JP2000307127A - 静電容量型センサ - Google Patents

静電容量型センサ

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JP2000307127A
JP2000307127A JP11117671A JP11767199A JP2000307127A JP 2000307127 A JP2000307127 A JP 2000307127A JP 11117671 A JP11117671 A JP 11117671A JP 11767199 A JP11767199 A JP 11767199A JP 2000307127 A JP2000307127 A JP 2000307127A
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diaphragm
pressure
cavity
capacitance
electrode
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JP11117671A
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Mitsuru Fujii
充 藤井
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Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Omron Tateisi Electronics Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定媒体によるキャビティ内および電極の腐
食や劣化を防ぎ、且つ検出精度が向上できる静電容量型
センサを提供する。 【解決手段】 一方の導圧部5から圧力を受ける一方の
ダイヤフラム3と、他方の導圧部17から圧力を受ける
他方のダイヤフラム16と、一方及び他方のダイヤフラ
ム3、16との間に空間を隔てて配置される固定基板8
とを有し、一方のダイヤフラム3と固定基板8とで形成
される一方のキャビティ10と他方のダイヤフラム16
と固定基板8とで形成される他方のキャビティ11とを
有し、これらの一方及び他方のキャビティ10、11を
それぞれに環形状に形成して、一方及び他方のキャビテ
ィ10、11の内部に一方及び他方のダイヤフラム3、
16の一部を支える支柱部10A、11Aを配した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧力、加速度、振
動等の測定に用いられる静電容量型センサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来の構造として、例えば、センサ技術
VOL.9,N0.13p.33−36「特集半導体圧
力センサの最新動向小型集積化容量型圧力センサ」の平
板型圧力センサ(静電容量型センサ)(図9に示す)に
あるように、ガラス基板70に固定電極72を取り付
け、ダイヤフラム73を有するシリコン基板75と接合
した構成の圧力センサ(センサチップ)があり、圧力に
よりダイアフラム73が撓み、ダイアフラム73と固定
電極72との間の静電容量変化により圧力を検知するも
のが一般的である。
【0003】また、従来の他の静電容量型センサとし
て、特開平8−189870号公報に開示された差動式
の静電容量型センサがある。この差動式静電容量型セン
サは、図11で、その断面の構成を示すように、2つの
導圧部51、52に面している1枚のダイヤフラム53
aを備えており、このダイヤフラム53aに対して空間
を隔てて固定基板54、55が設けてある。
【0004】ダイヤフラム53aの一方の面部には一方
の可動電極(図示せず)が、他方の面部には他方の可動
電極(図示せず)がそれぞれ設けてあり、固定基板54
のダイヤフラム53aとの対向位置には一方の固定電極
56が設けてあり、固定基板55のダイヤフラム53a
との対向位置には他方の固定電極57が設けてある。
【0005】この静電容量型センサでは、2つの導圧部
51、52から測定媒体が入り込む。測定媒体は、流体
であって、例えば、空気や都市ガスや水蒸気などの気
体、または水や油や薬品液などの液体である。
【0006】このような測定媒体によって、ダイヤフラ
ム53aが押されることでダイヤフラム53aが図11
において上下に撓む。そしてダイヤフラム53aが撓む
ことで、一方及び他方の固定基板54、55との距離が
変化する。測定媒体によりかかった圧力の検出は、この
距離変位量から求められる。具体的には、ダイヤフラム
53aの一方の可動電極と固定基板54の一方の固定電
極56とで構成されるコンデンサの静電容量を検出する
ことで、一方の導圧部51からの測定媒体の圧力が検出
できる。
【0007】また、ダイヤフラム53aの他方の可動電
極と固定基板55の他方の固定電極57とで構成される
コンデンサの静電容量を検出することで、他方の導圧部
52からの測定媒体の圧力が検出できる。静電容量の検
出は、可動電極と固定電極56、57とを発振回路に接
続し、発振回路の発振状態の変化に基づいて検出できる
ようにしている。なお、両圧力の差である「差圧」につ
いてもダイヤフラム53aの撓みから検出できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、容量型
圧力センサはダイアフラムのたわみによる容量変化から
圧力を検知する。このときダイアフラムが理想的な平行
変位をするとした場合、次式に示すように、その容量値
の逆数は印可圧力に比例する。 C=εS/(d・w),w=P/K ここではεは電極間の媒質の誘電率、Sは固定電極の面
積、dは圧力ゼロでの電極間の距離、wは圧力Pにおけ
るダイアフラムの変位量、Κはダイアフラムのばね定数
である。
【0009】実際にはダイアフラムは平行変位しないた
め、圧力に対して非直線的な出力となる。したがつて、
直線性の優れた出力を得ることが、静電容量型センサの
課題のひとつであるといえる。図9に示す圧力センサの
場合、図10のダイヤフラム変形で分かるように、圧力
