JP2000007026A - ブリスタ−パック包装体の蓋材用シート - Google Patents

ブリスタ−パック包装体の蓋材用シート

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JP2000007026A
JP2000007026A JP10189698A JP18969898A JP2000007026A JP 2000007026 A JP2000007026 A JP 2000007026A JP 10189698 A JP10189698 A JP 10189698A JP 18969898 A JP18969898 A JP 18969898A JP 2000007026 A JP2000007026 A JP 2000007026A
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JP10189698A
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Hiroyuki Furukawa
裕之 古川
Akira Mita
明 三田
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Gunze Ltd
Original Assignee
Gunze Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、優れた引張切断荷重、伸び、耐水
蒸気透過性及び易突き破り性(被包装品の取り出し性)
を有し、底材の収容部を高温度でヒートシールして封緘
する際、粘着性の発生がなく、かつ底材と同じ条件で処
理できる易焼却性ブリスターパック包装体の蓋材用シー
トを提供する。 【解決手段】 本発明は、結晶性熱可塑性樹脂を必須成
分とする単層(A)構成のシート、結晶性熱可塑性樹脂
を必須成分とする(A)層を一方又は両方の外層とする
積層構成のシート及び結晶性熱可塑性樹脂を必須成分と
する(A)層、接着性樹脂を必須成分とする(B)層、
非晶性ポリオレフィン若しくはポリスチレンを必須成分
とする(C)層がこの順序に積層されてなる少なくとも
3層を基本構成とするシートを熱処理し、(A)層を結
晶化させたブリスターパック包装体の蓋材用シートを提
供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば医薬錠剤、
食品等のプレススルーパック(以下「PTP」と略す)
やカップ等をブリスターパック包装する際、蓋材として
好適に使用できるブリースターパック包装体の蓋材用シ
ートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えばPTP等の底材として
は、ポリ塩化ビニル系樹脂から成形されたシートを真空
成形または圧空成形して、該シート表面に凹部の収容部
(ポケット)を形成してなるシートが使用されている。
斯かる底材の収容部に、医薬錠剤、食品等を収容した
後、収容部の開口縁に形成されたフランジ部に、易突き
破り性、ガスバリヤ性、耐水蒸気透過性が優れ、ヒート
シール性が付与された、通常厚さ20〜40μmのアル
ミニウム箔(以下「アルミ箔」と略す)からなる蓋材を
ヒートシールして開口部を封緘する包装形態のブリスタ
ーパック包装体が知られている。
【0003】このような、ブリスターパック包装体は、
ポリ塩化ビニル系樹脂から成形される底材の収容部に収
容されている被包装物、例えば医薬錠剤を取り出す場
合、底材の表面から被包装物を押し、その押し圧で、蓋
材のアルミ箔を破り、容易に被包装物を取り出すことが
でき、例えば医薬錠剤のPTPとして広く使用されてい
る。
【0004】しかしながら、蓋材としてのアルミ箔は、
突き破られ使用済みのPTP等に付着した状態で廃棄さ
れると、土壌中に長期間に亙り残留し、自然環境を汚染
する問題がある。従って、一般的には、焼却処理されて
いるが、焼却処理される場合、アルミ箔は塊になり廃棄
が困難である。灰になるまで完全に焼却するには、かな
り高温で焼却することが必要であり、焼却炉等を傷め、
焼却炉等の耐用年数を短くするという問題が指摘されて
いる。また、蓋材のアルミ箔をPTP等を構成する底材
シートから分離して分別回収するには多大な労力を必要
とし、物理的に困難である。
【0005】そのために、PTPやカップ等のブリスタ
ーパック包装体に使用される蓋材は、PTPやカップ等
のブリスターパック包装体を構成する底材用シートと同
じ条件(焼却炉を傷めない温度)で焼却処理できる易焼
却性の素材で成形されることが求められている。
【0006】近年、上記の問題を解決するために、例え
ばブリスターパック包装体に使用される蓋材用シートと
して、アルミ箔に代わる各種のプラスチックや紙類等の
蓋材用シートが散見される。例えばGタイプのスチレン
系樹脂から成形される蓋材用シート、ポリオレフィン系
樹脂などに多量の無機質フィラーを配合した組成物を成
形し、強度を低下させ易突き破り性を付与させたプラス
チックシートから成形される蓋材用シート、結晶性プラ
スチックシートを少なくとも一方向に高度に一軸延伸す
ることによって生じる配向性を利用して易突き破り性を
付与させてなるプラスチックシート等から成形される蓋
材用シートが提案され使用されている。更に、例えばグ
ラシン紙などの紙類を用いた蓋材用シート等も一部で使
用されている。
【0007】しかしながら、Gタイプのポリスチレン系
樹脂から成形される蓋材用シートは耐熱性が悪く、成形
の際、分解する傾向があり、安定した製膜ができない傾
向がある。また成形されたシートの突き破り強度が強く
なりすぎ、容易に突き破ることができ難く、被包装物の
取り出し性が低下する傾向がある。更に、耐溶剤性が劣
り、有機溶剤で容易に溶解する傾向があり、印刷が必要
な場合、通常用いられるプラスチックフィルム印刷用イ
ンキなどでは印刷し難い傾向がある。従って、印刷が必
要な場合、高価な発色性が劣る傾向がある特殊インキで
印刷しなければならず美麗な多色印刷ができない傾向が
ある。
【0008】ポリオレフィン系樹脂などに多量の無機質
フィラーを配合することによって成形される蓋材用シー
トは、被包装物、例えば医薬錠剤、食品等を取り出す
際、蓋材用シートを突き破ると、無機質フィラーが飛散
する傾向があり、無機質フィラーが医薬錠剤、食品等に
混入、付着する問題がある。
【0009】結晶性プラスチックシートを少なくとも一
方向に高度に一軸延伸することによって生じる配向性を
利用して易突き破り性を付与させるプラスチックシート
から成形される蓋材用シートは、方向性があるため、被
包装物の形態によっては取り出し難い傾向があり、用途
が制限される。また、グラシン紙等の紙類から成形され
る蓋材用シートは、耐水性が劣り、耐水蒸気透過性が著
しく低下する欠点があり、高度の防湿性が要求される、
例えば医薬錠剤などのPTPの蓋材用シートとしては使
用できない傾向がある。
【0010】一方、真空成形または圧空成形によって凹
部の収容部(ポケット)を形成したブリスターパック包
装体の底材用シートとしては、従来ポリ塩化ビニル系樹
脂から形成されるのが主流であった。近年、非塩化ビニ
ル系樹脂から形成される底材用シートの要求が強くな
り、ポリ塩化ビニル系樹脂に代わり、例えば結晶性プラ
スチック、例えばポリプロピレンから形成される底材用
シートが使用される傾向になってきた。
【0011】結晶性プラスチックから形成される底材の
収容部に、被包装物(医薬錠剤等)を収容した後、該収
容部の開口縁に形成されるフランジ部に、結晶性熱可塑
性樹脂から成形された蓋材用シートをヒートシールして
収容部を封緘する際、優れたヒートシール強度を得るた
めには、ヒートシール温度が、通常150℃以上、好ま
しくは160〜180℃が必要である。しかしながらヒ
ートシール温度が150℃以上になると、結晶性熱可塑
性樹脂から成形される蓋材用シートは、表面に、粘着性
が発生する傾向があり、例えばヒートシール用ロールな
どのヒートシール機の加熱体等に付着する傾向があり底
材の収容部を容易に封緘できない傾向があり、問題とな
っている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ガス
バリヤー性、耐水蒸気透過性が優れ被包装物の品質保存
性を有し、かつ、易突き破り性が優れ、被包装物を簡単
