JP2000013101A - 高周波回路 - Google Patents

高周波回路

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JP2000013101A
JP2000013101A JP10172419A JP17241998A JP2000013101A JP 2000013101 A JP2000013101 A JP 2000013101A JP 10172419 A JP10172419 A JP 10172419A JP 17241998 A JP17241998 A JP 17241998A JP 2000013101 A JP2000013101 A JP 2000013101A
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semi
circuit
frequency circuit
rigid cable
microstrip line
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JP10172419A
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Ushio Sagawa
潮 寒川
Taku Fujita
卓 藤田
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 主にマイクロ波、ミリ波帯の無線通信技術に
おける高周波回路に関し、容易かつ安価に信号線の交差
部分を実現した高周波回路を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 複数の独立な回路とそれらを接続する配
線から構成される高周波回路において、配線はマイクロ
ストリップ線路23から構成される2次元的配線構造と
セミリジッドケーブル22から構成される3次元的配線
構造の両方を具有し、それらの構造を用いて配線同士の
交差構造を実現することにより、綿密な設計と高い加工
精度を必要としない、安価で高安定性・高感度な高周波
回路を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主にマイクロ波、
ミリ波帯の無線通信技術における高周波回路に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、無線通信技術における周波数資源
の枯渇にともない、新しく通信システムを構築する場合
に利用可能な周波数域は、日増しに高周波域へと移り変
わってきている。このような状況のもと、マイクロ波・
ミリ波の通信システムへの展開は国内外とも官民共同で
強力に推進されており、例えば、無線LAN、ITS
(Intelligent Transport Sys
tem)で開発されている各種通信システムにおいて
は、数GHzから約100GHzまでという高い周波数
域における使用周波数帯の割り当てが決定されている。
【0003】以上のような利用周波数の高周波化のな
か、マイクロ波・ミリ波帯で充分機能する信頼性の高い
高周波回路の開発が望まれている。ところが、周波数が
高くなるに従い、今まで使用可能とされていた回路構成
・実装技術が十分に機能しなくなる場合があり、新しい
回路構成が必要とされている。以下に、従来の高周波回
路構成の中で、特に配線部の構造について図9及び図1
0を参照しながら説明する。
【0004】図9は従来の高周波回路の配線構造を示す
概念図である。図9において、11は回路A1、12は
回路A2、13は回路B、14は回路C、15は回路
D、16は信号線群を示し各々の回路を接続している。
11回路A1と12回路A2からはそれぞれ3本づつ信
号線がのびており、各信号線は13回路B、14回路
C、15回路Dに分配されている。すなわち、13回路
B、14回路C、15回路Dはそれぞれ11回路A1と
12回路A2に結線されている。この配線構造におい
て、12回路A2から13回路Bと14回路Cへの信号
線は、11回路A1から14回路Cと15回路Dへ伸び
る信号線と交差する。
【0005】そこで、信号線の交差部分を実現するため
に、信号線群16は多層基板を用いた2層の信号線群か
ら構成されており、図9においてそれぞれ実線と破線で
