲の空間は断熱のための真空
層11とされている。
【0017】さらに図5において、内側容器18内にお
ける1Kポット2、混合器9の側方の真空層11中に
は、同軸ケーブル挿入管13および可変コンデンサ操作
軸15が上方から垂直に挿入されている。そして混合器
9の下方直近の位置に共振回路のコイル17が、また混
合器9の側方直近の位置には共振回路の可変コンデンサ
19が配設され、その可変コンデンサ19が前記操作軸
15によって操作されるようになっており、またコイル
17および可変コンデンサ19から伸びる同軸ケーブル
21が前記同軸ケーブル挿入管13を介して外部のコネ
クタ21Aへ導かれている。なお可変コンデンサ操作軸
15は、図示の例では外部上端のツマミ部15Aを操作
して上下動させることによって可変コンデンサ19の容
量を調整し得るように構成されている。なおまた、同軸
ケーブル挿入管13および可変コンデンサ操作軸15、
可変コンデンサ19とそれぞれ対応する位置の1Kポッ
ト2、分留器5、熱交換器8、混合器9との間は、銅等
の熱伝導率が高い材料からなる熱アンカ23A,23
B,23C,23Dによって結合されている。
【0018】以上のような図5に示すNMR分析装置用
希釈冷凍機においては、次のような問題がある。
【0019】先ず第1に、同軸ケーブル挿入管13、可
変コンデンサ操作軸15、可変コンデンサ19が、1K
ポット2、分留器5、熱交換器8、混合器9の並ぶ列
(上下方向の列)に対し側方に配設されるため、希釈冷
凍機の外径(外側容器12の外径)が大きくならざるを
得ず、そのため試料Sに磁場を印加するための超電導マ
グネットMの内径も大きくせざるを得ない問題がある。
すなわち、超電導マグネットMは外側容器12の下部を
取囲むように配設され、その径が小さいほど強い磁場を
試料に印加することができるが、外側容器12の外径が
大きくなれば、それに伴って超電導マグネットMの内径
を大きくせざるを得なくなり、その結果試料Sに印加す
る磁場を強くすることが困難となるとともに、超電導マ
グネットMのコストも高くらざるを得ない。そして上述
のように試料に印加する磁場を強くすることができない
ことは、既に述べた如くNMR分析装置としてその感度
が低くなってしまうことを意味する。
【0020】また第2に、同軸ケーブル挿入管13(同
軸ケーブル21)、可変コンデンサ操作軸15を1Kポ
ット2、分留器5、熱交換器8、混合器9の外側の真空
層11中に挿入されているため、これらの同軸ケーブル
挿入管13(同軸ケーブル21)、可変コンデンサ操作
軸15を介しての外部からの熱侵入が大きくなるという
問題がある。ここで、同軸ケーブル挿入管13や可変コ
ンデンサ操作軸15は熱アンカ23A〜23Dによって
1Kポット2などの冷熱で冷却するように構成してはい
るが、それでも外部からの熱侵入を充分に阻止すること
は極めて困難であり、そのため試料Sの部分を充分に超
低温に冷却保持することが困難とならざるを得なかった
のである。
【0021】したがって従来は、一般的な希釈冷凍機に
おいて共振回路のコンデンサを可変コンデンサとしかつ
その可変コンデンサを混合器直近の位置に配設すること
は、実際上は困難とされていた。そこで一般には、可変
コンデンサを用いずに容量固定のコンデンサ(固定コン
デンサ)を用いて、その固定コンデンサを混合器直近に
配置することが行なわれているが、このように固定コン
デンサを用いれば、共振回路のチューニングが不可能で
あるという根本的な問題があるほか、室温時の容量が判
明していても超低温時には容量が変化してその値が不明
となってしまうという問題がある。
【0022】この発明は以上の事情を背景としてなされ
たもので、共振回路のコンデンサとして可変定量コンデ
ンサを用いながらも、装置外径を小さくしかつ外部から
試料位置への熱侵入を少なくしたNMR分析装置用希釈
