JP2000020942A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

Info

Publication number
JP2000020942A
JP2000020942A JP20071398A JP20071398A JP2000020942A JP 2000020942 A JP2000020942 A JP 2000020942A JP 20071398 A JP20071398 A JP 20071398A JP 20071398 A JP20071398 A JP 20071398A JP 2000020942 A JP2000020942 A JP 2000020942A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording medium
magnetic recording
magnetic
perfluoropolyether
carboxyl group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP20071398A
Other languages
English (en)
Inventor
Yukari Yamada
ゆかり 山田
Takao Mori
敬郎 森
Hiroshi Yatagai
洋 谷田貝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP20071398A priority Critical patent/JP2000020942A/ja
Publication of JP2000020942A publication Critical patent/JP2000020942A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Lubricants (AREA)
  • Magnetic Record Carriers (AREA)
  • Manufacturing Of Magnetic Record Carriers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用条件に係わらず密着性や潤滑性が保た
れ、長期に亘り潤滑効果が持続する潤滑剤を提供し、優
れた走行性、耐久性を確保する。 【解決手段】 非磁性支持体1上に少なくとも磁性層2
を形成し、最外層となる保護膜3に、末端にカルボキシ
ル基を有する二官能パーフルオロポリエーテルとアミン
の化合物、或いは末端にカルボキシル基を有するパーフ
ルオロポリエーテルとアミンの化合物、或いは末端にカ
ルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルとジア
ミンの化合物の3種類の化合物のうちの1種と、長鎖飽
和脂肪酸エステルを含有する潤滑剤を保持させる。潤滑
剤中において、上記3種類の化合物のうちの1種と、長
鎖飽和脂肪酸エステルの混合比が、重量比で10:90
〜90:10であることが好ましい。磁性層2は強磁性
金属薄膜よりなることが好ましい。保護膜3がカーボン
よりなることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非磁性支持体上に
少なくとも磁性層が形成されてなる磁気記録媒体に関す
る。詳しくは、最外層に保持される潤滑剤が規定され、
優れた走行性、耐久性が確保される磁気記録媒体に係わ
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来、磁気記録媒体としては、酸化物磁
性粉末や合金磁性粉末等の強磁性粉末と塩化ビニル−酢
酸ビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹
脂、ポリウレタン樹脂等の結合剤、有機溶剤よりなる磁
性塗料を非磁性支持体上に塗布することで磁性層が形成
される、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が広く使用され
ている。
【0003】これに対し、高密度記録、長時間記録への
要求の高まりとともに、Co、Co−Ni合金、Co−
Cr合金、Co−O等の強磁性金属磁性材料をめっきや
真空薄膜形成技術(真空蒸着法、スパッタリング法、イ
オンプレーティング法等)によってポリエステルフィル
ムやポリイミドフィルム等の非磁性支持体上に直接被着
させることで磁性層が形成される、いわゆる強磁性金属
薄膜型の磁気記録媒体が使用されてきている。そして、
このような強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、民生用
コンスーマービデオフォーマット(8ミリHi−8方
式、DV方式)或いは業務用ビデオフォーマット(DV
CAM)において実用化されている。
【0004】この強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体は、
塗布型の磁気記録媒体に比べて抗磁力、角形比等の磁気
特性に優れ、短波長領域での電磁変換特性に優れるばか
りでなく、磁性層の厚みを極めて薄くすることが可能で
あるため、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さい
こと、磁性層中に非磁性材料である結合剤等を混入する
必要がないことから、磁性材料の充填密度を高めること
が可能である等数々の利点を有している。
【0005】一般に、磁気記録媒体は磁気信号の記録・
再生の過程で磁気ヘッドとの高速相対運動のもとにおか
れ、その際走行が円滑に、かつ安定な状態で行われなけ
ればならない。また、磁気ヘッドとの接触による磨耗や
損傷はなるべく少ないほうがよい。
【0006】しかしながら、上述の強磁性金属薄膜型の
磁気記録媒体では、磁性層表面の平滑性が極めて良好で
あるために、実質的な接触面積が大きくなり、凝着現象
(いわゆるハツリキ)が起こり易くなったり、摩擦係数
が大きくなる等、耐久性や走行性等に欠点が多く、その
改善が大きな課題となっている。
【0007】そこで例えば、上記磁気記録媒体の磁性層
すなわち強磁性金属薄膜表面に潤滑剤を塗布して、耐久
性や走行性を改善することが試みられている。このよう
な用途に使用される潤滑剤としては有機フッ素化合物が
有効であることが知られている。特に特開平05−93
059号公報には末端にカルボキシル基を有するパーフ
ルオロポリエーテルとアミンの化合物を潤滑剤に用いる
ことにより、如何なる使用条件下でも優れた潤滑効果を
発揮する磁気記録媒体が開示されている。また、上記特
開平05−93059号公報には末端にカルボキシル基
を有するパーフルオロポリエーテルとジアミンの化合物
を潤滑剤に用いることにより、如何なる使用条件下でも
優れた潤滑効果を発揮する磁気記録媒体が開示されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記強磁性
金属薄膜型の磁気記録媒体においては、より優れた耐久
性を確保する為に、強磁性金属薄膜上にカーボン保護膜
を形成する技術が確立されている。そして、前述のコン
スーマービデオフォーマットであるDV用テープ、ある
いは業務用ビデオフォーマットであるDVCAM用テー
プ、さらにはテープストリーマ用途であるAIT用テー
プ等に用いられる強磁性金属薄膜型磁気記録媒体におい
ては、強磁性金属薄膜の上にカーボン保護膜を形成する
技術が実用化されている。上記カーボン保護膜の実用化
により耐久性の確保は充分となり、今後の強磁性金属薄
膜型の磁気記録媒体においては、このカーボン保護膜の
存在が不可欠となると思われる。
【0009】しかしながら、前述のように、耐久性や走
行性を改善するべく、潤滑剤を使用しようとすると、上
記カーボン保護膜表面のエネルギーは強磁性金属薄膜と
比較して小さく、潤滑剤とカーボン保護膜との吸着性は
弱いため、カーボン保護膜の存在を考慮した潤滑剤の設
計が必要となる。特に、前述の末端にカルボキシル基を
有するパーフルオロポリエーテルとアミンの化合物、或
いは末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエ
ーテルとジアミンの化合物は分子量が大きく、この潤滑
剤単独でカーボン保護膜上に均一に潤滑剤を存在させる
のは困難である。
【0010】そこで本発明は、上記従来の実情に鑑みて
提案されたものであり、特にカーボン保護膜が形成され
た強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体に好適で、如何なる
使用条件下においても密着性や潤滑性が保たれ、且つ長
期に亘り潤滑効果が持続する潤滑剤を提供し、走行性、
耐久性に優れた磁気記録媒体を提供することを目的とす
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明者等は鋭意検討した結果、比較的分子量の
大きな末端にカルボキシル基を有する二官能パーフルオ
ロポリエーテルとアミンの化合物と、比較的分子量の小
さい長鎖飽和脂肪酸エステルとの混合物がカーボン保護
膜を有する強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体に好適な潤
滑剤であることを見出した。
【0012】また、本発明者等は、鋭意検討の結果、比
較的分子量の大きな末端にカルボキシル基を有するパー
フルオロポリエーテルとアミンの化合物と、比較的分子
量の小さい長鎖飽和脂肪酸エステルとの混合物がカーボ
ン保護膜を有する強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体に好
適な潤滑剤であることを見出した。
