JP4798687B2 - 狭帯域化レーザ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、狭帯域化レーザ装置に関し、特に、半導体を製造するために用いられる縮小投影露光装置の光源としての狭帯域化エキシマレーザ装置あるいは狭帯域化F2レーザ装置において、そのレーザ光のスペクトル純度幅等のスペクトル指標値を制御する装置に関するものである。
以下に縮小投影露光装置の光源として用いられる狭帯域化レーザ装置の従来技術について各項目毎に説明する。
(露光用光源)
半導体集積回路の微細化、高集積化につれて、半導体露光装置においては解像力の向上が要請されている。このため露光用光源から放出される光の短波長化が進められており、露光用光源には、従来の水銀ランプに代わってガスレーザ装置が用いられている。現在の露光用ガスレーザ装置としては、波長248nmの紫外線を放出するKrFエキシマレーザ装置ならびに、波長193nmの紫外線を放出するArFエキシマレーザ装置が用いられている。次世代の露光技術として、露光用レンズとウェーハ間を液体で満たして、屈折率を変えることによって、露光光源の見かけの波長を短波長化する液浸技術をArF露光に適用することが考えられている。ArF液浸では、見かけの波長は134nmと短くなる。また、次々世代の露光用光源として、波長157nmの紫外線を放出するF2レーザ装置が有力であり、F2レーザ液浸露光が採用される可能性もある。F2液浸では、115nmまで短波長化すると言われている。
(露光用光学素子と色収差)
多くの半導体露光装置の光学系には、投影光学系が採用されている。投影光学系では、異なる屈折率を有するレンズ等の光学素子が組み合わされて色収差補正が行なわれる。現在、露光用光源であるレーザ波長の248nm〜115nmの波長域では、投影光学系のレンズ材料として使用に適する光学材料は、合成石英とCaF2以外にない。このため、KrFエキシマレーザの投影レンズとしては、合成石英のみで構成された全屈折タイプの単色レンズが採用され、ArFエキシマレーザの投影レンズとしては、合成石英とCaF2で構成された全屈折タイプの部分色消しレンズが採用されている。ところが、KrF、ArFエキシマレーザの自然発振幅は約350〜400pmと広いために、これらの投影レンズを使用すると色収差が発生して、解像力が低下する。そこで、色収差が無視できるまでに、上記ガスレーザ装置から放出されるレーザ光のスペクトル線幅を狭帯域化する必要がある。このため、レーザ装置には、狭帯域化素子(エタロンやグレーティング等)を有する狭帯域化モジュールがレーザ共振器内に設けられ、スペクトル線幅の狭帯域化が行われている。
(スペクトル純度幅)
露光装置の結像性能は、レーザ光のスペクトル波形の半値全幅だけでなく、スペクトル波形の裾野成分によって大きく影響を受ける。そこで、いわゆるスペクトル純度幅といわれるスペクトルの新しい指標値が導入されている。このスペクトル純度幅は、例えば全エネルギーの95%のエネルギーが入るスペクトル幅で評価される。
集積回路の品質を保証するためには、このスペクトル純度幅を例えば0.5pm以下に抑えることが要求されている。
(スペクトル純度幅を安定化させる理由)
しかし、近年になって、このスペクトル純度幅が、光学システムで設計された値から大幅に狭い値であっても、集積回路の品質が悪化することがあると言われ始めた。このことは、特許文献1(US6721340)及び2(特開2001-267673号)に記載されている。このため、スペクトル純度幅は、ある所定の許容幅内で安定するように制御(以下、適宜、安定化制御という)される必要がある。
(スペクトル純度幅の制御の従来技術)
スペクトル純度幅を安定化制御することに関しては、特許文献1及び2に記載されている。この特許文献2には、波長検出器を設けるとともに、狭帯域化ユニット内に高速同調機構を設け、検出された波長に基づき、高速同調機構で、1パルス毎に、微小かつ高速に波長を振ることによって、見かけ上のスペクトル純度幅を制御して許容幅内に収めるという発明が記載されている。ここでいう、「見かけ上のスペクトル純度幅の制御」とは、各瞬間での中心波長を振り、時間積分することで振り幅に応じたスペクトル純度幅を擬似的に得る制御のことである。
US6721340 特開2001-267673号
しかしながら、上記特許文献2に記載された従来技術では、スペクトル純度幅を制御することに伴い、中心波長もそれに付随して変化してしまう。このため中心波長を所望の値に一致させる中心波長制御と、スペクトル純度幅を所定の許容幅内に収めるスペクトル線幅制御を独立に行うことが困難である。このため、つぎのような問題が発生する。
1)中心波長の制御は、1パルス毎にフィードバック制御を行うことが望ましいが、これが複雑な制御になるという問題がある。
2)また、中心波長が安定している状況では、中心波長制御の精度はあまり問題とならないが、露光装置から目標波長の変更の指示が出された場合など、波長をダイナミックに制御する必要がある場合には、中心波長制御の精度に影響を与えるおそれがある。
3)また、バースト発振の初期においては、中心波長が大きくずれるチャーピング現象が発生してしまう。
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、中心波長の制御に影響を与えることなくスペクトル純度幅(スペクトル指標値)の安定化制御を行えるようにして、見かけ上のスペクトル純度幅の制御を行うことで発生する上記諸問題点を解消することを解決課題とするものである。
第1発明は、
発振用チャンバ内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域化したシード光をパルス発振する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを間の空間に有する電極間で放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ装置とを備えた狭帯域化レーザ装置において、
前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル指標値を計測するスペクトル指標値計測手段と、
計測されたスペクトル指標値が、目標スペクトル指標値の許容幅内に収まるように、前記発振用レーザ装置で放電を開始してから前記増幅用レーザ装置で放電を開始するまでの放電タイミングを制御する制御手段と
を具えたことを特徴とする。
第2発明は、
発振用チャンバ内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域化したシード光をパルス発振する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ装置とを備えた狭帯域化レーザ装置において、
前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル指標値を計測するスペクトル指標値計測手段と、
計測されたスペクトル指標値が、目標スペクトル指標値の許容幅内に収まるように、前記シード光のスペクトル指標値を制御する制御手段と
を具えたことを特徴とする。
第3発明は、
発振用チャンバ内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域化したシード光をパルス発振する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ装置とを備えた狭帯域化レーザ装置において、
前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル指標値を計測するスペクトル指標値計測手段と、
計測されたスペクトル指標値が、目標スペクトル指標値の許容幅内に収まるように、前記発振用レーザ装置で放電を開始してから前記増幅用レーザ装置で放電を開始するまでの放電タイミングを制御するとともに、前記シード光のスペクトル指標値を制御する制御手段と
を具えたことを特徴とする。
第4発明は、第1発明または第3発明において、
前記目標スペクトル指標値の許容幅のうち、前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のエネルギーが許容レベル以上となる同期許容幅の範囲で、前記制御手段による制御が実行されること
を特徴とする。
第5発明は、第1発明または第3発明において、
前記シード光のレーザパルス波形を延長させるパルスストレッチ手段が更に備えられ、
前記パルスストレッチ手段によって前記シード光のパルス波形を延長させることで、前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のエネルギーが許容レベル以上となる同期許容幅を拡大させること
を特徴とする。
第6発明は、第2発明または第3発明において、
前記制御手段は、発振用レーザ装置で放電を開始してからレーザパルスが立ち上がるまでの時間を変化させて、前記シード光のスペクトル指標値を制御するものであること
を特徴とする。
第7発明は、第2発明または第3発明において、
前記制御手段は、前記発振用チャンバ内のフッ素分子F2のモル濃度または分圧(以下、単に「フッ素分子F2の濃度」という)を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させるものであること
を特徴とする。
第8発明は、第2発明または第3発明において、
前記制御手段は、前記発振用チャンバ内の全ガス圧力を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させるものであること
を特徴とする。
第9発明は、第2発明または第3発明において、
前記発振用レーザ装置は、充電電圧に応じた電圧が一対の電極間に印加されることで主放電が行われるものであって、
前記制御手段は、充電電圧を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させるものであること
を特徴とする。
第10発明は、第2発明または第3発明において、
前記発振用レーザ装置は、
一対の放電電極と電気的に並列に配置されたピーキングコンデンサと当該ピーキングコンデンサの前段に電気的に並列に配置された第2のコンデンサとを備えた充電回路を備え、前記第2のコンデンサに蓄えられた電荷を前記ピーキングコンデンサに移行させ、前記ピーキングコンデンサの充電電圧に応じた電圧が前記一対の電極に印加されることで放電が行われるものであって、
前記ピーキングコンデンサまたは/および第2のコンデンサの容量、または/および前記ピーキングコンデンサに対する前記第2のコンデンサの容量比を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させるものであること
を特徴とする。
第11発明は、第2発明または第3発明において、
前記発振用レーザ装置は、
一対の放電電極と電気的に並列に配置された予備電離コンデンサを備えた充電回路を備え、前記予備電離コンデンサの充電電圧に応じて前記一対の電極間で予備電離が行われるものであって、
前記予備電離コンデンサの容量を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させるものであること
を特徴とする。
第12発明は、第2発明または第3発明において、
前記発振用レーザ装置には、
前記発振用チャンバ内で発生した光を所定の反射率で前記発振用チャンバ内に戻すアウトプットカプラが備えられ、
前記アウトプットカプラの反射率を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させるものであること
を特徴とする。
第13発明は、第2発明または第3発明において、
前記制御手段は、発振用レーザ装置で放電を開始してからレーザパルスが立ち上がるまでの時間を変化させて、前記シード光のスペクトル指標値を制御するものであって、
シード光のパルス波形の立ち上がり時間が変化した場合に、そのパルス波形の立ち上がりの時間の変化に応じて、前記発振用レーザ装置で放電を開始してから前記増幅用レーザ装置で放電を開始するまでの放電タイミングを変化させて、放電タイミングを所望の同期タイミングに一致させる制御が行われること
を特徴とする。
第14発明は、
発振用チャンバ内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域化したシード光をパルス発振する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ装置とを備えた狭帯域化レーザ装置において、
前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル指標値を計測するスペクトル指標値計測手段と、
計測されたスペクトル指標値が、目標スペクトル指標値の許容幅内に収まるように、前記発振用レーザ装置の狭帯域化性能を制御する制御手段と
を具えたことを特徴とする。
第15発明は、
発振用チャンバ内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域化したシード光をパルス発振する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ装置とを備えた狭帯域化レーザ装置において、
前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル指標値を計測するスペクトル指標値計測手段と、
計測されたスペクトル指標値が、目標スペクトル指標値の許容幅内に収まるように、前記発振用レーザ装置で放電を開始してから前記増幅用レーザ装置で放電を開始するまでの放電タイミングを制御するとともに、前記発振用レーザ装置の狭帯域化性能を制御する制御手段と
を具えたことを特徴とする。
第16発明は、第14発明または第15発明において、
前記発振用レーザ装置には、
前記発振用チャンバ内で発生した光の波面を変化させる波面変化手段が備えられ、
前記波面変化手段によって前記発振用チャンバ内で発生した光の波面を変化させることで、前記発振用レーザ装置の狭帯域化性能を変化させるものであること
を特徴とする。
第17発明は、第14発明または第15発明において、
前記発振用レーザ装置には、
前記発振用チャンバ内で発生した光の拡大率を変化させる拡大率変化手段が備えられ、
前記拡大率変化手段によって前記発振用チャンバ内で発生した光の拡大率を変化させることで、前記発振用レーザ装置の狭帯域化性能を変化させるものであること
を特徴とする。
第18発明は、第14発明または第15発明において、
前記発振用レーザ装置には、
前記発振用チャンバ内で発生した光のビーム幅を変化させるビーム幅変化手段が備えられ、
前記ビーム幅変化手段によって前記発振用チャンバ内で発生した光のビーム幅を変化させることで、前記発振用レーザ装置の狭帯域化性能を変化させるものであること
を特徴とする。
第19発明は、
発振用チャンバ内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域化したシード光をパルス発振する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ装置とを備えた狭帯域化レーザ装置において、
前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル指標値を計測するスペクトル指標値計測手段と、
計測されたスペクトル指標値が、目標スペクトル指標値の許容幅内に収まるように、前記発振用チャンバ内の放電により発生する音響波の伝搬速度を制御する制御手段と
を具えたことを特徴とする。
第20発明は、
発振用チャンバ内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域化したシード光をパルス発振する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ装置とを備えた狭帯域化レーザ装置において、
前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル指標値を計測するスペクトル指標値計測手段と、
計測されたスペクトル指標値が、目標スペクトル指標値の許容幅内に収まるように、前記発振用レーザ装置で放電を開始してから前記増幅用レーザ装置で放電を開始するまでの放電タイミングを制御するとともに、前記発振用チャンバ内の放電により発生する音響波の伝搬速度を制御する制御手段と
を具えたことを特徴とする。
第21発明は、第19発明または第20発明において、
前記発振用レーザ装置で発振されるシード光の発振周波数を検出する発振周波数検出手段と、
前記発振用チャンバ内のレーザガスの温度を変化させるレーザガス温度変化手段とが備えられ、
シード光の発振周波数と前記発振用チャンバ内のレーザガスの温度とスペクトル指標値との関係に基づいて、検出されたシード光の発振周波数に応じてレーザガス温度を変化させて、計測されたスペクトル指標値を、目標スペクトル指標値の許容幅に収める制御が行われること
を特徴とする。
本発明者は、図1に示すレーザ装置(2ステージレーザ装置)2から外部へ出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95(スペクトル指標値として代表的なもの)は、発振用チャンバ10で放電を開始してから増幅用チャンバ30で放電を開始するまでの放電タイミングと、発振用チャンバ10から出力されるレーザ光(シード光)のスペクトル純度幅E95によって決定されることを発見するに至り、これら放電タイミング、シード光のスペクトル純度幅というパラメータは、中心波長制御とは独立して制御できるパラメータであるという知見を得るに至った。
また、各種変動要因によるスペクトル純度幅の変動をなくし、ある許容幅の範囲内に安定させるには、スペクトル純度幅E95検出器(スペクトル純度幅計測手段)でスペクトル純度幅をモニタ(計測)し、目標スペクトル純度幅から変動していた場合には、スペクトル純度幅E95が目標スペクトル純度幅になるように制御すればよいという知見を得た。
すなわち、スペクトル純度幅の安定化制御は、主として、
1)放電タイミングを変化させる(第1発明)。
2)発振用レーザ装置100から出力されるシード光のスペクトル純度幅を変化させる(第2発明)。
3)発振用レーザ装置100から出力されるシード光のスペクトル純度幅を変化させ、かつ放電タイミングも変化させる(第3発明)。
という三種類の手段によって実現される。中でも、3)は、安定化制御の効果が一番大きい。
従来技術で説明した「見かけ上のスペクトル純度幅の制御」は、1パルス毎に波長を変化させるため、スペクトル純度幅を安定化制御することに依存して、1パルス毎に、ウェーハ上のベストフォーカスの位置が変化して露光されることになる。このように独立した中心波長制御を行うことができないため、ベストフォーカス位置ずれという問題が生じる。
これに対して、本発明の制御手段1)、2)、3)(第1発明、第2発明、第3発明)によれば、スペクトル純度幅を実質的に太くしたり細くすることができる一方で、独立して中心波長を制御することができる。このため、スペクトル純度幅を安定化制御しつつも、中心波長は変化せず、ベストフォーカスの位置変化も生じない。露光装置3の投影レンズに対する最適なスペクトル形状が得られ、ベストフォーカスの位置ずれもないため、投影レンズの結像性能を維持することができる。
第1発明では、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅E95が、目標スペクトル純度幅E950の許容幅E950±dE95内に収まるように、発振用レーザ装置100で放電を開始してから増幅用レーザ装置300で放電を開始するまでの放電タイミングを制御することで、スペクトル純度幅E95を安定化制御する。
すなわち、図1に示す2ステージレーザシステムでは、1ステージレーザシステムと異なり、発振用チャンバ10で放電を開始してから増幅用チャンバ30で放電を開始するまでの放電タイミングに応じて、スペクトル純度幅E95を制御することができる。
図4に、放電タイミングdtに応じてスペクトル純度幅E95が変化する様子を示す。
図4のグラフの横軸のdtは、放電タイミング、つまり発振用チャンバ10で放電を開始してから、増幅用チャンバ30で放電を開始するまでの時間である。 図4のグラフの左側縦軸は、スペクトル純度幅E95であり、スペクトル純度幅特性L1として示すように、放電タイミングdtが大きくなる(放電タイミングが遅れる)につれてスペクトル純度幅E95が減少しているのがわかる。この理由は、図5を用いて説明される。
図5は、シード光のパルス波形L3を示したものである。同図5に示すように、シード光となる発振レーザ光は、時間的なスペクトル純度幅E95分布をもっており、レーザパルス波形の後方に行くに従ってスペクトル純度幅E95が減少する。このため、図5に示す時間的なスペクトル純度幅E95分布を持つシード光パルス波形のどの部分に同期させるかによって、増幅されたレーザ光のスペクトル純度幅E95が決定されることになる。例えば、放電タイミングdtを遅らせて、シード光のパルス波形後半部分に放電を同期させた場合は、狭いスペクトル純度幅E95を持つシード光が増幅されて、結果的に増幅されたレーザ光のスペクトル純度幅E95は細くなる。逆に、放電タイミングdtを早くして、シード光のパルス波形前半部分に放電を同期させた場合は、広いスペクトル純度幅E95を持つシード光が増幅されて、結果的に増幅されたレーザ光のスペクトル純度幅E95は太くなる。
このような特性を用いて、第1発明では、モニタ(計測)されたスペクトル純度幅E95が増加した場合は、放電タイミングdtを遅らせてスペクトル純度幅E95を減少させ、スペクトル純度幅E95が減少した場合は、放電タイミングdtを早めてスペクトル純度幅E95を増加させるように制御する。
増幅用レーザ装置300で放電を開始する時期を、発振用レーザ装置100から出力されるシード光パルス波形L3の前半に合わせれば、そのシード光パルス波形L3の前半部分の広いスペクトル幅の光が増幅されることになり、逆に、シード光パルス波形L3の後半に合わせれば、その後半部分の狭いスペクトル幅の光が増幅されることになる(図5参照)。
図4の左側縦軸において、スペクトル純度幅の目標値をE950に、許容幅をE950±dE95に設定する。
例えば、スペクトル純度幅を目標値E950に一致させるべく、放電タイミングdtをdt0に設定してレーザ装置100、300を、曲線L1上で動作させていたとする。
ここで、実際に計測されるスペクトル純度幅E95が広くなった場合(E95増加時)、つまり、曲線L1から曲線L1(a)に変化した場合には、矢印LAにて示すごとく、放電タイミングdtを遅らせて、dt0からdt2に変化させる。このように放電タイミンdtをdt0からdt2に遅らせることによって、スペクトル純度幅は狭くなり、元の目標値E950の値まで戻すことができる。
逆に、実際に計測されるスペクトル純度幅E95が狭くなった場合(E95低下時)、つまり、曲線L1から曲線L1(b)に変化した場合には、矢印LBにて示すごとく、放電タイミングdtを早めて、dt0からdt1に変化させる。このように放電タイミングdtをdt0からdt1に早めることによって、スペクトル純度幅は広くなり、元の目標値E950の値まで戻すことができる。
ただし、図4に示すように、スペクトル純度幅の制御幅(図4の縦軸)は、放電タイミングdtの制御幅(図4の横軸)との関係で、レーザ出力が許容レベル以上となっている同期許容幅(図4の横軸)に対応する範囲内(図4の縦軸)であることが望ましい(第4発明)。
第2発明では、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅E95が、目標スペクトル純度幅E950の許容幅E950±dE95内に収まるように、発振用レーザ装置100から出力されるシード光のスペクトル純度幅E95を制御することで、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95を安定化制御する。
第2発明に従属する第6発明では、発振用レーザ装置100で放電を開始してからレーザパルスが立ち上がるまでの時間を変化させることで、シード光のスペクトル純度幅E95を制御し、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95を安定化制御する。
すなわち、スペクトル純度幅E95を制御する別の方法に、シード光自体のスペクトル純度幅E95を制御する手段がある。このシード光のスペクトル純度幅E95の制御には、つぎのように3つの方法がある。
2)−1 シード光のパルス波形の立上りを制御する方法(第2発明およびこれに従属する第6発明)。
2)−2 狭帯域化性能を制御する方法(第14発明)。
2)−3 音響波の伝搬速度を制御する方法(第19発明)。
上記いずれの方法を使用しても、出力されるシード光のスペクトル純度幅E95自体が変化するため、増幅されるレーザ光もそれに対応して変化する。
まず、第2発明およびこれに従属する第6発明について説明する。
図15は、発振用レーザ装置100から出力されるシード光のレーザパルスの波形を、横軸を時間、縦軸をレーザ出力とするグラフで示している。
発振用レーザ装置100で放電が開始されてからパルスが立ち上がるまでの時間を小信号利得を小さくすることにより遅延させると、レーザパルス波形は、図15に破線で示す波形から実線で示す波形に変化する。このように、放電が開始してからレーザパルス波形が立ち上がるまでの時間を長くすることによって、つまりレーザパルスを時間的に後半にシフトすることによって、スペクトル純度幅を狭くすることができる。この理由は、図11に示すように、波長選択素子(LNM16)を数回通過後の光子が増幅されてパルスが立ち上がったためであり、ラウンドトリップ回数が多くなるほどスペクトル純度幅が小さくなるためである。逆に、小信号利得を大きくして、レーザパルスを前半にシフトすることによって、同様の原理(ラウンドトリップ回数が少なくなるほどスペクトル純度幅が大きくなる)によりスペクトル純度幅が広くなる。
以上のような特性を利用して、第2発明および第6発明では、発振用レーザ装置100から出力されるシード光のレーザパルス波形の立ち上がりを制御することによって(図15参照)、シード光のスペクトル波形の波長線幅を図12(a)〜(e)に示すごとく変化させる。このようにシード光のスペクトル純度幅E95が変化するため、増幅用レーザ装置300で増幅されて出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95もそれに合わせて変化する。
具体的には、図17に示すように、発振用チャンバ10内のフッ素分子F2濃度を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させ、これによりレーザパルスの立ち上がりを制御し、スペクトル純度幅E95を安定化制御する(第6発明)。
また、シード光のレーザパルス波形を変化させ、スペクトル純度幅E95も変化させることができるパラメータとしては、F2の濃度以外に、全ガス圧力、充電電圧、充電回路のコンデンサの容量、容量比、予備電離コンデンサの容量、アウトプットカブラ(OC)反射率などがある(第7発明、第8発明、第9発明、第10発明、第11発明、第12発明)。
また、第2発明を実施することで、シード光のパルス波形の立ち上がり時間が変化した場合に、そのパルス波形の立ち上がりの時間の変化dtに応じて、発振用レーザ装置100で放電を開始してから増幅用レーザ装置300で放電を開始するまでの放電タイミングを変化させて、放電タイミングを所望の同期タイミングに一致させる制御を行うことが望ましい(第13発明)。
本第13発明によれば、レーザ光出力の減少を抑制することができ、スペクトル純度幅の制御を効果的に行なうことが出来る。
第14発明では、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅E95が、目標スペクトル純度幅E950の許容幅E950±dE95内に収まるように、発振用レーザ装置100の狭帯域化性能を制御することで、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95を安定化制御する。
具体的には、発振用レーザ装置100に、発振用チャンバ10内で発生した光の波面を変化させる波面変化手段が備えられ、波面変化手段によって、発振用チャンバ10内で発生した光の波面を変化させることで、発振用レーザ装置100の狭帯域化性能を変化させ、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95を安定化制御する(第16発明)。
発振用レーザ装置100の狭帯域化性能を制御して、スペクトル純度幅E95を制御できるパラメータとしては、他に、光の拡大率、光のビーム幅がある(第17発明、第18発明)。
第19発明では、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅E95が、目標スペクトル純度幅E950の許容幅E950±dE95内に収まるように、発振用チャンバ内の放電により発生する音響波の伝搬速度を制御することで、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95を安定化制御する。
具体的には、発振用レーザ装置100で発振されるシード光の発振周波数を検出する発振周波数検出手段と、発振用チャンバ10内のレーザガスの温度を変化させるレーザガス温度変化手段とが備えられ、シード光の発振周波数と発振用チャンバ10内のレーザガスの温度とスペクトル純度幅E95との関係に基づいて、検出されたシード光の発振周波数に応じてレーザガス温度を変化させて、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95を安定化制御する(第21発明)。
第19発明に適用される原理について説明する。
発振用チャンバ10内のガス温度が変化することによって、スペクトル純度幅E95が変化する。この理由は、放電により発生する音響波がレーザ光路上の粒子密度分布を変化させレーザ波面を変化させるためである。ガス温度T[K]は、音響波の伝播速度vとの間で、
v ∝(T)1/2
という関係が成立する。このため、ガス温度を変化させると、音響波の伝播速度が変化し、レーザ光路上の粒子密度分布が変化し、レーザ波面が変化して、最終的には、スペクトル純度幅E95が変化する。
また、発振周波数の変化は、音響波に影響を与えるため、発振周波数に応じて、上述したガス温度とスペクトル純度幅E95との関係も変化する(図43)。
