JP2000026516A - 共役ジエンの重合における有機亜鉛及び希土類触媒系 - Google Patents

共役ジエンの重合における有機亜鉛及び希土類触媒系

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリブタジエンのポリマーセメント粘度を減
少させ、重合速度又は得られたポリマーの微細構造に対
して悪影響を与えることのない希土類触媒を使用する共
役ジエン重合における触媒系の提供。 【解決手段】 共役ジエンの重合に有用な組成物であっ
て、触媒的に有効な量の a)希土類元素を含んでなる化合物 b)有機マグネシウム化合物、及び c)有機亜鉛化合物 但し、該有機亜鉛化合物の該希土類元素を含んでなる化
合物に対する比率が少なくとも3:1である、を含んで
なる組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はブタジエンの希土類触媒
を用いた重合(rare earth catalyz
ed polymerization)におけるポリマ
ーセメント(cement)の粘度を減少するためのジ
エチル亜鉛の使用に関する。
【0002】
【従来技術】ポリ共役ジエンの合成には幅広い問題点が
あり、特にポリブタジエンの合成においては、ポリマー
生成物におけるポリマーセメントの粘度の減少、反応マ
ス(reaction mass)におけるゲル生成の
抑制、そしてポリマー生成物の幅広い重量分布の減少を
含む問題点が存在する。
【0003】共役ジエンモノマーの重合のための希土類
化合物を含む様々な触媒系の使用について開示がなされ
てきている。このような開示の例としては、(1)Ma
zzei A Makromol, Chem. Su
ppl.461頁(1981年);(2)Wiite
J., Angew.Makromol. Chem.
94 119(1981年);(3)Shen Ts
e−Chuan他、J.Pol.Sci. Poly
m. Chem. Ed.18 3345(1980
年);(4)Marwede G.及びSylvest
er G., Trans. 第22回合成ゴム製造者
国際年次会議、マドリッドペーパーIII−3(198
1年)等がある。このような触媒系は2ないし3の成分
を有する。例えばランタノイドアルキル、アルコキシド
または塩(例えば、ネオジムトリカルボキシレート)と
有機アルミニウム化合物及び必要によりルイス酸であ
る。共役ジエンの重合に使用される場合、それらはシス
異性体を高い含有量で有する(例えば、ポリブタジエン
において98%で、ポリイソプレンでは94%)生成物
を産出する。
【0004】ジエチル亜鉛(以下、Et2Znという)
は、J.Boorによる「チーグラー・ナッタ触媒及び
重合」1979年、375頁に記載されるようにチーグ
ラー・ナッタ重合における連鎖移動剤としてよく知られ
ている。ジエチル亜鉛はまたH. HseihのJ.
Polym.Sci., Polym. Chem.E
d.,第14巻379−386頁1976年、及びde
Zarauxに対する米国特許第4129705号及
び第4092268号に記載されるようにBuLi及び
バリウム触媒を用いたブタジエンの重合に使用されてき
た。Takeshiに対する欧州特許出願第02345
12号には、Et2Znは、希土類触媒を使用するブタ
ジエンの重合において触媒系の第3の必須ではない触媒
成分として使用することができることが教示されてい
る。しかしながら、Takeshiの特許にはEt2
nが重合の粘度を減少させるために使用することができ
ることは開示されていない。
【0005】かくして、合成の間ポリブタジエンの分子
量を変化させる、特にそれらの合成の間ポリブタジエン
のポリマーセメント粘度を減少させる必要が長い間実感
として存在した。本発明は重合速度又は得られたポリマ
ーの微細構構造に対して検知可能な影響を与えることな
く前述のすべての問題点を解決せんとするものである。
【0006】
【本発明の目的】本発明の目的はブタジエンの重合のた
めの3成分触媒系を提供するものである。
【0007】より特定すると、本発明の目的は、ブタジ
