WO2023286169A1 - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

モータ制御装置は、操舵トルクを用いてアシストトルク指令値を生成するアシストトルク指令値生成部と、操舵トルクおよびアシストトルク指令値を用いて手動操舵指令値を生成する手動操舵指令値生成部と、自動操舵指令値に手動操舵指令値を加算して、統合角度指令値を演算する統合角度指令値演算部と、アシストトルク指令値のみに基づいて電動モータを制御する第1制御と、統合角度指令値に基づいて電動モータを制御する第2制御とを、切替信号に基づいて切り替える切替部とを含む。

Description

モータ制御装置
 この発明は、舵角制御用の電動モータの制御装置に関する。
 下記特許文献1には、自動操舵指令値に手動操舵指令値を加算した統合角度指令値に基づいて、電動モータを角度フィードバック制御するモータ制御装置が開示されている。また、特許文献1には、第1の重み付け処理後の自動操舵指令値と、第2の重み付け処理後の手動操舵指令値とを加算することにより、統合角度指令値を演算することが開示されている。
特開2019-194059号公報
 特許文献1に記載の手動操舵指令値は、アシストトルク指令値設定部によって設定されるアシストトルク指令値と、操舵トルクと、路面負荷トルク(路面反力トルク)の演算値または推定値とに基づいて、手動操舵指令値を演算している。このため、特許文献1に記載のモータ制御装置では、アシストトルク指令値のみに基づいて電動モータを制御できない。
 この発明の目的は、自動操舵指令値に手動操舵指令値を加算した統合角度指令値に基づいて電動モータを制御できるモータ制御装置において、アシストトルク指令値のみに基づいて電動モータを制御することが可能となるモータ制御装置を提供することである。
 本発明の一実施形態は、舵角制御用の電動モータを駆動制御するためのモータ制御装置であって、操舵トルクを用いてアシストトルク指令値を生成するアシストトルク指令値生成部と、前記操舵トルクおよび前記アシストトルク指令値を用いて手動操舵指令値を生成する手動操舵指令値生成部と、自動操舵指令値に前記手動操舵指令値を加算して、統合角度指令値を演算する統合角度指令値演算部と、前記アシストトルク指令値のみに基づいて前記電動モータを制御する第1制御と、前記統合角度指令値に基づいて前記電動モータを制御する第2制御とを、切替信号に基づいて切り替える切替部とを含む、モータ制御装置を提供する。
 この構成では、自動操舵指令値に手動操舵指令値を加算した統合角度指令値に基づいて電動モータを制御できるモータ制御装置において、アシストトルク指令値のみに基づいて電動モータを制御することが可能となる。
 本発明における上述の、またはさらに他の目的、特徴および効果は、添付図面を参照して次に述べる実施形態の説明により明らかにされる。
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置が適用された電動パワーステアリングシステムの概略構成を示す模式図である。 図2は、モータ制御用ECUの電気的構成を説明するためのブロック図である。 図3は、操舵トルクTに対するアシストトルク指令値Tasの設定例を示すグラフである。 図4は、手動操舵指令値生成部で用いられるリファレンスEPSモデルの一例を示す模式図である。 図5は、角度制御部の構成を示すブロック図である。 図6は、電動パワーステアリングシステムの物理モデルの構成例を示す模式図である。 図7は、外乱トルク推定部の構成を示すブロック図である。 図8は、トルク制御部の構成を示す模式図である。 図9は、各モード設定信号S1,S2,S3が入力されたときに設定される第1重みWの設定例を示すグラフである。 図10は、各モード設定信号S1,S2,S3が入力されたときに設定される第2重みWの設定例を示すグラフである。 図11は、各モード設定信号S1,S2,S3が入力されたときに設定される第3重みWの設定例を示すグラフである。 図12は、上位ECUが車両の走行状態に応じて操舵モードの切り替える例を示す模式図である。 図13は、モータ制御用ECUの変形例を説明するためのブロック図である。
[本発明の実施形態の説明]
 本発明の一実施形態は、舵角制御用の電動モータを駆動制御するためのモータ制御装置であって、操舵トルクを用いてアシストトルク指令値を生成するアシストトルク指令値生成部と、前記操舵トルクおよび前記アシストトルク指令値を用いて手動操舵指令値を生成する手動操舵指令値生成部と、自動操舵指令値に前記手動操舵指令値を加算して、統合角度指令値を演算する統合角度指令値演算部と、前記アシストトルク指令値のみに基づいて前記電動モータを制御する第1制御と、前記統合角度指令値に基づいて前記電動モータを制御する第2制御とを、切替信号に基づいて切り替える切替部とを含む、モータ制御装置を提供する。
 この構成では、自動操舵指令値に手動操舵指令値を加算した統合角度指令値に基づいて電動モータを制御できるモータ制御装置において、アシストトルク指令値のみに基づいて電動モータを制御することが可能となる。
 本発明の一実施形態では、前記切替部は、前記切替信号に基づいて、前記アシストトルク指令値に対して第1重み付け処理を行う第1重み付け部と、前記切替信号に基づいて、前記統合角度指令値に応じた統合トルク指令値に対して第2重み付け処理を行う第2重み付け部と、前記第1重み付け処理後のアシストトルク指令値と、前記第2重み付け処理後の統合トルク指令値とに基づいてモータトルク指令値を演算するモータトルク指令値演算部とを含む。
 本発明の一実施形態では、前記切替部は、前記切替信号に基づいて、前記第1制御と、前記第2制御と、前記自動操舵指令値のみに基づいて前記電動モータを制御する第3制御とを切り替えるように構成されている。
 本発明の一実施形態では、前記切替部は、前記切替信号に基づいて、前記アシストトルク指令値に対して第1重み付け処理を行う第1重み付け部と、前記切替信号に基づいて、前記統合角度指令値に応じた統合トルク指令値に対して第2重み付け処理を行う第2重み付け部と、前記切替信号に基づいて、前記手動操舵指令値に対して第3重み付け処理を行う第3重み付け部と、前記第1重み付け処理後のアシストトルク指令値と、前記第2重み付け処理後の統合トルク指令値とに基づいてモータトルク指令値を演算するモータトルク指令値演算部とを含み、前記統合角度指令値演算部は、前記自動操舵指令値に、前記第3重み付け処理後の前記手動操舵指令値を加算して、前記統合角度指令値を演算するように構成されている。
