WO2024084898A1 - 垂直共振器型発光素子 - Google Patents

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Abstract

低閾値電流密度及び高発光効率を有し、かつ寿命が改善された垂直共振器型発光素子を提供する。垂直共振器面発光レーザ10は、半導体DBR12と、半導体DBR12上に形成されたn型半導体層13と、n型半導体層13上に設けられた活性層15と、活性層15上に設けられた中間層16と、中間層16上に設けられ、Alを組成に含む電子障壁層17と、電子障壁層17上に設けられ、Alを組成に含み、不純物がドーピングされたp型半導体層18と、p型半導体層18上に設けられた半導体DBR25と、を備えている。電子障壁層17は活性層15から離れる方向にAl組成が減少する組成傾斜層であり、不純物の不純物濃度は、電子障壁層17内にピークを有し、ピークから活性層15に近づく方向に減少している。

Description

垂直共振器型発光素子
 本発明は、垂直共振器型発光素子に関する。
 従来、基板面に対して垂直に光を共振させ、当該基板面に垂直な方向に光を出射させる構造を有する垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:vertical cavity surface emitting laser)などの垂直共振器型発光素子が知られている。
 垂直共振器型発光素子は、発光ダイオード(LED)などと比べて活性層に高いキャリア密度が求められる。垂直共振器型発光素子の注入効率を高め、光出力向上のため種々の開発がなされている。
 特許文献1には、レーザダイオードの発光効率を高めるため、活性層から離れる方向に向かってAl組成比が連続的に増加するAlGaNで形成された領域を含む組成傾斜領域を有する窒化物半導体レーザダイオードが開示されている。
 また、特許文献2には、基板から遠ざかる方向に向かってAl組成yが減少している組成傾斜層による分極ドーピング効果を利用した窒化物半導体を有する紫外線発光素子が開示されている。
 特許文献3には、p型ドーパントとしてMgを含む電子ブロック層を有する半導体ウエハが開示されている。
 特許文献4には、活性層への正孔注入効率を改善するため、自発分極とピエゾ分極の和が負になる側に向かってAl組成値が減少するように組成傾斜した組成傾斜層を有する窒化物半導体発光素子が開示されている。
特開2021-184456号公報 特開2022-041738号公報 特許第6830098号公報 特許第6192378号公報
 従来の垂直共振器発光素子においては、さらなる閾値電流の低減、発光効率及び寿命の改善が課題であった。
 本願発明は、低閾値電流密度及び高発光効率を有し、かつ寿命が改善された垂直共振器型発光素子を提供することを目的とする。
 本発明の1の態様による垂直共振器型発光素子は、
 第1の反射ミラーと、
 前記第1の反射ミラー上に形成されたn型半導体層と、
 前記n型半導体層上に設けられた活性層と、
 前記活性層上に設けられた中間層と、
 前記中間層上に設けられ、Alを組成に含む電子障壁層と、
 前記電子障壁層上に設けられ、不純物がドーピングされたp型半導体層と、
 前記p型半導体層上に設けられた第2の反射ミラーと、を備え、
 前記電子障壁層は、前記活性層から離れる方向にAl組成が減少する組成傾斜層であり、
 前記不純物の不純物濃度は、前記電子障壁層内にピークを有し、前記ピークから前記活性層に近づく方向に減少している。
本発明の第1の実施形態による垂直共振器面発光レーザの構造を模式的に示す断面図である。 垂直共振器面発光レーザの伝導帯のバンド構造を模式的に示す図である。 電子障壁層(EBL)及びその近傍の伝導帯のバンド構造を拡大して模式的に示す図である。 垂直共振器面発光レーザの半導体層のSIMS分析プロファイルを示す図である。 n型半導体、活性層(発光層)及びp型半導体からなるpn接合構造のバンド構造を模式的に示すバンドダイアグラムである。 ピエゾ分極によって生成されるホールを概念的に説明するための図である。 電子障壁層(EBL)のバンドダイアグラムを示す図である。 図6Bに示す電子障壁層の活性層層側の界面からの距離zに対する生成ホール濃度のシミュレーション結果を示すグラフである。 電子障壁層において生成されるホール濃度(cm-3)を電子障壁層のAlの平均組成傾斜CS(%/nm)に対してプロットしたグラフである。 電子障壁層のAl組成プロファイルの他の例を示す図である。 電子障壁層のAl組成プロファイルの他の例を示す図である。 電子障壁層のAl組成プロファイルの他の例を示す図である。 実施例1(Ex.1)の垂直共振器面発光レーザにおいて、活性層から誘電体DBRまでの半導体層中における電界強度の定在波を模式的に示す図である。 実施例2の垂直共振器面発光レーザ、比較例1及び比較例2の垂直共振器面発光レーザの素子特性(光出力-電流密度特性)を示すグラフである。 第2の実施形態の垂直共振器面発光レーザの構造を模式的に示す断面図である。
 以下においては、本発明の好適な実施形態について説明するが、これらを適宜改変し、組合せてもよい。また、以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。
