JP2021063946A - 感光性樹脂組成物および電子デバイスの製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物および電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】1〜3μm程度の膜厚で用いた場合に良好な接着力を得ることができる、接着性と感光性を有する樹脂組成物を提供する。【解決手段】アルカリ可溶性樹脂、感光剤および架橋剤を含み、特定の手順・測定条件のナノインデンテーション試験により得られる荷重−変位曲線から求められる弾性変形仕事率ηITが20〜45%である感光性樹脂組成物。また、この感光性樹脂組成物を用いた電子デバイスの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、感光性樹脂組成物および電子デバイスの製造方法に関する。より具体的には、感光性樹脂組成物と、それを用いた電子デバイスの製造方法に関する。
例えば電子デバイスの製造において、接着性があり、かつ、感光性がある樹脂組成物のニーズがある。ここで「感光性がある」とは、露光工程と現像工程とを含むフォトリソグラフィープロセスによりパターニング可能であることをいう。
フォトリソグラフィープロセスにより所望の形状にパターニングされた樹脂膜に対し、熱をかけながら基板や素子を圧着することで、電子デバイス中に接続構造を形成することができる。
接着性があり、かつ、感光性がある樹脂組成物の一例として、特許文献1には、アルカリ可溶性樹脂、光によって酸を発生する化合物、熱架橋剤、および、硬化促進剤を含有する、ポジ型感光性接着剤組成物が記載されている。特許文献1には、この組成物は、半導体チップ同士、又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材との接続において適切な流動性を発現すること等が記載されている。
別の例として、特許文献2には、アルカリ可溶性樹脂、光によって酸を発生する化合物、熱架橋剤、硬化促進剤、および、フェノール性水酸基を有する化合物を含有するポジ型感光性接着剤組成物が記載されている。特許文献2には、この組成物が、半導体チップ同士、又は、半導体チップと半導体チップ搭載用支持部材との接続に有用である旨が記載されている。
特開2017−122742号公報 特開2016−009159号公報
近年、電子デバイスの製造において、接着性と感光性を有する樹脂組成物を用いて、膜厚1〜3μm程度のかなり薄い膜を形成し、その薄い膜によって素子や基板を接着することが求められる場合がある。
しかし、従来の樹脂組成物の多くは、5〜150μm程度の膜厚で用いられる場合に適度な接着力が得られるように設計されている。本発明者らの知見によれば、従来の樹脂組成物を、1〜3μm程度の膜厚で用いた場合には、良好な接着力を得ることは難しかった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものである。本発明の目的の1つは、1〜3μm程度の膜厚で用いた場合に良好な接着力を得ることができる、接着性と感光性を有する樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
本発明によれば、
アルカリ可溶性樹脂、感光剤および架橋剤を含む感光性樹脂組成物であって、
以下手順のナノインデンテーション試験により得られる荷重−変位曲線から求められる弾性変形仕事率ηITが20〜45%である、感光性樹脂組成物
が提供される。
[手順]
(1)シリコンウエハ上に感光性樹脂組成物を塗布し、110℃で3分間プリベークして、15μm厚の樹脂膜を形成する。
(2)前記(1)で得られた樹脂膜を、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中に30秒間浸漬する。
(3)前記(2)の浸漬後の樹脂膜を純水で洗浄し、スピンにより乾燥させる。
(4)前記(3)の乾燥後の樹脂膜を、窒素雰囲気下で、100℃で30分加熱後に続けて130℃で30分加熱する。
(5)前記(4)の加熱後の樹脂膜を放冷して25℃にしたものを、シリコンウエハごと170℃の加熱ステージ上に置いて700秒加熱する。
(6)前記(5)の加熱を維持したまま、樹脂膜に、バーコビッチ型圧子で、10秒かけて最大荷重1mNまで荷重をかけ、その最大荷重で10秒保持し、その後10秒かけて除荷する条件でナノインデンテーション試験を行い、荷重−変位曲線を得る。
また、本発明によれば、
上記の感光性樹脂組成物により、基板表面に感光性樹脂膜を形成する膜形成工程と、
前記感光性樹脂膜をパターン露光する露光工程と、
露光された前記感光性樹脂膜を現像してパターニングされた樹脂膜を得る現像工程と、
前記パターニングされた樹脂膜を少なくとも加熱して、前記樹脂膜中に残存する感光剤を分解する感光剤分解工程と、
前記パターニングされた樹脂膜と、電子素子とを密着させ、加熱して接着する接着工程と
をこの順に含む、電子デバイスの製造方法
が提供される。
本発明によれば、1〜3μm程度の膜厚で用いた場合に良好な接着力を得ることができる、接着性と感光性を有する樹脂組成物が提供される。
ナノインデンテーション試験で得られる典型的な荷重−変位曲線を模式的に表した図である。 電子デバイスの製造方法の一例を説明するための図である。 実施例1の感光性樹脂組成物をナノインデンテーション試験したときの荷重−変位曲線の概形を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
本明細書中、「略」という用語は、特に明示的な説明の無い限りは、製造上の公差や組立て上のばらつき等を考慮した範囲を含むことを表す。
本明細書中、数値範囲の説明における「X〜Y」との表記は、特に断らない限り、X以上Y以下のことを表す。例えば、「1〜5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
本明細書における「電子装置」の語は、半導体チップ、半導体素子、プリント配線基板、電気回路ディスプレイ装置、情報通信端末、発光ダイオード、物理電池、化学電池など、電子工学の技術が適用された素子、デバイス、最終製品等を包含する意味で用いられる。
<感光性樹脂組成物>
本実施形態の感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂、感光剤および架橋剤を含む。
本実施形態の感光性樹脂組成物の、以下手順のナノインデンテーション試験により得られる荷重−変位曲線から求められる弾性変形仕事率ηITは、20〜45%である。
[手順]
(1)シリコンウエハ上に感光性樹脂組成物を塗布し、110℃で3分間プリベークして、15μm厚の樹脂膜を形成する。
(2)(1)で得られた樹脂膜を、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中に30秒間浸漬する。
(3)(2)の浸漬後の樹脂膜を純水で洗浄し、スピンにより乾燥させる。
(4)(3)の乾燥後の樹脂膜を、窒素雰囲気下で、100℃で30分加熱後に続けて130℃で30分加熱する。
(5)(4)の加熱後の樹脂膜を放冷して25℃にしたものを、シリコンウエハごと170℃の加熱ステージ上に置いて700秒加熱する。
(6)上記(5)の加熱を維持したまま(すなわち、170℃にて)、樹脂膜に、バーコビッチ型圧子で、10秒かけて最大荷重1mNまで荷重をかけ、その最大荷重で10秒保持し、その後10秒かけて除荷する条件でナノインデンテーション試験を行い、荷重−変位曲線を得る。
ηITは、20〜45%であればよいが、好ましくは25〜45%である。
本発明者らは、1〜3μm程度の薄い膜厚で用いた場合に良好な接着力を得ることができる感光性樹脂組成物の設計指針を、様々な観点から検討した。検討を通じ、本発明者らは、上記[手順]でのナノインデンテーション試験により求められる弾性変形仕事率ηITが、薄い膜厚における良好な接着性と関係していることを見出した。
ナノインデンテーション試験とは、小さな圧子を膜表面に超微小荷重で押し付け、押し込み深さを高分解能の変位計で直接測定する試験である。この試験により、極めて微小な領域の(すなわち局所的な)、硬さや弾性などの機械的特性を評価することができる。ナノインデンテーション試験により得られる機械的特性は、膜中の極めて微小な領域におけるものである。よって、同じ膜であっても、膜の機械的特性の評価でしばしば行われる「引っぱり試験」のように膜全体を変形させることで得られる機械的特性と、ナノインデンテーション試験により得られる機械的特性とは、異なる傾向を示す場合が多い。また、本実施形態の実施形態が意図するような薄膜の場合、そもそも、膜のみを単離して機械的特性を評価すること自体が難しい場合もあると考えられる。
ナノインデンテーション試験の規格としては、ISO14577が存在する。本明細書に記載されていない定義や測定条件については、ISO14577を参照することができる。
弾性変形仕事率ηITについてもISO14577に定義されているが、念のためここでも定義などを説明しておく。図1は、上記[手順]によるナノインデンテーション試験で得られる典型的な荷重−変位曲線を模式的に表した図である。図1において、全仕事量W:A−B−C−E−Aの面積、弾性変形仕事量W:D−C−E−Dの面積、と定義される。そして、弾性変形仕事率ηIT(%)は、(W/W)×100と定義される。
一般論として、樹脂膜のナノインデンテーション試験において、弾性変形仕事率ηITが大きいことは、おおよそ、樹脂膜に外力を加えたときの変形が、除荷後に元に戻りやすいことを意味する。一方、弾性変形仕事率ηITが小さいことは、おおよそ、樹脂膜が外力により塑性変形しやすいことを意味する。
ηITが45%以下となるように感光性樹脂組成物を設計することで、接着の際、樹脂膜が「適度に塑性変形」することができる。これにより、接着時の押圧で樹脂膜が十分に「濡れ広がり」、良好な接着強度が得られると考えられる。かつ/または、接着現象における「アンカー効果」を考えた場合、樹脂膜が適度に塑性変形して材料表面の微細な凹凸に入り込むことで、接着強度が高まるとも推測される。
ちなみに、従来の感光性樹脂組成物は、比較的大きな膜厚で用いられていたため、塑性変形性が不十分であっても、「厚み」により塑性変形性の不足をカバーできていたと考えられる。本実施形態の感光性樹脂組成物は、薄膜の状態において適度に塑性変形するという点で、特徴的である。
また、ηITが20%以上となるように感光性樹脂組成物を設計することで、接着の際の押圧により、樹脂膜が「過度に変形したり、破壊されたりすること」が抑えられると考えられる。そして、この結果として良好な接着性が得られると考えられる。ηITが20%未満であると、電子デバイス製造の際に、樹脂膜が必要な形をとどめない(フローしてしまう)問題も起こりうる。
