JP2013016713A - 飽和吸収線判定方法、及びレーザ周波数安定化装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】飽和吸収線判定方法は、光出力信号S1の2次微分信号S2の出力値と第1閾値とを比較する第1比較工程ST2Aと、光出力信号S1の出力値と第2閾値とを比較する第2比較工程ST2Bと、第1比較工程ST2A及び第2比較工程ST2Bの比較結果に基づいて、飽和吸収線であるか否かを判定する吸収線判定工程ST2C,2Dとを備える。
【選択図】図4
Description
レーザ周波数安定化装置100は、図13に示すように、レーザ発生部10と、レーザ光検出部20と、駆動制御部30とを備える。
レーザ発生部10は、波長808nmのレーザ光L1を放出する励起用半導体レーザ11と、レーザ光L1を入力し、波長532nmのレーザ光L2を出力する共振波生成部12とを備える。
共振波生成部12は、誘導輻射から波長1064nmの光を発光するNd:YVO4結晶121、波長1064nmの光の一部を波長532nmの光とするKTP結晶(非線形光学結晶)122、レーザ光の特定周波数のみを透過させるエタロン123、波長1064nmの光を反射させ波長532nmの光を透過させる反射鏡124等の光学素子が共振器筐体125に収納された構成を有する。
そして、共振器筐体125内部にエタロン123を配設することで、シングルモードのレーザ光L2が得られる。
また、共振器筐体125内部には、電圧の印加により反射鏡124の位置を変更(共振器長を変更)するピエゾ素子等のアクチュエータ126が配設されている。
また、レーザ光検出部20は、レーザ光L4を、第2偏光ビームスプリッタ23、λ/4板24、及びヨウ素セル(吸収セル)25を透過させた後、反射鏡26にてヨウ素セル25に向けて反射させる。
そして、レーザ光検出部20は、レーザ光L4を、再度、ヨウ素セル25及びλ/4板24を通過させた後、第2偏光ビームスプリッタ23にて変換装置としての光検出器27に向けて反射させ、光検出器27にて光電変換することで光出力信号S1を出力する。
なお、図14(A)は、各信号S1,S2の出力値を縦軸とし、アクチュエータ126への出力電圧Vを横軸とし、出力電圧Vを変化させた場合(共振器長を変化させた場合)での各信号S1,S2の波形をそれぞれ示す図である。図14(B)は、図14(A)の領域Arの2次微分信号S2を拡大した図である。
図14(A)に示すように、出力電圧Vを幅広く走査すると、吸収線M1〜M4(以下、説明の便宜上、ピーク群M1〜M4と記載)が周期的に繰り返して観測されることがわかる。なお、ピーク群M1とピーク群M3とは同一のピーク群であり、ピーク群M2とピーク群M4とは同一のピーク群である。
ここで、ピーク群M1〜M4は、飽和吸収線群が束となったものである。例えば、ピーク群M2は、図14(B)に示すように、出力電圧Vの低い側から順に、飽和吸収線群N1(飽和吸収線a1)と、飽和吸収線群N2(飽和吸収線a2〜a5)と、飽和吸収線群N3(飽和吸収線a6〜a9)と、飽和吸収線群N4(飽和吸収線a10)と、飽和吸収線群N5(飽和吸収線a11〜a14)と、飽和吸収線群N6(飽和吸収線a15)とで構成されている。
具体的に、駆動制御部30では、自動ロック装置31の制御信号により、アクチュエータ制御部32がアクチュエータ駆動回路33を制御する(アクチュエータ駆動回路33に出力する電圧値V´を調整する)ことで、アクチュエータ126への出力電圧Vを変更する。
なお、駆動制御部30は、上述した構成31〜33の他、周波数1f、2f、3fHzの信号を出力する変復調信号発生器34と、アクチュエータ駆動回路33にて周波数1fHzの信号に基づき変調されたレーザ光L2の励起により得られる光出力信号S1を周波数2f、3fHzでそれぞれ変調し、2次,3次微分信号S2,S3をそれぞれ出力する生成装置としての2次,3次微分用ロックインアンプ35,36を備える。
なお、自動ロック装置31は、探索処理及び周波数固定処理において、出力電圧Vを変更しながら、2次微分信号S2の出力値が所定の電圧値Vth1(図14(B))以上となった場合に、当該信号を飽和吸収線と認定している。
