JP2000018658A - 局所清浄型空気清浄機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ドラフト感、運転音、圧迫感などの不快感を
使用者に与えることなく、十分に清浄空気を供給できる
範囲を大きくする。 【解決手段】 局所清浄型空気清浄機１０の清浄空気吹
き出し口からの清浄空気の風速を、外周部分において大
きく、中心部分において小さく設定し、使用者の近傍に
おいてほぼ均一な風速分布を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、吹き出し口から
吹き出す清浄空気の進行方向の空間に局所的に清浄空間
を生成する局所清浄型空気清浄機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、室内の空気を清浄化するため
に種々の空気清浄機が提案されている。

【０００３】また、近年は、人の健康が従来よりも重視
され、アレルギー患者、喘息患者などに対して一般の空
気清浄機よりも有効性が高い局所清浄型空気清浄機が提
案されている（特開平７−２５６０３２号公報参照）。

【０００４】このような局所清浄型空気清浄機は、使用
者の近傍に配置された状態で運転することにより、使用
者の呼吸点（鼻、口）を含む局所を迅速に清浄化するも
のである。したがって、清浄空気の吹き出し風速を吸い
込み風速よりも小さく設定している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記の局所清浄型空気
清浄機を採用した場合には、図７に示すように、全範囲
にわたって風速の低下が激しいので、十分に清浄空気を
供給できる範囲（清浄空気の到達範囲）が小さくなって
しまう。そして、このように十分に清浄空気を供給でき
る範囲が小さくなると、必然的に局所清浄型空気清浄機
と使用者との距離を小さくしなければならなくなるの
で、局所清浄型空気清浄機の運転音が使用者に大きく聞
こえてしまうのみならず、圧迫感を与えてしまうなど、
不快感を与えてしまうことになる。特に、アレルギー患
者、喘息患者などの就寝中に使用する場合には、安眠を
妨げてしまうことになる。また、清浄空気吹き出し範囲
の外周部分における風速が大幅に低下するので、清浄空
気吹き出し範囲に対して、ほぼ均一な風速分布を実現で
きる範囲が小さくなってしまう。この結果、使用者が僅
かに動いた場合であっても、使用者の呼吸点に清浄空気
を供給できる保証がなくなってしまう。

【０００６】そして、使用者の呼吸点に清浄空気を供給
できなくなれば、使用者がアレルギー患者である場合
に、アレルギー発作を引き起こしてしまう。さらに詳細
に説明する。

【０００７】布団はダニのすみかであるから膨大なダニ
アレルゲンを含んでいる。そして、アレルギー患者の殆
どはダニアレルゲンを吸入することによりアレルギー発
作を引き起こすことが知られている。また、アレルゲン
としてのハウスダストとダニアレルゲンとは別ものであ
ることも知られている。

【０００８】しかし、ダニアレルゲン粒子もハウスダス
トの一種であると考えることができるとともに、ダニア
レルゲンがハウスダストに付着していることもある。ま
た、ダニアレルゲン粒子の浮遊、飛散、堆積などの粒子
としての性質はハウスダストの性質と類似している。

【０００９】したがって、寝室においては、布団の上げ
下ろし、寝返り、人が歩くことなどが原因で発塵があ
り、この発塵にはかなりの量のダニアレルゲン粒子が含
まれているのであるから、リビングルームなどと比較し
て浮遊アレルゲン量が著しく多い。

【００１０】これらの点を考慮すれば、特に使用者がア
レルギー患者である場合には、長時間をかけて部屋を清
浄化するよりも、使用者の呼吸点などを迅速に清浄化す
ることが強く要望されるのである。

【００１１】

【発明の目的】この発明は上記の問題点に鑑みてなされ
たものであり、ドラフト感、運転音、圧迫感などの不快
感を使用者に与えることなく、十分に清浄空気を供給で
きる範囲を大きくすることができる局所清浄型空気清浄
機を提供することを目的としている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】請求項１の局所清浄型空
気清浄機は、吹き出し面での清浄空気の吹き出し風速
を、外周部分における風速が中央部分における風速より
も大きくなるように設定したものである。

【００１３】請求項２の局所清浄型空気清浄機は、外周
部分における風速が中央部分における風速の２〜８倍に
設定されたものである。

【００１４】請求項３の局所清浄型空気清浄機は、送風
手段として遠心型のファンを採用するものである。

【００１５】請求項４の局所清浄型空気清浄機は、空気
清浄化手段として、中央部分における流体抵抗が外周部
分における流体抵抗よりも大きいものを採用するもので
ある。

