WO2023170779A1 - 空転滑走判別装置、ブレーキ制御システム、および空転滑走判別方法 - Google Patents

空転滑走判別装置、ブレーキ制御システム、および空転滑走判別方法 Download PDF

Info

Publication number
WO2023170779A1
WO2023170779A1 PCT/JP2022/009961 JP2022009961W WO2023170779A1 WO 2023170779 A1 WO2023170779 A1 WO 2023170779A1 JP 2022009961 W JP2022009961 W JP 2022009961W WO 2023170779 A1 WO2023170779 A1 WO 2023170779A1
Authority
WO
WIPO (PCT)
Prior art keywords
speed
axle
vehicle
shaft speed
slipping
Prior art date
Application number
PCT/JP2022/009961
Other languages
English (en)
French (fr)
Inventor
悦司 松山
俊平 小野寺
尚人 橘
Original Assignee
三菱電機株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 三菱電機株式会社 filed Critical 三菱電機株式会社
Priority to PCT/JP2022/009961 priority Critical patent/WO2023170779A1/ja
Priority to JP2024505694A priority patent/JPWO2023170779A1/ja
Publication of WO2023170779A1 publication Critical patent/WO2023170779A1/ja

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60LPROPULSION OF ELECTRICALLY-PROPELLED VEHICLES; SUPPLYING ELECTRIC POWER FOR AUXILIARY EQUIPMENT OF ELECTRICALLY-PROPELLED VEHICLES; ELECTRODYNAMIC BRAKE SYSTEMS FOR VEHICLES IN GENERAL; MAGNETIC SUSPENSION OR LEVITATION FOR VEHICLES; MONITORING OPERATING VARIABLES OF ELECTRICALLY-PROPELLED VEHICLES; ELECTRIC SAFETY DEVICES FOR ELECTRICALLY-PROPELLED VEHICLES
    • B60L15/00Methods, circuits, or devices for controlling the traction-motor speed of electrically-propelled vehicles
    • B60L15/20Methods, circuits, or devices for controlling the traction-motor speed of electrically-propelled vehicles for control of the vehicle or its driving motor to achieve a desired performance, e.g. speed, torque, programmed variation of speed
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60TVEHICLE BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF; BRAKE CONTROL SYSTEMS OR PARTS THEREOF, IN GENERAL; ARRANGEMENT OF BRAKING ELEMENTS ON VEHICLES IN GENERAL; PORTABLE DEVICES FOR PREVENTING UNWANTED MOVEMENT OF VEHICLES; VEHICLE MODIFICATIONS TO FACILITATE COOLING OF BRAKES
    • B60T8/00Arrangements for adjusting wheel-braking force to meet varying vehicular or ground-surface conditions, e.g. limiting or varying distribution of braking force
    • B60T8/17Using electrical or electronic regulation means to control braking
    • B60T8/176Brake regulation specially adapted to prevent excessive wheel slip during vehicle deceleration, e.g. ABS
    • B60T8/1761Brake regulation specially adapted to prevent excessive wheel slip during vehicle deceleration, e.g. ABS responsive to wheel or brake dynamics, e.g. wheel slip, wheel acceleration or rate of change of brake fluid pressure

Abstract

空転滑走判別装置(13)は、軸速度決定部(51)と、基準軸速度決定部(52)と、判別部(53)と、を備える。軸速度決定部(51)は、車軸ごとに車輪の回転速度に応じて変化する軸速度を決定する。基準軸速度決定部(52)は、軸速度および鉄道車両の走行時に変化する物理量に基づいて、車両における基準軸速度を決定する。判別部(53)は、軸速度と基準軸速度との比較に基づいて、車輪の空転または滑走の有無を判別する。