特許文献1に記載のレーザ周波数安定化装置100では、2次微分信号S2にノイズが重畳しているか否かを判定する構成を備えていない。このため、ノイズの影響により2次微分信号S2の出力値が電圧値Vth1以上となった場合でも、当該信号を飽和吸収線と認定してしまい、飽和吸収線を良好に認定することが難しい、という問題がある。
そして、本発明の飽和吸収線判定方法では、上記事項に着目し、以下に示すように、飽和吸収線を認定する。
先ず、2次微分信号の出力値と第1閾値とを比較する(第1比較工程)。
また、光出力信号の出力値と第2閾値とを比較する(第2比較工程)。
そして、上記比較結果に基づいて、2次微分信号の出力値が第1閾値以上であり、かつ、光出力信号の出力値が第2閾値以上となっている場合に、飽和吸収線であると認定する(吸収線判定工程)。一方、2次微分信号の出力値が第1閾値以上であるが、光出力信号の出力値が第2閾値未満である場合に、飽和吸収線ではなく、2次微分信号にノイズが重畳していると認定する(吸収線判定工程)。
以上のように、本発明の飽和吸収線判定方法によれば、2次微分信号にノイズが重畳しているか否かを判定し、飽和吸収線を良好に認定できる。
すなわち、2次微分信号の出力波形は、大小関係にある2つの閾値のうち小さい方の閾値(上記第4閾値に相当)未満から大きい方の閾値(上記第3閾値に相当)以上となり、さらに小さい方の閾値未満に変化する挙動(以下、第1の挙動)を示す。
一方、2次微分信号にノイズが重畳している場合には、第1の挙動を示さない。
先ず、共振器長が変化した際に、2次微分信号の出力波形が第1の挙動を示したか否かを判定する(波形判定工程)。
そして、2次微分信号の出力波形が第1の挙動を示した場合には、飽和吸収線であると認定する(吸収線判定工程)。一方、2次微分信号の出力波形が第1の挙動を示していない場合、例えば、当該出力波形のピーク値が第3閾値以上であるが当該出力波形が第1の挙動を示していない場合には、飽和吸収線ではなく、2次微分信号にノイズが重畳していると認定する(吸収線判定工程)。
以上のように、本発明の飽和吸収線判定方法によれば、2次微分信号にノイズが重畳しているか否かを判定し、飽和吸収線を良好に認定できる。
すなわち、2次微分信号の出力波形は、所定の閾値(上記第5閾値に相当)未満から当該閾値以上となり、さらに当該閾値未満に変化する挙動(以下、第2の挙動)を示す。
一方、2次微分信号にノイズが重畳している場合には、2次微分信号の出力波形が第2の挙動を示した場合であっても、信号幅が所定の閾値未満となるものである。
先ず、共振器長が変化した際に、2次微分信号の出力波形が第2の挙動を示したか否かを判定する(波形判定工程)。
次に、第2の挙動を示したと判定した2次微分信号の出力波形において、2次微分信号の出力値が所定値となった各共振器長の差分値(例えば、当該出力波形の半値幅)と第6閾値とを比較する(差分値比較工程)。
そして、差分値が第6閾値以上である場合には、飽和吸収線であると認定する(吸収線判定工程)。一方、差分値が第6閾値未満である場合には、飽和吸収線ではなく、2次微分信号にノイズが重畳していると認定する(吸収線判定工程)。
以上のように、本発明の飽和吸収線判定方法によれば、2次微分信号にノイズが重畳しているか否かを判定し、飽和吸収線を良好に認定できる。
本発明のレーザ周波数安定化装置は、上述した飽和吸収線判定方法を実施する装置であるので、上述した飽和吸収線判定方法と同様の作用及び効果を享受できる。
本発明のレーザ周波数安定化装置は、上述した飽和吸収線判定方法を実施する装置であるので、上述した飽和吸収線判定方法と同様の作用及び効果を享受できる。
本発明のレーザ周波数安定化装置は、上述した飽和吸収線判定方法を実施する装置であるので、上述した飽和吸収線判定方法と同様の作用及び効果を享受できる。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔レーザ周波数安定化装置の構成〕
図1は、第1実施形態におけるレーザ周波数安定化装置1を示すブロック図である。
