JP2000006142A - 紙と生分解性樹脂との複合材及びその製造方法 - Google Patents

紙と生分解性樹脂との複合材及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形品に加工して使用するときには充分な強
度等の機械的物性を有すると同時に、生分解性樹脂の特
徴である分解作用をより有効に発揮させ、より短時間で
分解されることができ、さらに低コストで生産され得る
複合材の提供を図る。 【解決手段】 紙を樹脂と混練することにより得られた
紙と樹脂との複合材において、上記の紙が解繊すること
によって繊維状とされたものであり、樹脂は、水分の存
在が分解のための好ましい条件となる生分解性樹脂を提
供する。解繊した紙の繊維長の平均は、2mm以上とする
ことが好ましく、解繊繊維は1%以上5%以下の含水率
に乾燥して生分解性樹脂と混練することが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、紙と生分解性樹
脂との複合材及びその製造方法に関するもである。
【0002】
【従来の技術】今日、生分解性樹脂は、廃棄した際に焼
却処分をしなくとも、土中に埋めておくことによって、
微生物の働き等によって分解されるものとして、易廃棄
性、地球環境の保護の観点から注目されている。
【0003】しかしながら、生分解性樹脂の価格は高い
上、生分解性樹脂の分解性は、主として微生物に依存す
るため、自然環境によって大きく左右される。また、生
分解性樹脂の成形品の大きさや肉厚によっても、その分
解に要する時間は左右される。特に、生分解性樹脂の成
形品の場合は、フィルムと違い厚みが厚いために完全な
分解迄には、かなり長時間を要することとなる。そのた
め、幾分不安定な分解性を改善し、より短い時間で分解
されるようにすることが、生分解性樹脂の利用の拡大に
は重要であると考えられる。
【0004】他方従来より、紙と樹脂とを混練して、成
形原材料として利用する技術は、古紙のリサイクルの一
つの方法及び燃焼カロリーの低減手段として着目され、
また、紙成分が51wt%以上の場合には紙として一般
ゴミの扱いとなり廃棄性の観点からも注目されている。
【0005】この紙と樹脂との複合材を製造する方法と
しては、紙を小片状として樹脂と混練する方法と、紙を
解繊し、この繊維状の解繊物と樹脂とを混練する方法と
に大別し得る。前者は小片状の紙の存在が成形品内で見
える場合があり外観上の点から使用用途が限られる場合
があるが、後者は、そのような外観上の制約は殆どな
く、さらに、解繊物の植物繊維が樹脂の強化材として作
用し、樹脂単体に比して機械的強度を向上させることが
できるという利点がある。
【0006】後者の方法については、紙を小片状に粗砕
し、この小片状の紙を溶融した樹脂液中で叩解して解繊
することにより、叩解による解繊と混練とを一つの工程
で行う方法が知られている。ところがこの方法では、叩
解を溶融した樹脂液中で行うため、叩解中に大きなせん
断力と熱とが加わり、繊維が劣化してしまう。
【0007】後者の他の方法としては、紙を予め解繊
し、この解繊した紙と樹脂とを混練する方法があるが、
この方法については、解繊を多量の水を用いて溶解させ
る湿式法と、溶解のための水を用いない乾式法の2つの
方法がある。
【0008】湿式法の場合、得られた繊維を公定水分量
(8〜9%程度)に乾燥すると繊維間の水素結合力が大
きくなり、物理的な力で混練分散させることが困難とな
ったり、熱エネルギーを多量に必要とすると言った問題
が指摘されている。
【0009】乾式法としては、特開平5−269736
号公報に記載の方法が提案されている。この方法は、溶
解のための水を用いない乾式法により紙を解繊し、これ
に分散性改良剤を加えて造粒し、この粒状とした解繊繊
維と樹脂とを混練するものである。
【0010】この乾式法では、紙の公定水分量(8〜9
%程度)をほぼ維持して解繊するものであり、混練に使
用される解繊繊維は、8〜9%程度の水分量を含んでい
る。その結果、解繊繊維と樹脂との複合材の含水率は、
最大、4〜6%となる可能性があり、このように、吸水
した含水率の高い複合材を用いて成形を行うと、成形時
の加熱溶融の段階で水分の蒸気化により、樹脂に加水分
解が生じて、物性が低下すると共に、発泡による成形物
の欠落空洞化がおこるおそれがある。
【0011】勿論、混練時の加熱及び発熱によって、水
分が上昇するため、混練を長時間行うことによって、複
