WO2024106472A1 - 電力増幅回路 - Google Patents
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Abstract
入力信号を、第1信号と、前記第1信号と位相が略180度異なる第2信号と、に分配して、前記第1信号および前記第2信号を、主経路および副経路のそれぞれに出力する分配回路と、前記副経路に設けられる、前記第1信号と前記第2信号とを合成する2倍波生成回路であって、前記第1信号の基本波と、前記第2信号の基本波と、を打ち消すように合成し、前記第1信号の2倍波の周波数帯域の信号と、前記第2信号の2倍波の周波数帯域の信号と、が加算されるように合成して2倍波合成信号を生成する2倍波生成回路と、前記主経路を経由する前記第1信号および前記第2信号に基づく基本信号と、前記副経路を経由する前記2倍波合成信号に基づく調整信号と、を合成した信号を増幅して増幅信号を出力する第1増幅回路と、 を備える。
Description
本発明は、電力増幅回路に関する。
携帯電話等の移動体通信機には、送信信号の電力を増幅するための電力増幅器が搭載されている。このような電力増幅器に、例えば周波数が近接した複数の信号が供給されると、これらの複数の信号から相互変調歪み(IMD:Inter-modulation Distortion)が生じ、利得の線形性が劣化するおそれがある。したがって、このような相互変調歪みの影響を抑制すべく、信号経路に高調波を意図的に注入することにより、相互変調歪みの成分を打ち消す技術が提案されている。例えば、特許文献1には、初段の増幅器の出力を基本波と2倍波に分配し、当該2倍波の位相及び振幅を調整したのち、基本波に加算して後段の増幅器に入力することにより相互変調歪みを補償する、歪み補償電力増幅装置が開示されている。また、例えば、特許文献2には、初段の増幅器の出力から基本波を減衰させて2倍波を通過させるフィルタ回路を備えることにより相互変調歪みを補償する歪み補償回路が開示されている。
近年、4G(第4世代移動通信システム)及び5G(第5世代移動通信システム)等の新たな通信規格の導入により、電力増幅回路が対応すべき周波数帯域の数が増加し、これに伴ってフィルタ回路の数が増加している。さらに、特許文献1および特許文献2に開示されている装置は、2倍波を抽出するためのフィルタ回路を設けているため、回路が大きくなり、通過損失が劣化するため高出力化することが困難であった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、相互変調歪みの影響を抑制しつつ高出力化が可能な電力増幅回路を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明の一側面に係る電力増幅回路は、入力信号を、第1信号と、前記第1信号と位相が略180度異なる第2信号と、に分配して、前記第1信号および前記第2信号を、主経路および副経路のそれぞれに出力する分配回路と、前記副経路に設けられる、前記第1信号と前記第2信号とを合成する2倍波生成回路であって、前記第1信号の基本波と、前記第2信号の基本波と、を打ち消すように合成し、前記第1信号の2倍波の周波数帯域の信号と、前記第2信号の2倍波の周波数帯域の信号と、が加算されるように合成して2倍波合成信号を生成する2倍波生成回路と、前記主経路を経由する前記第1信号および前記第2信号に基づく基本信号と、前記副経路を経由する前記2倍波合成信号に基づく調整信号と、を合成した信号を増幅して増幅信号を出力する第1増幅回路と、を備える
本発明によれば、相互変調歪みの影響を抑制しつつ高出力化が可能な電力増幅回路を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
===第1実施形態に係る電力増幅回路100a===
図1は、第1実施形態に係る電力増幅回路100aの構成例を示す図である。図1に示される電力増幅回路100aは、例えば、携帯電話等の移動体通信機に搭載され、基地局に送信する無線周波数(RF:Radio-Frequency)信号の電力を増幅するために用いられる。電力増幅回路100aは、例えば、2G(第2世代移動通信システム)、3G(第3世代移動通信システム)、4G(第4世代移動通信システム)、5G(第5世代移動通信システム)、LTE(Long Term Evolution)-FDD(Frequency Division Duplex)、LTE-TDD(Time Division Duplex)、LTE-Advanced、LTE-Advanced Pro等の通信規格の信号の電力を増幅する。また、RF信号の周波数は、例えば数百MHz~数十GHz程度である。なお、電力増幅回路100Aが増幅する信号の通信規格及び周波数はこれらに限られない。
図1は、第1実施形態に係る電力増幅回路100aの構成例を示す図である。図1に示される電力増幅回路100aは、例えば、携帯電話等の移動体通信機に搭載され、基地局に送信する無線周波数(RF:Radio-Frequency)信号の電力を増幅するために用いられる。電力増幅回路100aは、例えば、2G(第2世代移動通信システム)、3G(第3世代移動通信システム)、4G(第4世代移動通信システム)、5G(第5世代移動通信システム)、LTE(Long Term Evolution)-FDD(Frequency Division Duplex)、LTE-TDD(Time Division Duplex)、LTE-Advanced、LTE-Advanced Pro等の通信規格の信号の電力を増幅する。また、RF信号の周波数は、例えば数百MHz~数十GHz程度である。なお、電力増幅回路100Aが増幅する信号の通信規格及び周波数はこれらに限られない。
電力増幅回路100aは、例えば、分配回路110、増幅回路120,140、2倍波減衰回路130、合成回路150、歪み補償回路160、入力端子101及び出力端子102を備える。電力増幅回路100aは、主経路P1と副経路P2を含む。
主経路P1は、例えば入力信号RFinの基本波を通過させる経路である。副経路P2は、例えば、3次相互変調歪みを補償するための2倍波を生成して通過させる経路である。
分配回路110は、入力信号RFinを、信号RF1(第1信号)と、信号RF1と位相が略180度異なる信号RF2(第2信号)とに分配する。そして、分配回路110は、例えば、主経路P1に信号RF1を出力し、副経路P2に信号RF2を出力する。略180度とは、例えば135度~225度の範囲を含む。
分配回路110は、例えばバラントランスを含んで構成される。分配回路110は、その前段の回路(不図示)と、後段の増幅回路120とのインピーダンスを整合する機能を有していてもよい。
増幅回路120(第2増幅回路)及び増幅回路140(第1増幅回路)のそれぞれは、入力される差動のRF信号を増幅して出力する差動増幅回路である。電力増幅回路100aでは、一例として、2段階にわたって電力を増幅する構成を有する。
増幅回路120(例えばドライブ段)は、入力端子101から分配回路110を通じて入力される信号RF1および信号RF2を増幅して、信号RF11および信号RF12を2倍波減衰回路130に出力する。
増幅回路140(例えばパワー段)は、2倍波減衰回路130から出力される信号F01および信号F02(基本信号)と、歪み補償回路160から出力される信号2F01および信号2F02とをノードN1およびノードN2で合成した信号を増幅して、信号RF41および信号RF42を合成回路150に出力する差動増幅回路である。
すなわち、ノードN1およびノードN2において、主経路P1を経由した基本波の信号F01および信号F02と、副経路P2を経由した2倍波の信号2F01および信号2F02とが合成されて増幅回路140に供給される。
増幅回路120および増幅回路140は、例えばヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)等のバイポーラトランジスタを含んで構成される。なお、増幅回路120および増幅回路140は、HBTに替えて電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal-oxide-semiconductor Field-Effect Transistor)を含んで構成されていてもよい。以下、一例として、増幅回路120および増幅回路140は、バイポーラトランジスタで構成されるものとして説明する。
図2を参照して、増幅回路120および増幅回路140の具体的な構成の一例について説明する。図2は、第1実施形態に係る電力増幅回路100aの具体的な構成例を示す図である。
図2に示すように、増幅回路120は、トランジスタ121と、トランジスタ122と、バイアス回路123とを含む。
トランジスタ121は、信号RF1を増幅した信号RF11を2倍波減衰回路130に出力する。トランジスタ121は、ベースにキャパシタC1を通じて信号RF1が入力され、エミッタが基準電位と電気的に接続され、コレクタが2倍波減衰回路130と電気的に接続される。
トランジスタ122は、信号RF2を増幅した信号RF12を2倍波減衰回路130に出力する。トランジスタ122は、ベースにキャパシタC2を通じて信号RF2(信号RF1と位相が180度異なる信号)が入力され、エミッタが基準電位と電気的に接続され、コレクタが2倍波減衰回路130と電気的に接続される。
バイアス回路123は、トランジスタ121のベースに抵抗R1を通じてバイアスを供給し、トランジスタ122のベースに抵抗R2を通じてバイアスを供給する。バイアス回路123は、例えば、制御信号Ctrl1によってトランジスタ121およびトランジスタ122のバイアスが制御される。
図2に示すように、増幅回路140は、トランジスタ141と、トランジスタ142と、バイアス回路143とを含む。トランジスタ141、トランジスタ142は、例えばヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)等のバイポーラトランジスタでもよいし、電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal-oxide-semiconductor Field-Effect Transistor)でもよい。
トランジスタ141は、2倍波減衰回路130から出力される信号RF1の2倍波が減衰された信号F01と、歪み補償回路160から出力される2倍波の信号2F01とを合成した信号RF41を、合成回路150に出力する。トランジスタ141は、ベースにキャパシタC3を通じて2倍波減衰回路130が電気的に接続され、エミッタが基準電位と電気的に接続され、コレクタが歪み補償回路160と電気的に接続される。