 本発明の一実施形態では、前記切替部は、前記アシストトルク指令値生成部によって生成される前記アシストトルク指令値と、前記統合角度指令値演算部によって演算される前記統合角度指令値に応じた統合トルク指令値とを加算してモータトルク指令値を演算するための加算部と、前記アシストトルク指令値生成部と前記加算部との間に設けられ、前記切替信号に基づいてオンオフされる第1スイッチと、前記統合角度指令値演算部と前記加算部との間に設けられ、前記切替信号に基づいてオンオフされる第2スイッチとを含む。
 本発明の一実施形態では、前記切替部は、前記アシストトルク指令値生成部によって生成される前記アシストトルク指令値と、前記統合角度指令値演算部によって演算される前記統合角度指令値に応じた統合トルク指令値とを加算してモータトルク指令値を演算するための加算部と、前記アシストトルク指令値生成部と前記加算部との間に設けられ、前記切替信号に基づいてオンオフされる第1スイッチと、前記統合角度指令値演算部と前記加算部との間に設けられ、前記切替信号に基づいてオンオフされる第2スイッチと、前記手動操舵指令値生成部と前記統合角度指令値演算部との間に設けられ、前記切替信号に基づいてオンオフされる第3スイッチとを含む。
 本発明の一実施形態では、前記第2制御を行うための制御部は、前記統合角度指令値に基づいて角度制御を行う角度制御部を含み、前記角度制御部は、前記統合角度指令値に基づいて、基本トルク指令値を演算する基本トルク指令値演算部と、前記電動モータの駆動対象に作用する前記電動モータのモータトルク以外の外乱トルクを推定する外乱トルク推定部と、前記基本トルク指令値を前記外乱トルクによって補正する外乱トルク補償部とを含む。
 本発明の一実施形態では、前記外乱トルク推定部は、前記モータトルク指令値と前記電動モータの回転角とを用いて、前記外乱トルクおよび前記駆動対象の回転角を推定するように構成されており、前記基本トルク指令値演算部は、前記統合角度指令値と、前記駆動対象の回転角との差である角度偏差を演算する角度偏差演算部と、前記角度偏差に対して所定のフィードバック演算を行うことにより、前記基本トルク指令値を演算するフィードバック演算部とを含む。
 本発明の一実施形態では、前記手動操舵指令値生成部は、前記アシストトルク指令値と、前記操舵トルクと、路面負荷トルクを生成するためのばね定数および粘性減衰係数とを用いて、前記手動操舵指令値を生成するように構成されている。
[本発明の実施形態の詳細な説明]
 以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
 図1は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置が適用された電動パワーステアリングシステムの概略構成を示す模式図である。
 電動パワーステアリングシステム1は、車両を操向するための操舵部材としてのステアリングホイール(ハンドル)2と、このステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4と、運転者の操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と転舵機構4とは、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して機械的に連結されている。
 ステアリングシャフト6は、ステアリングホイール2に連結された入力軸8と、中間軸7に連結された出力軸9とを含む。入力軸8と出力軸9とは、トーションバー10を介して相対回転可能に連結されている。
 トーションバー10の近傍には、トルクセンサ12が配置されている。トルクセンサ12は、入力軸8および出力軸9の相対回転変位量に基づいて、ステアリングホイール2に与えられた操舵トルク(トーションバートルク)Tを検出する。この実施形態では、トルクセンサ12によって検出される操舵トルクTは、例えば、左方向への操舵のためのトルクが正の値として検出され、右方向への操舵のためのトルクが負の値として検出され、その絶対値が大きいほど操舵トルクTの大きさが大きくなるものとする。
 転舵機構4は、ピニオン軸13と、転舵軸としてのラック軸14とを含むラックアンドピニオン機構からなる。ラック軸14の各端部には、タイロッド15およびナックルアーム(図示略)を介して転舵輪3が連結されている。ピニオン軸13は、中間軸7に連結されている。ピニオン軸13は、ステアリングホイール2の操舵に連動して回転するようになっている。ピニオン軸13の先端には、ピニオン16が連結されている。
 ラック軸14は、車両の左右方向に沿って直線状に延びている。ラック軸14の軸方向の中間部には、ピニオン16に噛み合うラック17が形成されている。このピニオン16およびラック17によって、ピニオン軸13の回転がラック軸14の軸方向移動に変換される。ラック軸14を軸方向に移動させることによって、転舵輪3を転舵することができる。
 ステアリングホイール2が操舵(回転)されると、この回転が、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して、ピニオン軸13に伝達される。そして、ピニオン軸13の回転は、ピニオン16およびラック17によって、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。
 操舵補助機構5は、操舵補助力(アシストトルク)を発生するための電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを増幅して転舵機構4に伝達するための減速機19とを含む。減速機19は、ウォームギヤ20と、このウォームギヤ20と噛み合うウォームホイール21とを含むウォームギヤ機構からなる。減速機19は、伝達機構ハウジングとしてのギヤハウジング22内に収容されている。
 以下において、減速機19の減速比(ギヤ比)をNで表す場合がある。減速比Nは、ウォームホイール21の回転角であるウォームホイール角θwwに対するウォームギヤ20の回転角であるウォームギヤ角θwgの比(θwg/θww)として定義される。
