JP2000000711A - 穿孔方法および装置 - Google Patents

穿孔方法および装置

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JP2000000711A
JP2000000711A JP16363298A JP16363298A JP2000000711A JP 2000000711 A JP2000000711 A JP 2000000711A JP 16363298 A JP16363298 A JP 16363298A JP 16363298 A JP16363298 A JP 16363298A JP 2000000711 A JP2000000711 A JP 2000000711A
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cutting tool
drilling
reaction force
feeding
blade
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JP16363298A
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Yoichi Fujimaki
陽一 藤巻
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SHIBA GIKEN KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 刃具の劣化によって起こる穿孔精度の低下お
よび穿孔作業効率の低下を確実に防ぐことが可能な穿孔
方法を提供する。 【解決手段】 穿孔用の刃具を被穿孔物へと送りながら
該被穿孔物を穿孔する穿孔方法であって、刃具を送る間
に刃具が被穿孔物から受ける反力を測定する測定工程
と、力の測定値が予め設定した値以上となったときに、
刃具の送りを停止して穿孔を止める停止工程と、穿孔を
止めたのちに刃具を交換する交換工程と、刃具を交換し
たのちに再び刃具を送り穿孔を再開する再送り工程とを
備えることを特徴とする方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ドリルまたは砥石
などの刃具を使用して穿孔する穿孔方法および装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】金属、樹脂、半導体シリコン、石英ガラ
ス、セラミックス、その他の材料に穿孔を行う方法の一
つとして、これらの被穿孔物に、ドリルまたは砥石など
の回転する穿孔用の刃具を所定の送り速度で送りながら
穿孔を行う方法がある。
【0003】この方法においては、穿孔を長時間続けて
いると刃具が劣化して穿孔能力が低下してくる。穿孔能
力が低下した不良な刃具を用いて穿孔を続けると、被穿
孔物の穿孔加工面が滑らかでなくなる、孔が曲がる、欠
けや割れが発生する、孔径が変化するなどの穿孔精度の
低下、または穿孔中に刃具自体が損傷・折損することに
よる作業の中断や、素材の廃棄などの問題が発生し、作
業効率の低下が生じてしまう。
【0004】従来、上述のようにして発生する穿孔精度
の低下または穿孔作業効率の低下防止として、穿孔中に
刃具が受ける回転方向の負荷を測定することによって行
う方法があった。すなわち、刃具を回転させるモーター
の運転電流をモニタリングし、回転方向の負荷が増大し
て運転電流のモニター値が設定値以上となったときに、
刃具の劣化などのトラブルが発生したと判断する。トラ
ブル発生と判断したときには、自動的に穿孔加工を中断
させる等を行う。
【0005】しかし、この方法をドリルまたは砥石を使
用した穿孔加工に適用した場合には、特に砥石を使用し
た穿孔加工において、刃具が受ける回転方向の抵抗が刃
具の劣化とともに増大せずに逆に低下することがあり、
再現性が低かった。そのため、刃具の劣化を検出して穿
孔精度の低下および穿孔作業効率の低下を確実に防ぐこ
とができないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】刃具の劣化によって起
こる穿孔精度の低下および穿孔作業効率の低下を確実に
防ぐことが可能な穿孔方法および装置を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明者は、穿孔中に刃具が被穿孔物から受ける送
り方向と逆向きの力、すなわち反力に着目した。反力の
変化は刃具が受ける回転方向の力の変化よりも大きく、
穿孔中に刃具が劣化すると増大する。つまり、穿孔中に
刃具が劣化して穿孔能力が低下すると、刃具による被穿
孔物の穿孔がなめらかに行われなくなるため、穿孔中の
反力が増加する。従って、この反力の測定値の増加を検
出することによって、刃具の劣化を検知することが可能
となる。
【0008】刃具の劣化が検知されたときに、刃具の送
りを停止して刃具の穿孔能力を高める処置を行う。その
後、再び刃具を送って穿孔を再開する。再開された穿孔
は、反力の小さい状態、すなわち刃具が良好な状態で行
われる。
【0009】このようにして、穿孔精度の低下および穿
孔作業効率の低下を確実に防ぐことが可能となる。すな
わち、本発明においては、穿孔用の刃具を被穿孔物へと
送りながら該被穿孔物を穿孔する穿孔方法であって、刃
具を送る間に刃具が被穿孔物から受ける反力を測定する
測定工程と、力の測定値が予め設定した値以上となった
ときに、刃具の送りを停止して穿孔を止める停止工程
と、穿孔を止めたのちに刃具を交換する交換工程と、刃
具を交換したのちに再び刃具を送り穿孔を再開する再送