エンの重合のための触媒系の一次的な(primar
y)希土類有機塩及びジアルキルマグネシウム成分を増
強するために有機亜鉛成分、例えばEt2Znを提供す
るものである。
【0008】さらにより限定的には、該触媒系に第3の
有機亜鉛成分を加えた直接で主たる結果として、重合反
応マス(polymerization reacti
onmass)のポリマーセメント粘度を実質的に減少
させることが本発明の第一の目的である。
【0009】さらに、該触媒系に第3の有機亜鉛成分を
加えた直接で主たる結果として、一次的な(prima
ry)希土類有機酸塩及びジアルキルマグネシウム成分
が触媒的に有効な量の存在する下で、ブタジエンの高温
重合の間ゲル生成を実質的に抑制し、そして反応マスの
分子量分布を実質的に減少させることも本願発明の目的
である。
【0010】さらに、重合速度に実質的に影響を与える
ことなく、そして得られたポリブタジエンポリマー生成
物の微細構造(microstructure)に悪影
響を与えることなく、ブタジエンの高温重合における一
次的な希土類有機酸塩及びジアルキルマグネシウム成分
のそれぞれの触媒的に有効な量に対して触媒的に実質的
有効量の有機亜鉛を加えることも本願発明の目的であ
る。
【0011】最後に、希土類金属又は希土類金属の錯体
/ジアルキルマグネシウム及び有機亜鉛成分に基く触媒
系を提供することが本願発明の主たる目的である。
【0012】
【本願発明の詳細な説明】本願発明は、共役ジエンの単
独重合又は一つ又はそれ以上の他の共役ジエンと共役ジ
エンとの共重合のための3成分触媒であって、(a)希
土類金属の塩又は希土類金属の錯体(b)有機マグネシ
ウム化合物、及び(c)有機亜鉛を含んでなる触媒(こ
こで成分(c)の成分(a)に対するモル比は少なくと
も3:1であり、そして好ましくは5:1ないし20:
1の範囲である、)及び前述のごとく共役ジエンの重合
におけるこの触媒の使用を含む。
【0013】本願発明は共役ジエンポリマー、特にポリ
ブタジエンの高温重合において、ポリマーセメント粘度
を実質的に減少させるか、または分子量分布を実質的に
減少させるために触媒系への有機亜鉛の添加を利用す
る。このようなポリブタジエンは、ポリスチレンのよう
な高衝撃ポリマーの様々な物性、例えば衝撃強さを改善
するための配合剤として適する。
【0014】本願発明の企図する希土類触媒は、通常共
役ジエンの重合に使用されるランタニド触媒であり、そ
れは、脂肪族炭化水素。脂環式炭化水素及び芳香族炭化
水素、好ましくはヘキサンのような溶媒に添加された場
合、粘稠な(viscous)またはゼラチン状の(g
elatinous)均一な溶液を生成する。
【0015】触媒の成分(a)の希土類元素は原子番号
57(ランタン)ないし71(ルテチウム)のいずれか
の原子番号を有するいずれでもよい。しかしながら、こ
れらのある特定の元素の重合活性、例えばサマリウム又
はユーロピウムのそれは低いことが知られている。従っ
て、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、ガ
ドリニウム、テルビウム又はジスプロシウムが好まし
い。二つ又はそれ以上の希土類元素の化合物を使用して
もよい。ランタン、ネオジム又はジジミウム(didy
mium)(これは約72%のネオジム、20%のラン
タン及び8%のプラセオジムを含有する希土類元素の混
合物である)が好ましい。好ましくは成分(a)は炭化
水素重合媒体、例えばカルボキシレート、アルコキシド
及びジケトン類に可溶である。成分(a)として使用さ
れる化合物の例としてはジジミウムバーサテート(di
dymium versatate)(シェル化学から
市販されているC10モノカルボン酸の高度に分枝した
異性体の混合物からなる合成された酸であるバーサチン
酸(versatic acid)からの誘導体)、プ
ラセオジム(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−
ヘプタンジオン)を挙げることができる。ランタン、ジ
ジミウム及び特にネオジムバーサテートが、その容易な