Description

空転滑走判別装置、ブレーキ制御システム、および空転滑走判別方法
 本開示は、空転滑走判別装置、ブレーキ制御システム、および空転滑走判別方法に関する。
 鉄道車両の走行中に車輪とレールとの間の粘着力が低下すると、車輪の空転または滑走が生じることがある。車輪の空転または滑走が生じると、鉄道車両が目標加速度に応じた速度で走行することが困難となる。そこで、空転または滑走の有無を判別し、鉄道車両の加速または減速を緩やかにすることで車輪をレールに再粘着させることが好ましい。空転または滑走の有無を判別する装置の一例であるブレーキ制御システムが特許文献1に開示されている。
特開2008-143365号公報
 特許文献1に開示されるブレーキ制御システムは、滑走が生じると軸速度が急激に低下する性質を利用して、滑走の有無を判別する。詳細には、このブレーキ制御システムは、各車両における4つの車軸の軸速度の最大値を該車両の基準軸速度とし、各軸速度と基準軸速度との差が閾値以上であれば、基準軸速度との差が閾値以上である車軸に取り付けられている車輪の滑走が生じていると判別する。
 1つの車両における4つの車軸全てにおいて、車軸に取り付けられている車輪の滑走が生じると、各軸速度が同様に急激に低下するため、基準軸速度も同様に急激に低下し、各軸速度と基準軸速度との差が増大しない。このため、特許文献1に開示されるブレーキ制御システムは、全ての車軸において、車軸に取り付けられている車輪の滑走が生じた際に滑走が生じていると判別することができない。滑走に限られず、1つの車両における4つの車軸全てにおいて、車軸に取り付けられている車輪の空転が生じているときも同様の課題が生じる。
 本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、1つの車両の全ての車軸において車軸に取り付けられている車輪の空転または滑走が生じても、車輪の空転または滑走の有無を判別可能な空転滑走判別装置、ブレーキ制御システム、空転滑走判別方法を提供することを目的とする。
 上記目的を達成するために、本開示の空転滑走判別装置は、軸速度決定部と、基準軸速度決定部と、判別部と、を備える。軸速度決定部は、1つまたは複数の車両を備える鉄道車両における車両の複数の車軸について、車軸ごとに、車軸に取り付けられる車輪の回転速度に応じて変化する軸速度を決定する。基準軸速度決定部は、車両における車軸ごとの軸速度および鉄道車両の走行時に変化する物理量に基づいて、該車両における基準軸速度を決定する。判別部は、軸速度と基準軸速度との比較に基づいて、車輪の空転または滑走の有無を判別する。
 本開示に係る空転滑走判別装置は、軸速度および鉄道車両の走行時に変化する物理量に基づいて、基準軸速度を決定し、軸速度と基準軸速度との比較に基づいて、車両の車輪の空転または滑走の有無を判別する。このため、1つの車両の全ての車軸において、車軸に取り付けられている車輪の空転または滑走が生じても、車輪の空転または滑走の有無を判別することができる。
実施の形態1に係る空転滑走判別装置の鉄道車両への搭載例を示す図 実施の形態1に係るブレーキ制御装置のブロック図 実施の形態1に係る空転滑走判別装置のブロック図 実施の形態1に係るブレーキ制御装置および空転滑走判別装置のハードウェア構成を示す図 実施の形態1に係る空転滑走判別装置が行う滑走判別処理の一例を示すフローチャート 比較例における軸速度と基準軸速度の変化の一例を示す図 実施の形態1における軸速度と基準軸速度の変化の一例を示す図 実施の形態2に係る空転滑走判別装置の鉄道車両への搭載例を示す図 実施の形態2に係る空転滑走判別装置のブロック図 実施の形態2に係る空転滑走判別装置が行う滑走判別処理の一例を示すフローチャート 実施の形態3に係る空転滑走判別装置のブロック図 実施の形態3に係る基準軸速度決定部のブロック図 実施の形態4に係る空転滑走判別装置の鉄道車両への搭載例を示す図 実施の形態4に係る空転滑走判別装置のブロック図 実施の形態4に係る空転滑走判別装置が行う滑走判別処理の一例を示すフローチャート 実施の形態5に係る電力変換装置のブロック図 実施の形態5に係る空転滑走判別装置のブロック図 実施の形態5に係る基準軸速度決定部のブロック図 実施の形態5に係る空転滑走判別装置が行う空転滑走判別処理の一例を示すフローチャート 実施の形態5における軸速度と基準軸速度の変化の一例を示す図 実施の形態に係る基準軸速度決定部の第1変形例のブロック図 実施の形態に係る基準軸速度決定部の第2変形例のブロック図 実施の形態に係るブレーキ制御装置および空転滑走判別装置のハードウェア構成の変形例を示す図
 以下、本開示の実施の形態に係る空転滑走判別装置、ブレーキ制御システムおよび空転滑走判別方法について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
 (実施の形態1)
 鉄道車両の車輪とレールとの間の粘着力が低下することによって生じる車輪の空転または滑走を判別する空転滑走判別装置について、1つまたは複数の車両を備える鉄道車両に搭載される空転滑走判別装置を例にして実施の形態1で説明する。
 図1に示す鉄道車両1は、互いに連結されている車両100および車両200を備える。例えば、車両100は、図示しない電動機が搭載される電動車であって、車両200は、電動機が搭載されない付随車である。
 車両100には、運転員の操作に応じて運転指令を出力する主幹制御器5、車両100の荷重を検出する応荷重検出器11、および車両100の車輪の空転または滑走の有無を判別し、車両100のブレーキ制御を行うブレーキ制御システム10が設けられる。ブレーキ制御システム10は、車両100のブレーキ制御を行うブレーキ制御装置12と、車両100の車輪の空転または滑走の有無を判別する空転滑走判別装置13と、を備える。
 車両100の車体を支持する台車には、電動機および電動機から回転力を伝達されて回転する車軸14a,14b,14c,14dが設けられる。車軸14aの両端に車軸14aと一体に回転する車輪15aが取り付けられ、車軸14bの両端に車軸14bと一体に回転する車輪15bが取り付けられ、車軸14cの両端に車軸14cと一体に回転する車輪15cが取り付けられ、車軸14dの両端に車軸14dと一体に回転する車輪15dが取り付けられる。
 車両100には、車輪15a,15b,15c,15dの回転速度をそれぞれ検出する速度検出器16a,16b,16c,16dが設けられる。車両100にはさらに、機械ブレーキ装置として、車輪15a,15b,15c,15dにそれぞれ接触することでブレーキ力を生じさせる制輪子17a,17b,17c,17d、および制輪子17a,17b,17c,17dに取り付けられ、ブレーキ制御装置12から流体の供給を受けるブレーキシリンダ18a,18b,18c,18dが設けられる。鉄道車両1の走行時に回転する回転体である車輪15a,15b,15c,15dに摩擦材である制輪子17a,17b,17c,17dが押し付けられることで、車両100が減速する。
 車両100にはさらに、ブレーキシリンダ18a,18b,18c,18dに供給される流体を排出する滑走防止弁19a,19b,19c,19dが設けられる。
 車両200には、車両200の荷重を検出する応荷重検出器21、および、車両200の車輪の空転または滑走の有無を判別し、車両200のブレーキ制御を行うブレーキ制御システム20が設けられる。ブレーキ制御システム20は、車両200のブレーキ制御を行うブレーキ制御装置22と、車両200の車輪の空転または滑走の有無を判別する空転滑走判別装置23と、を備える。
 車両200の車体を支持する台車には、車軸24a,24b,24c,24dが設けられる。車軸24aの両端には車軸24aと一体に回転する車輪25aが取り付けられ、車軸24bの両端には車軸24bと一体に回転する車輪25bが取り付けられ、車軸24cの両端には車軸24cと一体に回転する車輪25cが取り付けられ、車軸24dの両端には車軸24dと一体に回転する車輪25dが取り付けられる。
 車両200には、車輪25a,25b,25c,25dの回転速度をそれぞれ検出する速度検出器26a,26b,26c,26dが設けられる。車両200にはさらに、機械ブレーキ装置として、車輪25a,25b,25c,25dにそれぞれ接触することでブレーキ力を生じさせる制輪子27a,27b,27c,27d、および制輪子27a,27b,27c,27dに取り付けられ、ブレーキ制御装置22から流体の供給を受けるブレーキシリンダ28a,28b,28c,28dが設けられる。鉄道車両1の走行時に回転する回転体である車輪25a,25b,25c,25dに摩擦材である制輪子27a,27b,27c,27dが押し付けられることで、車両200が減速する。
 車両200にはさらに、ブレーキシリンダ28a,28b,28c,28dに供給される流体を排出する滑走防止弁29a,29b,29c,29dが設けられる。
 図1において、空気管を太い実線で示し、車両100,200に設けられる各構成要素の間で送受信される電気信号の流れを実線の矢印で示す。後続の図においても同様である。
 図1において太い実線で示すように、図示しない流体源から供給され、ブレーキ制御装置12で圧縮された流体は、ブレーキシリンダ18a,18b,18c,18dに供給される。流体は、例えば、空気である。
 ブレーキシリンダ18aの内部の流体の圧力に応じて、ブレーキシリンダ18aのピストンが摺動し、ピストンに取り付けられている制輪子17aが車輪15aに近づく方向または車輪15aから離れる方向に移動する。同様に、ブレーキシリンダ18bの内部の流体の圧力に応じて、ブレーキシリンダ18bのピストンが摺動し、ピストンに取り付けられている制輪子17bが車輪15bに近づく方向または車輪15bから離れる方向に移動する。同様に、ブレーキシリンダ18cの内部の流体の圧力に応じて、ブレーキシリンダ18cのピストンが摺動し、ピストンに取り付けられている制輪子17cが車輪15bに近づく方向または車輪15cから離れる方向に移動する。同様に、ブレーキシリンダ18dの内部の流体の圧力に応じて、ブレーキシリンダ18dのピストンが摺動し、ピストンに取り付けられている制輪子17dが車輪15dに近づく方向または車輪15dから離れる方向に移動する。
 制輪子17a,17b,17c,17dがそれぞれ車輪15a,15b,15c,15dに接触することで、車輪15a,15b,15c,15dの回転が妨げられ、ブレーキ力が生じる。
 流体源から供給され、ブレーキ制御装置22で圧縮された流体は、ブレーキシリンダ28a,28b,28c,28dに供給される。ブレーキシリンダ28aの内部の流体の圧力に応じて、ブレーキシリンダ28aのピストンが摺動し、ピストンに取り付けられている制輪子27aが車輪25aに近づく方向または車輪25aから離れる方向に移動する。同様に、ブレーキシリンダ28bの内部の流体の圧力に応じて、ブレーキシリンダ28bのピストンが摺動し、ピストンに取り付けられている制輪子27bが車輪25bに近づく方向または車輪25bから離れる方向に移動する。同様に、ブレーキシリンダ28cの内部の流体の圧力に応じて、ブレーキシリンダ28cのピストンが摺動し、ピストンに取り付けられている制輪子27cが車輪25bに近づく方向または車輪25cから離れる方向に移動する。同様に、ブレーキシリンダ28dの内部の流体の圧力に応じて、ブレーキシリンダ28dのピストンが摺動し、ピストンに取り付けられている制輪子27dが車輪25dに近づく方向または車輪25dから離れる方向に移動する。
 制輪子27a,27b,27c,27dがそれぞれ車輪25a,25b,25c,25dに接触することで、車輪25a,25b,25c,25dの回転が妨げられ、ブレーキ力が生じる。
 主幹制御器5は、例えば運転台に設けられ、運転員の操作に応じて運転指令をブレーキ制御装置12,22および空転滑走判別装置13,23に出力する。運転指令は、鉄道車両1の加速を指示する力行指令、鉄道車両1の減速を指示するブレーキ指令、および鉄道車両1の惰行運転を指示する惰行指令のいずれかを含む。
 応荷重検出器11は、車両100の車体を支持する台車に取り付けられる空気ばねの圧力の変化から、車両100の荷重を検出し、検出した車両100の荷重をブレーキ制御装置12に送る。同様に、応荷重検出器21は、車両200の車体を支持する台車に取り付けられる空気ばねの圧力の変化から、車両200の荷重を検出し、検出した車両200の荷重をブレーキ制御装置22に送る。
 ブレーキ制御装置12,22の構成は同じであるため、ブレーキ制御装置12について図2を用いて説明する。ブレーキ制御装置12は、車両100のブレーキ力の目標値である目標ブレーキ力を決定する目標ブレーキ力決定部41と、目標ブレーキ力に応じてブレーキシリンダ18a,18b,18c,18dの内部の流体の圧力の目標値である目標圧を決定する目標圧決定部42と、を備える。ブレーキ制御装置12はさらに、目標圧に応じて流体源81から供給される流体を圧縮し、圧縮した空気を、滑走防止弁19a,19b,19c,19dを介してブレーキシリンダ18a,18b,18c,18dに供給する出力部43と、を備える。
 ブレーキ制御装置12はさらに、出力部43が出力する流体の圧力の値を測定する圧力センサ44と、空転滑走判別装置13の判別結果に応じて、滑走防止弁19a,19b,19c,19dの開度を調節する再粘着制御部47と、を備える。
 目標ブレーキ力決定部41は、主幹制御器5から取得した運転指令にブレーキ指令が含まれる場合、ブレーキ指令が示す目標減速度および応荷重検出器11から取得した車両100の荷重に応じて、目標ブレーキ力を決定する。詳細には、目標ブレーキ力決定部41は、目標減速度に車両100の荷重を乗算することで得られる値を目標ブレーキ力として、目標圧決定部42に出力する。