り工程とを備えることを特徴とする方法が提供される。
【0010】また、本発明においては、穿孔用の刃具を
被穿孔物へと送りながら該被穿孔物を穿孔する穿孔方法
であって、刃具を送る間に刃具が被穿孔物から受ける反
力を測定する測定工程と、力の測定値が予め設定した値
以上となったときに、刃具の送りを停止して穿孔を止め
る停止工程と、穿孔を止めたのちに、刃具の穿孔能力を
高めるために刃具の表面処理を行う表面処理工程と、刃
具の表面処理ののちに再び刃具を送り穿孔を再開する再
送り工程とを備えることを特徴とする方法が提供され
る。
【0011】さらに、本発明においては、被穿孔物を穿
孔するために穿孔用の刃具を被穿孔物へと送る刃具送り
手段と、刃具を送る間に刃具が被穿孔物から受ける反力
を測定する測定手段と、刃具の交換を行う刃具交換手段
と、測定手段による力の測定値が予め設定した値以上と
なったときに刃具送り手段の動作を停止させ、刃具送り
手段の動作が停止したのちに刃具交換手段を動作させ、
刃具交換手段の動作が終了したのちに再び刃具送り手段
を動作させる制御手段とを具備することを特徴とする穿
孔装置が提供される。
【0012】さらに、本発明においては、被穿孔物を穿
孔するために穿孔用の刃具を被穿孔物へと送る刃具送り
手段と、刃具を送る間に刃具が被穿孔物から受ける反力
を測定する測定手段と、刃具の穿孔能力を高めるために
刃具の表面処理を行う刃具表面処理手段と、測定手段に
よる力の測定値が予め設定した値以上となったときに刃
具送り手段の動作を停止させ、刃具送り手段の動作が停
止したのちに刃具表面処理手段を動作させ、刃具表面処
理手段の動作が終了したのちに再び刃具送り手段を動作
させる制御手段とを具備することを特徴とする穿孔装置
が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明においては、穿孔する被穿孔物に穿孔用の刃具を
回転させながら送ることによって穿孔を行う。
【0014】被穿孔物としては、金属、樹脂、シリコ
ン、石英ガラス、SiCなどの材料から形成されるもの
が挙げられる。シリコンからなる被穿孔物としては、ド
ライエッチング装置で使用するシリコン平板電極などが
挙げられる。このシリコン電極からエッチング用ガスを
シャワー状に供給するために、シリコン電極に複数の孔
を設ける穿孔を行う。石英ガラスからなる被穿孔物とし
ては、光ファイバーケーブルで使用する石英ガラス材な
どが挙げられる。光ファイバーケーブル用の収束板を形
成するために、石英ガラス材に対して穿孔を行う。Si
Cからなる被穿孔物としては、様々な耐熱構造物におい
て使用するSiC部材などが挙げられる。SiC部材を
構造物に組み込むための孔を形成するなどのために、S
iC部材に対して穿孔を行う。
【0015】また、穿孔用の刃具としては、ドリル、ま
たは砥石などが挙げられる。本発明においては、穿孔用
の刃具を送る間に刃具が被穿孔物から受ける送り方向と
逆向きの力、すなわち反力を測定する。
【0016】穿孔中の反力の測定は、例えば、ロードセ
ルのような荷重検出器などを用いて行うことができる。
荷重検出器は、この検出器に加えられる負荷の値を測定
することができる。そして、例えば、荷重検出器を刃具
を支持する手段に押し付けて、一定の負荷を荷重検出器
にかけておく。一定の負荷を荷重検出器にかけたまま、
刃具を送る手段を動作させて刃具を送り、穿孔を行う。
穿孔中に刃具が受ける反力は、刃具を支持する手段を介
して荷重検出器に加えられる。こうして、刃具の受ける
反力の大きさを、荷重検出器に加えられる負荷の値の変
化量として測定することができる。
【0017】刃具を長時間使用した場合などには、刃具
が劣化して穿孔能力が低下し、切れ味が悪くなるなどの
不良状態となる。刃具が不良となると、刃具による被穿
孔物の穿孔がなめらかに行われなくなるため、穿孔中の
反力が増加する。従って、この反力の測定値の増加を検
出することによって、刃具の劣化と判断することが可能
となる。
【0018】本発明においては、刃具が劣化せず良好で
あるときの穿孔加工時の反力の値と刃具が劣化して不良
であるときの反力の値とを予め求めておく。そして、こ
の両者の値の中間の値を閾値として予め設定しておく。
穿孔中の反力の測定値が増加してこの閾値以上となった
ときに、刃具の劣化と判断する。
【0019】閾値は、例えば被穿孔物を形成する材料、
および刃具の径すなわち孔の径などの穿孔条件ごとに設
定する必要がある。そのため、閾値は例えば実験的に求
める。つまり、同じ穿孔条件のもとで、良好である刃具
を用いて穿孔加工したときの反力の値と、劣化して不良
である刃具を用いて穿孔したときの反力の値とを、それ
ぞれ実際に穿孔をして求めておく。そして、両者の中間
の値を、この穿孔条件に対する閾値として予め設定す
る。
【0020】穿孔中の反力の測定値が閾値以上となって
刃具の劣化が検出されたときには、刃具の送りを停止し
て穿孔を止める。穿孔を止めたのちに、刃具の穿孔能力
を高めて良好な状態にするための処置を施す。処置の方
法としては、様々な方法が当該技術分野において知られ
ており特に限定されないが、例えば、刃具を良好なもの
と交換する、または不良の刃具の表面処理を行う等が挙
げられる。
【0021】良好な刃具とは穿孔能力の高い刃具のこと
であるが、好ましくは未使用の刃具である。刃具の交換
は手動で行なっても良いが、自動で行なっても良い。
【0022】刃具の交換を手動で行う場合、当該技術分
野において良く知られた方法によって行うことができ
る。簡単に言えば、刃具の回転を停止した後に、刃具の
回転を行うスピンドルユニットなどに挿入され固定され
ている劣化した刃具を、刃具を固定するためのチャック
