WO2022202245A1

WO2022202245A1 - パネル取付型コネクタ

Info

Publication number: WO2022202245A1
Application number: PCT/JP2022/009660
Authority: WO
Inventors: 太河加登山; 裕馬間宮
Original assignee: 住友電装株式会社
Priority date: 2021-03-25
Filing date: 2022-03-07
Publication date: 2022-09-29
Also published as: US20240170885A1; CN116918195A; JP2022149207A

Abstract

パネル取付型コネクタ１０は、前面視で円形のコネクタ取付孔２を有するパネル１に取り付けられるパネル取付型コネクタ１０であって、ハウジング２０と、シールリング８０と、を備え、パネル嵌合部３０は、ロック突部５を受け入れるロック受け部３１と、シールリング８０が装着されるシール装着部３２と、を有し、シール装着部３２は、パネルフード３の内周面との間でシールリング８０を圧縮する第１シール面３５と、パネルフード３の後端部との間でシールリング８０を圧縮する第２シール面３６と、を有し、ロック受け部３１の外周面は第１シール面３５と面一に連続しており、圧縮されたシールリング８０の弾性によってロック突部５とロック受け部３１が当接するとともに、ロック突部５とロック受け部３１の間に生じる摩擦力によってハウジング２０がパネル１に固定されている。

Description

パネル取付型コネクタ

　本開示は、パネル取付型コネクタに関する。

　自動車のボディやドアなどのパネルに取り付けられるパネル取付型のコネクタとして、例えば特表２０１５－５２０４７４号公報（下記特許文献１）に記載のコネクタが知られている。このコネクタは、一方の端部に配された挿入部分と、他方の端部に配された外側部分と、挿入部分と外側部分の間に配された中間部分と、を有する。挿入部分は、円筒状をなす円形壁を有し、円形壁の外側表面には係合部材が配置されている。一方、パネルの開口部には係合部材が進入するスロットが設けられており、パネルにおけるスロットに隣接する位置には係合リップが設けられている。コネクタの挿入部分が開口部に挿入されて回転されると、係合部材と係合リップが係合することでコネクタがパネルに固定される。

　中間部分は、中間部分の全周から径方向外側に延在するフランジを有している。フランジの径方向内側には環状表面が設けられ、フランジの径方向外側にはチャネルが設けられている。チャネル内には環状封止ガスケットが配置されている。環状封止ガスケットは、チャネルの内周側を構成する内壁とパネルの環状リブとの間で径方向に圧縮されることでパネルの内部を止水する。

特表２０１５－５２０４７４号公報

　上記のコネクタでは、環状封止ガスケットが配置されるチャネルが円形壁の外周側に配置されているため、環状封止ガスケットが円形壁の外側表面に配置されるコネクタよりも大きくなる。仮に、環状封止ガスケットが円形壁の外側表面に配置されるように変更した場合、係合部材の配置を円形壁の外側表面以外の場所に変更する必要があり、コネクタを小型化する上で検討が十分に行われていなかった。また、環状封止ガスケットとチャネルによるシール構造では径方向のがたつきを抑制できたとしても、軸方向のがたつきを抑制できないため、十分にがたつきを抑制できる構造とはいえず、防水性に与える影響も考慮されていなかった。

　本開示のパネル取付型コネクタは、前面視で円形のコネクタ取付孔を有するパネルに取り付けられるパネル取付型コネクタであって、ハウジングと、シールリングと、を備え、前記パネルは、前記コネクタ取付孔の外周縁部から後方に突出するパネルフードと、前記コネクタ取付孔を構成する内壁から内周側に突出するロック突部と、を有し、前記ハウジングは、前記コネクタ取付孔の内壁に嵌合するパネル嵌合部と、前記パネル嵌合部から前方に突出して設けられたコネクタフードと、を有し、前記パネル嵌合部は、前記ロック突部を受け入れるロック受け部と、前記シールリングが装着されるシール装着部と、を有し、前記シール装着部は、前記パネルフードの内周面との間で前記シールリングを圧縮する第１シール面と、前記パネルフードの後端部との間で前記シールリングを圧縮する第２シール面と、を有し、前記ロック受け部の外周面は前記第１シール面と面一に連続しており、圧縮された前記シールリングの弾性によって前記ロック突部と前記ロック受け部が当接するとともに、前記ロック突部と前記ロック受け部の間に生じる摩擦力によって前記ハウジングが前記パネルに固定されている、パネル取付型コネクタである。