レーザ周波数安定化装置1は、図1に示すように、従来のレーザ周波数安定化装置100と同様のレーザ発生部10、レーザ光検出部20、及び駆動制御部30を備える。
なお、本実施形態のレーザ周波数安定化装置1は、従来のレーザ周波数安定化装置100と比較して、探索処理及び周波数固定処理を実施するとともに、当該各処理において、2次微分信号S2にノイズが重畳しているか否かを判別しながら飽和吸収線を認定する機能を有する制御装置37を備える点が異なる。
このため、以下では、従来のレーザ周波数安定化装置100と同様の機能及び構成については同様の符号を付して説明を省略し、本願の要部である制御装置37について詳細に説明する。
図2は、制御装置37を示すブロック図である。
制御装置37は、CPU(Central Processing Unit)や、メモリ374等を備え、メモリ374に記憶されたプログラムにしたがって、種々の処理を実行する。なお、制御装置37の機能としては、従来の自動ロック装置31と同様の機能については、説明を省略し、以下では、本願の要部である飽和吸収線を認定する機能についてのみ説明する。
この制御装置37は、図1または図2に示すように、第1比較手段371と、第2比較手段372と、吸収線判定手段373と、メモリ374等を備える。
第2比較手段372は、光検出器27からの光出力信号S1の出力値と、第2閾値Vth2(図5参照)とを比較する。
吸収線判定手段373は、第1,第2比較手段371,372の比較結果に基づいて、飽和吸収線であるか否かを判定する。
次に、上述したレーザ周波数安定化装置1の動作について説明する。
なお、以下では、レーザ周波数安定化装置1の動作として、全体の動作(探索処理及び周波数固定処理)を説明した後、探索処理及び周波数固定処理において実施される吸収線判定方法について説明する。
図3は、探索処理及び周波数固定処理を説明するフローチャートである。
なお、本実施形態における探索処理及び周波数固定処理は、従来のレーザ周波数安定化装置100にて実施される探索処理及び周波数固定処理と略同様であるため、以下では、説明を簡略化する。
また、以下では、説明の便宜上、目標とする飽和吸収線を飽和吸収線a4(当該飽和吸収線a4が属する飽和吸収線群及びピーク群がそれぞれN2,M2)とする。
先ず、制御装置37は、アクチュエータ駆動回路33の動作を制御し、アクチュエータ126に印加する出力電圧Vを最大電圧値に設定する(ステップST1A)。
具体的に、ステップST1Bでは、制御装置37は、以下に示す処理を実行する。
すなわち、制御装置37は、後述する飽和吸収線判定方法により飽和吸収線を認定し、当該飽和吸収線が観測された際にアクチュエータ126に印加していた出力電圧Vの電圧値をメモリ374の第1記憶部374A(図2)に記憶させる。
また、制御装置37は、第1記憶部374Aから電圧値Vnew,Voldを読み出し、当該電圧値Vnew,Voldの差分値を算出し、当該差分値と、ΔV,ΔV´とを比較する。
また、ΔV,ΔV´は、飽和吸収線群に属する隣接する飽和吸収線間の各出力電圧Vの差分値の最大値をVa(図14(B))、隣接する飽和吸収線群間の各出力電圧Vの差分値の最小値をVb(図14(B))及び最大値をVb´(図14(B))、各ピーク群間の各出力電圧Vの差分値の最小値をVc(図14(A))とした場合に、Va<ΔV<Vb、Vb´<ΔV´<Vcの関係を満たすように設定されている。
また、制御装置37は、電圧値Vnew,Voldの差分値とΔV´とを比較することで、現時点で観測された飽和吸収線が直前に観測された飽和吸収線と同一のピーク群に属するか否かを判別する。
そして、制御装置37は、出力電圧Vを最大電圧値から最小電圧値まで減少させた後、ピーク群M2を探索できたか否かを判定する(ステップST1C)。
ステップST1Cにおいて、制御装置37は、「N」と判定した場合には、エラー処理を実行する(ステップST1D)。
ここで、エラー処理としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の点灯制御、あるいは、音声による報知制御により、エラーが生じた旨を作業者に知らせる処理が挙げられる。