などを緩めることによって、このスピンドルユニットか
ら抜き出して廃棄する。次に、良好な刃具をスピンドル
ユニットなどに挿入したのちにチャックなどをしめて固
定する。こうして、刃具の交換が完了する。
【0023】刃具の交換を自動で行う場合には、例え
ば、当該技術分野において良く知られている自動工具交
換装置(Auto Tool Changer:略して
ATC)を用いることができる。
【0024】ATCを用いた刃具の自動交換は、穿孔装
置自体の動作とともに、例えば以下のように行う。ま
ず、穿孔中の反力の値が閾値以上となり穿孔装置が刃具
の送りを停止させた後に、さらに刃具の回転を停止させ
て前述のスピンドルユニットによって前述のチャックな
どを自動的に緩める。次にロボットアームのような可動
部の先に取付けられた例えば爪のような刃具保持部が、
刃具を掴んでスピンドルユニットから抜き出し、この刃
具を例えば劣化刃具廃棄用容器へ廃棄する。次に、この
可動部の先の刃具保持部が、例えば良好刃具収納容器に
用意された良好な刃具を掴み、スピンドルユニットに挿
入する。スピンドルユニットが自動的にチャックを締め
て、挿入された刃具を固定する。刃具保持部は刃具を離
したのちに可動部とともに、穿孔装置から離れた位置に
移動させておく。こうして刃具の自動交換が完了する。
【0025】刃具の穿孔能力を高めて良好な状態にする
別の方法である刃具の表面処理としては、様々な方法が
当該技術分野において知られており特に限定されない
が、例えば、ドレッシング処理などが挙げられる。
【0026】ドレッシング処理は、例えば、劣化した砥
石の刃具を回転させながらドレス用の砥石(ドレッサ
ー)に接触させるまたは切込ませることによって行うこ
とができる。
【0027】劣化した刃具の表面処理は、刃具を交換せ
ずに被穿孔物を載置しているX−Yテーブルなどのテー
ブルを移動させることによって行う。すなわち、あらか
じめテーブルには被穿孔物の他に例えばドレッサーを載
置しておく。刃具の送りを停止して穿孔を止めたのち
に、劣化した砥石などの刃具を回転させたままで、テー
ブルを移動させて刃具の下にドレッサーを配置する。そ
して、刃具の回転速度を下げて刃具を降下させ、ドレッ
サーに刃具を接触させるまたは切込ませることによって
刃具のドレッシング処理を行う。このとき、ドレッサー
の方も30rpmなどの低速回転をさせていても良い。
ドレッシング処理が終了したのち刃具を上昇させて、再
びテーブルを移動させて刃具の下に被穿孔物を配置す
る。こうして、刃具の表面処理が完了する。
【0028】上述の刃具の表面処理も、前述の刃具の交
換と同様に手動で行なっても良いが、自動で行なっても
よい。刃具の表面処理を手動で行う場合には、上述した
テーブルの移動、刃具の回転速度の調整、ドレッサーの
回転などを手動で行う。刃具の表面処理を自動で行う場
合には、これらの動きを穿孔装置自体の動作も含めて自
動的に行う。
【0029】こうして、刃具の穿孔能力を高めて良好な
状態にする処置が施されたのちに、再び刃具をもとの回
転速度で回転させながら被穿孔物へと送って、穿孔を再
開する。再開された穿孔は、刃具が良好な状態、すなわ
ち穿孔中の反力の値が閾値を下回った状態で行うことが
できる。
【0030】以上のように、本発明においては、穿孔中
の刃具の受ける反力が閾値以上となって刃具の劣化が検
出されたときには、刃具を穿孔能力の高い良好な状態に
するための処置を行ってから穿孔を再開するため、劣化
した刃具を用いて穿孔を行うことがない。そのため、被
穿孔物の穿孔された面が滑らかでなくなる等の穿孔精度
の低下、または穿孔中に刃具自体が損傷して穿孔作業が
中断されるなどの作業効率の低下を確実に防ぐことが可
能となる。
【0031】その結果、刃具が良好である間は同じ刃具
を用いて穿孔を繰り返し行い、刃具の劣化が検出された
ときには上述の処置を行って、そののち再び繰返し穿孔
を行うことが可能となる。
【0032】なお、穿孔中に刃具の受ける反力の測定値
が増加する別の原因として、特に砥石などの刃具を用い
て穿孔するときに、刃具の送り速度が穿孔条件に対応し
た適切な送り速度よりも大きく過大である場合がある。
【0033】刃具の送り速度が過大となってしまうの
は、砥石などを用いた穿孔技術はドリルなどを用いた穿
孔技術と比べて、被穿孔物を形成する材料の種類等の穿
孔条件に対応して送り速度を最適化する方法がまだ確立
されていないからである。
【0034】刃具の送り速度が過大であると、切粉の排
出量がその発生量に追従しない、または刃具の劣化が急
速に進むなどのために、反力が増加する。反力が増加す
る結果、前述のような穿孔精度の低下、または刃具破損
による穿孔作業効率の低下が頻繁に生じてしまう。刃具
の過大な送り速度に起因するこのような精度および作業
効率の低下は、新素材や脆性材料の加工が難しいと言わ
れる一因となっている。
【0035】刃具の送り速度を、被穿孔物の材料の種類
等に対応させて最適化するのは難しい。しかし、通常、
1つの刃具が破損する場合の反力は、被穿孔物の材料に
対して大きな差がない。そこで、このことを利用して、
過大な送り速度による刃具破損を防ぐことが可能であ
る。
【0036】例えば、まず、ある種類の刃具について、
刃具の破損が起きる可能性のある反力の大きさを予め実
験によって求めておく。例えば、直径が1.0mmのダ
イアモンド電着砥石の場合には、約2500gfの反力
にて刃具の破損が起きる可能性のあることが実験によっ
て分かっている。
【0037】このようにして求めた破損時の反力の値を
下回る任意の値を、実際の穿孔加工のときの反力検出の
閾値とする。具体的には、例えば破損時の反力の値の5
0%程度が好ましい。
