JP2000024437A - 廃棄物焼却装置および廃棄物焼却方法 - Google Patents

廃棄物焼却装置および廃棄物焼却方法

Info

Publication number
JP2000024437A
JP2000024437A JP10196161A JP19616198A JP2000024437A JP 2000024437 A JP2000024437 A JP 2000024437A JP 10196161 A JP10196161 A JP 10196161A JP 19616198 A JP19616198 A JP 19616198A JP 2000024437 A JP2000024437 A JP 2000024437A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
exhaust gas
catalyst
fiber
waste
activated carbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10196161A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Kajikawa
修 梶川
Tominari Sato
富徳 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Osaka Gas Co Ltd
Original Assignee
Osaka Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Osaka Gas Co Ltd filed Critical Osaka Gas Co Ltd
Priority to JP10196161A priority Critical patent/JP2000024437A/ja
Publication of JP2000024437A publication Critical patent/JP2000024437A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Filtering Of Dispersed Particles In Gases (AREA)
  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃棄物の焼却過程において、ダイオキシン類
の生成そのものを抑制する。 【解決手段】 廃棄物焼却装置1は、廃棄物を焼却する
ための焼却炉2と、焼却炉2からの排気ガスを処理する
ためのバグフイルター4と、バグフイルター4により処
理された排気ガスを外部に排出するための煙突6とを備
えている。ここで、バグフイルター4は、ダイオキシン
類の生成温度を超える温度領域で耐熱性を有しかつ排気
ガスを処理するためのフイルター部材を内蔵しており、
このフイルター部材は、ダイオキシン類の生成に関与す
る触媒を担持しているフライアッシュ等の粉塵を排気ガ
ス中から除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、焼却装置および焼
却方法、特に、廃棄物焼却装置および廃棄物焼却方法に
関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】ごみ焼却施設から放出される
ダイオキシン類が社会問題化しており、ごみ焼却施設に
おけるダイオキシン類の発生を効果的に抑制するための
方策の確立が急務となっている。
【0003】ところで、ごみ焼却施設においてダイオキ
シン類が発生するメカニズムは、未だに不明な点が多い
が、これまでの多くの知見から、概ね次のように考えら
れている。先ず、焼却炉内での燃焼過程において、塩化
ビニル類、食物中の塩および色素などのごみ類を原因物
質として塩酸が発生する。このようにして発生した塩酸
雰囲気中で、フライアッシュ(飛灰)中に含まれる鉄や
銅が塩素化されて塩化鉄や塩化銅が生成し、これを触媒
として排気ガス中や飛灰中に含まれるベンゼン核を有す
る有機物質がさらに塩素化されてダイオキシン類前駆体
が合成される。このダイオキシン類前駆体は、焼却炉外
の煙道などの温度低下領域、通常は350℃前後の温度
領域において、上述の塩化鉄や塩化銅の触媒作用を受け
て反応し、ダイオキシン類に変化する。
【0004】従来の一般的な焼却施設では、上述のよう
な過程を経て生成したダイオキシン類を電気集塵機やバ
グフイルターなどの捕獲装置を用いて捕獲し、大気中に
排出される排気ガスからダイオキシン類を除去してい
る。しかしながら、このような焼却施設では、排気ガス
の流路内で生成したダイオキシン類を事後的に除去して
いるので、電気集塵機やバグフイルターなどで捕獲され
たダイオキシン類を別途処分する必要がある。
【0005】本発明の目的は、廃棄物の焼却過程におい
て、ダイオキシン類の生成そのものを抑制することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の廃棄物焼却装置
は、廃棄物を焼却処理するためのものであり、廃棄物を
焼却して排気ガスを排出する焼却部と、焼却部からの排
気ガスを処理するためのバグフイルターと、バグフイル
ターにより処理された排気ガスを外部に排出するための
排出部とを備えている。ここで、バグフイルターは、ダ
イオキシン類の生成温度を超える温度領域で耐熱性を有
しかつ排気ガスを処理するためのフイルター部を有して
いる。
【0007】この廃棄物焼却装置で用いられるフイルタ
ー部は、例えば、炭素繊維および耐炎化繊維のうちの少
なくとも1つを用いて形成された布帛層と、当該布帛層
に交絡する、炭素繊維および耐炎化繊維のうちの少なく
とも1つの繊維群とを備えた耐熱性フエルト、および黒
鉛化繊維を用いて形成された黒鉛化繊維布帛層と、当該
黒鉛化繊維布帛層に交絡する黒鉛化繊維群とを備えた耐
熱性フエルトのうちの少なくとも一つの耐熱性フエルト
を用いて形成されている。
【0008】この廃棄物焼却装置は、例えば、焼却部と
バグフイルターとの間に、焼却部からの排気ガスを冷却
するための冷却部をさらに備えている。
【0009】また、この廃棄物焼却装置は、例えば、バ
グフイルターと排出部との間に、バグフイルターにより
処理された排気ガスを触媒を用いて処理するための触媒
処理部をさらに備えている。ここで用いられる触媒は、
活性炭素繊維からなる担体と、担体に担持された金元素
からなる第1触媒成分と、担体に担持されかつマグネシ
ウム、アルミニウム、ケイ素、チタン、マンガン、鉄、
コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコ
ニウム、ニオブ、モリブデン、インジウム、スズ、ラン
タンおよびセリウムからなる元素群から選ばれた少なく
とも1種の元素の酸化物からなる第2触媒成分とを含ん
でいる。
【0010】本発明の廃棄物焼却方法は、廃棄物を焼却
処理する焼却工程と、ダイオキシン類の生成温度を超え
る温度領域において、焼却工程において生成した粉塵を
含む排気ガスから粉塵を除去するための工程とを含んで
いる。この場合、上述の温度領域の下限は、例えば、3
50℃である。
【0011】
【作用】本発明の廃棄物焼却装置において、廃棄物を焼
却部で焼却処理する際に発生する排気ガスは、排出部か
ら外部に排出される前にバグフイルターにより処理され
る。ここで、バグフイルターは、上述のような耐熱性を
有するフイルター部を有しているため、ダイオキシン類
の生成温度を超える温度で焼却部からの排気ガスを処理
することができる。したがって、このバグフイルター
は、焼却部からの排気ガスがダイオキシン類の生成温度
まで冷却される前に、ダイオキシン類の生成触媒となり
得る化合物が付着したフライアッシュなどの粉塵を排気
ガス中から予め除去することができる。このため、排気
ガス中に含まれるダイオキシン類前駆体は、排気ガスが
ダイオキシン類の生成温度まで冷却された場合でもダイ
オキシン類に変化しにくくなる。
【0012】なお、この廃棄物焼却装置が上述のような
冷却部を備えている場合は、バグフイルターで処理され
る排気ガスの温度が低下するので、バグフイルターのフ
イルター部を長寿命化することができる。
【0013】また、この廃棄物処理装置が上述のような
触媒処理部を備えている場合は、万が一ダイオキシン類
が生成したとしても、このダイオキシン類やその前駆体
等の塩素化有機化合物は、触媒処理部の触媒により効果
的に分解除去され、排気ガス中から除去される。
【0014】本発明の廃棄物焼却方法は、ダイオキシン
類の生成温度を超える温度領域において、排気ガス中か
ら粉塵を除去しているので、排気ガスがダイオキシン類