トランジスタ142は、2倍波減衰回路130から出力される信号RF2の2倍波が減衰された信号F02と、歪み補償回路160から出力される2倍波の信号2F02とを合成した信号RF42を、合成回路150に出力する。トランジスタ142は、ベースにキャパシタC4を通じて2倍波減衰回路130が電気的に接続され、エミッタが基準電位と電気的に接続され、コレクタが歪み補償回路160と電気的に接続される。
バイアス回路143は、トランジスタ141のベースに抵抗R3を通じてバイアスを供給し、トランジスタ142のベースに抵抗R4を通じてバイアスを供給する。バイアス回路143は、例えば、制御信号Ctrl2によってトランジスタ141およびトランジスタ142のバイアスが制御される。
電力増幅回路100aでは、パワー段に差動増幅回路を用いることによって、出力インピーダンスが高くなるため、負荷のインピーダンスを低くすることができることから、高出力化が可能となる。また、差動増幅回路を用いることによって、広帯域化が可能となり、同相信号を除去できるため外来ノイズの影響を抑制できる。
2倍波減衰回路130(出力回路)は、例えば、主経路P1において分配回路110と合成回路150との間に設けられ、増幅回路120の増幅動作によって発生する高調波歪み(HD:Harmonic Distortion)を減衰させる機能を有する。具体的には、2倍波減衰回路130は、基本波を通過させ、2倍波を減衰させる周波数特性を有する低域通過フィルタ(LPF:Low Pass Filter)回路を含んでいてもよい。2倍波減衰回路130は、2倍波が減衰された信号F01および信号F02(基本信号)を増幅回路140に通過させる。
これにより、電力増幅回路100aでは、主経路P1を通過する信号に含まれる2倍波が増幅回路140に供給されることを抑制できる。そのため、後述する信号2F01および信号2F02が増幅回路140に入力される前に主経路P1を通過する2倍波によって相殺されることで生じ得る歪み補償の効果の低減を回避できる。
なお、2倍波減衰回路130は、増幅回路120と増幅回路140とのインピーダンスを整合させる機能を有していてもよい。
合成回路150は、増幅回路140の後段に設けられ、増幅回路140から出力される信号RF41および信号RF42を合成して信号RFoutを出力する。合成回路150は、増幅回路140と出力端子102の後段の回路(不図示)とのインピーダンスを整合する機能を有していてもよい。
また、合成回路150は、信号RF41および信号RF42に含まれる2倍波を接地に短絡する機能を有していてもよい。これにより、電力増幅回路100aでは、出力端子102から2倍波が減衰された信号RFoutを出力することができる。
歪み補償回路160は、副経路P2に設けられ、入力信号RFinが分配回路110で分配された差動信号について、基本波の信号をキャンセルして、3次相互変調歪みを補償するための2倍波の信号を生成する回路である。
具体的には、歪み補償回路160は、信号RF1(第1信号)の基本波と、信号RF2(第2信号)の基本波とが打ち消し合うように合成し、信号RF1の2倍波の周波数帯域の信号と、信号RF2の2倍波の周波数帯域の信号とが加算されるように合成するとともに、合成した信号の位相を調整して、信号2F01および信号2F02(調整信号)を出力する。
すなわち、歪み補償回路160は、3次相互変調歪みを補償するために意図的に2倍波の信号2F01および信号2F02を生成して出力する。
図2に示すように、歪み補償回路160は、例えば、2倍波生成回路200と、分配器210と、位相調整回路220と、分配器230とを含む。
2倍波生成回路200は、信号RF1および信号RF2から2倍波の周波数帯域の信号を生成する回路である。
具体的には、2倍波生成回路200は、信号RF1(第1信号)の基本波と、信号RF2(第2信号)の基本波とが打ち消し合うように合成し、信号RF1の2倍波の周波数帯域の信号と、信号RF2の2倍波の周波数帯域の信号とが加算されるように合成して、信号RF20(2倍波合成信号)を生成する。
図2に示すように、2倍波生成回路200は、トランジスタ201と、トランジスタ202とを含む。
トランジスタ201は、ベースに分配回路110で分配される信号RF1が入力され、エミッタが基準電位と電気的に接続される。
トランジスタ202は、ベースに分配回路110で分配される信号RF2が入力され、エミッタが基準電位と電気的に接続され、コレクタがトランジスタ201のコレクタと電気的に接続される。
さらに、図3を参照して、2倍波生成回路200において、基本波が打ち消され、2倍波の信号が生成される仕組みについて説明する。図3は、2倍波生成回路200の具体的な構成と、信号の波形とを示す図である。以下、2倍波生成回路200の各箇所における信号の波形を用いて上記の仕組みについて説明する。
図3に示すように、2倍波生成回路200のトランジスタ201のベースには、信号RF1の第1位相を示す電圧Vb1が入力される。トランジスタ201のコレクタには電圧Vb1に応じたコレクタ電流Ic1が流れる。コレクタ電流Ic1の基本波は、電圧Vb1と第1位相と同じ位相を示す。このとき、コレクタ電流Ic1の2倍波(2次高調波)が発生する。
一方、2倍波生成回路200のトランジスタ202のベースには、信号RF2の第2位相を示す電圧Vb2が入力される。第2位相は、第1位相と180度異なる位相である。トランジスタ202のコレクタには電圧Vb2に応じたコレクタ電流Ic2が流れる。コレクタ電流Ic2の基本波は、電圧Vb1と第1位相と180度異なる位相を示す。このとき、コレクタ電流Ic2の2倍波(2次高調波)が発生する。
ここで、コレクタ電流Ic1の2倍波の位相は、コレクタ電流Ic2の2倍波の位相と同じである。これは、以下の式(1)に示すように、偶数倍の高調波は偶数乗されて位相がプラスとなるため、基本波の位相が異なるそれぞれの2倍波は位相が同じとなる。なお、式(1)において、tは時間を示し、C0、C1、C2、C3は定数を示す。
2倍波生成回路200では、ノードN200において、コレクタ電流Ic1とコレクタ電流Ic2とが合成されて、信号RF20を出力する。
このとき、コレクタ電流Ic1の基本波とコレクタ電流Ic2の基本波とがそれぞれ打ち消される。一方、コレクタ電流Ic1の2倍波およびコレクタ電流Ic2の2倍波のそれぞれは、同相であるため加算される。すなわち、2倍波生成回路200は、コレクタ電流Ic1の2倍波とコレクタ電流Ic2の2倍波とが加算された電流に対応する電圧Vctを信号RF20として出力する。
電力増幅回路100aは、2倍波生成回路200を備えることによって、フィルタ回路を用いずに、基本波を減衰させて2倍波を出力させることができるため、回路を小さくすることができる。
分配器210は、信号RF20を、信号RF21と、信号RF21と位相が略90度異なる信号RF22とに分配する。分配器210は、例えばハイブリッドカプラで構成されていてもよい。略90度とは、例えば45度~135度の範囲を含む。
位相調整回路220は、分配器210の後段に設けられ、信号RF21および信号RF22(2倍波合成信号)の位相および振幅を調整して信号RF30(調整信号)を出力する回路である。
すなわち、位相調整回路220は、2倍波生成回路200で生成された2倍波の信号RF20が分配器210で分配された信号を、歪み補償に適した位相および振幅となるように調整する。
図2に示すように、位相調整回路220は、トランジスタ221と、トランジスタ222と、バイアス回路223とを含む。
トランジスタ221は、ベースに分配器210で分配される信号RF21が入力され、エミッタが基準電位と電気的に接続される。
トランジスタ222は、ベースに分配器210で分配される信号RF22が入力され、エミッタが基準電位と電気的に接続され、コレクタがトランジスタ221のコレクタと電気的に接続される。
バイアス回路223は、トランジスタ221のベースおよびトランジスタ222のベースに、トランジスタ221およびトランジスタ222のゲインを調整するためのバイアスを供給する。
バイアス回路223は、制御信号Ctrl3によってトランジスタ221のバイアス(後述するゲイン)が制御され、制御信号Ctrl4によってトランジスタ222のバイアス(後述するゲイン)が制御される。制御信号Ctrl3および制御信号Ctrl4は、入力信号RFinの周波数、周囲温度または電源電圧などに応じた信号である。
図4を参照して、位相調整回路220において位相および振幅を調整可能な仕組みについて説明する。図4は、位相調整回路220において位相および振幅が調整されたことを示すベクトル図である。
位相調整回路220では、位相が異なる二つの信号RF21および信号Rf22のそれぞれを、異なるゲインの増幅器(ここでは、トランジスタ221およびトランジスタ222)で増幅する。
図4に示すように、位相調整回路220では、それぞれの増幅器で増幅された信号のベクトル和で示される、歪み補償に適した位相および振幅の信号RF30を出力する。具体的には、図4に示すように、位相調整回路220は、信号RF21のゲインを調整してベクトルの長さを調整し、信号RF22のゲインを調整してベクトルの長さを調整して、それぞれのベクトルの和を示す信号RF30のベクトルの位相θおよびベクトルの長さ(信号の振幅)を調整する。
すなわち、位相調整回路220は、位相が90度異なる二つの信号に基づき位相および振幅を任意に調整して信号を出力可能な回路である。
これにより、電力増幅回路100aは、周波数、温度または電源電圧などの動作条件が変動しても、動作条件に応じて歪み補償に適した位相および振幅の信号RF30を出力できる。
分配器230は、位相調整回路220から出力される信号RF30を、信号2F01と、信号2F01と位相が略180度異なる信号2F02とに分配する。副経路P2の分配器230から出力される信号2F01および信号2F02のそれぞれは、主経路P1のノードN1およびノードN2のそれぞれに注入される。分配器230は、例えばバラントランスを含んで構成される。また、分配器230は、基本波を減衰させる機能と、2倍波の周波数帯域におけるインピーダンス整合(インピーダンス変換)の機能とを有していてもよい。
電力増幅回路100aは、上述の歪み補償回路160によって、増幅回路140の入力に意図的に注入される2倍波の信号2F01および信号2F02を生成することができる。
なお、歪み補償回路160は、位相調整回路220および分配器230を備えている必要はない。この場合であっても、電力増幅回路100aは、フィルタ回路を用いることなく2倍波の信号を生成して、主経路P1の3次相互変調歪みを補償することができる。
