JP2000025693A - 高速船 - Google Patents

高速船

Info

Publication number
JP2000025693A
JP2000025693A JP10196403A JP19640398A JP2000025693A JP 2000025693 A JP2000025693 A JP 2000025693A JP 10196403 A JP10196403 A JP 10196403A JP 19640398 A JP19640398 A JP 19640398A JP 2000025693 A JP2000025693 A JP 2000025693A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
propeller
air
speed
ship
center
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10196403A
Other languages
English (en)
Inventor
Hisato Amamoto
壽人 天本
Yukitoshi Nakamura
之利 仲村
Ken Noguchi
建 野口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SANAI SENPAKU SEKKEI KK
Original Assignee
SANAI SENPAKU SEKKEI KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SANAI SENPAKU SEKKEI KK filed Critical SANAI SENPAKU SEKKEI KK
Priority to JP10196403A priority Critical patent/JP2000025693A/ja
Publication of JP2000025693A publication Critical patent/JP2000025693A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Exhaust Silencers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 人の輸送に供する船舶において、実用的で高
速航行可能なサーフェスプロペラによる船舶を安価で提
供する。 【解決手段】 プロペラ軸を船体から一定の角度に固定
して配設するとともに、停船時はプロペラが略全水没
し、高速航行時にはプロペラが略半水没となる位置にプ
ロペラを配置し、かつ、プロペラ前方部に空気が流入可
能な船体構造とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に人の輸送に使
用する高速船に関するものであり、特に推進装置をサー
フェスプロペラとすることを特徴とする高速船に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、水上において人の輸送に使用され
る船舶には、大小様々なフェリーや観光船、あるいは、
消防艇や水上警察の高速艇など、多種多様な船舶が存在
する。
【0003】これらの船舶では推進装置として、ウォー
タージェットを用いた一部の船舶や、ホバークラフトを
除いて、通常、プロペラを完全に水没させた状態で使用
することにより推進力を得ている。
【0004】しかし、プロペラを水中に全て水没させた
構造では、プロペラの周速度がある限界を超えると、プ
ロペラの羽根の背面に水蒸気が発生し、同背面に空洞が
生起されるキャビテーションと呼ばれる現象があらわれ
ることにより、プロペラの性能が頭打ちとなって、それ
以上の高速航行が不可能であった。
【0005】そこで、さらなる高速化の要望にこたえる
ため、プロペラの略下半分を水面下に、残り略上半分を
水面上に出して、プロペラを半水没状態としたサーフェ
スプロペラによる推進機構が注目されるようになった。
【0006】サーフェスプロペラでは、プロペラの略上
半分を水面上に出し、プロペラの羽根の背面に積極的に
空気を取込んで空気膜を形成することにより、キャビテ
ーション現象の発生を防止するとができるので、プロペ
ラを高速回転させることができ、高速航行状態において
も安定した推進力を得ることができる。
【0007】従って、パワーボートと呼ばれる競争艇、
または、レジャーを目的とした一部の船舶においてサー
フェスプロペラが使用されているが、通常、このような
船舶ではプロペラ軸を固定して船体に配設しており、停
船時においてもプロペラが略半水没状態となっている。
【0008】また、警備艇や巡視船などの一部の特殊な
船舶では、プロペラ軸の角度を変えることができる角度
可変機構を組み込み、船体状況及び船速にあわせてプロ
ペラ軸の角度を変えてプロペラを半水没状態とするとと
もに、プロペラ軸の角度を左右に変えることにより旋回
を行うべく構成したものがある。
【0009】従って、このような角度可変機構が組み込
まれ船舶では舵を配設する必要はないが、水中において
プロペラ軸の角度を上下左右に自在に可変させるため、
水及び海水の抵抗を受けやすく、また、角度可変機構の
装置自体が高価なものとなっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前述した競争艇やレジ
ャー目的の船舶では、常にプロペラが略半水没状態とな
る位置に固定配設されているので、停船状態から高速航
行状態までの加速状態においては、プロペラが半分しか
水中に没していないことから、全水没したプロペラと比
較して十分な推力が得られず、加速に余分な時間が必要
であった。
【0011】そこで、通常は船体重量を軽くすることに
よって加速に要する時間の低減を図っているが、多くの
人の輸送を目的とする実用的な船舶においては、船体重
量自体がどうしても重くなるので、停船状態から高速航
行状態への移行が困難であり、実用にたえなかった。
【0012】一方、プロペラ軸の角度可変機構を用いた
船舶の場合には、その機構装置自体が大きく、配設に場
所をとるとともに、装置が高価であるため製造コストが
かさみ、通常の船舶との価格競争に対向できるものでは
なかった。
【0013】本願発明者は、日夜鋭意研究を重ねた結
果、同規模の通常船舶と同コストで製造でき、かつ、高
速大量輸送可能である実用的な船舶において、プロペラ
軸の角度を固定し、加速時はプロペラが略全水没状態と
なって速やかに高速航行状態に達するとともに、高速航
行時にはプロペラが略半水没状態となり、高速で水上移
