WO2023022128A1

WO2023022128A1 - 物品及び／又は電池の遠隔監視システム並びにメンテナンス方法

Info

Publication number: WO2023022128A1
Application number: PCT/JP2022/030882
Authority: WO
Inventors: 千織鈴木; 巌大和田; 貴昭小泉
Original assignee: 日本碍子株式会社
Priority date: 2021-08-19
Filing date: 2022-08-15
Publication date: 2023-02-23
Also published as: JPWO2023022128A1

Abstract

周囲にいる者に物品及び／又は電池の異常を未然に又は即座に知らせることができる遠隔管理システムが提供される。この遠隔管理システムは、物品及び／又は電池の状態を遠隔で監視するためのものであり、ワイヤレス給電可能なリチウムイオン二次電池と、物品及び／又はリチウムイオン二次電池の状態を検知してステータス情報を取得するセンサと、リチウムイオン二次電池及びセンサと接続される無線通信モジュールであって、ステータス情報を遠隔サーバに送信する送信部、及びステータス情報が正常域から外れている場合に遠隔サーバから送信される警告信号を受信する受信部を備えた無線通信モジュールと、警告信号の受信に応じて、五感に訴える注意喚起を行う手段と、を備える。

Description

物品及び／又は電池の遠隔監視システム並びにメンテナンス方法

　本発明は、物品及び／又は電池の遠隔監視システム並びにメンテナンス方法に関する。

　無線によるデータの収集や無線による駆動が容易で、電池交換無しに長期間の使用が可能な無線端末が知られている。例えば、特許文献１（特許第６８１９２６２号公報）には、無線機、電源、アプリケーションデバイス、及び電力制御機を有する無線端末が開示されており、この電源は、電力発生素子と、この電力発生素子が発生する電力を蓄電可能な二次蓄電デバイスとを有することが記載されている。この電力制御機は、通信期間では、主として二次蓄電デバイスからの電力が無線機に供給されるように制御し、非通信期間では、電力発生素子から二次蓄電デバイスに電力が蓄電されるように制御する。この文献には、二次蓄電デバイスが二次電池や電気二重層キャパシタでありうることが記載されている。

　一方、ＩｏＴデバイスの普及に伴い、小型でかつ薄型のリチウムイオン二次電池が近年注目されている。例えば、特許文献２（ＷＯ２０１９／２２１１４０）には、リチウム複合酸化物焼結体で構成される正極層と、チタン含有焼結体で構成される負極層と、セラミックセパレータと、電解質とを備えたリチウムイオン二次電池が開示されており、高い放電容量を有し、かつ、充放電サイクル性能にも優れるとされている。そのような二次電池として、日本碍子株式会社製のチップ型セラミックス二次電池「ＥｎｅｒＣｅｒａ（エナセラ）」（登録商標）が市販されており、様々な用途における活用が検討されている。このタイプの二次電池は、ワイヤレス給電による充電が可能であるとの利点を有する。

特許第６８１９２６２号公報ＷＯ２０１９／２２１１４０

　上述したようなチップ型セラミックス二次電池を、物品（例えば貨物）に取り付けられたＩｏＴデバイス（例えばセンサタグ）に実装させることで、充電により長期間の使用が可能なＩｏＴデバイスを実現することができる。しかしながら、ＩｏＴデバイスを動作させるための電池情報を管理できないため、電池残量が減ってきた、電池が壊れそうである、電池が壊れた、といったようなステータス情報を入手できず、その結果、デバイス機能（例えばセンサ機能）が突然停止することが起こりうる。同様に、デバイス（例えばセンサタグ）で取得する物品（例えば貨物）のステータス情報も突然取得できなくなることが起こりうる。

　本発明者らは、今般、ワイヤレス給電可能なリチウムイオン二次電池を用い、物品及び／又は電池のステータス情報が正常域から外れている場合に五感に訴える注意喚起を行う構成とすることにより、周囲にいる者に物品及び／又は電池の異常を未然に又は即座に知らせることができる遠隔管理システムを提供できるとの知見を得た。そして、この遠隔監視システムを介して物品及び／又は電池の異常を察知して、それらを正常な状態に戻すための措置を講じることで、予期せざる突然の不具合（例えば電池切れ、電池やデバイスの故障、データ欠損等）による被害を回避又は最小化することができる。

　したがって、本発明の目的は、周囲にいる者に物品及び／又は電池の異常を未然に又は即座に知らせることが可能な遠隔管理システムを提供することにある。本発明のもう一つの目的は、予期せざる突然の不具合（例えば電池切れ、電池やデバイスの故障、データ欠損等）による被害を回避又は最小化することができる物品及び／又は電池のメンテナンス方法を提供することにある。