表現されている。すなわち、12回路A2から13回路
B及び14回路Cへの結線は、スルーホールを通じて下
層信号線に結線され、上層にある11回路A1から14
回路C及び15回路Dへの信号線の下を通過したのち、
再びスルーホールによって上層信号線に結線される。
【0006】以上のように構成された高周波回路におい
て、特に配線構造についてその具体的な構成について説
明する。実装・加工方法および製造コストの削減などの
要請から、通常、高周波回路の信号線はマイクロストリ
ップ線路が用いられる。
【0007】図10に、マイクロストリップ線路の断面
構造を表す概念図を示す。図10に示したようにマイク
ロストリップ線路は、下面を金属導体層で覆われた誘電
体平行平板基板の上面に、必要とされる電気特性に応じ
た幅を有するライン状の導体薄膜を配置することにより
構成される。
【0008】しかし、マイクロストリップ線路を伝達す
る電気信号は、マイクロストリップ線路上のみを伝達し
ているのではなく、周囲の空間をも伝わっている。その
ため、マイクロストリップ線路同士の交差を、低い周波
数域で使用されるような簡単なジャンパー線で実現する
ことは不可能である。ゆえに、信号線間に電気的な干渉
が発生しないよう、図9に示したように、多層基板を用
いて配線することによって交差部分を実現する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の配線構造を、マイクロ波・ミリ波帯で実現しよう
とすると、電磁界解析を主体とした配線交差部の綿密な
設計が必要とされるだけでなく、高い加工精度が必要と
なり、コストが増加するという課題を有していた。
【0010】本発明は上記従来の問題点を解決するもの
で、容易かつ安価に信号線の交差部分を実現した高周波
回路を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に、本発明の高周波回路は、信号線の交差部分をマイク
ロストリップ線路とセミリジッドケーブルのように屈曲
可能で低損失な伝送路を積極的に利用した3次元立体配
線構造を有するものである。
【0012】この構成によって、綿密な設計と高い加工
精度を必要としない、安価で高安定性・高感度な高周波
回路を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の請求項1に記載の発明
は、複数の独立な回路と前記回路の間を接続する配線か
ら構成され、前記配線は2次元的配線構造と3次元的配
線構造の両方を具有することを特徴とする高周波回路で
あり、複雑な配線が必要な場合でも自由な接続が容易に
なるという作用を有する。
【0014】請求項2に記載の発明は、配線は、2次元
的配線構造と3次元的配線構造とを用いた交差構造を有
することを特徴とする請求項1記載の高周波回路であ
り、交差配線が必要な複雑な配線でも容易に接続が可能
となるという作用を有する。
【0015】請求項3に記載の発明は、2次元的配線構
造はマイクロストリップ線路を用いて構成され、3次元
的配線構造はセミリジッドケーブルを用いて構成される
請求項1または2記載の高周波回路であり、3次元的配
線構造を任意の形状に形成させることができ、交差配線
における設計を必要とせずに複雑な配線が容易となると
いう作用を有する。
【0016】請求項4に記載の発明は、3次元的配線構
造は、セミリジッドケーブルとコネクタとを用いて予め
形成された1つのユニットであることを特徴とする請求
項1から3のいずれかに記載の高周波回路であり、複雑
な配線が必要な場合でも回路との結線作業が容易になる
という作用を有する。
【0017】請求項5に記載の発明は、セミリジッドケ
ーブルと回路との接続は、マイクロストリップ線路を介
して行われることを特徴とする請求項3または4記載の
高周波回路であり、信号の伝送損失が低くなるという作
用を有する。
【0018】請求項6に記載の発明は、セミリジッドケ
ーブルとマイクロストリップ線路との接続は、前記セミ
リジッドケーブルの心線先端をテーパ状に加工し、前記
マイクロストリップ線路に電気的に接続させたことを特
徴とする請求項3または5記載の高周波回路であり、マ
イクロストリップ線路とセミリジッドケーブルとの接続
による伝送損失が低減されるという作用を有する。