の生成温度まで冷却された場合でもダイオキシン類が生
成しにくい。
【0015】
【発明の実施の形態】廃棄物焼却装置 図1を参照して、本発明の実施の一形態に係る廃棄物焼
却装置を説明する。図において、廃棄物焼却装置1は、
焼却炉2(焼却部の一例)、排気ガス流路3、バグフイ
ルター4、排気ガス処理塔5(触媒処理部の一例)およ
び煙突6(排出部の一例)を主に備えている。
【0016】焼却炉2は、1次焼却炉7と、その上部に
配置された2次焼却炉8とを備えている。1次焼却炉7
は、産業廃棄物や家庭ごみなどの廃棄物Gを焼却するた
めの燃焼室9を有しており、燃焼室9には2次焼却炉8
に向けて排気路10が連結している。2次焼却炉8は、
一端が排気路10に連結された塔状に構成されており、
排気路10側から順に再燃バーナー11、セラミックチ
ェッカー12、2次燃焼室13およびエジェクター送風
機14を備えている。
【0017】排気ガス流路3は、焼却炉2の2次焼却炉
8とバグフイルター4とを連結しており、中間部に冷却
塔15、すなわち冷却部を有している。冷却塔15は、
冷却水の供給路16を備えた水噴射装置17を備えてい
る。水噴射装置17は、焼却炉2からの排気ガスに対し
て水を噴射し、排気ガスを冷却するためのものである。
【0018】バグフイルター4は、焼却炉2からの排気
ガス中に含まれるフライアッシュ(飛灰)を含む粉塵を
除去するためのものであり、排気ガス流路3と排気ガス
処理塔5との間に配置されている。なお、このバグフイ
ルター4の詳細については後述する。
【0019】排気ガス処理塔5は、バグフイルター4か
らの排気ガスを処理するためのものであり、バグフイル
ター4と煙突6との間に配置されている。この排気ガス
処理塔5は、内部に触媒18aを充填するための触媒室
18を備えており、そこには排気ガスの流入路19と流
出路20とが接続されている。流入路19の一端は、バ
グフイルター4に接続されている。また、流入路19お
よび流出路20には、それぞれ排気ガスの分析用試料を
採取するための採取口19a、20aが設けられてい
る。なお、この排気ガス処理塔5で用いられる触媒18
aの詳細については後述する。
【0020】煙突6は、排気ガス処理塔5の流出路20
の先端部に配置されており、排気ガス処理塔5からの排
気ガスを廃棄物焼却装置1の外部に放出するためのもの
である。
【0021】バグフイルター4 上述の廃棄物焼却装置1で用いられるバグフイルター4
は、いわゆるパルスジェットタイプのバグフイルターで
あり、図2に示すように、ホッパー21と、ホッパー2
1内に配置された多数のフイルター部材22とを主に備
えている。
【0022】ホッパー21は、仕切り板23により内部
が上下に区画されている。仕切り板23は、フイルター
部材22を装着するための孔部24を多数有しており、
当該孔部24のそれぞれにはホッパー21の底部方向に
向けてベンチュリー25が取付けられている。この仕切
り板23の上方には、各ベンチュリー25に向けて圧縮
空気を噴出するための噴出ノズル管26が配置されてい
る。
【0023】また、ホッパー21は、仕切り板23によ
り区画された下方の空間に導入ポート27を、また仕切
り板23により区画された上方の空間に排出ポート28
をそれぞれ有している。そして、導入ポート27には排
気ガス流路3の一端が接続されており、また、排出ポー
ト28には排気ガス処理塔5の流入路19の一端が接続
されている。さらに、ホッパー21の底部には、ダスト
排出口29が設けられている。
【0024】一方、フイルター部材22は、ダイオキシ
ン類の生成温度(通常、350℃前後)を超える温度領
域で耐熱性を有するフイルター材を用いて形成された、
円筒状の部材であり、一端が開口されかつ他端が閉鎖さ
れている。各フイルター部材22は、ベンチュリー25
が内部に配置されるように、開口側が仕切り板23の孔
部24に個別に装着されている。
【0025】このようなフイルター部材22を形成する
上述のフイルター材としては、例えば耐熱性フエルトを
用いることができる。ここで、利用可能な耐熱性フエル
トとしては、例えば次の形態1および形態2の2種類の
ものを挙げることができる。 (形態1の耐熱性フエルト)この耐熱性フエルトは、布
帛層と、それに交絡する繊維群とを主に備えている。布
帛層は、炭素繊維および耐炎化繊維のうちの少なくとも
1つ、すなわち、炭素繊維、耐炎化繊維または炭素繊維
と耐炎化繊維との混合繊維を用いて形成されている。
【0026】ここで用いられる炭素繊維は、公知の各種
のものであって特に限定されるものではないが、例えば
ピッチ系炭素繊維、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、
レーヨン系炭素繊維などを挙げることができる。このう
ち、残炭率が高く、この耐熱性フエルトの耐熱性をより
高めることができることから、ピッチ系炭素繊維やポリ
アクリロニトリル系炭素繊維を用いるのが好ましい。な
お、炭素繊維は、2種以上のものが併用されてもよい。
【0027】一方、耐炎化繊維は、樹脂繊維を焼成・炭
化したものであり、公知の各種のものを利用することが
できる。耐炎化繊維として好ましいものは、この耐熱性
フエルトの耐熱性をより高めることができることから、
ポリアクリロニトリル系耐炎化繊維やフェノール系耐炎
化繊維などの残炭率の高いものである。なお、ポリアク
リロニトリル系耐炎化繊維としては、旭化成株式会社の
商品名“ラスタン”および東邦レーヨン株式会社の商品
名“パイロメックス”を例示することができ、一方、フ
ェノール系耐炎化繊維としては日本カイノール株式会社
の商品名“カイノール”を例示することができる。
【0028】上述の炭素繊維および耐炎化繊維として
は、通常、平均径が6〜18μmのものを用いるのが好
ましく、8〜13μmのものを用いるのがより好まし
い。平均径が6μm未満の場合は、生産効率の関係でコ
スト高になるおそれがある。逆に、18μmを超える
と、耐熱性フエルトの生産効率が低下し、また、この耐
熱性フエルトを用いて形成されるフイルター部材22に
よる粉塵の捕集効率が低下するおそれがある。
【0029】上述の繊維を用いて形成される布帛層の形
態は、特に限定されるものではないが、通常は織物、編
物または不織布である。このような形態は、布帛層を構
成する上述の繊維の種類に応じて適宜選択することがで
きる。また、布帛層の厚さは、特に限定されるものでは
ないが、通常、0.5〜2.0mm、好ましくは1.0
〜1.5mmである。
【0030】繊維群は、多数の繊維片からなり、布帛層
の両面側から布帛層に均一に交絡している。この繊維群
を構成する繊維は、布帛層を構成するものと同様の上述
の炭素繊維や耐炎化繊維である。なお、繊維群は、炭素
繊維単独または耐炎化繊維単独であってもよいし、炭素
繊維と耐炎化繊維との混合物であってもよい。また、炭
素繊維および耐炎化繊維は、それぞれ2種以上のものが
併用されてもよい。
【0031】この繊維群を構成する繊維は、通常、平均
径が6〜18μmのものが好ましく、8〜14μmのも
のがより好ましい。平均径が6μm未満の場合は、生産
効率の関係でコスト高になるおそれがある。逆に、18
μmを超えると、この耐熱性フエルトの生産効率が低下
し、また、この耐熱性フエルトを用いて形成されるフイ
ルター部材22による粉塵の捕集効率が低下するおそれ
がある。また、この繊維の長さ(平均繊維長)は、通
常、30〜200mmが好ましく、50〜150mmが
より好ましい。この長さが30mm未満の場合は、後述
する製造工程において、ニードルパンチ処理時に落綿
(繊維落ち)が多くなり、布帛層に繊維群が交絡しにく
くなるおそれがある。逆に、200mmを超えると、こ
の耐熱性フエルトの製造時において解繊工程が複雑にな
り、得られる耐熱性フエルトの均一性が損なわれるおそ
れがある。
【0032】因みに、この繊維群を構成する繊維は、布
帛層に交絡し易いことから、カールしたものが好まし
い。カールした繊維としては、例えば、いわゆる渦流法
により製造された炭素繊維、例えば、ドナック株式会社
の商品名“ドナカーボ”を挙げることができる。
【0033】この形態の耐熱性フエルトにおいて、上述
の布帛層と繊維群との割合は、特に限定されるものでは
ないが、通常、布帛層を10〜40重量%、好ましくは
20〜30重量%に設定し、繊維群を60〜90重量
%、好ましくは70〜80重量%に設定する。布帛層の
割合が10重量%未満でありかつ繊維群の割合が90重
量%を超える場合は、耐熱性フエルトの強度を維持する
のが困難になるおそれがあり、所要の強度を有するフイ
ルター部材22を形成するのが困難になるおそれがあ
る。逆に、布帛層の割合が40重量%を超えかつ繊維群
