JP2000018987A - 静電容量型センサおよびそれを使用したフルイディック式流量計 - Google Patents

静電容量型センサおよびそれを使用したフルイディック式流量計

Info

Publication number
JP2000018987A
JP2000018987A JP10190188A JP19018898A JP2000018987A JP 2000018987 A JP2000018987 A JP 2000018987A JP 10190188 A JP10190188 A JP 10190188A JP 19018898 A JP19018898 A JP 19018898A JP 2000018987 A JP2000018987 A JP 2000018987A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
diaphragm
pressure
sensor
capacitance
cavities
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP10190188A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2910764B1 (ja
Inventor
Mitsuru Fujii
充 藤井
Masayoshi Higuchi
誠良 樋口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Omron Tateisi Electronics Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Omron Corp, Omron Tateisi Electronics Co filed Critical Omron Corp
Priority to JP19018898A priority Critical patent/JP2910764B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2910764B1 publication Critical patent/JP2910764B1/ja
Publication of JP2000018987A publication Critical patent/JP2000018987A/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Volume Flow (AREA)
  • Measuring Fluid Pressure (AREA)
  • Pressure Sensors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 静電容量型センサ1において、測定媒体が腐
食性であっても、キャビティ10、11や各電極3a,
8a,8b,16aの腐食・劣化を防ぐ。また、外部温
度が変化しても、センサの検出精度を維持する。 【解決手段】 2つのダイヤフラム3、16の間に固定
された中側シリコン基板8を位置させる。そして、ダイ
ヤフラムに囲まれたキャビティ10、11を形成して、
そのキャビティに測定媒体が入り込まないようにした。
さらに、キャビティに微少な大気開放穴12を設け、大
気開放穴の開口を測定媒体が導かれる導圧部5、17と
は空間的に隔離した。この構成により、キャビティ内は
測定媒体にさらされないので腐食・劣化の恐れがない。
また、キャビティ内の空気は大気開放穴から流入出する
ので外部温度の変化によって、キャビティ内の対向する
電極の距離の初期値が保たれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、静電容量型セン
サに関し、1枚の固定層と、この固定層の両面にそれぞ
れ対向する2枚のダイヤフラムとの間のそれぞれの静電
容量の変化を検出する静電容量型センサに関する。ま
た、その静電容量型センサを使用したフルイディック式
流量計に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の静電容量型センサとして、特開平
8−189870号のようなものがあった。これは、い
わゆる差動式静電容量型センサである。図12で断面の
構成が示されているように、上下2つの導圧部51、5
2に面している1枚のダイヤフラム53があって、ダイ
ヤフラム53aに対して空間を隔てて上下に固定基板5
4、55が設けられている。ダイヤフラム53aの上面
および下面には、上側可動電極および下側可動電極(図
示せず)がそれぞれ設けられている。そして、固定基板
54のダイヤフラム53aとの対向位置には上側固定電
極56が設けられ、固定基板55のダイヤフラム53a
との対向位置には下側固定電極57が設けられている。
この静電容量型センサでは、上下2つの導圧部51、5
2から測定媒体が入り込む。測定媒体は、流体であっ
て、例えば、空気や都市ガスや水蒸気などの気体、また
は水や油や薬品液などの液体である。
【0003】このような測定媒体によって、ダイヤフラ
ム53aが押されることでダイヤフラム53aが上下に
たわむ。そしてダイヤフラム53aがたわむことで、上
下の固定基板54、55との距離が変化する。測定媒体
によりかかった圧力の検出は、この距離変位量から求め
られる。具体的には、ダイヤフラム53aの上側可動電
極と固定基板54の上側固定電極56とで構成されるコ
ンデンサの静電容量を検出することで、上側導圧部51
からの測定媒体の圧力が検出できる。
【0004】また、ダイヤフラム53aの下側可動電極
と固定基板55の下側固定電極57とで構成されるコン
デンサの静電容量を検出することで、下側導圧部52か
らの測定媒体の圧力が検出できる。静電容量の検出は、
可動電極と固定電極とを発振回路に接続し、発振回路の
発振状態の変化に基づいて検出できるようにしている。
なお、上下の両圧力の差である「差圧」についてもダイ
ヤフラム53aのたわみから検出できる。
【0005】このような従来の静電容量型センサは、測
定媒体を上下のキャビティ58、59内に導いていたの
で、ダイヤフラム53aの可動電極部分や上下の固定電
極56、57が測定媒体にさらされていた。測定媒体が
腐食性のガスや液体であるときには、上下のキャビティ
58、59の内壁や各電極が腐食・劣化してしまい、セ
ンサの検出精度が悪くなったり、寿命が短くなるという
問題点があった。また、測定媒体が腐食性のガスや液体
であるときに限らず、測定媒体中に含まれているゴミや
ほこりなどが、上下のキャビティ58、59内に残存す