【0019】請求項7に記載の発明は、コネクタは、導
電性を有する固定台にセミリジッドケーブルを固定した
ものであることを特徴とする請求項4記載の高周波回路
であり、セミリジッドケーブルの信号線周囲が確実に接
地でき、他配線による電磁場の影響を受けないという作
用を有する。
【0020】請求項8に記載の発明は、コネクタは、固
定台上に形成された接続用マイクロストリップ線路を有
し、セミリジッドケーブルの心線を前記接続用マイクロ
ストリップ線路に接続したことを特徴とする請求項7に
記載の高周波回路であり、セミリジッドケーブルの心線
を直接回路に接続できない場合でも容易に接続が可能と
なるという作用を有する。
【0021】請求項9に記載の発明は、請求項1から8
のいずれかに記載の高周波回路を用いたことを特徴とす
る無線通信装置であり、回路に高い実装精度が要求され
ない安価な装置を作製することができるという作用を有
する。
【0022】以下、本発明の実施について図面を参照し
ながら説明する。 (実施の形態1)図1は本実施の形態による高周波回路
の配線を示す概念図である。本高周波回路は5つの独立
な回路から構成され、各々の回路は信号線で接続されて
いる。図1において、11は回路A1、12は回路A
2、13は回路B、14は回路C、15は回路D、16
は信号線群をあらわす。11回路A1、12回路A2か
らそれぞれ3本の信号線が出ており、それぞれ13回路
B、14回路C、15回路Dに接続されている。
【0023】図1に示したように、この配線構造で一平
面上に回路を構成しようとすると信号線の交差部分が発
生するが、本実施の形態では、交差部分を、セミリジッ
ドケーブルとマイクロストリップ線路による立体配線を
積極的に利用することにより実現する。セミリジッドケ
ーブルの構造は、図2に示したように、パイプ状の外部
導体の中に、心線と呼ばれる線状導体が誘電体で絶縁さ
れ、封入されている。セミリジッドケーブルはそれ単体
で優れた信号の通過特性を有し、任意の形状に屈曲可能
な伝送線路である。
【0024】図3は本実施に形態による高周波回路の配
線構造を示す概念図である。図3において、17はキャ
リアA、18はキャリアB、19はキャリアC、20は
キャリアD、21はベース板、22はセミリジッドケー
ブル、23はマイクロストリップ線路である。各々のキ
ャリア、ベース板は金属板、あるいはそれに同等な導電
性に優れた部材で作成される。各々の回路とマイクロス
トリップ線路による配線はキャリア上に形成され、それ
らは最終的にベース板21に固定され全体の回路を構成
するとともに、ベース板21を通して全ての回路の接地
が電気的に共通に取れる構造となっている。
【0025】本実施の形態では、11回路A1と12回
路A2は17キャリアA上に、13回路Bは18キャリ
アB上に、14回路Cは19キャリアC上に、15回路
Dは20キャリアD上に構成される。11回路A1と回
路B、C、D、及び、12回路A2と15回路Dとはマ
イクロストリップ線路23で接続され、12回路A2と
回路B、回路Cとはセミリジッドケーブル群22で接続
され、セミリジッドケーブルの外部導体は接地されてい
る。
【0026】セミリジッドケーブル22とマイクロスト
リップ線路23の距離は、回路の実装条件が許す限り広
くとり、マイクロストリップ線路周辺に形成される電磁
場分布がセミリジッド配線により乱さないように考慮し
てある。そのため、セミリジッドケーブル22により生
じるマイクロストリップ線路23の伝送損失は無視でき
る。
【0027】また、上述したように、セミリジッドケー
ブルは信号線周囲が接地されたパイプ状の導体で完全に
覆われているため、マイクロストリップ線路23の影響
によって、信号線である心線の通過損失は生じ得ない。
【0028】図1と図3において、一例として回路数と
それらの信号線数を規定したが、本実施の形態の回路の
特徴はセミリジッドケーブルによる立体配線を積極的に
用いた回路構成であり、回路数と配線数に特に規定はな
く、自由な回路構成をとる事が可能である。また、セミ
リジッドケーブルは、外部への電磁界漏洩がなく伝送損
失の少ない屈曲加工可能な他の伝送線路に置き換えても
よいことは言うまでもない。
【0029】次に、図4を用いて本実施の形態のセミリ