【0038】次に、同じ種類の刃具で新品のような良好
なものを用いて、いろいろな送り速度のもとで穿孔を行
い、穿孔中の反力の値が上述の閾値に達するときの送り
速度を求める。
【0039】このようにして求めた閾値に達する送り速
度の値を下回る任意の値を、実際の穿孔時の送り速度と
して設定する。具体的には、例えば閾値に達する送り速
度の値の50%程度が好ましい。
【0040】こうして設定した送り速度の値で実際の穿
孔を行うことによって、刃具の送り速度を過大なものと
せず、刃具の破損を防ぐことが可能となる。実際の穿孔
時には、上述のようにして求めた反力検出の閾値も同時
に設定することが可能である。
【0041】ところで、穿孔によって得られる孔に対し
て高い加工精度が要求されるときには、刃具の送り速度
を故意に低減して穿孔することが有効である場合があ
る。刃具の送り速度が低減されると反力の値も小さくな
るため、刃具が不良となっても反力の測定値が閾値に達
せず、刃具の劣化を検出できない可能性が生じる。この
場合には、低減した送り速度に対応して劣化検出のため
の閾値も低減することによって、刃具の劣化を問題なく
検出することが可能となる。
【0042】送り速度および閾値の値をどの程度に低減
するかは、要求される孔の精度によるが、例えば、送り
速度をもともとの値の80%、60%、40%、20%
の割合に低減する場合に、閾値の値をそれぞれの送り速
度に対応して90%、75%、60%、40%の割合に
低減することが好ましい。この例は言換えると、大体、
送り速度を低減させる割合の平方根を取った値を、閾値
を低減させる割合とすることに等しい。
【0043】なお、実際の穿孔作業の中では、送り速度
を20%を下回る値に低減する必要は生じなかったが、
もし、そのような必要が生じた場合には、常識的には他
の加工条件に何らかの問題があると考えられる。例え
ば、刃具の選定ミスなどである。
【0044】また、穿孔によって得られる孔に対して高
い加工精度が要求されるときには、刃具の劣化が検出さ
れても、穿孔を停止して前述した刃具の交換や表面処理
のよな刃具を良好な状態にする処置を行えない場合があ
る。すなわち、穿孔を停止して刃具を良好な状態にする
処置を行い、そののち穿孔を再開すると、穿孔を停止お
よび再開した孔の部位からマイクロクラックや欠けなど
が発生して、孔の加工精度が低下する可能性があるから
である。
【0045】このような場合には、反力が閾値以上とな
って刃具の劣化が検出されたときに、穿孔を停止せずに
送り速度を下げることによって反力の値を閾値を下回る
値とし、穿孔を続けることが有効である。
【0046】送り速度を下げる仕方は穿孔加工条件に依
って様々に考えられるが、例えば、反力が閾値以上とな
るごとに、最初の送り速度に対して一定の割合で送り速
度を下げることなどが挙げられる。一例としては、最初
の速度に対して25%づつ速度を下げることなどが挙げ
られる。すなわち、穿孔中に反力の測定値が初めて閾値
以上となったときには送り速度を最初の速度の75%に
する。そして、反力の測定値が2回目に閾値以上となっ
たときには送り速度を最初の速度の50%にする。さら
に、反力の測定値が3回目に閾値以上となったときには
送り速度を最初の速度の25%にする等であるなお、こ
の例では、反力の測定値が4回目に閾値以上となったと
きには送り速度を最初の速度の0%にする、つまり穿孔
を停止することになり、刃具を良好な状態にする処置を
行う必要が生じることになる。しかし、通常、刃具の選
定ミスなどがなければ、穿孔中に反力の測定値が3回目
に閾値以上となる前に穿孔加工自体が完了するので、穿
孔を停止することなく完了させることができる。
【0047】なお、穿孔加工中に反力の測定値が閾値以
上となって上述のように刃具の送り速度を下げた場合に
は、次の穿孔加工を行う前に刃具を良好な状態にする処
置を行うことによって、もともとの送り速度で次の穿孔
加工を始めることが好ましい。
【0048】以下、本発明を図面を参照して説明する。
図1は、上記本発明の方法を実施するために好適な穿孔
装置の一例を示す概略図である。
【0049】本発明に係る穿孔装置は、刃具回転部4
0、反力測定部50、および刃具送り部60を備えてい
る。刃具回転部40は、刃具を回転させるためのスピン
ドルユニット10を備えている。スピンドルユニット1
0は、回転機能を有するスピンドル15、スピンドル1
5を保持するためのスピンドルホルダー16、スピンド
ルホルダー16を支持するためのホルダーベース14、
およびホルダーベース14を上下方向にスライド可能と
するための2つのスライド部13が一体化された構造を
なしている。
【0050】スピンドル15は概略円筒状をなしてお
り、スピンドルホルダー16にその両端部を上下に露出
させて垂直に挿入されている。ホルダーベース14は、
上下に長い直方体状をなしスピンドルホルダー16の側
面に接続されている。2つのスライド部13は、ホルダ
ーベース14のスピンドルホルダー16と反対側の側面
に、距離をおいて上下に配置されている。これらの2つ
のスライド部13は、それぞれ上下方向にまっすぐに切
られたスライド用の溝を有している。
【0051】また、スピンドル15の下端には、刃具を
固定するためのチャック24を介して刃具23が取付け
られている。刃具23の下方に、被穿孔物Wが配置され
ている。
【0052】反力測定部50は、概略コの字の断面を有
する板状の支持台17を備えている。支持台17は、コ
の字の下部の水平部の上に配置されたロードセル22、
コの字の上部の水平部の下面に接続されたエアシリンダ
ー11、このエアシリンダー11の下端に吊下げられた
スプリング12を有し、ロードセル22とスプリング1
