JP2007210396A - ブレーキ制御装置、方法及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】車輪のフラットの発生を防止する。
【解決手段】各軸の検知軸速度に基づいて基準軸速度Vs(t)を演算し、演算された基準Vs(t)と検知軸速度により滑走検知を行う(S1)。滑走検知点Aの条件を満足したら、ブレーキを緩め(S2)、滑走検知フラグをONにする(S3)。滑走検知点Aの条件を満足しない場合は、滑走検知フラグがONか否かを判定し(S4)、ONであれば次の滑走検知点Bの条件を満足したか否かを判定し(S5)、満足したらBC圧力を保持し(S6)、満足しない場合は、次の再粘着検知点Cの条件を満足したか否かを判定し(S7)、満足しない場合はBC圧力を保持し(S6)、満足した場合は、模擬速度優先フラグがONか否かを判定する(S8)。ONであればβ>0Km/h/sの条件を満足するか否かを判定し(S9)、満足しなければ(S6)に進み、満足すればBC圧力を再供給する(S10)。模擬速度優先フラグがONでない場合も(S10)で滑走検知フラグをOFFにする。
【選択図】図3

Description

本発明は、ABS等の車両のブレーキ制御装置、方法、これらの装置、方法に用いられるコンピュータが実行するプログラム及びこのプログラムを記憶した記憶媒体に関するものである。
ABS(Antilock Brake System)は、凍結、雨および落葉等で車輪とレール間の粘着が低下している状態において急ブレーキをかけた場合に車輪がロックしたまま滑走することを防止するものである。このためにABSにおいては、まず車輪の滑走を検知した後、ブレーキを緩め、再粘着を検知したら再びブレーキをかけるようにしている。従来の鉄道車両の滑走検知方法は、1台の台車における1〜4軸の各車軸の軸速度を検知し、検知した各軸速度に基づいて基準軸速度を求め、この基準軸速度と各軸速度とを比較するようにしている。尚、従来の滑走検知方法として例えば特許文献1が提案されている。
上記基準軸速度Vs(t)は次式(1)により求める。1〜4軸の軸速度センサのうち断線による検知出力0のセンサを除いた他のセンサ出力中の最大軸速度と模擬的に設定された基準軸速度である模擬基準軸速度(以下模擬速度という)との高位優先で求める。
Vs(t)=Vs(t-1)−β×τ
但し、Vs(t)≦Vmax時はVs(t)=Vmax ・・・・(1)
Vs:基準軸速度 Vs(t):今回のVsのデータ Vs(t-1):前回のVsのデータ
Vmax:最大軸速度
β:設定減速度=一例として7Km/h/s→固定値で最大ブレーキ力指令値より1〜2Km/h/s高めに設定
τ:サンプリング時間
図5は基準軸速度を求めるフローチャート、図6は図5の説明ための特性図である。
図5、図6において、まずβ×τ≦0か否かを調べステップ(S21、以下ステップ略)、Yesであれば、定速度時又は加速時は、最大軸速度Vmaxを基準軸速度Vs(t)、模擬速度優先フラグ=OFFとして(S22)、リターンする。Noの場合は、Vs(t-1)−β×τにより模擬速度Vs(t)を演算する(S23)。次に、最大軸速度Vmaxと上記模擬速度演算値Vs(t)との差分ΔVs(t)を求める(S24)。ΔVs(t)が0以上なら(S25,Yes)、VmaxをVs(t)、模擬速度優先フラグ=OFFとする(S26)。ΔVs(t)が0より小さい場合は(S25,No)、模擬速度演算値Vs(t)を基準軸速度Vs(t)、模擬速度優先フラグ=ONとする(S27)。次に、基準軸速度Vs(t)が0より小さい場合は(S28、Yes)、Vs(t)を0 Km/hとして(S29)、リターンする。基準軸速度Vs(t)が0以上の場合は(S28、No)、基準軸速度Vs(t)を基準軸速度Vs(t)として(S30)、リターンする。
図4は滑走再粘着制御動作を示すタイミングチャートである。
図4において、滑走検知時(A点)からB点に至るまでの滑走検知中は、RV弁(排気弁)及びHV弁(保持弁)のON・OFFを制御しながらBC圧力(ブレーキ制御圧)を排気してブレーキを緩める制御を行う。次に、B点の条件を満たした場合は、上記の制御を中止してRV弁をOFF、HV弁をONしてその時点のBC圧力をC点に至るまでの(T1)時間保持する。この制御中に再度A点の条件を検知した場合は再度A点からB点に至るまでの制御を行う。次に、C点の条件(例えばΔV<3Km/h)を検知した場合は、HV弁をOFFしてBC圧力を元に復帰して、車輪に再ブレーキ(a)を作用させる。1〜4軸が同時に滑走した場合も、基準軸速度との速度差を検知した後、滑走検知をOFFする。尚、図の(T2)時間及び再ブレーキ(b)については、後述する本発明の実施の形態において説明する。
