WO2023162296A1

WO2023162296A1 - 加工工具

Info

Publication number: WO2023162296A1
Application number: PCT/JP2022/032149
Authority: WO
Inventors: ディンディングィエン
Original assignee: カトウ工機株式会社
Priority date: 2022-02-22
Filing date: 2022-08-26
Publication date: 2023-08-31
Also published as: JP2023122148A; CN117425536A; JP7090372B1; EP4324582A1

Abstract

作動が滑らかで、正確さを有し、高精度で、小から重荷重に対応でき、傾動方向の固定ができ、傾動後の軸のセンタリング性の向上が図れ、傾動支持機構の摩耗を大幅に改善できる加工工具を提供する。本発明の加工工具は、上位装置に取り付けられ、トルクが伝達される上部軸体（１）と、上部軸体（１）の先端側に連結され、固定ヨーク（３ａ）と傾動ヨーク（３ｂ）からなり、傾動ヨーク（３ｂ）を一方向に回動させるピン（３ｄｘ）と、傾動ヨーク（３ｂ）を一方向と直交する方向に回動させるピン（３ｄｙ）を備える傾動装置（３）と、傾動ヨーク（３ｂ）に連結される傾動プレート（７）を上端に備える本体駆動軸（４）と、本体駆動軸（４）の先端側に挿入され、刃具（６）が装着されるホルダ（５）と、傾動プレート（７）の下面に当接し、傾動プレート（７）の傾きを鋼球（１２）で支持する傾動支持機構（１５）と、を備える。

Description

加工工具

　本発明は加工工具に関し、より詳細には、バリ取り工具のホルダの作動が滑らかで、正確さを有し、高精度で、小から重荷重に対応でき、傾動方向の固定ができ、傾動後の軸のセンタリング性の向上が図れると共に、傾動支持機構の摩耗を大幅に改善した加工工具に関する。

　本発明の出願人は、特許文献１にてバリ取り加工用の加工工具を提案した。特許文献１には、加工工具の第３実施例が開示され、内部に自在継手（９６）が使用される。特許文献１の第３実施例を図１５に示す。図１５に示すように、自在継手（９６）の先端側にはピン式の傾動支持機構３０が設けられる。傾動支持機構３０は、ピンケース３１に１２個のピン３２が円形に配置され、ピン３２は孔の内部に設けられたばねで伸縮可能とされる。ピン３２の先端は、受圧板４１に当接して押圧しており、受圧板４１は、ホルダ６の傾動に合わせて傾動する。受圧板４１が傾動すると、一側のピン３２が突出し、他側のピン３２が退き、傾動したホルダ６の上部を押圧して支持する。傾動支持機構３０のピンケース３１が工具の奥深い場所にあるため、部品交換が面倒で、ピン３２及びばね部材３３の径を大きくできず、ピン３２の個数も制限される。

　ピン３２は、先端が球面で受圧板４１を押える。そのためホルダ６が傾動すると受圧板４１が傾動し、ピン３２が受圧板４１で擦れる。また受圧板４１の回転開始時の時間差があるので、ピン３２が受圧板４１で擦れる。そのため、ピン３２が摩耗する。図１６（ａ）に示すように、新品は、ピン３２の先端が球面であるが、図１６（ｂ）に示すように、ピン３２の頂部が摩耗し、平たい形状に削り取られる。受圧板４１はピン３２で擦れて凹みができる。ピン３２の先端が平たくなると、受圧板４１の凹みに引っかかり、作動に滑らかさがなくなる。摩耗で部品交換の頻度が高くなり、部品交換に手間がかかっていた。このようなピンの摩耗に加え、図１５の傾動支持機構３０は、受圧板傾動後も荷重側のピンと反対側のピンが受圧板に作用しているので、傾動後の戻り性（センタリング性と称す）がそれほど良好ではない。

特開２００５－３４９５４９号公報

　本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、作動が滑らかで、正確さを有し、高精度で、小から重荷重に対応でき、傾動方向の固定ができ、傾動後の軸のセンタリング性の向上が図れ、傾動支持機構の摩耗を大幅に改善できる加工工具を提供することにある。