ステップST1Eの後、制御装置37は、出力電圧Vを電圧値V0から徐々に増加させながら、ステップST1Bと同様に、ピーク群M2を再度、探索する(ステップST1F)。
そして、制御装置37は、出力電圧Vを増加させた結果、ピーク群M2を探索できたか否かを判定する(ステップST1G)。
ステップST1Gにおいて、制御装置37は、「N」と判定した場合には、ステップST1Dのエラー処理に移行する。
先ず、制御装置37は、後述する飽和吸収線判定方法による飽和吸収線の認定、及び上記判別を行いながら、最初に観測されるピーク群に属する飽和吸収線群として、当該飽和吸収線群が5回観測されるまで、出力電圧Vを減少させる。
なお、ステップST1Fにおいて、ピーク群M2を再度、探索した後の出力電圧Vは、飽和吸収線a15が観測される電圧値よりも若干、大きい電圧値V1(図14)である。このため、上記最初に観測されるピーク群は、ピーク群M2である。また、当該ピーク群M2に属する飽和吸収線群として、1回目に観測される飽和吸収線群は、飽和吸収線群N6であり、5回目に観測される飽和吸収線群は、飽和吸収線群N2である。
なお、上記飽和吸収線群N2に属する飽和吸収線として、1回目に観測される飽和吸収線は、飽和吸収線a5であり、2回目に観測される飽和吸収線は、飽和吸収線a4である。
そして、制御装置37は、出力電圧Vを減少させた結果、飽和吸収線a4を探索できたか否かを判定する(ステップST1I)。
ステップST1Iにおいて、制御装置37は、「N」と判定した場合には、ステップST1Dのエラー処理に移行する。
そして、ステップST1Jの処理により、レーザ光L2の発振周波数は、目標とする飽和吸収線a4に合致することとなる。
ステップST1Jの後、制御装置37は、2次微分用ロックインアンプ35からの2次微分信号S2の出力値と第1閾値Vth1とを比較し、2次微分信号S2の出力値が第1閾値Vth1以上に安定化しているか否かを常時、監視する(ステップST1K)。
すなわち、ステップST1Kの処理では、制御装置37は、レーザ光L2の発振周波数が目標とする飽和吸収線a4に安定化しているか否かを監視している。
そして、制御装置37は、ステップST1Kにおいて、「N」と判定した場合には、ステップST1Dのエラー処理に移行する。
次に、上述したステップST1B,ST1F,ST1Hにおいて実施される飽和吸収線を認定する際の飽和吸収線判定方法について説明する。
図4は、飽和吸収線判定方法を説明するフローチャートである。
図5は、飽和吸収線判定方法を説明するための図である。具体的に、図5は、図14(A)に対応した図である。
先ず、第1比較手段371は、2次微分用ロックインアンプ35からの2次微分信号S2の出力値と第1閾値Vth1とを比較し、2次微分信号S2の出力値が第1閾値Vth1以上となったか否かを常時、監視する(ステップST2A:第1比較工程)。
そして、第1比較手段371は、「Y」と判定した場合には、2次微分信号S2の出力値が第1閾値Vth1(図14(B))以上となった際にアクチュエータ126に印加されていた出力電圧Vの電圧値をメモリ374の第2記憶部374B(図2)に記憶させる。
また、ステップST2Aにおいて、「Y」と判定された場合には、第2比較手段372は、光検出器27からの光出力信号S1の出力値と第2閾値Vth2(図5)とを比較し、光出力信号S1の出力値が第2閾値Vth2以上であるか否かを判定する(ステップST2B:第2比較工程)。
例えば、吸収線判定手段373は、図5に示すように、光出力信号S1の出力値が第2閾値Vth2以上となる領域ArPで観測される2次微分信号S2の各ピークを飽和吸収線であると認定する。
そして、吸収線判定手段373は、ステップST2Aにおいて第2記憶部374Bに記憶された出力電圧Vの電圧値を飽和吸収線が観測された際にアクチュエータ126に印加していた出力電圧Vの電圧値として第1記憶部374Aに記憶させる。また、吸収線判定手段373は、第2記憶部374Bに記憶された出力電圧Vの電圧値を消去させる。
例えば、吸収線判定手段373は、図5に示すように、光出力信号S1の出力値が第2閾値Vth2未満となる領域ArNで観測される2次微分信号S2の各ピークを、飽和吸収線ではなく、ノイズが重畳された信号であると認定する。