特開昭61−236301号公報
上述した従来技術では、1〜4軸が同時に滑走した場合は、基準軸速度は模擬速度となる。車両減速度<設定減速度βの場合、滑走軸速度は車両速度に復帰する前に再粘着したと判断されるため、滑走検知をOFFする。4軸同時滑走現象が繰り替えされる場合は、基準軸速度は(模擬速度)は車両速度より早く0Km/h(停止)となって滑走検知動作を行わなくなるため、車輪は固着する。このため車輪にフラットが発生するという問題があった。
本発明は上記の問題を解決するためのもので、車輪のフラットの発生を防止することを課題とする。
本発明によるブレーキ制御装置は、車両の複数の車軸の各軸速度を検知する軸速度検知手段と、前記検知された各軸速度に基づいて基準軸速度を演算する演算手段と、前記演算された基準軸速度及び前記検知された各軸速度に基づいて車輪の滑走を検知する滑走検知手段と、前記車輪の滑走の検知に基づいて当該滑走軸又は台車のブレーキ力を緩めるブレーキ制御手段とを備えたブレーキ制御システムにおいて、前記複数の車軸が同時に滑走したことが検知され、かつそのときの基準軸速度が模擬基準軸速度にあるとき、その滑走速度と前記基準軸速度との速度差が所定値以下でかつ軸速度が所定の減速度になったときを再粘着として検知する再粘着検知手段を備え、前記再粘着の検知に基づいて、前記滑走検知手段の滑走検知信号をOFFして前記ブレーキ制御手段により再びブレーキ力を作用させることを特徴とするものである。
本発明によるブレーキ制御方法は、車両の複数の車軸の各軸速度を検知し、検知された各軸速度に基づいて基準軸速度を演算し、演算された基準軸速度及び前記検知された各軸速度に基づいて車輪の滑走を検知し、前記車輪の滑走の検知に基づいて当該滑走軸又は台車のブレーキ力を緩めるようにしたブレーキ制御方法において、前記複数の車軸が同時に滑走したことが検知されかつそのときの基準軸速度が模擬基準軸速度にあるとき、その滑走速度と前記基準軸速度との速度差が所定値以下で、かつ軸速度が所定の減速度になったときを再粘着として検知するのようになし、前記再粘着の検知に基づいて前記滑走検知による滑走検知信号をOFFして再びブレーキ力を作用させることを特徴とするものである。
本発明によるプログラムは、車両の複数の車軸の各軸速度を検知する軸速度検知処理と、
前記検知された各軸速度に基づいて基準軸速度を演算する演算処理と、前記演算された基準軸速度及び前記検知された各軸速度に基づいて車輪の滑走を検知する滑走検知処理と、
前記車輪の滑走の検知に基づいて当該滑走軸又は台車のブレーキ力を緩めるブレーキ制御処理と、前記複数の車軸が同時に滑走したことが検知され、かつそのときの基準軸速度が模擬基準軸速度にあるとき、その滑走速度と前記基準軸速度との速度差が所定値以下でかつ軸速度が所定の減速度になったときを再粘着として検知する再粘着検知処理と、前記再粘着の検知に基づいて、前記滑走検知処理による滑走検知信号をOFFして再びブレーキ力を作用させブレーキ処理とをコンピュータに実行させるものである。
また、本発明による記憶媒体は、上記のプログラムを記憶したものである。
本発明によれば、車輪のフラットの発生及び車輪フラットによるレールの損傷を防止できると共に、車両を安全に運行させ、また、車輪の添削工数を削減することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1は本実施の形態を原理的に説明するための特性図である。
図1において本実施の形態は、図示のように、4軸が同時滑走して基準軸速度が模擬速度にあるとき(模擬速度中)滑走検知点Aで滑走検知(滑走検知信号ON)した場合、ΔV<3Km/hでかつβ>0Km/h/sが再粘着検知点Cで成立するまで滑走検知を継続してBC圧力の再供給を停止し、再粘着検知点Cで滑走検知信号をOFFして再ブレーキをかけるようにしたものである。即ち、基準軸速度が模擬速度(4軸同時滑走中)の場合、1軸でも滑走検知した場合(4軸全てが滑走検知していなくてもよい)は、滑走検知軸がΔV<3Km/hでかつβ>0Km/h/sの条件を満足するまでBC圧力の再供給は行わない。このようにすることにより、基準軸速度を車両速度に復帰させることができる。
