WO2023214586A1 - 偏光板、装置、ヘッドマウントディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、撮像システム - Google Patents

偏光板、装置、ヘッドマウントディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、撮像システム Download PDF

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Abstract

本発明は、表示素子および可視光用撮像素子の少なくとも1つと赤外光センシングシステムとを組み合わせた装置に適用された際に、赤外光センシングシステムの検出性能に優れると共に、装置が表示素子を含む場合には表示性能に優れ、装置が撮像素子を含む場合には撮像性能に優れる、偏光板、装置、ヘッドマウントディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、および、撮像システムを提供する。本発明の偏光板は、波長400~700nmにおける平均透過率が70%以上であり、波長800~1500nmにおける偏光度の最大値が80%以上であり、偏光度の最大値を示す波長を波長λ1とした際に、波長λ1における透過率T(λ1)が所定の関係を満たす。

Description

偏光板、装置、ヘッドマウントディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、撮像システム
 本発明は、偏光板、装置、ヘッドマウントディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、撮像システムに関する。
 光の透過・遮へい機能を有する偏光板は、種々の用途に用いられている。
 特に、近年では、可視光領域向けの偏光板だけでなく、赤外光領域にも用いられる偏光板が求められている。
 例えば、特許文献1においては、赤外光領域で高い偏光特性を示す偏光板が提案されている。
特開2012-118237号公報
 一方で、近年、装置の多機能化および省スペース化などの点から、画像を表示する表示素子、および、可視光の撮像に用いられる可視光用撮像素子などの可視光を対象としたデバイスと、赤外光センシングシステムとを組み合わせて用いる装置が開発されている。例えば、有機エレクトロルミネッセンス表示装置などの画像表示装置においては、使用者が視る画像を表示する表示素子と、使用者の顔認証を行うための赤外光光源および赤外光受光部を含む赤外光センシングシステムとが含まれる場合がある。そして、このような画像表示装置においては、反射防止用に偏光板が画像表示装置の視認側に配置されるが、偏光板は表示素子の表示性能を悪化させず、かつ、赤外光センシングシステムの検出性能を悪化させないことが求められる。つまり、表示素子の表示性能と赤外光センシングシステムの検出性能とが優れることが求められる。言い換えれば、表示素子の表示性能と赤外光センシングシステムの検出性能との両立が求められる。
 上記以外にも、可視光用撮像素子と、赤外光センシングシステムとを含む装置において用いられる偏光板においても、可視光用撮像素子の撮像性能と赤外光センシングシステムの検出性能とが優れることが求められる。言い換えれば、可視光用撮像素子の撮像性能と赤外光センシングシステムの検出性能との両立が求められる。
 本発明者らは特許文献1に記載の偏光板の特性について検討したところ、上記所望の効果が得られなかった。
 本発明は、上記実情に鑑みて、表示素子および可視光用撮像素子の少なくとも1つと赤外光センシングシステムとを組み合わせた装置に適用された際に、赤外光センシングシステムの検出性能に優れると共に、装置が表示素子を含む場合には表示性能に優れ、装置が撮像素子を含む場合には撮像性能に優れる、偏光板を提供することを課題とする。
 また、本発明は、装置、ヘッドマウントディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、および、撮像システムを提供することも課題とする。
 本発明者らは、従来技術の問題点について鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
(1) 波長400~700nmにおける平均透過率が70%以上であり、
 波長800~1500nmにおける偏光度の最大値が80%以上であり、
 偏光度の最大値を示す波長を波長λ1とした際に、波長λ1における透過率T(λ1)が式(A1)および式(A2)の関係を満たす、偏光板。
 式(A1) 30%≦T(λ1)
 式(A2) T(λ1)≦50%
(2) 式(A3)の関係を満たす、(1)に記載の偏光板。
 式(A3) 40%≦T(λ1)
(3) 式(A4)の関係を満たす、(1)または(2)に記載の偏光板。
 式(A4) T(λ1)≦45%
(4) 波長800~1500nmに極大吸収波長を有する二色性色素を含み、
 波長λ1における二色性色素の配向度S(λ1)が式(B1)および式(B2)の関係を満たす、(1)~(3)のいずれかに記載の偏光板。
 式(B1) 0.700≦S(λ1)
 式(B2) S(λ1)≦0.950
(5) 式(B3)の関係を満たす、(4)に記載の偏光板。
 式(B3) 0.850≦S(λ1)
(6) 式(B4)の関係を満たす、(4)または(5)に記載の偏光板。
 式(B4) S(λ1)≦0.930
(7) (1)~(6)のいずれかに記載に偏光板と、表示素子および可視光用撮像素子の少なくとも1つと、赤外光受光部とを含む、装置。
(8) さらに、赤外光光源を含み、
 λ1と、赤外光光源から出射される赤外光の極大波長λ2との差が20nm以下である、(7)に記載の装置。
(9) (7)に記載の装置を含む、ヘッドマウントディスプレイ。
(10) (7)に記載の装置を含む、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
(11) (7)に記載の装置を含む、撮像システム。
(12) (1)~(6)のいずれかに記載に偏光板と、赤外光および可視光兼用撮像素子と、赤外光光源とを含む、装置。
(13) さらに、赤外光光源を含み、
 λ1と、赤外光光源から出射される赤外光の極大波長λ2との差が20nm以下である、(12)に記載の装置。
 本発明によれば、表示素子および可視光用撮像素子の少なくとも1つと赤外光センシングシステムとを組み合わせた装置に適用された際に、赤外光センシングシステムの検出性能に優れると共に、装置が表示素子を含む場合には表示性能に優れ、装置が撮像素子を含む場合には撮像性能に優れる、偏光板を提供できる。
 また、本発明によれば、装置、ヘッドマウントディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、および、撮像システムを提供できる。
本発明の偏光板を含む有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置を説明するための模式図である。 本発明の偏光板を含むヘッドマウントディスプレイを説明するための模式図である。 実施例の虹彩検出の評価で使用する装置の概略図である。 撮像システムを説明するための図である。
 以下、本発明について詳細に説明する。
 なお、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
 また、遅相軸および進相軸は、特別な断りがなければ、波長550nmにおける定義である。つまり、特別な断りがない限り、例えば、遅相軸方向という場合、波長550nmにおける遅相軸の方向を意味する。
 本発明において、Re(λ)およびRth(λ)は各々、波長λにおける面内のレタデーションおよび厚み方向のレタデーションを表す。特に記載がないときは、波長λは、550nmとする。
 本発明において、Re(λ)およびRth(λ)はAxoScan OPMF-1(オプトサイエンス社製)において、波長λで測定した値である。AxoScanにて平均屈折率((nx+ny+nz)/3)と膜厚(d(μm))を入力することにより、
 遅相軸方向(°)
 Re(λ)=R0(λ)
 Rth(λ)=((nx+ny)/2-nz)×d
が算出される。
 なお、R0(λ)は、AxoScan OPMF-1で算出される数値として表示されるものであるが、Re(λ)を意味している。
 本明細書において、屈折率nx、ny、および、nzは、アッベ屈折計(NAR-4T、アタゴ(株)製)を使用し、光源にナトリウムランプ(λ=589nm)を用いて測定する。また、波長依存性を測定する場合は、多波長アッベ屈折計DR-M2(アタゴ(株)製)にて、干渉フィルタとの組み合わせで測定できる。
 また、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、および、各種光学フィルムのカタログの値を使用できる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、および、ポリスチレン(1.59)。
 また、本明細書において、角度の関係(例えば、「直交」、「平行」など)については、本発明が属する技術分野において許容される誤差の範囲を含むものとする。例えば、厳密な角度±5°の範囲内であることなどを意味し、厳密な角度との誤差は、±3°の範囲内であることが好ましい。
 本明細書において表記される2価の基(例えば、-COO-)の結合方向は特に制限されず、例えば、X-L-Y中のLが-COO-である場合、X側に結合している位置を*1、Y側に結合している位置を*2とすると、Lは*1-O-CO-*2であってもよく、*1-CO-O-*2であってもよい。
 本発明の偏光板の特徴点としては、波長400~700nmの可視光領域と、波長800~1500nmの赤外光領域とにおける各種特性を所定の範囲に調整している点が挙げられる。
<偏光板>
 本発明の偏光板は、波長400~700nmにおける平均透過率が70%以上であり、波長800~1500nmにおける偏光度の最大値が80%以上であり、偏光度の最大値を示す波長を波長λ1とした際に、波長λ1における透過率T(λ1)が後述する式(A1)および式(A2)の関係を満たす。
 以下、偏光板の特徴について説明する。
 本発明の偏光板の波長400~700nmにおける平均透過率は、70%以上であり、表示性能または撮像性能の性能がより優れる点で、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。上記平均透過率の上限は特に制限されないが、98%以下の場合が多い。
 上記平均透過率は、紫外可視近赤外分光光度計(例えば、紫外可視近赤外分光光度計V-660)を用いて、波長400~700nmの範囲において1nm毎の偏光板の透過率を測定し、得られた各波長における透過率を算術平均して求める。
 本発明の偏光板の波長800~1500nmにおける偏光度の最大値は、80%以上であり、赤外光センシングシステムの検出性能がより優れる点で、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましい。上記偏光度の最大値の上限は特に制限されないが、100%未満の場合が多く、99.9%以下の場合がより多い。
 上記偏光度の最大値は、紫外可視近赤外分光光度計(例えば、日本分光株式会社(JASCO)製自動絶対反射率測定ユニットARMN-735を備えた紫外可視近赤外分光光度計V-660)を用いて、波長400~1500nmの範囲で、波長λにおける偏光板の吸収軸方向の偏光に対する透過率Tz(λ)、および、透過軸方向の偏光に対する透過率Ty(λ)を測定し、下記式により、偏光度P(λ)(%)を求め、そのなかの最大値を求める。なお、上記吸収軸および透過軸は、偏光板の極大吸収波長における吸収軸および透過軸を意味する。
P(λ)={(Ty(λ)-Tz(λ))/(Ty(λ)+Tz(λ))}×100
 本発明の偏光板において、偏光度の最大値を示す波長を波長λ1とした際に、波長λ1における透過率T(λ1)が式(A1)および式(A2)の関係を満たす。
 式(A1) 30%≦T(λ1)
 式(A2) T(λ1)≦50%
 なかでも、赤外光センシングシステムの検出性能がより優れる点で、式(A3)の関係および式(A4)の関係の少なくとも一方を満たすことが好ましく、両方の関係を満たすことがより好ましい。
 式(A3) 40%≦T(λ1)
 式(A4) T(λ1)≦45%
 上記偏光板の各種特性は、使用する材料(例えば、後述する二色性物質および液晶化合物など)を変更したり、材料の使用量を調整したり、後述する偏光板の製造方法を調整したりすることにより、制御できる。より具体的には、例えば、偏光板が後述する液晶化合物(例えば、リオトロピック液晶化合物)を含む場合、液晶化合物の配向性を高めることにより二色性物質の配向性(配向度)が高めて、上記偏光度を高める方法がある。
(二色性物質)
 本発明の偏光板は、二色性物質を含むことが好ましい。二色性物質とは、方向によって吸光度が異なる色素を意味する。二色性物質は、液晶性を示してもよいし、液晶性を示さなくてもよい。
 二色性物質は、特に限定されず、二色性色素、発光物質(蛍光物質、燐光物質)、紫外線吸収物質、赤外線吸収物質、非線形光学物質、カーボンナノチューブ、および、無機物質(例えば、量子ロッド、金属ナノ粒子、および、金属ナノロッド)などが挙げられ、従来公知の二色性物質(二色性色素)を使用できる。
 本発明の偏光板は、二色性色素を含むことが好ましい。
 本発明の偏光板に含まれる二色性色素は、波長800~1500nmに極大吸収波長を有することが好ましい。
 上記二色性色素の極大吸収波長は、紫外可視近赤外分光光度計(例えば、紫外可視近赤外分光光度計V-660)を用いて、偏光板中の二色性色素の吸収スペクトルを測定することにより求めることができる。
 本発明の偏光板において、波長λ1における二色性色素の配向度S(λ1)は特に制限されないが、赤外光センシングシステムの検出性能がより優れる点または偏光板の加工性に優れる点で、式(B1)および式(B2)の関係を満たすことが好ましい。
 式(B1) 0.700≦S(λ1)
 式(B2) S(λ1)≦0.950
 なかでも、式(B3)の関係および式(B4)の関係の少なくとも一方を満たすことが好ましく、両方の関係を満たすことがより好ましい。
 式(B3) 0.850≦S(λ1)
 式(B4) S(λ1)≦0.930
 上記二色性色素の配向度S(λ1)は、紫外可視近赤外分光光度計(例えば、日本分光株式会社(JASCO)製自動絶対反射率測定ユニットARMN-735を備えた紫外可視近赤外分光光度計V-660)を用いて、波長λ1における偏光板の吸収軸方向の偏光に対する透過率Tz(λ)、および、透過軸方向の偏光に対する透過率Ty(λ)を測定し、下記式により、配向度S(λ1)を求める。なお、上記吸収軸および透過軸は、極大吸収波長における吸収軸および透過軸を意味する。
S=(Az(λ1)-Ay(λ1))/{Az(λ1)+(2×Ay(λ1))}
Ay(λ1)=-Log(Ty(λ1))
Az(λ1)=-Log(Tz(λ1))
 二色性色素の配向度の調整方法は特に制限されず、上述したように、偏光板が後述する液晶化合物(例えば、リオトロピック液晶化合物)を含む場合、液晶化合物の配向性を高めることにより二色性色素の配向性(配向度)を高めることができる。
 二色性色素は、液晶性(例えば、リオトロピック液晶性)を示してもよいし、液晶性を示さなくてもよいが、液晶性を示すことが好ましい。
 二色性色素が液晶性を示す場合には、ネマチック性、スメクチック性およびカラムナー性のいずれを示してもよい。
 二色性色素は、親水性基を有することが好ましい。二色性色素が親水性基を有する場合、後述する非着色性のリオトロピック液晶化合物と共に用いることにより、本発明の偏光板を容易に製造できる。
 なお、以下、親水性基を有する二色性色素を、特定二色性色素ともいう。
 親水性基としては、酸基またはその塩、オニウム塩基、ヒドロキシ基またはその塩、スルホンアミド基(HN-SO-)、および、ポリオキシアルキレン基が挙げられる。なかでも、酸基またはその塩が好ましい。