【0013】さらに、本発明者等は、鋭意検討の結果、
比較的分子量の大きな末端にカルボキシル基を有するパ
ーフルオロポリエーテルとジアミンの化合物と、比較的
分子量の小さい長鎖飽和脂肪酸エステルとの混合物がカ
ーボン保護膜を有する強磁性金属薄膜型の磁気記録媒体
に好適な潤滑剤であることを見出した。
【0014】すなわち、本発明の磁気記録媒体は、非磁
性支持体上に少なくとも磁性層が形成されてなり、その
最外層に、下記化7で示される末端にカルボキシル基を
有する二官能パーフルオロポリエーテルとアミンの化合
物と下記化8にて示される長鎖飽和脂肪酸エステルを含
有する潤滑剤が保持されてなることを特徴とするもので
ある。
【0015】
【化7】
【0016】
【化8】
【0017】なお、上記本発明の磁気記録媒体において
は、上記末端にカルボキシル基を有する二官能パーフル
オロポリエーテルとアミンの化合物と上記長鎖飽和脂肪
酸エステルの混合比が、重量比で10:90〜90:1
0であることが好ましい。
【0018】また、本発明の磁気記録媒体は、非磁性支
持体上に少なくとも磁性層が形成されてなり、その最外
層に、下記化9で示される末端にカルボキシル基を有す
るパーフルオロポリエーテルとアミンの化合物と下記化
10にて示される長鎖飽和脂肪酸エステルを含有する潤
滑剤が最外層に保持されてなることを特徴とするもので
ある。
【0019】
【化9】
【0020】
【化10】
【0021】なお、上記本発明の磁気記録媒体において
は、上記末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポ
リエーテルとアミンの化合物と上記長鎖飽和脂肪酸エス
テルの混合比が、重量比で10:90〜90:10であ
ることが好ましい。
【0022】さらに、本発明の磁気記録媒体は、非磁性
支持体上に少なくとも磁性層が形成されてなり、その最
外層に、下記化11で示される末端にカルボキシル基を
有するパーフルオロポリエーテルとジアミンの化合物と
下記化12にて示される長鎖飽和脂肪酸エステルを含有
する潤滑剤が最外層に保持されてなることを特徴とする
ものである。
【0023】
【化11】
【0024】
【化12】
【0025】なお、上記本発明の磁気記録媒体において
は、上記末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポ
リエーテルとジアミンの化合物と上記長鎖飽和脂肪酸エ
ステルの混合比が、重量比で10:90〜90:10で
あることが好ましい。
【0026】さらに、これら本発明の磁気記録媒体にお
いては、上記化8及び化10、化12中のR、R´の炭
素数の合計数が15〜35であることが好ましい。
【0027】さらにまた、これら本発明の磁気記録媒体
においては、上記磁性層が、強磁性金属薄膜よりなるこ
とが好ましい。
【0028】さらには、これら本発明の磁気記録媒体に
おいては、上記磁性層上に最外層として保護膜が形成さ
れ、上記保護膜がカーボンよりなることが好ましい。
【0029】本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体上
に少なくとも磁性層が形成されてなり、その最外層に、
末端にカルボキシル基を有する二官能パーフルオロポリ
エーテルとアミンの化合物と長鎖飽和脂肪酸エステルを
含有する潤滑剤、或いは末端にカルボキシル基を有する
パーフルオロポリエーテルとアミンの化合物と長鎖飽和
脂肪酸エステルを含有する潤滑剤、或いは末端にカルボ
キシル基を有するパーフルオロポリエーテルとジアミン
の化合物と長鎖飽和脂肪酸エステルを含有する潤滑剤が
保持されてなるものであり、これら潤滑剤においては如
何なる使用条件下においても密着性や潤滑性が保たれ、
且つ長期に亘り潤滑効果が持続するため、磁気記録媒体
の良好な走行性及び耐久性が確保される。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。
【0031】本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持
体上に少なくとも磁性層が形成されてなる磁気記録媒体
である。ただし、ここでは、図1に示すように、非磁性
支持体1の上に磁性層2として強磁性金属薄膜が形成さ
れ、上記磁性層2上に最外層として保護膜3が形成され
てなる磁気記録媒体について説明する。
【0032】本例の磁気記録媒体は、非磁性支持体1上
に磁性層2として強磁性金属薄膜を形成したものである
が、ここで非磁性支持体1の材料としては、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリ
エステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオ
レフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダ
イアセテート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネー
ト、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等のプ
ラスチック、アルミニウム合金、チタン合金等の軽金
属、ガラス等のセラミックス等が挙げられる。この非磁
性支持体1の形態としては、フィルム、シート、ディス
ク、カード、ドラム等のいずれでもよい。
【0033】上記非磁性支持体1は、その表面に山状突
起やしわ状突起、粒状突起等の突起が1種以上形成さ
れ、表面粗さがコントロールされたものでもよい。
【0034】上記山状突起は、例えば高分子フィルム製
膜時に粒径50〜300(nm)程度の無機微粒子を内
添させることにより形成され、高分子フィルム表面から
の高さは10〜100(nm)、密度はおよそ1×10
4 〜1×105 (個/mm2)とする。山状突起を形成
するために使用される無機微粒子としては、炭酸カルシ
ウム、シリカ、アルミナ等が好適である。
【0035】上記しわ状突起は、例えば特定の混合溶媒
を用いた樹脂の希薄溶液を塗布乾燥させることにより形
成される突起であって、その高さは0.01〜10(μ
m)、好ましくは0.03〜0.5(μm)、突起間の
最短間隔は0.1〜20(μm)とする。
【0036】このしわ状突起を形成するための樹脂とし
ては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリスチロー
ル、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリスルホ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニル
ブチラール、ポリフェニレンオキサイド、フェノキシ樹
脂等の単体、混合体または共重合体であり、可溶性溶剤
を有するものが適している。そして、これらの樹脂をそ
の良溶媒に溶解させた樹脂濃度1〜1000(ppm)
の溶液に、その樹脂の貧溶媒であって、前記良溶媒より
高い沸点を有する溶媒を樹脂に対して10〜100倍量
添加した溶液を、高分子フィルムの表面に塗布・乾燥さ
せることにより、非常に微細なしわ状凹凸を有する薄膜
を形成させることが出来る。
【0037】粒状突起は、アクリル樹脂等の有機超微粒
子またはシリカ、金属粉等の無機微粒子を球状あるいは
半球状に付着させることにより形成される。この粒状突
起の高さは、5〜50(nm)、密度は1×106 〜5
×107 (個/mm2 )程度とする。
【0038】これらの突起の少なくとも1種以上を形成
すれば磁性層である強磁性金属薄膜の表面性が制御され
るが、2種以上を組み合わせることにより効果が増し、
特に、山状突起を設けた非磁性支持体1上にしわ状突起
と粒状突起を形成すれば、極めて耐久性、走行性が改善
される。
【0039】この場合、突起の全体としての高さは、1
0〜200(nm)の範囲内であることが好ましく、そ
の密度は1×105 〜1×107 (個/mm2 )である
ことが好ましい。
【0040】また、上記磁性層2となる強磁性金属薄膜
としては、Fe、Co、Ni等の金属の他に、Co−N
i合金、Co−Pt合金、Co−Ni−Pt合金、Fe
−Co合金、Fe−Ni合金、Fe−Co−Ni合金、
Fe−Co−B合金、Co−Ni−Fe−B合金、Co
−Cr合金あるいはこれらにCr、Al等の金属が含有
された強磁性金属材料よりなるものが挙げられる。特
に、Co−Cr合金を使用した場合には、垂直磁化膜が
形成される。
【0041】なお、上記磁性層2である強磁性金属薄膜
は、真空蒸着法やイオンプレーティング法、スパッタリ
ング法等の真空薄膜形成技術により連続膜として形成さ
れる。
【0042】上記真空蒸着法は1×10-2〜1×10-6
(Pa)の真空下で強磁性金属材料を抵抗加熱、高周波
加熱、電子ビーム加熱等により蒸発させ、非磁性支持体
上に蒸発金属(強磁性金属材料)を沈着させるものであ
り、一般に高い抗磁力を得るために非磁性支持体1に対
して上記強磁性金属材料を斜めに蒸着する斜方蒸着が用
いられる。さらに、より高い抗磁力を得るために酸素雰
囲気中で上記蒸着を行うものも含まれる。
【0043】上記イオンプレーティング法も真空蒸着法
の1種であり、1×10-2〜1×10-1(Pa)の不活
性ガス雰囲気中でDCグロー放電、RFグロー放電を起
こして、放電中で上記磁性金属材料を蒸発させるという
ものである。
【0044】上記スパッタリング法は、1×10-1〜1
×10(Pa)のアルゴンガスを主成分とする雰囲気中
でグロー放電を起こし、生じたアルゴンガスイオンでタ
ーゲット表面の原子をたたき出すというものであり、グ
ロー放電の方法により直流2極、3極スパッタ法や、高
周波スパッタ法、またはマグネトロン放電を利用したマ
