JP2000021672A - 積層型コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

積層型コンデンサおよびその製造方法

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JP2000021672A JP10188644A JP18864498A JP2000021672A JP 2000021672 A JP2000021672 A JP 2000021672A JP 10188644 A JP10188644 A JP 10188644A JP 18864498 A JP18864498 A JP 18864498A JP 2000021672 A JP2000021672 A JP 2000021672A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 周波数特性が極めて優れた小型・大容量の積
層型コンデンサおよびその製造方法を提供することを目
的とする。 【解決手段】 粗面化した導電体であるエッチドアルミ
ニウム箔1の表面上の所定部分にポリアクリル酸系樹脂
皮膜4の誘電体層、あるいはポリアクリル酸系樹脂皮膜
4とアルミニウムの酸化皮膜10からなる複合誘電体層
を有し、前記誘電体層表面上にさらに第1のポリピロー
ル層5と第2のポリピロール層6とグラファイト層7か
らなる対極としての導電体層3を有するコンデンサ素子
を複数枚積み重ねることにより、小型・大容量でフィル
ムコンデンサと同等の周波数特性を有する、生産性の高
い積層型コンデンサが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機器・電子機
器・音響機器の電子回路などに用いるコンデンサに関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、機器の小型化・薄型化・軽量化、
および電気機器回路の高密度化・デジタル化に伴い、電
子部品に対する小型化、高性能化、高信頼性化の要望が
ますます高まってきている。そのような情勢の中で、コ
ンデンサも同様に小型で大容量を有し、かつ高周波領域
でのインピーダンスの低いものが強く要求されている。
【0003】高周波領域でインピーダンスが低いコンデ
ンサには、セラミックスを誘電体としたセラミックコン
デンサや有機高分子フィルムを誘電体としたフィルムコ
ンデンサがある。しかし、それらのコンデンサは、大き
な静電容量を得るには、形状が大きくなり、価格も高く
なる。
【0004】一方、アルミニウムやタンタルの酸化皮膜
を誘電体とした電解コンデンサは、小型で大容量を有す
るが、高周波領域におけるインピーダンスや誘電特性が
前記のセラミックコンデンサやフィルムコンデンサに比
べ劣る。そこで、高周波特性を改善するために、アルミ
電解コンデンサの開発分野では、駆動用電解液をそれよ
りも導電性の高いテトラシアノキノジメタン(TCN
Q)錯体やポリピロールなどの固体材料に置き換えたア
ルミ固体電解コンデンサが開発され、実用化されてい
る。また、タンタル電解コンデンサの開発分野でも、陰
極材料に二酸化マンガンよりも導電性の高いポリピロー
ルが用いられ、実用化に到っている。
【0005】上記のような電解コンデンサでは陰極材料
に高導電性化合物を採用することによりコンデンサの等
価直列抵抗(ESR)が低くなったために、周波数特性
が格段に向上した。
【0006】また、フィルムコンデンサの開発分野にお
いても、有機高分子膜の優れた誘電特性を維持しつつ、
小型・大容量化する試みが近年盛んに行われるようにな
ってきた(特開昭63−29919号公報、特開平3−
203211号公報参照)。
【0007】例えば、大きな表面積を有するエッチドア
ルミニウム箔表面上にアルミニウムの酸化皮膜ではな
く、有機溶剤系ポリアミック酸溶液を用いて、電着法に
よりポリイミド薄膜の誘電体層を形成し、さらにその誘
電体層表面上に導電性高分子を形成させた新しいタイプ
の小型・大容量フィルムコンデンサの製造方法も提供さ
れている(特開平4−87312号公報参照)。
【0008】さらに、本発明者は、エッチドアルミニウ
ム箔表面上にアルミニウムの酸化皮膜ではなく、工業的
に使用容易なポリアクリル酸系樹脂(アクリル系樹脂)
を含む水溶液を用いて、電着法によりポリアクリル酸系
樹脂薄膜の誘電体層を形成し、さらにその誘電体層表面
上に導電性高分子を形成させた新しいタイプの小型・大
容量フィルムコンデンサの製造方法も提供している(特
開平9−115767号公報参照)。
【0009】これらの発明は、誘電体であるポリイミド
あるいはポリアクリル酸系樹脂が持つ高絶縁性、無極
性、低誘電正接(tanδ)などの有機高分子膜特有の
優れた性質を維持しつつ、単位体積当たりの静電容量の
拡大を図ったものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】近年の電子機器のさら
なる小型化およびスイッチング電源のさらなる高周波化
に対応するために、陰極材料にTCNQ錯体やポリピロ
ールを用いたアルミ固体電解コンデンサは、エッチドア
ルミニウム箔を捲回あるいは積層することで大容量化し
ている。
【0011】しかしながら、捲回する場合には、エッチ
ドアルミニウム箔の湾曲部に機械的ストレスが加わり、
酸化皮膜が損傷し電気的特性が損なわれることがある。
【0012】また、積層する場合においても、誘電体の
酸化皮膜は薄く、機械的ストレスに弱いため、積層工程
中に酸化皮膜を損傷させ不良を発生させる可能性があ
る。そのようなことが原因となって、圧力をかけて積層
素子を構築することが困難となり、積層数を増加させる
につれて漏れ電流増大による不良率が増加する傾向があ
る。そのため、積層数を増加させて大容量化しようとす
ると、使用定格電圧を高くすることが困難となってく
る。
【0013】これらの要因としては、前述の機械的スト
レスに弱いことに加えて、駆動用電解液に比べてポリピ
ロールなどの固体電解質の酸化皮膜修復能力が劣ること
や、陰極酸化(化成)の際に酸化皮膜の欠陥を完全にな
くすことが困難であることが挙げられる。
【0014】以上のようなことから、誘電体が酸化皮膜
である固体電解コンデンサは、積層数の増加によって大
容量化し、なおかつ使用定格電圧を増大させるのには限
界があると考えられる。
【0015】また、タンタル固体電解コンデンサも含め
て、上記のような大容量を有する固体電解コンデンサに
おいては、低ESR化により周波数特性が著しく改善さ
れてはきているが、フィルムコンデンサの特性にはまだ
及ばないのが実状である。さらに、これらの固体電解コ
ンデンサは、誘電体の酸化皮膜に極性があるために、交
流回路や逆電圧が印加される回路で使用することは困難
であるという課題も残されている。
【0016】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、フィルムコンデンサと同等の優れた周波数特性を有
し、漏れ電流が小さく、無極性で小型で大容量を有する
新しいタイプの積層型コンデンサおよびその製造方法を
提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明の積層型コンデンサは、粗面化した導電体電
極表面上の所定部分に有機高分子膜の誘電体層を有し、
前記誘電体層表面上にさらに対極としての導電体層を形
成したコンデンサ素子を複数枚積み重ねて構成したこと
を特徴としている。
【0018】また、本発明の積層型コンデンサは、粗面
化した導電体電極表面上の所定部分に有機高分子膜と前
記粗面化した導電体の酸化皮膜からなる複合誘電体層を
有し、前記複合誘電体層表面上にさらに対極としての導
電体層を形成したコンデンサ素子を複数枚積み重ねて構
成したことも特徴としている。
【0019】また、本発明の積層型コンデンサの対極と
しての導電体層は、導電性高分子層を主体として構成さ
れていることが望ましい。
【0020】さらに、上記導電性高分子層には、化学重
合あるいは化学重合と電解重合の併用により形成したポ
リピロールまたはポリエチレンジオキシチオフェンまた
はそれらの誘導体などが好適である。
【0021】また、本発明の積層型コンデンサは、対極
としての導電体層が、導電性高分子層およびグラファイ
ト層からなることも特徴としている。
【0022】また、本発明の積層型コンデンサは、対極
としての導電体層が、導電性高分子層とグラファイト層
と導電性接着剤層からなることも特徴としている。
【0023】また、本発明の積層型コンデンサは、複数
枚のコンデンサ素子を同じ向きに積層したものであっ
て、隣接するコンデンサ素子の対極としての導電体層同
士を導電性接着剤で接着し、さらに誘電体層および対極
としての導電体層が形成されていない部分の粗面化した
導電体電極同士も電気的に導通するように接合して、各
々のコンデンサ素子が電気的に並列接続となるように構
成したことも特徴としている。
【0024】また、本発明の積層型コンデンサは、粗面
化した導電体電極と、誘電体層の表面上に形成した対極
としての導電体層との電気的な導通を防ぐために、仕切
のための絶縁物層を各々のコンデンサ素子に設けたこと
も特徴としている。
【0025】また、本発明の積層型コンデンサの粗面化
した導電体電極には、弁金属が適している。
【0026】そして、粗面化した導電体電極の中でも、
エッチドアルミニウム箔が本発明の積層型コンデンサに
は好適である。