 目標圧決定部42は、制輪子17a,17b,17c,17dと車輪15a,15b,15c,15dとの接触面の摩擦係数および目標ブレーキ力から、制輪子17a,17b,17c,17dを車輪15a,15b,15c,15dにそれぞれ押し付ける力の目標値である目標押付力を決定する。目標圧決定部42は、制輪子17a,17b,17c,17dと車輪15a,15b,15c,15dとの接触面の摩擦係数についての情報を予め保持しているものとする。目標圧決定部42は、目標押付力を得るためのブレーキシリンダ18a,18b,18c,18dの内部の流体の圧力の目標値である目標圧を決定する。
 詳細には、目標圧決定部42は、目標押付力をブレーキシリンダ18a,18b,18c,18dが有するピストンの摺動方向に直交する面の面積値で除算することで得られる値を目標圧として用いる。目標圧決定部42は、上記演算によって得られた目標圧を、圧力センサ44の測定値に基づいて調節するフィードバック制御を行う。目標圧決定部42は、調整した目標圧を出力部43に送る。
 出力部43は、目標圧に応じて、流体源81から供給される流体の圧力を調節し、出力する電空変換弁45と、電空変換弁45の出力に応じて流体源81から供給される流体を圧縮し、圧縮した流体を出力する中継弁46と、を備える。電空変換弁45は、目標圧決定部42から送られた電気信号が示す目標圧に応じて、流体源81から供給される流体の圧力を調節し、圧力を調節した流体を中継弁46に出力する。中継弁46は、電空変換弁45が出力する流体の圧力を指令圧として、流体源81から供給される流体を圧縮し、圧縮した流体を、滑走防止弁19a,19b,19c,19dを介してブレーキシリンダ18a,18b,18c,18dに供給する。
 再粘着制御部47は、空転滑走判別装置13の判別結果に応じて、滑走防止弁19a,19b,19c,19dの開度を調節する。詳細には、再粘着制御部47は、空転滑走判別装置13において滑走が生じていると判別された車輪15a,15b,15c,15dに対応する滑走防止弁19a,19b,19c,19dを開く。例えば、空転滑走判別装置13において車輪15aの滑走が生じていると判別されると、再粘着制御部47は、車輪15aの回転を妨げる制輪子17aが取り付けられているブレーキシリンダ18aの内部の流体を排出する滑走防止弁19aを開く。滑走防止弁19aが開かれることで、ブレーキシリンダ18aの内部の流体が排出され、ブレーキシリンダ18aの内部の流体の圧力が減少する。この結果、車輪15aに生じるブレーキ力が低減し、車輪15aがレールに再粘着する。
 空転滑走判別装置13,23の構成は同様であるため、滑走の有無を判別する空転滑走判別装置13について図3を用いて説明する。空転滑走判別装置13は、車両100の車軸14a,14b,14c,14dごとに軸速度を決定する軸速度決定部51と、基準軸速度を決定する基準軸速度決定部52と、軸速度と基準軸速度との比較に基づいて、車輪15a,15b,15c,15dの滑走の有無を判別する判別部53と、を備える。
 軸速度決定部51は、車軸14a,14b,14c,14dのそれぞれの両端に取り付けられる車輪15a,15b,15c,15dの回転速度に応じて変化する軸速度を決定する。実施の形態1において、軸速度として、車輪15a,15b,15c,15dの周速度が用いられる。
 詳細には、軸速度決定部51は、車軸14a,14b,14c,14dにそれぞれ隣接した位置に設けられる速度検出器16a,16b,16c,16dから車軸14a,14b,14c,14dの回転速度の測定値を取得する。
 速度検出器16a,16b,16c,16dはそれぞれ、車軸14a,14b,14c,14dの回転速度を検出する速度発電機を有する。各速度発電機は、車軸14a,14b,14c,14dの回転速度に比例して周波数が変化するセンサ信号を出力する。速度検出器16a,16b,16c,16dは、速度発電機が出力するセンサ信号から車軸14a,14b,14c,14dの回転速度を決定し、決定した車軸14a,14b,14c,14dの回転速度を空転滑走判別装置13が備える軸速度決定部51に出力する。
 車軸14aと車軸14aに取り付けられる車輪15aは一体に回転するため、速度検出器16aから取得した車軸14aの回転速度は、車輪15aの回転速度に一致するとみなせる。同様に、車軸14bと車軸14bに取り付けられる車輪15bは一体に回転するため、速度検出器16bから取得した車軸14bの回転速度は、車輪15bの回転速度に一致するとみなせる。同様に、車軸14cと車軸14cに取り付けられる車輪15cは一体に回転するため、速度検出器16cから取得した車軸14cの回転速度は、車輪15cの回転速度に一致するとみなせる。同様に、車軸14dと車軸14dに取り付けられる車輪15dは一体に回転するため、速度検出器16dから取得した車軸14dの回転速度は、車輪15dの回転速度に一致するとみなせる。
 軸速度決定部51は、速度検出器16a,16b,16c,16dから取得した車軸14a,14b,14c,14dの回転速度から車輪15a,15b,15c,15dの周速度を求め、車輪15a,15b,15c,15dの周速度をそれぞれ、車軸14a,14b,14c,14dの軸速度として基準軸速度決定部52および判別部53に出力する。
 基準軸速度決定部52は、軸速度および鉄道車両1の走行時に変化する物理量に基づいて、基準軸速度を決定する。鉄道車両1の走行時に変化する物理量は、車両100における空転または滑走時に車両100の軸速度とは異なる変化をする物理量である。例えば、基準軸速度決定部52は、鉄道車両1の走行時に変化する物理量として、他の車両200の軸速度、すなわち、車軸24a,24b,24c,24dの軸速度を用いる。
 具体的には、基準軸速度決定部52は、軸速度決定部51から取得した軸速度および空転滑走判別装置23が有する基準軸速度決定部から取得した基準軸速度の内、最大値を基準軸速度として判別部53および空転滑走判別装置23に出力する。空転滑走判別装置13の滑走判別処理の開始直後は、基準軸速度決定部52は、車軸14a,14b,14c,14dの軸速度の最大値を判別部53および空転滑走判別装置23に出力する。
 判別部53は、軸速度決定部51から取得した各軸速度と基準軸速度との比較に基づいて、車輪の滑走を判別する。詳細には、判別部53は、軸速度決定部51から取得した各軸速度と基準軸速度との速度差を算出し、各速度差が第1閾値以上であるか否かを判別する。各速度差は、各軸速度と基準軸速度との差分の絶対値を示す。第1閾値は、例えば鉄道車両1の試験走行またはシミュレーションによって、滑走時に生じ得る軸速度と基準軸速度との差に応じて定められる。いずれかの速度差が第1閾値以上となると、軸速度が基準軸速度より十分に遅く、滑走が生じているとみなすことができる。各速度差が第1閾値未満であれば、車輪15a,15b,15c,15dのいずれにおいても滑走が生じていないとみなすことができる。
 判別部53は、上述の判別結果をブレーキ制御装置12に送る。例えば、判別部53は、基準軸速度との速度差が第1閾値以上となる軸速度に対応する車軸14a,14b,14c,14dについての情報をブレーキ制御装置12に送る。
 上記構成を有するブレーキ制御装置12,22の制御部分および空転滑走判別装置13,23のハードウェア構成を図4に示す。ブレーキ制御装置12,22および空転滑走判別装置13,23は、プロセッサ91と、メモリ92と、インターフェース93と、を備える。プロセッサ91、メモリ92、およびインターフェース93は互いにバス90で接続されている。ブレーキ制御装置12,22および空転滑走判別装置13,23の各部の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ92に格納される。プロセッサ91が、メモリ92に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、上述の各部の機能が実現される。すなわち、メモリ92には、ブレーキ制御装置12,22および空転滑走判別装置13,23の各部の処理を実行するためのプログラムが格納される。
 メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)等を含む。
 ブレーキ制御装置12は、インターフェース93を介して、主幹制御器5、応荷重検出器11、空転滑走判別装置13、および滑走防止弁19a,19b,19c,19dに接続される。ブレーキ制御装置22は、インターフェース93を介して、主幹制御器5、応荷重検出器21、空転滑走判別装置23、および滑走防止弁29a,29b,29c,29dに接続される。空転滑走判別装置13は、インターフェース93を介して、主幹制御器5、空転滑走判別装置23、および速度検出器16a,16b,16c,16dに接続される。空転滑走判別装置23は、インターフェース93を介して、主幹制御器5、空転滑走判別装置13、および速度検出器26a,26b,26c,26dに接続される。インターフェース93は、接続先に応じて、1つまたは複数の規格に準拠したインターフェースモジュールを有する。
 上記構成を有する空転滑走判別装置13,23が行う滑走判別処理は同様であるため、空転滑走判別装置13が行う滑走判別処理について図5を用いて説明する。空転滑走判別装置13は、主幹制御器5から運転指令を取得すると、図5に示す処理を開始する。取得した運転指令がブレーキ指令を含まない場合(ステップS11;No)、ステップS11の処理が繰り返される。
 運転指令がブレーキ指令を含む場合(ステップS11;Yes)、軸速度決定部51は、速度検出器16a,16b,16c,16dの測定値から、車軸14a,14b,14c,14dのそれぞれについて軸速度を決定する(ステップS12)。基準軸速度決定部52は、ステップS12で決定された各軸速度および空転滑走判別装置23から取得した基準軸速度の内、最大値を基準軸速度と決定する(ステップS13)。
 判別部53は、ステップS12で決定された各軸速度とステップS13で決定された基準軸速度との速度差を算出する(ステップS14)。ステップS14で算出された速度差がいずれも第1閾値未満であれば(ステップS15;No)、ステップS11から上述の処理が繰り返される。
 ステップS14で算出された速度差の少なくともいずれかが第1閾値以上であれば(ステップS15;Yes)、判別部53は基準軸速度との速度差が第1閾値以上となる軸速度に対応する車軸14a,14b,14c,14dについての情報、換言すれば、滑走が生じている車輪15a,15b,15c,15dが取り付けられている車軸14a,14b,14c,14dを示す情報をブレーキ制御装置12に出力する(ステップS16)。ステップS16の処理が終了すると、ステップS11から上述の処理が繰り返される。
 1つの車両における軸速度のみに基づく基準軸速度を用い、各軸速度と基準軸速度との速度差が閾値以上であるか否かに基づいて車輪の滑走の有無を判別する比較例における基準軸速度と軸速度との変化例を図6に示す。図6において、軸速度の変化を実線で示し、基準軸速度の変化を点線で示す。図6において、横軸は時間を示し、縦軸は速度を示す。ブレーキ制御が開始される時刻をT1とする。時刻T1以降、軸速度および基準軸速度は目標減速度に従って一定の割合で減少する。
 1つの車両の全ての車輪において滑走が生じる時刻をT2とする。時刻T2において、各軸速度が大きく減少し始める。上述のように、比較例においては、基準軸速度は1つの車両における軸速度のみに基づくため、全ての車輪において滑走が生じると、基準軸速度は、各軸速度と同様に、急激に低下する。このため、基準軸速度と軸速度との速度差が増大せず、比較例においては、全ての車輪において滑走が生じても、誤って滑走が生じていないと判別してしまう。
 車輪15a,15b,15c,15dの全てにおいて滑走が生じ、車輪25a,25b,25c,25dのいずれにおいても滑走が生じていない場合を例にして、車両100における軸速度と基準軸速度の変化を図7に示す。図7において、軸速度の変化を実線で示し、基準軸速度の変化を点線で示す。図7において、横軸は時間を示し、縦軸は速度を示す。ブレーキ制御が開始される時刻をT1とする。時刻T1において主幹制御器5が制御されることで、主幹制御器5は、ブレーキ指令を含む運転指令を空転滑走判別装置13,23に送る。時刻T1以降、軸速度および基準軸速度は目標減速度に従って一定の割合で減少する。
 車輪15a,15b,15c,15dの全てにおいて滑走が生じる時刻をT2とする。時刻T2において、車軸14a,14b,14c,14dの全ての軸速度が大きく減少し始める。時刻T2以降も、車輪25a,25b,25c,25dにおいては滑走が生じていないため、空転滑走判別装置13が空転滑走判別装置23から取得する基準軸速度は、目標減速度に従って一定の割合で減少する。このため、車軸14a,14b,14c,14dの全ての軸速度が大きく減少しても、空転滑走判別装置13が備える基準軸速度決定部52が出力する基準軸速度は、車軸14a,14b,14c,14dの軸速度のように大きく減少することなく、一定の割合で減少する。
 例えば、車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度と基準軸速度との速度差が第1閾値に到達する時刻をT3とする。時刻T3において、車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度と基準軸速度との速度差が第1閾値以上となるため、空転滑走判別装置13が備える判別部53は、車軸14a,14b,14c,14dにそれぞれ取り付けられている車輪15a,15b,15c,15dで滑走が生じていることを示す判別結果をブレーキ制御装置12に送る。
 ブレーキ制御装置12は、空転滑走判別装置13から上述の判別結果を取得すると、滑走防止弁19a,19b,19c,19dを開いて、ブレーキシリンダ18a,18b,18c,18dの内部の流体を排出する。この結果、ブレーキシリンダ18a,18b,18c,18dの内部の流体の圧力が減少し、制輪子17a,17b,17c,17dを車輪15a,15b,15c,15dに押し付ける力である押付力が減少する。押付力が減少する、換言すれば、ブレーキが緩められると、車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度と基準軸速度との速度差が減少し始める。その後、車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度と基準軸速度との速度差が0となり、車輪15a,15b,15c,15dはレールに再粘着する時刻をT4とする。