印加によって平行変位する部分F´は、そのダイヤフラ
ム73の中心部のみである。
【0010】また、図11に示す従来の静電容量型セン
サで差圧を計測する場合、ダイアフラム53aの両側に
測定媒体を導入する必要がある。すなわち、センサギャ
ップを形成する一方及び他方のキャビティ58、59に
測定媒体を導入しなければならない。このように測定媒
体を一方及び他方のキャビティ58、59内に導くこと
で、ダイヤフラム53aの可動電極部分や一方及び他方
の固定電極56、57が測定媒体に晒さらされていた。
【0011】測定媒体が腐食性のガスや液体であるとき
には、一方及び他方のキャビティ58、59の内壁や各
電極が腐食・劣化してしまい、センサの検出精度が悪く
なったり、寿命が短くなるという問題点があった。
【0012】また、測定媒体が腐食性のガスや液体であ
るときに限らず、測定媒体中に含まれているゴミやほこ
りなどが、一方及び他方のキャビティ58、59内に残
存することがあり、そのゴミやほこりによってセンサの
静電容量に誤差が生じるといった問題点があった。
【0013】本発明は、上記した従来の問題点に着目し
てなされたものであり、その目的とするところは、測定
媒体によるキャビティ内及び電極の腐食や劣化を防ぎ、
且つ圧力の検出精度が向上し、実際の圧力と測定値との
誤差が小さくなって、回路側で行う検出値の補正が容易
になる静電容量型センサを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明に係る静電容量型センサは、一方
の導圧部から圧力を受ける一方のダイヤフラムと、他方
の導圧部から圧力を受ける他方のダイヤフラムと、一方
のダイヤフラムと他方のダイヤフラムとの間に、これら
の一方及び他方のダイヤフラムに対して空間を隔てて配
置される固定層とを有し、一方のダイヤフラムと固定層
との間の静電容量変化、及び他方のダイヤフラムと固定
層との間の静電容量変化を検出する静電容量型センサで
あって、一方のダイヤフラムと固定層とで形成される一
方のキャビティと他方のダイヤフラムと固定層とで形成
される他方のキャビティとを有し、これらの一方及び他
方のキャビティをそれぞれに環形状に形成して、一方及
び他方のキャビティの内部に一方及び他方のダイヤフラ
ムの一部を支える支柱部を配した構成にしてある。
【0015】かかる構成により、一方及び他方のダイヤ
フラムが一方及び他方の導圧部から空間的に隔離されて
いるために、測定媒体が一方及び他方のキャビテイ内に
入り込むことがない。このために、一方及び他方のキャ
ビテイ内や、一方及び他方のダイヤフラム内面の可動電
極及び固定層の固定電極が測定媒体により腐食したり劣
化することがなくなる。
【0016】しかも、一方及び他方のダイヤフラムが印
加圧力によりドーナツ形状に撓むことで、その平行変位
領域が大きくなり、出力の直線性が向上して、圧力の検
出精度が向上する。したがって、実際の圧力と測定値と
の誤差が小さくなるために、回路側で行う検出値の補正
が容易になる。
【0017】また、上記の目的を達成するために、請求
項2の発明に係る静電容量型センサは、請求項1に記載
の静電容量型センサにおいて、一方及び他方のキャビテ
ィの内部を微小穴を通じて大気の開放するようにした。
【0018】かかる構成により、上記した請求項1の発
明の作用効果と同様な作用効果を奏し得るばかりか、一
方及び他方のキャビティの大気開放の穴が微小であるた
めに、一方及び他方のキャビティ内にゴミ、塵埃の流入
を防止することができ、ゴミや塵埃によってセンサの静
電容量に誤差が生じることが防止できる。
【0019】また、上記の目的を達成するために、請求
項3の発明に係る静電容量型センサは、請求項1又は請
求項2に記載の静電容量型センサにおいて、一方のダイ
ヤフラムを一方の基板に形成すると共に、他方のダイヤ
フラムを他方の基板に形成し、一方の基板と固定層との
間に一方の絶縁膜を介在させて一方のキャビティを形成
し、他方の基板と固定層との間に他方の絶縁膜を介在さ
せて他方のキャビティを形成し、一方のキャビティにお
いて一方のダイヤフラムに一方の可動電極を、固定層に
一方の固定電極をそれぞれ設けて一方の可動電極と一方
の固定電極とで一方の対向電極を形成し、他方のキャビ
ティにおいて他方のダイヤフラムに他方の可動電極を、
固定層に他方の固定電極をそれぞれ設けて他方の可動電
極と他方の固定電極とで他方の対向電極を形成するよう
にした。
【0020】かかる構成により、上記した請求項1の発
明の作用効果と同様な作用効果を奏し得るばかりか、一
方及び他方のダイヤフラムの一方及び他方の可動電極及
び固定層の一方及び他方の固定電極から構成される一方
及び他方の対向電極間の絶縁が容易であり、一方及び他
方の絶縁膜の厚みを調節することによりコンデンサのギ
ャップ厚、すなわち一方及び他方のキャビティの厚さを
容易に調節することができる。
【0021】また、上記の目的を達成するために、請求
項4の発明に係る静電容量型センサは、請求項1乃至請
求項3に記載の静電容量型センサにおいて、固定層に連
通手段を設けて、この連通手段により一方のキャビティ
と他方の他方のキャビティとを連通させた。
【0022】かかる構成により、請求項1の発明の作用
効果と同様な作用効果を奏し得るばかりか、連通手段に
より一方のキャビティと他方のキャビティとを連通させ
ることにより、キャビティの容積が大きくなり、キャビ
ティ(ギャップ)内にある大気のダンピング効果が減少
し、ダイヤフラムの外圧に対する応答速度が向上する。
【0023】また、上記の目的を達成するために、請求
項5の発明に係る静電容量型センサは、請求項1乃至請
求項4に記載の静電容量型センサにおいて、一方及び他
方のダイヤフラムのそれぞれの膜厚を同じにし、一方及
び他方のキャビティのそれぞれのギャップ間隔を同じに
した。
【0024】かかる構成により、請求項1の発明の作用
効果と同様な作用効果を奏し得るばかりか、一方及び他
方の対向電極で形成するコンデンサの静電容量の圧力に
対する変化と特性が等しくなり、また、一方及び他方の
ダイヤフラムにかかるノイズ成分がキャンセルされる。
これにより、例えば差圧を測定する場合、後段の処理回
路での補正が不要になる。