【0027】また、本発明の積層型コンデンサの誘電体
である有機高分子膜は、電着により形成した高分子膜が
好ましい。
【0028】そして、電着により形成された有機高分子
膜は、ポリカルボン酸系樹脂またはポリイミドのいずれ
かであることが本発明の積層型コンデンサには望まし
い。
【0029】さらに、ポリカルボン酸系樹脂は、ポリア
クリル酸系樹脂であることが、本発明の積層型コンデン
サには好適である。
【0030】本発明の積層型コンデンサの製造方法は、
粗面化した導電体電極表面上の所定部分に有機高分子膜
の誘電体層を形成する工程と、前記粗面化した導電体電
極と対極としての導電体層との電気的導通を防ぐための
絶縁物層を形成する工程と、前記誘電体層表面上に前記
対極としての導電体層を形成しコンデンサ素子を完成す
る工程と、複数枚の前記コンデンサ素子を積層し隣接す
る前記対極としての導電体層同士を導電性接着剤で接着
する工程と、隣接する前記粗面化した導電体電極同士を
電気的に導通するように接合する工程と、端子電極を設
ける工程とを有することを特徴としている。
【0031】そして、有機高分子膜の誘電体層を形成す
る工程には、電着法を採用することが本発明の積層型コ
ンデンサの製造方法には適している。
【0032】また、本発明の積層型コンデンサの製造方
法は、粗面化した導電体電極表面上の所定部分に有機高
分子膜と前記粗面化した導電体の酸化皮膜からなる複合
誘電体層を形成する工程と、前記粗面化した導電体電極
と対極としての導電体層との電気的導通を防ぐための絶
縁物層を形成する工程と、前記複合誘電体層表面上に前
記対極としての導電体層を形成しコンデンサ素子を完成
する工程と、複数枚の前記コンデンサ素子を積層し隣接
する前記対極としての導電体層同士を導電性接着剤で接
着する工程と、隣接する前記粗面化した導電体電極同士
を電気的に導通するように接合する工程と、端子電極を
設ける工程とを有することも特徴としている。
【0033】そして、有機高分子膜と粗面化した導電体
電極の酸化皮膜からなる複合誘電体層を形成する工程
は、電着法および陽極酸化法によるものであることが、
本発明の積層型コンデンサの製造方法には適している。
【0034】また、有機高分子膜は、ポリカルボン酸系
樹脂またはポリイミドのいずれかであることが、本発明
の積層型コンデンサの製造方法には望ましい。
【0035】また、対極としての導電体層を形成しコン
デンサ素子を完成する工程では、化学重合あるいは化学
重合および電解重合の併用により誘電体層の表面上に導
電性高分子層を形成すると良い。
【0036】また、その際には、ポリピロールあるいは
ポリエチレンジオキシチオフェンあるいはそれらの誘導
体を少なくとも一種類以上含む導電性高分子層を形成す
ることが、本発明の積層型コンデンサの製造方法には好
適である。
【0037】また、本発明の積層型コンデンサの製造方
法は、複数枚のコンデンサ素子を積層し隣接する対極と
しての導電体層同士を導電性接着剤で接着する工程にお
いて、圧力をかけて接着することも特徴としている。
【0038】そして、圧力の範囲は、0.01〜5kg
f/cm2 であることが好適である。
【0039】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、粗面化した導電体電極表面上の所定部分に有機高分
子膜の誘電体層を有し、前記誘電体層表面上にさらに対
極としての導電体層を形成したコンデンサ素子を複数枚
積み重ねて構成したものであることから、複数枚のコン
デンサ素子を積層する際に誘電体の損傷を著しく低減す
ることが可能となる。
【0040】本発明の請求項2に記載の発明は、粗面化
した導電体電極表面上の所定部分に有機高分子膜と前記
導電体の酸化皮膜からなる複合誘電体層を有し、前記複
合誘電体層表面上にさらに対極としての導電体層を形成
したコンデンサ素子を複数枚積み重ねて構成したもので
あることから、有機高分子膜のみの誘電体層よりも誘電
率を高めることができ、なおかつ複数枚のコンデンサ素
子を積層する際に誘電体の損傷を著しく低減することが
可能となる。
【0041】本発明の請求項3に記載の発明は、対極と
しての導電体層が、導電性高分子層を主体として構成し
ていることから、極めて導電率が高く、なおかつ誘電体
層を構成する有機高分子膜と密着性が良いため界面の接
触抵抗も低くできる。
【0042】本発明の請求項4に記載の発明は、導電性
高分子層が、化学重合あるいは化学重合と電解重合の併
用により形成したポリピロールまたはその誘導体である
ことから、高い導電性を有し、熱的安定性に優れた導電
体層を有している。
【0043】本発明の請求項5に記載の発明は、導電性
高分子層が、化学重合あるいは化学重合と電解重合の併
用により形成したポリエチレンジオキシチオフェンまた
はその誘導体であることから、高い導電性を有し、熱的
安定性に優れた導電体層を有している。
【0044】本発明の請求項6に記載の発明は、対極と
しての導電体層が導電性高分子層およびグラファイト層
からなることから、ESRを極めて小さくできる。
【0045】本発明の請求項7に記載の発明は、対極と
しての導電体層が導電性高分子層とグラファイト層と導
電性接着剤層からなることから、ESRを極めて小さく
できる。
【0046】本発明の請求項8に記載の発明は、複数枚
のコンデンサ素子を同じ向きに積層したものであって、
隣接するコンデンサ素子の対極としての導電体層同士を
導電性接着剤で接着し、さらに誘電体層および対極とし
ての導電体層が形成されていない部分の粗面化した導電
体電極同士も電気的に導通するように接合して、複数枚
のコンデンサ素子が電気的に並列接続となるように構成
したものであることから、大容量を有するコンデンサを
構築できる。
【0047】本発明の請求項9に記載の発明は、粗面化
した導電体電極と、誘電体層の表面上に形成した対極と
しての導電体層との電気的な導通を防ぐために、仕切の
ための絶縁物層を各々のコンデンサ素子に設けたことか
ら、積層の際の重ね合わせの位置が多少ずれても、漏れ
電流の増大やコンデンサ素子同士の短絡を防止できる。
【0048】本発明の請求項10に記載の発明は、粗面
化した導電体電極が弁金属であることから、陽極酸化に
より金属表面上に絶縁性の高い酸化皮膜を容易に形成す
ることができる。
【0049】本発明の請求項11に記載の発明は、粗面
化した導電体電極がエッチドアルミニウム箔であること
から、コンデンサの静電容量を拡大するのに適してい
る。
【0050】本発明の請求項12に記載の発明は、有機
高分子膜が、電着により形成された高分子膜であること
から、粗面化した導電体電極表面に均一に被覆された、
極性の無い誘電体膜を有するコンデンサとなる。
【0051】本発明の請求項13に記載の発明は、電着
により形成された有機高分子膜が、ポリカルボン酸系樹
脂またはポリイミドのいずれかであることから、電着法
による成膜性に優れ、耐熱性、絶縁性にも優れている。
【0052】本発明の請求項14に記載の発明は、ポリ
カルボン酸系樹脂がポリアクリル酸系樹脂であることか
ら、粗面化した導電体電極との密着性に優れている。
【0053】本発明の請求項15に記載の発明は、粗面
化した導電体電極表面上の所定部分に有機高分子膜の誘
電体層を形成する工程と、粗面化した導電体電極と対極
としての導電体層との電気的導通を防ぐための絶縁物層
を形成する工程と、誘電体層表面上に対極としての導電
体層を形成しコンデンサ素子を完成する工程と、複数枚
のコンデンサ素子を積層し隣接する対極としての導電体
層同士を導電性接着剤で接着する工程と、隣接する粗面
化した導電体電極同士を電気的に導通するように接合す
る工程と、端子電極を設ける工程とを有することから誘
電体層を損傷することなく複数枚のコンデンサ素子を積
層した積層型コンデンサ製造できる。
【0054】本発明の請求項16に記載の発明は、有機
高分子膜の誘電体層を形成する工程が、電着法によるも
のであることから、粗面化した導電体電極表面を均一に
被覆した誘電体層を形成できる。
【0055】本発明の請求項17に記載の発明は、粗面
化した導電体電極表面上の所定部分に有機高分子膜と前
記導電体電極の酸化皮膜からなる複合誘電体層を形成す
る工程と、粗面化した導電体電極と対極としての導電体
層との電気的導通を防ぐための絶縁物層を形成する工程
と、誘電体層表面上に対極としての導電体層を形成しコ
ンデンサ素子を完成する工程と、複数枚のコンデンサ素
子を積層し隣接する対極としての導電体層同士を導電性
接着剤で接着する工程と、隣接する粗面化した導電体電
極同士を電気的に導通するように接合する工程と、端子
電極を設ける工程とを有することから、有機高分子膜の
みの場合よりも誘電体層の誘電率を高めることができ、
なおかつ誘電体層を損傷することなく複数枚のコンデン
サ素子を積層した積層型コンデンサを製造できる。
【0056】本発明の請求項18に記載の発明は、有機
高分子膜と粗面化した導電体電極の酸化皮膜からなる複
合誘電体層を形成する工程が、電着法および陽極酸化法
によるものであることから、陽極において電流・電圧印
加を行うだけで効率的に粗面化した導電体電極表面を均
一に被覆した絶縁性の高い複合誘電体層を形成できる。
【0057】本発明の請求項19に記載の発明は、有機
高分子膜がポリカルボン酸系樹脂またはポリイミドのい
ずれかであることから、電着法で効率的に成膜すること
が可能で、なおかつ耐熱性、絶縁性にも優れた無極性の
誘電体層を形成できる。
【0058】本発明の請求項20に記載の発明は、対極