の割合が60重量%未満の場合は、この耐熱性フエルト
を用いて形成されたフイルター部材22による粉塵の捕
集効率が低下するおそれがある。
【0034】また、この形態の耐熱性フエルトは、通
常、その通気量が1〜50cc/cm 2・sec、好ま
しくは10〜30cc/cm2・sec、より好ましく
は15〜25cc/cm2・secになるよう、布帛層
の密度、布帛層に対する繊維群の交絡状態を適宜設定す
る。通気量が1cc/cm2・sec未満の場合は、フ
イルター部材22の圧力損失が大きくなり、目詰まりを
起こしやすくなるおそれがある。逆に、通気量が50c
c/cm2・secを超える場合は、フイルター部材2
2による粉塵の捕集効率が低下し、ダイオキシン類の生
成を効果的に抑制するのが困難になるおそれがある。
【0035】この形態に係る耐熱性フエルトは、上述の
ような特定の繊維からなる布帛層に対して上述のような
特定の種類の繊維群が交絡したものであるため、通常の
フエルトと同様に柔軟性や圧縮回復性を示し、しかも従
来のフエルトに比べて高い耐熱性を示す。このため、こ
の耐熱性フエルトを用いて形成されたフイルター部材2
2は、例えばダイオキシンの生成温度領域である350
℃前後を超える温度、例えば、350〜500℃の温度
範囲の排気ガスを処理することができる。
【0036】この形態の耐熱性フエルトを製造する場合
は、先ず、図3に示すように、上述のような炭素繊維お
よび耐炎化繊維のうちの少なくとも1つを用いて形成さ
れた上述の布帛層40を用意し、その両面の全体に繊維
の綿状体41を配置することにより積層体42を製造す
る。なお、ここで用いる綿状体41は、上述のような繊
維群を構成する繊維からなる綿状体、すなわち炭素繊維
および耐炎化繊維のうちの少なくとも1つの繊維からな
る綿状体である。
【0037】次に、得られた積層体42に対し、図4に
示すように、刺を有する針43を多数本用いてニードル
パンチ処理を施す。ここでは、綿状体41を構成する繊
維が針43の刺に引っ掛かりながら布帛層40内に押し
込まれ、当該繊維が布帛層40に交絡する。特に、綿状
体41を構成する繊維が上述のようなカールした繊維で
ある場合は、綿状体41が布帛層40に絡まりやすい。
この結果、布帛層40の両面に配置された綿状体41は
それぞれ布帛層40と一体化し、目的とする耐熱性フエ
ルトが得られる。なお、ニードルパンチ処理は、積層体
42の両面側から実施するのが好ましい。
【0038】(形態2の耐熱性フエルト)この形態に係
る耐熱性フエルトは、上述の形態1に係る耐熱性フエル
トと同様に、布帛層と、それに交絡した繊維群とを主に
備えている。
【0039】布帛層は、黒鉛化繊維を用いて構成された
もの、すなわち黒鉛化繊維布帛層であり、形態が特に限
定されるものではないが、通常は織物、編物または不織
布である。ここで用いられる黒鉛化繊維は、特に限定さ
れるものではないが、例えば形態1の耐熱性フエルトで
用いられる炭素繊維や耐炎化繊維を熱処理して黒鉛化し
たものである。
【0040】一方、繊維群は、多数の黒鉛化繊維片から
なる黒鉛化繊維群である。ここで用いられる黒鉛化繊維
は、黒鉛化繊維布帛層の場合と同様に特に限定されるも
のではないが、例えば形態1の耐熱性フエルトで用いら
れる炭素繊維や耐炎化繊維を熱処理して黒鉛化したもの
である。
【0041】なお、この形態の耐熱性フエルトにおい
て、黒鉛化繊維布帛層と繊維群との割合や通気性など
は、通常、上述の形態1の耐熱性フエルトの場合と同様
に設定するのが好ましい。
【0042】この形態に係る耐熱性フエルトは、上述の
ように黒鉛化繊維からなる黒鉛化繊維布帛層に黒鉛化繊
維群を交絡させたものであるため、通常のフエルトと同
様に柔軟性や圧縮回復性を示し、しかも形態1の耐熱性
フエルトよりもより高い耐熱性を示す。このため、この
耐熱性フエルトを用いて形成されたフイルター部材22
は、例えばダイオキシンの生成温度領域である350℃
前後を超える温度、例えば、350〜600℃の温度範
囲の排気ガスを処理することができる。
【0043】この形態の耐熱性フエルトは、例えば、上
述の製造方法に従って製造された形態1の耐熱性フエル
ト、すなわち、ニードルパンチ処理された積層体42を
さらに熱処理し、積層体42全体を黒鉛化すると製造す
ることができる。ここでの熱処理時の温度は、通常の黒
鉛化処理時の温度範囲、具体的には1,500〜2,2
00℃、好ましくは1,900〜2,100℃に設定す
ることができる。
【0044】なお、この形態の耐熱性フエルトは、他の
製造方法により製造することもできる。例えば、形態1
の耐熱性フエルトの製造方法で用いた布帛層40および
綿状体41を黒鉛化繊維を用いて形成し、そのような布
帛層40と綿状体41とからなる積層体42に対してニ
ードルパンチ処理を施すことにより製造することもでき
る。なお、この場合に用いられる黒鉛化繊維は、既述の
炭素繊維や耐炎化繊維を熱処理して黒鉛化したものであ
る。
【0045】触媒18a 排気ガス処理塔5の触媒室18内に充填される触媒18
aは、ダイオキシン類やその前駆体などの塩素化有機化
合物を分解可能な塩素化有機化合物分解用触媒である。
この塩素化有機化合物分解用触媒は、活性炭素繊維から
なる担体と、当該担体に担持された第1触媒成分および
第2触媒成分とを含んでいる。
【0046】この触媒で用いられる担体を構成する活性
炭素繊維は、特に限定されるものではなく、公知の各種
の炭素材前駆体を紡糸し、これを炭素化または不融化し
た後に賦活したものである。このような活性炭素繊維と
しては、ガス状の塩素化有機化合物に対する分解活性お
よび粒子状の塩素化有機化合物に対する吸着容量を可能
な限り高めることができるようにするために、比表面
積、細孔容量および細孔径のいずれもが大きなものを用
いるのが好ましい。なお、担体を構成する活性炭素繊維
は、2種以上のものが混合されたものであってもよい。
【0047】上述の活性炭素繊維として好ましいもの
は、ポリアクリロニトリル系活性炭素繊維、レーヨン系
活性炭素繊維、ピッチ系活性炭素繊維およびリグニン−
ポバール系活性炭素繊維からなる群から選ばれた少なく
とも1種のもの、すなわち、当該群から選ばれた1種の
ものまたは2種以上の混合物である。このような活性炭
素繊維を用いた場合は、比表面積、細孔容量および細孔
径を上述のように設定し易く、ガス状および粒子状の両
方の塩素化有機化合物を効果的に分解することができ
る。
【0048】なお、上述の活性炭素繊維は、第1触媒成
分および第2触媒成分の担持量を増大させることを目的
として、適宜表面処理されていてもよい。表面処理とし
ては、例えば、後述するような酸の水溶液による煮沸処
理や触媒エッチング処理を挙げることができる。
【0049】上述のような活性炭素繊維からなる担体に
担持される第1触媒成分は、金元素、好ましくは金元素
の微粒子からなる。担体に担持される第1触媒成分の量
は、通常、担体100g当たり0.05〜5g、好まし
くは0.1〜3g、より好ましくは0.5〜2gに設定
される。この担持量が0.05g未満の場合は、触媒活
性が低下する場合があるために排気ガス中に含まれる塩
素化有機化合物を効果的に除去するのが困難になり、結
果的に煙突6から排出される排気ガス中の塩素化有機化
合物濃度を低減するのが困難になるおそれがある。逆
に、5gを超えると、金の粒子のサイズが大きくなるた
め同様に触媒活性が極端に低下し、煙突6から排出され
る排気ガス中の塩素化有機化合物濃度を低減するのが困
難になるおそれがある。
【0050】なお、第1触媒成分は、通常、平均粒径が
20nm以下の微粒子状で担体に担持されているのが好
ましい。
【0051】一方、担体に担持される第2触媒成分は、
マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、チタン、マンガ
ン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウ
ム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、インジウム、
スズ、ランタンおよびセリウムからなる元素群から選ば
れた元素の酸化物である。なお、この第2触媒成分は、
当該元素群から選ばれた元素の酸化物が2種以上混合さ
れたものであってもよい。
【0052】上述の酸化物は、各元素の各種の酸化物で
あり、特に限定されるものではなく、例えば、酸化マグ
ネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al23)、
酸化ケイ素(SiO、SiO2)、酸化チタン(Ti
O、Ti23、TiO2)、酸化マンガン(MnO、M