ジッドケーブル配線部の構成について説明する。図4は
セミリジッド配線部の構成を示す概略図である。図4に
おいて24はコネクタA、25はコネクタBを表す。セ
ミリジッドケーブル22は、コネクタA24とコネクタ
B25とを半田付け、あるいは導電性に優れた接着剤な
どで固定し、セミリジッドケーブル配線部のみで一つの
ユニットを構成するようになっている。配線部を1つの
ユニットにしたことによって、他の回路との結線作業が
容易になるという利点が生じる。
【0030】図4において、セミリジッドケーブルの両
端はコネクタA24、コネクタB25が接続されている
が、他の回路との接続方法においてそれらは互いに異な
った構造を持っており、それぞれ図5及び図6を用いて
構成を説明する。
【0031】図5(a)はコネクタA24の概観図、図
5(b)は視点Iから眺めたコネクタA24の概略構成
図である。図5において26はセミリジッドケーブル2
2の心線、27は固定台である。導電性に優れた部材で
作られた固定台27にはセミリジッドケーブル固定用の
2段穴が加工されており、心線を若干残して外部導体と
誘電体を除去したセミリジッドケーブルを挿入すると、
心線26のみ固定台から突出し、他の回路との接続が可
能な構造をとる。セミリジッドケーブル挿入後、半田づ
け、あるいは導電性に優れた接着剤等で固定することに
より、機械的強度の確保、及びセミリジッドケーブルの
外部導体と固定台27との電気的接触が実現される。こ
こで、2段穴の径の小さい方の穴の径は、心線と穴、及
び両者に囲まれる空間とで構成される電送線路の特性イ
ンピーダンスが通常50Ωになるように決定される。こ
れは、セミリジッドケーブルから心線を通して接続され
る他の線路まで間の特性インピーダンスの不連続性をな
くし、異種の線路変換で必ず発生する信号の伝送損失を
低減するためである。
【0032】コネクタA24は心線を回路接続側に突出
した構造となっているが、これは接続される回路の伝送
線路に直接心線が接続されるため、回路とコネクタ間に
余計なインピーダンス変換が発生せず、信号の伝送損失
が低くなるという利点がある。ただし、突出している心
線の長さは他の回路との電気的接触が十分に取れれば長
くする必要はなく、特に高い周波数の信号を伝送する場
合にはむしろ出来るだけ短くするほうが損失も少なく好
ましい。
【0033】次に、コネクタBの構成について図6を参
照しながら説明する。図6(a)はコネクタB25の概
観図、図6(b)は視点Jから眺めたコネクタB25の
概略構成図である。図6において、28は誘電体基板、
29はマイクロストリップ線路である。固定台27はコ
ネクタA24同様に導電性に優れた部材で作成されてお
り、半田付けなどによってセミリジッドケーブル22の
外部導体と同電位になるようになっている。心線のみ露
出したセミリジッドケーブル22が挿入されるコネクタ
Bの固定台27の2段穴加工は、コネクタ24と同様な
概念で構成されている。
【0034】コネクタB25がコネクタA24と異なる
ところは、マイクロストリップ線路29を形成する誘電
体基板28が、固定台27上に固定されている点であ
る。セミリジッドケーブル22を上記2段穴に挿入する
と、心線26がちょうどマイクロストリップ線路29の
中央に位置するようになっており、心線26とマイクロ
ストリップ線路29、固定台27とセミリジッドケーブ
ル22の外部導体を、半田付けあるいは導電性のある接
着剤等でそれぞれ固定することにより、各々が同電位と
なる。
【0035】コネクタB25を介して外部回路と接続す
る場合、外部回路と心線の間にマイクロストリップ線路
が挿入された構造となる。そのため、コネクタAに比べ
若干の信号の伝送損失が生じるのであるが、実装工法上
他の回路に直接心線を接続できない場合には大変便利な
コネクタ構造となる。更に、回路の交換が生じた場合、
セミリジッドケーブル配線部に影響を与えないで交換作
業ができるという利点もあるなど、この構造を採択する
ことにより有益な点が多く得られる。
【0036】心線26とマイクロストリップ線路29と
の接続部においても、24コネクタAと同様な理由か
ら、電気的接触が十分にとれるならば、高周波数信号の
効率のよい伝送の為には出来る限り心線の露出部分をで
きる限り短くとることが望ましい。また、心線26とマ
