JP2000027100A - パルプモウルド成形品の製造方法 - Google Patents

パルプモウルド成形品の製造方法

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JP2000027100A
JP2000027100A JP10196065A JP19606598A JP2000027100A JP 2000027100 A JP2000027100 A JP 2000027100A JP 10196065 A JP10196065 A JP 10196065A JP 19606598 A JP19606598 A JP 19606598A JP 2000027100 A JP2000027100 A JP 2000027100A
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pulp
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molded article
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Hisanori Yagi
寿則 八木
Mitsuru Shimomura
充 下村
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】パルプモウルド成形品を製造する際、短時間で
乾燥できしかも水蒸気爆発が起こらないパルプモウルド
成形品の製造方法を提供する。 【解決手段】パルプスラリーから脱水して湿潤成形品を
作製し、該湿潤成形品を一対のプレス用型に挟み加熱プ
レスするパルプモウルド成形品の製造方法において、該
一対のプレス用型の少なくとも対向する平坦部間のクリ
アランスを加熱プレス中に変化させるパルプモウルド成
形品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、古紙パルプ、バー
ジンパルプなどのパルプ材のパルプスラリーから湿式法
により包装用緩衝材などのモウルド製品を製造する、い
わゆるパルプモウルド成形品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】家庭電化製品や精密機器あるいは食品の
包装用緩衝材として、発泡スチロール素材のものやパル
プモウルド成形品などが用いられている。このうちパル
プモウルド成形品は、主として小型電気製品の包装や卵
などの食品包装に用いられており、近年、環境に与える
影響から発泡スチロールに代わる緩衝材の素材として特
に注目されている。
【0003】パルプモウルド成形品は、古紙パルプなど
を原料として水中に分散したのち、真空吸引により脱水
し、パルプ成分を抄き取った後、該パルプ成分から吸引
脱水して所定の形状の湿潤成形品を形成する抄造成形工
程の後、熱により乾燥する乾燥工程を経て製造される。
【0004】乾燥方式としては、湿潤成形品を抄き型
から取り外したのち乾燥炉に導入して乾燥させる方法、
湿潤成形品を抄き型から取り外したのち予備乾燥炉に
導入して乾燥させた上で、再び雄雌が係合し合う非通気
性の成形型に導入して加熱、加圧乾燥することにより最
終製品を得る方法、湿潤成形品を型締めして乾燥成形
空間を形成し、該乾燥空間から湿潤成形品に残留する水
分や蒸気を逃がすための排出孔がプレス面に設けられた
雄雌一対のプレス用型により加熱プレスして乾燥する方
法がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
の、乾燥炉で熱風等により乾燥する方法においては、高
い含水率の成形品を束縛のない状態で乾燥するため、乾
燥後に成形品に大きな歪みが生じ、緩衝材や包装トレー
として使用した場合など、製品を並べる際にきれいに揃
わなかつたり、外観が不規則なため自動包装で扱えない
などの不具合があった。の脱水後の湿潤成形品を一旦
予備乾燥炉に入れてからもう一度雄雌の対向する加熱プ
レス用型に導入して加熱乾燥する方法は、前記予備乾燥
炉のなかで生じた形状の歪みを完全に取り去ることがで
きず、寸法精度の面で不具合が多かった。の加熱プレ
ス用型のみを用いる方法においては、成形品の変形を伴
うという不具合はないが、高温でプレスすると水蒸気爆
発が発生するためにプレス温度を下げねばならず、その
ため乾燥に時間がかかり生産効率が大幅に低下した。水
蒸気爆発とは、成形品のパルプ層内で発生した水蒸気が
パルプ層を破壊して外部に放出される現象であり、水蒸