　本発明によれば、以下の態様が提供される。
［態様１］
　物品及び／又は電池の状態を遠隔で監視するための遠隔監視システムであって、
　ワイヤレス給電可能なリチウムイオン二次電池と、
　前記物品及び／又は前記リチウムイオン二次電池の状態を検知してステータス情報を取得するセンサと、
　前記リチウムイオン二次電池及び前記センサと接続される無線通信モジュールであって、前記ステータス情報を遠隔サーバに送信する送信部、及び前記ステータス情報が正常域から外れている場合に前記遠隔サーバから送信される警告信号を受信する受信部を備えた無線通信モジュールと、
　前記警告信号の受信に応じて、五感に訴える注意喚起を行う手段と、
を備えた、遠隔監視システム。
［態様２］
　前記リチウムイオン二次電池をワイヤレス給電により充電可能な給電レシーバをさらに備えた、態様１に記載の遠隔監視システム。
［態様３］
　前記ステータス情報が前記リチウムイオン二次電池の状態に関する情報を含み、前記情報に基づき、前記リチウムイオン二次電池に充電、修理又は交換が必要と判断された場合に、前記警告信号の送受信が行われる、態様１又は２に記載の遠隔監視システム。
［態様４］
　前記リチウムイオン二次電池の状態に関する情報が、前記リチウムイオン二次電池の電圧、抵抗及び温度からなる群から選択される少なくとも１種を含む、態様３に記載の遠隔監視システム。
［態様５］
　前記遠隔監視システムが遠隔サーバをさらに含み、前記遠隔サーバが、
　前記ステータス情報を受信するサーバ受信部と、
　前記ステータス情報に基づき、前記物品及び／又は前記リチウムイオン二次電池に対して何らかのアクションが必要か否かを判断するサーバ判断部と、
　前記判断部で前記アクションが必要と判断された場合に、前記警告信号を送信するサーバ送信部と、
を備える、態様１～４のいずれか一つに記載の遠隔監視システム。
［態様６］
　前記遠隔サーバが、物品及び／又はリチウムイオン二次電池に関する正常及び異常を判断するために必要なデータを格納するサーバ記憶部をさらに備えており、
　前記サーバ判断部が、前記ステータス情報を、前記サーバ記憶部からの前記データに照合して前記アクションが必要か否かを判断する、態様５に記載の遠隔監視システム。
［態様７］
　前記リチウムイオン二次電池の状態に関する情報が、前記リチウムイオン二次電池の電圧及び／又は抵抗を含み、
　前記サーバ記憶部の前記データが、リチウムイオン二次電池に関する充電状態と、電圧及び／又は抵抗との相関データを含み、
　前記サーバ判断部は、前記サーバ記憶部からの前記相関データに照らして、前記リチウムイオン二次電池の状態に関する前記情報が正常域から外れている場合に、前記アクションが必要と判断する、態様６に記載の遠隔監視システム。
［態様８］
　前記リチウムイオン二次電池の状態に関する情報が、前記リチウムイオン二次電池の電圧及び／又は抵抗、並びに温度を含み、
　前記サーバ記憶部の前記データが、各種温度におけるリチウムイオン二次電池に関する充電状態と、電圧及び／又は抵抗との相関データを含み、
　前記サーバ判断部は、前記温度に対応する前記サーバ記憶部からの前記相関データに照らして、前記リチウムイオン二次電池の状態に関する前記情報が正常域から外れている場合に前記アクションが必要と判断する、態様６に記載の遠隔監視システム。
［態様９］
　前記サーバ記憶部は、前記サーバ受信部が受信する前記ステータス情報を蓄積し、それにより前記正常及び異常を判断するために必要なデータを増強することができる、態様６～８のいずれか一つに記載の遠隔監視システム。
［態様１０］
　前記無線通信モジュール及び前記遠隔サーバ間の通信が、ＢＬＥ（Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ　Ｌｏｗ　Ｅｎｅｒｇｙ）又はＬＰＷＡ（Ｌｏｗ　Ｐｏｗｅｒ　Ｗｉｄｅ　Ａｒｅａ）通信により行われる、態様１～９のいずれか一つに記載の遠隔監視システム。
［態様１１］
　前記リチウムイオン二次電池が、リチウム複合酸化物焼結体板である正極板と、チタン酸リチウム焼結体板で構成されるか又はカーボンを含む負極層と、前記正極板と前記負極層との間に介在されるセパレータと、電解質とを備えた、二次電池である、態様１～１０のいずれか一つに記載の遠隔監視システム。
［態様１２］
　前記正極板を構成する前記リチウム複合酸化物がコバルト酸リチウムである、態様１１に記載の遠隔監視システム。
［態様１３］
　前記負極層がチタン酸リチウム焼結体板で構成される、態様１１又は１２に記載の遠隔監視システム。
［態様１４］
　前記リチウムイオン二次電池が、チップ型セラミックス二次電池「ＥｎｅｒＣｅｒａ（エナセラ）」（登録商標）である、態様１～１３のいずれか一つに記載の遠隔監視システム。
［態様１５］
　物品及び／又は電池のメンテナンス方法であって、
　態様１～１４のいずれか一つに記載の遠隔監視システムを介して、前記五感に訴える注意喚起により、前記物品及び／又は前記リチウムイオン二次電池の異常を察知するステップと、
　前記物品及び／又は前記リチウムイオン二次電池を正常な状態に戻すための措置を講じるステップと、
を含む、物品及び／又は電池のメンテナンス方法。
［態様１６］
　前記ステータス情報が前記リチウムイオン二次電池の状態に関する情報を含み、前記遠隔監視システムは、前記情報に基づき、前記リチウムイオン二次電池に充電、修理又は交換が必要と判断された場合に、前記警告信号の送受信が行われるものであり、
　前記リチウムイオン二次電池を正常な状態に戻すための措置が、前記リチウムイオン二次電池をワイヤレス給電可能な場所に移動させること、及び／又は前記リチウムイオン二次電池を修理又は交換することを含む、態様１５に記載の物品及び／又は電池のメンテナンス方法。

