JP2000000035A - 海藻増殖用緩傾斜堤ブロック - Google Patents

海藻増殖用緩傾斜堤ブロック

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JP2000000035A
JP2000000035A JP16948298A JP16948298A JP2000000035A JP 2000000035 A JP2000000035 A JP 2000000035A JP 16948298 A JP16948298 A JP 16948298A JP 16948298 A JP16948298 A JP 16948298A JP 2000000035 A JP2000000035 A JP 2000000035A
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seaweed
porous concrete
porous
slope
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Kunitaka Sasaki
国隆 佐々木
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Hokuetsu Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 海水面上の岩礁域の潮間滞における有用
な海藻の生育場を、岩礁域に代えて湾内や海浜域に安全
にコンスタントに形成し、さらに生育域の拡大を図るこ
とのできる海藻増殖用緩傾斜堤ブロックを提供する。 【解決手段】 ポーラスコンクリート単体あるいは下部
を普通コンクリートとの積層または桝状の複合構造体と
し、上部のポーラスコンクリートの骨材粒径を調整して
保水および排水機能を制御することで目的とする潮間滞
に生育する海藻の生育域を拡大できるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は海藻増殖用緩傾斜堤
ブロックに係わり、海水面上の岩礁域の潮間帯における
有用なフノリ類やマツモ類等の海藻の生育場を、岩礁域
に代えて湾内や海浜域に安全にコンスタントに形成し、
さらに生育域の拡大を図ることのできる海藻増殖用緩傾
斜堤ブロックを提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】我が国の沿岸岩礁域の潮間帯は、有用な
海藻であるヒジキやマツモ、フノリ類等の生育場となっ
ているが、怒濤の打ち寄せる滑りやすい岩場であるので
採取にはかなりの危険を伴う。これら海藻の群落を効率
的に造成し、安全に採取できる技術を確立することは、
産業的に有益で地域振興にもなり、漁業生産の増大に寄
与するばかりでなく、沿岸環境を健全に維持することに
もなるが、今まで有効な手段が無かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した如く有用な海
藻を安全に採取できるように、怒濤の打ち寄せる岩礁域
に何か製品を据え付けるにしても現場で工事を行うにし
ても、新たに工事道路を建設したり、海から船で行った
り、あるいは波の荒れた天候では満足に工事ができない
等といった難点がある。さらに、へたにいじることで生
育環境を変えてしまい、せっかくの生育場を破壊するこ
とにもなりかねなかった。そこで、磯根資源の生育場で
ある岩礁地帯には、すぐ側に海浜や漁港を兼ねた湾が隣
接していることが多く、この場所に浮遊している生殖細
胞を着生させて海藻の生育場を拡大して形成できるよう
にすることを考えた。
【0004】従来からも海岸の砂浜地帯や湾内の波打ち
際の浸食を防止したり、水際部への乗り降りを容易にす
るため各種のコンクリートブロックや現場打ちコンクリ
ートでスロープ部や階段部などが形成されてきている
が、防波が目的の1つでもあり波の打ち上げを防ぐこと
から、生育域の拡大には不向きであり、また、コンクリ
ート面も浮遊している生殖細胞を捕らえにくく、海藻の
生育にはあまり適してはいなかった。
【0005】一般に岩礁域における海藻の着生状況は、
海面下20cm位までをヒジキ類が、海水面前後を岩の
りが、海面上から25cm位までをピリヒバ類が、25
〜55cm位をマツモ類が、120cm位までをフノリ