冷凍機を提供することを目的とするものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】前述のような課題を解決
するため、請求項1の発明においては、核磁気共鳴分析
に供される試料を冷却保持しかつ試料に印加する高周波
信号の共振回路を組込んだ核磁気共鳴分析装置用希釈冷
凍機において、外側から液体ヘリウムによって冷却され
る有底筒状の内側容器内に上方から垂直に中空な支持管
が挿入され、かつ前記内側容器内における支持管の下端
にプランジャが固定されるとともに、内側容器内におけ
るプランジャから上方へ所定間隔を置いた位置において
支持管の外周上に熱伝導ブロックが固定されて、内側容
器内における熱伝導ブロックよりも下方の空間が、前記
プランジャの上側の分留室とプランジャの下側の混合室
兼試料室とに区分され、かつ前記熱伝導ブロックにはこ
れを上下に貫通する 3He通路が形成され、さらに内側
容器内には上方から 3He供給管が導かれており、その
3He供給管は前記熱伝導ブロックに組込まれた凝縮器
に接続され、また前記分留室内に熱交換器が設けられる
とともにプランジャと内側容器内面との間に熱交換器が
設けられていて、前記凝縮器の出口側は分留室内の熱交
換器、プランジャ位置の熱交換器にその順に接続され、
かつプランジャ位置の熱交換器の下端は前記混合室兼試
料室に導かれていて、その先端には混合室内に 3Heを
吐出する吐出口が形成されており、しかも前記熱伝導ブ
ロックの上方には、 3Heガスを排出するための 3He
排出口が形成されており、さらに前記共振回路がコイル
ルおよび可変コンデンサによって構成されており、その
コイルが前記混合室兼試料室内に配設されるとともに、
可変コンデンサが前記プランジャ内部に配設されてお
り、その可変コンデンサの操作軸が前記支持管内を貫通
して上方外部へ導かれている構成とした。
【0024】このような請求項1の発明のNMR分析装
置用希釈冷凍機においては、超低温を生じる混合室が共
振回路のコイルを備えかつ試料室を兼ねた構成とされ、
また可変コンデンサが混合室兼試料室直上のブランジャ
内に設けられており、かつそのプランジャを支持するよ
うに内側容器の中央に上方から挿入された中空な支持管
内に可変コンデンサ操作軸が挿入されているため、図5
の希釈冷凍機の場合と比較して格段に外径を小さくする
ことができる。また中空支持管は凝縮器(1Kポッ
ト)、分留室、熱交換器を貫通しているため、この中空
支持管はこれらの要素によって充分に冷却されるから、
中空支持管およびそれに挿入されている可変コンデンサ
操作軸を介しての外部からの熱侵入を充分に阻止するこ
とができる。
【0025】また請求項2の発明は、請求項1に記載の
核磁気共鳴分析装置用希釈冷凍機において、前記共振回
路を外部へ電気的に接続するための同軸ケーブルが前記
支持管内を貫通していることを特徴とするものである。
【0026】このような請求項2の発明のNMR分析装
置用希釈冷凍機によれば、共振回路を外部へ電気的に接
続するための同軸ケーブルも支持管内に挿入されている
ため、同軸ケーブルを介しての外部からの熱侵入をも確
実に阻止することができる。
【0027】さらに請求項3の発明は、請求項1に記載
の核磁気共鳴分析装置用希釈冷凍機において、前記可変
コンデンサが、一対の固定電極間に可動電極を配設した
直列コンデンサ構成とされ、かつその可動電極に前記操
作軸が取付けられていることを特徴とするものである。
【0028】このような請求項3の発明のNMR分析装
置用希釈冷凍機においては、操作軸を上下動するだけで
簡単かつ容易に共振回路のチューニングを行なうことが
できる。
【0029】そしてまた請求項4の発明は、請求項1に
記載の核磁気共鳴分析装置用希釈冷凍機において、前記
内側容器内に、その上方から内側容器と同心状に密閉管
が挿入され、その密閉管の管壁下部が前記熱伝導ブロッ
