WO2022259470A1

WO2022259470A1 - ツール交換装置

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Publication number: WO2022259470A1
Application number: PCT/JP2021/022144
Authority: WO
Inventors: 啓一田中
Original assignee: ビー・エル・オートテック株式会社
Priority date: 2021-06-10
Filing date: 2021-06-10
Publication date: 2022-12-15
Also published as: KR20240019069A; WO2022260013A1; CN117177843A; JPWO2022260013A1

Abstract

本発明の一実施形態に係るツール交換装置は、ロボットアームに取付けられるマスタプレートと、このマスタプレートに着脱可能に装着され、ツールが取付けられるツールプレートとを備えるツール交換装置であって、上記マスタプレート及び上記ツールプレートのうち、一方のプレートが、一方の面に差込凹部を有し、他方のプレートが、上記一方のプレートに着脱可能であり、連結状態で上記差込凹部に差込まれる柱状部を有しており、上記一方のプレート及び上記他方のプレートの連結状態を維持するバネ部材をさらに備え、上記柱状部が、その側面に、上記柱状部の頂部の側面より中心軸方向に窪み、連結状態で上記バネ部材が係合する切欠を有し、上記バネ部材が、連結状態で上記柱状部をその中心軸方向に付勢する。

Description

ツール交換装置

　本発明は、ツール交換装置に関する。

　工場等の工業設備で用いられるロボットアームは、先端に溶接器具等の種々のツール（エンドエフェクタ）を装着して生産作業を行う。このようなツールの交換を容易にするための装置としてツール交換装置が知られている。このツール交換装置は、ロボットアームの先端に取付けられるマスタプレートと、各種のツールをそれぞれ装着した複数のツールプレートとの組み合わせからなる。このマスタプレートとツールプレートとは、着脱できるよう設けられ、この着脱によってロボットは種々のツールに交換することができる。

　このようなツール交換装置としては、複数のボールの出退によって上記着脱がなされるものが公知である（例えば国際公開第２０１７／２１２７９０号参照）。このツール交換装置では、ピストン部材と、このピストン部材を挟んで上下に設けられる上部シリンダ室及び下部シリンダ室とを備える。上記ツール交換装置は、上記上部シリンダ室及び下部シリンダ室に流体（エア）を供給あるいは排出することで、上記ピストン部材を移動させる。このピストン部材の移動により上記複数のボールの出退が制御され、マスタプレートとツールプレートとの着脱を可能としている。

国際公開第２０１７／２１２７９０号

　上記従来のツール交換装置では、ピストン部材を移動させるため、エアの供給が必須であり、エア供給が可能であるロボットアームにしか使用できない。また、エア供給のため、ロボットアームのエア配管を外部へ引き回す必要が生じる。

　本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、流体の供給を必要とせず、マスタプレートとツールプレートとを容易に着脱することができるツール交換装置の提供を目的とする。

　本発明のツール交換装置は、流体の供給を行わずともマスタプレートとツールプレートとを容易に着脱することができる。

図１は、本発明の一実施形態に係るツール交換装置の模式的斜視図である。図２は、図１のツール交換装置の模式的側面図である。図３は、図１のツール交換装置で、マスタプレートとツールプレートとを脱状態とした状態を示す模式的側面図である。図４は、図１のツール交換装置のマスタプレートを示す模式的斜視図である。図５は、図４のマスタプレートの模式的底面図である。図６は、図４の下部マスタボディの模式的平面図である。図７は、図１のツール交換装置のツールプレートを示す模式的斜視図である。図８は、図７のツールプレートの模式的側面図である。図９は、図１のツール交換装置に用いられるバネ部材を示す模式的斜視図である。図１０は、図６の下部マスタボディにバネ部材を取り付けた状態を示す模式的斜視図である。図１１は、図１のツール交換装置の連結状態におけるバネ部材の切欠への係合状態を説明するための模式的斜視図である。図１２は、図１とは異なる別の一実施形態に係るツール交換装置の模式的斜視図である。図１３は、図１２のツール交換装置のマスタプレートを示す模式的底面図である。図１４は、図１２のツール交換装置のツールプレートを示す模式的斜視図である。図１５は、図１２のツール交換装置のＶＸ－ＶＸ線での模式的断面図である。