34、Mn23、MnO2、MnO3、Mn27)、酸
化鉄(FeO、Fe34、Fe23)、酸化コバルト
(CoO、Co23、Co34、CoO2)、酸化ニッ
ケル(NiO、Ni34、NiO2)、酸化銅(Cu
2、CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウ
ム(Y23)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ニ
オブ(NbO、Nb23、NbO2、Nb25)、酸化
モリブデン(MoO、MoO2、Mo25、MoO3)、
酸化インジウム(In23)、酸化スズ(SnO、Sn
2)、酸化ランタン(La23)、酸化セリウム(C
23)を挙げることができる。このうち、第1触媒成
分である金微粒子の分散性を高めることができ、また、
この触媒の低温酸化分解活性を高めることができること
から、MgO、Al23、SiO2、TiO2、MnO、
Fe23、Co34、NiO、CuO、ZnO、Y
23、ZrO2、Nb25、MoO 3、In23、SnO
2、La23およびCe23を用いるのが好ましい。
【0053】担体に担持される第2触媒成分の量は、通
常、担体100g当たり1〜25g、好ましくは5〜2
5g、より好ましくは12〜20gに設定される。この
担持量が1g未満の場合は、触媒活性が低下する場合が
あるために排気ガス中に含まれる塩素化有機化合物を効
果的に分解できない場合があり、結果的に煙突6から排
出される排気ガス中の塩素化有機化合物濃度を低減する
のが困難になるおそれがある。逆に、25gを超える
と、担体から第2触媒成分が分離してしまうおそれがあ
る。
【0054】なお、担体に担持される上述の第1触媒成
分と第2触媒成分との比率は、通常、第2触媒成分に対
する第1触媒成分のモル比が0.005〜0.2、好ま
しくは0.01〜0.2、より好ましくは0.03〜
0.15になるよう設定する。このモル比が0.005
未満の場合は、触媒活性が低下し、煙突6から排出され
る排気ガス中の塩素化有機化合物濃度を低減するのが困
難になるおそれがある。逆に、0.2を超える場合は、
第1触媒成分である金微粒子のサイズが大きくなって触
媒活性が極端に低下し、煙突6から排出される排気ガス
中の塩素化有機化合物濃度を低減するのが困難になるお
それがある。
【0055】次に、上述の塩素化有機化合物分解用触媒
の製造方法について説明する。塩素化有機化合物分解用
触媒は、基本的に担体に対して第1触媒成分および第2
触媒成分を担持させることにより製造することができる
が、担体は、触媒成分が担持されやすいように予め表面
化学状態を改質しておくのが好ましい。
【0056】ここで、担体の表面化学状態を改質するた
めの方法としては、例えば酸の水溶液中で活性炭素繊維
を煮沸処理する方法や活性炭素繊維に対して所謂触媒エ
ッチング処理を施す方法などを採用することができる。
因みに、触媒エッチング処理とは、活性炭素繊維に所定
の触媒を分散させ、その触媒の作用により活性炭素繊維
の既存の細孔を拡大したり活性炭素繊維に新たな細孔を
形成する処理をいう。
【0057】このような表面改質処理が施された活性炭
素繊維は、第1触媒成分および第2触媒成分の付着性が
改善され、これらの触媒成分の担持量を高めることがで
きる。また、触媒エッチングを施した場合は、活性炭素
繊維の比表面積、細孔容積および平均細孔径を増大させ
ることもできるので、粒子状の塩素化有機化合物に対す
る吸着・分解特性をより高めることができる。
【0058】例えば、ピッチ系活性炭素繊維(平均繊維
径=14.0μm、BET比表面積=1,920m2
g、平均細孔径=19.01オングストローム)に対
し、第1触媒成分として金を、また、第2触媒成分とし
て酸化鉄(Fe23)と酸化ランタン(La23)との
混合物を、それぞれ炭酸ナトリウム水溶液を沈殿剤とす
る共沈殿法により担持させる場合、ピッチ系活性炭素繊
維に対して酸の水溶液を用いた煮沸処理を実施しなけれ
ば、担持される触媒の総量はピッチ系活性炭素繊維10
0g当たり僅か2.5重量%である。これに対し、ピッ
チ系活性炭素繊維を30%硝酸水溶液の沸騰液中で2時
間煮沸した場合は、担持される触媒の総量がピッチ系活
性炭素繊維100g当たり13重量%になる。
【0059】一方、ピッチ系活性炭素繊維(平均繊維径
=14.0μm、BET表面積=1,920m2/g、
平均細孔径=19.01オングストローム)に対し、第
1触媒成分として金を、また、第2触媒成分として酸化
マグネシウム(MgO)を、それぞれ炭酸ナトリウム水
溶液を沈殿剤とする共沈殿法により担持させる場合、ピ
ッチ系活性炭素繊維に対して触媒エッチング処理を施さ
なければ、担持される触媒の総量はピッチ系活性炭素繊
維100g当たり僅か3.1重量%である。これに対
し、ピッチ系活性炭素繊維に対して触媒としてのニッケ
ルを0.5重量%分散してから500℃の水素雰囲気中
で1時間エッチング処理を施した場合は、担持される触
媒の総量がピッチ系活性炭素繊維100g当たり14.
1重量%になる。
【0060】活性炭素繊維を酸の水溶液中で煮沸してそ
の表面化学状態を改質する場合に用いられる酸の水溶液
は、無機酸の水溶液である。ここで利用可能な無機酸と
しては、例えば硝酸、塩酸、硫酸およびリン酸を挙げる
ことができる。なお、このような無機酸の水溶液は、2
種以上の無機酸を混合して調製されたものであってもよ
い。また、無機酸の濃度は、通常、3%〜飽和濃度に設
定するのが好ましいが、酸濃度を高く設定した方が通常
はより良好な表面改質効果が得られる。
【0061】上述の酸の水溶液による活性炭素繊維の煮
沸処理温度は、室温から酸の水溶液の沸騰温度の範囲に
設定することができ、また、煮沸処理時間は、通常、1
分以上に設定される。なお、煮沸処理温度は高い程、ま
た、煮沸処理時間は長い程、より良好な表面改質効果が
得られる。
【0062】上述のような煮沸処理工程の終了後、処理
された活性炭素繊維を水洗浄する。ここでは、活性炭素
繊維に付着している酸および酸処理による生成物をイオ
ン交換水を用いて可能な限り洗い流すのが好ましい。活
性炭素繊維に酸や酸処理による生成物が残存している場
合は、塩素化有機化合物分解用触媒の分解活性が低下す
るおそれがある。
【0063】一方、活性炭素繊維に対して触媒エッチン
グ処理を施す場合は、先ず、活性炭素繊維に対してエッ
チング触媒を分散させる。ここで用いられるエッチング
触媒は、活性炭素繊維に対して水添加活性を有する金属
元素であり、例えば、鉄、ニッケル、ルテニウム、ロジ
ウム、パラジウムおよび白金からなる元素群から選ばれ
た少なくとも1種の金属元素である。このようなエッチ
ング触媒の分散量は、通常、活性炭素繊維100g当た
りに対し0.01〜5g、好ましくは0.05〜2.0
g、より好ましくは0.1〜1.0gに設定する。この
分散量が0.01g未満の場合は、活性炭素繊維の表面
を十分に改質できないおそれがある。逆に、5gを超え
る場合は、活性炭素繊維の表面全体が触媒エッチングさ
れる場合があり、微細な表面凹凸が形成できないおそれ
がある。
【0064】なお、上述のエッチング触媒は、上述の金
属元素の化合物として活性炭素繊維に分散されてもよ
い。この場合、上述の分散量は、金属元素換算の値であ
る。因みに、金属元素の化合物としては、例えば、酢酸
塩、硝酸塩、硫酸塩などを用いることができる。
【0065】活性炭素繊維に対してエッチング触媒を分
散させる方法としては、公知の各種の方法、例えば、含
浸法、沈殿析出法、共沈殿法および蒸着法などの公知の
金属分散方法を採用することができる。これらの分散方
法は、上述の金属元素またはその化合物の種類に応じて
適宜選択することができる。
【0066】上述のようにしてエッチング触媒が分散さ
れた活性炭素繊維をエッチングする際には、水素ガス、
水素と不活性ガスとの混合ガスなどの還元性ガス雰囲気
中において、300〜700℃(好ましくは350〜5
50℃)の温度範囲で活性炭素繊維を熱処理する。ここ
での処理温度が300℃未満の場合は、活性炭素繊維に
対して十分なエッチング効果を付与することができない
場合がある。逆に、700℃を超える場合は、活性炭素
繊維に分散させたエッチング触媒の微粒子が成長して焼
結されてしまい、目的とする塩素化有機化合物分解用触
媒の触媒活性が低下してしまうおそれがある。なお、こ
こでの処理時間は、通常、5分以上に設定するのが好ま
しいが、処理時間を長く設定する方が表面処理効果は高
くなる。
【0067】活性炭素繊維に対して上述のような触媒エ
ッチング処理を施した場合は、水添化活性を示す上述の
エッチング触媒の作用の下で、活性炭素繊維の表面の酸