グネトロンスパッタ法等がある。このスパッタリング法
による場合には、CrやW、V等の下地膜を形成してお
いてもよい。
【0045】なお、上記いずれの方法においても、支持
体上に予めBi,Sb,Pb,Sn,Ga,In,C
d,Ge,Si,Tl等の下地金属層を被着形成してお
き、非磁性支持体1表面に対して垂直方向から成膜する
ことにより、磁気異方性の配向がなく、面内等方性に優
れた磁性層を形成することができ、例えば磁気ディスク
とする場合には好適である。
【0046】また、このような手法により形成される強
磁性金属薄膜の膜厚は、0.01〜1(μm)であるの
が好ましい。
【0047】さらに、上記磁性層2となる強磁性金属薄
膜上に形成される保護膜3としては、カーボンよりなる
もの、特に比較的硬度の高いダイヤモンドライクカーボ
ンよりなるものが好ましく例示される。また、上記保護
膜3としては、SiO2 、シリコンナイトライド、窒化
カーボン、ZrO2 、TiC、Al23 等よりなるも
のも挙げられる。
【0048】そして、本例の磁気記録媒体においては、
特に、最外層となる保護膜3に下記化13で示される末
端にカルボキシル基を有する二官能パーフルオロポリエ
ーテルとアミンの化合物と下記化14にて示される長鎖
飽和脂肪酸エステルを含有する潤滑剤が保持されてい
る。
【0049】
【化13】
【0050】
【化14】
【0051】上記化13に示す末端にカルボキシル基を
有する二官能パーフルオロポリエーテルとアミンとの化
合物は、以下の方法で簡単に合成することが可能であ
る。例えば二官能パーフルオロポリエーテルとアミンと
を混合し、用いたアミンの融点以上の温度で加熱するこ
とによって合成することができる。アミンとして例えば
ステアリルアミンを用いた場合には、60(℃)で加熱
混合すればよい。
【0052】また、有機溶媒に両者を溶解した後、溶媒
を除去することによっても得ることが出来る。アミンが
第4アンモニウム化合物の場合には、パーフルオロポリ
エーテルの金属塩(ナトリウム塩等)と第4アンモニウ
ム塩(塩化物、沃化物、硫酸塩等)を混合し、有機溶媒
で抽出することにより得ることができる。
【0053】ここで、上記末端にカルボキシル基を有す
る二官能パーフルオロポリエーテルとしては、市販のも
のが使用可能であり、HOOCCF2 (OCF2 CF
2p(OCF2qOCF2 COOH等が例示され
る。上記の末端にカルボキシル基を有する二官能パーフ
ルオロポリエーテルは、勿論、これらに限定されるわけ
ではない。尚、上記パーフルオロポリエーテル化学式中
のp,qはいずれも1以上の整数を表す。
【0054】この末端にカルボキシル基を有する二官能
パーフルオロポリエーテルの分子量は、特に制約される
ものではないが、実用的には600〜5000程度のも
のが好ましく、1000〜4000のものがより好まし
い。分子量が大きすぎると、末端基の吸着基としての効
果が薄れると同時に、パーフルオロポリエーテル鎖が大
きくなる分、既存の炭化水素系溶媒に溶解しにくくな
る。逆に、分子量が小さすぎると、パーフルオロポリエ
ーテル鎖による潤滑効果が薄れてしまう。
【0055】なお、この末端にカルボキシル基を有する
二官能パーフルオロポリエーテルにおいては、パーフル
オロポリエーテル鎖が部分水素化されてもよい。すなわ
ち、パーフルオロポリエーテル鎖のフッ素原子の一部
(50%以下)を水素原子で置換してもよい。この場合
には、パーフルオロポリエーテルとして部分水素化した
パーフルオロポリエーテルを使用すればよい。
【0056】一方のアミンとしては、第1アミン、第2
アミン、第3アミンがいずれも使用可能であり、第4ア
ンモニウム化合物も使用可能である。使用するアミンの
構造等も任意であり、分岐構造、異性体構造、脂環構
造、分子量、不飽和結合の有無によらず任意に選択する
ことができる。ただし、前記アミンはアルキル基を有す
ることが好ましく、特に炭素数10以上のアルキル基を
有する場合にその効果が大きい。
【0057】また、上記潤滑剤に含有される長鎖飽和脂
肪酸エステルとしてはアルキル基の炭素数の和が15〜
35であるものが好ましい。具体的には、ラウリン酸ヘ
キシル(C1123COOC6 13)、ラウリン酸ヘプチ
ル(C1123COOC7 15)ラウリン酸オクチル(C
1123COOC8 17)、ラウリン酸デシル(C1123
COOC1021)、ミリスチン酸ヘプチル(C1327
OOC7 15)、ミリスチン酸オクチル(C1327CO
OC8 17)、ミリスチン酸デシル(C1327COOC
1021)、パルミチン酸ブチル(C1531COOC4
9 )、パルミチン酸ヘプチル(C1531COOC
7 15)、パルミチン酸デシル(C1531COOC10
21)、ステアリン酸ブチル(C1735COOC
4 9 )、ステアリン酸ペンチル(C1731COOC5
11)、ステアリン酸ヘプチル(C1735COOC7
15)、ステアリン酸オクチル(C1735COOC
8 17)、ステアリン酸デシル(C1735COOC10
21)等が挙げられる。ここで脂肪酸エステル化合物の炭
素数の和が15未満であると潤滑効果が乏しく、スチル
耐久性への効果が少なくなってしまい、また炭素数の和
が35を超えると有機溶媒への溶解性が小さくなる。こ
こで重要なのは上記脂肪酸エステルが飽和脂肪酸エステ
ルから選ばれることである。飽和脂肪酸エステルにより
長期間の保存においても、初期の潤滑特性を維持するこ
とができる。
【0058】さらに、本例の磁気記録媒体に使用される
潤滑剤においては、末端にカルボキシル基を有する二官
能パーフルオロポリエーテルとアミンとの化合物と長鎖
飽和脂肪酸エステルとの混合比は、重量比で10:90
〜90:10であるのが好ましい。上記範囲を超えると
本発明による効果を得ることが難しい。
【0059】ところで、本例の磁気記録媒体において、
潤滑剤を最外層に保持させる方法としては、磁性層2の
表面や保護膜3の表面(ここでは保護膜3の表面)に潤
滑剤層をトップコートする方法が挙げられる。ここで、
その塗布量は、0.05(mg/m2 )〜100(mg
/m2 )であるのが好ましく、0.1(mg/m2)〜
50(mg/m2 )であるのがより好ましい。この塗布
量があまり少なすぎると、摩擦係数の低下、耐磨耗性・
耐久性の向上という効果が表れず、またこの塗布量があ
まり多すぎると、摺動部材と摺動箇所との間でハリツキ
現象が起こり、かえって走行性が悪くなる。
【0060】また、本例の磁気記録媒体においては、必
要に応じて、防錆剤を併用してもよい。防錆剤として
は、通常この種の磁気記録媒体の防錆剤として使用され
るものであれば何れも使用でき、例えばフェノール類、
ナフトール類、キノン類、窒素原子を含む複素環化合
物、硫黄原子を含む複素環化合物等が挙げられる。
【0061】さらに、本例の磁気記録媒体においては、
非磁性支持体1上の前記磁性層2が形成される面とは反
対側の面に、いわゆるバックコート層を形成してもよ
い。バックコート層は、結合剤樹脂と粉末成分とを有機
溶媒に混合分散させたバックコート用塗料を非磁性支持
体に塗布することにより形成される。
【0062】ここで、バックコート用塗料に使用される
結合剤樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル系
共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化
ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステ
ル−アクリロニトリル共重合体、熱可塑性ポリウレタン
エラストマー、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重
合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリア
ミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体、
ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リウレタン硬化型樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹
脂、シリコーン樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ニト
ロセルロース−メラミン樹脂、高分子量ポリエステル樹
脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタクリル
酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混合
物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの
混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコー
ル/高分子量ジオール/トリフェニルメタントリイソシ
アネートとの混合物、ポリアミン樹脂及びこれらの混合
物等が挙げられる。
【0063】あるいは、粉末成分の分散性の改善を図る
ために、親水性極性基を有する結合剤樹脂を使用しても
よい。
【0064】一方、上記粉末成分としては、導電性を付
与するためのカーボン系微粉末や表面粗度のコントロー
ル及び耐久性向上のために添加される無機顔料が挙げら
れる。上記カーボン系微粒子としては、ファーネスカー
ボン、チャネルカーボン、アセチレンカーボン、サーマ
ルカーボン、ランプカーボン等が例示され、上記無機顔
料としては、α−FeOOH、α−Fe23 、Cr2
3 、TiO2 、ZnO、SiO、SiO2 、SiO2
・2H2 O、Al23 、CaCO3 、MgCO