　本発明による加工工具は、上位装置に取り付けられ、トルクが伝達される上部軸体（１）と、前記上部軸体（１）の先端側に連結され、固定ヨーク（３ａ）と傾動ヨーク（３ｂ）からなり、前記傾動ヨーク（３ｂ）を一方向に回動させるピン（３ｄｘ）と、前記傾動ヨーク（３ｂ）を前記一方向と直交する方向に回動させるピン（３ｄｙ）を備える傾動装置（３）と、前記傾動ヨーク（３ｂ）に連結される傾動プレート（７）を上端に備える本体駆動軸（４）と、前記本体駆動軸（４）の先端側に挿入され、刃具（６）が装着されるホルダ（５）と、前記傾動プレート（７）の下面に当接し、前記傾動プレート（７）の傾きを鋼球（１２）で支持する傾動支持機構（１５）と、を備えることを特徴とする。

　前記傾動支持機構（１５）は、下部カバー（１４ｂ）内にあって、支持板（９）に設けられた複数の孔（１３）に前記鋼球（１２）と丸板（１１）とばね（１０）とが挿入されてなり、前記ばね（１０）には初期荷重が付与され、前記丸板（１１）は、前記孔（１３）に設けられた段部（１３ａ）より上に上昇しないことを特徴とする。

　前記傾動装置（３）には、止めねじ（２１）が設けられ、前記止めねじ（２１）をオンすると、前記傾動ヨーク（３ｂ）の回動が一方向に制限され、前記止めねじ（２１）をオフすると、前記傾動ヨーク（３ｂ）が全周方向に傾動可能であることを特徴とする。

　傾動支持機構（１５）は、前記支持板（９）と前記鋼球（１２）と前記丸板（１１）と前記ばね（１０）と前記下部カバー（１４ｂ）がセットで交換されることを特徴とする。

　前記下部カバー（１４ｂ）は、ベース（１４ｂａ）とキャップ（１４ｂｂ）からなり、前記キャップ（１４ｂｂ）を外すことにより、前記ばね（１０）のみの交換が可能であることを特徴とする。

　傾動支持機構（１５）には、前記ばね（１０）の下側に共通に接触する調整皿（２２）と、一方が前記調整皿（２２）に固定され、他方が前記キャップ（１４ｂｂ）の上下に長い長穴から外側に突出するピン（２３）とが設けられ、前記調整皿（２２）と前記ベース（１４ｂａ）がねじ連結されており、前記キャップ（１４ｂｂ）をボール溝（２４）に沿って回すことにより、前記ピン（２３）を介して前記調整皿（２２）が回され、前記調整皿（２２）が上下動し、前記ばね（１０）の初期荷重が調整されることを特徴とする。

　傾動支持機構（１５）には、前記ばね（１０）の下側に共通に接触する調整皿（２２）を設け、調整皿２２とキャップ１４ｂｂがねじ連結されており、前記キャップ（１４ｂｂ）をボール溝（２４）に沿って回すことにより、前記調整皿（２２）が回されて上下動し、前記ばね（１０）の初期荷重が調整されることを特徴とする。

　前記上部軸体（１）には、エアー経路（８）が設けられ、上位装置から送られた空気が、上部カバー（１４ａ）内の前記傾動装置（３）を通過して、下部カバー（１４ｂ）と前記本体駆動軸（４）の隙間から外部に放出されることを特徴とする。

　本発明の請求項１に記載の加工工具によれば、傾動プレートの下面に当接し、傾動プレートの傾きを複数の鋼球で支持する傾動支持機構を設けたので、鋼球によって傾動プレートとの摩擦が大幅に軽減できる。鋼球は真球度が高く回転自在で摩耗も少ない。傾動プレートの下側に傾動支持機構を設けたので、傾動支持機構の交換が容易にできる。作動がなめらかにできる。

　請求項２によれば、傾動支持機構は、支持板の孔に挿入した鋼球をばねで外側に突出するように押圧したので、傾動プレートを弾力的に支持できる。ばねに初期荷重をかけているので、刃具への荷重が初期荷重を越えた場合に傾動プレートが傾くようにできる。また、丸板は、孔に設けられた段部より上には上昇しないので、この状態で丸板が鋼球を上方向に押し上げることはなく、本体駆動軸のセンタリング性が改善される。

