WO2024070313A1 - 電気泳動装置、電気泳動装置の制御方法、及び電気泳動装置の制御プログラム - Google Patents

電気泳動装置、電気泳動装置の制御方法、及び電気泳動装置の制御プログラム Download PDF

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Abstract

プロセッサが、サンプルを分離する前に、一対の流路端間の分岐流路の電気抵抗値を導出する第1抵抗値導出処理又は第2抵抗値導出処理を実行し、前記第1抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電圧を印加することにより得られた測定値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、前記第2抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電流を印加することにより得られた測定値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、前記第1抵抗値導出処理又は前記第2抵抗値導出処理によって導出した電気抵抗値に基づいて、前記一対の流路端に印加する電圧または電流を制御する電気泳動装置。

Description

電気泳動装置、電気泳動装置の制御方法、及び電気泳動装置の制御プログラム
 本開示は、電気泳動装置、電気泳動装置の制御方法、及び電気泳動装置の制御プログラムに関する。
 従来、マイクロ流路チップを用いた電気泳動装置が知られている。例えば、電気泳動として、等速電気泳動を行ってサンプルを濃縮して濃縮層を形成した後、等速電気泳動からキャピラリー電気泳動に切り替えて、濃縮層に含まれる特定の成分の分離を行う技術が知られている(例えば、特開2019-158520号公報参照)。
 ところで、例えば、試薬状態の微妙な違いにより抵抗値が異なることから、電気泳動条件が変化してしまう場合がある。また例えば、マイクロ流路間の寸法が異なると抵抗値が異なることから、電気泳動条件が変化してしまう場合がある。このように電気泳動条件が変化した場合、測定精度が低下してしまう場合があった。
 本開示は、試薬状態やマイクロ流路間のばらつきに起因して、電気泳動条件が変化するのを抑制できる電気泳動装置、電気泳動装置の制御方法、及び電気泳動装置の制御プログラムを提供する。
 本開示の第1の態様は、電気泳動装置であって、3つ以上の複数の流路端と、1つ以上の分岐点と、分岐点により分岐され、各流路端に接続された複数の分岐流路と、を含み、複数の流路端の中から選択された一対の流路端に電圧または電流が印加されることにより電気泳動によってサンプルが移動する流路が形成されたマイクロ流路チップを用いて、サンプルを分離する電気泳動装置であって、少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは、サンプルを分離する前に、一対の流路端間の分岐流路の電気抵抗値を導出する第1抵抗値導出処理又は第2抵抗値導出処理を実行し、第1抵抗値導出処理は、一対の流路端に調査用の印加電圧を印加することにより得られた測定値に基づいて、電気抵抗値を導出する処理であり、第2抵抗値導出処理は、一対の流路端に調査用の印加電流を印加することにより得られた測定値に基づいて、電気抵抗値を導出する処理であり、第1抵抗値導出処理又は第2抵抗値導出処理によって導出した電気抵抗値に基づいて、一対の流路端に印加する電圧または電流を制御する。
 本開示の第2の態様は、第1の態様において、第1抵抗値導出処理は、一対の流路端に調査用の印加電圧を印加し、印加電圧の印加により一対の流路端間に流れる電流の測定電流値と、印加電圧の印加により一対の流路端間の分岐点に生じる電圧である第1測定電圧値を測定値として取得し、調査用の印加電圧値、測定電流値、第1測定電圧値に基づいて、電気抵抗値を導出する処理であってもよく、第2抵抗値導出処理は、一対の流路端に調査用の印加電流を印加し、印加電流の印加により一対の流路端間に生じる電圧の第2測定電圧値と、印加電流の印加により一対の流路端間の分岐点に生じる電圧である第3測定電圧値を測定値として取得し、調査用の印加電流値、第2測定電圧値、及び第3測定電圧値に基づいて、電気抵抗値を導出する処理であってもよい。
 本開示の第3の態様は、第1の態様において、第1抵抗値導出処理は、流路端の中から選択される複数の一対の流路端に順次、調査用の印加電圧を印加し、印加電圧の印加により複数の一対の流路端の各々に流れる電流の測定電流値を測定値として取得し、調査用の印加電圧値、一対の流路端の各々の測定電流値に基づいて、電気抵抗値を導出する処理であってもよく、第2抵抗値導出処理は、流路端の中から選択される複数の一対の流路端に順次、調査用の印加電流を印加し、印加電流の印加により複数の一対の流路端の各々に生じる電圧の測定電圧値を測定値として取得し、調査用の印加電流値、一対の流路端の各々の測定電圧値に基づいて、電気抵抗値を導出する処理であってもよい。
 本開示の第4の態様は、第1の態様において、サンプルを分離する際に一対の流路端に印加される印加電圧又は印加電流には、電気泳動として等速電気泳動によりサンプルを移動させる場合の等速電気泳動用の印加電圧又は印加電流と、電気泳動としてキャピラリー電気泳動によりサンプルを移動させる場合のキャピラリー電気泳動用の印加電圧又は印加電流とがあってもよく、調査用の印加電圧値または調査用の印加電流値は、キャピラリー電気泳動用の印加電圧値または印加電流値の10%以下であってもよい。
 本開示の第5の態様は、第1の態様において、サンプルを分離する際に一対の流路端に印加電圧又は印加電流を印加する印加時間には、電気泳動として等速電気泳動によりサンプルを移動させる場合の等速電気泳動用の印加時間と、電気泳動としてキャピラリー電気泳動によりサンプルを移動させる場合のキャピラリー電気泳動用の印加時間とがあってもよく、調査用の印加電圧又は調査用の印加電流を印加する印加時間は、キャピラリー電気泳動用の印加時間の10%以下であってもよい。
 本開示の第6の態様は、電気泳動装置の制御方法であって、3つ以上の複数の流路端と、1つ以上の分岐点と、分岐点により分岐され、各流路端に接続された複数の分岐流路と、を含み、複数の流路端の中から選択された一対の流路端に電圧または電流が印加されることにより電気泳動によってサンプルが移動する流路が形成されたマイクロ流路チップを用いて、サンプルを分離する電気泳動装置の制御方法であって、電気泳動装置はプロセッサを備えており、プロセッサは、サンプルを分離する前に、一対の流路端間の分岐流路の電気抵抗値を導出する第1抵抗値導出処理又は第2抵抗値導出処理を実行し、第1抵抗値導出処理は、一対の流路端に調査用の印加電圧を印加することにより得られた測定値に基づいて、電気抵抗値を導出する処理であり、第2抵抗値導出処理は、一対の流路端に調査用の印加電流を印加することにより得られた測定値に基づいて、電気抵抗値を導出する処理であり、第1抵抗値導出処理又は第2抵抗値導出処理によって導出した電気抵抗値に基づいて、一対の流路端に印加する電圧または電流を制御する。
 本開示の第7の態様は、電気泳動装置の制御プログラムであって、3つ以上の複数の流路端と、1つ以上の分岐点と、分岐点により分岐され、各流路端に接続された複数の分岐流路と、を含み、複数の流路端の中から選択された一対の流路端に電圧または電流が印加されることにより電気泳動によってサンプルが移動する流路が形成されたマイクロ流路チップを用いて、サンプルを分離する電気泳動装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、サンプルを分離する前に、一対の流路端間の分岐流路の電気抵抗値を導出する第1抵抗値導出処理又は第2抵抗値導出処理を実行し、第1抵抗値導出処理は、一対の流路端に調査用の印加電圧を印加することにより得られた測定値に基づいて、電気抵抗値を導出する処理であり、第2抵抗値導出処理は、一対の流路端に調査用の印加電流を印加することにより得られた測定値に基づいて、電気抵抗値を導出する処理であり、第1抵抗値導出処理又は第2抵抗値導出処理によって導出した電気抵抗値に基づいて、一対の流路端に印加する電圧または電流を制御するものである。
 上記態様によれば、本開示の電気泳動装置、電気泳動装置の制御方法、及び電気泳動装置の制御プログラムは、試薬状態やマイクロ流路間のばらつきに起因して、電気泳動条件が変化するのを抑制できる。