 ウォームギヤ20は、電動モータ18によって回転駆動される。また、ウォームホイール21は、出力軸9に一体回転可能に連結されている。
 電動モータ18によってウォームギヤ20が回転駆動されると、ウォームホイール21が回転駆動され、ステアリングシャフト6にモータトルクが付与されるとともにステアリングシャフト6(出力軸9)が回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォームギヤ20を回転駆動することによって、電動モータ18による操舵補助や転舵輪3の転舵が可能となる。電動モータ18には、電動モータ18のロータの回転角を検出するための回転角センサ23が設けられている。
 出力軸9(電動モータ18の駆動対象の一例)に加えられるトルクとしては、電動モータ18によるモータトルクと、モータトルク以外の外乱トルクTlcとがある。モータトルク以外の外乱トルクTlcには、操舵トルクT、路面負荷トルク(路面反力トルク)Trl、摩擦トルクT等が含まれる。
 操舵トルクTは、運転者によってステアリングホイール2に加えられる力や、ステアリング慣性によって発生する力等によって、ステアリングホイール2側から出力軸9に加えられるトルクである。
 路面負荷トルクTrlは、タイヤに発生するセルフアライニングトルク、サスペンションやタイヤホイールアライメントによって発生する力、ラックアンドピニオン機構の摩擦力等によって、転舵輪3側からラック軸14を介して出力軸9に加えられるトルクである。
 車両には、車両の進行方向前方の道路を撮影するCCD(Charge Coupled Device)カメラ25、自車位置を検出するためのGPS(Global Positioning System)26、道路形状や障害物を検出するためのレーダー27および地図情報を記憶した地図情報メモリ28が搭載されている。車両には、さらに、操舵モードを手動で切り替えるための3つのモードスイッチ31,32,33が搭載されている。
 操舵モードには、後述するように、手動運転によって操舵が行われる手動操舵モードと、自動運転によって操舵が行われる自動操舵モードと、手動運転および自動運転の両方に基づく操舵が可能な協調操舵モードとがある。これらの操舵モードのより具体的な定義については、後述する。
 CCDカメラ25、GPS26、レーダー27および地図情報メモリ28は、運転支援制御や自動運転制御を行うための上位ECU(ECU:Electronic Control Unit)201に接続されている。上位ECU201は、CCDカメラ25、GPS26およびレーダー27によって得られる情報および地図情報を元に、周辺環境認識、自車位置推定、経路計画等を行い、操舵や駆動アクチュエータの制御目標値の決定を行う。
 この実施形態では、上位ECU201は、自動操舵のための自動操舵指令値θadacを設定する。この実施形態では、自動操舵制御は、例えば、目標軌道に沿って車両を走行させるための制御である。自動操舵指令値θadacは、車両を目標軌道に沿って自動走行させるための操舵角の目標値である。このような自動操舵指令値θadacを設定する処理は、周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、自動操舵制御(運転支援制御)は、例えば、車両を車線内に維持させるためのレーン・キーピング・アシスト(LKA)制御であってもよい。
 また、上位ECU201は、モードスイッチ31,32,33の操作に応じたモード設定信号S1,S2,S3を生成する。具体的には、第1モードスイッチ31がドライバによってオンされたときに、上位ECU201は、操舵モードを手動操舵モードに設定するための手動操舵設定信号S1を出力する。第2モードスイッチ32がドライバによってオンされたときに、上位ECU201は、操舵モードを自動操舵モードに設定するための自動操舵モード設定信号S2を出力する。第3モードスイッチ33がドライバによってオンされたときに、上位ECU201は、操舵モードを協調操舵モードに設定するための協調操舵モード設定信号S3を出力する。モード設定信号S1,S2,S3は、本発明における「切替信号」の一例である。
 上位ECU201によって設定される自動操舵指令値θadacおよびモード設定信号S1,S2,S3は、車載ネットワークを介して、モータ制御用ECU202に与えられる。トルクセンサ12によって検出される操舵トルクT、回転角センサ23の出力信号は、モータ制御用ECU202に入力される。モータ制御用ECU202は、これらの入力信号および上位ECU201から与えられる情報に基づいて、電動モータ18を制御する。
 図2は、モータ制御用ECU202の電気的構成を説明するためのブロック図である。
 モータ制御用ECU202は、マイクロコンピュータ50と、マイクロコンピュータ50によって制御され、電動モータ18に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)41と、電動モータ18に流れる電流(以下、「モータ電流I」という)を検出するための電流検出回路42とを備えている。
 マイクロコンピュータ50は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能するようになっている。この複数の機能処理部には、アシストトルク指令値設定部51と、手動操舵指令値生成部52と、統合角度指令値演算部53と、角度制御部54と、トルク制御部(電流制御部)55と、第1重み付け部56と、第2重み付け部57と、第3重み付け部58と、加算部59とを含む。この実施形態では、第1重み付け部56、第2重み付け部57および加算部59は、本発明における「切替部」の一例である。また、第1重み付け部56、第2重み付け部57、第3重み付け部58および加算部59は、本発明における「切替部」の一例である。加算部59は、本発明における「モータトルク指令値演算部」の一例である。
 アシストトルク指令値設定部51は、手動操作に必要なアシストトルクの目標値であるアシストトルク指令値Tasを設定する。アシストトルク指令値設定部51は、トルクセンサ12によって検出される操舵トルクTに基づいて、アシストトルク指令値Tasを設定する。操舵トルクTに対するアシストトルク指令値Tasの設定例は、図3に示されている。
