JP2000011348A - 磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

磁気ヘッド及びその製造方法

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JP2000011348A
JP2000011348A JP10181022A JP18102298A JP2000011348A JP 2000011348 A JP2000011348 A JP 2000011348A JP 10181022 A JP10181022 A JP 10181022A JP 18102298 A JP18102298 A JP 18102298A JP 2000011348 A JP2000011348 A JP 2000011348A
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magnetic head
slider
adhesive
filler
magnetic
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English (en)
Inventor
Tomohiko Osaka
智彦 大坂
Yoshikazu Sakurai
義和 桜井
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Mitsumi Electric Co Ltd
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Mitsumi Electric Co Ltd
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  • Adjustment Of The Magnetic Head Position Track Following On Tapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は磁気ヘッド部をスライダーにより支持
する構成とされた磁気ヘッドに関し、環境温度の変化に
拘わらず安定した磁気記録再生処理を行うことを課題と
する。 【解決手段】可撓性を有する第1の媒体に対し記録再生
を行なう第1の磁気ヘッド部12と、可撓性を有すると
共に前記第1の媒体に対し低い保持力を有した第2の媒
体に対し記録再生を行なう第2の磁気ヘッド部14と、
この第1及び第2の磁気ヘッド部12,14を保持する
スライダー16とを具備する磁気ヘッドにおいて、前記
第2の磁気ヘッド部14を接着剤34を用いてスライダ
ー16に保持させると共に、この接着剤34にフィラー
を含有させてスライダー16の熱膨張率と接着剤34の
実質的な熱膨張率とが整合するよう構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気ヘッドに係り、
特に磁気ヘッド部をスライダーにより支持する構成とさ
れた磁気ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、磁気記録媒体として保磁力が9
00エルステッド(Oe)以下の可撓性を有した磁気デ
ィスク(以下、通常磁気ディスクという)を用いる通常
の磁気ディスク装置(以下、通常磁気ディスク装置とい
う)は、磁気ディスクの回転速度が低速回転(300r
pm)であるため、磁気ヘッドを直接磁気ディスクに摺
接させて磁気記録再生処理を行なうことが行なわれてい
る。
【0003】しかるに、近年では磁気ディスクに対する
高密度記録化が進んでおり、これに伴い磁気ディスクの
回転速度を速くし(例えば、3000rpm)、かつ磁
気ディスクの保磁力を1500エルステッド(Oe)以
上とする(以下、この磁気ディスクを高容量磁気ディス
クという)と共に、磁気ヘッドを狭ギャップ化した磁気
ディスク装置(以下、大容量磁気ディスク装置という)
が提供されている。
【0004】この大容量磁気ディスク装置では、ディス
ク回転速度が速いため、通常磁気ディスク装置のように
磁気ヘッドを通常磁気ディスクに直接摺接させる方法で
は、磁気ディスク及び磁気ヘッドが損傷してしまうおそ
れがある。このため、この種の大容量磁気ディスク装置