[第1の実施形態]
 図1は、本発明の第1の実施形態による垂直共振器面発光レーザ10の構造を模式的に示す断面図である。本実施形態において、垂直共振器面発光レーザ10は、III-V族窒化物系の半導体層からなる窒化物面発光レーザである。
 垂直共振器面発光レーザ10は、基板11上に、半導体DBR(Distributed Bragg Reflector)12,n型半導体層13、多重量子井戸からなる活性層15、中間層16、電子障壁層(EBL:Electron Blocking Layer)17及びp型半導体層18をこの順で順次、結晶成長して形成されている。
 基板11は、GaN基板である。基板11は、C面からM面方向に0.5°、A面方向に0±0.1°傾斜した+C面GaN基板である。
 有機金属気相成長(MOVPE)法により、半導体層の結晶成長を行った。基板11上に、層厚が約1μmの下地GaN層11Bを成長し、下地GaN層11B上に分布ブラッグ反射鏡である半導体DBR12を形成した。
 半導体DBR12(第1の反射ミラー)は、n型のGaN膜及びAlInN膜を42ペア積層して形成した。なお、半導体DBR12の各半導体膜は、活性層15の発光波長λのλ/4n(nは各半導体膜の屈折率)となる膜厚を有する。
 半導体DBR12上に、Si(シリコン)をドープしたn型GaN層であるn型半導体層13(層厚:350nm)を成長した。
 n型半導体層13上に、障壁層(バリア層)15B及び量子井戸層(ウエル層)15Wを交互に形成し、4つの量子井戸層15Wを有する活性層15を形成した。バリア層15BはGaInN(層厚:3nm)からなり、ウエル層15WはGaN(層厚:4nm)からなる。なお、バリア層15B及びウエル層15Wの組成及び層厚は所望の発光波長、発光特性等に応じて適宜選択することができる。
 活性層15の最終層である最終ウエル層15WL上に、最終バリア層である中間層(LB)16としてアンドープGaNを120nmの層厚で成長した。すなわち、中間層16は、活性層15と電子障壁層(EBL)17との間の層である。
 次に、Mg(マグネシウム)を不純物としてドープしたAlxGa1-xN(Al組成:x)からなる電子障壁層(EBL)17を成長した。
 続いて、電子障壁層17(p-AlGaN)上に、p型半導体層18としてMgをドープしたp-GaN層を83nm成長した。
 以上のようにして成長したウエハをn型半導体層13の内部に至るように外周部をエッチングして円柱状のメサ構造を形成した。
 当該メサ構造の最上層の半導体層であるp型半導体層18をドライエッチングでおよそ20nmの深さで外周部をエッチングして凹部を形成し、円柱状メサ凸部を有するp型半導体層18を形成した。
 エッチングによって形成されたp型半導体層18の凹部に横方向電流および光閉じ込めのための絶縁膜(SiO2)21を20nmの厚さで堆積した。これによりp型半導体層18の凹部は平坦化されるとともに、電流狭窄構造が形成され、円柱状(中心軸:CX)の電流注入領域が形成された。
 次に、p型半導体層18及び絶縁膜21上に、透明導電膜22としてITO(インジウム錫酸化物)膜を20nmの厚さで成膜した。
 続いて、スペーサ層24として誘電体(Nb25)を38nmの厚さで成膜した。スペーサ層24は、位相調整層として機能する。
 さらにスペーサ層24上に、誘電体DBR25(第2の反射ミラー)を成膜した。誘電体DBR25は、SiO2(11層)及びNb25(10層)の10.5ペアからなる。なお、誘電体DBR25は、p型半導体層18の円柱状メサと共軸であるように形成されることが好ましい。
 次に、n型半導体層13の外周部の凹部上にn電極27を、透明導電膜22上にp電極28を形成した。また、基板11の裏面を研磨し、Nb25/SiO2の2層からなるAR(無反射)コーティング29(反射防止膜)を形成した。以上により、垂直共振器面発光レーザ10の形成が完了した。
 なお、上記した中間層(LB)16の組成及び層厚は例示に過ぎない。すなわち、中間層16をGaN層として説明したが、他の組成の窒化物半導体層、例えばInGaN、AlGaN、InAlGaNなどを用いてもよい。また、中間層16はアンドープ層としたが、電子障壁層17又はp型半導体層18から拡散したドーパントが混入していてもよい。
 また、電子障壁層17の層厚は例示に過ぎない。電子障壁層17は、例えば3~30nmの層厚を有していてもよい。また、電子障壁層17は、Alを組成に含む窒化物半導体からなる。さらに、電子障壁層17は、Al組成が層厚方向で変化する組成傾斜層として形成されている。詳細は、後述する。
 電子障壁層17はp型半導体層(p-AlGaN)として説明したが、i層として成長し、p型半導体層18 から拡散した不純物(Mg)が混入した、Alを組成に含むp型半導体層であってもよい。
 また、活性層15が量子井戸活性層であって4つの量子井戸層15Wを有する場合を例示したが、少なくとも1つの量子井戸層を有していればよい。また、活性層15は、量子井戸活性層に限らない。いわゆるバルク構造の活性層を用いることもできる。
 さらに、p型半導体層18は、互いに組成及び/又はドープ濃度の異なる層、及びアンドープ層を含む複数の半導体層から構成されていてもよい。また、n-半導体層13も同様に、複数の半導体層から構成されていてもよい。