気量が多いか、水蒸気の逃げ場がない場合に内圧が上が
って発生しやすくなる。このような状況では、パルプ繊
維間の不連続な水分が、連続した水膜を形成し、紙層破
壊させながら紙層強度の弱い部分で破裂現象を起こすも
のである。
【0006】この水蒸気爆発の対策として実施された水
蒸気排出孔は、単に複数の貫通孔を等間隔にプレス用型
に穿孔しただけのものである。この水蒸気排出孔の径が
小さすぎると水分や水蒸気の抜けが悪く乾燥効率が低下
する。逆に排出孔の径を大きくすると水蒸気爆発は起こ
りにくくなるが、加熱プレスの際に成形品の表面に付着
した完全に定着していない生乾きのパルプ成分等が排出
孔に侵入して目詰まりが発生する。このため最適な孔径
を設定しなくてはならないが、複雑な形状の成形品を造
る場合には、孔径と孔分布を設定するために試行錯誤の
作業としてプレス用型をいくつも作製せねばならずコス
ト高になるなどの不具合があった。そこで、本発明で
は、成形品の変形が最も少ないの方法において、短時
間で乾燥でき、しかも水蒸気爆発が起こらない方法を提
案することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、以下の方法を行う。 1.パルプスラリーから脱水して湿潤成形品を作製し、
該湿潤成形品を一対のプレス用型に挟み加熱プレスする
パルプモウルド成形品の製造方法において、該一対のプ
レス用型の少なくとも対向する平坦部間のクリアランス
を加熱プレス中に変化させることを特徴とするパルプモ
ウルド成形品の製造方法。
【0008】上記第1の発明は、以下の2つの方法をと
ることが望ましい。 2.パルプモウルド成形品の前記平坦部間に位置する部
分のプレス率D(%)が下記の(1)式を満たすように
クリアランスを制御して該成形品の水分を65重量%以
下とし、しかる後にプレスすることを特徴とするパルプ
モウルド成形品の製造方法。 (1)式:D<100−0.25×T 但し、上記(1)式において、Tは加熱温度(℃)、D
は下記(2)式で定義されるプレス率(%)であり、T
は150℃〜250℃である。 (2)式:D=100×(h0−C)/h0 但し、上記(2)式において、h0は前記対向する平坦
部に挟まれる湿潤成形品の加熱プレス前の厚さ、Cは対
向する平坦部間のクリアランスである。
【0009】3.パルプモウルド成形品の前記平坦部間
に位置する部分のプレス率D(%)が下記の(1)式を
常に満たすようにクリアランスを制御することを特徴と
するパルプモウルド成形品の製造方法。 (1)式:D<100−0.25×T 但し、上記(1)式において、Tは加熱温度(℃)、D
は下記(2)式で定義されるプレス率(%)であり、T
は150℃〜250℃である。 (2)式:D=100×(h0−C)/h0 但し、上記(2)式において、h0は前記対向する平坦
部に挟まれる湿潤成形品の加熱プレス前の厚さ、Cは対
向する平坦部間のクリアランスでありh0に等しいか又
はh0より小さい。
【0010】また、上記の発明は、いずれも以下に述べ
た方法で行うのがさらに望ましい。 4.一対のプレス用型の対向する平坦部が加熱プレス時
に湿潤成形品に最初に接触することを特徴とするパルプ
モウルド成形品の製造方法。
【0011】本発明におけるパルプとは、通常の製紙に
用いられる木材パルプ、古紙パルプの他、合成繊維、無
機繊維でも良く、またこれらを混合したものでも良い。
これらに、おがくず、もみがら、稲藁のような固形物を
含んでも良い。本発明でパルプスラリーから湿潤成形品
を製造する工程は、公知の方法が採用できる。
【0012】本発明における一対の加熱プレス用型と
は、凸状で成形品の内容積部に対応する形状の雄型と、
凹状で成形品の外形に対応する形状の雌型である。前記
一対のプレス用型は上下方向に少なくとも片方の型が動
くことにより成形品をプレスすることができる。以下説
明の便宜上、凸状の型を下型とし、凹状の型を上型と
し、下型に湿潤成形品をはめ込み、上型が下方に移動す
ることによりプレスする方式で説明する。本発明が対象
とする成形品は、プレス方向と直角な平坦な面の部分を
少なくとも一カ所有するものである。平坦な面とは、例
えば成形品がカップ状であれば、カップの底面のことで
ある。そして、一対のプレス用型は、成形品の平坦な面
をプレスする平坦部を各々有する。これが本発明におけ
る対向する一対の平坦部である。本発明は、プレス用型
の平坦部間のクリアランスを成形品の水分又は厚さの変
化に対応して制御することにより達成される。本発明で