動が可能となるサーフェスプロペラによる高速船を発明
するに至ったものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明で
は、船体から一定の角度で延出したプロペラ軸に連設す
るプロペラにより推進力を得る船舶において、トランサ
ムからプロペラの回転面中心までの距離をL(m) 、プロ
ペラ直径をD(m) 、試運転最大船速をv(m/sec) 、型喫
水をd(m) 、重力加速度をg(m/sec2)としたとき、トラ
ンサムからプロペラの回転面中心までの距離Lを、
【0015】
【数1】
【0016】とするとともに、プロペラ軸の軸心を通る
縦断面と船底面との交差により形成される交差線を後方
に延長し、同延長線がプロペラ回転面の略中央を通る位
置にプロペラを配設し、低速時はプロペラが略全水没
し、高速航行時はプロペラが略半水没となるようにした
ものであり、低速時にはプロペラ全面で推力を発生して
速やかに船速を上昇させることができるとともに、高速
航行時には従来の船舶以上の高速で高速航行することが
できる。
【0017】請求項2記載の本発明では、船尾後端に舵
軸制御部を配設するための基枠を延設することにより、
プロペラの後方に舵板を配置し、しかも基枠はフレー
ム、または、メッシュ板で形成することにより、プロペ
ラの前方部に空気を導く空気導入空間を形成したことに
特徴を有するものであり、プロペラ前方部への空気供給
を安定的に行うことができる。
【0018】請求項3記載の本発明では、プロペラ前方
部に空気を導く空気吸入ダクトを配設することにより、
同ダクトの吹出し口がプロペラ前方部に向かうべく構成
したことに特徴を有するものであり、船尾部に構造物を
配設した場合でも、空気吸入ダクトによりプロペラ前方
部に空気を安定供給することができる。
【0019】請求項4記載の本発明では、プロペラ前方
部に空気を導くための空気吸入ダクトの吸入口を機関室
内に開口し、同ダクトの吹出し口をプロペラ前方部に向
かうべく構成したことに特徴を有するものであり、機関
室の空気を空気吸入ダクトにより吸引することによって
機関室内の温度上昇を抑制し、機関の出力低下を防止す
ることができる。
【0020】請求項5記載の本発明では、船体の重心位
置及び浮心位置を、実働上でない計算上で、船尾から船
首方向に対し水線長の30%〜45%の位置とすべく構
成したことに特徴を有するものであり、高速航行時にプ
ロペラが略半水没状態を維持すべく、船尾後方の水面形
状を整えることができる。
【0021】請求項6記載の本発明では、船尾部船底に
伸縮自在に摺動、又は、上下自在に回動する張出板を配
設したことに特徴を有するものであり、プロペラが略半
水没となるように船尾後方の水面形状の調整を行うこと
ができる。
【0022】請求項7記載の本発明では、機関室に空気
を送気する機関室用送風管の空気送入口を甲板上部で船
体前方向に開口して配設するとともに、空気送入口後方
の送風管を上方に湾曲させ、湾曲した同送風管内に水平
に複数個の遮蔽板を配設したことに特徴を有するもので
あり、航行中には動圧を利用して機関室に空気を取り込
むことができるとともに、送風管内に配設された遮蔽板
により空気中に含まれる水滴を除去することができる。
【0023】請求項8記載の本発明では、機関排気口を
プロペラ前方部に配設したことに特徴を有するものであ
り、プロペラ前方部に機関排気による空気を供給すると
ともに、機関の排気効率を高めることができる。
【0024】請求項9記載の本発明では、プロペラの羽
根のスキュー角を25°〜45°としたことに特徴を有
するものであり、プロペラが回転してプロペラの各羽根
が水中に没入する際に、各羽根が水面を押圧することに
より羽根に生じる衝撃力を分散させることができる。
【0025】請求項10記載の本発明では、プロペラ軸
に刻設されるキー溝において、機関寄りのキー溝端部を
平面視略円形形状とし、かつ、キー溝の同端部底面を反
り上げ形状に形成したことに特徴を有するものであり、
キー溝の機関寄りの端部に生起される応力の集中を緩和
し、プロペラ軸の損傷を防止することができる。
【0026】請求項11記載の本発明では、高速船の背
面視において、舵軸位置をプロペラの回転軸中心より水
平方向にプロペラ直径の30%〜45%変移させて配設
したことに特徴を有するものであり、舵板及び舵軸に生
起される振動を抑制することができる。
【0027】請求項12記載の本発明では、停船時に水
面下に没している船尾部の水平断面形状を略楔形、また
は、略台形としたことを特徴とするものであり、後進
時、あるいは、船体方向転換時の船体移動の効率を向上
させることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明は、客船や巡視船などの人
を高速に輸送する実用船において、高速航行を可能とす
るためにサーフェスプロペラによる推進機構を備えた船
舶に関するものであり、プロペラ軸を船体から一定の角
度に固定して配設することにより、通常の同規模の船舶
と同じ価格でありながら、より高速な船速を出すことが
できる船を提供することができる。
【0029】高速航行状態にてプロペラが略半水没状態
となるためには、トランサムからプロペラの回転面中心
までの距離をL(m) 、プロペラ直径をD(m) 、試運転最
大船速をv(m/sec) 、型喫水をd(m) 、重力加速度をg
(m/sec2)としたとき、トランサムからプロペラの回転面
中心までの距離Lを、
【0030】
【数1】
【0031】とするとともに、プロペラ軸の軸心を通る
縦断面と船底面との交差により形成される交差線を後方
に延長し、同延長線がプロペラ回転面の略中央を通る位
置にプロペラを配設する。ここで、トランサムとは航行
時に船底で水の接する最後端のことである。
【0032】また、上記プロペラ位置において、高速航
行時、プロペラが安定的に略半水没状態を維持するため
に、実働上でない計算上で、船体の重心位置及び浮心位
置を、船尾から船首方向に対し水線長の30%〜45%
の位置となるように船体の設計を行う。
【0033】さらに、より高速で航行した場合に、プロ
ペラの水没状態が略半水没状態より小さくなることによ
る推進力の低下を防止すべく、プロペラが最も効率のよ
い略半水没状態を維持するように、船尾部船底に伸縮自
在又は上下自在に可動する張出板を配設し、プロペラが
略半水没状態となるように張出板にて水面形状の調整を
行う。
【0034】上記のプロペラ位置にプロペラを配設し、
航行時にプロペラが略半水没となることにより、プロペ
ラの上半分が水面上に露出し、空気をプロペラ後方に大
量に押し出すとともに、プロペラ自体の作用によりプロ
