JP2000023672A - プロモーター - Google Patents

プロモーター

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JP2000023672A
JP2000023672A JP10196343A JP19634398A JP2000023672A JP 2000023672 A JP2000023672 A JP 2000023672A JP 10196343 A JP10196343 A JP 10196343A JP 19634398 A JP19634398 A JP 19634398A JP 2000023672 A JP2000023672 A JP 2000023672A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】細菌用プロモータートラップベクターおよびこ
のベクターを用いて細菌プロモーターを提供すること 【解決手段】制限酵素部位を有する配列、細菌のリボゾ
ーム結合部位配列、およびGFPをコードする配列をこの
順に有するベクターを作成する。この制限酵素部位に細
菌の染色体を挿入し、GFPの発現をUVで検出する。この
ベクターでErwinia ananas株のプロモーターを取得す
る。このErwinia ananas株のプロモーターを用いて効率
的な生物的防除剤が製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細菌のプロモータ
ーを探索するためのプロモータートラップベクター、お
よびこのベクターを用いる細菌プロモーターの探索方法
に関する。また、本発明は、Erwinia属に属する細菌に
由来するプロモーターに関する。
【0002】
【従来の技術】植物の地上部病害を植物の葉面に棲息す
る細菌(葉面細菌)により防御すること、すなわち生物
的防除(バイオコントロール)は、古くから関心がもた
れているテーマであり、これまで多くの研究成果が発表
されてきた。しかし、室内実験では効果が認められる
が、圃場レベルでは期待した効果が得られない事例が多
く、実用化段階に到達したものはほとんどない(佐藤
ら、農業有用微生物、 p123-135, 養賢堂(東京)(199
0))。
【0003】近年、遺伝子組換え技術を利用して葉面細
菌に外来遺伝子を組み込んでより効果的な生物防除微生
物剤を開発しようという試みが進められている(伊代住
(Iyosumi)ら, Ann. Phytopathol. Soc. Jpn., 62: 559-
565 (1996))。
【0004】ところで、これまで葉面細菌を宿主として
組換え微生物を取得する場合において、外来遺伝子発現
のスイッチであるプロモーター配列についてあまり考慮
されず、主に大腸菌由来のプロモーター配列が利用され
てきた。このため組換え葉面細菌では、外来遺伝子を発
現させるプロモーターが十分に機能せず、結果的に外来
遺伝子の発現量が不十分であるのではないかと指摘され
ていた。
【0005】そこで、より精巧かつ効果的な組換え生物
防除微生物剤を作出するために、宿主となる葉面細菌由
来のプロモーターの探索が望まれている。
【0006】プロモーターの探索法としては、トランス
ポゾンを利用する方法とトラップベクターを利用する方
法とに大きく分けることができる(ファンオーバービー
ク(Van Overbeek)ら、Modern Soil Microbiology, p
441-477, Marcel Dekker (New York) (1997))。
【0007】トランスポゾンを利用してプロモーターを
探索する方法は、以下の通りである。まず、トランスポ
ゾンの内部にプロモーターを欠如させたレポーター遺伝
子を挿入する。ついで、このプロモーターの欠如したレ
ポーター遺伝子を有するトランスポゾンを、自殺プラス
ミドを介して目的とする宿主細菌に導入すると、トラン
スポゾン変異によりこのトランスポゾンが宿主細菌のゲ
ノムに挿入される。トランスポゾンが、宿主のゲノムの
プロモーター領域の下流に挿入されると、この宿主ゲノ
ムのプロモーター(内在性のプロモーター)の働きでレ
ポーター遺伝子が発現するので、発現したレポーターを
探索することにより、プロモーターの下流にレポーター
遺伝子が挿入されたクローンを選抜することができる。
ついで、このプロモーター遺伝子を単離することができ
る。
【0008】しかしながら、このトランスポゾンを用い
る探索方法には、上記クローンからプロモーター遺伝子
を単離するために、宿主細菌の全ゲノムDNAライブラリ
ーからこのトランスポゾンをプローブとして、プロモー
ターを含むクローンを別途選抜しなければならないとい
う煩雑さがある。
【0009】他方、トラップベクター法は、まず、プロ
モーターを欠如させたレポーター遺伝子が組み込まれた
