JP2000018281A - クラッチ装置 - Google Patents

クラッチ装置

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JP2000018281A
JP2000018281A JP10296480A JP29648098A JP2000018281A JP 2000018281 A JP2000018281 A JP 2000018281A JP 10296480 A JP10296480 A JP 10296480A JP 29648098 A JP29648098 A JP 29648098A JP 2000018281 A JP2000018281 A JP 2000018281A
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oil
pump cylinder
shaft
oil pump
power transmission
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Haruo Orihashi
治生 折橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】略100%の動力伝達率を達成し、ギヤーチェ
ンジによる衝撃吸収機能の発揮とが可能なクラッチ装置
を提供すること。 【解決手段】オイルを満たしたオイル容器20と、該オ
イル容器20内に沈められた動力伝達部30を有し、動
力源側から前記オイル容器20を貫通して前記動力伝達
部30に連結された駆動軸41から前記動力伝達部30
に連結され前記オイル容器20を貫通する被動軸42へ
の動力の伝達状態を、動力伝達部30の内部機構と動力
伝達部30の内部へのオイルの流入量および該内部から
のオイルの流出量の調節により解除状態から略100%
の動力伝達率状態まで調節する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オイルを満たした
オイル容器と、該オイル容器内に沈められた動力伝達部
を有し、動力源側から前記オイル容器を貫通して前記動
力伝達部に連結された入力軸と、前記動力伝達部に連結
され前記オイル容器を貫通する出力軸を具備するクラッ
チ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、動力源の駆動軸側から被動軸側へ
の動力の伝達およびその遮断は摩擦板を具備するクラッ
チを用いて行うものがほとんどである。
【0003】例えば、図13(A)に示したように、ク
ラッチスプリングが動力源側の出力軸に設けられた摩擦
板を入力軸に固設されたプーリに強く当接させることで
動力の伝達が行われ、図13(B)のようにクラッチペ
ダルを踏み込むことによってクラッチスプリングを摩擦
板から離して摩擦板とプーリとの当接状態を解除するこ
とで動力伝達の遮断が行われるものである。このような
クラッチではその状態を自動制御することは難しく、自
動車においては人間の操作によって制御するマニュアル
トランスミッション等に採用されている。
【0004】上記のようなクラッチにおいては、摩擦板
は使用によって摩耗するので必ず交換が必要となり、ク
ラッチ全体の取り替えを行うことが必要となることもあ
る。
【0005】自動車の場合、特に乗用車ではトランスミ
ッションのオートマチック化が進み今やオートマチック
車の占める割合はマニュアルトランスミッション搭載車
の割合よりもずっと多い。
【0006】オートマチック化においては摩擦板を使用
した場合、半クラッチ状態の自動制御が難しく、一部に
パウダー式クラッチや電子制御クラッチを搭載したもの
もあるが高価であるためにあまり普及しておらず、多く
は例えば図14のような構成を有し、動力の伝達媒体と
してオイルを用いた流体継手、所謂トルクコンバーター
が用いられている。
【0007】このトルクコンバーターは、車両の発進時
におけるトルクの増幅等のトルクの変換が目的であるの
みならず、エンジンと自動変速装置の間に配設されて、
エンジンと車軸(延いては車体)との動力伝達やギヤー
チェンジの際に生じる衝撃吸収の機能を発揮する装置と
しても重視され、液体クラッチと衝撃吸収機構との両面
から改善や小型化が図られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のトルクコンバーターは流動体であるオイルが
介しているために動力の伝動効率が90%程度にとどま
っており、伝動損失が大きかった。この伝動損失を小さ
くするために、状況によって機械要素の直結が可能な所
謂ロックアップ機構を備えたトルクコンバーターが実用
化されているが、エネルギー資源の枯渇や地球環境保全
の観点から、より高効率で、容易に制御できるクラッチ
の実現が望まれている。
【0009】また、従来のトルクコンバーターを用いた
ものではクラッチを完全に切断したた状態にすることが
できないという問題点があった。
【0010】また、大型車両においては、オートマチッ
ク化による車両の製造コストの上昇も然る事ながら、燃
費の悪化がより大きな問題となっていた。即ち、大型車
両は殆どが輸送業において使用されているので燃費の悪
化による影響は大きく、延いては経営圧迫の要因となる
のでオートマチック車は採用され難いという問題があっ
た。
【0011】本発明は、このような従来の諸問題点に着
目してなされたもので、動力の伝達にオイルトルクコン
バーターを使用せずに略100%の動力伝達率を達成す
ると共にギヤーチェンジによる衝撃吸収機能の発揮とが
可能で自動制御できるクラッチ装置を提供することを目
的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めの要旨とするところは、次の各項に存する。
【0013】[1]オイルを満たしたオイル容器(2
0)と、該オイル容器(20)内に沈められた動力伝達
部(30)を有し、動力源側から前記オイル容器(2
0)を貫通して前記動力伝達部(30)に連結された駆
動軸(41)と、前記動力伝達部(30)に連結され前
記オイル容器(20)を貫通する被動軸(42)を具備
するクラッチ装置(10)であって、前記動力伝達部
(30)は、内部にオイル溜り(53)が設けられ、側
面に該オイル溜り(53)に通じるオイル入口(51)
とオイル出口(52)とが穿設されたオイルポンプ筒
(50)と、該オイルポンプ筒(50)内の前記被動軸
(42)側に固設された出力受け部(70)と、操作手