素含有官能基や結合力の弱い炭素−炭素結合が水素等の
還元性ガスと反応して一酸化炭素、二酸化炭素および水
に転化され、生成したこれらの一酸化炭素、二酸化炭素
および水が活性炭素繊維の表面から脱落する。これによ
り、活性炭素繊維の既存の細孔が拡大され、また、活性
炭素繊維に新しい細孔が形成される。この結果、触媒エ
ッチング処理された活性炭素繊維は、比表面積、細孔容
積および平均細孔径が増大することになる。また、触媒
エッチング処理後の活性炭素繊維の表面は、官能基分布
および官能基濃度などの表面化学状態が処理前に比べて
変化し、金属や金属化合物、すなわち、第1触媒成分お
よび第2触媒成分の付着性が高まる。
【0068】活性炭素繊維に対する上述の煮沸処理およ
び触媒エッチング処理は、いずれか一方のみが実施され
てもよいし、両者が実施されてもよい。後者の場合、処
理の順序は特に限定されるものではなく、煮沸処理をし
てから触媒エッチング処理を施してもよいし、触媒エッ
チング処理の後に煮沸処理を施してもよい。但し、煮沸
処理と触媒エッチング処理の両方の処理による表面改質
効果をより効果的に引き出すためには、煮沸処理を施し
た後に触媒エッチング処理を施すのが好ましい。
【0069】次に、上述のようにして処理された活性炭
素繊維に対し、第1触媒成分および第2触媒成分を担持
させる。これらの触媒成分を活性炭素繊維に対して担持
させる方法としては、公知の各種の方法、例えば、含浸
法、析出沈殿担持法、共沈殿法およびクエン酸マグネシ
ウム添加沈殿法等の化学的手法、並びに蒸着法、練込法
等の物理的手法などの公知の金属または金属化合物の分
散・担持方法を採用することができる。
【0070】また、活性炭素繊維に対して触媒成分を担
持させる方法としては、第1触媒成分(即ち、金)に転
化し得る金化合物および第2触媒成分(即ち、上述のよ
うな元素の酸化物)に転化可能な前駆体を活性炭素繊維
に対して担持させた後、当該金化合物および前駆体をそ
れぞれ第1触媒成分および第2触媒成分に転化する方法
を採用することもできる。
【0071】このような方法を採用する場合、例えば、
金化合物としては金の水酸化物を用いることができ、前
駆体としては第2触媒成分を構成する上述の元素の水酸
化物を用いることができる。このような各種の水酸化物
は、例えば上述の共沈殿法を採用すると、活性炭素繊維
に対して付与することができる。
【0072】活性炭素繊維に対して付与された金の水酸
化物および上述の元素の水酸化物は、通常、活性炭素繊
維を不活性ガス雰囲気中で熱処理した後に還元性ガス雰
囲気中でさらに熱処理すると、それぞれ目的とする金お
よび上述の元素の酸化物に転化することができる。
【0073】ここで、不活性ガス雰囲気中での熱処理
は、活性炭素繊維に担持された上述の元素の水酸化物を
目的とする酸化物に転化させ、第2触媒成分を形成する
ための工程である。ここでの熱処理温度は、通常、25
0〜700℃、好ましくは300〜450℃に設定す
る。この処理温度が250℃未満の場合は、上述の元素
の水酸化物が目的とする酸化物に転化されにくくなるお
それがある。逆に、700℃を超える場合は、生成した
金属酸化物が焼結され、塩素化有機化合物分解用触媒の
触媒活性が低下するおそれがある。また、熱処理時間
は、通常、5分以上に設定するのが好ましい。熱処理時
間が5分未満の場合は、上述の元素の水酸化物が目的と
する酸化物に転化されにくい場合がある。
【0074】一方、還元性ガス雰囲気中での熱処理は、
上述の不活性ガス雰囲気中での熱処理により同時に生成
する金の酸化物を還元して金元素そのものに転化させ、
第1触媒成分を形成するための工程である。ここでの熱
処理温度は、通常、200〜600℃、好ましくは25
0〜400℃に設定する。この処理温度が200℃未満
の場合は、金の酸化物が金元素に転化されにくい場合が
ある。逆に、処理温度が600℃を超える場合は、上述
の不活性ガス雰囲気中での熱処理により生成した他の酸
化物(すなわち、第2触媒成分)が金属元素に還元され
てしまうおそれがある。また、熱処理時間は、金の酸化
物を金元素に転化させやすくするために、通常5分以上
に設定するのが好ましいが、処理時間が長くなり過ぎる
と、上述の不活性ガス雰囲気中での熱処理により生成し
た他の酸化物も対応する金属元素に同時に還元されてし
まうおそれがある。従って、処理温度と処理時間は、金
の酸化物のみが還元されて金元素に転化されるように、
適切に調整する必要がある。
【0075】廃棄物焼却方法 次に、上述の廃棄物焼却装置1を用いた廃棄物の焼却処
理方法を説明する。上述の廃棄物焼却装置1では、1次
焼却炉7の燃焼室9内に廃棄物Gを投入し、それを焼却
する。これにより発生する排気ガスは、排気路10を通
って2次焼却炉8の2次燃焼室13内に導かれ、そこの
再燃バーナー11により更に燃焼されてから排気ガス流
路3内に排出される。排気ガス流路3内に排出された排
気ガスは、冷却塔15により冷却される。ここでは、供
給路16から供給される冷却水が水噴射装置17から排
気ガスに対して直接に霧状に噴霧され、これにより排気
ガスが冷却される。
【0076】なお、このような冷却塔15での冷却過程
では、バグフイルター4内に流れ込む排気ガスの温度が
ダイオキシン類の生成温度(350℃程度)よりも高
く、バグフイルター4のフイルター部材22を構成する
上述の耐熱性フエルトの耐熱温度の上限よりも低い温度
範囲、具体的には350〜600℃、好ましくは350
〜500℃、より好ましくは350〜450℃になるよ
う設定するのが好ましい。換言すると、ここで設定すべ
き排気ガスの温度の下限は、通常、350〜400℃で
あるのが好ましい。冷却塔15による冷却過程で設定す
る排気ガスの温度がこの温度範囲より低温の場合は、排
気ガス流路3内を流れる排気ガス中でダイオキシン類が
生成する可能性が高まる。逆に、当該温度範囲より高温
の場合は、フイルター部材22の寿命が短くなり、バグ
フイルター4においてフイルター部材22を頻繁に交換
しなければならない場合がある。
【0077】上述の温度範囲に冷却された排気ガスは、
次に導入ポート27からバグフイルター4内に導入され
る。バグフイルター4内に導入された排気ガスは、図2
に矢印で示すように、各フイルター部材22を通過した
後、排出ポート28から排気ガス処理塔5の流入路19
内に排出される。この際、排気ガス中に含まれる、塩化
鉄や塩化銅などのダイオキシン類生成触媒となり得る化
合物が付着したフライアッシュを含む各種の粉塵は、フ
イルター部材22により濾過されて捕獲される。この結
果、排出ポート28から流入路19内に排出される排気
ガス中には、ダイオキシン類の生成触媒となり得る上述
の化合物が付着したフライアッシュを含む各種の粉塵が
取り除かれていることになる。
【0078】なお、フイルター部材22により除去され
た粉塵は、フイルター部材22に付着するが、この粉塵
は、噴出ノズル管26から各ベンチュリー25に向けて
圧縮空気を噴出させるとフイルター部材22から除去す
ることができる。ここでは、噴出ノズル管26からの圧
縮空気がベンチュリー25を通過してパルス流となり、
これがフイルター部材22を瞬時に膨張させて粉塵を効
果的に払い落とす。フイルター部材22から払い落とさ
れた粉塵は、ホッパー21の底部に溜り、ダスト排出口
29から適宜外部に排出される。
【0079】バグフイルター4において上述のようなフ
ライアッシュを含む粉塵が除去された排気ガスは、流入
路19内を排気ガス処理塔5に向けて流れる。流入路1
9内において、排気ガスは、徐々に自然冷却されてダイ
オキシン類の生成温度に至るが、そこに含まれていた上
述のダイオキシン類生成触媒は既に除去されているの
で、ダイオキシン類に転化し得るポリクロロビフェニル
(PCB)、トリクロロエチレン、トリクロロエタン、
ジクロロメタン、クロロフェノール類、クロロベンゼン
およびその他のハロゲン化炭化水素化合物などのダイオ
キシン類前駆体を含む場合であっても、これらのダイオ
キシン類前駆体はダイオキシン類に変化しにくい。換言
すると、流入炉19内では、ダイオキシン類が生成しに
くい。
【0080】なお、流入路19内を流れる排気ガスは、
排気ガス処理塔5において触媒18aにより効果的に処
理され得る温度範囲、すなわち触媒18aが最良の触媒
活性を示し得る温度範囲になるよう、自然冷却されるの
が好ましい。因みに、このような温度範囲は、通常、1
50〜300℃、好ましくは150〜250℃、より好
ましくは175〜225℃である。この温度が150℃
未満の場合は、排気ガスの温度が低くなり過ぎ、排気ガ
ス中に含まれる塩素化有機化合物が触媒18aにより分
解されにくくなるおそれがある。逆に、300℃を超え