は、「加熱プレス中にクリアランスを変化させる」こと
が特徴であるが、湿潤成形品が型の間に挟まれた状態で
加熱のみを行い、続いて、クリアランスを狭めてプレス
する方法がその一つである。また、加熱とプレスを同時
に行い、さらにクリアランスを狭めてプレスする方法も
ある。また、一定速度で最終プレス率までプレスしてし
まう方法もある。さらに、本発明においては、加熱プレ
ス時に一対のプレス用型の対向する平坦部が該湿潤成形
品に最初に接触することが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づいて説
明する。本発明の製造方法は、パルプモウルド抄造成形
工程とプレス乾燥工程からなる。図1は本発明の製造工
程の概念を示す。また、図2は加熱プレス乾燥型を示
す。
【0014】パルプモウルド抄造成形工程は、パルプス
ラリー吸引工程1と、形成された含水成形品をさらに脱
水する工程2からなる。この成形品を成形品形状に対応
する取り型を用い吸引しながら抄き型から取り外し、加
熱プレス用型に移動させる。抄き型は濾水性ならびに通
気性を有し、パルプスラリーを負圧下で吸引脱水し、型
の表面に含水成形品を形成させる。この含水成形品を抄
き型から取り外すには、前記吸引を停止、さらに圧力空
気が吹き出すことによって行う。取り型も同様に通気孔
を有し、吸引しながら抄き型から脱水された成形品を受
けとる。また、抄き型で抄きとられた高い含水率の含水
成形品は、脱水工程を経て取り型に移し替えられる。こ
の時点の成形品の含水率は75%程度になる。この状態
の成形品を本発明においては「湿潤成形品」とする。
【0015】各工程をさらに詳述すると、抄造成形工程
のパルプスラリー吸引工程に用いる抄き型には空気や水
が透過する微細な穴が多数設けられており、一般には網
状であることが好ましい。その孔径はパルプスラリーの
通過を防止するために普通0.5ミリから2.0ミリで
あるのが好ましい。孔径が大きすぎると孔を通過するパ
ルプ成分が多くなってしまい当該箇所の成形品の形成に
支障を来す。一方、孔が小さすぎると孔の目詰まりが発
生しやすく水分の透過が妨げられる。また、その材質は
金属であることが好ましい。金属としては、例えばアル
ミニウム、ニッケルなどが挙げられる。
【0016】この抄き型が網状のものから構成される場
合には、その変形を防止する目的で成形品の形状に対応
した形状の金属ブロックが設置される。この金属ブロッ
クの壁面や上面には多数の貫通孔が設けられており、こ
の貫通孔を通してパルプスラリー中のパルプ成分のみ上
記網型に吸引される。この金属ブロックの孔の径は吸引
を助けるだけのものであるから、網型の孔径より大きく
しても良い。さらに、抄造工程及び脱水工程の全工程に
わたり、抄き型には型全体を吸引するためのポンプを必
要に応じて設置し、真空吸引して抄き型全面を減圧条件
にすることにより含水成形品を形成する。
【0017】次に含水成形品を取り型に転移させる。取
り型は一般にガラス繊維を混入したエポキシ樹脂により
下型に略対応するよう成形したものである。また、この
取り型は通気性を有するので、取り型の背面から吸引す
ることにより抄き型より成形品を取り出すことができ
る。
【0018】抄造成形工程で取り型に転移させた湿潤成
形品は、プレス乾燥工程に送られる。加熱プレス用型は
湿潤成形品の内面形状を有する加熱プレス下型と上型の
雄雌形状一対からなる。前記加熱プレス用型の材質とし
ては、アルミニウム、アルミニウム系合金、黄銅、鉄、
ステンレス鋼、セラミックなど公知のものが使用でき
る。中でもアルミブロックを削りだして成形したもの
が、製造適性、価格、重量などの点で優れている。
【0019】本発明者は、この加熱プレス用型で乾燥す
る場合について鋭意検討し、以下の様な現象を見いだし
本発明に至った。抄造成形工程で得られた湿潤成形品の
含有水分は、およそ75%程度である。この湿潤成形品
を含水率10〜5%に乾燥することによって、最終製品
であるパルプモウルド成形品が得られる。ところで、湿
潤成形品を乾燥させたときの乾燥時間と水分含有量の関
係を図示すると図3のようになる。即ち、乾燥の初期段
階においては傾斜α、乾燥の後期段階においては傾斜β
と、異なる傾斜を示すことが判る。これは乾燥初期段階
と後期段階では、乾燥速度が異なっていることを示す。
成形品が含有する水分には、パルプ繊維と結合していな
い自由に動ける水(本発明においては以降自由水とい
う)と、パルプ繊維と水素結合又は分子間力で結合して
いる水(本発明では以降束縛水という)の二種類が存在