［本発明の実施形態の説明］
　最初に本発明の実施態様を列記して説明する。

　当該ツール交換装置は、マスタプレート及びツールプレートのうち、一方のプレートが一方の面に差込凹部を有し、他方のプレートが上記差込凹部に差込まれる柱状部を有している。また、当該ツール交換装置は、上記柱状部が側面に切欠を有し、上記マスタプレート及び上記ツールプレートの連結状態で、バネ部材が上記切欠と係合し、上記柱状部をその中心軸方向に付勢する。このため、当該ツール交換装置では、連結状態で上記バネ部材が上記柱状部の上下動を抑止するため、上記マスタプレート及び上記ツールプレートの連結状態が維持される。一方、当該ツール交換装置では、上記バネ部材を上記柱状部の外側方向に広げることで、上記切欠との係合状態を解消し、上記マスタプレート及び上記ツールプレートを容易に分離することができる。従って、当該ツール交換装置は、流体の供給を必要とせず、マスタプレートとツールプレートとを容易に着脱することができる。

　上記柱状部が、その中心軸を挟んで対向する一対の切欠を有し、上記切欠が、上記柱状部の側面から中心軸方向に延びる一対の側壁と、上記一対の側壁の上記中心軸側の端縁を連結する底壁とを有し、上記一対の側壁の間隔が、上記底壁に向かって狭くなっているとよい。このように一対の切欠を設けることで、上記バネ部材等の部品の公差を吸収しつつ、上記バネ部材の係合を安定して維持することができる。

　上記バネ部材が、板バネであり、上記柱状部の中心軸に平行な平面部を有し、上記平面部の幅が、上記底壁における上記一対の側壁の間隔よりも大きいとよい。このように上記バネ部材として上述の板バネを用いることで、上記平面部の両端を一対の側壁が支持することで、上記バネ部材が固定されるので、さらに安定して上記柱状部の上下動を抑止することができる。

　上記一方のプレートが、連結状態で上記バネ部材の一部が露出する窓部を有し、上記バネ部材の一部を上記窓部の外側から内側方向に押圧することで、上記バネ部材の上記切欠への係合を解除するとよい。このように上記一方のプレートに連結状態で上記バネ部材の一部が露出する窓部を設け、上記バネ部材の一部を上記窓部の外側から内側方向に押圧することで、上記バネ部材の上記切欠への係合を解除する構成を設けることで、上記マスタプレート及び上記ツールプレートをさらに容易に分離することができる。

　上記柱状部の頂部が、頂面から下方に拡径するテーパ部を有するとよい。このように上記柱状部の頂部に、頂面から下方に拡径するテーパ部を設けることで、上記差込凹部に上記柱状部を差し込む際に、上記バネ部材を上記テーパ部に沿って押し広げることができるので、上記バネ部材を上記切欠に容易に係合させることができる。一方、いったん上記バネ部材を上記切欠に係合すると、上記テーパ部の下方が拡径しているので、上記バネ部材が上方に抜け難く、安定して上記柱状部の上下動を抑止することができる。

　上記マスタプレート及び上記ツールプレートが、連結状態で互いに電気的に接続される通信用コネクタをそれぞれの内部に有するとよい。このように上記マスタプレート及び上記ツールプレートに連結状態で互いに電気的に接続される通信用コネクタをそれぞれの内部に設けることで、上記マスタプレート及び上記ツールプレート間の通信接続を容易に確保することができる。

　なお、本発明において、「上方」とは上記柱状部の頂部に向かう方向を指し、「下方」とはその反対方向を意味するが、当該ツール交換装置の向きを制限するものではない。すなわち、当該ツール交換装置は、天地を逆さまにして使用することも可能である。

［本発明の実施形態の詳細］
　本発明の各実施形態に係るツール交換装置について、図面を参照しつつ説明する。

［第１実施形態］
　図１から図３に示すツール交換装置１は、ロボットアームに取付けられるマスタプレート１０と、このマスタプレート１０に着脱可能に装着され、ツールが取付けられるツールプレート２０とを備えるツール交換装置である。図１及び図２は、マスタプレート１０にツールプレート２０が装着された着状態を示しており、図３は、マスタプレート１０とツールプレート２０とが分離された脱状態を示している。