このように発振周波数によって、ガス温度とスペクトル純度幅E95の関係が変化するため、第19発明(第21発明)では、例えばデータベースに、各周波数におけるガス温度とスペクトル純度幅E95の相関関係(図44;L16、L17、L18)を記憶しておき、現在の発振周波数に対応する相関関係を読み出し、この読み出した相関関係に基づいて、ガス温度を変化させて、スペクトル純度幅E95を制御する。したがって、実際のスペクトル純度幅の制御は、レーザガス温度の制御として行われる。
つぎに、第3発明について説明する。
スペクトル純度幅E95を制御する別の方法として、上記1)の放電タイミングの制御と、2)のシード光のスペクトル純度幅E95の制御とを組み合わせる手段3)がある。この制御手段3)(第3発明)では、スペクトル純度幅E95を許容幅内に制御する上での同期許容幅の拡大が期待できる。ここで、同期許容幅とは、レーザ光のエネルギーが許容レベル以上となる放電タイミングの範囲のことである。具体的には、同期許容幅は、図4で説明される。図4では、右側縦軸をレーザ出力としており、L2(MOPO方式の場合)、L2′(MOPA方式の場合)がレーザ光の出力の特性である。同期許容幅とは、増幅されたレーザ光の出力がピーク出力の例えば80%の割合に入るための放電タイミングdtの範囲のことを言う。この同期許容幅から外れると、レーザ出力が大きく減少することになる。MOPO方式のレーザ出力特性L2に対して、L2′がMOPA方式の場合のレーザ出力特性であり、このレーザ出力特性を比較してもわかるように、MOPA方式は、MOPO方式に比べて同期許容幅が小さい。
例えば、スペクトル純度幅E95をかなり細くする場合は、まず、2)のシード光のスペクトル純度幅E95の制御によってシード光自体のスペクトル純度幅E95を細くした上で、1)の放電タイミングの制御によって同期タイミング(図5)をシード光パルス波形の後半に合わせれば、スペクトル純度幅E95をかなり細くすることが可能である。逆に、スペクトル純度幅E95をかなり太くする場合は、まず、2)の制御によってシード光自体のスペクトル純度幅E95を太くした上で、1)の制御によって同期タイミング(図5)をシード光パルス波形の前半に合わせれば、スペクトル純度幅E95をかなり太くすることができる。シード光のE95制御と、放電タイミング制御の順番は以上の説明とは逆でも制御可能である。
図56は、放電タイミングを変化させる制御とパルス波形を変化させる(パルス立ち上がり時期を変化させる)制御とを組み合わせた場合の効果を説明するために用いるタイミングチャートであり、横軸を時間とし縦軸をシード光出力(強度)として、シード光のパルス波形を示している。
図56(a)は、放電タイミングを遅延させ、さらにシード光のパルス波形を遅延させることで、スペクトル純度幅E95を小さくする場合を説明する図であり、図56(b)は、放電タイミングを早め、さらにシード光のパルス波形を早めることで、スペクトル純度幅E95を大きくする場合を説明する図である。
図56(a)は、図5で説明した効果と、図15で説明した効果を組み合わせた効果を示している。すなわち、矢印3Aにて示すように、放電タイミングを遅延させることで、シード光のパルス波形L3のうち、増幅されるべきシード光波長部分が、スペクトル純度幅が太くなる部分L31からスペクトル純度幅が細くなる部分L32に移行する(図5で説明した効果)。更に、矢印3Bにて示すように、シード光のパルス波形をL3からL3′に遅延させることで、パルス波形L3′のうち、更にスペクトル純度幅が細くなる部分L32′に移行する(図15で説明した効果)。
スペクトル純度幅E95を大きくする場合も同様であり、図56(b)の矢印13Aにて示すように、放電タイミングを早めることで、シード光のパルス波形L3のうち、増幅されるべきシード光波長部分が、スペクトル純度幅が細くなる部分L32からスペクトル純度幅が太くなる部分L31に移行する(図5で説明した効果)。更に、矢印13Bにて示すように、シード光のパルス波形をL3からL3″に早めることで、パルス波形L3″のうち、更にスペクトル純度幅が太くなる部分L31″に移行する(図15で説明した効果)。
この結果、放電タイミングdtの制御幅、つまりレーザ出力が許容レベル以上となっている同期許容幅は、3Cから3Dに一層拡大され、制御性が飛躍的に向上する。
つぎに、第1発明と第14発明を組み合わせた第15発明、第1発明と第19発明を組み合わせた第20発明の効果について説明する。
図57は、放電タイミングを変化させる制御とシード光のスペクトル純度幅を変化させる制御(狭帯域化性能を変化させる制御、あるいは音響波の伝搬速度を変化させる制御)とを組み合わせた場合の効果を説明するために用いた図であり、前述した図4と同様に、横軸を放電タイミングdtとし縦軸をスペクトル純度幅E95で示している。
図57における特性L1は、図4に示す特性L1に相当する。
目標スペクトル純度幅E950に一致させるべくスペクトル純度幅E95を大きくする場合には、まず、シード光のスペクトル純度幅を大きくする制御を行う。これにより、特性L1から、よりスペクトル純度幅が大きくなる特性L1Aに変化する。更に、スペクトル純度幅E95を大きくするために放電タイミングdtを減少させる制御を行う。これにより特性L1A上で、放電タイミングが減少する方向に変化する。
また、目標スペクトル純度幅E950に一致させるべくスペクトル純度幅E95を小さくする場合には、まず、シード光のスペクトル純度幅を小さくする制御を行う。これにより、特性L1から、よりスペクトル純度幅が小さくなる特性L1Bに変化する。更に、スペクトル純度幅E95を小さくするために放電タイミングdtを増加させる制御を行う。これにより特性L1B上で、放電タイミングが増加する方向に変化する。
そこで、シード光のスペクトル純度幅を変化させる制御のみを行った場合のスペクトル純度幅E95の制御幅1Aと、シード光のスペクトル純度幅を変化させる制御と放電タイミングdtを変化させる制御とを組み合わせた場合の制御幅1Bを比較すると、両制御を組み合わせた方が、同じ同期許容幅内(横軸)であればスペクトル純度幅E95の制御幅(縦軸)が拡大しているのが、読み取れる。
このように、両制御を組み合わせた制御を行うことで、同じ同期許容幅内で、スペクトル純度幅E95を振れる範囲が一層拡大され、制御性が飛躍的に向上する。
更に上記第1発明、第2発明、第3発明(第15発明、第20発明)に、発振用チャンバ10の放電パルスをストレッチさせる制御を組み合わせれば(第5発明)、シード光のパルス波形が長くなることから、同期許容幅が拡大される(図14参照)。このため、さらにスペクトル純度幅E95の制御範囲を大きすることができる。また、同期許容幅が広がることによって、増幅されたレーザ光の出力についても、放電タイミングdtの変化に対して、そのレーザ出力変化量を小さく抑えることができるようになり、レーザ出力が安定しやすくなる。
以上のように、本発明によれば、中心波長の制御に影響を与えることなくスペクトル純度幅(スペクトル指標値)の安定化制御を行えることができるため、見かけ上のスペクトル純度幅の制御を行うことで発生する従来技術の諸問題点を解決できる。
以下、図面を参照して本発明に係る狭帯域化レーザ装置の実施の形態について説明する。
(スペクトル指標値)
まず、本明細書に使用される用語の意味について説明する。本明細書において、スペクトル指標値というときは、スペクトル線幅、スペクトル純度幅、コントラストロス、スペクトル標準偏差、白色OTF(Optical Transfer Function)を含む意味で使用する。
スペクトル線幅とは、レーザ光のスペクトル波形の光量値における全幅であり、特にスペクトル波形をピーク値の半値で切った全幅の半値全幅FWHM(Full Width at Half Maximum)で評価することが多い。
スペクトル純度幅とは、全スペクトルエネルギーのうち中心波長λ0を中心としてある割合のエネルギーが占める部分の全幅であり、特に95%のエネルギーが入るスペクトル幅で評価される場合が多い。本明細書では、スペクトル純度幅を、特に「E95」と呼ぶ。スペクトル純度幅E95に関しては、波長をλ、中心波長をλ0として、下記(1)式が成り立つ。
Figure 0004798687
コントラストロスとは、レーザ光のスペクトル波形が色収差に与える指標値であり、露光装置の光学系における波長ごとの色収差量を表す色収差量関数p(λ)とスペクトル波形g(λ)の積を波長に関して積分した値である。コントラストロスに関しては、下記(2)式が成り立つ。
CL=∫g(λ)・p(λ)dλ …(2)
スペクトル標準偏差σは、下式(3)、(4)で定義される指標値である。
λ0=(∫λ・g(λ)dλ)/(∫g(λ)dλ) …(3)
σ2=∫[g(λ+λ0)−g(λ0)]2dλ …(4)
白色OTFは、単色光のOTFとスペクトル波形に基づいて、下式(5)から求めることができる指標値である。
Figure 0004798687
(5)式において、Rλ(u,v)は各単色のOTFであり、Rw(u,v)は白色OTFである。またWλは各波長に対する重み(波長の強度分布)である。
以下では、スペクトル指標値を、スペクトル純度幅に代表させて説明するが、本発明は、その他のスペクトル指標値の制御に対しても適用することができる。
(2ステージレーザシステム)
つぎに、本発明の前提となる2ステージレーザシステムの概要について説明する。
近年になって、狭帯域化されたレーザの高出力化が要求されている。これを達成する良く知られた方式に、2ステージレーザシステムがある。2ステージレーザシステムとは、狭帯域化した線幅の狭い光(シード光;種レーザ光)を発生させる発振用レーザ装置と、そのシード光(種レーザ光)の強度を増幅させる増幅用レーザ装置から成るレーザシステムのことである。2ステージレーザシステムは、レーザチャンバを1つしかもたない1ステージレーザとは異なり、狭帯域化による出力の低下に対して、増幅用レーザ装置によって出力を増加させることができるという特長がある。
2ステージレーザシステムの方式には、増幅の手段の違いによりMOPO方式とMOPA方式の2種類がある。
MOPOは、Master Oscillator, Power Oscillatorの略であり、発振用レーザ装置を構成する発振用チャンバのみならず、増幅用チャンバにも共振器が備えられている方式のことであり、増幅用装置単体でもレーザ発振することができる。一方、MOPAは、Master Oscillator, Power Ampliferの略であり、増幅用チャンバには共振器が備えられていない方式のことであり、シード光がないと、レーザ光は取り出せない。
以下、特に記載のない場合、発振用レーザ装置から出力される光を「シード光」と呼び、増幅用レーザ装置から出力される光を「レーザ光」と呼ぶ。
図62(a)、(b)、(c)は、MOPA方式で行われる増幅の様子を示す図で、シード光の波形、増幅装置の利得曲線、レーザ光の波形それぞれを時間軸に対応させて示している。
MOPA方式では、同図62に示すように、シード光と増幅用レーザ装置の利得曲線が重なった部分(斜線で示す部分)のみが増幅され、シード光の持つスペクトル純度幅E95成分をそのまま増幅する。
一方、MOPO方式で行われる増幅の様子は、図62と同様な図63で示される。
MOPO方式では、図63に示すように、増幅用レーザ装置の利得曲線とシード光が最初に重なった部分(斜線で示す部分)のシード光のE95成分のみが増幅されてレーザ光が出力される。このようにMOPA方式では、重なった部分しかレーザ光にならないので、同期許容幅、つまり発振用レーザ装置で放電を開始してから増幅用レーザ装置で放電を開始するまでの時間(放電タイミング)の許容幅がMOPO方式よりも短い。
(本実施形態に係るMOPO方式レーザシステムの説明)
つぎに、MOPO方式を代表させて、実施形態のレーザシステムの構成について説明する。
図1は、実施形態のレーザシステムの構成図である。図1は、MOPO方式の2ステージレーザ装置を示している。図2(a)は、図1に示す発振用チャンバとその近傍の構成を示す図であり、図2(b)は、図1に示す増幅用チャンバと、その近傍の構成を示す図である。
実施形態のレーザシステムは、大きくは、2ステージレーザ装置2とから成り、その後段に露光装置3がある。そして、2ステージレーザ装置2は、大きくは、発振用チャンバ10内でレーザガスの放電動作を繰り返し行うことにより狭帯域化したシード光をパルス発振する発振用レーザ装置(OSC)100と、増幅用チャンバ内30でレーザガスを放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ装置(AMP)300とからなる。このように発振用レーザ装置100では、狭帯域化されたシード光が生成され、増幅用レーザ装置300では、発振用レーザ装置100から出力されたシード光が増幅される。
2ステージレーザ装置2全体のスペクトル特性は、発振用レーザ100から出力されるシード光のスペクトル特性によって決定される。そして、2ステージレーザ装置2自体のレーザ出力(エネルギーまたはパワー)は、増幅用レーザ装置300の増幅能力によって決定される。
増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光は、露光装置3に入力され、入力されたレーザ光は、例えば半導体ウェーハなどの露光対象の露光に用いられる。
発振用レーザ装置100は、発振用チャンバ10と、充電器11と、発振用高電圧パルス発生器12と、ガス供給排気ユニット14と、冷却水供給ユニット15と、LNM16と、フロントミラー17と、第1モニタモジュール19と、放電検出部20とで構成されている。
増幅用レーザ装置300は、増幅用チャンバ30と、充電器31と、増幅用高電圧パルス発生器32と、ガス供給・排気ユニット34と、冷却水供給ユニット35と、リア側ミラー36と、出力ミラー37と、第2モニタモジュール39とで構成されている。なお、ミラー36と37により構成される光共振器は不安定共振器であることは必須ではなく、安定共振器やいずれのミラーも平面のエタロン型共振器であってもよい。
発振用レーザ装置100と増幅用レーザ装置300とでは、それらの構成要素に同一部分があるため、その同一部分に関しては、以下、発振用レーザ装置100を代表して説明することにする。
図2(a)に示すように、発振用チャンバ10の内部には、所定距離だけ離隔し、互いの長手方向が平行であって、かつ放電面が対向する一対の電極10a、10b、つまりカソード電極10a、アノード電極10bが設けられている。
これら電極10a、10bに電圧を印加する電源の一例を図3(a)に示す。 図3(a)は、電源及びチャンバ内部を電気回路で示している。
図3(a)は、磁気パルス圧縮回路に加え昇圧トランスTr1を含む回路である。なお、図3(a)の回路を用いる代わりに、図3(b)の回路を用いてもよい。図3(b)は、図3(a)の昇圧トランスの代わりに主コンデンサC0の充電用のリアクトルL1を含む回路である。なお、図3(b)の回路は、昇圧トランスにより昇圧される動作がないだけで、他の動作は図3(a)の回路と同様なので、重複した説明を省略する。また、発振用レーザ装置100の電源と増幅用レーザ装置300の電源の構成及び動作は同じであるため、増幅用レーザ300の電源の説明については省略する。図3(a)、(b)に示すカッコ()内の符号は、増幅用レーザ装置300の構成要素を示している。
以下、図3(a)にしたがって、回路の構成と動作を説明する。
電源は、充電器11と発振用高電圧パルス発生器12とで構成されている。
発振用高電圧パルス発生器12は、可飽和リアクトルからなる3個の磁気スイッチSR1、SR2、SR3を用いた2段の磁気パルス圧縮回路である。磁気スイッチSR1は、固体スイッチSWでのスイッチングロスを低減するために設けられたものであり、磁気アシストとも呼ばれる。この固体スイッチSWには、例えばIGBT等の半導体スイッチング素子が用いられる。
一対の放電電極10a、10bと電気的に並列にピーキングコンデンサCpが配置され、このピーキングコンデンサCpの前段には、電気的に並列にコンデンサC2が配置され、さらにその前段には電気的に配列にコンデンサC1が配置されている。
本実施形態では、磁気スイッチSR2、SR3及びコンデンサC1、C2で2段の容量移行型回路が構成されている。
充電器11の電圧は所定の値Vに調整され、この電圧値Vに応じて主コンデンサC0が充電される。このとき、固体スイッチSWはオフになっているものとすると、主コンデンサC0の充電が完了し、固体スイッチSWがオンとなったとき、固体スイッチSWの両端にかかる電圧は、主に磁気スイッチSR1の両端にかかる。磁気スイッチSR1の両端にかかる主コンデンサC0の充電電圧V0の時間積分値が磁気スイッチSR1の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR1が飽和して導通状態となる。すると、主コンデンサC0、磁気スイッチSR1、昇圧トランスTr1の1次側、固体スイッチSWのループに電流が流れる。同時に、昇圧トランスTr1の2次側、コンデンサC1のループに電流が流れ、主コンデンサC0に蓄えられた電荷がコンデンサC1に移行し、コンデンサC1が充電される。コンデンサC1における電圧V1の時間積分値が磁気スイッチSR2の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR2が飽和して導通状態となる。すると、コンデンサC1、コンデンサC2、磁気スイッチSR3のループに電流が流れ、コンデンサC1に蓄えられた電荷がコンデンサC2に移行し、コンデンサC2が充電される。コンデンサC2における電圧V2の時間積分値が磁気スイッチSR3の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR3が飽和して導通状態となる。すると、コンデンサC2、ピーキングコンデンサCp、磁気スイッチSR3のループに電流が流れ、コンデンサC2に蓄えられた電荷がピーキングコンデンサCpに移行し、ピーキングコンデンサCpが充電される。
図3(a)に示すように、発振用チャンバ10内には、第1電極91と、誘電体チューブ92と、第2電極93とからなる予備電離手段が設けられている。予備電離コンデンサCp′は、一対の放電電極10a、10bと電気的に並列に配置されている。予備電離コンデンサCp′の充電電圧に応じて一対の電極10a、10b間で予備電離が行われる。
予備電離のためのコロナ放電は、第1電極91が挿入されている誘電体チューブ92と第2電極93とが接触している個所を基点として誘電体チューブ92の外周面に発生する。ピーキングコンデンサCpの充電が進むにつれてその電圧Vpが上昇し、電圧Vpが所定の電圧になると誘電体チューブ92の外周面にコロナ放電が発生する。このコロナ放電によって誘電体チューブ92の外周に紫外線が発生し、一対の電極10a、10b間のレーザガスが予備電離される。ピーキングコンデンサCpの充電がさらに進むにつれて、ピーキングコンデンサCpの電圧Vpが上昇する。この電圧Vpがある値(ブレークダウン電圧)Vbに達すると、一対の電極10a、10b間のレーザガスが絶縁破壊されて主放電が開始される。この主放電によりレーザ媒質が励起される。これによって、発振用レーザ装置100の場合には、シード光が発生し、増幅用レーザ300(もしくは増幅器)の場合には、注入されたシード光が増幅される。主放電によりピーキングコンデンサCpの電圧は急速に低下し、やがて充電開始前の状態に戻る。固体スイッチSWのスイッチング動作によって、このような放電動作が繰り返し行なわれることで、パルスレーザ発振が行われる。固体スイッチSWのスイッチング動作は、外部からのトリガ信号に基づき行われる。このトリガ信号を送出する外部コントローラは、例えば、後述する同期コントローラ8である。
図3(a)に示す容量移行型回路において、後段に行くにつれて各段のインダクタンスを小さくするように設定すれば、各段を流れる電流パルスのパルス幅が順次狭くなるようなパルス圧縮動作が実現される。この結果、一対の電極10a、10b間(一対の電極30a、30b間)に短パルスの強い放電が実現される。
以上のようにして、一対の電極10a、10bには、充電器11と発振用高電圧パルス発生器12とで構成された電源によって高電圧パルスが印加される。電極10a、10bに高電圧パルスが印加されると、電極10a、10b間で放電が生じ、この放電によって発振用チャンバ10内に封入されたレーザガスが励起される。
以上が発振用レーザ装置100の充電器11および発振用高電圧パルス発生器12の構成、動作である。
さて、図1に示すガス供給・排気ユニット14は、発振用チャンバ10内にレーザガスを供給するガス供給系と、発振用チャンバ10内のレーザガスを排気するガス排気系とで構成されている。
ガス供給・排気ユニット14のガス供給系は、発振用チャンバ10内にレーザガスを供給する。これにより発振用チャンバ10にレーザガスが封入される。
図1に示すレーザシステムがフッ素分子(F2)レーザのシステムである場合には、ガス供給・排気ユニット14は、フッ素(F2)ガスと、ヘリウム(He)やネオン(Ne)等からなるバッファガスとを、発振用チャンバ10に供給する。また、本レーザシステムがKrFエキシマレーザのシステムである場合には、ガス供給・排気ユニット14は、クリプトン(Kr)ガス及びフッ素(F2)ガスと、ヘリウム(He)やネオン(Ne)等からなるバッファガスとを、発振用チャンバ10に供給する。また、本レーザシステムがArFエキシマレーザのシステムである場合には、ガス供給・排気ユニット14は、アルゴン(Ar)ガス及びフッ素(F2)ガスと、ヘリウム(He)やネオン(Ne)等からなるバッファガスとを発振用チャンバ10に供給する。各ガスの供給及び排気は、ガス供給・排気ユニット14に設けられた各バルブの開閉によって制御される。
発振用チャンバ10の内部には、図2(a)に示すように、クロスフローファン10cが設けられている。クロスフローファン10cによってレーザガスがチャンバ10内で循環され、電極10a、10b間に送り込まれる。
また、同図2(a)に示すように、発振用チャンバ10の内部には、熱交換器10dが設けられている。熱交換器10dには、冷却水供給ユニット15から冷却水が供給される。これにより熱交換器10dは、発振用チャンバ10内の排熱を行う。熱交換機10dへの冷却水の供給は、冷却水供給ユニット15(図1)のバルブの開閉によって制御される。
発振用チャンバ10におけるレーザ光の光軸上にあって、レーザ光出力部分には、ウィンドウ10e、10fが設けられている。ウィンドウ10e、10fは、レーザ光に対する透過性を有する材料、例えばCaF2等によって構成されている。両ウィンドウ10e、10fは、外側の面が互いに平行に配置され、また、レーザ光に対して反射損失を低減すべくブリュースタ角で設置され、更にレーザ光の直線偏光方向がウィンドウ面に対して垂直になるように設置されている。
圧力センサPlは、発振用チャンバ10内のガス圧力をモニタする。圧力センサP1で検出されたガス圧力を示す信号は、ユーティリティコントローラ5に入力される。また、温度センサTlは、発振用チャンバ10内の温度をモニタする。温度センサT1で検出された温度を示す信号は、ユーティリティコントローラ5に入力される。
ユーティリティコントローラ5は、上記圧力センサP1の検出信号をフィードバック信号として、ガス供給・排気ユニット14の各バルブの開閉及びその開度(又はガス流量)を指示するガス流量調整信号を生成し、ガス供給・排気ユニット14に対して出力する。ガス供給・排気ユニット14に、上記ガス流量調整信号が入力されると、ガス供給・排気ユニット14で各バルブの開閉が制御される。これにより発振用チャンバ10内のガス組成、ガス圧力が所望の値に調整される。
レーザ出力は、発振用チャンバ10内のレーザガスの温度によって変化する。そこで、ユーティリティコントローラ5は、上記温度センサT1の検出信号をフィードバック信号として、発振用チャンバ10内のレーザガスを所望温度に調整すべく、冷却水供給ユニット15のバルブの開閉及びその開度(又は冷却水流量)を指示する冷却水流量調整信号を生成し、冷却水供給ユニット15に対して出力する。冷却水供給ユニット15に冷却水流量調整信号が入力されると、冷却水供給ユニット15で各バルブの開閉を制御される。これにより発振用チャンバ10内の熱交換器10dに供給される冷却水の流量、つまり排熱量が調整される。
発振用チャンバ10の外部にあって、ウィンドウ10e側(図2(a)参照)のレーザ光の光軸上には、LNM(狭帯域化モジュール)16が設けられている。また、同じく発振用チャンバ10の外部にあって、ウィンドウ10f側(図2(a)参照)のレーザ光の光軸上には、フロントミラー17が設けられている。 LNM16は、例えば拡大プリズムと波長選択素子であるグレーティング(回折格子)等の光学素子で構成されている。LNM16は、波長選択素子であるエタロンと全反射ミラー等の光学素子で構成される場合もある。このLNM16内の光学素子とフロントミラー17とでレーザ共振器が構成される。
第1モニタモジュール19は、フロントミラー17を透過したレーザ光のエネルギー、出力線幅、中心波長等のレーザビーム特性をモニタ(計測)する。第1モニタモジュール19は、レーザ光の中心波長を示す信号を生成し、この信号を波長コントローラ6に出力する。また、第1モニタモジュール19は、レーザ光のエネルギーを測定し、このエネルギーを示す信号をエネルギーコントローラ7に出力する。なお、図2(b)に示す増幅用チャンバ30の電極30a、30b、クロスフローファン30c、熱交換器30d、ウィンドウ30e、30fの機能は、上述した図2(a)に示す発振用チャンバ10の対応する構成要素、つまり電極10a、10b、クロスフローファン10c、熱交換器10d、ウィンドウ10e、10fと機能は同じである。
また、増幅用レーザ装置300に設けられた充電器31、増幅用高電圧パルス発生器32、ガス供給・排気ユニット34、冷却水供給ユニット35、第2モニタモジュール39、圧力センサP2、温度センサT2の機能は、上述した発振用レーザ装置100側に設けられた対応する構成要素、つまり充電器11、発振用高電圧パルス発生器12、ガス供給・排気ユニット14、冷却水供給ユニット15、第1モニタモジュール19、圧力センサP1、温度センサT1と機能は同じである。一方、増幅用レーザ装置300には、発振用レーザ100で設けられたLNM16等からなるレーザ共振器に代わり、次に述べる不安定共振器が設けられている。
すなわち、増幅用チャンバ30の外部にあって、ウィンドウ30e側(図2(b)参照)のレーザ光の光軸上にはリア側ミラー36が設けられ、同じく増幅用チャンバ30の外部にあって、ウィンドウ30f側(図2(b)参照)のレーザ光の光軸上には出力ミラー37が設けられている。リア側ミラー36と出力ミラー37とで不安定型共振器が構成される。リア側ミラー36の反射面は凹面であって、その中央部にはミラー後方側から反射面側へレーザ光を通過させる孔が設けられる。リア側ミラー36の反射面はHR(High Reflection)コートが施されている。出力ミラー37の反射面は凸面であって、その中央部にはHR(High Reflection)コートが施され、中央部周囲にはAR(Anti Reflection)コートが施される。なお、リア側ミラー36としては、中央に孔が開いたものを使用する代わりに、孔に相当する部分のみARコートが施されたミラー基板を使用してもよい。また、不安定共振器でなく安定共振器でもよい。
発振用レーザ装置100のフロントミラー17と増幅用レーザ300のリア側ミラー36との間には、反射ミラーを含むビーム伝搬部42が設けられている。フロントミラー17を透過したレーザ光(シード光)は、ビーム伝搬部42によってリア側ミラー36まで案内される。更に、このビーム伝搬部42に案内されたレーザ光は、ビーム伝搬部42を介してリア側ミラー36の孔を通過し、増幅用チャンバ30内に入射される。増幅用チャンバ30に入射されたレーザ光は、増幅用チャンバ30を通過し、出力ミラー37の中央部で反射される。出力ミラー37で反射されたレーザ光は、増幅用チャンバ30内を通過し、リア側ミラー36の孔周囲で反射される。更に、リア側ミラー36で反射されたレーザ光は、増幅用チャンバ30内を通過し、出力ミラー37の中央部周囲を透過し、出力される。増幅用チャンバ30では発振用チャンバ10と同様にして一対の電極30a、30b間で放電が行われる。レーザ光が増幅用チャンバ30の放電部、つまり電極30a、30b間を通過する際に放電が発生すると、レーザ光のパワーは増幅される。
波長コントローラ6には、第1モニタモジュール19、第2モニタモジュール39でモニタされたレーザビーム特性を示す信号が入力される。波長コントローラ6は、レーザ光の中心波長を所望の波長にすべくLNM16内の波長選択素子(グレーティング、エタロン等)の選択波長を変化させる信号を生成し、この信号をドライバ21に出力する。波長選択素子の選択波長は、例えば、波長選択素子へ入射するレーザ光の入射角を変化させることにより変化する。ドライバ21は、波長コントローラ6より受信した信号に基づいて、波長選択素子へのレーザ光の入射角が変化するように、LNM16内の光学素子(例えば、拡大プリズム、全反射ミラー、グレーティング等)の姿勢角等を制御する。なお、波長選択素子の波長選択制御は、上述した説明のものに限られるものではない。例えば、波長選択素子がエアギャップエタロンの場合には、LNM16内のエアギャップ内の気圧(窒素等)を制御してもよいし、ギャップ間隔を制御してもよい。
エネルギーコントローラ7には、第1モニタモジュール19、第2モニタモジュール39でモニタされたレーザビーム特性(レーザ光のエネルギー)を示す信号が入力される。なお、露光装置3に、レーザ光のエネルギーをモニタする出力モニタ51を設け、出力モニタ51でモニタされた信号が、エネルギーコントローラ7に直接入力されるように構成してもよい。また、露光装置3の出力モニタ51でモニタされた信号を露光装置3のコントローラ52に入力し、このコントローラ52から、レーザ装置2側のエネルギーコントローラ7に信号を送出するように構成してもよい。
エネルギーコントローラ7は、パルスエネルギーを所望の値にすべく次回の充電電圧を示す信号を生成し、この信号を同期コントローラ8に出力する。
放電検出器20、40ではそれぞれ、各チャンバ10、30における放電開始時期が検出される。
同期コントローラ8には、エネルギーコントローラ7から入力された次回充電電圧を示す信号と、放電検出器20、40で検出された各放電開始時期を示す信号とが入力される。同期コントローラ8は、エネルギーコントローラ7から入力された次回充電電圧値と、放電検出器20、40で検出された各放電開始時期とに基づいて、充電器11の充電電圧を制御する。
発振用チャンバ10の放電と増幅用チャンバ30の放電のタイミングがずれると、発振用チャンバ10から出力されたレーザ光(シード光)は、増幅用チャンバ30で効率よく増幅されない。そこで、発振用チャンバ10から出力されたレーザ光(シード光)が増幅用チャンバ30内の一対の電極30a、30b間の放電領域(励起領域)に満たされた放電タイミングで、増幅用チャンバ30で放電させる必要がある。これを実現させるために、同期コントローラ8では、効率よく増幅される放電タイミングが得られるように、発振用高電圧パルス発生器12の固体スイッチSWに対してトリガ信号を出力する時期に対する、増幅用高電圧パルス発生器32の固体スイッチSWに対してトリガ信号を出力する時期の遅延時間を決定している。この遅延時間を変化させることによって、同期タイミングが変化する。