例示的実施形態のマイクロ流路チップの構成の一例を示す模式図である。 例示的実施形態の電気泳動装置の構成の一例を示す構成図である。 例示的実施形態のマイクロ流路チップの一例を示す模式図である。 例示的実施形態の制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 例示的実施形態の制御装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。 マイクロ流路チップの具体例を説明する図である。 腫瘍マーカであるα-フェトプロテインを測定した場合の電気泳動波形の一例である。 例示的実施形態のプロセッサで実行される制御処理の一例を示すフローチャートである。 例示的実施形態で用いる記号等を説明するための図である。 第1例示的実施形態の抵抗値導出処理の一例を示すフローチャートである。 キャピラリー電気泳動印加値導出処理の一例を示すフローチャートである。 キャピラリー電気泳動制御処理の一例を示すフローチャートである。 第2例示的実施形態の抵抗値導出処理の一例を示すフローチャートである。 マイクロ流路チップの他の例を示す模式図である。 マイクロ流路チップの他の例を示す模式図である。
 以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
 まず、マイクロ流路チップを用いた本例示的実施形態の電気泳動装置による、サンプルの測定方法について説明する。なお、以下では、サンプルの一例として腫瘍マーカを用いた形態について説明する。
 図1には、本例示的実施形態のマイクロ流路チップ20における流路を模式化したものが示されている。
 図1に示すように、本例示的実施形態のマイクロ流路チップ20は、流路端22~22と、流路端23~23とを備える。流路端22~22と、流路端23~23の各々には分岐流路が接続されており、分岐流路を介し主流路28に接続されている。流路端22~22は、試薬を導入するための試薬導入部である。以下、流路端22~22について、個々を区別せずに総称する場合は、個々を区別するための符号1~6の記載を省略し「流路端22」と総称する。
 流路端22、22、22は、電気泳動用の緩衝液を導入するための部位である。流路端22は、第一標識抗体液(例えば、DNA標識された腫瘍マーカ用抗体を含む液)を導入するための部位である。流路端22、22は、サンプルである腫瘍マーカと第二標識抗体液(例えば、蛍光標識された腫瘍マーカ用抗体を含む液)との免疫反応液を導入するための部位である。
 流路端22~22のうちの一部(本例示的実施形態では、流路端22~22)には、
それぞれ電極(図示省略)が配置される。なお、本例示的実施形態では、流路端22、22には陰極が配置され、流路端22には陽極が配置される。主流路28と、流路端22に接続された分岐流路28と、流路端22に接続された分岐流路2813と、流路端22に接続された分岐流路28とにより、泳動用流路が形成される。
 主流路28、分岐流路28、及び分岐流路28を介して、流路端22と、流路端22とが接続される。分岐流路2813及び分岐流路28を介して、流路端22と、流路端22とが接続される。また、流路端22~22が、それぞれ分岐流路を介して主流路28に接続されている。主流路28における流路端22側を「上流側」といい、流路端22側を「下流側」という。例えば、上流側から下流側に向かって、流路端22、流路端22、流路端22、及び流路端22の順に配置されている。
 一方、流路端23~23は、廃液を貯留するための廃液貯留部である。以下、流路端23~23について、個々を区別せずに総称する場合は、個々を区別するための符号1~4の記載を省略し「流路端23」と総称する。
 流路端23は、流路端22から導入される緩衝液のうちの余剰分、及び流路端22から導入される第一標識抗体液のうちの余剰分を貯留するための部位(廃液だめ)である。流路端23は、流路端22から導入される第一標識抗体液のうちの余剰分、及び流路端22から導入される免疫反応液のうちの余剰分を貯留するための部位(廃液だめ)である。流路端23は、流路端22、22からそれぞれ導入される免疫反応液のうちの余剰分を貯留するための部位(廃液だめ)である。流路端23は、流路端22から導入される免疫反応液のうちの余剰分、及び流路端22、22から導入される緩衝液のうちの余剰分を貯留するための部位(廃液だめ)である。
 流路端23~23は、それぞれ分岐流路を介して主流路28に接続されている。これらは、上流側から下流側に向かって、流路端23、23、23、23の順に接続されている。より具体的には、流路端23は、流路端22よりも下流側であって流路端22よりも上流側に配置されている。流路端23は、流路端22よりも下流側であって流路端22よりも上流側に配置されている。流路端23は、流路端22よりも下流側であって流路端22よりも上流側に配置されている。流路端23は、流路端22よりも下流側であって流路端22よりも上流側に接続されている。
 本例示的実施形態の泳動用流路は、上流側から下流側に向かって、サンプル濃縮領域30、及びサンプル分離領域32を有する。サンプル濃縮領域30よりも上流で、電気泳動用の緩衝液が導入される。サンプル濃縮領域30は、免疫反応と等速電気泳動(IsoTachoPhoresis:ITP)とを利用して、サンプルである腫瘍マーカを濃縮する領域であり、図1に示した例では、主流路28と流路端23との分岐点から主流路28と流路端22との分岐点にかけて設けられている。等速電気泳動を行う場合には、流路端22と流路端22との間に電圧を印加する。サンプル分離領域32は、キャピラリー電気泳動(Capillary Electrophoresis:CE)、より具体的には、キャピラリーゾーン電気泳動(Capillary Zone Electrophoresis:CZE)を利用してサンプルである腫瘍マーカを他の成分から分離する領域であり、図1に示した例では、流路端22から流路端22にかけて設けられている。キャピラリーゾーン電気泳動を行う場合には、流路端22と流路端22との間に電圧を印加する。
 また、サンプル分離領域32は、下流側に設けられた、泳動用流路を泳動してきたサンプルを検出する検出領域34を含む。
 上記構成のマイクロ流路チップ20では、下記のようにして、サンプルである腫瘍マーカの分析を行うことができる。各試薬の導入後、流路端22と流路端22との間に電圧を印加すると、等速電気泳動の原理に従い、流路端22から導入された第一標識抗体(DNA標識された腫瘍マーカ用抗体)が主流路28を流路端22の方向に移動する。サンプル濃縮領域30において、第一標識抗体が濃縮されると共に、腫瘍マーカと第一標識抗体と第二標識抗体(蛍光標識された腫瘍マーカ用抗体)との免疫複合体が形成され、サンプルの濃縮層が形成される。免疫複合体による濃縮層が流路端22の方向に移動してサンプル分離領域32に到達する。なお、未反応の(遊離の)第二標識抗体は、分子中に電荷を有さないため、その位置に留まりサンプル分離領域32には到達しない。
 腫瘍マーカと第一標識抗体と第二標識抗体との免疫複合体がサンプル分離領域32に到達すると、より正確には、分岐流路2813の分岐点29より少し下流側に到達した瞬間、電極の切り替えを行い、流路端22と流路端22との間に電圧を印加する。免疫複合体及び未反応の(遊離の)第一標識抗体は、サンプル分離領域32において、電荷及び分子サイズに応じたそれぞれの移動速度で、流路端22の方向に移動する。そして、腫瘍マーカを中核とするとともに蛍光色素を有する第二標識抗体を含む免疫複合体が検出領域34に到達したときの蛍光強度のピーク面積から、腫瘍マーカの濃度を測定することができる。なお、未反応の第一標識抗体は、分子中に蛍光色素を有さないため、検出領域34に到達しても蛍光強度には影響せず、腫瘍マーカの濃度測定には影響しない。
[第1例示的実施形態]
 図2を参照して、本例示的実施形態の電気泳動装置1の構成を説明する。図2に示すように、電気泳動装置1は、制御装置10、電源装置12、検出装置14、及びマイクロ流路チップ20を備える。図2及び図3に示したマイクロ流路チップ20は、等速電気泳動及びキャピラリー電気泳動において電圧を印加する際に用いられる、3つの流路端25(第1流路端25~第3流路端25)を備えている。第1流路端25に接続された第1分岐流路24と、第2流路端25に接続された第2分岐流路24と、第3流路端25に接続された第3分岐流路24とは、分岐点26により接続されている。第1分岐流路24には、上述したサンプル濃縮領域30が設けられており、サンプル濃縮のための流路として用いられる。また、第3分岐流路24には、上述したサンプル分離領域32及び検出領域34が設けられており、サンプルの分離のための流路及びサンプルの検出のための流路として用いられる。