そして、吸収線判定手段373は、ステップST2Aにおいて第2記憶部374Bに記憶された出力電圧Vの電圧値を消去させる。
すなわち、第1記憶部374Aには、領域ArPで飽和吸収線が観測された際の出力電圧Vの電圧値のみが記憶される。
本実施形態では、「飽和吸収線は、光出力信号S1の出力値が所定の閾値(第2閾値Vth2)以上である場合に限って、観測される。」点に着目し、ステップST2A〜ST2Dの処理により、飽和吸収線であるか否かを判定している。
このことにより、2次微分信号S2にノイズが重畳しているか否かを判定し、飽和吸収線を良好に認定できる。
特に、ステップST2A〜ST2Dの処理により飽和吸収線であるか否かを判定することで、ピーク群M1〜M4同士の間で、本来、観測されるはずのない飽和吸収線を誤って飽和吸収線であると認定することがない。
したがって、レーザ光L2の発振周波数を目標とする飽和吸収線a4に良好に合致させることができる。
また、光出力信号S1の出力値と第2閾値Vth2とを比較するだけで、2次微分信号S2にノイズが重畳しているか否かを判定できるため、飽和吸収線を認定するにあたって、制御装置37の処理負荷を低減できる。
次に、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下では、前記第1実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
図6は、第2実施形態におけるレーザ周波数安定化装置1を示すブロック図である。
図7は、第2実施形態における制御装置37を示すブロック図である。
本実施形態では、図6及び図7に示すように、前記第1実施形態に対して、制御装置37の構成が異なるものである。その他の構成は、前記第1実施形態と同様である。
波形判定手段375は、2次微分用ロックインアンプ35からの2次微分信号S2の出力値と大小関係にある第3,第4閾値Vth3,Vth4(図9参照)とを比較し、出力電圧Vが変化した際(共振器長が変化した際)での2次微分信号S2の出力波形が所定の挙動(以下、第1の挙動)を示した否かを判定する。
そして、第2実施形態における吸収線判定手段373は、波形判定手段375の判定結果に基づいて、飽和吸収線であるか否かを判定する。
図8は、飽和吸収線判定方法を説明するフローチャートである。
図9は、飽和吸収線判定方法を説明するための図である。具体的に、図9は、2次微分信号S2の出力値を縦軸とし、出力電圧Vを横軸とし、出力電圧Vを変化させた場合(共振器長を変化させた場合)での2次微分信号S2の出力波形を模式的に示す図である。
先ず、波形判定手段375は、以下に示すように、2次微分用ロックインアンプ35から出力された2次微分信号S2の出力波形が第1の挙動を示したか否かを判定する(ステップST3A:波形判定工程)。
また、波形判定手段375は、当該入力した2次微分信号S2の出力値と、当該2次微分信号S2を入力した際にアクチュエータ126に印加されていた出力電圧Vの電圧値と、上記比較結果に応じた情報とを関連付けて、第2記憶部374Bに順次、記憶させる。
なお、上記比較結果に応じた情報は、第4閾値Vth4未満である旨の情報、第4閾値Vth4以上で、かつ、第3閾値Vth3未満である旨の情報、あるいは、第3閾値Vth3以上である旨の情報である。
そして、波形判定手段375は、第2記憶部374Bに記憶された情報に基づき、出力電圧Vが所定値V2(図9)だけ変化した際の2次微分信号S2の出力波形が、第4閾値Vth4未満から第3閾値Vth3以上となり、さらに第4閾値Vth4未満に変化する第1の挙動を示したか否かを判定する。
例えば、吸収線判定手段373は、図9に示すように、所定値V2の範囲内で、第1の挙動を示す出力波形の2次微分信号S2(各ピークP)を飽和吸収線であると認定する。
そして、吸収線判定手段373は、第2記憶部374Bに記憶された情報に基づき、第1の挙動を示す出力波形の2次微分信号S2のピーク値(2次微分信号S2の出力値)を判別し、当該ピーク値に関連付けられた出力電圧Vの電圧値を、飽和吸収線が観測された際の出力電圧Vの電圧値として第1記憶部374Aに記憶させる。