本発明の遠隔監視システムの一例を示す図である。本発明の遠隔監視システムにおける遠隔サーバの処理内容の一例を説明するフローチャートである。遠隔監視システムで監視された輸送中の製品に関する温度及び湿度の経時変化の一例を示す。

　以下の説明では、「ｙｙｙ部」の表現にて機能を説明することがあるが、各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。

　遠隔監視システム
　図１に、物品及び／又は電池の状態を遠隔で監視するための遠隔監視システムの一態様を示す。図１に示される遠隔監視システム１０は、二次電池１２と、センサ１４と、無線通信モジュール１６と、注意喚起手段１８とを備える。二次電池１２は、ワイヤレス給電可能なリチウムイオン二次電池である。センサ１４は、物品Ａ及び／又は二次電池１２の状態を検知してステータス情報を取得する。無線通信モジュール１６は、二次電池１２及びセンサ１４と（直接的又は間接的に）接続されており、送信部１６ａ及び受信部１６ｂを備える。送信部１６ａは、ステータス情報を遠隔サーバ２０に送信する一方、受信部１６ｂはステータス情報が正常域から外れている場合に遠隔サーバ２０から送信される警告信号を受信する。注意喚起手段１８は、無線通信モジュール１６からの警告信号の受信に応じて、五感（視覚、聴覚、触覚、嗅覚及び味覚から選択される少なくとも１つ）に訴える注意喚起を行う。このように、ワイヤレス給電可能なリチウムイオン二次電池１２を用い、物品Ａ及び／又は電池１２のステータス情報が正常域から外れている場合に五感に訴える注意喚起を行う構成とすることにより、周囲にいる者に物品Ａ及び／又は二次電池１２の異常を未然に又は即座に知らせることが可能な遠隔監視システム１０を提供することができる。そして、遠隔監視システム１０を介して物品Ａ及び／又は電池１２の異常を察知して、それらを正常な状態に戻すための措置を講じることで、予期せざる突然の不具合（例えば電池切れ、電池やデバイスの故障、データ欠損等）による被害を回避又は最小化することができる。