ペラ前方部の気圧は低下し、負圧状態が形成される。
【0035】同負圧状態は、空気を流入させることによ
り緩和させることができるが、空気の流入量が少ないと
負圧が強くなって、船尾を後方及び下方に引っ張る力と
なり安定航行の妨げとなる。
【0036】そこで、負圧の増加を防止すべく、プロペ
ラ前方部にスムーズに空気が流入するように、船尾のプ
ロペラ上方部には空気の流動を阻害する構造物を設けな
い方がよいが、プロペラ後方には舵板を配設する必要が
あるので、船尾部にフレームやメッシュ板などによる基
枠を形成し、同基枠に舵軸制御部を取りつけることによ
り、空気の流れを阻害することのない船尾構成とする。
【0037】また、使用における必要上、船尾に客室や
貨物室などの構造物などを配設し、プロペラ上方部を覆
った船尾構造とした場合には、プロペラ前方部への空気
流動を阻害することになるので、甲板上部や船体側面、
あるいは船尾部などに吸入口を設け、かつ、プロペラ前
方部に向けて吹出し口を設けた空気吸入ダクトを配設す
ることにより、プロペラ前方部の負圧状態が同空気吸入
ダクトを通して空気を吸入し、負圧の増大を防止する。
【0038】さらに、空気吸入ダクトの空気吸入口を機
関室壁に配設し、機関室内の空気をプロペラ前方部の負
圧により吸引するように構成してもよい。
【0039】機関室には、機関室内に空気を取込むため
の空気送入口によって外気が取込まれており、機関室壁
に配設された前記空気吸入ダクトの空気吸入口より空気
が吸引されることで、航行時、機関室内には常に外気が
取込まれることにより、機関室内の温度上昇がなく、機
関室内の空調管理を不要とすることができるとともに、
機関の出力を安定化させることができる。
【0040】また、機関室内に空気を取込む空気送入口
は船体の最上部に設け、同空気送入口を船体前方方向に
向けて開口することにより、航行による動圧を利用して
空気を取込むことができる。
【0041】さらに、航行時、空気送入口には空気とと
もに水滴が取込まれるが、取込まれた空気から水滴を取
除くために、空気送入口の後方に位置する送風管を一度
上方に湾曲させて湾曲部を設け、同湾曲部内に複数の遮
蔽板を水平に配設し、吸入された水滴を遮蔽板に当てる
ことによって除去する。
【0042】プロペラ前方部に生じた負圧による吸引力
の利用として、機関の排気口をプロペラの前方に向けて
配設しておくことにより、機関の排気が負圧により吸い
出され、排気効率が向上し、機関の出力を上げることが
できる。
【0043】サーフェスプロペラではプロペラが半水没
状態となっているために、プロペラの各羽根は回転のた
びに水面を押込むようにして水中に没入するので、各羽
根には水面を押圧する際に生じる衝撃が周期的に加わり
続け、その衝撃の繰り返しによりプロペラの羽根やプロ
ペラ軸は損傷を受けやすい。
【0044】そこで、プロペラに関しては、プロペラの
スキュー角を25°〜45°とすることにより、羽根に
加わる衝撃力を分散させるとともに、プロペラ軸に関し
ては、プロペラ軸のプロペラ取付け部に形成されるキー
溝の機関寄りの端部を略円形形状とし、かつ、同端部底
面を反り上げ形状とすることにより、応力集中を避け、
プロペラ軸の損傷防止を行う。
【0045】また、プロペラが略半水没であることによ
り、プロペラの各羽根の圧力面によって周期的に水又は
海水が後方に押し出され、プロペラの後方に配設した舵
板には、押し出されたことによって脈動となった水又は
海水が周期的に衝突することになり、同脈動によって舵
板及び舵軸には周期的な振動が生起される。
【0046】従って、同振動により舵軸が金属疲労を起
こして損傷することがあるので、船体の背面視におい
て、舵軸位置をプロペラの回転軸中心より水平方向にプ
ロペラ直径の30〜45%変移させて配設することによ
り、脈動の衝突面積を小さくして衝撃力を弱め、振動の
生起を防ぎ、舵板及び舵軸の損傷防止を行う。
【0047】サーフェスプロペラによる船舶を後進させ
るためにプロペラを逆回転させると、プロペラにより生
起された水の流れは船尾に衝突し、後進の推進力が打ち
消されて後進が困難となるので、停船状態で水面下とな
っている船尾の形状を水平断面で略楔型あるいは略台形
とし、略楔型あるいは略台形の斜辺に水の流れを衝突さ
せることにより、後進の推進力の打ち消しを少なくする
とともに、後進及び後進しながらの旋回を行いやすくし
ている。
【0048】
【実施例】本発明の実施例を図面を用いて詳説する。
【0049】図1は本発明の高速船Aの側面図であり、
A1は操縦室、A2は客室である。
【0050】図2は同高速船Aの船尾部の斜視図であ
り、10はプロペラ、11はプロペラ10の羽根、12
はボス、13はプロペラ軸、14はプロペラ軸保持部で
あり、21は舵板、22は舵軸、23は舵軸制御部であ
る。
【0051】舵軸制御部23は操縦室A1からの舵の操
縦により2つの舵板21,21の向きを同方向に変向さ
せる、また場合によっては、それぞれを逆方向に変向さ
せるための制御部分であり、フレーム31により形成さ
れた基枠30に配設されている。
【0052】ここで、プロペラ10、10及び舵板2
1、21は2つづつとなっているが、2つに限定するも
のではなく、さらに、多数のプロペラ10や舵板21を
配設してもよい。
【0053】また、本実施例では、航行中の船体の安定
性を増すために、図25に示すように、船体の背面視に
おいて、船体の中央を境として線対称となるようにプロ
ペラ10、10を配設しているが、必ずしも線対称であ
る必要はない。
【0054】プロペラ10の配設位置は、図3に示すよ
うに、航行時に船底で水の接する最後端であるトランサ
ムA3からプロペラ10の回転面中心までの距離をL
(m) 、プロペラ直径をD(m) 、試運転最大船速をv(m/s
ec) 、型喫水をd(m) 、重力加速度をg(m/sec2)とした
とき、トランサムA3からプロペラ10の回転面中心ま
での距離Lを
【0055】
【数1】
【0056】とするとともに、プロペラ軸13の軸心を
通る縦断面と船底面との交差により形成される交差線を
後方に延長し、同延長線Uがプロペラ10の回転面の略
中央を通る位置にプロペラ10を配設する。
【0057】ここで、プロペラ10の回転面の略中央と
は、プロペラ10の回転軸を中心とし、直径がプロペラ
10の直径の半分である円の内側領域のことである。
【0058】プロペラ10の位置を上記位置とすること
により、停船時、あるいは、低速時には、図4に示すよ
うに、水面W下にプロペラ10全体が略水没するととも
に、高速航行時には、図5に示すように、高速船のAの
船体が水面W上を滑走する状態となり、プロペラ10が