 電源装置12は、制御装置10の制御により、第1流路端25~第3流路端25の各々に電圧を印加するための電源である。なお、具体的には、電源装置12は、第1流路端25~第3流路端25の各々に設けられた図示を省略した電極に電圧を印加するが、本例示的実施形態では、単に「流路端25に電圧を印加する」等という。
 検出装置14は、センサ15を備える。センサ15は、腫瘍マーカの濃度の測定に用いられ、光学的に免疫複合体を検出するためのセンサであり、第3分岐流路24における検出領域34内の検出点27に対向する位置に配置される。センサ15は、例えば、励起光を照射するLD(Laser Diode:LD:レーザーダイオード)やLED(Light-Emitting Diode:LED:発光ダイオード)等を含む。この場合、センサ15から照射された励起光により励起されて発生した蛍光をPD(Photodiode:PD:フォトダイオード)やPMT(Photomultiplier Tube:PMT:光電子増倍管)などの光検出器で受光する。検出装置14は、センサ15の検出結果として受光した蛍光に応じた検出信号を制御装置10に出力する。
 制御装置10は、電気泳動に関する制御全般を行う機能を有する。具体的には、制御装置10は、検出装置14から入力される検出信号に基づいて、電源装置12に対して、電圧を印加する電極の制御、及び印加する電圧又は電流の大きさの制御等を行う。
 図4には、制御装置10のハードウェア構成の一例を表したブロック図が示されている。図4に示すように、制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ40、メモリ42、I/F(InterFace)部43、記憶部44、ディスプレイ46、及び入力装置48を備える。プロセッサ40、メモリ42、I/F部43、記憶部44、ディスプレイ46、及び入力装置48は、システムバスやコントロールバス等のバス49を介して相互に各種情報の授受が可能に接続されている。
 プロセッサ40は、記憶部44に記憶された制御プログラム45を含む各種のプログラムをメモリ42へ読み出し、読み出したプログラムにしたがった処理を実行する。これにより、プロセッサ40は、電気泳動に関する制御を行う。メモリ42は、プロセッサ40が処理を実行するためのワークメモリである。
 プロセッサ40において実行される制御プログラム45は、記憶部44に記憶される。記憶部44の具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等が挙げられる。
 I/F部43は、無線通信または有線通信により、電源装置12及び検出装置14との間で各種情報の通信を行う。ディスプレイ46及び入力装置48はユーザインタフェースとして機能する。ディスプレイ46は、ユーザに対して、サンプルの分析に関する各種の情報を提供する。ディスプレイ46は特に限定されるものではなく、液晶モニター及びLED(Light Emitting Diode)モニター等が挙げられる。また、入力装置48は、投影画像の投影に関する各種の指示を入力するためにユーザによって操作される。入力装置48は特に限定されるものではなく、例えば、キーボード、タッチペン、及びマウス等が挙げられる。なお、制御装置10では、ディスプレイ46と入力装置48とを一体化したタッチパネルディスプレイを採用している。
 図5には、本例示的実施形態の制御装置10の機能に係る構成の一例を表す機能ブロック図が示されている。図5に示すように制御装置10は、抵抗値導出部50、キャピラリー電気泳動印加値導出部52、及び測定制御部54を備える。一例として本例示的実施形態の制御装置10は、プロセッサ40が記憶部44に記憶されている制御プログラム45を実行することにより、プロセッサ40が抵抗値導出部50、キャピラリー電気泳動印加値導出部52、及び測定制御部54として機能する。
 抵抗値導出部50は、サンプルの分離を行う前に、所望の一対の流路端25間の分岐流路24の電気抵抗値(以下、単に「抵抗値」という)を導出する処理を実行する機能を有する。一例として本例示的実施形態の抵抗値導出部50は、キャピラリー電気泳動において電圧を印加する一対の流路端25(第2流路端25、第3流路端25)間の第2分岐流路24、及び第3分岐流路24それぞれの抵抗値を導出する。抵抗値導出部50は、導出した抵抗値をキャピラリー電気泳動印加値導出部52に出力する。
 一例として、本例示的実施形態の抵抗値導出部50は、定電圧負荷方式の場合、一対の流路端25(第2流路端25、第3流路端25)に調査用の印加電圧を印加し、印加電圧の印加により一対の流路端25(第2流路端25、第3流路端25)間に流れる電流の測定電流値と、印加電圧の印加により分岐点26に生じる電圧である測定電圧値を測定値として取得する。そして、抵抗値導出部50は、調査用の印加電圧値、測定電流値、及び分岐点26の測定電圧値に基づいて、第2分岐流路24及び第3分岐流路24それぞれの抵抗値を導出する。一方、抵抗値導出部50は、定電流負荷方式の場合、一対の流路端25(第2流路端25、第3流路端25)に調査用の印加電流を印加し、印加電流の印加により一対の流路端25(第2流路端25、第3流路端25)間に生じる電圧の測定電圧値と、印加電流の印加により分岐点26に生じる電圧である測定電圧値を測定値として取得する。そして、抵抗値導出部50は、調査用の印加電流値、測定電圧値、及び分岐点26の測定電圧値に基づいて、第2分岐流路24及び第3分岐流路24それぞれの抵抗値を導出する。
 なお、調査用の印加電圧(以下、「調査用電圧」という)及び調査用の印加電流(以下、「調査用電流」という)は、実測定に影響を与えない程度の大きさであり、また、その印加時間は実測定に影響を与えない程度の時間である。実測定に影響を与えないとは、調査用電圧及び調査用電流の印加により生じるサンプルの移動が、実測定において無視できる程度に小さく、かつ調査用電圧又は調査用電流の印加により発生するジュール熱が、サンプルに影響を与えない程度に小さいことをいう。
 調査用電圧及び調査用電流の具体例について、図6に示した寸法を有するマイクロ流路チップ20を用いて説明する。図6には、第1分岐流路24~第3分岐流路24の各長さが示されている。なお、各分岐流路24の流路幅は、40μm~80μm(但し、第1分岐流路24におけるハッチング部分の流路幅は~150μm)であり、流路の高さは~30μmである。
 等速電気泳動を実行する場合、第1流路端25と第3流路端25との間に、4000Vの電圧を50秒~100秒程度印加する。また、キャピラリー電気泳動を実行する場合、第2流路端25と第3流路端25との間に、1000V~2000Vの電圧を20秒~50秒程度印加する。なお、これらの具体的な数値は一例であり、装置や測定項目等により変動する。
 図7には、サンプルとして、腫瘍マーカであるα-フェトプロテインを測定した場合の電気泳動波形を示す。
 第2流路端25と第3流路端25との間に、~1000Vの電圧を印加した場合、分岐点26と検出点27との間(距離:25mm)を50秒程度でサンプルが移動する。なお、電界強度E、サンプル移動速度v、及びサンプル電気泳動移動度μは、下記の通りである。
 
 電界強度        E=20V/mm
 サンプル移動速度    v=0.5mm/s
 サンプル電気泳動移動度 μ=0.025mm/(V・s)
 
 図7の電気泳動波形に示すように、ピーク同士の時間差は最小で~1秒であり、0.5秒ほどピークがずれると、実測定に影響を与える。なお、サンプル移動速度を0.5mm/sとすると、0.5秒のピークずれは、距離としては0.25mmほどずれることになる。
 まず、調査用電圧を印加することで発生する単位時間あたりのジュール熱の影響を考える。単位時間あたりのジュール熱は、電圧の二乗に比例する。そのため、調査用電圧をキャピラリー電気泳動において印加する印加電圧の10%以下とすれば、調査用電圧を印加することで発生する単位時間あたりのジュール熱は、キャピラリー電気泳動の際に発生する単位時間あたりのジュール熱の1%以下に抑制することができ、実測定への影響を無視できる程度に小さくすることができる。