な操作で容易に取り出すことができる、例えばPTP、
カップ類のブリスターパック包装体に好適に使用できる
蓋材用シートを提供することにある。本発明の他の課題
は、結晶性樹脂、例えばポリプロピレンで形成される底
材用シートを真空成形叉は圧空成形によって凹部の収容
部を形成した底材に、被包装物を収容した後、結晶性熱
可塑性樹脂で成形され、熱処理が施された(A)層を有
する蓋材用シートが、ヒートシールで底材の収容部の開
口縁に形成されたフランジ部にヒートシールされ、収容
部を封緘する際、前記熱処理されてなる(A)層の表面
に粘着性が発生しない蓋材用シートを提供することにあ
る。本発明のさらなる他の課題は、突き破られ使用済み
になったPTP等の蓋材が、底材に付着した状態で焼却
処理される場合、底材用シートと同じ条件で焼却できる
易焼却性を有する結晶性熱可塑性樹脂から成形される単
層構成叉は積層構成のブリスターパック包装体の蓋材用
シートを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、結晶性
熱可塑性樹脂を必須成分とする単層構成の蓋材用シート
及び結晶性熱可塑性樹脂を必須成分とする(A)層を、
一方叉は両方の外層とする積層構成である蓋材用シート
を提供することにある。更に、結晶性熱可塑性樹脂を必
須成分とする(A)層、接着性樹脂を必須成分とする
(B)層、非晶性ポリオレフィン若しくはポリスチレン
を必須成分とする(C)層がこの順序に積層されてなる
少なくとも(A)層/(B)層/(C)層を基本構成と
する蓋材用シートを提供することにある。本発明の他の
特徴は、結晶性熱可塑性樹脂を必須成分とする(A)層
を、120〜200℃で熱処理し、該(A)層が外側に
なるようにして、底材の収容部をヒートシールで封緘す
る場合、外側の(A)層に粘着性が発生しない蓋材用シ
ートを提供することにある。また、本発明の別の特徴
は、突き破られ使用済みのブリスターパック包装体の蓋
材が底材に付着した状態で焼却処理しても底材と同じ条
件(焼却炉などを傷めない温度)で焼却できる易焼却性
蓋材用シートを提供することにある。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係る(A)層を構成する
結晶性熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリス
チレン及びポリアミドからなる群より選ばれる少なくと
も1種の結晶性熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0015】結晶性ポリオレフィンとしては、沸騰n−
ヘプタン不溶性であるポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ペンテン、ポリ−1−ヘ
キセン、ポリメチルブテン、ポリメチルペンテンなどの
α−オレフィンの単独重合体、プロピレン−エチレンラ
ンダム共重合体などのオレフィン共重合体、エチレン−
酢酸ビニル共重合体(EVA)から誘導されるエチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)などを挙げ
ることができる。このようなポリオレフィンは単独でも
よく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】具体的には、低密度、中密度、高密度ポリ
エチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超
低密度ポリエチレン(VLDPE)、ポリプロピレン、
ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ペンテン、ポリ−1−ヘ
キセン、ポリ−1−オクテン、ポリ−4−メチル−1−
ペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−
1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ペンテン共重合
体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン酢酸
ビニル共重合体ケン化物(EVOH)から選ばれる少な
くとも1種との共重合体から選ばれる少なくとも1つの
重合体及びこれらの上記ポリオレフィン系重合体の2種
以上の混合物を例示できる。
【0017】上記の結晶性熱可塑性ポリオレフィンの内
では、120〜200℃で熱処理する際、溶融しない傾
向を有するポリプロピレン(熱処理温度120〜150
℃)、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペン
テン、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVO
H)が好ましく、中でもエチレン・酢酸ビニル共重合体
ケン化物はガスバリスヤー性が優れ、特に好ましいもの
として例示できる。上記ポリプロピレン、ポリ−1−ブ
テン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン重合体は、密度
が0.830〜1.250g/cm3 、また、特に制限
はないが、メルトフローレート(MFR、荷重:5k
g、温度:260℃)が1.0〜35g/10minの
範囲のものを例示できる。MFRが1.0g/10mi
n未満では溶融粘度が高くなり、突き破り強度が大きく
なる傾向あり、また、必要に応じて配合する他の結晶性
熱可塑性樹脂等との混合状態が著しく不均一になる傾向
がある。MFRが35g/10minを超えると溶融粘
度が低くなる傾向があり、成形性、機械的強度が低下す
る傾向がある。
【0018】また、上記エチレン−酢酸ビニル共重合体
ケン化物(EVOH)は、エチレン含有量20〜65モ
ル%、ケン化度90モル%以上であって、密度1.10
〜1.25g/cm3 、メルトフローレート(MFR:
温度210℃、荷重2.16kg)1.0〜15g/1
0minのものが好ましい。エチレン含有量が20モル
%未満では機械的強度が強くなりすぎる傾向があり、6
5モル%を超えると熱処理の際、結晶化し難い傾向があ
る。また、ケン化度が90モル%未満では、例えば熱処
理後蓋材用シートして用いる場合、変形する傾向があ
る。
【0019】結晶性熱可塑性ポリスチレンとしては、実
質的にシンジオタクチック構造を有するポリスチレンを
好ましいものとして挙げることができる。実質的にシン
ジオタクチック構造を有するポリスチレンは、炭素−炭
素から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニール基
や置換フェニール基が交互に反対方向に位置する立体構
造のシンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂で
あり、そのタクティシティー(立体規則性)は、同位体
による磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量され
る。13C−NMR法により測定されるタクティシティー
(立体規則性)は、連続する複数個の構成単位の存在割
合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリ
アッド、5個の場合はペンタッドによって示すことがで
きる。
【0020】本発明において、実質的にシンジオタクチ
ック構造を有するポリスチレン樹脂は、通常はダイアッ
トで30%以上、好ましくは85%以上、若しくはペン
ダッド(ラセミペンダッド)の割合が30%以上、好ま
しくは50%以上、より好ましくは85%以上、更に好
ましくは95%以上であるシンジオタクチック配置を有
する重合体であり、スチレン、アルキルスチレン、ハロ
ゲン化スチレン、アルコキシスチレン、ビニル安息香酸
の単独重合体及びその混合物、あるいはこれらのモノマ
ー成分を主成分とする共重合体が好ましい。
【0021】具体的には、アルキルスチレンとしては、
メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレ
ン、ターシャリーブチルスチレン等があり、ハロゲン化
スチレンとしては、クロロスチレン、ブロモスチレン、
フルオロスチレン等が、また、アルコキシスチレンとし
ては、メトキシスチレン、エトキシスチレン、ターシャ