ることがあり、そのゴミやほこりによってセンサの静電
容量に誤差が生じるといった問題点があった。
【0006】そこで、本出願人は、上述の問題点に鑑み
て、図13に示すような静電容量型センサをすでに出願
した(特願平9−344030号:以下、「先願発明」
という)。この先願発明の静電容量型センサは、図13
(a)で断面の構成が示されているように、5層構造、
すなわち、上側シリコン基板62、絶縁膜64、中側シ
リコン基板(固定基板)61、絶縁膜65、下側シリコ
ン基板63からなっている。そして、固定電極61aが
形成された固定基板61の両側に、物理量を受けてたわ
むダイヤフラム62a,63aを配置し、測定媒体の導
圧部66とキャビティ64a,65aとを空間的に隔離
した構成としている。
【0007】なお、図13(b)は、下側導圧部から圧
力がかかっているときの、ダイヤフラム62a,63a
がたわんでいる状態を示すものである。このような構成
にすることで、測定媒体がキャビティ64a,65a内
に入り込まないようにでき、測定媒体が腐食性ガスであ
ってもセンサの各電極が腐食・劣化しないようにしてい
る。さらにキャビティ64a,65aにゴミやほこりが
残存する恐れをなくしている。
【0008】ところで、この先願発明のセンサにあって
は、キャビティ64a,65aが密閉封止されているの
で、外部温度の変化に伴ってキャビティ64a,65a
内の空気が膨張・収縮する。すると、各電極間の距離の
初期値が変化してしまう。これは、外部温度の変化によ
ってセンサの検出精度が変動することを意味する。特
に、温度が激しく変化するような環境が悪い場所での使
用時には、検出精度の変動が無視できなくなる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、従来のセ
ンサおよび先願発明のセンサの問題点に着目してなされ
たものであり、その目的とするところは、測定媒体によ
るキャビティ内および電極の腐食や劣化を防ぎ、測定媒
体中のゴミなどがキャビティ内に入り込まないようにす
るとともに、温度変化に対しても検出精度が維持できる
静電容量型センサを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1にかかる発明で
は、第1の導圧部(上側導圧部5)から圧力を受ける第
1のダイヤフラム(上側ダイヤフラム3)と、第2の導
圧部(下側導圧部17)から圧力を受ける第2のダイヤ
フラム(下側ダイヤフラム16)と、第1のダイヤフラ
ムと第2のダイヤフラムとの間に、両ダイヤフラムと空
間(キャビティ10、11)を隔てて配置される固定層
(中側シリコン基板8)と、を持ち、第1のダイヤフラ
ムと固定層との間の静電容量変化(上側のコンデンサと
しての静電容量変化)、および第2のダイヤフラムと固
定層との間の静電容量変化(下側のコンデンサとしての
静電容量変化)とを検出する静電容量型センサであっ
て、第1のダイヤフラムと固定層とで形成される第1の
キャビティ(上側キャビティ10)と、第2のダイヤフ
ラムと固定層とで形成される第2のキャビティ(下側キ
ャビティ11)とが、該センサ内で空間的につながって
いる(スルーホール9)とともに、そのつながったキャ
ビティが第1および第2の導圧部から隔離されて大気開
放(大気開放穴12)をした構成としている。
【0011】請求項1に記載の静電容量型センサでは、
キャビティが第1および第2の導圧部から空間的に隔離
されているので、測定媒体がキャビティ内に入り込むこ
とがない。よって、キャビティ内や、ダイヤフラム内面
の電極および固定層の電極が測定媒体により、腐食した
り劣化することがない。さらに、キャビティ内に測定媒
体中のゴミやほこりが入り込むことがない。さらにま
た、キャビティを大気開放しているので、センサの検出
精度は外部温度の変化に影響を受けずにすむ。
【0012】請求項2にかかる発明では、請求項1でい
う静電容量型センサにおいて、第1のダイヤフラムと固
定層との間の静電容量の圧力に対する変化特性と、第2
のダイヤフラムと固定層との間の静電容量の圧力に対す
る変化特性とを同一にした構成としている。このように
することで、上下の測定媒体の圧力変化に対して、静電
容量型センサの上下の検出特性が等しくなる。また、上
下のダイヤフラムにかかるノイズ成分がキャンセルされ
る。これにより、例えば差圧を測定する場合、上下の検
出結果を補正せずにすむ。
【0013】請求項3にかかる発明では、請求項1また
は2でいう静電容量型センサにおいて、第1のダイヤフ
ラムと第2のダイヤフラムとを連結(連結部19)した
構成とした。こうすることで、上側ダイヤフラムの変位
と下側ダイヤフラムの変位とが連動する。よって、上側
可動電極と上側固定電極との距離が短くなると、下側可
動電極と下側固定電極との距離が長くなる。逆に、上側
可動電極と上側固定電極との距離が長くなると、下側可
動電極と下側固定電極との距離が短くなる。つまり、上
下どちらから圧力がかかったときでも、上下の可動電極
と固定電極間のコンデンサの両静電容量の差はいずれも
大きくなる方向に作用する。
【0014】請求項4にかかる発明では、圧力室(圧力
室30)の中を通る測定媒体の流量を測定するフルイデ
ィック式流量計であって、測定媒体が圧力室を通るとき
に振動流となる2つの帰還流路(37a,37b)の圧
力を、請求項1から3のいずれかに記載の静電容量型セ
ンサの第1、第2のダイヤフラム(ダイヤフラム3、1
6)のそれぞれに導くようにし、さらに測定媒体を静電
容量型センサへ導く経路から隔離して大気開放をした構
成とした。
【0015】請求項5に記載のフルイディック式流量計
では、上述の請求項1または請求項2の静電容量型セン
サを用いたので、測定媒体が腐食性であっても、静電容
量型センサ(圧力センサ)の耐久性がよい。また、外部
の温度変化に対してもセンサの検出精度の影響が生じな
いので、流量の計測が安定する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を具体
例に基づいて説明する。
【0017】(第1の実施形態)第1の実施形態での静
電容量型センサチップ1の構造を、図1、図2を用いて
説明する。図1はこのセンサチップの断面図、図2はセ
ンサチップの上面図である。上側シリコン基板2は、単
結晶の半導体シリコン材料で形成されており導電性を持
っている。この上側シリコン基板2の一部には、上側ダ
イヤフラム3が形成されている。この上側ダイヤフラム
3は、上側導圧部5からの測定媒体の圧力を受けること
で、下方向にたわんで変位する。上側ダイヤフラム3の
下面には、上側可動電極3aが形成されている。また、