溶解性、調製の容易さ及び安定性の点で好ましい。開示
された希土類触媒のネオジム種が特に好ましいが、本願
発明は、広く希土類元素、即ち原子番号57ないし71
を含む原子番号を有する元素の化合物を含有する触媒系
の存在下で行われるブタジエンの重合に関する。
【0016】本願発明の希土類触媒は、原子番号57な
いし71を有するランタニド系列(series of
lanthanide)に属する金属のいずれの錯体
でよく、そこではリガンドは直接に金属と結合してお
り、そして一価でそして一座(monodentat
e)有機基であり、限定されないが(−R1CO2),
(−OR1),(−NR12),(−SR1),(−PR
12)及び(−A(R1)n)3が含まれ、ここでR1
びR2は独立に、炭素原子1ないし20個を有するアル
キル、シクロアルキル及びアリール炭化水素置換基から
選択される。処理される好適なランタニド希土類化合物
は以下の構造により表わされる:Ln(R1CO23
Ln(OR13,Ln(NR123,Ln(S
13,Ln(PR1 23及びLn(A(R1
n)3、ここでLnは原子番号57ないし71を有する
ランタニド系列の希土類元素であり、そしてR1及びR2
は炭素原子1乃至20を有するアルキル、シクロアルキ
ル及びアリール炭化水素置換基、又はそれらの組合せで
ある。より特定的にはR1及びR2はまた独立に、シクロ
アルキルアルキル、アルキルシクロアルキル、アリー
ル、アルキルアリール置換基及びそれらの組合せを含む
群から選択される。さらに特定的にはR1及びR2はまた
独立に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピ
ル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−アミ
ル、イソアミル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−デ
シル、2−エチルヘキシル、シクロペンチル−メチル、
シクロヘキシル−エチル、シクロペンチル−エチル、メ
チルシクロペンチルエチル、シクロペンチル、ジメチル
シクロペンチル、エチルシクロペンチル、メチルシクロ
ヘキチル、ジメチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキ
シル、イソプロピルシクロヘキシル及びそれらの組合せ
を含む群から選択されてよい。
【0017】さらにより特定的には、本願発明のランタ
ニド希土類触媒には、限定されないが、ランタントリス
[ビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート]、ランタ
ントリス[ジプロピルアミン]、ランタントリス[プロ
ピルチオ]、ランタントリス[プロポキシル]、ランタ
ンプロピオネート、ランタンジエチルアセテート、ラン
タン2−エチルヘキサノエート、ランタンステアレー
ト、ランタンベンゾエート、セリウムベンゾエート、プ
ラセオジムプロピオネート、プラセオジムシクロヘキサ
ンカルボキシレート、プラセオジム2−エチルヘキサノ
エート、ネオジムネオデカノエート、ネオジムトリス
[ビス(2−エチルヘキシル]ホスフェート、ネオジム
ジエチルアセテート、ネオジム2−エチルヘキサノエー
ト、ネオジムシクロヘキサンカルボキシレート、ネオジ
ムステアレート、ネオジムオレエート及びネオジムベン
ゾエートが含まれる。これまでのところネオジム種が最
も好ましい。
【0018】式Ln(A(R1)n)3において、Aは、
Chemical RubberCo., Handb
ook of Chemical and Physi
cs,第48版、(1967−1968年)のD−91
頁に開示される種を少なくとも含むすべてのポリプロト
ン性(polyprotic)無機酸の群から選択され
る、ポリプロトン性無機酸のカチオンである。これらの
ポリプロトン性種には、限定されないがo−ホスホリッ
ク、ホスホリック、ホスホラス、ピロホスポリック(p
yrophosporic)、セレニック(selen
ic)、セレニアス(selenious)、m−シリ
シック(m−silicic)、0−シリシック、サル