特に、膜厚1〜3μmという薄膜によって基板や素子を接着する場合、樹脂膜の塑性変形性が大きすぎると、接着時の押圧により樹脂膜が「押し退けられ」て、基板や素子同士が「樹脂膜を介さずに接触」してしまう可能性がある。こうなってしまうと、接着不良が生じてしまう。本実施形態では、ηITが20%以上であることで、接着時の押圧による樹脂膜の過度な塑性変形が抑えられ、基板や素子同士が樹脂膜を介さずに接触することが抑えられると考えられる。
ちなみに、従来の樹脂組成物の多くは、5〜150μm程度という比較的大きな膜厚で用いられていたため、上記のように、接着時の押圧により樹脂膜が「押し退けられ」て、基板や素子同士が「樹脂膜を介さずに接触」する問題は、ほとんど生じなかったと考えられる。
念のため述べておくと、上記[手順]で行われるナノインデンテーション試験において、樹脂膜の膜厚は「15μm」であり、1〜3μmではない。これは、ナノインデンテーション試験の際の樹脂膜の膜厚が1〜3μmであると、基板の硬さのために、樹脂膜そのものの性質を適切に測定することができないことによる。
上記[手順]の試験において、樹脂膜の膜厚は15μmであるが、バーコビッチ型圧子の押し込み量は、通常1μm程度となる。よって、上記[手順]でのナノインデンテーション試験により得られるηIT等の値は、感光性樹脂組成物を膜厚1〜3μm程度で用いた場合の接着性と良く相関すると言いうる。
ちなみに、ある感光性樹脂組成物の濃度が薄すぎて、スピンコートや乾燥の条件のみによっては15μm厚の樹脂膜を形成しにくい場合は、感光性樹脂組成物中の成分が変質しないように注意しながら溶剤の一部を揮発させて濃度を高くし、そのうえで15μm厚の樹脂膜を形成するようにしてもよい。
ηITが20〜45%である感光性樹脂組成物を製造するためには、適切な素材の選択、各素材の配合量の適切な調整、適切な製造条件の選択、などが重要である。素材やその配合量の詳細については追って説明していく。
特に、本発明者らの知見として、アルカリ可溶性樹脂、感光剤および架橋剤に加え、後述の、(i)ポリカーボネート化合物、ポリエステル化合物およびポリエーテル化合物からなる群より選ばれる1または2以上の化合物、および/または、(ii)フェノキシ樹脂を用いることで、ηITが20〜45%である感光性樹脂組成物を設計しやすい。これら(i)(ii)の化合物の適度な柔軟性により、ηITが20〜45%に調整されやすいものと考えられる。
以下、本実施形態の感光性樹脂組成物の構成成分、物性、性状等に関する説明を続ける。
(アルカリ可溶性樹脂)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂を含む。
アルカリ可溶性樹脂は、例えば、フェノール樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリベンゾオキサゾール前駆体およびポリイミド前駆体等のアミド結合を有する前駆体、この前駆体を脱水閉環して得られる樹脂、等が挙げられる。
1種のみのアルカリ可溶性樹脂を用いてもよいし、2種以上のアルカリ可溶性樹脂を併用してもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物において、アルカリ可溶性樹脂は、環状オレフィン構造を有するモノマーに由来する構造単位、および/または、環状酸無水物構造を有するモノマーに由来する構造単位を含むものであることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂が環状オレフィン構造を有するモノマーに由来する構造単位を含むことで、得られる樹脂膜の耐熱性が向上する。これは、各種加熱を伴う電子デバイス製造への適用に望ましい性質である。
アルカリ可溶性樹脂が環状酸無水物構造を有するモノマーに由来する構造単位を含むことで、現像性(アルカリ現像液に対する溶解性)を高められる傾向にある。
以下、アルカリ可溶性樹脂が含むことができる構造単位について説明する。
・環状オレフィン構造を有するモノマーに由来する構造単位
環状オレフィン構造を有するモノマーに由来する構造単位としては、下記一般式(a1)で示される、ノルボルネン系モノマー由来の構造単位が、好ましく挙げられる。
一般式(a1)中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素、ハロゲン原子、または炭素数1〜30の有機基であり、nは0、1または2である。
Figure 2021063946
一般式(a1)中のR〜Rは、例えば、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、または炭素数1〜30の有機基であることができる。
〜Rは、好ましくは、それぞれ独立して水素、ハロゲン原子、または炭素数1〜10の有機基であり、より好ましくは、それぞれ独立して水素、ハロゲン原子、または炭素数1〜3の有機基であり、さらに好ましくは、それぞれ独立して水素、ハロゲン原子、または炭素数1の有機基である。
〜Rを構成する有機基(例えば炭素数1〜30の有機基)は、その構造中にO、N、S、PおよびSiから選択される1以上の原子を含んでいてもよい。また、R〜Rのうち、任意の2つが互いに結合して、アルキリデン基、単環又は多環構造を形成してもよい。
〜Rを構成する有機基としてより具体的には、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、ヘテロ環構造を含む基などが挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、アリル基、ペンテニル基、ビニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基等が挙げられる。
アルキリデン基としては、例えば、メチリデン基、エチリデン基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
アルカリル基としては、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の単環または多環のものが挙げられる。
ヘテロ環構造を含む基としては、例えば、エポキシ基を含む基、オキセタニル基を含む基等が挙げられる。
一態様として、R〜Rがアルキル基を含むことにより、感光性樹脂組成物を用いて形成される膜の製膜性を向上させることができる。また、R〜Rとしてアリール基を含むことにより、感光性樹脂組成物からなる膜について、リソグラフィ工程におけるアルカリ現像液を用いた現像の際の膜減りを抑えることができる。
一態様として、上述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環構造を含む基においては、1以上の水素原子が、ハロゲン原子等により置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。なかでもアルキル基の1以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されたハロアルキル基が好ましい。R〜Rの少なくともいずれか1つをハロアルキル基とすることで、感光性樹脂組成物で構成した膜の誘電率を低下させることができる。
一態様として、感光性樹脂組成物により形成される膜の光透過性を高める観点から、R、R、RおよびRのいずれかが水素であることが好ましく、R、R、RおよびRすべてが水素であることが特に好ましい。
一態様として、膜としたときの硬化性の向上、機械物性の向上、または接着性の更なる向上などを目的に、R〜Rの少なくとも1つが、ヘテロ環構造を含む基、より具体的にはエポキシ基を含む基またはオキセタニル基を含む基であることが好ましい。
エポキシ基を含む基としては、例えば、上述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基またはシクロアルキル基に対して、エポキシ基、グリシジル基またはグリシジルオキシ基(グリシドールのOH基から水素を除いた基)が置換した基が挙げられる。
オキセタニル基を含む基としては、例えば、上述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基またはシクロアルキル基に対して、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンのOH基から水素を除いた基が置換した基が挙げられる。
一態様として、アルカリ水溶液に対する溶解性を向上させること等を目的に、R〜Rの少なくとも1つが、カルボキシ基またはカルボキシ基を含む基であることが好ましい。
カルボキシ基を含む基としては、例えば、上述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基またはシクロアルキル基に対して、カルボキシ基が置換した基が挙げられる。
一般式(a1)中のnは、例えば、0、1または2であり、0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、環状オレフィン構造を有するモノマーに由来する構造単位を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。例えば、膜の硬化性や機械物性の向上と、アルカリ現像液に対する溶解性向上の両性能向上のため、アルカリ可溶性樹脂は、R〜Rの少なくとも1つがヘテロ環構造を含む基である構造単位と、R〜Rの少なくとも1つがカルボキシ基またはカルボキシ基を含む基である構造単位の両方を含んでもよい。
アルカリ可溶性樹脂が環状オレフィン構造を有するモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有比率は、樹脂中の全構造単位を基準として、例えば5〜90mol%、好ましくは10〜80mol%である。
・環状酸無水物構造を有するモノマーに由来する構造単位
アルカリ可溶性樹脂が、環状酸無水物構造を有するモノマーに由来する構造単位を含むことで、特にアルカリ現像液に対する樹脂の溶解性を高めることができる。つまり、現像性を向上させることができる。
環状酸無水物構造を有するモノマーに由来する構造単位として、好ましくは、下記一般式(a2−1)、(a2−2)、(a2−3)または(a2−4)により示される構造単位を挙げることができる。
一般式(a2−1)および一般式(a2−2)中、R14、R15およびR16は、それぞれ独立して炭素数1〜30の有機基である。