3 、Sb23 等が例示される。
【0065】さらに、上記バックコート用塗料の有機溶
剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢
酸グリコールモノエチルエーテル等のエステル系溶剤、
グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエ
ーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系溶剤、ベ
ンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶
剤、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒、メチ
レンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、ク
ロロホルム、エチレンクロロヒドリン、ジクロルベンゼ
ン等の塩素化炭化水素系溶媒等、汎用の溶剤を用いるこ
とができる。
【0066】また、上記のバックコート層には潤滑剤を
併用してもよい。この場合、上記バックコート層中に潤
滑剤を内添する方法、あるいはバックコート層上に潤滑
剤を被着する方法がある。いずれにしても、上記潤滑剤
としては、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、金
属石鹸、脂肪族アルコール、シリコーン系潤滑剤等、従
来周知の潤滑剤が使用できる。
【0067】本例の磁気記録媒体は、非磁性支持体1上
に少なくとも磁性層2が形成されてなり、その最外層と
なる保護膜3に、末端にカルボキシル基を有する二官能
パーフルオロポリエーテルとアミンの化合物と長鎖飽和
脂肪酸エステルを含有する潤滑剤が保持されてなるもの
であり、これら潤滑剤においては如何なる使用条件下に
おいても密着性や潤滑性が保たれ、且つ長期に亘り潤滑
効果が持続するため、磁気記録媒体の良好な走行性及び
耐久性が確保される。
【0068】また、本例の磁気記録媒体においては、磁
性層2を強磁性金属薄膜としていることから、高密度記
録、長時間記録にも十分対応可能であり、最外層となる
保護膜3としてカーボンよりなるものを形成すれば、十
分な耐久性が確保される。
【0069】本発明を適用した磁気記録媒体としては、
次に示すようなものも挙げられる。本例の磁気記録媒体
は、前述の例の磁気記録媒体と略同様の構成を有するも
のであり、最外層に保持される潤滑剤のみが異なる例で
ある。従って、潤滑剤についてのみ説明することとす
る。
【0070】すなわち、本例の磁気記録媒体において
は、特に、最外層となる保護膜3に下記化15で示され
る末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエー
テルとアミンの化合物と下記化16にて示される長鎖飽
和脂肪酸エステルを含有する潤滑剤が保持されている。
【0071】
【化15】
【0072】
【化16】
【0073】上記化15に示す末端にカルボキシル基を
有するパーフルオロポリエーテルとアミンとの化合物
は、以下の方法で簡単に合成することが可能である。例
えば単官能パーフルオロポリエーテルとアミンとを混合
し、用いたアミンの融点以上の温度で加熱することによ
って合成することができる。アミンとして例えばステア
リルアミンを用いた場合には、60(℃)で加熱混合す
ればよい。
【0074】また、有機溶媒に両者を溶解した後、溶媒
を除去することによっても得ることが出来る。アミンが
第4アンモニウム化合物の場合には、パーフルオロポリ
エーテルの金属塩(ナトリウム塩等)と第4アンモニウ
ム塩(塩化物、沃化物、硫酸塩等)を混合し、有機溶媒
で抽出することにより得ることができる。
【0075】ここで、上記末端にカルボキシル基を有す
るパーフルオロポリエーテルとしては、市販のものが使
用可能であり、F(CF2 CF2 CF2 O)m CF2
2COOHやCF3 [OCF(CF3 )CF2j
(OCF2k COOH等が例示される。上記の末端に
カルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルは、
勿論、これらに限定されるわけではない。尚、上記パー
フルオロポリエーテル化学式中のm,j,kはいずれも
1以上の整数を表す。
【0076】この末端にカルボキシル基を有するパーフ
ルオロポリエーテルの分子量は、特に制約されるもので
はないが、実用的には600〜5000程度のものが好
ましく、1000〜4000のものがより好ましい。分
子量が大きすぎると、末端基の吸着基としての効果が薄
れると同時に、パーフルオロポリエーテル鎖が大きくな
る分、既存の炭化水素系溶媒に溶解しにくくなる。逆
に、分子量が小さすぎると、パーフルオロポリエーテル
鎖による潤滑効果が薄れてしまう。
【0077】なお、この末端にカルボキシル基を有する
パーフルオロポリエーテルにおいては、パーフルオロポ
リエーテル鎖が部分水素化されてもよい。すなわち、パ
ーフルオロポリエーテル鎖のフッ素原子の一部(50%
以下)を水素原子で置換してもよい。この場合には、パ
ーフルオロポリエーテルとして部分水素化したパーフル
オロポリエーテルを使用すればよい。
【0078】一方のアミンとしては、第1アミン、第2
アミン、第3アミンがいずれも使用可能であり、第4ア
ンモニウム化合物も使用可能である。使用するアミンの
構造等も任意であり、分岐構造、異性体構造、脂環構
造、分子量、不飽和結合の有無によらず任意に選択する
ことができる。ただし、前記アミンはアルキル基を有す
ることが好ましく、特に炭素数10以上のアルキル基を
有する場合にその効果が大きい。
【0079】また、上記潤滑剤に含有される長鎖飽和脂
肪酸エステルとしてはアルキル基の炭素数の和が15〜
35であるものが好ましい。具体的には、ラウリン酸ヘ
キシル(C1123COOC6 13)、ラウリン酸ヘプチ
ル(C1123COOC7 15)ラウリン酸オクチル(C
1123COOC8 17)、ラウリン酸デシル(C1123
COOC1021)、ミリスチン酸ヘプチル(C1327
OOC7 15)、ミリスチン酸オクチル(C1327CO
OC8 17)、ミリスチン酸デシル(C1327COOC
1021)、パルミチン酸ブチル(C1531COOC4
9 )、パルミチン酸ヘプチル(C1531COOC
7 15)、パルミチン酸デシル(C1531COOC10
21)、ステアリン酸ブチル(C1735COOC
4 9 )、ステアリン酸ペンチル(C1731COOC5
11)、ステアリン酸ヘプチル(C1735COOC7
15)、ステアリン酸オクチル(C1735COOC
8 17)、ステアリン酸デシル(C1735COOC10
21)等が挙げられる。ここで脂肪酸エステル化合物の炭
素数の和が15未満であると潤滑効果が乏しく、スチル
耐久性への効果が少なくなってしまい、また炭素数の和
が35を超えると有機溶媒への溶解性が小さくなる。こ
こで重要なのは上記脂肪酸エステルが飽和脂肪酸エステ
ルから選ばれることである。飽和脂肪酸エステルにより
長期間の保存においても、初期の潤滑特性を維持するこ
とができる。
【0080】さらに、本例の磁気記録媒体に使用される
潤滑剤においては、末端にカルボキシル基を有するパー
フルオロポリエーテルとアミンとの化合物と長鎖飽和脂
肪酸エステルとの混合比は、重量比で10:90〜9
0:10であるのが好ましい。上記範囲を超えると本発
明による効果を得ることが難しい。
【0081】ところで、本例の磁気記録媒体において、
潤滑剤を最外層に保持させる方法としても、磁性層2の
表面や保護膜3の表面(ここでは、保護膜3の表面)に
潤滑剤層をトップコートする方法が挙げられる。ここ
で、その塗布量は、0.05(mg/m2 )〜100
(mg/m2 )であるのが好ましく、0.1(mg/
2)〜50(mg/m2 )であるのがより好ましい。
この塗布量があまり少なすぎると、摩擦係数の低下、耐
磨耗性・耐久性の向上という効果が表れず、またこの塗
布量があまり多すぎると、摺動部材と強磁性金属薄膜と
の間でハリツキ現象が起こり、かえって走行性が悪くな
る。
【0082】本例の磁気記録媒体も、前述した例の磁気
記録媒体と同様に、非磁性支持体1上に少なくとも磁性
層2が形成されてなり、その最外層となる保護膜3に、
末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテ
ルとアミンの化合物と長鎖飽和脂肪酸エステルを含有す
る潤滑剤が保持されてなるものであり、これら潤滑剤に
おいては如何なる使用条件下においても密着性や潤滑性
が保たれ、且つ長期に亘り潤滑効果が持続するため、磁
気記録媒体の良好な走行性及び耐久性が確保される。
【0083】また、本例の磁気記録媒体においても、前
述した例の磁気記録媒体と同様に、磁性層2を強磁性金
属薄膜としていることから、高密度記録、長時間記録に
も十分対応可能であり、最外層となる保護膜3としてカ
ーボンよりなるものを形成すれば、十分な耐久性が確保
される。
【0084】本発明を適用した磁気記録媒体としては、
次に示すようなものも挙げられる。本例の磁気記録媒体
は、前述の例の磁気記録媒体と略同様の構成を有するも
のであり、最外層に保持される潤滑剤のみが異なる例で
ある。従って、潤滑剤についてのみ説明することとす
る。
【0085】すなわち、本例の磁気記録媒体において
は、特に、最外層となる保護膜3に下記化17で示され
る末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエー
テルとジアミンの化合物と下記化18にて示される長鎖
飽和脂肪酸エステルを含有する潤滑剤が保持されてい
る。
【0086】
【化17】
【0087】