ベクターを用意し、このベクターのレポーター遺伝子の
上流に宿主全ゲノムDNA断片をショットガンクローニン
グして、組換えプラスミドを得、ついで、得られた組換
えプラスミドを宿主細菌に形質転換し、宿主細菌中でレ
ポーター遺伝子の発現を解析する方法である。宿主ゲノ
ムのDNA断片にプロモーター活性があるとレポーターが
発現するので、プロモーター活性を有するクローンを簡
単に選抜することができ、プロモーター配列の単離も容
易である。
【0010】上記のように、トランスポゾンを用いる方
法およびトラップベクターを用いる方法のいずれの方法
においても、レポーター遺伝子が用いられる。レポータ
ー遺伝子としては、これまでにテトラサイクリンやクロ
ラムフェニコール等の抗生物質耐性遺伝子の他に、β-
グルクロニダーゼ(GUS)、β-ガラクトシダーゼ(lac
Z)、ルシフェラーゼ(lux)等の発色・発光遺伝子が利
用されてきた。しかし、これらはすべて酵素であるた
め、酵素反応のための基質を別途添加する必要があると
いう欠点がある。また、目的とする宿主微生物にもとも
と抗生物質耐性や類似酵素活性がある場合には、これら
レポーター遺伝子を用いることができないという欠点も
あった。
【0011】最近、これらの欠点を補う新しいレポータ
ー遺伝子として、GFP(Green Fluorescent Protein)が注
目を集め、利用されるようになってきた(シャルフイ(C
halfie)ら、Science, 263: 802 (1994))。GFPは発光ク
ラゲのもつ発光タンパクであり、このタンパクが蓄積す
ると紫外線照射下で緑色に発色する。
【0012】このGFP遺伝子をレポーター遺伝子とする
動物細胞用のプロモータートラップベクターが市販され
ている(例えば、クローンテック(CLONTECH)社が市販し
ているpEGFP-1)。しかし、これらのベクターは、動物
用であるため、細菌のプロモーターをトラップするため
に用いることはできない。
【0013】このように、未だ、細菌のプロモーターを
効率よく探索するためのベクターは知られておらず、細
菌のプロモーターをどのようにして探索し、利用するか
については、ほとんど知られていないのが実情である。
そこで、細菌のプロモーターを効率よく探索するための
ベクター、および細菌のプロモーターを提供することが
望まれていた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解消するために行われたものであり、細菌用プロモータ
ートラップベクターを提供するとともに、このトラップ
ベクターを用いて葉面細菌Erwinia ananasからの新規な
プロモーター配列を提供し、このプロモーターを用い
て、より精巧かつ効果的な組換え生物防除微生物剤を作
出することが可能となる。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、制限酵素部位
を有する配列、細菌のリボゾーム結合部位配列、および
GFPをコードする配列をこの順に有する細菌用プロモー
タートラップベクターであって、該制限酵素部位に細菌
のプロモーター配列が挿入されたときに該GFPが発現す
る、細菌用プロモータートラップベクターに関する。
【0016】本発明は、また、上記細菌用プロモーター
トラップベクターの制限酵素部位に遺伝子を挿入し、組
換えベクターを作成する工程、該組換えベクターを宿主
細菌に導入し、細菌を形質転換し、形質転換体を得る工
程、および、該形質転換体がGFPを発現しているか否か
を検出する工程を含む、細菌プロモーターの探索方法に
関する。
【0017】また、本発明は、配列番号1の第101番目
から第171番目の配列または該配列と70%以上の相同性
を有する配列を有し、かつ、該配列番号1の配列と同等
またはそれ以上のプロモーター活性を有する、プロモー
ターに関する。
【0018】好適な実施態様においては、前記プロモー
ターが、配列番号1に記載の配列を有し、かつErwinia
属に属する微生物で発現する。
【0019】さらに本発明は、配列番号2の第168番目
から第227番目の配列または該配列と90%以上の相同性
を有する配列を有し、かつ、該配列番号2の配列と同等
またはそれ以上のプロモーター活性を有する、プロモー
ターに関する。
【0020】好適な実施態様においては、前記プロモー
ターが、配列番号2に記載の配列を有し、かつErwinia
属に属する微生物で発現する。
【0021】本発明は、さらに、配列番号3に示される
配列、または該配列番号3の配列において、1または2
以上の塩基の挿入、欠失、あるいは置換を有し、かつ、
該配列番号3の配列と同等またはそれ以上のプロモータ
ー活性を有する、プロモーターに関する。
【0022】好適な実施態様においては、前記プロモー
ターが、配列番号3に示される配列を有し、かつErwini