本実施の形態を従来と比較して示したのが、図4の(T2)時間保持と再ブレーキ(b)の部分である。図示のように上記条件を満足した場合は、保持時間は従来の(T1)より長く、再ブレーキ(b)開始点が従来より遅れている。
図2は本発明の実施の形態によるブレーキ制御装置の構成を概念的に示す構成図である。
図2において、1は1〜4軸の軸速度を検知する軸速度センサ、2は各軸速度センサ1の検知出力を入力する入力部、3は基準軸速度演算部、4は滑走検知部、5は再粘着検知部、6はブレーキ制御部、7は車輪又は台車のブレーキ、8は作業用のRAM、9はプログラム等を格納するROM、10は各部の制御及び全体的な制御を行うCPUである。
次に、上記構成によるブレーキ制御装置の動作について図3のフローチャートと共に説明する。
基準軸速度演算部3は、入力部2から得られる軸速度センサ1の検知軸速度に基づいて前記(1)式により基準軸速度Vs(t)を演算する。滑走検知部4は演算された基準軸速度Vs(t)及び検知された各軸速度に基づいて滑走検知を行う(S1)。滑走検知点Aの条件を満足したら、ブレーキ制御部6によりブレーキ7のBC圧力を排気してブレーキを緩め(S2)、滑走検知フラグをONにして(S3)、リターンする。滑走検知点Aの条件を満足しない場合は、滑走検知フラグがONか否かを判定し(S4)、ONでなければリターンする。滑走検知フラグがONであれば滑走検知点Bの条件を満足したか否かを判定し(S5)、満足したらブレーキ制御部6によりBC圧力を保持して(S6)、リターンする。
滑走検知点Bの条件を満足しない場合は、再粘着検知点Cの条件を満足したか否かを判定し(S7)、満足しない場合は、BC圧力を保持して(S6)リターンする。再粘着検知点Cの条件を満足した場合は、模擬速度優先フラグがONか否かを判定し(S8)、ONであればβ>0Km/h/sの条件を満足するか否かを判定する(S9)。満足しなければ(S6)に進み、満足すればBC圧力を再供給する(S10)。また、(S8)で模擬速度優先フラグがONでない場合も(S10)に進む。そして滑走検知フラグをOFFにして(S11)、リターンする。上記の各ステップの処理のうち点線で囲った(S8)(S9)の処理が本発明により追加されたものであり、従来は(S8)(S9)はパスしていたものである。
次に本実施の形態においては、基準軸速度の設定減速度βを、ブレーキ指令値(ブレーキノッチ、増圧、非増圧)により選択設定できるようにしてもよい。例えば1,2,3,4・・・のブレーキノッチ指令に対してβを例えば1Km/h/s、2Km/h/s、3Km/h/s、4Km/h/s・・・に設定することができる。これによって基準軸速度が車両速度より早く0Km/hとなる発生頻度を軽減することができると共に、ノッチ操作による再ブレーキのタイミングを調整することもできる。(例えば、軸減速度βn>0Km/h/sをノッチにより再粘着判断の軸減速度値を換える方法により調整することもできる。)
次に、本実施の形態によるプログラム及びこのプログラムを記録する記録媒体について説明する。
前述した本実施の形態の動作に基づく処理及びフローチャートに示す処理を、本発明によるブレーキ制御装置におけるコンピュータシステムのCPU10が実行するためのプログラムは、本発明によるプロラムを構成する。
また、このプログラムを記録するための記憶媒体は、本発明によるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を構成する。この記憶媒体としては、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ、磁気記録媒体等を用いることができ、これらをROM,RAM,CD−ROM,フロッピー(登録商標)・ディスク、メモリカード等に構成して用いてよい。
またこの記憶媒体は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部のRAM等の揮発性メモリのように、一定時間プロラムを保持するものも含まれる。
また上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから伝送媒体を介して、あるいは伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されるものであってよい。上記伝送媒体とは、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように、情報を伝送する機能を有する媒体をいうものとする。