　当該ツール交換装置１は、マスタプレート１０及びツールプレート２０のうち、一方のプレート（マスタプレート１０）が、一方の面に差込凹部１１を有し、他方のプレート（ツールプレート２０）が、上記一方のプレートに着脱可能であり、連結状態で差込凹部１１に差込まれる柱状部２１を有している。また、当該ツール交換装置１は、上記一方のプレート及び上記他方のプレート、つまりマスタプレート１０及びツールプレート２０の連結状態を維持するバネ部材３０をさらに備える。

　マスタプレート１０及びツールプレート２０の大きさや重量としては、特に限定されないが、例えば最大幅２００ｍｍ以下、重量３ｋｇ以下とすることができる。マスタプレート１０及びツールプレート２０の大きさや重量を上記上限以下とすることで、マスタプレート１０とツールプレート２０とを、より容易に着脱することができる。

＜マスタプレート＞
　マスタプレート１０は、図４に示すように、円盤状であり、下部マスタボディ１０ａと、この下部マスタボディ１０ａの上部を覆う上部マスタボディ１０ｂとを有する。下部マスタボディ１０ａと上部マスタボディ１０ｂとは、例えばネジで締結することで結合されている。

　図５に示すように、後述する柱状部２１が差し込まれる差込凹部１１の差込口１１ａは、柱状部２１の底面と同形状かつ同径の円形である。このように差込口１１ａを柱状部２１の底面と同形状かつ同径とすることで、連結状態で柱状部２１がマスタプレート１０に対して相対的に移動することを抑止できるので、マスタプレート１０とツールプレート２０とを安定して連結することができる。

　マスタプレート１０は、図４に示すように、他方の面、つまり上部マスタボディ１０ｂの頂面側に凸部１２を有するとよい。凸部１２は、内部に空間を有し、上記空間が差込凹部１１の底部を構成する。上記空間は、柱状部２１の頂部２１ａが嵌合するように形成されており、連結状態で柱状部２１の頂部２１ａを固定する。これによりマスタプレート１０とツールプレート２０とをさらに安定して連結することができる。

　マスタプレート１０は、上記一方の面、つまり下部マスタボディ１０ａの底面を貫通し、下部マスタボディ１０ａの下方及び内部に突出する柱状の回転止１３を有する。回転止１３は、連結状態で後述するツールプレート２０の頂面に設けられた結合孔２３に挿入され、マスタプレート１０とツールプレート２０とが相対的に回転することを抑止する。また、回転止１３は、バネ部材３０が回転することを抑止する部材としても機能する。なお、図４及び図５では、回転止１３は、円柱状であるが、回転止１３の形状は円柱状に限定されるものではない。

　マスタプレート１０は、その内部にバネ部材３０を格納することができる。具体的には、図６に示すように、下部マスタボディ１０ａにバネ部材３０を格納するための溝１４が形成されている。

　また、マスタプレート１０は、図４に示すように、連結状態でバネ部材３０の一部が露出する窓部１５を有する。

＜ツールプレート＞
　ツールプレート２０は、図７に示すように、円盤状のツールボディ２０ａと、この一方の面から突出する柱状部２１とを有する。柱状部２１は、上述のように、連結状態でマスタプレート１０の差込凹部１１に差込まれる。図７に示すツールプレート２０では、柱状部２１は円柱状である。以降、柱状部２１が円柱状である場合を例に取り説明するが、柱状部２１は円柱状に限定されるものではない。

　柱状部２１は、マスタプレート１０が周状に配置される複数のボルトによりロボットアームに取付けられる場合、この複数のボルトにより画定される円周の内側に設けられることが好ましい。つまり、柱状部２１は、マスタプレート１０に周状に設けられる複数のボルト穴１６（図４参照）の円周より小径であり、かつ上記円周の内側に設けられることが好ましい。柱状部２１が上記円周の外側に位置すると、ツール交換装置１の直径（上部マスタボディ１０ａ及びツールボディ２０ａの直径）がロボットアームへの取付部の直径より大きくなり、取扱性が低下するおそれがある。

　また、柱状部２１は、ツールプレート２０の中央に設けられることがより好ましい。つまり、柱状部２１の中心軸とツールプレート２０の中心軸とは一致することが好ましい。この場合、この柱状部２１が差し込み可能な、マスタプレート１０に設けられる差込凹部１１についても、差込凹部１１の中心軸とマスタプレート１０の中心軸とは一致する。

　柱状部２１は、その側面に、その中心軸を挟んで対向する一対の切欠２２を有する。切欠２２は、柱状部２１の頂部２１ａの側面より中心軸方向に窪み、連結状態でバネ部材３０が係合する。