 誘電体DBR25が、SiO2膜及びNb25膜からなる場合について例示したが、他の組み合わせによる屈折率が互いに異なる誘電体膜から構成されていてもよい。また、屈折率が互いに異なる半導体膜から構成された半導体DBRにより構成されていてもよい。
 図2は、垂直共振器面発光レーザ10の伝導帯のバンド構造を模式的に示す図である。なお、活性層15からp型半導体層18までのバンド構造について示している。
 活性層15は、QW1~QW4の4つのウエル層15Wとそれらの間に設けられたバリア層15Bとからなる。中間層(LB)16に隣接する量子井戸層QW4が最終ウエル層15WLである。
 中間層16は層厚t1を有し、電子障壁層17は層厚t2を有し、p型半導体層18は層厚t3を有している。
[電子障壁層のAl組成]
 図3は、電子障壁層17(EBL)及びその近傍の伝導帯のバンド構造を拡大して模式的に示す図である。また、図2と同様に、図の左側が活性層15(ACT)側である。
 図3に示すように、電子障壁層17は、活性層15(ACT)から離れる方向にAl組成が減少するAl組成傾斜層として形成されている。具体的には、電子障壁層17のAl組成(x)は、x1(%)からx2(%)に直線的に減少している。
 なお、本願明細書において、Al組成(x)の「組成傾斜」とは、Al組成が直線的又は単調に減少する場合に限らない。活性層15側の界面(中間層16との界面)でのAl組成(x1)が最も高く、p型半導体層18との界面でのAl組成(x2)が最も低ければよい。また、活性層15側の界面からp型半導体層18との界面に向けて組成(x)が一定の部分を含んでいてもよい。
 また、図3には、pドーパントであるMgの濃度プロファイル(破線)を模式的に示している。Mgの濃度プロファイルに示すように、Mg濃度は、中間層16と電子障壁層17との界面から活性層15に近づく方向に減少していき、電子障壁層17の終端(p型半導体層18との界面)近傍でピークを有する。なお、ここで、p型半導体層18との界面近傍とは、少なくとも電子障壁層17の中央よりもp型半導体層18に近い位置をいう。
 また、Mg濃度のプロファイルは、電子障壁層17とp型半導体層18との界面近傍、すなわち当該界面に対応する位置であって上記したMg濃度のピークよりp型半導体層18側にボトムを呈する。すなわち、Mg濃度のプロファイルは、当該界面位置にディップを有し、当該界面近傍に当該ディップのボトムが形成される。
 かかるMg濃度プロファイルは、中間層16(GaN層)とp型半導体層18(p-GaN層)との間に電子障壁層17(AlGaN層)が設けられたことに起因している。
 図4は、垂直共振器面発光レーザ10の半導体層のSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)により分析されたプロファイルを示している。p型半導体層18の表面から分析を行っており、図中、右方向が深さ方向であり、p型半導体層18から活性層15への方向である。すなわち、図2及び図3とは横軸の活性層15と電子障壁層17との位置関係が逆である点に留意する必要がある。すなわち、図4では、活性層15(ACT)から離れる方向は図の左方向である。
 図4に示すように、電子障壁層17内において、電子障壁層17のAl組成は、中間層16近傍でピークを有し、活性層15から離れる方向に減少している。
 一方、Mg濃度は、電子障壁層17内において、活性層15に近づく方向に減少している。すなわち、Mg濃度プロファイルは、Alの組成傾斜とは逆向きの濃度傾斜を有している。
 すなわち、電子障壁層17は、Al組成が活性層15側で高く、p型半導体層18側で低い組成傾斜を有するとともに、電子障壁層17内のMg濃度は活性層15に近づく方向に減少する。
 なお、p型半導体層18 から電子障壁層17に不純物(Mg)が拡散した場合であっても、電子障壁層17のMg濃度は上記と同様なプロファイルを呈する。すなわちMg濃度は、当該ボトムを呈し、活性層15に近づく方向に減少する。
[電子障壁層の実効バリア、Mg濃度、ピエゾ分極によるホール生成]
 以下に電子障壁層の実効的なバリアとpドーパントであるMgの濃度との関係、及びピエゾ分極によるホール生成について説明する。
 従来、電子障壁層のMg濃度を増加させることによって、キャリアの注入効率を高め、レーザダイオード(LD)及び垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)の高効率化を図ることが行われていた。
 しかしながら、垂直共振器面発光レーザの長寿命化のためにはMg濃度の急峻性を低下させ、活性層側のMg濃度を低下させる必要があった。一方、活性層側のMg濃度を低下させると、外部量子効率が低下するという課題があった。
 特に、VCSEL等の半導体レーザでは、LEDに比べて、駆動電流密度や発光層内の電子・ホール濃度が2桁程度高いため、電子障壁層のMg濃度を下げると実効バリアエネルギーが低下し、高エネルギーの電子がp層側に漏れて注入効率が低下するという課題があった。
 図5は、n型半導体、活性層(発光層)及びp型半導体からなるpn接合構造のバンド構造を模式的に示すバンドダイアグラムである。
 キャリアの活性層への注入効率を決定する実効バリア高さBeffは、当該pn接合への印加電圧をVA、フェルミ準位をEF、バンドギャップをEgとすると、Beff=Eg-VA-EFで表される。