 アシストトルク指令値Tasは、電動モータ18から左方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには正の値とされ、電動モータ18から右方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには負の値とされる。アシストトルク指令値Tasは、操舵トルクTの正の値に対しては正をとり、操舵トルクTの負の値に対しては負をとる。そして、アシストトルク指令値Tasは、操舵トルクTの絶対値が大きくなるほど、その絶対値が大きくなるように設定される。
 なお、アシストトルク指令値設定部51は、操舵トルクTに予め設定された定数を乗算することによって、アシストトルク指令値Tasを演算してもよい。
 第1重み付け部56は、入力されるモード設定信号に応じて、アシストトルク指令値設定部51によって設定されるアシストトルク指令値Tasに対して第1重み付け処理を行う。具体的には、第1重み付け部56は、モード設定信号S1,S2,S3のうちのいずれかが入力されたときには、まず、現在の操舵モードおよび入力されたモード設定信号に応じて、第1重みWを設定する。次に、第1重み付け部56は、アシストトルク指令値Tasに第1重みWを乗算する。そして、第1重み付け部56は、乗算値W・Tasを、第1重み付け処理後のアシストトルク指令値Tas’として加算部59に与える。
 手動操舵指令値生成部52は、運転者がステアリングホイール2を操作した場合に、当該ステアリングホイール操作に応じた操舵角(より正確には出力軸9の回転角θ)を手動操舵指令値θmdacとして設定するために設けられている。手動操舵指令値生成部52は、トルクセンサ12によって検出される操舵トルクTと、アシストトルク指令値設定部51によって設定されるアシストトルク指令値Tasとを用いて手動操舵指令値θmdacを生成する。手動操舵指令値生成部52の詳細については、後述する。
 第3重み付け部58は、入力されるモード設定信号に応じて、手動操舵指令値生成部52によって生成される手動操舵指令値θmdacに対して第3重み付け処理を行う。具体的には、第3重み付け部58は、モード設定信号S1,S2,S3のうちのいずれかが入力されたときには、まず、現在の操舵モードおよび入力されたモード設定信号に応じて、第3重みWを設定する。次に、第3重み付け部58は、手動操舵指令値θmdacに第3重みWを乗算する。そして、第3重み付け部58は、乗算値W・θmdacを、第3重み付け処理後の手動操舵指令値θmdac’として統合角度指令値演算部53に与える。
 統合角度指令値演算部53は、上位ECU201によって設定される自動操舵指令値θadacに、第3重み付け処理後の手動操舵指令値θmdac’を加算して、統合角度指令値θsintを演算する。
 角度制御部54は、統合角度指令値θsintに基づいて、統合角度指令値θsintに応じた統合モータトルク指令値Tmintを演算する。統合モータトルク指令値Tmintは、本発明における「統合トルク指令値」の一例である。角度制御部54の詳細については、後述する。
 第2重み付け部57は、入力されるモード設定信号に応じて、統合モータトルク指令値Tmintに対して第2重み付け処理を行う。具体的には、第2重み付け部57は、モード設定信号S1,S2,S3のうちのいずれかが入力されたときには、まず、現在の操舵モードおよび入力されたモード設定信号に応じて、第2重みWを設定する。次に、第2重み付け部57は、統合モータトルク指令値Tmintに第2重みWを乗算する。そして、第2重み付け部57は、乗算値W・Tmintを、第2重み付け処理後の統合モータトルク指令値Tmint’として加算部59に与える。
 加算部59は、第1重み付け処理後のアシストトルク指令値Tas’と、第2重み付け処理後の統合モータトルク指令値Tmint’とを加算することにより、電動モータ18に対するモータトルク指令値Tを演算する。
 トルク制御部55は、電動モータ18のモータトルクがモータトルク指令値Tに近づくように駆動回路41を駆動する。
 手動操舵指令値生成部52は、この実施形態では、リファレンスEPSモデルを用いて、手動操舵指令値θmdacを設定する。
 図4は、手動操舵指令値生成部52で用いられるリファレンスEPSモデルの一例を示す模式図である。
 このリファレンスEPSモデルは、ロアコラムを含む単一慣性モデルである。ロアコラムは、出力軸9およびウォームホイール21に対応する。図4において、Jは、ロアコラムの慣性であり、θはロアコラムの回転角であり、Tは、操舵トルクである。ロアコラムには、操舵トルクT、電動モータ18から出力軸9に作用するトルクN・Tおよび路面負荷トルクTrlが与えられる。路面負荷トルクTrlは、ばね定数kおよび粘性減衰係数cを用いて、次式(1)で表される。
 Trl=-k・θ-c(dθ/dt)  …(1)
 この実施形態では、ばね定数kおよび粘性減衰係数cとして、予め実験、解析等で求めた所定値が設定されている。
 リファレンスEPSモデルの運動方程式は、次式(2)で表される。
 J・dθ/dt=T+N・T-k・θ-c(dθ/dt)  …(2)
 手動操舵指令値生成部52は、Tにトルクセンサ12によって検出される操舵トルクTを代入し、N・Tにアシストトルク指令値設定部51によって設定されるアシストトルク指令値Tasを代入して、式(2)の微分方程式を解くことにより、ロアコラムの回転角θを演算する。そして、手動操舵指令値生成部52は、得られたロアコラムの回転角θを手動操舵指令値θmdacとして生成する。
 図5は、角度制御部54の構成を示すブロック図である。
 角度制御部54は、統合角度指令値θsintに基づいて、統合モータトルク指令値Tmintを演算する。角度制御部54は、ローパスフィルタ(LPF)61と、フィードバック制御部62と、フィードフォワード制御部63と、外乱トルク推定部64と、トルク加算部65と、外乱トルク補償部66と、第1減速比除算部67と、減速比乗算部68と、回転角演算部69と、第2減速比除算部70とを含む。
 減速比乗算部68は、加算部59(図2参照)によって演算されるモータトルク指令値Tに減速機19の減速比Nを乗算することにより、モータトルク指令値Tを出力軸9(ウォームホイール21)に作用する出力軸トルク指令値N・Tに換算する。
 回転角演算部69は、回転角センサ23の出力信号に基づいて、電動モータ18のロータ回転角θを演算する。第2減速比除算部70は、回転角演算部69によって演算されるロータ回転角θを減速比Nで除算することにより、ロータ回転角θを出力軸9の回転角(実操舵角)θに換算する。