　切欠２２は、柱状部２１の側面から中心軸方向に延びる一対の側壁（第１側壁２２ａ及び第２側壁２２ｂ）と、上記一対の側壁の上記中心軸側の端縁を連結する底壁２２ｃとを有する。当該ツール交換装置１では、柱状部２１の頂部２１ａ側に位置する第１側壁２２ａは、柱状部２１の頂面と平行な平面で構成され、柱状部２１の底部側に位置する第２側壁２２ｂは、上記中心軸側が柱状部２１の頂部２１ａ側に近づくように傾斜している。つまり、上記一対の側壁の間隔が、底壁２２ｃに向かって狭くなっている。また、底壁２２ｃは、上記頂面と垂直な平面で構成されている。

　このように一対の切欠２２を設けることで、バネ部材３０等の部品の公差を吸収しつつ、バネ部材３０の係合を安定して維持することができる。具体的には、切欠２２の入口において上記一対の側壁の間隔が広いので、バネ部材３０に部品公差や位置ずれがあったとしても、バネ部材３０を切欠２２に係合させ易い。バネ部材３０は、後述するように中心軸方向に付勢するので、係合したバネ部材３０は、底壁２２ｃに向かって上記一対の側壁により誘導され、それに従って上記一対の側壁の間隔が狭くなるから、やがてバネ部材３０を上記一対の側壁により挟み込んで固定することができる。

　第２側壁２２ｂの傾斜角としては、０．１度以上１０度以下が好ましい。上記傾斜角が上記下限未満であると、バネ部材３０を底壁２２ｃに誘導させる効果が不十分となるおそれがある。特に、上記傾斜角が０度以下である場合にあっては、上記一対の側壁とバネ部材３０との間に隙間が生じ、マスタプレート１０とツールプレート２０の連結が不十分となり、上下動が起きるおそれがある。逆に、上記傾斜角が上記上限を超えると、当該ツール交換装置１が振動した場合等に、バネ部材３０の上記中心軸外側への位置ずれにより柱状部２１が上下動し易くなるおそれや、マスタプレート１０及びツールプレート２０が分離してしまうおそれがある。なお、当該ツール交換装置１では、柱状部２１の底部側に位置する第２側壁２２ｂが傾斜を有する場合を説明したが、第２側壁２２ｂに換えて、柱状部２１の頂部２１ａ側に位置する第１側壁２２ａが、上記中心軸側が柱状部２１の底部側に近づくように傾斜していてもよく、あるいは第１側壁２２ａ及び第２側壁２２ｂの両方が上述の傾斜を有していてもよい。

　切欠２２の深さ（柱状部２１の側面から底壁２２ｃまでの距離）の下限としては、１．５ｃｍが好ましく、３．５ｃｍがより好ましい。一方、切欠２２の深さの上限としては、７ｃｍが好ましく、５ｃｍがより好ましい。切欠２２の深さが上記下限未満であると、バネ部材３０を安定して係合することができないおそれがある。逆に、切欠２２の深さが上記上限を超えると、バネ部材３０を係合させるためには、バネ部材３０を大きく広げる必要が生じる。バネ部材３０を大きく広げるためには大きな力を要することから、バネ部材３０を切欠２２に係合させ難くなるおそれがある。

　切欠２２の幅（柱状部２１の中心軸方向に対する底壁２２ｃの幅）は、バネ部材３０の幅と同じ幅又は若干狭い幅とされる。このように切欠２２の幅をとることで、柱状部２１、ひいてはツールプレート２０が上下動することを抑止できる。

　柱状部２１の頂部２１ａは、頂面から下方に拡径するテーパ部２１ｂを有するとよい。このように柱状部２１の頂部２１ａに、頂面から下方に拡径するテーパ部２１ｂを設けることで、マスタプレート１０の差込凹部１１に柱状部２１を差し込む際に、バネ部材３０をテーパ部２１ｂに沿って押し広げることができるので、バネ部材３０を切欠２２に容易に係合させることができる。一方、いったんバネ部材３０を切欠２２に係合すると、テーパ部２１ｂの下方が拡径しているので、バネ部材３０が上方に抜け難く、安定して柱状部２１の上下動を抑止することができる。