Figure 2021063946
14、R15およびR16を構成する炭素数1〜30の有機基は、その構造中にO、N、S、P、Siのいずれか1以上を含んでいてもよい。また、R14、R15およびR16を構成する有機基は、酸性官能基を含まないものとすることができる。これにより、酸価の制御を容易とすることができる。
14、R15およびR16を構成する有機基としては、たとえばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、アリル基、ペンテニル基、ビニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基等が挙げられる。
アルキリデン基としては、例えば、メチリデン基、エチリデン基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
アルカリル基としては、例えば、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。
これらアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、シクロアルキル基、およびヘテロ環基においては、1以上の水素原子が、ハロゲン原子により置換されていてもよい。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。なかでもアルキル基の1以上の水素原子が、ハロゲン原子に置換されたハロアルキル基が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、少なくとも、一般式(a2−1)および/または一般式(a2−3)で示される構造単位を含むことが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、一般式(a2−1)、(a2−2)、(a2−3)または(a2−4)により示される構造単位のうち、1種のみを含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
念のため述べておくと、一般式(a2−1)、(a2−2)および(a2−4)で表される構造単位は、例えば以下のようにしてアルカリ可溶性樹脂中に導入することができる。
(i)まず、一般式(a2−3)で表される構造単位をアルカリ可溶性樹脂中に導入する。
(ii)その後、その構造単位を適当な手段・条件で開環させる。
上記(ii)についてもう少し具体的に説明すると、例えば、一般式(a2−3)で表される構造単位を含む樹脂に、1価のアルコールが作用することで、一般式(a2−3)で表される構造単位の一部が、一般式(a2−1)で表される構造単位に変化する。
もちろん、重合の際に、一般式(a2−1)、(a2−2)または(a2−4)で表される構造単位に直接対応するモノマーを用いることで、アルカリ可溶性樹脂中に、一般式(a2−1)、(a2−2)または(a2−4)で表される構造単位を導入してもよい。
アルカリ可溶性樹脂は、環状酸無水物構造を有するモノマーに由来する構造単位を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
アルカリ可溶性樹脂が環状酸無水物構造を有するモノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有比率は、樹脂中の全構造単位を基準として、例えば10〜80mol%、好ましくは20〜60mol%である。
・マレイミド系モノマーに由来する構造単位
一態様として、アルカリ可溶性樹脂は、以下一般式(a3)で表される、マレイミド系モノマーに由来する構造単位を含むことが好ましい。
一般式(a3)中、R17は、水素原子または炭素数1〜30の有機基である。
Figure 2021063946
17の炭素数1〜30の有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキリデン基、アリール基、アラルキル基、アルカリル基、もしくはシクロアルキル基等の炭化水素基が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、アリル基、ペンテニル基、およびビニル基が挙げられる。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基が挙げられる。
アルキリデン基としては、例えば、メチリデン基、エチリデン基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
アルカリル基としては、例えば、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
なお、R17に含まれる一以上の水素原子が、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素等のハロゲン原子によって置換されていてもよい。
アルカリ可溶性樹脂は、マレイミド系モノマーに由来する構造単位を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
アルカリ可溶性樹脂がマレイミド系モノマーに由来する構造単位を含む場合、その含有比率は、樹脂中の全構造単位を基準として、例えば10〜80mol%、好ましくは20〜60mol%である。
アルカリ可溶性樹脂が、2種以上の構造単位を含む場合、アルカリ可溶性樹脂は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても、交互共重合体であってもよい。
アルカリ可溶性樹脂は、公知の高分子合成技術、具体的には公知のラジカル重合に関する技術を適用して製造することができる。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、例えば3000〜30000、好ましくは6000〜20000である。なお、Mwは、ポリスチレンを標準物質としたゲル浸透クロマトグラフィー (GPC)により測定することができる。
(感光剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、感光剤を含む。これにより、露光と現像を経ることで「パターン」を形成することが可能となる。
感光剤としては、例えば、キノンジアジド化合物、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩もしくはスルホニウム・ボレート塩などのオニウム塩、2−ニトロベンジルエステル化合物、N−イミノスルホネート化合物、イミドスルホネート化合物、2,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン化合物、ジヒドロピリジン化合物などを挙げることができる。
感光剤は、好ましくはキノンジアジド系化合物を含む。特に、感光性樹脂組成物をポジ型(パターン露光後にアルカリ現像液で現像したとき、露光部が溶解する)に設計するとき、感光剤はキノンジアジド系化合物を含むことが好ましい。これにより、感度、解像力、現像性などを良化させうる。
キノンジアジド化合物としては、例えば、以下に示すものを挙げることができる。
Figure 2021063946
Figure 2021063946
Figure 2021063946
Figure 2021063946
Figure 2021063946
Figure 2021063946
上記の各化合物において、Qは、下記式(a)、(b)および(c)に表される構造のいずれか、または、水素原子である。ただし、各化合物のQのうち少なくとも1つは、下記式(a)、(b)および(c)によって表される構造のいずれかである。
また、nは、1〜5の整数である。
Qとしては、下記式(a)または(b)を含むことが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の透明性を向上することができる。したがって、感光性樹脂組成物の外観をよくすることができる。
Figure 2021063946
感光性樹脂組成物は、感光剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
感光剤の量については、組成物中のアルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部としたとき、10〜80質量部であることが好ましく、15〜50質量部であることがより好ましい。これにより、感光性樹脂組成物を実用上適当な感度に調整できる。
(架橋剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、架橋剤を含む。これにより、例えば、感光性樹脂組成物により電子デバイス中に永久膜を形成する場合、十分に硬化した永久膜を形成することができる。すなわち、耐熱性や信頼性に優れた永久膜を形成することができる。
架橋剤は、典型的には、1分子中に2個以上の架橋性基を含む。これにより、アルカリ可溶性樹脂の主鎖同士を連結する架橋構造が形成され、感光性樹脂組成物で形成された樹脂膜を硬化することができる。
架橋剤が1分子中に含む架橋性基の数は、通常2〜8、好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4である。この数を適切に選択することで、樹脂膜中の架橋構造を制御することができ、より良好な機械物性の膜を得ることが期待できる。
架橋性基としては、アルコキシメチル基および/またはメチロール基、エポキシ基および/またはオキセタニル基、イソシアネート基、マレイミド基などが挙げられる。
本実施形態の感光性樹脂組成物において、架橋剤としては、特に、エポキシ基および/またはオキセタニル基を有する架橋剤が好ましい。
このような架橋剤を用いることで、接着力を一層高めることができる傾向にある。これの詳細なメカニズムは定かでない。しかし、おそらくは、エポキシ基やオキセタニル基の反応性ないし反応温度が関係していると考えられる。具体的には、樹脂膜(パターン)を接着に供する直前においても、一部のエポキシ基またはオキセタニル基は未反応のまま残存し、その残存した基が接着に寄与するため、接着力が一層高まるものと考えられる。
また、例えばアルカリ可溶性樹脂がアルカリ可溶性基としてカルボキシ基を有する場合、そのカルボキシ基とエポキシ基/オキセタニル基が反応(架橋)し、樹脂膜の機械強度や接着強度が一層高くなるとも考えられる。
エポキシ基を有する架橋剤としては、例えば、公知のエポキシ樹脂を挙げることができる。