また、上記において、2倍波生成回路200は、信号RF1および信号RF2が入力されることとして説明したが、これに限定されない。例えば、電力増幅回路100aは、増幅回路120で増幅された信号RF1および信号RF2が2倍波生成回路200に供給されるように構成されていてもよい。
次に、図5及び図6を参照して、3次相互変調歪みの補償の動作について説明する。
図5は、ドライブ段の増幅回路140に供給される信号(ここでは、図1の信号F01および信号2F01または信号F02および信号2F02)のスペクトルを示した図である。なお、図5では、信号F01に対する高調波(問題となるのは2倍波)の信号成分が含まれるものの、この記載を省略している。当該高調波の信号成分によって、3次相互変調歪みが発生する。
図6は、ドライブ段の増幅回路140から出力される信号(ここでは、図1の信号RF41または信号RF42)の3次相互変調歪みが相殺されることを示す図である。
図5及び図6では、一例として、増幅回路140に供給される差動信号のうちの一方の信号F01と信号2F01とを示す。図5及び図6では、横軸が信号の周波数を示し、縦軸がパワースペクトル密度(PSD:Power Spectral Density)を示す。
図5に示すように、増幅回路140(ここでは、トランジスタ141)には、主経路P1を経由した基本波の信号F01と、副経路P2を経由した2倍波の信号2F01とが供給される。ここで、基本波の信号F01は互いに近接した2つの周波数f1,f2(f1<f2)の成分を含むものとする。この場合、副経路P2では、周波数f1,f2のそれぞれの2倍波の信号2F01が生成される。すなわち、2倍波の信号2F01は、2つの周波数2f1,2f2の成分を含む。したがって、増幅回路140には、周波数f1,f2の信号F01と、周波数2f1,2f2の信号2F01とが合成された信号が供給される。
ここで、非線形性を示す増幅回路140は、基本波の増幅動作によって、周波数が2f1-f2である3次相互変調歪みIM3Lが基本波(周波数f1)の信号F01の低域側に発生し、周波数が2f2-f1である3次相互変調歪みIM3Hが基本波(周波数f2)の信号F01の高域側に発生させる。
このときに発生する3次相互変調歪みIM3LおよびIM3Hは、基本波の信号F01の周波数f1,f2と比較的近接している。そのため、フィルタ回路等によって、3次相互変調歪みIM3LおよびIM3Hを取り除くことが困難である。3次相互変調歪みIM3LおよびIM3Hは、電力増幅回路100aの線形性の劣化の要因となり得る。なお、増幅回路140の基本波の増幅動作では、例えば周波数が2f1+f2,2f2+f1である3次相互変調歪みも発生し得るが、当該歪みの周波数は基本波の信号F01の周波数f1,f2から比較的遠いため、線形性の劣化への影響が小さいことから、ここでは説明を省略する。
電力増幅回路100aでは、基本波に比較的近い3次相互変調歪みIM3L,IM3Hを補償する。上述したように、電力増幅回路100aでは、3次相互変調歪みIM3L,IM3Hを相殺するための補償信号CSL,CSHを生成するべく、2倍波の信号2F01を意図的に基本波の信号F01と合成する。
具体的には、電力増幅回路100aでは、ノードN1において基本波の信号F01と2倍波の信号2F01とが足し合わされて増幅回路140で増幅されると、2倍波の信号2F01のうち一方の周波数2f1と、基本波の信号F01のうち他方の周波数f2との差の周波数(2f1-f2)を有する補償信号CSLが生成される。
また、電力増幅回路100aでは、2倍波の信号2F01のうち他方の周波数2f2と、基本波の信号F01のうち一方の周波数f1との差の周波数(2f2-f1)を有する補償信号CSHが生成される。
このように、電力増幅回路100aでは、位相調整回路220において、増幅回路140において発生する3次相互変調歪みIM3L,IM3Hの位相と、補償信号CSL,CSHの位相とが、増幅回路140の出力において位相が略180度異なるように、2倍波の信号2F01の位相が調整される。
また、電力増幅回路100aでは、位相調整回路220において、増幅回路140において発生する3次相互変調歪みIM3L,IM3Hの振幅と、補償信号CSL,CSHの振幅とが、増幅回路140の出力において打ち消し合うように、トランジスタ221,222のゲイン調整によって、2倍波の信号2F01の振幅が調整される。
なお、上記では記載を省略したが、基本波の信号F02についても上記の基本波の信号F01と同様に、位相調整回路220において2倍波の信号2F02が調整されて、3次相互変調歪みが相殺される。
このように、図5に示すように、電力増幅回路100aは、3次相互変調歪みIM3L,IM3Hを補償信号CSL,CSHによって相殺する。なお、図3では、補償信号CSL,CSHが3次相互変調歪みIM3L,IM3Hと位相が略180度異なることを示すために、補償信号CSL,CSHを下向きに図示する。
上述の作用により、電力増幅回路100aでは、増幅回路140において発生する3次相互変調歪みIM3L,IM3Hの影響を抑制することができる。これにより、電力増幅回路100aによると、利得の線形性の劣化を抑制することができる。
ここで、比較例としての特許文献1に開示される構成は、分配器と合成器との間の主経路に2倍波を減衰させる回路を有しないため、初段の増幅器の増幅動作によって発生する2倍波が主経路を通過してしまう。これにより、特許文献1に開示される構成では、副経路において2倍波が生成されても、主経路を経由した2倍波と副経路を経由した2倍波が、合成器において足し合わされる際に相殺され得る。したがって、特許文献1に開示される構成では、増幅回路140に注入される2倍波の信号の電力が不足し得る。
これに対して、電力増幅回路100aでは、主経路P1に設けられた2倍波減衰回路130が2倍波を減衰させる機能を備える。そのため、電力増幅回路100aは、特許文献1に開示される構成に比べて、大きい電力の2倍波を増幅回路140に注入することができる。これにより、電力増幅回路100aは、特許文献1に開示される構成に比べて、出力電力を増大しつつ相互変調歪みの影響を抑制することができる。
さらに、特許文献1および特許文献2に開示される構成は2倍波を抽入する経路にフィルタ回路を用いているところ、電力増幅回路100aでは、歪み補償回路160が2倍波を生成するための2倍波生成回路200が2倍波の生成に特化したトランジスタによって構成されている。これにより、電力増幅回路100aは、特許文献1に開示される初段の増幅器が基本波の増幅と2倍波の生成を兼ねる構成に比べて、回路規模を抑制するとともに、大きい電力の2倍波を生成することができる。また、電力増幅回路100aは、上記のとおり2倍波を生成するためのフィルタ回路を備えないため、特許文献2に開示される、基本波を減衰させて2倍波を通過させるためのフィルタ回路を含む電力増幅回路に比べて、回路規模を抑制するとともに出力電力を増大させることができる。
なお、図1に示される電力増幅回路100aに含まれる各構成要素は、必ずしも個別の回路として全てが備えられている必要はなく、一つの回路が複数の機能を備えていてもよい。
また、上述の実施形態では、歪み補償回路160が2倍波を生成し、3次相互変調歪みが補償される場合を例として説明したが、より高次の相互変調歪みを補償することも可能である。より一般的には、増幅回路140において周波数f1,f2の信号が増幅されると、周波数が{(N+1)f1-Nf2}と{(N+1)f2-Nf1}の(2N+1)次相互変調歪み(Nは1以上の整数)が生成される。したがって、電力増幅回路100aにおいて、歪み補償回路160が基本波の周波数の整数倍の高調波を生成することによって、高次の相互変調歪みを相殺することができる。
また、上述の実施形態では、増幅回路120の前段において分配回路110が信号RF1および信号RF2を副経路P2に分配することとして説明したがこれに限定されない。例えば、増幅回路120の後段において信号RF1および信号RF2を副経路P2に分配する構成に替えて、増幅回路120の後段において信号RF1および信号RF2を副経路P2に分配する分配器を備えていてもよい。
===第2実施形態に係る電力増幅回路100b===
図7を参照して、第2実施形態に係る電力増幅回路100bについて説明する。図7は、第2実施形態に係る電力増幅回路100bの構成例を示す図である。なお、以下では、第1実施形態に係る電力増幅回路100aと共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については逐次言及しない。
図7を参照して、第2実施形態に係る電力増幅回路100bについて説明する。図7は、第2実施形態に係る電力増幅回路100bの構成例を示す図である。なお、以下では、第1実施形態に係る電力増幅回路100aと共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については逐次言及しない。
電力増幅回路100bは、図1の電力増幅回路100aと比べて、増幅回路140が差動増幅回路で構成されていたものを、増幅回路140をドハティ増幅回路で構成した回路である。すなわち、電力増幅回路100bは、ドハティ増幅回路140bを含む。
ドハティ増幅回路140bは、キャリア増幅器141bと、ピーク増幅器142bと、第1移相器143bと、第2移相器144bとを含む。
キャリア増幅器141bは、例えば、2倍波減衰回路130から出力される信号F01と、歪み補償回路160から出力される信号2F01とがノードN1で合成された信号を、第1移相器143bを通じて入力される。キャリア増幅器141bは、当該合成された信号を増幅して、増幅信号を出力する。キャリア増幅器141bは、例えば、A級、AB級またはB級にバイアスされる。すなわち、キャリア増幅器141bは、小さい瞬時入力電力など入力信号の電力レベルに関係なく、入力される信号F01を増幅して増幅信号を出力する。
ピーク増幅器142bは、例えば、2倍波減衰回路130から出力される信号F02と、歪み補償回路160から出力される信号2F02とがノードN2で合成された信号が入力される。ピーク増幅器142bは、当該合成された信号を増幅して、増幅信号を出力する。ピーク増幅器142bは、例えばC級にバイアスされる。ピーク増幅器142bは、例えば、入力される信号の電圧レベルが所定の電力レベル以上の領域において増幅作用を有する。また、ピーク増幅器142bは、使用条件によって、A級、AB級、B級にバイアスされてもよい。
第1移相器143bは、位相を略90度遅らせる素子であり、例えば1/4波長線路である。第1移相器143bは、一端に2倍波減衰回路130から出力される信号F01が入力され、他端がキャリア増幅器141bと電気的に接続される。