では、磁気ヘッドのスライダー表面と磁気ディスクとの
間の相対速度により生じた空気流の変化によって得られ
る浮上力により磁気ヘッドを高容量磁気ディスクに対し
浮上させ、非接触状態を保ちつつ磁気記録又は再生を行
なう方式が採用されている。
【0005】更に近年では、上記した通常磁気ディスク
と高容量磁気ディスクを1台の磁気ディスク装置で記録
再生処理を行いうるよう構成された、いわゆるコンパチ
ブルタイプの磁気ディスク装置(以下、コンパチブル磁
気ディスク装置という)が提供されるようになってきて
いる。このコンパチブル磁気ディスク装置では、通常磁
気ディスクと高容量磁気ディスクとの双方を用いること
ができるため、使用性を向上させることができる。
【0006】また、コンパチブル磁気ディスク装置に設
けられる磁気ヘッドは、通常磁気ディスクに対応した磁
気ヘッド部(以下、通常用磁気ヘッド部という)と、高
容量磁気ディスクに対応した磁気ヘッド部(以下、高容
量用磁気ヘッド部という)とを共に有した構成とされて
いる。具体的には、各磁気ヘッド部は浮上用の中央溝が
形成されたスライダー(例えば、セラミック等により形
成されている)に配設されており、またその配設位置は
中央溝を挟んでその両側位置に選定された構成とされて
いる。
【0007】特に、通常用磁気ヘッド部は、高容量用磁
気ヘッド部に対して広いギャップであるためバルクタイ
プのヘッド構造とされており、スライダーを構成するス
ライダー本体部と板状のスライダー側片部との間に、エ
ポキシ系の接着剤を用いて挟み込むように接着されるこ
ととにより、スライダーに固定される構成とされてい
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、上記した従
来の磁気ヘッドのように、通常用磁気ヘッド部をスライ
ダーを構成するスライダー本体部とスライダー側片部と
の間に接着剤を用いて接合した構成では、エポキシ樹脂
の硬化後の熱膨張率が大きく、磁気ヘッドが設けられた
コンパチブル磁気ディスク装置の動作保証温度範囲内に
おいて、通常用磁気ヘッド部の配設側における摺動面状
態が微小な変化を起こすという問題点があった。
【0009】即ち、動作保証温度範囲内の特に高温側で
は、エポキシ樹脂は熱膨張し、これによりエポキシ樹脂
が磁気ディスクとの摺接面に突出したり、また通常用磁
気ヘッド部とスライダー(スライダー本体部,スライダ
ー側片部)との間に段差が発生する現象が発生する。こ
のように、摺接面の状態が悪化すると、磁気記録再生時
(摺接時)に通常磁気ディスクに傷が発生したり、また
適正な記録再生処理が行われないおそれがあるという問
題点が生じる。
【0010】尚、上記の問題点は、磁気ヘッドと磁気デ
ィスクが摺接した状態で磁気記録再生処理を行う、通常
磁気ヘッド部の配設位置において特に問題となるもので
ある。本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、
環境温度の変化に拘わらず安定した磁気記録再生処理を
行いうる磁気ヘッドを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明では、次の手段を講じたことを特徴とするもの
である。請求項1記載の発明では、可撓性を有する第1
の媒体に対し記録再生を行なう第1の磁気ヘッド部と、
可撓性を有すると共に前記第1の媒体に対し低い保持力
を有した第2の媒体に対し記録再生を行なう第2の磁気
ヘッド部と、前記第1及び第2の磁気ヘッド部を保持す
るスライダーとを具備する磁気ヘッドにおいて、前記第
2の磁気ヘッド部を接着剤を用いて前記スライダーに保
持させると共に、該接着剤にフィラーを含有させ、前記
スライダーの熱膨張率と前記接着剤の実質的な熱膨張率
とを整合させたことを特徴とするものである。
【0012】また、請求項2記載の発明では、可撓性を
有する第1の媒体に対し記録再生を行なう第1の磁気ヘ
ッド部と、可撓性を有すると共に前記第1の媒体に対し
低い保持力を有した第2の媒体に対し記録再生を行なう
第2の磁気ヘッド部と、前記第1及び第2の磁気ヘッド
部を保持するスライダーとを具備する磁気ヘッドにおい
て、前記第2の磁気ヘッド部を接着剤を用いて前記スラ