するので乾燥初期段階における乾燥速度は、自由水の乾
燥速度を示し、乾燥後期段階の乾燥速度は乾燥速度を示
すと考えられる。また、初期と後期の傾きの差、即ち乾
燥速度の差は、束縛水の乾燥速度が自由水に比較して非
常に遅く、従って束縛水の乾燥速度を向上させることが
成形品全体の乾燥速度の向上に有効であることを意味す
る。
【0020】また、加熱と同時に加圧して乾燥する方法
では、繊維間の自由水を押し出しながら加熱するため、
加熱のみの乾燥より乾燥時間を短縮することができた。
また、加熱と同時に加圧することによって、束縛水の乾
燥速度も向上することが確認されている。しかし、この
ような加熱と同時に加圧を行う乾燥方法では、乾燥速度
を上げるために加熱温度を220℃程度の高温にした場
合や、加圧が強すぎた場合など、成形品から発生する水
蒸気がうまく加熱プレス用型外に抜けられない場合に水
蒸気爆発が発生し、その結果、成形品の形状が破壊され
るという問題がしばしば発生した。このような水蒸気爆
発を回避するためには、加熱温度を180℃程度の比較
的低温にしなければならなかった。
【0021】本発明は、これらの問題を検討した結果、
加熱プレス乾燥の際に、湿潤成形品の紙厚と加熱プレス
用型の対向する平坦部間に形成されたクリアランスとの
関係を特定の条件に設定することによって、乾燥速度を
向上させると同時に水蒸気爆発を防止するものである。
【0022】以下、本発明における第3の発明の方法に
ついて説明する。この方法は、上下両型の平坦部とそれ
に挟まれる成形品の部分とが常に接触した状態で、平坦
部でプレスされている部分の成形品の厚さと平坦部間の
クリアランスを特定の関係に制御することにより水蒸気
爆発を防止する方法である。湿潤成形品はおおむね75
%の水分を含むが、水蒸気爆発が発生するのは温度が2
00度の場合、プレス率(D%)を50%以下にした場
合であった。ここでプレス率(D%)は下記の(2)式
で定義される。 (2)式:D=100×(h0−C)/h0 但し、上記(2)式において、h0は前記対向する平坦
部に挟まれる湿潤成形品の加熱プレス前の厚さ、Cは対
向する平坦部間のクリアランスであり、h0に等しいか
又はh0より小さい。
【0023】一方、乾燥の効率を最大限保持するには、
加熱プレス用型と湿潤成形品との間隙はゼロであるのが
好ましい。この両者に間隙があるとその部分は熱伝導が
悪くなり乾燥効率の大幅な低下を来す。このため湿潤成
形品の紙厚の変化に追従して加熱プレス用型相互のクリ
アランスが変化するように制御するのが最も好ましい。
また、本発明により製造する成形品の形状は、クリアラ
ンスの制御がプレス方向、即ち通常は上下方向にしか実
施できないことから、急な立ち上がり部分が少ない形状
が好ましい。また、そのような部分がある形状の成形品
を成形する場合は、加熱プレス時に、クリアランスが制
御できる成形品の平坦な部分に加熱プレス用型がまず接
触してプレス乾燥され、その他の部分がその後で接触す
るか、もしくは接触しないまま乾燥できるようにクリア
ランスが設計された加熱プレス用型を用いるのが水蒸気
爆発の防止の観点からより好ましい。プレス率は、加熱
温度との関係で下記の(1)式を常に満たすようにクリ
アランスを制御する。 (1)式:D<100−0.25×T 但し、上記(1)式において、Tは加熱温度(℃)、T
は100℃〜400℃である。
【0024】次に、本発明における第2の発明の方法に
ついて説明する。この方法は上型平坦部と湿潤成形品を
非接触又は接触した状態、もしくは軽度にプレスされた
状態で水分を蒸発させ、しかる後に望みの厚さまで最終
的にプレスする方法である。軽度のプレスとは下記の
(1)式を満たす範囲である。 (1)式:D<100−0.25×T 但し、上記(1)式において、Tは加熱温度(℃)、D
は下記(2)式で定義されるプレス率(%)であり、T
は100℃〜400℃である。 (2)式:D=100×(h0−C)/h0 但し、上記(2)式において、h0は前記対向する平坦
部に挟まれる湿潤成形品の加熱プレス前の厚さ、Cは対
向する平坦部間のクリアランスである。Cがh0である
場合、プレス率はゼロで単に接触している状態である。
また、Cがh0より大きい場合は非接触の場合で、いず
れの場合も(2)式より求められるDは(1)式を満た
している。
【0025】上記プレス率は、湿潤成形品をプレスして
も、成形品の表面に水膜が形成されない条件を示すもの
であり、この関係式で示されるプレス率以下であれば、
どのような温度で加熱しても水蒸気爆発が発生しない。