エポキシ樹脂としては、例えば、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を挙げることができる。エポキシ樹脂は、モノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。
エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ナフタレン骨格型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールSジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、芳香族多官能エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂肪族多官能エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
また、エポキシ樹脂としては、3官能以上の多官能エポキシ樹脂(つまり、1分子中にエポキシ基が3個以上あるもの)も挙げることができる。多官能エポキシ樹脂としては、3〜20官能のものがより好ましい。
多官能エポキシ樹脂としては、例えば、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−([2,3−エポキシプロポキシ]フェニル)エチル]フェニル]プロパン、フェノールノボラック型エポキシ、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン、α−2,3−エポキシプロポキシフェニル−ω−ヒドロポリ(n=1〜7){2−(2,3−エポキシプロポキシ)ベンジリデン−2,3−エポキシプロポキシフェニレン}、1−クロロ−2,3−エポキシプロパン・ホルムアルデヒド・2,7−ナフタレンジオール重縮合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
オキセタニル基を有する架橋剤としては、オキセタニル基を有する化合物であれば特に限定されない。
例えば、1,4−ビス{[(3−エチルー3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、4,4'−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、4,4'−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ビフェニル、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)ジフェノエート、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ポリ[[3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル]シラセスキオキサン]誘導体、オキセタニルシリケート、フェノールノボラック型オキセタン、1,3−ビス[(3−エチルオキセタンー3−イル)メトキシ]ベンゼン等が挙げられる。
感光性樹脂組成物が架橋剤を含む場合、感光性樹脂組成物は架橋剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。例えば、エポキシ基を有する架橋剤を2種以上含んでもよいし、オキセタニル基を有する架橋剤を2種以上含んでもよいし、エポキシ基を有する架橋剤とオキセタニル基を有する架橋剤を併用してもよい。
感光性樹脂組成物が架橋剤を含む場合、その量は、組成物中のアルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部としたとき、10〜100質量部であることが好ましく、25〜75質量部であることがより好ましい。これにより、他の性能を十分に得つつ、適度な硬化性、良好な接着性などを得ることができる。
(ポリカーボネート化合物等の化合物)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、好ましくは、ポリカーボネート化合物、ポリエステル化合物およびポリエーテル化合物からなる群より選ばれる1または2以上の化合物を含む。
以下、「ポリカーボネート化合物、ポリエステル化合物およびポリエーテル化合物からなる群より選ばれる1または2以上の化合物」を「ポリカーボネート化合物等の化合物」とも表記する。
ポリカーボネート化合物等の化合物は、柔軟な化学骨格を有する。よって、感光性樹脂組成物を膜としたときにその膜が適度に柔軟となるため、ηITが20〜45%である感光性樹脂組成物を設計しやすくなる(そして良好な接着性を得ることができる)と考えられる。
ポリカーボネート化合物等の化合物は、以下一般式(1)で表される化合物を含むことができる。
Figure 2021063946
一般式(1)中、
nは、2以上であり、
複数のRは、それぞれ独立に、炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、
複数のXは、それぞれ独立に、カーボネート基(−O−(C=O)−O−)、エステル基(−COO−または−OCO−)およびエーテル基(−O−)からなる群より選ばれるいずれかであり、
は、炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のアルキレン基である。
nは、2以上であれば特に限定されない。上限は特にないが、上限は例えば300である。
一般式(1)において、複数のXのうち少なくとも1つは、好ましくはカーボネート基である。より好ましくは、複数のXの全てがカーボネート基である。
推測であるが、Xがカーボネート基であることで、特に化合物全体として適度な柔軟性を有することになると思われる。また、Xがカーボネート基であると、特に、通常の接着温度において適度な柔軟性が発現しやすいとも推測される。そして、一層の接着性向上やアウトガス低減効果が得られると考えられる。
およびRは、炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のアルキレン基であれば、特に限定されない。
化合物の入手の容易性や、適度な柔軟性などの観点からは、Rの炭素数は、好ましくは4〜7、より好ましくは5〜6である。Rの炭素数も同様である。特に、Rおよび/またはRの炭素数が5〜6である化合物を用いることで、ηITが20〜45%である感光性樹脂組成物を設計しやすく、そして接着性を高めやすい。
炭素数2〜8の直鎖状または分岐状のアルキレン基としては、例えば、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−(CH−、−C(CH−、−CH−CH(CH)−、−CH−CH(CH)−CH−、−CH−C(CH−CH−などを挙げることができる。
特に好ましくは、Rは、−(CH−または−(CH−である。Rについても同様である。
およびRは、発明の効果を過度に損なわない範囲において、置換基を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基などを挙げることができる。もちろん、RおよびRは無置換であってもよい。
ポリカーボネート化合物等の化合物は、20℃で液状であることが好ましい。「20℃で液状である」とは、20℃、1気圧の環境下で、化合物それ自体(感光性樹脂組成物ではない)が液状で流動性があることを意味する。このような化合物を採用することで、接着時に樹脂膜が適度に流動し、接着強度が一層高まる可能性がある。
適度な柔軟性の発現などの点から、ポリカーボネート化合物等の化合物の分子量(分子量分布がある場合には重量平均分子量)は、例えば300〜6000、好ましくは350〜5000、より好ましくは400〜4000である。
ポリカーボネート化合物等の化合物については、市販品を用いることができる。具体的には、「ポリカーボネートジオール」「ポリエステルポリオール」「ポリエーテルジオール」などとして市販されている化合物のうち、一般式(1)に該当するものを用いることができる。
一例として、宇部興産社より販売されているETERNACOLL(登録商標)UH−50、UH−100、UH−200、UH−300、PH−50、PH−100、PH−200、PH−300などを挙げることができる(これらはポリカーボネートジオールである)。
別の例として、旭化成ケミカルズ社製の商品名デュラノールシリーズ(ポリカーボネートジオール)、三菱ケミカル社製の商品名BENEBiOLシリーズ(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の商品名クラレポリオール(ポリカーボネートジオールおよびポリエステルポリオールがラインアップされている)なども挙げることができる。
さらに別の例として、AGC社の商品名エクセノール(ポリエーテルジオール)、DIC社の商品名ポリライトシリーズ(ポリエーテルジオール)、ADEKA社製の商品名アデカポリエーテル(ポリエーテルジオールおよびポリエステルポリオールがラインアップされている)なども挙げることができる。
ポリエーテルジオールとしては、いわゆるポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールの中から、両末端が水酸基であるものを適宜用いることができる。
感光性樹脂組成物中がポリカーボネート化合物等の化合物を含む場合、その含有量は特に限定されない。しかしながら、接着性と他性能の両立の観点からは、ポリカーボネート化合物等の化合物の量は、アルカリ可溶性樹脂の量を100質量部としたとき、好ましくは10〜80質量部、より好ましくは20〜60質量部、さらに好ましくは30〜60質量部である。
(フェノキシ樹脂)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、好ましくはフェノキシ樹脂を含む。「フェノキシ樹脂」とは、狭義にはビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテルである。本明細書では、多官能エポキシ樹脂と多官能フェノール類とを重付加反応させて得られる高分子(広義のフェノキシ樹脂)もフェノキシ樹脂に含める。
フェノキシ樹脂には、エポキシモノマー由来の柔軟なエーテル骨格が含まれる。よって、感光性樹脂組成物を膜としたときにその膜が適度に柔軟となるため、ηITが20〜45%である感光性樹脂組成物を設計しやすくなる(そして良好な接着性を得ることができる)と考えられる。