リーブトキシスチレン等が例示できる。これのうち、特
に好ましいのは、ポリスチレン、ポリ(P -,m-叉はO-
メチルスチレン)、ポリ(P-タ−シャリ−ブチルスチレ
ン)、ポリ(P-,m-叉はO-クロロスチレン)、ポリ(P
-,m-叉はO-ブロモスチレン)、ポリ(P-,m-叉はO-フ
ルオロスチレン)の単独重合体、さらにはスチレンとP
-,m-叉はO-メチルスチレンとの共重合体等を例示でき
るが、特に制限はない。
【0022】また、結晶性熱可塑性ポリアミド樹脂とし
ては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−61
0、ナイロン−10、ナイロン−12、ナイロン−46
等ポリアミド、ナイロン6−66共重合体、ナイロン6
−610共重合体等の脂肪族ポリアミドや、芳香族ジカ
ルボン酸と脂肪族ジアミンより製造される芳香族ポリア
ミド、例えばメタキシリレンとアジピン酸とから合成さ
れたメタキシリレンアジパニド等のメタ若しくはパラキ
シリレンジアミンと炭素数4〜12程度のジカルボン酸
とから重縮合されたポリキシリレン系重合体等の芳香族
ポリアミドを挙げることができ、ナイロン−6が特に好
ましい。このようなポリアミドは、単独で用いてもよ
く、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0023】本発明に係る蓋材用シートを構成する
(A)層は、結晶性熱可塑性樹脂を必須成分とする組成
物から成形される。該組成物は、上記結晶性熱可塑性樹
脂の単独成分叉は結晶性熱可塑性樹脂とその他の重合体
との組成物でもよい。この際、結晶性熱可塑性樹脂は5
0重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好まし
くは90重量%以上である。その他の重合体としては
前記の結晶性熱可塑性樹脂と同種若しくは異種の重合体
であればよく、例えばポリオレフィン系重合体、ポリス
チレン系重合体、ポリアミド系重合体、ポリエステル系
重合体、環状ポリオレフィン系重合体、熱可塑性エラス
トマー、接着性樹脂、石油系樹脂などの群から選ばれる
少なくとも1種の重合体を例示できる。
【0024】本発明に係る蓋材用シートが、例えば
(A)層/(B)層の2層構成叉は(A)層/(B)層
/(A)層及び(A)層/(B)層/(C)層の3層構
成の場合、(B)層は接着性樹脂を必須成分とする組成
物で成形するのが好ましい。接着性樹脂としては、特に
制限はないが、ポリオレフィン系樹脂を変性したものが
使用できる。具体的には、結晶性ポリオレフィン系樹脂
及び/叉は非晶性ポリオレフィン系樹脂を、例えばアク
リル酸、メタアクリル酸、エタアクリル酸、マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸及び/
叉はそれらのエステル、酸無水物、金属塩、叉はそれら
の誘導体等を用いて、例えばグラフト重合で変性してな
る接着性樹脂が例示できる。これら変性物の内では、無
水マレイン酸、無水イタコン酸により変性されたものが
好適に使用されるが、特に制限はない。
【0025】本発明に係る蓋材用シートが、例えば
(A)層/(B)層/(C)層の場合、(C)層は、非
晶質ポリオレフィン系樹脂若しくはポリスチレン系樹脂
を必須成分とする組成物から構成するのが好ましい。非
晶質ポリオレフィン系樹脂としては、沸騰n−ヘプタン
によるソックスレ抽出不溶分が70重量%以下、好まし
くは60重量%以下のものが好ましい。沸騰n−ヘプタ
ン不溶分が70重量%を超えると、非晶質部分の比率が
少なくなり、硬くなる傾向があり、易突き破り性が低下
する傾向があり、被包装物(例えば医薬錠剤等)の取り
出し性が悪化するので、用途が制限される。また、該非
晶質ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量(Mn)が
1,000〜200,000、好ましくは15,000
〜100,000を例示できる。数平均分子量(Mn)
が1,000未満では機械的強度、突き破り強度が低く
なり過ぎ被包装物を安定に保持できない傾向があり、2
00,000を超えると成形性が悪くなる傾向がある。
【0026】具体的な非晶質ポリオレフィン系樹脂とし
ては、沸騰n−ヘプタンによるソックスレ抽出不溶分が
70重量%以下のポリオレフィン、例えばポリエチレ
ン、ポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、ポ
リ−1−ブテン、ポリ−1−ペンテン、ポリ−1−ヘキ
セン、ポリ−1−オクテン、ポリー4−メチル−1−ペ
ンテン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−
ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−1−エチレ
ン3元共重合体、プロピレン−ヘキセン−1−オクテン
−1−3元共重合体、プロピレン−ヘキセン−1−4−
メチルペンテン−1−3元共重合体、エチレン−エチル
アクリレート共重合体(EEA)、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体
(EAA)及びエチレン、プロピレン、ブテンから選ば
れる少なくとも1種と、ビシクロ[2,2,1]ヘプト
ジエン誘導体、テトラシクロ−3−ドデセン誘導体、ヘ
キサシクロ−4−ヘプタデセン誘導体、オクタシクロ−
5−ドコセン誘導体、ペンタシクロ−4−ヘキサデセン
誘導体、ペンタシクロ−3−ペンタデセン誘導体、ヘプ
タシクロ−4−エイコセン誘導体、ノナシクロ−5−ペ
ンタドコセン誘導体並びにノルボルネン誘導体から選ば
れる少なくとも1種との共重合体から選ばれる少なくと
も1つの重合体を挙げることができ、特に制限はない。
【0027】本発明に係る蓋材用シートが、例えば
(A)層/(B)層/(C)層の場合、(C)層を構成
するポリスチレン系樹脂は、一般的なスチレン系単量体
の単独または共重合体、スチレン系単量体と(メタ)ア
クリル系単量体、若しくはマレイン酸またはその誘導体
のビニル単量体との共重合体及びゴム変性スチレン系樹
脂から選ばれる少なくとも1種を例示できる。
【0028】具体的なポリスチレンとしては、ポリスチ
レン(Gタイプ)、α−メチルスチレン、スチレン−
(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸
メチル共重合体(MAS樹脂)、スチレン−アクリルニ
トリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−無水マレイン
酸共重合体、スチレン−マレイミド共重合体、スチレン
−N−フェニルマレイミド共重合体、ABS樹脂、他の
ゴム成分(アクリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレンゴム)にスチレン若しくはアクリルニトリ
ルをグラフト共重合した共重合体、ポリブタジエンにス
チレン及びメタクリル酸メチルがグラフト重合した共重
合体から選ばれる少なくとも1種を例示できるが特に制
限はない。
【0029】また、真空成形叉は圧空成形で凹部の収容
部(ポケット)が形成される底材用シートは、従来か
ら、ポリ塩化ビニル系樹脂から成形されるシートで形成
するのが一般的である。しかしながら、ポリ塩化ビニル
系樹脂から成形される底材を用いたブリスターパック包
装体が、その使用目的が完了し焼却処理される場合、塩
素ガス等が発生し、焼却炉等を傷める傾向がある。更に
近年、ポリ塩化ビニル系樹脂で成形された産業廃棄物を
焼却処理すると、ダイオキシン等が発生する虞があるこ
とも指摘されている。従って、本発明に係るブリスター
パック包装体で用いる底材用シートとしては、ポリプロ
ピレン系樹脂で成形されるのが好ましい。
【0030】本発明に係るブリスターパック包装体の蓋
材用シートは、底材用シート(ポリプロピレン系シー
ト)を用いて、真空成形叉は圧空成形で、凹部の収容部
(ポケット)を形成し、該収容部に被包装品(例えば医
薬品錠剤)を収容した後、例えば底材の収容部開口縁に
形成されたフランジ部に、ヒートシールでシールされ、
収容部を封緘するものである。
【0031】この際、ヒートシール温度が、例えば従来
の塩化ビニル系樹脂から形成された底材に蓋材をヒート