上側シリコン基板2の上面には、上側可動電極3aと電
気的に接続された上側ワイヤパッドが形成されていて、
信号を外部に取り出すことができる。(上側ワイヤパッ
ドは、図1に図示されていないが、後述の図2には符号
4で図示されている)。上側絶縁膜6は、上側シリコン
基板2と中側シリコン基板8とを電気的に絶縁するため
のものである。
【0018】上側導圧部5からの測定媒体の圧力の検出
は、上側ダイヤフラム3のたわみ変位を、上側可動電極
16aと下側固定電極8bとの間の静電容量の変化とし
て検出することにより行う。そして、その静電容量の変
化に基づいて、下側導圧部17からの圧力を検出するの
である。
【0019】中側シリコン基板8は、固定層に相当し、
導圧部から測定媒体の圧力がかかったときも、上下のダ
イヤフラム3、16が変位したときにも動かない。中側
シリコン基板8の素材は、上側シリコン基板2と同じ単
結晶の半導体シリコン材料が用いられていて、導電性を
持っている。そして、中側シリコン基板8の上面の、上
側可動電極3aとギャップ(すなわち隙間)を隔てて対
向する一部の面に、上側固定電極8aが形成されてい
る。同様に、中側シリコン基板8の下面の、下側可動電
極16aとギャップを隔てて対向する一部の面に、下側
固定電極8bが形成される。上側キャビティ10は、上
側ダイヤフラム3と中側シリコン基板8とで囲まれた空
間部分をいう。また、下側キャビティ11は、下側ダイ
ヤフラム16と中側シリコン基板8とで囲まれた空間部
分をいう。この上下2つのキャビティ10、11は、中
側シリコン基板8を貫通するスルーホール9によって空
間的につながれている。中側ワイヤパッド7は、中側シ
リコン基板8の上側固定電極8aおよび下側固定電極8
bと電気的に接続されていて、外部に信号を取り出すこ
とができる。
【0020】15は、先にも述べたとおり下側シリコン
基板であり、単結晶の半導体シリコン材料で形成されて
いて、導電性を持っている。中側シリコン基板8とは下
側絶縁膜13によって電気的に絶縁されている。下側シ
リコン基板15の一部が下側ダイヤフラム16となり、
その上面には下側可動電極16aが形成されている。下
側可動電極16aの信号は、下側可動電極16aと電気
的に接続された下側ワイヤパッド14によって引出され
る。下側シリコン基板15には、下側導圧部17が形成
されている。この下側導圧部17からの測定媒体の圧力
によって下側ダイヤフラム16が上側へたわんで変位す
る。圧力検出については、上側導圧部5からの圧力検出
と同様であり、下側可動電極16aと下側固定電極8b
との間の静電容量の変化に基づいて、下側導圧部17か
らの測定媒体の圧力を検出する。
【0021】図2は、この第1の実施形態の静電容量型
センサの上面図である。図1と同一の構成には同一の符
号が付いている。この図2には、図1に図示されていな
かった上側シリコン基板2に形成された上側ワイヤパッ
ド4が図示されている。なお、図2中のA−A断面が図
1の断面図である。
【0022】図3は、この静電容量型センサの各層の上
面図を示したものである。上述した構成と同一の構成に
は、同一の符号が付いている。各層の説明をしてゆく
と、図3(a)が上側シリコン基板2の上面図、図3
(b)が上側絶縁膜6の上面図である。上側絶縁膜6の
ほぼ中央には、四角形状の穴H1が設けられている。こ
の穴H1が、上側シリコン基板2と中側シリコン基板8
とに挟まれた時に、上側キャビティ10となる。また、
穴H1から周縁に向かって細長く延びているスリットS
1が設けられている。このスリットS1が大気開放穴1
2となる。図3(c)は、中側シリコン基板8の上面図
である。この中側シリコン基板8の中央付近に3つのス
ルーホール9が設けられている。このスルーホール9に
よって上下のキャビティが空間的につながれることにな
る。図3(d)は、下側絶縁膜13の上面図である。こ
の下側絶縁膜13のほぼ中央には、上側絶縁膜6と同様
に四角形状の穴H2が設けられている。この穴H2が、
下側絶縁膜13が中側シリコン基板8と下側シリコン基
板15とに挟まれた時に、下側キャビティ11となる。
図3(e)は、下側シリコン基板15の上面図である。
図3(f)は上側絶縁膜6と中側シリコン基板8とを重
ねた時の上面図、図3(g)は下側絶縁膜13と下側シ
リコン基板15とを重ねた時の上面図である。そして、
図3(h)がすべての層を重ねた時の上面図である(図
2と同一の図である)。
【0023】ここで、半導体静電容量型センサを構成し
たときの各部の大きさについて、その一例を述べてお
く。3枚のシリコン基板2、8、15の大きさはそれぞ
れ約3mm角程度、上側および下側シリコン基板2、1
5の厚みは400μm程度、上下のダイヤフラム3、1
6の大きさは500μm角程度、ダイヤフラムの厚みは
5μm程度にする。中側シリコン基板8の厚みは30〜
100μm程度、スルーホール9の大きさはφ50μm
程度にする。大気開放穴12の幅(穴径)は1〜10μ
m程度とする。2枚の絶縁膜6、13の厚みは1〜10
μm程度とし、キャビティ10、11の厚みは絶縁膜
6、13の厚みに等しくする。
【0024】図4は、このセンサの製造プロセスを説明
する図(一部、上面図含む)である。図4(a)から
(j)の順番が製造プロセスの順番になっている。ま
ず、下側シリコン基板15に、ダイヤフラムのエッチン
グストップ層15aとしての不純物ドープ拡散を行なう
(図4(a))。次に、下側シリコン基板15の不純物
ドープ拡散をした反対面に、キャビティとなる場所を残
して絶縁膜13を形成する(図4(b)、上面図含
む)。いっぽうで、中側シリコン基板8の両面から異方
性エッチングを施してスルーホール9を形成する(図4
(c)、上面図含む)。次に、中側シリコン基板8の後
工程で削除される部分の基板下面にハーフダイス用の溝
8fを施す(図4(d))。そして、図4(b)の下側
シリコン基板15および絶縁膜13と、図4(d)の中
側シリコン基板8とを接合する(図4(e))。このあ
と、中側シリコン基板8上面のキャビティおよび大気開
放穴となる部分を残して絶縁膜6を形成する(図4
(f)、上面図含む)。他方で、上側シリコン基板2に
おいて、ダイヤフラムのエッチングストップ層2aとし
ての不純物ドープを施すとともに、ハーフダイス用の溝
2bを形成する(図4(g))。
【0025】ここで、図4(e)のように接合した基板
の上に、上側シリコン基板2を接合する(図4
(h))。このあと、各層をハーフダイスして図4
(i)のようにする。最後に、ECEなどによって上側
シリコン基板2および下側シリコン基板15をエッチン