2は間隙をおいて互いに対向している。
【0053】また、支持板17は、コの字の垂直部の上
記間隙側の側面に配置された上下方向に長いスライド板
25、垂直部の該隙間側と反対側の側面に水平に接続さ
れた板状の送りメネジ部19、該反対側の側面に送りメ
ネジ部19の上下に位置するように配置された2つのス
ライド部18を有している。2つのスライド部18は、
それぞれ上下方向にまっすぐに切られたスライド用の溝
を有している。また、板状の送りメネジ部19の一部に
は円孔が開けられ、この円孔の内側面には上下方向にメ
ネジが切られている。
【0054】刃具回転部40と反力測定部50とは、以
下のように接続されている。すなわち、前述したロード
セル22とスプリング12の間の間隙にホルダーベース
14が挿入され、ホルダーベース14の下端はロードセ
ル22に接し、ホルダーベース14の上端はスプリング
12に接続されている。このように接続される結果、エ
アシリンダー11とスプリング12によって、ホルダー
ベース14はロードセル22に一定圧で押し付けられて
いる。ホルダーベース14の側面に配置されている2つ
のスライド部13は、それぞれの溝にスライド板25を
挿入している。このように挿入する結果、刃具回転部4
0は、スライド部13を介してスライド板25に沿って
上下方向にスライド可能となっている。
【0055】刃具送り部60は、上下方向に長い概略直
方形の支持枠27を有している。支持枠27の上部には
後述の送りオネジ部を正逆に回転させるための送りサー
ボモーター21が配置され、支持枠27の側部には上下
方向に長いスライド板26が配置されている。送りサー
ボモーター21の下部には接続部28を介して円筒状の
送りオネジ部20が垂直に接続されている。送りオネジ
部20の側面は、長さ方向に沿ってオネジが切られてお
り、また送りサーボモーター21によって正逆に回転さ
れる。
【0056】反力測定部50と刃具送り部60とは、以
下のように接続されている。すなわち、反力測定部50
の2つのスライド部18の溝は、それぞれの溝にスライ
ド板26を挿入している。このように挿入する結果、反
力測定部50は、スライド部18を介してスライド板2
6に沿って上下方向にスライド可能となっている。ま
た、反力測定部50の送りメネジ部19と刃具送り部6
0の送りオネジ部とは、それぞれが有するメネジおよび
オネジを介して、互いと螺合している。このように螺合
する結果、サーボモーター21によって送りオネジ部2
0が正逆に回転すると、反力測定部50は送りオネジ部
20に沿って上下に移動する。反力測定部50が上下に
移動することによって、反力測定部50に接続された刃
具回転部40も、刃具測定部50とともに上下に移動す
る。
【0057】サーボモーター21およびスピンドル15
の動作を制御するための制御器30が、サーボモーター
21およびスピンドル15に電気的に接続されている。
さらに、制御器30はロードセル22にも電気的に接続
されており、ロードセル22からの信号に基づいてサー
ボモーター21およびスピンドル15の動作を制御でき
るようになっている。
【0058】なお、図1に示す穿孔装置は、自動工具交
換装置(ATC)(図示せず)を備えていても良い。A
TCは、当該技術分野において良く知られた装置であ
る。ATCは、例えば、刃具保持部、可動部、駆動部、
良好刃具収納容器、劣化刃具廃棄容器からなる。
【0059】刃具保持部は、刃具23を掴むためのもの
であり、例えば爪のような形状をなして、可動部の先に
取付けられている。可動部は、駆動部によって駆動され
る例えば3軸関節アームなどから構成されており、刃具
保持部を、スピンドル15の下端の刃具23、良好刃具
収納容器、および劣化刃具廃棄容器の間で移動させるこ
とができる。駆動部は、可動部および刃具保持部を駆動
するために例えばモーターなどからなる。良好刃具収納
容器は、穿孔装置の劣化した刃具と交換するための劣化
していない良好な刃具を収納するための容器である。劣
化刃具廃棄容器は、良好な刃具と交換され穿孔装置から
取り外された劣化した刃具を廃棄するための容器であ
る。
【0060】以上の構成によって、刃具保持部は、劣化
した刃具23をスピンドル15から取外したのち劣化刃
具廃棄容器へと廃棄し、次に良好刃具収納容器の良好な
刃具を取出したのちにスピンドル15の下端部へ装着す
ることで、刃具23の自動交換を行うことができる。
【0061】また、図1に示す装置は、自動で刃具23
の表面処理を行う装置を備えていても良い。このような
装置は、例えば、可動テーブル部、刃具表面処理部から
なる可動テーブル部は例えばX−Yテーブルなどであ
り、被穿孔物および刃具表面処理部を載置して、これら
を交互に刃具の下に移動させるためのものである。刃具
表面処理部は例えば前述のドレッサーなどであり、劣化
した刃具を表面処理するためのものである。なお、刃具
表面処理部は、刃具の表面処理中に回転などの動きを伴
うものであっても良い。
【0062】以上の構成によって、可動テーブルによっ
て刃具の下に被穿孔物の代わりに刃具表面処理部を移動
させ、刃具の回転を下げたのちに、刃具表面処理部で刃
具の表面処理を行い、表面処理が終了したのち可動テー
ブルによって刃具の下に被穿孔物を移動させることによ
って、刃具の表面処理を行うことが可能となる。
【0063】図1に示した穿孔装置を用いて被穿孔物を
穿孔する方法について、以下に説明する。被穿孔物Wを
所定の位置に配置したのち、装置を動作させるための電
源(図示せず)を入れる。
【0064】制御器30からスピンドル15に駆動用の
制御信号が送出されてスピンドル15が駆動し、下端に
取付けられた刃具23が回転を始める。続いて、制御器