ファリック、サルファラス(sulfurous)、テ
ルリック(telluric),テルラス(tellu
rous)、o−ボリック(o−boric)、テトラ
ボリック、アーセニック(arsenic)、アーセニ
アス(arsenious)、ジャーマニック(ger
manic)及びそれらのいずれの組合せがふくまれ、
そしてnはAのイオン価である。
【0019】触媒の成分(b)は有機マグネシウム化合
物である。式R(2)Mg、(ここでRはそれぞれ同一
又は異なってもよく、例えばアルキル(シクロアルキル
を含む)、アリール、アラルキル、アリル又はシクロジ
エン基である、)のジヒドロカルビルマグネシウム化合
物である。それぞれのアルキル基が1ないし10個の炭
素原子を有するジアルキルマグネシウム化合物が好まし
い。入手に容易さからジブチルマグネシウムが特に好ま
しい。有機マグネシウム化合物は炭化水素に可溶な式R
MgX(ここで、Rは、例えば上に例示されたヒドロカ
ルビル基であり、Xは塩素、臭素又はヨウ素である)グ
リニヤール試薬であってもよい。本願発明において企図
される成分(b)として使用される有機マグネシウム化
合物の例としては好ましくは、ジメチルマグネシウム、
ジエチルマグネシウム、ジ−n−プロピルマグネシウ
ム、ジ−イソプロピルマグネシウム、ジ−n−ブチルマ
グネシウム、n−ブチルsec−ブチルマグネシウム、
ジイソブチルマグネシウム、ジーsec−ブチルマグネ
シウム、ジ−t−ブチルマグネシウム、ジ−n−ヘキシ
ルマグネシウム、ジ−n−プロピルマグネシウム、ジフ
ェニルマグネシウムが含まれる。本願発明により好まし
いものは、ジイソブチルマグネシウム、ジ−n−ブチル
マグネシウム、ジ−sec−ブチルマグネシウム、ジ−
t−ブチルマグネシウム、及びそれらの組合せである。
【0020】成分(a)の成分(b)に対するモル比は
好ましくは、0.01:1ないし0.5:1、より好ま
しくは0.06:1ないし0.3:1である。成分
(b)の絶対濃度は、例えば重合可能なモノマー100
グラム当り1ないし5ミリモルであってよい。
【0021】本願発明の成分(c)として使用される有
機亜鉛は下記式:R3−−Zn−−R4 (ここでR3
びR4は、水素、脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素
基から選択され、それらは同一でも異なっていてもよ
く、但しR 3及びR4の両方ともは水素ではない)で表わ
される。脂肪族炭化水素基は1ないし20個、好ましく
は2ないし20個の炭素原子を有し、そして芳香族炭化
水素基は6ないし20個、好ましくは6ないし14個の
炭素原子を有する。
【0022】このような有機亜鉛化合物の例にはジエチ
ル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジイソアミル亜鉛、ジ
イソブチル亜鉛等が含まれる。前述の種ではジエチル亜
鉛が本願発明に最も好ましい。
【0023】本願発明の有機亜鉛化合物はまた、触媒系
に有用な量で有機亜鉛化合物を加えることにより高度に
粘稠なネオジムを含有する溶液の粘度を減少させること
にも有用である。通常高い粘度のネオジムを含有する溶
液、例えばトリス[ビス(2−エチルヘキシル)ホスフ
ェート]溶液は、式:R3−−Zn−−R4 (ここでR
3及びR4は、上に定義した通りである)で表わされる有
機亜鉛化合物と混合される場合、粘度が実質的に減少す
る。
【0024】本願発明で企図する共役ジエンポリマー
は、広く、分子中に炭素原子4乃至12個、好ましくは
4乃至8個を有する共役ジエン炭化水素モノマーを重合
することにより得られる。共役ジエン炭化水素モノマー
の例としては、必ずしも限定されるものではないが、
1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレ
ン、ミルセン、ピペリレン(piperylene)、
2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルー
1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン、オクタジ