　二次電池１２は、ワイヤレス給電可能なリチウムイオン二次電池である。ワイヤレス給電で得られる微弱な電力でも充電が可能なリチウム二次電池であれば特に限定されない。好ましいリチウムイオン二次電池１２は、リチウム複合酸化物焼結体板である正極板と、チタン酸リチウム焼結体板で構成されるか又はカーボンを含む負極層と、正極板と負極層との間に介在されるセパレータと、電解質とを備えたものである。正極板を構成するリチウム複合酸化物はコバルト酸リチウムであるのが好ましい。また、負極層はチタン酸リチウム焼結体板で構成されるのが好ましい。電解質は、電解液であってよいし、固体電解質であってもよい。すなわち、二次電池１２は液系電池であってもよいし、全固体電池であってもよい。ワイヤレス給電可能なリチウムイオン二次電池１２の好ましい製品例としては、日本碍子株式会社製のチップ型セラミックス二次電池「ＥｎｅｒＣｅｒａ（エナセラ）」（登録商標）が挙げられる。ＥｎｅｒＣｅｒａの製品群には厚さ０．４５ｍｍと超薄型で曲げ耐性のあるカード実装向け「ＥｎｅｒＣｅｒａ　Ｐｏｕｃｈ」と、コイン形で厚さ１～２ｍｍの回路基板実装向け「ＥｎｅｒＣｅｒａ　Ｃｏｉｎ」の２タイプがある。ＥｎｅｒＣｅｒａ　Ｐｏｕｃｈの製品例（品番）としては、ＥＣ３８２５０４Ｐ－Ｐ、ＥＣ３８２２０４Ｐ－Ｃ、ＥＣ３８２７０４Ｐ－Ｃ、及びＥＣ３８２７０４Ｐ－Ｈ、ＥＴ２７１７０４Ｐ－Ｈ等が挙げられる。ＥｎｅｒＣｅｒａ　Ｃｏｉｎの製品例（品番）としては、ＥＴ２０１６Ｃ－Ｒ、ＥＴ１２１０Ｃ－Ｈ、ＥＴ２０１６Ｃ－Ｈ、ＥＴ９２０Ｃ、ＥＴ１６１６Ｃ等が挙げられる。特に、ＥｎｅｒＣｅｒａのような好ましい二次電池１２は、電池の情報（電池残量）も電圧や抵抗値を介してセンシング可能であるため、電池の自己診断が可能である。このため、正常に電池が動いているか同時に確認でき、また収集された情報から使用環境における電池の劣化度合いを解析できる（これを電池の開発部門にフィードバックすることができる）。また、ＥｎｅｒＣｅｒａのような好ましい二次電池１２は、大電流を流せるため、コンデンサが不要であり、それ故コスト、回路設計及びスペースの観点でも有利である。さらに、ＥｎｅｒＣｅｒａのような好ましい二次電池１２は、無線給電や太陽光発電（ＰＶ）による充電が可能であり、電力発生素子が不要となる。

　二次電池１２は、給電レシーバ１３を介してワイヤレス給電されるものでありうる。したがって、遠隔監視システム１０は、二次電池１２をワイヤレス給電により充電可能な給電レシーバ１３をさらに備えるものであるのが好ましい。二次電池１２が給電レシーバ１３を内蔵するものであってもよいし、二次電池１２に給電レシーバ１３が外付けされるものであってもよい。給電レシーバ１３としては、公知ないし市販のワイヤレス給電レシーバを用いればよく、特に限定されない。

　センサ１４は、物品Ａ及び／又は二次電池１２の状態を検知してステータス情報を取得する。好ましくは、ステータス情報が二次電池１２の状態に関する情報を含み、この情報に基づき、二次電池１２に充電、修理又は交換が必要と判断された場合に、警告信号の送受信が行われる。この場合、二次電池１２の状態に関する情報が、二次電池１２の電圧、抵抗及び温度からなる群から選択される少なくとも１種を含むのが好ましい。

　センサ１４の例としては、電圧センサ、抵抗センサ、温度センサ、湿度センサ、気圧センサ、酸素濃度センサ、窒素濃度センサ、炭酸ガスセンサ、振動センサ、加速度センサ、地磁気センサ等が挙げられる。

　無線通信モジュール１６は、送信部１６ａ及び受信部１６ｂを備える。送信部１６ａは、ステータス情報を遠隔サーバ２０に送信する一方、受信部１６ｂはステータス情報が正常域から外れている場合に遠隔サーバ２０から送信される警告信号を受信する。また、無線通信モジュール１６は、全地球測位システム（ＧＰＳ）機能を有していてもよく、それにより位置情報を測位可能とされてもよい。すなわち、無線通信モジュール１６はＧＰＳモジュールをさらに備えていてもよい。