 ローパスフィルタ61は、統合角度指令値θsintに対してローパスフィルタ処理を行う。ローパスフィルタ処理後の統合角度指令値θsinは、フィードバック制御部62およびフィードフォワード制御部63に与えられる。
 フィードバック制御部62は、外乱トルク推定部64によって演算される操舵角推定値^θを、ローパスフィルタ処理後の統合角度指令値θsinに近づけるために設けられている。フィードバック制御部62は、角度偏差演算部62AとPD制御部62Bとを含む。角度偏差演算部62Aは、統合角度指令値θsinと操舵角推定値^θとの偏差Δθ(=θsin-^θ)を演算する。なお、角度偏差演算部62Aは、統合角度指令値θsinと、第2減速比除算部70によって演算される実操舵角θとの偏差(θsin-θ)を、角度偏差Δθとして演算するようにしてもよい。
 PD制御部62Bは、角度偏差演算部62Aによって演算される角度偏差Δθに対してPD演算(比例微分演算)を行うことにより、フィードバック制御トルクTfbを演算する。フィードバック制御トルクTfbは、トルク加算部65に与えられる。
 フィードフォワード制御部63は、電動パワーステアリングシステム1の慣性による応答性の遅れを補償して、制御の応答性を向上させるために設けられている。フィードフォワード制御部63は、角加速度演算部63Aと慣性乗算部63Bとを含む。角加速度演算部63Aは、統合角度指令値θsinを2階微分することにより、目標角加速度dθsin/dtを演算する。
 慣性乗算部63Bは、角加速度演算部63Aによって演算された目標角加速度dθsin/dtに、電動パワーステアリングシステム1の慣性Jを乗算することにより、フィードフォワード制御トルクTff(=J・dθsin/dt)を演算する。慣性Jは、例えば、後述する電動パワーステアリングシステム1の物理モデル(図6参照)から求められる。フィードフォワード制御トルクTffは、慣性補償値として、トルク加算部65に与えられる。
 トルク加算部65は、フィードバック制御トルクTfbにフィードフォワード制御トルクTffを加算することにより、基本トルク指令値(Tfb+Tff)を演算する。
 外乱トルク推定部64は、プラント(電動モータ18の制御対象)に外乱として発生する非線形なトルク(外乱トルク:モータトルク以外のトルク)を推定するために設けられている。外乱トルク推定部64は、出力軸トルク指令値N・Tと、実操舵角θとに基づいて、外乱トルク(外乱負荷)Tlc、操舵角θおよび操舵角微分値(角速度)dθ/dtを推定する。外乱トルクTlc、操舵角θおよび操舵角微分値(角速度)dθ/dtの推定値を、それぞれ^Tlc、^θおよびd^θ/dtで表す。外乱トルク推定部64の詳細については、後述する。
 外乱トルク推定部64によって演算された外乱トルク推定値^Tlcは、外乱トルク補償値として外乱トルク補償部66に与えられる。外乱トルク推定部64によって演算された操舵角推定値^θは、角度偏差演算部62Aに与えられる。
 外乱トルク補償部66は、基本トルク指令値(Tfb+Tff)から外乱トルク推定値^Tlcを減算することにより、統合操舵トルク指令値Tsint(=Tfb+Tff-^Tlc)を演算する。これにより、外乱トルクが補償された統合操舵トルク指令値Tsint(出力軸9に対するトルク指令値)が得られる。
 統合操舵トルク指令値Tsintは、第1減速比除算部67に与えられる。第1減速比除算部67は、統合操舵トルク指令値Tsintを減速比Nで除算することにより、統合モータトルク指令値Tmintを演算する。この統合モータトルク指令値Tmintが、第2重み付け部57(図2参照)に与えられる。
 外乱トルク推定部64について詳しく説明する。外乱トルク推定部64は、例えば、図6に示す電動パワーステアリングシステム1の物理モデル101を使用して、外乱トルクTlc、操舵角θおよび角速度dθ/dtを推定する外乱オブザーバから構成されている。
 この物理モデル101は、出力軸9および出力軸9に固定されたウォームホイール21を含むプラント(モータ駆動対象の一例)102を含む。プラント102には、ステアリングホイール2からトーションバー10を介して操舵トルクTが与えられるとともに、転舵輪3側から路面負荷トルクTrlが与えられる。
 さらに、プラント102には、ウォームギヤ20を介して出力軸トルク指令値N・Tが与えられるとともに、ウォームホイール21とウォームギヤ20との間の摩擦によって摩擦トルクTが与えられる。
 プラント102の慣性をJとすると、物理モデル101の慣性についての運動方程式は、次式(3)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
 dθ/dtは、プラント102の角加速度である。Nは、減速機19の減速比である。Tlcは、プラント102に与えられるモータトルク以外の外乱トルクを示している。この実施形態では、外乱トルクTlcは、操舵トルクTと路面負荷トルクTrlと摩擦トルクTとの和として示されているが、実際には、外乱トルクTlcはこれら以外のトルクを含んでいる。
 図6の物理モデル101に対する状態方程式は、次式(4)で表わされる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000002
 前記式(4)において、xは、状態変数ベクトル、uは、既知入力ベクトル、uは、未知入力ベクトル、yは、出力ベクトル(測定値)である。また、前記式(4)において、Aは、システム行列、Bは、第1入力行列、Bは、第2入力行列、Cは、出力行列、Dは、直達行列である。
 前記状態方程式を、未知入力ベクトルuを状態の1つとして含めた系に拡張する。拡張系の状態方程式(拡張状態方程式)は、次式(5)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000003
 前記式(5)において、xは、拡張系の状態変数ベクトルであり、次式(6)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000004
 前記式(5)において、Aは、拡張系のシステム行列、Bは、拡張系の既知入力行列、Ceは、拡張系の出力行列である。