イダーに保持させると共に、該接着剤にフィラーを50
%以上かつ80%以下含有させたことを特徴とするもの
である。
【0013】また、請求項3記載の発明では、前記請求
項1または2記載の磁気ヘッドにおいて、前記フィラー
は、前記接着剤よりも熱膨張係数が低い材質よりなるこ
とを特徴とするものである。また、請求項4記載の発明
では、前記請求項1乃至3のいずかに記載の磁気ヘッド
において、前記フィラーは略球形状であり、かつその径
寸法が1μm以下であることを特徴とするものである。
【0014】更に、請求項5記載の発明では、可撓性を
有する第1の媒体に対し記録再生を行なう第1の磁気ヘ
ッド部をスライダに取り付ける第1のヘッド取付工程
と、可撓性を有すると共に前記第1の媒体に対し低い保
持力を有した第2の媒体に対し記録再生を行なう第2の
磁気ヘッド部を前記スライダに取り付ける第2のヘッド
取付工程とを具備する磁気ヘッドの製造方法であって、
前記第2のヘッド取付工程は、前記スライダーを構成す
るスライダー本体部と前記第2の磁気ヘッド部との間、
及び前記スライダーを構成するスライダー側片部と前記
第2の磁気ヘッド部との間に1μm以下の微細な間隙が
形成されるよう、前記スライダー本体部と前記スライダ
ー側片部の間に前記第2の磁気ヘッド部を配置する工程
と、前記各間隙内に1μmを越えるフィラー及び1μm
以下のフィラーが共に混在する接着材を導入し、前記間
隙をフィルターとして前記1μm以下のフィラーのみを
前記間隙内に前記接着材と共に装填する工程とを有する
ことを特徴とするものである。
【0015】上記の各手段は、次のように作用する。請
求項1記載の発明によれば、第2の磁気ヘッド部を接着
剤を用いてスライダーに保持させると共に、この接着剤
にフィラーを含有させ、スライダーの熱膨張率と接着剤
の実質的な熱膨張率とを整合させたことにより、磁気ヘ
ッドを用いる環境温度が変化したとしても接着剤に発生
する熱膨張はスライダーの熱膨張と略等しいため、磁気
ヘッドの摺接面で接着剤が突出或いは窪んだり、また第
2の磁気ヘッド部とスライダーとの間に段差が形成され
ることを抑制できる。これにより、媒体に損傷が発生す
ることを防止できると共に、常に安定した磁気記録再生
を実現することができる。 また、請求項2記載の発明
によれば、第2の磁気ヘッド部を接着剤を用いてスライ
ダーに保持させると共に、この接着剤にフィラーを50
%以上かつ80%以下含有させたことにより、フィラー
を含めた接着剤全体としての実質的な熱膨張を低くする
ことができる。
【0016】よって、磁気ヘッドを用いる環境温度が高
くなっても、接着剤に発生する熱膨張率を抑制すること
ができ、磁気ヘッドの摺接面に接着剤が突出したり、ま
た第2の磁気ヘッド部とスライダーとの間に段差が形成
されることを抑制できる。これにより、媒体に損傷が発
生することを防止できると共に、常に安定した磁気記録
再生を実現することができる。
【0017】また、請求項3記載の発明によれば、フィ
ラーとして接着剤よりも熱膨張係数が低い材質を用いた
ことにより、環境温度が高くなり接着剤が熱膨張をしよ
うとしても、接着剤よりも熱膨張係数が低いフィラーが
接着剤の熱膨張を阻止する機能を奏するため、フィラー
を含めた接着剤全体としての実質的な熱膨張を確実に低
くすることができる。
【0018】また、請求項4記載の発明によれば、フィ
ラーの形状を略球形状とすると共に、その径寸法を1μ
m以下にしたことにより、フィラーを接着剤に含有させ
ても第2の磁気ヘッド部とスライダーとを良好な状態で
接着することができる。即ち、接着剤の厚さは、第2の
磁気ヘッド部とスライダーとを固定するに足る最小の厚
さとすることが望ましく、具体的には1μm以下である
ことが望ましい。これは、第2の磁気ヘッド部及びスラ
イダーに対し安定性が劣る接着剤の配設量を可能な限り
少なくすることにより、磁気ヘッドの信頼性を向上させ
るためである。
【0019】よって、接着剤に混入されるフィラーの形
状を略球形状とすると共にその径寸法を1μm以下とす
ることにより、フィラーを含有させても第2の磁気ヘッ
ド部とスライダーとの間に介在する接着剤の厚さを1μ
m以下とすることができ、磁気ヘッドの安定性及び信頼
性を向上させることができる。更に、請求項5記載の発
明によれば、可撓性を有する第2の媒体に対し記録再生