クの外周縁部分に気密に一体的に結合されており、かつ
その密閉管の上部に前記 3He排出口が形成されている
ことを特徴とするものである。
【0030】また請求項5の発明は、請求項1に記載の
核磁気共鳴分析装置用希釈冷凍機において、前記熱伝導
ブロックを上下に貫通する前記 3He通路の下端に、こ
の通路を分留室内へ下方へ延長させる延長パイプが設け
られており、かつこの延長パイプの下端には、分留室内
において下端が開放されかつ周壁部が下方へ向って拡大
する回収カバーが設けられていることを特徴とするもの
である。
【0031】これらの請求項4、請求項5の発明の作用
については、後述する第2実施例の作用として改めて説
明する。
【0032】
【発明の実施の形態】
【0033】
【実施例】図1にこの発明の第1の実施例のNMR分析
装置用希釈冷凍機の全体構成を示す。
【0034】図1において、外側真空断熱層10によっ
て取囲まれた有底円筒状の外側容器12内には冷媒とし
ての液体ヘリウム14が注入されており、またこの外側
容器12の側壁上部には液体ヘリウム減圧口16が設け
られている。外側容器12内の液体ヘリウム14中に
は、有底円筒状の内側容器18が浸漬されている。この
内側容器18の下部(液体ヘリウム14中に浸漬されて
いる部分)の壁部には真空断熱層20が設けられてお
り、また内側容器18の上端近くには、 3He排出口2
9が形成されている。
【0035】さらに内側容器18内の中央位置には、上
方から中空な支持管22が垂直に挿入されており、この
支持管22の下端には、プランジャ24が固定されてい
る。このプランジャ24はその外径が内側容器18の内
径よりも若干小さくなるような円柱体状に作られたもの
であって、下端側には、その周縁部から下方へ円筒状に
延出される下端周壁部24Aが形成されている。また内
側容器18内の下部には液体ヘリウム(後述する液相4
7,49)が注入されており、この液体ヘリウム中に、
前記支持管22によって吊下された状態で前記プランジ
ャ24が浸漬されている。また支持管22の中間の位置
(プランジャ24よりも上方でかつ液面23Aよりも下
方の位置)には、その支持管22が中央位置を上下に貫
通するように銅等の良熱伝導材料からなる熱伝導ブロッ
ク26が固定されている。すなわち支持管22の外周上
に熱伝導ブロック26が固定されていることになる。さ
らに熱伝導ブロック26の偏心位置には、これを上下に
貫通する 3He通路27が形成されている。そして前述
のようなプランジャ24と熱伝導ブロック26の配置に
よって、内側容器18内における熱伝導ブロック26よ
りも下側の部分はプランジャ24の下側(下端周壁部2
4Aによって取囲まれる部分)の混合室兼試料室38
と、プランジャ24の上側でかつ熱伝導ブロック26の
下側の分留室40とに区分されることになる。なおここ
で、プランジャ24の外周面と内側容器18の内周面と
の間には隙間42が存在しており、この隙間42によっ
て混合室38と分留室40とが連通して、分留室40内
に液面47Aが位置している。なおまた、熱伝導ブロッ
ク26は、図示しない銅製バネ部材などを介して内側容
器18の内面に熱的に接触している。
【0036】そしてまた内側容器18内には、上方から
3He供給管28が挿入されている。この 3He供給管
28は、内側容器18内を下方へ導かれて、前述の熱伝
導ブロック26に一体的に組込まれたコイル管状の凝縮
器(コンデンサ)30に接続され、さらにこの凝縮器3
0の下方出側は配管32を介して同じくコイル管状の分
留室熱交換器34に接続されている。なお分留室熱交換
器34は、前記分留室40における液体ヘリウム(液相
47)中に浸漬されている。また分留室熱交換器34の
下方出側は、プランジャ24と内側容器18の内壁面と
の間の隙間42に配設された熱交換器36に接続され、