　本開示によれば、高い防水性を確保しつつ、がたつきを抑えてハウジングを小型化できる。

図１は、取付完了位置にあるパネル取付型コネクタを斜め前方から見た斜視図である。図２は、取付完了位置にあるパネル取付型コネクタを斜め後方から見た斜視図である。図３は、取付完了位置にあるパネル取付型コネクタの正面図である。図４は、取付完了位置にあるパネル取付型コネクタの背面図である。図５は、図３のＡ－Ａ断面図である。図６は、図５の一部拡大断面図である。図７は、図３のＢ－Ｂ断面図である。図８は、取付完了位置にあるパネル取付型コネクタの側面図である。図９は、図８のＣ－Ｃ断面図である。図１０は、図８のＤ－Ｄ断面図である。図１１は、取付開始位置にあるパネル取付型コネクタの正面図である。図１２は、図１１のＥ－Ｅ断面図である。図１３は、図１１のＦ－Ｆ断面図である。図１４は、取付開始位置にあるパネル取付型コネクタの背面図である。図１５は、取付開始位置にあるパネル取付型コネクタの側面図である。図１６は、図１５のＧ－Ｇ断面図である。図１７は、図１５のＨ－Ｈ断面図である。図１８は、パネル取付型コネクタの構成部品を斜め前方から見た分解斜視図である。図１９は、パネル取付型コネクタの構成部品を斜め後方から見た分解斜視図である。図２０は、パネルの背面図である。図２１は、前面視で右上の係止構造を拡大して示した拡大斜視図である。図２２は、取付完了位置にあるパネル取付型コネクタを斜め下方から見た斜視図である。図２３は、図２２の一部を拡大して示した拡大斜視図である。

［本開示の実施形態の説明］
　最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
　本開示のパネル取付型コネクタは、
（１）前面視で円形のコネクタ取付孔を有するパネルに取り付けられるパネル取付型コネクタであって、ハウジングと、シールリングと、を備え、前記パネルは、前記コネクタ取付孔の外周縁部から後方に突出するパネルフードと、前記コネクタ取付孔を構成する内壁から内周側に突出するロック突部と、を有し、前記ハウジングは、前記コネクタ取付孔の内壁に嵌合するパネル嵌合部と、前記パネル嵌合部から前方に突出して設けられたコネクタフードと、を有し、前記パネル嵌合部は、前記ロック突部を受け入れるロック受け部と、前記シールリングが装着されるシール装着部と、を有し、前記シール装着部は、前記パネルフードの内周面との間で前記シールリングを圧縮する第１シール面と、前記パネルフードの後端部との間で前記シールリングを圧縮する第２シール面と、を有し、前記ロック受け部の外周面は前記第１シール面と面一に連続しており、圧縮された前記シールリングの弾性によって前記ロック突部と前記ロック受け部が当接するとともに、前記ロック突部と前記ロック受け部の間に生じる摩擦力によって前記ハウジングが前記パネルに固定されている、パネル取付型コネクタである。

　シールリングは、第１シール面とパネルフードの内周面との間で圧縮されることで軸シールとして機能するとともに、第２シール面とパネルフードの後端部との間で圧縮されることで面シールとして機能する。このように軸シールと面シールを併用することで、高い防水性を確保できる。また、圧縮されたシールリングの弾性によってロック突部とロック受け部が当接しているから、がたつきを抑制できる。さらに、ロック受け部の外周面が第１シール面と面一に連続しているから、ロック受け部が第１シール面の高さ範囲内に配されることになり、ハウジングを小型化できる。

（２）前記ハウジングは、前記パネルに対して取付開始位置と取付完了位置の間で回動可能とされており、前記ロック突部と前記ロック受け部の一方は係止部を有し、他方は前記係止部に係止することで前記ハウジングが前記取付完了位置から前記取付開始位置に回動することを抑制する被係止部を有することが好ましい。
　ハウジングは、ロック突部とロック受け部の間に生じる摩擦力によって取付完了位置に保持されているが、摩擦力を超える大きな力を受けた場合には取付完了位置から取付開始位置に回動しうる。そこで、ロック突部とロック受け部の一方に係止部が設けられ、他方に被係止部が設けられ、係止部と被係止部が係止することで取付開始位置への回動を抑制できる。