以上がMOPO方式のレーザシステムの構成である。
(MOPA方式の説明)
以上、MOPO方式の場合について説明をしたが、MOPA方式の構成は、図1において、増幅用チャンバ30のレーザ共振器を構成するリアミラー36と出力ミラー37を取り除いたものである。MOPA方式の場合には、シード光が増幅用チャンバ30内に入射するタイミングで、増幅用チャンバ30で放電が開始される。シード光は、放電によって上準位に励起されたレーザ媒質中を通過することによって増幅される。シード光が増幅用チャンバ30内のレーザ媒質を通過する回数は、1回であってもよく、さらに増幅させるため、増幅用チャンバ30の両端にミラーを配置して、増幅用チャンバ30内のレーザ媒質中をシード光が数回通過するように構成してもよい。
以上が本発明の構成の前提となるレーザシステムである。本発明は、MOPO方式、MOPA方式という2種類のいずれのレーザシステムに対しても適用することは可能である。ただし、以下は、特に記載のない限りはMOPO方式について説明する。
以下、本発明の知見について解説した上で、具体的な各制御例(各実施例)を説明する。
(露光装置と露光光源のスペクトル指標値)
前述したように、露光装置3における結像性能は、露光用光源、つまり2ステージレーザ装置2からのレーザ光のスペクトル性能に影響を受ける。結像性能を保つためには、スペクトル指標値(スペクトル線幅、スペクトル純度幅E95、コントラストロス、スペクトル標準偏差、白色OTF(Optical Transfer Function))の少なくともいずれかひとつを安定化制御する必要がある。ここで、スペクトル指標値の安定化制御とは、目標スペクトル指標値の許容幅内に収まるように、スペクトル指標値を制御することである。
(スペクトル純度幅E95を安定化させる理由(必要性))
スペクトル純度幅が太くなると、露光装置3において、投影レンズの色収差により結像性能が悪化する。一方で、上述したように、スペクトル純度幅が、光学システムで設計された値から大幅に狭い値であったとしても、そのスペクトル純度幅が、ある許容幅内に収まっていないと、集積回路の品質が悪化することがあるといわれている(特許文献1参照)。このため、スペクトル純度幅は、ある許容幅を持った値の中で安定化制御される必要があるといわれている。
(スペクトル純度幅E95の変動要因)
一方で、LNM16内の光学素子またはチャンバ10、30の経時変化、発振による熱負荷等によって、スペクトル純度幅は、長期的に変動する。また、発振パターン、つまり周波数、Duty、パルス数、休止時間の変化に応じて熱負荷が変化するため、レーザ動作パターンに依存してスペクトル純度幅が変化する。
(スペクトル純度幅E95の制御手段)
そこで、本発明者は、レーザ装置2から外部へ出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95(スペクトル指標値として代表的なもの)は、発振用チャンバ10で放電を開始してから増幅用チャンバ30で放電を開始するまでの放電タイミングと、発振用チャンバ10から出力されるレーザ光(シード光)のスペクトル純度幅E95によって決定されることを発見するに至り、これら放電タイミング、シード光のスペクトル純度幅というパラメータは、中心波長制御とは独立して制御できるパラメータであるという知見を得るに至った。
また、上述した変動要因によるスペクトル純度幅の変動をなくし、ある許容幅の範囲内に安定させるには、後述するスペクトル純度幅E95検出器(スペクトル純度幅計測手段)でスペクトル純度幅をモニタ(計測)し、ターゲットとなる目標スペクトル純度幅から変動していた場合には、後述する各アクチュエータを使用した各制御手段により、スペクトル純度幅E95がターゲットとなる目標値になるように制御すればよいという知見を得た。
スペクトル純度幅の安定化制御は、主として、
1)放電タイミングを変化させる。
2)発振用レーザ装置100から出力されるシード光のスペクトル純度幅を変化させる。
3)発振用レーザ装置100から出力されるシード光のスペクトル純度幅を変化させ、かつ放電タイミングも変化させる。
という三種類の手段によって実現される。中でも、3)は、安定化制御の効果が一番大きい。
従来技術で説明した「見かけ上のスペクトル純度幅の制御」は、1パルス毎に波長を変化させるため、スペクトル純度幅を安定化制御することに依存して、1パルス毎に、ウェーハ上のベストフォーカスの位置が変化して露光されることになる。このように独立した中心波長制御を行うことができないため、ベストフォーカス位置ずれという問題が生じる。
これに対して、本発明の制御手段1)、2)、3)によれば、スペクトル純度幅を実質的に太くしたり細くすることができる一方で、独立して中心波長を制御することができる。このため、スペクトル純度幅を安定化制御しつつも、中心波長は変化せず、ベストフォーカスの位置変化も生じない。露光装置3の投影レンズに対する最適なスペクトル形状が得られ、ベストフォーカスの位置ずれもないため、投影レンズの結像性能を維持することができる。
上記制御手段1)について説明する。
図1に示す2ステージレーザシステムでは、1ステージレーザシステムと異なり、発振用チャンバ10で放電を開始してから増幅用チャンバ30で放電を開始するまでの放電タイミングに応じて、スペクトル純度幅E95を制御することができる。
図4に、放電タイミングdtに応じてスペクトル純度幅E95が変化する様子を示す。
図4のグラフの横軸のdtは、放電タイミング、つまり発振用チャンバ10で放電を開始してから、増幅用チャンバ30で放電を開始するまでの時間である。 図4のグラフの左側縦軸は、スペクトル純度幅E95であり、スペクトル純度幅特性L1として示すように、放電タイミングdtが大きくなる(放電タイミングが遅れる)につれてスペクトル純度幅E95が減少しているのがわかる。この理由は、図5を用いて説明される。
図5は、シード光のパルス波形L3を示したものである。同図5に示すように、シード光となる発振レーザ光は、時間的なスペクトル純度幅E95分布をもっており、レーザパルス波形の後方に行くに従ってスペクトル純度幅E95が減少する。このため、図5に示す時間的なスペクトル純度幅E95分布を持つシード光パルス波形のどの部分に同期させるかによって、増幅されたレーザ光のスペクトル純度幅E95が決定されることになる。例えば、放電タイミングdtを遅らせて、シード光のパルス波形後半部分に放電を同期させた場合は、狭いスペクトル純度幅E95を持つシード光が増幅されて、結果的に増幅されたレーザ光のスペクトル純度幅E95は細くなる。逆に、放電タイミングdtを早くして、シード光のパルス波形前半部分に放電を同期させた場合は、広いスペクトル純度幅E95を持つシード光が増幅されて、結果的に増幅されたレーザ光のスペクトル純度幅E95は太くなる。このような特性を用いて、モニタ(計測)されたスペクトル純度幅E95が増加した場合は、放電タイミングdtを大きくしてスペクトル純度幅E95を減少させ、スペクトル純度幅E95が減少した場合は、放電タイミングdtを小さくしてスペクトル純度幅E95を増加させるように制御すればよい。
つぎに、上記制御手段2)について説明する。
スペクトル純度幅E95を制御する別の方法に、シード光自体のスペクトル純度幅E95を制御する手段がある。このシード光のスペクトル純度幅E95の制御には、つぎのように3つの方法がある。
2)−1 シード光のパルス波形の立上りを制御する方法。
2)−2 狭帯域化性能を制御する方法。
2)−3 音響波の伝搬速度を制御する方法。
上記いずれの方法を使用しても、出力されるシード光のスペクトル純度幅E95自体が変化するため、増幅されるレーザ光もそれに対応して変化する。
つぎに、上記制御手段3)について説明する。
さらにスペクトル純度幅E95を制御する別の方法として、上記1)の放電タイミングの制御と、2)のシード光のスペクトル純度幅E95の制御とを組み合わせる手段がある。この制御手段3)では、スペクトル純度幅E95を許容幅内に制御する上での同期許容幅の拡大が期待できる。ここで、同期許容幅とは、レーザ光のエネルギーが許容レベル以上となる放電タイミングの範囲のことである。具体的には、同期許容幅は、図4で説明される。図4では、右側縦軸をレーザ出力としており、L2(MOPO方式の場合)、L2′(MOPA方式の場合)がレーザ光の出力の特性である。同期許容幅とは、増幅されたレーザ光の出力がピーク出力の例えば80%の割合に入るための放電タイミングdtの範囲のことを言う。この同期許容幅から外れると、レーザ出力が大きく減少することになる。MOPO方式のレーザ出力特性L2に対して、L2′がMOPA方式の場合のレーザ出力特性であり、このレーザ出力特性を比較してもわかるように、MOPA方式は、MOPO方式に比べて同期許容幅が小さい。
例えば、スペクトル純度幅E95をかなり細くする場合は、まず、2)のシード光のスペクトル純度幅E95の制御によってシード光自体のスペクトル純度幅E95を細くした上で、1)の放電タイミングの制御によって同期タイミング(図5)をシード光パルス波形の後半に合わせれば、スペクトル純度幅E95をかなり細くすることが可能である。逆に、スペクトル純度幅E95をかなり太くする場合は、まず、2)の制御によってシード光自体のスペクトル純度幅E95を太くした上で、1)の制御によって同期タイミング(図5)をシード光パルス波形の前半に合わせれば、スペクトル純度幅E95をかなり太くすることができる。シード光のE95制御と、放電タイミング制御の順番は以上の説明とは逆でも制御可能である。
上記の制御手段1)、2)、3)に、発振用チャンバ10の放電パルスをストレッチさせる後述する技術を組み合わせれば、シード光のパルス波形が長くなることから、同期許容幅が拡大される。このため、さらにスペクトル純度幅E95の制御範囲を大きすることができる。また、同期許容幅が広がることによって、増幅されたレーザ光の出力についても、放電タイミングdtの変化に対して、そのレーザ出力変化量を小さく抑えることができるようになり、レーザ出力が安定しやすくなる。
(スペクトル純度幅E95検出器(スペクトル純度幅計測手段))
上記制御手段1)、2)、3)で制御を実行するには、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光の実際のスペクトル純度幅E95の値が必要である。増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95は、スペクトル純度幅E95検出器(スペクトル純度幅計測手段)としての第2モニタモジュール39にて検出(計測)される。図8に、第2モニタモジュール39の構成図を示す。なお第1モニタモジュール19の構成についても同様であるのでそれについての説明は省略する。
第2モニタモジュール39は、ビームスプリッタ391と、エタロン分光器393と、フォトダイオード392とで構成されている。
エタロン分光器393では、スペクトル純度幅E95などのスペクトル指標値が計測され、フォトダイオード392でレーザ出力強度が計測される。エタロン分光器393は、拡散板やレンズアレイのようなビーム拡散手段394と、エタロン395と、レンズ396と、センサアレイ397とで構成されている。センサアレイ397としては、例えば複数のフォトダイオードアレイが1次元上に配列されたラインセンサ等を使用することができ、この場合、複数のラインセンサはチャンネル(ch:整数)順に並べられている。
第2モニタモジュール39では、ビームスプリッタ391によってレーザ光の一部がサンプリングされエタロン分光器393に入射される。エタロン分光器393に入射されたレーザ光は、ビーム拡散手段394によって拡散され、エタロン395に入射される。エタロン395を通過したレーザ光は、レンズ396に入射される。レンズ396の焦点面にセンサアレイ397が設置されている。このためレンズ396をレーザ光が透過すると、センサアレイ397上には、干渉縞(フリンジ)が生成される。センサアレイ397上のフリンジのデータからレーザ光の波長と光量の線形データがスペクトル波形として求められ、スペクトル純度幅E95が計算される。
なお、実施形態では、エタロン分光器393を使用しているが、分光器の形態としては、角度分散型の光学素子を用いてもよい。例えば、ツェルニー・ターナ(Czerny-Turner)型の分光器、複数のグレーティングを使用した分光器、マルチパス化した分光器を使用してもよい。
分光器は、固有の応答特性、つまり装置関数を有する。計測されたスペクトル波形は、真のスペクトル波形を装置関数でコンボリューション積分した結果である。このため、真のスペクトル波形を得るには、計測されたスペクトル波形を装置関数でデコンボリューション処理すればよい。しかし、この計算には時間がかかるため、予め、実際に分光器で計測されたスペクトル純度幅と、真のスペクトル純度幅との相関性を記憶しておき、真のスペクトル純度幅を計算によって求めることが望ましい。図9は、エタロン分光器393で計測した実際のスペクトル指標値(スペクトル純度幅E95)と、高分解能分光器で計測した真のスペクトル指標値(スペクトル純度幅E95)との相関関係L4を例示している。図9に示す相関関係L4ら実際にエタロン分光器393で計測されたスペクトル純度幅に対応する真のスペクトル純度幅を求めることができる。ただし、その相関性が微小に変化することがあるため、定期的に外部に置いた高分解能分光器により較正する必要がある。
つぎに、図7に示すフローチャートを参照して、スペクトル純度幅の安定化制御のメインルーチンについて説明する。
すなわち、同図7に示すように、レーザ発振と同時に、ステップ101に移行し、「スペクトル純度幅E95計測」のサブルーチンが実行され、第2モニタモジュール39によってスペクトル純度幅E95の計測が行なわれる。スペクトル純度幅E95は、1パルス毎に計測する。しかし、計算時間との兼ね合いで、nパルスに渡る平均値、または移動平均値でスペクトル純度幅E95を評価してもよい。この場合には、計測された値が実際の値からずれているか否かをチェックするために、ある間隔を持って較正処理をすることが望ましい。「スペクトル純度幅E95計測」のサブルーチンの具体的な内容に関しては、後述する(ステップ101)。
目標スペクトル純度幅E95の値をE950として、目標スペクトル純度幅E950に対する第1許容幅がE950±dE95(S)(第1制御閾値dE95(S))と設定される。この目標スペクトル純度幅E950に対する第1許容幅E950±dE95(S)は、露光装置3で要求されるスペックにしたがって、設定される。露光装置3から要求される第1許容幅の上限値E950+dE95(S)を超えたり下限値E950−dE95(S)を下回ったりして、第1許容幅の範囲外にならないように制御する必要がある。このため、ある所定のマージン(dE95(S)−dE95)を持たせた第2制御閾値dE95、つまり目標スペクトル純度幅E95に対する第2許容幅E950±dE95が設定される。第2制御閾値dE95の範囲は、0≦dE95<dE95(S)である。dE95=0の場合は、スペクトル純度幅E95の計測値が少しでも目標値E950から外れると、計測値E95を目標値E950に一致させるように、後述するE95アクチュエータが動作して安定化制御が実行されることになる。
実際のスペクトル純度幅E95が計測された後、計測値E95と目標値E950との差の絶対値が第2制御閾値dE95以下であるか否かが、つまり計測されたスペクトル純度幅E95が、第2許容幅E950±dE95内に収まっているか否かが計算される(ステップ102)。
計測値E95と目標値E950との差の絶対値が第2制御閾値dE95以下である、つまり|E95−E950|≦dE95であれば、スペクトル純度幅E95の安定化制御は実行されない(ステップ102の判断Yes)。一方、計測値E95と目標値E950との差の絶対値が第2制御閾値dE95を超えている、つまり|E95−E950|>dE95の場合には(ステップ102の判断No)、つぎに、計測値E95と目標値E950との差の絶対値が、第1制御閾値dE95(S)を下回っているか否かが判断(|E95−E950|<dE95(S))される(ステップ103)。この結果、計測値E95と目標値E950との差の絶対値が、第1制御閾値dE95(S)以上となっているときは(ステップ103の判断No)、露光装置3へエラー信号を送って、スペクトル純度幅が第1許容幅から外れているレーザ光が露光装置3に入るのを防止するよう、レーザ発振を停止したり、露光装置3と2ステージレーザ装置2との間に存在するシャッターを閉じたりする。
一方、計測値E95と目標値E950との差の絶対値が、第1制御閾値dE95(S)を下回っているときは(ステップ103の判断yes)、計測値E95を目標値E950に一致させるように、後述する「E95アクチュエータによる安定化制御」のサブルーチンに移行され、E95アクチュエータが動作して安定化制御が実行される(ステップ104)。
なお、上記ステップ104の「E95アクチュエータによる安定化制御」のサブルーチンの内容については、後述する各実施例で説明する。「E95アクチュエータによる安定化制御」のサブルーチンによる処理の結果、スペクトル純度幅E95が許容幅内に入ったならば、図7のメインルーチンに戻される。
図6に、「スペクトル純度幅E95計測サブルーチン」を示す。
サブルーチンスタート後、図8で説明した第2モニタモジュール39によって、スペクトル波形が計測される(ステップ201)。計測されたスペクトル波形はデコンボリューション処理されて、真のスペクトル波形が計算される(ステップ202)。つぎに、スペクトル純度幅E95の平均値または移動平均値が計算によって求められる(ステップ203)。つぎに、スペクトル指標値(スペクトル純度幅)を校正するか否かが判断され(ステップ204)、スペクトル指標値(スペクトル純度幅)を校正すると判断した場合には、スペクトル指標値(スペクトル純度幅)が校正されて、スペクトル純度幅E95が校正値にしたがって再計算される(ステップ205)。スペクトル指標値(スペクトル純度幅)を校正しないと判断した場合には、そのまま図7のメインルーチンに戻される(ステップ206)。
図10は、図6とは別形態の「スペクトル純度幅E95計測サブルーチン」を示す。
サブルーチンスタート後、図8で説明した第2モニタモジュール39によって、スペクトル波形が計測される(ステップ301)。つぎに、スペクトル純度幅E95の平均値または移動平均値が計算によって求められる(ステップ302)。
つぎに、計算時間を短縮するため、図9で説明したスペクトル純度幅E95の計測値と真値の相関関係L4に基づいて、計測された値に対応する真の値を求める。なお、この処理にあたり、予め、実際に計測に使用されるエタロン分光器393と、これとは別の原器である高分解能分光器との相関性を測定しておき、測定結果を相関関係L4としてメモリに記憶しておけばよい(ステップ303)。つぎに、スペクトル指標値(スペクトル純度幅)を校正するか否かが判断され(ステップ304)、スペクトル指標値(スペクトル純度幅)を校正すると判断した場合には、スペクトル指標値(スペクトル純度幅)が校正されて、スペクトル純度幅E95が校正値にしたがって再計算される(ステップ305)。スペクトル指標値(スペクトル純度幅)を校正しないと判断した場合には、そのまま図7のメインルーチンに戻される(ステップ306)。なお、この場合の校正の方法としては、上述の高分解能分光器を用いて校正してもよく、また、露光装置3の解像の結果から計算によって校正してもよい。
(E95アクチュエータ)
図7のステップ104の「E95アクチュエータによる安定化制御」のサブルーチンを実行する各E95アクチュエータは、以下の各実施例(各制御例)で説明する。
(実施例1;放電タイミングの制御(制御手段1))によるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
本実施例では、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅E95が、目標スペクトル純度幅E950の許容幅E950±dE95内に収まるように、発振用レーザ装置100で放電を開始してから増幅用レーザ装置300で放電を開始するまでの放電タイミングを制御することで、スペクトル純度幅E95を安定化制御するものである。
図1に示す2ステージレーザ装置2の場合には、前述したように2つのレーザ装置100、200の放電タイミングを変化させることによって、スペクトル性能を変化させることが可能である。参考文献1(特願2002- 046328号)には、この特性を利用して、スペクトル線幅を0.2pm以下に抑える制御を行う技術が記載されている。しかし、この参考文献に記載された技術は、スペクトル線幅を0.2pm以下にする制御であって、スペクトル線幅をある所定の許容幅内に安定化させる制御の手法については記載されていない。
以下、放電タイミングを変化させることでスペクトル性能が変化するという特性を利用して、スペクトル純度幅を安定化制御する実施例について説明する。なお、一般に放電タイミングを変化させると、レーザ出力も変化してしまうのであるが、特にMOPO方式のシステムにおいては、この影響が相対的に小さく、レーザ出力の安定化という点で有利である。レーザ出力の出力変化を、より抑制するには、印加電圧やガス圧などを制御することが望ましい。
まず、放電タイミングによってスペクトル性能を制御する原理について明する。
狭帯域レーザでは、ブロードバンドで発振するレーザ共振器内に波長分散素子を挿入して、波長線幅Δλとスペクトル純度幅E95を狭くしている。波長分散素子は、プリズム、グレーティング、エタロンなどである。波長分散素子で、選択された波長のみがレーザ共振軸上に戻されるため、選択された波長のみが増幅されレーザ光として取り出される。この波長分散素子を通過することによって、選択波長から外れた波長域の光が除去されていくため、通過回数が多ければ多いほど、波長線幅Δλとスペクトル純度幅E95は狭くなっていく。この通過回数をラウンドトリップ回数と呼ぶ。
図11に、ラウンドトリップ回数と、レーザパルス波形及びスペクトル純度幅E95との関係を示す。
図11(a)〜(d)は、ラウンドトリップ回数が0回、1回、2回、3回のレーザ光軸をチャンバ10の側面からみた図であり、図11(e)は、図11(a)〜(d)を重ね合わせたレーザ光軸を示す側面図である。図11(k)は、図11(a)〜(e)に対応するチャンバ10の上面図である。
図11(f)、(g)、(h)、(i)、(j)は、図11(a)、(b)、(c)、(d)、(e)それぞれに対応するレーザパルス波形と、波長線幅Δλ及びスペクトル純度幅E95である。図11(f)〜(j)の横軸は時間(ns)であり、左縦軸はレーザ強度を示しており、右縦軸は波長線幅Δλ及びスペクトル純度幅E95を示している。図11(f)〜(j)において、波長線幅Δλ及びスペクトル純度幅E95を×印にて示す。
図11(a)は、チャンバ10内で発生した光子が波長分散素子(LNM16)を通過せずに、チャンバ10から出力された場合のレーザ光軸を示し(ラウンドトリップ回数は0回)、図11(f)は、図11(a)に対応するレーザパルス波形と、波長線幅Δλ及びスペクトル純度幅E95を示している。
これら図11(a)、(f)に示すように、チャンバ10から出力される光は、ASE(Amplified spontaneous emission;増幅された自然放出光)成分となる。発振用レーザ装置100には、発振用チャンバ10で発生した光を所定の反射率で発振用チャンバ10内に戻すアウトプットカブラ60が設けられている。アウトプットカプラ60は、およそ30%の反射率を有している。このため、チャンバ10内で発生したASEの70%が外部に出力される。チャンバ10内で発生したASEの残りの30%の反射したASE光は、チャンバ10に戻りレーザの種火になる。ASE出力強度は、レーザ出力強度に比べて大幅に小さいものの、ASEは波長分散素子(LNM16)を通過していないので、波長線幅Δλ及びスペクトル純度幅E95が広い(図11(f)参照)。
図11(b)は、波長分散素子(LNM16)を1回通過してきた光がチャンバ10から出力される場合のレーザ光軸を示し(ラウンドトリップ回数は1回)、図11(g)は、図11(b)に対応するレーザパルス波形と、波長線幅Δλ及びスペクトル純度幅E95を示している。
これら図11(b)、(g)に示すように、図11(a)に示すASE光がアウトプットカプラ60で反射されてチャンバ10内に戻され、波長分散素子(LNM16)を通過して波長選択された光がチャンバ10内に戻されて、チャンバ10の外部に出力されている。このとき出力されるレーザ光は、光が共振器内を1往復する時間分だけ遅れている。波長分散素子(LNM16)を1回通過しているため、その分波長線幅Δλ及びスペクトル純度幅E95が狭くなっている(図11(g)参照)。
同様に、図11(c)、図11(h)は、ラウンドトリップ回数が2回の場合を示している。また、同様に、図11(d)、図11(i)は、ラウンドトリップ回数が3回の場合を示している。
このようにラウンドトリップ回数が増加するにつれて、さらなる出力開始時間の遅れとスペクトル純度幅E95の減少を呈する(図11(h)、図11(i)参照)。
図11(e)は、図11(a)から図11(d)に示すレーザ光軸を重ね合わせたものであり、図11(j)は、図11(a)に対応するレーザパルス波形と、波長線幅Δλ及びスペクトル純度幅E95を示している。実際に観測されるレーザパルス波形は、図11(e)に示す形状となる。図11(e)に示すように、レーザパルス波形の後半に行くに従って、波長線幅Δλ及びスペクトル純度幅E95が狭くなっていくのがわかる。なお、図11(a)〜(e)では、説明の便宜のために、チャンバ10内を往復するレーザ光軸をずらして描画したが、実際には同一光軸上に重なっている。
図11(a)〜(e)に示したラウンドトリップ回数と、これらに対応するレーザ光のスペクトル波形を図12にまとめて示す。図12中、(a)〜(e)は、それぞれ図11の(a)〜(e)に対応する。スペクトル純度幅E95は全エネルギーの95%が入る領域の幅であるため、図11(a), (b)に対応するレーザパルス波形前半の光成分が含まれる場合、その影響度が強くなりスペクトル純度幅E95が広くなる。
また、図11(f)〜(j)は、レーザ媒質の小信号利得が大きい場合である。小信号利得が小さい場合は、レーザパルスの前半部分は出力強度が弱く観測されないため、(f)や(g)の前半成分が現れず、レーザパルス波形の立ちあがりが遅くなる。
このように、狭帯域化レーザでは、レーザパルス波形の前半であるか後半であるかによって、スペクトル線幅Δλやスペクトル純度幅E95の値が異なる。レーザパルス波形の前半では、スペクトル線幅Δλやスペクトル純度幅E95が太くなり、レーザパルス波形の後半では、それらは狭くなる。2ステージレーザ装置2のような両レーザ装置の同期が必要なシステムでは、図5で説明したように、増幅用レーザ装置300で放電を開始する時期を、発振用レーザ装置100から出力されるシード光パルス波形L3の前半に合わせれば、そのシード光パルス波形L3の前半部分の広いスペクトル幅の光が増幅されることになり、逆に、シード光パルス波形L3の後半に合わせれば、その後半部分の狭いスペクトル幅の光が増幅されることになる。よって、図4で説明したように、放電タイミングdtを遅らせる程、スペクトル線幅Δλ及びスペクトル純度幅E95は細くなっていく。
図4の左側縦軸において、スペクトル純度幅の目標値をE950に、前述した第2制御閾値をdE95に(第2許容幅をE950±dE95に)設定する。これによりスペクトル純度幅の許容上限はE950+dE95となり、許容下限値はE950−dE95となる。
例えば、スペクトル純度幅を目標値E950に一致させるべく、放電タイミングdtをdt0に設定してレーザ装置100、300を、曲線L1上で動作させていたとする。
ここで、実際に計測されるスペクトル純度幅E95が広くなった場合(E95増加時)、つまり、曲線L1から曲線L1(a)に変化した場合には、矢印LAにて示すごとく、放電タイミングdtを遅らせて、dt0からdt2に変化させる。このように放電タイミンdtをdt0からdt2に遅らせることによって、スペクトル純度幅は狭くなり、元の目標値E950の値まで戻すことができる。
逆に、実際に計測されるスペクトル純度幅E95が狭くなった場合(E95低下時)、つまり、曲線L1から曲線L1(b)に変化した場合には、矢印LBにて示すごとく、放電タイミングdtを早めて、dt0からdt1に変化させる。このように放電タイミングdtをdt0からdt1に早めることによって、スペクトル純度幅は広くなり、元の目標値E950の値まで戻すことができる。
図13に、本実施例1のフローチャートを示す。図13は、図7のメインルーチン内の「E95アクチュエータによる安定化制御」(ステップ104)のサブルーチンに対応する。
すなわち、図7で説明したように、メインルーチンにおいて、第2モニタモジュール39で計測されたスペクトル純度幅E95の値が、第2許容幅E950±dE95よりも広くなった場合(第1許容幅E950±dE95(S)内において)(ステップ103の判断Yes)に、この図13に示すサブルーチンに入る。
図13に示すサブルーチンの処理は、図1に示すE95、波長コントローラ6、同期コントローラ8で実行される。
図13に示すサブルーチンがスタートすると、まず、スペクトル純度幅E95が目標値より広くなったのか、狭くなったのかの判別、つまりE95>E950であるか否かが、E95、波長コントローラ6(図1)で計算される(ステップ401)。
この判断の結果、E95>E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を狭くして目標値に一致させるための放電タイミングdtの値(dt=dt0+dt’)が計算される(ステップ402)。逆に、E95>E950でない場合には、スペクトル純度幅が目標値よりも狭くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を広くして目標値に一致させるための放電タイミングdt(dt=dt0−dt’)が計算される(ステップ403)。
上記制御間隔dt’の値は、スペクトル純度幅E95と放電タイミングdtの相関曲線L1の傾きk(図4参照)から、計算してもよく(dt’=(|E95−E950|)/k)、また、実際に制御を予めしておいて、制御がスムーズに行われるような最適値を求め、その値に固定しておいてもよい。
つぎに、この計算された放電タイミングdtが同期許容幅(図4参照)から外れたか(リミット検出)否かが判断される(ステップ404)。