 オニウム塩基とは、オニウム塩由来の基であり、例えば、アンモニウム塩基(*-N(R)、ホスホニウム塩基(*-P(R)、および、スルホニウム塩基(*-S(R)が挙げられる。Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、および、ヘテロアリール基を表す。Aは、アニオン(例えば、ハロゲンイオン)を表す。*は、結合位置を表す。
 ヒドロキシ基の塩は、*-Oで表され、Mはカチオンを、*は結合位置を表す。Mで表されるカチオンとしては、後述する酸基の塩中のカチオンが例示される。
 ポリオキシアルキレン基としては、R-(O-L-*で表される基が挙げられる。Rは、上述した通りである。Lは、アルキレン基を表す。*は、結合位置を表す。
 酸基またはその塩としては、例えば、スルホ基(-SOH)またはその塩(-SO 。Mは、カチオンを表す。)、および、カルボキシル基(-COOH)またはその塩(-COO。Mは、カチオンを表す。)が挙げられ、偏光板中の特定二色性色素の配向がより優れる点で、スルホ基またはその塩が好ましい。
 なお、上記塩とは、酸の水素イオンが金属イオンなどの他のカチオンに置き換わったものをいう。つまり、酸基の塩とは、-SOH基などの酸基の水素イオンが他のカチオンに置き換わったものをいう。
 酸基の塩中のカチオン(例えば、スルホ基の塩中およびカルボキシル基の塩中のカチオン)としては、例えば、Na、K、Li、Rb、Cs、Ba2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Pb2+、Zn2+、La3+、Ce3+、Y3+、Yb3+、Gd3+、または、Zr4+が挙げられる。なかでも、偏光板中の特定二色性色素の配向がより優れる点で、アルカリ金属イオンが好ましく、Na、K、または、Liがより好ましく、Liがさらに好ましい。
 特定二色性色素は、上述したように、波長800~1500nmの範囲において極大吸収を有することが好ましい。つまり、特定二色性色素は、近赤外線吸収二色性色素であることが好ましい。
 特定二色性色素(特に、親水性基を有する近赤外線吸収二色性色素)の種類は特に制限されず、公知の材料が挙げられる。特定二色性色素としては、親水性基を有する二色性色素が挙げられ、例えば、親水性基を有するフタロシアニン系色素、親水性基を有するナフタロシアニン系色素、親水性基を有する金属錯体系色素、親水性基を有するホウ素錯体系色素、親水性基を有するシアニン系色素、親水性基を有するオキソノール系色素、親水性基を有するスクアリリウム系色素、親水性基を有するリレン系色素、親水性基を有するジイモニウム系色素、親水性基を有するジフェニルアミン類系色素、親水性基を有するトリフェニルアミン類系色素、親水性基を有するキノン系色素、および、親水性基を有するアゾ系色素が挙げられる。一般的にこれらの色素は既存のπ共役系を拡張することによって吸収波長を長波長化させており、その構造により多種多様な吸収波長を示す。
 上記で例示される色素(親水性基を有するフタロシアニン系色素、親水性基を有するナフタロシアニン系色素、親水性基を有する金属錯体系色素、親水性基を有するホウ素錯体系色素、親水性基を有するシアニン系色素、親水性基を有するオキソノール系色素、親水性基を有するスクアリリウム系色素、親水性基を有するリレン系色素、親水性基を有するジイモニウム系色素、親水性基を有するジフェニルアミン類系色素、親水性基を有するトリフェニルアミン類系色素、親水性基を有するキノン系色素、および、親水性基を有するアゾ系色素)が有する親水性基の定義は、上述した通りである。
 親水性基を有するフタロシアニン系色素および親水性基を有するナフタロシアニン系色素は、平面性構造を有し、広いπ共役面を有する色素である。
 親水性基を有するフタロシアニン系色素は、式(1A)で表される構造を有することが好ましく、親水性基を有するナフタロシアニン系色素は、式(1B)で表される構造を有することが好ましい。
 式(1A)および式(1B)中、Mは、水素原子、金属原子、金属酸化物、金属水酸化物、または、金属ハロゲン化物を表す。
 金属原子としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、および、Biが挙げられる。
 金属酸化物としては、VO、GeO、および、TiOが挙げられる。
 金属水酸化物としては、Si(OH)、Cr(OH)、Sn(OH)、および、AlOHが挙げられる。
 金属ハロゲン化物としては、SiCl、VCl、VCl、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl、および、AlClが挙げられる。
 中でも、Fe、Co、Cu、Ni、Zn、Al、および、Vなどの金属原子、VOなどの金属酸化物、または、AlOHなどの金属水酸化物が好ましく、VOなどの金属酸化物がより好ましい。
 親水性基を有するフタロシアニン系色素としては、以下の式(1A-1)で表される化合物が好ましい。
 式(1A-1)中、Ra1は、それぞれ独立に、親水性基を有する置換基(以下、単に「特定置換基」ともいう。)を表す。Ra2は、それぞれ独立に、親水性基を有さない置換基を表す。
 特定置換基が有する親水性基は、上述した通りである。
 特定置換基としては、式(Z)で表される基が好ましい。
 式(Z) *-La1-(Ra1
 式(Z)中、Ra1は、親水性基を表す。親水性基の定義は、上述した通りである。
 式(Z)中、La1は、qが1の場合、単結合または2価の連結基を表し、qが2以上の場合、q+1価の連結基を表す。
 2価の連結基としては、例えば、2価の炭化水素基(例えば、アルキレン基(好ましくは炭素数1~10、より好ましくは1~5)、アルケニレン基(好ましくは炭素数1~10、より好ましくは1~5)、および、アルキニレン基(好ましくは炭素数1~10、より好ましくは1~5)などの2価の脂肪族炭化水素基、アリーレン基などの2価の芳香族炭化水素環基)、2価の複素環基、-O-、-S-、-SO-、-NH-、-N(Q)-、-CO-、または、これらを組み合わせた基(例えば、-O-2価の炭化水素基-、-(O-2価の炭化水素基)-O-(mは、1以上の整数を表す)、および、-2価の炭化水素基-O-CO-など)が挙げられる。Qは、水素原子またはアルキル基を表す。
 qが2以上の場合、La1で表されるq+1価の連結基としては、例えば、3価の連結基(q=2)、および、4価の連結基(q=3)が挙げられる。
 3価の連結基としては、例えば、炭化水素から3個の水素原子を除いて形成される残基、複素環化合物から3個の水素原子を除いて形成される残基、および、上記残基と上記2価の連結基とを組み合わせた基などが挙げられる。
 4価の連結基としては、例えば、炭化水素から4個の水素原子を除いて形成される残基、複素環化合物から4個の水素原子を除いて形成される残基、および、上記残基と上記2価の連結基とを組み合わせた基などが挙げられる。
 qは、1以上の整数を表し、1~4の整数が好ましく、1または2がより好ましく、1がよりさらに好ましい。
 Ra2は、それぞれ独立に、親水性基を有さない置換基を表す。上記親水性基を有さない置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基が挙げられる。
 ra1は、1以上の整数を表し、1~12の整数が好ましく、1~4の整数がより好ましい。
 sa1は、0以上の整数を表し、0~4の整数が好ましく、0がより好ましい。
 親水性基を有するナフタロシアニン系色素としては、以下の式(1B-1)で表される化合物が好ましい。
 式(1B-1)中、Ra3は、それぞれ独立に、特定置換基を表す。Ra4は、それぞれ独立に、親水性基を有さない置換基を表す。
 Ra3で表される特定置換基は、Ra1で表される特定置換基と同義である。
 Ra4で表される親水性基を有さない置換基は、Ra2で表される親水性基を有さない置換基と同義である。
 ra2は、1以上の整数を表し、1~12の整数が好ましく、1~4の整数がより好ましい。
 sa2は、0以上の整数を表し、0~4の整数が好ましく、0がより好ましい。
 親水性基を有するフタロシアニン系色素としては、以下の化合物例1が好ましい。
 式中、pおよびKは、それぞれ独立に、0~12の整数を表し、pおよびKの和が1~12である。中でも、pが1~4、かつ、kが0であることが好ましい。
 親水性基を有するキノン系色素は、幅広い吸収を有する色素である。
 親水性基を有するキノン系色素は、式(2)で表される構造を有することが好ましい。
 式(2)中、Xは、酸素原子または=NRを表す。Rは、水素原子または置換基を表す。Rで表される置換基としては、後述する置換基Wで例示される基が挙げられる。
 ArおよびArは、それぞれ独立に、芳香環または複素環を表し、吸収波長の長波長化の点から、複素環がより好ましい。
 キノン系色素が親水性基を有することにより、水への溶解が可能となる。親水性基を有するキノン系色素としては、例えば、特表2006-508034号公報に記載されるようなインダンスロン色素が挙げられる。
 キノン系色素としては、以下の式(2-1)で表される化合物が好ましい。
 Rb1は、それぞれ独立に、特定置換基を表す。特定置換基は、上述した通りである。特に、q=1の特定置換基が好ましい。
 rb1は、1~12の整数を表し、1~4の整数が好ましい。
 親水性基を有するキノン系色素としては、以下の化合物例2が好ましい。
 式中、nは1~12の整数を表し、nが1以上の場合、それぞれのスルホン酸は遊離形態であっても、塩の形態であってもよく、あるいは遊離形態と塩の形態の両方を任意の割合で含んでいてもよい。
 親水性基を有するシアニン系色素は、近赤外域に強い吸収を有する色素である。
 親水性基を有するシアニン系色素としては、式(3)で表される化合物、または、式(4)で表される化合物が好ましい。
 式(3)中、Ar~Arは、それぞれ独立に、特定置換基を有していてもよい複素環基を表し、Rc1は、水素原子または置換基を表す。ただし、ArおよびArの少なくとも一方は、特定置換基を有する複素環基を表す。
 Ar~Arで表される複素環基が有する特定置換基は、上述した通りである。
 複素環基を構成する複素環としては、例えば、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、チアゾリン環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、オキサゾリン環、セレナゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトセレナゾール環、および、キノリン環が挙げられ、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、ベンゾチアゾール環、または、ナフトチアゾール環が好ましい。
 特定置換基は、複素環中のヘテロ原子上に置換していてもよいし、炭素原子上に置換していてもよい。
 複素環基は、特定置換基を1つだけ有していてもよいし、複数(例えば、2~3つ)有していてもよい。
 rc1は、1~7の整数を表し、3~5の整数が好ましい。
 Rc1は、水素原子または置換基を表す。置換基の種類は特に制限されず、公知の置換基が挙げられ、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または、置換基を有していてもよいヘテロアリール基が好ましい。
 アルキル基、アリール基、および、ヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、芳香族ヘテロ環チオ基、ウレイド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基(例えば、ヘテロアリール基)、シリル基、および、これらを組み合わせた基(以下、これらの基を総称して「置換基W」ともいう。)などが挙げられる。なお、上記置換基は、さらに置換基Wで置換されていてもよい。
 式(4)中、Ar~Arは、それぞれ独立に、特定置換基を有していてもよい複素環基を表し、Arは、炭素数5~7の環状骨格を表し、Wは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンジル基、ピリジル基、モルホリル基、ピペリジル基、ピロリジル基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、または、置換基を有してもよいフェニルチオ基を表す。ただし、ArおよびArの少なくとも一方は、特定置換基を有する複素環基を表す。
 Ar~Arで表される複素環基が有する特定置換基は、上述した通りである。
 複素環基を構成する複素環としては、例えば、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ナフトイミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、チアゾリン環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、ナフトオキサゾール環、オキサゾリン環、セレナゾール環、ベンゾセレナゾール環、ナフトセレナゾール環、および、キノリン環が挙げられ、インドレニン環、ベンゾインドレニン環、ベンゾチアゾール環、または、ナフトチアゾール環が好ましい。
 Wで表されるフェニル基、ベンジル基、フェニルアミノ基、フェノキシ基、アルキルチオ基、および、フェニルチオ基が有していてもよい置換基としては、上述した置換基Wで例示される基、および、親水性基が挙げられる。
 Wで表されるアルキルチオ基中の炭素数は特に制限されないが、1~5が好ましく、1~3がより好ましい。
 式(4)で表される化合物は、一分子内にカチオンとアニオンとを有する分子内塩型、または、分子間塩型であり、分子間塩型の場合、ハロゲン化塩、過塩素酸塩、フッ化アンチモン塩、フッ化リン塩、フッ化ホウ素塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ビス(トリフルオロメタン)スルホン酸イミド塩、または、ナフタレンスルホン酸などの有機塩が挙げられる。
 具体的には、インドシアニングリーンおよび特開昭63-033477号公報に記載の水溶性色素などが挙げられる。
 式(4)で表される化合物としては、式(4-1)で表される化合物が好ましい。
 式(4-1)中、Rc2~Rc5は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、Rc2~Rc5のいずれか1つは、-SO を有する置換基(例えば、-SO を有するアルキル基。アルキル基の炭素数は1~10が好ましい。)、-COOを有する置換基(例えば、-COOを有するアルキル基。アルキル基の炭素数は1~10が好ましい。)、-SO 、または、-COOを表し、Arc1およびArc2は、それぞれ独立に、芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環またはナフタレン環)を表し、Arは、炭素数5~7の環状骨格を表し、Wは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンジル基、ピリジル基、モルホリル基、ピペリジル基、ピロリジル基、置換基を有してもよいフェニルアミノ基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、または、置換基を有してもよいフェニルチオ基を表し、rc2は、1~3の整数を表し、rc3は、1~3の整数を表す。
 Rc2~Rc5で表される置換基としては、置換基Wで例示される基、および、特定置換基が挙げられる。
 Rは、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を表す。Rで表される置換基としては、置換基Wで例示される基が挙げられ、アルキル基が好ましい。上記アルキル基の炭素数は、1~5が好ましい。
 Wで表されるフェニル基、ベンジル基、フェニルアミノ基、フェノキシ基、アルキルチオ基、および、フェニルチオ基が有していてもよい置換基としては、置換基Wで例示される基、および、特定置換基が挙げられる。
 式(3)で表される化合物および式(4)で表される化合物としては、例えば、化合物例3~6が挙げられる。
 親水性基を有するスクアリリウム系色素は、四角酸を中心骨格に持つ色素である。