例えば、吸収線判定手段373は、図9に示すように、所定値V2の範囲内で、第1の挙動を示さない出力波形の2次微分信号S2(ピークPN)については、飽和吸収線ではなく、ノイズが重畳された信号であると認定する。
本実施形態では、「飽和吸収線と認められる信号としては、出力電圧Vが変化した際での2次微分信号S2の出力波形が第1の挙動を示す場合である。」点に着目し、ステップST3A〜ST3Cの処理により、飽和吸収線であるか否かを判定している。
このことにより、2次微分信号S2にノイズが重畳しているか否かを判定し、飽和吸収線を良好に認定できる。
特に、ステップST3A〜ST3Cの処理により飽和吸収線であるか否かを判定することで、ピーク群M1〜M4同士の間に限らず、同一のピーク群に属する飽和吸収線群同士の間や、同一の飽和吸収線群に属する飽和吸収線同士の間で、本来、観測されるはずのない飽和吸収線を誤って飽和吸収線であると認定することがない。
したがって、レーザ光L2の発振周波数を目標とする飽和吸収線a4に良好に合致させることができる。
次に、本発明の第3実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下では、前記第2実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明については省略する。
図10は、第3実施形態における制御装置37を示すブロック図である。
本実施形態では、図10に示すように、前記第2実施形態に対して、制御装置37の構成が異なるものである。その他の構成は、前記第1実施形態と同様である。
第3実施形態における波形判定手段375は、2次微分用ロックインアンプ35からの2次微分信号S2の出力値と第5閾値Vth5(図12参照)とを比較し、出力電圧Vが変化した際(共振器長が変化した際)での2次微分信号S2の出力波形が所定の挙動(以下、第2の挙動)を示したか否かを判定する。
差分値比較手段376は、波形判定手段375にて第2の挙動を示したと判定された2次微分信号S2の出力波形において、2次微分信号S2の出力値が所定値となった出力電圧Vの各電圧値の差分値と、第6閾値Vth6(図示略)とを比較する。
そして、第3実施形態における吸収線判定手段373は、差分値比較手段376の比較結果に基づいて、飽和吸収線であるか否かを判定する。
図11は、飽和吸収線判定方法を説明するフローチャートである。
図12は、飽和吸収線判定方法を説明するための図である。具体的に、図12は、図9に対応した図である。
先ず、波形判定手段375は、以下に示すように、2次微分用ロックインアンプ35から出力された2次微分信号S2の出力波形が第2の挙動を示したか否かを判定する(ステップST4A:波形判定工程)。
また、波形判定手段375は、当該入力した2次微分信号S2の出力値と、当該2次微分信号S2を入力した際にアクチュエータ126に印加されていた出力電圧Vの電圧値と、上記比較結果に応じた情報とを関連付けて、第2記憶部374Bに順次、記憶させる。
なお、上記比較結果に応じた情報は、第5閾値Vth5未満である旨の情報、あるいは、第5閾値Vth5以上である旨の情報である。
そして、波形判定手段375は、第2記憶部374Bに記憶された情報に基づき、出力電圧Vが所定値V2(図12)だけ変化した際の2次微分信号S2の出力波形が、第5閾値Vth5未満から第5閾値Vth5以上となり、さらに第5閾値Vth5未満に変化する第2の挙動を示したか否かを判定する。
なお、本実施形態では、上記差分値として、第2の挙動を示す出力波形の半値幅を採用している。
例えば、吸収線判定手段373は、図12に示すように、所定値V2の範囲内で第2の挙動を示す出力波形の2次微分信号S2(各ピークP,PN)のうち、半値幅HWPが第6閾値Vth6以上となる2次微分信号S2(各ピークP)を飽和吸収線であると認定する。
そして、吸収線判定手段373は、第2記憶部374Bに記憶された情報に基づき、第2の挙動を示す出力波形の2次微分信号S2のピーク値(2次微分信号S2の出力値)を判別し、当該ピーク値に関連付けられた出力電圧Vの電圧値を、飽和吸収線が観測された際の出力電圧Vの電圧値として第1記憶部374Aに記憶させる。