さらにこの熱交換器36の下端は、前述の混合室38に
導かれて、この混合室38内に 3Heを吐出する吐出口
44が設けられている。なお前述の 3He排出口29と
3He供給管28との間には、内側容器18の外部にお
いて真空ポンプ46が介在されている。
【0037】さらに前記プランジャ24の内部には、可
変コンデンサ19が配設されている。この可変コンデン
サ19は、一対の固定電極19A,19C間に可動電極
19Bを配置してなるものであり、図2に拡大して示す
ように例えば中央の可動電極19Bを垂直な丸棒状に作
るとともに、その左右両側に水平断面が円弧状をなす固
定電極19A,19Cを垂直方向に沿って配設した構成
とされている。このような可変コンデンサ19において
は、一方の固定電極19Aと中央の可動電極19Bとの
間のキャパシタンスと、中央の可動電極19Bと他方の
固定電極19Cとの間のキャパシタンスとを直列に接続
した直列コンデンサ構成となっており、中央の可動電極
19Bを後述する可変コンデンサ操作軸15の上下動に
よって上下方向に位置調整することにより、容量を変え
ることができる。
【0038】前記可変コンデンサ19の可動電極19B
は、前述の中空支持管22内を貫通するように外部上方
から挿入された可変コンデンサ操作軸15の下端に取付
けられている。そして可変コンデンサ操作軸15の上方
外部突出端には、その操作軸15を上下方向へ移動調整
するための操作部15Bが設けられている。この操作部
15Bは、例えば図示しないツマミを回転させてスクリ
ュー機構により操作軸15を上下動させる構成とすれば
良い。
【0039】さらに図1において、プランジャ24の下
側、すなわち混合室兼試料室38内には、コイル17が
配設されている。このコイル17は、前述の可変コンデ
ンサ19と組合されて、試料Sに高周波電場を与えるた
めの共振回路を構成するものであって、プランジャ24
の下面から突出する端子27A〜27Dのうち、端子2
7A,27Dに接続されている。なお前記可変コンデン
サ19の固定電極19A,19Cは端子27A,27B
に接続され、また端子27Bは端子27Cに直結されて
いる。そして端子27C,27Dには、プランジャ24
の内部側から同軸ケーブル21が接続されており、この
同軸ケーブル21は、プランジャ24内から前述の支持
管22内を通って、その支持管22の上方外部から分岐
する分岐部22Aに設けられたコネクタ21Aに接続さ
れている。
【0040】以上の第1の実施例のNMR分析装置用希
釈冷凍機において、外側容器12の内面と内側容器18
の外面との間の空間には前述のように液体ヘリウム(通
常の4He)が注入され、かつ液体ヘリウム減圧口16
からその空間内が減圧されて、1K程度の低温に保持さ
れる。したがってこの部分が図4、図5における1Kポ
ット2に相当し、熱伝導ブロック26を1〜1.3Kに
冷却するに寄与する。一方内側容器18の分留室40内
は、液面47Aが分留室40内の中間に位置するように
4He−10% 3Heからなる液相47が満たされ、一
方混合室38は、100% 3Heの濃厚相と 4He−
6.4% 3Heの希薄相からなる液相49で満たされ
る。このような状態で 3Heが真空ポンプ46によって
3He供給管28を経て凝縮器30に導かれ、熱伝導ブ
ロック26によって 3Heが1.3K程度に冷却されて
液化する。液化された 3Heは、分留室熱交換器34お
よび熱交換器36を経てさらに冷却され、吐出口44か
ら混合室兼試料室38内に吐出される。この混合室兼試
料室38においては、既に図4、図5における混合器9
について述べたように、吐出された 3Heが上側の10
0% 3Heの濃厚相に溶け込み、濃厚相の 3Heの一部
が下側の 4He−6.4% 3Heの希薄相に溶け込む。
このとき、熱吸収が生じて10mKのオーダーの超低温
が得られる。