第2移相器144bは、位相を略90度遅らせる素子であり、例えば1/4波長線路である。第2移相器144bは、一端にキャリア増幅器141bから出力される増幅信号が入力され、他端が合成回路150と電気的に接続される。
電力増幅回路100bは、ドハティ増幅回路140bを備えることによって、バックオフが改善される。さらに、電力増幅回路100bでは、ドハティ増幅回路140bに対して、歪み補償回路160から3次相互変調歪みを改善するための信号を抽入することによって、利得の線形性を改善できる。
===第3実施形態に係る電力増幅回路100c===
図8を参照して、第3実施形態に係る電力増幅回路100cについて説明する。図8は、第3実施形態に係る電力増幅回路100cの構成例を示す図である。なお、以下では、第2実施形態に係る電力増幅回路100bと共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、第1実施形態に係る電力増幅回路100aおよび第2実施形態に係る電力増幅回路100bと同様の構成による同様の作用効果については逐次言及しない。
図8を参照して、第3実施形態に係る電力増幅回路100cについて説明する。図8は、第3実施形態に係る電力増幅回路100cの構成例を示す図である。なお、以下では、第2実施形態に係る電力増幅回路100bと共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、第1実施形態に係る電力増幅回路100aおよび第2実施形態に係る電力増幅回路100bと同様の構成による同様の作用効果については逐次言及しない。
電力増幅回路100cは、図2の電力増幅回路100bと比べて、歪み補償回路160cから出力される、3次相互変調歪みを補償するための2倍波の信号2F0(調整信号)を、ピーク増幅器142cにのみ入力するように構成される。
歪み補償回路160cは、図2の歪み補償回路160と比べて、分配器230を含まない。ここで、位相調整回路220は、信号RF21および信号RF22(2倍波合成信号)の位相および振幅を調整して信号2F0を、ノードNに出力する。すなわち、位相調整回路220は、2倍波生成回路200で生成された2倍波の信号RF20が分配器210で分配された信号を、歪み補償に適した位相および振幅となるように調整する。また、位相調整回路220は、基本波を減衰させる機能と、2倍波の周波数帯域におけるインピーダンス整合(インピーダンス変換)の機能とを有していてもよい。
キャリア増幅器141cは、例えば、2倍波減衰回路130から出力される信号F01を、第1移相器143cを通じて入力される。キャリア増幅器141cは、信号F01を増幅して、増幅信号を出力する。
ピーク増幅器142cは、例えば、2倍波減衰回路130から出力される信号F02と、歪み補償回路160cから出力される信号2F0とがノードNで合成された信号が入力される。ピーク増幅器142cは、当該合成された信号を増幅して、増幅信号を出力する。
電力増幅回路100cは、ドハティ増幅回路140cを備えることによって、バックオフが改善される。さらに、電力増幅回路100cでは、ドハティ増幅回路140cに含まれる、線形性が悪い方のピーク増幅器142cに対して、歪み補償回路160cから3次相互変調歪みを改善するための信号2F0を抽入することによって、線形性を改善できる。また、これによって、電力増幅回路100cでは、電力増幅回路100bの分配器230を省略できるため、回路を小さくできる。
===第4実施形態に係る電力増幅回路100d===
図9を参照して、第4実施形態に係る電力増幅回路100dについて説明する。図9は、第4実施形態に係る電力増幅回路100dの構成例を示す図である。なお、以下では、第1実施形態に係る電力増幅回路100aと共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、第1実施形態に係る電力増幅回路100aと同様の構成による同様の作用効果については逐次言及しない。
図9を参照して、第4実施形態に係る電力増幅回路100dについて説明する。図9は、第4実施形態に係る電力増幅回路100dの構成例を示す図である。なお、以下では、第1実施形態に係る電力増幅回路100aと共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、第1実施形態に係る電力増幅回路100aと同様の構成による同様の作用効果については逐次言及しない。
電力増幅回路100dは、図1の電力増幅回路100aと比べて、増幅回路140が差動増幅回路で構成されていたものを、増幅回路140dをシングルの増幅回路で構成した回路である。
2倍波減衰回路130d(出力回路)は、例えば、主経路P1において分配回路110と整合回路150dとの間に設けられ、増幅回路120の増幅動作によって発生する高調波歪み(HD:Harmonic Distortion)を減衰させる機能を有する。2倍波減衰回路130は、差動信号(信号RF11および信号RF12)が入力され、シングルの信号F0を出力する。
増幅回路140dは、2倍波減衰回路130dから出力される信号F0と、歪み補償回路160dから出力される信号2F0とをノードNで合成した信号を増幅して、信号RF50を合成回路150に出力する増幅回路である。
整合回路150dは、増幅回路140の後段に設けられ、出力端子102と後段の回路(不図示)とのインピーダンスを整合させる回路である。
歪み補償回路160dは、歪み補償回路160に対して、分配器230ではなく整合回路240を備えた回路である。歪み補償回路160dは、信号RF1(第1信号)の基本波と、信号RF2(第2信号)の基本波とが打ち消し合うように合成し、信号RF1の2倍波の周波数帯域の信号と、信号RF2の2倍波の周波数帯域の信号とが加算されるように合成するとともに、合成した信号の位相を調整して、信号2F0(調整信号)を出力する。
整合回路240は、歪み補償回路160dの出力と、増幅回路140dとのインピーダンスを整合させる回路である。また、整合回路240は、基本波を減衰させる機能と、2倍波の周波数帯域におけるインピーダンス整合(インピーダンス変換)の機能とを有していてもよい。なお、電力増幅回路100dは、整合回路240を備えていなくてもよい。
電力増幅回路100dは、フィルタ回路を用いずに3次相互変調歪みを改善するための信号を生成することができるため、回路の規模を抑制しつつ、相互変調歪みの影響を抑制することができる。
===第5実施形態に係る電力増幅回路100e===
図10、図11を参照して、第5実施形態に係る電力増幅回路100eについて説明する。図10は、第5実施形態に係る電力増幅回路100eの構成例を示す図である。図11は、第5実施形態に係る電力増幅回路100eにおける位相調整回路220eの構成例を示す図である。なお、以下では、第1実施形態に係る電力増幅回路100aと共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、第1実施形態に係る電力増幅回路100aと同様の構成による同様の作用効果については逐次言及しない。
図10、図11を参照して、第5実施形態に係る電力増幅回路100eについて説明する。図10は、第5実施形態に係る電力増幅回路100eの構成例を示す図である。図11は、第5実施形態に係る電力増幅回路100eにおける位相調整回路220eの構成例を示す図である。なお、以下では、第1実施形態に係る電力増幅回路100aと共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、第1実施形態に係る電力増幅回路100aと同様の構成による同様の作用効果については逐次言及しない。
電力増幅回路100eは、図1の電力増幅回路100aと比べて、歪み補償回路160が分配器210を備えない。一方、電力増幅回路100eでは、電力増幅回路100aと比べて、二つの信号の位相を調整するとともに、当該二つの信号のアイソレーションを確保しつつ合成する位相調整回路220eを有する歪み補償回路160eを備える。これにより、電力増幅回路100eでは、位相調整回路220eが備える二つのトランジスタのインピーダンスのミスマッチの発生を抑制できるため、動作が安定する。
図10に示すように、歪み補償回路160eは、2倍波生成回路200eと、整合回路210eと、位相調整回路220eと、分配器230eとを含む。なお、2倍波生成回路200eおよび分配器230eは、電力増幅回路100aにおける2倍波生成回路200および分配器230と同様であるためその説明を省略する。
整合回路210eは、2倍波生成回路200eと位相調整回路220eとのインピーダンスを整合させる回路である。整合回路210eから出力される信号は、整合回路210eの後段のノードにおいて、信号RF23(第3合成信号)と信号RF24(第4合成信号)とに分岐される。
位相調整回路220eは、信号RF23と信号RF24との位相を調整するとともに、それぞれの信号を合成して信号RF30(調整信号)を出力する回路である。図11を参照して、位相調整回路220eの構成の詳細について説明する。
図11に示すように、位相調整回路220eは、トランジスタ221eと、トランジスタ222eと、バイアス回路223eと、第1移相器224eと、第2移相器225eと、信号合成器226eとを含む。なお、バイアス回路223eは、電力増幅回路100aのバイアス回路223と同様であるためその説明を省略する。
トランジスタ221eは、ベースに信号RF23が入力され、エミッタが基準電位と電気的に接続され、コレクタが第1移相器224eと電気的に接続される。トランジスタ221eのコレクタは、インダクタL5を通じて電源Vccが接続される。
トランジスタ222eは、ベースに信号RF24が入力され、エミッタが基準電位と電気的に接続され、コレクタが第2移相器225eと電気的に接続される。トランジスタ222eのコレクタは、インダクタL6を通じて電源Vccが接続される。
第1移相器224eは、トランジスタ221eのコレクタから出力される信号F23を増幅した信号RF23am(第3増幅信号)の位相を第1位相に移相して、第1位相の信号RF23Aを出力する。第1移相器224eは、例えばインダクタおよびキャパシタによって位相を調整する。例えば、第1移相器224eは、一端が接地と電気的に接続されるキャパシタC9と、一端が接地と電気的に接続されるキャパシタC10と、一端がキャパシタC9の他端と電気的に接続され、他端がキャパシタC10の他端と電気的に接続されるインダクタL3とを含む。インダクタL3は、例えば一端に信号RF23amが入力され、他端から第1位相の信号RF23Aを出力する。