　請求項３によれば、止めねじをオンすることで傾動ヨークの回動を一方向に制限でき、止めねじをオフすることで傾動ヨークを全方向傾動できる。刃具の全周方向の傾動と、一方向の傾動の両方が１つの加工工具でサポートできる。バリ取り加工時、傾動を一方向に制限したいとの要求に応えられる。

　請求項４によれば、支持板と鋼球と丸板とばねと下部カバーからなる傾動支持機構をセットで交換するので、ばねを１つ１つ交換する場合に比較して、交換の手間を大幅に省くことができる。

　請求項５によれば、下部カバーをベースとキャップで構成し、キャップを外せるようにしたので、ばねのみの交換が容易である。上部カバーに下部カバー（１４ｂ）が装着された状態であってもキャップを外すことで、ばねの交換ができる。

　請求項６によれば、ばねの初期荷重を調整する調整皿を設けたので、キャップを回すことで、複数のばねの初期荷重を一度に調整できる。どれくらいの荷重をかけたが、外部に突出するピンの位置で判定できる。

　請求項７によれば、ばねの初期荷重を調整する調整皿を設けたので、キャップを回すことで、複数のばねの初期荷重を一度に調整できる。どれくらいの荷重をかけたかは、キャップのマークが目盛のどこを指すかで判定できる。

　請求項８によれば、エアー経路に上位装置から空気を送り込み、下部カバーと本体駆動軸の隙間から外部に放出（エアーパージ）できる。これにより粉塵が加工工具の内部に入らないようにできる。ジャバラによる防塵と比較して、ジャバラは、ホルダの傾動に伴う伸縮の反発力が、ホルダの傾動に影響を与えるので、エアーパージの方が優位である。

本発明による加工工具の内部構造図である。図１で本体駆動軸とホルダと刃具が傾動した図である。図１のＢ－Ｂ断面図である。傾動装置の外観図である。傾動装置の内部構成図で、（ａ）は、傾動ヨークを全周方向に傾動可能とした例、（ｂ）は、固定ヨークにセンターブロックが固定され、傾動ヨークの傾動が一方向に制限される例、（ｃ）は、止めねじにより、傾動ヨークを全周方向に傾動可能とするか、傾動ヨークの傾動を一方向に制限するかを切り替える例である。傾動支持機構の鋼球が装着される箇所の拡大図である。傾動支持機構の平面図である。傾動支持機構の動作説明図で、（ａ）は傾動プレートが傾動していない場合、（ｂ）は傾動プレートが傾動している場合を示す。図１の加工工具内部の空気の流れを示す図である。本体駆動軸とホルダと刃具にかかる荷重の説明図である。（ａ）は傾動しない場合、（ｂ）は傾動する場合を示す。傾動支持機構をセットで交換する場合の説明図である。傾動支持機構のばねのみを交換する場合の説明図である。ばねの初期荷重の調整手段の説明図である。（実施例１）ばねの初期荷重の調整手段の説明図である。（実施例２）従来の加工工具の内部構造図である。従来の傾動支持機構のピンの写真で、（ａ）は新品のピン、（ｂ）は摩耗したピンである。

　添付の図面を参照して、本発明による加工工具を詳しく説明する。

　図１は、本発明による加工工具１００の内部構造図である。上部軸体１は、工作機械やロボット等の上位装置に取り付けられ、トルクが伝達される駆動軸である。傾動装置３は、上部軸体１の先端側に連結され、固定ヨーク３ａと、傾動ヨーク３ｂと、センターブロック３ｃと、センターブロック３ｃと固定ヨーク３ａを結ぶピン３ｄｘと、センターブロック３ｃと傾動ヨーク３ｂを結ぶピン３ｄｙと、を備える。本体駆動軸４は、傾動ヨーク３ｂに連結される傾動プレート７を上部に有し、先端側にはホルダ５が取り付けられる。ホルダ５に刃具６が挿入される。傾動支持機構１５は、傾動プレート（７）の下面に当接するように設けられ、傾動プレート７の傾きを鋼球１２で支持する。カバー１４は、上部カバー１４ａと下部カバー１４ｂからなり、上部軸体１と傾動装置３と傾動支持機構１５の外側を覆う。上位装置からエアー経路８に送り込まれた空気は、傾動装置３を通過し、ホルダ５と下部カバー１４ｂの隙間から外部に放出される。内部に粉塵が入り込むことが防止され、防塵対策ができる。