を行なう第2の磁気ヘッド部をスライダに取り付ける第
2のヘッド取付工程において、スライダー本体部と第2
の磁気ヘッド部との間、及びスライダー側片部と第2の
磁気ヘッド部との間に1μm以下の微細な間隙が形成さ
れるよう、スライダー本体部とスライダー側片部の間に
第2の磁気ヘッド部を配置し、この各間隙内に1μmを
越えるフィラー及び1μm以下のフィラーが共に混在す
る接着材を導入することにより、この接着材の導入に際
し間隙はフィルターとして機能する。
【0020】これにより、大小各種大きさを有したフィ
ラーの内、間隙の寸法以下(即ち、1μm以下)のフィ
ラーのみが間隙内に接着材と共に装填されるため、よっ
て第2の磁気ヘッド部とスライダーとの間に介在する接
着剤の厚さを容易かつ確実に1μm以下とすることがで
きる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面と共に説明する。図1及び図2は、本発明の一実
施例である磁気ヘッド10を示している。図1は磁気ヘ
ッド10の斜視図であり、図2は磁気ヘッド10の平面
図である。この磁気ヘッド10は、大略すると第1の磁
気ヘッド部12,第2の磁気ヘッド部14,及びスライ
ダー16等により構成されている。尚、各図において本
来必要なコイル及び閉磁路構成については、その図示を
省略している。
【0022】第1及び第2の磁気ヘッド部12,14
は、スライダー16に形成された空気ベアリング面2
0,22に配設されている。この一対の磁気ヘッド部1
2,14の内、第1の磁気ヘッド部12は大容量磁気記
録再生処理用の磁気ヘッドであり、例えば保持力が15
00エルステッド(Oe)以上の磁気ディスク(媒体)
に対応しうる構成とされている。
【0023】また、第2の磁気ヘッド部14は通常の磁
気記録再生処理を行なうための磁気ヘッドであり、例え
ば保持力が600〜700(Oe)の磁気ディスクに対
応しうる構成とされている。この第2の磁気ヘッド部1
4は、磁気ヘッドコア30をギャップ材を介して突き合
わせることにより、記録再生ギャップ(R/Wギャッ
プ)とイレーズギャップ(Eギャップ)を形成した構成
とされている。即ち、本実施例に係る磁気ヘッド10
は、通常の磁気記録再生処理と、大容量の磁気記録再生
処理の双方を実施できる、いわゆるコンパチブルタイプ
の磁気ヘッド構造とされている。
【0024】スライダー16は、例えばセラミックより
なるブロック状の部材であり、前記した第1及び第2の
磁気ヘッド部12,14を支持する機能と、大容量磁気
記録再生処理を行う際に磁気ディスクに対し磁気ヘッド
10を浮上させる機能を奏するものである。このスライ
ダー16は、大略するとスライダー本体部36と板状の
スライダー側片部38とにより構成されている。また、
スライダー16には、中央溝18,第1の空気ベアリン
グ面20,第2の空気ベアリング面22,傾斜面26,
及び面取り部28等が形成された構成とされている。
【0025】中央溝18は、スライダー16の上面の幅
方向中央位置(図中、矢印Y1,Y2方向に対する中央
位置)において、磁気ディスクの移動方向(図中、矢印
X1,X2方向)に沿って延在するよう形成されてい
る。この中央溝18を形成することにより、スライダー
16の中央溝18を挟んだ両側部には第1及び第2の空
気ベアリング面20,22が形成される。
【0026】磁気ヘッド10が磁気ディスクに対して良
好な状態で浮上するためには、スライダー16と磁気デ
ィスクとの間に発生する空気流を滑らかな流れとする必
要がある。このため、この第1及び第2の空気ベアリン
グ面20,22の上面は、高精度の平滑面とする必要が
ある。また、スライダー16のリーディング側(図中、
矢印X2方向側で、磁気ディスクが進入する側)の端部
には、所定範囲に渡り傾斜面26が形成されている。こ
の傾斜面26は、第1及び第2の空気ベアリング面2
0,22の面方向に対し、所定傾斜角度を有するよう構
成されている。
【0027】このように、磁気ディスクが進入する位置
であるスライダー16のリーディング側に傾斜面26を
形成することにより、磁気ディスクとスライダー16が
強く衝突することを防止することができる。尚、以下の
説明において、磁気ディスクが進入する側であるスライ