a属に属する微生物で発現する。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の細菌用プロモータートラ
ップベクターは、制限酵素部位を有する配列、細菌のリ
ボゾーム結合部位配列、およびGFPをコードする配列を
この順に有している。そして、この制限酵素部位に細菌
のプロモーター配列が挿入されたときにGFPが発現す
る。
【0024】制限酵素部位を有する配列としては、複数
の制限酵素切断部位、すなわち、マルチクローニングサ
イトを有する配列が好ましい。このような配列は市販品
として入手できる。所望の配列が市販されていない場
合、当業者は容易に設計し、合成することができる。
【0025】細菌のリボゾーム結合配列とは、いわゆる
シャイン・ダルガノ配列(SD配列)として知られている
プリンに富んだ配列であり、16SrRNAの3’末端の配列
CCUCCUUAと結合する配列をいう。
【0026】GFP(Green Fluorescent Protein)をコード
する配列は、公知である(シャルフイら、前出)。また、
改良型GFPも使用できる。従って、本発明でGFPというと
きは、改良型GFPを含む。なお、改良型GFPは、蛍光発色
の効率が高められたGFPを意味し、例えば、GFPの65番目
のアミノ酸セリン(Ser)がトレオニン(Thr)で置換され、
蛍光発色の効率が高められたEGFP(Enhanced green fluo
rescent protein)(Tslenら、NATURE vol.73、1995)等
が含まれる。
【0027】これらの配列を有する細菌用プロモーター
トラップベクターは、さらに、細菌の菌体内で複製し得
るように複製開始点(Ori)を有していることが必要であ
り、さらに、形質転換体の選択マーカー(例えば、薬剤
耐性遺伝子)を有することが好ましい。
【0028】本発明の細菌用プロモータートラップベク
ターは、一般的に細菌に用いられている市販のベクター
を出発材料として作成できる。市販のベクターの適切な
部位に、制限酵素部位とGFPをコードする配列とリボゾ
ーム結合配列とを、当業者に周知の手順に従って行えば
よい。
【0029】また、細菌用プロモータートラップベクタ
ーは、動物用プロモータートラップベクターからも作成
される。例えば、複製開始点(Ori)と薬剤耐性遺伝子と
を有するベクターの適当な部位に、制限酵素部位を有す
る配列、細菌のリボゾーム結合部位配列、およびGFPを
コードする配列をこの順に挿入することにより作成され
る。作成方法は、当業者に周知の組換えDNA技術および
手法が用いられる。
【0030】以下、市販のプラスミドpEGFP-1(CLONTEC
H社)を出発ベクターとして用いて、本発明の細菌用プ
ロモータートラップベクターを構築する例を、図1に基
づいて説明する。
【0031】プラスミドpEGFP-1は、動物用プロモータ
ートラップベクターであり、図1の左上に示されてい
る。このプラスミドpEGFP-1は、改変型のEGFP遺伝子を
有しているが、EGFPを発現するためのプロモーター配列
がなく、SD配列もない。しかし、マルチクローニングサ
イトを有し、細菌のOri(pUC ori)とカナマイシン/ネオ
マイシン耐性遺伝子とを有しているため、細菌中でも複
製可能であり、かつ形質転換された細菌が薬剤耐性でス
クリーニングされるので、この骨格部分を用いることが
できる。そこで、まず、プラスミドpEGFP-1から、EGFP
遺伝子を取り除いた骨格を準備する。
【0032】他方、市販のプラスミドpEGFP(CLONTECH
社)(図1の右上)は、E.coliのLacプロモーターとSD
配列とを有し、その下流にEGFP遺伝子を有している細菌
発現用ベクターである。このプラスミドpEGFPからSD配
列とEGFP遺伝子配列とを切り出し、これを上記準備した
骨格に挿入することにより、目的の細菌用プロモーター
トラップベクターが作成される。
【0033】得られたベクターの一例は、図2に示され
るpEGFP-V1である。このベクターは、マルチクローニン
グサイトとSD配列とEGFP遺伝子配列とをこの順に有し、
薬剤(カナマイシン/ネオマイシン)耐性遺伝子と、細
菌中で機能するpUCのOriを有する。
【0034】以下、このベクターを用いてプロモーター
を探索する方法を説明する。まず、特定の細菌から常法
により全ゲノムDNAを取り出し、全ゲノムDNAを制限酵素
で切断する。制限酵素は、マルチクローニングサイトに
対応する制限酵素を用いるか、挿入可能な配列を生じる
制限酵素を用いればよい。ゲノムDNAの大きさが、約100
〜1000bpとなるように制限酵素で切断することが好まし
い。また、DNAは合成したものであってもよい。
【0035】得られたゲノムDNAを上記プロモータート
ラップベクターのマルチクローニングサイトに組み込ん