【0025】また、上記の目的を達成するために、請求
項6の発明に係る静電容量型センサは、請求項1乃至請
求項5に記載の静電容量型センサにおいて、一方及び他
方のダイヤフラムに比べて固定層を厚くした。
【0026】かかる構成により、請求項1の発明の作用
効果と同様な作用効果を奏し得るばかりか、固定層が、
一方及び他方のダイヤフラムに比べて厚いために、印加
圧力による支柱部の変位が無くなり、一方及び他方のダ
イヤフラムの撓みが大きくなるため、感度が向上する。
【0027】また、上記の目的を達成するために、請求
項7の発明に係る静電容量型センサは、請求項1乃至請
求項6に記載の静電容量型センサにおいて、前記一方及
び他方のダイヤフラム及び前記固定層を形成したシリコ
ン基板上に、電極取出し用のワイヤパッドをそれぞれ形
成するようにした。
【0028】かかる構成により、請求項1の発明の作用
効果と同様な作用効果を奏し得るばかりか、例えばガラ
ス基板の場合とは異なり、電極取出し用のワイヤパッド
がシリコン基板及び固定層(シリコン製)に形成可能で
あるためワイヤボンディングが容易になる。
【0029】また、上記の目的を達成するために、請求
項8の発明に係る静電容量型センサは、請求項1乃至請
求項7に記載の静電容量型センサにおいて、測定対象が
圧力、加速度、振動である。
【0030】かかる構成により、請求項1の発明の作用
効果と同様な作用効果を奏し得るばかりか、測定対象が
圧力、加速度、振動である場合、その計測を精度よく行
うことができて、信頼性が向上する。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態例を図
面に基づいて説明する。
【0032】(第1の実施の形態例)本発明の第1の実
施の形態例を図1乃至図5に示す。図1は本発明に係る
静電容量型センサのセンサチップの平面図、図2は同セ
ンサチップの縦断面図、図3は同センサチップの各部分
の平面図、図4は同センサチップの製造プロセスの説明
図、図5は同センサチップにおけるダイヤフラムの変形
形状の斜視図である。
【0033】本発明に係る静電容量型センサのセンサチ
ップ1は、一方の基板である一方のシリコン基板2と、
一方の絶縁膜6と、固定層(固定基板)である中間のシ
リコン基板8と、他方の絶縁膜13と、他方の基板であ
る他方のシリコン基板15から構成してある。
【0034】一方のシリコン基板2は、単結晶の半導体
シリコン材料で形成してあって、導電性を有している。
この一方のシリコン基板2の一部には、一方のダイヤフ
ラム3が形成してある。この一方のダイヤフラム3は、
一方の導圧部5からの測定媒体の圧力を受けることで図
2において下方向に撓んで変位する。
【0035】一方のダイヤフラム3の内面部には一方の
可動電極3aが形成してある。また、一方のシリコン基
板2の外面部には、一方の可動電極3aと電気的に接続
されたワイヤパッド4が形成されていて、信号を外部に
取り出すことができる。
【0036】一方の絶縁膜6は、一方のシリコン基板2
と中間のシリコン基板8とを電気的に絶縁するためのも
のである。
【0037】中間のシリコン基板8は固定層に相当し、
一方及び他方の導圧部5、17から測定媒体の圧力がか
かったときも、一方及び他方のダイヤフラム3、16が
変位したときにも動かない。中間のシリコン基板8の素
材は、一方のシリコン基板2と同じ単結晶の半導体シリ
コン材料を用いていて導電性を有している。
【0038】そして、中間のシリコン基板8の一面部の
一方の可動電極3aとギャップ(すなわち隙間)を隔て
て対向する一部に、一方の固定電極8aが形成してあ
る。同様に、中間のシリコン基板8の他面部の他方の可
動電極16aとギャップを隔てて対向する一部に他方の
固定電極8bが形成してある。
【0039】一方のキャビティ10は、一方のダイヤフ
ラム3と中間のシリコン基板8とで囲まれた空間部分で
あり、また、他方のキャビティ11は、他方のダイヤフ
ラム16と中間のシリコン基板8とで囲まれた空間部分
である。そして、一方のキャビティ10は円環形状(ド
ーナツ状)をしており、その中央部には、一方のダイヤ
フラム3の中央部を支える支柱部10Aを有している。
また、他方のキャビティ11は円環形状(ドーナツ状)
をしており、その中央部には、他方のダイヤフラム16
の中央部を支える支柱部11Aを有している。そして、
一方のキャビティ10は微小穴の大気開放穴12を介し
て大気に開放している。
【0040】また、これらの一方及び他方のキャビティ
10、11は、中間のシリコン基板8を貫通する連通手
段であるスルーホール(貫通孔)9によって空間的に連
なっている。中間のワイヤパッド7は、中間のシリコン
基板8の一方の固定電極8a及び他方の固定電極8bに
電気的に接続してあって、外部に信号を取り出すことが
できる。
【0041】他方のシリコン基板15は単結晶の半導体
シリコン材料で形成してあって、導電性を有している。
そして、他方のシリコン基板15は、中間のシリコン基
板8とは他方の絶縁膜13によって電気的に絶縁してあ
る。他方のシリコン基板15の一部が他方のダイヤフラ
ム16であり、この他方のダイヤフラム16の内面部に
は他方の可動電極16aが形成してある。他方の可動電
極16aの信号は、他方の可動電極16aと電気的に接
続されたワイヤパッド14によって取り出されている。
【0042】一方の導圧部5からの測定媒体の圧力の検
出は、一方のダイヤフラム3の撓み変位を、一方の可動
電極3aと一方の固定電極8aとの間の静電容量の変化
として検出することにより行う。そして、その静電容量
の変化に基づいて、一方の導圧部5からの圧力を検出す
るのである。
【0043】また、他方のシリコン基板15には他方の
導圧部17が形成してある。この他方の導圧部17から
の測定媒体の圧力によって他方のダイヤフラム16が図
2において上方に撓んで変位する。圧力検出について
は、一方の導圧部5からの圧力検出と同様であり、他方
の可動電極16aと他方の固定電極8bとの間の静電容
量の変化に基づいて、他方の導圧部17からの測定媒体
の圧力を検出する。
【0044】図3はセンサチップ1の各層の平面図を示
したものであり、図3(a)が一方のシリコン基板2の
平面図、図3(b)が一方の絶縁膜6の平面図である。
