WO2024009823A1 - 波長変換部材及び波長変換部材の製造方法 - Google Patents

波長変換部材及び波長変換部材の製造方法 Download PDF

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Abstract

波長変換効率の低下を抑制できる波長変換部材及び波長変換部材の製造方法が提供される。第1主面と、第1主面の反対に位置する第2主面と、第1主面に接続する端面と、を含む第1バリア層と、第3主面と第3主面の反対に位置する第4主面とを含み、第3主面と第1バリア層の第2主面とが向かいあって第1バリア層上に配置された、量子ドットを含む波長変換層と、第5主面と第5主面の反対に位置する第6主面とを含み、第5主面と波長変換層の第4主面とが向かいあって波長変換層上に配置された第2バリア層と、を含む積層体を備え、波長変換層は、第3主面に交差するとともに端面を通る一の断面において、端面より内側に位置し、かつ第3主面および第4主面を接続する第1側面を有し、第1側面は、被覆膜に被覆される。

Description

波長変換部材及び波長変換部材の製造方法
 本開示は、波長変換部材及び波長変換部材の製造方法に関する。
 液晶表示装置等の画像表示装置の分野では、色再現性を向上させるため、量子ドットを含む波長変換部材を利用することが提案されている。このような装置では、量子ドットが水分、酸素等にさらされると、波長変換部材の波長変換効率が低下することがある。そのため、例えば、国際公開第2016/039079号では、量子ドットを含む機能層及び2つのガスバリアフィルムを有する機能層積層体と、その端面を覆う端面保護層と、を有する機能性積層フィルムが提案されている。
 しかしながら、波長変換部材の波長変換効率の低下を抑制することに関しては未だ改善の余地がある。
 そこで、本開示は、波長変換効率の低下を抑制できる波長変換部材及び波長変換部材の製造方法を提供することを目的とする。
 本開示の一実施形態に係る波長変換部材は、第1主面と、前記第1主面の反対に位置する第2主面と、前記第1主面に接続する端面と、を含む第1バリア層と、第3主面と前記第3主面の反対に位置する第4主面とを含み、前記第3主面と前記第1バリア層の前記第2主面とが向かいあって前記第1バリア層上に配置された、量子ドットを含む波長変換層と、第5主面と前記第5主面の反対に位置する第6主面とを含み、前記第5主面と前記波長変換層の前記第4主面とが向かいあって前記波長変換層上に配置された第2バリア層と、を含む積層体を備え、前記波長変換層は、前記第3主面に交差するとともに前記端面を通る一の断面において、前記端面より内側に位置し、かつ前記第3主面および前記第4主面を接続する第1側面を有し、前記第1側面は、被覆膜に被覆される。
 また、本開示の一実施形態に係る波長変換部材の製造方法は、第1主面と、前記第1主面の反対に位置する第2主面と、を含む第1バリアシートと、第3主面と前記第3主面の反対に位置する第4主面とを含み、前記第3主面と前記第1バリアシートの前記第2主面とが向かいあって前記第1バリアシート上に配置された、量子ドットを含む波長変換シートと、第5主面と前記第5主面の反対に位置する第6主面とを含み、前記第5主面と前記波長変換シートの前記第4主面とが向かいあって前記波長変換シート上に配置された第2バリアシートと、を含む積層体シートを準備することと、前記第2バリアシートと、前記波長変換シートと、前記第1バリアシートの一部と、にわたる孔であって、前記第5主面及び前記第6主面を接続する第3側面と、前記第3主面及び前記第4主面を接続する第1側面と、前記第2主面に接続する第2側面と、を含む内面を有する前記孔を形成することと、
 前記孔の前記内面を被覆膜で被覆することと、前記第6主面から前記第1主面に向かって前記積層体シートを切断し、前記第1主面に接続する端面を露出させ、前記孔を含む予備波長変換部材を形成することと、を含み、前記予備波長変換部材は、前記第3主面に交差するとともに前記端面を通る一の断面において、前記孔が前記端面よりも内側に位置する。
 また、本開示の他の実施形態に係る波長変換部材の製造方法は、第1主面と、前記第1主面の反対に位置する第2主面と、を含む第1バリアシートと、第3主面と前記第3主面の反対に位置する第4主面とを含み、前記第3主面と前記第1バリアシートの前記第2主面とが向かいあって前記第1バリアシート上に配置された、量子ドットを含む波長変換シートと、第5主面と前記第5主面の反対に位置する第6主面とを含み、前記第5主面と前記波長変換シートの前記第4主面とが向かいあって前記波長変換シート上に配置された第2バリアシートと、を含む積層体シートを準備することと、前記第2バリアシートと、前記波長変換シートと、前記第1バリアシートの一部と、にわたる孔であって、前記第5主面及び前記第6主面を接続する第3側面と、前記第3主面及び前記第4主面を接続する第1側面と、前記第2主面に接続する第2側面と、前記第1バリアシートからなる底面と、を含む内面を有する前記孔を形成することと、前記内面を被覆膜で被覆することと、前記底面から前記第1主面に向って前記積層体シートを切断し、前記第1主面に接続する端面を露出させ、前記第3側面、前記第1側面、及び前記第2側面を含む予備波長変換部材を形成することと、を含み、前記予備波長変換部材は、前記第3主面に交差するとともに前記端面を通る一の断面において、前記第3側面、前記第1側面、及び前記第2側面が、前記端面よりも内側に位置する。
 本開示の一実施形態に係る波長変換部材及び波長変換部材の製造方法によれば、波長変換効率の低下を抑制できる波長変換部材及び波長変換部材の製造方法を提供することができる。
本開示の実施形態1に係る波長変換部材の概略上面図である。 図1Aに示す波長変換部材の1B-1B線断面の一部を示す概略断面図である。 実施形態1に係る波長変換部材の他の形態の一部を示す概略断面図である。 実施形態1に係る波長変換部材の他の形態の一部を示す概略断面図である。 実施形態1に係る波長変換部材の他の形態を示す概略上面図である。 実施形態1に係る波長変換部材の他の形態を示す概略上面図である。 実施形態1に係る波長変換部材の他の形態の一部を示す概略断面図である。 本開示の実施形態2に係る波長変換部材の概略断面図である。 本開示の実施形態3に係る波長変換部材の概略断面図である。 本開示の実施形態4に係る波長変換部材の概略断面図である。 本開示の実施形態1に係る波長変換部材の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態1に係る波長変換部材の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態1に係る波長変換部材の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態1に係る波長変換部材の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態1に係る波長変換部材の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態1に係る波長変換部材の製造方法の他の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態1に係る波長変換部材の製造方法の他の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態1に係る波長変換部材の製造方法の他の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態1に係る波長変換部材の製造方法の他の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態2に係る波長変換部材の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態2に係る波長変換部材の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態2に係る波長変換部材の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態2に係る波長変換部材の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態3に係る波長変換部材の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態3に係る波長変換部材の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態4に係る波長変換部材の製造方法の一工程を示す概略断面図である。 本開示の実施形態4に係る波長変換部材の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
 以下、図面を参照しながら、本開示に係る発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する、本開示に係る波長変換部材及び波長変換部材の製造方法は、本開示に係る発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本開示に係る発明を以下のものに限定しない。各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態に分けて示す場合があるが、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。後述の実施形態では、前述と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については、実施形態ごとには逐次言及しないものとする。各図面が示す部材の大きさ、位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。また、断面図として、切断面のみを示す端面図を示す場合がある。
 本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。また組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。さらに本明細書に記載される数値範囲の上限及び下限は、数値範囲として例示された数値をそれぞれ任意に選択して組み合わせることが可能である。本明細書において、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。蛍光体の半値幅は、発光材料の発光スペクトルにおいて、最大発光強度に対して発光強度が50%となる発光スペクトルの波長幅(半値全幅;FWHM)を意味する。本明細書において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。また「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、2以上の層が結合されていてもよく、2以上の層が分離可能であってもよい。また、「積層」との語は、2以上の層が接していてもよく、2以上の層が接しておらず他の部材を介して配置していてもよい。以下、本開示の実施形態を詳細に説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本開示の技術思想を具体化するための、波長変換部材及びその製造方法を例示するものであって、本開示は、以下に示す波長変換部材及びその製造方法に限定されない。
1.実施形態1
 図1Aに示すように、実施形態1に係る波長変換部材100は、例えば、上面視形状が略矩形形状である。波長変換部材100は、例えば、薄い板状である。図1Bに示すように、波長変換部材100は、第1バリア層10と、波長変換層20と、第2バリア層30と、を含む積層体1を含む。波長変換層20は、第1バリア層10上に配置される。第2バリア層30は、波長変換層20上に配置される。本明細書において、ある層が別の層「上」に配置されるとは、層と層とが接して配置されることに限定されず、層と層との間に別の部材を介して配置されることを含む。
 第1バリア層10は、第1主面11と、第1主面11に接続する端面(以下、第1端面13とも称する)と、を含む。波長変換層20は、量子ドットを含む。波長変換層20は、第3主面21と第3主面21の反対に位置する第4主面22とを含む。波長変換層20は、第3主面21に交差するとともに第1端面13を通る一の断面M1において、第1端面13より内側に位置し、かつ第3主面21および第4主面22を接続する第1側面24を有する。第1側面24は、被覆膜3に被覆される。ここで、第3主面21に交差するとともに第1端面13を通る一の断面M1は、以下において、単に「断面M1」とも称する。また、断面M1は、本明細書を通して、同一の1つの断面に限定されず、第3主面21に交差するとともに第1端面13及び第1側面24を通る断面であれば、いずれの断面であってもよい。
 図1Bに示すように、実施形態1において、第1バリア層10と、波長変換層20と、第2バリア層30とは、この順で厚み方向Zに積層されている。実施形態1における積層体1には、第2バリア層30と、波長変換層20と、第1バリア層10の一部にわたって孔2が設けられる。孔2は、内面2aにより規定される。内面2aは、例えば、内側の側面2cと、外側の側面2dと、底面2bと、を含む。内側の側面2cは、後述する、第2バリア層30の第3側面34と、波長変換層20の第1側面24と、第1バリア層10の第2側面14と、を含む。図1Aに示すように、孔2は、上面視において、積層体1の外周に沿って設けられる。
 本明細書において、波長変換部材100及び積層体1において、第1バリア層10側を「下方」、「下面側」等と称し、厚み方向Zにおいて、第1バリア層10と反対側を「上方」、「上面側」等と称することがある。また、厚み方向Zに交差する方向を「側方」と称することがある。
 波長変換部材100は、例えば、液晶表示装置のバックライトユニット等に利用される。この場合、波長変換部材100は、例えば、複数の発光素子上に配置され、複数の発光素子を一括して覆う。複数の発光素子から出射された光は、波長変換部材100の下面(例えば、第1バリア層10側)から波長変換部材100に入射する。該入射光のうち一部は波長変換され、波長変換されない入射光とともに波長変換部材100の上面(例えば、第2バリア層30側)から出射される。
 以下に、波長変換部材100の構成について詳細に説明する。
(第1バリア層)
 第1バリア層10は、例えば、水分、酸素等に対するバリア機能を有する層である。第1バリア層10は、例えば、無機層を有するバリアフィルム等である。第1バリア層10は、例えばフィルム状の樹脂硬化物である基材フィルムと基材フィルムの少なくとも一方の主面上に設けられる無機層とを有している。第1バリア層10がバリア機能を有することで、第1バリア層10側から入り込んでくる水分、酸素等が波長変換層20に達することを抑制でき、波長変換層20に含まれる量子ドットの発光効率の低下を抑えることができる。
 図1Bに示すように、第1バリア層10は、第1主面11と、第1主面11の反対に位置する第2主面12と、を含む。第1主面11と第2主面12とは、厚み方向Zにおいて反対に位置する。第1主面11と第2主面12とは、例えば、厚み方向Zに直交する略平面である。本明細書において、層の面が略平面であるとは、層の面が積層等の製造の過程で生じる凹凸を含む平面であることを意味する。該凹凸は、例えば、20μm以下、又は2μm以下の高低差を含む。
 第1バリア層10の平均厚みは、例えば、積層体1の平均厚みの5%以上60%以下であってよく、好ましくは20%以上45%以下であってよい。第1バリア層10の平均厚みは、例えば20μm以上150μm以下であってよく、好ましくは20μm以上120μm以下、又は25μm以上100μm以下であってよい。第1バリア層10の平均厚みは、第1主面11と第2主面12との間の平均距離とも言える。第1バリア層10がフィルム状である場合、平均厚みは、例えば、反射分光膜厚計等を用いて測定した任意の3箇所の厚みの算術平均値として求められる。
 第1バリア層10は、第1端面13と、第2側面14と、を含む。第1端面13は、第1主面11に接続する。実施形態1において、第1端面13は、第1主面11と第2主面12とを接続する。第1端面13は、例えば、厚み方向Zに延在する平面である。第2側面14は、第2主面12に接続する。第2側面14は、断面M1において第1端面13よりも内側に位置する。第2側面14は、厚み方向Zに延在する平面であってよい。
 第2側面14は、積層体1の外周に沿って配置されている。第2側面14は、例えば、積層体1の外周に沿って、環状に配置されている。断面M1において、第2側面14と第1端面13との間の距離は、例えば、100μm以上1000μm以下であってよく、好ましくは100μm以上500μm以下であってよい。第2側面14が第1端面13に対して傾斜している場合は、第2側面14と第1端面13との間の距離は、例えば、第2側面14の上端と第1端面13を含む平面との距離であってよい。第1側面24と第1端面13との間の距離が100μm以上であることで、後述する外力により被覆膜3が損傷することを抑制することができる。また、第1側面24と第1端面13との間の距離が1000μm以下であることで、例えば、波長変換機能を担わない部分の範囲を小さくすることができる。これにより、例えば、液晶表示装置においてベゼル幅を狭額縁化しやすくなる。