　ツールプレート２０は、頂面に結合孔２３が設けられている。この結合孔２３は、結合状態でマスタプレート１０の回転止１３と嵌合する。

＜バネ部材＞
　バネ部材３０は、図９に示すように、板バネである。バネ部材３０は、中心軸方向に付勢を生じさせる第１円弧部３１と、切欠２２の底壁２２ｃに当設して付勢する一対の平面部３２と、一対の平面部３２を挟んで第１円弧部３１とは反対側に位置し、一端側が互いに対向して近接している一対の第２円弧部３３と、第１円弧部３１の両端及び一対の平面部３２の一端をそれぞれ連結する一対の第１接続部３４と、一つの平面部３２の他端及び一対の第２円弧部３３の他端をそれぞれ連結する一対の第２接続部３５とを有する。

　第１円弧部３１及び第２円弧部３３の曲率半径は同等である。一対の平面部３２は対向して配置されており、その間隔は、第１円弧部３１の直径（曲率半径の２倍）よりも狭い。また、第１接続部３４及び第２接続部３５は、平板で構成されている。つまり、図９に示すバネ部材３０は、全体として一対の平面部３２が内側にくびれた円形状である。

　バネ部材３０は、第１円弧部３１の中央に、下部マスタボディ１０ａに設けられた回転止１３に係合する凹部３６を有している。また、一対の第２円弧部３３は、互いに対向して近接している一端側に、円弧の外側に巻かれた巻回部３３ａを有している。なお、巻回部３３ａと凹部３６とは、バネ部材３０の中心軸を挟んで対向する位置にある。

　図１０に、バネ部材３０が、下部マスタボディ１０ａに格納された状態を示す。バネ部材３０は、第１円弧部３１及び第２円弧部３３が、マスタプレート１０の窓部１５から露出するように配置される。特に第２円弧部３３の巻回部３３ａは、マスタプレート１０の側面より外側に突出している（図５参照）。

　第１接続部３４及び第２接続部３５は、下部マスタボディ１０ａの溝１４に沿って配置され、バネ部材３０の凹部３６は、下部マスタボディ１０ａの内側に突出している回転止１３を取り囲むように配置される。これらの配置によりバネ部材３０が下部マスタボディ１０ａ内で回転することを抑止できる。

　一対の平面部３２は、差込凹部１１の側面より内側に位置している（図５参照）。また、一対の平面部３２は、差込凹部１１の中心軸を挟んで対向している。

　一対の平面部３２の幅は、ツールプレート２０の切欠２２が有する底壁２２ｃにおける上記一対の側壁の間隔よりも大きく、切欠２２の入り口の上記一対の側壁の間隔よりも小さい。平面部３２の幅をこのようにとると、平面部３２の両端を上記一対の側壁が支持することで、バネ部材３０が固定されるので、さらに安定して柱状部２１の上下動を抑止することができる。

　図１１に、マスタプレート１０とツールプレート２０とを連結させた状態を示す。なお、図１１では、バネ部材３０の状態を説明するため、上部マスタボディ１０ｂが図示されていない。図１１に示すように、当該ツール交換装置１は、連結状態でバネ部材３０が切欠２２に係合する。これによりバネ部材３０が、連結状態で柱状部２１をその中心軸方向に付勢する。具体的には、バネ部材３０の平面部３２の幅が切欠２２を構成する一対の側壁の間隔と等しくなった位置で、上記一対の側壁により平面部３２の両側縁が挟み込まれた状態で固定される。

＜当該ツール交換装置の着脱動作＞
　当該ツール交換装置１において、マスタプレート１０とツールプレート２０とを連結する動作及び分離する動作について説明する。

（連結動作）
　当該ツール交換装置１では、位置合わせ工程及び挿入工程をこの順に行うことで、マスタプレート１０とツールプレート２０とを連結することができる。

　まず、上記位置合わせ工程で、マスタプレート１０の差込凹部１１にツールプレート２０の柱状部２１が挿入され、かつツールプレート２０の結合孔２３にマスタプレート１０の下方に突出する回転止１３が挿入されるように、マスタプレート１０及びツールプレート２０の位置合わせを行う。