一方の絶縁膜6には、中央部に支柱部10Aを有する円
環形状(ドーナツ状)の穴H3が設けてある。この穴H
3が、一方のシリコン基板2と中間のシリコン基板8と
に挟まれた際に、一方のキャビティ10になる。また、
一方の絶縁膜6には穴H3から周縁に向かって細長く延
びているスリットS3が設けてある。このスリットS3
が大気開放穴12になる。
【0045】図3(c)は中間のシリコン基板8の平面
図である。この中間のシリコン基板8の中央付近に2つ
のスルーホール9が設けてある。このスルーホール9に
よって一方及び他方のキャビティ10、11が空間的に
連ねてある。
【0046】図3(d)は、他方の絶縁膜13の平面図
である。この他方の絶縁膜13のほぼ中央には一方の絶
縁膜6と同様に、中央部に支柱部11Aを有する円環形
状(ドーナツ状)の穴H4が設けてある。この穴H4
が、他方の絶縁膜13が中間のシリコン基板8と他方の
シリコン基板15とに挟まれた際に他方のキャビティ1
1となる。図3(e)は、他方のシリコン基板15の平
面図である。図3(f)は一方の絶縁膜6と中間のシリ
コン基板8とを重ねた場合の平面図、図3(g)は他方
の絶縁膜13と他方のシリコン基板15とを重ねた場合
の平面図である。そして、図3(h)がすべての層を重
ねた場合の平面図である(図1と同一の図である)。
【0047】図4はセンサチップ1の製造プロセスの説
明図(一部、平面図含む)である。図4(a)から
(j)の順番が製造プロセスの順番になっている。ま
ず、他方のシリコン基板15に、他方のダイヤフラム1
6のエッチングストップ層15aとしての不純物ドープ
拡散を行なう{図4(a)}。次に、他方のシリコン基
板15の不純物ドープ拡散をした反対面に、他方のキャ
ビティ11となる場所を残して他方の絶縁膜13を形成
する{図4(b)、平面図含む}。一方で、中間のシリ
コン基板8の両面から異方性エッチングを施してスルー
ホール9を形成する{図4(c)、平面図含む}。
【0048】次に、中間のシリコン基板8の後工程で削
除される部分の基板下面にハーフダイス用の溝8fを施
す{図4(d)}。そして、図4(b)の他方のシリコ
ン基板15及び他方の絶縁膜13と、図4(d)の中間
のシリコン基板8とを接合する{図4(e)}。このあ
と、中間のシリコン基板8の、一方のキャビティ10及
び大気開放穴12となる部分を残して一方の絶縁膜6を
形成する{図4(f)、平面図含む}。他方で、一方の
シリコン基板2において、一方のダイヤフラム3のエッ
チングストップ層2aとしての不純物ドープを施すとと
もに、ハーフダイス用の溝2bを形成する{図4
(g)}。
【0049】ここで、図4(e)のように接合した中
間、他方のシリコン基板8、15の上に、一方のシリコ
ン基板2を接合する{図4(h)}。このあと、各層を
ハーフダイスして図4(i)のようにする。最後に、E
CEなどによって一方及び他方のシリコン基板2、15
をエッチングして、一方及び他方のダイヤフラム3、1
6を形成すると共に、ワイヤパッド部7、14を形成す
る。ワイヤパッド部7、14の形成にあたっては、一方
及び他方の絶縁膜6、13をエッチングしてコンタクト
ホールを形成し、そこにアルミ蒸着をして一方及び他方
のシリコン基板2、15と電気的導通したワイヤパッド
7、14を形成する{図4(j)、平面図含む}これで
静電容量型センサが完成する。
【0050】ここで、センサチップ1が静電容量型セン
サを構成したときの各部の大きさについて、その一例を
述べる。一方、中間及び他方のシリコン基板2、8、1
5の大きさはそれぞれ約3mm角程度、一方及び他方の
シリコン基板2、15の厚みは400μm程度、一方及
び他方のダイヤフラム3、16の大きさは500μm角
程度、厚みは5μm程度にする。中間のシリコン基板8
の厚みは30〜100μm程度、スルーホール9の大き
さはφ50μm程度にする。大気開放穴12の幅(穴
径)は1〜10μm程度とする。2枚の絶縁膜6、13
の厚みは1〜10μm程度にし、一方及び他方のキャビ
ティ10、11の厚みは絶縁膜6、13の厚みに等しく
する。
【0051】次に、静電容量型センサの動作原理につい
て説明する。
【0052】静電容量型センサにおけるセンサチップ1
は、上述のとおり一方の可動電極3aと一方の固定電極
8aとの間でコンデンサが形成されるとともに、他方の
可動電極16aと他方の固定電極8bとの間でコンデン
サが形成される。
【0053】そして、一方の導圧部5からの測定媒体の
圧力で押されて一方のダイヤフラム3が一方のキャビテ
ィ10側にドーナツ型に撓む。この時、一方の可動電極
3aの一方の固定電極8aとの距離が短くなり、コンデ
ンサとしての静電容量が増加する。同様に、他方の導圧
部17からの測定媒体の圧力で押されて他方のダイヤフ
ラム16が他方のキャビティ11側にドーナツ型に撓
む。この時、他方の可動電極16aの他方の固定電極8
bとの距離が短くなり、コンデンサとしての静電容量が
増加する。
【0054】測定媒体の圧力が大きいと、一方及び他方
のダイヤフラム3、16の撓みも大きくなり、コンデン
サの容量変化も大きくなる。その静電容量の変化をワイ
ヤパッド(4、7),(7、14)から取り出した信号
によって検出する。ワイヤパッド(4、7),(7、1
4)には図示していない発振回路が接続されていて、両
電極間のコンデンサは発振回路の一部を構成する。
【0055】そして、コンデンサの容量の変化に伴っ
て、発振回路の発振振幅か発振周波数のいずれかが変化
するようにしておくことで、発振回路の発振状態の変化
からコンデンサの静電容量の変化を検出し、測定媒体の
圧力を検出する。
【0056】図5に示すように、一方及び他方のキャビ
ティ10、11が、その中央部に支柱部10A、11A
を有する円環形状(ドーナツ形状)の空間であることに
より、一方及び他方の導圧部5、7からの測定媒体の圧
力で押されて一方及び他方のダイヤフラム3、16がド
ーナツ型に撓むが、この撓みにおいて、圧力印加によっ
て平行変位する部分Fはドーナツ型に変形する全域に亘
り、従来例に比べて圧力印加によって平行変位する部分
Fが増加する。なお、図5においてダイヤフラム変形量
表示も合せて示す。