 以上説明した通り、実施の形態1に係る空転滑走判別装置13は、車両100の車軸14a,14b,14c,14dの軸速度および他の車両200の車軸24a,24b,24c,24dの軸速度に基づく基準軸速度に基づいて基準軸速度を決定する。このため、車両100の車軸14a,14b,14c,14dに取り付けられる車輪15a,15b,15c,15dの全てにおいて滑走が生じても、基準軸速度は、車軸14a,14b,14c,14各軸速度のように急激に減少することがないため、各軸速度と基準軸速度との速度差に基づいて、滑走の有無を判別することが可能となる。同様に、空転滑走判別装置23は、車両200の車軸24a,24b,24c,24dに取り付けられる車輪25a,25b,25c,25dの全てにおいて滑走が生じても、滑走の有無を判別することが可能となる。
 (実施の形態2)
 基準軸速度の決定方法は、軸速度および鉄道車両の走行時に変化する物理量に基づいて決定する方法であれば、上述の例に限られない。実施の形態1とは異なる方法で基準軸速度を決定する空転滑走判別装置について実施の形態1と異なる点を中心に実施の形態2で説明する。
 図8に示す鉄道車両2は、車両100を備える。車両100には、車両100の車輪15a,15b,15c,15dの滑走の有無を判別する空転滑走判別装置31、および車両100の加速度を検出する加速度検出器82が設けられている。
 加速度検出器82は、車両100の加速度を測定し、測定値を示すデータを空転滑走判別装置31に送る。車両100が加速中のときは、測定値は正数であり、車両100が減速中のときは、測定値は負数である。
 図9に示す空転滑走判別装置31は、加速度検出器82から取得した車両100の加速度の測定値から車両100の速度を決定する車両速度決定部54と、軸速度決定部51が決定した車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度と鉄道車両2の速度に基づいて、基準軸速度を決定する基準軸速度決定部55と、を備える。上記構成を有する空転滑走判別装置31のハードウェア構成は、実施の形態1と同様である。
 車両速度決定部54は、主幹制御器5から運転指令を取得すると、加速度検出器82から取得した車両100の加速度の測定値を積分することを繰り返し、積分値を車両100の速度として基準軸速度決定部55に出力する。車両100の速度は、車両100を備える鉄道車両2の速度に一致するとみなすことができる。
 基準軸速度決定部55は、軸速度決定部51が決定した車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度と車両速度決定部54が決定した車両100の速度に基づいて、基準軸速度を決定する。詳細には、基準軸速度決定部55は、軸速度決定部51が決定した車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度と車両速度決定部54が決定した車両100の速度の内、最大値を基準軸速度として判別部53に出力する。
 上記構成を有する空転滑走判別装置31が行う滑走判別処理について図10を用いて説明する。空転滑走判別装置31は、主幹制御器5から運転指令を取得すると、図10に示す処理を開始する。車両速度決定部54は、加速度検出器82から取得した車両100の加速度の測定値から車両100の速度を決定する(ステップS21)。ステップS11,12の処理は、図5に示す空転滑走判別装置13,23が行う処理と同様である。図10に示すように、取得した運転指令がブレーキ指令を含まない場合(ステップS11;No)、ステップS21から上述の処理が繰り返される。
 ステップS12の処理の後、基準軸速度決定部55は、ステップS12で決定された各軸速度およびステップS21で決定された車両100の速度の内、最大値を基準軸速度として決定する(ステップS22)。後続のステップS14からS16の処理は、図5に示す空転滑走判別装置13,23が行う処理と同様である。
 車輪15a,15b,15c,15dの全てにおいて滑走が生じても、車両100の速度は、車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度のように急激に減少することはない。例えば、鉄道車両2が平坦な区間を走行していて、車輪15a,15b,15c,15dの全てにおいて滑走が生じると、鉄道車両2の速度は徐々に減少するため、基準軸速度決定部55が出力する基準軸速度は徐々に減少する。このため、車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度と基準軸速度とを比較することで、滑走を判別することが可能となる。
 以上説明した通り、実施の形態2に係る空転滑走判別装置31は、車両100の車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度および車両100の速度に基づいて基準軸速度を決定する。このため、車両100の車軸14a,14b,14c,14dに取り付けられる車輪15a,15b,15c,15dの全てにおいて滑走が生じても、基準軸速度は、車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度のように急激に減少することがないため、各軸速度と基準軸速度との速度差に基づいて、滑走の有無を判別することが可能となる。
 (実施の形態3)
 基準軸速度の決定方法は、軸速度および鉄道車両の走行時に変化する物理量に基づいて決定する方法であれば、上述の例に限られない。実施の形態1,2とは異なる方法で基準軸速度を決定する空転滑走判別装置について実施の形態1,2と異なる点を中心に実施の形態3で説明する。
 図11に示す実施の形態3に係る空転滑走判別装置32は、実施の形態2に係る空転滑走判別装置31と同様に車両100に搭載される。空転滑走判別装置32は、軸速度決定部51が決定した車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度と鉄道車両1の加速度に基づいて、基準軸速度を決定する基準軸速度決定部56を備える。上記構成を有する空転滑走判別装置32のハードウェア構成は、実施の形態1と同様である。
 基準軸速度決定部56は、基準軸速度の変化率を目標範囲内に維持しながら基準軸速度を決定する。詳細には、基準軸速度決定部56は、基準軸速度の変化率を鉄道車両1の加速度に応じた目標範囲内に維持しながら基準軸速度を決定する。車両100の加速度は、鉄道車両2の加速度とみなすことができるため、基準軸速度決定部56は、基準軸速度の変化率を加速度検出器82から取得した車両100の加速度の測定値に応じた目標範囲内に維持しながら基準軸速度を決定する。
 図12に示すように、基準軸速度決定部56は、軸速度の最大値を出力する最大値出力部70と、加速度検出器82から取得した車両100の加速度を演算周期ごとの車両100の速度の変化量に換算する加速度換算部71と、を備える。演算周期は、基準軸速度決定部56が基準軸速度の決定処理を繰り返す間隔であって、基準軸速度の決定処理に要する時間に応じて定められ、例えば1秒である。
 基準軸速度決定部56は、直前の基準軸速度に加速度換算部71の出力値を加算する加算器72と、最大値出力部70の出力値および加算器72の出力値の内、最大値を出力する最大値出力部73と、を備える。
 最大値出力部70は、軸速度決定部51から取得した車軸14a,14b,14c,14dの軸速度の内、最大値を最大値出力部73に出力する。
 加速度検出器82から取得した車両100の加速度の測定値が1秒間あたりの鉄道車両1の速度変化(単位:km/h/s)を示し、基準軸速度決定部56の演算周期が1秒であれば、加速度換算部71は、加速度検出器82から取得した車両100の加速度の測定値を演算周期での車両100の速度の変化量(単位:km/h)として加算器72に出力する。
 加算器72は、最大値出力部73が出力する直前の基準軸速度(単位:km/h)に加速度換算部71の出力値(単位:km/h)を加算する。加算器72の出力値は、滑走が生じていないときに車軸14a,14b,14c,14dの軸速度が取り得る値に相当する。
 最大値出力部73は、最大値出力部70の出力値および加算器72の出力値の内、最大値を出力する。車軸14a,14b,14c,14dに取り付けられる車輪15a,15b,15c,15dの全てにおいて滑走が生じると、車軸14a,14b,14c,14dの軸速度は同様に急激に減少する。この結果、最大値出力部70の出力値は急激に減少し、加算器72の出力値に比べて小さくなる。このため、最大値出力部73は、加算器72の出力値を基準軸速度として判別部53に出力する。
 車輪15a,15b,15c,15dの全てにおいて滑走が生じても、基準軸速度決定部56が出力する基準軸速度は、滑走が生じていないときに車軸14a,14b,14c,14dの軸速度が取り得る値に相当するため、車軸14a,14b,14c,14dの軸速度と基準軸速度との速度差に基づいて判別部53で滑走の有無を判別することが可能となる。
 以上説明した通り、実施の形態3に係る空転滑走判別装置32は、基準軸速度の変化率を目標範囲内、具体的には、車両100の加速度に応じた目標範囲内に維持しながら基準軸速度を変化させる。このため、車両100の車軸14a,14b,14c,14dに取り付けられる車輪15a,15b,15c,15dの全てにおいて滑走が生じても、基準軸速度は、車軸14a,14b,14c,14各軸速度のように急激に減少することがないため、各軸速度と基準軸速度との速度差に基づいて、滑走の有無を判別することが可能となる。
 (実施の形態4)
 滑走または滑走の有無を判別する際に、軸速度と基準軸速度との比較に加え、鉄道車両の加速度に基づいて、車両の空転または滑走の有無を判別してもよい。実施の形態1-3とは異なる方法で滑走の有無を判別する空転滑走判別装置について実施の形態1と異なる点を中心に実施の形態4で説明する。
 図13に示す車両100には、空転滑走判別装置33が設けられ、車両200には空転滑走判別装置34が設けられる。車両100には加速度検出器82が設けられる。加速度検出器82は、車両100の加速度の測定値を示すデータを空転滑走判別装置33,34に送る。車両100の加速度は、車両100,200を備える鉄道車両1の加速度とみなすことができる。
 空転滑走判別装置33,34の構成は同じであるため、空転滑走判別装置33の構成について以下に説明する。図14に示す空転滑走判別装置33は、車輪15a,15b,15c,15dの周加速度である軸加速度を決定する軸加速度決定部57と、各軸加速度と鉄道車両1の加速度との加速度差を決定する加速度差算出部58と、各軸速度と基準軸速度との比較、または各軸加速度と鉄道車両1の加速度との比較に基づいて、車輪15a,15b,15c,15dにおける滑走の有無を判別する判別部59と、を備える。上記構成を有する空転滑走判別装置33,34のハードウェア構成は、実施の形態1と同様である。
 軸加速度決定部57は、軸速度決定部51から取得した車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度の単位時間での変化量から、車軸14a,14b,14c,14dの各軸加速度(単位:km/h/s)を決定し、加速度差算出部58に出力する。
 加速度差算出部58は、車軸14a,14b,14c,14dの各軸加速度と加速度検出器82から取得した車両100の加速度の測定値との加速度差を算出し、判別部59に出力する。各加速度差は、各軸加速度と車両100の加速度の測定値との差分の絶対値を示す。
 判別部59は、各軸速度と基準軸速度との速度差または各加速度差から滑走の有無を判別する。各軸速度と基準軸速度との速度差に基づく判別は、実施の形態1と同様である。詳細には、判別部59は、実施の形態1と同様に、各軸速度と基準軸速度との速度差が第1閾値以上であるか否かを判別する。速度差が第1閾値以上となると、軸速度が基準軸速度より十分に遅く、滑滑走が生じているとみなすことができる。
 各加速度差に基づく滑走の有無の判別について説明する。判別部59は、加速度差算出部58から取得した各加速度差が第2閾値以上であるか否かを判別する。第2閾値は、例えば鉄道車両1の試験走行またはシミュレーションによって、滑走時に生じ得る軸加速度と鉄道車両1の加速度との差に応じて定められる。加速度差が第2閾値以上となると、軸加速度が車両100の加速度より十分に遅く、滑走が生じているとみなすことができる。
 上記構成を有する空転滑走判別装置33,34が行う滑走判別処理は同様であるため、空転滑走判別装置33が行う滑走判別処理について図15を用いて説明する。空転滑走判別装置33は、主幹制御器5から運転指令を取得すると、図15に示す処理を開始する。ステップS11,S12は、図5に示す実施の形態1に係る空転滑走判別装置13が行う処理と同様である。
 軸加速度決定部57は、ステップS12で決定された軸速度から軸加速度を決定する(ステップS31)。加速度差算出部58は、ステップS31で決定された各軸加速度と加速度検出器82から取得した車両100の加速度の測定値から加速度差を算出する(ステップS32)。判別部59は、ステップS32で求められた加速度差が第2閾値以上であるか否かを判別する。
 ステップS32で算出された加速度差の少なくともいずれかが第2閾値以上であれば(ステップS33;Yes)、判別部59は、車両100の加速度との加速度差が第2閾値以上となる軸加速度に対応する車軸14a,14b,14c,14dについての情報、換言すれば、滑走が生じている車輪15a,15b,15c,15dが取り付けられている車軸14a,14b,14c,14dを示す情報をブレーキ制御装置12に出力する(ステップS34)。ステップS34の処理が完了すると、ステップS11から上述の処理が繰り返される。