 フェルミ準位EFは、Mg濃度によって変化する。具体的には、Mg濃度(アクセプタ濃度)を減少させると、フェルミ準位EFは上昇し、実効バリア高さBeffは低下する。実効バリア高さBeffが低下すると、電子障壁層の障壁効果が低下し、電子の注入効率が低下する。
 図6Aは、ピエゾ分極によって生成されるホールを概念的に説明するための図である。また、図6Bは、電子障壁層17のバンドダイアグラムを示し、図6Cは、図6Bに示す電子障壁層17の活性層層15側の界面からの距離z(積層方向の距離)に対するホール濃度のシミュレーション結果を示すグラフである。
 なお、ピエゾ分極は、非対称な結晶構造である結晶系(例えば、六方晶)において生じる。下記のシミュレーションは、GaN基板の+C面上にAlGaNからなる電子障壁層を形成した場合について行った。
 図6Aに示すように、Al傾斜組成の電子障壁層17(AlGaN)にはピエゾ分極によって分極電荷が生じる(左側の図)。Al組成が大きいほど分極は大きい。この分極電荷によって電子障壁層17にホールが生成される(右側の図)。
 図6Bに示すように、電子障壁層17は活性層15側のAl組成が50%であり、p-GaN層18側のAl組成が15%である。また、電子障壁層17は層厚10nmを有している。
 図6Cに示すように、電子障壁層17には、1.9×1019cm-3~2.0×1019cm-3の濃度のホールが生成されることがわかる。
 すなわち、Mgのドーピング量を低減しても高いホール濃度が得られるので、フェルミ準位が上昇することなく、実効バリア高さを確保できることが分かった。すなわち、Mgのドーピング濃度の低減を行いつつ、高い注入効率を維持することができる。
 再び、図4のSIMSデータを参照すると、Mg濃度は、電子障壁層17とp型半導体層18(p-GaN層)との界面近傍にボトム(Mg濃度:約3×1018cm-3)を有している。
 電子障壁層17とp型半導体層18(p-GaN層)との間にMg濃度のボトムが形成されることで、Mg濃度の総量を低減することができ、素子寿命を長くすることができる。
 なお、素子寿命の観点から、電子障壁層17及び中間層16の界面におけるMg濃度は、1.0×1019cm-3未満であることが好ましく、5.0×1018cm-3未満であることが好ましい。
 また、図4に示すようにMg濃度のボトムに対応する位置に水素(H)のピークが形成されている。すなわち、Mg濃度のボトムを有する部分によって水素がトラップされ、水素のピークが形成されている。
 したがって、水素が活性層15に入ることが抑制され、垂直共振器面発光レーザ10の電圧-電流特性などの光出力特性が安定化される。
[電子障壁層のAl組成プロファイル]
 図7は、電子障壁層17において生成されるホール濃度(cm-3)を電子障壁層17のAlの平均組成傾斜CS(%/nm)に対してプロットしたグラフである。
 生成ホール濃度が5.0×1018cm-3以上であることが垂直共振器面発光レーザ10の注入効率を維持するのに必要であるので、図7のグラフから、平均組成傾斜CSは0.9(%/nm)以上であることが好ましい。
 なお、Al組成が直線的に傾斜している場合以外には、平均組成傾斜CS(すなわち、CS=(x1-x2)/t2)が0.9(%/nm)以上であることが好ましい。
 なお、電子障壁層17のAl組成プロファイルは上記した直線状の組成傾斜に限らない。電子障壁層17のAl組成は、電子障壁層17の活性層15側において最も高く、p型半導体層18側において最も低ければよい。
 一方、電子障壁層17の平均Al組成(%)と層厚の積(nm)が一定以上になると、電子障壁層17で応力による破壊が起き、クラックが生じる。具体的には、平均Al組成(%)と層厚t2(nm)の積が700(%・nm)を超えるとクラックが生じ得る。例えば、電子障壁層17の平均Al組成が70%、層厚t2が10nmであるとクラックが生じ得る。したがって、電子障壁層17における平均Al組成(%)と層厚t2(nm)の積は700(%・nm)未満であればよい。
 例えば、図8Aに示すように、電子障壁層17は、活性層15側からp型半導体層18側に階段状にAl組成が低下していくAl組成プロファイルを有していてもよい。
 又は、図8Bに示すように、電子障壁層17は、活性層15側からAl組成が低下する傾斜組成部と、当該傾斜組成部からp型半導体層18までAl組成が一定である組成一定部からなるAl組成プロファイルを有していてもよい。
 又は、図8Cに示すように、電子障壁層17は、活性層15側からAl組成が一定である組成一定部と、当該組成一定部からp型半導体層18までAl組成が低下する傾斜組成部とからなるAl組成プロファイルを有していてもよい。
 あるいは、電子障壁層17は、これらを組み合わせたAl組成プロファイルを有していてもよい。
[多重量子井戸活性層へのキャリア注入の高効率化]
 以上、詳細に説明したように、前述のAl組成プロファイル及び不純物(Mg)濃度を満たすように形成された垂直共振器面発光レーザ10により本願の課題であるキャリア注入効率及び信頼性(素子寿命)の改善がなされる。
 さらに、複数の量子井戸層からなる多重量子井戸(MQW)構造を活性層に用いる場合には、さらに以下に述べる条件を満たすことにより、より高いキャリア注入効率及び長寿命化を図ることができる。