シールする温度(150℃程度)では、本発明に係る上
記の蓋材用シートを、ポリプロピレン系シートから形成
される底材のフランジ部に接着する場合、優れたヒート
シール強度が得られない傾向がある。従って、本発明に
係る蓋材用シートは、ヒートシール温度を160℃以
上、180℃以下で、例えば底材シートの収容部開口縁
に形成されるフランジ部にヒートシールされる。
【0032】しかしながら、160℃以上、180℃以
下でヒートシールを続けると、ブリスターパック包装体
を形成する蓋材の(A)層に、粘着性が発生する傾向が
あり、このために、蓋材用シートがヒートシール機に付
着し、ヒートシールできない傾向があり、ブリスターパ
ック包装体を成形できない傾向がある。粘着性の発生は
(A)層を成形する結晶性熱可塑性樹脂が、ヒートシー
ルする温度で結晶化することによって発生するものと推
察される
【0033】本発明に係る蓋材用シートの(A)層叉は
(C)層が、ポリプロピレン系樹脂からなるシートを真
空成形叉は圧空成形して凹部の収容部(ポケット)を形
成される底材の収容部に被包装品(例えば医薬錠剤)を
収容し、該収容部の開口縁に形成されるフランジ部に、
ヒートシール温度160℃以上、180℃以下でヒート
シールされ、収容部を封緘してブリスターパック包装体
を形成する。この際、蓋材用シートのスキン層を構成す
る(A)層表面に粘着性が発生する傾向があり蓋材用シ
ートを底材のフランジ部に接着するのが阻害される傾向
がある。粘着性の発生を防止するには、本発明に係る蓋
材用シートを、予め熱処理するのが好ましい。
【0034】熱処理する条件としては120〜200℃
で、特に制限はないが、例えば15秒〜30分、好まし
くは20秒〜20分、更に好ましくは30秒〜10分間
熱処理することを例示できる。熱処理方法としては、特
に制限はないが、例えば熱風循環式のオーブン(例えば
ギヤ−オーブン)内で処理する方法、表面温度が120
〜200℃に加熱されたロール表面に接触させ巻取りな
がら熱処理する方法、テンターを用いて熱処理する方
法、高周波を照射させる方法、赤外線で加熱する方法等
が例示できるが、特に制限はない。
【0035】熱処理することにより、本発明に係る蓋材
用シートを構成する結晶性熱可塑性樹脂の結晶化度が9
0%以上に結晶化[示差走査熱量計(DSC)で測定]
される。結晶化度が90%以上になると、ヒートシール
温度160℃以上、180℃以下で、蓋材用シートを、
底材用シート、例えば収容部開口縁に成形されるフラン
ジ部にヒートシールする際、蓋材用シートを構成する
(A)層の表面に粘着性の発生がなく、しかも、ヒート
シール強度、易突き破り性の向上が期待できる。
【0036】この際、熱処理温度が120℃未満では、
結晶化度を90%以上に結晶化するのに時間がかかり、
例えば、熱処理装置を大型化する等が必要であり、また
長時間熱処理すると蓋材用シートが変形する傾向があ
る。熱処理温度が200℃を超えると蓋材用シートが溶
融する傾向がある。熱処理時間が15秒未満では、結晶
化が不充分であり、蓋材用シートを底材用シートに成形
される収容部開口縁に成形されるフランジにヒートシー
ルする際、蓋材用シートを構成する(A)層に粘着性の
発生を防止できない傾向がある。熱処理時間が30分を
超えると、蓋材用シートが変形する傾向がある。また、
すでに結晶化度が90%を超える傾向があるので、30
分以上熱処理しなくてもよい。ここで、結晶化度は示差
走査熱量計(DSC)で、Ea、Ecを測定し式1で求
めることができる。
【0037】
【式1】 なお、式中、Eaは、熱処理前のシートの結晶化エネル
ギー(単位:J/g)、Ecは、熱処理後のシートの結
晶化エネルギー(単位:J/g)である。
【0038】本発明に係るブリスターパック包装体の蓋
材用シートを成形する(A)層、(B)層及び(C)層
には、必要に応じて、各種の添加剤、充填材及びその他
の熱可塑性樹脂等を配合してもよい。添加剤としては、
例えば耐熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止
剤、界面活性剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、滑
剤、核剤、顔料、染料等を、充填材としては、例えば炭
酸カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、シ
リカ、タルク、マイカ等を例示できる。
【0039】その他の熱可塑性樹脂としては、(A)層
に、(A)層を構成する結晶性熱可塑性樹脂以外の結晶
性熱可塑性樹脂、例えば(A)層を構成する結晶性熱可
塑性樹脂がポリオレフィンであれば、それ以外のポリオ
レフィン、ポリスチレン、ポリアミド等を、(A)層を
構成する結晶性熱可塑性樹脂がポリスチレンであれば、
それ以外のポリスチレン、ポリオレフィン、ポリアミド
等を、(A)層を構成する結晶性熱可塑性樹脂がポリア
ミドであれば、それ以外のポリアミド、ポリオレフィ
ン、ポリスチレン等を例示できる。更に、熱可塑性エラ
ストマー、アイオノマー、石油樹脂等を配合してもよ
い。また、(B)層、(C)層にも、(B)層叉は
(C)層を構成する樹脂以外の同種及び異種の熱可塑性
樹脂を配合してもよい。異種の熱可塑性組成樹脂として
は、上記の結晶性熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマ
ー、アイオノマー、石油樹脂等を例示できるが、特に制
限はなく配合しなくても差し支えない。
【0040】本発明に係るブリスターパック包装体の蓋
材用シートの好ましい態様は、上記した結晶性熱可塑性
樹脂を必須成分とする組成物から成形される単層シー
ト、結晶性熱可塑性樹脂を必須成分とする組成物から成
形される(A)層と、接着性樹脂を必須成分とする
(B)層との少なくとも2層から構成される(A)層/
(B)層の積層シート、または(A)層をスキン層、
(B)層をコア層として構成される(A)層/(B)層
/(A)層の少なくとも3層の積層シート及び結晶性熱
可塑性樹脂を必須成分とする組成物から成形される
(A)層と、非晶質ポリオレフィン若しくはポリスチレ
ンから成形される(C)層が、接着性樹脂を必須成分と
する(B)層を介して少なくとも3層から構成される
(A)層/(B)層/(C)層の積層シート、または
(A)層をスキン層(C)層をコア層として5層から構
成される(A)層/(B)層/(C)層/(B)層/
(A)層の積層シートを例示できる。
【0041】本発明に係るブリスターパック包装体の蓋
材用シートにおいて、(A)層 は、極めて優れた易突
き破り性、耐水蒸気透過性、酸素バリヤー性を付与する
のに寄与する傾向があるが、2次加工等の際、引き裂け
易い傾向があるので、注意が必要である。一方、(C)
層は、2次加工などの際、引き裂け等が発生せず、形態
安定性、耐水蒸気透過性、耐カール性等が優れ、また、
例えば底材用シートに形成される収容部の開口縁に成形
されるフランジ部とのヒートシール強度が優れ、更に
(B)層を有することにより層間の接着強度も向上し、
医薬錠剤等のPTP包装体の蓋材用シートとして好適に
使用できる。
【0042】更に、本発明に係るブリスターパック包装
体の蓋材用シートは、必要ならば、易突き破り性、耐水
蒸気透過性、酸素バリヤー性、層間の接着性などを阻害
しない範囲内で、該蓋材用シートの(A)層及び/叉は
(B)層の表面、あるいは(A)層と(B)層の層間に
1種以上の樹脂から成形される適宜な層を、更に(C)
層を有する蓋材では(A)層及び/叉は(C)層の表
面、あるいは(A)層と(B)層及び/叉は(B)層と
(C)層の層間に1種以上の樹脂から成形される適宜の
層を積層してもよい。適宜の層を形成する樹脂として
は、特に制限はないが、(A)層、(B)層及び(C)
層を構成するいずれかの樹脂叉は異種の樹脂でもよい。
異種の樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重
合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体を挙げることがで
きる。
【0043】本発明に係るブリスターパック包装体の蓋
材用シートは、必要ならば(A)層の表面に印刷層を、
叉は、特に耐水蒸気透過性、酸素バリヤー性が要求され
る場合、SiOX 、Al23、MgO、Alなどの無機
化合物の蒸着層等を設けることができる。