としての導電体層を形成しコンデンサ素子を完成する工
程において、化学重合あるいは化学重合および電解重合
の併用により誘電体層の表面上に導電性高分子層を形成
することから、粗面化表面に良好に追従し、なおかつ導
電性の高い対極としての導電体層を形成できる。
【0059】本発明の請求項21に記載の発明は、対極
としての導電体層を形成しコンデンサ素子を完成する工
程において、ポリピロールあるいはポリエチレンジオキ
シチオフェンあるいはそれらの誘導体を少なくとも一種
類以上含む導電性高分子層を形成することから、耐熱
性、導電性に優れた対極としての導電体層を形成でき
る。
【0060】本発明の請求項22に記載の発明は、複数
枚のコンデンサ素子を積層し隣接する対極としての導電
体層同士を導電性接着剤で接着する工程において、圧力
をかけて接着することから、使用する導電性接着剤の量
が少なくて済み、コンデンサ素子間の隙間を減少させる
ことが可能となる。
【0061】本発明の請求項23に記載の発明は、圧力
の範囲が、0.01〜5kgf/cm2 であることか
ら、コンデンサ素子を密に積層した積層型コンデンサを
製造できる。
【0062】(実施の形態1)本発明者は、これまで粗
面化した導電体電極表面上に、電着によって有機高分子
膜の誘電体層を形成し、前記誘電体層表面上に対極とし
ての導電体層を形成したコンデンサ素子の耐機械的スト
レス性および電気特性について鋭意研究を重ねてきた。
【0063】その結果、アルミニウムの酸化皮膜の誘電
体層を有するコンデンサ素子と比べた場合、有機高分子
膜の誘電体層を有するコンデンサ素子の方が機械的スト
レスに対して強いことを見出した。
【0064】例えば、3kgf/cm2 の圧力を20個
のコンデンサ素子に加えた場合、アルミニウムの酸化皮
膜を誘電体層とするコンデンサ素子は、そのうちの4個
が漏れ電流を大幅に増大させた。一方、有機高分子の誘
電体層を有するコンデンサ素子については、漏れ電流特
性の劣化が認められるものはなかった。また、屈曲に対
しても、有機高分子膜の誘電体層を有するコンデンサ素
子は、酸化皮膜の誘電体層を有するコンデンサ素子より
も強いことがわかった。
【0065】以上のようなことから、粗面化した導電体
電極表面上に有機高分子膜の誘電体を有するコンデンサ
素子は、積層するのに適していると思われる。実際、予
備実験において、圧力を加えて複数枚のコンデンサ素子
を積層しても、誘電体を損傷させることはほとんど無
く、この方法には顕著な効果があることがわかった。
【0066】一方、これまでに開示された特開昭63−
29919号公報や特開平3−203211号公報に
は、表面に細孔を有する金属の細孔内に絶縁性有機高分
子を導入するための様々な方法が記載されている。例え
ば、モノマーをガス状あるいは液状で細孔内に導入して
重合する方法、高分子物質自体を融解して導入する方
法、高分子を良溶媒に溶解した溶液を塗布して導入する
方法、真空蒸着重合により導入する方法などである。こ
れらの方法についてもこれまで種々検討をした結果、い
ずれの方法を採用しても、粗面化した導電体電極表面を
均一に被覆することは極めて困難であり、有機高分子膜
と粗面化した導電体との密着性が電着法に比べて弱いこ
とがわかった。よって、このような方法を用いても上記
のような耐機械的ストレスに対する効果は望めないこと
は明らかであった。
【0067】また、前記公報には、本発明と同種の電気
的な手法よって有機高分子を細孔内に導入する方法につ
いても若干記載されている。しかし、本発明者が見出し
たような耐機械的ストレスに対する効果については、一
切記載されていなかった。本発明者は、数多くの実験の
中から、以下の本実施の形態1で述べるような最良電着
条件を見出し、それが積層工程中に発生し易い誘電体の
損傷を防止するのに顕著な効果が発揮できることを実験
で確認した。
【0068】以下に、上記知見から得た結果をもとに具
体的に試みた実施の形態1について図面を参照しながら
詳細に説明する。
【0069】図1は本実施の形態で説明する積層型コン
デンサの断面のモデル図である。また、図2および図3
は、積層型コンデンサを構成するコンデンサ素子1枚の
表面の模式図および断面の模式図である。
【0070】まず、目的とする積層型コンデンサを構成
しているコンデンサ素子1枚の構造を図2および図3を
用いて詳細に説明する。なお、図3は、図2のA−B間
を切断した際の断面の模式図を示している。
【0071】図中の1はエッチングにより生じた細孔の
平均孔径が2μmで、表面積が約30倍に粗面化された
導電体電極のエッチドアルミニウム箔である。このエッ
チドアルミニウム箔1の表面形状に追従させて有機高分
子膜の誘電体層であるポリアクリル酸系樹脂皮膜4が電
着法により形成してあり、その表面上に対極としての導
電体層3が形成してある。さらにエッチドアルミニウム
箔1と、ポリアクリル酸系樹脂皮膜4の表面上に形成し
た対極としての導電体層3との電気的な導通を防ぐため
に、仕切のための絶縁物層2が設けてある。
【0072】なお、ここでいうポリアクリル酸系樹脂と
は、高分子の主鎖や側鎖に少なくとも一つ以上のカルボ
ン酸基を有するポリカルボン酸系樹脂の代表的なものを
示している。例えば、アクリル酸やメタクリル酸やそれ
らをエステル化したものの共重合体などのことである。
共重合の際にエステル化したものや、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリスチレンなどの極性基を持たない高
分子と共重合したものは、絶縁性・誘電特性が向上する
ので、そのような高分子材料を用いることが本発明には
望ましい。
【0073】好ましくは、メラミン系樹脂やベンゾグア
ナミン系樹脂などのアミノ樹脂系硬化剤が配合されて、
熱処理の際に脱水縮合により三次元架橋反応(硬化)
し、膜の絶縁性、耐熱性、強度が高まるものが本目的に
は適している。
【0074】また、溶液中ではポリアミック酸のように
カルボン酸基を有するが、熱処理によってポリイミドに
なるような高分子材料も本目的には適している。また、
カルボン酸基を持つポリイミドがポリイミドのままで溶
液に溶解したものも、本発明には好適である(例えば、
特開平9−104839号公報参照)。
【0075】また、エッチドアルミニウム箔1の対極と
しての導電体層3は、図3における導電性高分子の第1
のポリピロール層5と第2のポリピロール層6と集電す
るために付着させたグラファイト層7からなっている。
【0076】次に図1を用いて、本実施の形態の積層型
コンデンサの構成を説明する。図1は、図2および図3
で示した1枚のコンデンサ素子を8枚同じ向きに積層
し、上下に隣接するコンデンサ素子の対極としての導電
体層3同士を銀ペーストなどの導電性接着剤8で接着
し、さらに対極としての導電体層3が形成されていない
部分のエッチドアルミニウム箔1同士も電気的に導通す
るように接合して、各々のコンデンサ素子が電気的に並
列接続となるように配置し、端子電極9を設けた積層型
コンデンサの構成を表している。
【0077】次に、上記構成の積層型コンデンサの製造
方法の一例を図4のフロー図を用いて詳細に説明する。
【0078】まず、使用電着液について説明する。電着
液には、主剤であるポリアクリル酸系樹脂が硬化剤であ
るベンゾグアナミン系樹脂と水溶液中でミセル構造をと
って分散しているものを用いた。動的光散乱法によっ
て、ミセルの直径を測定したところ、その平均直径は約
0.05μmであった。
【0079】上記の水系電着液の成分は、固形分が10
重量%、イオン交換水86重量%、ブチルセロソルブ4
重量%である。ここでいう固形分には、アクリル酸とメ
タクリル酸とスチレンの共重合体(分子量約3万)(主
剤)とベンゾグアナミン系樹脂(硬化剤)が7対3の重
量比で混合したものを用いた。また、前記固形分を液中
に分散させる際には、アニオン電着法でよく行われるよ
うに、固形分中のカルボン酸基の50%をトリエチルア
ミンを適量加えて中和し、分散性および電着効率を高め
た。この電着液のpHは8.2で、導電率は6.1×1
-4Scm-1であった。
【0080】なお、本発明に用いる電着液は、上記のも
のに限定されるものではなく、様々な電着可能な高分子
を含む溶液が適用できることは言うまでもない。また、
市販のポリカルボン酸系のアニオン電着塗料液でも本発
明の目的に適合するように調整配合することも可能であ
る。また、電着高分子はアニオン系に限定されるもので
はなく、粗面化した導電体を陰極に用いて、カチオン系
の電着高分子膜を形成しても良い。つまり、高分子の種
類としては、電場がかかった際に溶液中で電気泳動し、
導電体電極表面上で成膜する高分子ならば、本発明に適
用できる可能性がある。
【0081】次に、ステップ1の工程を説明する。ま
ず、電着液を陰極となる直径80mmの円筒型のステン
レス容器に入れる。次に9mm×5mmに切断したエッ
チドアルミニウム箔1の5mm×5mmの部分を電着液
に浸漬し、陽極とした。なお、この電着に用いたエッチ
ドアルミニウム箔1はあらかじめアルカリ陰極電解洗浄
し、表面の自然酸化皮膜を除去し、表面を均一化したも
のを用いた。また、電圧印加前には、エッチドアルミニ
ウム箔1の細孔中に残存している気体を、減圧下で脱気
することにより、電着液を完全に細孔の奥まで充填し
た。
【0082】次に、電流密度0.3mA/cm2 、設定
電着電圧を10Vとして15分間、定電流・定電圧電着
を行い、エッチドアルミニウム箔1表面にポリアクリル