計算された放電タイミングdtが同期許容幅から外れた場合(リミット検出)には、レーザ出力が大幅に減少することになり、2ステージレーザ装置2としての本来の意味をなさなくなる。一方、放電タイミングdtが同期許容幅内であれば、レーザ出力は、わずかに変化するのみであり、この場合には必要に応じて同時に、増幅用レーザ装置300の充電電圧やガス圧を制御することで、一定レベル以上のレーザ出力が保証される。
このため制御間隔dt’だけ放電タイミングをずらすことによって、同期許容幅から外れた場合(リミット検出)には、これ以上、安定化制御することができないため、他のE95制御法に切り替えるか、制御不能信号をメインコントローラ4に送るかして、レーザ発振を停止する(ステップ405)。
放電タイミングが同期許容幅内(リミット検出されない)であれば、安定化制御可能であり、つぎのステップ406に移行され、同期コントローラ8に安定化制御を行わせるための指令信号を送り、これを受けて同期コントローラ8は、制御間隔dt’だけ放電タイミングdtを変化させる(ステップ406)。
以上のように、本実施例では、目標スペクトル純度幅E950に対する許容幅E950±dE95のうち、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のエネルギーが許容レベル以上となる同期許容幅が得られる制御範囲で、安定化制御が行われる。
つぎに、図7のステップ101と同じく「スペクトル純度幅E95計測」のサブルーチン(図6、図10参照)に入り、放電タイミングdtを変化させた後の実際のスペクトル純度幅E95が計測され(ステップ407)、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)に入ったか否かが判断される(ステップ408)。この結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)内に収まったならば、図7に示すメインルーチンに戻る(ステップ409)。
一方、ステップ408の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅(E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ401に移行され、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そして、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まった時点で、図7のメインルーチンに戻される(ステップ409)。
(実施例2;パルスストレッチ制御を加えた放電タイミングの制御(制御手段1))によるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
本実施例では、発振用レーザ装置100から出力されるシード光のレーザパルス波形を延長させるパルスストレッチ手段が更に備えられ、このパルスストレッチ手段によってシード光のパルス波形を延長させることで、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のエネルギー(出力)が許容レベル以上となる同期許容幅を拡大させて上で、上記実施例1と同様な放電タイミングの制御を行い、
スペクトル純度幅E95を安定化制御するものである。
レーザ放電特性を変えて、レーザパルス波形を延長させることを(放電)パルスストレッチ(制御)と呼ぶ。このパルスストレッチ制御を発振用レーザ装置100に適用することによって、シード光のパルス長を長くして、図4に示す同期許容幅を広げることが可能になる。
図14は、図4と同様なグラフであり、パルスストレッチ制御を行った場合(パルスストレッチ有)と、パルスストレッチ制御を行わない場合(パルスストレッチ無)の放電タイミングdtとレーザ出力との関係(レーザ出力特性)L6、L2を比較して示すとともに、パルスストレッチ制御を行った場合(パルスストレッチ有)と、パルスストレッチ制御を行わない場合(パルスストレッチ無)の放電タイミングdtとスペクトル純度幅E95との関係(スペクトル純度幅特性)L7、L1を比較して示す。
スペクトル純度幅特性に関して、パルスストレッチ制御を行った場合(パルスストレッチ有)の特性L7と、パルスストレッチ制御を行わない場合(パルスストレッチ無)の特性L1とで大きな変化はないものの、レーザ出力特性に関しては、パルスストレッチ制御を行った場合(パルスストレッチ有)の特性L6と、パルスストレッチ制御を行わない場合(パルスストレッチ無)の特性L2とで大きな変化が生じ、パルスストレッチ制御を行った場合(パルスストレッチ有)には、同期許容幅(レーザ出力が許容レベル(たとえばピーク出力の80%))以上となる幅)の範囲が大幅に広がっているのがわかる。これにより、放電タイミングdtの制御可能な幅も拡大する。このように、同期許容幅が広がることによって、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のエネルギーが許容レベル(たとえばピーク出力の80%)以上となる範囲が広がり、放電タイミングdtを変化させた場合のレーザ出力の変動を、より小さくできる、というメリットが得られる。
このため、放電タイミングの制御(制御手段1))を実行するに際して、パルスストレッチを適用すれば、放電タイミングdtの制御幅が広がり、より実用的となる。パルスストレッチは、シード光のレーザパルス波形を延長させるパルスストレッチ手段によって実現される。
つぎに、パルスストレッチ手段の内容について説明する。
高繰り返しレーザにおいて、放電パルスストレッチを行う方式には、振動電流方式と、電流重畳方式と、簡易スパイカサステナー方式とがある。
振動電流方式は、たとえば参考文献2(特開2001-156367)に記載されている。振動電流方式では、放電電極10a、10b間を流れる振動電流の周期を短くし、かつ、電流のピーク値が大きくなるように回路定数を定め、振動電流の最初の1/2周期とそれに続く少なくとも1つの1/2周期においても、レーザガスの励起を行わせて、レーザ発振動作を持続させることによりパルスストレッチさせる。
電流重畳方式は、たとえば参考文献3(特許第3427889)に記載されている。電流重畳方式を図3を用いて説明すると、磁気パルス圧縮回路からピーキングコンデンサCpを介して放電電極10a、10bへエネルギーを注入する1次電流と、磁気パルス圧縮回路の最終段のピーキングコンデンサ充電用のコンデンサC2から放電電極10a、10bへエネルギーを注入する2次電流とを重畳させ、かつ、2次電流の振動周期を1次電流の振動周期より長く設定して、2次電流が重畳した1次電流の極性が反転する放電振動電流波形の始めの半周期と、それに続く少なくとも2つの半周期とによって1パルスのレーザ発振動作を行うことによりパルスストレッチさせる。
簡易スパイカサステナー方式は、たとえば参考文献4(特開2000-353839)に記載されている。簡易スパイカサステナー方式では、放電をつけるスパイカ回路と放電を持続させるサステナー回路を構成して、パルスストレッチさせる。
本実施例2では、上述したいずれのパルスストレッチ手段を用いてもよく、いずれのパルスストレッチ手段を用いた場合にも、図4に示す同期許容幅が広がり、スペクトル純度幅E95を安定化制御する上で、放電タイミングdtの制御範囲の拡大に効果がある。
パルスストレッチを加えた制御の内容は、図13のフローチャートと同じであるため、説明は省略する。
(実施例3;シード光のパルス波形の立上りを制御(制御手段2)−1)することによるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
この実施例3以下では、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅E95が、目標スペクトル純度幅E950の許容幅E950±dE95内に収まるように、発振用レーザ装置100から出力されるシード光のスペクトル純度幅E95を制御することで、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95を安定化制御するものである。
この実施例3では、発振用レーザ装置100で放電を開始してからレーザパルスが立ち上がるまでの時間を変化させることで、シード光のスペクトル純度幅E95を制御し、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95を安定化制御する。
図15は、発振用レーザ装置100から出力されるシード光のレーザパルスの波形を、横軸を時間、縦軸をレーザ出力とするグラフで示している。
発振用レーザ装置100で放電が開始されてからパルスが立ち上がるまでの時間を小信号利得を小さくすることにより、遅延させると、レーザパルス波形は、図15に破線で示す波形から実線で示す波形に変化する。このように、放電が開始してからレーザパルス波形が立ち上がるまでの時間を長くすることによって、つまりレーザパルスを時間的に後半にシフトすることによって、スペクトル純度幅を狭くすることが出来る。この理由は、図11で説明した通りであり、波長選択素子(LNM16)を数回通過後の光子が増幅されてパルスが立ち上がったためであり、ラウンドトリップ回数が多くなるほどスペクトル純度幅が小さくなるためである。逆に、小信号利得を大きくして、レーザパルスを前半にシフトすることによって、同様の原理(ラウンドトリップ回数が少なくなるほどスペクトル純度幅が大きくなる)によりスペクトル純度幅が広くなる。
以上のような特性を利用して、発振用レーザ装置100から出力されるシード光のレーザパルス波形の立ち上がりを制御することによって、シード光のスペクトル波形の波長線幅を図12(a)〜(e)に示すごとく変化させることができる。このようにシード光のスペクトル純度幅E95が変化するため、増幅用レーザ装置300で増幅されて出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95もそれに合わせて変化する。
なお、後述するように、レーザパルス波形を変化させ、スペクトル純度幅E95も変化させることができるパラメータとしては、F2の濃度、全ガス圧力、充電電圧、アウトプットカブラ(OC)反射率などがある。これらのパラメータが変化すると、スペクトル純度幅E95だけでなく、レーザ出力も変化してしまう。このため、1ステージレーザ装置では、各パラメータの可変範囲が限られており、スペクトル純度幅E95の制御範囲も狭かったり、充電電圧のように、レーザ出力への影響が大きいパラメータでは、スペクトル純度幅E95を制御することは困難であった。これに対して、2ステージレーザ装置2では、レーザ出力は増幅用レーザ装置300で制御することができるため、各パラメータ変化により発振用レーザ装置100から出力されるシード光の出力が多少変化したとしても、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光の出力変化は問題とならない。このため、レーザ出力に制限されることなく、各パラメータを制御することで、スペクトル純度幅E95の安定化制御が可能となる。
(実施例4;フッ素F2濃度を変化させることでシード光のパルス波形を変化させてパルス立上りを制御(制御手段2)−1)することによるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
本実施例では、発振用チャンバ10内のフッ素分子F2濃度を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させ、これによりレーザパルスの立ち上がりを制御し、スペクトル純度幅E95を安定化制御するものである。
図16は、発振用チャンバ10内のフッ素分子F2の濃度NF2(%)とスペクトル純度幅E95(a.u.)との関係L8、同フッ素分子F2の濃度NF2(%)とレーザ出力(シード光強度)E(a.u.)との関係L9を示している。同図16に示すように、発振用チャンバ10内のフッ素分子F2濃度を減少させることによって、スペクトル純度幅E95を狭くすることができる。このことは、参考文献5(特願4-312202号)にも記載されている。この現象を利用して、フッ素分子F2濃度を制御することにより、スペクトル純度幅E95を安定化制御することが可能となる。
図17に、フッ素分子F2濃度を変化させた場合のシード光のレーザパルス波形を示す。図17の横軸は時間(ns)であり、縦軸はレーザ強度(a.u.)である。フッ素分子F2濃度が0.06%の場合のシード光のレーザパルス波形を破線にて示し、フッ素分子F2濃度が0.14%の場合のシード光のレーザパルス波形を実線にて示す。また、図12の(a)〜(d)に対応する部分を図17に示している。
同図17に示すように、フッ素分子F2濃度が濃くなると、放電を開始してから出力シード光が観測されるまでの時間が短くなっている、つまり短時間でシード光が出力されるようになる。よって、フッ素分子F2濃度が濃い場合には、パルス前半の成分(a)、(b)が強くなり、図12の(a)、(b)で示されるようにシード光のスペクトル純度幅E95が広くなる。
フッ素分子F2濃度が濃くなることによって、パルスの立上りが早くなるのは、フッ素分子F2の数密度の増大によってレーザ媒質中の小信号利得gが大きくなるためである。アウトプットカプラーの反射率をR1、共振器を構成する他方のミラーの反射率をR2、レーザ媒質中の吸収係数をα、レーザ媒質の長さをLとする場合、共振器内を1往復した場合の光強度の正味の利得(増加割合)Gは、G=R1・R2・EXP{2(g‐α)L}で表される。ここで、光強度が増幅される条件G>1を満たしているとする。初期蛍光強度をI0とした場合、n回ラウンドトリップして、外部に出力される強度IはI=(1-R1)・I0・G^n −Aとなる。Aは出力後に、モニタモジュール等の伝播系で受ける損失を表す。これが、レーザ出力として外部で例えば1 [mJ/cm2]を超えてレーザパルスの立上りが観測されるためには、I >1が必要となる。つまり、(1-R1)・I0・[R1・R2・EXP{2(g-α)L}]^n −A >1 がレーザパルスが立ち上がる条件となる。よって、小信号利得gが大きいとき、少ないラウンドトリップ回数で上記の条件を満たすため、短い時間でレーザ発振が開始されることになる。
以上の原理により、フッ素分子F2濃度を濃くすることによって、利得が増加し、短い時間でレーザ出力が得られ、スペクトル純度幅E95が広くなる。これにより、フッ素分子F2濃度の制御により、スペクトル純度幅E95を安定化制御することができる。
図18に、本実施例4のフローチャートを示す。図18は、図7のメインルーチン内の「E95アクチュエータによる安定化制御」(ステップ104)のサブルーチンに対応する。
すなわち、図7で説明したように、メインルーチンにおいて、第2モニタモジュール39で計測されたスペクトル純度幅E95の値が、第2許容幅E950±dE95よりも広くなった場合(第1許容幅E950±dE95(S)内において)(ステップ103の判断Yes)に、この図18に示すサブルーチンに入る。
図18に示すサブルーチンの処理は、図1に示すE95、波長コントローラ6、メインコントローラ4、ユーティリティコントローラ5で実行される。
図18に示すサブルーチンがスタートすると、まず、発振用チャンバ10内の現在のフッ素分子F2濃度の値NF2が検出される。フッ素分子F2ガスはもともと、放電によって電極10a、10bの材料と反応することによって減少してしまいレーザ出力もそれに合わせて減少してしまう。そこで、レーザ出力安定化のため、フッ素分子F2ガスを定期的に注入している。たとえば予め、単位ショット数あたりのフッ素分子F2ガスの消費量を計測しておき、その計測値に基づいて、ショット数に応じて、フッ素分子F2ガスが発振用チャンバ10内に注入される。よって、フッ素分子F2濃度を簡易に検出するには、レーザガス交換時から、フッ素F2ガスの注入量とガス排出量を記録しておき、それら注入量、排出量の値から算出する方法が望ましい。また、フッ素分子F2の濃度を測定する濃度計を発振用チャンバ10に取り付けておき、この濃度計の値を読み取ることで、フッ素分子F2濃度を検出してもよい(ステップ510)。
つぎに、スペクトル純度幅E95が目標値より広くなったのか、狭くなったのかの判別、つまりE95>E950であるか否かが、E95、波長コントローラ6(図1)で計算される(ステップ501)。
この判断の結果、E95>E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を狭くするために必要なフッ素分子F2濃度の減少量dNF2の値が計算され、減少された濃度値が、
NF2=NF2−dNF2
と計算される(ステップ502)。
逆に、E95>E950でない場合には、スペクトル純度幅が目標値より狭くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を広くするために必要なフッ素分子F2濃度の増加量dNF2の値が計算され、増加された濃度値が、
NF2=NF2+dNF2
と計算される(ステップ503)。上記増減量dNF2の値は、たとえば図16に示すスペクトル純度幅E95とフッ素分子F2濃度との相関関係L8から
計算すればよい。
スペクトル純度幅E95は、フッ素分子F2濃度以外にも全ガス圧力、充電電圧の値によって変化する。このため、予め、スペクトル純度幅E95と、充電電圧V、フッ素濃度NF2、全ガス圧力TPとの関係式、
E95=f(V, NF2,TP)
を記憶しておき、スペクトル純度幅計測時での充電電圧Vと全ガス圧力TPを検出し、これらの検出値と上記ステップ510で検出されたフッ素F2濃度NF2とを、上記関係式(E95=f(V, NF2,TP))に代入し、上記スペクトル純度幅とフッ素濃度の関係式、
E95=h(NF2)
を計算することが望ましい。そして、この関係式から、計算式、
dNF2=h−1(|E95−E950|)
を求め、スペクトル純度幅の変位量|E95−E950|に対応するフッ素濃度の変化量dNF2を計算すればよい。ここで、x=h−1(y)は、y=h(x)の逆関数である。 また、予め、実際に制御動作をして、制御がスムーズに行われるような最適値を求め、その値に固定しておいてもよい。
つぎに、このように求められた濃度増減量dNF2だけ変化させた値が実際にフッ素分子F2濃度を振れる範囲にあるか否かが判断される。これは、極端にフッ素分子F2濃度が薄くなるか濃くなると、利得の低下が生じたり、グロー放電が不安定になったりして、レーザ発振できなくなるからである。そこで、レーザ発振が可能なフッ素分子F2濃度の制御範囲が設定され、濃度増減量dNF2だけ変化させた値がこの濃度制御範囲から外れている(リミット検出)か否かが判断され(ステップ504)、この判断の結果、リミットが検出された場合は、もはやフッ素分子F2濃度の制御ではスペクトル純度幅E95を安定化制御できないものと判定し、他のE95制御法に切り替えるか、制御不能信号をメインコントローラ4に送るかして、レーザ発振を停止する(ステップ505)。
濃度増減量dNF2だけ変化させた値が上記濃度制御範囲内(リミット検出されない)であれば、安定化制御可能であり、つぎのステップ506に移行され、メインコントローラ4に安定化制御を行わせるための指令信号を送り、これを受けてメインコントローラ4は、ユーティリティコントローラ5に指令信号を出力し、これを受けてユーティリティコントローラ5は、ガス供給排気ユニット14を操作する。ガス供給排気ユニット14が操作されることによって、発振用チャンバ10へのガスの注入若しくは発振用チャンバ10からのガスの排気が行われ、濃度増減量dNF2だけフッ素分子F2濃度が変化する。具体的には、ガス供給排気ユニット14では、発振用チャンバ10に接続されるガス排気ラインのエアバルブと発振用チャンバ10に接続されるガス吸気ラインのうちF2/Neガスラインのエアバルブ若しくはマスフローコントローラが制御される。スペクトル純度幅を細くする場合には、dNF2だけフッ素濃度が小さくなるように、ガス排気ラインのバルブを開けて、dp1(=TP・(dNF2/NF2))だけ排気した後、dp1だけAr/Neガスを注入する。逆に、スペクトル純度幅を太くする場合には、dNF2だけフッ素濃度が増加するように、ガス排気ラインのバルブを開けて、dp2(=dp1/0.01x)だけ排気した後、dp2だけx%希釈されたF2/Neガスを注入する(dp2=dp1/0.01x)。このとき、一時的にガス圧が減少するが、これをなくすために、ガス排気とガス注入をマスフローコントローラを用いて同時に実施してもよい(ステップ506)。
ガス注入の望ましい実施形態についてArFエキシマレーザを例に説明する。補給するためのガスは2つのボンベ1とボンベ2に保管する。ボンベ1内部にはArガスとNeガスの混合ガスを封入し、ボンベ2内部にはF2ガスとArガスとNeガスの混合ガスを封入する。両ボンベにおいてArガスとNeガスの分圧比はほぼ同一であり、その分圧比はArFエキシマレーザの動作に適する比率に調整混合されている。また、ボンベ2のF2ガスはArFエキシマレーザの動作に適する範囲を超えた高い分圧である。従って、F2ガスを発振用チャンバ内へ注入したい場合はボンベ2から注入する。ボンベ2内のF2ガスは高い分圧を有するので、発振用チャンバ内のガスで薄められて適切な分圧のF2ガスを補給することができる。F2ガスを除くガスを注入したい場合はボンベ1から注入する。レーザガスの注入排気を繰り返しても、発振用チャンバ内部のArガスとNeガスの分圧比がほぼ一定値を維持し、レーザの長期安定動作を可能にすることができる。
つぎに、図7のステップ101と同じく「スペクトル純度幅E95計測」のサブルーチン(図6、図10参照)に入り、フッ素分子F2濃度を変化させた後の実際のスペクトル純度幅E95が計測され(ステップ507)、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)に入ったか否かが判断される(ステップ508)。この結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)内に収まったならば、図7に示すメインルーチンに戻る(ステップ509)。
一方、ステップ508の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅(E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ510に移行され、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そして、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まった時点で、図7のメインルーチンに戻される(ステップ509)。
上述したサブルーチンの処理が行われ、フッ素分子F2濃度が変化することに伴い、シード光の出力強度が変化するが(図16のL9参照)、これについては、前述したとおり、増幅用レーザ装置300の放電パラメータ(全ガス圧力や充電電圧など)を制御することによって、レーザ出力を安定化させることが可能である。
(実施例5;全ガス圧力を変化させることでシード光のパルス波形を変化させてパルス立上りを制御(制御手段2)−1)することによるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
本実施例では、発振用チャンバ10内の全ガス圧力を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させ、これによりレーザパルスの立ち上がりを制御し、スペクトル純度幅E95を安定化制御するものである。
図64に、発振用チャンバ10内の全ガス圧力を変化させた場合のシード光のレーザパルス波形を示す。図64の横軸は時間であり、縦軸はレーザ出力(シード光強度)である。全ガス圧力が小さい場合のシード光のレーザパルス波形を破線にて示し、全ガス圧力が大きい場合のシード光のレーザパルス波形を実線にて示す。
同図64に示すように、発振用チャンバ10内の全ガス圧力を低下させることによって、レーザパルスの立ち上がりが遅れ、パルス波形の後半部分が強くなる。逆に全ガス圧力を増加させると、レーザの立ち上がりが早まり、パルス波形の前半部分が強くなる。この理由は、全ガス圧力を増加すると、放電抵抗が増加するため、放電開始電圧が大きくなり、それゆえ、電源11、12からレーザ媒質への注入エネルギーが増加するからである。また、エキシマ分子自体の密度も増加するため、利得が大きくなるからである。実施例4で前述したように、利得の変化により、パルス波形も変化する。このため全ガス圧力TPとスペクトル純度幅E95及びレーザ出力Eとの関係は、図16に示すフッ素ガス分子F2濃度とスペクトル純度幅E95及びレーザ出力Eとの関係L8、L9と、同様な挙動を呈する。
図19に、本実施例5のフローチャートを示す。図19は、図7のメインルーチン内の「E95アクチュエータによる安定化制御」(ステップ104)のサブルーチンに対応する。
すなわち、図7で説明したように、メインルーチンにおいて、第2モニタモジュール39で計測されたスペクトル純度幅E95の値が、第2許容幅E950±dE95よりも広くなった場合(第1許容幅E950±dE95(S)内において)(ステップ103の判断Yes)に、この図19に示すサブルーチンに入る。
図19に示すサブルーチンの処理は、図1に示すE95、波長コントローラ6、メインコントローラ4、ユーティリティコントローラ5で実行される。
図19に示すサブルーチンがスタートすると、まず、発振用チャンバ10内の現在の全ガス圧力TPが検出される(ステップ610)。
つぎに、スペクトル純度幅E95が目標値より広くなったのか、狭くなったのかの判別、つまりE95>E950であるか否かが、E95、波長コントローラ6(図1)で計算される(ステップ601)。
この判断の結果、E95>E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を狭くするために必要な全ガス圧力TPの減少量dTPの値が計算され、減少された値が、
TP=TP−dTP
と計算される(ステップ602)。
逆に、E95>E950でない場合には、スペクトル純度幅が目標値より狭くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を広くするために必要な全ガス圧力TPの増加量dTPの値が計算され、増加された値が、
TP=TP+dTP
と計算される(ステップ603)。上記増減量dTPの値は、たとえば図16に示すスペクトル純度幅E95とフッ素分子F2濃度との相関関係と同じようなスペクトル純度幅E95と全ガス圧力との相関関係L8から計算すればよい。
スペクトル純度幅E95は、全ガス圧力以外にもフッ素分子F2濃度、充電電圧の値によって変化する。このため、予め、スペクトル純度幅E95と、充電電圧V、フッ素濃度NF2、全ガス圧力TPとの関係式、
E95=f(V, NF2,TP)
を記憶しておき、スペクトル純度幅計測時での充電電圧Vとフッ素F2濃度NF2を検出し、これらの検出値と上記ステップ610で検出された全ガス圧力TPとを、上記関係式(E95=f(V, NF2,TP))に代入し、スペクトル純度幅と全ガス圧力の関係式、
E95=i(TP)
を計算することが望ましい。そして、この関係式から、計算式、
dTP=i−1(|E95−E950|)
を求め、スペクトル純度幅の変位量|E95−E950|に対応する全ガス圧力の変化量dTPを計算すればよい。ここで、x=i−1(y)は、y=i(x)の逆関数である。 また、予め、実際に制御動作をして、制御がスムーズに行われるような最適値を求め、その値に固定しておいてもよい。
つぎに、このように求められた全ガス圧力増減量dTPだけ変化させた値が実際に全ガス圧力を振れる範囲にあるか否かが判断される。これは、極端に全ガス圧力が低いと、利得の低下によりレーザ発振ができなくなり、また、極端に全ガス圧力が高いと、発振用チャンバ10の圧力限界値に達し、物理的にそれ以上ガス圧力を増加させることができなくなるからである。
そこで、全ガス圧力の制御範囲が設定され、全ガス圧力増減量dTPだけ変化させた値がこの全ガス圧力制御範囲から外れている(リミット検出)か否かが判断され(ステップ604)、この判断の結果、リミットが検出された場合は、もはや全ガス圧力の制御ではスペクトル純度幅E95を安定化制御できないものと判定し、他のE95制御法に切り替えるか、制御不能信号をメインコントローラ4に送るかして、レーザ発振を停止する(ステップ605)。
全ガス圧力増減量dTPだけ変化させた値が上記全ガス圧力制御範囲内(リミット検出されない)であれば、安定化制御可能であり、つぎのステップ606に移行され、メインコントローラ4に安定化制御を行わせるための指令信号を送り、これを受けてメインコントローラ4は、ユーティリティコントローラ5に指令信号を出力し、これを受けてユーティリティコントローラ5は、ガス供給排気ユニット14を操作する。ガス供給排気ユニット14が操作されることによって、発振用チャンバ10へのガスの注入若しくは発振用チャンバ10からのガスの排気が行われ、全ガス圧力増減量dTPだけ全ガス圧力TPが変化する。具体的には、ガス供給排気ユニット14では、発振用チャンバ10に接続されるガス排気ラインのエアバルブと発振用チャンバ10に接続されるガス吸気ラインのうちAr/Neガスラインのエアバルブが制御される。スペクトル純度幅を細くする場合には、dTPだけ全ガス圧力が減少するように、ガス排気ラインのバルブを開けて、ガスを排気する。
逆に、スペクトル純度幅を太くする場合には、dTPだけ全ガス圧力が増加するように、Ar/Neガスラインのバルブを開けて、ガスを注入する(ステップ606)。
ここでガス注入の望ましい実施形態についてArFエキシマレーザを例に説明する。補給するためのガスは2つのボンベ1とボンベ2に保管する。ボンベ1内部にはArガスとNeガスの混合ガスを封入し、ボンベ2内部にはF2ガスとArガスとNeガスの混合ガスを封入する。両ボンベにおいてArガスとNeガスの分圧比はほぼ同一であり、その分圧比はArFエキシマレーザの動作に適する比率に調整混合されている。また、ボンベ2のF2ガスはArFエキシマレーザの動作に適する範囲を超えた高い分圧である。従って、F2ガスを発振用チャンバ内へ注入したい場合はボンベ2から注入する。ボンベ2内のF2ガスは高い分圧を有するので、発振用チャンバ内のガスで薄められて適切な分圧のF2ガスを補給することができる。F2ガスを除くガスを注入したい場合はボンベ1から注入する。レーザガスの注入排気を繰り返しても、発振用チャンバ内部のArガスとNeガスの分圧比がほぼ一定値を維持し、レーザの長期安定動作を可能にすることができる。