 実施形態1において、第2側面14は、孔2を規定する内面2aに含まれる。図1Bに示すように、内面2aは、例えば、内側の側面2cと、外側の側面2dと、底面2bと、を含む。内側の側面2cと外側の側面2dとは、互いに向かい合っている。ここで、本明細書において、面と面とが向かい合うとは、面と面とが、間に他の部材を配置せずに互いに向かい合う状態と、間に他の部材を配置して互いに向かい合う状態と、の双方を含む。断面M1において、内側の側面2cと外側の側面2dとの間の距離は、例えば25μm以上1000μm以下であってよく、好ましくは50μm以上400μm以下であってよい。内側の側面2cと外側の側面2dとは、底面2bで接続している。底面2bは、第1バリア層10からなる。内面2aは、後述する被覆膜3で被覆される。
 第2側面14は、内面2aの内側の側面2cに含まれる。第2側面14は、例えば、底面2bと接続している。
 第2側面14は、被覆膜3で被覆されている。被覆膜3は、例えば、第2側面14から波長変換層20の内側に水分が入り込むことを抑制する膜である。被覆膜3はさらに、積層体1の内側に酸素が入り込むことを抑制する膜であってもよい。被覆膜3は、複数の層で構成されていてもよい。被覆膜3の平均厚みは、例えば0.05μm以上50μm以下であってよく、好ましくは0.2μm以上10μm以下であってよい。被覆膜3はさらに、底面2bを被覆していてもよい。
 図1Cに示すように、第1バリア層10は、主バリア層15と、中間層16と、を含んでいてもよい。中間層16は、主バリア層15と波長変換層20との間に配置される。主バリア層15は、例えば、第1主面11を含む。中間層16は、例えば、第2主面12を含む。中間層16は、例えば、副バリア層とも言える。
 主バリア層15は、例えば、実質、第1バリア層10のバリア機能を担う。中間層16は、波長変換層20と主バリア層15の双方に対して密着性の良い部材が選択されてよい。これにより、中間層16と波長変換層20との境界、中間層16と主バリア層15との境界等から水分等が入り込むことを抑制することができる。
 中間層16の平均厚みは、例えば、第1バリア層10の平均厚みの1%以上50%以下であってよく、好ましくは、10%以上30%以下であってよい。中間層16の平均厚みは、例えば1μm以上50μm以下であってよく、好ましくは1μm以上、又は10μm以上であってよく、また好ましくは5μm以下、又は3μm以下であってよい。
 図1Cに示すように、第1バリア層10が、主バリア層15と中間層16とを含む場合、第2側面14及び孔2の底面2bは、中間層16に含まれてよい。すなわち、孔2が設けられる第1バリア層10の一部は、中間層16であってよい。これにより、第1バリア層10において主バリア層15の厚みを一様に維持することができ、バリア効果が低下することを抑制することができる。また、被覆膜3は、波長変換層20と中間層16との境界を被覆することが好ましい。これにより、波長変換層20と中間層16との境界から水分等が入り込むことを抑制することができる。
 また、図1Gに示すように、第1バリア層10が、主バリア層15と中間層16とを含む場合、第2側面14及び孔2の底面2bは、主バリア層15に含まれてよい。すなわち、孔2が設けられる第1バリア層10の一部は、主バリア層15であってよい。被覆膜3は、主バリア層15と中間層16との境界を被覆することが好ましい。これにより、主バリア層15と中間層16との境界から水分等が入り込むことを抑制することができる。
(波長変換層)
 波長変換層20は、波長変換部材100に入射した光の一部の波長を変換する。波長変換層20は、量子ドットを含む。波長変換層20は、例えば、量子ドットを含むフィルム状の樹脂硬化物である。なお、量子ドットについての詳細は後述する。
 図1Bに示すように、波長変換層20は、第3主面21と、第3主面21の反対に位置する第4主面22とを含む。第3主面21と第4主面22とは、厚み方向Zにおいて反対に位置する。第3主面21と第4主面22とは、例えば、厚み方向Zに直交する略平面である。波長変換層20は、第3主面21と第1バリア層10の第2主面12とが向かいあって第1バリア層10上に配置されている。
 波長変換層20の平均厚みは、例えば、第1バリア層10の平均厚みに対して20%以上1500%以下であってよく、好ましくは、100%以上400%以下であってよい。波長変換層20の平均厚みは、例えば、例えば30μm以上200μm以下であってよく、好ましくは30μm以上150μm以下、又は80μm以上120μm以下であってよい。波長変換層20の平均厚みは、第3主面21と第4主面22との間の平均距離とも言える。波長変換層20がフィルム状である場合、平均厚みは、フィルム状の第1バリア層10と同様にして求められる。
 波長変換層20は、端面(以下、第2端面23とも称する)と、第1側面24と、を含む。第2端面23は、第1バリア層10の第1端面13と同一平面上に位置してよい。第2端面23は、第3主面21と第4主面22とを接続する。第2端面23は、厚み方向Zに延在する平面であってよい。第1側面24は、第3主面21と第4主面22とを接続する。第1側面24は、断面M1において、第1バリア層10の第1端面13より内側に位置する。第1端面13より内側に位置するとは、断面M1において、第1端面13を基準とし、厚さ方向Zに直交する方向において第1端面13よりも積層体1の内部側に位置していることをいう。第1側面24は、厚み方向Zに延在する平面であってよい。
 第1側面24は、積層体1の外周に沿って配置されている。第1側面24は、例えば、積層体1の外周に沿って、環状に配置されている。断面M1における第1側面24の第1端面13からの距離は、例えば、100μm以上1000μm以下であってよく、好ましくは100μm以上500μm以下であってよい。断面M1において、第1側面24の第1端面13からの距離は、第2側面14の第1端面13からの距離と等しくてよい。なお、この場合の距離は、第1側面24を含む平面と、第1端面13を含む平面と、の距離である。また、この場合の距離は、厚さ方向Zに直交する方向における第1側面24と第1端面13との距離とも言える。第1側面24が第1端面13に対して傾斜している場合は、第1側面24と第1端面13との間の距離は、例えば、第1側面24の上端と第1端面13を含む平面との距離であってよい。
 実施形態1において、第1側面24は、孔2の内面2aに含まれる。第1側面24は、内面2aの内側の側面2cに含まれる。実施形態1では、内側の側面2cにおいて、第1側面24および第2側面14は、同一平面上に位置している。
 第1側面24は、被覆膜3によって被覆されている。被覆膜3は、第1側面24と第2側面14とを連続して被覆する。第1側面24を被覆する被覆膜3の平均厚みは、例えば0.2μm以上10μm以下であってよい。第1側面24を被覆する被覆膜3の平均厚みは、第2側面14を被覆する被覆膜3の平均厚みと等しくてもよいし、異なっていてもよい。
 また、波長変換層20は1層であってもよく、2層以上であってもよい。波長変換層20が複数の層である場合は、それぞれの層に含まれる量子ドットが有する発光ピーク波長を異ならせてもよい。また、波長変換層20は、少なくとも量子ドットを含む層を有していればよく、例えば、量子ドット以外の蛍光体を含む層を有していてもよい。また、波長変換層20のそれぞれの層には、1種類の量子ドットが含まれていてよく、2種類以上の量子ドットが含まれていてよく、又、1種類以上の量子ドットと1種類以上の蛍光体とが含まれていてよい。
(第2バリア層)
 第2バリア層30は、第1バリア層10と同様、例えば、水分、酸素等に対するバリア機能を有する層である。第2バリア層30は、例えば、無機層を有するバリアフィルム等を用いることができる。第2バリア層30がバリア機能を有することで、第2バリア層30側から入り込んでくる水分、酸素等が波長変換層20に達することを抑制でき、波長変換層20に含まれる量子ドットの発光効率の低下を抑えることができる。第2バリア層30は、例えば、第1バリア層10を構成する基材フィルム及び無機層と同じ部材を用いて、構成されてよい。
 図1Bに示すように、第2バリア層30は、第5主面31と、第5主面31の反対に位置する第6主面32と、を含む。第5主面31と第6主面32とは、厚み方向Zにおいて反対に位置する。第5主面31と第6主面32とは、例えば、厚み方向Zに直交する略平面である。第2バリア層30は、第5主面31と波長変換層20の第4主面22とが向かいあって波長変換層20上に配置される。
 第2バリア層30の平均厚みは、例えば、第1バリア層10の平均厚みに対して10%以上750%以下であってよく、好ましくは、50%以上200%以下であってよい。第2バリア層30の平均厚みは、例えば20μm以上150μm以下であってよく、好ましくは20μm以上120μm以下、又は25μm以上100μm以下であってよい。第2バリア層30の平均厚みは、第5主面31と第6主面32との間の平均距離とも言える。第2バリア層30がフィルム状である場合、平均厚みは、フィルム状の第1バリア層10と同様にして求められる。
 第2バリア層30は、端面(以下、第3端面33とも称する)と、第3側面34と、を含む。第3端面33は、第1バリア層10の第1端面13と同一平面上に位置してよい。すなわち、第1端面13と、第2端面23と、第3端面33とは、同一平面上に配置されてよい。第3端面33は、第5主面31と第6主面32とを接続する。第3端面33は、厚み方向Zに延在する平面であってよい。第3側面34は、第5主面31と第6主面32とを接続する。第3側面34は、断面M1において、第1バリア層10の第1端面13より内側に位置する。第3側面34は、厚み方向Zに延在する平面であってよい。
 第3側面34は、積層体1の外周に沿って配置されている。第3側面34は、例えば、積層体1の外周に沿って、環状に配置されている。断面M1における第3側面34の第1端面13からの距離は、例えば、100μm以上1000μm以下であってよく、好ましくは100μm以上500μm以下であってよい。断面M1において、第3側面34の第1端面13からの距離は、第2側面14の第1端面13からの距離と等しくてよい。なお、この場合の距離は、第3側面34を含む平面と、第1端面13を含む平面と、の距離である。また、この場合の距離は、厚さ方向Zに直交する方向における第3側面34と第1端面13との距離とも言える。第3側面34が傾斜している場合は、第3側面34と第1端面13との間の距離は、例えば、第3側面34の上端と第1端面13を含む平面との距離であってよい。
 実施形態1において、第3側面34は、孔2の内面2aに含まれる。第3側面34は、内面2aの内側の側面2cに含まれる。実施形態1では、内側の側面2cにおいて、第3側面34および第1側面24は、同一平面上に位置している。すなわち、内側の側面2cにおいて、第1側面24、第2側面14および第3側面34は、同一平面上に位置している。
 第3側面34は、第1側面24及び第2側面14を被覆する被覆膜3によって被覆されている。被覆膜3は、第1側面24と第2側面14と第3側面34とを連続して被覆する。第3側面34を被覆する被覆膜3の平均厚みは、例えば0.2μm以上10μm以下であってよい。第3側面34を被覆する被覆膜3の平均厚みは、第1側面24及び第2側面14を被覆する被覆膜3の平均厚みと等しくてもよいし、異なっていてもよい。
 なお、第2バリア層30は、第1バリア層10と同様に、主バリア層と、主バリア層及び波長変換層の間に配置される中間層と、を含んでいてもよい。
(孔)
 上述したように、孔2は、内面2aによって規定される。孔2は、例えば、内側の側面2cと、外側の側面2dと、底面2bと、で規定される。本実施形態において、孔2は、第1バリア層10、波長変換層20、及び第2バリア層30で構成される内側の側面2cと、第1バリア層10、波長変換層20、及び第2バリア層30で構成される外側の側面2dと、第1バリア層10で構成される底面2bと、で規定されている。実施形態1において、孔2は、第6主面32に開口を有する凹部とも言える。
 上記では、内面2aのうち、第3側面34、第1側面24、第2側面14、及び底面2bが被覆膜3で被覆されることを説明したが、図1Bに示すように、外側の側面2dも被覆膜3に被覆されていてよい。すなわち、内面2a全体が被覆膜3で被覆されていてよい。実施形態1では、孔2は、積層体1の外周面には露出しておらず、積層体1の外周面と離隔している。積層体1の外周面とは、積層体1を側方から見たときの積層体1の面全体をいう。また、この場合の積層体1の外周面は、積層体1を厚さ方向Zに直交する方向から見たときの積層体1の面全体とも言える。
 孔2は、内面2aにおいて凹凸形状を有することが好ましい。孔2の内面が凹凸形状を有することで、内面2aの表面積が増加し、被覆膜3と孔2の内面2aとの固着強度が向上する。このような凹凸形状は、例えば、ウェットブラスト処理またはサンドブラスト処理によって形成することができる。
 図1Dに示すように、孔2には、緩衝材4がさらに配置されていてもよい。緩衝材4は、例えば、内面2aが被覆膜3で被覆された孔2に充填されて配置される。緩衝材4は、例えば、ガスバリア性及び/又は柔軟性を有する樹脂である。また、緩衝材4は、例えば、アルミナ、シリカ等のフィラーを含み、光反射性を有していてもよい。これにより、波長変換部材に入射する入射光の一部、または、波長変換層20に含まれる量子ドット等が発する光の一部が孔2の内面2aに到達したときに、その光を、光反射性を有する緩衝材4で反射させることができる。その結果、波長変換部材100の上面から出射される光量を増やすことができる。すなわち、波長変換部材100の発光効率を向上させることができる。緩衝材4は、例えば、フェニルシリコーン系の樹脂を含んでいてよい。
 また、図1Aに示す例では、上面視において、孔2は、積層体1の外周に沿って環状に連続して形成されている。しかしながら、孔は、図1Eに示すように、積層体101の外周に沿って、断続的に形成されていてもよい。すなわち、積層体101は、互いに離隔する複数の孔102を含んでいてもよい。なお、隣り合う孔102は、図1Eに示すように互いに離隔して配置されてもよく、又、孔102の端部同士が一部繋がるように配置されてもよい。また、隣り合う2つの孔102が離隔する距離は、小さいことが好ましい。これにより、孔102間を通って水分等が積層体101の内部に入り込むことを抑制することができる。この場合、隣り合う2つの孔102は、例えば、1μm以上500μm以下離隔してよく、好ましくは50μm以上300μm以下離隔してよい。なお、後述する通り、積層体101が互いに離隔する複数の孔102を含む場合、上面視で孔102間の離隔している領域の内側または外側に孔102をさらに配置することが好ましい。これにより、水分等が孔102間を通って積層体101の内部に入り込むことを効果的に抑制することができる。
 また、図1Aまたは図1B等で示す例では、孔2の幅が一定に形成されている。本明細書において、孔2の幅とは内側の側面2cと外側の側面2dとの間の距離を示す。すなわち、上記に示す例では、上面視及び断面視において、内側の側面2cと外側の側面2dとの間の距離が一定である。しかしながら、孔の幅は、上面視及び/又は断面視において、異なっていてもよい。
 例えば、断面視において、孔2の幅は、積層体1の上面側から下面側に向けて狭くなっていてもよい。言い換えると、断面視において、内側の側面2cと外側の側面2dとの間の距離は、第1バリア層10に近づくにつれて小さくなっていてもよい。例えば、孔2は、内側の側面2cと外側の側面2dとが平面であり、且つ、孔2の幅が第1バリア層10に近づくにつれて連続して小さくなっていてもよい。また、孔2の幅は、第1バリア層10に近づくにつれて断続的に小さくなっていてもよい。すなわち、孔2は、内側の側面2c及び/又は外側の側面2dにおいて段差を有していてもよい。
 また、例えば、図1Fに示すように、上面視において、孔112は、幅が狭い幅狭部112Aと、幅が広い幅広部112Bとを含んでいてもよい。幅狭部112Aと幅広部112Bとは、連続していてよい。孔112は、複数の幅狭部112Aと複数の幅広部112Bとを含んでいてよい。この場合、幅狭部112Aと幅広部112Bとは、一定の間隔で交互に配列されていてもよい。積層体111の外周に沿って延びる幅広部112Bの長さ(以下、幅広部112Bの長さとも称する)L2は、積層体1の外周に沿って延びる幅狭部112Aの長さ(以下、幅狭部112Aの長さとも称する)L1よりも長くてよい。幅狭部112Aの長さL1は、例えば、3μm以上200μm以下であってよい。幅広部112Bの長さL2は、例えば、0.5mm以上200mm以下であってよく、幅狭部112Aの長さL1の100倍以上であってよい。
 図1Fに示す孔112は、例えば、以下のようにして形成される。まず、図1Eと同様にして、積層体111の外周に沿って互いに離隔する複数の孔102Aを形成する。図1Fにおいて、孔102Aは、図面下方の拡大図において点線で示されている。なお、図面の理解を容易にするために、孔102Aを示す点線は、孔102の輪郭線を示す実線と重ならないように描かれている。複数の孔102Aは、上面視で断続的に形成されている。この場合、複数の孔102Aは第1ステップ目の孔とも言える。本明細書において、レーザ加工における「ステップ」とは、レーザ光を走査して照射する位置を先行する走査により照射した位置から異ならせる場合の各走査を意味する。一方で、レーザ光を走査して照射する位置を先行する走査により照射した位置と同一にする場合の各走査を「パス」という。次に、上面視で、複数の孔102Aの内側または外側において、互いに離隔する複数の孔102Bを形成する。図1Fにおいて、孔102Bは、図面下方の拡大図において一点鎖線で示されている。なお、図面の理解を容易にするために、孔102Bを示す点線は、孔102の輪郭線を示す実線と重ならないように描かれている。図1Fでは、複数の孔102Bは、複数の孔102Aの外側に配置されている。複数の孔102Bは、積層体111の外周に沿って形成される。複数の孔102Bは、上面視で断続的に形成される。この場合、複数の孔102Bは第2ステップ目の孔とも言える。また、複数の孔102Bは、例えば、複数の孔102Aに平行になるように形成される。孔102Bは、上面視で、隣り合う2つの孔102A間に跨って配置されることが好ましい。これにより、水分等が孔102A間を通って積層体111の内部に入り込むことを効果的に抑制することができる。図1Fでは、複数の孔102Aおよび複数の孔102Bは、互いに接しており、1つの孔112を形成している。なお、これに限られず、複数の孔102Aおよび複数の孔102Bは離隔していてもよい。また、孔112は、第3ステップ目以降の孔を有していてよい。