　注意喚起手段１８は、無線通信モジュール１６からの警告信号の受信に応じて、五感に訴える注意喚起を行う。視覚的な注意喚起の例としては、画像や文字の表示、色の変化等が挙げられる。聴覚的な注意喚起の例としては、警告音の発生、音声メッセージの発生等が挙げられる。触覚的な注意喚起の例としては、振動（バイブレーション）等が挙げられる。嗅覚的な注意喚起の例としては、特異的な匂いの発生等が挙げられる。したがって、注意喚起手段１８の例としては、ディスプレイ等の表示デバイス、ブザー、スピーカー、振動、匂い等が挙げられる。表示デバイスは、物品Ａ（例えば貨物）の情報や二次電池１２の残量を表示するものであってもよい。また、表示デバイスはセンサタグの形態であってもよく、この場合、センサタグはセンサ１４と注意喚起手段１８とを兼ね備えたものでありうる。例えば、センサタグが温度を常時表示しており、高温又は低温といった異常を感知した場合には温度表示が通常と異なる色合い（例えば背景色及び／又は文字色の変化、例えば白黒反転）で表示されるようにするものであってもよい。また、注意喚起手段１８は、周囲にいる者（例えば使用者、作業員、管理者、その他偶然居合わせた者等）が異常に気が付くことができるものであればよいため、周囲にいる者が有する電子機器（例えばスマートフォンやモバイルＰＣ）にメール等で注意喚起する方法でもよい。

　遠隔監視システム１０は、遠隔サーバ２０をさらに含むものであることができる。遠隔サーバ２０は、サーバ受信部２０ａと、サーバ判断部２０ｂと、サーバ送信部２０ｃとを備える。サーバ受信部２０ａは、無線通信モジュール１６の送信部１６ａから発信されたステータス情報を（典型的にはネットワークＮＷ経由で）受信する。サーバ判断部２０ｂは、受信したステータス情報に基づき、物品Ａ及び／又は二次電池１２に対して何らかのアクションが必要か否かを判断する。何らかのアクションは、典型的には、物品Ａ及び／又は電池１２の異常な状態を正常な状態に戻すための措置である。サーバ送信部２０ｃは、サーバ判断部２０ｂでそのようなアクションが必要と判断された場合に、警告信号を送信する。この警告信号は、前述のとおり、無線通信モジュール１６の受信部１６ｂによって（典型的にはネットワークＮＷ経由で）受信可能な信号である。サーバ判断部２０ｂとして、典型的には、ＣＰＵ（Central Processing Unit）のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、ＧＰＵ（Graphics Processing Unit）のような他種のプロセッサデバイスでもよい。サーバ判断部２０ｂは、シングルコア、マルチコア又はプロセッサコアでもよい。また、サーバ判断部２０ｂは、処理の一部又は全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路（例えばＦＰＧＡ（Field-Programmable Gate Array）、ＣＰＬＤ（Complex Programmable Logic Device）又はＡＳＩＣ（Application Specific Integrated Circuit））といった広義のプロセッサデバイスでもよい。

　遠隔サーバ２０は、物品Ａ及び／又は二次電池１２に関する正常及び異常を判断するために必要なデータを格納するサーバ記憶部２０ｄをさらに備えているのが好ましい。この場合、サーバ判断部２０ｂが、ステータス情報を、サーバ記憶部２０ｄからのデータに照合してアクションが必要か否かを判断することができる。サーバ記憶部２０ｄとして、典型的には、不揮発性の記憶デバイス（例えば補助記憶デバイス）でよく、具体的には、例えば、ＨＤＤ（Hard Disk Drive）、ＳＳＤ（Solid State Drive）、ＮＶＭＥ（Non-Volatile Memory Express）ドライブ、又はＳＣＭ（Storage Class Memory）でよい。

　図２に遠隔サーバ２０における処理内容の一例を示す。まず、ネットワークＮＷ経由で、遠隔サーバ２０のサーバ受信部２０ａでステータス情報を取得する（Ｓ１）。このステータス情報は無線通信モジュール１６の送信部１６ａから送信されるものである。必要に応じて、物品Ａ及び／又は二次電池１２に関する正常及び異常を判断するために必要なデータをサーバ記憶部２０ｄから取得する（Ｓ２）。ステータス情報が（好ましくはサーバ記憶部２０ｄから取得したデータに照らして）正常域から外れているか否かをサーバ判断部２０ｂで判断し（Ｓ３）、正常域から外れている場合には（Ｓ３でＹＥＳ）、サーバ送信部２０ｃから警告信号を送信する（Ｓ４）。この警告信号は、ネットワークＮＷ経由で、無線通信モジュール１６の受信部１６ｂで受信されることになる。一方、ステータス情報が正常域から外れていない場合（Ｓ３でＮＯ）には、Ｓ１に戻りＳ２及びＳ３が繰り返されることになる。

