WO2022249375A1

WO2022249375A1 - 車載電気装置の筐体に取り付けられた部品の防振構造

Info

Publication number: WO2022249375A1
Application number: PCT/JP2021/020134
Authority: WO
Inventors: 実中倉
Original assignee: 日産自動車株式会社
Priority date: 2021-05-27
Filing date: 2021-05-27
Publication date: 2022-12-01

Abstract

防振構造は、車載された電気装置（１）の筐体（１０）に取り付けられた部品（５）の振動を防止する。防振装置は、筐体（１０）と、筐体（１０）内の電気部品（２）に電気的に接続された、筐体（１０）の表面に設置されたコネクタ（３）と、コネクタ（３）に接続されるハーネス（４）と、筐体（１０）の表面に取り付けられた部品（５）と、を備えている。ハーネス（４）の一部は、部品（５）に固定されている。

Description

車載電気装置の筐体に取り付けられた部品の防振構造

　本発明は、車載された電気装置の筐体に取り付けられた部品の防振構造[vibration-proof structure for a part attached to a housing of an electrical device installed on a vehicle]に関する。

　下記特許文献１は、車載インバータ用防振装置を開示している。当該防振装置は、車載されたインバータの振動を抑制する。下記特許文献２は、回転電機ユニットを開示している。回転電機ユニットは、ケース本体と蓋とからなるケースを有している。ケース本体に第１及び第２回転電機が収納され、ケース本体の開口が蓋によって閉じられる。蓋は振動しやすく騒音源となるので、蓋を防振するために蓋に結合部品がボルトによって締結される。

日本国特開２０１５－２２７１２８号日本国特開２０１７－０９３１７０号

　特許文献２では、蓋を防振するための結合部品が必要となるため、部品点数が多くなるという課題が残る。本発明の目的は、車載された電気装置の筐体に取り付けられた部品の防振を、部品点数を増やすことなく行うことのできる防振構造を提供することにある。

　本発明の特徴に係る防振装置は、車載電気装置の筐体に取り付けられた部品の振動を抑制する。防振装置は、筐体の表面に設置されたコネクタ、及び、このコネクタに接続されるハーネスも備えている。ハーネスの一部は、上述した部品に固定されている。

　上記特徴によれば、車載電気装置の筐体に取り付けられた部品の防振を、部品点数を増やすことなく行うことができる。

図１は、実施形態に係る防振構造の斜視図である。図２は、上記構造の部品（衝突プロテクタ）の斜視図である。図３は、上記構造の要部を示す拡大斜視図である。図４は、上記要部の分解拡大斜視図である。図５は、上記要部の断面図である。

　以下、図１～図５を参照しつつ実施形態に係る防振構造について説明する。この防振構造は、車載された電気装置１の筐体[housing]１０に取り付けられた部品５の振動を抑制防止する。

　図１に示されるように、電気装置１は、インバータユニットが統合されたモータユニットである。電気装置１は、車両に搭載されており、電力により車両を走行させる駆動力を発生する。電気装置１の内部には、車両を駆動するための強電[high voltage]モータ２ａやインバータ装置２ｂなどの電気部品[electrical components]２が収納されている。本実施形態の電気部品２は、高電圧を扱う強電電気部品である。本実施形態では、強電モータ２ａの回転軸が車両の前後方向と平行になるように、電気装置１が車両前部のモータルーム内に搭載されている。

　電気装置１の筐体１０は、強電モータ２ａを収納する下部筐体１０ｂと、インバータ装置２ｂを収納する上部筐体１０ａとを備えている。電気装置１は、車載された強電バッテリからの直流電力をインバータ装置２ｂで交流電力に変換してモータを駆動する（インバータ機能）。また、電気装置１は、インバータ装置２ｂを用いて、モータで回生発電された電力で強電バッテリを充電することもできる（コンバータ機能）。