ると、ダイオキシン類前駆体がダイオキシン類に転化す
る可能性が高まるおそれがある。
【0081】流入路19内を流れる排気ガスは、排気ガ
ス処理塔5の触媒室18内に導入され、その熱によりそ
こに充填された触媒18a、すなわち上述の塩素化有機
化合物分解用触媒を活性化し、当該触媒18aにより処
理される。ここで、触媒18aである塩素化有機化合物
分解用触媒は、上述のような担体に第1触媒成分と第2
触媒成分とを担持させたものであるため、排気ガス中に
含まれる塩素化有機化合物、例えば、上述のような各種
のダイオキシン類前駆体および排気ガスが焼却炉2から
触媒室18に至るまでの間に生成している可能性のある
ダイオキシン類を効果的に酸化分解して無毒性の低分子
化合物に転化する。
【0082】特に、この塩素化有機化合物分解用触媒
は、ガス状の塩素化有機化合物を効果的に酸化分解でき
るのは勿論であるが、担体として活性炭素繊維を用いて
いるため、その特有の多孔質構造のために従来の触媒で
は処理が困難であった粒子状の塩素化有機化合物、例え
ばバグフイルター4により除去されなかった粒子状の塩
素化有機化合物をも捕捉(吸着)して効果的に酸化分解
することができる。したがって、排気ガス中に含まれる
ダイオキシン類およびその前駆体は、ガス状または粒子
状に拘わらず塩素化有機化合物分解用触媒により効果的
に分解され、排気ガス中から除去される(無毒性の低分
子化合物に転化される)ことになる。
【0083】このようにして排気ガス処理塔5により処
理された排気ガスは、流出路20から煙突6に向けて排
出され、煙突6から外部、すなわち大気中に放出され
る。煙突6から放出される排気ガスは、上述のようにバ
グフイルター4および排気ガス処理塔5により処理され
ているため、ダイオキシン類およびその前駆体等の塩素
化有機化合物の濃度が国際毒性等価換算濃度で通常数n
g/Nm3以下に低減され得る。
【0084】なお、上述の廃棄物焼却装置1で用いられ
る触媒18aは、排気ガスの温度を上述の範囲に設定し
た場合に5,000hr-1以上の空間速度でダイオキシ
ン類やその前駆体などの塩素化有機化合物を酸化分解す
ることができる。また、この触媒18aは、塩素化有機
化合物を分解するため、塩素化有機化合物の付着による
活性低下を起こしにくい。したがって、この廃棄物焼却
装置1は、排気ガス中の塩素化有機化合物濃度を速やか
に低減させることができ、また、触媒18aを交換する
ことなく長期間継続的に運転することができる。
【0085】以上のように、この実施の形態に係る廃棄
物焼却装置1は、排気ガスがダイオキシン類の生成温度
まで冷却される前に排気ガス中からダイオキシン類の生
成に関与するフライアッシュ等の粉塵をバグフイルター
4を用いて予め除去しているため、ダイオキシン類の生
成そのものを抑制することができる。しかも、排気ガス
中に含まれる、廃棄物の焼却過程で生じた各種のダイオ
キシン類前駆体は、触媒18aにより効果的に分解され
て排気ガス中から除去される。従って、この廃棄物焼却
装置1は、ダイオキシン類やその前駆体が排気ガスと共
に大気中に放出されるのを効果的に防止することができ
る。
【0086】なお、廃棄物焼却装置1において、流入路
19内を流れる排気ガス中の塩素化有機化合物を分析す
るための試料は採取口19aから採取することができ、
また、煙突6から排出される直前の排気ガス中に含まれ
る塩素化有機化合物を分析するための試料は、採取口2
0aから採取することができる。この場合、試料の採取
方法および分析方法は、例えば、厚生省生活衛生局水道
環境部環境整備課編「廃棄物処理におけるダイオキシン
類標準測定分析マニュアル」(平成9年3月:財団法人
廃棄物研究財団発行)に記載された方法に従って実施す
ることができる。
【0087】以下に、上述の実施の形態に係る廃棄物焼
却装置1のバグフイルター4に用いられるフイルター部
材22を構成可能な耐熱性フエルトおよび触媒室18に
充填される触媒18a(塩素化有機化合物分解用触媒)
についての実験例を示す。
【0088】実験例1(耐熱性フエルト) フェノール系耐炎化繊維を用いて形成された、厚さが
0.8mmで秤量が190g/m2の平織物(日本カイ
ノール株式会社の商品名”カイノールクロス#50
7”)を用意した。この平織物の両面に、平均径が13
μmで長さが50mmのピッチ系炭素繊維(ドナック株
式会社の商品名”ドナカーボ”)と平均径が14μmで
長さが70mmのフェノール系耐炎化繊維(日本カイノ
ール株式会社の商品名”カイノール”)とを50重量%
づつ混合して調製した綿状体を300g/m2の割合で
配置し、積層体を得た。得られた積層体に対して両面側
からニードルパンチ処理を施してフエルトを製造し、こ
のフエルトを2,000℃で黒鉛化処理して耐熱性フエ
ルトを得た。
【0089】得られた耐熱性フエルトについて、耐熱性
試験を実施した。ここでは、酸素濃度が1%、3%、5
%または21%に設定されかつ温度が380℃または4
20℃に設定された試験気体を耐熱性フエルトに対して
24時間流し続け、24時間後の重量減量を調べた。結
果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】表1から、耐熱性フエルトは重量減量を実
質的に起こさず、ダイオキシン類の生成温度を超える温
度領域である380℃および420℃での耐熱性が極め
て良好であることがわかる。これより、このような耐熱
性フエルトをバグフイルター4のフイルター部材22に
用いた上述の廃棄物焼却装置1では、焼却炉2からの排
気ガス中に含まれる、ダイオキシン類の生成触媒が担持
されたフライアッシュなどの粉塵を、ダイオキシン類の
生成温度を超える温度領域においてバグフイルター4に
より除去可能なことがわかる。
【0092】実験例2(塩素化有機化合物分解用触媒) コールタールピッチ系活性炭素繊維(平均繊維径=1
4.0μm、BET比表面積=1,920m2/g、平
均細孔径=19.01オングストローム)100gと、
30%硝酸水溶液500gとを還流管付きのフラスコに
仕込み、硝酸水溶液の沸騰温度で2時間煮沸した。その
後、硝酸水溶液から活性炭素繊維を取り出してイオン交
換水を用いて十分に洗浄し、120℃で乾燥した。
【0093】次に、煮沸処理した活性炭素繊維の全量
と、塩化金酸四水和物(HAuCl4・4H2O)3.2
4g、硝酸鉄(Fe(NO33・6H2O)53.13
gおよび硝酸ランタン(La(NO33・nH2O)1
1.96gを溶解した水溶液1,000gとをデジタル
pH計を取付けたビーカー内に入れた。そして、ビーカ
ー内の溶液を攪拌しながら5重量%の炭酸ナトリウム水
溶液を緩やかに滴下し、当該溶液のpHを8.0に設定
した。その後、ビーカーから活性炭素繊維を取り出して
水で洗浄し、120℃で8時間乾燥した。これにより、
金、鉄およびランタンのそれぞれの水酸化物を担持した
活性炭素繊維を得た。
【0094】次に、上述の水酸化物を担持した活性炭素
繊維をセラミック製の管状電気炉内に充填し、450℃
の窒素雰囲気中で2時間焼成した後に350℃の水素雰
囲気中でさらに1時間還元処理した。これにより、第1
触媒成分としての金と、第2触媒成分としての酸化鉄
(Fe23)および酸化ランタン(La23)とが活性
炭素繊維上に担持された塩素化有機化合物分解用触媒が
得られた。なお、この触媒は、第1触媒成分と第2触媒
成分との重量比率(第1触媒成分/第2触媒成分)が
7.5/100、第2触媒成分を構成する酸化鉄と酸化
ランタンとの重量比率(酸化ランタン/酸化鉄)が30
/70、全触媒成分の合計と活性炭素繊維との重量比率
(全触媒成分/活性炭素繊維)が13.0/100であ
った。
【0095】得られた塩素化有機化合物分解用触媒につ
いて、o−クロロフェノールに対する酸化分解活性を評
価した。ここでは、内容積が113mlのステンレス製
反応管(内径19mm×長さ400mm)を用いた流通
反応器内に得られた塩素化有機化合物分解用触媒を充填
し、この反応器に空間速度4,000hr-1、温度22
0℃の条件下で3,500ppmのo−クロロフェノー
ルを含有する空気を試料として流した。この際、反応器
を通過する前後の試料中のo−クロロフェノール濃度を
FID検出器付のガスクロマトグラフを用いて分析し、
その分析値から下記の計算式に従ってo−クロロフェノ
ールの分解率を求めた。結果は95.6%であった。
【0096】
【数1】
【0097】実験例3(塩素化有機化合物分解用触媒) 実験例2用いたものと同様のコールタールピッチ系活性
炭素繊維100gを実験例2の場合と同様の条件で煮沸
処理した。このようにして処理された活性炭素繊維の全
量と、塩化金酸四水和物(HAuCl4・4H2O)3.