つぎに、図7のステップ101と同じく「スペクトル純度幅E95計測」のサブルーチン(図6、図10参照)に入り、全ガス圧力を変化させた後の実際のスペクトル純度幅E95が計測され(ステップ607)、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)に入ったか否かが判断される(ステップ608)。この結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)内に収まったならば、図7に示すメインルーチンに戻る(ステップ609)。
一方、ステップ608の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅(E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ610に移行され、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そして、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まった時点で、図7のメインルーチンに戻される(ステップ609)。
上述したサブルーチンの処理が行われ、全ガス圧力が変化することに伴い、シード光の出力強度が変化するが(図16のL9参照)、これについては、前述したとおり、増幅用レーザ装置300の放電パラメータ(全ガス圧力や充電電圧など)を制御することによって、レーザ出力を安定化させることが可能である。
(実施例6;充電電圧を変化させることでシード光のパルス波形を変化させてパルス立上りを制御(制御手段2)−1)することによるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
図1、図2、図3で説明したように、発振用レーザ装置100では、電源11、12の充電電圧に応じた電圧が一対の電極10a、10b間に印加されることで主放電が行われる。本実施例では、充電電圧を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させ、これによりレーザパルスの立ち上がりを制御し、スペクトル純度幅E95を安定化制御するものである。
図64に、発振用チャンバ10内の電極10a、10bに印加される電圧に対応する充電器11の充電電圧Vを変化させた場合のシード光のレーザパルス波形を示す。図64の横軸は時間であり、縦軸はレーザ出力(シード光強度)である。充電電圧Vが小さい場合のシード光のレーザパルス波形を破線にて示し、充電電圧Vが大きい場合のシード光のレーザパルス波形を実線にて示す。
同図64に示すように、充電電圧Vを低下させることによって、レーザパルスの立ち上がりが遅れ、パルス波形の後半部分が強くなる。逆に充電電圧Vを増加させると、レーザの立ち上がりが早まり、パルス波形の前半部分が強くなる。この理由は、電源11、12のコンデンサに充電する電圧を大きくすることによって、放電開始時にコンデンサから電極10a、10b間への充電速度が増加し、放電開始電圧も大きくなり、それゆえ、電源11、12からレーザ媒質への注入エネルギーが増加し、利得も大きくなるからである。実施例4で前述したように、利得の変化により、パルス波形も変化する。このため充電電圧Vとスペクトル純度幅E95及びレーザ出力Eとの関係は、図16に示すフッ素ガス分子F2濃度とスペクトル純度幅E95及びレーザ出力Eとの関係L8、L9と、同様な挙動を呈する。
図20に、本実施例6のフローチャートを示す。図20は、図7のメインルーチン内の「E95アクチュエータによる安定化制御」(ステップ104)のサブルーチンに対応する。
すなわち、図7で説明したように、メインルーチンにおいて、第2モニタモジュール39で計測されたスペクトル純度幅E95の値が、第2許容幅E950±dE95よりも広くなった場合(第1許容幅E950±dE95(S)内において)(ステップ103の判断Yes)に、この図20に示すサブルーチンに入る。
図20に示すサブルーチンの処理は、図1に示すE95、波長コントローラ6、メインコントローラ4、エネルギーコントローラ7、同期コントローラ8で実行される。
図20に示すサブルーチンがスタートすると、まず、発振用チャンバ10内の放電電極10a、10bに電圧を印加する電源11、12(充電器11)の現在の充電電圧Vが検出される(ステップ710)。
つぎに、スペクトル純度幅E95が目標値より広くなったのか、狭くなったのかの判別、つまりE95>E950であるか否かが、E95、波長コントローラ6(図1)で計算される(ステップ701)。
この判断の結果、E95>E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を狭くするために必要な充電電圧Vの減少量dVの値が計算され、減少された値が、
V=V−dV
と計算される(ステップ702)。
逆に、E95>E950でない場合には、スペクトル純度幅が目標値より狭くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を広くするために必要な充電電圧Vの増加量dVの値が計算され、増加された値が、
V=V+dV
と計算される(ステップ703)。上記増減量dVの値は、たとえば図16に示すスペクトル純度幅E95とフッ素分子F2濃度との相関関係と同じようなスペクトル純度幅E95と充電電圧との相関関係L8から計算すればよい。
スペクトル純度幅E95は、充電電圧以外にもフッ素分子F2濃度、全ガス圧力の値によって変化する。このため、予め、スペクトル純度幅E95と、充電電圧V、フッ素濃度NF2、全ガス圧力TPとの関係式、
E95=f(V, NF2,TP)
を記憶しておき、スペクトル純度幅計測時での全ガス圧力TPとフッ素F2濃度NF2を検出し、これらの検出値と上記ステップ710で検出された充電電圧Vとを、上記関係式(E95=f(V, NF2,TP))に代入し、スペクトル純度幅と充電電圧の関係式、
E95=g(V)
を計算することが望ましい。そして、この関係式から、計算式、
dV=g−1(|E95−E950|)
を求め、スペクトル純度幅の変位量|E95−E950|に対応する充電電圧の変化量dVを、計算すればよい。ここで、x=g−1(y)は、y=g(x)の逆関数である。 また、予め、実際に制御動作をして、制御がスムーズに行われるような最適値を求め、その値に固定しておいてもよい。
つぎに、このように求められた充電電圧増減量dVだけ変化させた値が実際に充電電圧を振れる範囲にあるか否かが判断される。これは、実際の発振用レーザ装置100では電源11、12の性能により、充電可能な範囲が制限されるからである。
そこで、充電電圧の制御範囲が設定され、充電電圧増減量dVだけ変化させた値がこの充電電圧制御範囲から外れている(リミット検出)か否かが判断され(ステップ704)、この判断の結果、リミットが検出された場合は、もはや充電電圧の制御ではスペクトル純度幅E95を安定化制御できないものと判定し、他のE95制御法に切り替えるか、制御不能信号をメインコントローラ4に送るかして、レーザ発振を停止する(ステップ705)。
充電電圧増減量dVだけ変化させた値が上記充電電圧制御範囲内(リミット検出されない)であれば、安定化制御可能であり、つぎのステップ706に移行され、メインコントローラ4に安定化制御を行わせるための指令信号を送り、これを受けてメインコントローラ4は、エネルギーコントローラ7を介して、同期コントローラ8を指令信号を出力し、これを受けて、同期コントローラ8は、発振用レーザ装置100の充電器11を操作して、充電電圧増減量dVだけ充電電圧Vを変化させる(ステップ706)。
つぎに、図7のステップ101と同じく「スペクトル純度幅E95計測」のサブルーチン(図6、図10参照)に入り、充電電圧を変化させた後の実際のスペクトル純度幅E95が計測され(ステップ707)、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)に入ったか否かが判断される(ステップ708)。この結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)内に収まったならば、図7に示すメインルーチンに戻る(ステップ709)。
一方、ステップ708の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅(E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ710に移行され、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そして、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まった時点で、図7のメインルーチンに戻される(ステップ709)。
上述したサブルーチンの処理が行われ、充電電圧が変化することに伴い、シード光の出力強度が変化するが(図16のL9参照)、これについては、前述したとおり、増幅用レーザ装置300の放電パラメータ(全ガス圧力や充電電圧など)を制御することによって、レーザ出力を安定化させることが可能である。
(実施例7;アウトプットカブラの反射率を変化させることでシード光のパルス波形を変化させてパルス立上りを制御(制御手段2)−1)することによるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
本実施例では、図11、図21に示すように、発振用チャンバ10内で発生した光を所定の反射率で発振用チャンバ内10内に戻すアウトプットカブラ60が発振用レーザ装置100に設けられていることを前提としている。本実施例は、アウトプットカブラ60の反射率を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させ、これによりレーザパルスの立ち上がりを制御し、スペクトル純度幅E95を安定化制御するものである。
図11に示す発振用レーザ装置100内のレーザ共振器のアウトプットカプラ60の反射率を変化させることによって、レーザパルス波形を変化させることが可能である。アウトプットカプラ60の反射率を増加させれば、パルスの後半部分が強くなり、逆に、反射率を減少させれば、パルスの前半部分が強くなる。このため、例えば、アウトプットカプラ60を基準値を反射率30%で設計しておき、スペクトル純度幅E95が太った場合には、反射率を基準値から40%に増加させればスペクトル純度幅E95を狭くして許容幅内に収まることができ、スペクトル純度幅E95から狭くなった場合には、反射率を基準値から20%に減少させればスペクトル純度幅E95を広くすることができる。ここで反射率の数値は例示であって、これに限定するものではない。
図21(a)、(b)に、アウトプットカプラ60の反射率を変化させる手段を例示する。図21は、発振用チャンバ10側からアウトプットカプラ60をみた図である。
図21(a)は、アウトプットカプラ60のビーム照射面を図中横長方向に形成し、このビーム照射面に、たとえば図中左方向61Aで反射率が大きくなり、図中右方向61Bで反射率が小さくなるよう、反射率の分布を形成しておき、スライド機構61によってアウトプットカプラ60のビーム照射面を、図中左右にスライドさせることによって、レーザビームの照射位置62の反射率を変化させるという構造を例示している。
図21(b)は、アウトプットカプラ60のビーム照射面を周方向に形成し、このビーム照射面に、たとえば図中左周方向で反射率が大きくなり、図中右周方向で反射率が小さくなるよう、反射率の分布を形成しておき、回転機構63によってアウトプットカプラ60のビーム照射面を、図中左右回転方向63A、63Bに回転させることによって、レーザビームの照射位置62の反射率を変化させるという構造を例示している。
なお、図21では、アウトプットカプラ60のビーム照射面に、連続的に反射率が変化するような分布を形成しているが、段階的に反射率が変更されるような膜を形成して、ステップ状に反射率を変更してもよい。
(実施例8; 発振用レーザ装置100から出力されるシード光のスペクトル純度幅を変化させ、それに合わせて放電タイミングも変化させる制御(制御手段3))を行うことによるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
本実施例では、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅E95が、目標スペクトル純度幅E950の許容幅E950±dE95内に収まるように、発振用レーザ装置100で放電を開始してから増幅用レーザ装置300で放電を開始するまでの放電タイミングを制御するとともに、発振用レーザ装置100から出力されるシード光のスペクトル純度幅E95を制御することで、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95を安定化制御する。
具体的には、シード光のパルス波形の立ち上がり時間が変化した場合に、そのパルス波形の立ち上がりの時間の変化dtに応じて、発振用レーザ装置100で放電を開始してから増幅用レーザ装置300で放電を開始するまでの放電タイミングを変化させて、放電タイミングを所望の同期タイミングに一致させる制御が行われる。
図25は、シード光のパルス波形の立ち上がりを変化させた場合に、放電タイミングを固定した場合の効果を説明する図であり、図26は、シード光のパルス波形の立ち上がりを変化させた場合に、その変化に合わせて放電タイミングを変化させた場合の効果を説明する図である。
図25(a)、(b)、(c)は、横軸の時間軸を共通のものとして、それぞれ、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95、発振用レーザ装置100から出力されるシード光のパルス波形(縦軸;シード光出力(強度))、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のパルス波形(縦軸;レーザ光出力(強度))を示している。図26(a)、(b)、(c)についても同様である。破線で示すパルス波形は、遅延前のもので、実線で示すパルス波形は、遅延後のものである。
図25に示すように、シード光のパルス波形の立ち上がりを変化させることによって、シード光のスペクトル純度幅E95は変化する(図25(b))。しかし、このとき増幅用レーザ装置300での放電開始時期をずらさず放電タイミングを固定とした場合には(図25(c))、レーザ光のスペクトル純度幅E95の値は、図25(a)にP1で示すように殆ど変化しない(図25(a))。また、シード光のパルス波形の立ち上がりを変化させることによって、同期許容幅から外れる場合もあり、レーザ出力が減少してしまう(図25(c)参照)。ただし、MOPA方式の場合には、図62で説明したように、シード光と増幅用レーザ装置300の利得曲線が重なった部分が増幅されるので、放電タイミングを固定としたままでもスペクトル純度幅E95が変化して、レーザ出力の減少が免れる。このため、この図25に示す、シード光のパルス波形の立ち上がりを変化させた場合に、放電タイミングを固定したままとする制御は、MOPA方式に有効である。
一方、図26に示ように、シード光のパルス立ち上がり時間の変化分dt(図26(b))に合わせて、放電タイミングを同じdtだけ変化させてやると(図26(c))、同期タイミングがずれることがなくなるため、増幅されるレーザ光のスペクトル純度幅E95は、シード光のスペクトル純度幅E95の影響を受けて、P2からP3へと変化するとともに(図26(a))、レーザ光出力も変化することがない(図26(c))というメリットが得られる。このため、この図26に示す、シード光のパルス波形の立ち上がりを変化させた場合に、その変化に合わせて放電タイミングを変化させるという制御は、MOPO、MOPAの両方式に有効である。
図27に、図18で説明した制御、つまりフッ素分子F2濃度を変化させて、シード光のレーザパルス波形を変化(シード光のパルス立ち上がり時間を変化)させるという制御と、その変化に応じて放電タイミングを変化させるという制御とを組み合わせた処理手順をフローチャートで示している。図27で、図18と共通するステップ510、501〜509についての説明は、省略する。
図27では、図18のステップ506とステップ507との間に、「シード光のパルス立ち上がり時間の変化分dtだけ放電タイミングを変化させる」という処理を実行するステップ511が挿入されている点が、図18と異なる。
すなわち、本実施例では、フッ素分子F2濃度を濃度増減量dNF2だけ変化させて、これによりシード光のレーザパルス波形を変化させ、シード光のパルス立ち上がり時間をdtだけ変化させた(ステップ506)後に、そのシード光のパルス立ち上がり時間の変化分dtだけ放電タイミングを変化させる処理が実行される(ステップ511)。
本実施例8によれば、図18で説明した実施例4と比較して、レーザ光出力の減少を抑制することができる。
なお、図27では、図18で説明した制御、つまりフッ素分子F2濃度を変化させて、シード光のレーザパルス波形を変化(シード光のパルス立ち上がり時間を変化)させるという制御と、その変化に応じて放電タイミングを変化させるという制御とを組み合わせた場合を例示したが、同様に、図19で説明した制御、つまり全ガス圧力を変化させて、シード光のレーザパルス波形を変化(シード光のパルス立ち上がり時間を変化)させるという制御と、その変化に応じて放電タイミングを変化させるという制御とを組み合わせてもよく、また、同様に、同様に、図20で説明した制御、つまり充電電圧を変化させて、シード光のレーザパルス波形を変化(シード光のパルス立ち上がり時間を変化)させるという制御と、その変化に応じて放電タイミングを変化させるという制御とを組み合わせてもよく、また、図21で説明したアウトプットカブラ60の反射率を変化させることでシード光のパルス波形を変化(シード光のパルス立上り時間を変化)させる制御)と、その変化に応じて放電タイミングを変化させるという制御とを組み合わせてもよい。
(実施例9;磁気圧縮回路のコンデンサの容量、容量比に応じてシード光のパルス波形を変化させることによるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
本実施例では、図3に示すように、発振用レーザ装置100に、磁気圧縮回路が設けられていることを前提とする。すなわち、一対の放電電極10a、10bと電気的に並列に配置されたピーキングコンデンサCpとこのピーキングコンデンサCpの前段に電気的に並列に配置された第2のコンデンサC2とを備えた充電回路(磁気圧縮回路)が発振用レーザ装置100に備えられ、第2のコンデンサC2に蓄えられた電荷をピーキングコンデンサCpに移行させ、ピーキングコンデンサCpの充電電圧に応じた電圧が一対の電極10a、10bに印加されることで放電が行われることを前提とする。本実施例では、ピーキングコンデンサCpまたは/および第2のコンデンサCpの容量、または/および第2のコンデンサに対するピーキングコンデンサCpの容量比C2/Cpを変化させることで、シード光のパルス波形が変化され、これによりスペクトル純度幅E95が安定化制御される。
たとえば、図22(c)に示すように、容量比C2/Cpを大きくすることで、パルスストレッチされ、シード光のパルス波形が長くなる。
まず、コンデンサの容量とシード光のパルス波形との関係について、その原理を説明する。
レーザパルス波形は、放電電流波形に依存し、その放電電流波形は、電極10a、10b間の電圧波形に依存する。特に振動電流の最初の1/2周期以降においても、レーザ発振を持続する場合は、電流のピーク値が大きいときである。主放電電極10a、10b間で放電が開始する電圧(これをブレークダウン電圧Vbと呼ぶ)は、主放電電極10a、10b間に加えられる電圧の立ち上がりに依存し、立ち上がり時間が高速である場合に放電開始電圧Vbが高くなる(過電圧の発生)。例えば、この印加電圧が急激に上昇するようにするには、ピーキングコンデンサCpの容量に対する第2のコンデンサC2の容量を大きくしてやれば(逆にCpを小さくしてやれば)、その電圧の立ち上がりは急峻になる。ただし、ピーキングコンデンサCpの容量に対する第2のコンデンサC2の容量が大きければ大きい程その電圧の立上りは急峻になり望ましいが、一方で、第2のコンデンサC2の容量を大きくすればする程、発振用レーザ装置100全体を駆動のために必要なエネルギーが大きくなり、発振用レーザ装置100の効率が低下してしまうので、容量比C2/Cpには限界があり、容量比を制御する場合は、ある範囲内で変化させる必要がある。
また、主放電電極10a、10b間を流れる振動電流の最初の1/2周期以降の周期を短くすると、2番目以降の1/2周期においてもレーザ発振が持続される。これは、この周期が長いと、1つの1/2周期の後半において放電の空間的な集中が発生して必要な均一な励起が効率良く行われなくなるからである。2番目以降の1/2周期の周期を決めるパラメータは、ピーキングコンデンサCpと主放電電極10a、10bが形成するループ(放電電流回路)中の容量と浮遊インダクタンスであり、両者の積のルートがその周期に比例する。したがって、その周期を短くするには、ピーキングコンデンサCpの容量を小さくすればよい。
図22に、コンデンサの容量を変化させたときの(a)電極10a、10b間電圧、(b)放電電流、(c)シード光のパルス波形(縦軸;レーザ強度)の変化の様子を示す。図22(a)、(b)、(c)の横軸は、共通の時間軸としている。図22において、破線は容量変化前の波形であり、実線は容量変化後の波形である。
上述した原理のとおり、ピーキングコンデンサCpの容量が小さくなって、容量比C2/Cpが大きくなる場合、放電電圧の立ち上がりが急になり(図22(a)で破線から実線に変化)、放電開始電圧Vbも大きくなるのがわかる(図22(a)参照)。これにより、放電電流のピーク値が大きくなり、放電電流が長時間振動する(図22(b)参照)。これに伴い、シード光のレーザパルス波形も長くなる(図22(c)参照)。レーザパルスが長くなるということは、パルスの後半部分が強くなり、スペクトル純度幅の狭い成分が多くなることを意味する。
よって、発振用レーザ装置100の充電回路(磁気圧縮回路)において、ピーキングコンデンサCpの容量を小さく、または/および第2のコンデンサC2の容量を大きく、または/および容量比C2/Cpを大きくすることによって、シード光のスペクトル純度幅E95が狭くなる。逆に、ピーキングコンデンサCpの容量を大きく、または/および第2のコンデンサC2の容量を小さく、または/および容量比C2/Cpを小さくすることによって、シード光のスペクトル純度幅E95が広くなる。
コンデンサの容量は、コンデンサの温度によって調整することができる。例えば、温度20℃の増加でコンデンサの容量は10%減少する。
そこで、例えば、ピーキングコンデンサCpの温調温度が、空冷で40℃、水冷で20℃、空冷なしで60℃に変化可能に設計しておく。
ピーキングコンデンサCpの温度(゜C)とスペクトル純度幅E95(a.u)との関係L10は、図23に例示したとおりとなる。
すなわち、同図23に示すように、スペクトル純度幅E95が太くなった場合には、空冷をオフにしてピーキングコンデンサCpの温度を上昇させれば(40゜C→60゜C)、容量が減少して、レーザパルス幅が伸びて、スペクトル純度幅E95を狭くすることができる。一方、スペクトル純度幅E95が狭くなった場合には、水冷にして、ピーキングコンデンサCpの温度を低下させれば(40゜C→20゜C)、容量が大きくなり、レーザパルス幅が短くなり、スペクトル純度幅E95を広くすることができる(図23参照)。例えば、容量比C2/Cp=5.6/8の場合、ピーキングコンデンサCpの容量は、;5nF〜6.2nFまで変更可能となり、これにより、容量比C2/Cpは、0.63〜0.78の範囲で制御が可能となる。
図24に、本実施例9のフローチャートを示す。図24は、図7のメインルーチン内の「E95アクチュエータによる安定化制御」(ステップ104)のサブルーチンに対応する。
すなわち、図7で説明したように、メインルーチンにおいて、第2モニタモジュール39で計測されたスペクトル純度幅E95の値が、第2許容幅E950±dE95よりも広くなった場合(第1許容幅E950±dE95(S)内において)(ステップ103の判断Yes)に、この図20に示すサブルーチンに入る。
図24に示すサブルーチンの処理は、図1に示すE95、波長コントローラ6、メインコントローラ4で実行される。
図24に示すサブルーチンがスタートすると、まず、ピーキングコンデンサCpの現在の温度Tcpが検出される(ステップ810)。
つぎに、スペクトル純度幅E95が目標値より広くなったのか、狭くなったのかの判別、つまりE95>E950であるか否かが、E95、波長コントローラ6(図1)で計算される(ステップ801)。
この判断の結果、E95>E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を狭くするために必要なピーキングコンデンサ温度Tcpの増加量dTcpの値が計算され、増加された値が、
Tcp=Tcp+dTcp
と計算される(ステップ802)。
E95>E950でない場合には、スペクトル純度幅が目標値より狭くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を広くするために必要なピーキングコンデンサ温度Tcpの減少量dTcpの値が計算され、減少された値が、
Tcp=Tcp−dTcp
と計算される(ステップ803)。上記増減量dTcpの値は、たとえば図23に示すピーキングコンデンサの温度とスペクトル純度幅E95との相関関係L10から計算すればよい。
つぎに、このように求められたピーキングコンデンサCpの温度増減量dTcpだけ変化された値が実際に温度を振れる範囲にあるか否かが判断される。これは、温度増減によってピーキングコンデンサCpの容量が変化することで、発振用レーザ装置100を駆動する際のエネルギー効率が変化するため、容量変化可能(温度変化可能)な範囲には制限があるからである。
そこで、ピーキングコンデンサの温度の制御範囲が設定され、温度増減量dTcpだけ変化された値がこの温度制御範囲から外れている(リミット検出)か否かが判断され(ステップ804)、この判断の結果、リミットが検出された場合は、もはやピーキングコンデンサの温度の制御ではスペクトル純度幅E95を安定化制御できないものと判定し、他のE95制御法に切り替えるか、制御不能信号をメインコントローラ4に送るかして、レーザ発振を停止する(ステップ805)。
温度増減量dTcpだけ変化された値が上記温度制御範囲内(リミット検出されない)であれば、安定化制御可能であり、つぎのステップ806に移行され、メインコントローラ4に安定化制御を行わせるための指令信号を送り、これを受けてメインコントローラ4は、ピーキングコンデンサCpの温度を、温度増減量dTcpだけ変化させる(ステップ806)。
つぎに、図7のステップ101と同じく「スペクトル純度幅E95計測」のサブルーチン(図6、図10参照)に入り、ピーキングコンデンサCpの温度Tcpを変化させた後の実際のスペクトル純度幅E95が計測され(ステップ807)、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)に入ったか否かが判断される(ステップ808)。この結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)内に収まったならば、図7に示すメインルーチンに戻る(ステップ809)。
一方、ステップ808の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅(E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ810に移行され、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そして、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まった時点で、図7のメインルーチンに戻される(ステップ809)。
なお、この図24に示すフローチャートでは、ピーキングコンデンサCpの温度を制御する場合を例示したが、同様に、第2コンデンサC2の温度を制御してもよく、また容量比C2/Cpが変化するように両コンデンサの温度を制御してもよい。また、これらピーキングコンデンサCpの温度の制御、第2コンデンサC2の温度の制御、容量比C2/Cp(両コンデンサの温度)の制御を適宜組み合わせた制御を行うようにしてもよい。
また、コンデンサの温度を制御する代わりに、ドアノブ型コンデンサであれば接続数を変更することで容量を制御してもよい。例えば、200pFコンデンサ×28個で、5.6nFのピーキングコンデンサCpFを構成した場合、25個から31個の範囲で接続数を変化させることによって、容量を変化させることができ、温度を変化させた場合と同様の効果が得られる。
(実施例10;予備電離コンデンサの容量に応じてシード光のパルス波形を変化させることによるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
本実施例は、図3に示すように、一対の放電電極10a、10bと電気的に並列に配置された予備電離コンデンサCp′を備えた充電回路が発振用レーザ装置100に備えられ、予備電離コンデンサCp′の充電電圧に応じて一対の電極10a、10b間で予備電離が行われることを前提とする。本実施例では、予備電離コンデンサCp′の容量を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させて、スペクトル純度幅E95の安定化制御が行われる。
図22(c)に示すレーザパルス波形と同様に、予備電離コンデンサCp’の容量の値を変化させた場合にも、レーザパルス波形が変化する。例えば、予備電離コンデンサCp’の容量を小さくすると、その分、予備電離コンデンサCp側に流れる電流が大きくなるため、結果としてレーザパルス波形が長くなる。これに伴い、パルス後半の強度が強くなり、スペクトル純度幅E95が細くなる。逆に、予備電離コンデンサCp’の容量が大きくなると、その分、予備電離コンデンサCp側に流れる電流が小さくなるため、結果として、レーザパルス波形が短くなる。これに伴い、パルス前半の強度が強くなり、スペクトル純度幅E95が太くなる。予備電離コンデンサCp’の容量は、前述したピーキングコンデンサCpと同じように、温度によって制御することができる。また、予備電離コンデンサCp’を構成するコンデンサの個数の接続数を変化させることでも、容量を制御することが可能である。
具体的な実施例は、図24のフローチャートにおいて、「ピーキングコンデンサCp」を「予備電離コンデンサCp’」に置換した同様の処理で実現される。
上述した実施例9、10は、シード光のパルス波形をパルスストレッチするものであるが、この実施例9、10と、実施例4のフッ素濃度によるパルス波形制御とを組み合わせて実施してもよく、この場合には、同期許容幅を一層拡げられるという効果が得られる。