さらに、加熱プレスする上型、下型の少なくとも平坦部
のクリアランスが、湿潤成形品に対して最初にプレス率
がマイナス値となるクリアランスからプレス率が50%
に変化するよう設定して数秒保持し、その湿潤成形品の
含水率を低下させたのち、さらに仕上がり品が望みの密
度になるように最終的なプレスを行うことによっても、
水蒸気爆発を防止しながら乾燥することができる。この
とき成形品の含水率が65%以下とすれば、成形品から
しみ出した自由水が水膜を形成することがないので、水
蒸気爆発は発生しない。
【0026】以上、第2の発明、第3の発明のいずれに
おいても、加熱プレスする温度は条件式を満たす限りに
おいて高温の方が効率良い。さらに水蒸気爆発を防ぐ方
法として、上下の加熱成形型によって成形品の平坦な部
分のみをプレスし、平坦でない部分には直接接触しない
ように成形した加熱成形型を用いて加熱プレスすること
もできる。また、加熱プレス用型のみで成形品を乾燥す
ることも可能であるが、加熱プレス用型で乾燥させた成
形品を、さらに熱風乾燥炉等の第二の加熱乾燥炉に導入
して最終的に乾燥させることもできる。
【0027】型を動作させる方法としては、油圧プレ
ス、エアーシリンダー、カム機構のいずれの方法も可能
である。本発明でクリアランスを変化させる具体的な方
式としては、油圧あるいはエアー圧による場合、水分又
は成形品厚さに応じて、コンピューター制御により圧力
を制御しても良いし、ストッパーの位置を制御しても良
い。カム機構による場合、予め設計されたカム形状と型
の下降速度により制御することが可能である。
【0028】本発明の加熱プレス用型はヒーターにより
加熱する手段を有する。さらにこれら乾燥型には貫通孔
を形成して、余剰水分を排出したり、水蒸気を逃がして
も良い。この場合、これら排出孔全体を共通の排気口で
もって構成し吸引して強制的に吸引排出する機構を付与
しても良い。この場合、排気孔径は0.1〜2ミリ程度
のものを0.5〜10ミリ程度の間隔で形成することが
好ましい。プレス用型に設ける加熱手段としては該プレ
ス用型に電熱加熱装置を設け加熱することが一般的であ
るが、プレス用型に高周波発信器を接続して、高周波を
印加して乾燥する手段もある。また、電熱加熱と高周波
加熱を併用することもできる。加熱プレス工程が終了し
た時点での成形品の水分は、加熱プレスのみで成形品を
乾燥させる場合には5%〜10%であるのが好ましい。
5%以下であると加熱乾燥に過剰の熱量が使われたこと
になり好ましくない。また、加熱プレス工程後、さらに
成形品を乾燥炉に導入して二次乾燥させる場合には、水
分量は15〜35%であるのが好ましい。15%以下の
場合は、加熱に必要以上の熱量が使われたことになり好
ましくない。一方35%以上の場合は、成形品中に自由
水がまだ残存している状態と考えられ、成形品を加熱乾
燥炉等で乾燥する際成形品に歪みが生じるなどの不具合
が発生する。
【0029】
【実施例】<実施例1>アルミ鋳造品の型枠に40メッ
シュの金網を張設し、所定の形状の抄き型を作製した。
この型枠に40メッシュの金網を張設した。この抄き型
を用い濃度1%の古紙パルプスラリーを負圧600mm
Hgで吸引して厚さ3.5mmの含水成形品を抄きとっ
た。この含水成形品を上にして負圧を解除し、この含水
成形品の形状に対応してエポキシ樹脂で作製された取り
型を成形品に重ね、負圧600mmHgで脱水吸引して
取り型に移した。この時点で湿潤成形品の水分は73%
であった。次に成形品に対応した形状の200℃に加熱
したアルミ鋳造品からなる雄型(加熱プレス用下型)
に、湿潤成形品を移した後、取り型と同様の形状の20
0℃に加熱した雌型(加熱プレス用上型)を上からプレ
ス率40%となるよう2.1mmのクリアランスに設定
し、10秒間保持して含有水分率を62%まで下げた。
続いて、上型を等速で下降させ、最終プレス率60%と
なるクリアランス1.4mmとし、30秒間プレスし
た。
【0030】<実施例2>プレスする際に雌型の平坦部
が最初に湿潤成形品に接触するように設計した加熱プレ
ス用型によって、温度220℃、プレス率が最初から2
0%になるようにクリアランスを固定して加熱プレスし
た以外は実施例1と同様にして加熱プレスした。
【0031】<実施例3>加熱プレス用型の温度を24
0℃、プレス率を0%で5秒保持して水分を63%まで
低下させたのち最終プレス率30%とした以外は実施例
1と同様にして加熱プレスした。
【0032】<実施例4>加熱プレス用型の温度を24