酸系樹脂を形成させた。定電流・定電圧電着とは、最初
に定電流で電着を行い、膜抵抗の増加により電着電圧が
増加し、その後設定電圧に到達したら定電圧電着に切り
替わる方式のことである。
【0083】次に、ポリアクリル酸系樹脂を形成させた
エッチドアルミニウム箔1を水洗した後、80℃で20
分間乾燥し、180℃で熱処理することにより、ポリア
クリル酸系樹脂中に配合されていたベンゾグアナミン系
樹脂とを架橋反応させた。
【0084】その後、上記のような電着および熱処理を
3回繰り返した。その際の設定電着電圧は、20V、3
0V、40Vと段階的に上昇させた。そうすることによ
り、耐熱性、絶縁性に優れたポリアクリル酸系樹脂皮膜
4の誘電体層を有する素子を作製した。
【0085】なお、ステップ1で電流密度や設定電圧の
大きさ、電着時間の長さなどを調節することにより、ポ
リアクリル酸系樹脂皮膜4の厚さを調節できることは言
うまでもない。
【0086】次に、ステップ2で、エッチドアルミニウ
ム箔1と誘電体層の表面上に形成する対極としての導電
体層3との電気的な導通を防ぐために、仕切のための絶
縁物層2を設ける。この絶縁物層2には、紫外線硬化樹
脂を用いた。形成した場所は、図2で示したように誘電
体層を形成した部分の上端に面する幅1mmの部分であ
る。この紫外線硬化樹脂を図2のように、エッチドアル
ミニウム箔1をはちまき状に一周するように薄く付着さ
せた。
【0087】なお、ここで用いた絶縁物層2は、上記の
材料に限定されるものではなく、絶縁性で接着性のもの
ならば適用できることはいうまでもない。エポキシ接着
剤、接着性高分子フィルムテープなどでも良い。
【0088】次に、ステップ3で、上記試料を1.0m
ol/lのピロールのエタノール溶液と1.0mol/
lの過硫酸アンモニウム水溶液に交互に2分間づつ浸漬
する操作を3回繰り返してポリピロールの化学重合膜で
ある第1のポリピロール層5を、誘電体層が形成された
表面部分に形成した。
【0089】つづいて、ステップ4で、第1のポリピロ
ール層5が形成された素子を、円筒型のステンレス容器
に入れたポリピロール1部、支持電解質の40重量%ブ
チルナフタレンスルホン酸ナトリウム水溶液1部、蒸留
水40部を混合した溶液に浸漬して陽極とし、ステンレ
ス容器を陰極として、両者の電極間に電流密度2.5m
A/cm2 の一定電流で30分間電解重合して第2のポ
リピロール層6を形成した。
【0090】なお、本実施の形態のステップ3および4
において、対極としての導電体層3を構成する材料とし
て化学重合および電解重合により形成したポリピロール
を用いたが、本発明はこの材料に限定されるものではな
い。ポリピロールにアルキル基が導入されたようなポリ
ピロールの誘導体やポリエチレンジオキシチオフェンな
どのポリチオフェンの誘導体などの他のπ電子共役系の
導電性高分子を用いても良いことは言うまでもない。好
ましくは、導電性および耐熱性の高いポリピロールやポ
リエチレンジオキシチオフェンを用いると良い。
【0091】また、導電性高分子の形成方法も本実施の
形態の形成方法に限定されるものではなく、化学重合の
みで導電性高分子層を誘電体層の表面に形成しても良い
ことは言うまでもない。また、導電性高分子にドープす
るスルホン酸イオンなどの陰イオンも、本実施の形態1
で用いたものに限定されるものではなく、一般的に導電
性高分子の導電性を高めるために用いられているドーパ
ントならば、本発明に適していることは言うまでもな
い。
【0092】次に、ステップ5で、この第2のポリピロ
ール層6表面にコロイダルグラファイトを塗布しグラフ
ァイト層7の集電体層を形成した。これにより、グラフ
ァイト層7により集電された第1のポリピロール層5、
第2のポリピロール層6からなる対極としての導電体層
3を完成し、コンデンサ素子を完成させた。
【0093】なお、ステップ5において、グラファイト
層7の表面にさらに銀ペーストなどの導電性接着剤層を
形成させても良いことは言うまでもない。
【0094】ステップ1から5の工程を合計40枚のエ
ッチドアルミニウム箔1に対して行い、40枚の同じ面
積のコンデンサ素子を完成させた。コンデンサ素子1枚
の静電容量は平均で0.4μFであり、tanδは平均
0.65%であった。
【0095】次に、ステップ6で、8枚のコンデンサ素
子を積層し隣接する対極としての導電体層3同士を2k
gf/cm2 の圧力をかけて導電性接着剤8の銀ペース
トを用いて接着した。このようにすると、圧力がかかっ
た状態で複数枚のコンデンサ素子同士が接着されるの
で、コンデンサ素子間の隙間も大きくならず、導電性接
着剤8の量も少量で良いため、積層型コンデンサの厚み
を薄くできる。
【0096】次に、ステップ7で、隣接する8枚のエッ
チドアルミニウム箔1を溶接によって接合した(ただ
し、図1は積層型コンデンサのモデル図であるため、接
合した様子の詳細は描いていない)。本発明におけるエ
ッチドアルミニウム箔同士の接合方法は、実施の形態1
の方法に限定されるのもではなく、溶接、溶射、導電性
接着剤による接合など、電気抵抗を増加させない接合方
法ならば、様々な方法を採用することができる。また、
対極としての導電体層3が形成されていない部分の隣接
するエッチドアルミニウム箔1同士の隙間に同種あるい
は異種導電体を挟んで、溶接などにより接合しても良い
ことは言うまでもない。
【0097】最後に、ステップ8で、端子電極9の一つ
を対極としての導電体層3側に導電性接着剤8で接合
し、もう一つをエッチドアルミニウム箔1側に溶接によ
り接合して、エポキシ樹脂で外装することにより、本実
施の形態1の積層型コンデンサを完成した。
【0098】ステップ6から8の工程において、8枚の
コンデンサ素子からなる有機高分子膜の誘電体層を有す
る積層型コンデンサを合計5個製造した。
【0099】表1に実施の形態1で得た5個の積層型コ
ンデンサの120Hzの静電容量、120Hzのtan
δ、100kHzのESR、±5Vにおける漏れ電流の
平均値を示す。
【0100】また、表1には比較のために積層型アルミ
固体電解コンデンサの特性も比較例1として示してあ
る。比較例1では、エッチドアルミニウム箔を90℃の
3重量%のアジピン酸アンモニウム水溶液を用いて陽極
酸化(化成)して、対極にポリピロールを設けたコンデ
ンサ素子を複数枚積み重ねて積層型アルミ固体電解コン
デンサを構成した。なお、この比較例1で陽極酸化によ
り誘電体を形成する際の電流密度は、実施の形態1のス
テップ1と同じ値に設定し、陽極酸化電圧は10、2
0、30、40Vと段階的に途中熱処理工程を挟んで昇
圧させた。酸化皮膜の熱処理温度は、480℃とした。
また、誘電体を形成したエッチドアルミニウム箔の片面
の見かけ面積は3mm×4mmとし、積層するコンデン
サ素子の枚数を5枚に変更した。陽極酸化により誘電体
を形成する工程以外は、実施の形態1のステップ2から
8と同様な方法で、5枚のコンデンサ素子を積層した積
層型コンデンサを合計5個製造した。5個の積層型コン
デンサの120Hzの静電容量、120Hzのtan
δ、100kHzのESR、±5Vにおける漏れ電流の
平均値を比較例1に示した。
【0101】
【表1】
【0102】表1では、実施の形態1の静電容量は、コ
ンデンサ素子の枚数が増加した分だけ大容量化されてい
る。tanδは、積層したにもかかわらず、ほとんど1
枚のコンデンサ素子の時と変化がなく、低い値となって
いる。また、ESRも極めて低い値となっている。ま
た、±5Vにおいて、漏れ電流の値が小さく、ほとんど
極性がないことがわかる。なお、漏れ電流は、アルミニ
ウム箔から誘電体に電流が流れる方向をプラスとした。
このように漏れ電流が低く、極性が無いのは、誘電体が
有機高分子膜であることが大きく反映している。
【0103】比較例1では、積層の際の摩擦などによる
機械的ストレスによって、アルミニウムの酸化皮膜の誘
電体層を損傷した試料があったため漏れ電流が増加し、
tanδの平均値が実施の形態1よりも大きくなった。
また、漏れ電流の絶対値も実施の形態1よりも大きく、
さらに極性も大きかった。
【0104】また、実施の形態1および比較例1のES
Rを比較すると、実施の形態1の積層型コンデンサの方
が低くなった。同じ対極としての導電体層を有している
にもかかわらず、このように差が生じた理由としては、
二つ考えられる。一つは、同じ導電性高分子に対して誘
電体の材質の違いにより接触抵抗が異なることと、もう
一つは、誘電体自身が持つESRが異なることである。
本実施の形態1の対極としての導電体層と誘電体層の界
面における接触抵抗は、同じ有機物同士であるため、比
較例1の場合よりも密着性が良くなり、低くなったので
はないかと考えられる。また、実施の形態1の有機高分
子皮膜の方が、比較例1のアルミニウムの陽極酸化皮膜
よりも誘電体自身が持つESRの値が低い可能性もあ
る。
【0105】以上のようなことから、本実施の形態1の
積層型コンデンサは、誘電体層と導電性高分子層の接触
抵抗が低いことと、誘電体自身が持つESRが酸化皮膜
よりも低い可能性があるため、表1のように比較例1の
積層型コンデンサよりもESRが低くなったと推定でき
る。
【0106】図5に、本実施の形態1で得た積層型コン
デンサのインピーダンスの周波数特性の一例を示す。な
お、図には、比較のために3.3μFの市販のポリエス
テルフィルムコンデンサ、および比較例1で得たポリピ
ロールを陰極とする3.3μFのアルミ固体電解コンデ
ンサの特性の一例も併せて示している。