エン等が含まれる。共役ジエン炭化水素モノマーは単独
で、又は二つ又はそれ以上のタイプの混合物として使用
してもよい。前述のモノマー中で1,3−ブタジエンが
特に好ましい。かくして好ましい共役ジエンポリマーは
ポリブタジエンである。
【0025】合成は炭化水素反応希釈剤、例えばヘキサ
ン、シクロヘキサン又はトルエン中で行われる。触媒成
分が使用される特定の反応希釈剤中に溶解可能であるこ
とが非常に望ましい。脂肪族溶媒、例えばヘキサン又は
脂環式溶媒、例えばシクロヘキサン、又はトルエンが好
適である。ヘキサンが最も好適な希釈剤である。
【0026】ランタニド化合物、アルキルマグネシウ
ム、アルキル亜鉛及びブタジエンは炭化水素希釈剤の入
っている反応器に、相対的なモル比が約1:0.1:
0:100ないし約1:50:50:100000、よ
り好ましくは約1:1:1:500ないし約1:20:
20:50000、さらに好ましくは約1:1.5:
1.5:5000ないし約1:15:15:2000
0、最も好ましくは約1:10:10:5000〜20
000の範囲で加えられる。
【0027】重合は好ましくは嫌気性条件下で、真空よ
り少し高い圧力ないし70気圧で、より好ましくは約
0.5気圧ないし10気圧で、最も好ましくは約大気圧
で行われる。
【0028】本願発明の重合を行うために好適である温
度範囲は約30℃ないし約130℃、より好ましくは約
40℃ないし約100℃、そして最も好ましくは約70
℃である。
【0029】以下の比較例はネオジム有機酸/ジブチル
マグネシウム触媒系がブタジエンの重合に使用された場
合の触媒濃度を低下させた場合の効果又は重合温度を上
昇させた場合の効果を示すものである。以下の実施例は
本願発明を例証することのみを目的とするものであり、
本願発明の範囲が限定されるべきものではない。 比較例1−4 比較例1において、乾燥器で乾燥させた750mlの飲
料用ボトルを王冠とブチルライナーで蓋をした。その
後、窒素気流下で冷却し237gの乾燥ブタジエン溶液
(ヘキサン中、24.9重量%)を充填した。その後該
ボトルに0.38mlのネオジムネオデカノエート(n
eodymium neodecanoate)(ヘプ
タン中、0.4)を、続いて1.53mlのBu2
g(ヘプタン中、1.0)を加えた。ブタジエンの重
合を50℃の水浴中で2時間行った。その後ポリマーセ
メントはゼラチン状のようであったことが特記される。
ポリブタジエンをイソプロパノール中で沈殿により単離
し、そして真空乾燥器中で50℃で乾燥させた。ポリブ
タジエンの収率は90%であった。
【0030】比較例2ないし4は、上述の比較例1と同
様の方法により行った。用いた条件、ポリマーセメント
の粘度に対する観察、及び比較例1ないし4の分析結果
を表1に示す。これらの結果から、重合温度を上昇させ
るか又は触媒濃度を低下させることにより一般的には収
率を低下させ、広い分子量分布のポリマーを生成する結
果となった。さらに、収率が低い場合であってもポリマ
ーセメントはゼラチン状の外見を呈していたことは言及
されるべきである。これらのゼラチン状溶液にイソプロ
パノールを添加することにより粘度の顕著な低下がもた
らされた。以下の表において、触媒成分の割合はモル比
で表わされている。表題の「mM Ndphg Bd」
はブタジエン100g当りのネオジム触媒のミリモル数
を表す。「Pzn」は重合を表わす。収率%はモノマー
がポリマーに転化したパーセンテージを表わす。Mnは
1000を単位(in 1000’S)とした数平均分
子量であり、そしてMwは1000を単位とした重量平
均分子量である。PDIは多分散指数(Polydis
persity Index)又はMw/Mn比であ
る。Tm(1)及びTm(2)はポリマーの第一及び第
二の融点を示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【実施例】実施例1〜4 実施例1において、乾燥器で乾燥させた750mlの飲
料用ボトルを王冠とブチルライナーで蓋をした。その
後、窒素気流下で冷却し227gの乾燥ブタジエン溶液