　図２は、図１で本体駆動軸４とホルダ５と刃具６が傾動した図である。刃具６に横向きの荷重がかかったような場合、本体駆動軸４とホルダ５と刃具６が傾動する。傾動装置３の固定ヨーク３ａとセンターブロック３ｃを結ぶピン３ｄｘを中心に傾動する。傾動の角度はα°とする。傾動は３６０°どの方向にも傾動できる。本体駆動軸４とホルダ５と刃具６が傾動すると、本体駆動軸４の上端に取り付けられた傾動プレート７が傾動する。図２に示すように、刃具６の先端が右に傾動すると、傾動支持機構１５の左側の鋼球１２が押圧されて下降し、右側の鋼球１２は作用しない。

　図３は、図１のＢ－Ｂ断面図である。図３は、傾動装置３の中央部分の断面図である。傾動装置３は、センターブロック３ｃと固定ヨーク３ａを結ぶピン３ｄｘと、センターブロック３ｃと傾動ヨーク３ｂを結ぶピン３ｄｙが、十字形のように配置される。傾動ヨーク３ｂとセンターブロック３ｃがピン３ｄｘの周りを回動すれば、図３の左右方向に回動できる。傾動ヨーク３ｂがピン３ｄｙの周りを回動すれば、図３の上下方向に傾動できる。その組み合わせで、傾動ヨーク３ｂは全周方向に傾動できる。

　図４は、傾動装置３の外観図である。図４に示すように、傾動装置３は固定ヨーク３ａと、傾動ヨーク３ｂと、センターブロック３ｃと、センターブロック３ｃと固定ヨーク３ａを結ぶピン３ｄｘと、センターブロック３ｃと傾動ヨーク３ｂを結ぶピン３ｄｙと、を備える。固定ヨーク３ａは上部軸体１に固定されるが、傾動ヨーク３ｂは固定ヨーク３ａに対して自在に傾動できる。つまり、傾動装置３は細かい差はあるが自在継手に相当する。傾動装置３は、球面滑り軸受４３（図１５参照）と比較して、小型化が可能で内部に空間が確保できる。また、球面滑り軸受４３に特有の球面すべり軸受４３のオイルが劣化して固着するといった問題がない。

　図５は、傾動装置３の内部構成図で、（ａ）は、傾動ヨーク３ｂを全周方向に傾動可能とした例、（ｂ）は、固定ヨーク３ａにセンターブロック３ｃが固定され、傾動ヨーク３ｂの傾動が一方向に制限される例、（ｃ）は、止めねじ２１により、傾動ヨーク３ｂを全周方向に傾動可能とするか、傾動ヨーク３ｂの傾動を一方向に制限するかを切り替える例である。図５（ａ）に示すように、傾動装置３の傾動ヨーク３ｂは全周方向に傾動可能とできる。すなわち図５（ａ）の傾動装置は、固定ヨーク３ａと、傾動ヨーク３ｂと、センターブロック３ｃと、センターブロック３ｃと固定ヨーク３ａを結ぶピン３ｄｘと、センターブロック３ｃと傾動ヨーク３ｂを結ぶピン３ｄｙと、を備える。

　図５（ｂ）の傾動装置は、センターブロック３ｃと固定ヨーク３ａを結ぶピン３ｄｘがなく、センターブロック３ｃが延長されて固定ヨーク３ａに固定されている。このような、傾動ヨーク３ｂの傾動が一方向に制限される傾動装置は、バリ取り加工で、傾動ヨーク３ｂを全周方向に傾動させない加工を行ないたいとの要求に応えられる。図５（ｂ）の傾動装置は、センターブロック３ｃと傾動ヨーク３ｂを結ぶピン３ｄｙがあるので、傾動ヨーク３ｂは一方向に回動する。

　図５（ｃ）の傾動装置は、図５（ａ）の構成に加えて、止めねじ２１が設けられる。止めねじ２１を操作状態（オン）させるなら、センターブロック３ｃが動かないようにブロックするので、傾動ヨーク３ｂの傾動が一方向に制限できる。止めねじ２１の突出を非操作状態（オフ）させるなら、センターブロック３ｃが動くので、傾動ヨーク３ｂが全周方向に傾動できる。止めねじ２１のオンオフを外部から行なうことで、簡単に切り替えがサポートできる。