【0107】この図から、本実施の形態1のコンデンサ
は、ポリエステルフィルムコンデンサと同等の優れたイ
ンピーダンス特性を有することがわかる。さらに、本実
施の形態1で得た積層型コンデンサは、ポリエステルフ
ィルムコンデンサの体積の30分の1であった。このこ
とから、本実施の形態1の積層型コンデンサは、従来の
フィルムコンデンサよりも著しく小型・大容量化したも
のであると言える。このように小型・大容量化できたの
は、コンデンサ素子に粗面化した電極を用いたことと、
コンデンサ素子を多数枚積層したことによるものであ
る。
【0108】本実施の形態1によれば、粗面化した導電
体電極であるエッチドアルミニウム箔表面上の所定部分
に有機高分子膜の誘電体層を有し、前記誘電体層表面上
にさらに対極としての導電体層を形成したコンデンサ素
子を複数枚積み重ねて積層型コンデンサを構成したこと
から、誘電体層を損傷することなく複数枚のコンデンサ
素子を積層でき、大容量化することができた。
【0109】このように、積層する際に圧力を加えたに
もかかわらず、誘電体膜を損傷することなく、多くの枚
数のコンデンサ素子を積層し、なおかつ優れた特性を有
する積層型コンデンサを構成できたのは、誘電体層に有
機高分子膜を有するためである。
【0110】有機高分子膜はアルミニウムの酸化皮膜よ
りも弾力性、靱性、すべり性に富むため、機械的ストレ
スに対してはアルミニウムの酸化皮膜よりも脆くない。
そのため、圧力をかけてコンデンサ素子を積層したり、
多くの枚数の素子を積層しても、誘電体を損傷すること
がなく、漏れ電流が増大しなかった。
【0111】一方、アルミニウムの酸化皮膜は、有機高
分子膜よりも硬いが、脆さを兼ね備えている。このよう
なことから、複雑な形状を有するエッチドアルミニウム
箔表面上のアルミニウムの酸化皮膜は、機械的ストレス
に対して亀裂が生じやすいため漏れ電流を増大させやす
い。そのため、多くの枚数の積層型コンデンサを製造す
ると不良率が増大してしまう。
【0112】以上のことから、本実施の形態1のように
誘電体層に有機高分子膜を採用することにより、不良率
の小さい周波数特性の優れた大容量の積層型コンデンサ
を製造できる。
【0113】また、対極としての導電体層が、導電性高
分子層を主体として構成していることから、極めて導電
率が高く、なおかつ誘電体層を構成する有機高分子膜と
の密着性が良いため界面の接触抵抗も低くなり、ESR
が低くなった。
【0114】また、その導電性高分子層が、化学重合と
電解重合の併用により形成したポリピロールであること
から、高い導電性を有し、熱的安定性に優れた導電体層
を有する積層型コンデンサが得られた。
【0115】また、対極としての導電体層が導電性高分
子層およびグラファイト層からなることから、ESRが
極めて小さくなった。
【0116】また、複数枚のコンデンサ素子を同じ向き
に積層したものであって、隣接するコンデンサ素子の対
極としての導電体層同士を導電性接着剤で接着し、さら
に誘電体層および対極としての導電体層が形成されてい
ない部分の粗面化した導電体電極同士も電気的に導通す
るように接合して、複数枚のコンデンサ素子が電気的に
並列接続となるように構成したものであることから、大
容量を有する積層型コンデンサを構築できた。
【0117】また、粗面化した導電体と、誘電体層の表
面上に形成した対極としての導電体層との電気的な導通
を防ぐために、仕切のための絶縁物層を設けたことか
ら、各々のコンデンサ素子が電気的に導通することなく
複数枚のコンデンサ素子を容易に並列接続することがで
きた。
【0118】また、有機高分子膜が電着により形成され
た高分子膜であることから、粗面化した導電体電極表面
に均一に被覆され、機械的ストレスに対して強くなり、
なおかつ極性のほとんどない誘電体を形成することがで
きた。
【0119】また、このコンデンサの誘電体膜が電着に
より形成したポリアクリル酸系樹脂皮膜であることか
ら、エッチドアルミニウム箔との密着性に優れ、機械的
ストレスに対して強くなり、絶縁性にも優れていた。
【0120】また、実施の形態1の積層型コンデンサの
製造方法によれば、粗面化した導電体電極表面上の所定
部分に有機高分子膜の誘電体層を形成する工程と、導電
体と対極としての導電体層との電気的導通を防ぐための
絶縁物層を形成する工程と、誘電体層表面上に対極とし
ての導電体層を形成しコンデンサ素子を完成する工程
と、複数枚のコンデンサ素子を積層し隣接する対極とし
ての導電体層同士を導電性接着剤で接着する工程と、隣
接する粗面化した導電体電極同士を電気的に導通するよ
うに接合する工程と、端子電極を設ける工程とを有する
ことから、誘電体層を損傷することなく複数枚のコンデ
ンサ素子を積層可能となり、特性の優れた小型・大容量
の積層型コンデンサを製造できた。
【0121】また、有機高分子膜の誘電体層を形成する
工程が、電着法によるものであることから、粗面化した
導電体表面を均一に被覆した、機械的ストレスに対して
強い誘電体層を効率的に形成することができた。
【0122】また、上記の誘電体層を形成する際の有機
高分子膜が、ポリカルボン酸系樹脂の代表であるポリア
クリル酸系樹脂皮膜であったため、電着法で効率的に成
膜することが可能で、なおかつ耐熱性、絶縁性にも優れ
た無極性の誘電体層を形成できた。
【0123】また、誘電体層表面上に対極としての導電
体層を形成しコンデンサ素子を完成する工程において、
化学重合および電解重合の併用により、導電性の高いポ
リピロールからなる導電性高分子層を形成したことか
ら、低ESRの積層型コンデンサを製造できた。
【0124】また、複数枚のコンデンサ素子を積層し隣
接する対極としての導電体層同士を導電性接着剤で接着
する工程において、2kgf/cm2 という適度な圧力
をかけて隣接する対極としての導電体層同士を接着した
ことから、工業的に製造し易く、なおかつ積層型コンデ
ンサの厚さをより薄くすることができた。
【0125】(実施の形態2)実施の形態1のステップ
3およびステップ4において、対極としての導電体層の
導電性高分子層をポリエチレンジオキシチオフェンに変
更したこと以外は、実施の形態1と同様な方法で8枚の
コンデンサ素子からなる積層型コンデンサを合計5個製
造した。なお、ポリエチレンジオキシチオフェン形成の
際のドーパントの種類とその濃度は、実施の形態1の場
合と同じにした。
【0126】表1に実施の形態2で得た5個の積層型コ
ンデンサの120Hzの静電容量、120Hzのtan
δ、100kHzのESR、±5Vにおける漏れ電流の
平均値を示す。
【0127】表1からもわかるように、実施の形態2に
おいても、実施の形態1と同様な優れた効果が得られ、
大容量で、なおかつ低tanδ、低ESRであり、さら
に漏れ電流が小さい、無極性の積層型コンデンサが製造
できた。
【0128】実施の形態2のように、導電性高分子の種
類を変えても、表1のように低いESRとなったのは、
ポリエチレンジオキシチオフェンの高い導電性によるも
のである。
【0129】(実施の形態3)以下、本発明の実施の形
態3について、図面を参照しながら説明する。
【0130】図6は本実施の形態で説明する積層型コン
デンサを構成するコンデンサ素子1枚の断面の模式図で
ある。
【0131】まず、目的とする積層型コンデンサを構成
しているコンデンサ素子1枚の構造を図2および図6を
用いて詳細に説明する。なお、図6は、実施の形態1の
場合と同様に図2のA−B間を切断した際の断面の模式
図を示している。
【0132】図6では、エッチドアルミニウム箔1電極
の表面形状に追従させて誘電体である有機高分子膜のポ
リアクリル酸系樹脂皮膜4およびアルミニウムの酸化皮
膜10からなる複合誘電体層が電着法および陽極酸化法
により形成してある。また、その複合誘電体層表面上に
対極としての導電体層3が形成してある。さらに、エッ
チドアルミニウム箔1と、複合誘電体層表面上の対極と
しての導電体層3との電気的な導通を防ぐために、仕切
のための絶縁物層2が設けてある。
【0133】また、エッチドアルミニウム箔1の対極と
しての導電体層3は、図6における導電性高分子の第1
のポリピロール層5と第2のポリピロール層6と集電す
るために付着させたグラファイト層7からなっている。
【0134】以上のように実施の形態3におけるコンデ
ンサ素子は、実施の形態1の場合と比較して誘電体層の
構成が変わっただけである。つまり、実施の形態3にお
いても複数枚のコンデンサ素子を積層すると、図1と同
様な構成の積層型コンデンサとなる。
【0135】次に、上記構成の積層型コンデンサの製造
方法の一例を図7のフロー図を用いて詳細に説明する。
【0136】まず、電着および陽極酸化に使用する溶液
について説明する。前記溶液には、主剤であるポリアク
リル酸系樹脂が硬化剤であるベンゾグアナミン系樹脂と
水溶液中でミセル構造をとって分散しているものを用い
た。動的光散乱法によって、ミセルの直径を測定したと
ころ、その平均直径は約0.05μmであった。
【0137】上記の溶液の成分は、固形分が10重量
%、イオン交換水60重量%、N−メチルピロリドン4
6重量%、ブチルセロソルブ4重量%である。ここでい
う固形分には、実施の形態1と同様に、アクリル酸とメ
タクリル酸とスチレンの共重合体(分子量約3万)(主
剤)とベンゾグアナミン系樹脂(硬化剤)が7対3の重
量比で混合したものを用いた。また、前記固形分を液中
に分散させる際には、アニオン電着法でよく行われるよ
うに、固形分中のカルボン酸基の50%をトリエチルア