イクロストリップ線路29との接続部において使用され
る半田、あるいは導電性に優れた接着剤の量は、高周波
信号の伝送損失を軽減する為に出来る限り少なくするほ
うが望ましい。
【0037】図4において、セミリジッドケーブル配線
部は、セミリジッドケーブル22の両端に2種類のコネ
クタを配しているが、配線部に接続される回路の種類に
よりこれらコネクタの組み合わせが自由に選択できるこ
とは言うまでもない。
【0038】次にセミリジッド配線部の加工法について
図7を参照しながら説明する。図7はセミリジッド配線
部の加工手順フローチャートである。作成は、(1)セ
ミリジッドケーブルの曲げ加工、(2)仮焼成、(3)
外部導体除去と心線出し、(4)アセンブリーの4つの
工程に別れる。以下、各工程について説明する。
【0039】まず、(1)セミリジッドケーブルの曲げ
加工について説明する。セミリジッドケーブルの屈曲加
工は、信号の通過特性など電気特性の再現性を確保する
ため、治具を用いて正確に曲げ加工を行なう。治具に
は、予め必要な曲げ形状が刻まれており、プレス加工と
同様に、適当な長さに切り出された未加工のセミリジッ
ドケーブルを治具で押さえつけると、正確な曲げ加工が
できるようになっている。
【0040】次に、(2)仮焼成について説明する。仮
焼成とは、曲げ加工後のセミリジッドケーブルを炉やホ
ットプレート等で一定時間昇温する工程をさす。この加
温工程が必要な理由を以下に述べる。図2で述べたよう
に、セミリジッドケーブル内は、心線と外部導体間の絶
縁と電力電送の役割を果たす誘電体が充填されている。
実装工法や回路構成にも依存するが、回路を作成する工
程の中にはある程度高い温度が回路全体に加えなければ
ならないものもある。その場合セミリジッドケーブル全
体に熱が加わることになるが、誘電体の熱膨張率は大変
大きく、誘電体がセミリジッドケーブルの外部導体の外
部にまで溢れ出すことがある。この誘電体の熱膨張は、
時としてセミリジッドケーブルと接続回路間の断線や信
号の通過特性の変化を生じさせることがある。そこで、
これらの電気特性の劣化を未然に防ぐため、予めセミリ
ジッドケーブルを加温し絶縁体材に熱履歴を与えておく
のである。本工程の加温温度は回路の組み立て時にセミ
リジッドケーブルが経るであろう最高温度に設定する。
焼成時間は、セミリジッドケーブルの切断部から、膨張
した誘電体の伸びが観測されなくなるまでとする。極端
に長時間の焼成は、冷却時に外部導体と絶縁体材間に間
隙を生じさせるため好ましくない。
【0041】(2)の仮焼成後、必要な寸法に合わせ
て、外部導体と誘電体を剥離し心線を露出させる工程
(3)を行なう。心線出しは、心線表面に傷を生じさせ
ないこと、及び外部導体と誘電体の除去面を一致させる
ことに特に注意して、パイプカッターなどの専用工具を
用いて行う。24コネクタA,25コネクタBの構成の
説明においても詳述したが、露出させる心線の長さはセ
ミリジッドケーブルと接続する回路との結線に支障がな
い限り短くする。また、心線の先端を図8に示すように
テーパ形状30に加工すると、特にマイクロストリップ
線路との接続の際に伝送損失が少なくなるという利点が
ある。
【0042】心線26の長さとテーパ形状30に注意を
払うことによって、例えば周波数26GHzにおいて、
外径1.2mm、長さ50mmのセミリジッドケーブル
を長さ10mmのマイクロストリップ線路に接続した場
合、屈曲部分の伝送損失とマイクロストリップ線路の伝
送損失を含めて全体の伝送損失を約0.8dBと低く抑
えることができた。
【0043】外部導体の除去と心線の加工(3)が終了
すると、次はセミリジッドケーブルと固定台の接続工程
(4)に移る。この工程においても、セミリジッド配線
部が1つのユニットとして正確にアセンブリーされる必
要があるので、治具などを用いて正確に行なう。例え
ば、実際にセミリジッドケーブル配線部が接続される回
路構造と同様な固定治具を作成し、その上に固定台とセ
ミリジッドケーブルを配置し、それぞれの形状を設計ど
おり充分正確に組み上げた後、固定台とセミリジッドケ
ーブルを半田付けなどで固定する。
【0044】以上、本実施の形態の回路構成について、
特にその中でもセミリジッドケーブル配線部に重点を置
き説明した。
【0045】次に、本実施の形態の回路を作る為に必要