 親水性基を有するスクアリリウム系色素としては、式(5)で表される化合物が好ましい。
 式(5)中、ArおよびArは、それぞれ独立に、特定置換基を有していてもよい複素環基を表す。ArおよびArとしては、上述したArで表される複素環が好ましい。
 式(5)で表される化合物も分子内塩型、または、分子間塩型をとり、シアニン系色素と同様な塩の形をとる。
 親水性基を有するスクアリリウム系色素としては、式(5-1)で表される化合物、または、式(5-2)で表される化合物が好ましい。
 式(5-1)中、Are1は、特定置換基を有していてもよい複素環基を表す。Are2は、特定置換基を有していてもよい、Nを含む複素環基を表す。ただし、Are1で表される複素環基およびAre2で表される複素環基の少なくとも一方は、特定置換基を有する。
 式(5-2)中、Are3は、特定置換基を有していてもよい複素環基を表す。Are4は、特定置換基を有していてもよい、Nを含む複素環基を表す。ただし、Are3で表される複素環基およびAre4で表される複素環基の少なくとも一方は、特定置換基を有する。
 アゾ系色素は可視光域を吸収する色素であり、水溶性インクが主な用途であるが、吸収を広帯域化することにより、近赤外域まで吸収可能な色素が市販されている。
 アゾ系色素としては、例えば、特許第5979728号公報に記載のC.I. Acid Black 2(オリヱント化学工業社製)、C.I. Direct Black 19(アルドリッチ工業社製)が挙げられる。
 また、アゾ系色素は金属原子と錯形成させることもできる。アゾ系色素を含む錯体としては、式(6)で表される化合物が挙げられる。
 式(6)中、Mは、金属原子を表し、例えば、コバルト、および、ニッケルが挙げられる。
 AおよびBは、それぞれ独立に、特定置換基を有していてもよい芳香環を表す。ただし、AおよびBのいずれか1つは、特定置換基を有する芳香環を表す。
 芳香環としては、ベンゼン環およびナフタレン環が挙げられる。
 Xは、カチオンを表す。カチオンとしては、H、アルカリ金属カチオン、および、アンモニウムカチオンが挙げられる。
 アゾ系色素を含む錯体としては、特開昭59-011385号公報に記載の色素が挙げられる。
 金属錯体系色素としては、式(7)で表される化合物、および、式(8)で表される化合物が挙げられる。
 式(7)中、Mは、金属原子を表し、Rg1~Rg2は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、Rg1およびRg2の少なくとも一方は特定置換基を表し、X~Xは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、または、-NRg3-を表す。Rg3は、水素原子、アルキル基、または、アリール基を表す。
 Mで表される金属原子としては、Pd、Ni、Co、および、Cuが挙げられ、Niが好ましい。
 Rg1~Rg2で表される置換基の種類は特に制限されず、上述した置換基Wで例示した基、および、特定置換基が挙げられる。なお、Rg1およびRg2の少なくとも一方は特定置換基を表し、Rg1およびRg2の両方が特定置換基を表してもよい。
 式(8)中、Mは、金属原子を表し、Rh1~Rh2は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、Rh1およびRh2の少なくとも一方は特定置換基を表し、X~Xは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、または、-NRh3-を表す。Rh3は、水素原子、アルキル基、または、アリール基を表す。
 Mで表される金属原子としては、Pd、Ni、Co、および、Cuが挙げられ、Niが好ましい。
 Rh1~Rh2で表される置換基の種類は特に制限されず、上述した置換基Wで例示した基、および、特定置換基が挙げられる。なお、Rh1およびRh2の少なくとも一方は特定置換基を表し、Rh1およびRh2の両方が特定置換基を表してもよい。
 親水性基を有するホウ素錯体系色素としては、式(9)で表される化合物が挙げられる。
 式(9)中、Ri1~Ri2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、または、フェニル基を表し、Ri3は、それぞれ独立に、電子求引性基を表し、Ar10は、それぞれ独立に、特定置換基を有していてもよいアリール基を表し、2つのAr10の少なくとも一方は、特定置換基を有するアリール基を表し、Ar11は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい、芳香族炭化水素環または芳香族複素環を表し、Yは、硫黄原子または酸素原子を表す。
 Ri3で表される電子求引性基は特に制限されず、Hammettのσp値(シグマパラ値)が正の置換基を表し、例えば、シアノ基、アシル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、スルフィニル基、および、ヘテロ環基が挙げられる。
 これら電子求引性基はさらに置換されていてもよい。
 ハメットの置換基定数σ値について説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができる。例えば、Chem.Rev.,1991年,91巻,165~195ページなどに詳しい。本発明において電子求引性基としては、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の置換基が好ましい。σp値としては、0.25以上が好ましく、0.30以上がより好ましく、0.35以上がさらに好ましい。上限は特に制限はないが、0.80以下が好ましい。
 具体例としては、シアノ基(0.66)、カルボキシル基(-COOH:0.45)、アルコキシカルボニル基(-COOMe:0.45)、アリールオキシカルボニル基(-COOPh:0.44)、カルバモイル基(-CONH:0.36)、アルキルカルボニル基(-COMe:0.50)、アリールカルボニル基(-COPh:0.43)、アルキルスルホニル基(-SOMe:0.72)、および、アリールスルホニル基(-SOPh:0.68)が挙げられる。
 Ar10で表される特定置換基を有していてもよいアリール基としては、特定置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
 特定置換基の定義は、上述した通りであり、q=1の態様が好ましい。
 Ar11で表される置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環中の芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環またはナフタレン環が好ましい。
 Ar11で表される芳香族炭化水素環および芳香族複素環が有していてもよい置換基としては、上述した置換基Wで例示した基、および、特定置換基が挙げられる。
 親水性基を有するジイモニウム系色素は、近赤外域でも比較的長波長側(950~1100nm)に吸収を有する色素であり、式(10)で表される化合物が好ましい。
 式(10)中、Rj1~Rj8は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアルキル基、または、置換基を有していてもよい芳香環基を表し、Rj1~Rj8の少なくとも1つは特定置換基を有するアルキル基または特定置換基を有する芳香環基を表す。
 Qは、アニオンを表し、ハロゲン化イオン、過塩素酸イオン、フッ化アンチモンイオン、フッ化りんイオン、フッ化ホウ素イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ビス(トリフルオロメタン)スルホン酸イミドイオン、および、ナフタレンスルホン酸イオンが挙げられる。
 親水性基を有するオキソノール系色素としては、式(11)で表される化合物が好ましい。
 式(11)中、YおよびYは、それぞれ独立に、脂肪族環、または、複素環を形成する非金属原子群を表し、Mは、プロトン、1価のアルカリ金属カチオン、または、有機カチオンを表し、Lは5個または7個のメチン基からなるメチン鎖を表し、メチン鎖の中央のメチン基は下記式(A)により表される置換基を有し、
*-S-T   式(A)
 式(A)中、Sは、単結合、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、-O-、-S-、-NRL1-、-C(=O)-、-C(=O)O-、-C(=O)NRL1-、-S(=O)-、-ORL2-、または、これらを組み合わせてなる基を表し、RL1は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基を表し、RL2は、アルキレン基、アリーレン基、または、2価の複素環基を表し、Tは、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シアノ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシ基、アミノ基、チオール基、スルホ基、ホスホリル基、ボリル基、ビニル基、エチニル基、トリアルキルシリル基、または、トリアルコキシシリル基を表し、Sが単結合またはアルキレン基を表し、かつ、Tがアルキル基を表す場合は、SとTに含まれる炭素数の総和が3以上であり、*はメチン鎖の中央のメチン基との結合部位を表す。
 親水性基を有するオキソノール系色素としては、式(12)で表される化合物がより好ましい。
 式(12)中、MおよびLは、式(11)中のMおよびLと同じである。
 Rm1、Rm2、Rm3およびRm4は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基を表し、Xは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、または、セレン原子を表す。
 親水性基を有するオキソノール系色素としては、式(13)で表される化合物がさらに好ましい。
 式(13)中、M、LおよびXは、式(11)中のM、LおよびXと同じである。
 Rn1、および、Rn3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、または、ヘテロアリール基を表し、Rn2、および、Rn4は、それぞれ独立に、アルキル基、ハロゲン原子、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、ニトロ基、シアノ基、-ORL3、-C(=O)RL3、-C(=O)ORL3、-OC(=O)RL3、-N(RL3、-NHC(=O)RL3、-C(=O)N(RL3、-NHC(=O)ORL3、-OC(=O)N(RL3、-NHC(=O)N(RL3、-SRL3、-S(=O)L3、-S(=O)ORL3、-NHS(=O)L3、または、-S(=O)N(RL3を表し、RL3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、または、ヘテロアリール基を表し、nは、それぞれ独立に、1~5の整数を表す。
 本明細書において、用語"リレン"とは、ペリ位に結合されたナフタレン単位の分子構造を有する化合物を指す。ナフタレン単位の数に応じて、それらは、例えばペリレン(n=2)、テリレン(n=3)、クアテリレン(n=4)もしくは高級リレンであってよい。
 リレン系式としては、式(14)で表される化合物、式(15)で表される化合物、または、式(16)で表される化合物が好ましい。
 式(14)中、Yo1およびYo2は、それぞれ独立に、酸素原子またはNRw1であり、Rw1は、水素原子または置換基を表し、Zo1~Zo4は、それぞれ独立に、酸素原子またはNRW2を表し、Rw2は、水素原子または置換基を表し、Ro1~Ro8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、Ro1~Ro8の少なくとも1つは特定置換基を表すか、Yo1およびYo2の少なくとも1つがRw1が特定置換基であるNRW1であるか、Zo1~Zo4の少なくとも1つがRw2が特定置換基であるNRW2である。なお、RW1およびRW2は、互いに結合して、置換基を有していていてもよい環を形成してもよい。形成される環が2以上の置換基を有する場合、置換基同士は互いに結合して環(例えば、芳香環)を形成してもよい。
 式(15)中、Yp1およびYp2は、それぞれ独立に、酸素原子またはNRw3であり、Rw3は、水素原子または置換基を表し、Zp1~Zp4は、それぞれ独立に、酸素原子またはNRW4を表し、Rw4は、水素原子または置換基を表し、Rp1~Rp12は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、Rp1~Rp12の少なくとも1つは特定置換基を表すか、Yp1およびYp2の少なくとも1つがRw3が特定置換基であるNRW3であるか、Zp1~Zp4の少なくとも1つがRw4が特定置換基であるNRW4である。なお、RW3およびRW4は、互いに結合して、置換基を有していていてもよい環を形成してもよい。形成される環が2以上の置換基を有する場合、置換基同士は互いに結合して環(例えば、芳香環)を形成してもよい。
 式(16)中、Yq1およびYq2は、それぞれ独立に、酸素原子またはNRw5であり、Rw5は、水素原子または置換基を表し、Zq1~Zq4は、それぞれ独立に、酸素原子またはNRW6を表し、Rw6は、水素原子または置換基を表し、Rq1~Rq16は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、Rq1~Rq16およびRの少なくとも1つは特定置換基を表すか、Yq1およびYq2の少なくとも1つがRw5が特定置換基であるNRW5であるか、Zq1~Zq4の少なくとも1つがRw6が特定置換基であるNRW6である。なお、RW5およびRW6は、互いに結合して、置換基を有していていてもよい環を形成してもよい。形成される環が2以上の置換基を有する場合、置換基同士は互いに結合して環(例えば、芳香環)を形成してもよい。
 特定二色性色素は、J会合体を構成していることが好ましい。つまり、偏光板は、特定二色性色素から構成されるJ化合物を含むことが好ましい。
 J会合体とは、色素の集合体である。より具体的には、J会合体とは、色素分子同士が一定のずれ角(スリップアングル)をもって互いに会合した状態のことを指す。J会合体は、溶液状態の色素一分子の時と比較して、長波長側に、半値幅が狭く、吸光係数の高い吸収帯を有する。この先鋭化した吸収帯を、Jバンドという。Jバンドについては、文献(例えば、Photographic Science and Engineering Vol 18,No 323-335(1974))に詳細な記載がある。J会合体であるか否かは、その極大吸収波長を測定することで容易に判断できる。
 Jバンドの吸収ピークは、色素一分子の吸収ピークに対して、長波長側にシフトしており、Jバンドの吸収ピークの波長と色素一分子の吸収ピークの波長との差は10~300nmが好ましく、30~250nmがより好ましい。
 なお、特定二色性色素がJ会合体を形成している場合、J会合体の極大吸収波長が波長800~1500nmの範囲に位置することが好ましい。
 特定二色性色素は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
 偏光板中における二色性色素の含有量は特に制限されず、偏光板の吸収特性がより優れる点で、偏光板全質量に対して、1~20質量%が好ましく、1~18質量%がより好ましく、3~15質量%がさらに好ましい。
(他の成分)
 本発明の偏光板は、上述した二色性色素以外の他の成分を含んでいてもよい。
 他の成分としては、液晶化合物が挙げられる。液晶化合物は、低分子タイプと高分子タイプとの分類できる。
 液晶化合物は、リオトロピック液晶化合物であってもよいし、サーモトロピック液晶化合物であってもよい。なかでも、本発明の偏光板の製造がしやすい点で、リオトロピック液晶化合物が好ましい。
 本発明の偏光板は、非着色性のリオトロピック液晶化合物を含んでいてもよい。後述するように、特定二色性色素および非着色性のリオトロピック液晶化合物を含む組成物を用いることにより、容易に偏光板を製造できる。