【化18】
【0088】上記化17に示す末端にカルボキシル基を
有するパーフルオロポリエーテルとジアミンとの化合物
は、以下の方法で簡単に合成することが可能である。例
えば単官能パーフルオロポリエーテルとジアミンとを混
合し、用いたジアミンの融点以上の温度で加熱すること
によって合成することができる。
【0089】ここで、上記末端にカルボキシル基を有す
るパーフルオロポリエーテルとしては、市販のものが使
用可能であり、F(CF2 CF2 CF2 O)m CF2
2COOHやCF3 [OCF(CF3 )CF2j
(OCF2k COOH等が例示される。上記の末端に
カルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルは、
勿論、これらに限定されるわけではない。尚、上記パー
フルオロポリエーテル化学式中のm,j,kはいずれも
1以上の整数を表す。
【0090】この末端にカルボキシル基を有するパーフ
ルオロポリエーテルの分子量は、特に制約されるもので
はないが、実用的には600〜5000程度のものが好
ましく、1000〜4000のものがより好ましい。分
子量が大きすぎると、末端基の吸着基としての効果が薄
れると同時に、パーフルオロポリエーテル鎖が大きくな
る分、既存の炭化水素系溶媒に溶解しにくくなる。逆
に、分子量が小さすぎると、パーフルオロポリエーテル
鎖による潤滑効果が薄れてしまう。
【0091】なお、この末端にカルボキシル基を有する
パーフルオロポリエーテルにおいては、パーフルオロポ
リエーテル鎖が部分水素化されてもよい。すなわち、パ
ーフルオロポリエーテル鎖のフッ素原子の一部(50%
以下)を水素原子で置換してもよい。この場合には、パ
ーフルオロポリエーテルとして部分水素化したパーフル
オロポリエーテルを使用すればよい。
【0092】一方のジアミンとしては、構造等も任意で
あり、分岐構造、異性体構造、脂環構造、分子量、不飽
和結合の有無によらず任意に選択することができる。
【0093】また、上記潤滑剤に含有される長鎖飽和脂
肪酸エステルとしてはアルキル基の炭素数の和が15〜
35であるものが好ましい。具体的には、ラウリン酸ヘ
キシル(C1123COOC6 13)、ラウリン酸ヘプチ
ル(C1123COOC7 15)ラウリン酸オクチル(C
1123COOC8 17)、ラウリン酸デシル(C1123
COOC1021)、ミリスチン酸ヘプチル(C1327
OOC7 15)、ミリスチン酸オクチル(C1327CO
OC8 17)、ミリスチン酸デシル(C1327COOC
1021)、パルミチン酸ブチル(C1531COOC4
9 )、パルミチン酸ヘプチル(C1531COOC
7 15)、パルミチン酸デシル(C1531COOC10
21)、ステアリン酸ブチル(C1735COOC
4 9 )、ステアリン酸ペンチル(C1731COOC5
11)、ステアリン酸ヘプチル(C1735COOC7
15)、ステアリン酸オクチル(C1735COOC
8 17)、ステアリン酸デシル(C1735COOC10
21)等が挙げられる。ここで脂肪酸エステル化合物の炭
素数の和が15未満であると潤滑効果が乏しく、スチル
耐久性への効果が少なくなってしまい、また炭素数の和
が35を超えると有機溶媒への溶解性が小さくなる。こ
こで重要なのは上記脂肪酸エステルが飽和脂肪酸エステ
ルから選ばれることである。飽和脂肪酸エステルにより
長期間の保存においても、初期の潤滑特性を維持するこ
とができる。
【0094】さらに、本例の磁気記録媒体に使用される
潤滑剤においては、末端にカルボキシル基を有するパー
フルオロポリエーテルとジアミンとの化合物と長鎖飽和
脂肪酸エステルとの混合比は、重量比で10:90〜9
0:10であるのが好ましい。上記範囲を超えると本発
明による効果を得ることが難しい。
【0095】ところで、本例の磁気記録媒体において、
潤滑剤を最外層に保持させる方法としても、磁性層2の
表面や保護膜3の表面(ここでは、保護膜3の表面)に
潤滑剤層をトップコートする方法が挙げられる。ここ
で、その塗布量は、0.05(mg/m2 )〜100
(mg/m2 )であるのが好ましく、0.1(mg/
2)〜50(mg/m2 )であるのがより好ましい。
この塗布量があまり少なすぎると、摩擦係数の低下、耐
磨耗性・耐久性の向上という効果が表れず、またこの塗
布量があまり多すぎると、摺動部材と強磁性金属薄膜と
の間でハリツキ現象が起こり、かえって走行性が悪くな
る。
【0096】本例の磁気記録媒体も、前述した例の磁気
記録媒体と同様に、非磁性支持体1上に少なくとも磁性
層2が形成されてなり、その最外層となる保護膜3に、
末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテ
ルとジアミンの化合物と長鎖飽和脂肪酸エステルを含有
する潤滑剤が保持されてなるものであり、これら潤滑剤
においては如何なる使用条件下においても密着性や潤滑
性が保たれ、且つ長期に亘り潤滑効果が持続するため、
磁気記録媒体の良好な走行性及び耐久性が確保される。
【0097】また、本例の磁気記録媒体においても、前
述した例の磁気記録媒体と同様に、磁性層2を強磁性金
属薄膜としていることから、高密度記録、長時間記録に
も十分対応可能であり、最外層となる保護膜3としてカ
ーボンよりなるものを形成すれば、十分な耐久性が確保
される。
【0098】上述したような本発明を適用した磁気記録
媒体は、以下のようにして作製される。すなわち、非磁
性支持体上に例えば真空蒸着法により磁性層となる強磁
性金属薄膜を形成した後、例えばマグネトロンスパッタ
法により保護膜を形成し、保護膜上に所定の潤滑剤をト
ップコートして保護膜に潤滑剤を保持させる。さらに必
要に応じてバックコート層等を形成しても良い。
【0099】上記磁性層を形成する真空蒸着装置として
は、図2に示すような連続巻き取り式の真空蒸着装置が
挙げられる。
【0100】この真空蒸着装置は、いわゆる斜方蒸着用
として構成され、内部が例えば1×10-3(Pa)程度
の真空にされた真空室11内に、例えば−20(℃)程
度に冷却され、図中矢印Aで示すように反時計回り方向
に回転する冷却キャン12と、これに対向するように強
磁性金属薄膜用の蒸着源13が配置されてなるものであ
る。
【0101】また、この真空蒸着装置においては、真空
室11内に、図中の反時計回り方向に回転する供給ロー
ル14と図中の反時計回り方向に回転する巻き取りロー
ル15も配設されており、非磁性支持体16は供給ロー
ル14から図中矢印Bで示す方向に繰り出され、冷却キ
ャン12の周面に沿って走行した後、巻き取りロール1
5に巻き取られる。
【0102】なお、供給ロール14と冷却キャン12と
の間、及び冷却キャン12と巻き取りロール15との間
にはそれぞれガイドローラー17、18が配置され、供
給ロール14から冷却キャン12、及びこの冷却キャン
12から巻き取りロール15に従って走行する非磁性支
持体16に所定のテンションをかけ、非磁性支持体16
が円滑に走行するようになされている。
【0103】上記蒸着源13は坩堝等の容器にCo等の
強磁性金属材料が収容されたものであり、この真空蒸着
装置においては、この蒸着源13の強磁性金属材料を加
熱、蒸発させるための電子ビーム発生源19も配設され
ている。すなわち、上記電子ビーム発生源19から電子
ビーム20を蒸着源13の強磁性金属材料に加速照射し
てこれを図中矢印Cで示すように加熱、蒸発させる。す
ると、強磁性金属材料は蒸着源13と対向する冷却キャ
ン12の周面に沿って走行する非磁性支持体16上に被
着し、非磁性支持体16上に強磁性金属薄膜が形成され
ることとなる。
【0104】なお、上記真空蒸着装置においては、蒸着
源13と冷却キャン12との間に防着板21を設け、こ
の防着板21にシャッタ22を位置調整可能に設けて、
非磁性支持体16に対して所定の角度で入射する蒸着粒
子のみを通過させる。こうして斜め蒸着法によって強磁
性金属薄膜が形成されるようになされている。
【0105】さらに、このような強磁性金属薄膜の蒸着
に際し、図示しない酸素ガス導入口を介して非磁性支持
体16の表面近傍に酸素ガスを供給し、これによって強
磁性金属薄膜の磁性特性、耐久性及び耐候性の向上が図
るようにすることが好ましい。また、蒸着源を加熱する
ためには、上述のような電子ビームによる加熱手段の
他、例えば抵抗加熱手段、高周波加熱手段、レーザ加熱
手段等の公知の手段を使用できる。
【0106】本例では斜め蒸着法によりCoからなる強
磁性金属薄膜を形成する例について説明したが、強磁性
金属薄膜を形成する方法としては、この例の他に垂直蒸
着法やスパッタリング法等の公知の薄膜形成法が適用で
き、また強磁性金属薄膜の材料としては、Coの他にN
i、Fe等やこれらの合金が使用できる。また、強磁性
金属薄膜の厚さは0.01〜0.4(μm)程度、好ま
しくは0.1〜0.2(μm)程度である。
【0107】上記保護膜を形成するマグネトロンスパッ
タ装置としては、図3に示すようなものが挙げられる。
【0108】このマグネトロンスパッタ装置は、チャン
バ31内に、図中矢印Dで示すように反時計回り方向に
回転する冷却キャン32と、この冷却キャン32と対向
配置されるターゲット33とがそれぞれ設けられてなる
ものである。
【0109】上記チャンバ31には、チャンバ31内を
減圧するための真空ポンプ34がバルブ35を介して接
続されるとともに、チャンバ31内にガスを導入するた
めのガス導入管36がガス供給部37と共に配設されて
いる。
【0110】従って、チャンバ31は、例えば真空ポン
プ34にて約10-4(Pa)まで減圧された後、真空ポ
ンプ34側へ排気するバルブ35の角度を全開状態から
10度まで絞ることにより排気速度を落とし、ガス導入
管36からArガスを導入することで、真空度が約0.