 さらに、調査用電圧として100V(キャピラリー電気泳動泳動において印加する印加電圧の10%)で、サンプルが移動する距離を考える。この場合、サンプル移動速度は、0.05mm/sである。調査用電圧を印加する印加時間を5秒以下(キャピラリー電気泳動における印加時間の10%以下)とすれば、サンプルの移動距離は0.25mm以下となり、実測定への影響を無視できる程度に小さくすることができる。
 従って、調査用電圧又は調査用電流の大きさは、キャピラリー電気泳動において印加する印加電圧又は印加電流の10%以下、であることが好ましい。また、調査用電圧又は調査用電流の印加時間は、キャピラリー電気泳動において印加する印加電圧又は印加電流の印加時間の10%以下、であることが好ましい。
 キャピラリー電気泳動印加値導出部52は、抵抗値導出部50が導出した分岐流路24の抵抗値に基づいて、実測定においてキャピラリー電気泳動を実行するために、一対の流路端25(第2流路端25、第3流路端25)間に印加する印加電圧の電圧値又は印加電流の電流値を導出する。キャピラリー電気泳動印加値導出部52は、導出した電圧値又は電流値を測定制御部54に出力する。
 測定制御部54は、キャピラリー電気泳動を実行する際に、キャピラリー電気泳動印加値導出部52が導出した電圧値又は電流値に基づいて、一対の流路端25(第2流路端25、第3流路端25)間に電圧を印加するよう、電源装置12に指示を出力する。
 次に、本例示的実施形態の制御装置10の作用を説明する。図8には、本例示的実施形態の制御装置10のプロセッサ40による制御処理の流れの一例を表したフローチャートが示されている。一例として本例示的実施形態のプロセッサ40では、電気泳動の開始指示を受け付けた場合に、図8に一例を示した制御処理を実行する。
 図8のステップS10で抵抗値導出部50は、詳細を後述する抵抗値導出処理により、上述したように、第2分岐流路24及び第3分岐流路24の抵抗値を導出する。
 次のステップS12でキャピラリー電気泳動印加値導出部52は、詳細を後述するキャピラリー電気泳動印加値導出処理により、上記ステップS10で導出した抵抗値に基づき、一対の流路端25(第2流路端25、第3流路端25)間に印加する印加電圧の電圧値又は印加電流の電流値を導出する。
 次のステップS14で測定制御部54は、実測定を開始するか否かを判定する。実測定を開始するまで、ステップS14の判定が否定判定となる。一方、実測定を開始する場合、ステップS14の判定が肯定判定となり、ステップS16へ移行する。
 ステップS16で測定制御部54は、等速電気泳動制御処理を実行する。等速電気泳動制御処理で測定制御部54は、電源装置12により、予め定められた等速電気泳動用の印加電圧又は印加電流を第1流路端25と第2流路端25との間に印加させる。このように等速電気泳動用の印加電圧又は印加電流を印加することにより、上述したように、サンプルの濃縮を行う。
 次のステップS18で測定制御部54は、詳細を後述するキャピラリー電気泳動制御処理により、上述したように、上記ステップS12で導出した電圧値の印加電圧、又は電流値の印加電流を印加することにより、キャピラリー電気泳動を行い、サンプルの分離を行う。ステップS18が終了すると、図8に示した制御処理が終了する。
 次に、上述した制御処理のステップS10の抵抗値導出処理、ステップS12のキャピラリー電気泳動印加値導出処理、及びステップS18のキャピラリー電気泳動制御処理の詳細について説明する。なお、以下では、図9に示すように、記号及び符号を取り扱う。例えば、X(X=V、I)の設定値(既知)をXで表し、X(X=V、I)の測定値又は制御値(測定により既知となる値)を、X^と表す。
 まず、制御処理のステップS10の抵抗値導出処理について説明する。図10には、本例示的実施形態の抵抗値導出処理の一例のフローチャートが示されている。
 図10のステップS100で抵抗値導出部50は、定電圧負荷方式であるか否かを判定する。本例示的実施形態では、上述したように調査電圧を印加する定電圧負荷方式と、調査電流を印加する定電流負荷方式とがある。いずれを実施するかは、予め定められていてもよいし、ユーザの指示に応じて切り替える形態としてもよい。定電圧負荷方式の場合、ステップS100の判定が肯定判定となり、ステップS102へ移行する。
 ステップS102で抵抗値導出部50は、電源装置12により、分岐流路24(第1分岐流路)の電流値I CH1を0μAに制御する。これにより、第1流路端25の電圧値V^と、分岐点26の電圧値V^node1とが等しくなる。
 次のステップS104で抵抗値導出部50は、第2流路端25と第3流路端25との間に調査用電圧V 2-3(=V -V )を印加する。
 次のステップS106で抵抗値導出部50は、電源装置12により、第2流路端25と、第3流路端25との間の電流の電流値I^2-3(=I^CH2=I^CH3)を測定する。即ち、調査用電圧V 2-3を印加することにより流れる電流の電流値I^2-3を測定する。
 次のステップS108で抵抗値導出部50は、第2分岐流路24及び第3分岐流路24、各々の抵抗値を導出する。第2分岐流路24の抵抗値RCH2は下記(1)式により導出され、第3分岐流路24の抵抗値RCH3は下記(2)式により導出される。なお、下記(1)式及び(2)式において、電流は正電荷の流れる向きを正としており、抵抗値は負とならない。
 ステップS108の処理が終了すると、図10に示した抵抗値導出処理が終了する。
 一方、定電流負荷方式の場合、ステップS100の判定が否定判定となり、ステップS110へ移行する。
 ステップS110で抵抗値導出部50は、上記ステップS102と同様に、電源装置12により、分岐流路24(第1分岐流路)の電流値I CH1を0μAに制御する。これにより、第1流路端25の電圧値V^と、分岐点26の電圧値V^node1とが等しくなる。
 次のステップS112で抵抗値導出部50は、第2流路端25と第3流路端25との間に調査用電流I 2-3(=I CH2=I CH3)を印加する。
 次のステップS114で抵抗値導出部50は、電源装置12により、第2流路端25と、第3流路端25との間に生じる電圧の電圧値V^2-3を測定する。即ち、調査用電流I 2-3を印加することにより生じる電圧の電圧値V^2-3を測定する。
 次のステップS116で抵抗値導出部50は、第2分岐流路24及び第3分岐流路24、各々の抵抗値を導出する。第2分岐流路24の抵抗値RCH2は下記(3)式により導出され、第3分岐流路24の抵抗値RCH3は下記(4)式により導出される。なお、下記(4)式において第3流路端25の電圧値V は設定値(既知の値)を用いている。定電流負荷方式の場合も、いずれかの電位を設定しておかないと電位が一意に定まらない。そのため、下記(4)式に示すように、電圧値V は設定値として既知の値としている。なお、本形態に限定されず、第2流路端25の電圧値V を設定値(既知の値)としてもよい。
 ステップS116の処理が終了すると、図10に示した抵抗値導出処理が終了する。
 このように、図10に示した抵抗値導出処理により、第2分岐流路24及び第3分岐流路24の抵抗値を導出する。
 次に、上述した制御処理のステップS12のキャピラリー電気泳動印加値導出処理について説明する。図11には、本例示的実施形態のキャピラリー電気泳動印加値導出処理の一例のフローチャートが示されている。
 図11のステップS130でキャピラリー電気泳動印加値導出部52は、第2流路端25と第3流路端25との間に印加する制御対象が電圧であるか否かを判定する。制御対象が電圧である場合、換言すると、第2流路端25と第3流路端25との間に印加する印加電圧を制御する場合、ステップS130の判定が肯定判定となり、ステップS132へ移行する。
 ステップS132でキャピラリー電気泳動印加値導出部52は、所望の値に制御する制御対象が電圧(電圧値)であるか否かを判定する。本例示的実施形態では、電圧若しくは電力が制御対象となる。そこで電圧を制御する場合、ステップS132の判定が肯定判定となり、ステップS134へ移行する。
 ステップS134でキャピラリー電気泳動印加値導出部52は、第3分岐流路24の電圧V CH3の設定値(所望の値)から、第2流路端25と第3流路端25との間に印加する印加電圧の電圧値V2-3を下記(5)式により導出する。
 ステップS134の処理が終了すると、図11に示したキャピラリー電気泳動印加値導出処理が終了する。