　次に、上記挿入工程で、マスタプレート１０の底面とツールプレート２０の頂面とが接するまで柱状部２１を差込凹部１１に押し込む。このとき、柱状部２１の頂部２１ａにテーパ部２１ｂが設けられているので、差込凹部１１の側面より内側に位置しているバネ部材３０の一対の平面部３２は、テーパ部２１ｂの下方への拡径に追従して、中心軸外側に広げられる。さらに、柱状部２１を差込凹部１１に押し込むと、一対の平面部３２は、柱状部２１の切欠２２まで達する。一対の平面部３２は、中心軸外側に向かって広げられているから、中心軸方向への付勢が働いており、その力により一対の平面部３２は切欠２２に係合う。

　そして、一対の平面部３２は、バネ部材３０の平面部３２の幅が切欠２２を構成する一対の側壁の間隔と等しくなった位置で、上記一対の側壁により平面部３２の両側縁が挟み込まれた状態で固定され、バネ部材３０は、柱状部２１を中心軸方向へ付勢する。また、柱状部２１の頂部２１ａ側に位置する切欠２２の第１側壁２２ａが柱状部２１の頂面と平行な平面で構成されているので、ツールプレート２０をマスタプレート１０から抜こうとすると、バネ部材３０の平面部３２が頂部２１ａ側の第１側壁２２ａに当たるため、ツールプレート２０を抜くことができない。すなわち、ツールプレート２０は、マスタプレート１０と連結され、固定される。

（分離動作）
　当該ツール交換装置１では、バネ部材押圧工程及び抜去工程をこの順に行うことで、マスタプレート１０とツールプレート２０とを分離することができる。

　上記バネ部材押圧工程では、バネ部材３０の一部である巻回部３３ａを窓部１５の外側から内側方向に押圧することで、バネ部材３０の切欠２２への係合を解除する。詳説すると、バネ部材３０の巻回部３３ａを窓部１５の外側から内側方向に押圧すると、一対の平面部３２には中心軸外側方向へ力が及び、その離間距離が大きくなる。そして、一対の平面部３２の離間距離が柱状部２１の頂部２１ａの最大径より大きくなると、バネ部材３０の切欠２２への係合は解除される。

　巻回部３３ａを窓部１５の外側から内側方向に押圧すると、巻回部３３ａは反対側のマスタプレート１０の側面からバネ部材３０全体を押し出す力が働く。しかし、バネ部材３０の中心軸を挟んで巻回部３３ａと対向する位置に凹部３６があり、この凹部３６は回転止１３を取り囲むように配置されているので、この凹部３６と回転止１３との係合により、バネ部材３０全体がマスタプレート１０の側面から押し出されることが抑止される。つまり、押圧した力は全て一対の平面部３２を中心軸外側方向へ押し出す力として働く。

　当該ツール交換装置１では、このようにバネ部材３０の一部を窓部１５の外側から内側方向に押圧することで、バネ部材３０の切欠２２への係合を解除する構成を設けることで、マスタプレート１０及びツールプレート２０をさらに容易に分離することができる。

　次に、上記抜去工程で、ツールプレート２０をマスタプレート１０から抜き去る。この抜去工程は、上記バネ部材押圧工程で巻回部３３ａを押圧しバネ部材３０の切欠２２への係合を解除した状態で行う。バネ部材３０の切欠２２への係合を解除されているので、ツールプレート２０は容易にマスタプレート１０から分離できる。

＜利点＞
　当該ツール交換装置１は、マスタプレート１０が一方の面に差込凹部１１を有し、ツールプレート２０が差込凹部１１に差込まれる柱状部２１を有している。また、当該ツール交換装置１は、柱状部２１が側面に切欠２２を有し、マスタプレート１０及びツールプレート２０の連結状態で、バネ部材３０が切欠２２と係合し、柱状部２１をその中心軸方向に付勢する。このため、当該ツール交換装置１では、連結状態でバネ部材３０が柱状部２１の上下動を抑止するため、マスタプレート１０及びツールプレート２０の連結状態が維持される。一方、当該ツール交換装置１では、バネ部材３０を柱状部２１の外側方向に広げることで、切欠２２との係合状態を解消し、マスタプレート１０及びツールプレート２０を容易に分離することができる。従って、当該ツール交換装置１は、流体の供給を必要とせず、マスタプレート１０とツールプレート２０とを容易に着脱することができる。