 ステップS32で算出された加速度差がいずれも第2閾値未満であれば(ステップS33;No)、ステップS34の処理は行われず、ステップS11から上述の処理が繰り返される。
 上述のステップS31からS34までの処理と並列に、ステップS13からS16の処理が行われる。ステップS13からS16までの処理は、図5に示す実施の形態1に係る空転滑走判別装置13が行う処理と同様である。
 以上説明した通り、実施の形態4に係る空転滑走判別装置33は、車両100の車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度と車両200の車軸24a,24b,24c,24dの軸速度に基づく基準軸速度との比較に加えて、車軸14a,14b,14c,14dの各軸加速度と車両100の加速度との比較に基づいて、滑走の有無を判別する。
 空転滑走判別装置33は、加速度差が第2閾値以上であるとき、または、速度差が第1閾値以上であるときに、滑走が生じていると判別することができる。このため、実施の形態1-3に比べて、より速く、精度よく、滑走の有無を判別することができる。
 (実施の形態5)
 上述の空転滑走判別装置は、滑走の有無だけでなく、空転の有無を判別することができる。空転および滑走の有無を判別する空転滑走判別装置について、実施の形態1と異なる点を中心に実施の形態5で説明する。
 車両100は、鉄道車両1の駆動装置として、図16に示す電力変換装置83と、電力変換装置83から電力の供給を受けて駆動されると鉄道車両1の推進力を生じさせる電動機87と、空転および滑走の有無を判別する空転滑走判別装置35と、を備える。
 電力変換装置83は、例えば、直流き電方式の鉄道車両1に搭載され、図示しない電源から供給される直流電力を三相交流電力に変換して負荷機器に供給する直流-三相変換装置である。電力変換装置83は、電源に接続される入力端子83aと、接地される入力端子83bと、を備える。電力変換装置83はさらに、電源から供給された直流電力を三相交流電力に変換し、三相交流電力を電動機87に供給する電力変換回路84と、電力変換回路84が出力する相電流を測定する電流検出回路85と、電力変換回路84を制御する電力変換回路制御部86と、を備える。電力変換装置83はさらに、入力端子83a,83bの間に直列に接続されて設けられているリアクトルL1およびコンデンサC1を備える。上記構成を有する電力変換装置83は、電動車である車両100の車体の床下に取り付けられる。
 入力端子83aは、図示しない接触器、遮断器等を介して、電源、具体的には、変電所から電力供給線を介して供給される電力を取得する集電装置に電気的に接続される。例えば、集電装置は、電力供給線の一例である架線を介して電力を取得するパンタグラフ、または、電力供給線の一例である第三軌条を介して電力を取得する集電靴等である。入力端子83bは、図示しない接地リング、接地ブラシ、車輪等を介して接地される。
 電力変換回路84は、例えば、出力される交流電力の実効電圧と周波数とが可変であるインバータで形成される。電力変換回路84は、複数のスイッチング素子を有し、各スイッチング素子のスイッチング動作は、電力変換回路制御部86によって制御される。各スイッチング素子は、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)で形成される。
 電流検出回路85は、電力変換回路84と電動機87とを電気的に接続するバスバーに取り付けられるCT(Current Transformer:変流器)を有し、電力変換回路84が出力する相電流、具体的には、U相電流、V相電流、およびW相電流の値を測定する。電流検出回路85は、各相電流の測定値を電力変換回路制御部86に送る。
 電力変換回路制御部86は、主幹制御器5から運転指令を取得する。電力変換回路制御部86は、運転指令および空転滑走判別装置35の判別結果に応じて電力変換回路84の各スイッチング素子を制御する電力変換制御信号を生成し、電力変換回路84に出力する。電力変換制御信号は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)信号である。
 リアクトルL1の一端は、入力端子83aに接続される。リアクトルL1の他端は、電力変換回路84の一次端子に接続される。コンデンサC1の一端は、リアクトルL1の他端と電力変換回路84の一次端子との接続点に接続される。コンデンサC1の他端は、入力端子83bと電力変換回路84の一次端子との接続点に接続される。リアクトルL1およびコンデンサC1は、電力変換回路84のスイッチング動作によって生じる高調波成分を減衰させるLCフィルタを形成する。
 電動機87は、車両100の車体を支持する台車に取り付けられる。電動機87が電力変換装置83から電力の供給を受けて動作すると、電動機87のシャフトが回転し、シャフトの回転力が継手および歯車装置を介して、車軸14a,14b,14c,14dに伝達される。詳細には、車両100の車体を支持する2つの台車に2つずつ電動機87が設けられ、一方の台車の各電動機87のシャフトの回転力が車軸14a,14bに伝達され、他方の台車の各電動機87のシャフトの回転力が車軸14c,14dに伝達される。車軸14a,14b,14c,14dの回転にともなって、車軸14a,14b,14c,14dの両端に取り付けられる車輪15a,15b,15c,15dが回転し、鉄道車両1の推進力が得られる。
 図17に示す空転滑走判別装置35は、車両200に設けられる空転滑走判別装置36から基準軸速度を取得する。空転滑走判別装置35,36の構成は同様であるため、空転または滑走の有無を判別する空転滑走判別装置35について説明する。空転滑走判別装置35は、運転指令に応じて、軸速度決定部51で決定された各軸速度と空転滑走判別装置36から取得した基準軸速度に基づいて、基準軸速度を決定する基準軸速度決定部60と、各軸速度と基準軸速度との比較に基づいて、空転および滑走の有無を判別する判別部61と、を備える。上記構成を有する空転滑走判別装置35,36のハードウェア構成は、実施の形態1と同様である。
 図18に示す基準軸速度決定部60は、軸速度の最大値を出力する最大値出力部70と、軸速度の最小値を出力する最小値出力部74と、運転指令に応じて最大値出力部70または最小値出力部74の出力値を出力する切替部75と、を備える。
 最大値出力部70は、軸速度決定部51から取得した車軸14a,14b,14c,14dの軸速度の最大値を切替部75に出力する。
 最小値出力部74は、軸速度決定部51から取得した車軸14a,14b,14c,14dの軸速度の最小値を切替部75に出力する。
 切替部75は、主幹制御器5から取得した運転指令がブレーキ指令を含む場合、最大値出力部70の出力値を基準軸速度として判別部61および空転滑走判別装置36に出力する。切替部75は、運転指令がブレーキ指令を含まない場合、換言すれば、運転指令が力行指令または惰行指令を含む場合、最小値出力部74の出力値を基準軸速度として判別部61および空転滑走判別装置36に出力する。
 判別部61は、運転指令がブレーキ指令を含む場合、軸速度決定部51から取得した各軸速度と基準軸速度決定部60から取得した基準軸速度との速度差を算出し、各速度差が第1閾値以上であるか否かを判別する。各速度差は、各軸速度と基準軸速度との差分の絶対値を示す。いずれかの速度差が第1閾値以上となると、軸速度が基準軸速度より十分に遅く、滑走が生じているとみなすことができる。各速度差が第1閾値未満であれば、車輪15a,15b,15c,15dのいずれにおいても滑走が生じていないとみなすことができる。判別部61は、上述の判別結果をブレーキ制御装置12に送る。
 判別部61は、運転指令がブレーキ指令を含まない場合、軸速度決定部51から取得した各軸速度と基準軸速度決定部60から取得した基準軸速度との速度差を算出し、各速度差が第3閾値以上であるか否かを判別する。各速度差は、各軸速度と基準軸速度との差分の絶対値を示す。第3閾値は、例えば鉄道車両1の試験走行またはシミュレーションによって、空転時に生じ得る軸速度と基準軸速度との差に応じて定められる。いずれかの速度差が第3閾値以上となると、軸速度が基準軸速度より十分に速く、空転が生じているとみなすことができる。各速度差が第3閾値未満であれば、車輪15a,15b,15c,15dのいずれにおいても空転が生じていないとみなすことができる。
 判別部61は、上述の判別結果を電力変換回路制御部86に送る。例えば、判別部61は、いずれかの速度差が第3閾値以上となると、空転が生じている旨の通知を電力変換回路制御部86に送る。
 上記構成を有する図16に示す電力変換装置83の電力変換処理について以下に説明する。運転指令が力行指令を含む場合、電力変換装置83は、電源から供給される直流電力を三相交流電力に変換し、三相交流電力を電動機87に供給する。電動機87は、三相交流電力の供給を受けて駆動され、鉄道車両1の推進力を生じさせる。
 詳細には、運転指令が力行指令を含む場合、電力変換回路制御部86は、力行指令が示す鉄道車両1の加速度の目標値である目標加速度および図示しない速度検出器から取得した電動機87の回転数の測定値に応じて、電動機87のトルクの目標値であるトルク指令値τ*を決定する。電力変換回路制御部86は、トルク指令値τ*に応じて励磁電流指令値id*およびトルク電流指令値iq*を決定する。電力変換回路制御部86は、電流検出回路85から取得した相電流の測定値を、電動機87の回転数の測定値から推定される推定位置θに基づいて三相座標からdq回転座標に変換することで、励磁電流値idおよびトルク電流値iqを決定する。
 電力変換回路制御部86は、励磁電流値idと励磁電流指令値id*との差分から励磁電圧指令値Vd*を決定し、トルク電流値iqとトルク電流指令値iq*との差分からトルク電圧指令値Vq*を決定する。電力変換回路制御部86は、励磁電圧指令値Vd*およびトルク電圧指令値Vq*を推定位置θに基づいてdq回転座標から三相座標に変換してU相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、およびW相電圧指令値Vw*を決定する。そして、電力変換回路制御部86は、U相電圧指令値Vu*、V相電圧指令値Vv*、およびW相電圧指令値Vw*のそれぞれと搬送波とに応じて電力変換回路84が有する各スイッチング素子のスイッチング動作を制御する電力変換制御信号を生成し、出力する。
 電力変換回路制御部86は、空転滑走判別装置35から空転が生じている旨の通知を受けると、トルク指令値τ*を、上述のように力行指令が示す鉄道車両1の目標加速度および電動機87の回転数の測定値に応じて決定された値より小さい値に設定する。電力変換回路制御部86は、より小さい値に設定されたトルク指令値τ*に基づいて上述の処理を行って、電力変換制御信号を生成する。
 電力変換制御信号が電力変換回路84の各スイッチング素子のゲート信号に供給されると、各スイッチング素子がスイッチング動作を行う。この結果、電力変換回路84は、直流電力を三相交流電力に変換し、三相交流電力を電動機87に供給する。
 運転指令がブレーキ指令を含む場合、発電機として動作する電動機87は、三相交流電力を電力変換装置83に供給する。電力変換装置83は、電動機87から供給される三相交流電力を直流電力に変換し、集電装置および電力供給線を介して、電力変換装置83が搭載されている鉄道車両1の近隣を走行している他の鉄道車両に直流電力を供給する。電動機87で生じた三相交流電力を他の鉄道車両に供給して消費することで、鉄道車両1を減速させる回生ブレーキ力が生じる。
 詳細には、運転指令がブレーキ指令を含む場合、電力変換回路制御部86は、図示しない電圧センサからコンデンサC1の端子間電圧の測定値を取得し、電動機87から電力変換回路84に流れる相電流の測定値を電流検出回路85から取得する。そして、電力変換回路制御部86は、コンデンサC1の端子間電圧の測定値および電動機87から電力変換回路84に流れる相電流の測定値に応じて、電力変換回路84の出力電圧の目標値を示す電圧指令値を決定する。
 電力変換回路84の出力電圧の目標値は、例えば、架線電圧より高い電圧範囲であって、回生ブレーキが利用可能となる電圧の範囲を示す目標電圧範囲に含まれる値である。そして、電力変換回路制御部86は、電圧指令値に応じて電力変換回路84が有する各スイッチング素子のスイッチング動作を制御する電力変換制御信号を生成し、出力する。
 電力変換制御信号が電力変換回路84の各スイッチング素子のゲート信号に供給されると、各スイッチング素子がスイッチング動作を行う。この結果、電力変換回路84は、電動機87から供給される三相交流電力を直流電力に変換し、直流電力でコンデンサC1を充電する。
 電力変換装置83が搭載されている鉄道車両1の近隣に加速中の他の鉄道車両が位置していれば、上述のように、電動機87で生じた電力が他の鉄道車両に供給されて消費され、鉄道車両1を減速させる回生ブレーキ力が生じる。
 空転滑走判別装置35,36が行う空転滑走判別処理は同様であるため、空転滑走判別装置35が行う滑走判別処理について図19を用いて説明する。空転滑走判別装置35は、主幹制御器5から運転指令を取得すると、図19に示す処理を開始する。
 ステップS12の処理は、図5に示す実施の形態1に係る空転滑走判別装置13が行う処理と同様である。取得した運転指令にブレーキ指令が含まれる場合(ステップS41;Yes)、ステップS13からS16の処理が行われる。ステップS13からS16の処理は、図5に示す実施の形態1に係る空転滑走判別装置13が行う処理と同様である。ステップS14で算出された速度差がいずれも第1閾値未満であれば(ステップS15;No)、ステップS12から上述の処理が繰り返される。ステップS14で算出された速度差のいずれかが第1閾値以上であれば(ステップS15;Yes)、判別部61は、基準軸速度との速度差が第1閾値以上となる軸速度に対応する車軸14a,14b,14c,14dについての情報をブレーキ制御装置12に出力する(ステップS16)。ステップS16の処理が完了すると、ステップS12から上述の処理が繰り返される。