第2移相器225eは、トランジスタ222eのコレクタから出力される信号F24を増幅した信号RF24am(第4増幅信号)の位相を第2位相に移相して、第2位相の信号RF24Aを出力する。第2移相器225eは、例えばインダクタおよびキャパシタによって位相を調整する。例えば、第2移相器225eは、一端が接地と電気的に接続されるインダクタL4と、一端に信号RF24amが入力されるキャパシタC11と、一端がキャパシタC11の他端と電気的に接続され、他端から信号RF24Aを出力するキャパシタC12とを含む。インダクタL4の他端は、キャパシタC11の他端とキャパシタC12の一端とが接続されるノードに電気的に接続される。
ここで、第1位相は、第2位相に対して同相および逆相ではない位相である。すなわち、第1移相器224eおよび第2移相器225eのそれぞれは、第1位相と第2位相とが同相および逆相にならないように、予め設計される。第1位相は、第2位相に対して望ましくは略90度異なる位相である。このように、電力増幅回路100eでは、第1移相器224eおよび第2移相器225eをインダクタとキャパシタで構成することにより、位相の調整可能な範囲を広げることができる。
信号合成器226eは、信号RF23Aと信号RF24Aとを合成して信号RF30を出力する。信号合成器226eは、例えば、第1入力部226e1と、第2入力部226e2と、合成部226e3とを含む。
第1入力部226e1は、信号RF23Aが入力される端子である。第2入力部226e2は、信号RF24Aが入力される端子である。第1入力部226e1と第2入力部226e2との間を電気的に接続する抵抗R11が設けられる。
合成部226e3は、第1位相を示す信号RF23Aと、第2位相を示す信号RF24Aとを合成して信号RF30を出力する。合成部226e3は、例えば第1線路LN1と、第1線路LN1と電磁界結合する第2線路LN2とを含む。第1線路LN1は、一端に信号RF23Aが入力される。第2線路LN2は、一端に信号RF24Aが入力され、他端が第1線路LN1の他端と電気的に接続される。合成部226e3では、第1線路LN1の他端と第2線路LN2の他端との間のノードから信号RF30が出力される。これにより、電力増幅回路100eでは、交流的にアイソレーションが可能となり、トランジスタ222eおよびトランジスタ223eのそれぞれが、もう一方のトランジスタのインピーダンスを無視できる。
ここで、電力増幅回路100eにおいて交流的にアイソレーションが可能となる仕組みについて説明する。電力増幅回路100eでは、第1入力部226e1と第2入力部226e2とを交流的にアイソレーションすることが可能である。具体的には、電力増幅回路100eでは、第1入力部226e1と第2入力部226e2とが電気的に対称の関係である。まず、合成部226e3の第1入力部226e1に入力される信号(励起信号)は、第1線路LN1に向かう成分と、抵抗R11に向かう成分とに分岐される。次に、第1線路LN1と第2線路LN2とが電磁界結合しているため、第1線路LN1に流れる信号の方向と逆向きの方向の信号が第2線路LN2に誘起される。したがって、第2入力部226e2では、抵抗R11を経由して入力される信号と、第2線路LN2に誘起された信号とが合成される。すなわち、電力増幅回路100eでは、この合成された信号と、第2入力部226e2に入力される信号(第2移相器225eを通じて入力される信号)とが打ち消し合うように作用する。したがって、電力増幅回路100eでは、抵抗R11、第1線路LN1および第2線路LN2を適切に設計することにより、上記の合成された信号と、第2入力部226e2に入力される信号との大きさを一致させることで、第2入力部226e2から第2移相器225eに向かって信号を流出させなくできる。そのため、第2入力部226e2から第2移相器225eに向かって流出する信号がないため、第1入力部226e1と第2入力部226e2とのアイソレーションが確保できる。なお、第1入力部226e1と第2入力部226e2とは電気的に対称の関係であるため、第2入力部226e2に信号(励起信号)が入力される場合は、上記の逆の動作となり、第1入力部226e1から第1移相器224eに向かって信号を流出させすることが可能となる。
このように、信号合成器226eでは、第1入力部226e1と第2入力部226e2とをアイソレーションするとともに、位相が異なる二つの信号を合成して信号RF30を出力することができる。
<<第1変形例>>
図12を参照して、電力増幅回路100eの第1変形例について説明する。図12は、第5実施形態に係る電力増幅回路100eの第1変形例における位相調整回路220eの構成図である。なお、以下では、上記の電力増幅回路100eと共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については逐次言及しない。
図12を参照して、電力増幅回路100eの第1変形例について説明する。図12は、第5実施形態に係る電力増幅回路100eの第1変形例における位相調整回路220eの構成図である。なお、以下では、上記の電力増幅回路100eと共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については逐次言及しない。
図12に示すように、電力増幅回路100eは、位相調整回路220eにおいて第1移相器224eおよび第2移相器225eを備えていなくてもよい。この場合、信号合成器226eが例えば信号RF24amの位相を信号RF23amと同相および逆相ではない位相となるように移相させることが可能な構成を備える。
具体的には、図12に示すように、信号合成器226eは、第3線路LN3と、第3線路LN3と電磁界結合する第4線路LN4とを含む。第3線路LN3は、一端にキャパシタC13を通じて信号RF23amが入力され、他端が抵抗R12を通じて基準電位に電気的に接続される。第4線路LN4(例えばλ/4線路)は、一端にキャパシタC14を通じて信号RF24amが入力され、信号RF24amの位相を例えば略90度遅らせて、他端から信号23amと移相された信号RF24amとを合成した信号RF30が出力される。
これにより、第1変形例に係る電力増幅回路100eは、簡易な構成により、第1入力部226e1と第2入力部226e2とをアイソレーションするとともに、位相が異なる二つの信号を合成して信号RF30を出力することができる。
<<第2変形例>>
図13を参照して、電力増幅回路100eの第2変形例について説明する。図13は、第5実施形態に係る電力増幅回路100eの第2変形例を示す構成図である。第2変形例に係る電力増幅回路100eは、第2実施形態に係る電力増幅回路100bにおける歪み補償回路160を、電力増幅回路100eにおける歪み補償回路160eに変更したものである。すなわち、図13に示すように、第2変形例に係る電力増幅回路100eでは、分配器230eが位相調整回路220から出力される信号RF30を、信号2F01と、信号2F01と位相が略180度異なる信号2F02とに分配して、信号2F01を第1移相器143bを通じてキャリア増幅器141bに入力し、信号2F02をピーク増幅器142bに入力する。
図13を参照して、電力増幅回路100eの第2変形例について説明する。図13は、第5実施形態に係る電力増幅回路100eの第2変形例を示す構成図である。第2変形例に係る電力増幅回路100eは、第2実施形態に係る電力増幅回路100bにおける歪み補償回路160を、電力増幅回路100eにおける歪み補償回路160eに変更したものである。すなわち、図13に示すように、第2変形例に係る電力増幅回路100eでは、分配器230eが位相調整回路220から出力される信号RF30を、信号2F01と、信号2F01と位相が略180度異なる信号2F02とに分配して、信号2F01を第1移相器143bを通じてキャリア増幅器141bに入力し、信号2F02をピーク増幅器142bに入力する。
これにより、第2変形例に係る電力増幅回路100eは、ドハティ増幅回路140bを備えることによって、バックオフが改善される。さらに、当該電力増幅回路100eでは、二つのトランジスタ221e,222eのインピーダンスのミスマッチの発生を抑制しつつ、ドハティ増幅回路140bに対して、歪み補償回路160eから3次相互変調歪みを改善するための信号を抽入することによって、利得の線形性を改善できる。
<<第3変形例>>
図14を参照して、電力増幅回路100eの第3変形例について説明する。図14は、第5実施形態に係る電力増幅回路100eの第3変形例を示す構成図である。第3変形例に係る電力増幅回路100eは、第3実施形態に係る電力増幅回路100cにおける歪み補償回路160cを、電力増幅回路100eにおける歪み補償回路160eに変更したものである。なお、第3変形例に係る歪み補償回路160eは分配器230eを備えない。すなわち、図14に示すように、第3変形例に係る電力増幅回路100eでは、位相調整回路220eが位相および振幅が調整された信号RF23Aおよび信号RF24Aを合成して信号RF30を出力し、当該信号RF30の基本波を減衰させた信号2F0をノードNに出力する。
図14を参照して、電力増幅回路100eの第3変形例について説明する。図14は、第5実施形態に係る電力増幅回路100eの第3変形例を示す構成図である。第3変形例に係る電力増幅回路100eは、第3実施形態に係る電力増幅回路100cにおける歪み補償回路160cを、電力増幅回路100eにおける歪み補償回路160eに変更したものである。なお、第3変形例に係る歪み補償回路160eは分配器230eを備えない。すなわち、図14に示すように、第3変形例に係る電力増幅回路100eでは、位相調整回路220eが位相および振幅が調整された信号RF23Aおよび信号RF24Aを合成して信号RF30を出力し、当該信号RF30の基本波を減衰させた信号2F0をノードNに出力する。
これにより、第3変形例に係る電力増幅回路100eは、ドハティ増幅回路140cを備えることによって、バックオフが改善される。さらに、当該電力増幅回路100eでは、二つのトランジスタ221e,222eのインピーダンスのミスマッチの発生を抑制しつつ、ドハティ増幅回路140cに含まれる、線形性が悪い方のピーク増幅器142cに対して、歪み補償回路160cから3次相互変調歪みを改善するための信号2F0を抽入することによって、線形性を改善できる。また、これによって、当該電力増幅回路100eでは、分配器230eを省略できるため、回路を小さくできる。
<<第4変形例>>