 一方、ステップS132において、所望の値とする制御対象が電力(電力値)である場合、ステップS132の判定が否定判定となり、ステップS136へ移行する。ステップS136でキャピラリー電気泳動印加値導出部52は、第3分岐流路24の電力P
H3の設定値(所望の値)から、第2流路端25と第3流路端25との間に印加する印加電圧の電圧値V2-3を下記(6)式により導出する。
 ステップS136の処理が終了すると、図11に示したキャピラリー電気泳動印加値導出処理が終了する。
 また、ステップS130において、第2流路端25と第3流路端25との間に印加する制御対象が電圧ではない、換言すると、第2流路端25と第3流路端25との間に印加する印加電流を制御する場合、ステップS130の判定が否定判定となり、ステップS138へ移行する。
 ステップS138でキャピラリー電気泳動印加値導出部52は、上記ステップS132と同様に、所望の値に制御する制御対象が電圧(電圧値)であるか否かを判定する。電圧を制御する場合、ステップS138の判定が肯定判定となり、ステップS140へ移行する。
 ステップS140でキャピラリー電気泳動印加値導出部52は、第3分岐流路24の電圧V CH3の設定値(所望の値)から、第2流路端25と第3流路端25との間に印加する印加電流の電流値I2-3を下記(7)式により導出する。
 ステップS140の処理が終了すると、図11に示したキャピラリー電気泳動印加値導出処理が終了する。
 一方、ステップS138において、所望の値とする制御対象が電力(電力値)である場合、ステップS138の判定が否定判定となり、ステップS142へ移行する。ステップS142でキャピラリー電気泳動印加値導出部52は、第3分岐流路24の電力P CH3の設定値(所望の値)から、第2流路端25と第3流路端25との間に印加する印加電流の電流値I2-3を下記(8)式により導出する。
 ステップS142の処理が終了すると、図11に示したキャピラリー電気泳動印加値導出処理が終了する。
 このように図11に示したキャピラリー電気泳動印加値導出処理により、実測定におけるキャピラリー電気泳動の際に、第2流路端25と第3流路端25との間に印加する印加電圧の電圧値または印加する印加電流の電流値を導出することができる。
 次に、上述した制御処理のステップS18のキャピラリー電気泳動制御処理について説明する。図12には、本例示的実施形態のキャピラリー電気泳動制御処理の一例のフローチャートが示されている。
 図12のステップS160で測定制御部54は印加電圧を制御するのか否かを判定する。印加電圧を制御する場合、ステップS160の判定が肯定判定となり、ステップS162へ移行する。ステップS162で測定制御部54は、上述のキャピラリー電気泳動印加値導出処理(図11参照)により導出した印加電圧の電圧値V2-3を、第2流路端25と第3流路端25との間に印加する。ステップS162の処理が終了すると、図12に示したキャピラリー電気泳動制御処理を終了する。
 一方、印加電圧を制御しない場合、換言すると印加電流を制御する場合、ステップS160の判定が否定判定となり、ステップS164へ移行する。ステップS164で測定制御部54は、上述のキャピラリー電気泳動印加値導出処理(図11参照)により導出した印加電流の電流値I2-3が、第2流路端25と第3流路端25との間に流れるように電流を制御する。ステップS164の処理が終了すると、図12に示したキャピラリー電気泳動制御処理を終了する。
 このように、本例示的実施形態の電気泳動装置1の制御装置10は、キャピラリー電気泳動において印加電圧又は印加電流が印加される第2流路端25と第3流路端25との間の流路である第2分岐流路24及び第3分岐流路24の抵抗値RCH2、RCH3を導出することができる。これにより、制御装置10は、導出した抵抗値RCH2、RCH3に基づいて、一対の流路端25(第2流路端25、第3流路端25)に印加する印加電圧の電圧値V2-3または印加電流の電流値I2-3を導出することができる。
[第2例示的実施形態]
 本例示的実施形態では、上述した抵抗値導出処理(図10参照)の別形態について説明する。なお、制御装置10の構成は、第1例示的実施形態と同様であるため、説明を省略する。
 第1例示的実施形態の抵抗値導出処理では、分岐点26の電位Vnode1をモニターしていたが、本例示的実施形態では、分岐点26の電位Vnode1のモニターは行わない。
 図13には、本例示的実施形態の抵抗値導出処理の一例のフローチャートが示されている。
 図13のステップS200で抵抗値導出部50は、第1例示的実施形態の抵抗値導出処理(図10参照)のステップS100と同様に、定電圧負荷方式であるか否かを判定する。定電圧負荷方式の場合、ステップS200の判定が肯定判定となり、ステップS202へ移行する。
 ステップS202で抵抗値導出部50は、第2流路端25と第3流路端25との間に調査用電圧V 2-3(=V -V )を印加する。なお、第1流路端25は、電源から切り離しておく。
 次のステップS204で抵抗値導出部50は、電源装置12により、第2流路端25と、第3流路端25との間の電流の電流値I^2-3(=I^CH2=I^CH3)を測定する。即ち、調査用電圧V 2-3を印加することにより流れる電流の電流値I^2-3を測定する。
 次のステップS206で抵抗値導出部50は、第3流路端25と第1流路端25との間に調査用電圧V 3-1(=V -V )を印加する。なお、第2流路端25は、電源から切り離しておく。
 次のステップS208で抵抗値導出部50は、電源装置12により、第3流路端25と、第1流路端25との間の電流の電流値I^3-1(=I^CH3=I^CH1)を測定する。即ち、調査用電圧V 3-1を印加することにより流れる電流の電流値I^3-1を測定する。
 次のステップS210で抵抗値導出部50は、第1流路端25と第2流路端25との間に調査用電圧V 1-2(=V -V )を印加する。なお、第3流路端25は、電源から切り離しておく。
 次のステップS212で抵抗値導出部50は、電源装置12により、第1流路端25と、第2流路端25との間の電流の電流値I^1-2(=I^CH1=I^CH2)を測定する。即ち、調査用電圧V 1-2を印加することにより流れる電流の電流値I^1-2を測定する。
 次のステップS214で抵抗値導出部50は、下記(9)の連立方程式を解くことにより、第1分岐流路24の抵抗値RCH1、第2分岐流路24の抵抗値RCH2、及び第3分岐流路24の抵抗値RCH3を導出する。なお、抵抗値RCH1、抵抗値RCH2、及び抵抗値RCH3以外は、全て既知の値であるため、下記(9)の連立方程式を解くことができる。

 なお、第2分岐流路24の抵抗値RCH2、及び第3分岐流路24の抵抗値RCH3のみを導出してもよい。
 ステップS214の処理が終了すると、図13に示した抵抗値導出処理が終了する。
 一方、定電流負荷方式の場合、ステップS200の判定が否定判定となり、ステップS216へ移行する。
 ステップS216で抵抗値導出部50は、第2流路端25と第3流路端25との間に調査用電流I 2-3を印加する。なお、第1流路端25は、電源から切り離しておく。
 次のステップS218で抵抗値導出部50は、電源装置12により、第2流路端25と、第3流路端25との間に生じる電圧の電圧値V^2-3(=V^-V^)を測定する。即ち、調査用電流I 2-3を印加することにより生じる電圧の電圧V^2-3を測定する。
 次のステップS220で抵抗値導出部50は、第3流路端25と第1流路端25との間に調査用電流I 3-1を印加する。なお、第2流路端25は、電源から切り離しておく。
 次のステップS222で抵抗値導出部50は、電源装置12により、第3流路端25と、第1流路端25との間に生じる電圧の電圧値V^3-1(=V^-V^)を測定する。即ち、調査用電流I 3-1を印加することにより生じる電圧の電圧V^3-1を測定する。
 次のステップS224で抵抗値導出部50は、第1流路端25と第2流路端25との間に調査用電流I 1-2を印加する。なお、第3流路端25は、電源から切り離しておく。
 次のステップS226で抵抗値導出部50は、電源装置12により、第1流路端25と、第2流路端25との間に生じる電圧の電圧値V^1-2(=V^-V^)を測定する。即ち、調査用電流I 1-2を印加することにより生じる電圧の電圧V^1-2を測定する。