(積層体)
 図1Bに示すように、積層体1は、第1側面24より内側に位置する積層体(以下、内側積層体1Aとも称する)と、第1側面24より外側に位置する積層体(以下、外側積層体1Bとも称する)と、を含む。図1Bでは、図の理解を容易にするために、内側積層体1Aと外側積層体1Bとの境界を点線で示している。内側積層体1Aは、波長変換部材100の実質的な波長変換機能を担う部分である。上述したように、第1側面24は、例えば、第1端面13から距離が100μm以上1000μm以下の範囲に設けられてよく、好ましくは100μm以上500μm以下の範囲に設けられてよい。これにより、内側積層体1Aの範囲を広くすることができる。
 積層体1において、第2側面14、第1側面24、及び第3側面34は、厚み方向Zに交差する方向に延在してもよい。また、積層体1は、必要に応じてさらなる層を含んでいてもよい。さらなる層としては、例えば、ハードコート層、光学補償層、密着性付与層等を挙げることができる。
 上記の構成を有する波長変換部材は、被覆膜3が、第1端面13、第2端面23、及び第3端面33より内側に位置する。これにより、積層体1の側方から負荷される外力をまず第1端面13、第2端面23、及び第3端面33で受けることができ、該外力により被覆膜3が損傷することを抑制できる。特に、第1側面24を被覆する被覆膜3の損傷を抑制できる。その結果、量子ドットが水分等にさらされることが抑制され、波長変換部材の波長変換効率の低下を抑制できる。なお、積層体1の側方から負荷される外力とは、例えば、波長変換部材100を液晶表示装置に配置する際、液晶表示装置のフレーム、位置決め部材等に接触することで負荷される力である。また、積層体1の側方から負荷される外力とは、例えば、波長変換部材の運搬時に負荷される力である。
 上記の構成を有する波長変換部材において、積層体1は、第1側面24より外側に位置する外側積層体1Bを含む。これにより、外側積層体1Bが、積層体1の側方から負荷される外力から被覆膜3を保護し、該外力により被覆膜3が損傷することを抑制できる。その結果、波長変換部材の波長変換効率の低下を抑制できる。同様に、外側積層体1Bは、該外力から内側積層体1Aを保護し、内側積層体1Aの損傷を抑制する。すなわち、外側積層体1Bが、積層体1の側方から負荷される外力に対する緩衝効果を有する。
 また、上記の構成を有する波長変換部材において、孔2に緩衝材4を配置してもよい。これにより、積層体1の側方から負荷される外力から、被覆膜3及び内側積層体1Aを緩衝材4でさらに保護し、被覆膜3及び内側積層体1Aが損傷することをさらに抑制できる。その結果、波長変換部材の波長変換効率の低下を抑制できる。
 また、上記の構成を有する波長変換部材において、被覆膜3は、第3側面34、第1側面24、及び第2側面14を連続して被覆する。これにより、水分等が、第2バリア層30と波長変換層20との境界、及び第1バリア層10と波長変換層20との境界から積層体1に入り込むことを抑制できる。また、被覆膜3によって、第1バリア層10、波長変換層20、及び第2バリア層30の互いの接着強度を高めることができる。その結果、波長変換部材の波長変換効率の低下を抑制できる。
 上記の構成を有する波長変換部材において、内面2aが被覆膜3で被覆された孔2が、環状に設けられている。これにより、内側積層体1Aに水分等が入り込むことを抑制でき、波長変換部材の波長変換効率の低下を抑制できる。
 次に、被覆膜3、波長変換層20、第1バリア層10、及び第2バリア層30の材料について詳細に説明する。
(被覆膜)
 被覆膜3は、例えば、水分、酸素等をバリアする層である。被覆膜3は、第1層と、第1層上に配置される第2層と、を含んでいてもよい。第1層は、例えば、熱硬化型ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂からなる群から選択される少なくとも1つからなる。熱硬化型ウレタン樹脂は、例えば、アクリルポリオール樹脂とイソシアネートプレポリマーとを含む。熱硬化型ウレタン樹脂は、例えば、ヒドロキシ基を含有するアクリルポリオール樹脂と、分子内にNCO基を2個以上有するイソシアネート系化合物との複合物である。
 第2層は、例えば、塩化ビニリデン樹脂、フッ素系樹脂、及び酸化物からなる群から選択される少なくとも1つからなる。塩化ビニリデン樹脂は、例えば、サラン(登録商標)樹脂である。酸化物は、例えば、AlとSiOとの積層膜である。第2層として酸化物を採用する場合、第1層としてヒドロキシ基を含有するアクリルポリオール樹脂と、分子内にNCO基を少なくとも2個以上有するイソシアネート系化合物との複合物を採用すると、積層体1と酸化物との密着性を高めることができる。なお、第1層及び第2層はそれぞれ、材料に樹脂を採用する場合、該樹脂を複数回にわたって重ねて塗布して形成されてもよい。
 また、被覆膜3は、例えば、めっき層と、めっき層上に配置される原子層堆積層と、を含んでいてもよい。このような被覆膜3は、均一な厚さの被覆膜を形成することができる。めっき層は、例えば、めっきプライマー及び銅めっきの積層であってもよい。原子層堆積層は、例えば、AlとSiOとの積層である。
 また、被覆膜3は、例えば、酸素プラズマ処理層と、酸素プラズマ処理層上に配置される化学気相成長層と、を含んでいてもよい。このような被覆膜3は、均一な厚さの被覆膜を形成することができる。化学気相成長層は、例えば、ポリパラキシレンの層である。化学気相成長層を採用することで、撥水性、及び、水蒸気、酸素等の気体に対するガスバリア性を高めることができる。さらに、化学気相成長層を採用することで、大気中の耐熱性を高めることができる。一例として、大気中で300℃程度までの耐熱性を有する被覆膜3を形成することができる。また、酸素プラズマ処理層と化学気相成長層とを含む被覆膜3は、室温で成膜することができ、凹凸を有する面に対する被覆性が高い。
 さらに、被覆膜3は、アルミナ、シリカ等のフィラーを含み、光反射性を有していてもよい。これにより、波長変換部材に入射する入射光の一部、または、波長変換層20に含まれる量子ドット等が発する光の一部が孔2の内面2aに到達したときに、その光を、光反射性を有する被覆膜3で反射させることができる。その結果、波長変換部材100の上面から出射される光量を増やすことができる。
 ここで、波長変換層20は、例えば、90℃を超える高温下に2時間以上さらされると、熱により損傷を受け、波長変換効率が低下することがある。それに対して、酸素プラズマ処理層と化学気相成長層とを含む被覆膜3の例は、80℃以下で硬化および成膜することができるため、被覆膜3を形成する際に、波長変換層20に熱による損傷を与えることを抑制できる。
 また、被覆膜3は、後述する水分除去剤(水分捕捉剤)、酸素除去剤(酸素捕捉剤)、酸化防止剤、フィラー等からなる群から選択される少なくとも1種の機能性材料を含有する樹脂組成物からなる硬化樹脂層であってもよい。樹脂組成物は、例えば、母材としてエポキシ樹脂、アクリル樹脂等を含んでいてよい。
 一態様において被覆膜3は、孔2に充填される充填材からなっていてよい。充填材は、硬化性樹脂の硬化物を含んでいてよい、硬化性樹脂は、熱硬化型ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を含んでいてもよく、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の光硬化性樹脂を含んでいてもよい。また、充填材はエチレン-ビニルアルコール共重合樹脂等のガスバリア性樹脂を含んでいてもよい。さらに充填材はアルミナ、シリカ等のフィラーを含み、光反射性を有していてもよい。
(波長変換層)
 上述したように、波長変換層20は量子ドットを含む。量子ドットとは、数nmから数十nm程度の粒子径を有する半導体結晶粒子である。物質のサイズをナノメートルオーダーまで小さくすると、物質内に電子が限られた状態でしか存在できなくなる。そのため、電子状態が離散的となり、粒子サイズによってバンドギャップが変化する。量子ドットは光を吸収して、そのバンドギャップエネルギーに相当する波長の光を放出する。そのため、粒子サイズ、結晶組成等を制御することにより、量子ドットの発光波長を制御することができ、量子ドットは波長変換物質として機能する。波長変換層20に含まれる量子ドットの粒径は、例えば、50nm以下であってよい。量子ドットの粒径は、好ましくは1nm以上20nm以下、1.6nm以上8nm以下、又は2nm以上7.5nm以下であってよい。
 量子ドットを構成する半導体ナノ粒子の粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)画像で観察される粒子の外周の任意の二点を結ぶ線分であって、当該粒子の中心を通過する線分のうち、最も長い線分を指す。半導体ナノ粒子の平均粒径は、TEM画像で観察される、粒径を計測可能な半導体ナノ粒子について、それぞれ粒径を測定し、それらの粒径の算術平均値を意味する。
 半導体ナノ粒子がロッド状の形状を有するものである場合には、短軸の長さを粒径とみなす。ここで、ロッド状の形状の粒子とは、長軸を含む面を観察したときに、一方向に長い長方形状を含む四角形状(断面は、円、楕円、又は多角形状を有する)、楕円形状、又は多角形状(例えば鉛筆のような形状)等として観察されるものであって、短軸の長さに対する長軸の長さの比が1.2より大きいものを指す。ロッド状の形状の粒子について、長軸の長さは、楕円形状の場合には、粒子の外周の任意の二点を結ぶ線分のうち、最も長い線分を指し、四角形状又は多角形状の場合、外周を規定する辺の中で最も長い辺に平行であり、かつ粒子の外周の任意の二点を結ぶ線分のうち、最も長い線分を指す。短軸の長さは、外周の任意の二点を結ぶ線分のうち、前記長軸の長さを規定する線分に直交し、かつ最も長さの長い線分をいう。半導体ナノ粒子の平均粒径は、具体的には、50000倍以上150000倍以下のTEM像で観察される、すべての計測可能な半導体ナノ粒子について粒径を測定し、それらの粒径の算術平均とする。ここで、「計測可能な」粒子は、TEM像において粒子全体の輪郭が観察できるものである。したがって、TEM像において、その一部が撮像範囲に含まれておらず、「切れて」いるような粒子は計測可能なものではない。1つのTEM像に含まれるナノ粒子が合計100点以上である場合には、1つのTEM像を用いて平均粒径を求める。1つのTEM像に含まれるナノ粒子の数が少ない場合には、撮像場所を変更して、TEM像をさらに取得し、2つ以上のTEM像に含まれる100点以上の粒子について粒径を測定して平均粒径を求める。
 量子ドットとして具体的には、例えば、ペロブスカイト系量子ドット、カルコパイライト系量子ドット、III-V族半導体系量子ドット等が挙げられる。ペロブスカイト系量子ドットは、例えば下記式(1)で表される化合物を含んでいてよい。
  [M (1-w)   (1)
 前記式(1)中、Mは、Cs、Rb、K、Na及びLiからなる群から選択される少なくとも1種を含む第1元素を示す。Aは、アンモニウムイオン、ホルムアミジニウムイオン、グアニジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン及びプロトン化チオウレアイオンからなる群から選択される少なくとも1種を含む非金属カチオンを示す。Mは、Ge、Sn、Pb、Sb及びBiからなる群から選択される少なくとも1種を含む第2元素を示す。Xは、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、シアン化物イオン、チオシアネート、イソチオシアネート及びスルフィドからなる群から選択される少なくとも1種を含むアニオン又は配位子を示す。xは1以上4以下の数であり、yは1以上2以下の数であり、zは3以上9以下の数であり、wは0以上1以下の数である。前記式(1)において、第1元素M及び非金属カチオンAの両方を含む場合、第1元素M及び非金属カチオンAは共に、配位子を構成する原子団を表す。
 アンモニウムイオンは、例えば下記式(A-1)で表されてよい。ホルムアミジニウムイオンは、例えば下記式(A-2)で表されてよい。グアニジニウムイオンは、例えば下記式(A-3)で表されてよい。プロトン化チオウレアイオンは、例えば下記式(A-4)で表されてよい。イミダゾリウムイオンは、例えば下記式(A-5)で表されてよい。ピリジニウムイオンは、例えば下記式(A-6)で表されてよい。ピロリジニウムイオンは、例えば下記式(A-7)で表されてよい。非金属カチオンを表す各式中、Rは、互いに独立して、水素原子、炭素数1から4のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ハロゲン原子及び擬ハロゲンからなる群から選択される少なくとも1種を表す。各式中の任意の2つのRは互いに連結して炭素数3から6の含窒素脂肪族環を形成してもよい。
 [R] (A-1)
 [(NRRC] (A-2)
 [(NR] (A-3)
 [(NR-SR] (A-4)
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 前記式(1)で表される組成を有する化合物を含むペロブスカイト系量子ドットは、光源からの光照射によって緑色光又は赤色光を発する。ペロブスカイト系量子ドットは、緑色光に関しては、発光ピーク波長が例えば380nm以上545nm以下の範囲内である光源からの光照射によって、475nm以上560nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発してよい。緑色光を発光するペロブスカイト系量子ドットの発光ピーク波長は、好ましくは510nm以上550nm以下、又は525nm以上535nm以下の範囲内にあってよい。また、赤色光に関しては、発光ピーク波長が例えば380nm以上545nm以下の範囲内である光源からの光照射によって、600nm以上680nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発してよい。赤色光を発光するペロブスカイト系量子ドットの発光ピーク波長は、好ましくは610nm以上670nm以下、又は625nm以上635nm以下の範囲内にあってよい。また、ペロブスカイト系量子ドットの発光スペクトルにおける半値幅は、例えば35nm以下であってよく、好ましくは30nm以下、又は25nm以下であってよい。ペロブスカイト系量子ドットは、発光スペクトルにおいてバンド端発光を示してもよい。
 カルコパイライト系量子ドットの第1態様は、例えば、銀(Ag)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び硫黄(S)を含む第1半導体を含み、その表面には、Ga及びSを含む第2半導体が配置されて構成されていてよい。第2半導体は、さらにAgを含んでいてよい。第1半導体は、Ag、In、Ga及びSを含むカルコパイライト型構造を有する半導体であってよい。カルコパイライト系量子ドットの第1態様では、第1半導体を含む粒子の表面に、第2半導体を含む付着物が配置されていてよく、第2半導体を含む付着物が第1半導体を含む粒子を被覆していてもよい。さらに、カルコパイライト系量子ドットは、例えば、第1半導体を含む粒子をコアとし、第2半導体を含む付着物をシェルとして、コアの表面にシェルが配置されるコアシェル構造を有していてもよい。第1態様のカルコパイライト系量子ドットの詳細については、例えば特開2018-044142号公報、国際公開第2022/191032号等の記載を参照することができる。
 第1半導体は、少なくともAgを含み、その一部が置換されて銅(Cu)、金(Au)及びアルカリ金属(以下、Mと記すことがある)の少なくとも1種をさらに含んでいてもよく、実質的にAgから構成されていてよい。ここで「実質的に」とは、AgとAg以外のAgを置換する元素の総原子数に対するAg以外のAgを置換する元素の原子数の割合が、例えば10%以下であり、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下であることを示す。また、第1半導体は、実質的にAg及びアルカリ金属を構成元素としていてもよい。ここで「実質的に」とは、Ag、アルカリ金属並びにAg及びアルカリ金属以外のAgを置換する元素の総原子数に対するAg及びアルカリ金属以外のAgを置換する元素の原子数の割合が、例えば10%以下であり、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下であることを示す。なお、アルカリ金属には、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)及びセシウム(Cs)が含まれる。
 第1半導体は、例えば、以下の式(2a)で表される組成を有していてよい。
 (Ag (1-p)InGa(1-r)(q+3)/2  (2a)
 ここで、p、q及びrは、0<p≦1、0.20<q≦1.2、0<r<1を満たす。Mはアルカリ金属を示す。
 カルコパイライト系量子ドットの第1態様においては、表面に第2半導体が配置されていてもよい。第2半導体は、第1半導体よりバンドギャップエネルギーが大きい半導体を含んでいてよい。第2半導体は、実質的にGa及びSからなる半導体であってよい。また、第2半導体は、実質的にAg、Ga及びSからなる半導体であってよい。ここで「実質的に」とは、Ga及びSを含む半導体、又は、Ag、Ga及びSを含む半導体に含まれるすべての元素の原子数の合計を100%としたときに、Ga及びS以外、又は、Ag、Ga及びS以外の元素の原子数の割合が、例えば10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下であることを示す。