図15を参照して、電力増幅回路100eの第4変形例について説明する。図15は、第5実施形態に係る電力増幅回路100eの第4変形例を示す構成図である。第5変形例に係る電力増幅回路100eは、第4実施形態に係る電力増幅回路100dにおける歪み補償回路160dを、電力増幅回路100eにおける歪み補償回路160eに変更したものである。なお、第4変形例に係る歪み補償回路160eは分配器230eに替えて整合回路240eを備える。整合回路240eは図9に示す整合回路240と同じであるためその説明を省略する。すなわち、図15に示すように、第4変形例に係る電力増幅回路100eでは、歪み補償回路160dの出力と、増幅回路140dとのインピーダンスを整合させつつ、位相調整回路220eが位相および振幅が調整された信号RF23Aおよび信号RF24Aを合成して信号RF30を出力し、当該信号RF30の基本波を減衰させた信号2F0をノードNに出力する。
図15を参照して、電力増幅回路100eの第4変形例について説明する。図15は、第5実施形態に係る電力増幅回路100eの第4変形例を示す構成図である。第5変形例に係る電力増幅回路100eは、第4実施形態に係る電力増幅回路100dにおける歪み補償回路160dを、電力増幅回路100eにおける歪み補償回路160eに変更したものである。なお、第4変形例に係る歪み補償回路160eは分配器230eに替えて整合回路240eを備える。整合回路240eは図9に示す整合回路240と同じであるためその説明を省略する。すなわち、図15に示すように、第4変形例に係る電力増幅回路100eでは、歪み補償回路160dの出力と、増幅回路140dとのインピーダンスを整合させつつ、位相調整回路220eが位相および振幅が調整された信号RF23Aおよび信号RF24Aを合成して信号RF30を出力し、当該信号RF30の基本波を減衰させた信号2F0をノードNに出力する。
これにより、第4変形例に係る電力増幅回路100eは、二つのトランジスタ221e,222eのインピーダンスのミスマッチの発生を抑制しつつ、フィルタ回路を用いずに3次相互変調歪みを改善するための信号を生成することができるため、回路の規模を抑制しつつ、相互変調歪みの影響を抑制することができる。
===まとめ===
<1>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100aは、入力信号RFinを、信号RF1(第1信号)と、信号RF1(第1信号)と位相が略180度異なる信号RF2(第2信号)と、に分配して、信号RF1(第1信号)および信号RF2(第2信号)を、主経路P1および副経路P2のそれぞれに出力する分配回路110と、副経路P2に設けられる、信号RF1(第1信号)と信号RF2(第2信号)とを合成する2倍波生成回路であって、信号RF1(第1信号)の基本波と、信号RF2(第2信号)の基本波と、を打ち消すように合成し、信号RF1(第1信号)の2倍波の周波数帯域の信号と、信号RF2(第2信号)の2倍波の周波数帯域の信号と、が加算されるように合成して信号RF20(2倍波合成信号)を生成する2倍波生成回路200と、主経路P1を経由する信号RF1(第1信号)および信号RF2(第2信号)に基づく信号F01,信号F02(基本信号)と、副経路P2を経由する信号RF20(2倍波合成信号)に基づく信号2F01,信号2F02(調整信号)と、を合成した信号を増幅して信号RF41,信号RF42(増幅信号)を出力する増幅回路140(第1増幅回路)と、を備える。これにより、電力増幅回路100aは、回路規模を抑制しつつ相互変調歪みの影響を抑制することができる。
<1>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100aは、入力信号RFinを、信号RF1(第1信号)と、信号RF1(第1信号)と位相が略180度異なる信号RF2(第2信号)と、に分配して、信号RF1(第1信号)および信号RF2(第2信号)を、主経路P1および副経路P2のそれぞれに出力する分配回路110と、副経路P2に設けられる、信号RF1(第1信号)と信号RF2(第2信号)とを合成する2倍波生成回路であって、信号RF1(第1信号)の基本波と、信号RF2(第2信号)の基本波と、を打ち消すように合成し、信号RF1(第1信号)の2倍波の周波数帯域の信号と、信号RF2(第2信号)の2倍波の周波数帯域の信号と、が加算されるように合成して信号RF20(2倍波合成信号)を生成する2倍波生成回路200と、主経路P1を経由する信号RF1(第1信号)および信号RF2(第2信号)に基づく信号F01,信号F02(基本信号)と、副経路P2を経由する信号RF20(2倍波合成信号)に基づく信号2F01,信号2F02(調整信号)と、を合成した信号を増幅して信号RF41,信号RF42(増幅信号)を出力する増幅回路140(第1増幅回路)と、を備える。これにより、電力増幅回路100aは、回路規模を抑制しつつ相互変調歪みの影響を抑制することができる。
<2>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100aは、副経路P2に設けられる、信号RF20(2倍波合成信号)の位相を調整して信号2F01,信号2F02(調整信号)を出力する位相調整回路220および分配器230(調整回路)をさらに備える。これにより、電力増幅回路100aは、回路規模を抑制しつつ適切に相互変調歪みの影響を抑制することができる。
<3>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100aは、2倍波生成回路200は、ベースまたはゲートに信号RF1(第1信号)が入力され、エミッタまたはソースが基準電位と電気的に接続されるトランジスタ201(第1トランジスタ)と、ベースまたはゲートに信号RF2(第2信号)が入力され、エミッタまたはソースが基準電位と電気的に接続され、コレクタまたはドレインが、トランジスタ201(第1トランジスタ)のコレクタまたはドレインと電気的に接続されるトランジスタ202(第2トランジスタ)と、を含む<1>または<2>に記載の電力増幅回路。これにより、電力増幅回路100aは、フィルタ回路を用いずに、基本波を減衰させて2倍波を出力させることができるため、回路を小さくすることができる。
<4>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100aは、位相調整回路220および分配器230(調整回路)は、増幅回路140(第1増幅回路)において発生する3次相互変調歪みの位相と、信号RF41,信号RF42(増幅信号)における2倍波と基本波との差の信号の位相とが、増幅回路140(第1増幅回路)の出力において位相が略180度異なるように信号RF20(2倍波合成信号)の位相を調整して、信号2F01,信号2F02(調整信号)を出力する<2>に記載の電力増幅回路。これにより、電力増幅回路100aは、周波数、温度または電源電圧などの動作条件が変動しても、動作条件に応じて歪み補償に適した信号2F01,信号2F02(調整信号)を出力できる。
<5>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100aは、副経路P2に設けられる、信号RF20(2倍波合成信号)を、信号RF21(第1合成信号)と、信号RF21(第1合成信号)と位相が略90度異なる信号RF22(第2合成信号)と、に分配する分配器210(第1分配器)をさらに備え、位相調整回路220(調整回路)は、ベースまたはゲートに信号RF21(第1合成信号)が入力され、エミッタまたはソースが基準電位と電気的に接続されるトランジスタ221(第3トランジスタ)と、ベースまたはゲートに信号RF22(第2合成信号)が入力され、エミッタまたはソースが基準電位と電気的に接続され、コレクタまたはドレインが、トランジスタ221(第3トランジスタ)のコレクタまたはドレインと電気的に接続されるトランジスタ222(第4トランジスタ)と、を含み、トランジスタ221(第3トランジスタ)のベースまたはゲートには、トランジスタ221(第3トランジスタ)のゲインを調整するためのバイアスが供給され、トランジスタ222(第4トランジスタ)のベースまたはゲートには、トランジスタ222(第4トランジスタ)のゲインを調整するためのバイアスが供給される<4>に記載の電力増幅回路。これにより、電力増幅回路100aは、簡易な構成によって、周波数、温度または電源電圧などの動作条件が変動しても、動作条件に応じて歪み補償に適した信号2F01,信号2F02(調整信号)を出力できる。
<6>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100aは、主経路P1に設けられ、信号RF1(第1信号)の2倍波の周波数帯域の信号と、信号RF2(第2信号)の2倍波の周波数帯域の信号と、を減衰させて信号F01,信号F02(基本信号)を出力する2倍波減衰回路130(出力回路)をさらに備える<1>から<5>のいずれか一つに記載の電力増幅回路。これにより、電力増幅回路100aでは、主経路P1を通過する信号に含まれる2倍波が増幅回路140に供給されることを抑制できる。そのため、信号2F01,信号2F02(調整信号)が増幅回路140に入力される前に主経路P1を通過する2倍波によって相殺されることで生じ得る歪み補償の効果の低減を回避できる。
<7>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100aは、主経路P1に設けられる、信号RF1(第1信号)に対応する信号F01(第1基本信号)と、信号RF2(第2信号)に対応する、信号F01(第1基本信号)と位相が略180度異なる信号F02(第2基本信号)と、を出力する2倍波減衰回路130(出力回路)と、副経路P2に設けられる、信号RF30(調整信号)を、信号2F01(第1調整信号)と、信号2F01(第1調整信号)と位相が略180度異なる信号2F02(第2調整信号)と、に分配する分配器230(第2分配器)と、をさらに備え、増幅回路140(第1増幅回路)は、信号F01(第1基本信号)と、信号2F01(第1調整信号)と、を合成した信号を増幅して信号RF41(第1増幅信号)を出力するトランジスタ141(第1増幅器)と、信号F02(第2基本信号)と、信号2F02(第2調整信号)と、を合成した信号を増幅して信号RF42(第2増幅信号)を出力するトランジスタ142(第2増幅器)と、を含む<1>から<6>のいずれか一つに記載の電力増幅回路。これにより、電力増幅回路100aでは、パワー段に差動増幅回路を用いることによって、出力インピーダンスが高くなるため、負荷のインピーダンスを低くすることができることから、高出力化が可能となる。