 まず、DBR(Distributed Bragg Reflector)又は回折格子等の高反射ミラーと共振器内部の最初の界面を位相0"(基準)と定義する。
 共振器中の各層の屈折率niと層厚ti、及び発光波長λを用いて、共振器中の定在波の合計位相情報は、以下の式(1)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
 なお、層内部での所定位置での定在波の合成情報は、共振器側の他の層との界面から所定位置までの厚みをtiと置き換えて考える。
 そして、第1の条件は、p領域であるp型半導体層18及び電子障壁層17に含まれる定在波SWの腹ANの数NAN及び節NDの数NNDはそれぞれ0又は1(NAN=0又はNAN=1、NND=0又はNND=1)である。
 なお、透明導電膜22(ITO)、p型半導体層18及び電子障壁層17の各層厚をHITO,HGaN,HEB,各屈折率をnITO,nGaN,nEBとし、波長をλとしたとき、以下の式(2)を満たすことが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
 さらに、第2の条件は、中間層16内に含まれる定在波SWの節ND及び腹ANの数がそれぞれ1以上(NND≧1及びNAN≧1)である。
 なお、定在波SWの節ND及び腹ANの数NND、NANは、上記式(1)を用い、p領域及び中間層16における合計位相をそれぞれ算出し、p領域及び中間層16中において位相がkπ(k=1,2,・・・)である数、及び、位相が(2l-1)π/2(l=1,2,・・・)である数から求めることができる。
 式(1)=k/2(k=1,2,・・・)となるのは定在波が腹ANとなる位置を示し、式(1)=(2l-1)/4(l=1,2,・・・)は定在波が節NDとなる位置を示す。すなわちp型半導体層18及び電子障壁層17および中間層16内のNND、NANは、各層の積層範囲内に上記の腹AN、節NDとなる位置が各々いくつ含まれるかをカウントすることで求められる。
 また、中間層16及び活性層15の層厚をそれぞれHfb,Hqwとしたとき、以下の式(3)を満たすことが好ましい。ここで、nfbは中間層16の屈折率、nqwは活性層15の等価屈折率である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000004
 さらに、(i) 中間層16がλ/4以上の層厚を有することが好ましい。すなわち、以下の式(4)を満たすことが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000005
 また、(ii) 中間層16内に含まれる節NDの数が2つ以上(NND≧2)、腹ANの数が1以上(NAN≧1)であることが好ましい。 (i)及び(ii)を満たす場合においては、さらに、以下の式(5)を満たすことが好ましい。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000006
 また、活性層15の層厚はλ/8以下、すなわち以下の式(6)を満たすことが好ましい。この場合、活性層15の光閉じ込め損失を減らすことができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000007
 以上のように構成することで、p型半導体層18から電子障壁層17への光の電界強度が強まる。また、中間層16内に光の電界強度の高い腹ANが存在し、かつ少なくとも1つの節NDが存在することにより、大きな光利得が得られる程度に活性層15が励起される。
 さらに、高反射ミラーである半導体DBR12及び誘電体DBR25によって内部の光強度が強まった場合に、中間層16での電子及びホールが内部光によって励起され、電子障壁層17とp型半導体層18との界面に溜まったホールが活性層15に引き抜かれ、活性層15へのスイッチング的なホール注入が生じる。
 その結果、活性層15の複数のウエル層15Wのそれぞれのキャリア(電子及びホール)の均一性が改善され、効率のよい、面発光レーザを実現することができる。
[特性改善のメカニズムの考察]
 以上のように構成することで、活性層15のウエル層15Wのそれぞれのキャリア(電子及びホール)の均一性が改善され、効率のよい、面発光レーザを実現することができる。このように効率等の特性を向上させることができるメカニズムについて考察する。
 特性改善のメカニズムは、多重量子井戸のキャリア不均一性を解消するために、ホールをスイッチング的に注入していることと関連していると考えられる。本面発光レーザでは、活性層(多重量子井戸)の中央に定在波の腹を合わせて設計する。すなわち、光の電界が大きいところに活性層を配置することで光と電子ホール再結合との相互作用を大きくする。
 したがって、活性層15に隣接する中間層16は、光の電界強度が減る方向になる。ところが、上記のように活性層とは異なる定在波の腹が位置する、もしくは腹の近傍まで含むような中間層16を配置することで、レーザ発振電流の閾値近傍でこの層の光強度が大幅に上昇し、キャリア(電子とホール)が生成され、電子障壁層17のp型半導体層18側にあるホールを一気に引き込む効果があると推測される。この引き込みは、p領域の電気的な電界傾斜が高い場合に起こりやすい。