0℃、プレス率を0%で5秒保持して水分を63%まで
低下させたのち最終プレス率60%とした以外は実施例
1と同様にして加熱プレスした。
【0033】<比較例1>加熱プレス用型の温度を24
0℃、プレス率を50%とした以外は実施例2と同様に
して加熱プレスした。
【0034】<比較例2>加熱プレス用型の温度を18
0℃、プレス率を−20%とした以外は実施例2と同様
にして加熱プレスした。
【0035】<比較例3>加熱プレス用型の温度を25
0℃、プレス率を−50%とした以外は実施例2と同様
にして加熱プレスした。
【0036】実施例、比較例の結果を以下の表1に示
す。但し水蒸気爆発の有無については、成形時に水蒸気
爆発が発生しなかったものを○、発生したものを×とし
た。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明のパルプモウルド成形品の製造法
によれば、プレス用型の平坦部間のクリアランスを成形
品の水分又は厚さの変化に対応して制御することによ
り、変形がない寸法精度の良好なパルプモウルド成形品
を、水蒸気爆発を防止しつつ、生産効率良く製造するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の工程を示す概略図である。
【図2】本発明の乾燥工程の一つである加熱プレス装置
の断面図である。
【図3】パルプモウルド成形品の乾燥時間と水分量の関
係を示す図である。
【符号の説明】
1.加熱プレス下型 2.加熱プレス上型 3.下型の加熱熱源 4.上型の加熱熱源 5.パルプ成形品 6.排気孔

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パルプスラリーから脱水して湿潤成形品を
    作製し、該湿潤成形品を一対のプレス用型に挟み加熱プ
    レスするパルプモウルド成形品の製造方法において、該
    一対のプレス用型の少なくとも対向する平坦部間のクリ
    アランスを加熱プレス中に変化させることを特徴とする
    パルプモウルド成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】パルプモウルド成形品の前記平坦部間に位
    置する部分のプレス率D(%)が下記の(1)式を満た
    すようにクリアランスを制御して該成形品の水分を65
    重量%以下とし、しかる後にプレスすることを特徴とす
    る請求項1記載のパルプモウルド成形品の製造方法。 (1)式:D<100−0.25×T 但し、上記(1)式において、Tは加熱温度(℃)、D
    は下記(2)式で定義されるプレス率(%)であり、T
    は150℃〜250℃である。 (2)式:D=100×(h0−C)/h0 但し、上記(2)式において、h0は前記対向する平坦
    部に挟まれる湿潤成形品の加熱プレス前の厚さ、Cは対
    向する平坦部間のクリアランスである。
  3. 【請求項3】パルプモウルド成形品の前記平坦部間に位
    置する部分のプレス率D(%)が下記の(1)式を常に
    満たすようにクリアランスを制御することを特徴とする
    請求項1記載のパルプモウルド成形品の製造方法。 (1)式:D<100−0.25×T 但し、上記(1)式において、Tは加熱温度(℃)、D
    は下記(2)式で定義されるプレス率(%)であり、T
    は150℃〜250℃である。 (2)式:D=100×(h0−C)/h0 但し、上記(2)式において、h0は前記対向する平坦
    部に挟まれる湿潤成形品の加熱プレス前の厚さ、Cは対
    向する平坦部間のクリアランスでありh0に等しいか又
    はh0より小さい。
  4. 【請求項4】一対のプレス用型の対向する平坦部が加熱
    プレス時に湿潤成形品に最初に接触することを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載のパルプモウルド成形
    品の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
SE2251424A1 (en) * 2022-07-08 2024-01-09 Additive Innovation And Mfg Sweden Ab A tool for thermoforming a wet-molded fiber product

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