8(Pa)とされる。また、上記冷却キャン32は、例
えば−40℃程度に冷却される。
【0111】上記ターゲット33は、カーボン保護膜の
材料となるものであり、カソード電極を構成するバッキ
ングプレート38に支持されている。そしてバッキング
プレート38の裏側には、磁場を形成するマグネット3
9が配置されている。
【0112】また、上記チャンバ31内には、図中の反
時計回り方向に回転する供給ロール40と図中の反時計
回り方向に回転する巻き取りロール41も配設されてお
り、非磁性支持体32は供給ロール40から図中矢印E
で示す方向に繰り出され、冷却キャン32の周面に沿っ
て走行した後、巻き取りロール41に巻き取られる。
【0113】このマグネトロンスパッタ装置によりカー
ボン保護膜を形成する際は、ガス導入管36からArガ
スを導入するとともに、冷却キャン32をアノード、バ
ッキングプレート38をカソードとして3000Vの電
圧を印加し、1.4Aの電流が流れる状態を保つように
する。
【0114】この電圧の印加により、Arガスがプラズ
マ化し、電離されたイオンがターゲット33に衝突する
ことにより、ターゲット33の原子がはじき出される。
このとき、バッキングプレート38の裏側にはマグネッ
ト39が配設されており、ターゲット33の近傍に磁場
が形成されるので、電離されたイオンはターゲット33
の近傍に集中されることになる。
【0115】ターゲット33からはじき出された原子
は、上記ターゲット33と対向して配される冷却キャン
32の周面に沿って走行する強磁性金属薄膜が形成され
た非磁性支持体30上に付着し、例えばカーボンよりな
る保護膜が形成されることとなる。
【0116】この保護膜は、スペーシングロスを少なく
かつ、強磁性金属薄膜の磨耗防止の効果を得られるよ
う、その厚さを3〜15(nm)程度、特に5〜10
(nm)程度とすることが好ましい。
【0117】本例ではマグネトロンスパッタ法により保
護膜を形成する例について説明したが、保護膜を形成す
る方法としては、このほかにイオンビームスパッタやイ
オンビームプレーティング法、CVD法等の公知の薄膜
形成方法を用いることができる。
【0118】
【実施例】次に、本発明の効果を確認するべく、実際に
磁気記録媒体を製造し、その特性の評価を行った。
【0119】実験例1 本実験例においては、潤滑剤として末端にカルボキシル
基を有する二官能パーフルオロポリエーテルとアミンの
化合物と長鎖飽和脂肪酸エステルを含有する潤滑剤を使
用した場合の効果を確認することとした。
【0120】(サンプルの作製) 1.パーフルオロポリエーテルアミン塩化合物の合成 先ず、末端にカルボキシル基を有する二官能パーフルオ
ロポリエーテルとアミンの化合物を合成した。
【0121】最初に、末端にカルボキシル基を有する二
官能パーフルオロポリエーテルHOOCCF2 (OC2
4p(OCF2qOCF2 COOH(分子量:4
000、但し、化学式中のp,qはいずれも1以上の整
数を表す。)20(g)を丸底フラスコに取り、オクタ
デシルアミン3.6(g)を加えた。次いで、50
(℃)に加熱溶解し、充分に撹拌して均一にした後、冷
却してパーフルオロポリエーテルアミン塩を得た。これ
を便宜上、化合物1と称することとする。
【0122】次に、上記化合物1と同様にして、末端に
カルボキシル基を有する二官能パーフルオロポリエーテ
ルとアミンとの4種類の化合物2〜5を合成した。各化
合物を製造する際に使用した末端にカルボキシル基を有
する二官能パーフルオロポリエーテルの下記化19中の
Rf1 、R1 、R2 、R3 、R4 は下記表1に示される
ようなものとされている。なお、表1中には、化合物1
を製造する際に使用した末端にカルボキシル基を有する
二官能パーフルオロポリエーテルの下記化19中のRf
1 、R1 、R2 、R3 、R4 も併せて示す。また、表1
中p、qは1以上の整数をそれぞれ表す。
【0123】
【化19】
【0124】
【表1】
【0125】2.サンプルテープの作製 次に、磁気記録媒体として磁気テープを作製した。すな
わち、先ず、非磁性支持体である7.0(μm)厚のポ
リエチレンテレフタレートフィルムに、前述の真空蒸着
装置を使用して斜め蒸着法によりCoを被着させ、膜厚
180(nm)の磁性層となる強磁性金属薄膜を形成し
た。次に、前述のマグネトロンスパッタリング装置を用
いて上記強磁性金属磁性薄膜上に、保護膜となる約8
(nm)の厚さのカーボン保護膜を形成した。
【0126】次いで、ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムの強磁性金属薄膜が形成された面と反対側の面にカ
ーボン及びポリウタレン樹脂よりなる厚さ0.5(μ
m)のバックコート層を形成した。
【0127】次に、上記のようにして、一主面側に強磁
性金属薄膜とカーボン保護膜、他方の主面側にバックコ
ート層が形成された非磁性支持体のカーボン保護膜表面
に、下記表2に示される各化合物をヘキサン溶媒に溶解
したものを塗布量が5(mg/m2 )となるようにそれ
ぞれ塗布して13種類の磁気記録媒体を得た。これら1
3種類の磁気記録媒体を6.35(mm)幅にそれぞれ
裁断し、実施例1〜8と比較例1〜5の13種類のサン
プルテープを作製した。
【0128】
【表2】
【0129】3.特性の評価 次に、上記実施例1〜8と比較例1〜5の13種類のサ
ンプルテープの特性を評価した。ここでは、耐久性と走
行性を評価することとし、具体的には摩擦係数とスチル
耐久性、シャトル耐久性を評価した。これらを評価する
際の環境条件は、本発明者等が検討した上で、最も厳し
い条件と思われた条件とした。
【0130】(1)摩擦係数測定方法 摩擦係数の測定は、恒温槽中の環境条件を温度40
(℃)、湿度80(%RH)に制御して、この恒温槽中
で各サンプルテープを100パス走行させて測定した。
なお、摩擦走行100パス目の数値を摩擦係数とした。
【0131】(2)スチル耐久性測定方法 スチル耐久性の評価は、−5(℃)の恒温槽中で行い、
市販のデジタルビデオカムコーダー(ソニー社製、機種
名:DCR−VX1000)を用いて、各サンプルテー
プの再生出力が3(dB)落ちるまでの時間を測定して
行った。
【0132】(3)シャトル耐久性測定方法 シャトル耐久性は、恒温槽中の環境条件を温度40
(℃)、湿度20(%RH)に制御して、この恒温槽中
で市販のデジタルビデオカムコーダー(ソニー社製、機
種名:DCR−VX1000)を用い、各サンプルテー
プを100パスシャトル走行させ、100パス走行後に
その再生出力が初期出力から何(dB)落ちるかを測定
して評価した。
【0133】なお、これらの評価は、潤滑剤を塗布した
直後と、各サンプルテープを温度45(℃)、湿度80
(%RH)の環境下で1ヶ月間保存した後に行った。潤
滑剤を塗布した直後の初期の耐久性及び走行性の結果を
表3、1ヶ月間保存した後の保存後の耐久性及び走行性
の結果を表4に示す。
【0134】
【表3】
【0135】
【表4】
【0136】表3及び表4の結果から、末端にカルボキ
シル基を有する二官能パーフルオロポリエーテルとアミ
ンとの化合物と長鎖飽和脂肪酸エステルとを組み合わせ
た潤滑剤を使用した実施例1〜8においては、何れも高
温多湿、高温低湿或いは低温等の様々な使用条件下にお
いて摩擦係数やスチル耐久性、シャトル耐久性の劣化が
極めて少なく、非常に良好な結果が得られていることが
わかる。
【0137】一方、末端にカルボキシル基を有する二官
能パーフルオロポリエーテルとアミンとの化合物のみを
含有する潤滑剤、或いは末端にカルボキシル基を有する
二官能パーフルオロポリエーテルと不飽和脂肪酸エステ
ルとを組み合わせた潤滑剤を使用した比較例1〜5にお
いては、何れも高温多湿、高温低湿或いは低温等の様々
な使用条件下において摩擦係数やスチル耐久性、シャト
ル耐久性の劣化が大きく、良好な結果が得られないこと
がわかる。
【0138】また、これらの結果から、特に長鎖飽和脂
肪酸エステルを用いることにより、長期保存後も初期の
特性を維持させることができることが確認された。
【0139】すなわち、本発明を適用して末端にカルボ
キシル基を有する二官能パーフルオロポリエーテルとア
ミンの化合物と長鎖飽和脂肪酸エステルを含有する潤滑
剤を最外層に保持させれば、上記潤滑剤が如何なる使用
条件下においても密着性や潤滑性が保たれ、且つ長期に
亘り潤滑効果が持続するものであるため、磁気記録媒体
の良好な走行性及び耐久性が確保されることが確認され
た。
【0140】実験例2 本実験例においては、潤滑剤として末端にカルボキシル
基を有するパーフルオロポリエーテルとアミンの化合物
と長鎖飽和脂肪酸エステルを含有する潤滑剤を使用した
場合の効果を確認することとした。
【0141】(サンプルの作製) 1.パーフルオロポリエーテルアミン塩化合物の合成 先ず、末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリ
エーテルとアミンの化合物を合成した。
【0142】最初に、末端にカルボキシル基を有するパ
ーフルオロポリエーテルF(CF2CF2 CF2 O)m
CF2 CF2 COOH(分子量:1700、但し、化学