 第1態様のカルコパイライト系量子ドットは、発光ピーク波長が例えば380nm以上545nm以下の範囲内である光源からの光照射によって、475nm以上560nm以下の波長範囲(例えば、緑色)に発光ピーク波長を有するバンド端発光を示してもよく、発光ピーク波長は好ましくは510nm以上550nm以下、又は525nm以上535nm以下の範囲内であってよい。また、第1態様のカルコパイライト系量子ドットは、その発光スペクトルにおける半値幅が、例えば、45nm以下であってよく、好ましくは40nm以下、または30nm以下あってよい。半値幅は例えば、15nm以上であってよい。
 カルコパイライト系量子ドットの第2態様は、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)及び硫黄(S)を含む第3半導体を含み、その表面には、Ga及びSを含む第4半導体が配置されて構成されていてよい。第4半導体は、さらにAgを含んでいてよい。第3半導体は、Cu、Ag、In、Ga及びSを含むカルコパイライト型構造を有する半導体であってよい。カルコパイライト系量子ドットの第2態様では、第3半導体を含む粒子の表面に、第4半導体を含む付着物が配置されていてよく、第4半導体を含む付着物が第3半導体を含む粒子を被覆していてもよい。さらに、カルコパイライト系量子ドットは、例えば、第3半導体を含む粒子をコアとし、第4半導体を含む付着物をシェルとして、コアの表面にシェルが配置されるコアシェル構造を有していてもよい。第2態様のカルコパイライト系量子ドットの詳細については、例えば国際公開2020/162622号、国際公開第2023/013361等の記載を参照することができる。
 第3半導体は、少なくともAgとCuを含み、その一部が置換されて金(Au)及びアルカリ金属(M)を含んでいてもよい。第3半導体は、実質的にAg、Cu及びアルカリ金属を構成元素としていてもよい。ここで「実質的に」とは、Ag、Cu及びアルカリ金属、並びにAg、Cu及びアルカリ金属以外の元素の総原子数に対するAg、Cu及びアルカリ金属以外の元素の原子数の割合が、例えば10%以下であり、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下であることを示す。
 第3半導体は、例えば、以下の式(2b)で表される組成を有していてよい。
 (AgCu(1-s)InGa(1-u)(t+3)/2  (2b)
 ここで、s、t及びuは、0<s<1、0.20<t≦1.2、0<u<1を満たす。
 カルコパイライト系量子ドットの第2態様においては、表面に第4半導体が配置されていてもよい。第4半導体は、第3半導体よりバンドギャップエネルギーが大きい半導体を含んでいてよい。第4半導体は、実質的にGa及びSからなる半導体であってよい。また、第4半導体は、実質的にAg、Ga及びSからなる半導体であってよい。ここで「実質的に」とは、Ga及びSを含む半導体、又は、Ag、Ga及びSを含む半導体に含まれるすべての元素の原子数の合計を100%としたときに、Ga及びS以外、又は、Ag、Ga及びS以外の元素の原子数の割合が、例えば10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下であることを示す。
 第2態様のカルコパイライト系量子ドットは、発光ピーク波長が例えば380nm以上545nm以下の範囲内である光源からの光照射によって、600nm以上680nm以下の波長範囲(例えば、赤色)に発光ピーク波長を有するバンド端発光を示してもよく、発光ピーク波長は好ましくは610nm以上670nm以下、又は625nm以上635nm以下の範囲内であってよい。また、第2態様のカルコパイライト系量子ドットは、その発光スペクトルにおける半値幅が、例えば、60nm以下であってよく、好ましくは40nm以下、または30nm以下あってよい。半値幅は例えば、15nm以上であってよい。
 カルコパイライト系量子ドットの第3態様は、例えば、銀(Ag)、ガリウム(Ga)及びセレン(Se)を含む第5半導体を含み、その表面には、亜鉛(Zn)及びS(硫黄)を含む第6半導体が配置されて構成されていてよい。第5半導体は、少なくともAg、GaおよびSeを含み、その一部が置換されてインジウム(In)及び硫黄(S)を含んでいてもよい。また、第6半導体は、GaおよびSeの少なくとも一方をさらに含んでいてよい。第5半導体は、Ag、Ga及びSeを含むカルコパイライト型構造を有する半導体であってよい。カルコパイライト系量子ドットの第3態様では、第5半導体を含む粒子の表面に、第6半導体を含む付着物が配置されていてよく、第6半導体を含む付着物が第5半導体を含む粒子を被覆していてもよい。さらに、カルコパイライト系量子ドットは、例えば、第5半導体を含む粒子をコアとし、第6半導体を含む付着物をシェルとして、コアの表面にシェルが配置されるコアシェル構造を有していてもよい。第3態様のカルコパイライト系量子ドットの詳細については、例えば国際公開2021/039290等の記載を参照することができる。
 第5半導体は、例えば、以下の式(2c)で表される組成を有していてよい。
 AgInGa1-xSe1-y  (2c)
 ここで、x及びyは、0≦x<1、0≦y≦1を満たす。
 カルコパイライト系量子ドットの第3態様においては、表面に第6半導体が配置されていてもよい。第6半導体は、第5半導体よりバンドギャップエネルギーが大きい半導体を含んでいてよい。第6半導体は、実質的にZn及びSからなる半導体であってよい。ここで「実質的に」とは、Zn及びSを含む半導体に含まれるすべての元素の原子数の合計を100%としたときに、Zn及びS以外の元素の原子数の割合が、例えば10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは1%以下であることを示す。
 第3態様のカルコパイライト系量子ドットは、発光ピーク波長が例えば380nm以上545nm以下の範囲内である光源からの光照射によって、600nm以上680nm以下の波長範囲(例えば、赤色)に発光ピーク波長を有するバンド端発光を示してもよく、発光ピーク波長は好ましくは610nm以上670nm以下、又は625nm以上635nm以下の範囲内であってよい。また、第3態様のカルコパイライト系量子ドットは、その発光スペクトルにおける半値幅が、例えば、50nm以下であってよく、好ましくは40nm以下、または30nm以下あってよい。半値幅は例えば、15nm以上であってよい。
 III-V族半導体系量子ドットは、III-V族半導体を含む半導体ナノ粒子を含んでいてよい。III-V族半導体としては、例えばAlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs、TiSb等を挙げることができる。好適には、リン化インジウム(InP)である。
 III-V族半導体系量子ドットは、III-V族半導体を含む半導体ナノ粒子の表面に、半導体ナノ粒子を構成するIII-V族半導体とは異なる第7半導体を含む付着物が配置されていてよく、第7半導体を含む付着物がIII-V族半導体を含む粒子を被覆していてもよい。さらに、III-V族半導体系量子ドットは、例えば、III-V族半導体を含む粒子をコアとし、第7半導体を含む付着物をシェルとして、コアの表面にシェルが配置されるコアシェル構造を有していてもよい。第7半導体は、III-V族半導体よりもバンドギャップエネルギーの大きい半導体であってよい。III-V族半導体と第7半導体の組み合わせとしては、例えば、InP/ZnS、GaP/ZnS、InN/GaN、InP/CdSSe、InP/ZnSeTe、InGaP/ZnSe、InGaP/ZnS、InP/ZnSTe、InGaP/ZnSTe、InGaP/ZnSSe等が挙げられる。
 例えば、III-V族半導体系量子ドットは、発光ピーク波長が例えば380nm以上545nm以下の範囲内である光源からの光照射によって緑色光又は赤色光を発してよい。緑色光を発するIII-V族半導体系量子ドットは、発光ピーク波長が例えば380nm以上545nm以下の範囲内である光源からの光照射によって、475nm以上560nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有するバンド端発光を示してよい。発光ピーク波長は、好ましくは510nm以上550nm以下、又は525nm以上535nm以下の範囲内にあってよい。また、赤色光を発するIII-V族半導体系量子ドットは、発光ピーク波長が例えば380nm以上545nm以下の範囲内である光源からの光照射によって、600nm以上680nm以下の波長範囲に発光ピーク波長を有するバンド端発光を示してもよい。発光ピーク波長は好ましくは610nm以上670nm以下、又は625nm以上635nm以下の範囲内であってよい。また、III-V族半導体系量子ドットは、その発光スペクトルにおける半値幅が、例えば、60nm以下であってよく、好ましくは40nm以下、または30nm以下あってよい。半値幅は例えば、15nm以上であってよい。
 量子ドットは、必要に応じてペロブスカイト系量子ドット、カルコパイライト系量子ドット及びIII-V族半導体系量子ドット以外の他の量子ドットを含んでいてもよい。他の量子ドットとしては、II-VI族半導体、IV-VI族半導体、IV族半導体からなる群より選択される少なくとも1種を含む粒子が挙げられる。
 II-VI族半導体の具体例としては、CdSe、CdTe、CdS、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTe等が挙げられる。IV-VI族半導体の具体例としては、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTe、SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTe、SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTe等が挙げられる。IV族半導体の具体例としては、Si、Ge、SiC、SiGe等が挙げられる。
 量子ドットは、その表面に表面修飾剤が配置されていてもよい。表面修飾剤の具体例としては、炭素数2以上20以下のアミノアルコール;イオン性表面修飾剤;ノニオン性表面修飾剤;炭素数4以上20以下の炭化水素基を有する含窒素化合物;炭素数4以上20以下の炭化水素基を有する含硫黄化合物;炭素数4以上20以下の炭化水素基を有する含酸素化合物;炭素数4以上20以下の炭化水素基を有する含リン化合物;第2族元素、第12族元素及び第13族元素からなる群から選択される少なくとも1種を含むハロゲン化物等を挙げることができる。表面修飾剤は、1種単独でも、異なる2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。
 表面修飾剤として用いられるアミノアルコールは、アミノ基及びアルコール性水酸基を有し、炭素数2以上20以下の炭化水素基を含む化合物であればよい。アミノアルコールの炭素数は、好ましくは10以下、より好ましくは6以下である。アミノアルコールを構成する炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルカン、アルケン、アルキン等の炭化水素に由来してよい。炭化水素に由来するとは、炭化水素から少なくとも2つの水素原子を取り除いて炭化水素基が構成されることを意味する。アミノアルコールとして具体的には、アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール、アミノオクタノール等を挙げることができる。例えば、半導体ナノ粒子表面にアミノアルコールのアミノ基が結合し、その反対側である粒子最表面に水酸基が露出することで半導体ナノ粒子の極性に変化が生じ、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)への分散性が向上する。
 表面修飾剤として用いられるイオン性表面修飾剤としては、分子内にイオン性官能基を有する含窒素化合物、含硫黄化合物、含酸素化合物等が挙げられる。イオン性官能基はカチオン性、アニオン性のいずれであってもよく、少なくともカチオン性基を有することが好ましい。表面修飾剤の具体例及び表面修飾の方法は、例えばChemistryLetters,Vol.45,pp898-900,2016の記載を参照することができる。
 イオン性表面修飾剤は、例えば、3級又は4級アルキルアミノ基を有する含硫黄化合物であってよい。アルキルアミノ基のアルキル基の炭素数は、例えば1以上4以下であってよい。また、含硫黄化合物は、炭素数2以上20以下のアルキル又はアルケニルチオールであってよい。イオン性表面修飾剤として具体的には、ジメチルアミノエタンチオールのハロゲン化水素塩、トリメチルアンモニウムエタンチオールのハロゲン塩、ジメチルアミノブタンチオールのハロゲン化水素塩、トリメチルアンモニウムブタンチオールのハロゲン塩等が挙げられる。
 表面修飾剤として用いられるノニオン性表面修飾剤としては、例えば、アルキレングリコール単位、アルキレングリコールモノアルキルエーテル単位等を含むノニオン性官能基を有する含窒素化合物、含硫黄化合物、含酸素化合物等が挙げられる。アルキレングリコール単位におけるアルキレン基の炭素数は、例えば、2以上8以下であってよく、好ましくは2以上4以下である。またアルキレングリコール単位の繰り返し数は、例えば1以上20以下であってよく、好ましくは2以上10以下である。ノニオン性表面修飾剤を構成する含窒素化合物はアミノ基を有していてよく、含硫黄化合物はチオール基を有していてよく、含酸素化合物は水酸基を有していてよい。ノニオン性表面修飾剤の具体例としては、メトキシトリエチレンオキシエタンチオール、メトキシヘキサエチレンオキシエタンチオール等が挙げられる。
 炭素数4以上20以下の炭化水素基を有する含窒素化合物としてはアミン類、アミド類等が挙げられる。炭素数4以上20以下の炭化水素基を有する含硫黄化合物としてはチオール類等が挙げられる。炭素数4以上20以下の炭化水素基を有する含酸素化合物としてはカルボン酸類、アルコール類、エーテル類、アルデヒド類、ケトン類などが挙げられる。炭素数4以上20以下の炭化水素基を有する含リン化合物としては、例えば、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン、トリアルキルホスフィンオキシド、トリアリールホスフィンオキシド等が挙げられる。
 第2族元素、第12族元素及び第13族元素からなる群から選択される少なくとも1種を含むハロゲン化物としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、塩化カドミウム、塩化アルミニウム、塩化ガリウム等が挙げられる。
 波長変換層20に含まれる量子ドットは、475nm以上560nm以下の波長範囲に発光ピーク波長を有する第1量子ドット及び600nm以上680nm以下の波長範囲に発光ピーク波長を有する第2量子ドットからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよい。また、量子ドットは、第1量子ドットの少なくとも1種及び第2量子ドットの少なくとも1種を含んでいてもよい。第1量子ドットは、例えばペロブスカイト系量子ドット、III-V族半導体系量子ドット及び第1態様のカルコパイライト系量子ドットからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよい。好ましくは、第1量子ドットは、ペロブスカイト系量子ドット及び第1態様のカルコパイライト系量子ドットからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよい。また第2量子ドットは、例えばペロブスカイト系量子ドット、第2態様のカルコパイライト系量子ドット、第3態様のカルコパイライト系量子ドット及びIII-V族半導体系量子ドットからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよい。好ましくは、第2量子ドットは、第2態様のカルコパイライト系量子ドット、第3態様のカルコパイライト系量子ドット及びIII-V族半導体系量子ドットからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよい。波長変換層20が、第1量子ドットと第2量子ドットを含むことで、波長変換層20に例えば発光ピーク波長が例えば380nm以上545nm以下の範囲内である青色光が照射されると、第1量子ドット及び第2量子ドットからそれぞれ緑色光及び赤色光が射出される。その結果、第1量子ドット及び第2量子ドットから射出される緑色光及び赤色光と、波長変換層20を透過する青色光の混色により、白色光が得られる。
 積層体1を構成する波長変換層は1層であってもよく、2層以上であってもよい。積層体1を構成する波長変換層20が、例えば2層である場合は、一方の波長変換層20が第1量子ドットを含み、他方の波長変換層20が第2量子ドットを含んでいてよい。波長変換層20は、例えば、緑色光を発するカルコパイライト系量子ドットを含む層と、赤色光を発するカルコパイライト系量子ドットを含む層と、を含む。波長変換層20は、緑色光を発するカルコパイライト系量子ドットを含む層と、赤色光を発するIII-V族半導体系量子ドットを含む層と、を含んでいてもよい。波長変換層20は、緑色光を発するペロブスカイト系量子ドットを含む層と、赤色光を発するIII-V族半導体系量子ドットを含む層と、を含んでいてもよい。波長変換層20は、緑色光を発するペロブスカイト系量子ドットを含む層と、赤色光を発するカルコパイライト系量子ドットを含む層と、を含んでいてもよい。また波長変換層は、緑色光を発するカルコパイライト系量子ドットを含む層と、赤色光を発するIII-V族半導体系量子ドットを含む層と、を含んでいてよい。また波長変換層は、緑色光を発するペロブスカイト系量子ドットを含む層と、赤色光を発するIII-V族半導体系量子ドットを含む層と、を含んでいてよい。