［第２実施形態］
　図１２から図１５に示すツール交換装置２は、ロボットアームに取付けられるマスタプレート４０と、このマスタプレート４０に着脱可能に装着され、ツールが取付けられるツールプレート５０とを備えるツール交換装置であって、マスタプレート４０及びツールプレート５０のうち、一方のプレートであるマスタプレート４０が、一方の面に差込凹部１１を有し、他方のプレートであるツールプレート５０が、マスタプレート４０に着脱可能であり、連結状態で差込凹部１１に差込まれる柱状部２１を有しており、マスタプレート４０及びツールプレート５０の連結状態を維持するバネ部材３０をさらに備え、柱状部２１が、その側面に、柱状部２１の頂部２１ａの側面より中心軸方向に窪み、連結状態でバネ部材３０が係合する切欠２２を有し、バネ部材３０が、連結状態で柱状部２１をその中心軸方向に付勢する。また、当該ツール交換装置２は、マスタプレート４０及びツールプレート５０が、連結状態で互いに電気的に接続される通信用コネクタ（マスタ側通信用コネクタ４１及びツール側通信用コネクタ５１）をそれぞれの内部に有する。

　当該ツール交換装置２は、上記通信用コネクタを有する点以外は第１実施形態と同様に構成することができるので、同一符号を付し詳細説明を省略する。以下、上記通信用コネクタについて説明する。

＜通信用コネクタ＞
　ツール側通信用コネクタ５１は、図１４に示すように、柱状部２１の頂面に設けられた凹部に配置されている。上記凹部は、その入口に頂面側に拡径するテーパ部を有することが好ましい。このように上記凹部に上記テーパ部を設けることで、マスタプレート４０及びツールプレート５０を連結状態とする際に、マスタ側通信用コネクタ４１を上記凹部へ容易に誘導させることができる。柱状部２１の中心軸とツール側通信用コネクタ５１の中心軸とは一致することが好ましい。

　マスタ側通信用コネクタ４１は、図１３に示すように、差込凹部１１内に配置されている。上述のように、マスタプレート４０及びツールプレート５０が連結状態で、マスタ側通信用コネクタ４１及びツール側通信用コネクタ５１は互いに電気的に接続される。換言すれば、図１５に示すように、マスタ側通信用コネクタ４１は複数の雄端子で構成され、ツール側通信用コネクタ５１は複数の雌端子で構成されており、連結状態で、対応する雄端子が対応する雌端子に刺さるように位置合わせされている。

　また、マスタプレート４０は、マスタ側通信用コネクタ４１の信号を取り出すマスタ側接続端子４２を有している。マスタ側接続端子４２の位置は特に限定されないが、例えばマスタプレート４０の側面に配置することができる。同様に、ツールプレート５０は、ツール側通信用コネクタ５１の信号を取り出すツール側接続端子５２を有している。ツール側接続端子５２の位置は特に限定されないが、例えばツールプレート５０の側面に配置することができる。

　当該ツール交換装置２では、マスタ側通信用コネクタ４１とマスタ側接続端子４２とを接続する配線及びツール側通信用コネクタ５１とツール側接続端子５２とを接続する配線は、それぞれマスタプレート４０及びツールプレート５０の内部に収められ、外部を通過しない。従って、上記配線がツールの動作の障害となることを抑止できる。

＜利点＞
　当該ツール交換装置２では、このようにマスタプレート４０及びツールプレート５０に連結状態で互いに電気的に接続されるマスタ側通信用コネクタ４１及びツール側通信用コネクタ５１をそれぞれの内部に設けることで、マスタプレート４０及びツールプレート５０間の通信接続を容易に確保することができる。

［その他の実施形態］
　本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。

　上記実施形態では、一方のプレートがマスタプレートであり、他方のプレートがツールプレートである場合を説明したが、一方のプレートがツールプレートであり、他方のプレートがマスタプレートであってもよい。すなわち、当該ツール交換装置は、ツールプレートが、一方の面に差込凹部を有し、マスタプレートが、上記ツールプレートに着脱可能であり、連結状態で上記差込凹部に差込まれる柱状部を有しており、ツールプレート及びマスタプレートの連結状態を維持するバネ部材をさらに備えていてもよい。

　上記実施形態では、マスタプレート及びツールプレートが円筒状である場合を説明したが、マスタプレート及びツールプレートは円筒状に限定されるものではなく、その形状は、ツールの用途に応じ適宜選択可能である。また、マスタプレートとツールプレートとが同形状であることも要しない。

　上記実施形態では、柱状部がその中心軸を挟んで対向する一対の切欠を有する場合を説明したが、切欠の構成はこれに限定されず、例えば１つの切欠が柱状部の周囲を取り囲むように設けられてもよい。