 この効果は、p型半導体層18側にたまるホール濃度が大きくなることと、電子障壁層17の電気的な電界傾斜が大きくなることに起因していると考えられる。このスイッチング的なホールの引き込みにより、多重量子井戸のキャリア分布の均一性が改善し、内部損失が低減すると考えられる。したがって、場合によっては、レーザ発振に起因して、閾値近傍で微分抵抗及び駆動電流の極小値(dR/dI=0,d2V/dI2=0)のような通常の面発光レーザ(VCSEL)の特性では見られない特性が得られる場合がある。したがって、中間層16の腹の位置とp層(電子障壁層17及びp型半導体層18)の薄膜化と高反射ミラーによる垂直方向の強い光のフィードバックと光利得が存在するような光強度が重要なファクターとなる。
[実施例1]
 図9は、本実施形態の実施例1(Ex.1)の垂直共振器面発光レーザ10において、活性層15から誘電体DBR25までの半導体層中における活性層15からの発光の電界強度の定在波SWを模式的に示す図である。
 前述のように、実施例1(Ex.1)の垂直共振器面発光レーザ10には、中間層(LB)16として層厚が120nmのアンドープGaN層が設けられている。
 また、電子障壁層17は、層厚が10nmで、活性層15から離れる方向にAl組成が50%から15%に低減する組成傾斜を有している。
 また、電子障壁層17上には、p型半導体層18として層厚が83nmのp-GaN層が設けられている。
 実施例1においては、電子障壁層17には、1.0×1018~1.0×1019cm3のドーピング濃度でMgがドープされており、p型半導体層18には、1.0×1018cm3以上のドーピング濃度でMgがドープされている。しかしながら、ドーピング濃度は、これに限らず、中間層16、電子障壁層17及びp型半導体層18等のp側の半導体層の組成、層厚等に応じて適宜設定することができる。
 実施例1(Ex.1)において、中間層16内には定在波SWの節(node)NDと腹(anti-node)ANとがそれぞれ1つずつ存在している。すなわち、節NDの数をNND、腹ANの数をNANとすると、NND=1,NAN=1である。なお、誘電体DBR25による高反射ミラー界面Aでは、図9に示すように、定在波SWの腹ANの位置になる。
 また、p領域である電子障壁層(EBL)17及びp型半導体層(p-GaN)18には、定在波SWの節ND及び腹ANがそれぞれ1つずつ存在している(NND=1,NAN=1)。さらに、透明導電膜(ITO)22内には、定在波SWの節NDが1つ存在している(NND=1)ことが好ましい。
 このように構成することで、p型半導体層18から電子障壁層17への電気的な電界強度が強まる。また、中間層16内に光の電界強度の高い腹が存在し、かつ少なくとも1つの節が存在することにより、大きな光利得が得られる程度に活性層15が励起される。
 さらに、高反射ミラーである半導体DBR12及び誘電体DBR25によって内部の光強度が強まった場合に、中間層16での電子及びホールが内部光によって励起され、電子障壁層17とp型半導体層18との界面に溜まったホールが活性層15に引き抜かれ、活性層15へのスイッチング的なホール注入が生じる。
 このことが、多重量子井戸間のキャリア濃度の均一性を促進して、内部損失、外部微分量子効率、スロープ効率の改善がなされる。
 すなわち、複数のウエル層15Wのキャリア(電子及びホール)の均一性が改善され、効率のよい、面発光レーザを実現することができる。
 また、動作電流を低減することができる、素子の信頼性(寿命)が改善された垂直共振器型発光素子を提供することができる。
[素子特性:Mg濃度の低減効果]
 本実施形態の実施例2の垂直共振器面発光レーザ10、比較例1及び比較例2の垂直共振器面発光レーザを作製し、素子特性の評価を行った。以下にその評価結果について説明する。
[実施例2]
 図10は、実施例2の垂直共振器面発光レーザ10(Ex.2)、比較例1(Cmp.1)及び比較例2(Cmp.2)の垂直共振器面発光レーザの素子特性(光出力-電流密度特性)を示すグラフである。
 実施例2(Ex.2)は、層厚が10nmで、活性層15から離れる方向にAl組成が50%から15%に低減する組成傾斜を有する電子障壁層17を有する垂直共振器面発光レーザ10である(図6Bを参照)。
 また、電子障壁層17へのMgのドーピング濃度は0.25×1019cm-3であり、下記の比較例1の1/4の濃度である。
 比較例1(Cmp.1)の垂直共振器面発光レーザは、実施例2と同一の層厚(10nm)の電子障壁層を有する。比較例1は、Al組成が一定(Al組成:30%)の電子障壁層を有する点で実施例2とは異なっている。また、Mgのドーピング濃度は1.0×1019cm-3である。
 比較例2(Cmp.2)の垂直共振器面発光レーザは、Mgのドーピング濃度が比較例1(Cmp.1)の1/2の濃度(0.5×1019cm-3)である点で比較例1とは異なっている。その他の点は、比較例1の垂直共振器面発光レーザと同一である。
 従来の電子障壁層を有する比較例1(Cmp.1)の垂直共振器面発光レーザの光出力特性が破線で示されている。比較例2においては、電子障壁層のMgのドーピング濃度は比較例1の1/2に低減されているが、比較例1に比べて光出力が大きく減少することが確認された。
 一方、Al組成傾斜電子障壁層を有する実施例2(Ex.2)では、Mgのドーピング濃度を1/4に低減しても比較例1を超える光出力特性が得られ、高い発光効率が得られることが確認された。