【0041】一方混合室兼試料室38は分留室40と連
通しているから、混合室兼試料室38内の希薄相中の 3
Heは分留室40に至るが、この分留室40は1K以下
の低温となっているため、 3Heと 4Heの大幅な飽和
蒸気圧の差によって 3Heのみが蒸発し、この気相の 3
Heは熱伝導ブロック26の 3He通路27を通って内
側容器18の上方の空間から 3He排出口29を経て真
空ポンプ46によって排気される。これに伴なって、分
留室40内の液体ヘリウム中の 3He濃度は1%程度に
低くなるから、分留室40の 3He濃度(約1%)と混
合室兼試料室38の希薄相中の 3He濃度(6.3%)
との濃度勾配により、混合室兼試料室38内の希薄相か
3He原子が分離室40へ導かれる。またこれによっ
て混合室兼試料室38内の希薄相中の 3He濃度が低く
なるに伴ない、 3He100%の濃厚相から連続的に 3
Heが希薄相中へ溶け込むことになる。
【0042】このようにして連続的に 3Heが循環さ
れ、かつ混合室兼試料室38における希薄相への 3He
の溶け込みによりその混合室兼試料室38内の温度が連
続的に10mKオーダーの超低温が維持され、試料Sも
10mKオーダーの超低温に保持される。
【0043】そして外側容器12の外側から超電導マグ
ネットMによって混合室兼試料室38内の試料Sに磁場
を印加し、かつコイル17および可変コンデンサ19か
らなる共振回路によってコイル17に生じる高周波電場
を試料Sに与えれば、既に述べたようにナイトシフトあ
るいはケミカルシフトの測定を行なって、磁気共鳴分析
を行なうことができる。そして可変コンデンサ操作軸1
5を上下動させることによって、可変コンデンサ19の
定量を調整し、試料Sに加える高周波の周波数を変化さ
せることができる。
【0044】ここで、可変コンデンサ19はプランジャ
24の内部、すなわち混合室兼試料室38内のコイル1
7の直近の位置に設けられているから、可変コンデンサ
19とコイル17との間の導線は短くて済み、したがっ
て共振回路としてはコンデンサとコイルとの間の導線に
おける浮遊キャパシタンスの影響を受けることが少な
く、高い周波数で共振させることができ、その結果既に
述べたように各シフトを高感度で検出することができ
る。
【0045】さらに内部に可変コンデンサ19が配設さ
れているプランジャ24は混合室兼試料室38の直上に
あって極めて低い温度に維持されるから、その可変コン
デンサ19自体も低温に維持され、そのため熱振動など
の熱的な影響によるノイズを受けることも少ない。そし
てまた可変コンデンサ19およびコイル17からなる共
振回路と外部とを電気的に結ぶ同軸ケーブル21と、可
変コンデンサ操作軸15は内側容器18内の中央位置を
貫通する支持管22内に挿入されており、この支持管2
2は熱伝導ブロック26、分留室40を貫通して先端に
プランジャ24が取付けられているから、支持管22自
体もこれらの部材から充分に冷却され、したがって支持
管22や操作軸15、同軸ケーブル21を介しての外部
からの熱侵入を充分に阻止することができる。
【0046】そしてまた、可変コンデンサ操作軸15お
よび同軸ケーブル21は内側容器18内の中央を貫通す
る支持管22内に挿入されているから、図5に示す従来
の場合のように可変コンデンサ操作軸15および同軸ケ
ーブル21を配設するために内側容器18の径が拡大す
ることがなく、したがって外側容器12の外径も小さく
することができるから、超電導マグネットMの内径も小
さくすることができる。
【0047】なお図1に示される実施例のNMR分析装
置用希釈冷凍機においては、熱伝導ブロック26は既に
述べたように銅等の熱伝導材料からなるバネ部材を介し
て内側容器18の内面に熱的に接触しているが、構造的
には内側容器18の内面との間の少なくとも一部には空
隙41が存在する。ところで液相の 4Heは、1〜1.