 前記式(5)の拡張状態方程式から、次式(7)の方程式で表される外乱オブザーバ(拡張状態オブザーバ)が構築される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000005
 式(7)において、^xはxの推定値を表している。また、Lはオブザーバゲインである。また、^yはyの推定値を表している。^xは、次式(8)で表される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000006
 式(8)において、^θはθの推定値であり、^TlcはTlcの推定値である。
 外乱トルク推定部64は、前記式(7)の方程式に基づいて状態変数ベクトル^xを演算する。
 図7は、外乱トルク推定部64の構成を示すブロック図である。
 外乱トルク推定部64は、入力ベクトル入力部81と、出力行列乗算部82と、第1加算部83と、ゲイン乗算部84と、入力行列乗算部85と、システム行列乗算部86と、第2加算部87と、積分部88と、状態変数ベクトル出力部89とを含む。
 減速比乗算部68(図5参照)によって演算される出力軸トルク指令値N・Tは、入力ベクトル入力部81に与えられる。入力ベクトル入力部81は、入力ベクトルuを出力する。
 積分部88の出力が状態変数ベクトル^x(前記式(8)参照)となる。演算開始時には、状態変数ベクトル^xとして初期値が与えられる。状態変数ベクトル^xの初期値は、たとえば0である。
 システム行列乗算部86は、状態変数ベクトル^xにシステム行列Aを乗算する。出力行列乗算部82は、状態変数ベクトル^xに出力行列Cを乗算する。
 第1加算部83は、第2減速比除算部70(図5参照)によって演算された実操舵角θである出力ベクトル(測定値)yから、出力行列乗算部82の出力(C・^x)を減算する。つまり、第1加算部83は、出力ベクトルyと出力ベクトル推定値^y(=C・^x)との差(y-^y)を演算する。ゲイン乗算部84は、第1加算部83の出力(y-^y)にオブザーバゲインL(前記式(7)参照)を乗算する。
 入力行列乗算部85は、入力ベクトル入力部81から出力される入力ベクトルuに入力行列Bを乗算する。第2加算部87は、入力行列乗算部85の出力(Be・u)と、システム行列乗算部86の出力(A・^x)と、ゲイン乗算部84の出力(L(y-^y))とを加算することにより、状態変数ベクトルの微分値d^x/dtを演算する。積分部88は、第2加算部87の出力(d^x/dt)を積分することにより、状態変数ベクトル^xを演算する。状態変数ベクトル出力部89は、状態変数ベクトル^xに基づいて、外乱トルク推定値^Tlc、操舵角推定値^θおよび角速度推定値d^θ/dtを演算する。
 一般的な外乱オブザーバは、前述の拡張状態オブザーバとは異なり、プラントの逆モデルとローパスフィルタとから構成される。プラントの運動方程式は、前述のように式(3)で表される。したがって、プラントの逆モデルは、次式(9)となる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000007
 一般的な外乱オブザーバへの入力は、J・dθ/dtおよびN・Tであり、実操舵角θの2階微分値を用いるため、回転角センサ23のノイズの影響を大きく受ける。これに対して、前述の実施形態の拡張状態オブザーバでは、積分型で外乱トルクを推定するため、微分によるノイズ影響を低減できる。
 なお、外乱トルク推定部64として、プラントの逆モデルとローパスフィルタとから構成される一般的な外乱オブザーバを用いてもよい。
 図8は、トルク制御部55の構成を示す模式図である。
 トルク制御部55(図2参照)は、モータ電流指令値演算部91と、電流偏差演算部92と、PI制御部93と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部94とを含む。
 モータ電流指令値演算部91は、加算部59(図2参照)によって演算されたモータトルク指令値Tを電動モータ18のトルク定数Kで除算することにより、モータ電流指令値Icmdを演算する。
 電流偏差演算部92は、モータ電流指令値演算部91によって得られたモータ電流指令値Icmdと電流検出回路42によって検出されたモータ電流Iとの偏差ΔI(=Icmd-I)を演算する。
 PI制御部93は、電流偏差演算部92によって演算された電流偏差ΔIに対するPI演算(比例積分演算)を行うことにより、電動モータ18に流れるモータ電流Iをモータ電流指令値Icmdに導くための駆動指令値を生成する。PWM制御部94は、前記駆動指令値に対応するデューティ比のPWM制御信号を生成して、駆動回路41に供給する。これにより、駆動指令値に対応した電力が電動モータ18に供給されることになる。
 以下、本実施形態の動作について説明する。
 自動操舵モードとは、自動操舵指令値θadacのみに基づいて電動モータ18が制御される操舵モードをいう。手動操舵モードとは、アシストトルク指令値Tasのみに基づいて電動モータ18が制御される操舵モードをいう。協調操舵モードとは、自動操舵指令値θadacと手動操舵指令値θmdacとの両方が加味された統合角度指令値θsintに基づいて電動モータ18が制御される操舵モードをいう。
 操舵モードが協調操舵モードに設定されている場合には、第1重みWが0となり、第2重みWおよび第3重みWが1.0となる。
 操舵モードが自動操舵モードに設定されている場合には、第1重みWおよび第3重みWが零となり、第2重みWが1.0となる。
 操舵モードが手動操舵モードに設定されている場合には、第1重みWが1.0となり、第2重みWが零となり、第3重みWが0または1.0となる。
 つまり、このモータ制御用ECU202は、運転者によるモードスイッチ31,32,33の操作によって、通常操舵モードと自動操舵モードと手動操舵モードとの間で操舵モードの切り替えを行うことが可能となる。
 操舵モードの切り替えに伴う第1重みW、第2重みWおよび第3重みWの設定例が、図9、図10および図11にそれぞれ示されている。
 図9では、各モード設定信号S1,S2,S3の入力時(時点t1)から所定時間Tが経過する時点t2までに、第1重みWが零から1.0まで漸増する状態が折れ線L1で示され、1.0から零まで漸減する状態が折れ線L2で示されている。
 図10では、時点t1から時点t2までに、第2重みWが零から1.0まで漸増する状態が折れ線L3で示され、1.0から零まで漸減する状態が折れ線L4で示されている。