【0044】更に、本発明に係るブリスターパック包装
体の蓋材用シートは、必要ならば、底材の収容部開口縁
に成形されるフランジ部に接着される(B)層[(A)
層/(B)層の構成の蓋材用シート場合]、(A)層
[単層叉は(A)層/(B)層/(A)層若しくは
(A)層/(B)層/(C)層/(B)層/(A)層構
成の蓋材用シートの場合]、及び(C)層[(A)層/
(B)層/(C)層構成の蓋材用シートの場合]の表面
に、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン・
酢酸ビニル系共重合体(EVA)、ポリビニルアルコー
ル系樹脂(PVA)、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリ
オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタン変性ポリ
エステル系樹脂、一部ウレタン変性ポリエステル系樹
脂、ポリエーテル系樹脂、変性エーテル型ポリエステル
系樹脂等の群から選ばれる少なくとも1種からなるヒー
トシール剤や、例えばクロロプレン系、ポリイソプレン
系、ポリイソブチレン系、ポリアクリル酸エステル系、
ポリビニルエーテル系、スチレン・ブタジエンゴム系、
ブチルゴム系等の群から選ばれる少なくとも1種からな
る粘着剤等を積層してもよい。また、前記ヒートシール
剤や、粘着剤には、必要ならばイソシアネート系等の硬
化剤を併用してもよい。これら、ヒートシール剤、粘着
剤は、上記以外の材質を用いてもよく、特に制限はな
い。上記ヒートシール剤及び粘着剤の形態は、特に制限
はなく、水系、溶剤系、エマルジョンタイプ、ホットメ
ルトタイプ、フィルムタイプ等が使用できる。積層方法
としては、共押出法、押出ラミネート法、ドライラミネ
ート法、グラビヤコート法、ロールコート法等適宜な方
法で積層でき、特に制限はない。
【0045】本発明に係るブリスターパック包装体の蓋
材用シートの厚さは、易突き破り性(被包装品の取り出
し性)、耐水蒸気透過性、酸素バリヤー性、底材用シー
ト、例えば底材用シートに形成される収容部の開口縁に
成形されるフランジ部とのヒートシール性等が損なわれ
ない範囲内で適宜に選定すればよく、10〜100μm
程度を例示できる。10μm未満では耐水蒸気透過性が
低下する傾向があり、100μmを超えると易突き破り
性が低下する傾向がある。
【0046】本発明に係るブリスターパック包装体の蓋
材用シートが、結晶性熱可塑性樹脂を必須成分とする組
成物から成形される単層シートの場合は、特に制限はな
いが、10〜100μm程度を例示できる。10μm未
満では、水蒸気透過率が高くなる傾向があり、例えば高
い防湿性が要求される医薬錠剤等のPTPの蓋材用シー
トとしては使用できない傾向がある。また、突き破り強
度が弱くなり過ぎ、弱い押し圧で容易に破れるので、被
包装品を安定に保持できない傾向がある。厚さが100
μmを超えると突き破り強度が高くなり、底材の収容部
に収容されている被包装品が、簡単な操作(指で底材表
面を押す方法)で取り出すことできない傾向があり、実
用性が制限され、用途が限定される傾向がある。
【0047】本発明に係るブリスターパック包装体の蓋
材用シートが、結晶性熱可塑性樹脂を必須成分とする組
成物から成形される(A)層と、接着性樹脂を必須成分
とする(B)層からなる、例えば(A)層/(B)層の
2層構成の場合、特に制限はないが、総厚さが10〜1
00μm程度であり、(A)層の厚さが5〜50μm、
(B)層の厚さが、例えばブロッキングを起こしにくい
変性率が低い変性重合体からなる外層であり、5〜50
μmを例示できる。(A)層の厚さが、5μm未満であ
ると、シートを成形する際、破断する傾向があり、50
μmを超えると易突き破り性が低下する傾向がある。
【0048】更に、(A)層/(B)層/(A)層或い
は(A)層並びに(B)層及び非晶質ポリオレフィン系
樹脂若しくはポリスチレン系樹脂を必須成分とする
(C)層とから成形される、例えば(A)層/(B)層
/(C)層の3層構成、或いは(A)層/(B)層/
(C)層/(B)層/(A)層等の5層構成の場合、
(A)層の厚さは、特に制限はないが、5〜50μm、
好ましくは5〜25μmを例示できる。(A)層の厚さ
が、5μm未満であると、シートを成形する際、破断す
る傾向があり、50μmを超えると易突き破り性が低下
する傾向がある。また(B)層の厚さは、特に制限はな
いが、(A)層と(A)層若しくは(C)層とを接着で
きる程度であればよく、例えば10μm以下、好ましく
は1〜5μmを例示できる。(C)層の厚さは、特に制
限はないが、例えば底材用シートに形成される収容部の
開口縁に成形されるフランジ部にヒートシールで接着さ
れ、蓋材が剥離しない程度であればよく、例えば5〜4
5μmを例示できる。
【0049】本発明に係るブリスターパック包装体の蓋
材用シートの水蒸気透過率(単位:g/m2 ・24h
r)は、被包装品、例えば医薬錠剤を長期(通常、10
年以上といわれている)に亙り、医薬品としての有効
性、品質等の変化がなく、安定に保持、保存できること
が望ましい。例えば厚さ25μmにおいて、ASTM
F−372 73(40℃、90%RH)に準じて測定
する場合、100g/m2・24hr以下(例えば1〜
100g/m2 ・24hr)、好ましくは50g/m2
・24hr以下(例えば50〜30g/m2 ・24h
r)、更に好ましくは30g/m2 ・24hr以下(例
えば30〜20g/m2 ・24hr)、特に好ましくは
20g/m2 ・24hr以下(例えば20〜1g/m2
・24hr)を例示できる。
【0050】本発明に係るブリスターパック包装体の蓋
材用シートの突き破り強度(単位:kgf)としては、
突き破り後の被包装品の取り出し性を阻害しない程度で
あればよく、またシート成形や2次加工の際、破断しな
い程度であればよい。例えば4.0kgf以下(例えば
0.1〜4.0kgf)、好ましくは3.0kgf以下
(例えば3.0〜2.0kgf)より好ましくは2.0
kgf以下(例えば2.0〜0.1kgf)程度が好ま
しい。この際、突き破り強度の測定は、グンゼ式測定装
置で測定する。グンゼ式測定装置は、図1に示すよう
に、蓋材用シート(1)を2対の金属板(2)とゴム板
(3)で作製される固定具(4)、(4)、(4)、
(4)で固定した後、直径8mmの金属製半円球(5)
を有するプロープ(6)を、蓋材用シート(1)が突き
破られるまで降下させ、突き破られた時の強度を検出機
(7)で測定する構造になっている。
【0051】また、本発明に係るブリスターパック包装
体の蓋材用シートは、突き破られ使用済みのブリスター
パック包装体が焼却処理される場合、底材用シートと同
じ条件(例えば焼却炉等を傷めない温度)で焼却処理で
きる易焼却性を有する傾向がある。
【0052】本発明に係るブリスターパック包装体の蓋
材用シートの製法は、結晶性熱可塑性樹脂を必須成分と
する組成物から成形される単層構成の場合、結晶性熱可
塑性樹脂を必須成分とする組成物のペレットを公知の乾
燥機を用いて、適宜の条件で水分含有量200ppm以
下に乾燥した後、この乾燥ペレットを用いて、通常のT
ダイ法、チューブラ法、カレンダー法等で成形すればよ
く、特に制限はない。
【0053】本発明に係るブリスターパック包装体の蓋
材用シートが、結晶性熱可塑性樹脂を必須成分とする
(A)層を、接着性樹脂を必須成分とする(B)層の一
方叉は両方の外層とする(A)層/(B)層の2層構成
叉は(A)層/(B)層/(A)層の3層構成の場合、
積層する方法としては、特に制限はないが、例えば
(A)層/(B)層叉は(A)層/(B)層/(A)層
となるように複数の押出機を用いて共押出法、(A)層
の一方面に(B)層を、叉は(B)層の一方面若しくは
(B)層の両面に(A)層を押出して(A)層/(B)
層叉は(A)層/(B)層/(A)層となるように溶融
押出し積層する押出ラミネート法、(A)層及び(B)
層を接着剤を用いて(A)層/(B)層叉は(A)層/
(B)層/(A)層となるように接着するドライラミネ
ート法、及び(A)層、(B)層の各シートを(A)層
/(B)層叉は(A)層/(B)層/(A)層となるよ
うに重ね合わせ熱圧着して積層する熱圧着法等を例示で
きる。
【0054】また、本発明に係るブリスターパック包装