 波長変換層20は、量子ドットに加えて必要に応じて量子ドット以外の発光材料として蛍光体の少なくとも1種を含んでいてもよい。蛍光体としては例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、(Y,Gd)(Al,Ga)12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu(Al,Ga)12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb(Al,Ga)12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(POCl:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、SrAl1425:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、CaMgSi16Cl:Eu)、シリケート系蛍光体(例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)(O,N):Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、LSN系蛍光体(例えば、(La,Y)Si11:Ce)、BSESN系蛍光体(例えば、(Ba,Sr)Si:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、KSiF:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K(Si1-xAl)F6-x:Mn ここで、xは、0<x<1を満たす。)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn)等のフッ化物系蛍光体などを用いることができる。本明細書において、蛍光体の組成を表す式中、カンマ(,)で区切られて記載されている複数の元素は、これらの複数の元素のうち少なくとも1種の元素を組成中に含有することを意味する。また、蛍光体の組成を表す式中、コロン(:)の前は母体結晶を表し、コロン(:)の後は賦活元素を表す。
 波長変換層20は、例えば、緑色光を発するカルコパイライト系量子ドットと、マンガンで賦活されたフッ化物錯体蛍光体と、を含んでいてよい。波長変換層20は、緑色光を発するペロブスカイト系量子ドットと、マンガンで賦活されたフッ化物錯体蛍光体と、を含んでいてもよい。また、波長変換層は、緑色光を発するカルコパイライト系量子ドットを含む層と、赤色光を発するマンガンで賦活されたフッ化物錯体蛍光体を含む層と、を含んでいてよい。さらに波長変換層は、緑色光を発するペロブスカイト系量子ドットを含む層と、赤色光を発するマンガンで賦活されたフッ化物錯体蛍光体を含む層と、を含んでいてよい。
 波長変換層20は、量子ドットに加えて硬化樹脂を含んでいてもよい。硬化樹脂は、後述する光硬化性組成物の硬化物であってよい。波長変換層20に含まれる量子ドットの含有率は、硬化樹脂の全量に対して、例えば、0.01質量%以上1.0質量%以下であってよく、好ましくは0.05質量%以上0.5質量%以下、又は0.1質量%以上0.5質量%以下であってよい。量子ドットの含有率が0.01質量%以上であると、光を照射する際に充分な発光強度が得られる傾向にあり、量子ドットの含有率が1.0質量%以下であると、量子ドットの凝集が抑えられ、色ムラが抑制される傾向にある。
 硬化樹脂を形成する光硬化性組成物は、例えば(メタ)アクリル化合物を含んでいてよい。(メタ)アクリル化合物は、1分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する単官能(メタ)アクリル化合物であってもよく、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリル化合物であってもよい。(メタ)アクリル化合物としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよく、単官能(メタ)アクリル化合物及び多官能(メタ)アクリル化合物を併用してもよい。ここで(メタ)アクリル化合物とは、アクリル化合物、メタクリル化合物及びこれらの混合物を包含し、類似の表記においても同様である。
(第1バリア層及び第2バリア層)
 第1バリア層10と第2バリア層30とは、同一材料を採用することができる。
 第1バリア層10及び第2バリア層30の酸素透過率は、例えば0.5mL/(m・24h・atm)以下であってよく、好ましくは0.3mL/(m・24h・atm)以下、又は0.1mL/(m・24h・atm)以下であってよい。第1バリア層10及び第2バリア層30の酸素透過率は、酸素透過率測定装置(例えば、MOCON社、OX-TRAN)を用いて、温度23℃かつ相対湿度65%の条件で測定することができる。
 第1バリア層10及び第2バリア層30を構成する無機層を有するバリアフィルムは、例えば基材フィルムと基材フィルムの少なくとも一方の主面上に設けられる無機層とを有していてよい。また例えば、第1バリア層10及び第2バリア層30は、2つの基材フィルムと、2つの基材フィルムの間に配置される無機層を含む積層フィルムであってもよい。基材フィルムの構成材料としては、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。基材フィルムの構成材料としては、好ましくは、ポリエステル、セルローストリアセテートが挙げられる。
 上記基材フィルムの平均厚みは、例えば10μm以上150μm以下であってよく、好ましくは20μm以上125μm以下であってよい。基材フィルムの平均厚みが、10μm以上であると、波長変換部材のアッセンブリ、取扱い時における皺、折れの発生が効果的に抑制される。また150μm以下であれば、画像表示装置の軽量化及び薄膜化に資することができる。
 基材フィルムは、単一のフィルムから構成されていてもよく、複数のフィルムから構成される積層フィルムであってもよい。このような積層フィルムは、用途に応じて、同種の構成原料のフィルムからなる複数の層から構成されていてもよく、異なる種類の構成原料のフィルムからなる複数の層から構成されていてもよい。
 無機層は、例えば、酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物等の無機化合物からなる膜であってよい。具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化インジウムスズ(ITO)等の金属酸化物;窒化アルミニウム等の金属窒化物、炭化アルミニウム等の金属炭化物、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化窒化炭化ケイ素等のケイ素酸化物;窒化ケイ素、窒化炭化ケイ素等のケイ素窒化物;炭化ケイ素等のケイ素炭化物;これらの水素化物などを挙げることができる。無機層は1種の無機化合物から構成されていてもよく、2種以上の無機化合物から構成されていてもよい。
 無機層の平均厚みは、例えば10nm以上200nm以下であってよく、好ましくは10nm以上100nm以下、又は15nm以上75nm以下であってよい。
 無機層は、形成材料に応じて公知の方法で形成すればよい。具体的には、CCP-CVD、ICP-CVD等のプラズマCVD法、マグネトロンスパッタリング、反応性スパッタリング等のスパッタリング法、真空蒸着法、気相堆積法などを挙げることができる。
 第1バリア層10及び第2バリア層30の表面には、プリズム加工が施されていてよい。例えば、波長変換部材100の出射面側に位置する第2バリア層30の表面にアレイ状のプリズム加工が施される。これにより、波長変換部材100の出射面において、効率的に光を出射することができる。また、波長変換部材100の入射面側に位置する第1バリア層10には、特定の波長の光を透過し、かつ、該特定の波長以外の波長の光を反射させる反射機構を設けてよい。第1バリア層10は、例えば、ダイクロイックミラー層を備えていてよい。これにより、波長変換部材100内で反射された光のうち波長変換部材100の入射面側に戻る光を反射機構により出射面側に反射させることができる。なお、反射機構は、第2バリア層30に設けられていてもよい。
 第1バリア層10及び第2バリア層30がそれぞれ、主バリア層15と、中間層16と、を含む場合、上記の第1バリア層10及び第2バリア層30の材料は、主バリア層15に適用できる。
 中間層16は、母材として例えば、波長変換層の説明で例示した硬化樹脂と同様の構成を有する硬化樹脂を含んでいてよい。中間層16は、硬化樹脂に加えて機能性材料の少なくとも1種を更に含んでいてもよい。機能性材料としては、水分除去剤(水分捕捉剤)、酸素除去剤(酸素捕捉剤)、酸化防止剤等を挙げることができ、これらからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてよい。
 水分除去剤としては、例えば、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等の第2族元素の酸化物、ハイドロタルサイト、アルミノケイ酸塩(例えば、ゼオライト)、酸化ケイ素(例えば、シリカゲル)等が挙げられる。ここで、ハイドロタルサイトは、以下の式(3)で表される組成を有する化合物であってよい。
 [M 1-x (OH)x+[An- x/n・mHO]x-  (3)
 式(3)中、MはMg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+等の2価の金属イオンを示す。Mは、Fe3+、Cr3+、Co3+、In3+等の3価の金属イオンを示す。An-はOH、F、Cl、Br、NO 、CO 2-、SO 2-、Fe(CN) 3-、CHCOO、シュウ酸イオン、サリチル酸イオンなどのn価のアニオンを示す。xは、0<x≦0.33を満たす。mは正の数である。
 また酸素除去剤としては、セリア-ジルコニア固溶体(CZ固溶体)等が挙げられる。また酸化防止剤としては、アスコルビン酸、カテキン、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
 中間層16における機能性材料の含有量は、例えば硬化樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であってよく、好ましくは0.1質量部以上15質量部以下、又は0.1質量部以上2質量部以下であってよい。中間層16における機能性材料の含有量を上記範囲に設定することで、外気等に含まれる水分等が入り込むことを抑制しつつ、機能性材料に起因する波長変換部材の発光効率の低下を抑制することができる。
2.実施形態2
 図2に示すように、実施形態2に係る波長変換部材200は、第1バリア層210の第2側面214、波長変換層220の第1側面224、及び第2バリア層230の第3側面234を被覆する被覆膜3が積層体201の外周面に露出する点で、実施形態1に係る波長変換部材100と異なる。積層体201の外周面とは、積層体201を側方から見たときの積層体201の面全体をいう。また、この場合の積層体201の外周面は、積層体201を厚さ方向Zに直交する方向から見たときの積層体201の面全体とも言える。
 波長変換部材200は、実施形態1の波長変換部材100と比較して、例えば、第2バリア層230、波長変換層220、及び第1バリア層210の外周に位置する部分を除去した形状である。第2バリア層230の第3側面234は、第2バリア層230の第3端面とも言え、波長変換層220の第1側面224は、波長変換層20の第2端面とも言える。すなわち、実施形態2では、第2端面及び第3端面が、第1端面13より内側に位置する。図2に示す例では、第3側面234、第1側面224、及び第2側面214は、厚み方向Zに対して交差して延在しているが、被覆膜3が第1端面13よりも内側にいる限りにおいて、厚み方向Zに沿って延在していてもよい。
 第1バリア層210は、第2側面214と第1端面13との間で段部17を有してもよい。段部17の表面は、積層体201の外周面に露出し、被覆膜3で被覆されていてもよい。段部17を被覆する被覆膜3は、例えば、第1端面13より内側に位置する。
 上記の構成を有する波長変換部材200は、積層体201の側方から負荷される外力を第1端面13により受けることができる。これにより、該外力から被覆膜3を保護し、被覆膜3が損傷することを抑制できる。また、実施形態2に係る波長変換部材200では、後述する孔を設ける工程において、孔の開口を大きく取りやすい。これにより、被覆膜3を配置する工程において、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により被覆膜3を配置しやすくなり、一様な膜厚の被覆膜3を形成することができる。
 積層体201のうち被覆膜3と接する領域は、少なくとも凹凸形状を有することが好ましい。具体的には、第1バリア層210の第2側面214、波長変換層220の第1側面224、及び第2バリア層230の第3側面234は、凹凸形状を有することが好ましい。該領域に凹凸形状を設けることで、該領域と被覆膜3との固着強度が向上する。このような凹凸形状は、例えば、ウェットブラスト処理またはサンドブラスト処理によって形成することができる。以降の他の実施形態についても同様である。
3.実施形態3
 図3に示すように、実施形態3に係る波長変換部材300は、被覆膜3が、孔2に充填されて配置され、かつ、第6主面32をさらに被覆する点で実施形態1の波長変換部材100と異なる。さらに、実施形態3に係る波長変換部材300は、第6主面32上に積層された第3バリア層40をさらに備える点で実施形態1の波長変換部材100と異なる。
 第3バリア層40は、第7主面41と第8主面42とを有する。第8主面42は、厚み方向Zにおいて、第7主面41の反対に位置する。第7主面41と第8主面42とは、例えば、厚み方向Zに直交する略平面である。第3バリア層40の材料は、第1バリア層10及び第2バリア層30の材料と同一の材料を採用できる。第3バリア層40は、被覆膜3を介して第2バリア層30上に配置される。第3バリア層40は、第7主面41が第2バリア層30の第6主面32に向かい合って配置されるとも言える。
 被覆膜3は、孔2に充填されて配置され、孔2の内面2aを被覆する。被覆膜3は、さらに、第2バリア層30と第3バリア層40との間に配置される。被覆膜3は、第2バリア層30の第6主面32、及び第3バリア層40の第7主面41を被覆する。第2バリア層30と第3バリア層40との間に配置される被覆膜3の平均厚みは、例えば、第1バリア層10の平均厚みの1%以上50%以下であってよく、好ましくは5%以上10%以下であってよい。該被覆膜3の平均厚みは、例えば、0.2μm以上100μm以下であってよく、好ましくは2μm以上50μm以下であってよい。
 第2バリア層30の第6主面32を被覆する被覆膜3と、孔2に充填される被覆膜3とは、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。被覆膜3は、例えば、孔2の内面2aと、第6主面32と、を連続して被覆する。
 上記の構成を有する波長変換部材300は、積層体301のバリア性能をより向上させることができる。具体的には、波長変換部材300の上面側から波長変換層20への水分、酸素等が入り込むことを第3バリア層40、被覆膜3、及び第2バリア層30で抑制することができ、バリア性能が向上する。
 また、上記の構成を有する波長変換部材300は、被覆膜3により積層体301に含まれる各層の互いの接着強度をより高めることができる。
4.実施形態4
 図4に示すように、実施形態4に係る波長変換部材400は、被覆膜3が孔2に充填されて配置されており、かつ、第4主面22を被覆する点において、実施形態1に係る波長変換部材100と異なる。また、実施形態4に係る波長変換部材400は、孔2が、波長変換層20及び第1バリア層10の一部にわたって設けられ、第2バリア層30に設けられない点で実施形態1に係る波長変換部材100と異なる。
 被覆膜3は、孔2に充填されて配置され、孔2の内面2aを被覆する。実施形態4において、内側の側面2cは、第1側面24及び第2側面14を含む。被覆膜3は、さらに、波長変換層20と第2バリア層30との間に配置される。第2バリア層30は、被覆膜3を介して波長変換層20上に配置される。第2バリア層30は、第5主面31が波長変換の第4主面22に向かい合って配置されるとも言える。被覆膜3は、波長変換層20の第4主面22、及び第2バリア層30の第5主面31を被覆する。波長変換層20と第2バリア層30との間に配置される被覆膜3の平均厚みは、第1バリア層10の平均厚みの1%以上50%以下であってよく、好ましくは5%以上10%以下であってよい。該被覆膜3の平均厚みは、例えば、例えば、0.2μm以上100μm以下であってよく、好ましくは2μm以上50μm以下であってよい。
 波長変換層20の第4主面22を被覆する被覆膜3と、孔2に充填される被覆膜3とは、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。例えば、第4主面22を被覆する被覆膜3と孔2に充填される被覆膜3とは同じ材料であり、被覆膜3は孔2の内面2aと第4主面22とを連続して被覆する。
 上記の構成を有する波長変換部材400は、積層体401のバリア性能をより向上させることができる。具体的には、波長変換部材400の上面側から波長変換層20への水分、酸素等が入り込むことを第2バリア層30、及び被覆膜3で抑制することができ、バリア性能が向上する。