式中のmは1以上の整数を表す。)20(g)を丸底フ
ラスコに取り、オクタデシルアミン3.2(g)を加え
た。次いで、50(℃)に加熱溶解し、充分に撹拌して
均一にした後、冷却してパーフルオロポリエーテルアミ
ン塩を得た。これを便宜上、化合物6と称することとす
る。
【0143】次に、上記化合物6と同様にして、末端に
カルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルとア
ミンとの4種類の化合物7〜10を合成した。各化合物
を製造する際に使用した末端にカルボキシル基を有する
パーフルオロポリエーテルの下記化20中のRf2 、R
11、R12、R13、R14は下記表5に示されるようなもの
とされている。なお、表5中には、化合物6を製造する
際に使用した末端にカルボキシル基を有するパーフルオ
ロポリエーテルの下記化20中のRf2 、R11、R12
13、R14も併せて示す。また、表1中j、k、mは1
以上の整数をそれぞれ表す。
【0144】
【化20】
【0145】
【表5】
【0146】2.サンプルテープの作製 次に、磁気記録媒体として磁気テープを作製した。すな
わち、前述の実験例1と同様にして非磁性支持体上に磁
性層となる強磁性金属薄膜、保護膜となるカーボン保護
膜を形成し、バックコート層も形成した。
【0147】次に、前述の実験例1と同様にしてカーボ
ン保護膜表面に、下記表6に示される各化合物をヘキサ
ン溶媒に溶解したものを塗布量が5(mg/m2 )とな
るようにそれぞれ塗布して13種類の磁気記録媒体を得
た。これら13種類の磁気記録媒体を6.35(mm)
幅にそれぞれ裁断し、実施例9〜16と比較例6〜10
の13種類のサンプルテープを作製した。
【0148】
【表6】
【0149】3.特性の評価 次に、上記実施例9〜16と比較例6〜10の13種類
のサンプルテープの特性を評価した。ここでは、耐久性
と走行性を評価することとし、具体的には摩擦係数とス
チル耐久性、シャトル耐久性を前述の実験例1と同様に
して評価した。
【0150】なお、これらの評価は、前述の実験例1と
同様に潤滑剤を塗布した直後と、各サンプルテープを温
度45(℃)、湿度80(%RH)の環境下で1ヶ月間
保存した後に行った。潤滑剤を塗布した直後の初期の耐
久性及び走行性の結果を表7、1ヶ月間保存した後の保
存後の耐久性及び走行性の結果を表8に示す。
【0151】
【表7】
【0152】
【表8】
【0153】表7及び表8の結果から、末端にカルボキ
シル基を有するパーフルオロポリエーテルとアミンとの
化合物と長鎖飽和脂肪酸エステルとを組み合わせた潤滑
剤を使用した実施例9〜16においては、何れも高温多
湿、高温低湿或いは低温等の様々な使用条件下において
摩擦係数やスチル耐久性、シャトル耐久性の劣化が極め
て少なく、非常に良好な結果が得られていることがわか
る。
【0154】一方、末端にカルボキシル基を有するパー
フルオロポリエーテルとアミンとの化合物のみを含有す
る潤滑剤、或いは末端にカルボキシル基を有するパーフ
ルオロポリエーテルとアミンとの化合物と不飽和脂肪酸
エステルとを組み合わせた潤滑剤を使用した比較例6〜
10においては、何れも高温多湿、高温低湿或いは低温
等の様々な使用条件下において摩擦係数やスチル耐久
性、シャトル耐久性の劣化が大きく、良好な結果が得ら
れないことがわかる。
【0155】また、これらの結果から、特に長鎖飽和脂
肪酸エステルを用いることにより、長期保存後も初期の
特性を維持させることができることが確認された。
【0156】すなわち、本発明を適用して末端にカルボ
キシル基を有するパーフルオロポリエーテルとアミンの
化合物と長鎖飽和脂肪酸エステルを含有する潤滑剤を最
外層に保持させれば、上記潤滑剤が如何なる使用条件下
においても密着性や潤滑性が保たれ、且つ長期に亘り潤
滑効果が持続するものであるため、磁気記録媒体の良好
な走行性及び耐久性が確保されることが確認された。
【0157】実験例3 本実験例においては、潤滑剤として末端にカルボキシル
基を有するパーフルオロポリエーテルとジアミンの化合
物と長鎖飽和脂肪酸エステルを含有する潤滑剤を使用し
た場合の効果を確認することとした。
【0158】(サンプルの作製) 1.パーフルオロポリエーテルジアミン塩化合物の合成 先ず、末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリ
エーテルとジアミンの化合物を合成した。
【0159】最初に、末端にカルボキシル基を有するパ
ーフルオロポリエーテルF(CF2CF2 CF2 O)m
CF2 CF2 COOH(分子量:1700、但し、化学
式中のmは1以上の整数を表す。)20(g)を丸底フ
ラスコに取り、1,4−ジアミノブタン0.52(g)
を加えた。次いで、50(℃)に加熱溶解し、充分に撹
拌して均一にした後、冷却してパーフルオロポリエーテ
ルアミン塩を得た。これを便宜上、化合物11と称する
こととする。
【0160】次に、上記化合物11と同様にして、末端
にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルと
ジアミンとの4種類の化合物12〜15を合成した。各
化合物を製造する際に使用した末端にカルボキシル基を
有するパーフルオロポリエーテルの下記化21中のRf
3 、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R20は下記
表9に示されるようなものとされている。なお、表9中
には、化合物11を製造する際に使用した末端にカルボ
キシル基を有するパーフルオロポリエーテルの下記化2
1中のRf3 、R21、R22、R23、R24、R25、R26
20も併せて示す。また、表9中j、k、mは1以上の
整数をそれぞれ表す。
【0161】
【化21】
【0162】
【表9】
【0163】2.サンプルテープの作製 次に、磁気記録媒体として磁気テープを作製した。すな
わち、前述の実験例1と同様にして非磁性支持体上に磁
性層となる強磁性金属薄膜、保護膜となるカーボン保護
膜を形成し、バックコート層も形成した。
【0164】次に、前述の実験例1と同様にしてカーボ
ン保護膜表面に、下記表10に示される各化合物をヘキ
サン溶媒に溶解したものを塗布量が5(mg/m2 )と
なるようにそれぞれ塗布して13種類の磁気記録媒体を
得た。これら13種類の磁気記録媒体を6.35(m
m)幅にそれぞれ裁断し、実施例17〜24と比較例1
1〜15の13種類のサンプルテープを作製した。
【0165】
【表10】
【0166】3.特性の評価 次に、上記実施例17〜24と比較例11〜15の13
種類のサンプルテープの特性を評価した。ここでは、耐
久性と走行性を評価することとし、具体的には摩擦係数
とスチル耐久性、シャトル耐久性を前述の実験例1と同
様にして評価した。
【0167】なお、これらの評価は、前述の実験例1と
同様に潤滑剤を塗布した直後と、各サンプルテープを温
度45(℃)、湿度80(%RH)の環境下で1ヶ月間
保存した後に行った。潤滑剤を塗布した直後の初期の耐
久性及び走行性の結果を表11、1ヶ月間保存した後の
保存後の耐久性及び走行性の結果を表12に示す。
【0168】
【表11】
【0169】
【表12】
【0170】表11及び表12の結果から、末端にカル
ボキシル基を有するパーフルオロポリエーテルとジアミ
ンとの化合物と長鎖飽和脂肪酸エステルとを組み合わせ
た潤滑剤を使用した実施例17〜24においては、何れ
も高温多湿、高温低湿或いは低温等の様々な使用条件下
において摩擦係数やスチル耐久性、シャトル耐久性の劣
化が極めて少なく、非常に良好な結果が得られているこ
とがわかる。
【0171】一方、末端にカルボキシル基を有するパー
フルオロポリエーテルとジアミンとの化合物のみを含有
する潤滑剤、或いは末端にカルボキシル基を有するパー
フルオロポリエーテルとジアミンとの化合物と不飽和脂
肪酸エステルとを組み合わせた潤滑剤を使用した比較例
11〜15においては、何れも高温多湿、高温低湿或い
は低温等の様々な使用条件下において摩擦係数やスチル
耐久性、シャトル耐久性の劣化が大きく、良好な結果が
得られないことがわかる。
【0172】また、これらの結果から、特に長鎖飽和脂
肪酸エステルを用いることにより、長期保存後も初期の
特性を維持させることができることが確認された。
【0173】すなわち、本発明を適用して末端にカルボ
キシル基を有するパーフルオロポリエーテルとジアミン
の化合物と長鎖飽和脂肪酸エステルを含有する潤滑剤を
最外層に保持させれば、上記潤滑剤が如何なる使用条件
下においても密着性や潤滑性が保たれ、且つ長期に亘り
潤滑効果が持続するものであるため、磁気記録媒体の良
好な走行性及び耐久性が確保されることが確認された。
【0174】
【発明の効果】上述のように、本発明に係る磁気記録媒
体においては、非磁性支持体上に少なくとも磁性層が形
成されてなり、その最外層に、末端にカルボキシル基を
有する二官能パーフルオロポリエーテルとアミンの化合
物と長鎖飽和脂肪酸エステルを含有する潤滑剤、或いは
末端にカルボキシル基を有するパーフルオロポリエーテ
ルとアミンの化合物と長鎖飽和脂肪酸エステルを含有す