適度な柔軟性の観点で、フェノキシ樹脂は、炭素数5〜6のアルキレンオキシ骨格を含むことが好ましく、炭素数5〜6の直鎖のアルキレンオキシ骨格を含むことがより好ましい。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、ビフェニル型フェノキシ樹脂とビスフェノールS型フェノキシ樹脂との共重合フェノキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂またはビスフェノールA型とビスフェノールF型との共重合フェノキシ樹脂が好ましい。すなわち、フェノキシ樹脂は、ビスフェノールAなどの2官能フェノール化合物と、2官能エポキシ化合物との共重合体であることが好ましい。
2官能フェノール化合物と共重合する2官能エポキシ化合物としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、1,8オクタンジオールのジグリシジルエーテル、1,10−デカンジオールのジグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールのジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールのジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ヘキサエチレングリコールのジグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジのグリシジルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールのジグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールのジグリシジルエーテルが好ましい。
フェノキシ樹脂の重合方法は、例えば、特開2005−320477号公報に記載されている。
フェノキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、適度な柔軟性、接着後の膜の信頼性、溶剤溶解性などのバランスから、好ましくは1500〜8000であり、より好ましくは2000〜6000であり、特に好ましくは2000〜4500である。重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法のポリスチレン換算値として測定される。
フェノキシ樹脂は、分子鎖両末端または分子鎖内部にエポキシ基等の反応性基を有してもよい。フェノキシ樹脂中の反応性基は、エポキシ樹脂中のエポキシ基と架橋反応可能なものである。このようなフェノキシ樹脂を使用することにより、樹脂膜の耐溶剤性や耐熱性を高めることができる。
フェノキシ樹脂は、ポリカーボネート化合物等の化合物と同様、20℃で液状であることが好ましい。このようなフェノキシ樹脂を採用することで、接着時に樹脂膜が適度に流動し、接着強度が一層高まる可能性がある。
フェノキシ樹脂を用いる場合は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
フェノキシ樹脂を用いる場合、その量は特に限定されない。しかしながら、接着性と他性能の両立の観点からは、フェノキシ樹脂の量は、アルカリ可溶性樹脂の量を100質量部としたとき、好ましくは10〜80質量部、より好ましくは20〜60質量部、さらに好ましくは30〜60質量部である。
(フェノール化合物)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、好ましくは、フェノール化合物を含む。
フェノール化合物が有するフェノール性水酸基(酸性度が比較的高い)の存在により、現像液としてアルカリ水溶液を用いたときの感度の向上、残渣の低減などの効果を得ることができる。
また、感光剤としてキノンジアジド系化合物を用いた場合、これとフェノール化合物がアゾカップリング反応しうる。これにより、現像時の膜減りを低減したり、解像度を向上させたりすることができるとも考えられる。
フェノール化合物は、好ましくは1分子中に2個以上、より好ましくは1分子中に2〜20個、さらに好ましくは1分子中に2〜10個のフェノール性水酸基を有する多官能フェノール化合物であることが好ましい。1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有することで、上述の効果を一層得ることができると考えられる。
フェノール化合物は、低分子のフェノール化合物や、フェノール樹脂であることができる。
低分子のフェノール化合物としては、ビフェノール、4−エチルレソルシノール、2−プロピルレソルシノール、4−ブチルレソルシノール、4−ヘキシルレソルシノール、2−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3'−ジヒドロキシジフェニルジスルフィド、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビフェノール、4,4'−(1,3−ジメチルブチリデン)ジフェノール、4,4'−(2−エチルヘキシリデン)ジフェノール、4,4'−エチリデンビスフェノール、2,2'−エチレンジオキシジフェノール、3,3'−エチレンジオキシジフェノール、1,5−ビス(o−ヒドロキシフェノキシ)−3−オキサペンタン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フロログルシド、α、α、α'−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1−エチル−4−イソプロピルベンゼン等を挙げることができる。
フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、トリスフェニルメタン型フェノール樹脂、アリールアルキレン型フェノール樹脂等を挙げることができる。
感光性樹脂組成物がフェノール化合物を含む場合、感光性樹脂組成物はフェノール化合物を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
感光性樹脂組成物がフェノール化合物を含む場合、その量は、組成物中のアルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部としたとき、1〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。これにより、他の性能を十分に得つつ、フェノール化合物を用いることによる効果も適度に得ることができる。
(カップリング剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、好ましくは、カップリング剤を含む。これにより、感光性樹脂組成物で形成された樹脂膜やパターンの、基板との密着性を高めることができる。
カップリング剤としては、例えば、アミノシラン、エポキシシラン、(メタ)アクリルシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン、ウレイドシラン、酸無水物官能型シラン、スルフィドシラン等のシランカップリング剤を用いることができる。特に、エポキシシラン(1分子中に、エポキシ部位と、加水分解によりシラノール基を発生する基の両方を含む化合物)、または、酸無水物官能型シラン(1分子中に、酸無水物基と、加水分解によりシラノール基を発生する基の両方を含む化合物)が好ましい。
アミノシランとしては、例えば、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、またはN−フェニル−γ−アミノ−プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
エポキシシランとしては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、またはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
(メタ)アクリルシランとしては、例えば、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、またはγ−(メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン等が挙げられる。
メルカプトシランとしては、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ビニルシランとしては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、またはビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ウレイドシランとしては、例えば、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
酸無水物官能型シランをとしては、例えば、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物などが挙げられる。
スルフィドシランとしては、例えば、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、またはビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
感光性樹脂組成物がカップリング剤を含む場合、感光性樹脂組成物はカップリング剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
感光性樹脂組成物がカップリング剤を含む場合、その量は、組成物中のアルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部としたとき、0.5〜20質量部であることが好ましく、2〜15質量部であることがより好ましい。これにより、他の性能とのバランスを取りつつ、密着性を十分に得ることができる。
(界面活性剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、界面活性剤を含んでもよい。これにより、感光性樹脂組成物を基板上に塗布した際の厚みの均一性を向上させうる。
界面活性剤とは、フッ素原子およびケイ素原子の少なくともいずれかを含むノニオン系界面活性剤であることが好ましい。