24gおよび硝酸マグネシウム(Mg(NO33・6H
2O)95.44gを溶解した水溶液1,000gとを
デジタルpH計を取付けたビーカー内に入れた。そし
て、ビーカー内の溶液を攪拌しながら5重量%の炭酸ナ
トリウム水溶液を緩やかに滴下し、当該溶液のpHを1
0.2に設定した。その後、ビーカーから活性炭素繊維
を取り出して水で洗浄し、120℃で8時間乾燥した。
これにより、金およびマグネシウムのそれぞれの水酸化
物を担持した活性炭素繊維を得た。
【0098】次に、得られた活性炭素繊維を実験例2の
場合と同様の条件で窒素雰囲気中および水素雰囲気中で
熱処理し、第1触媒成分としての金と、第2触媒成分と
しての酸化マグネシウム(MgO)とが活性炭素繊維上
に担持された塩素化有機化合物分解用触媒を得た。な
お、この触媒は、第1触媒成分と第2触媒成分との重量
比率(第1触媒成分/第2触媒成分)が6.3/10
0、全触媒成分の合計と活性炭素繊維との重量比率(全
触媒成分/活性炭素繊維)が13.5/100であっ
た。
【0099】得られた塩素化有機化合物分解用触媒につ
いて、実験例2の場合と同様にしてo−クロロフェノー
ルに対する酸化分解活性を評価したところ、結果は8
4.3%であった。
【0100】実験例4(塩素化有機化合物分解用触媒) 実験例2で用いたものと同様のコールタールピッチ系活
性炭素繊維100gを実験例2の場合と同様の条件で煮
沸処理した。このようにして処理された活性炭素繊維の
全量と、塩化金酸四水和物(HAuCl4・4H2O)
3.24g、硝酸鉄(Fe(NO33・9H2O)5
3.13gおよび硝酸セリウム(Ce(NO33・6H
2O)11.91gを溶解した水溶液1,000gとを
デジタルpH計を取付けたビーカー内に入れた。そし
て、ビーカー内の溶液を攪拌しながら5重量%の炭酸ナ
トリウム水溶液を緩やかに滴下し、当該溶液のpHを
8.2に設定した。その後、ビーカーから活性炭素繊維
を取り出して水で洗浄し、120℃で8時間乾燥した。
これにより、金、鉄およびセリウムのそれぞれの水酸化
物を担持した活性炭素繊維を得た。
【0101】次に、得られた活性炭素繊維を実験例2の
場合と同様の条件で窒素雰囲気中および水素雰囲気中で
熱処理し、第1触媒成分としての金と、第2触媒成分と
しての酸化鉄(Fe23)および酸化セリウム(Ce2
3)とが活性炭素繊維上に担持された塩素化有機化合
物分解用触媒を得た。なお、この触媒は、第1触媒成分
と第2触媒成分との重量比率(第1触媒成分/第2触媒
成分)が6.5/100、第2触媒成分を構成する酸化
セリウムと酸化鉄の重量比率(酸化セリウム/酸化鉄)
が30/70、全触媒成分の合計と活性炭素繊維との重
量比率(全触媒成分/活性炭素繊維)が13.7/10
0であった。
【0102】得られた塩素化有機化合物分解用触媒につ
いて、実験例2の場合と同様にしてo−クロロフェノー
ルに対する酸化分解活性を評価したところ、結果は9
3.3%であった。
【0103】実験例5(塩素化有機化合物分解用触媒) 実験例2で用いたものと同様のコールタールピッチ系活
性炭素繊維100gを用意した。また、このコールター
ルピッチ系活性炭素繊維100gの飽和吸水量と同量の
水に0.5gのニッケルに相当する酢酸ニッケル((C
3COO)2Ni・4H2O)を溶解して450gの酢
酸ニッケル水溶液を調製した。そして、この酢酸ニッケ
ル水溶液にコールタールピッチ系活性炭素繊維を浸漬し
て攪拌し、当該水溶液の全量をコールタールピッチ系活
性炭素繊維に吸収させた。その後、活性炭素繊維を12
0℃の乾燥器内で8時間乾燥し、活性炭素繊維から水分
を除去した。これにより、酢酸ニッケルが分散された活
性炭素繊維を得た。
【0104】次に、酢酸ニッケルが分散された活性炭素
繊維をセラミック製の管状電気炉内に充填し、500℃
に設定された100%の水素雰囲気中で4時間エッチン
グ処理した。このようにしてエッチング処理された活性
炭素繊維の全量と、塩化金酸四水和物(HAuCl4
4H2O)3.24g、硝酸鉄(Fe(NO33・6H 2
O)53.13gおよび硝酸ランタン(La(NO33
・nH2O)11.96gを溶解した水溶液1,000
gとをデジタルpH計を取付けたビーカー内に入れた。
そして、ビーカー内の溶液を攪拌しながら5重量%の炭
酸ナトリウム水溶液を緩やかに滴下し、当該溶液のpH
を8.0に設定した。その後、ビーカーから活性炭素繊
維を取り出して水で洗浄し、120℃で8時間乾燥し
た。これにより、金、鉄およびランタンのそれぞれの水
酸化物を担持した活性炭素繊維を得た。
【0105】次に、得られた活性炭素繊維を実験例2の
場合と同様の条件で窒素雰囲気中および水素雰囲気中で
熱処理し、第1触媒成分としての金と、第2触媒成分と
しての酸化鉄(Fe23)および酸化ランタン(La2
3)とが活性炭素繊維上に担持された塩素化有機化合
物分解用触媒を得た。なお、この触媒は、第1触媒成分
と第2触媒成分との重量比率(第1触媒成分/第2触媒
成分)が8.0/100、第2触媒成分を構成する酸化
ランタンと酸化鉄の重量比率(酸化ランタン/酸化鉄)
が30/70、全触媒成分の合計と活性炭素繊維との重
量比率(全触媒成分/活性炭素繊維)が14.2/10
0であった。
【0106】得られた塩素化有機化合物分解用触媒につ
いて、実験例2の場合と同様にしてo−クロロフェノー
ルに対する酸化分解活性を評価したところ、結果は9
7.7%であった。
【0107】実験例6(塩素化有機化合物分解用触媒) 活性炭素繊維として実験例2の場合と同様に煮沸処理さ
れたものを用いた点を除いて実験例5と同様に操作し、
第1触媒成分としての金と、第2触媒成分としての酸化
鉄(Fe23)および酸化ランタン(La23)とが活
性炭素繊維上に担持された塩素化有機化合物分解用触媒
を得た。なお、この触媒は、第1触媒成分と第2触媒成
分との重量比率(第1触媒成分/第2触媒成分)が9.