 すなわち、実施例2の垂直共振器面発光レーザ10によれば、Mgのドーピング濃度を大きく低減できるとともに、高い発光効率が得られることが確認された。
 また、Al組成傾斜を有する電子障壁層17により、Mgのドーピング濃度の低減を行いつつ、高い注入効率を維持することができる。
 したがって、動作電流を低減することができ、かつ素子の信頼性(寿命)が改善された垂直共振器型発光素子を提供することができる。
[実施例3]
 実施例3(Ex.3)の垂直共振器面発光レーザ10においては、中間層16の層厚は220nmであり、実施例1の120nmよりも厚い。
 また、p領域の層厚(電子障壁層17及びp型半導体層18の合計層厚)は101nm(20+81nm)であり、実施例1の93nm(10+83nm)よりも厚い。
 また、電子障壁層17は、層厚が20nmで、活性層15から離れる方向にAl組成が50%から15%に低減する組成傾斜を有している。
 上記以外の構成については実施例2と同様である。
 実施例3においては、中間層16が厚いことを反映して、中間層16内には節ND及び腹ANがそれぞれ2つずつ存在する(NND=2,NAN=2)。また、p領域(電子障壁層17及びp型半導体層18)には節ND及び腹ANがそれぞれ1つずつ存在する(NND=1,NAN=1)。
 したがって、上記した第1及び第2の条件を満たすので、量子井戸活性層の各ウエル層間のキャリア不均一性に伴う面発光レーザの効率低下を解消し、高効率な面発光レーザを提供することができる。
 本実施例のように、第1及び第2の条件を満たすように中間層16を厚くすることができるので、ドーパント(Mg等)のマイグレーションによる素子特性及び寿命の劣化を抑制することができる。
 また、Al組成傾斜を有する電子障壁層17により、Mgのドーピング濃度の低減を行いつつ、高い注入効率を維持することができる。
 したがって、動作電流を低減することができる、また素子の信頼性(寿命)が改善された垂直共振器型発光素子を提供することができる。
[第2の実施形態]
 図11は、本発明の第2の実施形態の垂直共振器面発光レーザ50の構造を模式的に示す断面図である。本実施形態の垂直共振器面発光レーザ50は、電流狭窄構造としてトンネル接合を有している。
 垂直共振器面発光レーザ50は、トンネル接合層31を有する点を除いては上記した第1の実施形態の垂直共振器面発光レーザ10と同様の構成を有する窒化物面発光レーザである。
 すなわち、電子障壁層17は、活性層15側のAl組成がp型半導体層18側より高くなる組成傾斜を有するとともに、電子障壁層17内のMg濃度は活性層15に近づく方向に減少する濃度プロファイルを有している。
 より詳細には、垂直共振器面発光レーザ50は、基板11上に、半導体DBR12,n型半導体層13、多重量子井戸からなる活性層15、最終バリア層16、電子障壁層(EBL:Electron Blocking Layer)17及びp型半導体層18をこの順で順次、結晶成長して形成されている。また、各半導体層の組成、層厚、不純物濃度なども第1の実施形態の垂直共振器面発光レーザ10と同様である。
 垂直共振器面発光レーザ50においては、p型半導体層18上に、p+-GaNである高不純物濃度のp型半導体層31A及びn+-GaNである高不純物濃度のn型半導体層31Bからなるトンネル接合層31が設けられている。
 トンネル接合層31は、円柱メサ形状を有している。例えば、トンネル接合層31は、層厚は20nmを有し、直径は4μmである(中心軸CX)。なお、トンネル接合層31は、p型半導体層31A及びn型半導体層31Bと、p型半導体層18とを例えば25nmの深さでエッチングして形成されている。
 また、トンネル接合層31は、n-GaNであるn型半導体層32(第2のn型半導体層)によって埋め込まれている。
 n型半導体層32上には、n-AlInN及びn-GaNからなる半導体DBR35(第2のDBR)が設けられている。半導体DBR35は、例えば、n-AlInN/GaNの46ペアからなる。
 n型半導体層13の内部に至るように各半導体層及び半導体DBR35の外周部がエッチングされ、トンネル接合層31の中心軸CXと同軸の円柱状メサ構造の面発光レーザとして形成されている。
 n型半導体層13の外周部の表面上にn電極27が形成されている。また、上面視(半導体DBR35に垂直な方向から見た場合)において、トンネル接合層31よりも大きな直径を有し、中心軸CXと同軸の円形状の開口を有するp電極36が半導体DBR35上にされている。
 垂直共振器面発光レーザ50の裏面には、Nb25/SiO2の2層からなるAR(無反射)コーティング29が形成されている。
 なお、トンネル接合層31は、p+-GaN層及びn+-GaN層で構成したが、他の組成の半導体層、例えばGaInNなどを用いてもよい。p+-GaN層は例えばMgを不純物(ドーパント)として用いることができる。また、Mgのドーピング濃度は、4×1019cm3以上が好ましい。n+-GaN層又はn+-GaInN層については、1×1018cm3以上の高ドーピングが好ましい。
(実施例1~3との対応関係)
 垂直共振器面発光レーザ50における第1及び第2の条件は、第1の実施形態の垂直共振器面発光レーザ10の場合と同様に考えることができる。