略半水没状態となる。
【0059】ここで、略半水没状態というのは、プロペ
ラ10の回転面の40%〜60%が水没している状態を
いう。
【0060】特に、前記延長線Uがプロペラ10のボス
12と交差する位置にプロペラ10を配設しておくこと
によって、最も簡単で、かつ、ある程度効率のよいプロ
ペラ10の配設位置とすることができるが、プロペラ1
0による推進効率を最も高めるためには、船底の形状や
プロペラ軸13の角度などの様々な要因が関係するた
め、各船に合わせた個別の最適配設位置を探す必要があ
る。
【0061】本実施例の高速船Aでは、プロペラ10に
よって生起された推進力を最も効率よく利用するため、
図3に示すように、プロペラ10のボス12の周面が延
長線Uと略接する位置にプロペラ10を配設している。
【0062】従って、低速での加速状態においてはプロ
ペラ10が完全な水没状態となっているので、プロペラ
10全面で推進力を生起することができ、速やかな加速
ができるとともに、高速航行時にはプロペラ10が略半
水没となってサーフェスプロペラとして機能し、プロペ
ラ10の高速回転による高速化が可能となる。
【0063】図5において、船体後方の水面Wが盛上が
り形状となっているのは、高速線Aが高速航行している
際には、水面Wは船体が存在する部分で窪んだ形状とな
るためである。
【0064】従って、高速航行時にプロペラ10が理想
的な略半水没状態となるためには、船体後方の水面W形
状を制御する必要があり、そのために、あらかじめ船体
の設計段階において、実働上でない計算上で船体の重心
位置及び浮心位置が、船尾から船首方向に対し水線長の
30%〜45%の位置となるように船体の設計を行って
いる。
【0065】船体の重心位置及び浮心位置を上記位置と
することにより、航行時に船体の後方側船底が水平面と
略平行となり、船尾後方の水面Wの盛上がり形状を制御
しやすくしている。
【0066】さらに、より高速で航行した場合には、略
半水没状態となっていたプロペラ10の水没状態が小さ
くなり、推進力が低下する。
【0067】そこで、推進力の低下を防止するために、
図6に示すように、船尾船底に張出板40を伸縮自在に
摺動するように配設し、同張出板40の張出の長さを変
えることにより、プロペラ10が略半水没の状態となる
ように水面W形状の調整を行ってもよいし、図7に示す
ように、船尾船底に張出板41を上下自在に回動するよ
うに配設し、同張出板41の角度を変えることにより、
プロペラ10が略半水没の状態となるように水面W形状
の調整を行ってもよい。
【0068】また、張出板40、41による水面W形状
の調整を船速に連動させることにより、より速やかな加
速を行うこともできる。
【0069】サーフェスプロペラによる推進機構では、
プロペラ10の略半分が水面W上に出ているため、同プ
ロペラ10の回転により大量の空気も後方に送り出すと
ともに、プロペラ10自体の作用によって、プロペラ1
0前方部には気圧の低い領域が生じることにより、負圧
状態が形成される。
【0070】同負圧状態は負圧状態の付近で最も流動性
の高い物体である空気を吸引し、かつ、吸引された空気
はプロペラ10により後方に送り出されるが、何らかの
理由により負圧状態への空気の吸入が阻害されると負圧
が強くなり、強くなった負圧により船尾部分が後方及び
下方に吸引され、安定航行を行うことができない。
【0071】従って、サーフェスプロペラを用いる高速
船Aでは、プロペラ10付近の空気流動を阻害する構造
物を配設しないようにするのが最もよい。
【0072】しかし、高速船Aの旋回を最も効率的に行
うためには、舵板21がプロペラ10の後方に存在する
方が望ましいので、プロペラ10後方に舵板21を配設
するために、図2に示すように、船尾後端にフレーム3
1による基枠30を形成することにより、同基枠30に
舵軸制御部23を設け、舵軸22及び舵板21を配設し
ている。
【0073】フレーム31による基枠30という構造と
したことにより、基枠30は空気の流動を阻害すること
なく、かつ、同基枠30により構成された空間がプロペ
ラ10前方部に空気を導く空気導入空間ともなっている
ので、負圧状態に滞りなく空気を導くことができる。
【0074】また、図8に示すように、メッシュ状とな
っているメッシュ板32や、単なる格子板33などを組
合わせて、船尾に空気流動が容易な空気導入空間34と
なる空間を形成した基枠30を配設し、同基枠30に舵
軸制御部23を取付けることにより、プロペラ10後方
に舵板21を配設可能としてもよく、さらに、図9に示
すように、基枠30の上面を船尾デッキとして利用して
もよい。
【0075】前記の空気導入空間34には、プロペラ1
0の前方部にメッシュ板32による開口部35、あるい
は、単に開口させただけの開口部(図示せず)を設けて
おき、同開口部35より空気導入空間34内の空気をプ
ロペラ10前方部の負圧に向けて供給している。
【0076】また、空気導入空間34に設けられる開口
部35は1箇所だけでなく、図8に示すように、複数個
所に開口部35を設け、より効率的に空気を負圧に導く
ようにしてもよい。
【0077】先に、舵板21はプロペラ10の後方に存
在する方が望ましいと述べたが、これは、舵板21近傍
を流れる水又は海水の流速が早いほど船体の旋回性能が
向上するためであり、従って、プロペラ10により流速
を早められた水又は海水を舵板21に当てることによ
り、最も効率よく旋回することができる。
【0078】しかし、舵の位置はプロペラ10の後方に
限定するものではなく、プロペラ10の前方の船底や、
あるいは、船首に配設してもよい。
【0079】使用における必要上、船尾にどうしても客
室や貨物室あるいは甲板などの大きな構造物を設ける場
合には、プロペラ10前方部の負圧状態への空気の供給
が困難となり、安定航行を阻害するほどに負圧が強まる
ため、空気吸入ダクト60を配設することによって負圧
に空気を供給する。
【0080】図10に示すように、プロペラ10前方部
に向けて吹出し口62を設け、船尾甲板に吸入口61を
設けた空気吸入ダクト60を船尾に配設することによ
り、プロペラ10前方部の負圧が空気吸入ダクト60を
介して空気を吸引することができるため、負圧が強くな
ることはなく、安定航行が可能となる。
【0081】空気吸入ダクト60の吸入口61は、図1
0に示した甲板上部だけでなく、図11に示すように船
体側方部に設けてもよく、または、図12に示すように
船尾に張り出した構造物の後端に配設してもよい。
【0082】また、図13に示すように、船尾まで客室
を設けた場合では、客室の上部に吸入口61を配設する
とともに、航行時の動圧を利用すべく吸入口61を前方