同様に、シード光のパルス波形をパルスストレッチする実施例9、10と、実施例5の全ガス圧力によるパルス波形制御とを組み合わせて実施してもよい。
同様に、シード光のパルス波形をパルスストレッチする実施例9、10と、実施例6の充電電圧によるパルス波形制御とを組み合わせて実施してもよい。
同様に、シード光のパルス波形をパルスストレッチする実施例9、10と、実施例7のアウトプットカブラ反射率によるパルス波形制御とを組み合わせて実施してもよい。
また、実施例8で説明したのと同様に、シード光のレーザパルスをパルスストレッチさせてシード光のスペクトル純度幅を変化させる制御を行う(図22(c))とともに、放電タイミングを変化させる制御を実施してもよい。
(実施例11;狭帯域化性能の制御(グレーティングの曲率半径による波面制御、波面補正器による波面制御)によるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
本実施例では、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅E95が、目標スペクトル純度幅E950の許容幅E950±dE95内に収まるように、発振用レーザ装置100の狭帯域化性能を制御することで、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95を安定化制御するものである。
この実施例11では、発振用レーザ装置100に、発振用チャンバ10内で発生した光の波面を変化させる波面変化手段が備えられ、波面変化手段によって、発振用チャンバ10内で発生した光の波面を変化させることで、発振用レーザ装置100の狭帯域化性能を変化させ、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95を安定化制御するものである。
まず、本実施例に適用される原理について説明する。
レーザ光の波面を修正することで、スペクトル性能が変化する。これを利用すれば、スペクトル純度幅E95を制御することができる。
すなわち、レーザ共振器内においては、様々な要因によって、レーザ光の波面はダイバージェンス(拡がり)および曲率を有することになる。例えば、レーザ共振器内にスリットが配置されている場合には、このスリットによる回折によってスリット通過後の光は球面波となる。また、レーザ共振器内に配置されている光学素子自身の収差によって波面が歪むこともある。例えば、狭帯域化素子として用いられるプリズムエキスパンダのような透過型の光学素子では、
(a)内部の屈折率分布が完全に一様ではない
(b)プリズムの研磨面が歪んでいる
などの原因によって、この光学素子を通過したレーザ光の波面は凸面または凹面の曲率を持つものとなる。そして、このような曲率を有する波面を持つレーザ光が平坦な形状のグレーティングに入射された場合は、グレーティングによる波長選択性能を低下させてしまうことになる。すなわち、グレーティングへのレーザ光の入射波面が曲率を持つ場合は、グレーティングのそれぞれの溝にレーザ光が異なる角度で入射されることになるので、グレーティングの波長選択特性が低下し、狭帯域化したレーザ光のスペクトル線幅が広くなる。
そこで、グレーティングに入射するレーザ光の波面に一致するようにグレーティング自体を曲げることにより、反射波面を修正し、スペクトル線幅が広がるのを防ぐことができる。
図29は、グレーティングに曲率を発生させる曲率発生装置、つまりグレーティング曲げ機構の構成例を断面図にて示している。
同図29のグレーティング曲げ機構は、狭帯域化モジュール(LNM)16に設けられる。
グレーティング161の側面は、グレーティング支持部162によって支持されている。グレーティング161のレーザ光(シード光)入射面とは、反対側の面の中央部には、バネ163が配置されている。バネ163の一方の端面がグレーティング161に押し当てられるよう配置されている。バネ163の他方の端面は、押し部材164に当接されている。バネ163は、押し部材164の移動方向に沿って伸縮自在に配置されている。押し部材164は、テーパ状の傾斜面164aを有しており、この傾斜面164aには、調整ボルト165の先端が当接されている。調整ボルト165は、この調整ボルト165の直動に応じて、押し部材164が移動するような位置関係で、押し部材164に当接されている。調整ボルト165は、ステッピングモータ166の回転軸に接続されており、ステッピングモータ166の回転駆動に応じて調整ボルト165が直動ずる。
このためステッピングモータ166が回転駆動し調整ボルト165が押し部材164の傾斜面164aに対して直動すると、その直動方向に応じて、押し部材164は、バネ164を縮ませる方向(図中左方向)またはバネ164を伸ばす方向(図中右方向)に移動する。これによりグレーティング161の中央部は、押し引きされて、グレーティング161の光入射面の曲率半径が変化する。バネ163は、制御間隔を細かくするために設けられている。
図28には、グレーティング161の曲率半径とスペクトル純度幅E95との関係L11を示している。同図28に示す曲線L11は、ある曲率半径でスペクトル純度幅の極小値を持つ曲線であるため、実際に制御する場合は、上記極小点よりも曲率半径が小さい側の制御範囲(SA)か、上記極小点よりも曲率半径が大きい側の制御範囲(SB)のどちらかに決めて制御を行うことが望ましい。曲線L11上で大きな傾きを持つ領域の方が制御しやすいため、この例では傾きの大きい側の制御範囲(SA)を使用すると、より効果的である。
図30は、グレーティング161の曲率半径を調整することでスペクトル純度幅E95を安定化制御する本実施例11の処理手順を示している。図30は、図7のメインルーチン内の「E95アクチュエータによる安定化制御」(ステップ104)のサブルーチンに対応する。
すなわち、図7で説明したように、メインルーチンにおいて、第2モニタモジュール39で計測されたスペクトル純度幅E95の値が、第2許容幅E950±dE95よりも広くなった場合(第1許容幅E950±dE95(S)内において)(ステップ103の判断Yes)に、この図30に示すサブルーチンに入る。
図30に示すサブルーチンの処理は、図1に示すE95、波長コントローラ6で実行される。
図30に示すサブルーチンがスタートすると、まず、狭帯域化モジュール(LNM)16内のグレーティング161の現在の曲げ量xが検出される(ステップ910)。
つぎに、スペクトル純度幅E95が目標値より広くなったのか、狭くなったのかの判別、つまりE95>E950であるか否かが、E95、波長コントローラ6(図1)で計算される(ステップ901)。
この判断の結果、E95>E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を狭くするために必要なスペクトル純度幅の差分E95−E950に相当するグレーティング161の曲げ量の制御量dxが計算され、制御量dxだけ変化された値が、
x=x+dx
と計算される(ステップ902)。
E95>E950でない場合には、スペクトル純度幅が目標値より狭くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を広くするために必要なスペクトル純度幅の差分E950−E95に相当するグレーティング161の曲げ量の制御量dxが計算され、制御量dxだけ変化された値が、
x=x−dx
と計算される(ステップ903)。上記制御量dxの値は、たとえば図28に示すグレーティング161の曲率半径とスペクトル純度幅E95との相関関係L11から計算すればよい。
つぎに、このように求められたグレーティング161の曲げ量の制御量dxだけ変化された値が実際に制御可能な範囲にあるか否かが判断される。
そこで、制御量dxだけ変化された値が、制御範囲から外れている(リミット検出)か否かが判断され(ステップ904)、この判断の結果、リミットが検出された場合は、もはやグレーティング161の曲率半径(曲げ量)の調整ではスペクトル純度幅E95を安定化制御できないものと判定し、他のE95制御法に切り替えるか、制御不能信号をメインコントローラ4に送るかして、レーザ発振を停止する(ステップ905)。
制御量dxだけ変化された値が、制御範囲内(リミット検出されない)であれば、安定化制御可能であり、つぎのステップ906に移行され、ドライバ21に駆動指令信号を送り、たとえば図29に示すグレーティング曲げ機構のステッピングモータ166を駆動して、グレーティング161の曲げ量 を、制御量dxだけ変化させる(ステップ906)。
つぎに、図7のステップ101と同じく「スペクトル純度幅E95計測」のサブルーチン(図6、図10参照)に入り、グレーティング161の曲げ量xを変化させた後の実際のスペクトル純度幅E95が計測され(ステップ907)、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)に入ったか否かが判断される(ステップ808)。この結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)内に収まったならば、図7に示すメインルーチンに戻る(ステップ909)。
一方、ステップ908の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅(E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ910に移行され、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そして、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まった時点で、図7のメインルーチンに戻される(ステップ909)。
上述した図30のフローチャートでは、グレーティング161の曲率半径を変化させて光の波面を変化(修正)する場合を想定して説明したが、LNM16内にある別の素子、例えばチューニングミラーなどの曲率半径を変化させて、同様に波面修正をしてもよい。
また、参考文献6(特願9-119631号)に記載されているように、LNM16内に、レーザ光の波面を補正して出射する波面補正手段を設け、その波面補正手段の波面補正特性を変化させることでスペクトル純度幅E95を安定化制御してもよい。
図54に、波面補正器169を備えた狭帯域化モジュール16の構成例を示す。
同図54に示すように、狭帯域化モジュール(LNM)16は、ビームエキスパンダ168と、グレーティング161と、グレーティング161の姿勢を変化させる回転アクチュエータ167と、波面補正器169とを含む構成要素で構成されている。
波面補正器169は、入射されたレーザ光の波面を補正して出射する機能を備えている。狭帯域化モジュール16に入射されたレーザ光は、まず波面補正器169によって、その波面が修正された後、ビームエキスパンダ168に入射される。ビームエキスパンダ168によってレーザ光のビーム幅が拡大される。さらに、レーザ光はグレーティング161に入射されて回折されることにより、所定の波長成分のレーザ光のみが入射光と同じ方向に折り返される。グレーティング161で折り返されたレーザ光は、ビームエキスパンダ(たとえばプリズム)168でビーム幅が縮小された後、波面補正器169に入射される。波面補正器169では、レーザ光の波面が狭帯域化モジュール16に入射されたときと同じ平面波になるように、波面が補正される。波面が補正されたレーザ光は、狭帯域化モジュール16から出射され発振用チャンバ10に入射される。
以上のように構成された狭帯域化モジュール16内の波面補正器169の波面補正特性を変化させることで、スペクトル純度幅E95の安定化制御が行われる。
図55は、波面補正器169の構成例を示している。
図55(a)は、透過型の光学素子基板の温度分布を制御して、波面を変化させる波面補正器169の構成例である。
一般に、CaF2などの光学材料の屈折率は温度によって変化する。したがって、光学素子に温度分布を故意に与えることで屈折率分布を発生させることができる。
そこで、図55(a)に示すように、基板1692の四方の各側面に熱電素子のような加熱および冷却が可能な加熱冷却器1691を設置する。加熱冷却器1691が設置された付近の基板1692の温度は、温度センサ1691aで検出され、基板1692が所定の温度分布になるように温度センサ1691aの検出値に基づいて各加熱冷却器1691を温度制御して、基板1692に所望の屈折率分布を与え、レーザ光の波面を変化させる。
図55(b)は、凸レンズ1695と、凹レンズ1696と、凸レンズ1695を光軸方向に移動させる移動ステージ1693と、この移動ステージ1693を駆動するパルスモータ1694とによって構成した波面補正器169を例示している。
同図55(b)に示すように、入射された凸面波面または凹面波面は、凸レンズ1695と凹レンズ1696との光軸方向の相対位置に応じて平面波に変換される。凸レンズ1695と凹レンズ1696との距離を大きくとった場合には、凸面波面を平面波に変換することができる。また、凸レンズ1695と凹レンズ1696との距離を小さくとった場合には、凹面波面を平面波に変換することができる。このようにパルスモータ1694を駆動して移動ステージ1693を移動させ、凸レンズ1695と凹レンズ1696との距離を変化させることで、レーザ光の波面を変化させることができる。
(実施例12;狭帯域化性能の制御(ディフォーマブルミラーによる波面制御)によるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
上述した実施例11では、グレーティングの曲率半径に応じて、あるいは波面補正器によって、波面を制御する場合について説明したが、つぎに、同じく発振用チャンバ10で発生した光の波面を制御するために、ディフォーマブルミラーを使用する実施例について説明する。
図31は、ディフォーマブルミラーを使用したレーザ波面制御システムの構成を示している。
同図31に示すように、発振用チャンバ10のフロント側には、エンドミラーであるディフォーマブルミラー70が配置されている。本実施例では、ディフォーマブルミラー70の全反射面の形状を整形して、レーザ波面を変化(修正)する。
発振用チャンバ10のリア側にリトロー配置されたグレーティング161とフロント側のディフォーマブルミラー70との間で、レーザ共振器が構成されている。発振用チャンバ10とフロント側のディフォーマブルミラー70との間の光路上には、45度入射のビームスプリッタ71が配置されている。ビームスプリッタ71は、出力結合ミラーとして機能する.
すなわち、発振用チャンバ10から出力された光の一部は、出力結合ミラー71により反射され、発振用レーザ装置100の出力光(シード光)として取り出され、増幅用レーザ装置100へ注入光として入力される。
一方、出力結合ミラー71を透過した光は、ディフォーマブルミラー70によって、反射波面が変化して再び、出力結合ミラー71に入射する.出力結合ミラー71の透過光は、発振用チャンバ10を透過して増幅される.出力結合ミラー71の反射光は、波面検出器72に入射される.そして、発振用チャンバ10を透過して増幅された光は、プリズムによって構成されたビームエキスパンダ168とグレーティング161とにより狭帯域化されて、回折光が再び発振用チャンバ10を透過して増幅される.そして、再び、発振用チャンバ10を透過して増幅された光は、出力結合ミラー71に入射され、レーザ発振される。
発振用チャンバ10内で発生するレーザ光の波面は、理想的には、シリンドリカル状の波面となる。波面検出器72では、発振用チャンバ10内で発生したレーザ光の波面の曲率半径Rが検出される。波面検出器72は、発振レーザ光をモニタしてもよく、また、別の可視光などのガイドレーザによる光の波面を検出してよい。また、レーザビームの波面の検出方法としては、シェアリング干渉計やハルトマン−シャック法などが一般に知られている。これら検出原理に基づき波面検出器72を構成することができる。
ディフォーマブルミラー70は、アクチュエータ73によって、反射面の複数の各部分が機械的に押し引きされる。図32は、図31のA−A断面を示しており、ライン型のディフォーマブルミラー70と、ディフォーマブルミラー70の反射面の3点に設けられたアクチュエータ73を示している.アクチュエータ73としては、例えばピエゾ素子が使用される。各アクチュエータ73(ピエゾ素子)を伸縮させることにより、ディフォーマブルミラー70の反射面の各部が押し引きされディフォーマブルミラー70の曲率半径の大きさが調整される。なお、図32は、アクチュエータ73の数が3つの場合を例示しているが、これに限定されることなく、アクチュエータ73の個数は任意であり、アクチュエータ73の個数を多くすることによって、より高精度な波面修正が可能となる.また、ディフォーマブルミラー70の反射面を押し引きするアクチュエータ73としては、ピエゾ素子に限定されるわけではなく、任意のものを使用することができ、例えば、ピエゾ素子以外に、温度変化による熱膨張を利用してディフォーマブルミラー70の反射面を押し引きするアクチュエータを使用してもよい。
コントローラ74は、波面検出器72で検出された光の波面の曲率半径Rと、スペクトル純度幅E95の検出値とに基づいて、アクチュエータ73を介して、ディフォーマブルミラー70の曲率半径rを制御する。
図33には、波面検出器72で検出されるレーザ光の波面の曲率半径とスペクトル純度幅E95との関係L12を示している。同図33に示す曲線L12は、図28と同様に、ある曲率半径でスペクトル純度幅の極小値を持つ曲線であるため、実際に制御する場合は、上記極小点よりも曲率半径が小さい側の制御範囲(SA)か、上記極小点よりも曲率半径が大きい側の制御範囲(SB)のどちらかに決めて制御を行うことが望ましい。曲線L12上で大きな傾きを持つ領域の方が制御しやすいため、この例では傾きの大きい側の制御範囲(SA)を使用すると、より効果的である。
図34は、レーザ光の波面の曲率半径を調整することでスペクトル純度幅E95を安定化制御する本実施例12の処理手順を示している。図34は、図7のメインルーチン内の「E95アクチュエータによる安定化制御」(ステップ104)のサブルーチンに対応する。
すなわち、図7で説明したように、メインルーチンにおいて、第2モニタモジュール39で計測されたスペクトル純度幅E95の値が、第2許容幅E950±dE95よりも広くなった場合(第1許容幅E950±dE95(S)内において)(ステップ103の判断Yes)に、この図34に示すサブルーチンに入る。
図34に示すサブルーチンの処理は、図1に示すE95、波長コントローラ6、図31に示すコントローラ74で実行される。
図34に示すサブルーチンがスタートすると、まず、波面検出器72によって発振用チャンバ10で発生したレーザ光の波面の現在の曲率半径Rが検出される(ステップ1010)。
つぎに、スペクトル純度幅E95が目標値より広くなったのか、狭くなったのかの判別、つまりE95>E950であるか否かが、E95、波長コントローラ6(図1)で計算される(ステップ1001)。
この判断の結果、E95>E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を狭くするために必要なスペクトル純度幅の差分E95−E950に相当するレーザ光波面の曲率半径の制御量dRが計算され、制御量dRだけ変化された値が、
R=R+dR
と計算される(ステップ1002)。
E95>E950でない場合には、スペクトル純度幅が目標値より狭くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を広くするために必要なスペクトル純度幅の差分E950−E95に相当するレーザ光波面の曲率半径の制御量dRが計算され、制御量dRだけ変化された値が、
R=R−dR
と計算される(ステップ1003)。上記制御量dRの値は、たとえば図33に示すレーザ光波面の曲率半径とスペクトル純度幅E95との相関関係L12から計算すればよい。
つぎに、レーザ光波面の曲率半径を、上記制御量dR分変化させるのに必要なディフォーマブルミラー70の曲率半径の変化量drが計算される。そして、このように求められた制御量drだけ変化されたディフォーマブルミラー70の曲率半径値が実際に制御可能な範囲にあるか否かが判断される。
そこで、制御量drだけ変化された値が、制御範囲から外れている(リミット検出)か否かが判断され(ステップ1004)、この判断の結果、リミットが検出された場合は、もはやディーフォーマブルミラー70の曲率半径(レーザ光波面の曲率半径)の調整ではスペクトル純度幅E95を安定化制御できないものと判定し、他のE95制御法に切り替えるか、制御不能信号をメインコントローラ4に送るかして、レーザ発振を停止する(ステップ1005)。
制御量drだけ変化された値が、制御範囲内(リミット検出されない)であれば、安定化制御可能であり、つぎのステップ1006に移行され、ディーフォーマブルミラー70のコントローラ74に駆動指令信号を送り、アクチュエータ73を介して、ディフォーマブルミラー70の曲率半径rを、制御量drだけ変化させ、発振用チャンバ10内で発生したレーザ光の波面の曲率半径Rを、制御量dRだけ変化させる(ステップ1006)。
つぎに、図7のステップ101と同じく「スペクトル純度幅E95計測」のサブルーチン(図6、図10参照)に入り、ディフォーマブルミラー70の曲率半径r(レーザ光波面の曲率半径R)を変化させた後の実際のスペクトル純度幅E95が計測され(ステップ1007)、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)に入ったか否かが判断される(ステップ1008)。この結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)内に収まったならば、図7に示すメインルーチンに戻る(ステップ1009)。
一方、ステップ1008の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅(E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ1010に移行され、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そして、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まった時点で、図7のメインルーチンに戻される(ステップ1009)。
この実施例では、レーザ光波面がシリンドリカル状の波面となる理想的な場合を想定した。しかし、実際には、レーザ共振器内の光学素子の温度分布や、放電による音響波の影響によって、レーザ光の波面が歪んでしまい、ライン型のディフォーマブルミラー70では、波面の高精度な制御を行うことが困難になるおそれがある。そこで、ライン型ではなく、2次元タイプのディフォーマブルミラーを搭載して、レーザ光波面を、より高精度に制御することによって、より高精度なスペクトル純度幅E95の安定化制御を行うようにしてもよい。
また、前述した実施例11では、グレーティング161の曲げ量(曲率半径)を検出して、その検出結果に基づきグレーティング161の曲げ量(曲率半径)を変化させているが、この実施例11においても、実施例12と同様に、グレーティング161の曲げ量(曲率半径)を検出する代わりに、波面検出器によってレーザ光の波面を検出して、その検出結果に基づきグレーティング161の曲げ量(曲率半径)を変化させるような実施も可能である。
(実施例13;狭帯域化性能の制御(拡大率(倍率)変更)によるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
上述した実施例11、12では、発振用チャンバ10内で発生した光の波面を変化させることで、発振用レーザ装置100の狭帯域化性能を制御する場合について説明したが、つぎに、同じく発振用レーザ装置100の狭帯域化性能を制御するために、発振用チャンバ10内で発生した光の拡大率を変化させる実施例について説明する。
本実施例に適用される原理について説明する。
図35(a)は、発振用レーザ装置100の狭帯域化モジュール(LNM)16の構成要素と光軸との位置関係を示している。
発振用レーザ装置100の狭帯域化モジュール(LNM)16には、リア側ウインドウ10eに近い場所より、順に、プリズム168a(以下、プリズムaと適宜省略する)、プリズム168b(以下、プリズムbと適宜省略する)、グレーティング161が配置されている。プリズム168a、168bによってビームエキスパンダ168が構成される。
図35(a)に矢印で示すように、プリズム168a、168bの姿勢を変化させると、発振用レーザ装置(MO)100のビームエキスパンダ168による光の拡大率が変更され、これにより発振用チャンバ10内で発生した光のスペクトル幅が変化する。
図39(a)は、拡大率Mとスペクトル幅Δλとの関係L13を示している。
同図39(a)の関係L13からわかるように、ビームエキスパンダ168による光の拡大率Mが大きくなると、スペクトル幅Δλが細くなる。逆に、ビームエキスパンダ168による光の拡大率Mが小さくなると、スペクトル幅Δλが太くなる。
したがって、スペクトル純度幅若しくはこれに代わるスペクトル指標値を計測(検出)し、その計測値(検出値)として得られる現在のスペクトル幅Δλが目標スペクトル幅Δλ0よりも広くなっている場合には、ビームエキスパンダ168による光の拡大率Mを大きくし、現在のスペクトル幅Δλが目標スペクトル幅Δλ0よりも細くなっている場合には、拡大率を小さくすることで、スペクトル幅を目標スペクトル幅に対する許容幅内に安定させることができ、スペクトル性能が安定化する。
一方で、ビームエキスパンダ168としてプリズム群168a、168bを用いる場合には、中心波長も一定に保つ必要がある。複数のプリズム168a、168bの姿勢の調整次第で、中心波長を同一のままとし、拡大率のみ変化させることが可能である。本実施例によれば、プリズムaは、拡大率調整用に、プリズムbは、主として波長調整用に使用され、それぞれを姿勢を調整することで、中心波長と拡大率との双方の制御が行われる(図35(a))。ここで、従来にあっては、参考例として図35(b)に示すように、中心波長の制御のみを行うためにプリズムbのみの姿勢が調整されるだけであり、両者の構成上の相違は明らかである。
図39(b)は、拡大率Mと発振用レーザ装置100から出力されるシード光出力(強度)との関係L14を示している。
同図39(b)からわかるように、複数のプリズム168a、168bの姿勢の調整に伴って拡大率Mが変化するとシード光の出力が多少変化することがある。しかし、シード光の出力の変化に対しては、発振用チャンバ10内の電極10a、10b間に印加する電圧や、チャンバ10内のガス圧の調整で、十分補償される。
図36は、拡大率(倍率)Mを調整することでスペクトル純度幅E95を安定化制御する本実施例13の処理手順を示している。図36は、図7のメインルーチン内の「E95アクチュエータによる安定化制御」(ステップ104)のサブルーチンに対応する。以下の処理ではプリズムaは、拡大率調整用に、プリズムbは、主として波長調整用に使用される。
すなわち、図7で説明したように、メインルーチンにおいて、第2モニタモジュール39で計測されたスペクトル純度幅E95の値が、第2許容幅E950±dE95よりも広くなった場合(第1許容幅E950±dE95(S)内において)(ステップ103の判断Yes)に、この図36に示すサブルーチンに入る。
図36に示すサブルーチンの処理は、図1に示すE95、波長コントローラ6で実行される。
図36に示すサブルーチンがスタートすると、まず、スペクトル純度幅E95が目標値より広くなったのか、狭くなったのかの判別、つまりE95>E950であるか否かが、E95、波長コントローラ6(図1)で計算される(ステップ1101)。
この判断の結果、E95>E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を狭くするために必要なスペクトル純度幅の差分E95−E950に相当する1ステップ当たりの拡大率変化量+ΔMが計算され、これに応じてプリズムa、bの姿勢が調整される(ステップ1102)。上記ステップ1102の処理は、図37に示すサブルーチンとして実行される。
まず、スペクトル純度幅E95を狭くするために必要なスペクトル純度幅の差分E95−E950に相当する1ステップ当たりの拡大率変化量+ΔMが計算され、この拡大率変化量+ΔMだけ変化された値が、
M=M+ΔM
と計算され、この計算された拡大率Mが得られるよう、プリズムaを回転してプリズムaの姿勢を調整する。上記拡大率変化量+ΔMの値は、たとえば図39(a)に示す拡大率Mとスペクトル純度幅E95(Δλ)との相関関係L13から計算すればよい(ステップ1201)。
しかし、上記1201でプリズムaの姿勢を変化させたままでは、発振波長がずれてしまうので、同時にプリズムbの姿勢を調整して中心波長の制御を行う。すなわち、プリズムbを回転してプリズムbの姿勢を調整して中心波長を元の目標中心波長に戻す(ステップ1202)。
つぎに、発振用レーザ装置100から出力されるシード光の一部を切り出して、第1モニタモジュール19で、シード光の中心波長λが検出され、スペクトル純度幅E95が計測される。
つぎに、露光装置3で要求される目標中心波長λo と、検出中心波長λとが比較され、検出中心波長λが、目標中心波長λ0に対する許容幅Δを超えたか否か、つまり、
|λ− λo|> Δ
であるか否かが判断される(ステップ1204)。
この結果、検出中心波長λが、目標中心波長λ0の許容幅Δを超えた場合には、プリズムbのみの姿勢を調整して、波長を変化させて、中心波長がλo となるようにして(ステップ1205)、図36のステップ1104にリターンされる(ステップ1206)。一方、検出中心波長λ1が、目標中心波長λ0に対する許容幅Δを加えた値を超えていない場合には、そのまま、図36のステップ1104にリターンされる(ステップ1206)。
一方、図36のステップ1101の判断の結果、E95>E950でない場合には、スペクトル純度幅が目標値より狭くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を広くするために必要なスペクトル純度幅の差分E95−E950に相当する1ステップ当たりの拡大率減少量−ΔMが計算され、これに応じてプリズムa、bの姿勢が調整される(ステップ1103)。上記ステップ1103の処理は、図38に示すサブルーチンとして実行される。
まず、スペクトル純度幅E95を広くするために必要なスペクトル純度幅の差分E95−E950に相当する1ステップ当たりの拡大率減少量−ΔMが計算され、この拡大率変化量−ΔMだけ変化された値が、
M=M−ΔM