【００１６】

【作用】請求項１の局所清浄型空気清浄機であれば、送
風手段により空気流を形成するとともに、空気清浄化手
段により空気を清浄化して、吹き出し口から吹き出す清
浄空気の進行方向の空間に局所的に清浄空間を生成する
に当たって、吹き出し面での清浄空気の吹き出し風速
を、外周部分における風速が中央部分における風速より
も大きくなるように設定してあるので、外周部分におけ
る風速の低下が中央部分における風速の低下よりも大き
く、局所的に清浄空間を生成する必要がある領域におい
てほぼ均一な風速の清浄空間を得ることができる。この
結果、吹き出し面の中央部分における風速を必要以上に
大きくしなくてもよくなり、ドラフト感、運転音を小さ
くして使用者に不快感を与えないようにすることができ
る。

【００１７】請求項２の局所清浄型空気清浄機であれ
ば、外周部分における風速が中央部分における風速の２
〜８倍に設定されているので、請求項１の作用に加え、
使用者に圧迫感を与えない程度に局所清浄型空気清浄機
を離して設置することができる。

【００１８】請求項３の局所清浄型空気清浄機であれ
ば、送風手段として遠心型のファンを採用しているの
で、請求項１または請求項２の作用に加え、空気吹き出
し面の外周部分の風速を中央部分における風速よりも容
易に大きくすることができる。

【００１９】請求項４の局所清浄型空気清浄機であれ
ば、空気清浄化手段として、中央部分における流体抵抗
が外周部分における流体抵抗よりも大きいものを採用し
ているので、請求項１から請求項３の何れかの作用に加
え、特別の機構を付加することなく外周部分と中央部分
とにおける風速を異ならせることができる。

【００２０】

【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、この
発明の局所清浄型空気清浄機の実施の態様を詳細に説明
する。

【００２１】図１はこの発明の局所清浄型空気清浄機の
一実施態様を示す中央縦断面図、図２は清浄空気吹き出
し側を示す正面図である。

【００２２】この局所清浄型空気清浄機１０は、背面中
央部に空気吸い込み口１ａを有するとともに、前面のほ
ぼ全範囲を清浄空気吹き出し口１ｂとするケーシング１
と、空気吸い込み口１ａを覆うようにケーシング１の背
面に設けたプレフィルタ（例えば、大径の埃粒子などの
みを除去するフィルタ）２と、ケーシング１の内部にお
いて空気吸い込み口１ａの前方に図示しない支持部材を
介して設けたファンモータ３と、ファンモータ３と空気
吸い込み口１ａとの間に位置するように設けられ、かつ
ファンモータ３により回転させられるファン４と、ファ
ン４の全外周を所定距離を隔てて包囲する円筒壁部材５
と、円筒壁部材５の開口部の所定距離だけ前方におい
て、ケーシング１の方形の空間に支持されたメインフィ
ルタ（空気浄化能力が高いフィルタ）６と、清浄空気吹
き出し口１ｂに設けた前面グリル７と、メインフィルタ
６の、空気の流れの上流側の端面に設けられた光触媒層
８と、光触媒層８よりも、空気の流れの上流側の所定位
置に設けられ、紫外光を含む光を照射する光源９とを有
している。前記ファン４は、ターボファン、シロッコフ
ァンのような遠心型のものである。前記円筒壁部材５
は、一端が中心のファン吸い込み空間を残して閉じたも
のであり、閉じていない側が空気吹き出し用の開口部で
ある。また、ファンモータ３のカバーが空気通路の内側
のディフューザーを兼ねている。前記光触媒層８は、光
触媒作用を有する金属酸化物を担持してなるものであ
る。また、前記光源９の、空気の流れの上流側に近接す
る所定位置に汚れ防止カバー９ａを設けている。

【００２３】上記の構成の局所清浄型空気清浄機の作用
は次のとおりである。

【００２４】ファンモータ３を駆動してファン４を回転
させれば、外部空気がプレフィルタ２を通して空気吸い
込み口１ａからケーシング１内に吸入され、ディフュー
ザーにより空気流が制御された状態でメインフィルタ６
を通して清浄空気吹き出し口１ｂから吹き出される。