　図６は、傾動支持機構１５の鋼球１２が装着される箇所の拡大図で、図７は、傾動支持機構１５の平面図である。図６に示すように、傾動支持機構１５は、支持板９に設けられた孔１３に鋼球１２と丸板１１とばね１０が挿入されたものである。ばね１０には初期荷重が付与され、鋼球１２を上方向に付勢する。よって鋼球１２は一部が支持板９の外側に突出する。丸板１１は、孔に段部があるので、段部より上には上昇しない。鋼球１２が下方向への荷重を受けると、鋼球１２は支持板９の内側に退く。図７に示すように、鋼球１２は１８個を備えて、１個にかかる荷重を小さくした。これにより鋼球１２の摩耗を少なくできる。鋼球１２は精度が高く、例として真球度の公差が２～３μｍの鋼球を使用できる。

　図８は、傾動支持機構１５の動作説明図で、（ａ）は傾動プレート７が傾動していない場合、（ｂ）は傾動プレート７が傾動している場合を示す。傾動中心は、傾動装置３のピン３ｄｘの位置になる。鉛直に真下を向いた軸を中心軸１６とし、傾動軸１７は傾いた軸とする。図８（ａ）に示すように、傾動プレート７が傾動していない場合、鋼球１２が一律に突出して傾動プレート７を押圧して支持している。刃具６が荷重を受けて、本体駆動軸４にとホルダ５と刃具６が傾動すると、本体駆動軸４に取り付けられた傾動プレート７が傾動する。その場合、図８（ｂ）に示すように、一側の鋼球１２を下方向に押圧し、鋼球１２を支持板９の内側に退かせる。他側の鋼球１２は支持板９の外側に突出する。しかし、他側のばね１０は、孔１３の奥端面で丸板１１の動きが段部により規制されるため、鋼球１２にはばね力が作用しない。また他側の鋼球１２と傾動プレート７の間には隙間が出来るので傾動プレート７を押圧する事が無い。傾動プレート７が水平に戻る力は、鋼球１２を退くように押し縮めたばね１０の反発力による。その場合、傾動プレート７が水平になれば、本体駆動軸４とホルダ５と刃具６が一直線になる。

　図９は、加工工具内部の空気の流れを示す図である。上位装置から空気が上部軸体１のエアー経路８を通過して送り込まれ、下部カバー１４ｂと本体駆動軸４の隙間から外部に放出（エアーパージ）される。これにより、粉塵が加工工具の内部に入らないようにできる。

　図１０は、本体駆動軸４とホルダ５と刃具６にかかる荷重の説明図である。（ａ）は傾動しない場合、（ｂ）は傾動する場合を示す。図１０（ａ）に示すように、左右両側のばね１０とも初期荷重をかけて縮めているので付勢力Ｆ_０を有する。そして、本発明の加工工具はばね孔全てに図６に示す様な前進制限の段部１３ａを設け、段部１３ａと丸板１１、丸板１１と鋼球１２、鋼球１２と傾動プレート７がちょうど接している状態に設定する。刃具６に横荷重Ｆがかかると、傾動プレート７を動かそうとするが、Ｆは初期傾動荷重ｆ（ｆ＝Ｆ_０×ａ／Ｌ）より大きくならないと動かない。図１０（ａ）の状態にある。Ｆはｆより大きくなると傾動プレート７が動く。図１０（ｂ）の状態になる。前述した前進制限の段部１３ａを設けたため、図１０（ｂ）の様に傾動時は左側ばね（片側）のみが作用している。よって、刃具６に加わる横荷重Ｆが無くなった場合は、速やかに、かつ確実に図１０（ａ）の状態へと戻る。すなわち、高いセンタリング性能が発揮される。

　図１１は、傾動支持機構１５をセットで交換する場合の説明図である。例として太ばねを有する傾動支持機構１５の部材Ｃと、２重ばねを有する傾動支持機構１５の部材Ｄを用意し、これを加工工具１００に装着されている部材Ｅと交換する場合を示す。部材Ｃと部材Ｄと部材Ｅは傾動支持機構のセットである。支持板９と鋼球１２と丸板１１とばね１０が下部カバー１４ｂで覆われたものを傾動支持機構１５のセットとする。