また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
従って、このプログラム及び記憶媒体を図2の装置又はシステムとは異なる装置又はシステムにおいて用い、その装置又はシステムのコンピュータがこのプログラムを実行することによっても、実施の形態で説明した機能及び効果と同等の機能及び効果を得ることができ、本発明の課題を解決することができる。
本発明を原理的に示す特性図である。 本発明の実施の形態によるブレーキ制御装置の概念的な構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態によるブレーキ制御装置の動作を示すフローチャートである。 従来及び本発明の実施の形態によるブレーキ制御装置の動作を示すタイミングチャートである。 基準軸速度を求めるフローチャートである。 図5を説明するための特性図である。
符号の説明
1 軸速度センサ
3 基準軸速度演算部
4 滑走検知部
5 再粘着検知部
6 ブレーキ制御部
7 ブレーキ
9 ROM
10 CPU

Claims (7)

  1. 車両の複数の車軸の各軸速度を検知する軸速度検知手段と、
    前記検知された各軸速度に基づいて基準軸速度を演算する演算手段と、
    前記演算された基準軸速度及び前記検知された各軸速度に基づいて車輪の滑走を検知する滑走検知手段と、
    前記車輪の滑走の検知に基づいて当該滑走軸又は台車のブレーキ力を緩めるブレーキ制御手段とを備えたブレーキ制御システムにおいて、
    前記複数の車軸が同時に滑走したことが検知され、かつそのときの基準軸速度が模擬基準軸速度にあるとき、その滑走速度と前記基準軸速度との速度差が所定値以下でかつ軸速度が所定の減速度になったときを再粘着として検知する再粘着検知手段を備え、
    前記再粘着の検知に基づいて、前記滑走検知手段の滑走検知信号をOFFして前記ブレーキ制御手段により再びブレーキ力を作用させることを特徴とするブレーキ制御装置。
  2. 前記基準軸速度の減速度をブレーキノッチによる指令値により設定可能であることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
  3. 車両の複数の車軸の各軸速度を検知し、検知された各軸速度に基づいて基準軸速度を演算し、演算された基準軸速度及び前記検知された各軸速度に基づいて車輪の滑走を検知し、
    前記車輪の滑走の検知に基づいて当該滑走軸又は台車のブレーキ力を緩めるようにしたブレーキ制御方法において、
    前記複数の車軸が同時に滑走したことが検知されかつそのときの基準軸速度が模擬基準軸速度にあるとき、その滑走速度と前記基準軸速度との速度差が所定値以下で、かつ軸速度が所定の減速度になったときを再粘着として検知するのようになし、
    前記再粘着の検知に基づいて前記滑走検知による滑走検知信号をOFFして再びブレーキ力を作用させることを特徴とするブレーキ制御方法。
  4. 前記基準軸速度の減速度をブレーキノッチによる指令値により設定可能であることを特徴とする請求項3に記載のブレーキ制御方法。
  5. 車両の複数の車軸の各軸速度を検知する軸速度検知処理と、
    前記検知された各軸速度に基づいて基準軸速度を演算する演算処理と、
    前記演算された基準軸速度及び前記検知された各軸速度に基づいて車輪の滑走を検知する滑走検知処理と、
    前記車輪の滑走の検知に基づいて当該滑走軸又は台車のブレーキ力を緩めるブレーキ制御処理と、
    前記複数の車軸が同時に滑走したことが検知され、かつそのときの基準軸速度が模擬基準軸速度にあるとき、その滑走速度と前記基準軸速度との速度差が所定値以下でかつ軸速度が所定の減速度になったときを再粘着として検知する再粘着検知処理と、
    前記再粘着の検知に基づいて、前記滑走検知処理による滑走検知信号をOFFして再びブレーキ力を作用させブレーキ処理とをコンピュータに実行させるプログラム。
  6. 前記基準軸速度の減速度をブレーキノッチによる指令値に応じて設定する設定処理をコンピュータに実行させる請求項5に記載のプログラム。
  7. 請求項5又は6に記載のプログラムを記憶した記憶媒体。
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