段(80)に連結され、前記オイルポンプ筒(50)の
外周面に密接して摺動可能な可動筒体(60)と、を有
し、前記オイルポンプ筒(50)は、内部に前記駆動軸
(41)の延長部分に設けられた入力軸(41A)と、
前記オイル溜り(53)内に位置し、前記出力受け部
(70)に固定された少なくとも1本の出力軸(42
A)とが配置され、前記入力軸(41A)には入力ギヤ
ー(41G)が固定され、前記出力軸(42A)には前
記入力ギヤー(41G)と係合する出力ギヤー(42
G)が回転可能に、且、前記オイルポンプ筒(50)に
内接して設けられ、前記出力受け部(70)は前記出力
軸(42A)を固定した側の反対側の面の中心部に前記
被動軸(42)が固定され、前記操作手段(80)によ
り前記可動筒体(60)を変位させ、前記オイル入口
(51)から前記オイルポンプ筒(50)内へ流入する
オイル量および前記オイル出口(52)から流出するオ
イル量を変えることにより前記オイル溜り(53)内の
油圧を変えて前記駆動軸(41)と前記被動軸(42)
との連結状態の制御を可能にしたことを特徴とするクラ
ッチ装置(10)。
【0014】[2]前記オイルポンプ筒(50)内が真
空になることを防止するために、前記オイル溜り(5
3)から前記出力受け部(70)および前記オイルポン
プ筒(50)を貫通する流路(100)を設け、該流路
(100)内に、前記オイルポンプ筒(50)の外部か
ら前記オイル溜り(53)へのオイルの流入が可能な真
空防止バルブ(101)を設けたことを特徴とする項1
に記載のクラッチ装置(10)。
【0015】[3]前記オイル溜り(53)を複数形成
し、各オイル溜り(53)におけるオイルの流入および
流出が隣のオイル溜り(53)におけるオイルの流入お
よび流出に干渉しないように、各オイル溜り(53)の
間に隔壁(54)を設けたことを特徴とする項1または
2に記載のクラッチ装置(10)。
【0016】[4]油圧により駆動軸(41)と被動軸
(42)との連結状態の制御をするクラッチ装置(1
0)において、内部にオイル溜り(53)が設けられ、
側面に該オイル溜り(53)に通じるオイル入口(5
1)とオイル出口(52)とが穿設されたオイルポンプ
筒(50)と、該オイルポンプ筒(50)内の前記被動
軸(42)側に固設された出力受け部(70)と、オイ
ルの供給回収手段と連通し、前記オイルポンプ筒(5
0)を密接囲繞して該オイルポンプ筒(50)へのオイ
ルの供給回収部を有するオイル誘導筒(90)を有し、
前記オイルポンプ筒(50)は、内部に前記駆動軸(4
1)の延長部分に設けられた入力軸(41A)と、前記
オイル溜り(53)内に位置し、前記出力受け部(7
0)に固定された少なくとも1本の出力軸(42A)と
が配置され、前記入力軸(41A)には入力ギヤー(4
1G)が固定され、前記出力軸(42A)には前記入力
ギヤー(41G)と係合する出力ギヤー(42G)が回
転可能に、且、前記オイルポンプ筒(50)に内接して
設けられ、前記出力受け部(70)は前記出力軸(42
A)を固定した側の反対側の面の中心部に前記被動軸
(42)が固定され、前記オイル誘導筒(90)を介し
て前記オイル入口(51)から前記オイルポンプ筒(5
0)内へ流入するオイル量および前記オイル出口(5
2)から流出するオイル量を変えることにより前記オイ
ル溜り(53)内の油圧を変えて前記駆動軸(41)と
前記被動軸(42)との連結状態の制御を可能にしたこ
とを特徴とするクラッチ装置(10)。
【0017】[5]オイル入出手段、オイル入出制御手
段および、動力伝達部(30)を具備するクラッチ装置
であって、前記動力伝達部(30)は、オイルポンプ筒
(50)および、ロータ(140)を有し、前記オイル
ポンプ容器は、内部にオイル溜り(53)が形成されて
いて、被動軸(42)に連結され、前記ロータ(14
0)は、オイルポンプ筒(50)内に収容されていて、
前記被動軸(42)の軸線を同一の軸線とする駆動軸
(41)が連結され、該駆動軸(41)回りに回転可能
に支持され、前記オイル入出手段は、オイル入出制御手
段を介して、前記オイルポンプ筒(50)外から前記オ
イル溜り(53)にオイルを流入し、かつ、前記オイル
溜り(53)から前記オイルポンプ筒(50)外へオイ
ルを流出し、前記オイル入出制御手段は、前記オイル溜
り(53)へ流入するオイル量および、前記オイル溜り
(53)から流出するオイル量を制御し、前記オイル入
出制御手段は、前記ロータ(140)の回転中に、前記
オイル溜り(53)から流出するオイル量を前記オイル
溜り(53)へ流入するオイル量に対して変えることに
より前記オイル溜り(53)内の油圧を変え、前記オイ
ルポンプ筒(50)を前記ロータ(140)の回転方向
と同一方向に回転させて、前記駆動軸(41)と前記被
動軸(42)との連結状態の制御を可能にしたことを特
徴とするクラッチ装置。
【0018】[6]オイル入出手段、オイル入出制御手
段、動力伝達部(30)、駆動軸(41)および、被動
軸(42)を具備するクラッチ装置であって、前記オイ
ル入出手段は、オイルを満たしたオイル容器(20)を
有し、該オイル容器(20)内に前記動力伝達部(3
0)を沈めて成り、前記駆動軸(41)は、動力源側か
ら前記オイル容器(20)を貫通して前記動力伝達部
(30)に連結して成り、前記被動軸(42)は、前記
動力伝達部に連結され前記オイル容器(20)を貫通し
て成り、前記動力伝達部(30)は、オイルポンプ筒
(50)および、ロータ(140)を有し、前記オイル
ポンプ筒(50)は、内部にオイル溜り(53)が設け
られ、側面に前記オイル溜り(53)に通じるオイル入
口(51)とオイル出口(52)とが穿設され、前記被
動軸(42)が固設されており、前記ロータ(140)
は、ベーン部材(141)を有し、前記被動軸(42)
の軸線を同一の軸線とする駆動軸(41)が固設されて
おり、前記ベーン部材(141)は、前記ロータ(14
0)が前記駆動軸(41)回りに回転すると、前記オイ
ルポンプ筒(50)の内周面に摺接するように構成され
ており、前記オイル入出制御手段は、前記オイルポンプ
筒(50)の外周面に密接して摺動可能な可動筒体(6
0)および、操作手段(80)を有しており、前記可動
筒体(60)は、変位すると、前記オイル入口(51)
およびオイル出口(52)の開き状態を可変するように
構成されており、前記操作手段(80)は、前記ロータ
(140)の回転中に、前記可動筒体(60)を変位さ
せて、前記オイル溜り(53)から前記オイル出口(5
2)を通って流出するオイル量を変えることにより前記