 非着色性とは、可視光領域において吸収を示さないことを意味する。より具体的には、紫外線領域(230~400nm)における最大吸収波長の吸光度が1.0となるような濃度でリオトロピック液晶化合物を溶解させた溶液の紫外可視吸収スペクトルを測定した時に、可視光領域(波長400~700nm)の範囲における吸光度が、0.1以下であることを意味する。
 リオトロピック液晶化合物とは、リオトロピック液晶性を示す化合物である。リオトロピック液晶性とは、溶媒に溶解させた溶液状態で、温度や濃度を変化させることにより、等方相-液晶相の相転移を起こす性質をいう。
 リオトロピック液晶化合物は、液晶性発現の制御がしやすい点から、水溶性であることが好ましい。水溶性のリオトロピック液晶化合物とは、水に対して1質量%以上溶解するリオトロピック液晶化合物のことを表し、水に対して5質量%以上溶解するリオトロピック液晶化合物が好ましい。
 リオトロピック液晶化合物の種類は、上述した偏光板が形成できれば特に制限されない。なかでも、生産性よく偏光板を形成できる点で、非着色性のリオトロピック液晶化合物としては、非着色性のリオトロピック液晶性棒状化合物(以下、単に「棒状化合物」ともいう。)、または、非着色性のリオトロピック液晶性板状化合物(以下、単に「板状化合物」ともいう。)が好ましい。非着色性のリオトロピック液晶化合物として、棒状化合物のみを用いてもよいし、板状化合物のみを用いてもよいし、棒状化合物および板状化合物を併用してもよい。
 以下、棒状化合物および板状化合物について詳述する。
(棒状化合物)
 偏光板は、棒状化合物を含んでいてもよい。棒状化合物は所定の方向に配向しやすい。
 棒状化合物は、リオトロピック液晶性を示す。
 棒状化合物は、液晶性発現の制御がしやすい点から水溶性であることが好ましい。水溶性の棒状化合物とは、水に対して1質量%以上溶解する棒状化合物のことを表し、水に対して5質量%以上溶解する棒状化合物が好ましい。
 なお、棒状化合物とは、環構造(芳香族環および非芳香族環など)が、単結合または2価の連結基を介して、1次元的に繋がった構造を有する化合物のことを指し、溶媒中において、長軸が互いに平行に揃うように配向する性質を持った化合物群のことを示す。
 棒状化合物は、波長300nm以下の範囲に極大吸収波長を有することが好ましい。つまり、棒状化合物は、波長300nm以下の範囲の極大吸収ピークを有することが好ましい。
 なお、上記棒状化合物の極大吸収波長とは、棒状化合物の吸収スペクトル(測定範囲:波長230~400nmの範囲)において、その吸光度が極大値を取るときの波長を意味する。棒状化合物の吸収スペクトルの吸光度において、複数の極大値がある場合、測定範囲中の最も長波長側の波長を選択する。
 なかでも、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、棒状化合物は230~300nmの範囲に極大吸収波長を有することが好ましく、250~290nmの範囲に極大吸収波長を有することがより好ましい。上記のように、棒状化合物の極大吸収波長は、250nm以上に位置することが好ましい。
 上記極大吸収波長の測定方法は以下の通りである。
 棒状化合物(5~50mg)を純水(1000ml)に溶解させ、分光光度計(MPC-3100(SHIMADZU製))を用いて、得られた溶液の吸収スペクトルを測定する。
 棒状化合物は、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、親水性基を有することが好ましい。
 棒状化合物は親水性基を1つだけ有していてもよいし、複数有していてもよい。
 親水性基の定義は、上述した特定二色性色素が有する親水性基の定義と同じであり、好適態様も同じである。
 棒状化合物としては、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、式(X)で表される繰り返し単位を有する高分子が好ましい。
 Rx1は、親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族環基、親水性基を含む置換基を有する2価の非芳香族環基、または、式(X1)で表される基を表す。式(X1)中、*は結合位置を表す。
 式(X1)  *-Rx3-Lx3-Rx4-*
 Rx3およびRx4は、それぞれ独立に、親水性基を含む置換基を有していてもよい2価の芳香族環基、または、親水性基を含む置換基を有していてもよい2価の非芳香族環基を表し、Rx3およびRx4の少なくとも一方が親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族環基、または、親水性基を含む置換基を有する2価の非芳香族環基を表す。
 Lx3は、単結合、-O-、-S-、アルキレン基、アルケニレン基、または、アルキニレン基を表す。
 Rx1で表される2価の芳香族環基および2価の非芳香族環基は、親水性基を含む置換基を有する。
 親水性基を含む置換基に含まれる親水性基としては、上述した特定二色性色素が有する親水性基で例示した基が挙げられ、酸基またはその塩が好ましい。
 親水性基を含む置換基としては、式(H)で表される基が好ましい。式(H)中、*は結合位置を表す。
 式(H)  R-L-*
 Rは、親水性基を表す。親水性基の定義は、上述した通りである。
 Lは、単結合または2価の連結基を表す。2価の連結基は特に制限されず、例えば、2価の炭化水素基(例えば、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数1~10のアルケニレン基、および、炭素数1~10のアルキニレン基などの2価の脂肪族炭化水素基、並びに、アリーレン基などの2価の芳香族炭化水素環基)、2価の複素環基、-O-、-S-、-SO-、-NH-、-CO-、または、これらを組み合わせた基(例えば、-CO-O-、-O-2価の炭化水素基-、-(O-2価の炭化水素基)-O-(mは、1以上の整数を表す)、および、-2価の炭化水素基-O-CO-など)が挙げられる。
 2価の芳香族環基が有する親水性基を含む置換基の数は特に制限されないが、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、1~3が好ましく、1がより好ましい。
 2価の非芳香族環基が有する親水性基を含む置換基の数は特に制限されないが、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、1~3が好ましく、1がより好ましい。
 Rx1で表される親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族環基を構成する芳香族環は、単環構造であっても、多環構造であってもよい。
 上記2価の芳香族環基を構成する芳香族環としては、例えば、芳香族炭化水素環、または、芳香族複素環が挙げられる。つまり、Rx1としては、親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族炭化水素環基、および、親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族複素環基が挙げられる。
 芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、および、ナフタレン環が挙げられる。
 親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族炭化水素環基の2価の芳香族炭化水素環基部分のみの構造としては、例えば、以下の基が挙げられる。*は、結合位置を表す。
 芳香族複素環としては、例えば、ピリジン環、チオフェン環、ピリミジン環、チアゾール環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、および、インドール環が挙げられる。
 親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族複素環基の2価の芳香族複素環基部分のみの構造としては、例えば、以下の基が挙げられる。*は、結合位置を表す。
 Rx1で表される親水性基を含む置換基を有する2価の非芳香族環基を構成する非芳香族環は、単環構造であっても、多環構造であってもよい。
 上記2価の非芳香族環基を構成する非芳香族環としては、例えば、脂肪族環、および、非芳香族複素環が挙げられ、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、脂肪族環が好ましく、シクロアルカンがより好ましく、シクロヘキサンがさらに好ましい。つまり、Rx1としては、親水性基を含む置換基を有する2価の脂肪族環基、および、親水性基を含む置換基を有する2価の非芳香族複素環基が挙げられ、親水性基を含む置換基を有する2価のシクロアルキレン基が好ましい。
 脂肪族環は、飽和脂肪族環であっても、不飽和脂肪族環であってもよい。
 親水性基を含む置換基を有する2価の脂肪族環基の2価の脂肪族環基部分のみの構造としては、例えば、以下の基が挙げられる。*は、結合位置を表す。
 非芳香族複素環に含まれるヘテロ原子は特に制限されず、例えば、酸素原子、窒素原子、および、硫黄原子が挙げられる。
 非芳香族複素環に含まれるヘテロ原子の数は特に制限されず、例えば、1~3が挙げられる。
 親水性基を含む置換基を有する2価の非芳香族複素環基の2価の非芳香族複素環基部分のみの構造としては、例えば、以下の基が挙げられる。*は、結合位置を表す。
 Rx1で表される親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族環基、および、親水性基を含む置換基を有する2価の非芳香族環基は、親水性基を含む置換基以外の置換基を有していてもよい。
 置換基は特に制限されず、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、芳香族ヘテロ環チオ基、ウレイド基、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドラジノ基、ヘテロ環基(例えば、ヘテロアリール基)、シリル基、および、これらを組み合わせた基などが挙げられる。なお、上記置換基は、さらに置換基で置換されていてもよい。
 Rx3およびRx4は、それぞれ独立に、親水性基を含む置換基を有していてもよい2価の芳香族環基、または、親水性基を含む置換基を有していてもよい2価の非芳香族環基を表し、Rx3およびRx4の少なくとも一方が親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族環基、または、親水性基を含む置換基を有する2価の非芳香族環基を表す。
 Rx3およびRx4で表される2価の芳香族環基が有していてもよい親水性基を含む置換基の定義は、上述した通りである。
 また、Rx3およびRx4で表される親水性基を含む置換基を有していてもよい2価の芳香族環基を構成する芳香族環の定義は、上述した、Rx1で表される親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族環基を構成する芳香族環の定義と同じである。
 Rx3およびRx4で表される2価の非芳香族環基が有していてもよい親水性基を含む置換基の定義は、上述した通りである。
 また、Rx3およびRx4で表される親水性基を含む置換基を有していてもよい2価の非芳香族環基を構成する非芳香族環の定義は、上述した、Rx1で表される親水性基を含む置換基を有する2価の非芳香族環基を構成する非芳香族環の定義と同じである。
 Rx3およびRx4の少なくとも一方は、親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族環基、または、親水性基を含む置換基を有する2価の非芳香族環基を表し、Rx3およびRx4の両方が、親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族環基、または、親水性基を含む置換基を有する2価の非芳香族環基を表してもよい。
 Rx3およびRx4で表される親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族環基の定義は、上述したRx1で表される親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族環基の定義と同義である。
 また、Rx3およびRx4で表される親水性基を含む置換基を有する2価の非芳香族環基の定義は、上述したRx1で表される親水性基を含む置換基を有する2価の非芳香族環基の定義と同義である。
 Lx3は、単結合、-O-、-S-、アルキレン基、アルケニレン基、または、アルキニレン基を表す。
 アルキレン基の炭素数は特に制限されないが、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、1~3が好ましく、1がより好ましい。
 アルケニレン基、および、アルキニレン基の炭素数は特に制限されないが、偏光板中の特定二色性色素の配向がより優れる点で、2~5が好ましく、2~4がより好ましい。
 Rx2は、2価の非芳香族環基、2価の芳香族環基、または、式(X2)で表される基を表す。式(X2)中、*は結合位置を表す。
 式(X2)  *-Zx1-Zx2-*
 Zx1およびZx2は、それぞれ独立に、2価の非芳香族環基、または、2価の芳香族環基を表す。*は、結合位置を表す。
 Rx2で表される2価の非芳香族環基を構成する非芳香族環は、単環構造であっても、多環構造であってもよい。
 上記2価の非芳香族環基を構成する非芳香族環としては、例えば、脂肪族環、および、非芳香族複素環が挙げられ、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、脂肪族環が好ましく、シクロアルカンがより好ましく、シクロヘキサンがさらに好ましい。つまり、Rx2としては、2価の脂肪族環基、および、2価の非芳香族複素環基が挙げられ、2価のシクロアルキレン基が好ましい。
 脂肪族環は、飽和脂肪族環であっても、不飽和脂肪族環であってもよい。
 2価の脂肪族環基としては、例えば、以下の基が挙げられる。*は、結合位置を表す。
 非芳香族複素環に含まれるヘテロ原子は特に制限されず、例えば、酸素原子、窒素原子、および、硫黄原子が挙げられる。
 非芳香族複素環に含まれるヘテロ原子の数は特に制限されず、例えば、1~3が挙げられる。
 2価の非芳香族複素環基としては、例えば、以下の基が挙げられる。*は、結合位置を表す。
 2価の非芳香族環基は、置換基を有していてもよい。置換基の種類は特に制限されず、例えば、Rx1で表される親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族環基、および、親水性基を含む置換基を有する2価の非芳香族環基が有していてもよい親水性基を含む置換基以外の置換基で例示した基が挙げられる。
 Rx2で表される2価の芳香族環基を構成する芳香族環は、単環構造であっても、多環構造であってもよい。
 芳香族環としては、例えば、芳香族炭化水素環、または、芳香族複素環が挙げられる。
 芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、および、ナフタレン環が挙げられる。
 芳香族複素環としては、例えば、ピリジン環、チオフェン環、ピリミジン環、チアゾール環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、および、インドール環が挙げられる。
 2価の芳香族環基は、置換基を有していてもよい。置換基の種類は特に制限されず、例えば、Rx1で表される親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族環基、および、親水性基を含む置換基を有する2価の非芳香族環基が有していてもよい親水性基を含む置換基以外の置換基で例示した基が挙げられる。
 Zx1およびZx2は、それぞれ独立に、2価の非芳香族環基、または、2価の芳香族環基を表す。
 Zx1およびZx2で表される2価の非芳香族環基、および、2価の芳香族環基の定義は、上述したRx2で表される2価の非芳香族環基、および、2価の芳香族環基の定義と同義である。