ミンを適量加えて中和し、分散性および電着効率を高め
た。この溶液のpHは7.8で、導電率は1.6×10
-4Scm-1であった。加えたN−メチルピロリドンは、
電着用の高分子を溶解する能力が大きく、電着液中では
高分子膜の形成を抑制する働きをする。
【0138】次に、ステップ1の工程を説明する。ま
ず、上記の溶液を陰極となる直径80mmの円筒型のス
テンレス容器に入れる。次に9mm×5mmに切断した
エッチドアルミニウム箔1の5mm×5mmの部分を上
記溶液に浸漬し陽極とした。なお、この工程に用いたエ
ッチドアルミニウム箔1は、あらかじめアルカリ陰極電
解洗浄し、表面の自然酸化皮膜を除去し、表面を均一化
したものを用いた。また、電圧印加前には、エッチドア
ルミニウム箔1の細孔中に残存している気体を、減圧下
で脱気することにより、上記溶液を完全に細孔の奥まで
充填した。
【0139】次に、電流密度0.2mA/cm2 で定電
流法で通電を開始し、その後目的電圧10Vとなった
後、一定電圧で電圧印加を継続し、合計の電流・電圧印
加時間が30分間となるようにした。このようにする
と、エッチドアルミニウム箔1表面にポリアクリル酸系
樹脂皮膜4およびアルミニウムの酸化皮膜10を同時に
形成させることができる。
【0140】上記の現象は、次のように説明できる。溶
液中の陽極としたエッチドアルミニウム箔1電極上で
は、高分子が持つカルボン酸イオンと水の電気分解によ
って発生した水素イオンとの中和により高分子膜が析出
する反応と、アルミニウムの酸化反応とが競合する。こ
の溶液中では、アルミニウムの標準電極電位は、標準水
素電極電位(NHE)に対し−1.66Vと低く、アル
ミニウムの酸化反応は熱力学的に起こり易い状態にあ
る。溶液中に46重量%という大きな割合で配合したN
−メチルピロリドンは、前述のように電着用の高分子を
溶解する能力が大きく、高分子膜の形成を抑制するた
め、実施の形態3においては、高分子膜生成の速度を遅
くする働きがある。このような状況においては、陽極酸
化による酸化皮膜の成長も高分子膜形成と同時に大きな
割合で進行する。
【0141】次に、上記処理をして絶縁性膜が形成され
たエッチドアルミニウム箔1を水洗した後、80℃で2
0分間乾燥し、180℃で熱処理することにより、ベン
ゾグアナミン系樹脂とポリアクリル酸系樹脂とを硬化反
応させた。
【0142】その後、上記のような電着と陽極酸化およ
び熱処理を3回繰り返した。その際の設定電圧は、20
V、30V、40Vと段階的に上昇させた。そうするこ
とにより、耐熱性、絶縁性に優れたポリアクリル酸系樹
脂皮膜4およびアルミニウムの酸化皮膜10からなる複
合誘電体層を有する素子を作製した。
【0143】実際に、ステップ1のような電着と陽極酸
化した試料を臭素−メタノール溶液で金属アルミニウム
のみを溶解し、走査電子顕微鏡(SEM)で複合誘電体
膜の断面を観察すると、1:3の膜厚比でポリアクリル
酸系樹脂皮膜4とアルミニウムの酸化皮膜10が形成さ
れているのを確認した。この際のアルミニウムの酸化皮
膜はアモルファス相であったが、緻密なバリアー型の皮
膜が形成されていた。
【0144】なお、ステップ1で溶液の配合比率、電流
密度、設定電圧、電着時間を変更させることにより、ポ
リアクリル酸系樹脂皮膜4およびアルミニウムの酸化皮
膜10の膜厚を調節することは可能である。
【0145】また、本発明の実施の形態3の方法に限定
されるものではなく、あらかじめ陽極酸化させた後のア
ルミニウム箔に有機高分子膜を後から電着させても良
い。また、アジピン酸アンモニウムなどの化成性の高い
有機酸あるいは無機酸の塩を含んだ水溶液に実施の形態
1で述べた電着用高分子を混入させた溶液を使用して電
着と陽極酸化を行っても良い。
【0146】次に、実施の形態1のステップ2から5と
同じ工程で40枚のコンデンサ素子を完成した。コンデ
ンサ素子1枚の静電容量は平均で0.8μFであり、t
anδは平均0.80%であった。そして、それらのコ
ンデンサ素子を、実施の形態1のステップ6から8と同
様な要領で、8枚ずつコンデンサ素子を積み重ねて、合
計5個のポリアクリル酸系樹脂皮膜4とアルミニウムの
酸化皮膜10からなる複合誘電体を有する積層型コンデ
ンサを完成させた。
【0147】表1に実施の形態3で得た5個の積層型コ
ンデンサの120Hzの静電容量、120Hzのtan
δ、100kHzのESR、±5Vにおける漏れ電流の
平均値を示す。
【0148】表1の実施の形態3において、静電容量
は、コンデンサ素子の枚数が増加した分だけ大容量化さ
れている。さらに、本実施の形態3のコンデンサにおい
ては、有機高分子膜よりも高い誘電率を持つアルミニウ
ムの酸化皮膜を誘電体に含むため、実施の形態1の積層
型コンデンサよりも静電容量が大きい。また、tanδ
は、積層枚数が多いにもかかわらず、ほとんど1枚のコ
ンデンサ素子の時と変化していない。また、ESR、漏
れ電流も非常に低い値となっている。さらに、極性も有
機高分子膜の性質が反映して±5V領域では、ほとんど
無かった。
【0149】本実施の形態3によれば、粗面化した導電
体電極表面上の所定部分に有機高分子膜と前記導電体電
極の酸化皮膜からなる複合誘電体層を有し、前記複合誘
電体層表面上にさらに対極としての導電体層を形成した
コンデンサ素子を複数枚積み重ねて構成したものである
ことから、有機高分子膜のみの誘電体層よりも誘電率を
高めることができ、なおかつ複数枚のコンデンサ素子を
誘電体を損傷することなく積層することができたため、
大容量の積層型コンデンサが得られた。
【0150】このように、積層する際に圧力をかけたに
もかかわらず、誘電体膜を損傷することなく多くの枚数
のコンデンサ素子からなる優れた特性を有する積層型コ
ンデンサを構成できたのは、誘電体層にアルミニウムの
酸化皮膜だけでなく有機高分子膜を含むためである。
【0151】本実施の形態3のように、複合誘電体層中
で、対極としての導電体層に面する側に有機高分子膜を
存在させると、アルミニウムの酸化皮膜のみの場合より
も弾力性、靱性に富むため、機械的ストレスに対しては
アルミニウムの酸化皮膜のみからなる誘電体層よりも強
かった。このような方法を用いれば、酸化皮膜を主体と
する誘電体層を有するコンデンサであっても、積層枚数
を従来よりも増加させることが可能となり、さらに大容
量・高耐圧のコンデンサを製造できる。本発明は、Al
固体電解コンデンサの開発分野にも応用できる可能性が
ある。
【0152】また、対極としての導電体層が、導電性高
分子層を主体として構成していることから、極めて導電
率が高く、なおかつ誘電体層を構成する有機高分子膜と
の密着性が良いため、界面の接触抵抗も低くなり、ES
Rが実施の形態1と同様に低くなった。
【0153】また、その導電性高分子層が、化学重合と
電解重合の併用により形成したポリピロールであること
から、高い導電性を有し、熱的安定性に優れた導電体層
を有する積層型コンデンサが得られた。
【0154】また、対極としての導電体層が導電性高分
子層およびグラファイト層からなることから、ESRが
極めて小さくなった。
【0155】また、複数枚のコンデンサ素子を同じ向き
に積層したものであって、隣接するコンデンサ素子の対
極としての導電体層同士を導電性接着剤で接着し、さら
に誘電体層および対極としての導電体層が形成されてい
ない部分の粗面化した導電体電極同士も電気的に導通す
るように接合して、複数枚のコンデンサ素子が電気的に
並列接続となるように構成したことから、大容量を有す
る積層型コンデンサを構築できた。
【0156】また、粗面化した導電体と、誘電体層の表
面上に形成した対極としての導電体層との電気的な導通
を防ぐために、仕切のための絶縁物層を設けたことか
ら、各々のコンデンサ素子が電気的に導通することなく
複数枚のコンデンサ素子を容易に並列接続することがで
きた。
【0157】また、実施の形態3の積層型コンデンサの
製造方法によれば、粗面化した導電体電極表面上の所定
部分に有機高分子膜と前記導電体電極の酸化皮膜からな
る複合誘電体層を形成する工程と、粗面化した導電体電
極と対極としての導電体層との電気的導通を防ぐための
絶縁物層を形成する工程と、誘電体層表面上に対極とし
ての導電体層を形成しコンデンサ素子を完成する工程
と、複数枚のコンデンサ素子を積層し隣接する対極とし
ての導電体層同士を導電性接着剤で接着する工程と、隣
接する粗面化した導電体電極同士を電気的に導通するよ
うに接合する工程と、端子電極を設ける工程とを有する
ことから、有機高分子膜のみの場合よりも誘電体層の誘
電率を高めることができ、誘電体層を損傷することなく
複数枚のコンデンサ素子を積層した小型・大容量の積層
型コンデンサを製造できた。
【0158】また、有機高分子膜と導電体の酸化皮膜か
らなる複合誘電体層を形成する工程が、電着法および陽
極酸化法によるものであることから、粗面化した導電体
電極表面を均一に被覆した絶縁性の高い複合誘電体層を
形成できた。
【0159】また、上記の誘電体層を形成する際の有機
高分子膜が、ポリカルボン酸系樹脂の代表であるポリア
クリル酸系樹脂皮膜であったため、電着法で効率的に成
膜することが可能で、なおかつ耐熱性、絶縁性にも優れ
た無極性の機械的ストレスにも強い誘電体層を形成でき
た。
【0160】また、誘電体層表面上に対極としての導電
体層を形成しコンデンサ素子を完成する工程において、
化学重合および電解重合の併用により、導電性の高いポ
リピロールからなる導電性高分子層を形成したことか