界面活性剤の市販品としては、例えば、DIC株式会社製の「メガファック」シリーズの、F−251、F−253、F−281、F−430、F−477、F−551、F−552、F−553、F−554、F−555、F−556、F−557、F−558、F−559、F−560、F−561、F−562、F−563、F−565、F−568、F−569、F−570、F−572、F−574、F−575、F−576、R−40、R−40−LM、R−41、R−94等の、フッ素を含有するオリゴマー構造の界面活性剤、株式会社ネオス製のフタージェント250、フタージェント251等のフッ素含有ノニオン系界面活性剤、ワッカー・ケミー社製のSILFOAM(登録商標)シリーズ(例えばSD 100 TS、SD 670、SD 850、SD 860、SD 882)等のシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
感光性樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、感光性樹脂組成物は界面活性剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
感光性樹脂組成物が界面活性剤を含む場合、その量は、組成物中のアルカリ可溶性樹脂の含有量を100質量部としたとき、0.005〜1質量部であることが好ましく、0.02〜0.5質量部であることがより好ましい。
(溶剤)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、好ましくは、溶剤を含む。別の言い方としては、本実施形態の感光性樹脂組成物は、好ましくは、上記の各成分を溶剤に溶解または分散したものである。溶剤により、感光性樹脂組成物を樹脂膜に形成しやすくなる。
溶剤は、典型的には有機溶剤である。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ラクトン系溶剤、カーボネート系溶剤などの有機溶剤を挙げることができる。
より具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、プロピレンカーボネート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アニソール、N−メチルピロリドン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等の有機溶剤を挙げることができる。
感光性樹脂組成物が溶剤を含む場合、感光性樹脂組成物は溶剤を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。すなわち、溶剤は、単独溶剤であってもよいし、混合溶剤であってもよい。
感光性樹脂組成物が溶剤を含む場合、その量は特に限定されない。溶剤は、組成物中の不揮発成分の濃度が例えば10〜70質量%、好ましくは15〜60質量%となるような量で使用される。溶剤の量を適当に調整することで、例えば感光性樹脂組成物を基板上に塗布して製膜する際の膜厚を調整することができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上述した成分以外の種々の成分を含んでもよい。そのような成分としては、酸化防止剤、シリカ等の充填材、増感剤、フィルム化剤などが挙げられる。
感光性樹脂組成物の調製方法は特に限定されない。一般的に公知の方法により製造することができる。
(ナノインデンテーション試験に関する各種数値)
本実施形態の感光性樹脂組成物は、ηITが20〜45%であることに加え、ナノインデンテーション試験から得られるηIT以外の各種特性値が一定の範囲内となるように設計されることが好ましい。これにより、接着性などを一層高めることができる。以下、いくつかの特性値について言及する。
・押し込み弾性率EIT
上記[手順]でのナノインデンテーション試験から求められる押し込み弾性率EITは、好ましくは50〜1500MPa、より好ましくは100〜1350MPaである。EITが上記範囲内であることで、通常の電子デバイスの製造における接着条件(特に加圧条件)において、特に良好な接着強度を得やすい。
ITは、通常、以下数式に基づき求めることができる。
Figure 2021063946
上記数式において、Eは弾性率を、νはポアソン比を表し、添え字i、sはそれぞれ圧子と試料のそれを表す。Eは換算弾性率と呼ばれ、圧子と試料の複合的な弾性を表す。Eは具体的には以下である。
Figure 2021063946
上記数式において、Sは、図1の曲線C−D(除荷曲線)の、点Cにおける接線の傾きを表す。A(h)は、圧子と試料の接触投影面積を表す。
圧子の幾何学的な形状が分かっている場合、接触投影面積は、接触押し込み深さhの関数として表せる。上記数式では、接触投影面積が「hの関数」であるということを表すため、接触投影面積をA(h)と表記している。バーコビッチ型圧子の場合、A(h)=23.96(hと表せる。
接触押し込み深さhについては、h=hmax−ε(hmax−h)の式により求めることができる。εは圧子の形状から決定される定数であり、バーコビッチ型圧子では0.75が採用される。hmaxはナノインデンテーション試験における最大変位(最大押し込み深さ)、hは除荷曲線に引いた接線と横軸との(X軸)との交点の値である。これらついては図1も参照されたい
・除荷後の変位(除荷後のくぼみ深さ)
上記[手順]でのナノインデンテーション試験において、除荷後の変位(除荷後のくぼみ深さ、図1におけるh)は、好ましくは0.25〜1.6μm、より好ましくは0.3〜1.4μmである。除荷後の変位がこの程度となるように感光性樹脂組成物を設計することで、通常の電子デバイスの製造における接着条件(特に加圧条件)において、厚み1〜3μmで感光性樹脂組成物を用いる場合に、接着性を一層高めることができる。
・クリープ変位
上記[手順]でのナノインデンテーション試験において、クリープ変位、すなわち、手順(6)における「最大荷重で10秒保持」の際の変位(図1におけるB−C間の変位)は、好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.08〜0.4μmである。クリープ変位がこの程度であることは、接着時に感光性樹脂組成物が適度に流動的であることを意味する。このことにより、接着対象の素子や基板と、感光性樹脂組成物との「濡れ性」が高まり、接着性が一層高まると考えられる。
<パターン形成方法、電子デバイスの製造方法>
本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂膜を形成し、その感光性樹脂膜をパターン露光し、そしてアルカリ現像液等の現像液で現像することで、パターン(パターニングされた樹脂膜)を形成することができる。
また、そのパターニングされた樹脂膜と、電子素子とを密着させ、加熱して接着することにより、電子デバイスを製造することができる。換言すると、本実施形態の感光性樹脂組成物は、電子デバイス中の永久膜を形成するために好適に用いることができる。前述のように、本実施形態においては、樹脂膜の厚みが1〜3μm程度とかなり薄い場合であっても、良好な接着強度を得ることができる。
特に、本実施形態においては、
本実施形態の感光性樹脂組成物により、基板表面に感光性樹脂膜を形成する膜形成工程と、
感光性樹脂膜をパターン露光する露光工程と、
露光された感光性樹脂膜を現像してパターニングされた樹脂膜を得る現像工程と、
パターニングされた樹脂膜を少なくとも加熱して、樹脂膜中に残存する感光剤を分解する感光剤分解工程と、
パターニングされた樹脂膜と、電子素子とを密着させ、加熱して接着する接着工程と
をこの順に含む一連の工程により、電子デバイスを製造することができる。
以下では、図2を参照しつつ、本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて電子デバイスを製造する方法の一例を説明する。
念のため述べておくが、以下で説明する方法は、あくまで例であり、本実施形態の感光性樹脂組成物は種々の方法に適用することができる。
[膜形成工程](図2(i))
まず、図2(i)に示されるように、基板1の表面に、感光性樹脂組成物による感光性樹脂膜2を形成する。
基板1の材質などは特に限定されない。例えば、シリコンウエハ、セラミック基板、アルミ基板、SiNウエハ、SiCウエハ、GaNウエハ、銅張積層板、ガラス基板、プラスチック基板などが挙げられる。
基板1は、未加工の基板であっても、電極や素子が表面に形成された基板であってもよい。接着性の向上のために表面処理さていてもよい。なお、図2(i)における基板1には、後の接着工程で接着される電子素子4の形状に合わせたくぼみが設けられている。
感光性樹脂組成物を用いて感光性樹脂膜2を形成する方法は特に限定されない。例えば、スピナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、バーコーティング、浸漬、印刷、ロールコーティング、インクジェット法などにより行うことができる。
基板1の表面に塗布された感光性樹脂組成物の乾燥は、典型的にはホットプレート、熱風、オーブン等で加熱処理することで行われる。加熱温度は、通常80〜140℃、好ましくは90〜120℃である。また、加熱の時間は、通常30〜600秒、好ましくは30〜300秒程度である。
感光性樹脂膜2の膜厚は、特に限定されず、最終的に得ようとするパターンに応じて適宜調整すればよい。感光性樹脂膜の膜厚は、通常0.5〜20μm、好ましくは1〜10μm、より好ましくは1〜5μm、さらに好ましくは1〜3μmである。膜厚は、感光性樹脂組成物中の溶剤の含有量や、塗布方法・塗布条件の変更などにより調整可能である。本実施形態においては、前述のように、この膜厚が1〜3μm程度とかなり薄い場合であっても、後述の接着工程などにより十分な接着強度を得ることができる。
[露光工程](図2(ii))
パターン露光は、図2(ii)に示されるように、活性光線を、フォトマスク3を介するなどして感光性樹脂膜2に当てることで行うことができる。
活性光線としては、例えばX線、電子線、紫外線、可視光線などが挙げられる。波長でいうと200〜500nmの光が好ましい。パターンの解像度や取り扱い性の点で、光源は水銀ランプのg線、h線又はi線であることが好ましく、特にi線が好ましい。また、2つ以上の光線を混合して用いてもよい。露光装置としては、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション又はステッパーが好ましい。
露光の光量は、感光性樹脂膜中の感光剤の量などにより適宜調整すればよい。典型的には100〜500mJ/cm程度である。
露光後、必要に応じて、感光性樹脂膜2を再度加熱してもよい(露光後加熱:Post Exposure Bake)。その温度は、例えば70〜150℃、好ましくは90〜120℃である。また、時間は、例えば30〜600秒、好ましくは30〜300秒である。