合材の含水率を低下させることはできるが、乾燥を混練
に過度に依存することは、混練工程の生産性の低下を招
き、コストアップの要因となる。また、生産において、
安定な複合材を得るためには、加熱温度、混練時間等の
製造条件を一定にすることが重要である。ところが、水
分量の安定を中心に管理すると、解繊繊維の含水率は大
気湿度によって大きく左右されるため、含水率に応じて
混練の加熱温度条件や混練時間等を変更する必要が生じ
てしまい、複合材全体の製品の安定性を図ることができ
ない。
【0012】さらに、本願発明者は、複合材の品質や生
分解性を大きく左右する他の要因として、解繊繊維の繊
維長に着目したものであり、繊維長の面からも品質の安
定化と生産性の向上を図らんとするものである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本願の第1の発明は、
生分解性製品の価格を下げる事が出来、成形品に加工し
て使用するときには充分な強度等の機械的物性を有する
と同時に肉薄加工が可能となり、さらには、生分解性樹
脂の特徴である分解作用をより有効に発揮させ、より短
時間で分解されることができる複合材を提供することを
目的とする。本願の第2の発明は、上記の第1の目的に
加えて、品質の安定化と共に、高い生産性のもと低コス
トで生産でき、しかも、生分解作用をより有効に発揮し
得る複合材を提供せんとするものである。本願の第3の
発明は、生分解性製品の価格を下げる事が出来、成形品
に加工して使用するときには充分な強度等の機械的物性
を有すると同時に肉薄加工が可能となり、さらには、生
分解性樹脂の特徴である分解作用をより有効に発揮させ
ることができる複合材を、高い生産性のもと低コストで
生産できる製造方法を提供せんとするものである。本願
の第4の発明は、上記の第3の発明の目的に加えて、安
定した品質と、生分解作用をより有効に発揮し得る複合
材を生産する方法を提供せんとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】そこで本願発明は、次の
構成を特徴とするを提供することにより、上記の課題を
解決する。本願の第1の発明は、紙を樹脂と混練するこ
とにより得られた紙と樹脂との複合材において、上記の
紙が解繊することによって繊維状とされたものであり、
樹脂は、水分の存在が分解のための好ましい条件となる
生分解性樹脂であることを特徴とする紙と生分解性樹脂
との複合材を提供する。本願の各発明において、水分の
存在が分解のための好ましい条件となる生分解性樹脂と
は、微生物等の生体の作用による樹脂の分解が、水分が
存在しない場合に比して、少量であっても水分が存在す
る場合の方が良好に行われる樹脂を意味するものであ
り、水分の存在が分解作用に直接好ましい結果を与える
場合に限らず、水分の存在が樹脂の分解に関与する微生
物等の生存に好影響を与えることにより分解に好ましい
条件となる場合も含む意味である。なお、水分が少量存
在すれば足りるものであり、分解に必要な水分の量は問
わず、水分の存在が分解のための好ましい条件となるも
のであれば本願発明の生分解性樹脂に含まれるものであ
る。
【0015】本願の第1の発明にあたっては、生分解性
樹脂を単体で用いるのではなく、解繊することによって
繊維状とされた紙と混練した複合材として用いるため、
この複合材によって生分解性樹脂使用コストは下がり、
成形した成形品の機械的物性は、紙の解繊繊維によって
強化され向上している。従って、生分解性樹脂の単体に
よる成形品と同一の強度をもつものを、より薄い肉厚に
よって得ることができる。その結果、生分解される際に
も、肉厚の小さい分、より短時間の分解が実現する。さ
らに重要な事は、加水分解等の水分の存在によって分解
が促進される生分解性樹脂を用い、解繊繊維によって土
中から水分を吸収し成形品内に供給することによって、
加水分解を誘起することができ、同一の肉厚としても、
生分解性樹脂単体の場合よりも短い時間での分解を実現
するものである。
【0016】本願の第2の発明は、上記の第1の発明に
係る複合材において、解繊した紙の繊維長の平均が2mm
以上、より好ましくは3mm以上であることを特徴とする
ものを提供する。このような比較的長い繊維長の解繊繊
維を用いることによって、吸水効果を向上させ、加水分
解作用を促進することができるものである。
【0017】本願の第3の発明は、乾式により紙を解繊
する工程と、得られた解繊繊維を乾燥する工程と、この