体の蓋材用シートが、(A)層、(B)層及び(C)層
から成形される積層シートの場合、例えば(A)層/
(B)層/(C)層となるように共押出して積層する共
押出法、(A)層叉は(C)層の表面に(B)層を押出
製膜するか、若しくは(B)層の表面上に(C)層叉は
(A)を押出製膜して、例えば(A)層/(B)層/
(C)層となるように積層する押出ラミネート法、
(A)層、(B)層、(C)層を接着剤を介して(A)
層/(B)層/(C)層となるように積層するドライラ
ミネート法及び(A)層、(B)層、(C)層の各シー
トを(A)層/(B)層/(C)層となるように熱圧着
して積層する熱圧着法等を例示できる。
【0055】本発明に係るブリスターパック包装体の蓋
材用シートの製法は、溶融積層できるTダイ法によって
共押出法で成形するのが好ましいが、特に制限はない。
具体的には、例えば(A)層/(B)層/(A)層の3
層構成の蓋材用シートの場合、共押出用Tダイを共有連
結した例えば少なくとも独立した3台の押出機の2台の
押出機のホッパーに、前記(A)層の単体構成の蓋材用
シート成形に用いた乾燥ペレット(水分含有量200p
pm以下)、他の1台の押出機のホッパーに(B)層を
形成する酸変性率が小さい接着性樹脂を投入する。
【0056】投入された各樹脂(ペレットが好ましい)
は、特に制限はないが、320〜180℃に加熱された
押出機で溶融押出され、冷却ロール、水冷、叉は空冷で
冷却固化され、例えば(A)層/(B)層/(A)層構
成の積層シートが形成される。 更に、他の構成として
は、同様にして、独立した2台の押出機を用いて、
(A)層/(B)層、独立した3台の押出機を用いて
(A)層/(B)層/(C)層、独立した5台の押出機
を用いて(A)層/(B)層/(C)層/(B)層/
(A)層等の積層シート成形すればよい。
【0057】次いで、上記の積層シートは、結晶性熱可
塑性樹脂を必須成分とする(A)層を、適宜な方法で結
晶化度90%以上にするために熱処理を施すことが好ま
しい。熱処理する条件としては120〜200℃で、1
5秒〜30分、好ましくは20秒〜20分、更に好まし
くは30秒〜10分を例示できる。
【0058】本発明に係るブリスターパック包装体の蓋
材用シートは、単層シートの場合であろうと、積層シー
トの場合であろうと、このままでも使用できるが、必要
に応じて、延伸してもよく、特に制限はない。
【0059】延伸する方法としては、前記の溶融押出成
形に引き続き連続して2軸に延伸できる逐次2軸延伸法
を例示できるが、特に制限はなく、1軸延伸、同時2軸
延伸等でもよい。また、別工程で延伸してもよい。延伸
条件としては、特に制限はないが、縦延伸は加熱遅駆動
ロール(前)と加熱速駆動ロール(後)との回転速度比
によって、縦方向に、加熱ロール表面温度80〜160
℃で、延伸倍率2〜6倍延伸する条件を例示できる。ま
た、横延伸はテンターを用いてシートの両端をクリップ
等で把持し、テンター内雰囲気温度90〜160℃で、
2〜5倍延伸することを例示できる。これ以外にも、環
状ダイスを用いてチューブ状フィルムを製膜し、チュー
ブ延伸法で1軸または2軸に延伸してもよい。
【0060】また、本発明に係るブリスターパック包装
体の蓋材用シートは、必要に応じて、延伸に引き続き熱
固定してもよい。熱固定する方法としては、一般的に
は、テンターの後室で横延伸に引き続き、延伸温度より
高い温度で、幅方向に数%(0.5〜2%程度)弛緩し
ながら、1.0〜20秒程度熱固定する方法を例示でき
るが、特に制限はない。
【0061】また、本発明に係る蓋材用シートは、印刷
性、ラミネート性等を向上させる目的で表面処理を行っ
てもよい。表面処理の方法としては、特に制限はなく、
コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理等を
例示できる。本発明ではいずれの方法を用いてもよく特
に制限はないが、蓋材シートの製膜叉は延伸過程の巻取
り工程前に実施可能であり、取扱いが簡便であることか
らコロナ放電処理が最も好ましい。
【0062】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明す
る。ただし、本発明は下記の実施例、比較例により制限
されるものではない。なお、本発明の下記実施例におけ
る各検査項目、評価は下記の方法により行った。
【0063】[結晶化度]:DSC−60[(株)島津
製作所製]により、Ea[熱処理前のシートの結晶化エ
ネルギー(単位:J/g)]及びEc[熱処理後のシー
トの結晶化エネルギー(単位:J/g)]を測定し、式
1で求めた。
【0064】[引張切断荷重]:JIS K−6732
号に準じて測定評価した。
【0065】[伸び]:JIS K−6732号に準じ
て測定評価した。
【0066】[突き破り強度]:グンゼ式測定装置を用
いて測定評価した。 グンゼ式測定装置は、図1に示すように、蓋材用シート
(1)を2対の金属板(2)とゴム板(3)で作製され
る固定具(4)、(4)、(4)、(4)で固定した
後、直径8mmの金属製半円球(5)を有するプロープ
(6)を、蓋材用シート(1)が突き破られるまで降下
させ、突き破られた時の強度を検出機(7)で測定する
構造になっている。
【0067】[水蒸気透過率]:ASTM F372
73に準じて測定評価した。
【0068】[取り出し性]:PTPから医薬錠剤の取
り出し性を官能試験で評価した。 ◎:アルミ箔の蓋材と同じ程度の取り出し性を有する。 ×:医薬錠剤が取り出し難い。
【0069】実施例1 (A)層/(B)層/(C)層の3層構成の蓋材用シー
トの場合 (A)層を構成する結晶性熱可塑性樹脂として、エチレ
ン含有量38モル%、ケン化度99%のエチレンー酢酸
ビニル共重合体ケン化物(EVOH)[MFR=8g/
10min(温度:210℃、荷重:2.16kg)、
密度1.17g/cm3 ]のペレット(水含有量50p
pm)、(B)層を構成する樹脂として、ポリエチレン
を無水マレイン酸で変性した接着性樹脂を、(C)層を
構成するポリスチレン樹脂としてGタイプのポリスチレ
ンを用いた。3層共押出用Tダイスに連結した独立した
3台の押出機の1台に(A)層を構成する前記エチレン
−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)のペレット
を、他の1台に(B)層を構成する接着性樹脂を、別の
他の1台に(C)層を構成するGタイプポリスチレンを
各々供給した。(A)層を構成する押出機のシリンダー
温度を220℃に、(B)層を構成する押出機のシリン
ダー温度を180℃に、(C)層を構成する押出機のシ
リンダー温度を220℃及び3層共押出用Tダイスの温
度を230℃に加熱設定し、溶融共押出により積層した
後、冷却ロールで急冷して、(A)層/(B)層/
(C)層=10/5/25=40μmの3層構成の積層
シートを得た。引き続き、該積層シートを、約160℃
の熱風が循環するギヤーオーブン内に約3分間放置して
熱処理を施した。
【0070】熱処理が施された積層シートの(C)層の
外表面に、アクリル系樹脂から成形されるヒートシール
剤を全面に8g/m2 になるようにグラビアコートして
蓋材用シートを成形した。
【0071】一方、ポリプロピレン系樹脂から成形され
る厚さ200μmのシートを、医薬錠剤(直径約10m
m、厚さ5mmの円盤状)に合わせ真空成形して収容部
を有する底材を成形した。該底材の収容部に医薬錠剤を
収容した後、収容部開口縁に成形されたフランジ部と、
前記の(A)層/(B)層 /(C)層構成の蓋材シー
トの(C)層とを、ヒートシール温度160℃、シール
圧4kgf/cm2 、シール時間1秒の条件でヒートシ
ールを行い収容部を封緘したブリスターパック包装体を
連続成形したが、蓋材を構成する外表面層(A)の外面
に粘着性が発生しなかった。従って、該蓋材用シートは
ヒートシール機のシーラー等に付着しないものであっ
た。該蓋材用シートは従来から使用されているアルミ箔
の蓋材に匹敵するものであった。また該蓋材用シートは
底材と同じ条件で焼却処理ができる易焼却性を有してい
た。該蓋材用シートの結晶化度、引張切断荷重、伸び、
突き破り強度、水蒸気透過率、被包装品(医薬錠剤)の
取り出し性を表1に示した。
【0072】
【表1】
【0073】実施例2 (A)層/(B)層/(C)層の3層構成の蓋材用シー
トの場合 表面層(A)を構成する結晶性熱可塑性樹脂として、実