な洗浄工程と、回路の保護の為に必要な被覆膜について
述べる。
【0046】半田づけを行なう場合、半田の接着領域へ
の濡れ性向上のため、半田付け個所にフラックスを塗布
したり、あるいは、フラックス入りの半田を用いる事が
ほとんどである。回路の実装工程にも依存するが、半田
付け後の残余のフラックスを除去する必要性が生じるこ
とがある。フラックスの除去は通常、回路をアセトンや
イソプロピルアルコール等の有機溶媒の中に浸すことに
よっておこなわれるが、これらの洗浄法によるフラック
スの完全除去は困難である。また、通常の洗浄法では表
面被覆のない高周波用IC表面を汚染し、ボンディング
などの配線が困難になったり電気特性が期待できなくな
る場合がある。そこで、本実施の形態の回路洗浄には、
超音波洗浄浴を用いたトルエン浴5分→アセトン浴5分
→イソプロピルアルコール浴5分という工程を選択し
た。これにより、ICチップ表面を汚染する事なく洗浄
することが可能となった。
【0047】高周波回路を製造する際、ボンディングワ
イヤなどの力学的に弱い部分の固定と耐環境性を向上す
る目的のため、絶縁性に富む樹脂で局所的あるいは全面
を被覆するいわゆる「ポッティング」工程が必要になる
ことがある。上述したが、高周波信号は回路を構成する
導体内を伝わるのではなく、電力のほとんどが導体周囲
の空間を通して伝わっている。その為、樹脂を被覆した
ことによって導体周囲の誘電率の分布が大きく変化する
と回路の特性が劣化する。本実施の形態では、この問題
を回避するため、比誘電率が低く、高い硬化・焼成温度
を必要としないフッ素系の被覆材をポッティング樹脂と
して用いた。また、被覆膜の厚さは力学的強度が期待し
うる範囲で出来る限り薄くし、またポッティング領域も
必要最小限に狭くした。
【0048】以上のように、洗浄法と被覆膜に注意を払
うことにより、安定性と経時変化の少ない回路を得るこ
とが出来る。
【0049】以上のように本実施の形態によれば、高周
波回路中の信号線の交差部分に、マイクロストリップ線
路とセミリジッドケーブルのような屈曲可能な低損失伝
送路の立体配線構造を設ける事によって、電磁界解析を
主体とした詳細な設計が必要とされず、また、高い実装
精度が要求されない上に、配線部における伝送損失の少
ない交差部分が実現された高周波回路を提供する事が可
能となる。
【0050】
【実施例】次に、本発明の具体例を説明する。
【0051】図4に示すセミリジッドケーブル配線部の
ユニットを形成し、別途用意したマイクロストリップ線
路に接続した場合の伝送特性を測定した。ユニットは、
特性測定のために、セミリジッドケーブルの両端にコネ
クタA24を接続したものを作製した。具体的には、セ
ミリジッドケーブル22として、中心導体外径0.28
8mm、絶縁体材外径0.941mm、外部導体外径
1.207mm、長さ25mmを用意し、その両端にコ
ネクタA24を介して長さ7mmの50Ωのマイクロス
トリップ線路を接続した回路により特性を評価した。
【0052】このような評価回路において、周波数2
6.5GHzでの伝送過損は0.6dBであった。ま
た、この配線の中央部にR1.5mm、角度90°の屈
曲加工を2個所施して伝送損失測定を行なっても特に顕
著な変化は観測されなかった。これは、同じ周波数にお
ける、貫通コンデンサとマイクロストリップ線路を用い
た配線の伝送損失が数dB以上あることから考えても、
伝送損失の極めて小さな配線であることを示している。
この配線を利用する事により得られる利得の数dBは、
同周波数における増幅器1段に匹敵し、回路構成の簡略
化・素子数の低減が可能となる。
【0053】したがってこの結果から、本発明により、
回路の安定性の確保と実装・調整の容易さにおいて極め
て有効な効果が得られ、安価に信頼性の高い高周波回路
が得られることが確認できた。
【0054】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、高周波回
路中の信号線の交差部分に、マイクロストリップ線路と
セミリジッドケーブルのような屈曲可能な低損失伝送路
の立体配線構造を設ける事によって、詳細な特性解析や
設計が必要とされず、また、高い実装精度が要求されな