乾燥した解繊繊維を、水分の存在が分解の好ましい条件
となる生分解性樹脂と混練する工程とを備えたことを特
徴とする紙と生分解性樹脂との複合材の製造方法を提供
する。この製造方法によって、本願の第1の発明に係る
複合材を製造し得る。しかも、乾式の解繊工程によって
得られた解繊繊維は、紙の公定水分量程度の8〜9%程
度の含水率となっているが、これをさらに乾燥すること
によって、混練開始時の水分量を紙の公定水分量をより
低い値になすことができる。その結果、混練工程中に要
する水分の蒸発のための熱エネルギーを少なくでき、混
練工程の時間短縮を図ることができ、生産性が向上す
る。しかも、得られた複合材の成形収縮率も小さくな
り、成形時にヒケ等が発生することを防止し得る。
【0018】解繊繊維を1%以上5%以下の含水率に乾
燥して生分解性樹脂と混練することを特徴とすることに
よって、最も好ましい状態で、混練工程をなすことがで
きる。
【0019】本願発明に用いられる紙は、新しい紙であ
ってもよいが、資源の再利用の観点からは、古紙を利用
することができる。古紙の種類も特に問わないが、紙管
等の厚みの大きな古紙を利用することも可能である。紙
管等の接着剤を含む古紙を利用する時には、接着剤とし
て、水溶性のPVA系、酢酸ビニル系、澱粉系の接着剤
を用いたものを利用することが望ましく、特に、澱粉等
の天然系のものは生分解のための富栄養化剤としても機
能するために有利である。また、焼却時にダイオキシン
の発生を防止する観点からすると、上質紙等の塩素系の
漂白剤等の薬剤を用いて処理された紙を除いて、言い換
えれば、塩素化合物を含まない紙を利用することが望ま
しい。
【0020】この紙は、解繊されるが、この解繊の能率
を高めるために、粗砕装置によって数mmなしい数cm角状
の粗砕片に粗砕しておくことも望ましい。解繊は、必要
に応じて粗砕処理を施した紙を、綿状の繊維になすもの
で、湿式若しくは乾式のいずれかを問わないが、望まし
くは、溶解のための水を用いない乾式法により行う。湿
式で行うと、得られた繊維を公定水分量(8〜9%程
度)に乾燥すると繊維間の水素結合力が大きくなり、物
理的な力で混練分散させることが困難となるため、乾式
の方が有利である。
【0021】この解繊によって得られる繊維の繊維長
は、一定長さの繊維群に揃えることが望ましい。この繊
維群は、繊維群を構成する紙の繊維の80%が、繊維長
のバラツキを2.5mm以下の範囲内に揃える。一例を掲
げると、紙の繊維の80%が、1mm以下の群、2±1mm
の群、3mm〜4mmの群と言うように、繊維長を揃える。
繊維長を揃える方法としては、乾式の場合には、紙を微
細にせん断する刃の間隔や、スクリーンの目の大きさ
を、夫々の群に応じた大きさのものに変更することによ
って、繊維長を揃えることができる。尚、この乾式の場
合にも、せん断の能率を高めるためや、爆発防止のため
に微量の水を投入して解繊してもよい。そして、得られ
た解繊繊維の水分量は、紙の公定水分量8〜9%若しく
はそれ以下となっている。そして、生分解性を高めるた
めには、繊維長の平均が2mm以上であることが好まし
く、さらに3mm以上のものを用いることが最も好まし
く、これにより、成形品内部への水分の吸収を良好に行
うことができる。
【0022】次に、解繊繊維を、乾燥する。この乾燥
は、紙の通常の水分量(紙の公定水分8〜9%)より少
ない含水率に減少させるものである。望ましくは5%以
下、より望ましくは物性保持と生産性向上を目的として
1〜3%の含水率に調整する。ここで、含水率xとは、
x=(w0−w1)/w1×100で表される。但し、
w0=乾燥前の重量、w1=乾燥後の重量とする。乾燥
方法としては特に制限はないが、熱風を利用した熱風循
環乾燥方式の他、時間短縮のために有利な高周波加熱乾
燥方式や赤外線照射加熱乾燥方式を用いることができ
る。
【0023】この乾燥後の解繊繊維は、生分解性樹脂と
調合され、混練される。生分解性樹脂としては、微生物
が排出した酵素によって樹脂が加水分解され、且つ、少
量の水分の存在によって分解が促進されるもの等、水分
の存在が分解のための好ましい条件となる樹脂を用いる
もので、ポリヒドロキシブチレート/バリレート等の微
生物生産系のものや、ポリブチレンサクシネート、ポリ
ブチレンサクシネート/アジペート、ポリ乳酸、ポリカ
プロラクトン等の化学合成系のものや、酢酸セルロー
ス、澱粉/合成生分解性プラスチック等の天然物利用系