　上部筐体１０ａの表面には、内部のインバータ装置２ｂに電気的に接続されたコネクタ３が設置されている。コネクタ３は、メスコネクタであり、車両の前方に向けられている。コネクタ３には、インバータ装置２ｂへの電力供給及び信号通信のためのハーネス[wiring harness]４が接続されている。ハーネス４は、筐体１０の表面に沿って配索されている。ハーネス４の端部にはオスコネクタが取り付けられており、このオスコネクタが上述したコネクタ３に接続される。ハーネス４は、弱電[low voltage]ハーネスであり、分岐されて強電モータ２ａの制御のために下部筐体１０ｂに設けられたコネクタにも接続されている。

　ただし、強電モータ２ａの駆動は、図示されない強電ハーネスによって供給される高電圧によって行われる。本実施形態の電気装置１は、インバータユニットが統合されたモータユニットである。このため、強電モータ２ａとインバータ装置２ｂとは、電気装置１の内部でバスバーによって電気的に接続されており、強電モータ２ａとインバータ装置２ｂとを電気的に接続する強電ハーネスは不要である。

　なお、強電バッテリや上述した強電モータ２ａなどの強電部品[high voltage components]は、高電圧（６０Ｖ以上）を用いるので、ボディアース[body grounding]ではなく専用のアース線を備えた特別な電気系統である。このため、強電部品は特別な強電ハーネスによって電気的に接続される。一方、弱電バッテリや上述したハーネス４などの弱電部品は、従来の１２Ｖシステムに用いられるものであり、基本的にはボディアースが用いられている。

　下部筐体１０ｂの上部には、部品５がボルト６によって固定されている。部品５は、車両の前突時（フルラップ衝突及びオフセット衝突）に筐体１０を保護する衝突プロテクタである。車両の前突時には、車体前部が潰れて衝突エネルギーを吸収するが、車体前部の潰れに伴って車体前部は電気装置１に向けて相対的に後方に移動する。このとき、部品５は、後方移動する部材や部品と接触して、後方移動する部材や部品が筐体１０と直接接触しないように筐体１０を保護する。

　上述したように、強電モータ２ａやインバータ装置２ｂは強電電力を利用するので、電気装置１は強電部品である。強電電力を利用しているため、前突時に筐体１０が破損してその内部が露出することを回避する必要がある。このため、前突時の筐体１０の破損を回避するために、部品５、即ち、衝突プロテクタが筐体１０の前部表面に取り付けられている。

　部品５は、図２に示されるように、金属板をプレス加工した３つの部品で構成されている。部品５は、前板５ａ、中板５ｂ及び後板５ｃからなり、これらが互いに接合されている。図２中、右方が車両前方である。

　このように、部品５は、前板５ａ、中板５ｂ及び後板５ｃによって閉断面を形成しており、車両前突時の前方からの衝突荷重に対して強度及び剛性を確保している。また、前板５ａの下部には、上述したボルト６が挿通されるボルト孔５０ａが形成されている。部品５は、このボルト孔５０ａで下部筐体１０ｂに固定されるため、ボルト孔５０ａの後方には中板５ｂ及び後板５ｃは存在しない。さらに、前板の中央部には、上述したハーネス４の一部を固定するための取付孔５０ｂが形成されている（図３及び図４も参照）。

　部品５は、図３及び図４に示されるように、下部筐体１０ｂに形成された固定部１０ｃに、ボルト６によって固定される。そして、図５に示されるように、ハーネス４の一部が取付孔５０ｂに固定される。ハーネス４には、固定用のストラップ４０が取り付けられており、このストラップ４０にはクランパ４０ａが形成されている。このクランパ４０ａを取付孔５０ｂに押し込む[snap on]ことで、ハーネス４が部品５に固定される。

　部品５は、車両の加速時に強電モータ２ａの発生する振動によって振動すると、この振動によって騒音が発生する可能性がある。そこで、本実施形態では、部品５にハーネス４の一部を固定することで、部品５の実質的な質量を増やして、共振点をずらすことで部品５の振動を抑制している。これと同時に、ハーネス４は、その一部が部品５に固定されることで拘束され、騒音源となることが防止される。

　ここで、ハーネス４の部品５への取付位置である取付孔５０ｂの位置は、部品５の振動の最大振幅の位置、即ち、部品５の振動の腹[antinode]の位置である。取付孔５０ｂを振動の腹の位置に設定することで、部品５の振動を効果的に抑制することができる。