<8>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100bは、信号RF1(第1信号)に対応する信号F01(第1基本信号)と、信号RF2(第2信号)に対応する、信号F01(第1基本信号)と位相が略180度遅れる信号F02(第2基本信号)と、を出力する2倍波減衰回路130(出力回路)と、副経路P2に設けられる、信号RF30(調整信号)を、信号2F01(第1調整信号)と、信号2F01(第1調整信号)と位相が略180度異なる信号2F02(第2調整信号)と、に分配する分配器230(第2分配器)と、をさらに備え、増幅回路140b(第1増幅回路)は、位相を略90度を遅らせる第1移相器143bを通じて入力される、信号F01(第1基本信号)と、信号2F01(第1調整信号)と、を合成した信号を増幅して、位相を略90度遅らせる第2移相器144bを通じて信号RF41(第1増幅信号)を出力するキャリア増幅器141b(キャリア増幅器)と、信号F02(第2基本信号)と、信号2F02(第2調整信号)と、を合成した信号を増幅して信号RF42(第2増幅信号)を出力するピーク増幅器142b(ピーク増幅器)と、で構成されるドハティ増幅回路140bを含む<1>から<6>のいずれか一つに記載の電力増幅回路。これにより、電力増幅回路100bは、ドハティ増幅回路140bを備えることによって、バックオフが改善される。さらに、電力増幅回路100bでは、ドハティ増幅回路140bに対して、歪み補償回路160から3次相互変調歪みを改善するための信号を抽入することによって、利得の線形性を改善できる。
<9>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100cは、信号RF1(第1信号)に対応する信号F01(第1基本信号)と、信号RF2(第2信号)に対応する、信号F01(第1基本信号)と位相が略180度異なる信号F02(第2基本信号)と、を出力する2倍波減衰回路130(出力回路)をさらに備え、増幅回路140c(第1増幅回路)は、位相を略90度遅らせる第1移相器143cを通じて入力される信号F01(第1基本信号)を増幅して、位相を略90度遅らせる第2移相器144cを通じて信号RF41(第1増幅信号)を出力するキャリア増幅器141c(キャリア増幅器)と、信号F02(第2基本信号)と、信号2F0(調整信号)と、を合成した信号を増幅して信号RF42(第2増幅信号)を出力するピーク増幅器142c(ピーク増幅器)と、で構成されるドハティ増幅回路140cを含む<1>から<6>のいずれか一つに記載の電力増幅回路。これにより、電力増幅回路100cは、ドハティ増幅回路140cを備えることによって、バックオフが改善される。さらに、電力増幅回路100cでは、ドハティ増幅回路140cに含まれる、利得の線形性が悪い方のピーク増幅器142cに対して、歪み補償回路160cから3次相互変調歪みを改善するための信号2F0を抽入することによって、線形性を改善できる。また、これによって、電力増幅回路100cでは、電力増幅回路100bの分配器230を省略できるため、回路を小さくできる。
<10>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100dは、信号RF1(第1信号)および信号RF2(第2信号)が入力されて、シングルの信号F0(基本信号)を出力する2倍波減衰回路130d(出力回路)をさらに備え、増幅回路140d(第1増幅回路)は、シングルの信号F0(基本信号)と、信号2F0(調整信号)と、を合成した信号を増幅して信号RF50(増幅信号)を出力する<1>から<4>のいずれか一つに記載の電力増幅回路。これにより、電力増幅回路100dは、フィルタ回路を用いずに3次相互変調歪みを改善するための信号を生成することができるため、回路の規模を抑制しつつ、相互変調歪みの影響を抑制することができる。
<11>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100aは、主経路P1に設けられる、信号RF1(第1信号)および信号RF2(第2信号)を増幅する増幅回路120(第2増幅回路)と、増幅回路120(第2増幅回路)で増幅された信号RF1(第1信号)の2倍波の周波数帯域の信号と、第2増幅回路で増幅された信号RF2(第2信号)の2倍波の周波数帯域の信号と、を減衰させて信号F01,信号F02(基本信号)を出力する2倍波減衰回路130(出力回路)と、をさらに備える<1>から<10>のいずれか一つに記載の電力増幅回路。これにより、電力増幅回路100aは、回路規模を抑制しつつ相互変調歪みの影響を抑制することができる。
<12>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100eにおいて、位相調整回路220e(調整回路)は、信号RF20(2倍波合成信号)が分岐された信号である、信号RF23(第3合成信号)と、信号RF24(第4合成信号)と、が入力される回路であり、ベースまたはゲートに信号RF23(第3合成信号)が入力され、エミッタまたはソースが基準電位と電気的に接続され、コレクタまたはドレインから信号RF23(第3合成信号)を増幅して信号RF23am(第3増幅信号)を出力する第3トランジスタと、ベースまたはゲートに信号RF24(第4合成信号)が入力され、エミッタまたはソースが基準電位と電気的に接続され、コレクタまたはドレインから信号RF24(第4合成信号)を増幅して信号RF24am(第4増幅信号)を出力する第4トランジスタと、信号RF23am(第3増幅信号)が入力される第1入力部226e1と、信号RF24am(第4増幅信号)が入力される第2入力部226e2と、をアイソレーション可能な信号合成器226eであって、信号RF23am(第3増幅信号)と、信号RF24am(第4増幅信号)と、を合成して信号2F01,信号2F02(調整信号)を出力する信号合成器226eと、を備え、トランジスタ221e(第3トランジスタ)のベースまたはゲートには、トランジスタ221e(第3トランジスタ)のゲインを調整するためのバイアスが供給され、トランジスタ222e(第4トランジスタ)のベースまたはゲートには、トランジスタ222e(第4トランジスタ)のゲインを調整するためのバイアスが供給される<4>に記載の電力増幅回路。これにより、電力増幅回路100eでは、位相調整回路220eが備える二つのトランジスタのインピーダンスのミスマッチの発生を抑制できるため、動作が安定する。
<13>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100eにおいて、位相調整回路220e(調整回路)は、トランジスタ221e(第3トランジスタ)のコレクタまたはドレインから出力される信号RF23am(第3増幅信号)の位相を第1位相に移相して、第1位相の信号RF23A(第1位相の第3増幅信号)を信号合成器226eの第1入力部226e1に出力する第1移相器224eと、トランジスタ222e(第4トランジスタ)のコレクタまたはドレインから出力される信号RF24am(第4増幅信号)の位相を第1位相と同相および逆相ではない第2位相に移相して、第2位相の信号RF24A(第2位相の第4増幅信号)を信号合成器226eの第2入力部226e2に出力する第2移相器225eと、をさらに備える<12>に記載の電力増幅回路。これにより、電力増幅回路100eは、簡易な構成によって、周波数、温度または電源電圧などの動作条件が変動しても、動作条件に応じて歪み補償に適した信号2F01,信号2F02(調整信号)を出力できる。
<14>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100eにおいて、信号合成器226eは、一端に信号RF23am(第3増幅信号)または信号RF23Aが入力される第1線路LN1と、第1線路LN1と電磁界結合する第2線路LN2であって、一端に信号RF24am(第4増幅信号)または信号RF24Aが入力される第2線路LN2と、を含み、第1線路LN1の他端と、第2線路LN2の他端と、が電気的に接続され、第1線路LN1の他端と第2線路LN2の他端との間のノードから信号2F01,信号2F02(調整信号)を出力する<12>に記載の電力増幅回路。これにより、電力増幅回路100eは、簡易な構成により、第1入力部226e1と第2入力部226e2とをアイソレーションするとともに、位相が異なる二つの信号を合成して信号RF30を出力することができる。
<15>本開示の例示的な実施形態に係る電力増幅回路100eにおいて、信号合成器226eは、一端に信号RF23am(第3増幅信号)が入力され、他端が基準電位に電気的に接続される第3線路LN3と、第3線路LN3と電磁界結合する第4線路LN4であって、一端から入力される信号RF24am(第4増幅信号)の位相を略90度遅らせる第4線路LN4と、を含み、第4線路LN4の他端から、信号RF23am(第3増幅信号)と、位相を遅らせた信号RF24am(第4増幅信号)と、を合成した後に、信号2F01,信号2F02(調整信号)を出力する<12>に記載の電力増幅回路。これにより、電力増幅回路100eは、より簡易な構成により、第1入力部226e1と第2入力部226e2とをアイソレーションするとともに、位相が異なる二つの信号を合成して信号RF30を出力することができる。
以上説明した各実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更又は改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。即ち、各実施形態に当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、各実施形態が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、各実施形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
100a,100a,100c,100d,100e…電力増幅回路、110…分配回路、120…増幅回路、130,130d…2倍波減衰回路、140,140b,140c,140d…増幅回路、150…合成回路、160,160d,160e…歪み補償回路、200,200e…2倍波生成回路、210,210e…分配器、220,220e…位相調整回路、230,230e…分配器、P1…主経路、P2…副経路
Claims (15)
- 入力信号を、第1信号と、前記第1信号と位相が略180度異なる第2信号と、に分配して、前記第1信号および前記第2信号を、主経路および副経路のそれぞれに出力する分配回路と、
前記副経路に設けられる、前記第1信号と前記第2信号とを合成する2倍波生成回路であって、前記第1信号の基本波と、前記第2信号の基本波と、を打ち消すように合成し、前記第1信号の2倍波の周波数帯域の信号と、前記第2信号の2倍波の周波数帯域の信号と、が加算されるように合成して2倍波合成信号を生成する2倍波生成回路と、