類の群落が形成されている。磯根資源として特に高価な
のはマツモ類で、生育域の範囲をさらに高く遷移して拡
大させることは産業的に有益であるし、安全に採取場所
に近づけるのであれば子供たちに学習のための、海中の
水棲生物や海藻などが豊富に生育する自然観察の場所と
して提供できるし、また、街の人を呼んで入場料を取っ
て採取させることで、漁民の現金収入源にもなるし、地
域振興や観光産業にも貢献できる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記したよう
な従来技術における課題を解消することについて検討を
重ねて創案されたものであって、ブロック体をスロープ
状あるいは波が走りやすい構造を付加した階段状とし
て、さらに表面あるいは全体を無数の凹凸構造を持つポ
ーラスコンクリートとすることで、胞子や遊走子等の海
藻の生殖細胞を捕らえ易く、遷移の促進と生育域の拡大
を図ることができ、かつ表面の凹凸構造により作業する
人が滑りにくいので収穫作業がしやすくなるブロックを
形成することに成功したものであって以下の如くであ
る。
【0007】(1) ポーラスコンクリート単体あるい
は下部を普通コンクリートとの積層または桝状の複合構
造体とし、上部のポーラスコンクリートの骨材粒径を調
整した保水および排水機能を制御することで目的とする
潮間帯に生育する海藻の生育域を拡大できるようにした
ことを特徴とする海藻増殖用緩傾斜堤ブロック。
【0008】(2) 上面を嵌め込み式のポーラスコン
クリート板状体として取り換え自由な構造体としたこと
を特徴とする前記(1)項に記載の海藻増殖用緩傾斜堤
ブロック。
【0009】(3) 上面に波を高くまで打ち上げるた
めの導波用の溝として、中央に切込溝を、あるいは両端
に切欠溝を平行に複数形成したことを特徴とする前記
(1)〜(2)項の何れか1つに記載した海藻増殖用緩
傾斜堤ブロック。
【0010】(4) 打ち上げられた海水を迅速に排出
するため、底面に複数の平行あるいは交差する溝部を形
成したりポーラスコンクリート層と普通コンクリート層
底部とが連通する上下方向の貫通穴を形成したことを特
徴とする前記(1)〜(3)項の何れか1つに記載した
海藻増殖用緩傾斜堤ブロック。
【0011】(5) ブロックの表面周囲あるいは全面
に鉄平石等の天然石材を配設したり、擬岩模様として景
観に配慮したことを特徴とする前記(1)〜(4)項の
何れか1つに記載した海藻増殖用緩傾斜堤ブロック。
【0012】(6) 板状体あるいは階段状体にして上
下方向に相欠きを設け、重ね合わせたりあるいは平面状
での嵌合せ構造としたことを特徴とする前記(1)〜
(5)項の何れか1つに記載した海藻増殖用緩傾斜堤ブ
ロック。
【0013】(7) ポーラスコンクリート中に補強の
ためのスチールファイバーやガラスファイバー、カーボ
ンファイバー等の補強繊維部材を混入したことを特徴と
する前記(1)〜(6)項の何れか1つに記載した海藻
増殖用緩傾斜堤ブロック。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明のブロックは、ポーラスコ
ンクリートを主体に構成されているものであって、この
ポーラスコンクリートというのは、骨材粒子がセメント
をバインダーとして連結される構造で、多様な孔径で連
結していると共に、表面に微細な無数の凹凸を持つので
単なるコンクリートに比べ表面積が数百倍にもなるた
め、海藻の生殖細胞が補足されやすく着生面積も非常に
大きい。また、骨材の粒径を変化させたりバインダーで
あるセメントの量を変化させることで、海水の通水速度
や保水性を自在に調整できる。
【0015】沿岸岩礁域における海藻の遷移は、海面付
近にフノリ類、マツモ類、ピリヒバ類の順序で入植し、
入植順位に合わせて徐々に海面上部に押し上げられ遷移
していく。一方、干出傾度は上にいくほど湿度が低い乾
燥状態となり、下の海面に近づくほど湿度が高い常に濡
れた状態であるので、ピリヒバ類は乾燥に弱いことにな
る。そこで、海岸部の緩傾斜堤に有用な海藻の着生域を
形成し拡大させるためには、海面付近では打ち寄せる波
を迅速に排出させるためポーラスの粒径を大きくして通
水しやすい構造とすることで、ブロック表面が濡れてい
ない単なる湿度の高い湿潤状態に保つことができ、有用