 取得した運転指令にブレーキ指令が含まれない場合(ステップS41;No)、基準軸速度決定部60は、ステップS12で決定された軸速度および空転滑走判別装置36から取得した基準軸速度の内、最小値を基準軸速度と決定する(ステップSS42)。
 判別部61は、ステップS12で決定された各軸速度とステップS42で決定された基準軸速度との速度差を算出する(ステップS43)。ステップS43で算出された速度差がいずれも第3閾値未満であれば(ステップS44;No)、ステップS12から上述の処理が繰り返される。
 ステップS43で算出された速度差の少なくともいずれかが第3閾値以上であれば(ステップS44;Yes)、判別部61は、空転が生じている旨を電力変換回路制御部86に通知する(ステップS45)。
 車輪15a,15b,15c,15dの全てにおいて空転が生じ、車輪25a,25b,25c,25dのいずれにおいても空転が生じていない場合を例にして、車両100における軸速度と基準軸速度の変化を図20に示す。図20において、軸速度の変化を実線で示し、基準軸速度の変化を点線で示す。図20において、横軸は時間を示し、縦軸は速度を示す。力行運転が開始される時刻をT11とする。時刻T11において主幹制御器5が制御されることで、主幹制御器5は、力行指令を含む運転指令を空転滑走判別装置35,36に送る。時刻T11以降、軸速度および基準軸速度は目標加速度に従って一定の割合で増加する。
 車輪15a,15b,15c,15dの全てにおいて空転が生じる時刻をT12とする。時刻T12において、車軸14a,14b,14c,14dの全ての軸速度が大きく増大し始める。時刻T12以降も、車輪25a,25b,25c,25dにおいては空転が生じていないため、空転滑走判別装置35が空転滑走判別装置36から取得する基準軸速度は、目標加速度に従って一定の割合で増大する。このため、車軸14a,14b,14c,14dの全ての軸速度が大きく増大しても、空転滑走判別装置35が備える基準軸速度決定部60が出力する基準軸速度は、車軸14a,14b,14c,14dの軸速度のように大きく増大することなく、一定の割合で減少する。
 例えば、車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度と基準軸速度との速度差が第3閾値に到達する時刻をT13とする。時刻T13において、車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度と基準軸速度との速度差が第3閾値以上となるため、空転滑走判別装置35が備える判別部61は、空転が生じている旨の通知を電力変換回路制御部86に送る。
 電力変換回路制御部86は、空転滑走判別装置35から空転が生じている旨の通知を取得すると、トルク指令値τ*を、上述のように力行指令が示す鉄道車両1の加速度の目標値および電動機87の回転数の測定値に応じて決定された値より小さい値に設定する。電力変換回路制御部86は、より小さい値に設定されたトルク指令値τ*に基づいて電力変換制御信号を生成する。
 上述のように生成された電力変換制御信号が電力変換回路84の各スイッチング素子のゲート信号に供給されると、電力変換回路84の出力電力が減少し、電動機87の回転速度が低下する。電動機87の回転速度が低下し、加速が緩やかになると、車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度と基準軸速度との速度差が減少し始める。その後、車軸14a,14b,14c,14dの各軸速度と基準軸速度との速度差が0となり、車輪15a,15b,15c,15dはレールに再粘着する時刻をT14とする。
 以上説明した通り、実施の形態5に係る空転滑走判別装置35は、車両100の車軸14a,14b,14c,14dの軸速度および他の車両200の車軸24a,24b,24c,24dの軸速度に基づいて基準軸速度を決定する。このため、車両100の車軸14a,14b,14c,14dに取り付けられる車輪15a,15b,15c,15dの全てにおいて滑走または空転が生じても、基準軸速度は、車軸14a,14b,14c,14各軸速度のように急激に変化することがないため、各軸速度と基準軸速度との速度差に基づいて、滑走または空転の有無を判別することが可能となる。
 同様に、空転滑走判別装置36は、車両200の車軸24a,24b,24c,24dの軸速度および他の車両100の車軸14a,14b,14c,14dの軸速度に基づいて基準軸速度を決定する。このため、車両200の車軸24a,24b,24c,24dに取り付けられる車輪25a,25b,25c,25dの全てにおいて滑走または空転が生じても、各軸速度と基準軸速度との速度差に基づいて、滑走または空転の有無を判別することが可能となる。
 本開示は、上述の実施の形態に限られない。上述の実施の形態の内、任意の複数の実施の形態を組み合わせることができる。一例として、実施の形態1-4は、実施の形態5と同様に、空転または滑走を判別してもよい。
 他の一例として、実施の形態5に係る空転滑走判別装置35が備える基準軸速度決定部60は、基準軸速度決定部56のように、基準軸速度の変化率を目標範囲内に維持しながら基準軸速度を決定してもよい。詳細には、図21に示す基準軸速度決定部60は、演算周期での速度の減少量の限度値を出力する減少量出力部76と、演算周期での速度の増加量の限度値を出力する増加量出力部77と、を備える。基準軸速度決定部60はさらに、直前の基準軸速度に増加量出力部77の出力値を加算する加算器78と、最小値出力部74の出力値および加算器78の出力値の内、最小値を出力する最小値出力部79と、を備える。
 減少量出力部76は、例えば、ブレーキ指令が示す目標減速度の最大値に応じた演算周期での車両100の速度の減少量を上記限度値(単位:km/h)として出力する。
 加算器72は、切替部75が出力する直前の基準軸速度(単位:km/h)に減少量出力部76の出力値(単位:km/h)を加算する。加算器72の出力値は、滑走が生じていないときに最大の目標減速度に応じて車軸14a,14b,14c,14dの軸速度が取り得る値に相当する。
 増加量出力部77は、例えば、力行指令が示す目標加速度の最大値に応じた演算周期での車両100の速度の増加量を上記限度値(単位:km/h)として出力する。
 加算器78は、切替部75が出力する直前の基準軸速度(単位:km/h)に増加量出力部77の出力値(単位:km/h)を加算する。加算器78の出力値は、空転が生じていないときに最大の目標加速度に応じて車軸14a,14b,14c,14dの軸速度が取り得る値に相当する。
 最小値出力部79は、最小値出力部74の出力値および加算器78の出力値の内、最小値を出力する。
 切替部75は、運転指令がブレーキ指令を含む場合に、最大値出力部73の出力値を出力し、運転指令がブレーキ指令を含まない場合に、最小値出力部79の出力値を出力する。切替部75が出力する基準軸速度は、演算周期ごとに、減少量出力部76または増加量出力部77が出力する限度値を上限として変化する。
 他の一例として、空転滑走判別装置13は、例えば速度検出器16a,16b,16c,16dの異常によって基準軸速度が大きくなることを防ぐため、基準軸速度の上限値を設けてもよい。図22に示す空転滑走判別装置13は、軸速度決定部51から取得した軸速度および空転滑走判別装置23から取得した基準軸速度の内、最大値を出力する最大値出力部70と、基準軸速度の上限値を出力する速度上限出力部80と、最大値出力部70および速度上限出力部80が出力する上限値の内、最小値を出力する最小値出力部79と、を備える。基準軸速度の上限値は、例えば、鉄道車両1が取り得る速度の最大値に応じて定められればよい。
 鉄道車両1が備える車両の個数は任意である。加速度検出器82は、一部の車両のみに設けられてもよいし、各車両に設けられてもよい。
 基準軸速度決定部52,60は、他の車両200の基準軸速度に代えて、他の車両200の車軸24a,24b,24c,24dの軸速度を取得してもよい。
 車両速度決定部54は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)衛星からの電波によって鉄道車両2の位置を求め、単位時間での鉄道車両2の位置の変化量から車両100の速度を決定してもよい。
 空転滑走判別装置13,23,31,32,33,34,35,36は、軸速度として、車軸14a,14b,14c,14dの回転速度を用いてもよい。一例として、空転滑走判別装置13は、車軸14a,14b,14c,14dの回転速度および車軸24a,24b,24c,24dの回転速度から、基準軸速度を決定してもよい。
 空転滑走判別装置13,23,31,32,33,34,35,36において滑走が生じていると判別されたときの処理は、上述の例に限られない。一例として、ブレーキ制御装置12が備える目標ブレーキ力決定部41は、空転滑走判別装置13で滑走が生じていると判別されると、目標ブレーキ力を、目標減速度および車両100の荷重から決定される目標ブレーキ力をより小さい値に設定する。目標圧決定部42は、より小さい値に設定された目標ブレーキ力に応じて目標圧を決定する。このとき、空転滑走判別装置13,23は互いに判別結果を送受信し、空転滑走判別装置23を介して車両100で滑走が生じている旨の通知を受けた車両200のブレーキ制御装置12は、目標ブレーキ力を、目標減速度および車両200の荷重から決定される目標ブレーキ力をより大きい値に設定することが好ましい。これにより、滑走による制動距離の延伸を抑制することが可能となる。
 空転滑走判別装置13,23,31,32,33,34,35,36は、列車情報管理システムの一機能として実現されてもよいし、地上設備、例えば運転指令所に設けられてもよい。
 車両100,200に設けられる機械ブレーキ装置は、上述の例に限られない。摩擦材であるブレーキパッドを回転体であるブレーキディスクに押し付けることでブレーキ力を生じさせる機械ブレーキ装置が車両100,200に設けられてもよい。
 ブレーキ制御装置12,22および空転滑走判別装置13,23,31,32,33,34,35,36のハードウェア構成は、上述の例に限られない。ブレーキ制御装置12,22および空転滑走判別装置13,23,31,32,33,34,35,36は、図23に示すように、処理回路94で実現されてもよい。処理回路94は、インターフェース回路95を介して、外部機器に接続される。一例として、ブレーキ制御装置12は、インターフェース回路95を介して、主幹制御器5、応荷重検出器11、空転滑走判別装置13、および滑走防止弁19a,19b,19c,19dに接続され、空転滑走判別装置13は、インターフェース回路95を介して、主幹制御器5、空転滑走判別装置23、および速度検出器16a,16b,16c,16dに接続される。
 処理回路94が専用のハードウェアである場合、処理回路94は、例えば、単一回路、複合回路、プロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせ等を有する。ブレーキ制御装置12,22の各部および空転滑走判別装置13,23,31,32,33,34,35,36の各部は、個別の処理回路94で実現されてもよいし、共通の処理回路94で実現されてもよい。
 ブレーキ制御装置12,22および空転滑走判別装置13,23,31,32,33,34,35,36の各機能の一部が専用のハードウェアで実現され、他の一部がソフトウェアまたはファームウェアで実現されてもよい。例えば、空転滑走判別装置13において、軸速度決定部51および基準軸速度決定部52は図23に示す処理回路94で実現され、判別部53は図4に示すプロセッサ91がメモリ92に格納されたプログラムを読み出して実行することで実現されてもよい。
 本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。すなわち、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、この開示の範囲内とみなされる。
 1,2 鉄道車両、5 主幹制御器、10,20 ブレーキ制御システム、11,21 応荷重検出器、12,22 ブレーキ制御装置、13,23,31,32,33,34,35,36 空転滑走判別装置、14a,14b,14c,14d,24a,24b,24c,24d 車軸、15a,15b,15c,15d,25a,25b,25c,25d 車輪、16a,16b,16c,16d,26a,26b,26c,26d 速度検出器、17a,17b,17c,17d,27a,27b,27c,27d 制輪子、18a,18b,18c,18d,28a,28b,28c,28d ブレーキシリンダ、19a,19b,19c,19d,29a,29b,29c,29d 滑走防止弁、41 目標ブレーキ力決定部、42 目標圧決定部、43 出力部、44 圧力センサ、45 電空変換弁、46 中継弁、47 再粘着制御部、51 軸速度決定部、52,55,56,60 基準軸速度決定部、53,59,61 判別部、54 車両速度決定部、57 軸加速度決定部、58 加速度差算出部、70,73 最大値出力部、71 加速度換算部、72,78 加算器、74,79 最小値出力部、75 切替部、76 減少量出力部、77 増加量出力部、80 速度上限出力部、81 流体源、82 加速度検出器、83 電力変換装置、83a,83b 入力端子、84 電力変換回路、85 電流検出回路、86 電力変換回路制御部、87 電動機、90 バス、91 プロセッサ、92 メモリ、93 インターフェース、94 処理回路、95 インターフェース回路、100,200 車両、C1 コンデンサ、L1 リアクトル。