　二次電池１２の状態に関する情報（ステータス情報）が、二次電池１２の電圧及び／又は抵抗を含む場合、サーバ記憶部２０ｄのデータが、二次電池１２に関する充電状態（ＳＯＣ）と、電圧及び／又は抵抗との相関データを含むのが好ましい。この場合、サーバ判断部２０ｂは、サーバ記憶部２０ｄからの相関データに照らして、二次電池１２の状態に関する情報が正常域から外れている場合に、アクションが必要と判断することができる。すなわち、二次電池１２に関する充電状態（ＳＯＣ）と、電圧及び／又は抵抗との相関データがあれば、センサ１４で測定される二次電池１２の電圧又は抵抗の値におけるＳＯＣの値をこの相関データから決定することができる。したがって、二次電池１２の電池残量が減ってきたことをＳＯＣから把握することができる。また、したがって、サーバ判断部２０ｂでＳＯＣが所定の値以下となった場合に警告信号を発するように設定しておけば、電池切れ、電池やデバイスの故障に至る前にタイミング良く注意喚起を行うことができる。

　二次電池１２の状態に関する情報（ステータス情報）は、二次電池１２の電圧及び／又は抵抗のみならず、温度をさらに含むものであってもよい。この場合、サーバ記憶部２０ｄのデータが、各種温度における二次電池１２に関する充電状態（ＳＯＣ）と、電圧及び／又は抵抗との相関データを含むのが好ましい。二次電池におけるＳＯＣと、電圧及び／又は抵抗との関係は、温度によってもある程度異なりうるため、温度を考慮することで二次電池１２の正常／異常の判断をより正確に行うことができる。この態様においては、サーバ判断部２０ｂは、当該温度に対応するサーバ記憶部２０ｄからの相関データに照らして、二次電池１２の状態に関する情報が正常域から外れている場合にアクションが必要と判断することができる。そのためには、様々な温度条件における、二次電池１２に関する充電状態（ＳＯＣ）と、電圧及び／又は抵抗との相関データを予め準備してサーバ記憶部２０ｄに格納しておくことが望まれる。こうして、センサ１４で測定される二次電池１２の電圧又は抵抗の値におけるＳＯＣの値をこの相関データから、より正確に決定することができる。したがって、二次電池１２の電池残量が減ってきたことをＳＯＣからより正確に把握することができ、より良いタイミングで注意喚起を行うことができる。

　本発明の好ましい態様によれば、サーバ記憶部２０ｄは、サーバ受信部２０ａが受信するステータス情報を蓄積し、それにより正常及び異常を判断するために必要なデータを増強することができる。例えば、二次電池１２の使用環境や状況のデータと、電池残量のデータとを組み合わせてサーバ記憶部２０ｄに蓄積させていくことができ、こうして蓄積されたデータを解析することより、二次電池１２のより良い使い方のためのフィードバックを得ることができる。例えば、どのような使用環境や状況であると二次電池１２がどの程度劣化しやすくなるか、といったような情報を二次電池１２の種類や仕様に応じて蓄積することができる。また、こうして蓄積した情報を基に、特定の二次電池についての過酷な使用条件でのシミュレーションを行うことができ、それにより今後の電池開発に蓄積データを活用することができる。

　無線通信モジュール１６及び遠隔サーバ２０間の通信は、様々な通信ネットワーク方式により行えばよく特に限定されないが、ＢＬＥ（Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ　Ｌｏｗ　Ｅｎｅｒｇｙ）又はＬＰＷＡ（Ｌｏｗ　Ｐｏｗｅｒ　Ｗｉｄｅ　Ａｒｅａ）通信により行われるのが好ましい。

　メンテナンス方法
　本発明の遠隔監視システム１０を用いることで、周囲にいる者が物品Ａ及び／又は電池１２の異常を未然に又は即座に知ることができる。そして、物品Ａ及び／又は電池１２の異常を察知して、それらを正常な状態に戻すための措置を講じることで、予期せざる突然の不具合（例えば電池切れ、電池やデバイスの故障、データ欠損等）による被害を回避又は最小化できる。そのような物品及び／又は電池のメンテナンス方法の好ましい態様について以下に説明する。

　本態様によるメンテナンス方法は、遠隔監視システム１０を介して、五感に訴える注意喚起により、物品Ａ及び／又は二次電池１２の異常を察知するステップと、物品Ａ及び／又は二次電池１２を正常な状態に戻すための措置を講じるステップとを含む。すなわち、五感に訴える注意喚起により、注意喚起手段１８の周囲にいる者（例えば使用者、作業員、管理者、その他偶然居合わせた者等）が、物品Ａ及び／又は二次電池１２の異常の察知をすることができ、その異常の内容に応じて物品Ａ及び／又は二次電池１２を正常な状態に戻すための適切な措置を講じればよい。