 次のステップS228で抵抗値導出部50は、下記(10)の連立方程式を解くことにより、第1分岐流路24の抵抗値RCH1、第2分岐流路24の抵抗値RCH2、及び第3分岐流路24の抵抗値RCH3を導出する。なお、抵抗値RCH1、抵抗値RCH2、及び抵抗値RCH3以外は、全て既知の値であるため、下記(10)の連立方程式を解くことができる。

 なお、第2分岐流路24の抵抗値RCH2、及び第3分岐流路24の抵抗値RCH3のみを導出してもよい。
 ステップS228の処理が終了すると、図13に示した抵抗値導出処理が終了する。
 このように、本例示的実施形態の制御装置10においても、第2分岐流路24の抵抗値RCH2、及び第3分岐流路24の抵抗値RCH3を導出することができるため、一対の流路端25(第2流路端25、第3流路端25)に印加する印加電圧の電圧値V2-3または印加電流の電流値I2-3を導出することができる。
 以上説明したように、上記各形態の電気泳動装置1の制御装置10は、サンプルを分離する前に、一対の流路端25(第2流路端25、第3流路端25)の第2分岐流路24及び第3分岐流路24の電気抵抗値を導出する抵抗値導出処理を実行し、第2分岐流路24の抵抗値RCH2、及び第3分岐流路24の抵抗値RCH3を導出する。また、制御装置10は、導出した、抵抗値RCH2及び抵抗値RCH3に基づいて一対の流路端25(第2流路端25、第3流路端25)に印加する印加電圧の電圧値V2-3または印加電流の電流値I2-3を導出することができる。制御装置10は、導出した電圧値V2-3または印加電流の電流値I2-3が第2流路端25と第3流路端25との間に印加されるように電源装置12を制御する。
 従って、上記各形態の制御装置10によれば、試薬状態やマイクロ流路間のばらつきに起因して分岐流路24の電気抵抗値が変化した場合であっても、電気泳動条件が変化するのを抑制することができる。
 なお、マイクロ流路チップ20は、第1及び第2例示的実施形態に示したマイクロ流路チップ20に限定されない。マイクロ流路チップ20は、3つ以上の複数の流路端と、1つ以上の分岐点と、分岐点により分岐され、各流路端に接続された複数の分岐流路と、を含み、複数の流路端の中から選択された一対の流路端に電圧または電流が印加されることにより電気泳動によってサンプルが移動する流路が形成されたマイクロ流路チップであればよい。例えば、図1に示したマイクロ流路チップ20の形態であってもよい。
 本開示によれば、図1及び図3に示したマイクロ流路チップ20の形状に限定されず、流路の形状が鎖状であれば、他の形状のマイクロ流路チップ20においても、分岐流路の抵抗値を導出することができる。例えば、図14及び図15に示すマイクロ流路チップ20においても、分岐流路の抵抗値を導出することができる。
 例えば、図14に示すマイクロ流路チップ20(図1のマイクロ流路チップ20と同様)では、分岐流路28~2817の抵抗値R~R17を導出することができる。第1例示的実施形態の場合、流路端22と流路端22との間に調査用電圧又は調査用電流を印加し、他の流路端22、23の電位をモニターすることにより、分岐流路28~分岐流路28の抵抗値R~Rを導出することができる。また、流路端22と流路端23との間に調査用電圧又は調査用電流を印加し、他の流路端22、23の電位をモニターすることにより、分岐流路2810及び分岐流路2814の抵抗値R10、R14を導出することができる。また、流路端22と流路端23との間に調査用電圧又は調査用電流を印加し、他の流路端22、23の電位をモニターすることにより、分岐流路2811及び分岐流路2815の抵抗値R11、R15を導出することができる。また、流路端22と流路端23との間に調査用電圧又は調査用電流を印加し、他の流路端22、23の電位をモニターすることにより、分岐流路2812及び分岐流路2816の抵抗値R12、R16を導出することができる。また、流路端22と流路端23との間に調査用電圧又は調査用電流を印加し、他の流路端22、23の電位をモニターすることにより、分岐流路2813及び分岐流路2817の抵抗値R13、R17を導出することができる。
 一方、第2例示的実施形態の場合、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端23との間、流路端22と流路端23との間、流路端22と流路端23との間、流路端22と流路端23との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端23との間、流路端22と流路端23との間、流路端22と流路端23との間、及び流路端22と流路端23との間に調査電圧又は調査電流を印加して得られる測定値から17個の連立方程式が得られる。この17個の連立方程式を解くことにより、分岐流路28~2817の抵抗値R~R17を導出することができる。
 また、例えば、図15に示すマイクロ流路チップ20では、分岐流路28~2813の抵抗値R~R13を導出することができる。第1例示的実施形態の場合、流路端22と流路端2210との間に調査用電圧又は調査用電流を印加し、他の流路端22の電位をモニターすることにより、分岐流路28、分岐流路28、分岐流路28、分岐流路2810、分岐流路2813の抵抗値R、R、R、R10、R13を導出することができる。また、流路端22と流路端22との間に調査用電圧又は調査用電流を印加し、他の流路端22の電位をモニターすることにより、分岐流路28及び分岐流路28の抵抗値R、Rを導出することができる。また、流路端22と流路端22との間に調査用電圧又は調査用電流を印加し、他の流路端22の電位をモニターすることにより、分岐流路28及び分岐流路28の抵抗値R、Rを導出することができる。また、流路端22と流路端22との間に調査用電圧又は調査用電流を印加し、他の流路端22の電位をモニターすることにより、分岐流路28及び分岐流路28の抵抗値R、Rを導出することができる。また、流路端22と流路端22との間に調査用電圧又は調査用電流を印加し、他の流路端22の電位をモニターすることにより、分岐流路2811及び分岐流路2812の抵抗値R11、R12を導出することができる。
 一方、第2例示的実施形態の場合、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端2210との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、流路端22と流路端22との間、及び流路端22と流路端22との間に調査電圧又は調査電流を印加して得られる測定値から13個の連立方程式が得られる。この13個の連立方程式を解くことにより、分岐流路28~2813の抵抗値R~R13を導出することができる。
 このように、図14及び図15に示したマイクロ流路チップ20においても、分岐流路28の抵抗値が導出できるため、オームの法則から、上記(5)式及び(6)式と同様の式を用いて、一対の流路端22間に印加する印加電圧を導出することができる。また、オームの法則から得られた、上記(7)式及び(8)式と同様の式を用いて、一対の流路端22間に印加する印加電流を導出することができる。これにより、図14及び図15に示したマイクロ流路チップ20においても、一対の流路端22間の分岐流路28にかかる電圧や電力を制御することができる。
 なお、上記形態では、等速電気泳動用の印加電圧又は印加電流が予め定められている(既定値である)形態について説明したが、上述したキャピラリー電気泳動用の印加電圧又は印加電流と同様に、流路の電気抵抗値に基づいて導出する形態としてもよい。例えば、図3に示したマイクロ流路チップ20の場合、第1分岐流路24の抵抗値を導出し、第1分岐流路24の抵抗値に基づいて、第1流路端25と第3流路端25との間に印加する印加電圧又は印加電流を導出する形態としてもよい。このように、試薬状態やマイクロ流路間のばらつきに起因して第1分岐流路24の抵抗値が変化した場合であっても、第1流路端25と第3流路端25との間に印加する印加電圧又は印加電流を、第1分岐流路24の抵抗値に応じた値とすることができる。従って、等速電気泳動の電気泳動条件が変化するのを抑制することができる。
 また、検出装置14は、光学的に免疫複合体を検出するセンサ15を備える形態に限定されず、サンプル等に応じた形態とすればよい。例えば、蛍光色素の代わりに磁性粒子をサンプルに付与する場合、センサ15は、磁気的に免疫複合体を検出するセンサであってもよい。