Claims (13)

  1.  1つまたは複数の車両を備える鉄道車両における前記車両の複数の車軸について、前記車軸ごとに、前記車軸に取り付けられる車輪の回転速度に応じて変化する軸速度を決定する軸速度決定部と、
     前記車両における前記車軸ごとの前記軸速度および前記鉄道車両の走行時に変化する物理量に基づいて、該車両における基準軸速度を決定する基準軸速度決定部と、
     前記軸速度と前記基準軸速度との比較に基づいて、前記車輪の空転または滑走の有無を判別する判別部と、
     を備える空転滑走判別装置。
  2.  前記基準軸速度決定部は、前記車両における前記車軸ごとの前記軸速度および前記複数の車両に含まれる他の前記車両の前記車軸ごとの前記軸速度に基づいて、前記基準軸速度を決定する、
     請求項1に記載の空転滑走判別装置。
  3.  前記基準軸速度決定部は、前記車両における前記車軸ごとの前記軸速度および前記他の車両の前記車軸ごとの前記軸速度の内、最大値を前記基準軸速度とし、
     前記判別部は、前記軸速度と前記基準軸速度との比較に基づいて、前記車輪の滑走の有無を判別する、
     請求項2に記載の空転滑走判別装置。
  4.  前記基準軸速度決定部は、前記車両における前記車軸ごとの前記軸速度および前記他の車両の前記車軸ごとの前記軸速度の内、最小値を前記基準軸速度とし、
     前記判別部は、前記軸速度と前記基準軸速度との比較に基づいて、前記車輪の空転の有無を判別する、
     請求項2に記載の空転滑走判別装置。
  5.  前記基準軸速度決定部は、前記車両における前記車軸ごとの前記軸速度および前記鉄道車両の速度に基づいて、前記基準軸速度を決定する、
     請求項1に記載の空転滑走判別装置。
  6.  前記基準軸速度決定部は、前記車両における前記車軸ごとの前記軸速度および前記鉄道車両の速度の内、最大値を前記基準軸速度とし、
     前記判別部は、前記軸速度と前記基準軸速度との比較に基づいて、前記車輪の滑走の有無を判別する、
     請求項5に記載の空転滑走判別装置。
  7.  前記基準軸速度決定部は、前記車両における前記車軸ごとの前記軸速度および前記鉄道車両の速度の最小値を前記基準軸速度とし、
     前記判別部は、前記軸速度と前記基準軸速度との比較に基づいて、前記車輪の空転の有無を判別する、
     請求項5に記載の空転滑走判別装置。
  8.  前記基準軸速度決定部は、前記基準軸速度の変化率を目標範囲内に維持しながら前記基準軸速度を決定する、
     請求項1から7のいずれか1項に記載の空転滑走判別装置。
  9.  前記基準軸速度決定部は、前記基準軸速度の変化率を、前記鉄道車両の加速度に応じた前記目標範囲内に維持しながら前記基準軸速度を決定する、
     請求項8に記載の空転滑走判別装置。
  10.  前記軸速度から軸加速度を決定する軸加速度決定部をさらに備え、
     前記判別部は、前記軸速度と前記基準軸速度との比較、または前記軸加速度と前記鉄道車両の加速度との比較に基づいて、前記車両の空転または滑走の有無を判別する、
     請求項1から9のいずれか1項に記載の空転滑走判別装置。
  11.  前記軸速度決定部は、前記車軸ごとに前記車輪の回転速度に基づいて、前記車輪の周速度に相当する前記軸速度を決定する、
     請求項1から10のいずれか1項に記載の空転滑走判別装置。
  12.  1つまたは複数の車両を備える鉄道車両の減速度の目標値である目標減速度を示すブレーキ指令に応じて、前記車両における複数の車輪に対し、前記車輪ごとに設けられ、供給される流体の圧力に応じて摩擦材を前記鉄道車両の走行時に回転する回転体に押し付けることで該車両を減速させる機械ブレーキ装置を制御するブレーキ制御装置と、
     請求項1から11のいずれか1項に記載の空転滑走判別装置と、
    を備え、
     前記ブレーキ制御装置は、
     前記ブレーキ指令を取得し、前記目標減速度を得るためのブレーキ力である目標ブレーキ力を決定する目標ブレーキ力決定部と、
     前記機械ブレーキ装置に供給する流体の圧力の目標値である目標圧を、前記目標ブレーキ力に応じて決定する目標圧決定部と、
     前記目標圧に応じて流体源から供給される流体を圧縮して、圧縮された前記流体を前記機械ブレーキ装置に供給する出力部と、
     前記空転滑走判別装置から判別結果を取得し、前記空転滑走判別装置が備える前記判別部で少なくともいずれかの前記車輪の滑走が生じていると判別されると、滑走が生じていると判別された前記車輪に対応する前記機械ブレーキ装置が生じさせるブレーキ力を低減させる再粘着制御部と、
     を備えるブレーキ制御システム。
  13.  1つまたは複数の車両を備える鉄道車両における前記車両の複数の車軸について、前記車軸ごとに、前記車軸に取り付けられる車輪の回転速度に応じて変化する軸速度を決定し、
     前記車両における前記車軸ごとの前記軸速度および前記鉄道車両の走行時に変化する物理量に基づいて、該車両における基準軸速度を決定し、
     前記軸速度と前記基準軸速度との比較に基づいて、前記車輪の空転または滑走の有無を判別する、
     空転滑走判別方法。
PCT/JP2022/009961 2022-03-08 2022-03-08 空転滑走判別装置、ブレーキ制御システム、および空転滑走判別方法 WO2023170779A1 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2022/009961 WO2023170779A1 (ja) 2022-03-08 2022-03-08 空転滑走判別装置、ブレーキ制御システム、および空転滑走判別方法
JP2024505694A JPWO2023170779A1 (ja) 2022-03-08 2022-03-08