る潤滑剤、或いは末端にカルボキシル基を有するパーフ
ルオロポリエーテルとジアミンの化合物と長鎖飽和脂肪
酸エステルを含有する潤滑剤が最外層に保持されてなる
ものであり、これら潤滑剤においては如何なる使用条件
下においても密着性や潤滑性が保たれ、且つ長期に亘り
潤滑効果が持続するため、磁気記録媒体の良好な走行性
及び耐久性が確保される。
【0175】また、本発明の磁気記録媒体において、磁
性層を強磁性金属薄膜とすれば、高密度記録、長時間記
録にも十分対応可能であり、最外層としてカーボンより
なる保護膜を形成すれば、十分な耐久性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した磁気記録媒体を示す断面図で
ある。
【図2】連続巻き取り式の真空蒸着装置の構成を示す要
部概略断面図である。
【図3】マグネトロンスパッタ装置の構成を示す要部概
略断面図である。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2 磁性層、3 保護膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 谷田貝 洋 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 4H104 BB32A BC09A BD07C BE01C LA03 PA16 QA08 5D006 AA01 AA02 AA06 BB01 FA02 FA05 FA06 5D112 AA05 AA07 AA22 AA24 BC02 BC05

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層が形
    成されてなる磁気記録媒体であって、 下記化1で示される末端にカルボキシル基を有する二官
    能パーフルオロポリエーテルとアミンの化合物と下記化
    2にて示される長鎖飽和脂肪酸エステルを含有する潤滑
    剤が最外層に保持されてなることを特徴とする磁気記録
    媒体。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 上記末端にカルボキシル基を有する二官
    能パーフルオロポリエーテルとアミンの化合物と上記長
    鎖飽和脂肪酸エステルの混合比が、重量比で10:90
    〜90:10であることを特徴とする請求項1記載の磁
    気記録媒体。
  3. 【請求項3】 化2中のR、R´の炭素数の合計数は1
    5〜35であることを特徴とする請求項1記載の磁気記
    録媒体。
  4. 【請求項4】 上記磁性層が、強磁性金属薄膜よりなる
    ことを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 上記磁性層上に最外層として保護膜が形
    成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気記録
    媒体。
  6. 【請求項6】 上記保護膜がカーボンよりなることを特
    徴とする請求項5記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層が形
    成されてなる磁気記録媒体であって、 下記化3で示される末端にカルボキシル基を有するパー
    フルオロポリエーテルとアミンの化合物と下記化4にて
    示される長鎖飽和脂肪酸エステルを含有する潤滑剤が最
    外層に保持されてなることを特徴とする磁気記録媒体。 【化3】 【化4】
  8. 【請求項8】 上記末端にカルボキシル基を有するパー
    フルオロポリエーテルとアミンの化合物と上記長鎖飽和
    脂肪酸エステルの混合比が、重量比で10:90〜9
    0:10であることを特徴とする請求項7記載の磁気記
    録媒体。
  9. 【請求項9】 化4中のR、R´の炭素数の合計数は1
    5〜35であることを特徴とする請求項7記載の磁気記
    録媒体。
  10. 【請求項10】 上記磁性層が、強磁性金属薄膜よりな
    ることを特徴とする請求項7記載の磁気記録媒体。
  11. 【請求項11】 上記磁性層上に最外層として保護膜が
    形成されていることを特徴とする請求項7記載の磁気記
    録媒体。
  12. 【請求項12】 上記保護膜がカーボンよりなることを
    特徴とする請求項11記載の磁気記録媒体。
  13. 【請求項13】 非磁性支持体上に少なくとも磁性層が
    形成されてなる磁気記録媒体であって、 下記化5で示される末端にカルボキシル基を有するパー
    フルオロポリエーテルとジアミンの化合物と下記化6に
    て示される長鎖飽和脂肪酸エステルを含有する潤滑剤が
    最外層に保持されてなることを特徴とする磁気記録媒
    体。 【化5】 【化6】
  14. 【請求項14】 上記末端にカルボキシル基を有するパ
    ーフルオロポリエーテルとジアミンの化合物と上記長鎖
    飽和脂肪酸エステルの混合比が、重量比で10:90〜
    90:10であることを特徴とする請求項13記載の磁
    気記録媒体。
  15. 【請求項15】 化6中のR、R´の炭素数の合計数は
    15〜35であることを特徴とする請求項13記載の磁
    気記録媒体。
  16. 【請求項16】 上記磁性層が、強磁性金属薄膜よりな
    ることを特徴とする請求項13記載の磁気記録媒体。
  17. 【請求項17】 上記磁性層上に最外層として保護膜が
    形成されていることを特徴とする請求項13記載の磁気
    記録媒体。
  18. 【請求項18】 上記保護膜がカーボンよりなることを
    特徴とする請求項17記載の磁気記録媒体。
JP20071398A 1998-04-30 1998-07-15 磁気記録媒体 Withdrawn JP2000020942A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20071398A JP2000020942A (ja) 1998-04-30 1998-07-15 磁気記録媒体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12122398 1998-04-30
JP10-121223 1998-04-30
JP20071398A JP2000020942A (ja) 1998-04-30 1998-07-15 磁気記録媒体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000020942A true JP2000020942A (ja) 2000-01-21

Family

ID=26458636

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP20071398A Withdrawn JP2000020942A (ja) 1998-04-30 1998-07-15 磁気記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000020942A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH11316940A (ja) 磁気記録媒体
JP2000020942A (ja) 磁気記録媒体
JPH11353640A (ja) 磁気記録媒体
JP2000036113A (ja) 磁気記録媒体
JP2000020941A (ja) 磁気記録媒体
JP2000048346A (ja) 磁気記録媒体
JP2000040222A (ja) 磁気記録媒体
JP2000048348A (ja) 磁気記録媒体
JP2001006152A (ja) 磁気記録媒体
JP2001014644A (ja) 磁気記録媒体
JPH11316939A (ja) 磁気記録媒体
JP2001014646A (ja) 磁気記録媒体
JPH11328657A (ja) 磁気記録媒体
JPH11353641A (ja) 磁気記録媒体
JP2001014643A (ja) 磁気記録媒体
JP2000357315A (ja) 磁気記録媒体
JP2000048349A (ja) 磁気記録媒体
JP2001110040A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2001084556A (ja) 磁気記録媒体
JP2001110039A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2001110042A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2001110041A (ja) 磁気記録媒体の製造方法
JP2001084560A (ja) 磁気記録媒体
JP2001014645A (ja) 磁気記録媒体
JP2000040224A (ja) 磁気記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20051004