で、組換えプラスミドを作成する。この組換えプラスミ
ドを細菌に導入して、細菌を形質転換する。カナマイシ
ン(ネオマイシン)を含有する寒天培地で生育した形質
転換株にUV(365nm)を照射し、発光するクローンを
選択することにより、プロモーターを有する形質転換体
が検出される。検出された形質転換体の中から発光強度
の高いものを選択すると、活性が高いプロモーターが取
得できる。
【0036】このプロモータートラップベクターを用い
て、葉面細菌Erwinia ananas のプロモーターが探索で
きる。例えば、Erwinia ananas の全ゲノムDNAを単離
し、これを、例えば、制限酵素Sau3AIで分解して、ゲノ
ムDNA断片を準備する。そして、例えば、上記プラスミ
ドpEGFP-V1のマルチクローニングサイトのBglII部位
に、ゲノムDNA断片をクローニングし、Erwinia ananas
に導入して形質転換株を得、カナマイシン耐性株を得
て、EGFPの発現をUVで検出してプロモーターを得る。
【0037】得られたプロモーターを含むDNA断片は、
常法により単離され、配列が決定される。
【0038】上記の例示の方法により、配列番号1、2
および3のErwinia ananas のプロモーターが得られ
る。
【0039】配列番号1に示される配列は、Erwinia an
anas MAFF 301714から得られたプロモーター配列であ
る。この配列番号1のプロモーター配列のホモロジー検
索をDBJデータベースで行った結果、配列番号1の
101〜171番目の配列とE.colienvAプロモーターの52〜12
2番目の配列とは、67%の相同性を示し、配列番号1の1
01〜171番目の配列がプロモーターである可能性が高
い。
【0040】従って、配列番号1の第101番目から第171
番目の配列または該配列と70%以上の相同性を有する配
列を有し、かつ、該配列番号1の配列と同等またはそれ
以上のプロモーター活性を有するプロモーターは、E.co
liのenvAプロモーターとは異なり、Erwinia属の微生物
で発現するプロモーターである。このような配列は、当
業者に周知の手段で行われる。例えば、部位特異的突然
変異法により、1または2以上の塩基の置換、欠失、挿
入が行われ、あるいは、DNA合成により、配列番号1の
第101番目から第171番目の配列と70%以上の相同性を有
する配列が合成され、これを含む配列も合成される。そ
して、得られた配列をプロモータートラップベクターに
クローニングし、GFPまたはEGFPの発現の程度で、得ら
れた配列のプロモーター活性を調べればよい。
【0041】配列番号2に示される配列は、Erwinia an
anas MAFF 301714から得られたプロモーター配列であ
る。この配列番号2のプロモーター配列のホモロジー検
索をDBJデータベースで行った結果、配列番号2の
168〜227番目の配列とE.colifabBプロモーターの137〜1
96番目の配列とは、83%の相同性を示し、配列番号1の
168〜227番目の配列およびその近傍がプロモーターであ
る可能性が高い。
【0042】従って、配列番号2の第168〜227番目の配
列または該配列と90%以上の相同性を有する配列を有
し、かつ、該配列番号2の配列と同等またはそれ以上の
プロモーター活性を有するプロモーターは、E.coliのfa
bBプロモーターとは異なり、Erwinia属の微生物で発現
するプロモーターである。このようなプロモーターは、
配列番号1において記載したと同様の、当業者に周知の
手法を用いて得ることができる。
【0043】配列番号3に示される配列は、Erwinia an
anas MAFF 301714から得られたプロモーター配列であ
る。この配列番号3のプロモーター配列のホモロジー検
索をDBJデータベースで行った結果、高い相同性を
示す配列は見出せず、新規なプロモーターである可能性
が高い。そして、この配列番号3の配列において、1ま
たは2以上の塩基の挿入、欠失、あるいは置換を有し、
かつ、該配列番号3の配列と同等またはそれ以上のプロ
モーター活性を有するプロモーターは、上記配列番号1
と相同性の高いプロモーターを作成するのと同様の、当
業者に周知の手法を用いて得ることができる。
【0044】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明は実施例にのみ限定されない。
【0045】(実施例1:プロモーター捕獲ベクターpE
GFP-V1の構築)図1は、CLONTECH社の市販のプラスミド
pEGFP, pEGFP1をもとにプロモーター捕獲ベクターpEGFP
-V1を構築する模式図である。pEGFPを、制限酵素SmaIお
よびNotIを用いて消化し、アガロース電気泳動によりEG
FP遺伝子を含まないベクター部分を回収し、さらにセル