でない海藻であるピリヒバ類の着生を防止して生育域を
減少させることができる。
【0016】逆に、干満の潮の満ち引きにより引き潮時
は長く乾燥状態にさらされることから、上部にいくほど
ポーラスの粒径を小さくして遡上波を保水できるように
することで、日中の太陽光の照り返しでも乾燥しにくい
構造とすることができ、フノリ類、マツモ類等の有用海
藻の生育域を拡大できる。このように、ポーラスコンク
リートの粒径の大きさを変化させたブロックをスロープ
状に下部から上部に配置することで、効率よく目的とす
る海藻の増産に寄与できる。
【0017】上記したような本発明によるものの具体的
な実施態様を添付図面に示すものについて説明する。最
初に、海岸の砂浜地帯や湾内の波打ち際、および漁港の
船着き場で船を陸揚げするために一様勾配で傾斜させて
形成された堰堤の、比較的使用頻度の少ない両端部の箇
所等に使用して、有用な海藻の生育場を設営して漁業生
産増大の一助ともなるスロープ状に形成されたブロック
について説明する。図1は全体をポーラスコンクリート
とした海藻増殖用緩傾斜堤スロープブロック1で、ブロ
ック同士を段重ねするための前面の相欠き部8、後面の
相欠き段部8aが形成され、さらに千鳥状に設置して相
互に強固に連結するための連結筋12を、前面のコーナ
ー部の角取り部11および後面の中央部の切り欠け部1
1aに設け、図9に示すようにシャックル等の連結具1
2aで適宣連結され、目的とする施工面に対し安定して
設定される。その連結部に適宣モルタルやコンクリート
を間詰めして使用されることは従来の他のコンクリート
ブロックと同様である。
【0018】但し、ポーラスコンクリートは無数の空隙
を有することから普通コンクリートに比べ強度が不足し
ており、波浪が怒濤の如く打ち寄せる箇所での使用に当
たっては、強度不足を補うためにガラスファイバーやカ
ーボンファイバー、スチールファイバー等の各種補強繊
維を混入することで所用の強度を得ることができる。こ
れは、以後説明するポーラス全般にわたっていえること
でもある。
【0019】図2は、上部をポーラスコンクリート層6
とし、下部を普通コンクリート層7の積層構造としてポ
ーラスの強度不足を普通コンクリートで補強したスロー
プブロック1aで、下部の普通コンクリート層7に十字
に交差して組み合わせた排水溝9と、図3の断面図に示
す如く交差部にポーラス層と連通する凹部9aを形成し
たもので、ブロック表面のポーラス部に到達した波浪
は、下部の凹部から迅速に流下して排水溝を通って海中
に排出される。また、波が引き返す時に、ブロックを引
き起こそうとする揚圧力が作用するが、ポーラスの連通
孔や排水溝でエネルギーを吸収して揚圧力を減圧し、緩
傾斜堤の安定性をアップする。
【0020】図4は、ポーラス部の周囲四端を普通コン
クリートで補強すると共に、保水力をアップするため桝
状の嵌凹部10として形成し、後からポーラスコンクリ
ート塊6aとして図5に示す如く一体的に成形したスロ
ープブロック1bで、別々に製造することからセットし
やすいし、また、海況条件が変わって粒径分布を変えな
ければならなくなった場合や、万一破損した場合でも取
り換えが容易である。連結方法および排水溝対応は図2
に示すブロックに同じである。また、当然のことながら
製造時に一体に成形して良いことは言うまでもないこと
である。
【0021】緩傾斜堤が長く、波をさらにブロック上部
に打ち上げる必要がある場合においては、図6に記載の
スロープブロック1cを使用することで解決できる。す
なわちブロック1cは図示の如く、図4のブロック1b
の上面に導波用の溝として、両端に切欠溝14あるいは
中央に切込溝14aを設けたもので、波が射出流として
さらに上段に打ち上げられるように形成してある。ま
た、打ち上げられてポーラス部6aに保水された海水は
そのまま溜めておけるようにブロック下部には排水溝を
設置していない。
【0022】ブロックの連結は後面の相欠き段部8aに
前面の突出した相欠き部8を段重ねする事は前述の通り
であるが、ブロック同士の端面における連結は、連結筋
に代えて角取り部11や切り欠け部11aに連結用イン
サート部体13が埋設されており、図10に示すように
3カ所に連結穴を有する薄肉のリング13aを介してボ
ルト13bで一体的に適宣連結され安定して施工面に設
定される。これらの連結方法は、図9や図10あるいは