グして、ダイヤフラム3、16を形成するとともに、ワ
イヤパッド部7、14を形成する。ワイヤパッド部の形
成にあたっては、絶縁膜6、13をエッチングしてコン
タクトホールを形成し、そこにアルミ蒸着をして各シリ
コン基板と電気的導通したワイヤパッド7、14を形成
する(図4(j))。これで半導体静電容量型センサが
完成する(完成断面図は、図1のとおり)。
【0026】なお、シリコン基板の接合工程を、酸素雰
囲気中で行なうことで、図5のようにキャビティ内面の
電極を酸化させて、電極の表面に微厚な酸化絶縁膜Zを
形成することができる(これは後述する第2、第3の実
施形態のセンサチップでも、同様のことが言える)。こ
うすると、対向する両電極が絶縁膜に覆われることにな
り、両電極が過大圧力で接触しても電気的に短絡するこ
とがなく、外付けの発振回路への悪影響を与えることが
ないし、センサチップの信頼性が向上する。次に、この
発明の静電容量型センサの動作原理について説明する。
静電容量型センサ1は、上述のとおり、上側ダイヤフラ
ム3と対向する上側固定電極8aとの間でコンデンサが
形成されるとともに、下側ダイヤフラム16と対向する
下側固定電極8bとの間でコンデンサが形成される。例
えば、下側導圧部17からの測定媒体の圧力で押されて
下側ダイヤフラム16が、前述の図13(b)と同様
に、上向きにたわんで、下側固定電極8bとの距離が短
くなり、コンデンサとしての静電容量が増加する。測定
媒体の圧力が大きいと、ダイヤフラム16のたわみも大
きくなり、コンデンサの容量変化も大きくなる。その静
電容量の変化をワイヤパッド14および7から取り出し
た信号によって検出する。ワイヤパッド14および7に
は図示していない発振回路が接続されていて、両電極間
のコンデンサは発振回路の一部を構成する。そしてコン
デンサの容量の変化に伴って、発振回路の発振振幅か発
振周波数のいずれかが変化するようにしておくことで、
発振回路の発振状態の変化からコンデンサの静電容量の
変化を検出し、測定媒体の圧力を検出する。上側ダイヤ
フラム3と上側固定電極8aとの間に形成されるコンデ
ンサでも、これと同一の原理で、上側導圧部5からの測
定媒体の圧力を検出する。さらに両方の導圧部5、17
の測定媒体の圧力を計ることで、両圧力の差圧が検出で
きる。
【0027】このとき、上下の圧力に対して静電容量の
変化の度合いを同一条件にするのが望ましい。ここで
は、そのために各部を上下対称形状にしている。具体的
には、上下のダイヤフラム3、16の膜厚・形状・面積
・材質・硬さや、上下のキャビティ10、11の幅・形
状、上下の導圧部5、17の形状、各電極3a,8a,
8b,16aの面積などを、それぞれ同一としている。
なお、酸化による絶縁膜Zの形成時に絶縁膜Zの膜圧を
調整することで、上下のキャビティ10、11の幅を同
じにすることができる。また、ダイヤフラム3、16の
厚みは、シリコン基板への不純物ドープ量および拡散を
調整することで、上下のシリコン基板2、15のエッチ
ングを同じ深さまでするようにし、同一にしている。ダ
イヤフラムの形状は、上下のシリコン基板2、15に同
様のECE処理を施すことで、同一形状に加工できる。
このようにすることで、上下の測定媒体の圧力の変化特
性が、上下ダイヤフラム3、16で等しくなり、後段の
処理回路での補正が不要となる。また、両ダイヤフラム
3、16にかかるノイズ成分もキャンセルでき、検出精
度の信頼性も向上する。
【0028】次に、大気開放穴12について説明する。
上述のように、2つのキャビティ10、11は、中側シ
リコン基板8のスルーホール9によって空間的につなが
っている。そして、大気開放穴12は、センサ1内のキ
ャビティ10、11とセンサ1の外部の大気空間とを空
間的につなぐものであり、その出口は導圧部5、17と
は離れた場所に設けられている。すなわち、大気開放穴
12の出口は、測定媒体が導かれる導圧部5、17とは
空間的に隔離可能な場所に設けられていればよく、ダイ
ヤフラム3、16の外側およびシリコン基板のエッチン
グ部から隔離された場所であればよい。ここでは図1に
示されているように、大気開放穴12の出口はセンサチ
ップ1の側面方向に開口されている。大気開放穴12の
大きさは、上述のように1〜10μm角程度であり、絶
縁膜6の厚みに等しくなっている。望ましい大気開放穴
12の大きさは、その穴の中を空気がかろうじて流通で
きる程度の微少な大きさである。
【0029】ここで、センサ1の外部温度が変化したと
する。外部温度の変化に伴って、キャビティ10、11
内の空気が膨張収縮して体積が変化する。しかし、キャ
ビティ10、11内の空気の膨張分は大気開放穴12を
通じてゆっくり流れ出てゆき、逆に収縮分は大気開放穴
12を通じてゆっくりと入り込んで、常にキャビティ1
0、11内の空気の体積は一定となる。よって、静電容
量を検出するための、両対向電極3aと8a、8bと1
6a間の距離の初期値が常に一定に保たれる。
【0030】なお、測定媒体の圧力によってダイヤフラ
ム3、16が押されて、キャビティ10、11内の空気
が大気開放穴12から外へ出ようとするが、大気開放穴
12の穴径が微少なので、急な空気の出入りはほとんど
ない。つまり、瞬間的またはある程度長い時間枠でのダ
イヤフラム3、16のたわみ変位で、大気開放穴12か
らキャビティ10、11に空気が入出することはない。
【0031】つまり、測定媒体の圧力によるダイヤフラ
ム3、16のたわみに対しては、キャビティ10、11
は密閉されているとみなしてよい。特に、差圧式でのダ
イヤフラム3、16の高周波で往復する変位に対して
は、キャビティ10、11は密閉しているとみなしてよ
い。しかし、センサ外部の温度変化によるキャビティ1
0、11内の空気の体積の膨張収縮に対しては、大気開
放穴12での空気流通によって対処できる。もちろん、
大気開放穴12の大きさを大きくすることで、ダイヤフ
ラム3、16の変化によるキャビティ10、11自体の
体積変化に伴って、キャビティ10、11内の空気が大
気開放穴12から入出するようにしてもよい。
【0032】以上説明した第1の実施形態は、次の効果
を持っている。すなわち、上下の両キャビティ10、1
1が上下導圧部5、17から空間的に隔離されているの
で、測定媒体がキャビティ10、11内に入り込むこと
がない。よって、キャビティ10、11内や両可動電極
3a,16aおよび両固定電極8a、8bが測定媒体に
よって腐食したり劣化することがないという効果があ
る。加えて、電極の腐食劣化がないので、センサの寿命
が向上できるという効果がある。また、キャビティ1
0、11内に測定媒体中のゴミやほこりが入り込むこと