3K程度においてはHeIIと称される超流動性を示す
液相となっており、この超流動性によって分留室40内
の液相47中の 4Heは、液面23Aから内側容器18
の内壁面を伝って薄い膜となって上昇し、熱伝導ブロッ
ク26の周囲の部分の前述の空隙41を通り、さらに熱
伝導ブロック26よりも上方へ薄い膜として上昇する。
ここで、分留室40内の液面47Aから内側容器18の
内面伝いに薄膜として超流動ヘリウム薄層が上昇するに
伴なって、次第にその温度は上昇し、超流動性を示さな
くなる臨界温度(約2.17K)となる位置まで薄層が
達することになり、例えば図1における位置Aまで上昇
することになる。
【0048】このように超流動ヘリウムとして液体 4
eが内側容器18の内面伝いに熱伝導ブロック26より
も上方の位置まで上昇すれば、その付近ではある程度温
度が高くなっているため、 4Heの飽和蒸気圧が分留室
40内よりも格段に高くなっており、そのためその内側
容器18内面の超流動 4He薄層から 4Heガスが蒸発
する。この 4Heガスは、分留室40の液面23Aから
蒸発した 3Heに混合され、 3He排出口29から真空
ポンプ46によって 3Heとともに排気・回収されてし
まうことになる。そしてこの場合、真空ポンプ46によ
って回収されるガス中の 3He濃度が低くなってしまう
ことから、真空ポンプ46から再び 3He供給管28を
介して送り込まれるガス中の 3He濃度も下がってしま
い、その結果希釈冷凍による冷却能力が低下し、充分な
超低温が得られなくなってしまうこともある。そこで図
1に示されるNMR分析装置用希釈冷凍機をさらに改良
し、超流動によって分留室内の液面から内側容器の内面
伝いに上昇した 4Heの薄層からの 4Heガスの蒸発に
よる回収ガス中の 3He濃度の低下を防止するように構
成することが望ましく、これが次の図3に示す第2の実
施例のNMR分析装置用希釈冷凍機であり、以下に図3
の第2の実施例を説明する。なお図3において、図1に
示される実施例と同一の要素については同一の符号を付
し、その説明は省略する。
【0049】図3において、内側容器18内の上部に
は、上方から中空管状の密閉管50が挿入されている。
この密閉管50は、内側容器18よりもわずかに小径で
あって、その内側容器18および中空支持管22に対し
同心状となってその支持管22を取囲んでいる。そして
密閉管50の下端部は、熱伝導ブロック26の外周縁部
分に一体的に結合されて、その密閉管50の下端部分と
熱伝導ブロック26との結合部分が気密となっている。
また密閉管50の上部には 3He排気口29が形成され
ており、この 3He排気口29は図1の実施例と同様に
真空ポンプ46に導かれている。そして密閉管50の上
部はフランジ部50Aを介して内側容器18の上端のフ
ランジ部18Aに着脱可能かつ気密に固定される。さら
に密閉管50の上端は蓋体52によって開閉可能に閉じ
られており、この蓋体52を支持管22および 3He供
給管28が上下に貫通している。なおこの密閉管50は
内側容器18に対して挿抜可能とされており、したがっ
て密閉管50は熱伝導ブロック26、支持管22、プラ
ンジャ24、 3He供給管28、凝縮器30、熱交換器
34,36と一体的に内側容器18内に挿入、離脱され
ることになる。
【0050】さらに熱伝導ブロック26には、図1に示
した実施例と同様に上下に貫通する3He通路27が形
成されているが、この 3He通路27の下端には、その
通路を下方へ延長させて分留室40内へ突出する延長パ
イプ54が設けられている。そしてこの延長パイプ54
の下端には傘状に下方へ向って周壁部が拡大する回収カ
バー56が設けられている。この回収カバー56は、そ
の下方開口端(拡大端)が内側容器18の内径よりわず
かに小さくなるように作られ、かつその下方開口端は分
留室40内の液面下にわずかに浸漬されている。
【0051】以上のような第2の実施例において、図1
の第1の実施例と同様に分留室40内の液面47Aから
3Heガスのみが蒸発し、この 3Heガスは回収カバ
ー56、延長パイプ54、 3He通路27、密閉管50
の内側空間をその順に通って、 3He排出口29から真
空ポンプ46によって吸引、排気される。