【0057】従来例として、図9に示す圧力センサ(セ
ンサチップ)のダイヤフラム73にあっては、圧力印加
によって平行変位する部分F´は、そのダイヤフラム変
形図(図10参照)に示すように、その中心部のみであ
る。
【0058】なお、一方及び他方のシリコン基板2、1
5の接合工程を酸素雰囲気中で行なうことで、図6のよ
うに一方及び他方のキャビティ10、11内面の電極
(一方及び他方の可動電極3a、16a、一方及び他方
の固定電極8a、8b)を酸化させて、電極の表面に微
厚な酸化絶縁膜Zを形成することができる。こうする
と、対向する両電極(一方の可動電極3aと一方の固定
電極8a、他方の可動電極16aと他方の固定電極8
b)が酸化絶縁膜Zに覆われることになり、両電極が過
大圧力で接触しても電気的に短絡することがなく、外付
けの発振回路への悪影響を与えることがないし、センサ
チップ1の信頼性が向上する。
【0059】次に、大気開放穴12について説明する。
【0060】上述したように、一方及び他方のキャビテ
ィ10、11は、中間のシリコン基板8のスルーホール
9によって空間的に連なっている。そして、大気開放穴
12は、センサチップ1内の一方及び他方のキャビティ
10、11とセンサチップ1の外部の大気空間とを空間
的につなぐものであり、その出口は一方及び他方の導圧
部5、17とは離れた場所に設けてある。
【0061】ここでは図2に示されているように、大気
開放穴12の出口はセンサチップ1の側面方向に開口し
ている。大気開放穴12の大きさは、上述のように1〜
10μm角程度であり、一方の絶縁膜6の厚みに等しく
なっている。望ましい大気開放穴12の大きさは、その
穴の中を空気がかろうじて流通できる程度の微少な大き
さである。
【0062】ここで、センサチップ1の外部温度が変化
したとする。外部温度の変化に伴って、一方及び他方の
キャビティ10、11内の空気が膨張収縮して体積が変
化する。しかし、一方及び他方のキャビティ10、11
内の空気の膨張分は大気開放穴12を通じてゆっくり流
れ出て行き、逆に収縮分は大気開放穴12を通じてゆっ
くりと入り込んで、常に一方及び他方のキャビティ1
0、11内の空気の体積は一定となる。よって、静電容
量を検出するための両対向電極、すなわち一方の可動電
極3aと一方の固定電極8a、他方の固定電極8bと他
方の可動電極16a間の距離の初期値が常に一定に保た
れる。
【0063】なお、測定媒体の圧力によって一方及び他
方のダイヤフラム3、16が押されて、一方及び他方の
キャビティ10、11内の空気が大気開放穴12から外
へ出ようとするが、大気開放穴12の穴径が微少なの
で、急な空気の出入りはほとんどない。つまり、瞬間的
またはある程度長い時間枠での一方及び他方のダイヤフ
ラム3、16の撓み変位で、大気開放穴12から一方及
び他方のキャビティ10、11に空気が入出することは
ない。
【0064】つまり、測定媒体の圧力による一方及び他
方のダイヤフラム3、16の撓みに対しては、キャビテ
ィ10、11は密閉されているとみなしてよい。特に、
差圧式での一方及び他方のダイヤフラム3、16の高周
波で往復する変位に対しては、一方及び他方のキャビテ
ィ10、11は密閉しているとみなしてよい。
【0065】しかし、センサ外部の温度変化による一方
及び他方のキャビティ10、11内の空気の体積の膨張
収縮に対しては、大気開放穴12での空気流通によって
対処できる。もちろん、大気開放穴12の大きさを大き
くすることで、一方及び他方のダイヤフラム3、16の
変化によるキャビティ10、11自体の体積変化に伴っ
て、一方及び他方のキャビティ10、11内の空気が大
気開放穴12から入出するようにしてもよい。
【0066】さらに、一方及び他方のキャビティ10、
11を空間的に連ね、大気開放穴12を微少な大きさと
することで、一方及び他方のキャビティ10、11は密
閉とみなせ、一方及び他方のダイヤフラム3、16の撓
みが連動するようにでき、周期的な差圧の変化を検出す
るときの精度が向上できるようになる。
【0067】また、一方及び他方のダイヤフラム3、1
6に比べて中間のシリコン基板(固定層)8の厚さを大
きくすることは可能である。この場合、印加圧力による
支柱部10A、11Aの変位が無くなり、一方及び他方
のダイヤフラム3、16の撓みが大きくなるために、感
度が向上する。
【0068】このように本発明の第1の実施の形態例に
よれば、一方及び他方のダイヤフラム3、16が一方及
び他方の導圧部5、17から空間的に隔離されているた
めに、測定媒体が一方及び他方のキャビテイ10、11
内に入り込むことがない。このために、一方及び他方の
キャビテイ10、11内や、一方及び他方のダイヤフラ
ム3、16内面の可動電極3a及び固定基板8の固定電
極8a。8bが測定媒体により腐食したり劣化すること
がなくなる。
【0069】しかも、一方及び他方のダイヤフラム3、
16が印加圧力によりドーナツ形状に撓むことで、その
平行変位領域が大きくなり、出力の直線性が向上して、
圧力の検出精度が向上する。したがって、実際の圧力と
測定値との誤差が小さくなるために、回路側で行う検出
値の補正が容易になる。
【0070】また、一方及び他方のキャビティ10、1
1の内部を微小穴である大気開放穴12を通じて大気の
開放するようにしたことにより、一方及び他方のキャビ
ティ10、11内にゴミ、塵埃の流入を防止することが
でき、ゴミ、塵埃によってセンサの静電容量に誤差が生
じることを防止することができる。
【0071】また、上記した本発明の第1の実施の形態
例にあっては、一方及び他方の絶縁膜6、13の厚さ、
一方及び他方のダイヤフラム3、16の厚さ、一方及び
他方の導圧部5、17の形状などについて、特に限定し
ていないが、各部を図2において上下対称形状にして、
一方及び他方の導圧部5、17からの測定媒体の圧力に
対して静電容量の変化の度合いを同一条件にするのが望
ましい。
【0072】具体的には、一方及び他方のダイヤフラム
3、16の膜厚・形状・面積・材質・硬さや、一方及び
他方のキャビティ10、11の幅・形状、一方及び他方
の導圧部5、17の形状、一方及び他方の可動電極3
a、16a、一方及び他方の固定電極8a、8bの面積