 Lx1およびLx2は、それぞれ独立に、-CONH-、-COO-、-O-、または、-S-を表す。なかでも、特定二色性色素の配向性がより優れる点で、-CONH-が好ましい。
 式(X)で表される繰り返し単位としては、式(X4)で表される繰り返し単位が好ましい。
 式(X4)中の各基の定義は、上述した通りである。
 式(X)で表される繰り返し単位を有する高分子に含まれる式(X)で表される繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、高分子中の全繰り返し単位に対して、60モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましい。上限としては100モル%が挙げられる。
 式(X)で表される繰り返し単位を有する高分子の分子量は特に制限されないが、高分子中における式(X)で表される繰り返し単位の数は2以上が好ましく、10~100000がより好ましく、100~10000がさらに好ましい。
 また、式(X)で表される繰り返し単位を有する高分子の数平均分子量は特に制限されないが、5,000~50,000が好ましく、10,000~30,000がより好ましい。
 また、式(X)で表される繰り返し単位を有する高分子の分子量分布は特に制限されないが、1.0~12.0が好ましく、1.0~7.0がより好ましい。
 ここで、本発明における数平均分子量および分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)法により測定された値である。
・溶媒(溶離液):20mMリン酸(pH7.0)/アセトニトリル=4/1
・装置名:TOSOH HLC-8220GPC
・カラム:東ソー製G6000PWxL、4500PWxL、G2500pWwLを3本接続して使用
・カラム温度:40℃
・試料濃度:2mg/mL
・流速:1mL/min
・校正曲線:ポリスチレンスルホン酸(PSS)Mp=891、4.2k、10.2k、29.5k、78.4k、152k、258k、462kまでの8サンプルによる校正曲線を使用
(板状化合物)
 偏光板は、板状化合物を含んでいてもよい。
 なお、「板状化合物」とは、芳香族環(芳香族炭化水素環および芳香族複素環など)が、単結合または適切な連結基を介して、2次元的に広がった構造を有する化合物のことを指し、溶媒中において、化合物中の平面同士が会合することでカラム状の会合体を形成する性質を持った化合物群のことを示す。
 板状化合物は、リオトロピック液晶性を示す。
 板状化合物は、液晶性発現の制御がしやすい点から、水溶性であることが好ましい。水溶性の板状化合物とは、水に対して1質量%以上溶解する板状化合物のことを表し、水に対して5質量%以上溶解する板状化合物が好ましい。
 板状化合物は、波長300nm超の範囲に極大吸収波長を有することが好ましい。つまり、板状化合物は、波長300nm超の範囲の極大吸収ピークを有することが好ましい。
 なお、上記板状化合物の極大吸収波長とは、板状化合物の吸収スペクトル(測定範囲:波長230~400nmの範囲)において、その吸光度が極大値を取るときの波長を意味する。板状化合物の吸収スペクトルの吸光度において、複数の極大値がある場合、測定範囲中の最も長波長側の波長を選択する。
 なかでも、板状化合物は320~400nmの範囲に極大吸収波長を有することが好ましく、330~360nmの範囲に極大吸収波長を有することがより好ましい。
 上記極大吸収波長の測定方法は以下の通りである。
 特定化合物(0.01~0.05mmol)を純水(1000ml)に溶解させ、分光光度計(MPC-3100(SHIMADZU製))を用いて、得られた溶液の吸収スペクトルを測定する。
 板状化合物は、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、親水性基を有することが好ましい。
 親水性基の定義は、棒状化合物が有していてもよい親水性基の定義と同じである。
 板状化合物は親水性基を1つだけ有していてもよいし、複数有していてもよい。板状化合物が親水性基を複数有する場合、その数は、2~4が好ましく、2がより好ましい。
 板状化合物としては、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、式(Y)で表される化合物が好ましい。
 式(Y)  Ry2-Ly3-Ly1-Ry1-Ly2-Ly4-Ry3
 Ry1は、2価の単環基、または、2価の縮合多環基を表す。
 2価の単環基に含まれる環としては、例えば、単環式炭化水素環、および、単環式複素環が挙げられる。単環式炭化水素環は、単環式芳香族炭化水素環であっても、単環式非芳香族炭化水素環であってもよい。単環式複素環は、単環式芳香族複素環であっても、単環式非芳香族複素環であってもよい。
 2価の単環基としては、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、2価の単環式芳香族炭化水素環基、または、2価の単環式芳香族複素環基が好ましい。
 2価の縮合多環基に含まれる環構造の数は特に制限されないが、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、3~10が好ましく、3~6がより好ましく、3~4がさらに好ましい。
 2価の縮合多環基に含まれる環としては、例えば、炭化水素環、および、複素環が挙げられる。炭化水素環は、芳香族炭化水素環であっても、非芳香族炭化水素環であってもよい。複素環は、芳香族複素環であっても、非芳香族複素環であってもよい。
 2価の縮合多環基は、二色性色素の配向性がより優れる点で、芳香族炭化水素環と複素環とから構成されることが好ましい。2価の縮合多環基は、共役系の連結基であることが好ましい。つまり、共役系の2価の縮合多環基であることが好ましい。
 2価の縮合多環基を構成する環としては、例えば、ジベンゾチオフェン-S,S-ジオキシド(式(Y2)で表される環)、ジナフト[2,3-b:2’,3’-d]フラン(式(Y3)で表される環)、12H-ベンゾ「b」フェノキサジン(式(Y4)で表される環)、ジベンゾ[b,i]オキサントレン(式(Y5)で表される環)、ベンゾ[b]ナフト[2’,3’:5,6]ジオキシノ[2,3-i]オキサントレン(式(Y6)で表される環)、アセナフト[1,2-b]ベンゾ[g]キノキサリン(式(Y7)で表される環)、9H-アセナフト[1,2-b]イミダゾ[4,5-g]キノキサリン(式(Y8)で表される環)、ジベンゾ[b,def]クリセリン-7,14-ジオン(式(Y9)で表される環)、および、アセトナフトキノキサリン(式(Y10)で表される環)が挙げられる。
 つまり、2価の縮合多環基としては、式(Y2)~(Y10)で表される環から2つの水素原子を除いて形成される2価の基が挙げられる。
 2価の単環基および2価の縮合多環基は、置換基を有していてもよい。置換基の種類は特に制限されず、例えば、Rx1で表される親水性基を含む置換基を有する2価の芳香族環基、および、親水性基を含む置換基を有する2価の非芳香族環基が有する親水性基を含む置換基以外の置換基で例示した基が挙げられる。
 Ry2およびRy3は、それぞれ独立に、水素原子または親水性基を表し、Ry2およびRy3の少なくとも一方は親水性基を表す。Ry2およびRy3の両方が親水性基を表すことが好ましい。
 Ry2およびRy3で表される親水性基の定義は、上述した通りである。
 Ly1およびLy2は、それぞれ独立に、単結合、2価の芳香族環基、または、式(Y1)で表される基を表す。ただし、Ry1が2価の単環基である場合、Ly1およびLy2は両方とも2価の芳香族環基、または、式(Y1)で表される基を表す。式(Y1)中、*は結合位置を表す。
 式(Y1)  *-Ry4-(Ry5-*
 Ry4およびRy5は、それぞれ独立に、2価の芳香族環基を表す。
 nは、1または2を表す。
 Ly1およびLy2で表される2価の芳香族環基を構成する芳香族環は、単環構造であっても、多環構造であってもよい。
 上記2価の芳香族環基を構成する芳香族環としては、例えば、芳香族炭化水素環、または、芳香族複素環が挙げられる。つまり、Ly1およびLy2で表される2価の芳香族環基としては、2価の芳香族炭化水素環基、および、2価の芳香族複素環基が挙げられる。
 芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、および、ナフタレン環が挙げられる。
 2価の芳香族炭化水素環基としては、例えば、以下の基が挙げられる。*は、結合位置を表す。
 芳香族複素環としては、例えば、ピリジン環、チオフェン環、ピリミジン環、チアゾール環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、および、インドール環が挙げられる。
 2価の芳香族複素環基としては、例えば、以下の基が挙げられる。*は、結合位置を表す。
 Ry4およびRy5で表される2価の芳香族環基の定義も、Ly1およびLy2で表される2価の芳香族環基と同じである。
 Ly3およびLy4は、それぞれ独立に、単結合、-O-、-S-、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、または、これらを組み合わせた基を表す。
 上記これらを組み合わせた基としては、例えば、-O-アルキレン基、および、-S-アルキレン基が挙げられる。
 アルキレン基の炭素数は特に制限されないが、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、1~3が好ましく、1がより好ましい。
 アルケニレン基、および、アルキニレン基の炭素数は特に制限されないが、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、2~5が好ましく、2~4がより好ましい。
 偏光板が液晶化合物を含む場合、偏光板中における液晶化合物の含有量は特に制限されないが、偏光板全質量に対して、60~99質量%が好ましく、80~97質量%がより好ましい。
(塩)
 偏光板は、塩を含んでいてもよい。
 板状化合物が酸基またはその塩を有する場合、偏光板中に塩が含まれていると、板状化合物中の平面同士がより会合しやすくなり、カラム状の会合体が形成されやすい。
 なお、上記塩には、上記棒状化合物および板状化合物は含まれない。つまり、上記塩は、上記棒状化合物および板状化合物とは異なる化合物である。
 塩は特に制限されず、無機塩でも、有機塩でもよく、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、無機塩が好ましい。無機塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、および、遷移金属塩が挙げられ、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点で、アルカリ金属塩が好ましい。
 アルカリ金属塩とは、カチオンがアルカリ金属イオンである塩であり、アルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、または、ナトリウムイオンが好ましく、リチウムイオンがより好ましい。つまり、塩としては、リチウム塩、または、ナトリウム塩が好ましく、リチウム塩がより好ましい。
 アルカリ金属塩としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、および、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、および、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、および、炭酸水素カリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;が挙げられる。
 上記以外にも、アルカリ金属塩としては、例えば、リン酸塩、および、塩化物であってもよい。
 上記塩のアニオンとしては、例えば、水酸化物イオン、炭酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、ホウ酸イオン、テトラフルオロ硼酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、過塩素酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、シュウ酸イオン、ギ酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ビス(フルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドイオン、および、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオンが挙げられる。
 なお、板状化合物が酸基の塩を有する場合、酸基の塩中のカチオンと、上記使用される塩中のカチオンとは同じ種類であることが好ましい。
 本発明の偏光板は、上述した液晶化合物以外に、バインダーポリマーを含んでいてもよい。
 バインダーポリマーとしては、公知のポリマーを用いることができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン系樹脂(特に、シクロオレフィンポリマー)、セルロース系樹脂、および、アクリル樹脂が挙げられる。
 後述するように、偏光板が延伸フィルムである場合、延伸フィルムの製造にバインダーポリマーを用いることができる。
<偏光板の製造方法>
 偏光板の製造方法は特に制限されず、上述した特性の偏光板が製造できれば特に制限されない。
 なかでも、生産性がより優れる点で、以下の工程1および2を有する偏光板の製造方法が好ましい。
工程1:親水性基を有する二色性色素と溶媒とを含む組成物に対して、粉砕処理を施す工程
工程2:工程1で得られた組成物を塗布し、塗布された組成物中の上記二色性色素を配向させて、偏光板を形成する工程
 以下、工程1および2の手順について詳述する。
(工程1)
 工程1は、親水性基を有する二色性色素(特定二色性色素)と溶媒とを含む組成物(以下、単に「特定組成物」ともいう。)に対して、粉砕処理を施す工程である。本工程を実施することにより、特定組成物中における特定二色性色素の分散性が向上し、結果として、特定二色性色素の配向性により優れた偏光板が得られる。特に、特定組成物が特定二色性色素から構成される粒子を含む場合、その粒子の平均粒径がより小さくなり、特定二色性色素の配向性により優れた偏光板が得られる。
 以下では、まず、使用される特定組成物について詳述し、その後、工程の手順について詳述する。
 特定組成物は、特定二色性色素を含む。特定二色性色素は、上述した通りである。
 特定組成物中において、特定二色性色素は粒子状に分散している場合が多い。つまり、特定組成物は、特定二色性色素から構成される粒子を含む場合が多い。
 特定組成物は、特定二色性色素を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。
 特定組成物中における特定二色性色素の含有量は特に制限されないが、組成物中の溶媒を除いた成分全質量(組成物中の全固形分に該当)に対して、1~30質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましい。
 特定組成物は、溶媒を含む。
 溶媒の種類は特に制限されないが、水性媒体が好ましい。
 水性媒体とは、水、または、水と水溶性有機溶媒との混合液である。
 水溶性有機溶媒とは、20℃において水に対する溶解度が5質量%以上である溶媒である。水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール化合物、ケトン化合物、エーテル化合物、アミド化合物、ニトリル化合物、および、スルホン化合物が挙げられる。
 アルコール化合物としては、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、イソブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、ジアセトンアルコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、および、グリセリンが挙げられる。