 また、上記各形態において、例えば、抵抗値導出部50、キャピラリー電気泳動印加値導出部52、及び測定制御部54といった各種の処理の各々を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
 1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
 複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
 更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
 また、上記各例示的実施形態では、制御プログラム45が記憶部44に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。制御プログラム45は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、制御プログラム45は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。つまり、本例示的実施形態で説明したプログラム(プログラム製品)は、記録媒体で提供するほか、外部のコンピュータから配信する形態であっても良い。
 以上の上記例示的実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
 3つ以上の複数の流路端と、1つ以上の分岐点と、前記分岐点により分岐され、各流路端に接続された複数の分岐流路と、を含み、前記複数の流路端の中から選択された一対の流路端に電圧または電流が印加されることにより電気泳動によってサンプルが移動する流路が形成されたマイクロ流路チップを用いて、前記サンプルを分離する電気泳動装置であって、
 少なくとも1つのプロセッサを備え、
 前記プロセッサは、
 前記サンプルを分離する前に、前記一対の流路端間の分岐流路の電気抵抗値を導出する第1抵抗値導出処理又は第2抵抗値導出処理を実行し、
 前記第1抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電圧を印加することにより得られた測定値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
 前記第2抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電流を印加することにより得られた測定値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
 前記第1抵抗値導出処理又は前記第2抵抗値導出処理によって導出した電気抵抗値に基づいて、前記一対の流路端に印加する電圧または電流を制御する
 電気泳動装置。
(付記2)
 前記第1抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電圧を印加し、前記印加電圧の印加により前記一対の流路端間に流れる電流の測定電流値と、前記印加電圧の印加により前記一対の流路端間の分岐点に生じる電圧である第1測定電圧値を前記測定値として取得し、
 前記調査用の印加電圧値、前記測定電流値、前記第1測定電圧値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
 前記第2抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電流を印加し、前記印加電流の印加により前記一対の流路端間に生じる電圧の第2測定電圧値と、前記印加電流の印加により前記一対の流路端間の分岐点に生じる電圧である第3測定電圧値を前記測定値として取得し、
 前記調査用の印加電流値、前記第2測定電圧値、及び前記第3測定電圧値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理である
 付記1に記載の電気泳動装置。
(付記3)
 前記第1抵抗値導出処理は、前記流路端の中から選択される複数の一対の流路端に順次、前記調査用の印加電圧を印加し、
 前記印加電圧の印加により複数の前記一対の流路端の各々に流れる電流の測定電流値を前記測定値として取得し、
 前記調査用の印加電圧値、前記一対の流路端の各々の前記測定電流値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
 前記第2抵抗値導出処理は、前記流路端の中から選択される複数の一対の流路端に順次、前記調査用の印加電流を印加し、
 前記印加電流の印加により複数の前記一対の流路端の各々に生じる電圧の測定電圧値を前記測定値として取得し、
 前記調査用の印加電流値、前記一対の流路端の各々の前記測定電圧値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理である
 付記1に記載の電気泳動装置。
(付記4)
 前記サンプルを分離する際に前記一対の流路端に印加される印加電圧又は印加電流には、前記電気泳動として等速電気泳動により前記サンプルを移動させる場合の等速電気泳動用の印加電圧又は印加電流と、前記電気泳動としてキャピラリー電気泳動により前記サンプルを移動させる場合のキャピラリー電気泳動用の印加電圧又は印加電流とがあり、
 前記調査用の印加電圧値または前記調査用の印加電流値は、前記キャピラリー電気泳動用の印加電圧値または印加電流値の10%以下である、
 付記1から付記3のいずれか1つに記載の電気泳動装置。
(付記5)
 前記サンプルを分離する際に前記一対の流路端に印加電圧又は印加電流を印加する印加時間には、前記電気泳動として等速電気泳動により前記サンプルを移動させる場合の等速電気泳動用の印加時間と、前記電気泳動としてキャピラリー電気泳動により前記サンプルを移動させる場合のキャピラリー電気泳動用の印加時間とがあり、
 前記調査用の印加電圧又は前記調査用の印加電流を印加する印加時間は、前記キャピラリー電気泳動用の印加時間の10%以下である、
 付記1から付記4のいずれか1つに記載の電気泳動装置。
(付記6)
 3つ以上の複数の流路端と、1つ以上の分岐点と、前記分岐点により分岐され、各流路端に接続された複数の分岐流路と、を含み、前記複数の流路端の中から選択された一対の流路端に電圧または電流が印加されることにより電気泳動によってサンプルが移動する流路が形成されたマイクロ流路チップを用いて、前記サンプルを分離する電気泳動装置の制御方法であって、
 前記電気泳動装置はプロセッサを備えており、
 前記プロセッサは、
 前記サンプルを分離する前に、前記一対の流路端間の分岐流路の電気抵抗値を導出する第1抵抗値導出処理又は第2抵抗値導出処理を実行し、
 前記第1抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電圧を印加することにより得られた測定値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
 前記第2抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電流を印加することにより得られた測定値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
 前記第1抵抗値導出処理又は前記第2抵抗値導出処理によって導出した電気抵抗値に基づいて、前記一対の流路端に印加する電圧または電流を制御する
 電気泳動装置の制御方法。
(付記7)
 3つ以上の複数の流路端と、1つ以上の分岐点と、前記分岐点により分岐され、各流路端に接続された複数の分岐流路と、を含み、前記複数の流路端の中から選択された一対の流路端に電圧または電流が印加されることにより電気泳動によってサンプルが移動する流路が形成されたマイクロ流路チップを用いて、前記サンプルを分離する電気泳動装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、
 前記サンプルを分離する前に、前記一対の流路端間の分岐流路の電気抵抗値を導出する第1抵抗値導出処理又は第2抵抗値導出処理を実行し、
 前記第1抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電圧を印加することにより得られた測定値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