ら、低ESRの積層型コンデンサを製造できた。
【0161】また、複数枚のコンデンサ素子を積層し隣
接する対極としての導電体層同士を導電性接着剤で接着
する工程において、2kgf/cm2 という適度な圧力
をかけて隣接する対極としての導電体層同士を接着した
ことから、工業的に製造し易く、なおかつ積層型コンデ
ンサの厚さをより薄くすることができた。
【0162】なお、本実施の形態1から3では、複数枚
のコンデンサ素子が積層により電気的に並列接続となる
ようにしたものについて述べたが、本発明はこの積層の
仕方に限定されるものではない。例えば、コンデンサ素
子の方向を互い違いにして、対極としての導電体層同士
を重ね合わせて、電気的に直列接続となるようにした積
層型コンデンサの構成であっても良い。また、1枚のコ
ンデンサ素子に対して直列接続と並列接続が交互になる
ように電気的に接続した積層型コンデンサであっても良
いことはいうまでもない。
【0163】
【発明の効果】以上のように本発明の積層型コンデンサ
は、粗面化した導電体電極表面上の所定部分に有機高分
子膜の誘電体層を有し、前記誘電体層表面上にさらに対
極としての導電体層を形成したコンデンサ素子を複数枚
積み重ねて構成することにより、誘電体層を損傷するこ
となく複数枚のコンデンサ素子を積層することができる
ことから、小型・大容量で周波数特性の優れたものとな
っている。
【0164】また、本発明の積層型コンデンサは、粗面
化した導電体表面上の所定部分に有機高分子膜と前記導
電体の酸化皮膜からなる複合誘電体層を有し、前記複合
誘電体層表面上にさらに対極としての導電体層を形成し
たコンデンサ素子を複数枚積み重ねて構成することによ
り、有機高分子膜のみの誘電体層よりも誘電率を高める
ことが可能となり、なおかつ誘電体層を損傷することな
く複数枚のコンデンサ素子を積層できるため、小型・大
容量で周波数特性の優れたものとなっている。
【0165】また、対極としての導電体層が、導電性高
分子層を主体として構成していることから、極めて導電
率が高く、なおかつ誘電体層を構成する有機高分子膜と
の密着性が良いため界面の接触抵抗も低くなり、ESR
が低いコンデンサが得られる。
【0166】また、その導電性高分子層が、化学重合と
電解重合の併用により形成したポリピロールまたはその
誘導体であることから、高い導電性を有し、熱的安定性
に優れた導電体層を有する積層型コンデンサが得られ
る。
【0167】また、導電性高分子層が、化学重合あるい
は化学重合と電解重合の併用により形成したポリエチレ
ンジオキシチオフェンまたはその誘導体であることか
ら、高い導電性を有し、熱的安定性に優れた導電体層を
有する積層型コンデンサが得られる。
【0168】また、対極としての導電体層が導電性高分
子層およびグラファイト層からなることから、ESRが
極めて小さい積層型コンデンサが得られる。
【0169】また、対極としての導電体層が、導電性高
分子層とグラファイト層と導電性接着剤層からなること
から、ESRが極めて小さい積層型コンデンサが得られ
る。
【0170】また、本発明の積層型コンデンサは、複数
枚のコンデンサ素子を同じ向きに積層したものであっ
て、隣接するコンデンサ素子の対極としての導電体層同
士を導電性接着剤で接着し、さらに誘電体層および対極
としての導電体層が形成されていない部分の粗面化した
導電体同士も電気的に導通するように接合して、各々の
コンデンサ素子が電気的に並列接続となるように構成し
たものであることから、周波数特性が優れた大容量を有
するコンデンサとなっている。
【0171】また、粗面化した導電体と、誘電体層の表
面上に形成した対極としての導電体層との電気的な導通
を防ぐために、仕切のための絶縁物層を各々のコンデン
サ素子に設けることにより、複数枚のコンデンサ素子を
容易に積層することが可能となり、製造に適した小型・
大容量の積層型コンデンサが得られる。
【0172】また、粗面化した導電体が弁金属であるこ
とから、陽極酸化により金属表面上に酸化皮膜を容易に
形成することができ、絶縁性の高い複合誘電体膜を有す
る積層型コンデンサが得られる。
【0173】また、粗面化した導電体がエッチドアルミ
ニウム箔であることから、コンデンサの電極の表面積が
拡大されているため、大容量の積層型コンデンサが得ら
れる。
【0174】また、有機高分子膜が、電着により形成さ
れた高分子膜であることにより、粗面化した導電体表面
に均一に被覆された無極性の誘電体層を形成可能で、な
おかつ機械的ストレスに強いコンデンサ素子となり、小
型・大容量の積層型コンデンサが得られる。
【0175】電着により形成された有機高分子膜がポリ
カルボン酸系樹脂またはポリイミドのいずれかであるこ
とから、電着法による成膜性に優れ、機械的ストレスに
も強く、耐熱性、絶縁性にも優れた誘電体を有する積層
型コンデンサが得られる。
【0176】また、ポリカルボン酸系樹脂がポリアクリ
ル酸系樹脂であることから、粗面化した導電体との密着
性に優れた誘電体を有する積層型コンデンサが得られ
る。
【0177】本発明の積層型コンデンサの製造方法は、
粗面化した導電体表面上の所定部分に有機高分子膜の誘
電体層を形成する工程と、前記粗面化した導電体電極と
対極としての導電体層との電気的導通を防ぐための絶縁
物層を形成する工程と、前記誘電体層表面上に前記対極
としての導電体層を形成しコンデンサ素子を完成する工
程と、複数枚の前記コンデンサ素子を積層し隣接する前
記対極としての導電体層同士を導電性接着剤で接着する
工程と、隣接する前記粗面化した導電体電極同士を電気
的に導通するように接合する工程と、端子電極を設ける
工程とを有することから、周波数特性に優れ、小型・大
容量の積層型コンデンサを製造できる。
【0178】また、有機高分子膜の誘電体層を形成する
工程が、電着法によるものであることから、粗面化した
導電体電極表面を均一に被覆した誘電体層を形成できる
ようになり、機械的ストレスにも強くなり、周波数特性
に優れ、小型・大容量の積層型コンデンサを製造でき
る。
【0179】また、本発明の積層型コンデンサの製造方
法は、粗面化した導電体電極表面上の所定部分に有機高
分子膜と前記粗面化した導電体の酸化皮膜からなる複合
誘電体層を形成する工程と、前記粗面化した導電体電極
と対極としての導電体層との電気的導通を防ぐための絶
縁物層を形成する工程と、前記複合誘電体層表面上に前
記対極としての導電体層を形成しコンデンサ素子を完成
する工程と、複数枚の前記コンデンサ素子を積層し隣接
する前記対極としての導電体層同士を導電性接着剤で接
着する工程と、隣接する前記粗面化した導電体同士を電
気的に導通するように接合する工程と、端子電極を設け
る工程とを有することから、有機高分子膜のみの場合よ
りも誘電体層の誘電率を高めることが可能となり、周波
数特性に優れ、小型・大容量の積層型コンデンサが得ら
れる。
【0180】また、有機高分子膜と粗面化した導電体の
酸化皮膜からなる複合誘電体層を形成する工程が、電着
法および陽極酸化法によるものであることから、粗面化
した導電体電極表面を均一に被覆した絶縁性の高い複合
誘電体層を形成でき、大容量でなおかつ漏れ電流が低
く、酸化皮膜だけからなる誘電体よりも機械的ストレス
に強くなおかつ極性が小さい積層型コンデンサを製造で
きる。
【0181】また、有機高分子膜がポリカルボン酸系樹
脂またはポリイミドのいずれかであることから、電着法
で効率的に成膜することが可能で、なおかつ耐熱性、絶
縁性にも優れた無極性の誘電体層を形成できるため、熱
的、電気的にも特性の安定した積層型コンデンサを製造
できる。
【0182】また、対極としての導電体層を形成しコン
デンサ素子を完成する工程において、化学重合あるいは
化学重合および電解重合の併用により誘電体層の表面上
に導電性高分子層を形成することから、導電性の高い対
極としての導電体層を形成でき、ESRの小さい積層型
コンデンサが製造できる。
【0183】また、対極としての導電体層を形成しコン
デンサ素子を完成する工程において、ポリピロールある
いはポリエチレンジオキシチオフェンあるいはそれらの
誘導体を少なくとも一種類以上含む導電性高分子層を形
成することから、耐熱性、導電性に優れた対極としての
導電体層を形成でき、ESRが小さく、長期的特性に安
定した積層型コンデンサが製造できる。
【0184】また、複数枚のコンデンサ素子を積層し隣
接する対極としての導電体層同士を導電性接着剤で接着
する工程において、圧力をかけて隣接する対極としての
導電体層同士を接着することから、使用する導電性接着
剤の量が少量で済み、コンデンサ素子間の隙間を減少さ
せることが可能となり、厚さが薄く生産性の高い積層型
コンデンサを製造できる。
【0185】また、圧力の範囲が、0.01〜5kgf
/cm2 であることから、コンデンサ素子を損傷するこ
となく密に積層し、小型・大容量の積層型コンデンサを
製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の積層型コンデンサの断
面のモデル図
【図2】同実施の形態1の積層型コンデンサを構成する
コンデンサ素子の表面の模式図
【図3】同実施の形態1の積層型コンデンサを構成する
コンデンサ素子の断面の模式図
【図4】同実施の形態1の積層型コンデンサの製造方法
のフロー図
【図5】同実施の形態1の積層型コンデンサのインピー
ダンスの周波数特性を示す図
【図6】同実施の形態3の積層型コンデンサを構成する
コンデンサ素子の断面の模式図