などを、それぞれ同一としている。
【0073】なお、酸化絶縁膜Zの形成時に、この酸化
絶絶縁膜Zの膜圧を調整することで、一方及び他方のキ
ャビティ10、11の幅を同じにすることができる。ま
た、一方及び他方のダイヤフラム3、16の厚みは、一
方及び他方のシリコン基板2、15への不純物ドープ量
及び拡散を調整することで、一方及び他方のシリコン基
板2、15のエッチングを同じ深さまでするようにして
同一にしている。一方及び他方のダイヤフラム3、16
の形状は、一方及び他方のシリコン基板2、15に同様
のECE処理を施すことで、同一形状に加工できる。
【0074】このようにすることで、一方及び他方の導
圧部5、17からの測定媒体の圧力の変化特性が一方及
び他方のダイヤフラム3、16で等しくなり、後段の処
理回路での補正が不要となる。また、一方及び他方のダ
イヤフラム3、16にかかるノイズ成分もキャンセルで
き、検出精度の信頼性も向上する。
【0075】なお、上述した本発明の第1の実施の形態
例で、固定基板(固定層)8をシリコン基板としたがガ
ラス基板としてもよい。基板と基板を接合する場合、シ
リコン基板同士の接合に比べて、シリコン基板とガラス
基板の接合の方が容易である。その時には、一方及び他
方の固定電極8a、8bをガラス基板の表裏両面に形成
するとともに、一方及び他方の固定電極8a、8bの電
極パターンをワイヤパッド7、14まで延ばせばよい。
また、必要に応じてスルーホールで一方及び他方の固定
電極8a、8bの電極パターンを導通させればよい。
【0076】なお、上述した本発明の第1の実施の形態
例では、測定対象が測定媒体の圧力であったが、本発明
では測定対象が加速度、振動の場合にも適応できもので
あり、これら加速度、振動の計測を圧力と同様に精度よ
く行うことができて信頼性が向上する。
【0077】(第2の実施の形態例)本発明の第2の実
施の形態例は、図7に示すようにセンサチップ1をセン
サステム20に設けた例である。センサステム20は、
センサチップ1の一方及び他方の導圧部5、17を残し
てセンサチップ1全体を覆い、センサチップ1に接する
部分は接着してある。一方の導圧ポート22は、センサ
チップ1の一方の導圧部5に連なって設けてあって、測
定媒体を一方のダイヤフラム3に導いている。他方の導
圧ポート23は、一方の導圧ポート22と同様に、セン
サチップ1の他方の導圧部17に連なって設けてあっ
て、測定媒体を他方のダイヤフラム16に導いている。
【0078】大気開放部21a、21bは、センサステ
ム20の外部空間(大気空間)とセンサステム20内部
とをつなぐものである。この大気開放部21a、21b
は、さらにセンサステム20内に測定媒体が進入しない
ように、一方及び他方の導圧ポート22、23から空間
的に隔離するように設けてある。つまり、センサチップ
1内の一方及び他方のキャビティ10、11は、大気開
放穴12と大気開放部21a、21bを介してセンサス
テム20の外部空間と連なっている。こうすることで、
センサステム20外部の温度変化が変化しても、センサ
チップ1の対向する一方の可動電極3aと一方の固定電
極8a、他方の可動電極16aと他方の固定電極8bそ
れぞれの距離の初期値が変化することがない。よって、
外部温度変化によるセンサの検出精度の変動がなく、信
頼性が保たれるという効果が得られる。
【0079】本発明の第2の実施の形態例での「大気開
放」の大気とは、いわゆる大気圧空間と隔離された別の
空間であってもよい。そのときには、その別の空間があ
まり温度変化を受けないことが望ましい(後述するフル
イディック流量計への適用例について共通する)。な
お、大気開放部21a、21bはいずれか1つでもよ
い。
【0080】次に、本発明の第1の実施の形態例のセン
サチップ1またはセンサステム20の適用例を説明す
る。ここでは、流体の流量を測定する流量計のひとつで
あるフルイディック流量計への適用例を取りあげる。
【0081】図8は、そのフルイディック流量計に上記
した静電容量型センサを組み込んだものである。図示し
ているのは、本発明の第1の実施の形態例のセンサチッ
プ1及び本発明の第2の実施の形態例のセンサステム2
0を使用したときのものである。ただし、センサステム
20の大気開放穴は1つしか設けられていない。なお、
流体は都市ガスとする。
【0082】圧力室30はガスメータの中に設けられて
いる。ガスは圧力室30の中を通ってゆく。つまり、ガ
ス管(図示せず)側から入口31aに入って、出口31
bから家庭ガス管(図示せず)側へ進んでゆく。ガスが
圧力室30の中を通ってゆくときに、管路収縮部32で
高流速となって噴出ノズル33から管路拡大部34に噴
出される。
【0083】噴出したガスは、隔壁35a、35b、3
5cと誘振子36の作用により、帰還流路37a、37
bを交互に流れる振動流となる。帰還流路37a、37
bからはずれたガスは下流側の出口31bへ流れてい
く。
【0084】ところで、流体の流量は流速と比例関係と
なるので、流速が検出できれば流量が測定できる。流速
は上述の振動流の振動周波数と比例関係にあって、流速
が速くなると振動周波数は高くなり、流速が遅くなると
振動周波数は低くなる。この振動流の振動周波数を検出
することで、流体の流量が測定できるというわけであ
る。
【0085】次に、上述のガスの振動流の周波数を検出
する原理を説明する。ガスの振動流の周波数は、帰還流
路37a、37bの両圧力変化、つまり振動流の流動方
向変化に基づいて検出している。具体的には、隔壁35
cの2箇所に導圧路38a、38bの開口を配置してい
る。導圧路38a、38bで取り出された帰還流路37
a、37bの両圧力は、センサステム20の一方及び他
方の導圧ポート22、23にそれぞれ導かれ、センサチ
ップ1の一方及び他方のダイヤフラム3、16に伝わ
る。
【0086】そして、一方及び他方のダイヤフラム3、
16は上下に撓んで、センサの静電容量が変化する。こ
の静電容量の変化は、各ワイヤパッド4、7、14から
信号として取り出せる。その信号をセンサ出力信号処理
部40にて圧力検出信号に変換し、流量演算処理部41
に与える。このときセンサチップ1から出力される2つ
の信号は、流動方向変化に起因する圧力変化に伴う差圧