（３）前記パネル嵌合部は前面視で円形とされ、前記コネクタフードは前面視で方形とされ、前面視における前記コネクタフードの対角寸法は、前記パネル嵌合部の直径以下でかつ前記パネル嵌合部の直径と同程度の寸法とされており、前記コネクタフードの外周面は、４つの平面とこれらを互いに連結する４つの曲面とを備えて構成され、前記ロック受け部は、前記ロック突部を進入させて前記ハウジングを前記取付開始位置に位置させる入口を有し、前記入口は、前面視で前記平面に対応する位置に設けられていることが好ましい。
　コネクタフードの対角寸法がパネル嵌合部の直径以下でかつパネル嵌合部の直径と同程度の寸法とされることで、パネル嵌合部を最小化できる。また、ロック受け部の入口が前面視でコネクタフードの平面に対応する位置に設けられているから、コネクタフードの平面とロック受け部の外周面との間の領域を有効活用してロック受け部の入口を設けることができる。

（４）前記ハウジングは、前記コネクタ取付孔に後方から挿入され、前記コネクタフードが前記パネルから前方に突出した姿勢で前記パネルに固定されていることが好ましい。
　ハウジングがコネクタ取付孔に後方から挿入されているから、ハウジングがコネクタ取付孔の前方に脱落することを抑制できる。

［本開示の実施形態の詳細］
　本開示のパネル取付型コネクタ１０の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

［パネル取付型コネクタの構成］
　本開示のパネル取付型コネクタ１０は、パネル１に取り付けられるコネクタであって、図１８および図１９に示すように、ハウジング２０と、シールリング８０と、を備えている。パネル１には、コネクタ取付孔２が設けられている。パネル取付型コネクタ１０はコネクタ取付孔２に挿入された状態でパネル１に予め取り付けられた待受け側コネクタとされている。パネル取付型コネクタ１０はコネクタ取付孔２に対して後方から挿入され、後面視で時計回り方向に回動されることでパネル１に取り付けられる。ここでいう後方とは図５においてパネル１の図示右側のことであり、パネル取付型コネクタ１０はパネル１の図示右側から図示左側に向けて挿入される。

［パネルの構成］
　パネル１は、図１９に示すように、コネクタ取付孔２の外周縁部から後方に突出するパネルフード３と、コネクタ取付孔２を構成する内壁４から内周側に突出する複数のロック突部５と、を有する。パネルフード３は、図２０に示すように、後面視で円形の筒状とされ、コネクタ取付孔２と同軸に配置されている。複数のロック突部５は、コネクタ取付孔２の中心に向かって径方向内側に突出し、等角度間隔で配置されている。本実施形態では４つのロック突部５が、誤結防止を目的として異なる形状で設けられている。

　図１８に示すように、前面視で右上のロック突部５は、前方にわずかに突出する係止部６を有している。前面視で左下のロック突部５は、前方にわずかに突出する係止部６と、前方に大きく突出する回り止め部７と、を有している。左下のロック突部５は、コネクタ取付孔２の内壁４と平行をなすように周方向にのびており、周方向の一端に係止部６が配され、周方向の他端に回り止め部７が配されている。

［シールリングの構成］
　シールリング８０は、ゴムなどの弾性部材であって、円環状で二重筒状に構成されている。シールリング８０は、二重筒の内周側に位置する軸シール８１と、二重筒の外周側に位置する保護壁８２と、軸シール８１の後端と保護壁８２の後端とを連結する面シール８３と、を備えて構成されている。面シール８３は、全周にのびる形態とされている。図１２に示すように、シールリング８０の断面は、軸シール８１と面シール８３と保護壁８２とによって前方に開口する形状とされている。

　軸シール８１の外周側には複数条のリップ８４が設けられている。リップ８４は、全周にわたって周方向にのびる形態とされている。本実施形態では２条のリップ８４が軸方向に間隔をあけて平行に並んで設けられている（図５、図６参照）。