フライゲーションを防ぐためアルカリフォスファターゼ
により脱リン酸化処理をした。次にpEGFP1を制限酵素Bs
rBIおよび NotIを用いて消化し、細菌の翻訳の開始に必
要なRBS(リボソーム結合部位、SD配列)とEGFPを含む約8
00bpのDNA断片を回収した。このDNA断片と上記EGFP遺伝
子を含まないベクター部分とをライゲーションして、pE
GFP-V1を構築した。pEGFP-V1の構造を、図2に示す。
【0046】なお、コントロールベクターとしてpEGFP
のRBSの上流にあるEco47IIIサイトにlacプロモーターを
連結したpEGFP-V1 placを構築した(図1右下参照)。
【0047】このpEGFP-V1をプロモータートラップベク
ターとして、Erwinia ananasのプロモーターの探索に用
いた。
【0048】(実施例2:Erwinia 属の細菌のプロモー
ターの単離)イネの葉面から分離された細菌Erwinia an
anas MAFF 301714株のプロモーターを探索、単離した。
Erwinia ananasは植物体葉面で生存・定着する能力があ
り、植物病害の生物防除微生物剤(バイオコントロール
エージェント)として最近、注目を集めている株であ
る。この株は、農林水産省生物資源研究所に保存されて
おり、希望者には随時分譲されている。
【0049】(1)E.ananas MAFF 301714株の全ゲノム
DNAの調製 まず、常法によりE.ananas MAFF 301714株の全ゲノムDN
Aを抽出・精製した後、4塩基認識の制限酵素Sau3AIを
用いて完全に消化し、アガロース電気泳動にかけ、約10
0〜1000bpのDNA断片を分離・回収した(図3左上)。
【0050】(2)組換えプラスミドの調製と形質転換 他方で、pEGFP-V1をBglIIで消化し、セルフライゲーシ
ョンを防ぐため脱リン酸化処理を行った(図3右上)。
このBglIIでカットしたベクターと、上記分離した約100
〜1000bpのDNA断片とをライゲーションし、エレクトロ
ポレーション法によりErwinia ananas MAFF 301714株に
導入した(図3中段)。カナマイシン40ppm含有LB平板
培地にて30℃、3日間培養後、約2000クローンの形質転
換コロニーを得た(図3下)。紫外線(UV365nm)照射
下でGFPの活性を観察したところ、そのうち27クローン
が紫外線照射下で発光した。この27クローンをポジティ
ブクローンとして単離した。
【0051】(実施例3:ポジティブクローンの解析と
配列決定) (1)ポジティブクローンの解析 27クローンのうち、比較的早期に強い発光を呈した10ク
ローン(PCF1, 3, 5,6, 9, 10, 13, 15, 26, 27)につ
いて、プラスミドを回収し、制限酵素Eco47III及びEcoR
Iにより二重消化し、アガロース電気泳動にかけ、挿入D
NA断片の存在及びその大きさを確認した。その結果、ポ
ジティブクローンから回収したDNAには、大きさの異な
る挿入断片(250bp〜1700bp)が確認された(図4参
照)。
【0052】(2)分光蛍光光度計によるGFP活性の測
定 分光蛍光光度計により得られた発光を定量的に解析し
た。10個のポジティブクローンを、カナマイシンを50pp
m含むLB液体培地で、30℃で振とう培養し、経時的にサ
ンプリングし、集菌後、滅菌水に再び懸濁し、菌数をOD
=1に調整した後、分光蛍光光度計によりGFPの発光強度
を測定した。なお、ポジティブコントロールとしてpEGF
P-V1placを導入したE.ananasを、また、ネガティブコン
トロールとして元株Erwinia ananas MAFF 301714株を用
いた。
【0053】供試した10クローンとも培養開始14時間後
で既に発光強度に差が認められた。その後、経時的に発
光強度は増大していったが、各クローンの相対的な関係
には変化がみられなかった(図5参照)。この中から、ポ
ジティブクローンの発光強度と同等あるいはこれを上回
るクローンとして3クローン(PCF1, 9, 15)を選抜し
た。
【0054】(3)プロモーター活性を示したDNA断片
の塩基配列の決定 得られた3クローンについて常法によりDNAを精製後、配
列決定した。pEGFP-V1のBglIIサイトの上流側及び下流
側の蛍光プライマーを合成し、Auto Read Sequencing K
itを使用したダイデオキシ反応後、DNA Sequencerによ
り配列を決定した。
【0055】PCF1は全長411bpであった(配列番号
1)。その配列のホモロジー検索を行ったところ、101
〜171番目の配列とE.coli envAプロモーターの52〜122
番目の配列とが67%の相同性を示し(図6)、配列番号
1の101〜171番目の配列がプロモーターである可能性が