 ケトン化合物としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、および、メチルイソブチルケトンが挙げられる。
 エーテル化合物としては、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、および、ポリオキシプロピレングリセリルエーテルが挙げられる。
 アミド化合物としては、ジメチルホルムアミド、および、ジエチルホルムアミドが挙げられる。
 ニトリル化合物としては、アセトニトリルが挙げられる。
 スルホン化合物としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、および、スルホランが挙げられる。
 上記溶媒としては、水が好ましい。
 特定組成物の固形分濃度は特に制限されないが、二色性色素の配向性がより優れる点で、組成物全質量に対して、1~50質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましい。
 特定組成物は、上述した特定二色性色素および溶媒以外の他の成分を含んでいてもよい。
 他の成分としては、非着色性のリオトロピック液晶化合物、塩、重合性化合物、重合開始剤、波長分散制御剤、光学特性調整剤、界面活性剤、密着改良剤、滑り剤、配向制御剤、および、紫外線吸収剤が挙げられる。
 特定組成物は、上述したように、非着色性のリオトロピック液晶化合物を含んでいてもよい。非着色性のリオトロピック液晶化合物の説明は、上述した通りである。
 特定組成物が非着色性のリオトロピック液晶化合物を含む場合、特定組成物中における非着色性のリオトロピック液晶化合物の含有量は特に制限されないが、組成物中の全固形分に対して、60~99質量%が好ましく、80~97質量%がより好ましい。
 全固形分とは、溶媒を除く、偏光板を形成し得る成分を意味する。なお、上記成分の性状が液体状であっても、固形分として計算する。
 特定組成物が棒状化合物および板状化合物の両方を含む場合、棒状化合物および板状化合物の合計質量に対する、棒状化合物の含有量は特に制限されないが、偏光板中の特定二色性色素の配向がより優れる点で、50質量%超が好ましく、55質量%以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、90質量%以下が好ましく、80質量%がより好ましい。
 特定組成物は、1種の棒状化合物のみを含んでいてもよいし、2種以上の棒状化合物を含んでいてもよい。
 特定組成物は、1種の板状化合物のみを含んでいてもよいし、2種以上の板状化合物を含んでいてもよい。
 特定組成物は、上述したように、塩を含んでいてもよい。塩の説明は、上述した通りである。
 特定組成物に棒状化合物、板状化合物、および、塩が含まれる場合、塩の含有量は特に制限されないが、式(W)で求められる比Wは、0.25~1.75が好ましく、0.50~1.50がより好ましく、0.75~1.15がさらに好ましい。
 式(W)中、C1は、棒状化合物が有する酸基の塩に含まれるカチオンのモル量を表す。なお、棒状化合物が酸基の塩を有さない場合、上記C1は0とする。
 C2は、板状化合物が有する酸基の塩に含まれるカチオンのモル量を表す。なお、板状化合物が酸基の塩を有さない場合、上記C2は0とする。
 C3は、塩に含まれるカチオンのモル量を表す。
 A1は、棒状化合物が有する酸基またはその塩の合計モル量を表す。棒状化合物が酸基、および、酸基の塩の両方を含む場合、上記合計モル量は酸基のモル量および酸基の塩のモル量の合計を表す。棒状化合物が酸基および酸基の塩のいずれか一方のみを有する場合、含まれていない一方のモル量は0とする。
 A2は、板状化合物が有する酸基またはその塩の合計モル量を表す。板状化合物が酸基、および、酸基の塩の両方を含む場合、上記合計モル量は酸基のモル量および酸基の塩のモル量の合計を表す。板状化合物が酸基および酸基の塩のいずれか一方のみを有する場合、含まれていない一方のモル量は0とする。
 例えば、SOLi基を有する棒状化合物と、SOLi基を有する板状化合物と、LiOHとを含む組成物において、棒状化合物が有するSOLi基のモル量が5mmolであり、板状化合物が有するSOLi基のモル量が8mmolであり、LiOHのモル量が8mmolである場合、棒状化合物が有する酸基の塩に含まれるカチオンのモル量は5mmol、板状化合物が有する酸基の塩に含まれるカチオンのモル量は8mmol、LiOHに含まれるカチオンのモル量は8mmolと計算され、比Wは{(5+8+8)-(5+8)}/8=1と計算される。
 仮に、上記棒状化合物が、SOH基を有する棒状化合物であり、棒状化合物が有するSOH基のモル量が5mmolである場合、比Wは{(8+8)-(5+8)}/8=0.375と計算される。
 上記比Wは、板状化合物が有する酸基またはその塩に対して、組成物中の過剰な塩由来のカチオンの量を表す。つまり、比Wは、板状化合物が有する酸基またはその塩に対する、組成物中の棒状化合物および板状化合物が有する酸基と塩を形成していない過剰のカチオン量の比を表す。板状化合物が有する酸基またはその塩に対して、特定組成物が所定量のカチオンを含む場合、板状化合物が偏光板中において所定の構造をとりやすくなり、二色性色素の配向度がより優れる。
 特定組成物に塩が含まれる場合、特定組成物中における板状化合物の含有量に対する塩の含有量の質量比は特に制限されないが、0.010~0.200が好ましく、0.025~0.150がより好ましい。
 特定組成物は、リオトロピック液晶性組成物であることが好ましい。
 ここで、リオトロピック液晶性組成物とは、溶液状態で、温度や濃度を変化させることにより、等方相-液晶相の相転移を起こす性質を有する組成物である。つまり、特定組成物は、特定二色性色素、および、溶媒などの各種成分を含む溶液状態において、各化合物の濃度などを調整することにより、リオトロピック液晶性を示すことができる組成物である。なお、特定組成物が過剰の溶媒を含み、その状態ではリオトロピック液晶性を示していなくとも、特定組成物の塗布後の乾燥工程でリオトロピック液晶性を示す場合など濃度が変化した際にリオトロピック液晶性を示す場合には、その特定組成物は上記リオトロピック液晶性組成物に該当する。
 なお、後述するように、支持体上に配向膜を配置しておけば、特定組成物の塗布後の乾燥過程において、リオトロピック液晶性を発現することで、化合物の配向が誘起され、偏光板を形成することが可能となる。
(工程1の手順)
 工程1では上記特定組成物に対して、粉砕処理を施す。
 粉砕処理としては、公知の粉砕処理を用いることができる。粉砕処理の方法としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、摩擦、および、キャビテーションなどの機械的エネルギーを付与する方法が挙げられる。
 粉砕処理としては、湿式粉砕処理であっても、乾式粉砕処理であってもよい。粉砕処理としては、具体的には、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、インペラーミル、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、および、超音波処理などを用いる処理が挙げられる。
 粉砕処理としては、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点から、メカニカルミリング処理または超音波処理が好ましく、メカニカルミリング処理がより好ましい。
 メカニカルミリング処理としては、機械的エネルギーを付与しながらミリングする方法であれば特に限定されず、例えば、ボールミル、振動ミル、ターボミル、メカノフュージョン、および、ディスクミルを用いた処理が挙げられる。
 特定組成物に特定二色性色素から構成される粒子が含まれる場合、粉砕処理を実施することにより、上記粒子が粉砕され、より小さな粒子(微細化された粒子)が得られる。
 粉砕処理の条件は特に制限されないが、使用される特定二色性色素および溶媒などの種類によって適宜最適な条件が選択される。
 例えば、粉砕処理として、メカニカルミリング処理(特に、ボールミル処理)を採用した際、ボールミルの際に使用される粉砕用ボール(メディア)の材質は特に制限されないが、例えば、メノウ、窒化珪素、ジルコニア、アルミナ、および、鉄系合金が挙げられ、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点から、ジルコニアが好ましい。
 粉砕用ボールの平均直径は特に制限されないが、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点から、0.1~10mmが好ましく、1~5mmがより好ましい。上記平均粒径は、任意の50個の粉砕用ボールの直径を測定して、それらを算出平均したものである。粉砕用ボールが真球状でない場合、長径を直径とする。
 ボールミルを行う際の回転数は特に制限されないが、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点から、100~700rpmが好ましく、250~550rpmがより好ましい。
 ボールミルの処理時間は特に制限されないが、偏光板中の特定二色性色素の配向性がより優れる点から、5~240分間が好ましく、10~180分間がより好ましい。
 ボールミルを行う際の雰囲気としては、大気下であってもよいし、不活性ガス(例えば、アルゴン、ヘリウム、および、窒素)雰囲気下であってもよい。
 粉砕処理によって、特定組成物中に含まれる特定二色性色素から構成される粒子の平均粒径が1/30~1/2倍に微細化されることが好ましい。
 つまり、粉砕処理後の特定組成物中には特定二色性色素から構成される粒子が含まれていてもよく、粒子の平均粒径は特に制限されないが、二色性色素の配向度がより優れる点で、10~1000nmが好ましく、10~500nmがより好ましく、10~200nmがさらに好ましい。
 粒子の平均粒径は、MicrotracBEL社製ナノトラックUPA-EXを用いて、動的光散乱法により求められる体積平均粒子径(MV)である。
 上述したように、粉砕処理に供される特定組成物は、特定二色性色素および溶媒以外の非着色性のリオトロピック液晶化合物などの他の成分を含んでいてもよいが、含んでいなくてもよい。
 粉砕処理に供される特定組成物に上記他の成分(例えば、非着色性のリオトロピック液晶化合物)が含まれない場合、粉砕処理を実施した後に得られた特定組成物に上記他の成分(例えば、非着色性のリオトロピック液晶化合物)をさらに混合して、後述する工程2を実施してもよい。
(工程2)
 工程2は、工程1で得られた組成物(特定組成物)を塗布し、塗布された組成物中の上記二色性色素(特定二色性色素)を配向させて、偏光板を形成する工程である。本工程を実施することにより、光の吸収異方性を有する本発明の偏光板が製造される。
 工程1で得られた特定組成物を塗布する方法は特に制限されず、通常、特定組成物は支持体上に塗布される場合が多い。
 使用される支持体は、組成物を塗布するための基材として機能を有する部材である。支持体は、いわゆる仮支持体であってもよい。
 支持体(仮支持体)としては、プラスチック基板またはガラス基板が挙げられる。プラスチック基板を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、および、ポリビニルアルコールが挙げられる。
 支持体の厚みは、5~1000μm程度であればよく、10~250μmが好ましく、15~90μmがより好ましい。
 なお、必要に応じて、支持体上には、配向膜を配置してもよい。
 配向膜は、一般的には、ポリマーを主成分とする。配向膜用ポリマーとしては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手できる。配向膜用ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリイミド、または、その誘導体、アゾ誘導体、シンナモイル誘導体が好ましい。
 なお、配向膜には、公知のラビング処理が施されることが好ましい。
 また、配向膜としては、光配向膜を用いてもよい。
 配向膜の厚みは、0.01~10μmが好ましく、0.01~1μmがより好ましい。
 塗布方法としては公知の方法が挙げられ、例えば、カーテンコーティング法、押出コーティング法、ロールコーティング法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、および、スライドコーティング法が挙げられる。
 また、特定組成物がリオトロピック液晶性組成物である場合、ワイヤーバー塗布のように組成物に剪断を与える塗布方法を採用すると、化合物の塗布と配向との2つの処理を同時に行うことができる。つまり、組成物に剪断処理を施すことにより、特定二色性色素を配向させることができる。
 また、特定組成物が非着色性のリオトロピック液晶化合物を含む場合、連続塗布によって、塗布と同時に、非着色性のリオトロピック液晶化合物を連続配向させてもよい。連続塗布としては、カーテンコーティング法、押出コーティング法、ロールコーティング法、および、スライドコーティング法が挙げられる。
 塗布された組成物中の特定二色性色素を配向させる方法は特に制限されず、公知の方法が採用される。
 例えば、特定組成物が非着色性のリオトロピック液晶化合物を含む場合、上述したように、剪断を与える方法が挙げられる。
 塗布された組成物における特定二色性色素を配向させる別の手段としては、上述したように、配向膜を用いる方法が挙げられる。
 配向膜に予め所定の方向への配向処理を行うことで、配向方向の制御が可能となる。特に、ロール状支持体を用いて連続塗布する際に、搬送方向に対して斜め方向に配向させる場合には、配向膜を用いる方法が好ましい。
 配向膜を用いる方法において、使用される特定組成物中の溶媒の濃度は特に制限されず、組成物がリオトロピック液晶性を示すような溶媒の濃度であってもよいし、それ以下の濃度であってもよい。上述したように、特定組成物がリオトロピック液晶性組成物である場合、特定組成物中の溶媒の濃度が高い場合(特定組成物自体が等方相を示している場合)であっても、特定組成物を塗布後の乾燥過程において、リオトロピック液晶性を発現することで、配向膜上で二色性色素の配向が誘起され、偏光板を形成することが可能となる。
(他の工程)
 本発明の偏光板の製造方法は、上記工程1および工程2以外の他の工程を含んでいてもよい。
 他の工程としては、特定組成物が非着色性のリオトロピック液晶化合物を含む場合、工程2の後に、非着色性のリオトロピック液晶化合物を固定化する工程3をさらに有することが好ましい。
 非着色性のリオトロピック液晶化合物の配向状態を固定する方法は特に制限されず、上記のように塗膜を加熱した後、冷却する方法が挙げられる。
 また、棒状化合物、板状化合物、および、特定二色性色素の少なくとも一つが酸基またはその塩を有する場合、リオトロピック液晶化合物の配向状態を固定する方法としては、多価金属イオンを含む溶液と形成された偏光板とを接触させる方法が挙げられる。多価金属イオンを含む溶液と形成された偏光板とを接触させると、偏光板中に多価金属イオンが供給される。偏光板中に供給された多価金属イオンは、棒状化合物、板状化合物、および/または、特定二色性色素が有する酸基またはその塩同士の架橋点となり、偏光板中に架橋構造が形成され、リオトロピック液晶化合物の配向状態が固定化される。
 使用される多価金属イオンの種類は特に制限されず、非着色性のリオトロピック液晶化合物および/または特定二色性色素の配向状態が固定されやすい点で、アルカリ土類金属イオンが好ましく、カルシウムイオンがより好ましい。
 上記ではリオトロピック液晶化合物を用いる製造方法であったが、上記方法以外の他の方法であってもよい。
 本発明の偏光板の製造方法の他の態様としては、所定の二色性物質およびポリマーを含む組成物を用いて未延伸フィルムを形成し、得られた未延伸フィルムを延伸配向させて、延伸フィルムである偏光板を形成する方法が挙げられる。