ダー16の図中矢印X1方向側の端部をトレーリィング
側エッジ17Bといい、また磁気ディスクが排出される
側であるスライダー16の図中矢印X2方向側の端部を
リーディング側エッジ17Aというものとする。
【0028】更に、第1及び第2の空気ベアリング面2
0,22の外周位置には、面取り部28が形成されてい
る。この面取り部28を形成することによっても、磁気
ヘッド10の浮上時において、磁気ディスクとスライダ
ー16とが強く衝突することを防止することができる。
大容量磁気ディスクに対して記録再生処理を行う場合に
は、大容量磁気ディスクの回転速度が早くなるため、ス
ライダー16の各空気ベアリング面20,22と磁気デ
ィスクとの間の相対速度も速くなる。これにより生じた
空気流の変化により得られる浮上力により、上記構成と
された磁気ヘッド10は磁気ディスクに対し浮上し、非
接触状態を保ちつつ磁気ディスクに対し磁気記録再生を
行なう構成とされている。
【0029】これに対し、通常の容量を有する磁気ディ
スクに対して記録再生処理を行う場合には、大容量磁気
記録再生処理に比べてディスクの回転速度は遅くなり、
よってスライダー16の各空気ベアリング面20,22
と磁気ディスクとの間の相対速度も遅くなり、磁気ディ
スクと第2の磁気ヘッド部14は摺接しつつ磁気記録再
生を行なう構成とされている。
【0030】従って、特に第2の磁気ヘッド部14によ
り通常磁気記録再生処理を行う場合、第2の磁気ヘッド
部14の近傍における磁気ディスクとの摺接面を良好な
平坦面とする必要がある。ここで、スライダー16に対
する第2の磁気ヘッド部14の支持構造に注目し、以下
説明する。
【0031】前記したように、第2の磁気ヘッド部14
は、例えば保持力が600〜700(Oe)の通常用の
磁気ディスクに対し磁気記録再生処理を行うため、その
磁気ギャップは比較的広くなっており、よっていわゆる
バルクタイプの磁気ヘッド構造とされている。この第2
の磁気ヘッド部14は、スライダー16に接着剤34を
用いて固定される(尚、磁気ヘッド10の製造方法につ
いては、後に詳述するものとする) 本実施例では、第2の磁気ヘッド部14をスライダー1
6に保持する際用いる接着剤34に、フィラーを含有さ
せたことを特徴とするものである。本実施例では、この
フィラーとして微細球状のシリカを用いてるが、セラミ
ック等の他の材質のものを用いることも可能である。
【0032】また、接着剤34に含有されるフィラー
は、その特性として、接着剤34よりも熱膨張係数が低
い材質が選定されている。このように、接着剤34より
も熱膨張係数が低い材質よりなるフィラーを接着剤34
に含有させることにより、磁気ヘッド10が用いられる
環境温度が高くなり接着剤34が熱膨張をしようとして
も、フィラーが接着剤34の熱膨張を阻止する機能を奏
する。このため、フィラーを含めた接着剤34全体とし
ての硬化後の実質的な熱膨張(以下、実質熱膨張とい
う)を低くすることができる。
【0033】上記のように、接着剤34にフィラーを含
有させることにより、実質熱膨張を低くすることができ
るが、本実施例ではスライダー16が有する熱膨張率
(即ち、本実施例の場合にはセラミックの熱膨張率)と
接着剤34の実質熱膨張率とが整合するよう構成したこ
とを特徴としている。ここで、接着剤34の実質熱膨張
率とフィラーの含有量との関係について考察する。図3
は、接着剤34としてエポキシ系接着剤を用いると共
に、フィラーとしてシリカを用いた場合の、実質熱膨張
率とフィラーの含有量との関係を示している。尚、同図
において、横軸はフィラーの充填含量を重量百分率(以
下、フィラー含有率という)として示しており、また縦
軸は実質的膨張率を示している。更に、図中α1 〜α2
で示す範囲は、磁気ヘッド10の通常使用環境における
スライダー16の許容熱膨張率の範囲である。
【0034】同図に示すように、フィラー含有率が少な
い場合には、接着剤34の特性が強く現れ、よって実質
的膨張率は高くなっている。従って、このように実質的
膨張率が高い接着剤を用いた場合には、従来技術の項で
説明したように、環境温度が高くなることにより硬化し
た接着剤が摺動面から突出したり、またスライダーと第
2の磁気ヘッド部との間に段差が形成される不都合が発