オイル溜り(53)内の油圧を変え、前記オイルポンプ
筒(50)を前記ロータ(140)の回転方向と同一方
向に回転させて、前記駆動軸(41)と前記被動軸(4
2)との連結状態の制御を可能にしたことを特徴とする
クラッチ装置。
【0019】次に作用を説明する。本発明の一の構成で
は、動力源側からの動力により駆動軸(41)が回転す
ると該駆動軸(41)の延長部分に設けられた入力軸
(41A)が回転し、入力軸(41A)の入力ギヤー
(41G)と係合する前記出力軸(42A)の出力ギヤ
ー(42G)が回転する。
【0020】可動筒体(60)がオイル入口(51)と
オイル出口(52)を開放している位置にあるときは、
オイルがオイル入口(51)からオイルポンプ筒(5
0)内のオイル溜り(53)へ流入し、出力ギヤー(4
2G)を経てオイル出口(52)から流出する。このと
き、前記駆動軸(41)と前記被動軸(42)との連結
は解除された状態にある。
【0021】可動筒体(60)がオイル出口(52)を
僅かに塞いでいるときは、駆動軸(41)の回転により
入力された動力は出力ギヤー(42G)を回転させ、そ
れによりオイル入口(51)より流入したオイルは上記
のように出力ギヤー(42G)を経てオイル出口(5
2)から流出しようとするが、オイル出口(52)が狭
くなっているのでオイル溜り(53)の油圧が上昇す
る。
【0022】その結果、出力ギヤー(42G)とオイル
溜り(53)を画成する壁部、例えば、隔壁(54)と
の間に圧力が生じ、それに対して出力ギヤー(42G)
に生じた反力が出力軸(42A)を押し、出力受け部
(70)にトルクを発生させる。したがって、入力ギヤ
ー(41G)の回転によって導入されたオイルのうち、
オイル出口(52)から流出できなかったオイルが収ま
る分だけオイルポンプ筒(50)が回転する。オイルポ
ンプ筒(50)の回転は、即ち、被動軸(42)が回転
されることになる。
【0023】可動筒体(60)がオイル出口(52)を
完全に塞いでいる場合は、駆動軸(41)の回転により
入力された動力は出力ギヤー(42G)を回転させ、そ
れによりオイル入口(51)よりオイルが流入するが、
オイル出口(52)が完全に塞がっているのでオイル溜
り(53)の油圧は駆動軸(41)からのトルクに応じ
て上昇する。
【0024】その結果、自由回転のできなくなった出力
ギヤー(42G)は、入力ギヤー(41G)のトルクを
そのまま出力軸(42A)に伝え、オイルポンプ筒(5
0)を回転させる。このとき、オイルポンプ筒(50)
内はロック状態にあり、したがって、駆動軸(41)と
被動軸(42)は完全に連結された状態となる。
【0025】なお、逆方向のトルクが入力したときにオ
イルポンプ筒(50)内が真空になることを防止するた
めに、オイル溜り(53)から出力受け部(70)およ
び前記オイルポンプ筒(50)を貫通する流路(10
0)を設け、該流路(100)内に、オイルポンプ筒
(50)の外部からオイル溜り(53)へのオイルの流
入が可能な真空防止バルブ(101)を設けてもよい。
【0026】また、オイル出口(52)の開放および閉
塞は可動筒体(60)を変位させることによって行って
いたが、可動筒体(60)を用いずに、オイルポンプ筒
(50)を密接囲繞してオイルポンプ筒(50)へのオ
イルの供給回収部を有するオイル誘導筒(90)を用い
てオイルの流入量および流出量を調節するようにしても
よい。
【0027】また、本発明の別の構成では、オイルは、
オイル入出制御手段を介して、オイルポンプ筒(50)
外からオイル溜り(53)に流入し、かつ、オイル溜り
(53)からオイルポンプ筒(50)外へ流出する。
【0028】動力源からの動力により駆動軸(41)が
回転すると、駆動軸(41)回りにロータ(140)が
回転しようとする。このとき、オイル溜り(53)から
流出するオイル量とオイル溜り(53)へ流入するオイ
ル量とがほぼ等しいと、オイル溜り(53)内の油圧が
低く抑えられ、ロータ(140)がオイルポンプ筒(5
0)に対して単独で回転し、駆動軸(41)と被動軸
(42)とは連結を解除された状態になり、駆動軸(4
1)の回転に伴って、被動軸(42)が回転することが
ない。
【0029】オイル入出制御手段がオイル溜り(53)
から流出するオイル量をオイル溜り(53)へ流入する
オイル量に対して変えると、オイル溜り(53)内の油
圧が高まり、オイルポンプ筒(50)がロータ(14
0)の回転方向と同一方向に回転し、駆動軸(41)と
被動軸(42)とは連結した状態になり、駆動軸(4
1)の回転に伴って、被動軸(42)が回転する。
【0030】さらに、本発明の別の構成では、動力源側
からの動力により駆動軸(41)が回転すると、駆動軸
(41)回りにロータ(140)が回転しようとする。
このとき、可動筒体(60)がオイル入口(51)とオ
イル出口(52)を開放している位置にあるときは、オ
イルがオイル入口(51)からオイルポンプ筒(50)
内のオイル溜り(53)へ流入し、オイル出口(52)
から流出し、オイル溜り(53)から流出するオイル量
とオイル溜り(53)へ流入するオイル量とがほぼ等し
くなる。
【0031】このとき、オイル溜り(53)内の油圧が
低く抑えられ、前記駆動軸(41)と前記被動軸(4
2)との連結は解除された状態にある。
【0032】可動筒体(60)がオイル出口(52)を
僅かに塞いでいるときは、駆動軸(41)の回転によ
り、ロータ(140)が回転すると、ベーン部材(14
1)がオイルポンプ筒(50)の内周面に摺動し、オイ
ル溜り(53)の容積が減少して、オイル溜り(53)
内のオイルをオイル出口(52)を通して流出させよう
とするが、オイル出口(52)が狭くなっているのでオ
イルが流出し難くなって、オイル溜り(53)から流出
するオイル量に対してオイル溜り(53)へ流入するオ
イル量が多くなり、オイル溜り(53)の油圧が上昇す
る。
【0033】その結果、オイル溜り(53)の周壁に高
圧がかかり、オイルポンプ筒(50)にトルクが発生
し、オイル出口(52)から流出しようとするオイルが
収まる分だけオイル溜り(53)の容積を広げようとし
て、オイルポンプ筒(50)が回転する。オイルポンプ
筒(50)の回転は、即ち、被動軸(42)が回転され
ることになる。
【0034】可動筒体(60)がオイル出口(52)を
完全に塞いでいる場合は、駆動軸(41)の回転によ
り、オイル入口(51)よりオイルが流入するが、オイ
ル出口(52)が完全に塞がっているので、オイルが流
出不能になって、オイル溜り(53)の油圧は駆動軸
(41)からのトルクに応じて上昇する。