信号に他ならない。
【0087】流量演算処理部41は、比較回路42と波
形整形回路43と演算回路44と出力回路45とからな
る。センサ出力信号処理部40からの2つの信号は、比
較回路42で大小比較される。この大小比較結果を波形
整形回路43にて波形整形する。波形整形されたのちの
信号をカウントすることで、流動方向変化に起因する振
動流の振動数がわかる。
【0088】その振動数の成分をもつ信号に基づいて、
演算回路44にて流量が算出される。算出された流量
は、出力回路45から端子46を介して出力され、流量
値の表示や流量制御に利用される。
【0089】また、図示されているように、大気開放穴
12及び大気開放部21aは、都市ガスが進入する部分
と隔離されている。よって、一方及び他方のキャビティ
10、11内や一方及び他方の可動電極3a、16a及
び一方及び他方の固定電極8a、8bはガスにさらされ
ることはない。
【0090】つまり、センサの静電容量を検出する部分
は都市ガスによる腐食の恐れがなくなり、センサの検出
精度の信頼性が高まり、長寿命となるという効果が得ら
れる。そして、大気開放穴12及び大気開放部21aが
あるので、温度変化に伴ってキャビティの空気が適宜出
入りする。よって、センサチップ1やセンサステム20
に温度の変化があっても、センサ感度に影響はなく、検
出精度が維持できるという効果がある。そして、流量計
としての測定精度が維持でき信頼性が高くなるという効
果がある。
【0091】なお、この静電容量型センサの基板の材料
は、都市ガスに対して耐腐食性が大きいシリコンで作る
のが望ましい。また、センサステム20も都市ガスに対
して耐腐食性の材料を用いるか耐腐食加工を施すのが望
ましい。これは、センサチップ1において都市ガスに触
れる部分、つまり、一方及び他方のダイヤフラム3、1
6と一方及び他方の導圧部22、23を予め腐食しない
ようにするためで、センサの寿命を伸ばす効果が期待で
きる。
【0092】ところで、センサチップ1は、一方及び他
方のキャビティ10、11が空間的につながっている構
成なので、一方及び他方のダイヤフラム3、16の撓み
が連動する。よって周期的な差圧の変化を検出するとき
の精度が高いということは、本発明の第1の実施の形態
例で述べたとおりである。フルイディック型流量センサ
では振動流により一方及び他方のダイヤフラム3、16
は高周波で往復運動するので、本発明の第1の実施の形
態例のセンサチップ1の効果を発揮することができ、適
用例として優れている。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
係る静電容量型センサによれば、一方及び他方のダイヤ
フラムが一方及び他方の導圧部から空間的に隔離されて
いるために、測定媒体が一方及び他方のキャビテイ内に
入り込むことがない。このために、一方及び他方のキャ
ビテイ内や、一方及び他方のダイヤフラム内面の可動電
極及び固定層の固定電極が測定媒体により腐食したり劣
化することがなくなる。
【0094】しかも、一方及び他方のダイヤフラムが印
加圧力によりドーナツ形状に撓むことで、その平行変位
領域が大きくなり、出力の直線性が向上して、圧力の検
出精度が向上する。したがって、実際の圧力と測定値と
の誤差が小さくなるために、回路側で行う検出値の補正
が容易になる。
【0095】また、請求項2の発明に係る静電容量型セ
ンサによれば、上記した請求項1の発明の作用効果と同
様な作用効果を奏し得るばかりか、一方及び他方のキャ
ビティの大気開放の穴が微小であるために、一方及び他
方のキャビティ内にゴミ、塵埃の流入を防止することが
でき、ゴミ、塵埃によってセンサの静電容量に誤差が生
じることを防止することができる。
【0096】また、請求項3の発明に係る静電容量型セ
ンサによれば、上記した請求項1の発明の作用効果と同
様な作用効果を奏し得るばかりか、一方及び他方のダイ
ヤフラムの一方及び他方の可動電極及び固定層の一方及
び他方の固定電極から構成される一方及び他方の対向電
極間の絶縁が容易であり、一方及び他方の絶縁膜の厚み
を調節することによりコンデンサのギャップ厚、すなわ
ち一方及び他方のキャビティの厚さを容易に調節するこ
とができる。
【0097】また、請求項4の発明に係る静電容量型セ
ンサによれば、請求項1の発明の作用効果と同様な作用
効果を奏し得るばかりか、連通手段により一方のキャビ
ティと他方のキャビティとを連通させることにより、キ
ャビティの容積が大きくなり、キャビティ(ギャップ)
内にある大気のダンピング効果が減少し、ダイヤフラム
の外圧に対する応答速度が向上する。
【0098】また、請求項5の発明に係る静電容量型セ
ンサによれば、請求項1の発明の作用効果と同様な作用
効果を奏し得るばかりか、一方及び他方の対向電極で形
成するコンデンサの静電容量の圧力に対する変化と特性
が等しくなり、また、一方及び他方のダイヤフラムにか
かるノイズ成分がキャンセルされる。これにより、例え
ば差圧を測定する場合、後段の処理回路での補正が不要
になる。
【0099】また、請求項6の発明に係る静電容量型セ
ンサによれば、請求項1の発明の作用効果と同様な作用
効果を奏し得るばかりか、固定層が、一方及び他方のダ
イヤフラムに比べて厚いために、印加圧力による支柱部
の変位が無くなり、一方及び他方のダイヤフラムの撓み
が大きくなるため、感度が向上する。
【0100】また、請求項7の発明に係る静電容量型セ
ンサによれば、請求項1の発明の作用効果と同様な作用
効果を奏し得るばかりか、例えばガラス基板の場合とは
異なり、電極取出し用のワイヤパッドがシリコン基板及
び固定層(シリコン製)に形成可能であるためワイヤボ
ンディングが容易になる。
【0101】また、請求項8の発明に係る静電容量型セ
ンサによれば、請求項1の発明の作用効果と同様な作用
効果を奏し得るばかりか、測定対象が圧力、加速度、振
動の場合、これらの計測を精度よく行うことができて信
頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る静電容量型センサ(第1の実施の
形態例)におけるセンサチップの平面図である。
【図2】同センサチップの縦断面図である。