他の類似する方法の中から適宣に選ぶことができること
は言うまでもない。
【0023】つぎに、これらの海藻増殖用緩傾斜堤スロ
ープブロック1〜1bを使用した実施例の平面図を図7
に、断面図を図8に示す。緩傾斜堤の下部の波打ち際に
はポーラスの粒径を20〜30mm前後と大きくして全
体をポーラスコンクリートとしたスロープブロック1
が、中央部には中位の粒径10〜20mmとしたスロー
プブロック1aが、上段部には小さな粒径の5mm前後
として保水力をアップしたスロープブロック1bが採用
された場合で、海水は満水時にスロープの傾斜面を走っ
て高く打ち上げられ上段部に保水され、干潮時の太陽に
照らされる日中でも、着生した海藻に水分を補給するの
で脱水によって乾燥して死滅することを防止できる。ま
た、波打ち際の下段部は速やかに排水されるのでピリヒ
バ類などの生殖細胞が着生しにくい構造となっており、
入植順位の早い有用なマツモ類で覆われたまま生育域を
拡大してくれるので増産に寄与する。なお、スロープ面
が長い場合には、使用される各種ブロックに図6に示す
切込溝や切欠溝を形成することで、射出流となってより
遠くまで波を打ち上げることができることは前述の通り
である。
【0024】図11〜15には、連結金具や段重ねによ
るブロックとは別の安定手段を用いた例を示したもの
で、図11にはブロックの平行する2面をくびれた谷形
状18とし全体をポーラスとしたブロック2が示されて
おり、これを複数個組み合わせて波形状に嵌め合わせた
ものが図12に平面図として示されている。
【0025】図13には六角形状として中央に排水のた
めの貫通穴15を形成したポーラスコンクリートと普通
コンクリートの積層構造としたブロック3が図示してあ
り、そのブロック3を蜂の巣のように嵌合して組み合わ
せた状況を図14に平面図として示してある。
【0026】さらに、桝状とした普通コンクリートの板
状体にポーラス塊6aを組み合わせたものとして、縦方
向の1面に半円の突起16を設け、他方の面を半円の凹
部16aとして嵌合溝を形成し、桝部上面を景観に配慮
して鉄平石等の天然石材を埋設したり擬石模様17とし
たスロープブロック4を示す。緩傾斜堤としての使用方
法やポーラス塊を交換できることなどは前述した通りで
ある。
【0027】今まで説明してきたスロープブロックは、
沿岸岩礁域に代えて漁民が生活の糧とする漁港の船着き
場の一部や湾内の別な場所、あるいは近くの砂浜の海岸
部に海藻の増殖場を形成して海に慣れた漁民が海藻を採
取したりするのに使用されるが、湾内の波打ち際や海岸
の砂浜にこのブロックを設置して、自然観察を勉強する
場所として学童に提供したり、観光場所として都会の人
々を呼ぶには多少安全面で問題がある。それは、ブロッ
ク表面が海藻に覆われ海に不慣れな人が歩くには多少滑
りやすくなっているので、非常に緩い1:10〜1:2
0の傾斜面の構造体として設営される場合には表面のポ
ーラスの凹凸構造で問題が少なくなると思われるもの
の、こうするには非常に長い砂浜が必要となるが、日本
はすぐ山が迫る急峻な地形であるため一般には1:3〜
1:5といった少しきつい勾配としなければならない場
合が多く、そうした場合都会人や子供といった海に不慣
れな人たちには歩きにくく危険が伴う。そこでその場合
の対処法として形状を階段状とすることが考えられ、以
下にその採用例について説明する。
【0028】図16は全体をポーラスとして、斜めとし
た底面に対し上面をほぼ水平となるよう形成し、底面の
前面前方にいくほど厚くして相欠き部8、相欠き段部8
aを段重ねして使用することで階段状に形成できるよう
にした緩傾斜堤階段ブロック5で、ブロック同士を連結
する手段は図1に示すスロープブロック1に同じであ
る。また、ポーラスの粒径を海水面に近い下段ほど大き
くして波打ち際に打ち上げられた波の早期の排水や揚圧
力の低減を図り、上段にいくほど小さくして保水性を高
める構造として使用されることは前述の通りである。
【0029】図17は、ポーラスコンクリートと普通コ
ンクリートの積層構造とした階段ブロック5aで、階段
部の上面の前部を山形状19として景観を考慮して見た
目に変化を設けると共に、海藻の生育域の拡大を図って
いる。図2同様迅速な排水を図るため下面に排水溝9と
ポーラス層に連通する凹部9aを形成してある。この排