高いことが示された。
【0056】PCF9は全長458bpであった(配列番号2)。
その配列のホモロジー検索を行ったところ、配列番号2
の168〜227番目の配列と大腸菌の脂肪酸基質輸送タンパ
ク合成遺伝子(fabB)のプロモーターの137〜196番目の
配列とは、83%の相同性を示し(図7)、配列番号1の
168〜227番目の配列がプロモーターである可能性が高い
ことが示された。
【0057】これら相同性を示した大腸菌のプロモータ
ーは細菌の生存に必須な遺伝子(ハウスキーピング遺伝
子)のプロモーターであり、今回得られたE.ananas由来
のプロモーターも同様に、ハウスキーピング遺伝子、す
なわち常時発現型のプロモーターと考えられる。
【0058】PCF15は全長214bpであった(配列番号3)
が、既知の遺伝子とホモロジーを示すものはなく、新規
なプロモーター配列である。しかし、常時発現型か条件
誘導型のプロモーターであるのかは不明であった。
【0059】
【発明の効果】本発明のプロモータートラップベクター
を用いて、細菌のプロモーターのスクリーニングが効率
よくできる。特に、葉面細菌であるErwinia属の細菌の
プロモーターが探索できる。得られたErwinia属の細菌
のプロモーターを用いることにより、外来遺伝子、例え
ば、キチナーゼ遺伝子等を効率よく発現して、精巧かつ
効果的な組換え生物防除微生物剤を作出することができ
る。
【0060】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> National Institute of Agrobiological Resources Ministry of Agric ulture Forestry and Fisheries <120> Promoter trap vector and method for isolating promoters of Genus Erwinia using the vector <130> P198N07015 <160> 3 <210> 1 <211> 411 <212> DNA <213> Erwinia ananas <220> <221> promoter <222> (101)… (171) <223> n (A or C or G or T or U) or (unknown or other base) <400> 1 gatcagagtg cacagtcaaa caaagagccc gattaccttg atattccggc gttttgcgca 60 agcaggccga ctaggaataa ccttataatt gggattcccg ctctttgtgc taaagtgttc 120 gcccgctggt aacgtatact ggcggtcgga aagcgatatt gcgagataat aacgatgatc 180 ccgtctacgg gtttttcata ccatcgggta taattacgca tcctcatcgg ggcgctgaag 240 atgcccagcg cagcaaggcc gtgtgaaatc cggccaatgt accgggatgt cccgctatct 300 gtgttgttct gggcttccca cngcngttca ggcgtaaagg tttcaagacg gggatcgtta 360 gcgcgctgaa acaagatttt ccctggctga tgggcaccag taactacgat c 411 <210> 2 <211> 458 <212> DNA <213> Erwinia ananas <220> <221> promoter <222> (168)… (227) <400> 2 gatcctcacg ccgtcagtct gggttaaaga aagaaggacc tccggccagt attgtgtcat 60 cgcgtgtgaa cgtttattga tccgcatcgt cagattgcga ttgctaaccc aatggcgctg 120 cccgttcgtg tctaagctga tcttatcggt cggcgtgaca tgacgcaaat ttacaaaagg 180 aaatggctga tcggacttgt tcggcgtaca agtgtaagct agagtgctcg tcaaataaca 240 gaagtggtga ggaagattga atgaaacgtg ctgtgattac tggcttaggg atcaccttgt 300 ttctgtgggc aatggcaacc tttgccacgg tccccggcct gcagatctgt ccctgattgc 360 cagaaagcag cttgccccgc cgcgtggctt ttgttgagca acatgcgtta accagcgcca 420 atatgaccgt acgtgatgtc gtaaagcttg gaaggatc 458 <210> 3 <211> 214 <212> DNA <213> Erwinia ananas <220> <221> promoter <222> (1)…(214) <400> 3 gatctgtggc gccctgagtc ttgttac