前記主経路を経由する前記第1信号および前記第2信号に基づく基本信号と、前記副経路を経由する前記2倍波合成信号に基づく調整信号と、を合成した信号を増幅して増幅信号を出力する第1増幅回路と、
を備える電力増幅回路。 - 前記副経路に設けられる、前記2倍波合成信号の位相を調整して前記調整信号を出力する調整回路をさらに備える、
請求項1に記載の電力増幅回路。 - 前記2倍波生成回路は、
ベースまたはゲートに前記第1信号が入力され、エミッタまたはソースが基準電位と電気的に接続される第1トランジスタと、
ベースまたはゲートに前記第2信号が入力され、エミッタまたはソースが基準電位と電気的に接続され、コレクタまたはドレインが、前記第1トランジスタのコレクタまたはドレインと電気的に接続される第2トランジスタと、
を含む、請求項1または請求項2に記載の電力増幅回路。 - 前記調整回路は、前記第1増幅回路において発生する3次相互変調歪みの位相と、前記増幅信号における2倍波と基本波との差の信号の位相とが、前記第1増幅回路の出力において位相が略180度異なるように前記2倍波合成信号の位相を調整して、前記調整信号を出力する、請求項2に記載の電力増幅回路。
- 前記副経路に設けられる、前記2倍波合成信号を、第1合成信号と、前記第1合成信号と位相が略90度異なる第2合成信号と、に分配する第1分配器をさらに備え、
前記調整回路は、
ベースまたはゲートに前記第1合成信号が入力され、エミッタまたはソースが基準電位と電気的に接続される第3トランジスタと、
ベースまたはゲートに前記第2合成信号が入力され、エミッタまたはソースが基準電位と電気的に接続され、コレクタまたはドレインが、前記第3トランジスタのコレクタまたはドレインと電気的に接続される第4トランジスタと、を含み、
前記第3トランジスタのベースまたはゲートには、前記第3トランジスタのゲインを調整するためのバイアスが供給され、
前記第4トランジスタのベースまたはゲートには、前記第4トランジスタのゲインを調整するためのバイアスが供給される、
請求項4に記載の電力増幅回路。 - 前記主経路に設けられ、前記第1信号の2倍波の周波数帯域の信号と、前記第2信号の2倍波の周波数帯域の信号と、を減衰させて前記基本信号を出力する出力回路をさらに備える、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電力増幅回路。 - 前記主経路に設けられる、前記第1信号に対応する第1基本信号と、前記第2信号に対応する、前記第1基本信号と位相が略180度異なる第2基本信号と、を前記基本信号として出力する出力回路と、
前記副経路に設けられる、前記調整信号を、第1調整信号と、前記第1調整信号と位相が略180度異なる第2調整信号と、に分配する第2分配器と、
をさらに備え、
前記第1増幅回路は、前記第1基本信号と、前記第1調整信号と、を合成した信号を増幅して第1増幅信号を出力するトランジスタと、前記第2基本信号と、前記第2調整信号と、を合成した信号を増幅して第2増幅信号を出力するトランジスタと、を含む、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電力増幅回路。 - 前記第1信号に対応する第1基本信号と、前記第2信号に対応する、前記第1基本信号と位相が略180度遅れる第2基本信号と、を前記基本信号として出力する出力回路と、
前記副経路に設けられる、前記調整信号を、第1調整信号と、前記第1調整信号と位相が略180度異なる第2調整信号と、に分配する第2分配器と、
をさらに備え、
前記第1増幅回路は、位相を略90度を遅らせる第1移相器を通じて入力される、前記第1基本信号と、前記第1調整信号と、を合成した信号を増幅して、位相を略90度遅らせる第2移相器を通じて第1増幅信号を出力するキャリア増幅器と、前記第2基本信号と、前記第2調整信号と、を合成した信号を増幅して第2増幅信号を出力するピーク増幅器と、で構成されるドハティ増幅回路を含む、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電力増幅回路。 - 前記第1信号に対応する第1基本信号と、前記第2信号に対応する、前記第1基本信号と位相が略180度異なる第2基本信号と、を前記基本信号として出力する出力回路をさらに備え、
前記第1増幅回路は、位相を略90度遅らせる第1移相器を通じて入力される前記第1基本信号を増幅して、位相を略90度遅らせる第2移相器を通じて第1増幅信号を出力するキャリア増幅器と、前記第2基本信号と、前記調整信号と、を合成した信号を増幅して第2増幅信号を出力するピーク増幅器と、で構成されるドハティ増幅回路を含む、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電力増幅回路。 - 前記第1信号および前記第2信号が入力されて、シングルの前記基本信号を出力する出力回路をさらに備え、
前記第1増幅回路は、前記シングルの基本信号と、前記調整信号と、を合成した信号を増幅して前記増幅信号を出力する、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電力増幅回路。 - 前記主経路に設けられる、前記第1信号および前記第2信号を増幅する第2増幅回路と、
前記第2増幅回路で増幅された前記第1信号の2倍波の周波数帯域の信号と、前記第2増幅回路で増幅された前記第2信号の2倍波の周波数帯域の信号と、を減衰させて前記基本信号を出力する出力回路と、
をさらに備える請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の電力増幅回路。 - 前記調整回路は、
前記2倍波合成信号が分岐された信号である、第3合成信号と、第4合成信号と、が入力される回路であり、
ベースまたはゲートに前記第3合成信号が入力され、エミッタまたはソースが基準電位と電気的に接続され、コレクタまたはドレインから前記第3合成信号を増幅して第3増幅信号を出力する第3トランジスタと、
ベースまたはゲートに前記第4合成信号が入力され、エミッタまたはソースが基準電位と電気的に接続され、コレクタまたはドレインから前記第4合成信号を増幅して第4増幅信号を出力する第4トランジスタと、
前記第3増幅信号が入力される第1入力部と、前記第4増幅信号が入力される第2入力部と、をアイソレーション可能な信号合成器であって、前記第3増幅信号と、前記第4増幅信号と、を合成して前記調整信号を出力する信号合成器と、
を備え、
前記第3トランジスタのベースまたはゲートには、前記第3トランジスタのゲインを調整するためのバイアスが供給され、
前記第4トランジスタのベースまたはゲートには、前記第4トランジスタのゲインを調整するためのバイアスが供給される、
請求項4に記載の電力増幅回路。 - 前記調整回路は、
前記第3トランジスタのコレクタまたはドレインから出力される前記第3増幅信号の位相を第1位相に移相して、前記第1位相の前記第3増幅信号を前記信号合成器の前記第1入力部に出力する第1移相器と、
前記第4トランジスタのコレクタまたはドレインから出力される前記第4増幅信号の位相を前記第1位相と同相および逆相ではない第2位相に移相して、前記第2位相の前記第4増幅信号を前記信号合成器の前記第2入力部に出力する第2移相器と、
をさらに備える請求項12に記載の電力増幅回路。 - 前記信号合成器は、
一端に前記第3増幅信号が入力される第1線路と、前記第1線路と電磁界結合する第2線路であって、一端に前記第4増幅信号が入力される第2線路と、を含み、
前記第1線路の他端と、前記第2線路の他端と、が電気的に接続され、
前記第1線路の他端と前記第2線路の他端との間のノードから前記調整信号を出力する、
請求項12に記載の電力増幅回路。 - 前記信号合成器は、
一端に前記第3増幅信号が入力され、他端が基準電位に電気的に接続される第3線路と、
前記第3線路と電磁界結合する第4線路であって、一端から入力される前記第4増幅信号の位相が前記第3増幅信号と同相および逆相ではない位相となるように位相を遅らせる第4線路と、
を含み、
前記第4線路の他端から、前記第3増幅信号と、位相を遅らせた前記第4増幅信号と、を合成して前記調整信号を出力する、
請求項12に記載の電力増幅回路。
Applications Claiming Priority (2)
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---|---|---|---|
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---|---|
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Family Applications (1)
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---|---|---|---|
PCT/JP2023/041116 WO2024106472A1 (ja) | 2022-11-16 | 2023-11-15 | 電力増幅回路 |
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WO (1) | WO2024106472A1 (ja) |
Citations (2)
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---|---|---|---|---|
US20160276982A1 (en) * | 2015-03-18 | 2016-09-22 | Samsung Electro Mechanics Co., Ltd. | Power amplifier |
WO2019146549A1 (ja) * | 2018-01-23 | 2019-08-01 | 株式会社村田製作所 | 電力増幅回路 |
-
2023
- 2023-11-15 WO PCT/JP2023/041116 patent/WO2024106472A1/ja unknown
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US20160276982A1 (en) * | 2015-03-18 | 2016-09-22 | Samsung Electro Mechanics Co., Ltd. | Power amplifier |
WO2019146549A1 (ja) * | 2018-01-23 | 2019-08-01 | 株式会社村田製作所 | 電力増幅回路 |
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