例えば、吸収線判定手段373は、図12に示すように、所定値V2の範囲内で第2の挙動を示す出力波形の2次微分信号S2(各ピークP,PN)のうち、半値幅HWNが第6閾値Vth6未満となる2次微分信号S2(ピークPN)については、飽和吸収線ではなく、ノイズが重畳された信号であると認定する。
本実施形態では、「飽和吸収線と認められる信号としては、出力電圧Vが変化した際での2次微分信号S2の出力波形が第2の挙動を示し、かつ、当該出力波形の半値幅が所定の閾値(第6閾値Vth6)以上となるものである。」点に着目し、ステップST4A〜ST4Dの処理により、飽和吸収線であるか否かを判定している。
このことにより、2次微分信号S2にノイズが重畳しているか否かを判定し、飽和吸収線を良好に認定できる。
特に、ステップST4A〜ST4Dの処理により飽和吸収線であるか否かを判定することで、前記第2実施形態と同様に、ピーク群M1〜M4同士の間に限らず、同一のピーク群に属する飽和吸収線群同士の間や、同一の飽和吸収線群に属する飽和吸収線同士の間で、本来、観測されるはずのない飽和吸収線を誤って飽和吸収線であると認定することがない。
したがって、レーザ光L2の発振周波数を目標とする飽和吸収線a4に良好に合致させることができる。
前記各実施形態において、飽和吸収線判定方法は、前記各実施形態で説明したフローに限らない。
すなわち、前記第1実施形態では、前記各実施形態では、第1比較工程ST2A、第2比較工程ST2Bの順に処理を実行していたが、これに限らない。
例えば、第2比較工程ST2B、第1比較工程ST2Aの順に処理を実行しても構わない。すなわち、光出力信号S1の出力値が第2閾値Vth2以上である場合に限って第1比較工程ST2Aを実行し、当該第1比較工程ST2Aにおいて、2次微分信号S2の出力値が第1閾値Vth1以上である場合に、当該信号を飽和吸収線であると認定する。
例えば、ピーク群M1〜M4同士の間では前記第1実施形態のフローにて飽和吸収線であるか否かを判定し、同一のピーク群に属する飽和吸収線群同士の間や、同一の飽和吸収線群に属する飽和吸収線同士の間では前記第2実施形態のフロー、あるいは、前記第3実施形態のフローにて飽和吸収線であるか否かを判定しても構わない。
25・・・ヨウ素セル(吸収セル)
27・・・光検出器(変換装置)
35・・・2次微分用ロックインアンプ(生成装置)
37・・・制御装置
126・・・アクチュエータ
371・・・第1比較手段
372・・・第2比較手段
373・・・吸収線判定手段
375・・・波形判定手段
376・・・差分値比較手段
ST2A・・・第1比較工程
ST2B・・・第2比較工程
ST2C,ST2D,ST3B,ST3C,ST4C,ST4D・・・吸収線判定工程
ST3A,ST4A・・・波形判定工程
ST4B・・・差分値比較工程
Claims (6)
- レーザ光を吸収セルに照射して得られる光出力信号に含まれる飽和吸収線に基づき共振器長を変化させて前記レーザ光の発振周波数を特定の前記飽和吸収線に安定化させるレーザ周波数安定化装置の飽和吸収線判定方法であって、
前記光出力信号の2次微分信号の出力値と第1閾値とを比較する第1比較工程と、
前記光出力信号の出力値と第2閾値とを比較する第2比較工程と、
前記第1比較工程及び前記第2比較工程の比較結果に基づいて、前記飽和吸収線であるか否かを判定する吸収線判定工程とを備える
ことを特徴とする飽和吸収線判定方法。 - レーザ光を吸収セルに照射して得られる光出力信号に含まれる飽和吸収線に基づき共振器長を変化させて前記レーザ光の発振周波数を特定の前記飽和吸収線に安定化させるレーザ周波数安定化装置の飽和吸収線判定方法であって、
前記光出力信号の2次微分信号の出力値と大小関係にある第3閾値及び第4閾値とを比較し、前記共振器長が変化した際での前記2次微分信号の出力波形が、前記第4閾値未満から前記第3閾値以上となり、さらに前記第4閾値未満に変化する挙動を示したか否かを判定する波形判定工程と、
前記波形判定工程の判定結果に基づいて、前記飽和吸収線であるか否かを判定する吸収線判定工程とを備える