5.製造方法1
 実施形態1の波長変換部材100の製造方法(以下、製造方法1とも称する)について説明する。
 製造方法1は、
(1-1)積層体シートを準備する工程と、
(1-2)孔を形成する工程と、
(1-3)孔の内面を被覆膜で被覆する工程と、
(1-4)孔を含む予備波長変換部材を形成する工程と、
を含んでよい。
 製造方法1は、さらに、
(1-5)予備波長変換部材から波長変換部材を得る工程
を含んでいてよい。
(1-1)積層体シートを準備する工程
 図5Aに示すように、本工程で準備される積層体シート501は、第1バリアシート510と、波長変換シート520と、第2バリアシート530と、を含む。第1バリアシート510と、波長変換シート520と、第2バリアシート530とは、この順で厚み方向Zに配置される。
 第1バリアシート510は、第1主面511と、第1主面511の反対に位置する第2主面512と、を含む。第1主面511と第2主面512とは、厚み方向Zにおいて反対に配置される。第1バリアシート510は、主バリアシートと、中間シートと、を含んでいてもよい。中間シートは、主バリアシート及び波長変換シート520の間に積層される。
 波長変換シート520は、第3主面521と、第3主面521の反対に位置する第4主面522と、を含む。第3主面521と第4主面522とは、厚み方向Zにおいて反対に配置される。波長変換シート520は、第3主面521と第1バリアシート510の第2主面512とが向かいあって第1バリアシート510上に配置される。波長変換シート520は、量子ドットを含む。
 第2バリアシート530は、第5主面531と、第5主面531の反対に位置する第6主面532と、を含む。第5主面531と第6主面532とは、厚み方向Zにおいて反対に配置される。第2バリアシート530は、第5主面531と波長変換シート520の第4主面522とが向かいあって波長変換シート520上に配置される。
 積層体シート501は、例えば、以下のようにして製造することができる。連続搬送されるフィルム状の第1バリアシート510の表面に、波長変換シート520の材料である光硬化性組成物を付与して第1組成物層を形成する。光硬化性組成物の付与方法としては例えば、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、カーテンコーティング法、エクストルージョンコーティング法、ロッドコーティング法、ロールコーティング法等が挙げられる。次いで第1組成物層上にフィルム状の第2バリアシート530を貼り合わせる。これにより第1バリアシート510、第1組成物層及び第2バリアシート530がこの順に積層された積層体シート501の前駆体が得られる。次いで、いずれかの第1バリアシート510側及び/又は第2バリアシート530側から光を照射することにより、第1組成物層を硬化して波長変換シート520を形成して、第1バリアシート510、波長変換シート520及び第2バリアシート530がこの順に積層された積層シートが得られる。このとき必要に応じて、光を照射する前に第1組成物層に乾燥処理、熱処理等を実施してもよい。なお、積層体シート501は、上記の製造方法により準備してもよく、また譲受等により準備してもよい。
 積層体シート501は、さらに、第1主面511を被覆する第1保護シート551、及び第6主面532を被覆する第2保護シート552を含んでいてよい。第1保護シート551及び第2保護シート552の材料は、例えば、表面がアクリル樹脂又はシリコーン樹脂で被覆されたポリイミドフィルムである。第1保護シート551及び第2保護シート552は、波長変換部材を製造するために使用され、後の工程で除去される。レーザ光が入射される側に配置される保護シートは、例えば、レーザ光で積層体シート501を溶断する際に、溶断時に発生する樹脂飛散物が積層体シート501の表面に付着することを抑制するものである。
(1-2)孔を形成する工程
 図5Bに示すように、本工程では、積層体シート501に孔2を形成する。孔2は、第2バリアシート530と、波長変換シート520と、第1バリアシート510の一部と、にわたって形成される。孔2は、内面2aを有する。内面2aは、第3側面34と、第1側面24と、第2側面14と、を含む。第3側面34は、第5主面531及び第6主面532を接続する。第1側面24は、第3主面521及び第4主面522を接続する。第2側面14は、第2主面512に接続する。内面2aはさらに、第1バリアシート510からなる底面2bを含む。孔2は、例えば、上面視において、後述する予備波長変換部材505の外周に沿って形成される。孔2は、該外周に沿って環状に形成されてもよい。
 孔2は、厚み方向Zに沿って形成される。孔2は、第2保護シート552、第2バリアシート530、波長変換シート520、及び第1バリアシート510の一部を、例えば厚み方向Zに除去することで形成される。本明細書では、このように積層体シート501の一部を除去することをハーフカットとも称する。孔2は、第1バリアシート510の第1主面511および第1保護シート551には達しない。
 孔2は、例えば、レーザ加工によって積層体シート501をハーフカットして形成される。レーザの種類は、レーザ光の波長が、第1バリア層10、波長変換層20、及び第2バリア層30に吸収がある波長域を含むものであればよい。レーザ加工により孔2を形成することで、内面2aを滑らかな面にすることができる。孔2の形成に用いられるレーザのレーザ光は、例えば、255nm以上10.6μm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光である。また、レーザ光のスポット径は、例えば、3μm以上200μm以下である。
 孔2の形成に用いられるレーザは、例えばCOレーザである。COレーザの波長は、例えば10.6μmである。COレーザの走査速度は、例えば100mm/s以上400mm/s以下であり、周波数は、例えば1kHz以上30kHz以下であり、出力は、例えば3.4W以上100W以下である。孔2は、例えば、周波数が5kHzであり、出力が30WであるCOレーザを走査速度200mm/sで2パス又は2ステップ照射して形成される。孔2の形成に用いられるレーザは、紫外線(UV)レーザ、グリーンレーザ等であってもよい。また、ダイシングにより、孔2を形成してもよい。
 孔2は、ガルバノ方式のレーザ照射装置により形成されてよい。レーザ光源は、例えばCOレーザである。ガルバノ方式のレーザ照射装置は、例えば2つのガルバノミラーと、ガルバノミラーで反射された光が入射するレンズと、を有する。2つのガルバノミラーは、例えば、波長変換部材を上から見たときに、反射光を第1方向について制御するガルバノミラーと、反射光を第1方向と交差する第2方向について制御するガルバノミラーと、を含む。ガルバノ方式のレーザ照射装置では、2枚のガルバノミラーの角度を変化させることで任意の照射位置に対してレーザ光を照射することができるため、例えばノズルを移動させながらレーザ光を照射するレーザ照射装置と比べて、直線以外の微細な加工(例えば、R加工等)を行いやすくなる。
 レーザ加工により孔2を形成する場合、孔2は、1回のパスによる照射で形成されてもよく、複数回のパス又は複数回のステップによる照射で形成されてもよい。
 また、孔2を複数ステップ(例えば、2ステップ)で形成する場合、例えば、図6Aに示す照射位置に1ステップ目の照射を行い、図6Bに示す照射位置に2ステップ目の照射を行う。2ステップ目の照射位置は、1ステップ目の照射位置よりも外側に位置している。これにより、1ステップ目と2ステップ目とで照射位置を移動させずに照射を行う場合と比較して、孔2の開口を広くすることができる。さらに、孔2の内面2aの面積を広くすることができる。2ステップ目の照射位置を1ステップ目の照射位置より内側に移動させても同様に、孔2の開口、及び内面2aの面積を広くすることができる。2ステップ目の照射において、1ステップ目の照射位置から外側又は内側へ移動させる距離は、例えば、レーザ光のスポット径以下であり、好ましくは3μm以上200μm以下であり、より好ましくは100μm以上150μm以下である。なお、図6B、図7、及び図8では、例示的に、1ステップ目の照射光を破線で示し、2ステップ目の照射光を一点鎖線で示している。また、孔を形成する工程の説明において、「内側」及び「外側」とは、製造される波長変換部材における内側及び外側を意味する。
 このように照射位置を移動させて孔2の開口を広くすることにより、後述の、孔の内面を被覆膜で被覆する工程において、被覆膜3の材料を孔2に配置しやすくなる。また、被覆膜3の材料として樹脂を採用し、樹脂を孔2に塗布した際、孔2からあふれ出る等した樹脂が、積層体シート501の上面に堆積することを抑制できる。これにより、供給される所定量の樹脂を孔2内に配置することができる。また、積層体シート501が第2保護シート552を含まない場合、又は第2保護シート552を除去した後に被覆膜3を形成する場合に、樹脂が第2バリアシート530の上面に堆積することを抑制でき、製造される波長変換部材の表面を滑らかにできる。さらに、照射位置を移動させて孔2の内面2aの面積を広くすることにより、被覆膜3と積層体シート501との密着強度を高めることができる。その結果、積層体1と被覆膜3との密着強度が高い波長変換部材を得ることができる。また、2ステップ目の照射位置を1ステップ目の照射位置よりも外側に移動させると、製造された波長変換部材において、内側積層体1Aの範囲を広くすることができる。
 また、図1Fに示す波長変換部材を製造する場合、製造される波長変換部材の外周に沿って、2ステップ目の照射位置を1ステップ目の照射位置より外側又は内側に移動させることで、幅狭部と幅広部とを含む孔を形成することができる。これにより、孔の開口、及び孔の内面の面積を広くできる。
 また、レーザ加工により孔2を形成する場合、1ステップ目の照射位置から2ステップ目の照射位置を内側又は外側へ移動させ、且つ、1ステップ目における照射光の照射強度とステップ目の照射光の照射強度とを異ならせてもよい。例えば、図7に示すように、2ステップ目の照射位置を1ステップ目の照射位置より外側に移動させ、かつ、2ステップ目における照射光の照射強度を1ステップ目における照射光の照射強度よりも弱くする。2ステップ目における照射光の照度強度は、例えば、波長変換シート520にレーザ光が到達しない照射強度である。2ステップ目の照射光の照度強度は、例えば、第2バリアシート530の少なくとも一部を除去する照射強度であってよい。これにより、孔2の開口、及び孔2の内面2aの面積を広くできる。さらに、第2バリアシート530から露出する波長変換シート520の範囲を狭くすることができる。その結果、製造された波長変換部材において、第2バリア層30から露出した波長変換層20の範囲を狭くでき、水分、酸素等が波長変換層20に入り込むことをより抑制できる。
 また、1ステップ目における照射光の照射強度と2ステップ目の照射光の照射強度とを異ならせ、かつ、1ステップ目における照射光の照射幅と2ステップ目における照射光の照射幅とを異ならせてもよい。例えば、図8に示すように、2ステップ目における照射光の照射強度を1ステップ目における照射光の照射強度よりも弱くし、かつ、2ステップ目における照射光の照射幅を1ステップ目における照射光の照射幅より広くする。2ステップ目における照射光の照度強度は、例えば、第2バリアシート530の一部を除去し、波長変換シート520に達しない照射強度である。2ステップ目における照射光の照度幅は、例えば、1ステップ目の照射光における照射幅の1.5倍以上4倍以下である。これにより、孔2の開口、及び孔2の内面2aの面積を広くできる。さらに、第2バリアシート530から露出する波長変換シート520の範囲を狭くすることができる。
 また、図8の形態において、2ステップ目の照射位置は、上面視で、2ステップ目の孔の底面が1ステップ目で形成される孔と重なる範囲で内側又は外側に移動させてもよい。2ステップ目の照射位置は、例えば、1回目のステップの照射位置よりも50μm以上200μm以下の範囲で内側又は外側である。これにより、孔2の開口、及び孔2の内面2aの面積を広くできるとともに、第2バリアシート530から露出する波長変換シート520の範囲を狭くすることができる。
 なお、レーザ加工におけるステップ数は2回に限定されず、3回以上であってもよい。3回以上の複数ステップで照射する場合も、適宜、照射位置を移動させること、照射強度を異ならせること、及び/若しくは、照射幅を異ならせること、で上記と同様の効果が得られる。また、孔2は、1回のパスによる照射で形成されてよく、2回以上のパスによる照射で形成されてよい。
 また、孔2は、カッター等を用いて積層体シート501をハーフカットして形成されてもよい。カッターは、トムソン刃、超音波カッター等を採用できる。孔2は、例えば、積層体シート501にカッターを押し込み、積層体シート501を圧縮させて形成される。また、孔2は、積層体シート501に加熱したカッターを押し込み、積層体シート501を熱溶融させて形成してもよい。熱溶解させることで、内面2aを滑らかな面にすることができる。
 また、孔2は、いわゆる精密ハーフカットにより形成されてもよい。具体的には、孔2は、精密ハーフカットにより、第2保護シート552、第2バリアシート530、波長変換シート520、及び第1バリアシート510の一部を除去して形成されてもよい。
 また、孔2は、マスクを用いたブラスト処理、プラズマによるドライエッチング処理等で形成されてもよい。
 孔を形成する工程は、孔2を形成した後に、孔2の内面2aに対して凹凸形状を形成する工程をさらに有していてよい。このような工程として、例えば、ウェットブラスト処理またはサンドブラスト処理を用いることができる。
 第1バリアシート510が主バリアシートと中間シートとを含む場合、孔2は、例えば、第2バリアシート530と、波長変換シート520と、中間シートと、にわたって形成される。すなわち、孔2が形成される第1バリアシート510の一部は、中間シートであってもよい。
(1-3)孔の内面を被覆膜で被覆する工程
 図5Cに示すように、本工程では、内面2aを被覆膜3で被覆する。このとき、第2保護シート552の表面も併せて被覆膜3で被覆してもよい。被覆膜3の材料として樹脂を採用する場合、樹脂を内面2aに塗布し、硬化させることで被覆膜3を形成できる。樹脂は、例えば、エアディスペンサによって孔2に配置されることで、内面2aに塗布される。また、容量計量式、スクリュー式、ジェット式等のディスペンス方式を用いてもよい。このように樹脂を塗布して被覆膜3を形成する場合、塗布後であり硬化前の樹脂が、重力により底面2b側に移動する。その結果、例えば、第1側面24を被覆する被覆膜3を、第3側面34を被覆する被覆膜3よりも厚くできる。これにより、波長変換層20に水分等が入り込むことをより抑制することができる。なお、樹脂の塗布と硬化とを複数回にわたって実施し被覆膜3を形成することで、該重力を利用して第1側面24の被覆膜3をより厚くすることができる。
(1-4)孔を含む予備波長変換部材を形成する工程
 図5Dに示すように、本工程では、第6主面532から第1主面511に向かって積層体シート501を切断する。言い換えると、積層体シート501を厚み方向Zに切断する。該切断により、第1主面511に接続する第1端面13を露出させ、孔2を含む予備波長変換部材505を形成する。
 予備波長変換部材505は、第3主面521に交差するとともに第1端面13を通る一の断面M1において、孔2が第1端面13よりも内側に位置する。断面M1において、孔2の内面2aに含まれる第1側面24は、例えば、第1端面13から100μm以上1000μm以下の範囲に位置する。
 積層体シート501の切断は、孔2を形成する工程と同様に、例えば、レーザ加工、カッターによる切断、精密ハーフカット等によって実施される。積層体シート501の切断に用いられるレーザのレーザ光は、例えば、255nm以上10.6μm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光である。また、レーザ光のスポット径は、例えば、3μm以上200μm以下である。
 積層体シート501の切断に用いられるレーザは、例えばCOレーザである。COレーザの波長は、例えば10.6μmである。COレーザの走査速度は、例えば50mm/s以上400mm/s以下であり、周波数は、例えば1kHz以上30kHz以下であり、出力は、例えば3.4W以上100W以下である。積層体シート501は、例えば、周波数が5kHzであり、出力が30WであるCOレーザを走査速度100mm/sで1パス照射して切断できる。
(1-5)予備波長変換部材から波長変換部材を得る工程
 図5Eに示すように、本工程では、第1保護シート551、第2保護シート552の表面を被覆する被覆膜3、及び第2保護シート552を除去し、積層体1を含む波長変換部材100を得る。第1保護シート551、第2保護シート552の表面を被覆する被覆膜3、及び第2保護シート552は、例えば、エッチング、酸素、フッ素等のガスを用いたプラズマエッチング、レーザエッチング、又はブラストエッチング等によって除去される。さらに、ここで、孔2に緩衝材を配置してもよい。緩衝材を配置する工程は、(1-3)孔の内面を被覆膜で被覆する工程の後であれば、いずれのタイミングで行ってもよい。
 上記では、(1-4)予備波長変換部材を形成する工程が(1-3)孔の内面を被覆膜で被覆する工程の後に実施される場合を説明した。なお、(1-4)予備波長変換部材を形成する工程は、(1-2)孔を形成する工程と(1-3)孔の内面を被覆膜で被覆する工程との間に実施されてもよい。(1-4)予備波長変換部材を形成する工程が、(1-2)孔を形成する工程の後に実施される場合、波長変換部材に対して、ハーフカットを行う工程とフルカットを行う工程との2つのカット工程を連続して実施することができる。これにより、2つのカット工程を同じ切断装置内で実施することができるため、カット工程にかかる時間を短縮することができる。なお、(1-3)孔の内面を被覆膜で被覆する工程は、予備波長変換部材から第2保護シート552を除去した後に行われてもよい。