い、安価で高安定性・高感度の高周波回路を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による高周波回路の配線
を示す概念図
【図2】本発明の一実施の形態によるセミリジッドケー
ブルの構造を示す概略図
【図3】本発明の一実施の形態による高周波回路の配線
構造を示す概略図
【図4】本発明の一実施の形態によるセミリジッド配線
部の構成を示す概略図
【図5】(a)本発明の一実施の形態によるコネクタA
の接続部を示す斜視図(b)本発明の一実施の形態によ
るコネクタAを視点Iから見たときの概略図
【図6】(a)本発明の一実施の形態によるコネクタB
の接続部を示す斜視図(b)本発明の一実施の形態によ
るコネクタBを視点Iから見たときの概略図
【図7】本発明の一実施の形態によるセミリジッド配線
部の加工手順を示すフローチャート
【図8】本発明の一実施の形態によるセミリジッドケー
ブル心線の先端加工を示す概略図
【図9】従来の高周波回路の配線を示す概念図
【図10】従来の高周波回路によるマイクロストリップ
線路の構造を示す概略図
【符号の説明】
11 回路A1 12 回路A2 13 回路B 14 回路C 15 回路D 16 信号線群 17 キャリアA 18 キャリアB 19 キャリアC 20 キャリアD 21 ベース板 22 セミリジッドケーブル 23、29 マイクロストリップ線路 24 コネクタA 25 コネクタB 26 心線 27 固定台 28 誘電体基板 30 テーパ形状

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の独立な回路と前記回路の間を接続
    する配線から構成され、前記配線は2次元的配線構造と
    3次元的配線構造の両方を具有することを特徴とする高
    周波回路。
  2. 【請求項2】 配線は、2次元的配線構造と3次元的配
    線構造とを用いた交差構造を有することを特徴とする請
    求項1記載の高周波回路。
  3. 【請求項3】 2次元的配線構造はマイクロストリップ
    線路を用いて構成され、3次元的配線構造はセミリジッ
    ドケーブルを用いて構成される請求項1または2記載の
    高周波回路。
  4. 【請求項4】 3次元的配線構造は、セミリジッドケー
    ブルとコネクタとを用いて予め形成された1つのユニッ
    トであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに
    記載の高周波回路。
  5. 【請求項5】 セミリジッドケーブルと回路との接続
    は、マイクロストリップ線路を介して行われることを特
    徴とする請求項3または4記載の高周波回路。
  6. 【請求項6】 セミリジッドケーブルとマイクロストリ
    ップ線路との接続は、前記セミリジッドケーブルの心線
    先端をテーパ状に加工し、前記マイクロストリップ線路
    に電気的に接続させたことを特徴とする請求項3または
    5記載の高周波回路。
  7. 【請求項7】 コネクタは、導電性を有する固定台にセ
    ミリジッドケーブルを固定したものであることを特徴と
    する請求項4記載の高周波回路。
  8. 【請求項8】 コネクタは、固定台上に形成された接続
    用マイクロストリップ線路を有し、セミリジッドケーブ
    ルの心線を前記接続用マイクロストリップ線路に接続し
    たことを特徴とする請求項7に記載の高周波回路。
  9. 【請求項9】 請求項1から8のいずれかに記載の高周
    波回路を用いたことを特徴とする無線通信装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014082593A (ja) * 2012-10-15 2014-05-08 Nippon Dempa Kogyo Co Ltd 高周波信号発生器

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JP2014082593A (ja) * 2012-10-15 2014-05-08 Nippon Dempa Kogyo Co Ltd 高周波信号発生器

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