ことを特徴とする飽和吸収線判定方法。 - レーザ光を吸収セルに照射して得られる光出力信号に含まれる飽和吸収線に基づき共振器長を変化させて前記レーザ光の発振周波数を特定の前記飽和吸収線に安定化させるレーザ周波数安定化装置の飽和吸収線判定方法であって、
前記光出力信号の2次微分信号の出力値と第5閾値とを比較し、前記共振器長が変化した際での前記2次微分信号の出力波形が、前記第5閾値未満から前記第5閾値以上となり、さらに前記第5閾値未満に変化する挙動を示したか否かを判定する波形判定工程と、
前記波形判定工程にて前記挙動を示したと判定された前記出力波形において、前記2次微分信号の出力値が所定値となった各前記共振器長の差分値と第6閾値とを比較する差分値比較工程と、
前記差分値比較工程の比較結果に基づいて、前記飽和吸収線であるか否かを判定する吸収線判定工程とを備える
ことを特徴とする飽和吸収線判定方法。 - レーザ光を吸収セルに照射して得られる光出力信号に含まれる飽和吸収線に基づき共振器長を変化させて前記レーザ光の発振周波数を特定の前記飽和吸収線に安定化させるレーザ周波数安定化装置であって、
前記吸収セルを介したレーザ光を前記光出力信号に変換する変換装置と、
前記変換装置にて変換された前記光出力信号の2次微分信号を生成する生成装置と、
前記共振器長を変化させるアクチュエータと、
前記アクチュエータの動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記2次微分信号の出力値と第1閾値とを比較する第1比較手段と、
前記光出力信号の出力値と第2閾値とを比較する第2比較手段と、
前記第1比較工程及び前記第2比較工程の比較結果に基づいて、前記飽和吸収線であるか否かを判定する吸収線判定手段とを備える
ことを特徴とするレーザ周波数安定化装置。 - レーザ光を吸収セルに照射して得られる光出力信号に含まれる飽和吸収線に基づき共振器長を変化させて前記レーザ光の発振周波数を特定の前記飽和吸収線に安定化させるレーザ周波数安定化装置であって、
前記吸収セルを介したレーザ光を前記光出力信号に変換する変換装置と、
前記変換装置にて変換された前記光出力信号の2次微分信号を生成する生成装置と、
前記共振器長を変化させるアクチュエータと、
前記アクチュエータの動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記2次微分信号の出力値と大小関係にある第3閾値及び第4閾値とを比較し、前記共振器長が変化した際での前記2次微分信号の出力波形が、前記第4閾値未満から前記第3閾値以上となり、さらに前記第4閾値未満に変化する挙動を示したか否かを判定する波形判定手段と、
前記波形判定手段の判定結果に基づいて、前記飽和吸収線であるか否かを判定する吸収線判定手段とを備える
ことを特徴とするレーザ周波数安定化装置。 - レーザ光を吸収セルに照射して得られる光出力信号に含まれる飽和吸収線に基づき共振器長を変化させて前記レーザ光の発振周波数を特定の前記飽和吸収線に安定化させるレーザ周波数安定化装置であって、
前記吸収セルを介したレーザ光を前記光出力信号に変換する変換装置と、
前記変換装置にて変換された前記光出力信号の2次微分信号を生成する生成装置と、
前記共振器長を変化させるアクチュエータと、
前記アクチュエータの動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記2次微分信号の出力値と第5閾値とを比較し、前記共振器長が変化した際での前記2次微分信号の出力波形が、前記第5閾値未満から前記第5閾値以上となり、さらに前記第5閾値未満に変化する挙動を示したか否かを判定する波形判定手段と、
前記波形判定手段にて前記挙動を示したと判定された前記出力波形において、前記2次微分信号の出力値が所定値となった各前記共振器長の差分値と第6閾値とを比較する差分値比較手段と、
前記差分値比較手段の比較結果に基づいて、前記飽和吸収線であるか否かを判定する吸収線判定手段とを備える
ことを特徴とするレーザ周波数安定化装置。
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