 図11では、時点t1から時点t2までに、第3重みWが零から1.0まで漸増する状態が折れ線L5で示され、1.0から零まで漸減する状態が折れ線L6で示されている。
 これにより、第1重み付け処理後のアシストトルク指令値Tas’、第2重み付け処理後の統合モータトルク指令値Tmint’および第3重み付け処理後の手動操舵指令値θmdac’のそれぞれの絶対値が漸増または漸減されることになるため、操舵モード間の切り替えが滑らかに行われる。
 第1重みW、第2重みWおよび第3重みWを零と1.0との間で切り替えるのに要する時間Tは、予め実験・解析等で求められた所定値が設定されている。また、第1重みWad、第2重みWおよび第3重みWとで、零と1.0との間で切り替えるのに要する時間Tが異なるように設定してもよい。また、第1重みW、第2重みWおよび第3重みWは、線形ではなく、非線形に漸増・漸減するように設定されてもよい。
 本実施形態においては、操舵モードの変更を伴わないモードスイッチ31,32,33の操作が行われても、その操作は無効とされるものとする。また、本実施形態においては、各モードスイッチ31,32,33が操作されてから所定時間Tが経過するまでに、いずれかのモードスイッチ31,32,33が操作されたとしても、その操作は無効とされるものとする。
 なお、操舵モードの切り替えは、モードスイッチ31,32,33によって行われているが、上位ECU201が、運転支援機能または自動運転機能のON/OFF信号、障害物、ドライバ状態、アクセル・ブレーキなどのドライバ操作および車両の走行状態に応じて操舵モードの切り替えるようにしてもよい。この場合には、上位ECU201が、運転支援機能または自動運転機能のON/OFF信号、障害物、ドライバ状態、アクセル・ブレーキなどのドライバ操作および車両の走行状態に応じてモード設定信号を生成して、モータ制御用ECU202に与える。この場合、上位ECU201が、運転支援機能または自動運転機能のON/OFF信号、障害物、ドライバ状態、アクセル・ブレーキなどのドライバ操作および車両の走行状態に応じて生成するモード設定信号は、本発明における「切替信号」の一例である。
 例えば、車両を車線内に維持させるためのレーン・キーピング・アシスト制御が行われる場合には、次のようにして、上位ECU201は、操舵モードを自動的に切り替えるようにしてもよい。
 図12において、平面視で、車線L,Lの中心ラインLを中心とした幅α(ただし、α>0)の第1領域E1内に、車両300の幅中心における長さ所定位置(以下、「基準位置」という。)が存在している場合には、上位ECU201は、操舵モードを手動操舵モードに設定する。
 平面視で、車線L,Lの中心ラインLを中心とした幅β(ただし、β>α)の第2領域E2内であってかつ第1領域外の第3領域E3内に、車両300の基準位置が存在している場合には、上位ECU201は、操舵モードを協調操舵モードに設定する。
 そして、平面視で、車両300の基準位置が、第2領域E2の外側に存在している場合には、上位ECU201は、操舵モードを自動操舵モードに設定する。
 前述の実施形態では、統合角度指令値θsintに基づいて電動モータ18を制御できる協調操舵モードと、アシストトルク指令値Tasのみに基づいて電動モータ18を制御できる手動操舵モードと、自動操舵指令値θadacのみに基づいて電動モータ18を制御できる自動操舵モードとを切り替えることができるようになる。
 つまり、統合角度指令値θsintに基づいて電動モータ18を制御できる電動パワーステアリングシステム1において、アシストトルク指令値Tasのみに基づいて電動モータ18を制御することが可能となる。
 前述の実施形態では、手動操舵モード時には、アシストトルク指令値Tasのみに基づいて電動モータ18が制御されるから、ドライバは、実際の路面負荷トルク(路面反力トルク)を受け取ることができるようになる。
 また、前述の実施形態では、統合角度指令値θsintに基づいて基本トルク指令値(Tfb+Tff)が演算され、外乱トルク推定部64によって演算された外乱トルク推定値^Tlcによって基本トルク指令値(Tfb+Tff)が補正されているので、角度制御性能に対する外乱トルクの影響を抑制することができる。これにより、高精度の角度制御を実現することが可能となる。
 図13は、モータ制御用ECU202の変形例を説明するためのブロック図である。図13において、前述の図2の各部に対応する部分には、図2の各部と同じ符号を付して示す。
 このモータ制御用ECU202では、図2の第1重み付け部56、第2重み付け部57および第3重み付け部58それぞれに代えて、第1スイッチ156、第2スイッチ157および第3スイッチ158が設けられている。
 操舵モードが協調操舵モードに設定されている場合には、第1スイッチ156がオフとされ、第2スイッチ157および第3スイッチ158がオンされる。
 操舵モードが自動操舵モードに設定されている場合には、第1スイッチ156および第3スイッチ158がオフとされ、第2スイッチ157がオンとされる。
 操舵モードが手動操舵モードに設定されている場合には、第1スイッチ156がオンとされ、第2スイッチ157がオフとされ、第3スイッチ158がオフまたはオンとされる。
 第1スイッチ156、第2スイッチ156および加算部59は、本発明における「切替部」の一例である。また、第1スイッチ156、第2スイッチ157、第3スイッチ158および加算部59は、本発明における「切替部」の一例である。加算部59は、本発明における「加算部」の一例である。
 以上、この発明の実施形態および変形例について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。
 前述の実施形態では、前記式(2)におけるばね定数kは、予め実験、解析等によって求められている。しかし、前記式(2)におけるばね定数kは、外乱トルク推定部64(図5参照)によって演算される外乱トルク推定値^Tlcと、第2減速比除算部70によって演算される実操舵角θとを用いて、次式(10)に基づいて、演算されてもよい。
 k=^Tlc/θ   …(10)
 また、前述の実施形態では、前記式(2)における粘性減衰係数cは、予め実験、解析等によって求められている。
 しかし、前記式(2)における粘性減衰係数cは、外乱トルク推定部64によって演算される外乱トルク推定値^Tlcと、第2減速比除算部70によって演算される実操舵角θとを用いて、次式(11)に基づいて、演算されてもよい。