30から送りサーボモーター21に駆動用の制御信号が
送出されて送りサーボモーター21が駆動し、送りオネ
ジ20が回転する。送りオネジ20の回転によって、送
りオネジ20に螺合した送りメネジ部19が上方または
下方に移動する。今、送りオネジ20が正に回転したと
きに、送りメネジ部19が下方に移動するとする。送り
メネジ部19の下方への移動とともに、送りメネジ部1
9に接続された反力測定部50および反力測定部50に
接続された刃具回転部40も、下方に移動する。刃具回
転部40が下方に移動する結果、刃具回転部40のスピ
ンドル15の下端に取付けられた刃具23が、回転しな
がら被穿孔物Wへと送られる。
【0065】刃具23は、回転しながら被穿孔物Wへと
送られることで、被穿孔物Wを下方に穿孔していく。刃
具23が送られて穿孔する間に刃具23が被穿孔物Wか
ら受ける反力が、反力測定部50によって測定される。
【0066】反力の測定は、以下のようにして行われ
る。まず、ホルダーベース14は、エアーシリンダー1
1によってスプリング12を介してロードセル22に一
定圧で押し付けられている。ホルダーベース14が押し
付けられることで、ロードセル22には一定の負荷が与
えられている。
【0067】刃具23が被穿孔物Wから反力を受ける
と、反力の大きさに応じてスピンドルユニット10全体
が上方に変位する。スピンドルユニット10の変位とと
もに、スピンドルホルダー16に接続されたホルダーベ
ース14もスライド板25に沿って上方に変位する。ホ
ルダーベース14が上方に変位することにより、ロード
セル22に与えられていた負荷が変化する。このように
して、刃具の受ける反力の大きさを、ロードセル22に
与える負荷の変化の大きさとして測定することができ
る。
【0068】ロードセル22から制御器30へは、ロー
ドセル22が受ける負荷の値に応じた信号が出されてい
る。従って、刃具23が反力を受けたときには、反力に
よってもたらされる負荷の変化量に応じた信号の変化分
が、ロードセル22から制御器30へ送出される。制御
器30は、この信号の変化分から反力の大きさを読み取
る。
【0069】なお、上述のようにして反力を測定する場
合に、測定誤差を生じる以下の2つの要因が考えられ
る。1つ目の要因として、刃具23が受けた反力により
ホルダーベース14が変位する量が、ホルダーベース1
4の位置によって異なることが挙げられる。
【0070】つまり、刃具23が反力を受けたときにホ
ルダーベース14が変位する量は、2つの力に依存す
る。2つの力とは、スプリング12がホルダーベース1
4をロードセル22へ押し付ける力、およびロードセル
22がホルダーベース14をスプリング12へ押し返す
力である。
【0071】スプリング12がホルダーベース14をロ
ードセル22へ押し付ける力は、ホルダーベース14の
位置によって異なる。それは、ホルダーベース14が上
方に変位してスプリング12を縮めるほど、スプリング
12がホルダーベース14を押す力が大きくなるからで
ある。この押す力は、スプリング12の縮み量に反比例
して大きくなる。
【0072】また、ロードセル22がホルダーベース1
4をスプリング12へ押し返す力もホルダーベース14
の位置によって異なる。それは、ホルダーベース14が
下方に変位してロードセル22を歪ませるほど、ロード
セル22がホルダーベース14を押し返す力が強くなる
からである。この押し返す力は、ロードセル22の歪み
量に反比例して大きくなる。
【0073】以上のように、ホルダーベース14がスプ
リング12およびロードセル22から受ける力は、ホル
ダーベース14の位置によって異なる。つまり、刃具2
3が受けた反力によりホルダーベース14が変位する量
は、ホルダーベース14の位置によって異なる。その結
果、刃具23が受ける反力の大きさが大きくなってホル
ダーベース14の変位する量が大きくなるにつれ、刃具
23が受ける反力の大きさとロードセル22が受ける負
荷の変化の大きさとが比例してこなくなり、反力の測定
誤差を生じる。
【0074】しかし、通常、刃具23の受ける反力によ
るホルダーベース14の変位する量は、例えば20μm
程度と極めて小さい。そのため、上述の測定誤差の値も
非常に小さく、実際には反力の測定値に影響を与えるこ
とはほとんどないい。
【0075】もし、ホルダーベース14の変位量がある
程度大きく、上述の測定誤差が反力の測定値に影響を与
えることがあったとしても、以下のようにしてこの影響
を取り除くことができる。つまり、スプリング12およ
びロードセル22のそれぞれが押す力がホルダーベース
14の変位量に対して反比例することを利用して、それ
ぞれの反比例定数を求めれば良い。そして、求めた反比
例定数を用いて、ロードセル22の較正を行えば良い。
【0076】実用上は、大小2つの実負荷を荷し、この
ときの測定値が正しく表示されるようにロードセルアン
プの較正機能を利用して較正する方法が簡便である。さ
らに、エアシリンダー11とスプリング12を引上げて
ロードセル22に負荷をかけない状態でゼロ点を設定
し、これを定期的に確認することも、測定誤差を防ぐ手
段となる。
【0077】なお、図1の装置では、ロードセルが下、
スプリングが上となっている。もちろん、逆の場合でも
反力の検出は可能である。図1の装置は、操作上などの
人為的ミスで例えばスピンドル治具などを衝突させてし
まった場合にも、ロードセルの損傷を防ぎ、測定誤差を
来さぬようにした構成となっている。
【0078】反力の測定誤差を生じる2つ目の要因とし
ては、スライド部13のスライド板25に沿った運動抵
抗によってホルダーベース14の変位量が変化すること
が挙げられる。
【0079】しかし、この測定誤差は、要求する測定精