【0035】その結果、ベーン部材(141)がオイル
溜り(53)の容積を狭くした分だけ、オイル溜り(5
3)が広くなろうとして、オイルポンプ筒(50)が回
転する。このとき、オイルポンプ筒(50)内はロック
状態にあり、したがって、駆動軸(41)と被動軸(4
2)は完全に連結された状態となる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の各種
実施の形態を説明する。図1から図7は本発明の第1の
実施の形態を示している。
【0037】図1に示すように、クラッチ装置10はオ
イルを満たしたオイル容器20と、該オイル容器20内
に沈められた動力伝達部30を有し、動力源側から前記
オイル容器20を貫通して前記動力伝達部30に連結さ
れた駆動軸41と、前記動力伝達部30に連結され前記
オイル容器20を貫通する被動軸42を具備している。
【0038】オイル容器20に満たされているオイルは
一般的なオイルトルクコンバーターで使用されているも
のと同じである。
【0039】動力伝達部30は中空円筒形のオイルポン
プ筒50と、オイルポンプ筒50の外周面にオイルの流
通がないように密接して摺動可能な一方の底面が開口し
た円筒形の可動筒体60とを有している。オイルポンプ
筒50はオイル容器20の特定の位置に円筒の軸線方向
が略水平になるように配置されており、一方の底面の中
心部を動力源側からの動力を伝達する駆動軸41が貫通
している。駆動軸41がオイル容器20を貫通する部分
はメカニカルシールSによって密閉されている。
【0040】駆動軸41は入力軸41Aとしてオイルポ
ンプ筒50内まで伸びている。図2に明示したように、
入力軸41Aには入力ギヤー41Gが固定されている。
【0041】オイルポンプ筒50内にはオイルを溜める
ことのできるオイル溜り53が入力軸41Aを境にその
両側に形成されている。オイルポンプ筒50の側面には
オイル溜り53にオイルを流入させるためのオイル入口
51とオイルを流出させるためのオイル出口52とがオ
イル溜り53ごとに一対ずつ穿設されている。
【0042】オイル入口51は楕円形を成しており、楕
円形の長径がオイルポンプ筒50の軸線方向に沿うよう
に形成されている。一方、オイル出口52は略二等辺三
角形の形状をなしており、その底辺から頂角への方向が
オイルポンプ筒50の軸線方向に沿うように形成されて
いる。オイル入口51とオイル出口52のオイルポンプ
筒50の円周方向における位置はオイル溜り53の両端
付近であり、オイルポンプ筒50の軸線方向の位置はオ
イル入口51とオイル出口52が部分的に重なるような
位置である。
【0043】2つのオイル溜り53、53の間には一方
でのオイルの流入および流出が他方のオイル溜り53に
おけるオイルの流入および流出に干渉しないように、隔
壁54が設けられている。該隔壁54はオイルポンプ筒
50の強度にも貢献している。
【0044】オイルポンプ筒50内での他方の底面側に
は円柱状の出力受け部70が固定されている。出力受け
部70には各オイル溜り53、53内に1本ずつ位置す
るように出力軸42Aの一端が固定されている。出力軸
42Aには入力ギヤー41Gと係合するように出力ギヤ
ー42Gが回転可能に設けられている。出力ギヤー42
G、42Gはオイルポンプ筒50の内壁にも接してい
る。
【0045】図1乃至図3に示したように、オイル溜り
53の底部にはオイルポンプ筒50内が真空になること
を防止するために、オイル溜り53から出力受け部7
0、オイルポンプ筒50および可動筒体60の底面を貫
通する流路100が形成されている。流路は途中に拡径
部分100Aを設けてあり、該拡径部分100A内には
拡径部分100Aの径より小さく非拡径部100Bの径
よりも大きい径を有する球Bが収められており、球Bと
オイル溜り53に通じる側の拡径部100Aの肩部10
0Cの間には渦巻きバネSPが介在しており、渦巻きバ
ネSPの一端が肩部100Cに固定されており、オイル
ポンプ筒50の外部からオイル溜り53へのオイルの流
入が可能な真空防止バルブ101が形成されている。
【0046】真空防止バルブ101は、通常、球Bが渦
巻きバネSPの弾撥力により外部に拡径部分100Aの
通じる側に形成された肩部100Dに押し付けられてお
り、オイルの流入を防いでいる。
【0047】オイルポンプ筒50内の出力受け部70に
は出力軸42Aを固定した側の反対側の面の中心部に駆
動軸41とは反対側からオイル容器20を貫通した被動
軸42が連結されている。オイル容器20を貫通する部
分はメカニカルシールSによって密閉されている。
【0048】可動筒体60の底面外側には該可動筒体6
0の位置を変位させる操作手段80が連結されている。
操作手段80は操作者が足で踏み込むためのペダル81
と、ペダルの操作に連動して連結され可動筒体60を引
っ張ることができるようにオイル容器20を貫通して可
動筒体60の底面外側に連結されたケーブル82と、該
ケーブル82を通しての該ケーブル82と可動筒体60
の底面との連結部とオイル容器20の内壁との間に介装
したスプリング83とを具備している。スプリング83
は、ペダル81を踏み込んで変位させた可動筒体60を
その弾撥力によって元の位置に戻すためのものである。
【0049】次に上記の第1の実施の形態による作用を
説明する。図4は図2と同様の図であるが、本発明の基
本的作用の説明をするために真空防止バルブ101の図
示は省略し、操作装置80も図示していない。
【0050】図5乃至図7はクラッチ装置10の作動段
階を3段階に分けて示したものであり、図4と同様に真
空防止バルブ101および操作装置80の図示を省略し
たものである。
【0051】図5は可動筒体60が、例えば、操作装置
80等により変位され、オイルポンプ筒50に設けられ
たオイル入口51とオイル出口52の何れもが完全にオ
イル容器20内のオイル中に露出されている状態のもの
を示している。
【0052】この場合、動力源側からの動力により駆動
軸41が回転すると該駆動軸41の延長部分に設けられ
た入力軸41Aが回転し、入力軸41Aの入力ギヤー4
1Gと係合する出力軸42Aの出力ギヤー42Gが回転
する。
【0053】このときオイル容器20のオイルがオイル
入口51からオイルポンプ筒50内のオイル溜り53へ
流入する。一方のオイル溜り53へのオイルの流入およ
び流出は隔壁54によって他方のオイル溜り53のオイ
ルには影響を与えることなく行われる。この状態では、
出力ギヤー42Gは自由に回転できるので、オイル溜り
53内の油圧が上昇することなく、既にオイル溜り53