生する。
【0035】これに対し、フィラー含有率を高めていく
と、これに伴い実質的膨張率は漸次低くなっていく。し
かるに、実質的膨張率の変化は、単にフィラー含有率の
みにより決定されるものではないため、図示されるよう
にリニアではない複雑な特性を示す。このように、フィ
ラー含有率を可変することにより実質熱膨張を調整する
ことができるが、上記のように本実施例ではスライダー
16に許容される熱膨張率の範囲と接着剤34の実質熱
膨張率とを整合させるため、フィラー含有率を50%以
上で、かつ80%以下に設定している。即ち、接着剤3
4にフィラーを重量百分率にして50%以上かつ80%
以下含有させた構成としている。
【0036】この設定することにより、図3に示される
ように、スライダー16の許容熱膨張率と接着剤34の
実質熱膨張率は近似した値となり、磁気ヘッド10を用
いる環境温度が変化したとしても、第2の磁気ヘッド部
14近傍の摺接面において接着剤14が突出或いは窪ん
だり、また第2の磁気ヘッド部14とスライダー16
(スライダー本体部36,スライダー側片部38)との
間に段差が形成されることを抑制できる。これにより、
通常の磁気記録再生処理時に磁気ディスクに損傷が発生
することを防止できると共に、常に安定した磁気記録再
生を実現することが可能となる。
【0037】尚、図3に示す特性は、フィラーの材質を
代えても略同様の特性を示すこととなる。また、スライ
ダー16の材質としては、セラミックが一般的である。
よって、フィラーの材質に拘わらずフィラー含有率を一
律に50%以上で、かつ80%以下に設定しても、前記
した効果を得ることができる。また本実施例では、フィ
ラーの形状を略球形状とすると共に、その径寸法を1μ
m以下となるよう設定している。この構成とすることに
より、第2の磁気ヘッド部14とスライダー16とを良
好な状態で接着することができる。以下、フィラーの形
状を略球形状とすると共にその径寸法を1μm以下とす
ることにより良好な接着が行える理由、及び磁気ヘッド
10に配設される接着材34に径寸法が1μm以下のフ
ィラーのみが含まれるよう磁気ヘッドを製造する方法に
ついて説明する。
【0038】接着剤34の厚さは、第2の磁気ヘッド部
14とスライダー16とを固定するに足る最小の厚さと
することが望ましく、具体的には1μm以下であること
が望ましい。これは、接着剤34は、第2の磁気ヘッド
部14及びスライダー16に対して安定性が劣るため、
その配設量を可能な限り少なくする方が磁気ヘッド10
の信頼性を向上するためには有利であるからである。
【0039】いま、仮にフィラーの形状が不定型でかつ
1μm以上の大きさを有していたとすると、このフィラ
ーを含有した接着剤が第2の磁気ヘッド部14とスライ
ダー16との間に介在すると、接着剤の厚さは1μm以
上となってしまう。そこで、本実施例では、磁気ヘッド
10の製造工程において、径寸法が1μm以下のフィラ
ーのみが第2の磁気ヘッド部14とスライダー16との
間に介装されるよう構成している。
【0040】以下、この磁気ヘッド10の製造方法につ
いて説明する。尚、磁気ヘッド10の製造工程には、第
1の磁気ヘッド部12をスライダ16に取り付ける第1
のヘッド取付工程と、第2の磁気ヘッド部14をスライ
ダ16に取り付ける第2のヘッド取付工程とを有する
が、本実施例では第2のヘッド取付工程に特徴を有する
ものである。よって、以下の説明では、第2の磁気ヘッ
ド部14をスライダ16に取り付ける第2のヘッド取付
工程についてのみ説明し、第1のヘッド取付工程を含め
従来の製造方法と同様の製造工程についてはその説明を
省略するものとする。
【0041】第2のヘッド取付工程では、先ずスライダ
ー16を構成するスライダー本体部36と第2の磁気ヘ
ッド部14との間、及び同じくスライダー16を構成す
るスライダー側片部38と第2の磁気ヘッド部14との
間に1μm以下の微細な間隙が形成されるよう、スライ
ダー本体部36とスライダー側片部38の間に第2の磁
気ヘッド部14を配置する。このように、スライダー本
体部36及びスライダー側片部38と第2の磁気ヘッド
部14との間に上記間隙を形成する処理は、位置決め治
具を用いることにより、比較的容易に実現することがで
きる。
【0042】続いて、第2の磁気ヘッド部14の両側に