(ヘキサン中、24.4重量%)及び4.34mlのネ
オジムネオデカノエート(ヘプタン中、0.4)を充
填した。その後該ボトルに、0.55mlのBu2Mg
(ヘプタン中、1.0)、続いて0.55mlのジエ
チル亜鉛(ヘキサン中、1.0)を加えた。ブタジエ
ンの重合を80℃の水浴中で2時間行った。その後ポリ
マーセメントはジエチル亜鉛を添加しなかった時に見ら
れたゼラチン状の外見を呈していなかったことが注意さ
れた。ポリブタジエンをイソプロパノール中で沈殿によ
り単離し、そして真空乾燥器中で50℃で乾燥させた。
モノマーのポリマーへの転化率若しくは収率は61%で
あった。
【0033】実施例2ないし4は、上述の実施例1に従
った方法により行った。用いた条件、ポリマーセメント
の粘度に対する観察、及び実施例1ないし4の分析結果
を表1に示す。これらの結果から、ジエチル亜鉛は使用
触媒量の減少を含む数々の利点があることが容易に結論
付られる。これらの結果からジエチル亜鉛の使用によ
り、ゼラチン状のポリマーセメントの分解を促進し、適
度な粘度のセメント、顕著な収率の改善及び分子量分布
を狭める効果をもたらし、ポリマーの微細構造には影響
を及ぼさないことが示される。
【0034】
【表2】 実施例5〜10 実施例5〜10においてはネオジムトリス[ビス(2−
エチルヘキシル)ホスフェートジエステル]を希土類有
機酸塩として使用した。重合は重合温度80℃で実施例
1ないし4と同様の方法で行った。重合条件及び結果を
表3に要約する。
【0035】
【表3】 結果からネオジムホスフェートジエステル触媒の使用に
より、より高い重合温度を用いた場合には、対応するネ
オジムカルボキシレート触媒よりも、より高い収率を得
られた。しかしながら、この触媒ではゲル状生成物が産
出されることもまた明らかである。ジエチル亜鉛の有利
な効果としては分子量分布が減少したこと及びポリマー
セメントの粘度が減少したことに見いだすことができ
る。ジエチル亜鉛の量を、収率やポリマーの微細構造に
対して何らの有害な影響を与えることなく増加すること
ができる点が特記される。
【0036】実施例11〜13 実施例11乃至13においては、最適の重合条件が用い
られた。これらの重合は、実施例1で記載されたものと
同様な方法で実施された。重合条件並びに分析結果を表
4に示す。これらの結果から、ジエチル亜鉛で改質した
希土重合触媒により短期間に高いレベルの転化率を達成
することが可能であることが明らかである。
【0037】
【表4】 実施例14〜17 実施例14ないし17においては、予め混合しておいた
触媒溶液を使用して、重合が実施例1で記載されたもの
と同様な方法で実施された。これらの実施例は、ジエチ
ル亜鉛触媒系の他の利点を示している。即ち、ジエチル
亜鉛は高度に粘稠なネオジムトリス[ビス(2−エチル
ヘキシル)ホスフェートジエステル]に添加することに
より比較的非粘稠な溶液を生成することができる点であ
る。このブタジエン及びジアルキルマグネシウムが存在
しない希土類溶液の予備的処理によっては重合結果に何
らの影響を及ぼさず、そして希土類溶液を扱いやすいも
のとする。実施例14ないし17で用いられた重合条件
及び分析結果を表5にまとめる。
【0038】
【表5】 本願発明は特定の方法、材料及び具体例に言及して記載
されたが、本発明はこれらの特定のものに限定されるも
のでなく、そして請求項の視野の範囲のすべての等価物
に及ぶものと理解されるべきである。
【0039】本発明の主な構成と態様は以下の通りであ
る。
【0040】1.共役ジエンの重合に有用な組成物であ
って、触媒的に有効な量の a)希土類元素を含んでなる化合物 b)有機マグネシウム化合物、及び c)有機亜鉛化合物 但し、該有機亜鉛化合物の該希土類元素を含んでなる化
合物に対する比率が少なくとも3:1である、を含んで
なる組成物。
【0041】2.希土類金属を含んでなる該化合物が一
般式LnL3で表わされ、ここで、Lnはランタニド系
列の希土類元素であり、そしてLは(COOR1),
(OR1),(NR12),(SR1),(PR12)及
び(AR1n)であり、但し、R1及びR2それぞれは独