内にあったオイルは流入したオイルに押されて出力ギヤ
ー42Gを経てオイル出口52側へ流れ、流入したオイ
ルと同量のオイルがオイル出口52から流出する。
【0054】したがって、この場合は駆動軸41と被動
軸42との連結は解除された状態にあり、駆動軸41か
ら被動軸42への動力の伝達は行われない。次に図6を
参照して可動筒体60がオイル出口52を部分的に塞い
でいる場合について説明する。
【0055】駆動軸41の回転により入力された動力は
入力軸41Aの入力ギヤー41Gと係合する出力ギヤー
42Gを回転させる。それによりオイル入口51より流
入したオイルは上記のように出力ギヤー42Gを経てオ
イル出口52から流出しようとするが、オイル出口52
が可動筒体60によって部分的に塞がっているので開口
面積が狭くなっている。そのため、オイル溜り53から
のオイルの流出量はオイル溜り53へのオイルの流入量
よりも少なく、その結果のオイル溜り53内の油圧が上
昇する。それによって、出力ギヤー42Gとオイル溜り
53を画成する隔壁54との間に圧力が生じ、それに対
して出力ギヤー42Gに生じた反力が出力軸42Aを押
し、出力受け部70にトルクを発生させる。
【0056】したがって、入力ギヤー41Gの回転によ
って導入されたオイルの量と、オイル出口52から流出
したオイルの量との差のオイルが収まるようにオイルポ
ンプ筒50が回転する。オイルポンプ筒50の回転は、
被動軸42が回転されることになる。すなわち、この場
合は、駆動軸41と被動軸42との連結は完全に解除さ
れた状態でもなく、また、完全に連結された状態でもな
く、駆動軸41から被動軸42への動力の伝達率はあま
り高くない状態にある。
【0057】動力の伝達率は、可動筒体60によって塞
がれるオイル出口52の面積が大きくなるにしたがっ
て、即ち、オイルの流出可能な面積が小さくなるにした
がって上昇する。
【0058】図7は、可動筒体60によってオイル出口
52を完全に塞いだ状態を示したものである。
【0059】駆動軸41の回転により入力された動力は
出力ギヤー42Gを回転させ、それによりオイル入口5
1よりオイル溜り53にオイルが流入するが、オイル出
口52が完全に塞がっているのでオイル溜り53の油圧
は流入するオイルの量にしたがって、即ち、駆動軸41
からのトルクに応じて上昇する。
【0060】オイル溜り53の油圧が上昇し、また、オ
イルの流動がなくなって自由回転のできなくなった出力
ギヤー42Gは、入力ギヤー41Gのトルクをそのまま
出力軸42Aに伝え、オイルポンプ筒50を回転させ
る。このとき、オイルポンプ筒50内はロックされた状
態にあり、したがって、駆動軸41と被動軸42は完全
に連結された状態となり動力の伝達に損失は生じない。
【0061】このように、クラッチ装置10は、オイル
入口51からオイルポンプ筒50内へ流入するオイル量
およびオイル出口52から流出するオイル量を変えるこ
とによりオイル溜り53内の油圧を変えて駆動軸41と
被動軸42との連結状態の制御をすることができる。
【0062】なお、図に示し、上述したオイル入口51
およびオイル出口52の形状は単なる例示であり、他の
形状としてもよい。
【0063】また、出力ギヤー42Gを取り付けた出力
軸42Aを2つ用いたものを示したが、1つでもよい
し、また、3つ以上でもよい。
【0064】また、真空防止バルブ101を設けて、何
らかの理由でオイルポンプ筒50内のオイルが減少し、
オイルポンプ筒50内が真空状態になろうとするとき
に、オイルポンプ筒50内の圧力とオイル容器20中の
圧力との差によって球Bがスプリング83の弾撥力に反
してオイル溜り53側に押されて、オイルをオイルポン
プ筒50内に導入することができるようにしてもよい。
【0065】図8および図9は本発明の第2の実施の形
態を示している。なお、第1の実施の形態と同種の部位
には同一符号を付し、重複した説明を省略する。
【0066】本実施の形態では、第1に実施の形態にお
ける可動筒体60をオイル誘導筒90に置き換え、オイ
ルポンプ筒50内へのオイルの流入および流出をオイル
供給回収部で制御するものである。
【0067】オイル誘導筒90はオイルポンプ筒50に
密接囲繞している。オイル供給回収部はオイル誘導筒9
0に形成されたオイルを供給するためのオイル供給口9
1とオイルを回収するためのオイル回収口92を有して
いる。
【0068】オイル供給口91にはオイル供給管93A
が接続されており、オイル供給管93Aにはオイルの供
給を制御するためのオイル供給制御バルブ94Aが取り
付けられている。オイル供給制御バルブ94Aにはオイ
ルが流入及び流出するオイル管96Aと、空気が流入及
び流出する空気管97Aが設けられている。また、オイ
ル供給制御バルブ94Aとオイル供給口91との間には
過大トルク逃し弁95Aが配設されている。
【0069】一方、オイル回収口92にはオイル回収管
93Bが接続されており、オイル回収管93Bにはオイ
ルの回収を制御するためのオイル回収制御バルブ94B
が取り付けられている。オイル回収制御バルブ94Bに
はオイルが流入及び流出するオイル管96Bと、空気が
流入及び流出する空気管97Bが設けられている。ま
た、オイル回収制御バルブ94Bとオイル回収口92と
の間には過大トルク逃し弁95Bが配設されている。
【0070】次に前記の第2の実施の形態による作用を
説明する。本実施の形態に係るクラッチ装置において
は、オイル供給制御バルブ94Aの制御によりオイル供
給管93Aからオイルポンプ筒50内のオイル溜り53
に流入させるオイルの量が制御され、オイル回収制御バ
ルブ94Bの制御によりオイル溜り53からオイル回収
管93Bを介して回収するオイルの量が制御される。
【0071】したがって、オイル溜り53内の油圧を自
由に制御することができるので、第1の実施の形態で説
明したように、駆動軸41と被動軸42との連結状態の
制御をすることができる。
【0072】図10は、第2の実施の形態に係るクラッ
チ装置10を用いたオートマチックトランスミッション
200の構成の概略を図示したものである。
【0073】エンジンEからの入力軸205に第1速ギ
ヤー221、第2速ギヤー222、第3速ギヤー22
3、後退ギヤー224が設けられ、第1速ギヤー221
と第2速ギヤー222との間に第3速用クラッチ203
が設けられ、第2速用クラッチ202、第1速用クラッ
チ201および後退用クラッチ204が図示したように
配設されている。第1速用クラッチ201から後退用ク
ラッチ204まですべてクラッチ装置10であり、その