形成された各間隙内にフィラーが混入された接着材34
を導入する。この時に導入されるフィラーは、径寸法が
1μmを越えるもの、及び径寸法が1μm以下のものが
共に混在したものである。このように種々の径寸法を有
したフィラーが混入しているのは、フィラーはその製造
段階において種々の径寸法のものが製造されるものであ
り、またこの各種径寸法を有したフィラーから特定の径
寸法を有したフィラーのみを取り出すことは、実質上困
難であるからである。
【0043】ところで、上記したように、本実施例に係
る製造方法では、接着材34を導入する前に、予めスラ
イダー本体部36と第2の磁気ヘッド部14との間、及
びスライダー側片部38と第2の磁気ヘッド部14との
間に1μm以下の微細な間隙が形成されている。よっ
て、この各間隙内に径寸法が1μmを越えるフィラー及
び1μm以下のフィラーが共に混在する接着材34を導
入すると、間隙はフィルターとして機能し、大小各種大
きさを有したフィラーの内、間隙の寸法以下(即ち、1
μm以下)のフィラーのみが間隙内に接着材34と共に
装填される。これにより、第2の磁気ヘッド部14とス
ライダー16との間に介在する接着剤34の厚さを1μ
m以下とすることができる。
【0044】また、単に大小各種大きさを有したフィラ
ーを含有する接着材34を間隙に装填するだけで、自動
的に1μm以下のフィラーのみが間隙内に接着材34と
共に装填されるため、極めて容易かつ確実に第2の磁気
ヘッド部14とスライダー16との間に配設される接着
材34の厚さを1μm以下とすることができる。尚、従
来より樹脂にフィラーを含有させることは通常行われて
いるが、これは樹脂の補強を目的としているものが殆ど
である。また、樹脂の中でも、接着剤にフィラーを含有
させることは余り実施されていない。
【0045】しかるに、稀にではあるが、接着剤にフィ
ラーを含有させたものも見受けられが、これは接着剤の
接着力を強化する目的にフィラーを含有したものであ
る。よって、このようなフィラーの接着剤への添加は、
本発明のように接着剤の実質熱膨張率を可変するために
フィラーを含有させる構成とは、全く構成を異にするも
であることを付記しておく。
【0046】
【発明の効果】上述の如く本発明によれば、次に述べる
種々の効果を実現することができる。請求項1記載の発
明によれば、磁気ヘッドを用いる環境温度が変化したと
しても、接着剤に発生する熱膨張はスライダーの熱膨張
と略等しいため、接着剤配設位置に凹凸が発生したり、
また第2の磁気ヘッドコアとスライダーとの間に段差が
形成されることを抑制できる。よって、媒体の損傷防止
を図れると共に、常に安定した磁気記録再生を実現する
ことができる。
【0047】また、請求項2記載の発明によれば、磁気
ヘッドを用いる環境温度が高くなっても、接着剤に発生
する熱膨張率を抑制することができ、磁気ヘッドの摺接
面に接着剤が突出したり、また第2の磁気ヘッドコアと
スライダーとの間に段差が形成されることを抑制でき
る。よって、媒体の損傷防止を図れると共に、常に安定
した磁気記録再生を実現することができる。
【0048】また、請求項3記載の発明によれば、環境
温度が高くなり接着剤が熱膨張をしようとしても、接着
剤よりも熱膨張係数が低いフィラーが接着剤の熱膨張を
阻止する機能を奏するため、フィラーを含めた接着剤全
体としての実質的な熱膨張を確実に低くすることができ
る。また、請求項4記載の発明によれば、フィラーを含
有させても第2の磁気ヘッドコアとスライダーとの間に
介在する接着剤の厚さを1μm以下とすることができ、
磁気ヘッドの安定性及び信頼性を向上させることができ
る。
【0049】更に、請求項5記載の発明によれば、大小
各種大きさを有したフィラーの内、間隙の寸法以下(即
ち、1μm以下)のフィラーのみが間隙内に接着材と共
に装填されるため、よって第2の磁気ヘッド部とスライ
ダーとの間に介在する接着剤の厚さを容易かつ確実に1
μm以下とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である磁気ヘッドの斜視図で
ある。
【図2】本発明の一実施例である磁気ヘッドの平面図で
ある。
【図3】フィラー含有率と実質熱膨張率との関係を示す
図である。