 前記第2抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電流を印加することにより得られた測定値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
 前記第1抵抗値導出処理又は前記第2抵抗値導出処理によって導出した電気抵抗値に基づいて、前記一対の流路端に印加する電圧または電流を制御する
 電気泳動装置の制御プログラム。
 2022年9月30日付け日本出願:特願2022-159107の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
 本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (7)

  1.  3つ以上の複数の流路端と、1つ以上の分岐点と、前記分岐点により分岐され、各流路端に接続された複数の分岐流路と、を含み、前記複数の流路端の中から選択された一対の流路端に電圧または電流が印加されることにより電気泳動によってサンプルが移動する流路が形成されたマイクロ流路チップを用いて、前記サンプルを分離する電気泳動装置であって、
     少なくとも1つのプロセッサを備え、
     前記プロセッサは、
     前記サンプルを分離する前に、前記一対の流路端間の分岐流路の電気抵抗値を導出する第1抵抗値導出処理又は第2抵抗値導出処理を実行し、
     前記第1抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電圧を印加することにより得られた測定値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
     前記第2抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電流を印加することにより得られた測定値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
     前記第1抵抗値導出処理又は前記第2抵抗値導出処理によって導出した電気抵抗値に基づいて、前記一対の流路端に印加する電圧または電流を制御する
     電気泳動装置。
  2.  前記第1抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電圧を印加し、前記印加電圧の印加により前記一対の流路端間に流れる電流の測定電流値と、前記印加電圧の印加により前記一対の流路端間の分岐点に生じる電圧である第1測定電圧値を前記測定値として取得し、
     前記調査用の印加電圧値、前記測定電流値、前記第1測定電圧値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
     前記第2抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電流を印加し、前記印加電流の印加により前記一対の流路端間に生じる電圧の第2測定電圧値と、前記印加電流の印加により前記一対の流路端間の分岐点に生じる電圧である第3測定電圧値を前記測定値として取得し、
     前記調査用の印加電流値、前記第2測定電圧値、及び前記第3測定電圧値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理である
     請求項1に記載の電気泳動装置。
  3.  前記第1抵抗値導出処理は、前記流路端の中から選択される複数の一対の流路端に順次、前記調査用の印加電圧を印加し、
     前記印加電圧の印加により複数の前記一対の流路端の各々に流れる電流の測定電流値を前記測定値として取得し、
     前記調査用の印加電圧値、前記一対の流路端の各々の前記測定電流値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
     前記第2抵抗値導出処理は、前記流路端の中から選択される複数の一対の流路端に順次、前記調査用の印加電流を印加し、
     前記印加電流の印加により複数の前記一対の流路端の各々に生じる電圧の測定電圧値を前記測定値として取得し、
     前記調査用の印加電流値、前記一対の流路端の各々の前記測定電圧値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理である
     請求項1に記載の電気泳動装置。
  4.  前記サンプルを分離する際に前記一対の流路端に印加される印加電圧又は印加電流には、前記電気泳動として等速電気泳動により前記サンプルを移動させる場合の等速電気泳動用の印加電圧又は印加電流と、前記電気泳動としてキャピラリー電気泳動により前記サンプルを移動させる場合のキャピラリー電気泳動用の印加電圧又は印加電流とがあり、
     前記調査用の印加電圧値または前記調査用の印加電流値は、前記キャピラリー電気泳動用の印加電圧値または印加電流値の10%以下である、
     請求項1に記載の電気泳動装置。
  5.  前記サンプルを分離する際に前記一対の流路端に印加電圧又は印加電流を印加する印加時間には、前記電気泳動として等速電気泳動により前記サンプルを移動させる場合の等速電気泳動用の印加時間と、前記電気泳動としてキャピラリー電気泳動により前記サンプルを移動させる場合のキャピラリー電気泳動用の印加時間とがあり、
     前記調査用の印加電圧又は前記調査用の印加電流を印加する印加時間は、前記キャピラリー電気泳動用の印加時間の10%以下である、
     請求項1に記載の電気泳動装置。
  6.  3つ以上の複数の流路端と、1つ以上の分岐点と、前記分岐点により分岐され、各流路端に接続された複数の分岐流路と、を含み、前記複数の流路端の中から選択された一対の流路端に電圧または電流が印加されることにより電気泳動によってサンプルが移動する流路が形成されたマイクロ流路チップを用いて、前記サンプルを分離する電気泳動装置の制御方法であって、
     前記電気泳動装置はプロセッサを備えており、
     前記プロセッサは、
     前記サンプルを分離する前に、前記一対の流路端間の分岐流路の電気抵抗値を導出する第1抵抗値導出処理又は第2抵抗値導出処理を実行し、
     前記第1抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電圧を印加することにより得られた測定値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
     前記第2抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電流を印加することにより得られた測定値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
     前記第1抵抗値導出処理又は前記第2抵抗値導出処理によって導出した電気抵抗値に基づいて、前記一対の流路端に印加する電圧または電流を制御する
     電気泳動装置の制御方法。
  7.  3つ以上の複数の流路端と、1つ以上の分岐点と、前記分岐点により分岐され、各流路端に接続された複数の分岐流路と、を含み、前記複数の流路端の中から選択された一対の流路端に電圧または電流が印加されることにより電気泳動によってサンプルが移動する流路が形成されたマイクロ流路チップを用いて、前記サンプルを分離する電気泳動装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、
     前記サンプルを分離する前に、前記一対の流路端間の分岐流路の電気抵抗値を導出する第1抵抗値導出処理又は第2抵抗値導出処理を実行し、
     前記第1抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電圧を印加することにより得られた測定値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
     前記第2抵抗値導出処理は、前記一対の流路端に調査用の印加電流を印加することにより得られた測定値に基づいて、前記電気抵抗値を導出する処理であり、
     前記第1抵抗値導出処理又は前記第2抵抗値導出処理によって導出した電気抵抗値に基づいて、前記一対の流路端に印加する電圧または電流を制御する
     電気泳動装置の制御プログラム。
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