方向に向けておき、吹出し口62をプロペラ10の前方
部に向けて配設すべく、空気吸入ダクト60を客室側壁
に這わせて配設してもよい。
【0083】空気吸入ダクト60を配設したことによ
り、空気はプロペラ10前方部の負圧によって同空気吸
入ダクト60を通って吸引されるので、あらためて空気
の送気装置を配設する必要はない。
【0084】しかし、空気吸入ダクト60の配設も困難
な場合には、送気ファンなどにより強制的にプロペラ1
0前方部に空気を送気してもよい。
【0085】また、図14に示すように、空気吸入ダク
ト60の吸気口61を機関室A4内に設け、かつ、吹出
し口62をプロペラ10前方部に向けて設けるように空
気吸入ダクト60を配設することにより、プロペラ10
前方部の負圧により機関室A4内の空気を吸引してもよ
い。
【0086】後述するが、機関室A4には、図20に示
すように、船体上部より外気を送風管70によって送入
しており、機関室A4内に送入された空気を機関A5が
吸引して燃焼に利用している。
【0087】機関室A4内の空気は機関A5の発する熱
により温められるので、体積が膨張することにより単位
体積当たりの酸素量が低下し、機関A5の出力低下を招
くため、機関室A4内の温度が高くならないように、通
常は、大きな空調設備が備え付けられている。
【0088】しかし、航行中には、空気吸入ダクト60
の吸入口61から空気が吸引されることによって、積極
的に機関室A4から空気が引き出されるため、機関室A
4には常に外気が取込まれることにより機関室A4内の
温度上昇を抑制することができるので、機関A5の出力
低下を招くおそれもなく、また、機関A5の空気冷却と
しても利用することができる。
【0089】ただし、プロペラ10前方部の負圧の吸引
力が強すぎる場合、機関室A4内からの空気の吸引量が
多くなりすぎ、機関A5の空気吸入の障害となる場合が
あるので、図15に示すように、機関室A4以外の空気
を吸入するバイパス吸入口66を設けておき、それぞれ
の吸入口61,66に吸入量調整弁67を配設して、機
関室A4からの吸入量を調節可能としてもよい。
【0090】また、停船時には空気吸入ダクト60によ
る機関室A4内の空気の吸引がないので、機関室A4内
の空気は停留し、かつ、機関A5をアイドリングするこ
とにより機関室A4内の温度が上昇するため、簡易吸気
装置により外気を取込んで機関室A4内の温度上昇を防
止するか、または、簡易排気装置により温度の上昇した
空気を機関室A4より強制排気している。
【0091】他の実施例として、空気吸入ダクト60を
設けるのではなく、図16に示すように、あらかじめ機
関室A4の壁を二重壁63,63構造としておき、二重
壁63,63の間を空気吸入路65として利用してもよ
く、さらに、空気吸入路65を水または海水が逆流して
機関室A4内に水または海水が浸入することを防止すべ
く、逆流防止弁64,64を設けてもよい。
【0092】逆流防止機構としては、同逆流防止弁64
するだけでなく、図17に示すように、吸入口61を機
関室A4の天井部に開口し、空気吸入ダクト60を単に
上方にU字状に湾曲させることにより、逆流防止として
もよい。
【0093】空気吸入ダクト60の吹出し口62は1個
所に限定するものではなく、図16に示すように複数個
所に吹出し口62を開口させてもよい。
【0094】機関室A4への空気の送入は、船体が前方
方向に航行する際の動圧を利用して行うべく、図19に
示すように、高速船Aの客室A2の上部に前方方向に空
気送入口71を向けた送風管70によって送入されてい
る。
【0095】航行中、送風管70には水滴が混ざった空
気が入り込んでくるため、同水滴を取除く必要がある。
【0096】そこで、水滴の慣性を利用して水滴除去を
行うべく、図20に示すように、空気送入口71後方の
送風管70を上方に湾曲させ、空気送入口71に入り込
んだ空気を一度上方向に送気させることにより、空気中
の水滴は慣性によって直進し、送風管70内壁に形成さ
れた遮蔽板72に当たることにより、空気中から除去さ
れる。
【0097】空気送入口71後方での送風管70の湾曲
による反り上げの高さは、空気送入口71による開口の
縦方向の高さより高くなるようにしておくことによっ
て、空気送入口71に入り込んだ水滴は全て送風管70
及び遮蔽板72に当てることができる。
【0098】その後、水滴の除去された空気を機関室A
4に送るために、送風管70を下方向に折曲させ、機関
室A4に送気している。
【0099】図20において、空気送入口71は縦方向
に3重に重ねて配設しているが、これは空気送入口71
による開口の縦方向の高さを低くすることによって、送
風管70の湾曲による反り上げの高さを低くすることが
でき、送風管70の湾曲反り上げ加工を簡単にし、か
つ、水滴除去をより完全に行うためのものであり、縦方
向の3重に限定するものではない。
【0100】他の実施例として、空気送入口71の後方
の送風管70を上方に湾曲させず、空気送入口71の後
方の送風管70を長く引伸ばして配設し、その配管の途
中で水滴の自重により水滴が落下することによって、送
風管70壁に水滴を付着させ、空気から水滴を分離して
もよい。
【0101】プロペラ10前方部の負圧による吸引力を
利用するため、図18に示すように、機関A5の排気管
の排気口51をプロペラ10前方部に向けて配設するこ
とによって、排気管内の排気ガスが負圧に吸引され、排
気効率が高まることにより、機関A5の出力を向上させ
ることができる。
【0102】高速航行中、サーフェスプロペラによる高
速船Aではプロペラ10が略半分水面上に露出している
ので、プロペラ10の回転毎にプロペラ10の各羽根1
1は水面Wを押し込むように水面W下に没入するため、
各羽根11には水面W下に没入するたびに水面Wを押圧
する衝撃が加わっている。
【0103】さらに、プロペラ10は高速回転している
ため、加わる衝撃力も大きく、プロペラの羽根11の損
傷やプロペラ軸13の損傷といった問題が生じやすい。
【0104】従って、プロペラ10の羽根11が水面W
下に没入する際の衝撃力を弱めるため、図21に示した
通常のプロペラ100と異なり、図22に示すように、
スキュー角Bを25°〜45°とすることにより、衝撃
力を分散させることができ、羽根11の損傷を防止する
ことができる。
【0105】図22ではプロペラ10の羽根11は4枚
となっているが、4枚に限定するものではなく、3枚以
下であっても、あるいは、5枚以上であってもよい。
【0106】プロペラ軸13の損傷は、プロペラ軸13
に刻設された略矩形のキー溝80において、機関A5寄
りの端部の角部に応力が集中し、同応力の集中部にクラ