　また、切欠の形状も柱状部の頂面と平行な一対の側壁と一対の側壁を連結する底壁とを有する形状に限定されるものではない。柱状部の側面に上記柱状部の頂部の側面より中心軸方向に窪み、連結状態でバネ部材が係合することができる限り、任意の形状を採用することができる。

　上記実施形態では、バネ部材が板バネである場合を説明したが、連結状態で柱状部をその中心軸方向に付勢することができるものであれば板バネに限定されるものではなく、例えば線材で構成されたバネであってもよい。また、バネ部材の形状についても、上記実施形態の形状に限定されるものではなく、他の形状を採用可能である。

　上記実施形態では、連結状態でバネ部材の一部が露出する窓部を設け、上記バネ部材の一部を上記窓部の外側から内側方向に押圧することで、上記バネ部材の切欠への係合を解除する方法を説明したが、バネ部材の切欠への係合を解除する方法はこれに限定されるものではない。例えばバネ部材を中心軸外側方向へ広げる専用の解除機構を設けてもよい。

　上記第２実施形態では、ツール側通信用コネクタが柱状部の頂面に設けられた凹部に配置される構成を説明したが、通信用コネクタの配置位置は、これに限定されない。連結状態で互いに電気的に接続できる限り、各通信用コネクタの配置位置は限定されない。

１、２　ツール交換装置
１０　マスタプレート
１０ａ　下部マスタボディ
１０ｂ　上部マスタボディ
１１　差込凹部
１１ａ　差込口
１２　凸部
１３　回転止
１４　溝
１５　窓部
１６　ボルト穴
２０　ツールプレート
２０ａ　ツールボディ
２１　柱状部
２１ａ　頂部
２１ｂ　テーパ部
２２　切欠
２２ａ　第１側壁
２２ｂ　第２側壁
２２ｃ　底壁
２３　結合孔
３０　バネ部材
３１　第１円弧部
３２　平面部
３３　第２円弧部
３３ａ　巻回部
３４　第１接続部
３５　第２接続部
３６　凹部
４０　マスタプレート
４１　マスタ側通信用コネクタ
４２　マスタ側接続端子
５０　ツールプレート
５１　ツール側通信用コネクタ
５２　ツール側接続端子

Claims

　ロボットアームに取付けられるマスタプレートと、このマスタプレートに着脱可能に装着され、ツールが取付けられるツールプレートとを備えるツール交換装置であって、
　上記マスタプレート及び上記ツールプレートのうち、一方のプレートが、一方の面に差込凹部を有し、他方のプレートが、上記一方のプレートに着脱可能であり、連結状態で上記差込凹部に差込まれる柱状部を有しており、
　上記一方のプレート及び上記他方のプレートの連結状態を維持するバネ部材をさらに備え、
　上記柱状部が、その側面に、上記柱状部の頂部の側面より中心軸方向に窪み、連結状態で上記バネ部材が係合する切欠を有し、
　上記バネ部材が、連結状態で上記柱状部をその中心軸方向に付勢するツール交換装置。
　上記柱状部が、その中心軸を挟んで対向する一対の切欠を有し、
　上記切欠が、
　上記柱状部の側面から中心軸方向に延びる一対の側壁と、
　上記一対の側壁の上記中心軸側の端縁を連結する底壁とを有し、
　上記一対の側壁の間隔が、上記底壁に向かって狭くなっている請求項１に記載のツール交換装置。
　上記バネ部材が、板バネであり、
　上記柱状部の中心軸に平行な平面部を有し、
　上記平面部の幅が、上記底壁における上記一対の側壁の間隔よりも大きい請求項２に記載のツール交換装置。
　上記一方のプレートが、連結状態で上記バネ部材の一部が露出する窓部を有し、
　上記バネ部材の一部を上記窓部の外側から内側方向に押圧することで、上記バネ部材の上記切欠への係合を解除する請求項１、請求項２又は請求項３に記載のツール交換装置。
　上記柱状部の頂部が、頂面から下方に拡径するテーパ部を有する請求項１から請求項４のいずれか１項に記載のツール交換装置。
　上記マスタプレート及び上記ツールプレートが、連結状態で互いに電気的に接続される通信用コネクタをそれぞれの内部に有する請求項１から請求項５のいずれか１項に記載のツール交換装置。