制御はマイクロコンピューターを利用した制御部210
によって行われる。
【0074】このオートマチックトランスミッション2
00は、発車時は、制御部210からの指令によりオイ
ル供給制御バルブ94Aから第1速用クラッチ201に
オイルの供給がされる。
【0075】オイル回収制御バルブ94Bは徐々に絞ら
れて出力軸206に動力が伝達される。
【0076】このとき、第2速用クラッチ202、第3
速用クラッチ203および後退用クラッチ204には潤
滑油程度のオイル供給がされており、それら各クラッチ
のオイル供給制御バルブ94Aおよびオイル回収制御バ
ルブ94Bは、大気開放されて、空転する状態にある。
空気の供給による空転は、オイルによる空転より損失が
小さくなるためである。
【0077】第1速用クラッチ201にオイルが完全に
供給がされ、そのオイル回収制御バルブ94Bが完全に
閉鎖されると第1速ギヤー221の接続が完了する。
【0078】次に、第2速ギヤー222への切り替え
は、制御部210により第2速用クラッチ202へオイ
ルの供給を開始するために、そのオイル回収制御バルブ
94Bは徐々に絞られるとともに、第1速用クラッチ2
01のオイル回収制御バルブ94Bは徐々に開放され、
上記と同様にオイル供給制御バルブ94Aおよびオイル
回収制御バルブ94Bは、大気開放されて、空転する状
態になる。同時に、第2速用クラッチ202にオイルが
完全に供給がされ、そのオイル回収制御バルブ94Bが
完全に閉鎖されると第2速ギヤー222の接続が完了す
る。
【0079】同様に、第3速ギヤーあるいは後退ギヤー
への切り替えを行うことができる。エンジンや出力軸2
06から過大なトルクが入力されたときは過大トルク逃
がし弁95A、95Bにより逃がすことができるので駆
動系全体の保護をすることができる。
【0080】このようにして、動力の伝達効率が高く、
且、変速ショックその他による駆動系への衝撃を吸収す
ることの可能なオートマチックトランスミッションを構
成することができる。
【0081】図11および、図12は、本発明の第3の
実施の形態を示している。第3の実施の形態において
は、第2の実施の形態と同じく、第1の実施の形態と同
種の部位には同一符号を付し、重複した説明を省略す
る。
【0082】本第3の実施の形態においては、第1の実
施の形態と同じように、オイルを満たしたオイル容器2
0内に動力伝達部30を沈めており、動力伝達部30へ
オイルを入出可能に構成しているが、この構成に限ら
ず、オイルを循環して使用するような構成であればどの
ようなものであってもよい。
【0083】動力伝達部30は、オイルポンプ筒50内
にロータ140を収容して成る。オイルポンプ筒50の
内部にはオイル溜り53が形成されている。オイルポン
プ筒50の内周面でもあるオイル溜り53の内周面は、
ロータ140の回転方向に対して、筒中心(駆動軸41
の軸心)までの距離が徐々に短くなるカム面に形成され
ている。
【0084】オイルポンプ筒50の側面には、オイル溜
り53に通じるオイル入口51とオイル出口52とが穿
設されている。オイル入口51が、筒中心までの距離が
長い側のカム面に対応して開設され、オイル出口52
が、筒中心までの距離が短い側のカム面に対応して開設
されている。
【0085】ロータ140に固設される駆動軸41がロ
ータ140の回転中心になり、駆動軸41の軸心を同一
の軸心にする被動軸42が設けられ、被動軸42がオイ
ルポンプ筒50に固設され、被動軸42がオイルポンプ
筒50の回転中心になっている。
【0086】ロータ140の外周には、回転中心を同心
にして放射方向へ突出かつ、求心方向へ没入する複数の
ベーン部材141を有している。各ベーン部材141
は、ばね部材142により、突出する方向へ付勢されて
いる。
【0087】ばね部材142の付勢力により、ベーン部
材141はオイル溜り53の内周面に弾撥的に当接して
おり、ロータ140が駆動軸41回りに回転すると、ベ
ーン部材141は、オイル溜り53の内周面に摺接す
る。
【0088】オイル入出制御手段は、可動筒体60およ
び、操作手段80を有して成り、第1の実施の形態と同
じ構成をしているが、これに限らず、要は、操作手段8
0の操作により、可動筒体60がオイル入口51およ
び、オイル出口52の開き状態を可変するようなもので
あればよい。
【0089】また、第1の実施の形態と同じく、オイル
溜り53の底部には流路100が形成され、流路100
には、オイルポンプ筒50内が真空になることを防止す
べく、オイルポンプ筒50の外部からオイル溜り53へ
のオイルの流入が可能な真空防止バルブ101が形成さ
れている。
【0090】次に前記の第3の実施の形態による作用を
説明する。動力源側からの動力により駆動軸41が回転
すると、駆動軸41回りにロータ140が回転しようと
する。このとき、操作手段80が十分に踏み込まれてい
て、可動筒体60が引っ張られ、可動筒体60がオイル
入口51とオイル出口52を開放している位置にあると
きは、オイルがオイル入口51からオイルポンプ筒50
内のオイル溜り53へ流入し、オイル出口52から流出
し、オイル溜り53から流出するオイル量とオイル溜り
53へ流入するオイル量とがほぼ等しくなる。
【0091】このとき、ロータ140と一体的に回転す
るベーン部材141は、オイル溜り53の内周面に摺接
していき、オイル溜り53内のオイルをオイル出口52
側に追い込むが、追い込まれたオイルは、オイル出口5
2を通ってオイルポンプ筒50の外へ流出し、オイル溜
り53内の油圧が低く抑えられ、ロータ140は、オイ
ルポンプ筒50に対して単独で回転し、駆動軸41と被
動軸42との連結は解除された状態にある。
【0092】操作手段80が十分に踏み込まれず、可動
筒体60がある程度引っ張られると、可動筒体60がオ
イル出口52を僅かに塞いだ状態になる。この状態で
は、駆動軸41の回転により、ロータ140が回転する
と、ベーン部材141がオイルポンプ筒50の内周面に
摺動し、オイル溜り53内のオイルをオイル出口52側
へ追い込み、オイル溜り53内のオイルをオイル出口5
2を通して流出させようとするが、オイル出口52が狭
くなっているのでオイルが流出し難くなって、オイル溜
り53から流出するオイル量に対してオイル溜り53へ
流入するオイル量が多くなり、オイル溜り53の油圧が
上昇する。
【0093】その結果、オイル溜り53および、オイル
出口52の各周壁に高圧がかかり、オイルポンプ筒50
にトルクが発生し、オイル出口52から流出しようとす
るオイルが収まる分だけオイル溜り53の容積を広げよ