ックが生起されることにより起こるものである。
【0107】従って、キー溝80への応力集中を緩和す
べく、図23に示すように、キー溝80の機関A5寄り
の端部形状を略円形形状とし、角部を形成しないことに
より応力集中をさけるとともに、同略円形形状のキー溝
80の底部を、図24に示すように反り上げ形状とする
ことにより、さらに応力を緩和させることができる。
【0108】図24において、81はキー溝80に嵌入
されたキーであり、同キー81は、通常、金属製の略矩
形体となっており、さらに本実施例では、キー溝80に
形成された反り上げ形状と密接すべく、キー81はキー
溝80と密接する面にキー溝80の反り上げ形状に合わ
せた切削加工がなされている。
【0109】高速航行中、半水没状態のプロペラ10の
羽根11は、水面W下で周期的に羽根11の圧力面にて
水又は海水を後方に押し出すことにより、周期的な脈動
が生起されるので、プロペラ10の後方に配設した舵板
21には同脈動が当たり、周期的な振動が生起される。
【0110】同振動により、特に舵軸22が金属疲労を
生じて破損することがあるので、図25に示すように、
船体の背面視において、舵軸22をプロペラ10の回転
軸中心より水平方向にプロペラ直径Dの30%〜45%
変移(図25のC)させて配設することによって、後方
に押し出された水又は海水による脈動と舵板21との衝
突面積を小さくすることにより、舵板21及び舵軸22
に加わる衝撃を小さくし、かつ、振動の生起を防止する
ことによって舵板21及び舵軸22の損傷防止を行って
いる。
【0111】本実施例では、舵軸22,22はそれぞれ
船体の内側方向に変移させて配設しているが、内側方向
に限らず、それぞれの舵軸22,22を船体の外側方向
にプロペラ直径Dの30%〜45%変移させて配設して
もよい。
【0112】サーフェスプロペラによる高速船Aを後進
させる際には、船体の背面視において、図25に示すよ
うに、プロペラ10の略上半分が船体と重なっているた
め、プロペラ10を逆回転させると、プロペラ10によ
り生起された水又は海水の流れが船尾に衝突し、後進の
推進力が半減され後進が困難となる。
【0113】従って、サーフェスプロぺラの船舶では、
停船状態で水面W下にある船尾の形状を水平断面におい
て略楔型あるいは略台形とし、同略楔型あるいは略台形
の斜辺にプロペラ10を逆回転させることにより生じさ
せた水又は海水の流れを衝突させることにより、後進の
推進力の打ち消しを少なくするとともに、後進しながら
の旋回を行いやすくしている。
【0114】また、船尾の水平断面である略楔型あるい
は略台形のそれぞれの斜辺は直線である必要はなく、図
26に示すように、なだらかな曲線形状であってもよ
い。
【0115】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、トラン
サムからプロペラの回転面中心までの距離をL(m) 、プ
ロペラ直径をD(m) 、試運転最大船速をv(m/sec) 、型
喫水をd(m) 、重力加速度をg(m/sec2)としたとき、ト
ランサムからプロペラの回転面中心までの距離Lを、
【0116】
【数1】
【0117】とするとともに、プロペラ軸の軸心を通る
縦断面と船底面との交差により形成される交差線を後方
に延長し、同延長線がプロペラ回転面の略中央を通る位
置にプロペラを配設し、低速時にはプロペラが略全水没
し、高速航行時にはプロペラが略半水没となるようにし
たことにより、低速時にはプロペラ全面で推進力を発生
して速やかに船速を上昇させることができるとともに、
高速航行時には従来の船舶以上の高速で航行することが
できる。
【0118】また、高速航行時にプロペラが略半水没状
態となるようにプロペラ位置を決めたことから、従来か
ら存在するサーフェスプロペラを用いた船舶よりも大型
化が可能であるため、大量輸送が可能となる。
【0119】さらに、プロペラ軸を固定して配設したこ
とにより、従来の船舶とほとんど同コストで生産するこ
とができる。
【0120】請求項2記載の本発明によれば、船尾後端
に舵軸制御部を配設するための基枠を延設することによ
り、プロペラの後方に舵板を配置し、しかも基枠はフレ
ーム、または、メッシュ板で形成することにより、プロ
ペラの前方部に空気を導く空気導入空間を形成したこと
によって、プロペラ前方部に生起された負圧状態に空気
導入空間より十分な空気を供給することができるため、
負圧が強くなることがなく、高速航行時においても安定
航行が可能となる。
【0121】請求項3記載の本発明によれば、プロペラ
前方部に空気を導く空気吸入ダクトを配設することによ
り、同ダクトの吹出し口がプロペラ前方部に向かうべく
構成したことによって、船尾部に構造物を配設した場合
でもプロペラ前方部に空気を安定供給することができ
る。
【0122】従って、船尾形状の設計の自由度を広げる
ことができ、様々なニーズに対応する船舶を設計するこ
とができる。
【0123】請求項4記載の本発明によれば、プロペラ
前方部に空気を導くための空気吸入ダクトの吸入口を機
関室内に開口し、同ダクトの吹出し口をプロペラ前方部
に向かうべく構成したことによって、機関室内の空気を
空気吸入ダクトより吸引して機関室内の温度上昇を抑制
し、機関室内の空調管理が容易となる。
【0124】また、機関室内の機関は、温度上昇してい
ない空気を吸引することができるので、出力低下を生起
することがなく、安定した出力を得ることができる。
【0125】請求項5記載の本発明によれば、船体の重
心位置及び浮心位置を、実働上でない計算上で、船尾か
ら船首方向に対し水線長の30%〜45%の位置とすべ
く構成したことにより、高速航行時に船底の後方部が水
平面と略平行となるので、船尾後方の水面形状を整える
ことができ、プロペラの略半水没状態を維持しやすくす
ることができる。
【0126】請求項6記載の本発明によれば、船尾部船
底に伸縮自在に摺動、又は、上下自在に回動する張出板
を配設したことにより、船尾後方の水面形状を調整する
ことができるので、高速航行中、プロペラが略半水没状
態よりも水没状態が小さくなって推進力が低下しないよ
うに、水面形状を調整し、プロペラを最も推進効率の高
い略半水没状態に維持することができる。
【0127】請求項7記載の本発明によれば、機関室に
空気を送気する機関室用送風管の空気送入口を甲板上部
で船体前方向に開口して配設するとともに、空気送入口
後方の送風管を上方に湾曲させ、湾曲した同送風管内に
水平に複数個の遮蔽板を配設したことにより、航行時に
は航行による動圧を利用して空気を吸入することができ
るとともに、空気送入口に空気とともに入り込んだ水滴