のもの等を例示し得る。調合と混練とは別工程としても
よく、同じ工程としてもよい。また、繊維長の異なる複
数の繊維群を、調合してもよい。解繊繊維と生分解性樹
脂との配合比率は、重量比率で5:95〜90:10程
度とすることが好ましいが、解繊繊維を51%以上とす
る(51:49〜90:10程度とする)ことによっ
て、得られた製品が紙として焼却し得る点で特に好まし
い。尚、この解繊繊維と生分解性樹脂との他に、着色
剤、安定剤等の添加物を加えることもできる。
【0024】混練装置は、加熱しながら生分解性樹脂を
溶解させ、攪拌することによって、生分解性樹脂を解繊
繊維と混合させるもので、これにより解繊繊維と生分解
性樹脂との複合化が図られる。その際、混練中の加熱、
発熱によって、水分が蒸発して1%以下(望ましくは
0.3%以下)まで、含水率が低下させられるが、本願
発明では前述の乾燥工程を経ているため、水分飛散時間
を短縮することができ、混練時のコストやエネルギーを
削減することができる。この混練は、解繊繊維を混練装
置の混練槽中に先に投入して、後から生分解性樹脂を投
入してもよく、その逆に、先に生分解性樹脂を投入した
後、解繊繊維を投入してもよく、両者を予め調合して予
備的に混合した後、投入してもよい。尚、解繊繊維を乾
燥した後に、大気中に長時間放置しておくと、解繊繊維
が吸湿して乾燥の意味がなるなるため、低含水率を維持
した状態で混練工程へと移す必要がある。具体的には、
乾燥と混練とを連続して行うことが最も単純で確実な方
法であると言えるが、乾燥後に密閉状態で貯蔵して低含
水率を維持するか、或いは、混練工程前に再度乾燥する
か、何れにしても、混練前に少なくとも1回の乾燥処理
を行うことによって、混練開始時に低含水率とする。
【0025】さらに、混練に際しては、圧力を加えなが
ら攪拌する、加圧攪拌式混練製造方法を用いることがで
きる。この方法では、圧力を加えながら攪拌するため、
時間短縮、混合の良好性、物性の安定化、紙繊維体積の
低減を図ることができる。特に、圧力を加えながら解繊
繊維を攪拌することによって、解繊繊維群の密度が高ま
り、生分解性樹脂との混練が良好になされ、時間短縮、
混合の良好性、物性の安定化、紙繊維体積の低減が図ら
れる。加圧の圧力は、0.10〜0.17MPaのエア
ー圧にてコンパウンドするものであり、まず、密度の小
さな綿状の解繊繊維を圧縮する。ある程度圧縮がなされ
た状態で、生分解性樹脂を投入して攪拌するものであ
り、混練の完了状態では、殆ど圧力がかかっていない状
態となる。また、この加圧攪拌式混練製造方法では、圧
力があるため、混練用のスクリューの回転数は、20〜
50rpm程度の低速攪拌で足る。このように高速回転
を行う必要がないため、紙繊維を傷めない点で有利であ
る。
【0026】尚、焼却時にダイオキシンの発生を防止す
る目的から、上記のように、利用する紙の種類を選択す
るのも一つの方法であるが、確実に選択し得ないおそれ
もあるため、混練開始までの段階、即ち、粗砕、解繊、
乾燥、調合の段階で脱塩素処理を行っておくことも望ま
しい。
【0027】混練によって得られた、解繊繊維と生分解
性樹脂との複合材(以下、単に本件複合材と言う)は、
合成生分解性樹脂の常法によって、利用される。一般に
は、造粒処理によってペレット状とされ、各種の樹脂成
形機によって種々の製品を成形する。成形の方法と、こ
れに用いられる成形機の種類は、合成樹脂成形に利用さ
れるものから種々選択して使用できる。本件複合材の含
水率は0.5%以下となっているが、本件複合材から樹
脂成形までの間に吸湿しないように、得られたペレット
を防湿性のパッケージ内等に保持しておくことが望まし
い。但しこれに限らず、複合材を得た後に吸湿した水分
を乾燥させるために、成形前に乾燥させるか、又は、例
えば射出成形機の成形機における原料の投入口に、乾燥
装置を設けておき、成形前に投入する本件複合材のペレ
ットを0.3%以下の含水率程度に乾燥させるようにし
てもよい。
【0028】
【実施例】以下、本件発明の実施例を比較例と共に表1
に示すが、本件発明はこの実施例に限定して解釈される
べきではない。
【0029】実施例1は、紙管を粗砕装置によって10
〜30mm角の粗砕片に粗砕し、乾式解繊装置によって解
繊した。その際、得られた紙の繊維の80%が2±1mm
の範囲内に収まるように、解繊装置のスクリーンの目の
大きさを設定した。得られた解繊繊維を、熱風乾燥機に
よって含水率3%以下に乾燥した後、この解繊繊維20