うとして、オイル出口52の前壁面が押され、オイルポ
ンプ筒50が、ロータ140の回転方向と同一方向へ回
転して、被動軸42が回転する。このとき、ロータ14
0とオイルポンプ筒50とは一体的に回転せず、被動軸
42の回転速度は、駆動軸41の回転速度より低くな
る。
【0094】操作手段80を踏み込まないで、可動筒体
60がケーブル82に引っ張られず、可動筒体60がオ
イル出口52を完全に塞いでいる場合は、駆動軸41の
回転により、オイル入口51よりオイルが流入するが、
オイル出口52が完全に塞がっているので、オイルが流
出不能になって、オイル溜り53の油圧は駆動軸41か
らのトルクに応じて上昇する。
【0095】その結果、ベーン部材141がオイル溜り
53の容積を狭くした分だけ、オイル溜り53が広くな
ろうとして、オイル出口52の前壁面が押され、オイル
ポンプ筒50が回転する。このとき、オイルポンプ筒5
0内はロック状態にあり、駆動軸41と被動軸42は完
全に連結された状態となり、ロータ140とオイルポン
プ筒50とは一体的に回転し、被動軸42の回転速度
は、駆動軸41の回転速度と同じになる。
【0096】前記実施の形態では、オイル出口52の開
き状態を可変にして、入力ギヤー41Gやロータ140
のベーン部材141などがオイル溜り53の容積を狭く
して、オイル溜り内の油圧を上昇させて、オイルポンプ
筒50を回転可能に構成して、動力を駆動軸41側から
被動軸42側へ断続して伝達するものを示したが、これ
らの構成に限定されず、例えば、入力側の回転体がオイ
ル溜り53の容積を狭くして、オイル溜り内の油圧があ
る程度上昇すると、出力側の回転体が回転し始めるよう
なものであればよい。
【0097】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の一の構成
によれば、クラッチ板の交換が不要であり、長時間の半
クラッチ状態が維持でき、さらに、クラッチの状態を容
易に自動制御化できるので、一般的な産業機械の動力伝
達系に適するのみならず、車両に搭載して動力伝達率の
高いオートマッチック化、あるいはセミオートマチック
化が可能となる。また、構造が簡単であるので、駆動系
の生産の合理化によるコストダウンが図れる。また、燃
費の向上によりエネルギー資源の節約にも貢献すること
ができる。
【0098】また、本発明の別の構成によれば、オイル
入出制御手段がオイル溜りから流出するオイル量をオイ
ル溜りへ流入するオイル量に対して変えると、オイル溜
り内の油圧が変化して、駆動軸と被動軸とが連結状態あ
るいは、連結解除状態になるようにしたので、クラッチ
板によらずに、動力を任意に断続して伝えることができ
る。
【0099】さらに、本発明の別の構成によれば、操作
部材を操作して、可動筒体がオイル出口を塞ぎ、オイル
出口の塞ぎ状態で、オイル溜りからのオイルの流出が制
御され、オイル溜りの油圧が変化して、駆動軸と被動軸
とが連結状態あるいは、連結解除状態になるようにした
ので、クラッチ板によらずに、動力を任意に断続して伝
えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるクラッチ装
置を示す略示図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかるクラッチ装
置を示す略示正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態にかかるクラッチ装
置の真空防止バルブを示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態にかかるクラッチ装
置を示す略示正面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態にかかるクラッチ装
置の一状態を示す略示図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態にかかるクラッチ装
置の他の状態を示す略示図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態にかかるクラッチ装
置の他の状態を示す略示図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態にかかるクラッチ装
置を示す略示図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態にかかるクラッチ装
置を示す略示図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態にかかるクラッチ
装置を用いたオートマチックトランスミッションの構成
を示す概略図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態にかかるクラッチ
装置を示す略示図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態にかかるクラッチ
装置を示す略示正面図である。
【図13】従来のクラッチ装置を示す略示図である。
【図14】従来のクラッチ装置を示す略示図である。
【符号の説明】
10…クラッチ装置 20…オイル容器 30…動力伝達部 41…駆動軸 41A…入力軸 41G…入力ギヤー 42…被動軸 42A…出力軸 42G…出力ギヤー 50…オイルポンプ筒 51…オイル入口 52…オイル出口 53…オイル溜り 54…隔壁 60…可動筒体 70…出力受け部 80…操作手段 81…ペダル 82…ケーブル 83…スプリング 100…流路 101…真空防止バルブ 140…ロータ 141…ベーン部材 142…ばね部材 S…メカニカルシール

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オイルを満たしたオイル容器と、該オイル
    容器内に沈められた動力伝達部を有し、動力源側から前
    記オイル容器を貫通して前記動力伝達部に連結された駆
    動軸と、前記動力伝達部に連結され前記オイル容器を貫
    通する被動軸を具備するクラッチ装置であって、 前記動力伝達部は、内部にオイル溜りが設けられ、側面
    に該オイル溜りに通じるオイル入口とオイル出口とが穿
    設されたオイルポンプ筒と、該オイルポンプ筒内の前記
    被動軸側に固設された出力受け部と、操作手段に連結さ
    れ、前記オイルポンプ筒の外周面に密接して摺動可能な
