JP2000006693A - き電電圧の調整方法及び調整装置 - Google Patents

き電電圧の調整方法及び調整装置

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Tomoshi Tada
知史 多田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 き電線の末端での電圧変動を簡便な手段によ
り抑制することにある。 【解決手段】 交流電気鉄道のき電線3の末端で連系変
圧器12を介して接続された連系コンバータ13によ
り、き電線3の末端での電圧変動を補償するためにき電
線3の末端でのき電電圧を調整する方法であって、連系
コンバータ13の直流側にバッテリー14と直流コンデ
ンサ15を並列接続し、バッテリー14により有効電力
の長周期変動分を補償し、直流コンデンサ15により有
効電力の短周期変動分を補償する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はき電電圧の調整方法
及び調整装置に関し、詳しくは、交流電気鉄道におい
て、変電所からき電区分所に至る単相回路で、き電線末
端での電圧変動を補償するためにき電線末端でのき電電
圧を調整する方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、交流電気鉄道において、図4に
示すように変電所1からき電区分所2に至る単相回路で
は、き電線3の末端で線路インピーダンスの抵抗分やリ
アクタンス分によって列車4の走行による電圧降下が発
生し、そのき電線3の末端で所望のき電電圧が得られな
い現象が生じる。
【0003】即ち、き電線3の抵抗分をR、き電線3の
リアクタンスをX、列車4の有効電力変動分をΔP、列
車4の無効電力変動分をΔQとすると、き電線3の末端
での電圧変動ΔVは、 ΔV=R・ΔP+X・ΔQ となる。このような電圧変動を補償するため、従来で
は、ACフィルタ5とサイリスタ位相制御リアクトル6
とで構成された無効電力補償装置8(SVC)をき電線
3の末端にAC遮断器9を介して設置している。この無
効電力補償装置8では、サイリスタ7を点弧位相制御す
ることによりリアクトル電流を制御し、無効電力を補償
して電圧変動を抑制するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したよ
うにき電線3の末端での電圧変動ΔVを無効電力で補償
するためには、ΔV=X×Qcとする必要があることか
ら、無効電力補償量Qcは、Qc=(R/X)×ΔP+
ΔQとなる。無効電力補償装置8(SVC)では、無効
電力補償量Qcによる補償のみで行っていた。
【0005】しかしながら、き電線3の線路インピーダ
ンスはその抵抗分Rがあまり小さくないため、負荷とし
ての列車4の場合、有効電力変動分ΔPが無効電力変動
分ΔQよりも大きいことから、抵抗分Rによる電圧変動
(ΔP×R)が無視できない。
【0006】また、前述のように無効電力補償量Qc
は、Qc=(R/X)×ΔP+ΔQとなることから、Q
c>ΔQで力率が進んでしまう問題がある。特に、近年
はPWMコンバータ車が増加して列車4の力率がほぼ1
のものがあり、無効電力の補償により電圧変動を抑制す
るだけでは不十分であった。
【0007】そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提
案されたもので、その目的とするところは、き電線の末
端での電圧変動を簡便な手段により抑制し得るき電電圧
の調整方法及び調整装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めの技術的手段として、本発明は、交流電気鉄道のき電
線末端で連系変圧器を介して接続された連系コンバータ
により、き電線末端での電圧変動を補償するためにき電
線末端でのき電電圧を調整する方法であって、前記連系
コンバータの直流側にバッテリーと直流コンデンサを並
列接続し、バッテリーにより有効電力の長周期変動分を
補償し、直流コンデンサにより有効電力の短周期変動分
を補償することを特徴とする。
【0009】この本発明では、具体的に、有効電力の変
動分を補償すると共に、有効電力の補償量が限度となる
と、残余の変動分を無効電力で補償する方法、又は、有
効電力の変動分を補償すると共に、有効電力の補償量と
一定の比率でもって無効電力を補償する方法が可能であ
る。
【0010】更に、本発明は、交流電気鉄道のき電線末
端で連系変圧器を介して接続された連系コンバータによ
り、き電線末端での電圧変動を補償するためにき電線末
端でのき電電圧を調整する装置であって、前記連系コン
バータの直流側に、有効電力の長周期変動分を補償する
バッテリーと、有効電力の短周期変動分を補償する直流
コンデンサとを並列接続したことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係るき電電圧の調整方法
及び調整装置の実施形態を以下に詳述する。
【0012】図2に示すように交流電気鉄道において、
変電所1からき電区分所2に至る単相回路で、図1に示
すような調整装置11をき電線3の末端に設置する。
【0013】この調整装置11は、き電線3の末端に連
系変圧器12を介して接続された連系コンバータ13に
より、き電線3の末端での電圧変動を補償するためにき
電線3の末端でのき電電圧を調整するもので、その連系
コンバータ13の直流側に、有効電力の長周期変動分を
補償するバッテリー14と、有効電力の短周期変動分を
補償する直流コンデンサ15とを並列接続する。尚、調
整装置11はき電線3と中性点16との間に接続され、
連系変圧器12の前段にAC遮断器17及びACフィル
タ18が設けられ、連系コンバータ13の直流側の直流
コンデンサ15とバッテリー14との間にDC遮断器1
9が設けられている。
【0014】本発明は、き電線3の末端での電圧変動を
補償するに際しては、バッテリー14と直流コンデンサ
15とではその応答時定数が異なるため、応答時定数が
長いバッテリー14により有効電力の長周期変動分を補
償し、応答時定数が短い直流コンデンサ15により有効
電力の短周期変動分を補償する。
【0015】この有効電力の補償は、列車4の力率がほ
ぼ1の場合などに好適であるが、列車4の力率が1でな