【符号の説明】
10 磁気ヘッド 12 第1の磁気ヘッド部 14 第2の磁気ヘッド部 16 スライダー 18 中央溝 20 第1の空気ベアリング面 22 第2の空気ベアリング面 30 磁気ヘッドコア 34 接着剤 36 スライダー本体部 38 スライダー側片部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性を有する第1の媒体に対し記録再
    生を行なう第1の磁気ヘッド部と、 可撓性を有すると共に前記第1の媒体に対し低い保持力
    を有した第2の媒体に対し記録再生を行なう第2の磁気
    ヘッド部と、 前記第1及び第2の磁気ヘッド部を保持するスライダー
    とを具備する磁気ヘッドにおいて、 前記第2の磁気ヘッド部を接着剤を用いて前記スライダ
    ーに保持させると共に、 該接着剤にフィラーを含有させ、前記スライダーの熱膨
    張率と前記接着剤の実質的な熱膨張率とを整合させたこ
    とを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 可撓性を有する第1の媒体に対し記録再
    生を行なう第1の磁気ヘッド部と、 可撓性を有すると共に前記第1の媒体に対し低い保持力
    を有した第2の媒体に対し記録再生を行なう第2の磁気
    ヘッド部と、 前記第1及び第2の磁気ヘッド部を保持するスライダー
    とを具備する磁気ヘッドにおいて、 前記第2の磁気ヘッド部を接着剤を用いて前記スライダ
    ーに保持させると共に、 該接着剤にフィラーを50%以上かつ80%以下含有さ
    せたことを特徴とする磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の磁気ヘッドにお
    いて、 前記フィラーは、前記接着剤よりも熱膨張係数が低い材
    質よりなることを特徴とする磁気ヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずかに記載の磁気ヘ
    ッドにおいて、 前記フィラーは略球形状であり、かつその径寸法が1μ
    m以下であることを特徴とする磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 可撓性を有する第1の媒体に対し記録再
    生を行なう第1の磁気ヘッド部をスライダに取り付ける
    第1のヘッド取付工程と、 可撓性を有すると共に前記第1の媒体に対し低い保持力
    を有した第2の媒体に対し記録再生を行なう第2の磁気
    ヘッド部を前記スライダに取り付ける第2のヘッド取付
    工程とを具備する磁気ヘッドの製造方法であって、 前記第2のヘッド取付工程は、 前記スライダーを構成するスライダー本体部と前記第2
    の磁気ヘッド部との間、及び前記スライダーを構成する
    スライダー側片部と前記第2の磁気ヘッド部との間に1
    μm以下の微細な間隙が形成されるよう、前記スライダ
    ー本体部と前記スライダー側片部の間に前記第2の磁気
    ヘッド部を配置する工程と、 前記各間隙内に1μmを越えるフィラー及び1μm以下
    のフィラーが共に混在する接着材を導入し、前記間隙を
    フィルターとして前記1μm以下のフィラーのみを前記
    間隙内に前記接着材と共に装填する工程とを有すること
    を特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9265179B2 (en) 2013-12-04 2016-02-16 International Business Machines Corporation Continuous loop cooling for an electronic device
US9277677B2 (en) 2013-12-04 2016-03-01 International Business Machines Corporation Cooling an electronic device using a thermally conductive loop

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