【００２５】この場合において、ファン４が遠心型のも
のであるから、空気吸い込み口１ａから吸い込まれた空
気はファン４によって遠心方向（外周方向）に吹き出さ
れ、円筒壁部材５により形成される通風路でほぼ直角に
曲げられ、この空気は、モータカバーにより形成される
ディフューザーを通過して、円筒壁部材５の他端の開口
部から吹き出される。そして、円筒壁部材５の前方の方
形の空間（奥行きが所定距離、例えば、５〜１０ｍｍ程
度、の方形空間）に吹き出された後、メインフィルタ６
を通過する。したがって、外周部分における風速が中心
部分における風速よりも大きくなる。そして、清浄空気
吹き出し口１ｂから吹き出される清浄空気の風速は、清
浄空気吹き出し口１ｂから離れるに伴って減少するので
あるが、減少する割合は外周部分の方が大きいのである
から、図３に示すように、清浄空気吹き出し口１ｂから
ある程度離れた所定領域において、清浄空気吹き出し口
１ｂに対応する全範囲にわたってほぼ均一な風速を実現
することができる。

【００２６】また、以上のように空気を円筒壁部材５の
開口部の全周から空気を吹き出すのであるから、ファン
４としてターボファンを採用することにより、効率を高
めることができる。

【００２７】この結果、ファン４の出力を大きくするこ
となく、所定領域において、ドラフト感を与えることな
く、清浄空気吹き出し口１ｂに対応する全範囲にわたっ
て十分、かつ均一な風速を実現することができ、使用者
に不快感を与えるという不都合の発生を防止することが
できる。また、局所清浄型空気清浄機を使用者からある
程度離すことができるので、使用者に圧迫感を与えると
いう不都合の発生も防止することができる。もちろん、
清浄空気吹き出し口１ｂの前方の所定領域を清浄空間に
することができる。

【００２８】また、この構成を採用した場合には、ファ
ン４の回転軸を清浄空気吹き出し面と直角に設定してい
るのであるから、ファン４の回転軸を清浄空気吹き出し
面と平行に設定する場合と比較して、全体としての奥行
きを小さくすることができる。また、ファン４からの吹
き出し空気をその全範囲にわたって清浄空気吹き出し口
１ｂに導く導風路を設けているのであるから、一旦、１
箇所に吹き出し空気を集めてから、吹き出し空気を吹き
出し口に向けて拡散させるように構成したもの、通風路
全体としての断面高さ、または幅を小さくすることがで
き、局所清浄型空気清浄機全体としての高さ、または幅
を小さくすることができる。さらに、吹き出し空気を清
浄空気吹き出し口１ｂの全範囲に広げるための空間の奥
行きを小さくできるので、この点からも、全体としての
奥行きをさらに小さくすることができる。

【００２９】図４は清浄空気吹き出し口１ｂにおける風
速分布の一例を示す図である。

【００３０】図４において、領域Ａは風速が小さな領域
であり、領域Ｂは風速が中程度の領域であり、領域Ｃは
風速が大きい領域である。そして、清浄空気吹き出し口
１ｂの一辺の長さが１５０ｍｍに設定され、領域Ａの半
径が７５ｍｍであり、領域Ｂと領域Ｃとの境界部の半径
が１２０ｍｍである。

【００３１】この条件下において、中心から３７．５ｍ
ｍの円上における風速（中心部分における風速）が０．
１〜０．２ｍ／ｓであったのに対し、中心から１３５ｍ
ｍの円上における風速（外周部分における風速）が０．
２〜０．８ｍ／ｓであった。また、領域Ｂにおける風速
は、領域Ａの風と領域Ｃの風とがある程度混合されて、
風速は両者の中間（領域Ａの風速により近い）になる。

【００３２】なお、風速がそれぞれ０．１ｍ／ｓ、０．
２ｍ／ｓの場合には、清浄空気吹き出し口１ｂからの距
離が３０〜６０ｃｍの領域においてほぼ均一な風速分布
を実現することができ、風速がそれぞれ０．２ｍ／ｓ、
０．８ｍ／ｓの場合には、清浄空気吹き出し口１ｂから
の距離が５０〜１００ｃｍの領域においてほぼ均一な風
速分布を実現することができた。

【００３３】したがって、外周部分における風速を中心
部分における風速の２〜８倍（０．２／０．１〜０．８
／０．１倍）に設定することが好ましい。ただし、より
好ましくは、２〜５倍に設定する。

【００３４】図５はこの発明の局所清浄型空気清浄機の
他の実施態様を示す縦断面図である。

【００３５】この局所清浄型空気清浄機が図１の局所清
浄型空気清浄機と異なる点は、メインフィルタ６とし
て、外周部分の厚みが小さく、中央部分の厚みが大きく
なるように厚みがなだらかに変化するものを採用した点
のみである。ただし、ファン４として遠心型以外のもの
を採用することが可能である。