がないので、電極間の静電容量の誤差要因がないという
効果がある。
【0033】また、キャビティ10、11を大気開放し
ているので、外部温度が変化してもキャビティ10、1
1内の体積は一定に保たれ、対向する電極3aと8a、
8bと16aの間の距離の初期値が変化することはな
い。よって、センサの検出精度が外部温度変化に影響を
受けることがなく、検出精度が維持できるという効果が
ある。
【0034】さらに、上下のキャビティ10、11を空
間的につなげ、大気開放穴12を微少な大きさとしたの
で、両キャビティ10、11は密閉とみなせ、上下のダ
イヤフラム3、16のたわみが連動するようにでき、周
期的な差圧の変化を検出するときの精度が向上できると
いう効果がある。
【0035】(第2の実施形態)図6および図7は、こ
の発明の第2の実施形態を示している。この第2の実施
形態は、上下のダイヤフラム3、16を連結部19で一
体につないでいる点で、第1の実施形態と異なってい
る。なお、第1の実施形態と同一の構成には同一の符号
を用いている。
【0036】図6は、センサチップ1の一部を断面で示
した斜視図である。断面部分に示されているように、上
側ダイヤフラム3と下側ダイヤフラム16とは、連結部
19で一体的につながれている。そして、この連結部1
9によって上下ダイヤフラム3、16の距離は常に一定
間隔となる。
【0037】図7は、第2の実施形態のセンサチップ1
を各層毎に展開した展開斜視図である。図示されている
ように5層構造、つまり上側シリコン基板2、上側絶縁
膜6、中側シリコン基板8、下側絶縁膜13、下側シリ
コン基板15の5層からなっている。上側シリコン基板
2の下側には、上側可動電極3a(図示せず)が設けら
れている。下側シリコン基板15の上面には上側可動電
極16aが設けられている。中側シリコン基板8の橋部
8cの上側が上側固定電極8aとなり、下側が下側固定
電極8bとなる。また、上側絶縁膜6には開口部6aが
あり、この開口部6aが上側キャビティ10を形成す
る。同様に、下側絶縁膜13には開口部13aがあり、
この開口部13aが下側キャビティ11を形成する。上
述の連結部19は、上側絶縁膜6の橋部6bと、中側シ
リコン基板の連結部分8dと、下側絶縁膜13の橋部1
3bとから形成される。中側シリコン基板に形成された
溝8eは、上側キャビティ10と下側キャビティ11と
を空間的につなぐ役目を果たすものである。
【0038】次に、動作原理について説明する。いま、
上側導圧部5から測定媒体により圧力がかかったとす
る。この圧力により上側ダイヤフラム3は押されて、下
側にたわむ。すると、上側可動電極3aと上側固定電極
8aとの距離が短くなり、コンデンサとしての静電容量
が増加する。いっぽうで、上側ダイヤフラム3の下側へ
の変位が、連結部19を通じて下側ダイヤフラム16に
伝わるので、下側ダイヤフラム16も下側へ押されてた
わむ。すると、下側可動電極16aと下側固定電極8b
との距離が長くなり、コンデンサとしての静電容量が減
少する。つまり、上側導圧部5から圧力がかかると、上
側のコンデンサの静電容量は増加し、下側のコンデンサ
の静電容量は減少する。反対に、下側導圧部17から圧
力がかかったときには、上側のコンデンサの静電容量は
減少し、下側のコンデンサの静電容量は増加する(この
時のダイヤフラムの変形は、図13(b)のようにな
る)。
【0039】このように、連結部19で上下のダイヤフ
ラム3、16を一体連結しているので、上下どちらから
圧力がかかったときでも、上下のコンデンサの両静電容
量の差はいずれも大きくなる方向に作用する。これは、
差動式として利用したときに感度が良いという効果を持
つことを意味している。
【0040】(第3の実施形態)次に、第3の実施形態
のセンサチップについて、図8と図9を用いて説明す
る。図8は、センサチップの断面図である。第1の実施
形態と共通しているところには同一符号を付けており、
その説明はここでは省略する。さて、第1の実施形態と
異なっている点は、主に2つある。第1に、中側シリコ
ン基板8にスルーホールがなく、上側キャビティ10と
下側キャビティ11とがセンサチップ1内で空間的につ
ながっていない点である。第2に、下側キャビティ11
が、下側大気開放穴18を通じて大気開放されている点
である。なお、各部の大きさは、第1の実施形態で述べ
た数値の例と同様にすればよい。
【0041】図9は、各層の上面図である。第1の実施
形態の図3と共通している図9の(a)(b)(e)に
ついては、説明を省略する。ここでは、図3と違ってい
るものについて説明する。図9(c)に示されているよ
うに、中側シリコン基板8にはスルーホールはない。そ
して、図9(d)の下側絶縁膜13のほぼ中央部の穴か
ら周縁にスリットS2が設けられている。このスリット
S2は、中側シリコン基板8と下側シリコン基板15と
が重なったときに、下側大気開放穴18となる。図9
(f)、(g)、(h)については、それぞれの層を重
ねたときのものである。
【0042】この第3の実施形態のセンサチップは、第
1の実施形態と同様に、上側導圧部5からの測定媒体の
圧力を、上側ダイヤフラム3が受けて、上側可動電極3
aと上側固定電極8aとの間のコンデンサ容量の変化の
検出に基づいて上側の圧力を検出する。また、下側導圧
部17からの測定媒体の圧力を、下側ダイヤフラム16
が受けて、下側可動電極16aと下側固定電極8bとの
間のコンデンサ容量の変化の検出に基づいて下側の圧力
を検出する。もちろん、両圧力の差動についても検出で
きる。このとき、第1の実施形態と同様に、上下の圧力
に対する静電容量の変位の度合いを同一条件にするのが
望ましい。つまり、第1の実施形態で述べた条件のほか
に、上下の大気開放穴12、18の大きさ、配置、形状
などを同一とするのが望ましい。このようにすること
で、上下それぞれで対向する両電極3aと8a、8bと
16aの間のコンデンサの容量と上下それぞれの圧力と
の変化特性が、上下のダイヤフラム3、16で等しくな
る。よって、第1の実施形態と同様に後段の処理回路で
の補正が不要となり、両ダイヤフラム3、16にかかる
ノイズ成分もキャンセルでき、センサの検出精度の信頼
性も向上する。
【0043】以上説明した第3の実施形態の効果とし
て、第1の実施形態と同様に、上下のキャビティ10、
11が上下の導圧部5、17から空間的に隔離されてい
て、キャビティ10、11内や両可動電極3a,16a
および両固定電極8a、8bが測定媒体によって腐食し
たり劣化することがないという効果があり、電極の腐食
劣化がないので、センサの寿命が向上できるという効果
もある。そして、キャビティ10、11内に測定媒体中