 未延伸フィルムを形成する方法としては、所定の二色性物質、ポリマーおよび溶媒を含む組成物を塗布して、その後溶媒を除去して、未延伸フィルムを形成する方法、および、溶媒を用いずに所定の二色性物質およびポリマーを含む固形分を溶融させて製膜する方法が挙げられる。
 延伸方法としては、縦一軸延伸、横一軸延伸、または、それらを組み合わせた同時二軸延伸もしくは逐次二軸延伸などの公知の方法が挙げられる。
 上記延伸フィルムの製造の際に用いられる二色性物質は、上述したとおりである。
 上記延伸フィルムの製造の際に用いられるポリマーとしては、上述したバインダーポリマーが挙げられる。
 延伸フィルムの延伸条件、および、使用される材料を変更することにより、偏光板の上述した各種特性(例えば、平均透過率、および、偏光度など)を適宜調整できる。
<用途>
 本発明の偏光板は、種々の用途に適用できる。
 また、各種用途に適用する際に、本発明の偏光板は、他の部材と組み合わせてもよい。例えば、本発明の偏光板の片面または両面に、他の部材を配置してもよい。他の部材の配置する際には、接着剤層および粘着剤層などの密着層を介してもよい。
 他の部材としては、例えば、光学異方性膜、ハードコート層、防眩層、および、保護フィルムが挙げられる。
 光学異方性膜としては、例えば、λ/4板およびλ/2板が挙げられる。
 なお、λ/4板とは、ある特定の波長の直線偏光を円偏光に(または、円偏光を直線偏光に)変換する機能を有する板である。より具体的には、所定の波長λnmにおける面内レタデーションReがλ/4(または、この奇数倍)を示す板である。
 λ/4板の波長550nmでの面内レタデーション(Re(550))は、理想値(137.5nm)を中心として、25nm程度の誤差があってもよく、例えば、110~160nmであることが好ましく、120~150nmであることがより好ましい。
 また、λ/2板とは、特定の波長λnmにおける面内レタデーションRe(λ)がRe(λ)≒λ/2を満たす光学異方性膜のことをいう。この式は、可視光領域のいずれかの波長(例えば、550nm)において達成されていればよい。なかでも、波長550nmにおける面内レタデーションRe(550)が、以下の関係を満たすことが好ましい。
 210nm≦Re(550)≦300nm
 本発明の偏光板は、表示素子および可視光用撮像素子の少なくとも1つと赤外光センシングシステムとを組み合わせた装置に適用されることが好ましい。より具体的には、本発明の装置は、上述した本発明の偏光板と、表示素子および可視光用撮像素子の少なくとも1つと、赤外光受光部とを含む装置が好ましい。なお、表示装置および可視光用撮像素子は両方とも上記装置に含まれていてもよい。
 上記装置は、赤外光光源をさらに含んでいてもよい。
 上記λ1と、赤外光光源から出射される赤外光の極大波長λ2との差は、赤外光センシングシステムがより良好に機能する点で、20nm以下が好ましく、10nm以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、0nmが挙げられる。
 なお、上記λ1とλ2との差とは、(λ1-λ2)の絶対値を表す。
 上述したように、本発明の偏光板は波長400~700nmにおける平均透過率が70%以上であるため、偏光板が表示素子の表示面側に配置された場合でも、表示素子から出射される可視光の透過率に優れるため、表示素子の表示画像の明るさの劣化および色味づきが防止される。また、偏光板が可視光用撮像素子の前面に配置された場合でも、偏光板の可視光の平均透過率が高いため、偏光板の影響を受けずに可視光用撮像素子で良好な撮像性能を維持できる。さらに、本発明の偏光板は赤外光の偏光特性および透過率が優れることから、赤外光センシングシステムに含まれる赤外光受光部での検出特性に優れる。
 赤外光センシングシステムの種類は特に制限されず、例えば、指紋センサー(指紋認証システム)、静脈認証システム、血流センサー、および、虹彩認証センサーなどの各種生体センシング機能(生体認証システム)が挙げられる。
 より具体的には、図1において、本発明の偏光板を含む画像表示装置について説明する。図1に示す有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置10は、本発明の偏光板12と、有機EL表示素子16と、赤外光光源18と、赤外光受光部20とを有する。偏光板12は、有機EL表示素子16の出射面側に配置され、白抜き矢印で示されるように、有機EL表示素子16から出射される光は偏光板12を透過する。上述したように、偏光板12の波長400~700nmにおける平均透過率が70%以上であるため、有機EL表示素子16から出射された光(画像光)は、偏光板12で吸収されにくいため、有機EL表示素子16の表示画像の明るさの劣化および色味づきが防止される。
 また、有機EL表示装置10においては、赤外光光源18から測定対象Tに対して赤外光22aが照射され、測定対象Tで反射された赤外光22bが、赤外光受光部20で検知されて、赤外光センシングシステムとして機能する。上記赤外光センシングシステムにおいて、偏光板12が測定対象Tで反射された赤外光22bの光路上に配置されることで、偏光板12を透過した赤外光22bが偏光となり、検出精度と取得情報量の向上を図ることができる。また、外部からの近赤外光ノイズ22cがノイズとして偏光板12に入射するが、これらは通常、非偏光または赤外光光源18から照射される赤外光22aとは異なる偏光状態にあることから、そのほとんどが偏光板12で吸収され、赤外光受光部20に到達しない。よって、ノイズを除去し、検出精度を向上することができる。本発明の偏光板12においては上述したように偏光度の最大値が大きく、かつ、偏光度が最大となる波長を波長λ1における透過率T(λ1)が大きいため、偏光板12を透過する赤外光の偏光性を高めつつ、かつ、その透過量を所定量確保できる点で、検出精度と取得情報量とがより高いバランスで両立できる。
 なお、測定対象Tとしては任意のものを対象とすることができる。例えば、使用者の手、指、手のひら、皮膚などの生体の一部分、静脈パターン、顔、眼球、唇、手足、および、それらの動きやジェスチャー、または、特定のインターフェースデバイス、周囲の物体といったオブジェクトなどが例示される。
 赤外光受光部としては、赤外光に感受性を有し、可視光に感受性を有さないフォトダイオードまたはフォトトランジスタのような光検出素子を適用することができる。好ましくは、赤外光受光部は、近赤外光のみに感受性を有し、可視光域に感受性を有さないフォトダイオードまたはフォトトランジスタである。光検出素子として、有機フォトダイオード(OPD)、および、有機フォトトランジスタ(OPT)を適用してもよい。
 赤外光受光部は、検知する対象から反射された赤外光を受光し、対象を検知する。
 赤外光受光部により検知する対象は、上述した測定対象Tによるが、物体の立体形状、物体の表面状態、使用者の眼球運動、眼球位置、表情、顔形状、静脈パターン、血流、脈拍、血中酸素飽和度、指紋、および、虹彩のいずれかから選ばれる少なくとも1つが好ましい。
 赤外光受光部は、これら測定対象に合わせて適した場所に設けることが好ましい。
 上記では、本発明の偏光板を有機EL表示素子に適用する態様について説明したが、本発明の偏光板は他の画像表示素子(液晶表示素子)に適用してもよい。
 また、本発明の偏光板は、画像表示装置以外の他の装置、例えば、ヘッドマウントディスプレイなどのウェアラブルデバイス、および、スマートフォンやタブレットなどのモバイルディスプレイデバイスなどに適用することもできる。
 以下、本発明の偏光板を含むヘッドマウントディスプレイについて詳述する。
 図2に示す、ヘッドマウントディスプレイ30は、表示パネル32と導光要素38とを含み、表示パネル32は表示素子34および赤外光光源36を含む。表示素子34から出射される画像光(実線)および赤外光光源36から出射される赤外光(破線)は、導光要素38を通じて、導光要素38に設けられた光出射面40から出射され、本発明の偏光板12を透過した後、観察者の眼球Eに入射される。眼球Eに照射されて反射した赤外光は、本発明の偏光板12を透過した後、赤外光受光部42で検出される。このヘッドマウントディスプレイ30においては、眼球センシングを行う赤外光センシングシステムを含む。
 眼球センシングによって得られる情報は、アイトラッキング、虹彩による個人認証、虹彩および網膜、角膜の表面状態を検出することによるバイタル情報、眼球中の血管を検出することによる血流、血圧、心拍、血中成分の分析情報などである。
 上記ヘッドマウントディスプレイ30においては、偏光板12の波長400~700nmにおける平均透過率が70%以上であるため、表示素子34から出射された画像光は、偏光板12で吸収されにくいため、示画像の明るさの劣化および色味づきが防止される。
 また、導光要素の光出射面と観察者の眼球との間に設けられる偏光板12は、上述したように偏光度の最大値が大きく、かつ、偏光度が最大となる波長を波長λ1における透過率T(λ1)が大きいため、ノイズ低減の効果を発揮しつつ、かつ、その透過量を所定量確保できる点で、検出精度と取得情報量とがより高いバランスで両立できる。
 導光要素としては、内部全反射を用いて導光を行い、光入射および光出射のための回折素子を設けたものの他、表面に鏡面処理を施したプリズムミラーなど、従来知られたヘッドマウントディスプレイ用導光要素を適用することができる。導光要素は赤外光で透明であることが好ましい。導光要素を構成する材料としては、ガラス、および、樹脂などが挙げられる。
 導光要素の光出射面と観察者の眼球との間に設けられる本発明の偏光板の吸収軸方向と、赤外光受光部と観察者の眼球との間に設けられる本発明の偏光板の吸収軸方向とは、設計に応じてどのように配置してもよい。好ましい一例として、観察者の眼球の角膜を鏡面反射と仮定した場合に、互いにクロスニコルの配置(偏光板の吸収軸が直交関係にある配置)となるように配置することが好ましい。
 虹彩認証、瞳孔の位置および大きさを特定する方式のアイトラッキング、網膜など眼球内部の状態を検出する方式のセンシングシステムでは、角膜表面での反射成分はノイズとなり、測定上の障害となる。導光要素の光出射面と観察者の眼球との間に設けられる偏光板の吸収軸方向と、赤外光受光部と観察者の眼球との間に設けられる偏光板の吸収軸方向とを、観察者の眼球を鏡面反射と仮定した場合に、互いにクロスニコルの配置となるように配置すると、鏡面に近い反射特性を有する角膜の表面の反射はほぼ除去されるが、虹彩、瞳孔および網膜などの内部組織での反射は偏光が変化して赤外光受光部で検出可能となり、角膜の表面反射成分を除去して信号を検出することができる。
 ヘッドマウントディスプレイに用いられる赤外光受光部としては、有機EL表示装置にて説明した赤外光受光部を用いることができる。
 また、ノイズ低減のための別の好ましい一例として、偏光板に、当該波長で1/4波長板として作用するλ/4板を組み合わせて円偏光板とすることにより、同様に角膜表面の反射成分を除く構成が可能である。
 上記では主に、表示素子を用いた態様について説明したが、本発明の偏光板は可視光用撮像素子および赤外光センシングシステムを含む装置にも好適適用できる。
 本発明の偏光板、可視光用撮像素子、および、赤外光受光部を含む撮像システムの構成は特に制限されず、可視光用撮像素子および赤外光受光部の前面に本発明の偏光板が配置される場合が多く、偏光板を透過した可視光が可視光用撮像素子で受光され、偏光板を透過した赤外光が赤外光受光部で受光される。
 以下、本発明の偏光板を含む撮像システムについて詳述する。
 図4に示す、撮像システム60は、同一撮像素子内にIRカラーフィルタとBGRのカラーフィルタが配置された、可視撮像素子と、赤外受光部(赤外撮像素子)が兼用されたIR-RGB撮像素子61を含むIR-RGBカメラ62を含み、該カメラの入射光側に本発明の偏光板12を含み、赤外偏光板64が赤外出射方向に配置された赤外光光源63を含む。この時、本発明の偏光板12と赤外偏光板64は、それぞれの吸収軸がクロスニコルの位置に配置される。赤外光光源63から出射される赤外光(一点破線)および周囲の光源から入射した可視光(実線)は、撮像対象物65に照射される。可視光は対象物の表面で反射され、本発明の偏光板12が可視光に対し70%以上の透過率を有していることからほぼ吸収損失されることなく、該カメラ62(IR-RGB撮像素子61)に入射し対象物の可視像を得ることができる。一方、赤外光から反射した光は、例えば対象物が生体の場合、生体内に浸透しやすく内部(例えば静脈)で吸収された情報をもって内部から反射(一点破線)し、外部に出るとともに、対象物表面でも反射光(実線)が発生する。この時、内部からの反射光は内部散乱により非偏光化されているため、本発明の偏光板12で全光がさえぎられることなく透過し赤外受光部(赤外撮像素子)を有する該カメラ62に入射し対象物内部の情報を得ることができるのに対し、表面からの反射光は偏光状態を維持するため、本発明の偏光板12で遮られ撮像されない。
 本発明の撮像システムでは、可視画像と赤外画像とを同位置同時刻で観察する用途および、赤外光による対象物内部情報を高精度に取得したい場合、更に撮像システムを小さくしたい場合に好ましく用いることができる。
 可視画像と赤外画像とを、別位置に設置した可視撮像素子と赤外撮像素子とで撮像する場合、異なる方向から撮像した画像の足し合わせになったり、装置が大がかりになったり、同時刻情報を得ることが難しい場合が多い。また、赤外光により、例えば生体内の静脈情報を感度高く取得したい場合、その情報を含まない表面反射光はノイズとなるため、該反射光を除くシステムを好ましい。
 本発明の撮像システムでは、1つの撮像素子で可視光と赤外光との画像を取得できるため上記課題を克服でき、且つ、赤外光の表面反射成分を偏光により除去することができるため、内部情報をより精度高く検知することができる。
 例えば、顔画像を多波長撮像することにより、血圧、心拍、ストレス状態、呼吸数、顔認証などの情報を得ることができる(例えば、月刊機能材料 2022年11月号 Vol.41 No.11 P.10-19など)。この時、本発明の撮像システムを用いることにより、より顔内部の血流情報を高精度で取得することができる。
 上記例において、装置は大がかりになるが、IR-RGB撮像素子を用いず、同光軸の光(可視光、赤外光)を偏光板12、カメラレンズを通過した後、分光的に2つの離れた場所に位置する可視撮像素子、赤外撮像素子で撮像することもできる。この時、装置としては大がかりになるが、撮像素子を安価に高画素にしやすいなどのメリットがある。
 この撮像システムに用いられる光源は、LEDを好ましく用いることができる。スマートフォンなどに実装する場合、付属されている赤外光源を兼用して使うことも好ましい。
 以下に、実施例および比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<合成>
 公知の方法により、以下の棒状化合物I-1、および、親水性基を有する二色性色素II-1~II-3を合成した。棒状化合物I-1は高分子(nは2以上)であり、棒状化合物I-1の数平均分子量は24,000で、分子量分布は6.8であった。
 また、二色性色素II-1~II-3は、いずれもリオトロピック液晶性を示した。
棒状化合物I-1
二色性色素II-1
二色性色素II-2
二色性色素II-3
<鹸化セルロースアシレートフィルムの作製>
 セルロースアシレートフィルム(TG40、富士フイルム製)を、温度60℃の誘電式加熱ロールを通過させ、フィルム表面温度を40℃に昇温した後に、フィルムのバンド面に下記に示す組成のアルカリ溶液を、バーコーターを用いて塗布量14ml/mで塗布し、110℃に加熱した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に、10秒間搬送した。続いて、同じくバーコーターを用いて、純水を3ml/m塗布した。次いで、ファウンテンコーターによる水洗とエアナイフによる水切りを3回繰り返した後に、70℃の乾燥ゾーンに10秒間搬送して乾燥し、アルカリ鹸化処理したセルロースアシレートフィルムを作製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
アルカリ溶液
――――――――――――――――――――――――――――――――