【００３６】この構成を採用した場合には、メインフィ
ルタ６の厚みに応じて流体抵抗が変化し、図１の実施態
様と同様の風速分布を実現することができる。

【００３７】図６はこの発明の局所清浄型空気清浄機の
さらに他の実施態様を示す縦断面図である。

【００３８】この局所清浄型空気清浄機が図１の局所清
浄型空気清浄機と異なる点は、メインフィルタ６とし
て、清浄空気吹き出し口１ｂの全範囲をカバーする第１
フィルタと清浄空気吹き出し口１ｂの中央部分のみをカ
バーする第２フィルタとを積層してなるものを採用した
点のみである。

【００３９】この構成を採用した場合には、第１フィル
タと第２フィルタとを積層した部分のみの流体抵抗が大
きくなり、中央部分の風速を小さくするとともに、外周
部分の風速を大きくすることができる。

【００４０】なお、上記の実施態様においては、遠心型
のファン４を採用し、またはメインフィルタ６の流体抵
抗を中心部分と外周部分とで異ならせているが、別途流
体抵抗部材を設けても同様の作用を達成することができ
る。また、メインフィルタ６に代えて、もしくは加え
て、紫外光を照射する光源と光触媒ユニットとを設ける
ことが好ましい。この場合には、例えば、メインフィル
タ６の上流側に光触媒作用がある金属酸化物を直接、も
しくは間接に担持させるとともに、金属酸化物に紫外光
を照射できるように光源を設ける構成を採用すればよ
い。このように構成すれば、ホルムアルデヒドなどの化
学物質の分解除去、脱臭などを行うことができる。

【００４１】

【発明の効果】請求項１の発明は、局所的に清浄空間を
生成する必要がある領域においてほぼ均一な風速の清浄
空間を得ることができ、しかも、ドラフト感、運転音を
小さくして使用者に不快感を与えないようにすることが
できるという特有の効果を奏する。

【００４２】請求項２の発明は、請求項１の効果に加
え、使用者に圧迫感を与えない程度に局所清浄型空気清
浄機を離して設置することができるという特有の効果を
奏する。

【００４３】請求項３の発明は、請求項１または請求項
２の効果に加え、空気吹き出し面の外周部分の風速を中
央部分における風速よりも容易に大きくすることができ
るという特有の効果を奏する。

【００４４】請求項４の発明は、請求項１から請求項３
の何れかの効果に加え、特別の機構を付加することなく
外周部分と中央部分とにおける風速を異ならせることが
できるという特有の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の局所清浄型空気清浄機の一実施態様
を示す中央縦断面図である。

【図２】清浄空気吹き出し側を示す正面図である。

【図３】清浄空気の流れを示す概略図である。

【図４】清浄空気吹き出し口における風速分布の一例を
示す図である。

【図５】この発明の局所清浄型空気清浄機の他の実施態
様を示す縦断面図である。

【図６】この発明の局所清浄型空気清浄機のさらに他の
実施態様を示す縦断面図である。

【図７】従来の局所清浄型空気清浄機による清浄空気の
流れを示す概略図である。

【符号の説明】

１ｂ 清浄空気吹き出し口 ４ ファン ６ メインフィルタ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 4D058 JA12 JB29 JB39 KB12 KC33 QA01 QA17 QA21 SA01 TA06 UA25

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 送風手段（４）と空気清浄化手段（６）
   とを有し、吹き出し口（１ｂ）から吹き出す清浄空気の
   進行方向の空間に局所的に清浄空間を生成する局所清浄
   型空気清浄機であって、 吹き出し面での清浄空気の吹き出し風速を、外周部分に
   おける風速が中央部分における風速よりも大きくなるよ
   うに設定してあることを特徴とする局所清浄型空気清浄
   機。
2. 【請求項２】 外周部分における風速が中央部分におけ
   る風速の２〜８倍に設定されている請求項１に記載の局
   所清浄型空気清浄機。
3. 【請求項３】 送風手段（４）は遠心型のファン（４）
   である請求項１または請求項２に記載の局所清浄型空気
   清浄機。
4. 【請求項４】 空気清浄化手段（６）は、中央部分にお
   ける流体抵抗が外周部分における流体抵抗よりも大きい
   ものである請求項１から請求項３の何れかに記載の局所
   清浄型空気清浄機。