水溝9および凹部9aは、緩傾斜堤の上段部に使用する
場合には設けないなど、設定する箇所によって変更して
使用されることは言うまでもない。
【0030】図18は、この排水溝や凹部を設けないも
ので、上面のポーラス層を5〜15cmの凹凸のある擬
岩模様17aとした階段ブロック5bで、表面積を増や
して生殖細胞の補足率をアップすると共に、保水量をも
大幅に増加できる。また、緩傾斜堤の上段部に使用する
ことで打ち上げられた波をさえぎり、堤を越えて背面の
民家の方へ溢流することが防止できるなどの利点を有す
る。
【0031】また、階段状にブロックを段重ねして使用
した場合には、段々に形成された突起部が壁となって波
の打ち上げを防ぐので波が高くまで運ばれないし、波浪
の圧力が強いところではブロックが破壊される危険を伴
う。そこで図19には、図6に示すスロープブロック1
c同様階段ブロック上面両端部に導波用の溝として切欠
溝14および中央部に切込溝14aを、前方にいくほど
溝が深く後方にいくほど浅く、さらにブロックとして段
重ねして施工された状態において、これらの溝の底部が
斜めに一直線になるよう形成した緩傾斜堤階段ブロック
5cを示す。
【0032】このことによって、打ち上げられた波は、
打ち上げ時に一段ごとに少しずつブロック上面の後方の
左右に扇形に拡散し、波が戻るときは逆に上面の前方左
右に扇形に拡散して、波に運ばれてきた生殖細胞がブロ
ックの階段面の全面に均等にばらまかれると共に生育の
ために必要な水分を補給するし、波浪を分散してブロッ
クに作用する圧力を減少してくれる。なおブロック上面
は、周囲四端を普通コンクリートで桝状に形成してあ
り、ポーラス塊6aを補強すると共に桝状に形成されて
いることから保水力のアップが図れることは前述の通り
である。
【0033】つぎに、これらの海藻増殖用緩傾斜堤階段
ブロックを数種類組み合わせて使用した、比較的波浪が
強くない海岸の砂浜や湾内の波打ち際で、奥行きが短い
箇所での実施例で、ブロックの段重ね数も少なく波が階
段部で妨げられるとしても上部まで打ち上げられる緩傾
斜堤とした施工断面図が図20として示されている。ブ
ロックの組み合わせは図7や図8と同様、波打ち際にあ
たる下段部には、全体を粒径の大きいポーラス構造とし
た階段ブロック5を、中段部は粒径を中位としてブロッ
ク下部に排水溝および凹部を形成した階段ブロック5a
を、上段部は粒径を小さくして保水性をアップさせる構
造とした階段ブロック5d等を組み合わせて使用される
ことは前述の通りである。
【0034】さらに、海浜や大きな湾内の波打ち際で、
奥行きが長くブロックの段重ね数も多く、水際部よりで
きるだけ奥行き深くまで波を打ち上げて、有用海藻の生
育域を拡大できるようにした実施例として、使用するす
べてのブロックに切込溝14aおよび切欠溝14を形成
したものとして図21に平面図を、図22と図23に断
面図を示す。
【0035】ブロックの組み合わせは図20同様、波打
ち際の下段部には上層を粒径の大きいポーラスコンクリ
ート層、下層を排水溝や凹部を形成した普通コンクリー
トの積層構造として早期の排水や揚圧力の低減を図った
階段ブロック5fを、中段部には粒径が中位のポーラス
ブロック塊を嵌凹部に嵌合すると共に下部に排水溝や凹
部を形成した階段ブロック5cを、上段部には粒径の小
さいポーラスコンクリート塊を嵌凹部に嵌合すると共に
排水溝や凹部を設けない構造として保水性を高めた階段
ブロック5e等として使用する。図22に示す如く、波
は切込溝14aや切欠溝14を通って少しずつ各段ごと
に波を分散させながら上段まで到達した後、さらに引き
返しながら再度少しずつ分散させて階段部全面を波で覆
うことができる。
【0036】今までは階段ブロックとスロープブロック
をそれぞれ単独に組み合わせてなる実施例のみを説明し
てきたが、海面上を階段ブロックとしてきつい勾配に対
応すると共に歩行者の安全を図り、海面下をスロープブ
ロックとして海藻の生育域の拡大に寄与させるなど、そ
れぞれのブロックを適宣に組み合わせて使用できること
は言うまでもない。
【0037】また、本発明による海藻増殖用緩傾斜堤ブ
ロックを潮位以下の漸深帯にまで延長して使用すること
で、2〜3m深さの海中のブロック表面に、アラメ、カ
ジメ、ホンダワラ、コンブ等の大型の海藻群落が形成さ
れ、アワビ、サザエ、ウニ等の棲息場やハタハタ等の魚