 c=^Tlc/(dθ/dt)   …(11)
 また、前述の実施形態では、角度制御部54(図5参照)は、フィードフォワード制御部63を備えているが、フィードフォワード制御部63を省略してもよい。この場合には、フィードバック制御部62によって演算されるフィードバック制御トルクTfbが基本目標トルクとなる。
 また、前述の実施形態では、第1重み付け部56、第2重み付け部57および第3重み付け部58が設けられているが、第3重み付け部58は省略されてもよい。この場合には、操舵モードは、手動操舵モードと協調操舵モードとの2種類になる。
 同様に、前述の変形例では、第1スイッチ156、第2スイッチ157および第3スイッチ158が設けられているが、第3スイッチ158は省略されてもよい。この場合には、操舵モードは、手動操舵モードと協調操舵モードとの2種類になる。
 また、前述の実施形態では、この発明をコラムタイプEPSのモータ制御に適用した場合の例を示したが、この発明は、コラムタイプ以外のEPSのモータ制御にも適用することができる。また、この発明は、ステアバイワイヤシステムの転舵角制御用の電動モータの制御にも適用することができる。
 本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
 1…電動パワーステアリング装置、3…転舵輪、4…転舵機構、18…電動モータ、51…アシストトルク指令値設定部、52…手動操舵指令値生成部、53…統合角度指令値演算部、54…角度制御部、55…トルク制御部、56…第1重み付け部、57…第2重み付け部、58…第3重み付け部、59…加算部、61…ローパスフィルタ(LPF)、62…フィードバック制御部、63…フィードフォワード制御部、64…外乱トルク推定部、65…トルク加算部、66…外乱トルク補償部、156…第1スイッチ、157…第2スイッチ、158…第3スイッチ

Claims (7)

  1.  舵角制御用の電動モータを駆動制御するためのモータ制御装置であって、
     操舵トルクを用いてアシストトルク指令値を生成するアシストトルク指令値生成部と、
     前記操舵トルクおよび前記アシストトルク指令値を用いて手動操舵指令値を生成する手動操舵指令値生成部と、
     自動操舵指令値に前記手動操舵指令値を加算して、統合角度指令値を演算する統合角度指令値演算部と、
     前記アシストトルク指令値のみに基づいて前記電動モータを制御する第1制御と、前記統合角度指令値に基づいて前記電動モータを制御する第2制御とを、切替信号に基づいて切り替える切替部とを含む、モータ制御装置。
  2.  前記切替部は、
     前記切替信号に基づいて、前記アシストトルク指令値に対して第1重み付け処理を行う第1重み付け部と、
     前記切替信号に基づいて、前記統合角度指令値に応じた統合トルク指令値に対して第2重み付け処理を行う第2重み付け部と、
     前記第1重み付け処理後のアシストトルク指令値と、前記第2重み付け処理後の統合トルク指令値とに基づいてモータトルク指令値を演算するモータトルク指令値演算部とを含む、請求項1に記載のモータ制御装置。
  3.  前記切替部は、前記切替信号に基づいて、前記第1制御と、前記第2制御と、前記自動操舵指令値のみに基づいて前記電動モータを制御する第3制御とを切り替えるように構成されている、請求項1に記載のモータ制御装置。
  4.  前記切替部は、
     前記切替信号に基づいて、前記アシストトルク指令値に対して第1重み付け処理を行う第1重み付け部と、
     前記切替信号に基づいて、前記統合角度指令値に応じた統合トルク指令値に対して第2重み付け処理を行う第2重み付け部と、
     前記切替信号に基づいて、前記手動操舵指令値に対して第3重み付け処理を行う第3重み付け部と、
     前記第1重み付け処理後のアシストトルク指令値と、前記第2重み付け処理後の統合トルク指令値とに基づいてモータトルク指令値を演算するモータトルク指令値演算部とを含み、
     前記統合角度指令値演算部は、前記自動操舵指令値に、前記第3重み付け処理後の前記手動操舵指令値を加算して、前記統合角度指令値を演算するように構成されている、請求項3に記載のモータ制御装置。
  5.  前記切替部は、
     前記アシストトルク指令値生成部によって生成される前記アシストトルク指令値と、前記統合角度指令値演算部によって演算される前記統合角度指令値に応じた統合トルク指令値とを加算してモータトルク指令値を演算するための加算部と、
     前記アシストトルク指令値生成部と前記加算部との間に設けられ、前記切替信号に基づいてオンオフされる第1スイッチと、
     前記統合角度指令値演算部と前記加算部との間に設けられ、前記切替信号に基づいてオンオフされる第2スイッチとを含む、請求項1に記載のモータ制御装置。
  6.  前記切替部は、
     前記アシストトルク指令値生成部によって生成される前記アシストトルク指令値と、前記統合角度指令値演算部によって演算される前記統合角度指令値に応じた統合トルク指令値とを加算してモータトルク指令値を演算するための加算部と、
     前記アシストトルク指令値生成部と前記加算部との間に設けられ、前記切替信号に基づいてオンオフされる第1スイッチと、
     前記統合角度指令値演算部と前記加算部との間に設けられ、前記切替信号に基づいてオンオフされる第2スイッチと、
     前記手動操舵指令値生成部と前記統合角度指令値演算部との間に設けられ、前記切替信号に基づいてオンオフされる第3スイッチとを含む、請求項3に記載のモータ制御装置。
  7.  前記第2制御を行うための制御部は、前記統合角度指令値に基づいて角度制御を行う角度制御部を含み、
     前記角度制御部は、
     前記統合角度指令値に基づいて、基本トルク指令値を演算する基本トルク指令値演算部と、
     前記電動モータの駆動対象に作用する前記電動モータのモータトルク以外の外乱トルクを推定する外乱トルク推定部と、
     前記基本トルク指令値を前記外乱トルクによって補正する外乱トルク補償部とを含む、請求項2,4,5および6のいずれか一項に記載のモータ制御装置。
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