い場合などには、前述した有効電力の補償と共に、無効
電力の補償も必要である。この場合、調整装置11のう
ち、バッテリー14及びDC遮断器19を除けば、イン
バータ(連系コンバータ13)を具備した無効電力補償
装置20の構成を有することから、有効電力と無効電力
の補償が可能である。そこで、例えば有効電力の変動分
を補償すると共に、有効電力の補償量が限度となると、
残余の変動分を無効電力で補償する。
【0016】図3はこの有効電力及び無効電力の補償に
よる調整方法の制御ブロック図を示す。同図に示すよう
にき電電圧Vsを入力して、減算器21によりき電電圧
指令値Vsrとの誤差比較で電圧制御回路22から出力信
号Xcを得る。ここで、例えば在来線の定格電圧が20
kVの場合、電圧変動(電圧降下)の許容値としてき電
電圧指令値Vsrを17kVに設定すると、き電電圧Vs
が17kVに降下するまでは電圧制御回路22にリセッ
ト信号Srが送出されて電圧制御回路22がリセットさ
れ、一方、き電電圧Vsが17kV以下に降下した時に
は、電圧制御回路22が動作開始して出力信号Xcを送
出する。
【0017】この電圧制御回路22の出力信号Xcはそ
のままで有効電力指令値Pcに相当するが、リミッタ回
路23によりその有効電力指令値Pcを所定値以下に制
限する。き電電圧Vsがき電電圧指令値Vsrを維持でき
ない状態で有効電力指令値Pcがリミッタ回路23によ
る限度を超えると、ゲイン調整信号Sgに基づいてゲイ
ン回路24でのゲインを調整して無効電力指令値Qcを
得る。
【0018】一方、連系コンバータ13の電流指令値を
得るためにき電電圧Vsの同期信号Sp及び90°移相
同期信号SqをPLL回路25により生成し、前述した
有効電力指令値Pc及び無効電力指令値Qcに乗算器2
6,27により乗算して瞬時電流信号の有効電流指令値
Icp及び無効電流指令値Icqを得る。この有効電流指令
値Icpと無効電流指令値Icqとを加算器28により連系
コンバータ13の瞬時電流指令値Icrを算出し、この出
力電流に対してフィードバック制御を行う。この瞬時電
流指令値Icrを減算器29に入力し、出力電流Icとの
誤差比較で電流制御回路30から出力信号Vcを得る。
この出力信号Vcとき電電圧Vsとを加算器31により
加算した出力電圧指令値VrをPWM制御回路32に入
力し、このPWM制御回路32から出力されるゲート信
号Gにより連系コンバータ13を制御する。
【0019】以上説明した制御では、有効電力の変動分
を補償すると共に、有効電力の補償量が限度となると、
残余の変動分を無効電力で補償するようにしたが、本発
明はこれに限定されることなく、例えば有効電力の変動
分を補償すると共に、有効電力の補償量と一定の比率で
もって無効電力を補償する制御も可能である。
【0020】尚、その場合、図3に示す制御ブロック図
では、リミッタ回路23による有効電力指令値Pcの制
限及びゲイン調整信号Sgによるゲイン回路24でのゲ
イン調整が不要であり、図示しないが有効電力指令値と
無効電力指令値とを一定の比率で生成することになる。
【0021】また、前述した実施形態では、有効電力と
無効電力の両方を補償する場合について説明したが、列
車4の力率がほぼ1の場合などには有効電力の補償だけ
でよく、その場合、図3に示す制御ブロック図では、図
示しないが無効電力の制御が不要となる。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、連系コンバータの直流
側にバッテリーと直流コンデンサを並列接続し、バッテ
リーにより有効電力の長周期変動分を補償し、直流コン
デンサにより有効電力の短周期変動分を補償することに
より、き電線の末端での電圧変動を簡便な手段により抑
制することができると共に、き電線末端から列車に有効
電力を供給することができるので、変電所でのピーク電
力を低減することができて変電所の負担を軽減できる。
また、列車の力率がほぼ1の場合でも、変電所側の力率
を進ませることなく、き電線の電圧調整ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るき電電圧の調整装置の実施形態を
示す回路図
【図2】本発明装置をき電線の末端に設置した例を示す
構成図
【図3】本発明の制御ブロック図
【図4】き電電圧の調整方法及び調整装置の従来例を示
す構成図
【符号の説明】 3 き電線 12 連系変圧器 13 連系コンバータ 14 バッテリー 15 直流コンデンサ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交流電気鉄道のき電線末端で連系変圧器
    を介して接続された連系コンバータにより、き電線末端
    での電圧変動を補償するためにき電線末端でのき電電圧
    を調整する方法であって、前記連系コンバータの直流側
    にバッテリーと直流コンデンサを並列接続し、バッテリ
    ーにより有効電力の長周期変動分を補償し、直流コンデ
    ンサにより有効電力の短周期変動分を補償することを特
    徴とするき電電圧の調整方法。
  2. 【請求項2】 前記有効電力の変動分を補償すると共
    に、有効電力の補償量が限度となると、残余の変動分を
    無効電力で補償することを特徴とする請求項1記載のき
    電電圧の調整方法。
  3. 【請求項3】 前記有効電力の変動分を補償すると共
    に、有効電力の補償量と一定の比率でもって無効電力を
    補償することを特徴とする請求項1記載のき電電圧の調
    整方法。
  4. 【請求項4】 交流電気鉄道のき電線末端で連系変圧器
    を介して接続された連系コンバータにより、き電線末端
    での電圧変動を補償するためにき電線末端でのき電電圧
    を調整する装置であって、前記連系コンバータの直流側
    に、有効電力の長周期変動分を補償するバッテリーと、
    有効電力の短周期変動分を補償する直流コンデンサとを
    並列接続したことを特徴とするき電電圧の調整装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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Effective date: 20050906