のゴミやほこりが入り込むことがないので、電極間の静
電容量の誤差要因がないという効果がある。そしてま
た、キャビティ10、11の両方を大気開放穴12、1
8で大気開放しているので、外部温度が変化してもキャ
ビティ10、11それぞれの体積は一定に保たれ、対向
する電極3aと8a、8bと16aの間の距離の初期値
が変化することはない。よって、センサの検出精度が外
部温度変化に影響を受けることがなく、検出精度が維持
できるという効果がある。また、第1の実施形態と比べ
て、上下のキャビティ10、11を空間的につながなく
ても、上記のように第1の実施形態と同様の効果が得ら
れる。
【0044】なお、上述の3つの各実施形態で、中側の
固定基板をシリコン基板としたが、ガラス基板としても
よい。その時には、固定電極をガラス基板の表裏両面に
形成するとともに、電極パターンをワイヤパッドまで延
ばせばよい。また、必要に応じてスルーホールで両面の
パターンを導通させればよい。
【0045】(第4の実施形態)第4の実施形態は、図
10に示すように、センサチップ1をセンサステム20
に一体型に設けた例である。センサチップ1は、第1〜
第3の実施形態のいずれでもよい。以下の説明では、第
1の実施形態のセンサチップ1を利用した例で説明す
る。
【0046】図10に示されているように、センサステ
ム20は、センサチップ1の上下の導圧部5、17を残
してセンサチップ全体を覆い、センサチップ1に接する
部分は接着されている。上側導圧ポート22は、センサ
チップ1の上側導圧部5に連なって設けられていて、測
定媒体を上側ダイヤフラム3に導いている。下側導圧ポ
ート23は、上側導圧ポート22と同様に、センサチッ
プ1の下側導圧部17に連なって設けられていて、測定
媒体を下側ダイヤフラム16に導いている。大気開放部
21a,21bは、センサステム20の外部空間(大気
空間)とセンサステム20内部とをつなぐものである。
この大気開放部21a,21bは、さらにセンサステム
20内に測定媒体が進入しないように、上下の両導圧ポ
ート22、23から空間的に隔離するように設けられて
いる。つまり、センサチップ1内のキャビティ10、1
1は、大気開放穴12と大気開放部21a,21bを介
してセンサステム20の外部空間とつながれている。こ
うすることで、センサステム20外部の温度変化が変化
しても、センサチップ1の対向する両電極3aと8a、
8bと16aそれぞれの距離の初期値が変化することが
ない。よって、外部温度変化によるセンサの検出精度の
変動がなく、信頼性が保たれるという効果が得られる。
【0047】この第4の実施形態での「大気開放」の大
気とは、いわゆる大気圧空間と隔離された別の空間であ
ってもよい。そのときにはその別の空間があまり温度変
化を受けないことが望ましい(これは前述または後述の
各実施形態について共通する)。なお、大気開放部21
a、21bはいずれかひとつでもよい。
【0048】(第5の実施形態)次に、第1〜第4の実
施形態のセンサチップまたはセンサステム20の適用例
を説明する。ここでは、流体の流量を測定する流量計の
ひとつである、フルイディック流量計への適用例を取り
あげる。図11は、そのフルイディック流量計に本発明
の静電容量型センサを組み込んだときの図である。図示
しているのは、第1の実施形態のセンサチップ1および
第4の実施形態のセンサステム20を使用したときのも
のである。ただし、センサステム20の大気開放穴は一
つしか設けられていない。なお、流体は都市ガスとす
る。
【0049】圧力室30は、ガスメータの中に設けられ
ている。ガスは、圧力室30の中を通ってゆく。つま
り、ガス管(図示せず)側から入口31aに入って、出
口31bから家庭ガス管(図示せず)側へ進んでゆく。
ガスが圧力室30のなかを通ってゆくときに、管路収縮
部32で高流速となって噴出ノズル33から管路拡大部
34に噴出される。噴出したガスは、隔壁35a、35
b、35c、と誘振子36の作用により、帰還流路37
aと37bとを交互に流れる振動流となる。帰還流路3
7a、37bからはずれたガスは、下流側の出口31b
へ流れていく。
【0050】ところで、流体の流量は、流速と比例関係
となるので、流速が検出できれば流量が測定できる。流
速は、上述の振動流の振動周波数と比例関係にあって、
流速が速くなると振動周波数は高くなり、流速が遅くな
ると振動周波数は低くなる。この振動流の振動周波数を
検出することで、流体の流量が測定できるというわけで
ある。
【0051】次に、上述のガスの振動流の周波数を検出
する原理を説明する。ガスの振動流の周波数は、帰還流
路37a,37bの両圧力変化、つまり振動流の流動方
向変化に基づいて検出している。具体的には、隔壁35
cの2箇所に導圧路38a,38bの開口を配置してい
る。導圧路38a,38bで取り出された帰還流路37
a,37bの両圧力は、センサステム20の上下の2つ
の導圧ポート22、23にそれぞれ導かれ、センサチッ
プ1の上下ダイヤフラム3、16に伝わる。そして、ダ
イヤフラム3、16は上下にたわんで、センサの静電容
量が変化する。この静電容量の変化は、各ワイヤパッド
から信号として取り出せる。その信号をセンサ出力信号
処理部40にて圧力検出信号に変換し、流量演算処理部
41に与える。このときセンサチップ1から出力される
2つの信号は、流動方向変化に起因する圧力変化に伴う
差圧信号に他ならない。
【0052】流量演算処理部41は、比較回路42と波
形整形回路43と演算回路44と出力回路45とからな
る。センサ出力信号処理部40からの2つの信号は、比
較回路42で大小比較される。この大小比較結果を波形
整形回路43にて波形整形する。波形整形されたのちの
信号をカウントすることで、流動方向変化に起因する振
動流の振動数がわかる。その振動数の成分をもつ信号に
基づいて、演算回路44にて流量が算出される。算出さ
れた流量は、出力回路45から端子46を介して出力さ
れ、流量値の表示や流量制御に利用される。
【0053】さて、センサチップ1およびセンサステム
20は、上述したように、第1、第3の実施形態と同様
の構成をしている。図示されているように、大気開放穴
12および大気開放部21aは、都市ガスが進入する部
分と隔離されている。よって、キャビティ内や各可動電
極および各固定電極はガスにさらされることはない。つ
まり、センサの静電容量を検出する部分は都市ガスによ
る腐食の恐れがなくなり、センサの検出精度の信頼性が
高まり、長寿命となるという効果が得られる。そして、
大気開放穴12および大気開放部21aがあるので、温
度変化に伴ってキャビティの空気が適宜出入りする。よ