    可動筒体と、を有し、 前記オイルポンプ筒は、内部に前記駆動軸の延長部分に
    設けられた入力軸と、前記オイル溜り内に位置し、前記
    出力受け部に固定された少なくとも1本の出力軸とが配
    置され、 前記入力軸には入力ギヤーが固定され、 前記出力軸には前記入力ギヤーと係合する出力ギヤーが
    回転可能に、且、前記オイルポンプ筒に内接して設けら
    れ、 前記出力受け部は前記出力軸を固定した側の反対側の面
    の中心部に前記被動軸が固定され、 前記操作手段により前記可動筒体を変位させ、前記オイ
    ル入口から前記オイルポンプ筒内へ流入するオイル量お
    よび前記オイル出口から流出するオイル量を変えること
    により前記オイル溜り内の油圧を変えて前記駆動軸と前
    記被動軸との連結状態の制御を可能にしたことを特徴と
    するクラッチ装置。
  2. 【請求項2】前記オイルポンプ筒内が真空になることを
    防止するために、前記オイル溜りから前記出力受け部お
    よび前記オイルポンプ筒を貫通する流路を設け、該流路
    内に、前記オイルポンプ筒の外部から前記オイル溜りへ
    のオイルの流入が可能な真空防止バルブを設けたことを
    特徴とする請求項1に記載のクラッチ装置。
  3. 【請求項3】前記オイル溜りを複数形成し、各オイル溜
    りにおけるオイルの流入および流出が隣のオイル溜りに
    おけるオイルの流入および流出に干渉しないように、各
    オイル溜りの間に隔壁を設けたことを特徴とする請求項
    1または2に記載のクラッチ装置。
  4. 【請求項4】油圧により駆動軸と被動軸との連結状態の
    制御をするクラッチ装置において、 内部にオイル溜りが設けられ、側面に該オイル溜りに通
    じるオイル入口とオイル出口とが穿設されたオイルポン
    プ筒と、該オイルポンプ筒内の前記被動軸側に固設され
    た出力受け部と、オイルの供給回収手段と連通し、前記
    オイルポンプ筒を密接囲繞して該オイルポンプ筒へのオ
    イルの供給回収部を有するオイル誘導筒を有し、 前記オイルポンプ筒は、内部に前記駆動軸の延長部分に
    設けられた入力軸と、前記オイル溜り内に位置し、前記
    出力受け部に固定された少なくとも1本の出力軸とが配
    置され、 前記入力軸には入力ギヤーが固定され、 前記出力軸には前記入力ギヤーと係合する出力ギヤーが
    回転可能に、且、前記オイルポンプ筒に内接して設けら
    れ、 前記出力受け部は前記出力軸を固定した側の反対側の面
    の中心部に前記被動軸が固定され、 前記オイル誘導筒を介して前記オイル入口から前記オイ
    ルポンプ筒内へ流入するオイル量および前記オイル出口
    から流出するオイル量を変えることにより前記オイル溜
    り内の油圧を変えて前記駆動軸と前記被動軸との連結状
    態の制御を可能にしたことを特徴とするクラッチ装置。
  5. 【請求項5】オイル入出手段、オイル入出制御手段およ
    び、動力伝達部を具備するクラッチ装置であって、 前記動力伝達部は、オイルポンプ筒および、ロータを有
    し、 前記オイルポンプ容器は、内部にオイル溜りが形成され
    ていて、被動軸に連結され、 前記ロータは、オイルポンプ筒内に収容されていて、前
    記被動軸の軸線を同一の軸線とする駆動軸が連結され、
    該駆動軸回りに回転可能に支持され、 前記オイル入出手段は、オイル入出制御手段を介して、
    前記オイルポンプ筒外から前記オイル溜りにオイルを流
    入し、かつ、前記オイル溜りから前記オイルポンプ筒外
    へオイルを流出し、 前記オイル入出制御手段は、前記オイル溜りへ流入する
    オイル量および、前記オイル溜りから流出するオイル量
    を制御し、 前記オイル入出制御手段は、前記ロータの回転中に、前
    記オイル溜りから流出するオイル量を前記オイル溜りへ
    流入するオイル量に対して変えることにより前記オイル
    溜り内の油圧を変え、前記オイルポンプ筒を前記ロータ
    の回転方向と同一方向に回転させて、前記駆動軸と前記
    被動軸との連結状態の制御を可能にしたことを特徴とす
    るクラッチ装置。
  6. 【請求項6】オイル入出手段、オイル入出制御手段、動
    力伝達部、駆動軸および、被動軸を具備するクラッチ装
    置であって、 前記オイル入出手段は、オイルを満たしたオイル容器を
    有し、該オイル容器内に前記動力伝達部を沈めて成り、 前記駆動軸は、動力源側から前記オイル容器を貫通して
    前記動力伝達部に連結して成り、 前記被動軸は、前記動力伝達部に連結され前記オイル容
    器を貫通して成り、 前記動力伝達部は、オイルポンプ筒および、ロータを有
    し、 前記オイルポンプ筒は、内部にオイル溜りが設けられ、
    側面に前記オイル溜りに通じるオイル入口とオイル出口
    とが穿設され、前記被動軸が固設されており、 前記ロータは、ベーン部材を有し、前記被動軸の軸線を
    同一の軸線とする駆動軸が固設されており、 前記ベーン部材は、前記ロータが前記駆動軸回りに回転
    すると、前記オイルポンプ筒の内周面に摺接するように
    構成されており、 前記オイル入出制御手段は、前記オイルポンプ筒の外周
    面に密接して摺動可能な可動筒体および、操作手段を有
    しており、 前記可動筒体は、変位すると、前記オイル入口およびオ
    イル出口の開き状態を可変するように構成されており、 前記操作手段は、前記ロータの回転中に、前記可動筒体
    を変位させて、前記オイル溜りから前記オイル出口を通
    って流出するオイル量を変えることにより前記オイル溜
    り内の油圧を変え、前記オイルポンプ筒を前記ロータの
    回転方向と同一方向に回転させて、前記駆動軸と前記被
    動軸との連結状態の制御を可能にしたことを特徴とする
    クラッチ装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR200490474Y1 (ko) * 2019-09-06 2019-12-02 김원권 무단변속기

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KR200490474Y1 (ko) * 2019-09-06 2019-12-02 김원권 무단변속기

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