度に対応して、十分に小さい運動抵抗値を有するスライ
ド13を使用することによって、取り除くことが可能で
ある。
【0080】前述したように、反力の測定値に対応して
ロードセル22から制御器30に送られた信号の変化分
に基づいて、制御器30は、刃具23が受けた反力の測
定値と予め設定した閾値とを比較する。そして、反力の
測定値がこの閾値以上となったときに、刃具が劣化して
いると判断する。
【0081】反力の測定値が閾値以上となったときに
は、送りオネジ20の回転を止めるための制御信号が、
制御器30から送りサーボモーター21へ送出される。
この制御信号によって、送りオネジ20の回転は停止し
て刃具23の送りが止まる。続いて、送りオネジ20を
逆に回転させるための制御信号が、制御器30から送り
サーボモーター21へ送出される。この制御信号によっ
て、送りオネジ20は逆に回転して刃具23は戻され被
穿孔物Wから出る。刃具23が被穿孔物Wから出たとこ
ろで、再び送りオネジ20の回転を止める制御信号が制
御器30から送りサーボモーター21へ送出され、刃具
23の戻りが止まる。
【0082】刃具23の戻りが止まったのちに、前述し
たように、刃具の穿孔能力を高めて良好な状態にするた
めの処置を施す。処置としては、前述したように、例え
ば刃具23を良好なものと交換する、または刃具23の
表面処理を行う等が挙げられる。
【0083】刃具23の交換は、前述したように、手動
で行っても良いし、ATCを用いて自動で行っても良
い。刃具23の表面処理も、前述したように、手動で行
っても良いし、自動で行っても良い。
【0084】以上のようにして、刃具の穿孔能力を高め
て良好な状態にするための処置が施されたのちに、再び
刃具23をもとの回転速度で回転させながら被穿孔物へ
と送って、穿孔を再開する。
【0085】すなわち、制御器30からスピンドル15
に駆動用の制御信号が送出されて刃具23がもとの回転
速度で回転を開始し、また制御器30から送りサーボモ
ーター21に駆動用の制御信号が送出されて送りオネジ
20が正に回転する。こうして、刃具23は再び回転し
ながら被穿孔物Wへと送られて、穿孔が再開される。再
開された穿孔は、刃具が良好な状態、すなわち穿孔中の
反力の値が閾値を下回った状態で行われる。
【0086】以上のようにして、前述したように、本発
明によって穿孔精度の低下および作業効率の低下を確実
に防いで、穿孔を行うことができる。なお、前述したよ
うに、反力が閾値以上となって刃具の劣化が検出された
ときに、穿孔を停止せずに送り速度を下げることによっ
て反力の値を閾値を下回る値とするときには、図1に示
す装置は以下のように動作する。
【0087】つまり、反力の測定値が閾値以上となった
ときに、刃具23の送り速度を反力が閾値を下回るよう
な小さい速度にするための制御信号が、制御器30から
送りサーボモーター21へ送出される。上述の制御信号
によって、反力が閾値を下回る送り速度で、刃具23の
送りが続けられる。
【0088】
【実施例】以下、図面を参照しながら、実施例について
説明する。5種類の素材の被穿孔物Wに対して、刃具2
3としてドリルを用いて穿孔を行った。そして、ドリル
の不良と判断するための穿孔中の反力の閾値を実験的に
求めた。
【0089】被穿孔物Wの素材としては、シリコン 、
鉄S45C、フェノール樹脂、石英ガラス、およびSi
Cを選択した。また、ドリルとしては、鉄S45Cおよ
びフェノール樹脂には超鋼ドリルを用い、それ以外の素
材にはダイヤモンド砥石を用いた。ドリルの回転数とし
ては、700〜30000(rpm)を用いた。
【0090】図2に、本実施例の他の穿孔条件を説明す
るための概略図を示す。被穿孔物Wに対して刃具23を
矢印Fの方向で送って穿孔を行った。ドリル径dを孔径
とし、穿孔が終了したときの刃具23の先端23aの被
穿孔物Wの表面からの距離Lを孔深さとした。そして、
本発明に係る装置によって、未使用の良好なドリルを用
いて通常の穿孔加工を行った場合、および長時間使用し
た後の劣化したドリルを用いて不良の穿孔加工を行った
場合の、穿孔加工中の反力Rを測定した。下表1に、測
定結果を示す。
【0091】
【表1】
【0092】また、図3に、表1でのシリコンの素材に
対する測定結果をまとめて示す。なお、横軸のドリル孔
径は表1の孔径に対応する。また、曲線Aは表1におけ
る通常加工時の反力の測定値、曲線Bは表1における不
良加工時の測定値、曲線Cは表1における加工時設定反
力の値である。
【0093】上表1および図3から明らかなように、良
好なドリルを用いた通常穿孔加工時にドリルが受ける反
力は、被穿孔物Wの素材および孔径によって大きく異な
る。しかし、劣化したドリルを用いた不良穿孔加工時に
ドリルが受ける反力は、被穿孔物Wの素材および孔径に
拘わらず、通常穿孔加工時の反力の大体2倍〜5倍程度
に増加する。
【0094】このことより、表1に示したように、不良
加工時の反力と通常加工時の反力の値の中間の値を閾値
(表1中の加工時設定反力)として設定すれば、ドリル
の不良を穿孔中に容易に検出できることが分かる。
【0095】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によっ
て、刃具の劣化によって起こる穿孔精度の低下および穿
孔作業効率の低下を確実に防ぐことが可能な穿孔方法お
よび装置が提供される。その結果、穿孔加工にかかるコ
ストが低減される等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る穿孔装置の一例を示す概略図。
【図2】本発明の実施例における穿孔条件を説明するた
めの概略図。