　衝突プロテクタである部品５に取り付けられるハーネス４は、強電ハーネスではなく上述したように弱電ハーネスである。強電ハーネスは、高電圧電流が流れるためその被覆も頑丈に作られており、剛性も高い。このため、仮にハーネス４が強電ハーネスであると、車両前突時に後方に相対移動する部材や部品が部品５と干渉する際に、強電ハーネスが部品５による筐体１０の保護を阻害してしまう可能性がある。

　しかし、本実施形態では、部品５の振動を抑制するために部品５に固定されるハーネス４は弱電ハーネスであり、強電ハーネスよりも柔軟である。このため、車両前突時に後方に相対移動する部材や部品が部品５と干渉する際に、弱電ハーネスであるハーネス４が部品５による筐体１０の保護を阻害するようなことがない。

　本実施形態によれば、内部に電気部品２を収納する電気装置１の筐体１０の表面に設置されたコネクタ３に接続されるハーネス４の一部が、筐体１０の表面に取り付けられた部品５に固定される。このため、ハーネス４を利用して部品５の防振を行うため、部品点数を増やすことなく行うことができる。また、ハーネス４も部品５によって拘束されるのでハーネス４自体が振動や騒音の原因となることもない。さらに、部品５の防振のために特別な部品を設ける必要がないので、電気装置１のコスト上昇、重量増加及び大型化も回避することができる。

　また、本実施形態では、部品５の振動の腹の位置にハーネス４の一部が固定されている。このため、部品５の振動をより効果的に抑制することができる。

　また。本実施形態では、電気部品２が強電電気部品（強電モータ２ａ及びインバータ装置２ｂ）であり、部品５が、衝突プロテクタである。したがって、部品５によって、車両の前突時に電気装置１の筐体１０の破損を防止することができ、高電圧部品が露出するのを防止することができる。

　ここで、ハーネス４は弱電ハーネスである。弱電ハーネスは強電ハーネスよりも柔軟であり、車両の前突時にハーネス４が部品５による筐体１０の保護を阻害するようなことがない。

　なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態の部品５は、衝突プロテクタであり、車両前部に搭載された電気装置１の筐体１０の前部に取り付けられて車両の前突時に筐体１０を保護するものであった。しかし、電気装置１が車両後部に搭載され、衝突プロテクタとしての部品５が筐体１０の後部に取り付けられて車両の後突時に筐体１０を保護するものでもよい。あるいは、衝突プロテクタとしての部品５が筐体１０の側部に取り付けられて車両の側突時に筐体１０を保護するものでもよい。

１　電気装置
１０　筐体
１０ａ　上部筐体
１０ｂ　下部筐体
２　電気部品
２ａ　強電モータ
２ｂ　インバータ装置
３　コネクタ
４　ハーネス
５　部品（衝突プロテクタ）
５０ｂ　取付孔（ハーネス４の固定位置）

Claims

　車載電気装置の筐体に取り付けられた部品の防振構造であって、
　内部に電気部品を収納する、前記電気装置の前記筐体と、
　前記電気部品に電気的に接続された、前記筐体の表面に設置されたコネクタと、
　前記コネクタに接続されるハーネスと、
　前記筐体の前記表面に取り付けられた部品と、を備えており、
　前記ハーネスの一部が、前記部品に固定されている、防振構造。
　請求項１に記載の防振構造であって、
　前記ハーネスは、前記筐体の表面に沿って配索されている、防振構造。
　請求項１又は２に記載の防振構造であって、
　前記部品の振動の腹の位置に前記ハーネスの前記一部が固定されている、防振構造。
　請求項１～３の何れかに記載の防振構造であって、
　前記電気部品が強電電気部品であり、
　前記部品が、車両の衝突時に車体の潰れに伴って前記電気装置に向けて相対的に移動する部品又は部材と前記筐体との干渉を防止する衝突プロテクタである、防振構造。
　請求項４に記載の防振構造であって、
　前記ハーネスが、弱電ハーネスである、防振構造。