【0052】ここで、既に述べたように分留室40の液
面47Aからは、液体 4Heの超流動ヘリウムの薄層が
内側容器18の内壁面を伝って上昇し、その超流動ヘリ
ウム薄層は熱伝導ブロック26の上方の位置まで至り、
かつ上部の比較的高温部分において蒸発気化して 4He
ガスが生じるが、熱伝導ブロック26の上方空間は密閉
管50によって取囲まれかつ密閉されているため、その
4Heガスが熱伝導ブロック26の上方空間の 3Heガ
スに直接混合されてしまうことが防止される。したがっ
3He排出口29から真空ポンプ46によって吸引、
排気されるガス中の 3He濃度が低下することが防止さ
れる。
【0053】また、内側容器18の内面で蒸発した 4
eガスは、その一部は降下して分留室40に至るが、分
留室40内の液相47の液面47Aの大部分は回収カバ
ー56によって覆われており、したがって液面47Aか
らの 3Heの蒸発ガスにその4Heが混合されてしまう
ことがなく、ほとんど 3Heガスのみが回収カバー56
内から延長パイプ54、 3He通路27を経て上方へ吸
引されることになる。
【0054】なお実施例では回収カバー56を設けてい
るが、仮にこの回収カバー56を設けていなかった場合
でも、既に述べたように密閉管50の存在によって回収
ガス中の 3Heガス濃度が低下することをかなりの程度
防止することができる。
【0055】なおまた回収カバー56の形状は図3に示
すような断面円弧状のものに限らず、三角錐状のもの、
あるいは短円筒状のものなど、種々のものが考えられ、
要は下端側が拡大していれば良い。またこの回収カバー
56は、前述のようにその下方開口端が分留室40の液
面下に若干浸漬されることが望ましいが、場合によって
は浸漬させずに液面上に位置していても、ある程度の効
果は得ることができる。
【0056】
【発明の効果】この発明のNMR分析装置用希釈冷凍機
によれば、共振回路のコンデンサとして可変コンデンサ
を用いているため、共振回路のチューニングを行なうこ
とができ、しかもその可変コンデンサそれ自体が、コイ
ルの位置する混合室兼試料室直近の極低温部位に配設さ
れていて、コイルとの間の接続導線が短くて済むから、
接続導線による浮遊キャパシタンスの影響を受けるおそ
れが少なく、そのため共振回路の周波数を高くして高い
磁気共鳴周波数でNMR分析を行なうことができ、その
結果高い感度で分析を行なうことができる。さらに、可
変コンデンサ操作軸を挿入した中空の支持軸が、低温の
熱伝導ブロック、分留室、熱交換器の各低温部位を貫通
して混合室兼試料室直上の低温のプランジャに連結され
ているため、操作軸や支持管を介しての外部からの熱侵
入も少なく、そのためコンデンサおよび試料を確実に超
低温に維持して、NMR分析を確実に行なうことができ
る。また可変コンデンサ操作軸を挿入した支持管が、内
側容器の中央に配設されていて、その支持管が熱伝導ブ
ロック、分留室、熱交換器の中央位置を通っているた
め、希釈冷凍機全体の外径を小さくすることができ、そ
の結果希釈冷凍機を取囲んで超電導マグネットを設ける
場合でも、その超電導マグネットの内径を小さくして、
強い磁場を容易に試料に印加することができ、このこと
もNMR分析の感度向上に寄与する。また上述のように
全体の外径を小さくすることによって、コスト低減も図
ることができる。
【0057】また請求項2の発明のNMR分析装置用希
釈冷凍機によれば、コイルと可変コンデンサからなる共
振回路と外部とを電気的に結ぶための同軸ケーブルも内
側容器中央の支持管内に挿入されるため、同軸ケーブル
を介しての外部からの熱侵入も最小限に抑えることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例のNMR分析装置用希
釈冷凍機の全体構成を示す模式図である。
【図2】図1に示される実施例における可変コンデンサ
の部分の構成を具体的に示す斜視図である。
【図3】この発明の第2のNMR分析装置用希釈冷凍機
の全体構成を示す模式図である。
【図4】希釈冷凍機の原理を説明するためのブロック図
である。
【図5】従来の希釈冷凍機をNMR分析装置に適用した
場合の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