【図3】同センサチップの各部分の平面図である。
【図4】同センサチップの製造プロセスの説明図であ
る。
【図5】同センサチップにおけるダイヤフラムの変形形
状の斜視図である。
【図6】同センサチップにおいて、そのキャビティ内面
に酸化絶縁膜を形成した状態の断面図である。
【図7】本発明に係る静電容量型センサのセンサチップ
を用いたセンサステムの全体の構成説明図である。
【図8】フルイディック流量計の全体の構成説明図であ
る。
【図9】従来の静電容量型センサ(圧力センサ)のセン
サチップの断面図である。
【図10】同センサチップにおけるダイヤフラムの変形
形状の斜視図である。
【図11】従来の他の静電容量型センサのセンサチップ
の断面図である。
【符号の説明】
1 センサチップ 2 一方のシリコン基板 3 一方のダイヤフラム 3a 一方の可動電極 4 一方のワイヤパッド 5 一方の導圧部 6 一方の絶縁膜 7 中間のワイヤパッド 8 中間のシリコン基板(固定基板)(固定層) 8a 一方の固定電極 8b 他方の固定電極 9 スルーホール(連通手段) 10 一方のキャビティ 10A 支柱部 11 他方のキャビティ 11A 支柱部 12 大気開放穴 13 他方の絶縁膜 14 他方のワイヤパッド 15 他方のシリコン基板 16 他方のダイヤフラム 16a 他方の可動電極 17 他方の導圧部 20 センサステム 21a、21b 大気開放部 22 一方の導圧ポート 23 他方の導圧ポート 30 圧力室 31 入口 32 出口 33 噴出ノズル 34 管路拡大部 35a、35b、35c 隔壁 36 誘振子 37a、37b 帰還流路 38a、38b 導圧路 40 センサ出力信号処理部 41 流量演算処理部 42 比較回路 43 波形整形回路 44 演算回路 45 出力回路 46 端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2F055 AA40 BB03 BB05 CC02 DD05 EE25 FF12 FF38 GG11 2G064 AB01 AB23 BD05 BD27 CC28 DD32 4M112 AA01 BA07 CA02 CA16 DA03 DA08 DA12 DA18 EA03 EA11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方の導圧部から圧力を受ける一方のダ
    イヤフラムと、他方の導圧部から圧力を受ける他方のダ
    イヤフラムと、前記一方のダイヤフラムと前記他方のダ
    イヤフラムとの間に、これらの一方及び他方のダイヤフ
    ラムに対して空間を隔てて配置される固定層とを有し、
    前記一方のダイヤフラムと前記固定層との間の静電容量
    変化、及び前記他方のダイヤフラムと前記固定層との間
    の静電容量変化を検出する静電容量型センサであって、 前記一方のダイヤフラムと前記固定層とで形成される一
    方のキャビティと前記他方のダイヤフラムと前記固定層
    とで形成される他方のキャビティとを有し、これらの一
    方及び他方のキャビティをそれぞれに環形状に形成し
    て、前記一方及び他方のキャビティの内部に前記一方及
    び他方のダイヤフラムの一部を支える支柱部を配したこ
    とを特徴とする静電容量型センサ。
  2. 【請求項2】 前記一方及び他方のキャビティの内部を
    微小穴を通じて大気の開放するようにした請求項1に記
    載の静電容量型センサ。
  3. 【請求項3】 前記一方のダイヤフラムを前記一方の基
    板に形成すると共に、前記他方のダイヤフラムを前記他
    方の基板に形成し、前記一方の基板と前記固定層との間
    に一方の絶縁膜を介在させて前記一方のキャビティを形
    成し、前記他方の基板と前記固定層との間に他方の絶縁
    膜を介在させて前記他方のキャビティを形成し、 前記一方のキャビティにおいて前記一方のダイヤフラム
    に一方の可動電極を、前記固定層に一方の固定電極をそ
    れぞれ設けて前記一方の可動電極と前記一方の固定電極
    とで一方の対向電極を形成し、前記他方のキャビティに
    おいて前記他方のダイヤフラムに他方の可動電極を、前
    記固定層に他方の固定電極をそれぞれ設けて前記他方の
    可動電極と前記他方の固定電極とで他方の対向電極を形
    成するようにした請求項1又は請求項2に記載の静電容
    量型センサ。
  4. 【請求項4】 前記固定層に連通手段を設けて、この連
    通手段により前記一方のキャビティと前記他方のキャビ
    ティとを連通させた請求項1乃至請求項3に記載の静電
    容量型センサ。
  5. 【請求項5】 前記一方及び他方のダイヤフラムのそれ
    ぞれの膜厚を同じにし、前記一方及び他方のキャビティ
    のそれぞれのギャップ間隔を同じにした請求項1乃至請
    求項4に記載の静電容量型センサ。
  6. 【請求項6】 前記一方及び他方のダイヤフラムに比べ
    て前記固定層を厚くした請求項1乃至請求項5に記載の
    静電容量型センサ。
  7. 【請求項7】 前記一方及び他方のダイヤフラム及び前
    記固定層を形成したシリコン基板上に、電極取出し用の
    ワイヤパッドをそれぞれ形成するようにした請求項1乃
    至請求項6に記載の静電容量型センサ。
  8. 【請求項8】 測定対象が圧力、加速度、振動のいずれ
    かである請求項1乃至請求項7に記載の静電容量型セン
    サ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007064919A (ja) * 2005-09-02 2007-03-15 Alps Electric Co Ltd 静電容量型力学量センサ
JP2017506329A (ja) * 2014-01-17 2017-03-02 株式会社村田製作所 改良された圧力センサ構造
CN113167675A (zh) * 2018-11-27 2021-07-23 格兰富控股联合股份公司 用于压力传感器的盖

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