　二次電池１２の異常の例としては、電池残量が減ってきたこと、電池が壊れそうである又は壊れたこと等が挙げられる。前者の場合は二次電池１２で充電すればよいし、後者の場合は電池を修正又は交換すればよい。また、物品Ａの異常の例としては、温度や湿度の管理が必要な物品（例えば食品、飲料、酒類、薬剤、ワクチン等）の温度や湿度が適正な範囲から外れた場合が挙げられる。この場合も、温度や湿度等の条件が適正な範囲に戻るように措置を講じればよい。

　とりわけ、ステータス情報は二次電池１２の状態に関する情報を含むのが好ましい。この場合、遠隔監視システム１０は、上記情報に基づき、二次電池１２に充電、修理又は交換が必要と判断された場合に、警告信号の送受信を行うことができる。この場合、二次電池１２を正常な状態に戻すための措置は、二次電池１２をワイヤレス給電可能な場所（給電スポット）に移動させること、及び／又は二次電池１２を修理又は交換することを含む。また、サーバ送信部２０ｃから警告信号は、異常内容に応じて区別可能な警告信号を含むものであってもよく、その場合、注意喚起手段１８が、給電スポットへの移動を促す注意喚起と、二次電池１２の修理又は交換を促す注意喚起とを、五感という観点から区別可能な形で行うのが好ましい。この場合、注意喚起の種類に応じて、二次電池１２を給電スポットに移動させるか、二次電池１２を修理又は交換すればよい。

　用途
　遠隔監視システム１０の好ましい適用事例として、輸送時に商品の品質を確認可能なセンサタグ（例えば、温湿度等を測定して無線通信するタグ）が挙げられる。この適用事例において、輸送状況をデータで担保できる安心、安全及び高品質な輸送及び在庫管理が実現可能となる。前述したＥｎｅｒＣｅｒａのような二次電池１２がこの適用事例において提供する新たな価値としては、以下のものが挙げられる。
・電池交換不要なため、廃棄物が発生しない。
・二次電池なので何度も再利用でき、センサタグ費用を低減できる。
・貨物の状態を直接監視可能である。
・－４０℃まで動作可能でコールドチェーン（ｃｏｌｄ　ｃｈａｉｎ）にも対応可能である。

（遠隔監視システムの実施例）
　遠隔監視システム１０を適用したセンサタグ付き輸送物について、以下の実施細目に従って遠隔監視実験を行った。
・測定手段：ＥｎｅｒＣｅｒａ搭載のセンサロガー（ｓｅｎｓｏｒ　ｌｏｇｇｅｒ）
・輸送物：セラミックス製品（日本碍子株式会社製）に上記センサロガーを取り付けたもの
・輸送手段：トラック及び飛行機
・測定項目：温度、湿度及び時間
・測定場所：工場間（Ａ工場からＢ工場）
・測定期間：２０２２年１月１４日～２０２２年１月１８日

　図３に、この遠隔監視システムで監視された温度及び湿度の経時変化を示す。図３に示されるとおり、Ａ工場から出発してＢ工場に到着するまでの製品輸送環境が明らかとなった。そして、遠隔監視システムにおいて、温度の下限値及び／又は上限値、あるいは湿度の上限値及び／又は下限値を予め設定しておけば、異常を即座に検知することができる。例えば、図３に示されるデータにおいては、以下のように異常を検知することができる。
・下限温度を５℃に設定した場合、１月１５日に異常が検知される。
・上限温度を３０℃に設定した場合、１月１６日に異常が検知される。
・上限湿度を４０％に設定した場合、１月１６日に異常が検知される。