6.製造方法2
 実施形態2に係る波長変換部材200の製造方法(製造方法2)は、孔を含む予備波長変換部材を形成する工程において、積層体シート501を切断する箇所が、製造方法1と異なる。また、製造方法2では、孔を形成する工程において、孔2が形成される方向が製造方法1と異なっていてもよい。また、製造方法2では、孔の内面を被覆膜で被覆する工程において、被覆膜3を形成後、被覆膜3の一部を除去する点で製造方法1と異なっていてもよい。
 以下に製造方法1と異なる点を具体的に説明する。なお、製造方法1と同一の内容は省略する。具体的には、製造方法2における(2-1)積層体シートを準備する工程、及び(2-5)予備波長変換部材から波長変換部材を得る工程はそれぞれ、製造方法1における(1-1)積層体シートを準備する工程、及び(1-5)予備波長変換部材から波長変換部材を得る工程と同一であるため、以下では省略する。
(2-2)孔を形成する工程
 図9Aに示す積層体シート501において、孔202は、第2保護シート552と、第2バリアシート530と、波長変換シート520と、第1バリアシート510の一部と、を厚み方向Zに対して交差する方向に形成される。具体的には、孔202を構成する第3側面234、第1側面224、第2側面214は、この順で、製造目的の波長変換部材200の内側から外側に向かって拡がって傾斜する。換言すると、形成された孔202の内面202aは、厚み方向Zに交差する第2側面214、第1側面224、及び第3側面234を含む。
 孔を形成する工程は、孔202を形成した後に、孔202の内面202aに対して凹凸形状を形成する工程をさらに有していてよい。このような工程として、例えば、ウェットブラスト処理またはサンドブラスト処理を用いることができる。以降の他の実施形態に係る製造方法についても同様である。
(2-3)孔の内面を被覆膜で被覆する工程
 孔202を形成した後、製造方法1と同様の方法により、孔202の内面202aを被覆膜3で被覆する。なお、このとき、第2保護シート552の表面も被覆膜3で被覆してもよい。
 その後、図9Bに示すように、孔202の底面2bの被覆膜3の一部を除去し、第1バリアシート510を露出させる。該除去は、例えば、エッチング、酸素、フッ素等のガスを用いたプラズマエッチング、レーザエッチング、又はブラストエッチング等で行われる。このとき、第1バリアシート510の一部をともに除去し、第1バリアシート510を露出させてもよい。該一部を除去することで、段部17を形成することができる。
(2-4)孔を含む予備波長変換部材を形成する工程
 図9Cに示すように、製造方法2では、積層体シート501を孔202の底面2bから第1主面511に向けて切断する。例えば、段部17の底部において、積層体シート501を厚み方向Zに切断する。該切断により、第1主面511に接続する第1端面13を露出させる。
 その後、第1保護シート551、第2保護シート552、及び第2保護シート552の表面を被覆する被覆膜3を除去する。これにより、図9Dに示すように、波長変換層220の第3主面21に交差するとともに第1端面13を通る一の断面M1において、第3側面234、第1側面224、及び第2側面214が、第1端面13よりも内側に位置する波長変換部材200を得ることができる。
7.製造方法3
 実施形態3に係る波長変換部材300の製造方法(製造方法3)は、孔の内面を被覆膜で被覆する工程において、孔2に被覆膜3を充填させて内面2aを被覆し、かつ第6主面532を被覆膜3で被覆する点で製造方法1と異なる。さらに、製造方法3は、孔を含む予備波長変換部材を得る工程の前に、第3バリアシートを配置する工程を含む点で、製造方法1と異なる。
 以下に製造方法1と異なる点を具体的に説明する。なお、製造方法1と同一の内容は省略する。具体的には、製造方法3における(3-2)孔を形成する工程、及び(3-5)予備波長変換部材から波長変換部材を得る工程はそれぞれ、製造方法1における(1-2)孔を形成する工程、及び(1-5)予備波長変換部材から波長変換部材を得る工程と同一であるため、以下では省略する。
(3-1)積層体シートを準備する工程
 図10Aに示すように、製造方法3における積層体シート501Aは、第1保護シート551と、第1バリアシート510と、波長変換シート520と、第2バリアシート530と、を含む。図10Aに示す積層体シート501Aでは、(3-2)孔を形成する工程の後に、第2保護シートは除去されている。
(3-3)孔の内面を被覆膜で被覆する工程
 図10Aに示すように、製造方法3においては、孔2に被覆膜3を充填させて内面2aを被覆し、かつ第6主面532を被覆膜3で被覆する。被覆膜3の形成方法は、製造方法1と同様の方法を採用できる。
(3-3.5)第3バリアシートを配置する工程
 図10Bに示すように、本工程では、第6主面532を被覆する被覆膜3上に第3バリアシート540を配置する。第3バリアシート540は、第6主面532を被覆する被覆膜3を接着部材として、被覆膜3上に配置させることができる。
(3-4)孔を含む予備波長変換部材を形成する工程
 孔を含む予備波長変換部材を形成する工程では、積層体シート501Aとあわせて第3バリアシート540及び第6主面532を被覆する被覆膜3を切断して、第1端面を露出させる。
8.製造方法4
 実施形態4に係る波長変換部材400の製造方法(製造方法4)は、積層体シートを準備する工程において、第2バリアシート530を含まない積層体シートを準備する点で製造方法1と異なる。また、製造方法4は、孔の内面2aを被覆膜で被覆する工程において、孔2に被覆膜3を充填させて内面を被覆し、かつ第4主面522を被覆膜3で被覆する点で製造方法1と異なる。さらに、製造方法4は、孔を含む予備波長変換部材を得る工程の前に、第2バリアシートを配置する工程を含む点で、製造方法1と異なる。
 以下に製造方法1と異なる点を具体的に説明する。なお、製造方法1と同一の内容は省略する。具体的には、製造方法4における(4-2)孔を形成する工程、及び(4-5)予備波長変換部材から波長変換部材を得る工程はそれぞれ、製造方法1における(1-2)孔を形成する工程、及び(1-5)予備波長変換部材から波長変換部材を得る工程と同一であるため、以下では省略する。
(4-1)積層体シートを準備する工程
 図11Aに示すように、製造方法4における積層体シート501Bは、第1保護シート551と、第1バリアシート510と、波長変換シート520と、を含む。図11Aに示す積層体シート501Bでは、(4-2)孔を形成する工程の後に、第2保護シートは除去されている。
(4-3)孔の内面を被覆膜で被覆する工程
 図11Aに示すように、製造方法4においては、孔2に被覆膜3を充填させて内面2aを被覆し、かつ第4主面522を被覆膜3で被覆する。被覆膜3の形成方法は、製造方法1と同様の方法を採用できる。
(4-3.5)第2バリアシートを配置する工程
 図11Bに示すように、本工程では、第4主面522を被覆する被覆膜3上に第2バリアシート530を配置する。第2バリアシート530は、第4主面522を被覆する被覆膜3を接着部材として、被覆膜3上に配置させることができる。
(4-4)孔を含む予備波長変換部材を形成する工程
 孔を含む予備波長変換部材を形成する工程では、積層体シート501Bとあわせて第2バリアシート530及び第4主面522を被覆する被覆膜3を切断して、第1端面を露出させる。
9.他の構成
 また、例えば、本開示は、以下のような構成をとることができる。
項(1)
 第1主面と、前記第1主面の反対に位置する第2主面と、前記第1主面に接続する端面と、を含む第1バリア層と、
 第3主面と前記第3主面の反対に位置する第4主面とを含み、前記第3主面と前記第1バリア層の前記第2主面とが向かいあって前記第1バリア層上に配置された、量子ドットを含む波長変換層と、
 第5主面と前記第5主面の反対に位置する第6主面とを含み、前記第5主面と前記波長変換層の前記第4主面とが向かいあって前記波長変換層上に配置された第2バリア層と、
を含む積層体を備え、
 前記波長変換層は、前記第3主面に交差するとともに前記端面を通る一の断面において、前記端面より内側に位置し、かつ前記第3主面および前記第4主面を接続する第1側面を有し、
 前記第1側面は、被覆膜に被覆される、波長変換部材。
項(2)
 前記第1バリア層は、前記断面において前記端面よりも内側に位置し、前記第2主面に接続する第2側面を有し、
 前記積層体は、前記波長変換層と前記第1バリア層の一部とにわたって設けられ、かつ、前記第1側面及び前記第2側面を含む内面を有する孔が設けられ、
 前記被覆膜は、前記孔内において、前記第1側面と前記第2側面とを連続して被覆する、項1に記載の波長変換部材。
項(3)
 前記第2バリア層は、前記断面において、前記第5主面及び前記第6主面を接続し、前記端面より内側に位置する第3側面を有し、
 前記孔は、前記第2バリア層にさらにわたって設けられ、前記第3側面をさらに含む前記内面を有し、
 前記被覆膜は、前記孔内において、さらに前記第1側面と前記第3側面とを連続して被覆する、項2に記載の波長変換部材。
項(4)
 前記孔には、緩衝材がさらに配置される、項2又は3に記載の波長変換部材。
項(5)
 前記被覆膜は、前記孔に充填されて配置され、かつ、前記第6主面をさらに被覆し、
 前記被覆膜を介して前記第6主面上に積層された第3バリア層をさらに備える、項2又は3に記載の波長変換部材。
項(6)
 前記被覆膜は、前記孔に充填されて配置され、かつ、前記第4主面をさらに被覆し、
 前記第2バリア層は、前記被覆膜を介して前記第4主面に積層される、項2に記載の波長変換部材。
項(7)
 前記第1バリア層は、前記断面において前記端面よりも内側に位置し、前記第2主面に接続する第2側面を有し、
 前記第2バリア層は、前記断面において前記端面より内側に位置し、前記第5主面と前記第6主面とを接続する第3側面を有し、
 前記被覆膜は、
  前記第1側面と、前記第2側面と、前記第3側面とを連続して被覆し、
  前記積層体の外周面に露出する、項1に記載の波長変換部材。
項(8)
 前記第1バリア層は、主バリア層と、前記主バリア層及び前記波長変換層の間に積層され、前記第2側面を有する中間層と、を含む、項2から7のいずれか1項に記載の波長変換部材。
項(9)
 前記第1側面は、前記積層体の外周に沿って配置されている、項1から8のいずれか1項に記載の波長変換部材。
項(10)
 前記第1側面は、前記断面において前記端面から100μm以上1000μm以下の範囲に位置する、項1から9のいずれか1項に記載の波長変換部材。
項(11)
 前記被覆膜は、
  熱硬化型ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される少なくとも1つからなる第1層と、
  塩化ビニリデン樹脂、フッ素系樹脂、及び酸化物からなる群から選択される少なくとも1つからなり、前記第1層上に配置される第2層と、
を含む、項1から10のいずれか1項に記載の波長変換部材。
項(12)
 前記被覆膜は、めっき層と、前記めっき層上に配置される原子層堆積層と、を含む、項1から10のいずれか1項に記載の波長変換部材。
項(13)
 前記被覆膜は、酸素プラズマ処理層と、前記酸素プラズマ処理層上に配置される化学気相成長層と、を含む、項1から10のいずれか1項に記載の波長変換部材。
項(14)
  第1主面と、前記第1主面の反対に位置する第2主面と、を含む第1バリアシートと、
  第3主面と前記第3主面の反対に位置する第4主面とを含み、前記第3主面と前記第1バリアシートの第2主面とが向かいあって前記第1バリアシート上に配置された、量子ドットを含む波長変換シートと、
  第5主面と前記第5主面の反対に位置する第6主面とを含み、前記第5主面と前記波長変換シートの第4主面とが向かいあって前記波長変換シート上に配置された第2バリアシートと、
を含む積層体シートを準備することと、
 前記第2バリアシートと、前記波長変換シートと、前記第1バリアシートの一部と、にわたる孔であって、前記第5主面及び前記第6主面を接続する第3側面と、前記第3主面及び前記第4主面を接続する第1側面と、前記第2主面に接続する第2側面と、を含む内面を有する前記孔を形成することと、
 前記孔の前記内面を被覆膜で被覆することと、
 前記第6主面から前記第1主面に向かって前記積層体シートを切断し、前記第1主面に接続する端面を露出させ、前記孔を含む予備波長変換部材を形成することと、
を含み、
 前記予備波長変換部材は、前記第3主面に交差するとともに前記端面を通る一の断面において、前記孔が前記端面よりも内側に位置する、波長変換部材の製造方法。
項(15)
 前記第1バリアシートは、主バリアシートと、前記主バリアシート及び前記波長変換シートの間に積層された中間シートと、を含み、
 前記孔が形成される前記第1バリアシートの一部は、前記中間シートである、項14に記載の波長変換部材の製造方法。
項(16)
 前記孔に緩衝材をさらに配置することをさらに含む、項14又は15に記載の波長変換部材の製造方法。
項(17)
 前記断面において、前記第1側面は、前記端面から100μm以上1000μm以下の範囲に位置する、項14から16のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
項(18)
 第1主面と、前記第1主面の反対に位置する第2主面と、を含む第1バリアシートと、
  第3主面と前記第3主面の反対に位置する第4主面とを含み、前記第3主面と前記第1バリアシートの第2主面とが向かいあって前記第1バリアシート上に配置された、量子ドットを含む波長変換シートと、
  第5主面と前記第5主面の反対に位置する第6主面とを含み、前記第5主面と前記波長変換シートの第4主面とが向かいあって前記波長変換シート上に配置された第2バリアシートと、
を含む積層体シートを準備することと、
 前記第2バリアシートと、前記波長変換シートと、前記第1バリアシートの一部と、にわたる孔であって、前記第5主面及び前記第6主面を接続する第3側面と、前記第3主面及び前記第4主面を接続する第1側面と、前記第2主面に接続する第2側面と、前記第1バリアシートからなる底面と、を含む内面を有する前記孔を形成することと、
 前記孔の前記内面を被覆膜で被覆することと、
 前記底面から前記第1主面に向って前記積層体シートを切断し、前記第1主面に接続する端面を露出させ、前記第3側面、前記第1側面、及び前記第2側面を含む予備波長変換部材を形成することと、
を含み、
 前記予備波長変換部材は、前記第3主面に交差するとともに前記端面を通る一の断面において、前記第3側面、前記第1側面、及び前記第2側面が、前記端面よりも内側に位置する、波長変換部材の製造方法。
項(19)
 前記第1バリアシートは、主バリアシートと、前記主バリアシート及び前記波長変換シートの間に積層された中間シートと、を含み、
 前記孔が形成される前記第1バリアシートの一部は、前記中間シートである、項18に記載の波長変換部材の製造方法。
項(20)
 前記被覆膜の一部を除去し、前記第1バリアシートを露出させることをさらに含み、
 前記予備波長変換部材は、前記端面に接続する、該露出した前記底面を含む、項18又は19に記載の波長変換部材の製造方法。
項(21)
 前記孔を形成すること及び前記積層体シートを切断することは、レーザ加工で実施される、項14から20のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
項(22)
 前記孔は、前記予備波長変換部材の外周に沿って配置されている、項14から21のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
項(23)
 前記被覆膜は、
  熱硬化型ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される少なくとも1つからなる第1層と、
  塩化ビニリデン樹脂、フッ素系樹脂、及び酸化物からなる群から選択される少なくとも1つからなり、前記第1層上に配置される第2層と、
を含む、項14から22のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
項(24)
 前記被覆膜は、めっき層と、前記めっき層上に配置される原子層堆積層と、を含む、項14から22のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
項(25)
 前記被覆膜は、酸素プラズマ処理層と、前記酸素プラズマ処理層上に配置される化学気相成長層と、を含む、項14から22のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
項(26)
 前記予備波長変換部材を形成することは、前記被覆膜で被覆することの後に実施される、項14から25のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
項(27)
 前記被覆膜で被覆することは、前記予備波長変換部材を形成することの後に実施される、項14から25のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
 以上、本開示の実施形態及び変形例を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施形態及び変形例における要素の組合せ、順序の変化等は請求された本開示の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
参考例1 積層シートの作製
半導体ナノ粒子を含む分散液の準備
 まず、半導体ナノ粒子を含む分散液として、緑色に発光するInPを含む分散液Aと、赤色に発光するInPを含む分散液Bと、を準備した。分散液Aに含まれる半導体ナノ粒子の含有量は10質量%であった。分散液Bに含まれる半導体ナノ粒子の含有量は10質量%であった。なお、分散液AおよびBの分散媒は、イソボルニルアクリレート(IBOA)であった。