ggt aagtctaaaa cgtgcaggga tctgtcctct
60 gatggattaa ggctttcttc acgctttatt acgttaagga aatcacaatg aatctgatga 120 ataattgtgc atcgcctgcc gcagatgtta tattaaaata taatattcgg aggtgctcta 180 tgtataccac tcgtctgaaa aaggttggcg gatc 214
【図面の簡単な説明】
【図1】プロモータートラップベクターpEGFP-V1及びポ
ジティブコントロールベクターpEGFP-V1 placの構築法
を示す図である。
【図2】プロモータートラップベクターpEGFP-V1の構造
を示す図である。
【図3】ショットガンクローニングによるプロモーター
の探索法を示す図である。
【図4】捕獲されたプロモーター活性を有するDNA断片
を確認するための電気泳動写真を示す図である。
【図5】ポジティブクローンの発光強度の経時的変化を
示す図である。
【図6】クローンPCF1とenvAの相同性を示すアラインメ
ントである。
【図7】クローンPCF9とfabBの相同性を示すアライン
メントである。
【手続補正書】
【提出日】平成11年7月2日(1999.7.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】発明の名称
【補正方法】変更
【補正内容】
【発明の名称】 プロモーター
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】PCF9は全長458bpであった(配列番号2)。
その配列のホモロジー検索を行ったところ、配列番号2
の168〜227番目の配列と大腸菌の脂肪酸基質輸送タンパ
ク合成遺伝子(fabB)のプロモーターの137〜196番目の
配列とは、83%の相同性を示し(図7)、配列番号
168〜227番目の配列がプロモーターである可能性が高い
ことが示された。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 制限酵素部位を有する配列、細菌のリボ
    ゾーム結合部位配列、およびGFPをコードする配列をこ
    の順に有する細菌用プロモータートラップベクターであ
    って、該制限酵素部位に細菌のプロモーター配列が挿入
    されたときに該GFPが発現する、細菌用プロモータート
    ラップベクター。
  2. 【請求項2】 以下の工程:請求項1の細菌用プロモー
    タートラップベクターの制限酵素部位に遺伝子を挿入
    し、組換えベクターを作成する工程;該組換えベクター
    を宿主細菌に導入し、細菌を形質転換し、形質転換体を
    得る工程;および、該形質転換体がGFPを発現している
    か否かを検出する工程;を含む、細菌プロモーターの探
    索方法。
  3. 【請求項3】 配列番号1の第101番目から第171番目の
    配列または該配列と70%以上の相同性を有する配列を有
    し、かつ、該配列番号1の配列と同等またはそれ以上の
    プロモーター活性を有する、プロモーター。
  4. 【請求項4】 前記プロモーターが、配列番号1に記載
    の配列を有し、かつErwinia属に属する微生物で発現す
    る、請求項3に記載のプロモーター。
  5. 【請求項5】 配列番号2の第168番目から第227番目の
    配列または該配列と90%以上の相同性を有する配列を有
    し、かつ、該配列番号2の配列と同等またはそれ以上の
    プロモーター活性を有する、プロモーター。
  6. 【請求項6】 前記プロモーターが、配列番号2に記載
    の配列を有し、かつErwinia属に属する微生物で発現す
    る請求項5に記載のプロモーター。
  7. 【請求項7】 配列番号3に示される配列、または該配
    列番号3の配列において、1または2以上の塩基の挿
    入、欠失、あるいは置換を有し、かつ、該配列番号3の
    配列と同等またはそれ以上のプロモーター活性を有す
    る、プロモーター。
  8. 【請求項8】 前記プロモーターが、配列番号3に示さ
    れる配列を有し、かつErwinia属に属する微生物で発現
    する、請求項7に記載のプロモーター。
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