質的にシンジオタクチック構造を有すポリスチレン[ペ
ンダット(ラセミペンダット)の割合が98%のペレッ
ト(水含有量50ppm)を用いる以外は実施例1と同
様にして蓋材用シートを得た。該蓋材用シートの(C)
層と、ポリプロピレン系重合体から成形されるシートを
真空成形で形成する底材の収容部に医薬錠剤を収容した
後、収容部開口縁に成形されたフランジ部とを、ヒート
シール温度160℃、シール圧4kgf/cm2 、シー
ル時間1秒の条件でヒートシールを行い収容部を封緘し
たブリスターパック包装体を連続成形したが、蓋材を構
成する外表面層(A)の外面に粘着性が発生しなかっ
た。該蓋材用シートは従来から使用されているアルミ箔
の蓋材に匹敵するものであった。また該蓋材用シートは
底材と同じ条件で焼却処理ができる易焼却性を有してい
た。該蓋材用シートの結晶化度、引張切断荷重、伸び、
突き破り強度、水蒸気透過率、被包装品(医薬錠剤)の
取り出し性を表1に示した。
【0074】実施例3 (A)層/(B)層/(C)層の3層構成の蓋材用シー
トの場合 表面層(A)を構成する結晶性熱可塑性樹脂として、ナ
イロン−6のペレット(水含有量50ppm)を用いる
以外は実施例1と同様にして蓋材用シートを得た。該蓋
材用シートの(C)層と、ポリプロピレン系重合体から
成形されるシートを真空成形で形成する底材の収容部に
医薬錠剤を収容した後、収容部開口縁に成形されたフラ
ンジ部とを、ヒートシール温度160℃、シール圧4k
gf/cm2 、シール時間1秒の条件でヒートシールを
行い収容部を封緘したブリスターパック包装体を連続成
形した。蓋材を構成する外表面層(A)の外面に粘着性
が発生しなかった。該蓋材用シートは従来から使用され
ているアルミ箔の蓋材に匹敵するものであった。また該
蓋材用シートは底材と同じ条件で焼却処理ができる易焼
却性を有していた。該蓋材用シートの結晶化度、引張切
断荷重、伸び、突き破り強度、水蒸気透過率、被包装品
(医薬錠剤)の取り出し性を表1に示した。
【0075】実施例4 (A)層/(B)層/(A)層の3層構成の蓋材用シー
トの場合 スキン層(A)を構成する結晶性熱可塑性樹脂として、
エチレン含有量38モル%、ケン化度99%のエチレン
ー酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)[MFR=
8g/10min(温度:210℃、荷重:2.16k
g)、密度1.17g/cm3 ]のペレット(水含有量
50ppm)を、コア層(B)を構成する接着性樹脂と
して、無水マレイン酸で変性したポリエチレン系樹脂を
用いた。
【0076】3層共押出用Tダイスに連結した独立した
3台の押出機の2台にスキン層(A)となる前記記載の
エチレンー酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)の
ペレット(水含有量50ppm)を、他の1台にコア層
(B)となる接着性樹脂(ペレット)を各々供給した。
スキン層(A)を構成する2台の押出機のシリンダー温
度を220℃に、コア層(B)を構成する押出機のシリ
ンダー温度を180℃及び3層共押出用Tダイスの温度
を230℃に加熱設定し、溶融共押出により積層した
後、冷却ロールで急冷して、2種3層構成の(A)層/
(B)層/(A)層=20/5/25=40μmの積層
シートを得た。引き続き、該積層シートを、約160℃
の熱風が循環するギヤーオーブン内に約3分間放置して
熱処理を施すこと以外は実施例1と同様にして蓋材用シ
ートを得た。該蓋材用シートのヒートシール剤が塗布さ
れた(A)層と、ポリプロピレン系重合体から成形され
るシートを真空成形で形成する底材の収容部に医薬錠剤
を収容した後、収容部開口縁に成形されたフランジ部と
を、ヒートシール温度160℃、シール圧4kgf/c
2 、シール時間1秒の条件でヒートシールを行い収容
部を封緘したブリスターパック包装体を連続成形した
が、蓋材を構成する表面層(A)の外面に粘着性が発生
しなかった。該蓋材用シートは従来から使用されている
アルミ箔の蓋材に匹敵するものであった。また該蓋材用
シートは底材と同じ条件で焼却処理ができる易焼却性を
有していた。該蓋材用シートの結晶化度、引張切断荷
重、伸び、突き破り強度、水蒸気透過率、被包装品(医
薬錠剤)の取り出し性を表1に示した。
【0077】実施例5 (A)層/(B)層/(A)層の3層構成の蓋材用シー
トの場合 スキン層(A)を構成する結晶性熱可塑性樹脂として、
実質的にシンジオタクチック構造を有すポリスチレン
[ペンダット(ラセミペンダット)の割合が98%]の
ペレット(水含有量50ppm)を用いる以外は実施例
1と同様にして蓋材用シートを得た。該蓋材用シートの
ヒートシール剤が塗布された(A)層と、ポリプロピレ
ン系重合体から成形されるシートを真空成形で形成する
底材の収容部に医薬錠剤を収容した後、収容部開口縁に
成形されたフランジ部とを、ヒートシール温度160
℃、シール圧4kgf/cm2 、シール時間1秒の条件
でヒートシールを行い収容部を封緘したブリスターパッ
ク包装体を連続成形したが、蓋材を構成する表面層
(A)の外面に粘着性が発生しなかった。該蓋材用シー
トは従来から使用されているアルミ箔の蓋材に匹敵する
ものであり、また該蓋材用シートは底材と同じ条件で焼
却処理ができる易焼却性を有していた。該蓋材用シート
の結晶化度、引張切断荷重、伸び、突き破り強度、水蒸
気透過率、被包装品(医薬錠剤)の取り出し性を表1に
示した。
【0078】実施例6 (A)層/(B)層/(C)層/(B)層/(A)層の
場合 (A)層を構成する結晶性熱可塑性樹脂としてエチレン
含有量38モル%、ケン化度99%のエチレンー酢酸ビ
ニル共重合体ケン化物(EVOH)[MFR=8g/1
0min1(温度:210℃、荷重:2.16kg)、
密度1.17g/cm3 ]のペレットを、(B)層を構
成する樹脂として、ポリエチレンを無水マレイン酸で変
性した接着性樹脂を、(C)層を構成する樹脂として非
晶質エチレン−プロピレン共重合体を用いた。5層共押
出用Tダイスに連結した独立した5台の押出機を用い、
シリンダー温度220℃に設定した2台の押出機にスキ
ン層(A)となる前記記載のエチレンー酢酸ビニル共重
合体ケン化物(EVOH)を、シリンダー温度180℃
に設定した他の2台の押出機に接着層(B)となる接着
性樹脂を、シリンダー温度240℃に設定した他の1台
の押出機にコア層(C)となる非晶質エチレン−プロピ
レン共重合体を各々供給した。次いで、温度240℃に
設定された5層共押出用Tダイスから溶融共押出し積層
した後、冷却ロールで急冷して、(A)層/(B)層/
(C)層/(B)層/(A)層構成の積層シートを得
た。その後、逐次2軸延伸機を用いて、第1段目で縦方
向に表面温度110〜130℃の加熱ロールを用い、3
倍ロール延伸し、その後、第2段目で横方向にテンター
を用い、テンター内雰囲気温度130〜150℃で4倍
延伸した。続いて、160℃の温度で幅方向に約2%弛
緩しながら約1〜2分熱固定(熱処理)して(A)層を
結晶化し、厚さ(A)層/(B)層/(C)層/(B)
層/(A)層=10/5/10/5/10=40μmの
積層シートを得た。
【0079】得られた積層シートのスキン層の外表面
に、アクリル系樹脂から成形されるヒートシール剤を全
面に8g/m2 グラビアコートして蓋材用シートを成形
した。該蓋材用シートを用いて、ポリプロピレン系重合
体から成形されるシートを真空成形で形成される底材の
収容部に医薬錠剤を収容した後、収容部開口縁に成形さ
れたフランジ部と、前記の蓋材シートのアクリル系樹脂
のヒートシール剤がコートされたスキン層とをシール温
度160℃、シール圧4kgf/cm2 、シール時間1
秒の条件でヒートシールを行い収容部を封緘したブリス
ターパック包装体を連続成形したが、蓋材を構成する
(A)層の外面に粘着性が発生しなかった。従って、蓋
材用シートはヒートシール機のシーラーに付着すること
がないものであった。該蓋材用シートは従来から使用さ
れているアルミ箔の蓋材に匹敵するものであり、また該
蓋材用シートは底材と同じ条件で焼却処理ができる易焼
却性を有していた。該蓋材用シートの結晶化度、引張切
断荷重、伸び、突き破り強度、水蒸気透過率、被包装品
(医薬錠剤)の取り出し性を表2に示した。
【0080】
【表2】
【0081】実施例7 実施例1における表面層(A)を形成するエチレン−酢