の産卵場や人間の食用として磯根資源の増産や回復に寄
与することができる。
【0038】上記したような本発明によるものは海藻増
殖用緩傾斜堤ブロックの全体をポーラスコンクリートと
したり、あるいは上部をポーラスコンクリート層として
下部を普通コンクリート層とする積層構造として形成さ
れる。また、漁港の船着き場のスロープブロックとした
り、海浜や港湾への階段ブロックとして使用したりする
ことで、ブロック表面に有用な海藻であるフノリやマツ
モ類が着生し、生育域を岩礁域外にも拡大せしめ、漁業
生産量の増大、子供たちが学習するための自然観察場所
の提供、ならびに地域振興にも一役買うことができる。
【0039】また、上記したようなブロック上面のポー
ラス層の粒径を、緩傾斜堤に使用するブロックの下段部
を大きく、中段部を中位に、上段部を小さくするなどの
調整をして、打ち上げられる波浪の迅速な排水および保
水を制御することで目的とする海藻の生育域を拡大させ
ることができる。
【0040】さらに、ブロックの下部に排水溝を設けた
り、ポーラス層に連通する凹部を形成することで、打ち
上げられた波が迅速にブロック下部に流下して溝を通っ
て海中に排出されるとともに、引き返し時の波による揚
圧力を低減してブロックの安定化を図れる。
【0041】ポーラス塊の周囲四端を普通コンクリート
で補強した桝状とすることで保水力のアップを図るとと
もに、取り換え自由に形成したことで各種の海況条件や
経年劣化による対応が自在にできる利点を有する。
【0042】ブロック上面に波を高くまで打ち上げるた
めの導波用の溝として、両端部の切欠溝や中央部の切込
溝を形成することで、射出流あるいは遡上、降下による
波の各段ごとの分散機能を有し、生殖細胞のブロック全
面への均等な拡散と生命を維持するための水分の補給が
でき、有用海藻がコンスタントに生育できるとともに、
波浪の強い箇所でのエネルギーの減衰効果も期待でき
る。
【0043】ポーラスコンクリート中にガラスファイバ
ーやカーボンファイバー、スチールファイバー等の各種
補強繊維を混入することで、強度アップを図って波浪が
怒濤の如く打ち寄せる場所での使用にあたっても強度的
に安定して長期にわたって使用可能ならしめる。
【0044】スロープブロックとして漁港の船着き場の
一部として使用することで、有用海藻の生育域を形成で
き、漁民に新たな収入源を提供するし、あるいは階段ブ
ロックとして海水浴場や港湾の波打ち際の一部に生育域
を形成することで、子供たちに安全な海辺の生物などの
自然観察の場所として、または街の人を呼び込んでの海
藻刈り場ともなり、地域振興や観光産業の掘り起こしに
もなる。
【0045】
【発明の効果】上記したような本発明によるときは、岩
礁域での潮間帯に代えて、海浜や湾内や漁港にブロック
を使用することで、安定かつ効果的な海藻類着生層を形
成し、フノリ類やマツモ類等の目的とする有用な海藻類
の有効かつ合理的で恒久的な着生や生長が図られると共
に、生育域が拡大して海藻の生産量の増大が図られる。
さらに、学童のための自然観察場所や一般の人の海藻採
取場として開放することで、地域振興や観光産業にも貢
献できるものであることから、商業的にその効果の大き
い発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による海藻増殖用緩傾斜堤スロープブロ
ックの基本的形態を示した斜面図である。
【図2】本発明による緩傾斜堤スロープブロックの別の
形態を示した斜面図である。
【図3】図2に示したブロックの断面図である。
【図4】本発明による緩傾斜堤スロープブロックのさら
に別の形態を示した斜面図である。
【図5】図4に示したブロックの断面図である。
【図6】上面に切欠溝および切込溝を形成した本発明に
よる緩傾斜堤スロープブロックを示した斜面図である。
【図7】本発明スロープブロックによる設定状態の1例
を示した平面図である。
【図8】図7に示した設定状態の断面図である。
【図9】本発明ブロック体の連結構成の1例を部分的に
示した断面図である。
【図10】本発明ブロック体の連結構成の別の1例を部
分的に示した断面図である。
【図11】くびれた谷形状に形成した本発明による別の
連結手段を採用した海藻増殖用緩傾斜堤スロープブロッ
クを示した斜面図である。
【図12】図11に示したブロックによる設定状態の1