15 可変コンデンサ操作軸 17 コイル 18 内側容器 19 可変コンデサ 19A,19C 固定電極 19B 可動電極 21 同軸ケーブル 22 支持管 24 プランジャ 26 熱伝導ブロック 27 3He通路 28 3He供給管 29 3He排出口 30 凝縮器 34 分留室熱交換器 36 熱交換器 38 混合室兼試料室 40 分留室 44 吐出口 46 真空ポンプ 50 密閉管 54 延長パイプ 56 回収カバー S 試料 M 超電導マグネット

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核磁気共鳴分析に供される試料を冷却保
    持しかつ試料に印加する高周波信号の共振回路を組込ん
    だ核磁気共鳴分析装置用希釈冷凍機において:外側から
    液体ヘリウムによって冷却される有底筒状の内側容器内
    に上方から垂直に中空な支持管が挿入され、かつ前記内
    側容器内における支持管の下端にプランジャが固定され
    るとともに、内側容器内におけるプランジャから上方へ
    所定間隔を置いた位置において支持管の外周上に熱伝導
    ブロックが固定されて、内側容器内における熱伝導ブロ
    ックよりも下方の空間が、前記プランジャの上側の分留
    室とプランジャの下側の混合室兼試料室とに区分され、
    かつ前記熱伝導ブロックにはこれを上下に貫通する 3
    e通路が形成され、さらに内側容器内には上方から 3
    e供給管が導かれており、その 3He供給管は前記熱伝
    導ブロックに組込まれた凝縮器に接続され、また前記分
    留室内に熱交換器が設けられるとともにプランジャと内
    側容器内面との間に熱交換器が設けられていて、前記凝
    縮器の出口側は分留室内の熱交換器、プランジャ位置の
    熱交換器にその順に接続され、かつプランジャ位置の熱
    交換器の下端は前記混合室兼試料室に導かれていて、そ
    の先端には混合室内に 3Heを吐出する吐出口が形成さ
    れており、しかも前記熱伝導ブロックの上方には、 3
    eガスを排出するための 3He排出口が形成されてお
    り、さらに前記共振回路がコイルルおよび可変コンデン
    サによって構成されており、そのコイルが前記混合室兼
    試料室内に配設されるとともに、可変コンデンサが前記
    プランジャ内部に配設されており、その可変コンデンサ
    の操作軸が前記支持管内を貫通して上方外部へ導かれて
    いることを特徴とする、核磁気共鳴分析装置用希釈冷凍
    機。
  2. 【請求項2】 前記共振回路を外部へ電気的に接続する
    ための同軸ケーブルが前記支持管内を貫通していること
    を特徴とする、請求項1に記載の核磁気共鳴分析装置用
    希釈冷凍機。
  3. 【請求項3】 前記可変コンデンサが、一対の固定電極
    間に可動電極を配設した直列コンデンサ構成とされ、か
    つその可動電極に前記操作軸が取付けられていることを
    特徴とする、請求項1に記載の核磁気共鳴分析装置用希
    釈冷凍機。
  4. 【請求項4】 前記内側容器内に、その上方から内側容
    器と同心状に密閉管が挿入され、その密閉管の管壁下部
    が前記熱伝導ブロックの外周縁部分に気密に一体的に結
    合されており、かつその密閉管の上部に前記 3He排出
    口が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載
    の核磁気共鳴分析装置用希釈冷凍機。
  5. 【請求項5】 前記熱伝導ブロックを上下に貫通する前
    3He通路の下端に、この通路を分留室内へ下方へ延
    長させる延長パイプが設けられており、かつこの延長パ
    イプの下端には、分留室内において下端が開放されかつ
    周壁部が下方へ向って拡大する回収カバーが設けられて
    いることを特徴とする、請求項1に記載の核磁気共鳴分
    析装置用希釈冷凍機。
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