［ハウジングの構成］
　ハウジング２０は、図５に示すように、コネクタ取付孔２の内壁４に嵌合するパネル嵌合部３０と、パネル嵌合部３０から前方に突出して設けられたコネクタフード４０と、図示しない端子を収容する端子収容部５０と、を有している。ハウジング２０は合成樹脂製であって、パネル嵌合部３０とコネクタフード４０と端子収容部５０とを一体に備えた構成とされている。

［コネクタフードの構成］
　コネクタフード４０は前方に開口する形態をなし、図１に示すように、前面視で横長の方形とされている。コネクタフード４０の内部には、図示しない相手側コネクタが嵌合可能とされている。コネクタフード４０の外周面は、図３に示すように、対向する２つの長辺部に位置する第１平面４１と、対向する２つの短辺部に位置する第２平面４２と、これらの平面４１、４２を互いに連結する４つの曲面４３と、を備えて構成されている。

　パネル嵌合部３０は、図３に示すように、前面視で円形とされている。パネル嵌合部３０の直径は、コネクタフード４０の対角寸法（対角に位置する２つの曲面４３間の寸法）よりわずかに大きい。言い換えると、コネクタフード４０の対角寸法は、パネル嵌合部３０の直径以下でかつパネル嵌合部３０の直径と同程度の寸法とされている。

　仮にパネル嵌合部の直径がコネクタフードの対角寸法より小さくなると、これに伴ってコネクタ取付孔の内径も小さくなるため、コネクタフードをコネクタ取付孔に対して後方から挿入できなくなってしまう。したがって、パネル嵌合部３０は、コネクタフード４０をコネクタ取付孔２に対して後方から挿入する上で最も小型化されているといえる。

［端子収容部の構成］
　端子収容部５０は、図５に示すように、図示しない端子を収容するキャビティ５１を有している。キャビティ５１を構成する内壁には、ランス５２が設けられている。ランス５２は、片持ち状をなして前方に突出する形態とされている。端子収容部５０の前端部は、コネクタフード４０の奥壁から前方に突出している。この突出した部分にはフロントリテーナ６０が装着されている。フロントリテーナ６０は、ランス５２の撓み空間に入り込む係止片６１を有している。係止片６１によりランス５２の撓み変形が抑制され、ランス５２による係止とともに端子の二次係止が行われる。

　フロントリテーナ６０の前面にはムービングプレート７０が装着されている。ムービングプレート７０は、前後方向に移動可能とされている。ムービングプレート７０は、図示しない端子のタブを挿通させる挿通孔７１を有している（図３参照）。挿通孔７１にタブが挿通されることでタブの位置決めが行われ、これにより相手側コネクタとの嵌合初期に相手側端子とタブが円滑に嵌合して接続されるようになっている。ムービングプレート７０は、嵌合初期にはタブの前端部のみが挿通孔７１に挿通された状態となっており、相手側コネクタとの嵌合が進行するにつれて後方に押し込まれ、嵌合完了時にはフロントリテーナ６０の前面に至る。

［パネル嵌合部の構成］
　パネル嵌合部３０は、図５に示すように、コネクタ取付孔２の内壁４に沿って嵌合するロック受け部３１と、パネルフード３の内周側に進入するシール装着部３２と、を有している。パネル嵌合部３０の内部には、端子収容部５０が前後方向に貫通する形態で配置されている。端子収容部５０の前端は、ロック受け部３１の前端より前方に位置している。

　シール装着部３２の後端には、外周側に張り出すフランジ３３が設けられている。フランジ３３は、図２に示すように、全周にのびて設けられている。フランジ３３の後面には、三角形のマーク３４が設けられている。一方、パネル１の後面にも、三角形のマーク８が設けられている。２つのマーク８、３４の頂点同士が向き合って位置が揃うと、パネル取付型コネクタ１０の回動操作が完了し、ロック動作が完了したタイミングがわかるようになっている。

［シールリングの止水構造］
　シール装着部３２は、図５に示すように、シールリング８０の軸シール８１が装着される第１シール面３５と、シールリング８０の面シール８３が装着される第２シール面３６と、を有している。第２シール面３６は、フランジ３３の前面であって、パネルフード３の後端部と対向する配置とされている。