は、慣性のため遮蔽板に衝突することによって除去する
ことができる。
【0128】従って、機関室へ空気を送気するための送
気装置を不要とすることができ、また、水滴除去のため
の特別な除去装置やフィルターを不要とすることができ
る。
【0129】請求項8記載の本発明によれば、機関排気
口をプロペラ前方部に配設したことにより、プロペラ前
方部の負圧状態に機関排気による空気を供給して、負圧
状態を緩和するとともに、機関の排気が負圧により吸引
されるため、機関の排気効率を高めることができるの
で、機関の出力を向上させることができる。
【0130】請求項9記載の本発明によれば、プロペラ
の羽根のスキュー角を25°〜45°としたことによ
り、プロペラの各羽根が水中に没入する際に、水面を押
圧することによって各羽根に生起される衝撃力を分散さ
せることができ、プロペラの損傷を防止することができ
る。
【0131】請求項10記載の本発明によれば、プロペ
ラ軸に刻設されるキー溝において、機関寄りのキー溝端
部を平面視略円形形状とし、かつ、キー溝の同端部底面
を反り上げ形状に形成したことにより、キー溝の機関寄
りの端部に生起される応力の集中を緩和することがで
き、プロペラ軸の損傷を防止することができる。
【0132】請求項11記載の本発明によれば、背面視
において舵軸位置を、プロペラの回転軸中心より水平方
向にプロペラ直径の30%〜45%変移させて配設した
ことにより、舵板及び舵軸に生起される振動を抑制する
ことができるので、舵板及び舵軸の損傷を防止すること
ができる。
【0133】請求項12記載の本発明によれば、停船時
に水面下に没している船尾部の水平断面形状を略楔形、
または、略台形としたことにより、後進時、あるいは、
船体方向転換時にプロペラを逆回転させた際、プロペラ
により生起された水流が略楔型、または、略台形の斜辺
に当たり、船体の後進あるいは方向転換を効率よく行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高速船の側面図である。
【図2】本発明に係る高速船の船尾部斜視図である。
【図3】本発明に係る高速船の船尾部側面図である。
【図4】停船時の高速船の水面との位置関係を示す側面
図である。
【図5】高速航行時の高速船の水面との位置関係を示す
側面図である。
【図6】張出板によるプロペラの水没状態調整の説明図
である。
【図7】張出板によるプロペラの水没状態調整の説明図
である。
【図8】メッシュ板による基枠構造の側面図である。
【図9】空気導入空間の上部を船尾デッキとした斜視図
である。
【図10】甲板上部に吸入口を設けた空気吸入ダクトの
配設状態説明図である。
【図11】船体側面に吸入口を設けた空気吸入ダクトの
配設状態説明図である。
【図12】船尾部に吸入口を設けた空気吸入ダクトの配
設状態説明図である。
【図13】客室上部に吸入口を設けた空気吸入ダクトの
配設状態説明図である。
【図14】機関室壁に吸入口を設けた空気吸入ダクトの
配設状態説明図である。
【図15】バイパス吸入口を設けた空気吸入ダクトの配
設状態説明図である。
【図16】機関室壁を二重構造として形成した空気吸入
路の配設状態説明図である。
【図17】逆流防止を設けた空気吸入ダクトの配設状態
説明図である。
【図18】プロペラ前方部に機関排気口を配設した説明
図である。
【図19】機関室への空気送入口の配設状態を示す高速
船の斜視図である。
【図20】送風管の構造を示す断面説明図である。
【図21】従来のプロペラの平面図である。
【図22】本発明に係る高速船のプロペラの平面図であ
る。
【図23】本発明に係る高速船のプロペラ軸に刻設され
たキー溝の斜視図である。
【図24】本発明に係る高速船のプロペラ取付け状態の
断面図である。
【図25】本発明に係る高速船の背面図である。
【図26】本発明に係る高速船の斜視図である。
【符号の説明】
A 高速船 10 プロペラ 11 羽根 12 ボス 13 プロペラ軸 14 プロペラ軸保持部 21 舵板 22 舵軸 23 舵軸制御部 30 基枠 31 フレーム A3 トランサム D プロペラ直径 U 延長線

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船体から一定の角度で延出したプロペラ
    軸に連設するプロペラにより推進力を得る船舶におい
    て、 トランサムからプロペラの回転面中心までの距離をL、
    プロペラ直径をD、試運転最大船速をv、型喫水をd、
    重力加速度をgとしたとき、トランサムからプロペラの
    回転面中心までの距離Lを、 【数1】 とするとともに、プロペラ軸の軸心を通る縦断面と船底
    面との交差により形成される交差線を後方に延長し、同
    延長線がプロペラ回転面の略中央を通る位置にプロペラ
    を配設し、低速時にはプロペラが略全水没し、高速航行
    時にはプロペラが略半水没となるべく構成したことを特
    徴とする高速船。
  2. 【請求項2】 船尾後端に舵軸制御部を配設するための
    基枠を延設することにより、プロペラの後方に舵板を配
    置し、しかも基枠はフレーム、または、メッシュ板で形
    成することにより、プロペラの前方部に空気を導く空気
    導入空間を形成したことを特徴とする請求項1記載の高
    速船。
  3. 【請求項3】 プロペラ前方部に空気を導く空気吸入ダ
    クトを配設することにより、同ダクトの吹出し口がプロ
    ペラ前方部に向かうべく構成したことを特徴とする請求
    項1記載の高速船。
  4. 【請求項4】 プロペラ前方部に空気を導くための空気
    吸入ダクトの吸入口を機関室内に開口し、同ダクトの吹
    出し口をプロペラ前方部に向かうべく構成したことを特
    徴とする請求項1記載の高速船。
  5. 【請求項5】 船体の重心位置及び浮心位置を、実働上
    でない計算上で、船尾から船首方向に対し水線長の30
    %〜45%の位置とすべく構成したことを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の高速船。
  6. 【請求項6】 船尾部船底に伸縮自在に摺動、又は、上
    下自在に回動する張出板を配設したことを特徴とする請
    求項1〜4のいずれかに記載の高速艇。
  7. 【請求項7】 機関室に空気を送気する機関室用送風管
    の空気送入口を甲板上部で船体前方向に開口して配設す
    るとともに、空気送入口後方の送風管を上方に湾曲さ
    せ、湾曲した同送風管内に水平に複数個の遮蔽板を配設
    したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    高速艇。
  8. 【請求項8】 機関排気口をプロペラ前方部に配設した
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高速
    船。
  9. 【請求項9】 プロペラの羽根のスキュー角を25°〜
    45°としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の高速船。
  10. 【請求項10】 プロペラ軸に刻設されるキー溝におい
    て、機関寄りのキー溝端部を平面視略円形形状とし、か
    つ、キー溝の同端部底面を反り上げ形状に形成したこと
    を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高速船。
  11. 【請求項11】 高速船の背面視において、舵軸位置を
    プロペラの回転軸中心より水平方向にプロペラ直径の3
    0%〜45%変移させて配設したことを特徴とする請求
    項1〜4のいずれかに記載の高速船。
  12. 【請求項12】 停船時に水面下に没している船尾部の
    水平断面形状を略楔形、または、略台形としたことを特
    徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の高速船。
JP10196403A 1998-07-10 1998-07-10 高速船 Pending JP2000025693A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10196403A JP2000025693A (ja) 1998-07-10 1998-07-10 高速船

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10196403A JP2000025693A (ja) 1998-07-10 1998-07-10 高速船

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000025693A true JP2000025693A (ja) 2000-01-25

Family

ID=16357292

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10196403A Pending JP2000025693A (ja) 1998-07-10 1998-07-10 高速船

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000025693A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009522155A (ja) * 2005-12-30 2009-06-11 フレキシタブ エス.アール.エル. 排水および半排水船の半浸漬プロペラ推進機関
CN107310704A (zh) * 2017-07-17 2017-11-03 胡斌 一种推进螺旋桨及高速航行不易侧翻的气动船只
CN116495152A (zh) * 2023-04-28 2023-07-28 中国船舶科学研究中心 用于半浸桨船舶的螺旋桨及半浸桨船舶

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009522155A (ja) * 2005-12-30 2009-06-11 フレキシタブ エス.アール.エル. 排水および半排水船の半浸漬プロペラ推進機関
CN107310704A (zh) * 2017-07-17 2017-11-03 胡斌 一种推进螺旋桨及高速航行不易侧翻的气动船只
CN116495152A (zh) * 2023-04-28 2023-07-28 中国船舶科学研究中心 用于半浸桨船舶的螺旋桨及半浸桨船舶
CN116495152B (zh) * 2023-04-28 2024-01-12 中国船舶科学研究中心 用于半浸桨船舶的螺旋桨及半浸桨船舶

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2012510923A (ja) 鉛直配置された回転シリンダを備えた船舶
WO2010140357A1 (ja) 二軸船尾双胴型船舶
JP7334339B2 (ja) 艦船の航行時の造波抵抗及び摩擦抵抗を低減する方法及び装置
US20120325136A1 (en) Hull design with engine air flow system
US20110263168A1 (en) Gaseous fluid vessel propulsion system
AU2005266912A1 (en) System and apparatus for improving safety and thrust from a hydro-drive device
US5232385A (en) Gas turbine powered ship
US5145428A (en) Shrouded propeller system for a sailboat
JP5638215B2 (ja) 風圧抵抗の少ない船舶及びその設計方法
JP2000025693A (ja) 高速船
JP2012001115A (ja) ツインスケグ船
CN112512916B (zh) 排气系统
US7789032B1 (en) Boat thruster apparatus and method
US20070028824A1 (en) Boat control system
EP2906462B1 (en) Boat
JP2000168673A (ja) 摩擦抵抗低減船
JP2001097277A (ja) 小型船舶の船底構造
KR102117384B1 (ko) 선박용 덕트의 지지구조
JP2532236Y2 (ja) 水中噴出式ポンプジエツト推進装置
JPH0685190U (ja) 気体の噴出により船体の抵抗を減じ、推進機をダクトに入れ た、船体外舷部が直線の船形。
WO2018232460A1 (en) PULSED PROPULSION SYSTEM AND METHOD FOR PROPULSION OF A BOAT
JP2554957Y2 (ja) バウスラスタのグリッド
JP2002154482A (ja) 水ジェット推進艇のポンプ室の遮音構造
JP5818247B2 (ja) 二軸船尾双胴型船舶
JPH05116672A (ja) 船 舶