 具体的には、実施例4の垂直共振器面発光レーザ50においては、半導体DBR35とn型半導体層32との界面が位相基準(位相=0)に対応する。当該基準位置には定在波の腹が位置する。
 また、n型半導体層32(第2のn型半導体層)が上記実施例におけるスペーサ層24に対応する。より詳細には、トンネル接合層31と半導体DBR35との間のn型半導体層32の部分が第1の実施形態におけるスペーサ層24に対応する。
 さらに、トンネル接合層31が第1の実施形態における透明導電膜(ITO)22に対応し、トンネル接合層31内に定在波SWの節NDが1つ存在する(NND=1)ことが好ましい。
 また、p領域である電子障壁層17及びp型半導体層18内に含まれる定在波SWの節ND及び腹ANの数の条件(第1の条件)、及び、最終バリア層16内に含まれる節ND及び腹ANの数の条件(第2の条件)は、第1の実施形態における条件と同じである。
 第2の実施形態の垂直共振器面発光レーザ50によれば、不純物(ドーパント)のドーピング濃度の低減を行っても、高い注入効率を維持することができる。したがって、動作電流を低減することができ、また素子の信頼性(寿命)が改善された垂直共振器型発光素子を提供することができる。
 以上、詳細に説明したように、本発明によれば、低閾値電流密度及び高発光効率を有し、かつ寿命が改善された垂直共振器型発光素子を提供することができる。
 10,50:垂直共振器面発光レーザ
 11:基板
 12:半導体DBR(第1の反射ミラー)
 13:n型半導体層
 15:活性層
 15B:障壁層(バリア層)
 15W:量子井戸層(ウエル層)
 16:中間層(LB)
 17:電子障壁層
 18:p型半導体層
 21:絶縁膜
 22:透明導電膜
 24:スペーサ層
 25:半導体DBR(第2の反射ミラー)
 31:トンネル接合層
 31A:高不純物濃度のp型半導体層
 31B:高不純物濃度のn型半導体層
 32:n型半導体層(第2のn型半導体層)
 35:半導体DBR

Claims (9)

  1.  第1の反射ミラーと、
     前記第1の反射ミラー上に形成されたn型半導体層と、
     前記n型半導体層上に設けられた活性層と、
     前記活性層上に設けられた中間層と、
     前記中間層上に設けられ、Alを組成に含む電子障壁層と、
     前記電子障壁層上に設けられ、不純物がドーピングされたp型半導体層と、
     前記p型半導体層上に設けられた第2の反射ミラーと、を備え、
     前記電子障壁層は、前記活性層から離れる方向にAl組成が減少する組成傾斜層であり、
     前記不純物の不純物濃度は、前記電子障壁層内にピークを有し、前記ピークから前記活性層に近づく方向に減少している、III-V族窒化物半導体の垂直共振器型発光素子。
  2.  前記電子障壁層においてピエゾ分極によりホールが生成され、前記ピエゾ分極により生成されるホール濃度が5.0×1018atoms/cm3以上である請求項1に記載の垂直共振器型発光素子。
  3.  前記電子障壁層の前記Al組成の平均組成傾斜は0.9%/nm以上である請求項1に記載の垂直共振器型発光素子。
  4.  前記不純物濃度は、前記p型半導体層と前記電子障壁層との界面に対応する位置にボトムを有する請求項1に記載の垂直共振器型発光素子。
  5.  前記電子障壁層及び前記中間層の界面における前記不純物の不純物濃度は、1.0×1019cm-3未満である請求項1に記載の垂直共振器型発光素子。
  6.  前記電子障壁層及び前記中間層の界面における不純物濃度は、5.0×1018cm-3未満である請求項1に記載の垂直共振器型発光素子。
  7.  前記中間層はアンドープ層である請求項1に記載の垂直共振器型発光素子。
  8.  第1の反射ミラーと、
     前記第1の反射ミラー上に設けられたn型半導体層と、
     前記n型半導体層上に設けられた多重量子井戸からなる活性層と、
     前記活性層の最終量子井戸上に設けられた中間層と、
     前記中間層上に設けられ、Alを組成に含む電子障壁層と、
     前記電子障壁層上に設けられ、不純物がドーピングされたp型半導体層と、
     前記p型半導体層上に設けられたスペーサ層と、
     前記スペーサ層上に設けられた第2の反射ミラーと、を有し、
     前記電子障壁層は、前記活性層から離れる方向にAl組成が減少する組成傾斜層であり、
     前記不純物の不純物濃度は、前記電子障壁層内にピークを有し、前記ピークから前記活性層に近づく方向に減少し、
     前記電子障壁層及び前記p型半導体層中に含まれる、前記活性層からの発光による定在波の腹の数及び節の数がそれぞれ0又は1であり、
     前記中間層及び前記活性層の層厚をそれぞれHfb,Hqw、前記中間層の屈折率をnfb、前記活性層の等価屈折率をnqwとしたとき、前記活性層及び前記中間層は次式
    Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
    を満たす垂直共振器型発光素子。
  9.  前記中間層内に含まれる節の数が2以上で腹の数が1以上である請求項8に記載の垂直共振器型発光素子。
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