【図3】本発明の実施例における反力の測定結果を示す
図。
【符号の説明】
10…スピンドルユニット 11…エアシリンダー 12…スプリング 13、18…スライド部 14…ホルダーベース 15…スピンドル 16…スピンドルホルダー 17…支持台 19…送りメネジ部 20…送りオネジ部 21…サーボモーター 22…ロードセル 23…刃具 24…チャック 25、26…スライド板 27…支持枠 28…接続部 30…制御器 40…刃具回転部 50…反力測定部 60…刃具送り部 W…被穿孔物
【手続補正書】
【提出日】平成11年5月21日(1999.5.2
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】さらに、本発明においては、被穿孔物を穿
孔するための穿孔用の刃具を下端に保持しこの刃具を回
転させる刃具回転手段と、刃具が穿孔中に被穿孔物から
受ける反力を測定する測定手段と、刃具回転手段および
測定手段を被穿孔物へと送る刃具送り手段とを具備し、
前記測定手段は、前記刃具回転手段の側面に取り付けら
れたホルダーベースと、ホルダーベースが上下方向に移
動可能に取り付けられ、ホルダーベースの上方および下
方に互いに対向する上下部を有する支持台と、支持台の
上部とホルダーベースの上端とを接続するスプリング
と、支持台の下部に配置され該ホルダーベースの下端と
接触する荷重検出器とを備えたことを特徴とする穿孔装
置が提供される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】本発明においては、刃具の交換を行う刃具
交換手段と、前記測定手段による力の測定値が予め測定
した値以上となったときに刃具送り手段の動作を停止さ
せ、刃具送り手段の動作が停止したのちに刃具交換手段
を動作させ、刃具交換手段の動作が終了したのちに再び
刃具送り手段を動作させる制御手段とをさらに具備する
ことが好ましい。また、本発明においては、刃具の穿孔
能力を高めるために刃具の表面処理を行う刃具表面処理
手段と、前記測定手段による力の測定値が予め設定した
値以上となったときに刃具送り手段の動作を停止させ、
刃具送り手段の動作が停止したのちに刃具表面処理手段
を動作させ、刃具表面処理手段の動作が終了したのちに
再び刃具送り手段を動作させる制御手段とをさらに具備
することが好ましい。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 穿孔用の刃具を被穿孔物へと送りながら
    該被穿孔物を穿孔する穿孔方法であって、 刃具を送る間に刃具が被穿孔物から受ける反力を測定す
    る測定工程と、 力の測定値が予め設定した値以上となったときに、刃具
    の送りを停止して穿孔を止める停止工程と、 穿孔を止めたのちに刃具を交換する交換工程と、 刃具を交換したのちに再び刃具を送り穿孔を再開する再
    送り工程とを備えることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 穿孔用の刃具を被穿孔物へと送りながら
    該被穿孔物を穿孔する穿孔方法であって、 刃具を送る間に刃具が被穿孔物から受ける反力を測定す
    る測定工程と、 力の測定値が予め設定した値以上となったときに、刃具
    の送りを停止して穿孔を止める停止工程と、 穿孔を止めたのちに、刃具の穿孔能力を高めるために刃
    具の表面処理を行う表面処理工程と、 刃具の表面処理ののちに再び刃具を送り穿孔を再開する
    再送り工程とを備えることを特徴とする方法。
  3. 【請求項3】 被穿孔物を穿孔するために穿孔用の刃具
    を被穿孔物へと送る刃具送り手段と、 刃具を送る間に刃具が被穿孔物から受ける反力を測定す
    る測定手段と、 刃具の交換を行う刃具交換手段と、 測定手段による力の測定値が予め設定した値以上となっ
    たときに刃具送り手段の動作を停止させ、刃具送り手段
    の動作が停止したのちに刃具交換手段を動作させ、刃具
    交換手段の動作が終了したのちに再び刃具送り手段を動
    作させる制御手段とを具備することを特徴とする穿孔装
    置。
  4. 【請求項4】 被穿孔物を穿孔するために穿孔用の刃具
    を被穿孔物へと送る刃具送り手段と、 刃具を送る間に刃具が被穿孔物から受ける反力を測定す
    る測定手段と、 刃具の穿孔能力を高めるために刃具の表面処理を行う刃
    具表面処理手段と、 測定手段による力の測定値が予め設定した値以上となっ
    たときに刃具送り手段の動作を停止させ、刃具送り手段
    の動作が停止したのちに刃具表面処理手段を動作させ、
    刃具表面処理手段の動作が終了したのちに再び刃具送り
    手段を動作させる制御手段とを具備することを特徴とす
    る穿孔装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011036984A (ja) * 2009-08-18 2011-02-24 Shinmaywa Industries Ltd 穿孔装置及び穿孔方法
KR102035863B1 (ko) * 2019-03-08 2019-10-24 (주)성현 테크놀로지 반도체 슈라우드 링의 슬롯 가공 부하측정장치
EP4331759A1 (en) * 2022-09-02 2024-03-06 Subaru Corporation Tool driving device and method of producing hole processed product

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