水酸化カリウム                   4.7質量部
水                        15.8質量部
イソプロパノール                 63.7質量部
界面活性剤:C1429O(CHCHO)20H    1.0質量部
プロピレングリコール               14.8質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<偏光板Aの作製>
 二色性色素II-1(0.8質量部)に、純水(95質量部)を加えて10分間撹拌混合したところに、棒状化合物I-1(10質量部)を加えてさらに30分間撹拌し、組成物Aを調製した。続いて、組成物A(5g)とΦ2mmジルコニア製ビーズ(20g)をジルコニア製45mL容器に充填し、ボールミル(遊星型ボールミルP-7クラシックライン、FRISCH社製)を用いて回転数300rpmで10分間ミリング処理を行い、偏光板塗布液Aを調製した。偏光板塗布液Aは、リオトロピック液晶性を示す組成物であった。
 上記アルカリ鹸化処理したセルロースアシレートフィルムの鹸化面に、上記の偏光板塗布液Aを、ワイヤーバー#4(移動速度:100cm/s)で塗布し、自然乾燥した。次に、得られた塗膜を1mol/Lの塩化カルシウム水溶液に5秒間浸漬した後、イオン交換水で洗浄し、送風乾燥して配向状態を固定化することにより、膜厚0.2μmの偏光板Aを作製した。
 なお、膜厚測定は株式会社ニコン製超高分解能非接触三次元表面形状計測システムBW-A501を用いて行った。
 紫外可視近赤外分光光度計V-660を用い、偏光板Aの波長λにおける透過率T(λ)を1nmピッチで測定した。偏光板Aは、波長800~1500nmの範囲に1つの吸収極大を有し、極大吸収波長λmaxは931nmであった。波長400~700nmの透過率を平均することで、平均透過率T(400-700)を90%と算出した。
 日本分光株式会社(JASCO)製自動絶対反射率測定ユニットARMN-735を備えた紫外可視近赤外分光光度計V-660を用いて、波長400~1500nmの範囲で、波長λにおける偏光板Aの吸収軸方向の偏光に対する透過率Tz(λ)、および、透過軸方向の偏光に対する透過率Ty(λ)を測定した。続いて、下記式により、偏光度P(λ)を求めた。なお、上記吸収軸および透過軸は、極大吸収波長における吸収軸および透過軸を意味する。
P(λ)={(Ty(λ)-Tz(λ))/(Ty(λ)+Tz(λ))}×100
 偏光度P(λ)の最大値Pmaxは97.0%であり、偏光度が最大となる波長λ1は954nmであった。波長λ1における透過率T(λ1)は42%であった。
 また、下記式により、二色性色素の配向度Sを求めたところ、0.918であった。
S=(Az(λ1)-Ay(λ1))/{Az(λ1)+(2×Ay(λ1))}
Ay(λ1)=-Log(Ty(λ1))
Az(λ1)=-Log(Tz(λ1))
<偏光板Bの作製>
 二色性色素II-1の使用量を0.8質量部から1.5質量部に変更した以外は、偏光板Aの作製方法と同様の方法で、偏光板Bを作製した。偏光板Bの光学特性の評価結果は、後述する表1に示す。
<偏光板Cの作製>
 二色性色素II-1の使用量を0.8質量部から0.5質量部に変更した以外は、偏光板Aの作製方法と同様の方法で、偏光板Cを作製した。偏光板Cの光学特性の評価結果は、後述する表1に示す。
<偏光板Dの作製>
 二色性色素II-1の使用量を0.8質量部から0.4質量部に変更した以外は、偏光板Aの作製方法と同様の方法で、偏光板Dを作製した。偏光板Dの光学特性の評価結果は、後述する表1に示す。
<偏光板Eの作製>
 二色性色素II-1の使用量を0.8質量部から2.4質量部に変更した以外は、偏光板Aの作製方法と同様の方法で、偏光板Eを作製した。偏光板Eの光学特性の評価結果は、後述する表1に示す。
<偏光板Fの作製>
 二色性色素II-1(0.8質量部)に、純水(90質量部)とジメチルスルホキシド(5質量部)を加えて10分間撹拌混合したところに、棒状化合物I-1(10質量部)を加えてさらに30分間撹拌し、組成物Fを調製した。組成物Aを組成物Fに変更した以外は、偏光板Aの作製方法と同様の方法で、偏光板Fを作製した。偏光板Fの光学特性の評価結果は、後述する表1に示す。
<偏光板Gの作製>
 二色性色素II-1(1.9質量部)に、純水(85質量部)とジメチルスルホキシド(10質量部)を加えて10分間撹拌混合したところに、棒状化合物I-1(10質量部)を加えてさらに30分間撹拌し、組成物Gを調製した。組成物Aを組成物Gに変更した以外は、偏光板Aの作製方法と同様の方法で、偏光板Gを作製した。偏光板Fの光学特性の評価結果は、後述する表1に示す。
<偏光板Hの作製>
 二色性色素II-3(0.6質量部)に、純水(100質量部)を加えて10分間撹拌混合して、色素分散液1を得た。続いて、色素分散液1(20g)とΦ0.1mmジルコニア製ビーズ(40g)をジルコニア製45mL容器に充填し、ボールミル(遊星型ボールミルP-7クラシックライン、FRISCH社製)を用いて回転数600rpmで20分間ミリング処理を行い、色素分散液2を調製した。
 次に、二色性色素II-1(0.6質量部)に上記色素分散液2(100質量部)を加え、10分間撹拌混合し、続いて棒状化合物I-1(10質量部)を加え、組成物Hを得た。
 続いて、組成物H(5g)とΦ5mmジルコニア製ビーズ(20g)をジルコニア製45mL容器に充填し、ボールミル(遊星型ボールミルP-7クラシックライン、FRISCH社製)を用いて回転数300rpmで50分間ミリング処理を行い、偏光板塗布液Hを調製した。偏光板塗布液Hは、リオトロピック液晶性を示す組成物であった。
 偏光板塗布液Aを偏光板塗布液Hに変更した以外は、偏光板Aの作製方法と同様の方法で、偏光板Hを作製した。
<偏光板Iの作製>
 二色性色素II-3の使用量を0.6質量部から1.5質量部に、二色性色素II-1の使用量を0.6質量部から1.5質量部に変更した以外は、偏光板Hの作製方法と同様の方法で、偏光板Iを作製した。
<偏光板Jの作製>
 二色性色素II-1(1.0質量部)および二色性色素II-3(1.0質量部)に純水(95質量部)を加え、10分間撹拌混合した。続いて、得られた組成物に棒状化合物I-1(10質量部)を加えてさらに30分間撹拌を行い、組成物Jを得た。
 組成物Aを組成物Jに変更した以外は、偏光板Aの作製方法と同様の方法で、偏光板Jを作製した。
<偏光板Kの作製>
 二色性色素II-1(0.8質量部)を二色性色素II-2(0.3質量部)に変更した以外は、偏光板Aの作製方法と同様の方法で、偏光板Kを作製した。
<偏光板Lの作製>
 二色性色素II-2の使用量を0.3質量部から0.1質量部に変更した以外は、偏光板Kの作製方法と同様の方法で、偏光板Lを作製した。
<実施例1>
(虹彩検出の評価)
 虹彩認証システムを有するヘッドマウントディスプレイを模した、図3の装置50を用いて、虹彩検出の評価を行った。
 装置50は、赤外光光源52と、赤外光光源52の出射側に配置された偏光板54と、赤外光受光部56と、赤外光受光部56の前面に配置された偏光板58とを有する。赤外光光源52より出射された光は偏光板54を透過して、観察者の眼球Eに入射し、眼球Eで反射された光が偏光板58を透過して、赤外光受光部56にて受光される。偏光板54および偏光板58としては上記偏光板Aを使用して、図3で示すように、偏光板A同士は2つの偏光板の吸収軸が直交するクロスニコルの配置になるように配置した。赤外光光源には波長940nmのLEDランプ(WindFire Mini IR Lamp Zoomable 5W 850nm/940nm LED Infrared Flashlight Night Vision)を用い、可視光カットフィルタ(Fujifilm IR80)を設置したEdmund E0-camera(赤外光受光部に該当)により撮影した。偏光板Aの挿入により、画像が暗くなるため、輝度が偏光板Aのない場合と同程度になるように光源強度を調整し、同じシャッタースピードで比較した。
 下記基準にて虹彩検出性能を評価した。
A:全領域の虹彩パターンが鮮明に検出される。
B:全領域の虹彩パターンが検出されるが、やや明瞭でない。
C:虹彩パターンが検出できない領域があり、許容できない。
(表示性能の評価)
 市販のヘッドマウントディスプレイHOLOLENS2(Microsoft社製)の表示部の視認側に偏光板Aを設置し、白表示を下記基準にて評価した。
A:偏光板を設置しない場合と、明るさおよび色味づきが同等であり、表示性能に優れていた。
B:偏光板を設置しない場合に対し、やや暗く、色味づいて見えるが、許容できる。
C:画像が暗く、許容できない。
(加工性の評価)
 偏光板Aの表面を、粘着剤を用いて、ガラスに貼合し、下記の基準で評価した。
A:偏光板にクラックの発生がなく、均一に貼合されている。
B:偏光板の端部にクラックが発生している。
C:偏光板の全面にクラックが発生しており、許容できない。
<比較例1>
 偏光板Aを設置しなかった以外は、実施例1と同様の手順に従って、各種評価を実施した。
<実施例2~8、比較例2~6>
 下表に示す様に、偏光板Aを偏光板B~Lのそれぞれに変更した以外は、実施例1と同様の手順に従って、各種評価を実施した。
 なお、実施例7では、光源の波長を、940nmから850nmに変更し、同様に虹彩検出性能を評価した。
 表1中、「T(400-700)」欄は、偏光板の波長400~700nmにおける平均透過率を表す。
 表1中、「極大吸収波長(nm)」欄は、二色性物質の極大吸収波長を表す。
 表1中、「最大偏光度Pmax」欄は、波長800~1500nmにおける偏光板の偏光度の最大値を表す。
 表1中、「λ1(nm)」欄は、偏光度の最大値を示す波長を表す。
 表1中、「透過率T(λ1)」欄は、波長λ1における偏光板の透過率を表す。
 表1中、「S(λ1)」欄は、波長λ1における二色性色素の配向度を表す。
 表1中、「λ2(nm)」欄は、光源から出射される赤外光の極大波長を表す。
 表1中、「|λ1-λ2|(nm)」欄は、λ1とλ2との差を表す。
 上記結果より、本発明の偏光板は所望の効果を有することが確認された。
 より具体的には、実施例1と比較例1との比較より、請求項1の偏光板の適用により、眼表面の反射光が除去され、虹彩検出性能が上がることが分かった。
 比較例2より、偏光度Pが80%以下、透過率T(λ1)が50%より大きい場合には、反射光が除去できず、虹彩検出性能が不足であると考えられる。
 比較例3では、光源強度を最大まで上げても、輝度が十分に上がらず、明瞭な虹彩の画像が得られなかった。このことから、透過率T(λ1)が30%より小さい場合には、虹彩検出性能が不足であると考えられる。
 比較例4より、平均透過率T(400-700)が70%以下では、表示性能が悪化することが分かった。
 実施例5と他の実施例との比較より、配向度S(λ1)が0.950以下の場合、加工性が向上することが確認された。
 実施例6と7との比較より、波長λ1と波長λ2との差が20nmの場合、より効果が優れることが確認された。
<実施例8>
(顔検出評価)
 市販のスマートフォン(Galaxy Z Fold3 5G、SAMSUG社製)のディスプレイ上に、吸収軸がスマートフォンの長軸と平行になる角度(0°)に偏光板Aを設置した。なお、上記吸収軸は、偏光板の極大吸収波長(波長931nm)での吸収軸である。赤外画像のみを取り出すために、偏光板Aの上に可視光カットフィルタ(Fujifilm IR80)を設置し、光源に波長940nmのLEDランプ(WindFire Mini IR Lamp Zoomable 5W 850nm/940nm LED Infrared Flashlight Night Vision)を用い、スマートフォンのディスプレイ下に設置されたカメラを用い、人間の顔を撮影した。続いて、偏光板Aの吸収軸をスマートフォンの長軸と直交する角度(90°)に置き換え、同様に撮影を行った。撮影された2枚の画像の位置を補正し、1600点の画素に対し、0°の画像と90°の画像の輝度差ΔYを算出し、輝度比分布σを計算したところ、σ=20であった。
 続いて、同じ人間の写真に対し、同様に0°および90°の撮影を行ったところ、輝度比分布σ=2.5と小さく、偏光依存性がないことが分かった。本手法により、人間の顔と、人間の顔を撮影した写真とを見分けることができた。
(表示性能評価)
 ディスプレイ上に偏光板Aを設置したスマートフォンを白表示させ、偏光板Aを設置していない時の表示と比較したところ、明るさおよび色味つきは略同等であり、表示性能の悪化はなく、表示性能は優れていた。
(撮像性能評価)
 スマートフォンのディスプレイ上に偏光板Aを設置した状態で、スマートフォンのディスプレイ下カメラを用い、蛍光灯下、A4に黒で10.5ポイントのひらがなを印刷した白い紙を撮影し、偏光板Aを設置していない場合に撮影した画像と比較したところ、略同等であり、撮像性能に影響せず、撮像性能は優れていた。
<比較例9>
 偏光板Aのかわりに偏光板Kを用いた以外は、実施例8の記載の方法と同様の方法により、顔検出評価、表示性能評価および撮像性能評価を実施した。
 人間の顔を撮影した場合の輝度比分布と、人間の顔の写真を撮影した場合の輝度比分布とは差がなく、顔検出に適さなかった。
 10  有機EL表示装置
 12  偏光板
 16  有機EL表示素子
 18  赤外光光源
 20  赤外光受光部
 30  ヘッドマウントディスプレイ
 32  表示パネル
 34  表示素子
 36  赤外光光源
 38  導光要素
 40  出射面
 42  赤外光受光部
 50  装置
 52  赤外光光源
 54  偏光板
 56  赤外光受光部
 58  偏光板
 60  撮像システム
 61  IR-RGB撮像素子
 62  IR-RGBカメラ
 63  赤外光光源
 64  赤外偏光板
 65  撮像対象物

Claims (13)

  1.  波長400~700nmにおける平均透過率が70%以上であり、
     波長800~1500nmにおける偏光度の最大値が80%以上であり、
     前記偏光度の最大値を示す波長を波長λ1とした際に、前記波長λ1における透過率T(λ1)が式(A1)および式(A2)の関係を満たす、偏光板。
     式(A1) 30%≦T(λ1)
     式(A2) T(λ1)≦50%
  2.  式(A3)の関係を満たす、請求項1に記載の偏光板。
     式(A3) 40%≦T(λ1)
  3.  式(A4)の関係を満たす、請求項1に記載の偏光板。
     式(A4) T(λ1)≦45%
  4.  波長800~1500nmに極大吸収波長を有する二色性色素を含み、
     前記波長λ1における前記二色性色素の配向度S(λ1)が式(B1)および式(B2)の関係を満たす、請求項1に記載の偏光板。
     式(B1) 0.700≦S(λ1)
     式(B2) S(λ1)≦0.950
  5.  式(B3)の関係を満たす、請求項4に記載の偏光板。
     式(B3) 0.850≦S(λ1)
  6.  式(B4)の関係を満たす、請求項4に記載の偏光板。
     式(B4) S(λ1)≦0.930
  7.  請求項1~6のいずれか1項に記載に偏光板と、表示素子および可視光用撮像素子の少なくとも1つと、赤外光受光部とを含む、装置。
  8.  さらに、赤外光光源を含み、
     前記λ1と、前記赤外光光源から出射される赤外光の極大波長λ2との差が20nm以下である、請求項7に記載の装置。
  9.  請求項7に記載の装置を含む、ヘッドマウントディスプレイ。
  10.  請求項7に記載の装置を含む、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  11.  請求項7に記載の装置を含む、撮像システム。
  12.  請求項1~6のいずれか1項に記載に偏光板と、赤外光および可視光兼用撮像素子と、赤外光光源とを含む、装置。
  13.  さらに、赤外光光源を含み、
     前記λ1と、前記赤外光光源から出射される赤外光の極大波長λ2との差が20nm以下である、請求項12に記載の装置。
     
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