Claims

　電池の状態を遠隔で監視するための遠隔監視システムであって、
　ワイヤレス給電可能なリチウムイオン二次電池と、
　前記リチウムイオン二次電池の状態を検知してステータス情報を取得するセンサと、
　前記リチウムイオン二次電池及び前記センサと接続される無線通信モジュールであって、前記ステータス情報を遠隔サーバに送信する送信部、及び前記ステータス情報が正常域から外れている場合に前記遠隔サーバから送信される警告信号を受信する受信部を備えた無線通信モジュールと、
　前記警告信号の受信に応じて、五感に訴える注意喚起を行う手段と、
を備え、
　前記ステータス情報が前記リチウムイオン二次電池の状態に関する情報を含み、前記情報に基づき、前記リチウムイオン二次電池に充電、修理又は交換が必要と判断された場合に、前記警告信号の送受信が行われる、遠隔監視システム。
　前記リチウムイオン二次電池の状態に関する情報が、前記リチウムイオン二次電池の電圧、抵抗及び温度からなる群から選択される少なくとも１種を含む、請求項１に記載の遠隔監視システム。
　前記遠隔監視システムが遠隔サーバをさらに含み、前記遠隔サーバが、
　前記ステータス情報を受信するサーバ受信部と、
　前記ステータス情報に基づき、前記リチウムイオン二次電池に対して何らかのアクションが必要か否かを判断するサーバ判断部と、
　前記判断部で前記アクションが必要と判断された場合に、前記警告信号を送信するサーバ送信部と、
を備える、請求項１又は２に記載の遠隔監視システム。
　前記遠隔サーバが、リチウムイオン二次電池に関する正常及び異常を判断するために必要なデータを格納するサーバ記憶部をさらに備えており、
　前記サーバ判断部が、前記ステータス情報を、前記サーバ記憶部からの前記データに照合して前記アクションが必要か否かを判断する、請求項３に記載の遠隔監視システム。
　前記リチウムイオン二次電池の状態に関する情報が、前記リチウムイオン二次電池の電圧及び／又は抵抗を含み、
　前記サーバ記憶部の前記データが、リチウムイオン二次電池に関する充電状態と、電圧及び／又は抵抗との相関データを含み、
　前記サーバ判断部は、前記サーバ記憶部からの前記相関データに照らして、前記リチウムイオン二次電池の状態に関する前記情報が正常域から外れている場合に、前記アクションが必要と判断する、請求項４に記載の遠隔監視システム。
　前記リチウムイオン二次電池の状態に関する情報が、前記リチウムイオン二次電池の電圧及び／又は抵抗、並びに温度を含み、
　前記サーバ記憶部の前記データが、各種温度におけるリチウムイオン二次電池に関する充電状態と、電圧及び／又は抵抗との相関データを含み、
　前記サーバ判断部は、前記温度に対応する前記サーバ記憶部からの前記相関データに照らして、前記リチウムイオン二次電池の状態に関する前記情報が正常域から外れている場合に前記アクションが必要と判断する、請求項４に記載の遠隔監視システム。
　前記サーバ記憶部は、前記サーバ受信部が受信する前記ステータス情報を蓄積し、それにより前記正常及び異常を判断するために必要なデータを増強することができる、請求項４に記載の遠隔監視システム。
　前記無線通信モジュール及び前記遠隔サーバ間の通信が、ＢＬＥ（Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ　Ｌｏｗ　Ｅｎｅｒｇｙ）又はＬＰＷＡ（Ｌｏｗ　Ｐｏｗｅｒ　Ｗｉｄｅ　Ａｒｅａ）通信により行われる、請求項１又は２に記載の遠隔監視システム。
　前記リチウムイオン二次電池が、リチウム複合酸化物焼結体板である正極板と、チタン酸リチウム焼結体板で構成されるか又はカーボンを含む負極層と、前記正極板と前記負極層との間に介在されるセパレータと、電解質とを備えた、二次電池である、請求項１又は２に記載の遠隔監視システム。
　前記正極板を構成する前記リチウム複合酸化物がコバルト酸リチウムである、請求項９に記載の遠隔監視システム。
　前記負極層がチタン酸リチウム焼結体板で構成される、請求項９に記載の遠隔監視システム。
　前記リチウムイオン二次電池が、チップ型セラミックス二次電池「ＥｎｅｒＣｅｒａ（エナセラ）」（登録商標）である、請求項１又は２に記載の遠隔監視システム。
　電池のメンテナンス方法であって、
　請求項１又は２に記載の遠隔監視システムを介して、前記五感に訴える注意喚起により、前記リチウムイオン二次電池の異常を察知するステップと、
　前記リチウムイオン二次電池を正常な状態に戻すための措置を講じるステップと、
を含む、電池のメンテナンス方法。
　前記ステータス情報が前記リチウムイオン二次電池の状態に関する情報を含み、前記遠隔監視システムは、前記情報に基づき、前記リチウムイオン二次電池に充電、修理又は交換が必要と判断された場合に、前記警告信号の送受信が行われるものであり、
　前記リチウムイオン二次電池を正常な状態に戻すための措置が、前記リチウムイオン二次電池をワイヤレス給電可能な場所に移動させること、及び／又は前記リチウムイオン二次電池を修理又は交換することを含む、請求項１３に記載の電池のメンテナンス方法。