[現像工程](図1(iii))
露光された感光性樹脂膜2を、適当な現像液により現像することで、パターン2Bを得ることができる(図2(iii))。
現像工程では、適当な現像液を用いて、例えば浸漬法、パドル法、スプレー法などの方法を用いて現像を行うことができる。現像により、感光性樹脂膜の露光部(ポジ型の場合)又は未露光部(ネガ型の場合)が溶出除去され、パターン2Bが得られる。
使用可能な現像液は特に限定されない。例えば、アルカリ水溶液や有機溶剤が使用可能である。
アルカリ水溶液として具体的には、(i)水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニアなどの無機アルカリ水溶液、(ii)エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン水溶液、(iii)テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム塩の水溶液などが挙げられる。
有機溶剤として具体的には、シクロペンタノンなどのケトン系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)や酢酸ブチルなどのエステル系溶剤、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル系溶剤、等が挙げられる。
現像液には、例えばメタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒や、界面活性剤などが添加されていてもよい。
本実施形態では、現像液としてテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いることが好ましい。この水溶液におけるテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの濃度は、好ましくは0.1〜10質量%であり、更に好ましくは0.5〜5質量%である。
現像の後、次の工程に移る前に、追加的な処理を行ってもよい。例えば、現像の後、リンス液により基板1および/またはパターン2Bを洗浄してもよい。リンス液としては、例えば蒸留水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[感光剤分解工程](図2(iv))
現像工程の後に得られたパターン2B(パターニングされた樹脂膜)を、少なくとも加熱(場合によってはは加熱および露光)することで、パターン2B中に残存する感光剤を分解することができる(図2(iv))。この工程を行うことで、後述の接着工程の後に発生するアウトガスを低減することができる。これは、接着の安定性や、電子デバイスの信頼性の点で好ましい。
本実施形態においては、この感光剤分解工程を行った場合においても、十分な接着強度を得やすい。一般に、感光剤分解工程の実施は、アウトガスの低減の観点では好ましいが、パターンが硬くなりすぎて良好な接着強度を得にくくなる傾向がある。ηITが20〜45%となるように感光性樹脂組成物を設計することで、パターンが硬くなりすぎることが抑えられる。そして良好な接着強度を得やすい。
加熱の手段は、一態様としてオーブンが好ましい。また、ホットプレート等であってもよい。なお、硬化時の雰囲気は、空気であっても、窒素、アルゴンなどの不活性ガスであってもよい。また、減圧下での加熱等であってもよい。
この工程における加熱温度は特に限定されないが、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。上限については、好ましくは200℃以下、より好ましくは170℃以下である。適切な温度範囲とすることで、パターン2Bが過度に硬化されず、後の接着工程において、パターン2B−電子素子4の間で樹脂の絡み合いが十二分に起こると考えられる。その結果、接着強度を一層高められると考えられる。
この工程の時間は、通常1〜300分、好ましくは5〜120分、より好ましくは10〜60分である。
加熱と合わせて露光を行う場合、その露光に用いることができる活性光線は、上述の[露光工程]で挙げた活性光線と同様である。露光工程における活性光線と、ここ(感光剤分解工程)での活性光線は、同じであっても異なっていてもよい。
露光の光量は、残存する感光剤の量などにより適宜調整すればよい。典型的には300〜1000mJ/cm程度である。
感光剤分解工程において、加熱と露光の両方を行う場合、これらを同時に行ってもよいし、別々に(逐次的に)行ってもよい。
[接着工程](図2(v))
例えば、感光剤分解工程を経たパターン2B(樹脂膜)に対し、電子素子4を接触させ、そして加熱しながら押圧する。これにより、基板1と電子素子4とを、パターン2B(樹脂膜)により接着することができる(図2(v))。
特に図2(v)に示される態様において、電子素子4は、凸部を有している。また、ここでの凸部の大きさは、隣接して存在するパターン2B間の「すき間」および基板1上の「くぼみ」の幅と略一致している。よって、電子素子4の凸部がパターン2B間の「すき間」に入るように電子素子4を載置し、その後加熱押圧することで、基板1と電子素子4とをパターン2B(樹脂膜)を介して接着しつつ、電子素子4の凸部において基板1−電子素子4間の電気的接続を図ることもできる。
加熱の温度は、例えば100〜300℃、好ましくは130℃〜250℃、より好ましくは150〜200℃である。なお、ここでの「加熱」とは、パターン2B(樹脂膜)自体が上記温度となるように加熱することをいう。パターン2B(樹脂膜)自体の温度は、適当な測定手段、例えば熱電対を用いる方法等により計測可能である。
押圧の圧力は、通常0.05〜5MPa、好ましくは0.1〜3MPa、より好ましくは0.2〜2.5MPaである。
加熱押圧の時間は、通常0.5〜60秒、好ましくは0.2〜10秒である。
加熱押圧の方法は特に限定されない。例えば、電子デバイスの製造でしばしば用いられる公知のボンディング装置(ステージとボンディングヘッドにより対象物を挟んで押圧しながら加熱できる装置)等を利用して行うことができる。
例えば、基板1の下からはステージを通じて加熱し、電子素子4の上からはボンディングヘッドで加熱しながら押圧することで、所望の加熱押圧を行うことができる。
このとき、ステージの設定温度は、例えば10〜200℃、好ましくは20〜150℃である。また、ボンディングヘッドの設定温度は、例えば100〜400℃、好ましくは130〜250℃に設定することができる。このような設定温度とすることで、接着に必要な温度(例えば150〜200℃)に速やかに昇温することができる。
ちなみに、図2(v)では、基板1の側にのみパターン2B(樹脂膜)が設けられているが、電子素子4の側にもパターン2B(樹脂膜)を予め設けておき、接着工程を行ってもよい。
電子素子4の側にパターン2Bを設ける方法は、基板1にパターン2Bを設ける方法と同様である。
[追加加熱工程](図2(vi))
接着工程の後、得られた接着構造を加熱する工程を行ってもよい(図2(vi))。例えば、上記の接着工程で得られた接着構造を、適当なステージに載せるなどして、熱を加えることができる。
ここでの加熱温度は、好ましくは170℃以上、より好ましくは200℃以上である。上限については、例えば400℃以下、好ましくは300℃以下である。適切な加熱温度とすることで、硬化状態を最適なものとし、接着強度を一層高めることができると期待される。
加熱時間は、通常0.5〜300分、好ましくは1〜270分、より好ましくは3〜240分である。
加熱は、一態様としてオーブンで行うことが好ましい。また、ホットプレート等で行ってもよい。スループットや、一括して処理できる量などの観点ではオーブンで行うことが好ましい。なお、雰囲気は、空気であっても、窒素やアルゴンなどの不活性ガスであってもよい。また、減圧下での加熱等であってもよい。
電子デバイスの製造方法は、上記で明示的に説明した工程以外の工程を含んでもよい。例えば、いずれかの段階において、基板1、感光性樹脂膜2、パターン2Bなどを加工する工程(穴をあける工程、凹凸を設ける工程、切削する工程等)を含んでもよい。
念のため述べておくと、本実施形態の感光性樹脂組成物は、上述のような永久膜形成用途のみに限定されない。例えば、接着力を調整することにより、種々の仮接着工程(仮固定工程などとも表現される)にも適用することが可能である。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。念のため述べておくと、本発明は実施例のみに限定されない。
<素材の準備>
感光性樹脂組成物を調製するための素材として、以下を準備した。
[アルカリ可溶性樹脂]
A−1:以下に示されるもの
Figure 2021063946
アルカリ可溶性樹脂A−1については、以下のようにして合成した。
撹拌機と冷却管を備えた適切なサイズの反応容器を準備した。この容器に、無水マレイン酸(MA、122.4g、1.25mol)、2−ノルボルネン(NB、117.6g、1.25mol)およびジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(11.5g、50.0mmol)を投入し、そしてメチルエチルケトン(MEK、150.8g)およびトルエン(77.7g)に溶解させた。
この溶解液に対して、10分間窒素を通気して酸素を除去し、その後、撹拌しつつ60℃、16時間、加熱した。
その後、この溶解液に対して、MEK(320g)を加え、さらにその後、これを、水酸化ナトリウム(12.5g、0.31mol)、ブタノール(463.1g、6.25mol)、トルエン(480g)の懸濁液に加え、45℃で3時間混合した。
そして、この混合液を40℃まで冷却し、ギ酸(88質量%水溶液、49.0g、0.94mol)で処理してプロトン付加し、その後、MEKおよび水を加え、水層を分離することで、無機残留物を除去した。次いで、メタノール、ヘキサンを加え有機層を分離することで未反応モノマーを除去した。さらに、PGMEAを添加し、系内のメタノール及びブタノールを残留量1%未満となるまで減圧留去した。これにより、20重量%のポリマー溶液1107.7gを得た。
ポリスチレンを標準物質としたGPC測定によると、得られたポリマー(アルカリ可溶性樹脂)の重量平均分子量Mwは13700、数平均分子量Mnは7400であった。
[感光剤]
B−1:以下化学式で表される化合物(3つのRのうち、平均0.5個がHである。)
Figure 2021063946
[カップリング剤]
C−1:以下化学式で表される化合物
Figure 2021063946