　図１２は、傾動支持機構１５のばねのみを交換する場合の説明図である。加工工具１００の下部カバー１４ｂは、ベース１４ｂａと先端側の着脱可能なキャップ１４ｂｂからなる。キャップ１４ｂｂを外すと、装着されているばね１０を簡単に取り出することができる。そこで、キャップ１４ｂｂを外すことで、例として、太ばね（１０）や２重ばね（１０）に容易に交換することができる。

　図１３と１４は、ばね１０の初期荷重の調整手段の説明図である。図１３が実施例１で、図１４が実施例２である。

　図１３に示すように、キャップ１４ｂｂの外周に鋼球２１がある。キャップ１４ｂｂは、外周の数ヶ所にねじ穴が設けられる。ねじ穴に入れた鋼球２１が、ベース１４ｂａのボール溝２４に引っかかるので、キャップ１４ｂｂをベース１４ｂａの外側で回転させることができる。止めねじ２０は、鋼球２１が外れないようにする。また、ベース１４ｂａのボール溝２４に、数ヶ所の凹み形成すれば、止めねじ２０で鋼球２１を凹みに押込み、ベース１４ｂａにキャップ１４ｂｂを固定できる。調整皿２２とベース１４ｂａはねじ連結されている。ここでピン２３は、一方が調整皿２２に固定され、他方がキャップ１４ｂｂの上下に長い長穴から顔を出す。調整方法は、キャップ１４ｂｂを回すとピン２３を介して調整皿２２が回され、調整皿２２が上下動するので、ばね１０の長さを変更できる。結果的にばね１０初期荷重を調整できる。長穴に対するピン２３の位置で荷重が外部から確認でき、調整後、止めねじ２０を締め、キャップ１４ｂｂをベース１４ｂａに固定できる。図１３の実施例１は、２重ばねを装着しており、外側の第１のばねのみ作用の場合は所定の範囲で調整できる。それ以上は第１と内側の第２ばね共に作用する。

　図１４に示すように、キャップ１４ｂｂの外周に鋼球２１がある。キャップ１４ｂｂは、外周の数ヶ所のねじ穴が設けられる。ベース１４ｂａの外周には、ボール溝２４がある。ねじ穴に入れた鋼球２１が、ベース１４ｂａのボール溝２４に引っかかるので、キャップ１４ｂｂをベース１４ｂａの外側で回転できる。止めねじ２０は、鋼球２１が外れないようにする。また、ベース１４ｂａのボール溝２４に数ヶ所の凹み形成すれば、止めねじ２０で鋼球２１を凹みに押込み、ベース１４ｂａにキャップ１４ｂｂを固定できる。調整皿２２の切り欠き部にベース１４ｂａの凸部を嵌め合っているので、ベース１４ｂａに対して調整皿２２は軸方向にしか動かない。一方、調整皿２２とキャップ１４ｂｂはねじ連結されている。調整方法は、キャップ１４ｂｂを回わすと、キャップ１４ｂｂは上下動しないから、調整皿２２が上下方向に動く。よって、ばね長さが変更でき、結果的に荷重を調整できる。調整後は、止めねじ２０で、ベース１４ｂａにキャップ１４ｂｂを固定できる。図１４の実施例２は、２重ばねを装着しており、ばね受けと止め輪を配置し、第２のばねも縮んだ状態で設定する。第１ばねのみ作用の場合は所定の範囲で調整できる。それ以上は第１と第２ばね共に作用する。

　本発明は、傾動支持機構の摩耗を大幅に改善したので、長寿命な加工工具として好適である。また、鋼球を使用した傾動支持機構は、作動が滑らかで、正確かつ高精度にでき、高負荷にも耐えるので、バリ取り加工に好適である。