8/100、第2触媒成分を構成する酸化ランタンと酸
化鉄の重量比率(酸化ランタン/酸化鉄)が30/10
0、全触媒成分の合計と活性炭素繊維との重量比率(全
触媒成分/活性炭素繊維)が14.9/100であっ
た。
【0108】得られた塩素化有機化合物分解用触媒につ
いて、実験例2の場合と同様にしてo−クロロフェノー
ルに対する酸化分解活性を評価したところ、結果は9
9.5%であった。
【0109】以上の実験例2〜6により、上述の実施の
形態に係る廃棄物焼却装置1は、排気ガス中に含まれる
ダイオキシン類前駆体やダイオキシン類などの塩素化有
機化合物を上述の排気ガス処理塔5において分解除去で
きることがわかる。
【0110】[他の実施の形態] (1)上述の実施の形態では、冷却部として水噴射装置
17を備えた冷却塔15を用いた場合について説明した
が、冷却部を他の形態の冷却装置により構成した場合も
本発明を同様に実施することができる。
【0111】(2)上述の実施の形態では、排気ガス中
に含まれるフライアッシュなどの粉塵を除去するために
耐熱性フエルトからなるフイルター部材22を備えたバ
グフイルター4を用いたが、本発明に係る廃棄物焼却方
法は、このようなバグフイルター4に代えてダイオキシ
ン類の生成温度を超える温度で使用可能なサイクロンや
電気集塵機を用いた場合も同様に実施することができ
る。
【0112】(3)上述の実施の形態では、排気ガス処
理塔5の流入路19において、触媒18aが好ましい活
性を示す温度範囲に排気ガスを自然冷却する場合につい
て説明したが、流入路19に冷却装置を適宜配置し、こ
れにより排気ガスを適温に冷却することもできる。
【0113】
【発明の効果】本発明の廃棄物焼却装置は、上述のよう
な耐熱性を有するフイルター部を備えたバグフイルター
を用いているので、ダイオキシン類の生成温度を超える
温度領域で排気ガス中に含まれるフライアッシュ等の粉
塵を当該バグフイルターにより除去することができ、ダ
イオキシン類の生成そのものを抑制することができる。
【0114】なお、この廃棄物焼却装置が上述のような
触媒処理部を備えている場合は、排気ガス中に含まれる
ダイオキシン類前駆体をも排気ガス中から効果的に除去
することができる。
【0115】また、本発明に係る廃棄物焼却方法は、ダ
イオキシン類の生成温度を超える温度領域において、焼
却工程において生成したフライアッシュ等の粉塵を含む
排気ガスから当該粉塵を除去しているので、ダイオキシ
ン類の生成そのものを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態に係る廃棄物焼却装置の
概略図。
【図2】前記実施の形態で用いられるバグフイルターの
断面図。
【図3】前記実施の形態で用いられる耐熱性フエルトの
製造工程を示す図。
【図4】前記実施の形態で用いられる耐熱性フエルトの
製造工程を示す図。
【符号の説明】
1 廃棄物焼却装置 2 焼却炉 4 バグフイルター 5 排気ガス処理塔 6 煙突 15 冷却塔 18a 触媒 22 フイルター部材
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F23G 5/44 ZAB B01D 53/36 G Fターム(参考) 3K065 HA03 4D048 AA11 AB01 AB03 BA01X BA03Y BA05X BA06Y BA07Y BA08Y BA13X BA16Y BA17Y BA18X BA18Y BA19X BA21Y BA24Y BA26Y BA28Y BA34X BA35Y BA36X BA37Y BA38X BA41X BA42X BB08 BB17 CA03 CD05 CD06 CD08 CD10 DA01 DA02 DA03 DA05 DA06 DA08 DA11 EA04 4D058 JA04 JB04 JB25 JB41 KB05 MA15 MA22 MA25 RA15 SA20 UA03 4G069 AA01 AA03 AA08 AA12 BA01A BA02A BA04A BA05A BA06A BA06B BA08A BA08B BB02A BB02B BB04A BB04B BB06A BB06B BC18A BC22A BC31A BC33A BC33B BC35A BC40A BC42A BC42B BC43A BC43B BC55A BC59A BC62A BC66A BC66B BC67A BC68A BC68B CA04 CA07 CA10 CA11 DA06 EA03Y EC05Y EC13Y FA01 FA02 FB09 FB14 FB30 FB44 FB49

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】廃棄物を焼却処理するための廃棄物焼却装
    置であって、 前記廃棄物を焼却して排気ガスを排出する焼却部と、 前記焼却部からの前記排気ガスを処理するためのバグフ
    イルターと、 前記バグフイルターにより処理された前記排気ガスを外
    部に排出するための排出部とを備え、 前記バグフイルターは、ダイオキシン類の生成温度を超
    える温度領域で耐熱性を有しかつ前記排気ガスを処理す
    るためのフイルター部を有している、廃棄物焼却装置。
  2. 【請求項2】前記フイルター部が、炭素繊維および耐炎
    化繊維のうちの少なくとも1つを用いて形成された布帛
    層と、前記布帛層に交絡する、炭素繊維および耐炎化繊
    維のうちの少なくとも1つの繊維群とを備えた耐熱性フ
    エルト、および黒鉛化繊維を用いて形成された黒鉛化繊
    維布帛層と、前記黒鉛化繊維布帛層に交絡する黒鉛化繊
    維群とを備えた耐熱性フエルトのうちの少なくとも一つ
    の耐熱性フエルトを用いて形成されている、請求項1に
    記載の廃棄物焼却装置。
  3. 【請求項3】前記焼却部と前記バグフイルターとの間
    に、前記焼却部からの前記排気ガスを冷却するための冷
    却部をさらに備えている、請求項1または2に記載の廃
    棄物焼却装置。
  4. 【請求項4】前記バグフイルターと前記排出部との間
    に、前記バグフイルターにより処理された前記排気ガス
    を触媒を用いて処理するための触媒処理部をさらに備
    え、 前記触媒は、活性炭素繊維からなる担体と、前記担体に
    担持された金元素からなる第1触媒成分と、前記担体に
    担持されかつマグネシウム、アルミニウム、ケイ素、チ
    タン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、
    イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、イ
    ンジウム、スズ、ランタンおよびセリウムからなる元素
    群から選ばれた少なくとも1種の元素の酸化物からなる
    第2触媒成分とを含んでいる、請求項1、2または3に
    記載の廃棄物焼却装置。
  5. 【請求項5】廃棄物を焼却処理する焼却工程と、 ダイオキシン類の生成温度を超える温度領域において、
    前記焼却工程において生成した粉塵を含む排気ガスから
    前記粉塵を除去するための工程と、を含む廃棄物焼却方
    法。
  6. 【請求項6】前記温度領域の下限が350℃である、請
    求項5に記載の廃棄物焼却方法。
JP10196161A 1998-07-10 1998-07-10 廃棄物焼却装置および廃棄物焼却方法 Pending JP2000024437A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10196161A JP2000024437A (ja) 1998-07-10 1998-07-10 廃棄物焼却装置および廃棄物焼却方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10196161A JP2000024437A (ja) 1998-07-10 1998-07-10 廃棄物焼却装置および廃棄物焼却方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000024437A true JP2000024437A (ja) 2000-01-25

Family

ID=16353232

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10196161A Pending JP2000024437A (ja) 1998-07-10 1998-07-10 廃棄物焼却装置および廃棄物焼却方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000024437A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007127112A (ja) * 2005-10-07 2007-05-24 Ibiden Co Ltd 保持シール材および排気ガス処理装置
JP2010021592A (ja) * 2009-10-28 2010-01-28 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 金の表面処理方法
KR101395750B1 (ko) 2011-11-15 2014-05-27 주식회사 세종플랜트 다이옥신 처리방법 및 그 처리 설비 구조
CN113332844A (zh) * 2021-02-20 2021-09-03 周鼎力 一种催化分解二噁英处理垃圾的方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007127112A (ja) * 2005-10-07 2007-05-24 Ibiden Co Ltd 保持シール材および排気ガス処理装置
US8475721B2 (en) 2005-10-07 2013-07-02 Ibiden Co., Ltd. Holding sealer and exhaust gas processing device
JP2010021592A (ja) * 2009-10-28 2010-01-28 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 金の表面処理方法
KR101395750B1 (ko) 2011-11-15 2014-05-27 주식회사 세종플랜트 다이옥신 처리방법 및 그 처리 설비 구조
CN113332844A (zh) * 2021-02-20 2021-09-03 周鼎力 一种催化分解二噁英处理垃圾的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101973901B1 (ko) 키토산-금속 복합물을 활용하여, 나노촉매가 기능화된 금속산화물 나노섬유 및 이를 이용한 가스센서용 부재, 가스센서 및 그 제조방법
WO2009052274A1 (en) Purification device and method for purifying a fluid stream
EP0643613B1 (en) A process for the conversion of n2o
CN104226020A (zh) 一种具有催化功能的复合型纳米滤料及其制备方法和应用
CN110124508A (zh) 一种脱硝脱二噁英除尘三位一体催化功能滤袋
US20180250665A1 (en) Method for preparing a catalyst-containing ceramic filter for off-gas or exhaust gas cleaning
Xu et al. One stone two birds: a sinter-resistant TiO 2 nanofiber-based unbroken mat enables PM capture and in situ elimination
JP2000024437A (ja) 廃棄物焼却装置および廃棄物焼却方法
WO2022095619A1 (zh) 空气净化器和催化剂的制备方法
CN108452589B (zh) 一种三明治式载体滤布
JPH05154345A (ja) 廃ガスからばい塵および有機化合物類を除去する方法
JP2915393B1 (ja) 塩素化有機化合物分解用触媒およびその製造方法
JP6602565B2 (ja) バグフィルター型集塵装置
JP2006525216A (ja) アンモニア酸化の方法
JP4431528B2 (ja) ディーゼルパティキュレートフィルタの製造方法
JPH10296087A (ja) 脱臭触媒及びその製造方法
JPH11300160A (ja) 廃棄物焼却装置および廃棄物焼却方法
JP4918230B2 (ja) ディーゼルパーティキュレートフィルタ及びこれを用いた浄化装置
JPH11207149A (ja) 金属担持光触媒型の空気清浄器
JP2017127822A (ja) 揮発性有機化合除去編織物
CN110449136A (zh) 用于降解室内VOCs的原子级活性位点复合纳米催化纤维的制备方法
KR102092452B1 (ko) 나노입자 촉매와 다중채널 기공이 포함된 금속산화물 나노섬유를 이용한 가스센서용 부재, 가스센서 및 그 제조방법
CN115676896A (zh) 一种非晶态锰氧化物复合材料及其制备方法和应用
WO2000016898A1 (fr) Catalyseur de decomposition des composes organiques chlores
Thien et al. Au nanoparticles loaded Hydroxyapatite catalyst prepared from waste eggshell: synthesis, characterization and application in VOC removal

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040329

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050201

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20050607