立に、C1〜C20アルキル、シクロアルキル、シクロア
ルキルアルキル、アルキルシクロアルキル、アリール又
はアルキルアリール基であり、Aはポリプロトン性無機
酸のカチオンであり、nはAのイオン価(charg
e)に対応する整数である、1記載の組成物。
【0042】3.希土類元素がネオジム(neodym
ium)である1又は2のいずれかに記載の組成物。
【0043】4.該有機マグネシウム化合物がR2
g、またはRMgXであり、ここでRはそれぞれ独立
に、アルキル、アリール、アラルキル、アリル又はシク
ロジエン基であり、Xは塩素、臭素又はヨウ素である、
1ないし3のいずれかに記載の組成物。
【0044】5.該有機亜鉛化合物が一般式、ZnR3
4で表わされ、ここでR3及びR4は独立に、水素、脂
肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であるが、但しR
3及びR4の両方ともは水素ではないことを条件とする、
1ないし4のいずれかに記載の組成物。
【0045】6.一つ又はそれ以上の共役ジエンモノマ
ーを重合する方法であって、該一つ又はそれ以上のモノ
マーと、触媒的に有効な量の a)希土類元素を含んでなる化合物 b)有機マグネシウム化合物、及び c)有機亜鉛化合物 但し、該有機亜鉛化合物の該希土類金属を含んでなる化
合物に対する比率が少なくとも3:1である、を含んで
なる触媒組成物を緊密に(intimately)接触
させることを含んでなる方法。
【0046】7.一つ又はそれ以上の共役ジエンモノマ
ーが、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イ
ソプレン、ミルセン、ピペリレン、2−メチル−1,3
−ブタジエン、2,3−ジメチルー1,3−ブタジエ
ン、1,3−ヘキサジエン又はオクタジエンを含む6記
載の方法。
【0047】8.希土類金属を含んでなる該化合物が一
般式LnL3で表わされ、ここで、Lnはランタニド類
の希土類金属であり、そしてLは(COOR1),(O
1),(NR12),(SR1),(PR12)及び
(AR1n)であり、但し、R1及びR2は独立に、炭素
原子1ないし20を有するアルキル、シクロアルキル、
シクロアルキルアルキル、アルキルシクロアルキル、ア
リール又はアルキルアリール基であり、Aはポリプロト
ン性無機酸のカチオンであり、nはAのイオン価(ch
arge)に対応する整数である、6ないし7のいずれ
かに記載の方法。
【0048】9.該有機マグネシウム化合物がR2
g、またはRMgXであり、ここでRはそれぞれ独立
に、アルキル、アリール、アラルキル、アリル又はシク
ロジエン基であり、Xは塩素、臭素又はヨウ素である、
6ないし8のいずれかに記載の方法。
【0049】10.該有機亜鉛化合物が一般式、ZnR
34で表わされ、ここでR3及びR4は、独立に水素、脂
肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であるが、但しR
3及びR4の両方ともは水素ではないことを条件とする、
6ないし9のいずれかに記載の方法。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共役ジエンの重合に有用な組成物であっ
    て、触媒的に有効な量の a)希土類元素を含んでなる化合物 b)有機マグネシウム化合物、及び c)有機亜鉛化合物 但し、該有機亜鉛化合物の該希土類元素を含んでなる化
    合物に対する比率が少なくとも3:1である、を含んで
    なる組成物。
  2. 【請求項2】 一つ又はそれ以上の共役ジエンモノマー
    を重合する方法であって、該一つ又はそれ以上のモノマ
    ーと、触媒的に有効な量の a)希土類元素を含んでなる化合物 b)有機マグネシウム化合物、及び c)有機亜鉛化合物 但し、該有機亜鉛化合物の該希土類元素を含んでなる化
    合物に対する比率が少なくとも3:1である、を含んで
    なる触媒組成物を緊密に接触させることを含んでなる方
    法。
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