と計算され、この計算された拡大率Mが得られるよう、プリズムaを回転してプリズムaの姿勢を調整する(ステップ1301)。以下、ステップ1302〜1306の処理は、図37を用いて説明したステップ1202〜1206の処理と同様であるので説明は省略する。
つぎに、図36のステップ1104において、プリズムa、プリズムbの回転させた結果、それらの姿勢角度が許容角度幅(上限値〜下限値)から外れたか(例えば下限値であれば、下限値を下回ったか)否かが判断される。たとえばプリズムa、プリズムbの姿勢角度の限度角(上限値、下限値)を検出するリミットスイッチが設けられ、リミットスイッチによってリミット(限度角)が検出されたか否かが判断される(ステップ1104)。
プリズムa、bの姿勢角が、限度角を検出した場合(リミット検出)は、もはやプリズムa、b(拡大率M)の調整ではスペクトル純度幅E95を安定化制御できないものと判定し、他のE95制御法に切り替えるか、制御不能信号をメインコントローラ4に送るかして、レーザ発振を停止する(ステップ1105)。
プリズムa、bの姿勢角が、限度角を検出していない場合(リミット検出されない)であれば、安定化制御可能であり、そのまま、つぎのステップ1107に移行される。
ステップ1107では、図7のステップ101と同じく「スペクトル純度幅E95計測」のサブルーチン(図6、図10参照)に入り、プリズムa、bの姿勢を変化させた後の実際のスペクトル純度幅E95が計測され(ステップ1107)、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)に入ったか否かが判断される(ステップ1108)。この結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)内に収まったならば、図7に示すメインルーチンに戻る(ステップ1109)。
一方、ステップ1108の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅(E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ1101に移行され、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そして、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まった時点で、図7のメインルーチンに戻される(ステップ1109)。
以上の制御内容は、一対のプリズムa、bの姿勢を調整して中心波長と拡大率を制御する場合であるが、光学部品の組合せを任意としたとしても、同様な制御を行い得る。たとえばプリズムとグレーティングの姿勢を調整することによっても、また、プリズムと回転ミラーの姿勢を調整することによっても、また、回転ミラーとグレーティングの姿勢を調整することによっても、同様に、中心波長と拡大率を制御することができる。また、アフォーカルな光学系を配置し、その倍率を可変できるように構成して、同様な制御を行うようにしてもよい。
なお、プリズムの姿勢を調整する場合においては、図39(b)に示すように、その姿勢角が大きくなりすぎると、シード光の出力の急激な低下を招いてしまう。その理由として考えられるのは、プリズムへの入射角が膜の最適域とずれることで反射損失が大きくなること、光路がずれることによりケラレが大きくなることなどが挙げられる。また、倍率を変更することによって、ビーム品位が変化してしまうおそれがある。そこで、必要に応じて、整形光学モジュールによって、シード光の光品位の補償や、シード光出力の補償を行うようにしてもよい。
特に、2ステージレーザ装置2では、1ステージレーザ装置と異なり、発振用レーザ装置100で低下したビーム品位を増幅用レーザ装置300で調整して、補償を行うことが可能である。
(実施例14;狭帯域化性能の制御(ビーム幅変化)によるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
つぎに、同じく発振用レーザ装置100の狭帯域化性能を制御するために、発振用チャンバ10内で発生した光のビーム幅を変化させる実施例について説明する。
本実施例に適用される原理について説明する。
図40は、発振用レーザ装置100の光軸とスリットとの位置関係を示している。同図40は、図2に示す発振用チャンバ10(縦方向)を上面からみた横方向の図であり、発振用レーザ装置100の狭帯域化モジュール(LNM)16には、リア側ウインドウ10eに近い場所より、順に、プリズム168a、プリズム168b、グレーティング161が配置されている。
リア側ウインドウ10eとプリズム168との間には、(リア側)スリット80が配置されている。また、フロント側ウインドウ10fとフロントミラー17との間には、(フロント側)スリット81が配置されている。すなわち、レーザ共振器内にスリット80、81が配置されている。スリット80、81は、矢印にて示すように、発振用チャンバ10の横方向(図中上下方向)のスリット幅Wが変化されるように構成されている。コントローラ82は、図示しないドライバを介してスリット80、81のスリット幅Wを駆動制御する。
レーザ共振器内のスリット80、81のスリット幅W(横方向のスリット幅)が変化すると、横方向の光のダイバージェンスが変化し、スペクトル幅が変化する。
図41は、スリット80、81のスリット幅Wとスペクトル幅Δλとの関係L15を示している。
同図41の関係L15からわかるように、W0〜W1の範囲内でスリット幅Wが大きくなると、スペクトル幅Δλが太くなる。逆に、スリット幅Wが小さくなると、スペクトル幅Δλが細くなる。
したがって、スペクトル純度幅若しくはこれに代わるスペクトル指標値を計測(検出)し、その計測値(検出値)として得られる現在のスペクトル幅Δλが目標スペクトル幅Δλ0よりも広くなっている場合には、スリット幅Wを小さくし、現在のスペクトル幅Δλが目標スペクトル幅Δλ0よりも細くなっている場合には、スリット幅Wを大きくすることで、スペクトル幅を目標スペクトル幅に対する
許容幅内に安定させることができ、スペクトル性能が安定化する。
スリット幅Wが変化するスリットは、発振用チャンバ10のリア側、フロント側の両方にスリット80、81として配置してもよく、また、リア側のみにスリット80として配置してもよく、また、フロント側のみにスリット81として配置してもよい。
一方で、スリット幅Wが変化すると、シード光の出力が変化することがある。
しかし、2ステージレーザ装置2においては、増幅用レーザ装置300の出力が安定していればよく、発振用レーザ装置100の出力の多少の変動は、問題にならない。また、シード光の出力の変化に対しては、発振用チャンバ10内の電極10a、10b間に印加する電圧や、チャンバ10内のガス圧の調整で、スペクトル性能を保持したままで十分補償される。さらに、スリット幅Wの変化によって、光のビームプロファイルやビームダイバージェンスも変化してしまうが、これらが問題になる場合には、伝播系に整形光学モジュールを配置すれば、これらビームプロファイルやビームダイバージェンスをほぼ一定に保持することが可能となる。
スリット80、81は、光軸に対して片側のみからスリット幅Wを変化させてもよく、光軸の両側からスリット幅Wを変化させてもよい。ただし、光軸の両側からスリット幅Wを変化させるようにした方が、制御性に優れている。
また、図40では、横方向にスリット幅Wが変化するスリット80、81を想定して説明したが、縦方向、つまり図2の図中上下方向にスリット幅Wが変化するスリットを用いても、同様に、スペクトル幅の制御が可能である。ただし、スリット幅Wの変化に対するスペクトル性能変化は、縦方向にスリット幅Wを変化させる場合に比べて横方向に変化させる方が小さいため、縦方向に変化するスリット80、81(図40)を使用した方が、制御性能上、望ましい。
図41の特性L15からわかるように、あるしきい値W0よりもスリット幅Wが狭くなると、スペクトル性能が悪化してしまう。この理由としては、グレーティング161に照射可能なビーム幅が狭くなってしまうためにグレーティング161の理論分解能が低下するためであると考えられる。また、上記しきい値W0よりもスリット幅Wが狭くなると、シード光の出力が大きく低減してしまう。したがって、しきい値W0よりもスリット幅が狭くなる領域で制御する利点は少ない。
また、あるしきい値W1(>W0)よりもスリット幅Wが大きい領域では、スリット幅の変化に対するスペクトル性能の変化は殆どない。この理由としては、この領域では、スリット幅がビーム幅よりも、太くなっているためであると考えられる。したがって、しきい値W1よりもスリット幅が広くなる領域で制御する利点は少ない。
そこで、上記各しきい値W0 〜 W1の間の領域で、スリット幅Wを変化させて、スペクトル幅を制御することが望ましい。そして、また、この領域W0 〜 W1では、スリット幅Wの変化(増加)に対して、スペクトル幅Δλは単調変化(増加)するため、制御特性上も望ましいものである。
図42は、スリット幅Wを調整することでスペクトル純度幅E95を安定化制御する本実施例14の処理手順を示している。図42は、図7のメインルーチン内の「E95アクチュエータによる安定化制御」(ステップ104)のサブルーチンに対応する。
すなわち、図7で説明したように、メインルーチンにおいて、第2モニタモジュール39で計測されたスペクトル純度幅E95の値が、第2許容幅E950±dE95よりも広くなった場合(第1許容幅E950±dE95(S)内において)(ステップ103の判断Yes)に、この図42に示すサブルーチンに入る。
図42に示すサブルーチンの処理は、図1に示すE95、波長コントローラ6、図40に示すコントローラ82で実行される。
図42に示すサブルーチンがスタートすると、まず、スペクトル純度幅E95が目標値より広くなったのか、狭くなったのかの判別、つまりE95>E950であるか否かが、E95、波長コントローラ6(図1)で計算される(ステップ1401)。
この判断の結果、E95>E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を狭くするために必要なスペクトル純度幅の差分E95−E950に相当する1ステップ当たりのスリット幅減少量−ΔWが計算され、これに応じてスリット80、81のスリット幅Wが調整される。上記スリット幅減少量−ΔWの値は、たとえば図41に示すスリット幅Wとスペクトル純度幅E95(Δλ)との相関関係L15から計算すればよい(ステップ1402)。
一方、ステップ1401の判断の結果、E95>E950でない場合には、スペクトル純度幅が目標値より狭くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を広くするために必要なスペクトル純度幅の差分E95−E950に相当する1ステップ当たりのスリット幅増加量+ΔWが計算され、これに応じてスリット80、81のスリット幅Wが調整される(ステップ1403)。
つぎに、スリット80、81のスリット幅Wをスリット幅減少量−ΔW若しくはスリット幅増加量+ΔWだけ変化させた結果、そのスリット幅が許容スリット幅W0〜W1(上限値W1、下限値W0)から外れたか(例えば下限値W0であれば、下限値W0を下回ったか)否かが判断される。たとえばスリット80、81のスリット幅の限度角W0、W1を検出するリミットスイッチが設けられ、リミットスイッチによってリミット(限度角)が検出されたか否かが判断される(ステップ1404)。
スリット80、81のスリット幅Wが、限度角W1を超えるか限度角W0を下回る場合(リミット検出)は、もはやスリット幅Wの調整ではスペクトル純度幅E95を安定化制御できないものと判定し、他のE95制御法に切り替えるか、制御不能信号をメインコントローラ4に送るかして、レーザ発振を停止する(ステップ1405)。
スリット80、81のスリット幅Wが、限度角W1を超えず限度角W0を下回っていない場合(リミット検出されない)であれば、安定化制御可能であり、そのまま、つぎのステップ1407に移行される。
ステップ1407では、図7のステップ101と同じく「スペクトル純度幅E95計測」のサブルーチン(図6、図10参照)に入り、スリット幅Wを変化させた後の実際のスペクトル純度幅E95が計測され(ステップ1407)、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)に入ったか否かが判断される(ステップ1408)。この結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)内に収まったならば、整形光学モジュールによって、シード光の光品位の補償や、シード光出力の補償が行われて(ステップ1411)、図7に示すメインルーチンに戻る(ステップ1409)。
一方、ステップ1408の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅(E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ1401に移行され、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そして、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まった時点で、整形光学モジュールによって、シード光の光品位の補償や、シード光出力の補償が行われて(ステップ1411)、図7のメインルーチンに戻される(ステップ1409)。
なお、上記ステップ1411の補償処理は、必要に応じて実行すればよく、これを省略する実施も可能である。
特に、2ステージレーザ装置2では、1ステージレーザ装置と異なり、発振用レーザ装置100で低下したビーム品位を増幅用レーザ装置300で調整して、補償することも可能である。
(実施例15;発振用チャンバ内の放電により発生する音響波の伝搬速度の制御によるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
本実施例では、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95をスペクトル純度幅計測手段で計測し、計測されたスペクトル純度幅E95が、目標スペクトル純度幅E950の許容幅E950±dE95内に収まるように、発振用チャンバ内の放電により発生する音響波の伝搬速度を制御することで、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95を安定化制御するものである。
この実施例15では、発振用レーザ装置100で発振されるシード光の発振周波数を検出する発振周波数検出手段と、発振用チャンバ10内のレーザガスの温度を変化させるレーザガス温度変化手段とが備えられ、シード光の発振周波数と発振用チャンバ10内のレーザガスの温度とスペクトル純度幅E95との関係に基づいて、検出されたシード光の発振周波数に応じてレーザガス温度を変化させて、増幅用レーザ装置300から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅E95を安定化制御するものである。
まず、本実施例に適用される原理について説明する。
発振用チャンバ10内のガス温度が変化することによって、スペクトル純度幅E95が変化する。この理由は、放電により発生する音響波がレーザ光路上の粒子密度分布を変化させレーザ波面を変化させるためである。ガス温度T[K]は、音響波の伝播速度vとの間で、
v ∝(T)1/2
という関係が成立する。このため、ガス温度を変化させると、音響波の伝播速度が変化し、レーザ光路上の粒子密度分布が変化し、レーザ波面が変化して、最終的には、スペクトル純度幅E95が変化する。
また、発振周波数の変化は、音響波に影響を与えるため、発振周波数に応じて、上述したガス温度とスペクトル純度幅E95との関係も変化する。
図43は、発振周波数の変化に応じてスペクトル純度幅E95が変化する様子を示すグラフであり、ガス温度を20℃、40℃、60℃と変化させた場合の各特性を示している。同図43からわかるように、発振用レーザ装置100が、ある周波数で発振しているときに、発振用チャンバ10内のガス温度を変化させれば、それに応じてスペクトル純度幅E95が変化し、目標とする値にすることができる。
図44は、ガス温度(゜C)とスペクトル純度幅E95の関係を、各発振周波数毎に示している。特性L16は、発振周波数が3.6kHzの場合のガス温度(゜C)とスペクトル純度幅E95の関係を示し、特性L17は、発振周波数が3.7kHzの場合のガス温度(゜C)とスペクトル純度幅E95の関係を示し、特性L17は、発振周波数が4kHzの場合のガス温度(゜C)とスペクトル純度幅E95の関係を示している。
このように発振周波数によって、ガス温度とスペクトル純度幅E95の関係が変化するため、実際に制御する際には、データベースに、各周波数におけるガス温度とスペクトル純度幅E95の相関関係(L16、L17、L18)を記憶しておき、現在の発振周波数に対応する相関関係を読み出し、この読み出した相関関係に基づいて、ガス温度を変化させて、スペクトル純度幅E95を制御すればよい。したがって、実際のスペクトル純度幅の制御は、レーザガス温度の制御として行われる。
つぎに、本実施例に用いられる、レーザガス温度を検出する温度センサT1の構成例について説明する。
発振用チャンバ10内のガス温度を検出するための測定器としては、熱電対や測温抵抗体などを用いることができる。また、ファイバー温度計や赤外線温度計などを使用してもよい。
図45〜図48は、発振用チャンバ10への温度センサT1の装着態様を示す。
図45では、発振用チャンバ10の内側へ突出したシース91に、温度センサT1を取り付けている。温度センサT1の検出信号は、ユーティリティコントローラ5に入力される(図1)。シース91は、温度センサT1の温度に対する感度を良くするために、レーザガスと反応しない材質で、熱伝導率が高く、かつなるべく薄く作られていることが好ましい。シース91は、O-リングまたは溶接などによって、チャンバ10外部とシールされ、チャンバ10の内部のレーザガスと接するようにチャンバ隔壁90に取り付けられる。なお、温度センサT1自体がレーザガスと反応しない材質から作られているならば、シース91は不要ある。
図46は、温度センサT1の装着位置を例示している。
温度センサT1は、チャンバ隔壁90のうち、好ましくは電極10a、10bの近傍位置90A、90Bに配置される。また、クロスフローファン10cの近傍位置90C、90Dに、温度センサT1を配置してもよい。
図45では、シース91を介して温度センサT1がレーザガスに接するように構成しているが、図47に示すように、チャンバ隔壁90に温度センサT1が接するように装着して、チャンバ隔壁90の温度をレーザガスの温度として検出してもよい。ただし、温度センサT1の周囲を断熱材92で覆うことが、安定した温度測定を行う上で望ましい。
また、図48に示すように、温度センサT1が装着される場所のチャンバ隔壁90を薄くすることで、温度に対する応答性を一層向上させることができる。
以上は温度センサT1でレーザガスを検出する場合であるが、発振用チャンバ10の圧力を計測して圧力から温度を算出する実施も可能である。
つぎに、レーザガス温度を変化させる手段の構成例について説明する。
図2で説明したように、発振用チャンバ10には、一般的に、レーザガスを冷却するために熱交換器10dが内蔵されている。
図49は、熱交換器10dに流れる冷却水の流量を調節することによって、ガス温度を変化させる構成を示している。熱交換器10に冷却水を供給する冷却水供給路15a上には、バルブ15bが設けられている。
すなわち、ガス温度が温度センサT1で検出されると、温度検出信号はユーティリティコントローラ5に送られる。ユーティリティコントローラ5の内部では、レーザガス温度をフィードバック信号としPID制御などを用いて、目標とするレーザガス温度にするために必要な冷却水流量を算出し、冷却水流量に対応するバルブ開度を算出する演算処理が実行される。 そして、ユーティリティコンローラ5は、バルブ開度信号を、冷却水供給ユニット15のバルブ15bに対して送出する。これによりバルブ15bの弁開度が調整されて、必要な流量の冷却水が、熱交換器10dに供給される。
図50は、冷却水供給路15a上に、温調器93を設けた構成例を示している。図50の場合も図49の構成例と同様にして、ユーティリティコントローラ5で、目標とするレーザガス温度にするために必要な温調器93の操作量を算出する演算処理が実行されて、操作信号が冷却水供給ユニット15の温調器93に対して送出される。これにより温調器93が操作されて、冷却水供給路15aを流れる冷却水の温度が調整される。図50の構成例によれば、レーザガス温度を目標値へ近づける制御の応答性が向上する。
図51、52は、発振用チャンバ10に装着したヒータでレーザガス温度を変化させる構成例を示しており、この場合も、図49、図50と同様に、コントローラからヒータに対して操作信号を送出することでレーザガスの温度が制御される。
図51では、発振用チャンバ10の隔壁90の外側に、マントルヒータやセラミックヒータなどのヒータ94が装着され、ヒータ94に供給される電力を調整することで、チャンバ10内部のレーザガスの温度が制御される。
望ましくは、図52に示すように、発振用チャンバ10の内側にヒータ95を装着する。図52では、チャンバ隔壁90の内側であって電極10aの近傍に、
カートリッジヒータなどのヒータ95が装着される。なお、レーザガスと反応しないように、ヒータ95をシースによって覆うことが望ましい。
つぎに、発振周波数を検出する手段の構成例について説明する。
通常、レーザの発振周波数は、ステッパ・スキャナが決定する。その際、具体的に露光装置3から発振周波数の値を発振用レーザ装置100に指示する場合(例えば2100Hzなど)と、レーザ発振のトリガ信号(たとえば矩形波)が発振用レーザ装置100内部に送られ、そのタイミングで発振するようになっている場合とがある。
前者の場合では、実際の発振周波数が露光装置3から指示されるので発振用レーザ装置100内部のコントローラでは、現在発振している発振周波数を知ることができる。後者の場合では、露光装置3からトリガ信号が送られてくるだけなので、発振用レーザ装置100内部のコントローラで現在発振している発振周波数を知ることはできない。
そこで、後者の場合には、発振用レーザ装置100内部のコントローラに、トリガ信号の周期の間隔やある時間内のトリガ信号の数のカウント値などから現在の発振周波数を算出する機能が必要になる。ただし、発振周波数が変更した後に遅れて変更前の発振周波数に基づく制御を行うと、スペクトル純度幅E95が許容幅dE95から外れる可能性があるので、発振周波数が変わる前に、変更する発振周波数を取得できるようにすることが好ましい。
図53は、レーザガス温度を調整することでスペクトル純度幅E95を安定化制御する本実施例15の処理手順を示している。図53は、図7のメインルーチン内の「E95アクチュエータによる安定化制御」(ステップ104)のサブルーチンに対応する。
すなわち、図7で説明したように、メインルーチンにおいて、第2モニタモジュール39で計測されたスペクトル純度幅E95の値が、第2許容幅E950±dE95よりも広くなった場合(第1許容幅E950±dE95(S)内において)(ステップ103の判断Yes)に、この図53に示すサブルーチンに入る。
図53に示すサブルーチンの処理は、図1に示すE95、波長コントローラ6、ユーティリティコントローラ5、メインコントローラ4で実行される。
図53に示すサブルーチンがスタートすると、まず、発振用レーザ装置100で発振されるシード光の発振周波数fがメインコントローラ4で検出(認識)される。この発信周波数fは、E95、波長コントローラ6に送られる(ステップ1510)。
つぎに、スペクトル純度幅E95が目標値より広くなったのか、狭くなったのかの判別、つまりE95>E950であるか否かが、E95、波長コントローラ6で計算される(ステップ1501)。
この判断の結果、E95>E950である場合には、スペクトル純度幅が目標値より広くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を狭くするために必要なガス温度Tが算出される。具体的には、図44に示す各発振周波数毎のガス温度Tとスペクトル純度幅E95との関係がデータベースに記憶されており、現在、検出された発振周波数fにおいて目標スペクトル純度幅E950にするために必要なガス温度Tが読み出される。なお、ガス温度Tとスペクトル純度幅E95との対応関係は、図44に特性L16〜L18で例示するように様々なカーブを描く。ガス温度の制御範囲内で単調増加か単調減少であれば、目標スペクトル純度幅E950に対応するガス温度Tは一つしか存在しないが、極小値か、極大値を持つ相関関係であれば、目標スペクトル純度幅E950に対応するガス温度Tは2つ以上存在する。このような場合には、いずれのガス温度Tを選択してもよいが、制御を短時間で実施するには、現在検出されているガス温度に一番近いガス温度Tを選択するのが望ましい(ステップ1502)。
一方、ステップ1501の判断の結果、E95>E950でない場合には、スペクトル純度幅が目標値より狭くなった場合であるので、スペクトル純度幅E95を広くするために必要なガス温度Tが同様にして算出される(ステップ1503)。
つぎに、上記算出されたガス温度Tが制御可能な範囲を超えたか(リミット検出)否かが判断される(ステップ1504)。
算出されたガス温度Tが制御可能な範囲を超えた(リミット検出)場合は、もはやレーザガス温度の調整ではスペクトル純度幅E95を安定化制御できないものと判定し、他のE95制御法に切り替えるか、制御不能信号をメインコントローラ4に送るかして、レーザ発振を停止する(ステップ1505)。
算出されたガス温度Tが制御可能な範囲を超えていない場合(リミット検出されない)であれば、安定化制御可能であり、そのまま、つぎのステップ1506に移行される。
つぎのステップ1506では、制御指令信号がメインコントローラ4を介してユーティリティコントローラ5に送られ、ユーティリティコントローラ5は、冷却水供給ユニット15等のガス温度変化手段を介して、レーザガス温度を制御する。すなわち、温度センサT1で検出された現在のレーザガス温度をフィードバック量として、目標とするガス温度Tに一致させる制御を実行する(ステップ1506)。
つぎのステップ1507では、図7のステップ101と同じく「スペクトル純度幅E95計測」のサブルーチン(図6、図10参照)に入り、発振用チャンバ10内のガス温度を変化させた後の実際のスペクトル純度幅E95が計測され(ステップ1507)、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)に入ったか否かが判断される(ステップ1508)。この結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅内(E950±dE95)内に収まったならば、図7に示すメインルーチンに戻る(ステップ1509)。
一方、ステップ1508の判断の結果、計測されたスペクトル純度幅E95が第2許容幅(E950±dE95)内に収まっていない場合には、再度、ステップ1510に移行され、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まるように、このサブルーチンが繰り返される。そして、スペクトル純度幅E95が第2許容幅内に収まった時点で、図7のメインルーチンに戻される(ステップ1509)。
(実施例16、17;発振用レーザ装置100から出力されるシード光のスペクトル純度幅を変化させ(パルス波形を変化させ)、かつ放電タイミングも変化させる制御(制御手段3))を行うことによるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
前述した実施例1(図13)は、放電タイミングを変化させることでレーザ光のスペクトル純度幅E95の安定化制御するというものであった。また、前述した実施例3〜7、9、10は、シード光のパルス波形を変化させ、それによりシード光のパルス波形の立ち上がり時期を変化させ、それによりシード光のスペクトル純度幅を変化させることで、レーザ光のスペクトル純度幅E95の安定化制御するというものであった。この実施例16、17では、これら両制御を組み合わせた制御を行うものである。本実施例によれば、上記両制御を組み合わせて実施することで、相乗効果により、放電タイミングdtの制御幅(同期許容幅)が拡大し、制御性が一層向上する。
図56は、放電タイミングを変化させる制御とパルス波形を変化させる(パルス立ち上がり時期を変化させる)制御とを組み合わせた場合の効果を説明するために用いるタイミングチャートであり、横軸を時間とし縦軸をシード光出力(強度)として、シード光のパルス波形を示している。
図56(a)は、放電タイミングを遅延させ、さらにシード光のパルス波形を遅延させることで、スペクトル純度幅E95を小さくする場合を説明する図であり、図56(b)は、放電タイミングを早め、さらにシード光のパルス波形を早めることで、スペクトル純度幅E95を大きくする場合を説明する図である。
図56(a)は、図5で説明した効果と、図15で説明した効果を組み合わせた効果を示している。すなわち、矢印3Aにて示すように、放電タイミングを遅延させることで、シード光のパルス波形L3のうち、増幅されるべきシード光波長部分が、スペクトル純度幅が太くなる部分L31からスペクトル純度幅が細くなる部分L32に移行する(図5で説明した効果)。更に、矢印3Bにて示すように、シード光のパルス波形をL3からL3′に遅延させることで、パルス波形L3′のうち、更にスペクトル純度幅が細くなる部分L32′に移行する(図15で説明した効果)。
スペクトル純度幅E95を大きくする場合も同様であり、図56(b)の矢印13Aにて示すように、放電タイミングを早めることで、シード光のパルス波形L3のうち、増幅されるべきシード光波長部分が、スペクトル純度幅が細くなる部分L32からスペクトル純度幅が太くなる部分L31に移行する(図5で説明した効果)。更に、矢印13Bにて示すように、シード光のパルス波形をL3からL3″に早めることで、パルス波形L3″のうち、更にスペクトル純度幅が太くなる部分L31″に移行する(図15で説明した効果)。
この結果、放電タイミングdtの制御幅、つまりレーザ出力が許容レベル以上となっている同期許容幅は、3Cから3Dに一層拡大され、制御性が飛躍的に向上する。
図58は、本実施例16の処理手順を示している。図58は、図7のメインルーチン内の「E95アクチュエータによる安定化制御」(ステップ104)のサブルーチンに対応する。
図58は、実施例1(放電タイミングの制御)と実施例3〜7、9、10(パルス波形の制御)とを組み合わせた処理内容を示している。既に説明したフローチャートの説明と重複する部分については説明を省略し、対応する箇所を指摘して説明に代える。パルス波形の制御については実施例4(図18)を代表させて説明する。