酸ビニル共重合体ケン化物を用いて、厚さ40μmの単
層シートをTダイ法で溶融押出成形すること以外は、実
施例1と同様にして蓋材用シートを得た。該蓋材用シー
トを用いて、ポリプロピレン系重合体から成形されるシ
ートを真空成形で形成される底材の収容部に医薬錠剤を
収容した後、実施例1と同様にして収容部開口縁に成形
されたフランジ部と、シール温度160℃、シール圧4
kgf/cm2 、シール時間1秒の条件でヒートシール
を行い収容部を封緘したブリスターパック包装体を連続
成形した。(A)層のみで成形される単層シートは粘着
性が発生しないものであった。従って、蓋材用シートは
ヒートシール機のシーラーに付着しないものであった。
該蓋材用シートは従来から使用されているアルミ箔の蓋
材に匹敵するものであり、また該蓋材用シートは底材と
同じ条件で焼却処理ができる易焼却性を有していた。該
蓋材用シートの結晶化度、引張切断荷重、伸び、突き破
り強度、水蒸気透過率、被包装品(医薬錠剤)の取り出
し性を表2に示した。
【0082】比較例1 (A)層/(B)層/(A)層の3層構成の蓋材用シー
トにおいて、スキン層(A)が、非晶質ポリプロピレン
重合体(MFR:6.0g/10min)、コア層
(B)が、ポリエチレン系樹脂をマレイン酸で変性して
製造される接着性樹脂である2種3層構成の(A)層/
(B)層/(A)層の積層シートを、縦方向に3.0
倍、横方向に4.0倍延伸して積層シートを成形し、そ
の後、熱処理を施さないこと以外は、実施例1と同様に
して、(A)層/(B)層/(A)層構成の蓋材用シー
トを得た。該蓋材用シートを用いて、スキン層(A)
を、ポリプロピレン系重合体から成形されるシートを真
空成形で形成される底材の収容部に医薬錠剤を収容した
後、収容部開口縁に成形されたフランジ部に、シール温
度160℃、シール圧4kgf/cm2 、シール時間1
秒の条件でヒートシールを行い収容部を封緘したブリス
ターパック包装体を連続成形した。該蓋材シートの
(A)層は、溶融する傾向があり、熱処理が施されてい
ても粘着性が発生する傾向があった。従って、蓋材用シ
ートがヒートシール機のシーラーに付着する傾向があ
り、ブリスターパック包装体の生産性が低下する傾向が
あった。該蓋材用シートの結晶化度、引張切断荷重、伸
び、突き破り強度、水蒸気透過率、被包装品(医薬錠
剤)の取り出し性を表2に示した。
【0083】比較例2 (A)層/(B)層/(C)層/(B)層/(A)層の
場合 スキン層(A)が実質的にシンジオタクチック構造を有
するポリスチレン、接着層(B)がポリエチレンをマレ
イン酸で変性して得られる接着性樹脂、コア層(C)が
Gタイプのポリスチレン系重合体を用いた構成の蓋材用
シートを熱処理を施さないこと以外は、実施例1と同様
にして、(A)層/(B)層/(C)層/(B)層/
(A)層構成の蓋材用シートを得た。該蓋材用シートを
用いて、ポリプロピレン系重合体から成形されるシート
を真空成形で形成される底材の収容部に医薬錠剤を収容
した後、収容部開口縁に成形されたフランジ部に、シー
ル温度160℃、シール圧4kgf/cm2 、シール時
間1秒の条件でヒートシールを行い収容部を封緘したブ
リスターパック包装体を連続成形した。該蓋材シート
は、スキン層(A)が熱処理が施されていないので、ス
キン層(A)に粘着性が発生する傾向があった。従っ
て、蓋材用シートがヒートシール機のシーラーに付着す
る傾向があり、ブリスターパック包装体の生産性が低下
する傾向があった。該蓋材用シートの結晶化度、引張切
断荷重、伸び、突き破り強度、水蒸気透過率、被包装品
(医薬錠剤)の取り出し性を表2に示した。
【0084】
【発明の効果】本発明に係るブリスターパック包装体の
蓋材用シートは、例えば底材の収容部をヒートシールで
封緘る場合、スキン層(A)に粘着性が発生しないもの
でありこのような蓋材用シートは、例えば医薬錠剤等の
PTP等の蓋材として使用されると、ヒートシール機
(例えば回転ロール)に付着することがなく、生産効
率、ヒートシール強度が優れ、、シワ、割れ、カール等
が発生しないという格別な効果を奏しブリスターパック
包装体の蓋材として好適に使用できる。
【0085】更に、本発明に係るブリスターパック包装
体の蓋材用シートは、耐水蒸気透過性が優れているの
で、高度の防湿性が要求される、例えば医薬錠剤等のP
TPの蓋材用シートとして、好適に使用でき、しかも易
突き破り性が優れているので、容易に被包装品(例えば
医薬錠剤)を取り出すことができる。また、本発明に係
るブリスターパック包装体の蓋材用シートが突き破られ
使用済みになった蓋材用シートは、底材に付着した状態
で、底材と同じ条件で焼却処理できる易焼却性を有する
ものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】グンゼ式突き破り強度測定装置の概略断面図を
示す。
【符号の説明】
1 本発明に係る蓋材用シート 2 金属板 3 ゴム板 4 固定具 5 半円球 6 プロープ 7 検出機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E067 AA11 AB82 BA31A BB14A BB15A BB16A BB25A BC07A CA04 CA30 EA06 EA29 EA32 EB01 EC08 FB02 FB04 3E084 AA02 AA06 AA12 AB10 BA01 BA08 BA09 CA01 CC03 CC04 CC05 CC08 FD13 GB08 LA01 4F100 AK03A AK03C AK07 AK15A AK15C AK25G AK49A AK69 AR00A AR00B AR00D AR00E BA01 BA02 BA03 BA05 BA10A BA10C BA10D CB00 DA03 GB16 GB18 GB66 JA11A JA11D JA12C JB16A JB16D JD04 JK01 JK03 JK14 JL04 JL11B JL11E JL12 YY00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性熱可塑性樹脂を必須成分とする
    (A)層の単層構成であるブリスターパック包装体の蓋
    材用シート。
  2. 【請求項2】 結晶性熱可塑性樹脂を必須成分とする
    (A)層の蓋材用シートを一方または両方の外層とする
    ブリスターパック包装体の蓋材用シート。
  3. 【請求項3】 結晶性熱可塑性樹脂を必須成分とする
    (A)層、接着性樹脂を必須成分とする(B)層、非晶
    質ポリオレフィン若しくはポリスチレンを必須成分とす
    る(C)層がこの順序に積層されてなる少なくとも3層
    を基本構成とするブリスターパック包装体の蓋材用シー
    ト。
  4. 【請求項4】 結晶性熱可塑性樹脂を必須成分とする
    (A)層が、120〜200℃で熱処理されてなる請求
    項1〜3のいずれかに記載のブリスターパック包装体の
    蓋材用シート。
  5. 【請求項5】 (A)層/(B)層の2層構成若しくは
    (A)層/(B)層/(A)層の3層構成である請求項
    2及び4に記載のブリスターパック包装体の蓋材用シー
    ト。
  6. 【請求項6】 (A)層/(B)層/(C)層の3層構
    成若しくは(A)層/(B)層/(C)層/(B)層/
    (A)層の5層構成である請求項3、4に記載のブリス
    ターパック包装体の蓋材用シート。
  7. 【請求項7】 結晶性熱可塑性樹脂が、ポリオレフィ
    ン、ポリスチレン、及びポリアミドからなる群より選ば
    れる1種である請求項1〜6のいずれかに記載のブリス
    ターパック包装体の蓋材用シート。
  8. 【請求項8】 突き破り強度が4.0kgf以下であ
    り、かつ、厚さ25μmでの水蒸気透過率が100g/
    2 ・24hr以下である請求項1〜7のいずれかに記
    載のブリスターパック包装体の蓋材用シート。
  9. 【請求項9】 プレススルーパック(PTP)及びカッ
    プ類の蓋材として使用される請求項1〜8のいずれかに
    記載のブリスターパック包装体の蓋材用シ−ト。
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