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/JP2022/009961 WO2023170779A1 (ja) 2022-03-08 2022-03-08 空転滑走判別装置、ブレーキ制御システム、および空転滑走判別方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
WO2023170779A1 true WO2023170779A1 (ja) 2023-09-14

Family

ID=87936248

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
PCT/JP2022/009961 WO2023170779A1 (ja) 2022-03-08 2022-03-08 空転滑走判別装置、ブレーキ制御システム、および空転滑走判別方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JPWO2023170779A1 (ja)
WO (1) WO2023170779A1 (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01248907A (ja) * 1988-03-28 1989-10-04 Railway Technical Res Inst 電気車の制御装置
JPH0769200A (ja) * 1993-08-31 1995-03-14 Akebono Brake Ind Co Ltd 列車用車輪滑走防止装置
JP2003220946A (ja) * 2001-11-22 2003-08-05 Railway Technical Res Inst 付随車用アンチロックブレーキシステム
JP2007210396A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Shinko Electric Co Ltd ブレーキ制御装置、方法及びプログラム
JP2014117147A (ja) * 2012-12-06 2014-06-26 Kawasaki Heavy Ind Ltd 鉄道車両用制御装置並びに同期滑走検出方法および同期空転検出方法
JP2016147555A (ja) * 2015-02-10 2016-08-18 ナブテスコ株式会社 ブレーキ制御装置およびブレーキ制御方法
JP2016222054A (ja) * 2015-05-28 2016-12-28 三菱電機株式会社 滑走制御装置及び滑走制御方法
WO2020255511A1 (ja) * 2019-06-21 2020-12-24 株式会社日立製作所 列車保安システム、列車保安制御方法及び列車車上装置

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01248907A (ja) * 1988-03-28 1989-10-04 Railway Technical Res Inst 電気車の制御装置
JPH0769200A (ja) * 1993-08-31 1995-03-14 Akebono Brake Ind Co Ltd 列車用車輪滑走防止装置
JP2003220946A (ja) * 2001-11-22 2003-08-05 Railway Technical Res Inst 付随車用アンチロックブレーキシステム
JP2007210396A (ja) * 2006-02-08 2007-08-23 Shinko Electric Co Ltd ブレーキ制御装置、方法及びプログラム
JP2014117147A (ja) * 2012-12-06 2014-06-26 Kawasaki Heavy Ind Ltd 鉄道車両用制御装置並びに同期滑走検出方法および同期空転検出方法
JP2016147555A (ja) * 2015-02-10 2016-08-18 ナブテスコ株式会社 ブレーキ制御装置およびブレーキ制御方法
JP2016222054A (ja) * 2015-05-28 2016-12-28 三菱電機株式会社 滑走制御装置及び滑走制御方法
WO2020255511A1 (ja) * 2019-06-21 2020-12-24 株式会社日立製作所 列車保安システム、列車保安制御方法及び列車車上装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2023170779A1 (ja) 2023-09-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4573835B2 (ja) 電気車制御装置
US6499815B1 (en) Traction vehicle/wheel slip and slide control
CA2996637C (en) Control method and control device for electric vehicle
CN107848423B (zh) 电动车辆的控制装置以及电动车辆的控制方法
US5677610A (en) Control apparatus for electric vehicles
JPS63117605A (ja) 誘導電動機式電気車の制御装置
US5847534A (en) Control system for electric vehicle
KR101919725B1 (ko) 차량의 제어 장치 및 차량의 제어 방법
JP5119229B2 (ja) 車両用制御装置
JP3747255B2 (ja) 電気車の制御装置
EP2792531A1 (en) Preventing of slip in an electrically powered vehicle
WO2023170779A1 (ja) 空転滑走判別装置、ブレーキ制御システム、および空転滑走判別方法
US11691520B2 (en) System for an electrically driven vehicle, vehicle having same and method for same
US11518247B2 (en) Electric vehicle controller
US10227012B2 (en) Brake control device of railcar
KR102074142B1 (ko) 철도차량의 제동장치 및 방법
JP7224549B2 (ja) 電気車制御装置及び回生電力の制御方法
WO2024023871A1 (ja) 制御装置および異常判別方法
JP4406476B2 (ja) 電気車制御装置
WO2023248378A1 (ja) 実減速度取得装置、劣化判別装置、ブレーキ制御装置、実減速度取得方法、劣化判別方法、およびブレーキ制御方法
JP6259321B2 (ja) 電気車制御装置
JP3747858B2 (ja) 車両用インバータの制御方法およびインバータ制御器
JP2005312126A (ja) 電気車制御装置
JP7438754B2 (ja) 制御装置
CN112793617A (zh) 电力机车的停车方法、装置及系统

Legal Events

Date Code Title Description
121 Ep: the epo has been informed by wipo that ep was designated in this application

Ref document number: 22930765

Country of ref document: EP

Kind code of ref document: A1

ENP Entry into the national phase

Ref document number: 2024505694

Country of ref document: JP

Kind code of ref document: A