って、センサチップ1やセンサステム20に温度の変化
があっても、センサ感度に影響はなく、検出精度が維持
できるという効果がある。そして、流量計としての測定
精度が維持でき信頼性が高くなるという効果がある。
【0054】なお、この第5の実施形態における静電容
量型センサの基板の材料は、都市ガスに対して耐腐食性
が大きいシリコンで作るのが望ましい。また、センサス
テム20も都市ガスに対して耐腐食性の材料を用いるか
耐腐食加工を施すのが望ましい。これは、センサチップ
1において都市ガスに触れる部分、つまり、上下の両ダ
イヤフラム3、16と導圧部22、23を予め腐食しな
いようにするためで、センサの寿命を伸ばす効果が期待
できる。
【0055】ところで、第1の実施形態のセンサチップ
1は、上下のキャビティ10、11が空間的につながっ
ている構成なので、上下のダイヤフラム3、16のたわ
みが連動する。よって周期的な差圧の変化を検出すると
きの精度が高いということは、第1の実施形態で述べた
とおりである。フルイディック型流量センサでは振動流
によりダイヤフラム3、16は高周波で往復運動するの
で、第1の実施形態のセンサチップ1の効果を発揮する
ことができ、適用例として優れている。
【0056】また、第2の実施形態のセンサチップ1
も、適用例として優れている。それは、上下のダイヤフ
ラム3、16が連結部19で一体につながっている構成
なので、第1の実施形態と同様に、上下のダイヤフラム
3、16のたわみが連動し、周期的な差圧の変化を検出
するときの精度が高いからである。フルイディック型流
量センサでは振動流によりダイヤフラム3、16は高周
波で往復運動するので、第2の実施形態のセンサチップ
1の効果を発揮することができ、適用例として優れてい
る。
【0057】
【発明の効果】請求項1に記載の静電容量型センサで
は、キャビティが第1および第2の導圧部から空間的に
隔離されているので、測定媒体がキャビティ内に入り込
むことがない。よって、キャビティ内やダイヤフラム内
面の電極および固定層の電極が、測定媒体により腐食し
たり劣化することがなく、センサの寿命が長くなり、ま
た、センサの検出精度を維持できるという効果がある。
さらに、キャビティ内に測定媒体中のゴミやほこりが入
り込むことがないので、電極間の静電容量の誤差要因が
ないという効果がある。さらにまた、キャビティを大気
開放しているので、センサの検出精度は外部温度の変化
に影響を受けずにすむという効果がある。
【0058】請求項2に記載の静電容量型センサでは、
第1のダイヤフラムと固定層との間の静電容量の圧力に
対する変化特性と、第2のダイヤフラムと固定層との間
の静電容量の圧力に対する変化特性とを同一にしている
ので、上下の測定媒体の圧力変化に対して上下の検出特
性が等しくなることや、上下のダイヤフラムにかかるノ
イズ成分がキャンセルされるという効果がある。これに
より、例えば差圧を測定する場合に上下の検出結果を補
正せずにすむ、という付随する効果がある。
【0059】請求項3に記載の静電容量型センサでは、
第1のダイヤフラムと第2のダイヤフラムとを連結した
構成としているので、上側ダイヤフラムの変位と下側ダ
イヤフラムの変位とが連動する。よって、上下どちらか
ら圧力がかかったときでも、上下の可動電極と固定電極
間のコンデンサの両静電容量の差はいずれも大きくな
り、検出レンジが大きくできるという効果がある。
【0060】請求項4に記載のフルイディック式流量計
では、上述の請求項1から3のいずれかに記載の静電容
量型センサを用いたので、測定媒体が腐食性であって
も、静電容量型センサ(圧力センサ)の耐久性がよいと
いう効果がある。また、外部の温度変化に対してもセン
サの検出精度の影響が生じないので、流量の計測が安定
できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態にかかるセンサチップ断面図で
ある。
【図2】同センサチップ上面図である。
【図3】同センサチップの各部分の上面図である。
【図4】同センサの製造プロセスを説明する図である。
【図5】キャビティ内面の酸化絶縁膜を示す図である。
【図6】第2の実施形態にかかるセンサチップの斜視図
である。
【図7】同センサチップの展開斜視図である。
【図8】第3の実施形態にかかるセンサチップの断面図
である。
【図9】同センサチップの各部分の上面図である。
【図10】第4の実施形態にかかるセンサステムの全体
図である。
【図11】第5の実施形態のフルイディック流量計に用
いたときの全体図である。
【図12】従来のセンサの断面図である。
【図13】先願発明のセンサの断面図である。
【符号の説明】
1 センサチップ 2 上側シリコン基板 3 上側ダイヤフラム 3a 上側可動電極 4 上側ワイヤパッド 5 上側導圧部 6 上側絶縁膜 7 中側ワイヤパッド 8 中側シリコン基板 8a 上側固定電極 8b 下側固定電極 9 スルーホール 10 上側キャビティ 11 下側キャビティ 12 大気開放穴 13 下側絶縁膜 14 下側ワイヤパッド 15 下側シリコン基板 16 下側ダイヤフラム 16a 下側可動電極 17 下側導圧部 18 下側大気開放穴 19 連結部 20 センサステム 21a、21b 大気開放部 22 上側導圧ポート 23 下側導圧ポート 30 圧力室 31 入口 32 出口 33 噴出ノズル 34 管路拡大部 35a,35b、35c 隔壁 36 誘振子 37a,37b 帰還流路 38a,38b 導圧路 40 センサ出力信号処理部 41 流量演算処理部 42 比較回路 43 波形整形回路 44 演算回路 45 出力回路 46 端子 51 上側導圧部 52 下側導圧部 53 ダイヤフラム 54 上側固定基板 55 下側固定基板 56 上側固定電極 57 下側固定電極 58 上側キャビティ 59 下側キャビティ 61 中側固定基板 61a 固定電極 62 上側シリコン基板 62a ダイヤフラム 63 下側シリコン基板 63a ダイヤフラム 64、65 絶縁膜 64a,65a キャビティ 66 導圧部
フロントページの続き Fターム(参考) 2F030 CA05 CC01 CC13 CD15 CH05 2F055 AA39 BB05 CC02 DD05 EE25 FF02 GG11 4M112 AA01 BA07 CA03 CA06 CA16 FA05 FA08 GA03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の導圧部から圧力を受ける第1のダ
    イヤフラムと、第2の導圧部から圧力を受ける第2のダ
    イヤフラムと、第1のダイヤフラムと第2のダイヤフラ