重量%を、生分解性樹脂80重量%と共に加圧攪拌式混
練装置によって混練し、得られた実施例1に係る複合材
を造粒機によって造粒し、ペレット状とした。造粒完了
時の実施例1に係る複合材の含水率は0.29%であっ
た。この複合材を1カ月間放置した後、射出成形機で試
験片を成形した。尚、射出成形機に投入直前に乾燥させ
た時の複合材の含水率を示す成形前含水率は、0.22
%であった。
【0030】実施例2〜4及び比較例1,2について
も、表1に示す条件によって上記方法によって成形し
た。尚、実施例1〜4は解繊繊維の配合率を変化させた
ものであり、比較例1,2は対象区としてそれぞれ生分
解性樹脂のみ、ポリエチレンのみによって成形した。各
実施例及び比較例1の生分解性樹脂としては、ポリブチ
レンサクシネートを用いた。
【0031】
【表1】
【0032】次に、混練工程における温度及び電流の測
定結果と、造粒工程における生産性と、各実施例及び比
較例で得られた樹脂成形品の各種機械的物性の測定結果
とを表1の下半に示す。「設定材料温度」は、混練をほ
ぼ20分で終了させることが出来る設定温度で、低い値
の方が電気効率が良い。「20分後電流」は、混練開始
時から20分経過した時点での混練装置の攪拌モータの
電流を示し、値の低い方が電気効率は良く、製造時間の
短縮が出来る。生産性は、1時間当たりに生産されるペ
レットの総重量を示し、値の大きい方が生産性が高い。
「引張強度」「引張弾性率」はJIS K7113によ
って、「アイゾット衝撃値」はJISK7110(ノッ
チ付き)によって試験した。
【0033】この表1から明らかなように、各実施例
は、解繊繊維を含まない比較例1に比して機械的物性が
向上しているが、実施例1については、解繊繊維配合率
が少なく、紙の特徴とする生分解的機能が他の実施例に
比して低くなるおそれがある。解繊繊維配合率の高い実
施例4は他の実施例に比して生産性、機能的物性ともに
低くなっているが、燃焼カロリーが低く、生分解速度が
早まる点で有利である。また、高価とされている生分解
性樹脂のコストダウンにもなる。比較例2については機
械的物性が低く、燃焼カロリーが高いものであり、生分
解的機能は期待できないものであり、この比較例2の欠
点を本願の各実施例では解決している。
【0034】
【発明の効果】本願の第1の発明は、成形品に加工して
使用するときには充分な強度等の機械的物性を有すると
同時に、生分解性樹脂の特徴である分解作用をより有効
に発揮させ、より短時間で分解されることができる複合
材を提供することができたものである。本願の第2の発
明は、上記の第1の効果に加えて、品質の安定化と共
に、高い生産性のもと低コストで生産でき、しかも、生
分解作用をより有効に発揮し得る複合材を提供し得たも
のである。本願の第3の発明は、成形品に加工して使用
するときには充分な強度等の機械的物性を有すると同時
に、生分解性樹脂の特徴である分解作用をより有効に発
揮させることができる複合材を、高い生産性のもと低コ
ストで生産できる製造方法を提供することができたもの
である。本願の第4の発明は、上記の第3の発明の効果
に加えて、安定した品質と、生分解作用をより有効に発
揮し得る複合材を生産する方法を提供し得たものであ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紙を樹脂と混練することにより得られた
    紙と樹脂との複合材において、上記の紙が解繊すること
    によって繊維状とされたものであり、樹脂は、水分の存
    在が分解のための好ましい条件となる生分解性樹脂であ
    ることを特徴とする紙と生分解性樹脂との複合材。
  2. 【請求項2】 解繊した紙の繊維長の平均が2mm以上で
    あることを特徴とする請求項1記載の紙と生分解性樹脂
    との複合材。
  3. 【請求項3】 乾式により紙を解繊する工程と、得られ
    た解繊繊維を乾燥する工程と、この乾燥した解繊繊維
    を、水分の存在が分解のための好ましい条件となる生分
    解性樹脂と混練する工程とを備えたことを特徴とする紙
    と生分解性樹脂との複合材の製造方法。
  4. 【請求項4】 解繊繊維を1%以上5%以下の含水率に
    乾燥して生分解性樹脂と混練することを特徴とする請求
    項3記載の紙と生分解性樹脂との複合材の製造方法。
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