C−2:KBM−403(信越化学工業社製、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)
[ポリカーボネート化合物等の化合物]
D−1:ETERNACOLL PH−100(宇部興産社製、以下化学式で表されるポリカーボネート化合物、分子量:約1000、20℃で液状)
Figure 2021063946
[架橋剤(エポキシ化合物)]
E−1:以下化学式で表される化合物
Figure 2021063946
[フェノール化合物]
F−1:以下化学式で表される化合物
Figure 2021063946
[フェノキシ樹脂]
G−1:以下化学式で表される化合物、20℃で液状
Figure 2021063946
フェノキシ樹脂G−1は、特開2005−320477号公報の実施例の記載に基づき、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルと、ビスフェノールFとを重合することで製造した。重量平均分子量は4000であった。
[界面活性剤]
R41:メガファックR−41(DIC社製、含フッ素基・親油性基含有オリゴマー)
<感光性樹脂組成物の調製>
後掲の表1に記載の素材をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解して、不揮発成分が45質量%の溶液を得た。その後、その溶液を、孔径0.2μmのナイロンフィルターで濾過した。以上により感光性樹脂組成物を得た。
表1において、各素材の量の単位は、質量部である。
<ナノインデンテーション試験>
上述の[手順]に沿ってナノインデンテーション試験を実施し、荷重−変位曲線を求めた。そして、弾性変形仕事率ηITなどの各種数値を求めた。以下に補足情報を記載しておく。
・ナノインデンテーション試験装置:超微小硬度計ENT−1100(エリオニクス社製)
・手順(1)では、8インチシリコンウエハに、スピンコート法により感光性樹脂組成物を塗布した。
・手順(3)の洗浄、乾燥については、10秒間純水をかけながら1500rpmでウエハを回転させ洗浄、その後1500rpmで20秒間ウエハを回転させることにより行った。
・手順(4)の加熱は、窒素雰囲気のオーブン内で行った。
・手順(6)において、バーコビッチ型圧子はダイアモンド製であった。
・押し込み弾性率EITの算出に際し、圧子の弾性率Eとしては1141GPa、圧子のポアソン比νとしては0.07(ダイアモンド圧子の弾性率およびポアソン比)を採用した。また、樹脂膜のポアソン比νについては、一般的な樹脂材料のポアソン比に基づき、0.30と仮定した。
参考のため、実施例1の感光性樹脂組成物を用いたナノインデンテーション試験で得られた荷重−変位曲線の概形を掲載しておく(図3)。
<薄膜における接着性評価>
まず、上述の[手順]の(1)〜(4)のようにして、ただし(1)の膜厚は3μmに変更して、サンプル(樹脂膜を有するシリコンウエハ)を作成した。その後、樹脂膜がついたままのウエハを、ダイシングソーを用いて切り出し、10mm×10mm角の正方形の評価用基板(下チップ)を作成した。
また、サンプル未塗布のシリコンウエハを、ダイシングソーを用いて切り出し、5mm×5mm角の正方形の評価用基板(上チップ)を作製した。
ステージ上に、下チップを、樹脂膜がある面を上にして静置した。ステージ温度は25℃に設定した。上チップはボンディングツールに固定した。
その後、静置した下チップ上に、ボンディングツールを用いて上チップを加熱・押圧した。ボンディングヘッドの温度を170℃とし、塗膜面と塗膜面が接触するように、時間2秒、圧力25Nの条件下チップに上チップをボンディングした。
この際、上チップが下チップに固定できたものを〇 固定できなかったもの(容易に上チップが外れるもの)を×とした。
<高温加熱時のパターンフロー>
感光性接着剤組成物を、8インチシリコンウエハ上にスピンコーターを用いて塗布した。塗布後、ホットプレートにて110℃で3分間プリベークし、膜厚約3.0μmの塗膜を得た。
この塗膜に、凸版印刷社製マスク(0.5〜100μmの残しパターン及び抜きパターンが描かれている)を通して、i線を照射した。照射には、i線ステッパー(ニコン社製・NSR−4425i)を用いた。
その後、現像液として2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて、30秒間パドル現像を行った。これにより露光部を溶解除去した。そして純水で10秒間リンスし、さらにスピンにより乾燥させた。
露光量を変化させて複数回のパターニング評価を行い、幅3μmのマスク開口部により幅3μmのビアパターンが形成される最低露光量を感度(mJ/cm)とした。
形成された3μm角のビア断面を、上述の[手順]の(4)の条件で加熱した。この加熱の前後でビア断面を比較観察した。そして、加熱後にテーパー角度が20°以上低下したものを×(不良)、そうでないものを〇(良好)とした。
感光性樹脂組成物の組成、ナノインデンテーション試験結果および性能評価結果をまとめて表1に示す。
比較例2においては、おそらく樹脂膜がやわらかすぎたため、[手順]の(6)の条件ではηITなどの定量的な値を得ることができなかった。比較例2に記載しているナノインデンテーション試験結果は、発明者らの知見などを踏まえたおおよその値である。ただし、ηITが20%未満であることにはほぼ疑いはない。
Figure 2021063946
表1に示されるとおり、実施例1〜4の、弾性変形仕事率ηITが20〜45%の範囲内にある感光性樹脂組成物の評価では、薄膜における接着性が良好であり、また、高温加熱時のパターンフローが抑えられた。
一方、比較例1の、ηITが51%である感光性樹脂組成物の評価では、薄膜における接着性が悪かった。接着性が悪かった原因は、接着の際、樹脂膜の塑性変形が不十分となったためと推察される。
1 基板
2 感光性樹脂膜
2B パターン(パターニングされた樹脂膜)
3 フォトマスク
4 電子素子

Claims (14)

  1. アルカリ可溶性樹脂、感光剤および架橋剤を含む感光性樹脂組成物であって、
    以下手順のナノインデンテーション試験により得られる荷重−変位曲線から求められる弾性変形仕事率ηITが20〜45%である、感光性樹脂組成物。
    [手順]
    (1)シリコンウエハ上に感光性樹脂組成物を塗布し、110℃で3分間プリベークして、15μm厚の樹脂膜を形成する。
    (2)前記(1)で得られた樹脂膜を、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液中に30秒間浸漬する。
    (3)前記(2)の浸漬後の樹脂膜を純水で洗浄し、スピンにより乾燥させる。
    (4)前記(3)の乾燥後の樹脂膜を、窒素雰囲気下で、100℃で30分加熱後に続けて130℃で30分加熱する。
    (5)前記(4)の加熱後の樹脂膜を放冷して25℃にしたものを、シリコンウエハごと170℃の加熱ステージ上に置いて700秒加熱する。
    (6)前記(5)の加熱を維持したまま、樹脂膜に、バーコビッチ型圧子で、10秒かけて最大荷重1mNまで荷重をかけ、その最大荷重で10秒保持し、その後10秒かけて除荷する条件でナノインデンテーション試験を行い、荷重−変位曲線を得る。
  2. 請求項1に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記ナノインデンテーション試験から求められる押し込み弾性率EITが50〜1500MPaである、感光性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記ナノインデンテーション試験において、除荷後の変位が0.25〜1.6μmである、感光性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記ナノインデンテーション試験において、最大荷重で10秒保持時のクリープ変位が0.05〜0.5μmである、感光性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記アルカリ可溶性樹脂は、環状オレフィン構造を有するモノマーに由来する構造単位、および/または、環状酸無水物構造を有するモノマーに由来する構造単位を含む、感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記架橋剤は、エポキシ基および/またはオキセタニル基を有する架橋剤を含む、感光性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記感光剤は、キノンジアジド系化合物を含む、感光性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    さらに、ポリカーボネート化合物、ポリエステル化合物およびポリエーテル化合物からなる群より選ばれる1または2以上の化合物を含む、感光性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    さらに、フェノキシ樹脂を含む、感光性樹脂組成物。
  10. 請求項8に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記ポリカーボネート化合物、ポリエステル化合物およびポリエーテル化合物からなる群より選ばれる1または2以上の化合物は20℃で液状である、感光性樹脂組成物。
  11. 請求項9に記載の感光性樹脂組成物であって、
    前記フェノキシ樹脂は20℃で液状である、感光性樹脂組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    溶剤を含む、感光性樹脂組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物であって、
    電子素子の接着または仮接着に用いられる、感光性樹脂組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物により、基板表面に感光性樹脂膜を形成する膜形成工程と、
    前記感光性樹脂膜をパターン露光する露光工程と、
    露光された前記感光性樹脂膜を現像してパターニングされた樹脂膜を得る現像工程と、
    前記パターニングされた樹脂膜を少なくとも加熱して、前記樹脂膜中に残存する感光剤を分解する感光剤分解工程と、
    前記パターニングされた樹脂膜と、電子素子とを密着させ、加熱して接着する接着工程と
    をこの順に含む、電子デバイスの製造方法。
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