発光特性
 緑色に発光するInPを含む分散液Aおよび赤色に発光するInPを含む分散液Bについて、発光特性を測定した。量子効率測定装置(QE-2100)を用いて、発光ピーク波長が450nmである光を、緑色に発光するInPを含む分散液Aおよび赤色に発光するInPを含む分散液Bに照射して、室温(25℃)における発光スペクトルを測定した。緑色に発光するInPを含む分散液Aおよび赤色に発光するInPを含む分散液Bは、450nmの吸光度が0.15となるようにクロロホルムで希釈して使用した。得られた発光スペクトルから緑色に発光するInPを含む分散液Aについては内部量子効率が80%、発光ピーク波長が532nm、発光スペクトルにおける半値幅が35nmであった。得られた発光スペクトルから赤色に発光するInPを含む分散液Bについては、内部量子効率が79%、発光ピーク波長が628nm、発光スペクトルにおける半値幅が34nmであった。内部量子効率(%)は、ナノ粒子に吸収された光量子のうち、発光に変換された光量子の割合であり、発光光量子数(%)を吸収光量子数(%)で除すことにより算出した。緑色に発光するInPを含む分散液Aおよび赤色に発光するInPを含む分散液Bの発光特性を表1に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 緑色に発光するInPを含む分散液Aは、内部量子効率が80%であり、半値幅が35nmであった。また、発光ピーク波長が532nmであり、発光ピーク波長が450nmである光を吸収して緑色に発光した。赤色に発光するInPを含む分散液Bは、内部量子効率が79%であり、半値幅が34nmであった。また、発光ピーク波長が628nmであり、発光ピーク波長が450nmである光を吸収して赤色に発光した。
 2,2-ビス[[(3-メルカプトプロピオニル)オキシ]メチル]トリメチレン ビス[3-メルカプトプロピオネート](PEMP)10gと光開始重合開始剤である2,4,6―トリメチルベンゾイルホスフィンオキシド(TPO):0.33gを褐色瓶中で24h攪拌し、PEMP/TPO溶液を得た。
 PEMP/TPO溶液0.9gとトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP;新中村化学工業株式会社製):2.1g、シリコーン粒子(KMP-706;信越化学工業株式会社製):0.09g及びを緑色に発光するInPを含む分散液A:0.3gを自転公転ミキサーで混合し、光硬化性組成物Aを調製した。  
 同様にPEMP/TPO溶液1.4gとトリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A-DCP;新中村化学工業株式会社製):3.5g、シリコーン粒子(KMP-706;信越化学工業株式会社製):0.5g及びを赤色に発光するInPを含む分散液B:0.15gを自転公転ミキサーで混合し、光硬化性組成物Bを調製した。
 バリア層として、バリアフィルム(TBF1004;i-componets社製)を準備した。また離型用基材として、PETフィルムを準備した。片側にPETフィルム、もう片側にバリアフィルムを準備して、2枚のフィルムの間に光硬化組成物Bを塗布した後、ロール・トゥ・ロール塗工機を使用して、UV照射器から120mJ/cmの積算光量の紫外線を照射し、モノマーの重合反応を開始させて仮硬化させ、厚み50μmの波長変換層1の片面にバリアィルム、もう片面にPETフィルムが接着した積層シート1を準備した。
 積層シート1のPETフィルムを剥がし、バリアフィルムと波長変換層1の間に光硬化組成物Aを塗布した後、ロール・トゥ・ロール塗工機を使用して、UV照射器から6060mJ/cmの積算光量の紫外線を照射し、モノマーの重合反応を開始させて硬化させ、厚み50μmの波長変換層1および50μmの波長変換層2の主面にバリアフィルムが接着した積層シート2を作製した。
実施例1
 以下のようにして、実施例1の波長変換部材を作製した。得られた積層シートに対して、積層シートの端面よりも内側において、バリア層および波長変換層を貫通し、他方のバリア層まで到達する孔を形成した。具体的には、一例として、積層シートの端面から孔の内面までの距離が500μm以下となるようにCOレーザを用いてハーフカットした。孔は、積層シートの端面から350μmの位置に中心があり、幅300μmであった。ハーフカットの条件としては、一例として、波長10.6μmのCOレーザを用いて、走査速度400mm/sで2パス、周波数5kHzおよび出力30Wの条件で1回目のハーフカット(1ステップ目)を実施し、その後1ステップ目の照射位置と隣接する位置に同条件で2回目のハーフカット(2ステップ目)を実施した。
 次に、被覆膜として3017B(Three Bond社製)をエアー式のディスペンス塗布によりハーフカットにより形成された孔に充填し、一例としてUV照射器から6000mJ/cmの積算光量の紫外線を照射して硬化させて、実施例1の波長変換部材を作製した。
実施例2
 被覆膜の種類をTB3715(Three Bond社製)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の波長変換部材を作製した。
実施例3
 被覆膜の種類をXS-LMP1100(協立化学社製)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の波長変換部材を作製した。
比較例1
 孔に被覆膜を配置しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の波長変換部材を作製した。
退色性評価
 上記で得られた波長変換部材について、以下のようにして端部からの退色性を評価した。各波長変換部材を、温度が85℃、相対湿度が85%の雰囲気の恒温恒湿槽(エスペック株式会社製)に静置した。500時間を経過した後に恒温恒湿槽から取り出して保管試験後の試料とした。
 保管試験後の試料について、デジタルカメラ(オリンパス製)を用いて主面側から外観を撮影して評価用画像を得た。評価用画像について画像解析ソフトを用いて、波長変換部材の1辺から対向する他辺への距離を横軸とする緑色に対応する発光強度プロファイルを得た。得られた発光強度プロファイルにおいて、波長変換部材の両端部からの距離が等しい中点における発光強度と、中点からそれぞれ0.5mmの位置における2点の発光強度の計3点の発光強度の算術平均値を100%とした相対発光強度プロファイルを得た。相対発光強度プロファイルにおいて相対発光強度85%に対応する孔の内側面からの距離(mm)を求めて、退色性の評価値とした。結果を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 日本国特許出願2022-110496号(出願日:2022年7月8日)、日本国特許出願2022-192772号(出願日:2022年12月1日)および日本国特許出願2023-037777号(出願日:2023年3月10日)の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。

Claims (27)

  1.  第1主面と、前記第1主面の反対に位置する第2主面と、前記第1主面に接続する端面と、を含む第1バリア層と、
     第3主面と前記第3主面の反対に位置する第4主面とを含み、前記第3主面と前記第1バリア層の前記第2主面とが向かいあって前記第1バリア層上に配置された、量子ドットを含む波長変換層と、
     第5主面と前記第5主面の反対に位置する第6主面とを含み、前記第5主面と前記波長変換層の前記第4主面とが向かいあって前記波長変換層上に配置された第2バリア層と、
    を含む積層体を備え、
     前記波長変換層は、前記第3主面に交差するとともに前記端面を通る一の断面において、前記端面より内側に位置し、かつ前記第3主面および前記第4主面を接続する第1側面を有し、
     前記第1側面は、被覆膜に被覆される、波長変換部材。
  2.  前記第1バリア層は、前記断面において前記端面よりも内側に位置し、前記第2主面に接続する第2側面を有し、
     前記積層体は、前記波長変換層と前記第1バリア層の一部とにわたって設けられ、かつ、前記第1側面及び前記第2側面を含む内面を有する孔が設けられ、
     前記被覆膜は、前記孔内において、前記第1側面と前記第2側面とを連続して被覆する、請求項1に記載の波長変換部材。
  3.  前記第2バリア層は、前記断面において、前記第5主面及び前記第6主面を接続し、前記端面より内側に位置する第3側面を有し、
     前記孔は、前記第2バリア層にさらにわたって設けられ、前記第3側面をさらに含む前記内面を有し、
     前記被覆膜は、前記孔内において、さらに前記第1側面と前記第3側面とを連続して被覆する、請求項2に記載の波長変換部材。
  4.  前記孔には、緩衝材がさらに配置される、請求項2又は3に記載の波長変換部材。
  5.  前記被覆膜は、前記孔に充填されて配置され、かつ、前記第6主面をさらに被覆し、
     前記被覆膜を介して前記第6主面上に積層された第3バリア層をさらに備える、請求項2又は3に記載の波長変換部材。
  6.  前記被覆膜は、前記孔に充填されて配置され、かつ、前記第4主面をさらに被覆し、
     前記第2バリア層は、前記被覆膜を介して前記第4主面上に積層される、請求項2に記載の波長変換部材。
  7.  前記第1バリア層は、前記断面において前記端面よりも内側に位置し、前記第2主面に接続する第2側面を有し、
     前記第2バリア層は、前記断面において前記端面より内側に位置し、前記第5主面と前記第6主面とを接続する第3側面を有し、
     前記被覆膜は、
      前記第1側面と、前記第2側面と、前記第3側面とを連続して被覆し、
      前記積層体の外周面に露出する、請求項1に記載の波長変換部材。
  8.  前記第1バリア層は、主バリア層と、前記主バリア層及び前記波長変換層の間に積層され、前記第2側面を有する中間層と、を含む、請求項2から7のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  9.  前記第1側面は、前記積層体の外周に沿って配置されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  10.  前記第1側面は、前記断面において前記端面から100μm以上1000μm以下の範囲に位置する、請求項1から9のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  11.  前記被覆膜は、
      熱硬化型ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される少なくとも1からなる第1層と、
      塩化ビニリデン樹脂、フッ素系樹脂、及び酸化物からなる群から選択される少なくとも1からなり、前記第1層上に配置される第2層と、
    を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  12.  前記被覆膜は、めっき層と、前記めっき層上に配置される原子層堆積層と、を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  13.  前記被覆膜は、酸素プラズマ処理層と、前記酸素プラズマ処理層上に配置される化学気相成長層と、を含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の波長変換部材。
  14.   第1主面と、前記第1主面の反対に位置する第2主面と、を含む第1バリアシートと、
      第3主面と前記第3主面の反対に位置する第4主面とを含み、前記第3主面と前記第1バリアシートの前記第2主面とが向かいあって前記第1バリアシート上に配置された、量子ドットを含む波長変換シートと、
      第5主面と前記第5主面の反対に位置する第6主面とを含み、前記第5主面と前記波長変換シートの前記第4主面とが向かいあって前記波長変換シート上に配置された第2バリアシートと、
    を含む積層体シートを準備することと、
     前記第2バリアシートと、前記波長変換シートと、前記第1バリアシートの一部と、にわたる孔であって、前記第5主面及び前記第6主面を接続する第3側面と、前記第3主面及び前記第4主面を接続する第1側面と、前記第2主面に接続する第2側面と、を含む内面を有する前記孔を形成することと、
     前記孔の前記内面を被覆膜で被覆することと、
     前記第6主面から前記第1主面に向かって前記積層体シートを切断し、前記第1主面に接続する端面を露出させ、前記孔を含む予備波長変換部材を形成することと、
    を含み、
     前記予備波長変換部材は、前記第3主面に交差するとともに前記端面を通る一の断面において、前記孔が前記端面よりも内側に位置する、波長変換部材の製造方法。
  15.  前記第1バリアシートは、主バリアシートと、前記主バリアシート及び前記波長変換シートの間に積層された中間シートと、を含み、
     前記孔が形成される前記第1バリアシートの一部は、前記中間シートである、請求項14に記載の波長変換部材の製造方法。
  16.  前記孔に緩衝材をさらに配置することをさらに含む、請求項14又は15に記載の波長変換部材の製造方法。
  17.  前記断面において、前記第1側面は、前記端面から100μm以上1000μm以下の範囲に位置する、請求項14から16のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
  18.  第1主面と、前記第1主面の反対に位置する第2主面と、を含む第1バリアシートと、
      第3主面と前記第3主面の反対に位置する第4主面とを含み、前記第3主面と前記第1バリアシートの前記第2主面とが向かいあって前記第1バリアシート上に配置された、量子ドットを含む波長変換シートと、
      第5主面と前記第5主面の反対に位置する第6主面とを含み、前記第5主面と前記波長変換シートの前記第4主面とが向かいあって前記波長変換シート上に配置された第2バリアシートと、
    を含む積層体シートを準備することと、
     前記第2バリアシートと、前記波長変換シートと、前記第1バリアシートの一部と、にわたる孔であって、前記第5主面及び前記第6主面を接続する第3側面と、前記第3主面及び前記第4主面を接続する第1側面と、前記第2主面に接続する第2側面と、前記第1バリアシートからなる底面と、を含む内面を有する前記孔を形成することと、
     前記孔の前記内面を被覆膜で被覆することと、
     前記底面から前記第1主面に向って前記積層体シートを切断し、前記第1主面に接続する端面を露出させ、前記第3側面、前記第1側面、及び前記第2側面を含む予備波長変換部材を形成することと、
    を含み、
     前記予備波長変換部材は、前記第3主面に交差するとともに前記端面を通る一の断面において、前記第3側面、前記第1側面、及び前記第2側面が、前記端面よりも内側に位置する、波長変換部材の製造方法。
  19.  前記第1バリアシートは、主バリアシートと、前記主バリアシート及び前記波長変換シートの間に積層された中間シートと、を含み、
     前記孔が形成される前記第1バリアシートの一部は、前記中間シートである、請求項18に記載の波長変換部材の製造方法。
  20.  前記被覆膜の一部を除去し、前記第1バリアシートを露出させることをさらに含み、
     前記予備波長変換部材は、前記端面に接続する、該露出した前記底面を含む、請求項18又は19に記載の波長変換部材の製造方法。
  21.  前記孔を形成すること及び前記積層体シートを切断することは、レーザ加工で実施される、請求項14から20のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
  22.  前記孔は、前記予備波長変換部材の外周に沿って配置されている、請求項14から21のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
  23.  前記被覆膜は、
      熱硬化型ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される少なくとも1つからなる第1層と、
      塩化ビニリデン樹脂、フッ素系樹脂、及び酸化物からなる群から選択される少なくとも1つからなり、前記第1層上に配置される第2層と、
    を含む、請求項14から22のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
  24.  前記被覆膜は、めっき層と、前記めっき層上に配置される原子層堆積層と、を含む、請求項14から22のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
  25.  前記被覆膜は、酸素プラズマ処理層と、前記酸素プラズマ処理層上に配置される化学気相成長層と、を含む、請求項14から22のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
  26.  前記予備波長変換部材を形成することは、前記被覆膜で被覆することの後に実施される、請求項14から25のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
  27.  前記被覆膜で被覆することは、前記予備波長変換部材を形成することの後に実施される、請求項14から25のいずれか1項に記載の波長変換部材の製造方法。
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