　１　　上部軸体
　３　　傾動装置
　３ａ　　固定ヨーク
　３ｂ　　傾動ヨーク
　３ｃ　　センターブロック
　３ｄｘ、３ｄｙ　　ピン
　４　　本体駆動軸
　５　　ホルダ
　６　　刃具
　７　　傾動プレート
　８　　エアー経路
　９　　（傾動支持機構の）支持板
　１０　　（傾動支持機構の）ばね
　１１　　（傾動支持機構の）丸板
　１２　　（傾動支持機構の）鋼球
　１３　　孔
　１３ａ　　段部
　１４　　カバー
　１４ａ　　上部カバー
　１４ｂ　　下部カバー
　　１４ｂａ　　ベース
　　１４ｂｂ　　キャップ
　１５　　傾動支持機構
　１６　　中心軸
　１７　　傾動軸
　２０　　止めねじ
　２１　　（キャップ固定用の）鋼球
　２２　　調整皿
　２３　　ピン
　２４　　ボール溝
　３０　　ピン式の傾動支持機構（従来）
　３１　　ピンケース（従来）
　３２　　ピン（従来）
　４１　　受圧板（従来）
　４３　　球面滑り軸受（従来）
　１００　　加工工具

Claims

　上位装置に取り付けられ、トルクが伝達される上部軸体（１）と、
　前記上部軸体（１）の先端側に連結され、固定ヨーク（３ａ）と傾動ヨーク（３ｂ）からなり、前記傾動ヨーク（３ｂ）を一方向に回動させるピン（３ｄｘ）と、前記傾動ヨーク（３ｂ）を前記一方向と直交する方向に回動させるピン（３ｄｙ）を備える傾動装置（３）と、
　前記傾動ヨーク（３ｂ）に連結される傾動プレート（７）を上端に備える本体駆動軸（４）と、
　前記本体駆動軸（４）の先端側に挿入され、刃具（６）が装着されるホルダ（５）と、
　前記傾動プレート（７）の下面に当接し、前記傾動プレート（７）の傾きを鋼球（１２）で支持する傾動支持機構（１５）と、
　を備えることを特徴とする加工工具。
　前記傾動装置（３）には、止めねじ（２１）が設けられ、前記止めねじ（２１）をオンすると、前記傾動ヨーク（３ｂ）の回動が一方向に制限され、前記止めねじ（２１）をオフすると、前記傾動ヨーク（３ｂ）が全周方向に傾動可能であることを特徴とする請求項１に記載の加工工具。
　前記傾動支持機構（１５）は、下部カバー（１４ｂ）内にあって、支持板（９）に設けられた複数の孔（１３）に前記鋼球（１２）と丸板（１１）とばね（１０）とが挿入されてなり、前記ばね（１０）には初期荷重が付与され、前記丸板（１１）は、前記孔（１３）に設けられた段部（１３ａ）より上に上昇しないことを特徴とする請求項１に記載の加工工具。
　傾動支持機構（１５）は、前記支持板（９）と前記鋼球（１２）と前記丸板（１１）と前記ばね（１０）と前記下部カバー（１４ｂ）がセットで交換されることを特徴とする請求項３に記載の加工工具。
　前記下部カバー（１４ｂ）は、ベース（１４ｂａ）とキャップ（１４ｂｂ）からなり、前記キャップ（１４ｂｂ）を外すことにより、前記ばね（１０）のみの交換が可能であることを特徴とする請求項３に記載の加工工具。
　傾動支持機構（１５）には、前記ばね（１０）の下側に共通に接触する調整皿（２２）と、一方が前記調整皿（２２）に固定され、他方が前記キャップ（１４ｂｂ）の上下に長い長穴から外側に突出するピン（２３）とが設けられ、前記調整皿（２２）と前記ベース（１４ｂａ）がねじ連結されており、
　前記キャップ（１４ｂｂ）をボール溝（２４）に沿って回すことにより、前記ピン（２３）を介して前記調整皿（２２）が回され、前記調整皿（２２）が上下動し、前記ばね（１０）の初期荷重が調整されることを特徴とする請求項５に記載の加工工具。
　傾動支持機構（１５）には、前記ばね（１０）の下側に共通に接触する調整皿（２２）を設け、調整皿２２とキャップ１４ｂｂがねじ連結されており、
　前記キャップ（１４ｂｂ）をボール溝（２４）に沿って回すことにより、前記調整皿（２２）が回されて上下動し、前記ばね（１０）の初期荷重が調整されることを特徴とする請求項５に記載の加工工具。
　前記上部軸体（１）には、エアー経路（８）が設けられ、上位装置から送られた空気が、上部カバー（１４ａ）内の前記傾動装置（３）を通過して、下部カバー（１４ｂ）と前記本体駆動軸（４）の隙間から外部に放出されることを特徴とする請求項１に記載の加工工具。