図58のステップ1601、1605、1607、1608、1609は、実施例1(図13)のステップ401、405、407、408、409と同様である。
図58のステップ1602では、実施例4(図18)のフローチャートと同様に、シード光のパルス波形の立ち上がりを遅くするステップ502、506の処理が実行される。あるいは、他の実施例5〜7、9、10のフローチャートの対応するステップと同様の処理が実行される。
図58のステップ1603では、実施例4(図18)のフローチャートと同様に、シード光のパルス波形の立ち上がりを早くするステップ503、506の処理が実行される。あるいは、他の実施例5〜7、9、10のフローチャートの対応するステップと同様の処理が実行される。
図58のステップ1612では、実施例1(図13)のフローチャートと同様に、放電タイミングの間隔を大きくするステップ402、406の処理が実行される。
図58のステップ1613では、実施例1(図13)のフローチャートと同様に、放電タイミングの間隔を小さくするステップ403、406の処理が実行される。
図58のステップ1604では、放電タイミングに関してリミットが検出されたか否かが判断されるとともに(図13;ステップ404)、パルス波形を変化させるパラメータであるF2濃度(あるいは他の実施例5〜7、9、10における対応するパラメータ)に関してリミットが検出されたか否かが判断される(図18;ステップ504(あるいは他の実施例5〜7、9、10のフローチャートの対応するステップ))。
図58の実施例16のフローチャートでは、リミット検出判断処理(ステップ1604)を、シード光のパルスを変化させ、かつ放電タイミングを変化させた後に行うようにして、リミットが検出された場合に、制御不能処理(ステップ1605)を行うようにしているが、図60に示すように、シード光のパルス波形を変化させた後で、リミット検出の判断を行い、その後に放電タイミングを変化させる処理を行うようにして、制御不能処理を省略する実施も可能である。
図60は、図58に示す実施例16のフローチャートを変形した実施例17のフローチャートを示している。
図60では、ステップ1701の処理と、ステップ1707、1708、1709の処理は、図58の対応するステップ1601と、ステップ1607、1608、1609の処理と同様な手順で実行されるが、ステップ1701と、ステップ1707〜1709との間に行われる処理手順は、図58とは異なっている。
すなわち、図60では、ステップ1701の処理を経て、ステップ1702では、図58のステップ1602と同様に、シード光のパルス波形の立ち上がりを遅くする処理が実行されるが、つぎに、パルス波形を変化させるパラメータであるF2濃度(あるいは他の実施例5〜7、9、10における対応するパラメータ)に関して、リミットが検出されたか否かが判断される(ステップ1704)。その結果、リミットが検出されたならば、制御不能とするのではなく、図58のステップ1612と同様に、放電タイミングの間隔を大きくする処理が実行されて(ステップ1712)、つぎのステップ1707に移行される。リミットが検出されなければ、放電タイミングの制御を行うことなく、そのままステップ1707に移行される。
同様にして、ステップ1701の処理を経て、ステップ1703では、図58のステップ1603と同様に、シード光のパルス波形の立ち上がりを早くする処理が実行されるが、つぎに、パルス波形を変化させるパラメータであるF2濃度(あるいは他の実施例5〜7、9、10における対応するパラメータ)に関して、リミットが検出されたか否かが判断される(ステップ1705)。その結果、リミットが検出されたならば、制御不能とするのではなく、図58のステップ1613と同様に、放電タイミングの間隔を小さくする処理が実行されて(ステップ1713)、つぎのステップ1707に移行される。リミットが検出されなければ、放電タイミングの制御を行うことなく、そのままステップ1707に移行される。
図60では、パルス波形を変化させた後で(ステップ1702、1703)、リミットが検出されたか否かを判断して(ステップ1704、1705)、その結果に応じて放電タイミングを変化させるようにしている(ステップ1712、1713)が、逆に、放電タイミングを変化させた後で、リミットが検出されたか否かを判断して、その結果に応じてパルス波形を変化させる手順で制御を行うようにしてもよい。
上述した実施例16、17によれば、放電タイミングを変化させる制御とパルス波形を変化させる(パルス立ち上がり時期を変化させる)制御とを組み合わせて実施することで、相乗効果により、放電タイミングdtの制御幅(同期許容幅)が拡大し、制御性が一層向上する。更に、実施例2の制御、つまりシード光をパルスストレッチする実施例と組み合わせてもよい。図14で説明したように、シード光をパルスストレッチさせ、シード光のパルス幅が長くすると、同期許容幅が一層長くなり、制御性を更に向上させることができる。
なお、前述したフッ素濃度等のパラメータを変化させてパルス波形を制御する実施例4等(実施例5〜7、10、11)のフローチャートでは、リミットが検出された場合に、レーザ発振を停止させる等、制御不能の処理を行うようにしているが(実施例4の場合は、図18のステップ505)、図60と同様に、リミットが検出された場合に、放電タイミングを変化させる制御(ステップ1712、1713)に切り替えるようにしてもよい。
(実施例18、19;発振用レーザ装置100から出力されるシード光のスペクトル純度幅を変化させ(狭帯域化性能を変化させ、あるいは音響波の伝搬速度を変化させ)、かつ放電タイミングも変化させる制御(制御手段3))を行うことによるスペクトル純度幅E95の安定化制御)
前述した実施例1(図13)は、放電タイミングを変化させることでレーザ光のスペクトル純度幅E95の安定化制御するというものであった。また、前述した実施例11〜14、15は、発振用レーザ装置100の狭帯域化性能を変化させたり、あるいは発振用チャンバ10内の放電により発生する音響波の伝搬速度を変化させたりしてシード光のスペクトル純度幅を変化させることで、レーザ光のスペクトル純度幅E95の安定化制御するというものであった。この実施例18、19では、これら両制御を組み合わせた制御を行うものである。本実施例によれば、上記両制御を組み合わせて実施することで、相乗効果により、スペクトル純度幅E95の制御幅が拡大し、制御性が一層向上する。
図57は、放電タイミングを変化させる制御とシード光のスペクトル純度幅を変化させる制御(狭帯域化性能を変化させる制御、あるいは音響波の伝搬速度を変化させる制御)とを組み合わせた場合の効果を説明するために用いた図であり、前述した図4と同様に、横軸を放電タイミングdtとし縦軸をスペクトル純度幅E95で示している。
図57における特性L1は、図4に示す特性L1に相当する。
目標スペクトル純度幅E950に一致させるべくスペクトル純度幅E95を大きくする場合には、まず、シード光のスペクトル純度幅を大きくする制御を行う。これにより、特性L1から、よりスペクトル純度幅が大きくなる特性L1Aに変化する。更に、スペクトル純度幅E95を大きくするために放電タイミングdtを減少させる制御を行う。これにより特性L1A上で、放電タイミングが減少する方向に変化する。
また、目標スペクトル純度幅E950に一致させるべくスペクトル純度幅E95を小さくする場合には、まず、シード光のスペクトル純度幅を小さくする制御を行う。これにより、特性L1から、よりスペクトル純度幅が小さくなる特性L1Bに変化する。更に、スペクトル純度幅E95を小さくするために放電タイミングdtを増加させる制御を行う。これにより特性L1B上で、放電タイミングが増加する方向に変化する。
そこで、シード光のスペクトル純度幅を変化させる制御のみを行った場合のスペクトル純度幅E95の制御幅1Aと、シード光のスペクトル純度幅を変化させる制御と放電タイミングdtを変化させる制御とを組み合わせた場合の制御幅1Bを比較すると、両制御を組み合わせた方が、同じ同期許容幅内(横軸)であればスペクトル純度幅E95の制御幅(縦軸)が拡大しているのが、読み取れる。
このように、両制御を組み合わせた制御を行うことで、同じ同期許容幅内で、スペクトル純度幅E95を振れる範囲が一層拡大され、制御性が飛躍的に向上する。
図59は、本実施例18の処理手順を示している。図58は、図7のメインルーチン内の「E95アクチュエータによる安定化制御」(ステップ104)のサブルーチンに対応する。
図59は、実施例1(放電タイミングの制御)と実施例11〜14、15(パシード光のスペクトル純度幅の制御)とを組み合わせた処理内容を示している。既に説明したフローチャートの説明と重複する部分については説明を省略し、対応する箇所を指摘して説明に代える。シード光のスペクトル純度幅の制御については実施例11(図30)を代表させて説明する。
図59のステップ1801、1805、1807、1808、1809は、実施例1(図13)のステップ401、405、407、408、409と同様である。
図59のステップ1802では、実施例11(図30)のフローチャートと同様に、シード光のスペクトル純度幅を小さくするステップ902、906の処理が実行される。あるいは、他の実施例12〜14、15のフローチャートの対応するステップと同様の処理が実行される。
図59のステップ1803では、実施例11(図30)のフローチャートと同様に、シード光のスペクトル純度幅を大きくするステップ903、906の処理が実行される。あるいは、他の実施例12〜14、15のフローチャートの対応するステップと同様の処理が実行される。
図59のステップ1812では、実施例1(図13)のフローチャートと同様に、放電タイミングの間隔を大きくするステップ402、406の処理が実行される。
図59のステップ1813では、実施例1(図13)のフローチャートと同様に、放電タイミングの間隔を小さくするステップ403、406の処理が実行される。
図59のステップ1804では、放電タイミングに関してリミットが検出されたか否かが判断されるとともに(図13;ステップ404)、シード光のスペクトル純度幅を変化させるパラメータであるグレーティングの曲率半径(あるいは他の実施例12〜14、15における対応するパラメータ)に関してリミットが検出されたか否かが判断される(図30;ステップ904(あるいは他の実施例12〜14、15のフローチャートの対応するステップ))。
図59の実施例18のフローチャートでは、リミット検出判断処理(ステップ1804)を、シード光のスペクトル純度幅を変化させ、かつ放電タイミングを変化させた後に行うようにして、リミットが検出された場合に、制御不能処理(ステップ1805)を行うようにしているが、図61に示すように、シード光のスペクトル純度幅を変化させた後で、リミット検出の判断を行い、その後に放電タイミングを変化させる処理を行うようにして、制御不能処理を省略する実施も可能である。
図61は、図59に示す実施例18のフローチャートを変形した実施例19のフローチャートを示している。
図61では、ステップ1901の処理と、ステップ1907、1908、1909の処理は、図59の対応するステップ1801と、ステップ1807、1808、1809の処理と同様な手順で実行されるが、ステップ1901と、ステップ1907〜1909との間に行われる処理手順は、図59とは異なっている。
すなわち、図61では、ステップ1901の処理を経て、ステップ1902では、図59のステップ1802と同様に、シード光のスペクトル純度幅を小さくする処理が実行されるが、つぎに、シード光のスペクトル純度幅を変化させるパラメータであるグレーティングの曲率半径(あるいは他の実施例12〜14、15における対応するパラメータ)に関して、リミットが検出されたか否かが判断される(ステップ1904)。その結果、リミットが検出されたならば、制御不能とするのではなく、図59のステップ1812と同様に、放電タイミングの間隔を大きくする処理が実行されて(ステップ1912)、つぎのステップ1907に移行される。リミットが検出されなければ、放電タイミングの制御を行うことなく、そのままステップ1907に移行される。
同様にして、ステップ1901の処理を経て、ステップ1903では、図59のステップ1803と同様に、シード光のスペクトル純度幅を大きくする処理が実行されるが、つぎに、シード光のスペクトル純度幅を変化させるパラメータであるグレーティングの曲率半径(あるいは他の実施例12〜14、15における対応するパラメータ)に関して、リミットが検出されたか否かが判断される(ステップ1905)。その結果、リミットが検出されたならば、制御不能とするのではなく、図59のステップ1813と同様に、放電タイミングの間隔を小さくする処理が実行されて(ステップ1913)、つぎのステップ1907に移行される。リミットが検出されなければ、放電タイミングの制御を行うことなく、そのままステップ1907に移行される。
図61では、シード光のスペクトル純度幅を変化させた後で(ステップ1902、1903)、リミットが検出されたか否かを判断して(ステップ1904、1905)、その結果に応じて放電タイミングを変化させるようにしている(ステップ1912、1913)が、逆に、放電タイミングを変化させた後で、リミットが検出されたか否かを判断して、その結果に応じてシード光のスペクトル純度幅を変化させる手順で制御を行うようにしてもよい。
上述した実施例18、19によれば、放電タイミングを変化させる制御とシード光のスペクトル純度幅を変化させる制御(狭帯域化性能を変化させる制御、あるいは音響波の伝搬速度を変化させる制御)とを組み合わせて実施することで、相乗効果により、同じ同期許容幅内で、スペクトル純度幅E95を振れる範囲が一層拡大され、制御性が飛躍的に向上する。
なお、前述したグレーティングの曲率半径等のパラメータを変化させてシード光のスペクトル純度幅を制御する実施例11等(実施例12〜14、15)のフローチャートでは、リミットが検出された場合に、レーザ発振を停止させる等、制御不能の処理を行うようにしているが(実施例11の場合は、図30のステップ905)、図61と同様に、リミットが検出された場合に、放電タイミングを変化させる制御(ステップ1912、1913)に切り替えるようにしてもよい。
本発明は、2ステージレーザ装置2を前提としているが、本実施形態の各種制御は、1ステージレーザ装置に適用することができる。
図1は本実施形態に係るレーザシステムの構成図である。 図2(a)、(b)は各チャンバ及びその近傍の構成図である。 図3(a)、(b)は電源の構成を電気回路で示す図である。 図4は放電タイミングとスペクトル純度幅の関係を示す図である。 図5はシード光のパルス波形と同期タイミングによるスペクトル純度幅が決定されることを説明する図である。 図6はスペクトル純度幅の計測サブルーチンを示すフローチャートである。 図7はスペクトル純度幅の安定化制御のメインルーチンを示すフローチャートである。 図8はモニタモジュールの構成図である。 図9は計測したスペクトル指標値と真値との相関関係を示す図である。 図10はスペクトル純度幅を計測するサブルーチンを示すフローチャートである。 図11(a)〜(j)はラウンドトリップ回数とレーザパルス波形及びスペクトル純度幅の関係を説明するために用いた図である。 図12はラウンドトリップ回数とスペクトル波形との関係を説明する図である。 図13は放電タイミング制御のサブルーチン(実施例1)を示すフローチャートである。 図14はパルスストレッチの効果を説明する図である。 図15はパルス波形制御によるスペクトルの変化を説明する図である。 図16はフッ素濃度とスペクトル純度幅、レーザ出力の関係を示す図である。 図17はフッ素濃度とレーザパルス波形の関係を示す図である。 図18はフッ素濃度の制御のサブルーチン(実施例4)のフローチャートである。 図19は全ガス圧力の制御のサブルーチン(実施例5)のフローチャートである。 図20は充電電圧の制御のサブルーチン(実施例6)のフローチャートである。 図21(a)、(b)はアウトプットカプラの反射率を変化させる方法を説明する図である。 図22(a)、(b)、(c)はコンデンサ容量による各パルス波形の変化を示す図である。 図23はピーキングコンデンサ容量とスペクトル純度幅の関係を示す図である。 図24はピーキングコンデンサの温度制御のサブルーチン(実施例9)のフローチャートである。 図25(a)、(b)、(c)はシード光のパルス波形の変化に対して放電タイミングが固定の場合の効果を説明する図である。 図26(a)、(b)、(c)はシード光のパルス波形の変化に合わせて放電タイミングを変化させた場合の効果を説明する図である。 図27はシード光のパルス波形の変化に合わせて放電タイミングを変化させる制御のサブルーチン(実施例8)のフローチャートである。 図28はグレーティングの曲率半径とスペクトル純度幅の関係を示す図である。 図29はグレーティングの曲げ機構を示す図である。 図30は波面修正によるスペクトル純度幅制御のサブルーチン(実施例11)をフローチャートで示す図である。 図31はディフォーマブルミラーによるレーザ波面制御システムを例示した図である。 図32はライン型のディフォーマブルミラーを示す図である。 図33はレーザ光波面の曲率半径とスペクトル純度幅の関係を示す図である。 図34は波面修正によるスペクトル純度幅制御のサブルーチン(実施例12)をフローチャートで示す図である。 図35(a)、(b)は拡大率(倍率)変更によるスペクトル純度幅制御を説明する図である。 図36は拡大率(倍率)変更によるスペクトル純度幅制御のサブルーチン(実施例13)をフローチャートで示す図である。 図37は拡大率を大きくする制御のサブルーチンをフローチャートで示す図である。 図38は拡大率を小さくする制御のサブルーチンをフローチャートで示す図である。 図39(a)、(b)は拡大率とスペクトル幅、発振用レーザ装置の出力との関係を示す図である。 図40はスリット幅によるスペクトル幅制御を説明する図である。 図41はスリット幅とスペクトル幅の関係を示す図である。 図42はスリット制御によるスペクトル純度幅制御のサブルーチン(実施例14)をフローチャートで示す図である。 図43は発振周波数とスペクトル純度幅がガス温度に依存して変化する様子を示す図である。 図44はガス温度とスペクトル純度幅の関係を示す図である。 図45は温度センサの構成例を示す図である。 図46は温度センサの構成例を示す図である。 図47は温度センサの構成例を示す図である。 図48は温度センサの構成例を示す図である。 図49はガス温度を変化させる構成を例示した図である。 図50はガス温度を変化させる構成を例示した図である。 図51はガス温度を変化させる構成を例示した図である。 図52はガス温度を変化させる構成を例示した図である。 図53はガス温度制御によるスペクトル純度幅制御のサブルーチンをフローチャート(実施例15)で示す図である。 図54は波面補正器を使用した狭帯域化モジュールの構成例を示す図である。 図55(a)、(b)は波面補正器の構成例を示す図である。 図56(a)、(b)は放電タイミングの制御とパルス波形制御の組合せの効果を説明する図である。 図57は放電タイミングの制御とシード光のスペクトル純度幅制御の組合せの効果を説明する図である。 図58はパルス波形制御と放電タイミング制御を組み合わせたスペクトル純度幅制御のサブルーチン(実施例16)をフローチャートで示す図である。 図59はシード光のスペクトル純度幅制御と放電タイミング制御を組み合わせたスペクトル純度幅制御のサブルーチン(実施例18)をフローチャートで示す図である。 図60はパルス波形制御と放電タイミング制御を組み合わせたスペクトル純度幅制御のサブルーチン(実施例17)をフローチャートで示す図である。 図61はシード光のスペクトル純度幅制御と放電タイミング制御を組み合わせたスペクトル純度幅制御のサブルーチン(実施例19)をフローチャートで示す図である。 図62(a)、(b)、(c)はMOPA方式の場合の増幅を説明する図である。 図63(a)、(b)、(c)はMOPO方式の場合の増幅を説明する図である。 図64は充電電圧およびレーザガス全圧とレーザパルス波形との関係を示す図である。
符号の説明
4…メインコントローラ
10…発振用チャンバ
30…増幅用チャンバ
100…発振用レーザ装置
300…増幅用レーザ装置

Claims (17)

  1. レーザ光を波長分散素子に数回通過させることによって、狭帯域化したシード光を出力する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ装置または増幅装置とを備えた狭帯域化レーザ装置において、
    前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅をスペクトル指標値として計測するスペクトル指標値計測手段と、
    計測されたスペクトル指標値の増加変動に応じて、前記発振用レーザ装置で放電を開始してから前記増幅用レーザ装置または増幅装置で放電を開始するまでの時間を長くするよう変化させ、計測されたスペクトル指標値の減少変動に応じて、前記発振用レーザ装置で放電を開始してから前記増幅用レーザ装置または増幅装置で放電を開始するまでの時間を短くするように変化させて、スペクトル指標値を目標スペクトル指標値に一致させる調整を行い、計測されたスペクトル指標値を目標スペクトル指標値の許容幅内に収める制御手段と
    を具えたことを特徴とする狭帯域化レーザ装置。
  2. レーザ光を波長分散素子に数回通過させることによって、狭帯域化したシード光を出力する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ装置または増幅装置とを備えた狭帯域化レーザ装置において、
    前記増幅用レーザ装置または増幅装置から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅をスペクトル指標値として計測するスペクトル指標値計測手段と、
    計測されたスペクトル指標値の増加変動に応じて、前記発振用レーザ装置で放電を開始してから前記増幅用レーザ装置または増幅装置で放電を開始するまでの時間を長くするよう変化させ、計測されたスペクトル指標値の減少変動に応じて、前記発振用レーザ装置で放電を開始してから前記増幅用レーザ装置または増幅装置で放電を開始するまでの時間を短くするように変化させるとともに、計測されたスペクトル指標値の変動に応じて、前記シード光のスペクトル純度幅を変化させて、スペクトル指標値を目標スペクトル指標値に一致させる調整を行い、計測されたスペクトル指標値を目標スペクトル指標値の許容幅内に収める制御手段と
    を具えたことを特徴とする狭帯域化レーザ装置。
  3. 前記目標スペクトル指標値の許容幅のうち、前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のエネルギーが許容レベル以上となる同期許容幅の範囲で、前記制御手段による制御が実行されること
    を特徴とする請求項1または2記載の狭帯域化レーザ装置。
  4. 前記シード光のレーザパルス波形を延長させるパルスストレッチ手段が更に備えられ、
    前記パルスストレッチ手段によって前記シード光のパルス波形を延長させることで、前記増幅用レーザ装置または増幅装置から出力されるレーザ光のエネルギーが許容レベル以上となる同期許容幅を拡大させること
    を特徴とする請求項1または2記載の狭帯域化レーザ装置。
  5. 前記制御手段は、発振用レーザ装置で放電を開始してからレーザパルスが立ち上がるまでの時間を変化させて、前記シード光のスペクトル純度幅を変化させるものであること
    を特徴とする請求項2記載の狭帯域化レーザ装置。
  6. 前記制御手段は、前記発振用チャンバ内のフッ素分子F2のモル濃度または分圧を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させて、前記シード光のスペクトル純度幅を変化させるものであること
    を特徴とする請求項2記載の狭帯域化レーザ装置。
  7. 前記制御手段は、前記発振用チャンバ内の全ガス圧力を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させて、前記シード光のスペクトル純度幅を変化させるものであること
    を特徴とする請求項2記載の狭帯域化レーザ装置。
  8. 前記発振用レーザ装置は、充電電圧に応じた電圧が一対の電極間に印加されることで主放電が行われるものであって、
    前記制御手段は、充電電圧を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させて、前記シード光のスペクトル純度幅を変化させるものであること
    を特徴とする請求項2記載の狭帯域化レーザ装置。
  9. 前記発振用レーザ装置は、
    一対の放電電極と電気的に並列に配置されたピーキングコンデンサと当該ピーキングコンデンサの前段に電気的に並列に配置された第2のコンデンサとを備えた充電回路を備え、前記第2のコンデンサに蓄えられた電荷を前記ピーキングコンデンサに移行させ、前記ピーキングコンデンサの充電電圧に応じた電圧が前記一対の電極に印加されることで放電が行われるものであって、
    前記ピーキングコンデンサまたは/および第2のコンデンサの容量、または/および前記ピーキングコンデンサに対する前記第2のコンデンサの容量比を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させて、前記シード光のスペクトル純度幅を変化させるものであること
    を特徴とする請求項2記載の狭帯域化レーザ装置。
  10. 前記発振用レーザ装置は、
    一対の放電電極と電気的に並列に配置された予備電離コンデンサを備えた充電回路を備え、前記予備電離コンデンサの充電電圧に応じて前記一対の電極間で予備電離が行われるものであって、
    前記予備電離コンデンサの容量を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させて、前記シード光のスペクトル純度幅を変化させるものであること
    を特徴とする請求項2記載の狭帯域化レーザ装置。
  11. 前記発振用レーザ装置には、
    前記発振用チャンバ内で発生した光を所定の反射率で前記発振用チャンバ内に戻すアウトプットカプラが備えられ、
    前記アウトプットカプラの反射率を変化させることで、シード光のパルス波形を変化させて、前記シード光のスペクトル純度幅を変化させるものであること
    を特徴とする請求項2記載の狭帯域化レーザ装置。
  12. レーザ光を波長分散素子に数回通過させることによって、狭帯域化したシード光を出力する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ装置または増幅装置とを備えた狭帯域化レーザ装置において、
    前記増幅用レーザ装置または増幅装置から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅をスペクトル指標値として計測するスペクトル指標値計測手段と、
    計測されたスペクトル指標値の増加変動に応じて、前記発振用レーザ装置で放電を開始してから前記増幅用レーザ装置または増幅装置で放電を開始するまでの時間を長くするよう変化させ、計測されたスペクトル指標値の減少変動に応じて、前記発振用レーザ装置で放電を開始してから前記増幅用レーザ装置または増幅装置で放電を開始するまでの時間を短くするように変化させるとともに、計測されたスペクトル指標値の変動に応じて、発振用チャンバ内で発生した光の波面、拡大率、ビーム幅からなる群から選択されるいずれ一つを変化させて、スペクトル指標値を目標スペクトル指標値に一致させる調整を行い、計測されたスペクトル指標値を目標スペクトル指標値の許容幅内に収める制御手段と
    を具えたことを特徴とする狭帯域化レーザ装置。
  13. 前記発振用レーザ装置には、
    前記発振用チャンバ内で発生した光の波面を変化させる波面変化手段が備えられ、
    前記波面変化手段によって前記発振用チャンバ内で発生した光の波面を変化させるものであること
    を特徴とする請求項12記載の狭帯域化レーザ装置。
  14. 前記発振用レーザ装置には、
    前記発振用チャンバ内で発生した光の拡大率を変化させる拡大率変化手段が備えられ、
    前記拡大率変化手段によって前記発振用チャンバ内で発生した光の拡大率を変化させるものであること
    を特徴とする請求項12記載の狭帯域化レーザ装置。
  15. 前記発振用レーザ装置には、
    前記発振用チャンバ内で発生した光のビーム幅を変化させるビーム幅変化手段が備えられ、
    前記ビーム幅変化手段によって前記発振用チャンバ内で発生した光のビーム幅を変化させるものであること
    を特徴とする請求項12記載の狭帯域化レーザ装置。
  16. レーザ光を波長分散素子に数回通過させることによって、狭帯域化したシード光を出力する発振用レーザ装置と、増幅用チャンバ内でレーザガスを放電することによりシード光を増幅して、増幅したレーザ光を出力する増幅用レーザ装置または増幅装置とを備えた狭帯域化レーザ装置において、
    前記増幅用レーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル純度幅をスペクトル指標値として計測するスペクトル指標値計測手段と、
    計測されたスペクトル指標値の増加変動に応じて、前記発振用レーザ装置で放電を開始してから前記増幅用レーザ装置または増幅装置で放電を開始するまでの時間を長くするよう変化させ、計測されたスペクトル指標値の減少変動に応じて、前記発振用レーザ装置で放電を開始してから前記増幅用レーザ装置または増幅装置で放電を開始するまでの時間を短くするように変化させるとともに、計測されたスペクトル指標値の変動に応じて、発振用チャンバ内の放電により発生する音響波の伝搬速度を変化させて、スペクトル指標値を目標スペクトル指標値に一致させる調整を行い、計測されたスペクトル指標値を目標スペクトル指標値の許容幅内に収める制御手段と
    を具えたことを特徴とする狭帯域化レーザ装置。
  17. 前記発振用レーザ装置で発振されるシード光の発振周波数を検出する発振周波数検出手段と、
    前記発振用チャンバ内のレーザガスの温度を変化させるレーザガス温度変化手段とが備えられ、
    シード光の発振周波数と前記発振用チャンバ内のレーザガスの温度とスペクトル指標値との関係に基づいて、検出されたシード光の発振周波数に応じてレーザガス温度を変化させて、計測されたスペクトル指標値を、目標スペクトル指標値の許容幅に収める制御が行われること
    を特徴とする請求項16記載の狭帯域化レーザ装置。
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