    ムとの間に、両ダイヤフラムと空間を隔てて配置される
    固定層と、を持ち、第1のダイヤフラムと固定層との間
    の静電容量変化、および第2のダイヤフラムと固定層と
    の間の静電容量変化とを検出する静電容量型センサであ
    って、第1のダイヤフラムと固定層とで形成される第1
    のキャビティと、第2のダイヤフラムと固定層とで形成
    される第2のキャビティとが、第1および第2の導圧部
    から隔離されて大気開放されていることを特徴とする静
    電容量型センサ。
  2. 【請求項2】 上記第1のダイヤフラムと上記固定層と
    の間の静電容量の圧力に対する変化特性と、上記第2の
    ダイヤフラムと上記固定層との間の静電容量の圧力に対
    する変化特性とを同一にした請求項1に記載の静電容量
    型センサ。
  3. 【請求項3】 上記第1のダイヤフラムと第2のダイヤ
    フラムとを連結した請求項1または2に記載の静電容量
    型センサ。
  4. 【請求項4】 圧力室の中を通る測定媒体の流量を測定
    するフルイディック式流量計であって、 測定媒体が圧力室を通るときに振動流となる2つの帰還
    流路の圧力を、請求項1から3のいずれかに記載の静電
    容量型センサの前記第1、第2のダイヤフラムのそれぞ
    れに導くようにし、 さらに測定媒体を静電容量型センサへ導く経路から隔離
    して前記大気開放をしたことを特徴とする、フルイディ
    ック式流量計。
JP19018898A 1998-07-06 1998-07-06 静電容量型センサおよびそれを使用したフルイディック式流量計 Expired - Lifetime JP2910764B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19018898A JP2910764B1 (ja) 1998-07-06 1998-07-06 静電容量型センサおよびそれを使用したフルイディック式流量計

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19018898A JP2910764B1 (ja) 1998-07-06 1998-07-06 静電容量型センサおよびそれを使用したフルイディック式流量計

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2910764B1 JP2910764B1 (ja) 1999-06-23
JP2000018987A true JP2000018987A (ja) 2000-01-21

Family

ID=16253926

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19018898A Expired - Lifetime JP2910764B1 (ja) 1998-07-06 1998-07-06 静電容量型センサおよびそれを使用したフルイディック式流量計

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2910764B1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101156732B1 (ko) * 2010-05-31 2012-06-14 전자부품연구원 환경 센서 및 환경 센서 제작 방법

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101156732B1 (ko) * 2010-05-31 2012-06-14 전자부품연구원 환경 센서 및 환경 센서 제작 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2910764B1 (ja) 1999-06-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6647778B2 (en) Integrated microtube sensing device
US7363810B2 (en) Corrosion resistant metal made thermal type mass flow rate sensor and a fluid supply device using the same
KR100820653B1 (ko) 내식 금속제 유체용 센서 및 이것을 이용한 유체 공급 기기
JP3114570B2 (ja) 静電容量型圧力センサ
US7013735B2 (en) Pressure sensor
JP5556850B2 (ja) 微小流量センサ
US5959213A (en) Semiconductor differential pressure measuring device
US8033180B2 (en) Flow sensor apparatus and method with media isolated electrical connections
EP0689036B1 (en) Fluid property sensors incorporating plated metal rings for improved packaging
JP2018132486A (ja) 静電容量型圧力センサ
JP4903029B2 (ja) ピラニ真空計および圧力測定方法
JP2910764B1 (ja) 静電容量型センサおよびそれを使用したフルイディック式流量計
JP2000307127A (ja) 静電容量型センサ
EP0080186A2 (en) Semiconductor pressure transducer
JPH1183886A (ja) 静電容量型マイクロフローセンサ及び静電容量型マイクロフローセンサの製造方法並びに静電容量型マイクロフローセンサの外付け用固定具
JP2007327976A (ja) 圧力センサ
JP7237711B2 (ja) 圧力センサ
JPH11248577A (ja) 静電容量型センサ
US20050211000A1 (en) Flowmeter
JP2017072384A (ja) 圧力センサ
JPH0875582A (ja) 静電容量型圧力センサ及び圧力測定方法並びに血圧計
JPH11211597A (ja) 静電容量型センサ
JPH0412230A (ja) 半導体流量計及びこれを用いたマイクロポンプ
JPH0875517A (ja) 半導体マイクロセンサとその製造方法
JP3024364B2 (ja) カルマン渦流量計