例を示した平面図である。
【図13】中央に貫通穴を設け六角形状として形成した
本発明によるさらに別の連結手段を採用した緩傾斜堤ス
ロープブロックを示した斜面図である。
【図14】図13に示したブロックによる設定状態の1
例を示した平面図である。
【図15】側面に溝状凹部と溝状凸部を設けたさらに別
の連結手段として、上面に天然石材や擬石模様を採用し
て桝状に形成した本発明による緩傾斜堤スロープブロッ
クを示した斜面図である。
【図16】本発明による海藻増殖用緩傾斜堤階段ブロッ
クの基本的形態を示した斜面図である。
【図17】本発明による緩傾斜堤階段ブロックの別の形
態を示した斜面図である。
【図18】本発明による緩傾斜堤階段ブロックのさらに
別の形態を示した斜面図である。
【図19】本発明による緩傾斜堤階段ブロックのさらに
別の形態を示した斜面図である。
【図20】本発明による海藻増殖用緩傾斜堤階段ブロッ
クを用いた設定状態の1例を示した断面図である。
【図21】切込溝および切欠溝を形成した本発明による
緩傾斜堤階段ブロックを用いた設定状態の1例を示した
平面図である。
【図22】図21に示した設定状態の、切込溝および切
欠溝での断面図である。
【図23】図21に示した設定状態の、別な面での断面
図である。
【符号の説明】
1〜1c、2、3、4 海藻増殖用緩傾斜堤スロープブ
ロック 5〜5f 海藻増殖用緩傾斜堤階段ブロック 6 ポーラスコンクリート層 6a ポーラスコンクリート塊 7 普通コンクリート層 8 前面の相欠き部 8a 後面の相欠き段部 9 排水溝 9a 凹部 10 嵌凹部 11 角取り部 11a 切り欠け部 12 連結筋 12a 連結具 13 インサート部体 13a 薄肉のリング 13b ボルト 14 切欠溝 14a 切込溝 15 貫通穴 16 半円の突起 16a 半円の凹部 17 鉄平石等の天然石材もしくは擬石模様 17a 擬岩模様 18 くびれた谷形状 19 山形状

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポーラスコンクリート単体あるいは下部
    を普通コンクリートとの積層または桝状の複合構造体と
    し、上部のポーラスコンクリートの骨材粒径を調整して
    保水および排水機能を制御することで目的とする潮間帯
    に生育する海藻の生育域を拡大できるようにしたことを
    特徴とする海藻増殖用緩傾斜堤ブロック。
  2. 【請求項2】 上面を嵌め込み式のポーラスコンクリー
    ト板状体として取り換え自由な構造体としたことを特徴
    とする請求項1に記載の海藻増殖用緩傾斜堤ブロック。
  3. 【請求項3】 上面に波を高くまで打ち上げるための導
    波用の溝として、中央に切込溝を、あるいは両端に切欠
    溝を平行に複数形成したことを特徴とする請求項1〜2
    の何れか1つに記載した海藻増殖用緩傾斜堤ブロック。
  4. 【請求項4】 打ち上げられた海水を迅速に排出するた
    め、底面に複数の平行あるいは交差する溝部を形成した
    りポーラスコンクリート層と普通コンクリート層底部と
    が連通する上下方向の貫通穴を形成したことを特徴とす
    る請求項1〜3の何れか1つに記載した海藻増殖用緩傾
    斜堤ブロック。
  5. 【請求項5】 ブロックの表面周囲あるいは全面に鉄平
    石等の天然石材を配設したり、擬岩模様として景観に配
    慮したことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記
    載した海藻増殖用緩傾斜堤ブロック。
  6. 【請求項6】 板状体あるいは階段状体にして上下方向
    に相欠きを設け、重ね合わせたりあるいは平面状での嵌
    合せ構造としたことを特徴とする請求項1〜5の何れか
    1つに記載した海藻増殖用緩傾斜堤ブロック。
  7. 【請求項7】 ポーラスコンクリート中に補強のための
    スチールファイバーやガラスファイバー、カーボンファ
    イバー等の補強繊維部材を混入したことを特徴とする請
    求項1〜6の何れか1つに記載した海藻増殖用緩傾斜堤
    ブロック。
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