【図7】同実施の形態3の積層型コンデンサの製造方法
のフロー図
【符号の説明】
1 エッチドアルミニウム箔 2 絶縁物層 3 対極としての導電体層 4 ポリアクリル酸系樹脂皮膜 5 第1のポリピロール層 6 第2のポリピロール層 7 グラファイト層 8 導電性接着剤 9 端子電極 10 アルミニウムの酸化皮膜
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年8月2日(1999.8.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】これらの要因としては、前述の機械的スト
レスに弱いことに加えて、駆動用電解液に比べてポリピ
ロールなどの固体電解質の酸化皮膜修復能力が劣ること
や、極酸化(化成)の際に酸化皮膜の欠陥を完全にな
くすことが困難であることが挙げられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】本発明の請求項15に記載の発明は、粗面
化した導電体電極表面上の所定部分に有機高分子膜の誘
電体層を形成する工程と、粗面化した導電体電極と対極
としての導電体層との電気的導通を防ぐための絶縁物層
を形成する工程と、誘電体層表面上に対極としての導電
体層を形成しコンデンサ素子を完成する工程と、複数枚
のコンデンサ素子を積層し隣接する対極としての導電体
層同士を導電性接着剤で接着する工程と、隣接する粗面
化した導電体電極同士を電気的に導通するように接合す
る工程と、端子電極を設ける工程とを有することから
誘電体層を損傷することなく複数枚のコンデンサ素子を
積層した積層型コンデンサを製造できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 睦明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5E082 AA02 AB01 AB03 BC39 CC03 EE03 EE04 EE15 EE18 EE20 EE24 EE30 EE31 EE43 FF05 FF13 FG03 FG04 FG27 FG37 FG44 FG60 GG08 GG23 JJ03 JJ05 JJ06 JJ13 JJ15 JJ23 JJ26 KK01 LL02 MM22 PP07

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗面化した導電体電極表面上の所定部分
    に有機高分子膜の誘電体層を有し、前記誘電体層表面上
    にさらに対極としての導電体層を形成したコンデンサ素
    子を複数枚積み重ねて構成した積層型コンデンサ。
  2. 【請求項2】 粗面化した導電体電極表面上の所定部分
    に有機高分子膜と前記粗面化した導電体の酸化皮膜から
    なる複合誘電体層を有し、前記複合誘電体層表面上にさ
    らに対極としての導電体層を形成したコンデンサ素子を
    複数枚積み重ねて構成した積層型コンデンサ。
  3. 【請求項3】 対極としての導電体層が、導電性高分子
    層を主体として構成されていることを特徴とする請求項
    1または2に記載の積層型コンデンサ。
  4. 【請求項4】 導電性高分子層が、化学重合あるいは化
    学重合と電解重合の併用により形成したポリピロールま
    たはその誘導体であることを特徴とする請求項3に記載
    の積層型コンデンサ。
  5. 【請求項5】 導電性高分子層が、化学重合あるいは化
    学重合と電解重合の併用により形成したポリエチレンジ
    オキシチオフェンまたはその誘導体であることを特徴と
    する請求項3に記載の積層型コンデンサ。
  6. 【請求項6】 対極としての導電体層が、導電性高分子
    層およびグラファイト層からなることを特徴とする請求
    項1から5のいずれかに記載の積層型コンデンサ。
  7. 【請求項7】 対極としての導電体層が、導電性高分子
    層とグラファイト層と導電性接着剤層からなることを特
    徴とする請求項1から5のいずれかに記載の積層型コン
    デンサ。
  8. 【請求項8】 複数枚のコンデンサ素子を同じ向きに積
    層したものであって、隣接するコンデンサ素子の対極と
    しての導電体層同士を導電性接着剤で接着し、さらに誘
    電体層および対極としての導電体層が形成されていない
    部分の粗面化した導電体電極同士も電気的に導通するよ
    うに接合して、複数枚のコンデンサ素子が電気的に並列
    接続となるように構成したことを特徴とする請求項1か
    ら7のいずれかに記載の積層型コンデンサ。
  9. 【請求項9】 粗面化した導電体電極と、誘電体層の表
    面上に形成した対極としての導電体層との電気的な導通
    を防ぐために、仕切のための絶縁物層を各々のコンデン
    サ素子に設けたことを特徴とする請求項1から8のいず
    れかに記載の積層型コンデンサ。
  10. 【請求項10】 粗面化した導電体電極が弁金属である
    ことを特徴とする請求項2から9のいずれかに記載の積
    層型コンデンサ。
  11. 【請求項11】 粗面化した導電体電極がエッチドアル
    ミニウム箔であることを特徴とする請求項1から10の
    いずれかに記載の積層型コンデンサ。
  12. 【請求項12】 有機高分子膜が、電着により形成され
    た高分子膜であることを特徴とする請求項1または2に
    記載の積層型コンデンサ。
  13. 【請求項13】 電着により形成された有機高分子膜
    が、ポリカルボン酸系樹脂またはポリイミドのいずれか
    であることを特徴とする請求項12に記載の積層型コン
    デンサ。
  14. 【請求項14】 ポリカルボン酸系樹脂がポリアクリル
    酸系樹脂であることを特徴とする請求項13に記載の積
    層型コンデンサ。
  15. 【請求項15】 粗面化した導電体電極表面上の所定部
    分に有機高分子膜の誘電体層を形成する工程と、前記粗
    面化した導電体電極と対極としての導電体層との電気的
    導通を防ぐための絶縁物層を形成する工程と、前記誘電
    体層表面上に前記対極としての導電体層を形成しコンデ
    ンサ素子を完成する工程と、複数枚の前記コンデンサ素
    子を積層し隣接する前記対極としての導電体層同士を導
    電性接着剤で接着する工程と、隣接する前記粗面化した
    導電体電極同士を電気的に導通するように接合する工程
    と、端子電極を設ける工程とを有することを特徴とする
    積層型コンデンサの製造方法。
  16. 【請求項16】 有機高分子膜の誘電体層を形成する工
    程が、電着法によるものであることを特徴とする請求項
    15に記載の積層型コンデンサの製造方法。
  17. 【請求項17】 粗面化した導電体電極表面上の所定部
    分に有機高分子膜と前記粗面化した導電体の酸化皮膜か
    らなる複合誘電体層を形成する工程と、前記粗面化した
    導電体電極と対極としての導電体層との電気的導通を防
    ぐための絶縁物層を形成する工程と、前記複合誘電体層
    表面上に前記対極としての導電体層を形成しコンデンサ
    素子を完成する工程と、複数枚の前記コンデンサ素子を
    積層し隣接する前記対極としての導電体層同士を導電性
    接着剤で接着する工程と、隣接する前記粗面化した導電
    体電極同士を電気的に導通するように接合する工程と、
    端子電極を設ける工程とを有することを特徴とする積層
    型コンデンサの製造方法。
  18. 【請求項18】 有機高分子膜と粗面化した導電体の酸
    化皮膜からなる複合誘電体層を形成する工程が、電着法
    および陽極酸化法によるものであることを特徴とする請
    求項17に記載の積層型コンデンサの製造方法。
  19. 【請求項19】 有機高分子膜がポリカルボン酸系樹脂
    またはポリイミドのいずれかであることを特徴とする請
    求項15から18のいずれかに記載の積層型コンデンサ
    の製造方法。
  20. 【請求項20】 対極としての導電体層を形成しコンデ
    ンサ素子を完成する工程において、化学重合あるいは化
    学重合および電解重合の併用により誘電体層の表面上に
    導電性高分子層を形成することを特徴とする請求項15
    または17のいずれかに記載の積層型コンデンサの製造
    方法。
  21. 【請求項21】 対極としての導電体層を形成しコンデ
    ンサ素子を完成する工程において、ポリピロールあるい
    はポリエチレンジオキシチオフェンあるいはそれらの誘
    導体を少なくとも一種類以上含む導電性高分子層を形成
    することを特徴とする請求項20に記載の積層型コンデ
    ンサの製造方法。
  22. 【請求項22】 複数枚のコンデンサ素子を積層し、隣
    接する対極としての導電体層同士を導電性接着剤で接着
    する工程にいて、圧力をかけて接着することを特徴とす
    る請求項15または17に記載の積層型コンデンサの製
    造方法。
  23. 【請求項23】 圧力の範囲が、0.01〜5kgf/
    cm2 であることを特徴とする請求項22に記載の積層
    型コンデンサの製造方法。
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