　図６に示す二点鎖線は、シールリング８０が圧縮される前の形状を示している。シールリング８０がシール装着部３２に装着された後、パネル取付型コネクタ１０がパネル１に取り付けられた状態では、軸シール８１がパネルフード３の内周面と第１シール面３５との間に圧縮されてリップ８４が潰れるとともに、面シール８３がパネルフード３の後端部と第２シール面３６との間に圧縮される。

　この結果、軸シール８１と面シール８３の双方で止水が行われることになり、例えば耐高圧洗浄性といった高い防水性を発揮できる。さらに、圧縮された軸シール８１の弾性によって径方向のがたつきを抑えるとともに、圧縮された面シール８３の弾性によって前後方向（相手側コネクタとの嵌合方向）のがたつきを抑えることにより、シールリング８０の落ち込みを抑制し、安定した防水性を保証できる。

　保護壁８２は、パネルフード３の外周面から離間しており、止水の役割を果たしていないが、例えば高圧洗浄時に高圧水が面シール８３に直撃することを防ぐ役割を果たしている。また、保護壁８２は、シールリング８０がシール装着部３２に装着される前の状態では、軸シール８１と面シール８３がむき出しになって損傷することを回避し、異物などが付着することを防ぐ役割を果たしている。保護壁８２は、フランジ３３の外周面（第２シール面３６の外周縁）よりも径方向内側に配されている。

［パネルとハウジングのロック構造］
　ロック受け部３１は、図１８に示すように、パネル嵌合部３０の一部を除肉することによって形成されている。ロック受け部３１は、パネル１のロック突部５の位置に対応して複数設けられている。本実施形態では４つのロック受け部３１が設けられている。ロック受け部３１は、ロック突部５と前後方向に当接可能な当接部３７と、ロック突部５を当接部３７に当接可能な位置に進入させる進入溝３８と、を有している。ロック受け部３１の外周面は、第１シール面３５と面一に連続している。したがって、ロック受け部３１は、第１シール面３５の高さ範囲内に収められ、ハウジング２０の小型化に貢献している。

　進入溝３８は周方向にのびる形態とされ、進入溝３８の入口３８Ａは前方に開口している。入口３８Ａを構成するコネクタフード４０側の平面は、コネクタフード４０の第１平面４１と面一に連続している。ロック突部５は、図９および図１６に示すように、ハウジング２０の回動に伴って進入溝３８の始端から終端に向かって移動する。

　図１６に示すように、パネル１の各ロック突部５がパネル嵌合部３０の各入口３８Ａを通って各進入溝３８に配置されると、ハウジング２０が図１１に示す取付開始位置に配置される。取付開始位置では、図１３に示すように、シールリング８０の面シール８３がパネルフード３の後端部に押し込まれておらず、図１４に示すように、各マーク８、３４の頂点同士は一致していない。

　ハウジング２０を取付開始位置から取付完了位置に向けて回動させて各ロック突部５を各進入溝３８に進入させるには、パネルフード３の後端部を面シール８３に押し込む必要がある。各ロック突部５が各進入溝３８に進入すると、パネルフード３の後端部と第２シール面３６の間で圧縮された面シール８３の弾性によって各ロック突部５が各当接部３７に後方から当接し、ハウジング２０の回動に伴って各ロック突部５が各当接部３７に摺接する。

　パネル１は、図１１に示すように、前面視で右上に配置された１つの係止部６と、前面視で左下に配置された１つの係止部６と、を備えている。ロック受け部３１には、一対の係止部６に対応して一対の被係止部３９が設けられている（図１７および図１９参照）。

　右上の係止部６は、ハウジング２０が図１７に示す取付開始位置から図１０に示す取付完了位置に回動する間、当接部３７に乗り上げた状態で摺接し、取付開始位置に至ると、対応する被係止部３９と係止可能な位置に至る（図２１参照）。一方、左下の係止部６は、図７、図２２および図２３に示すように、対応する被係止部３９と係止可能な位置に至る。

　係止部６の角部にはテーパ面９が設けられている。ハウジング２０をパネル１に対して回動させる際には、まずテーパ面９が当接部３７に摺接することでロック突部５が当接部３７に乗り上げやすいようになっている（図１５参照）。

　パネル１の回り止め部７は、ハウジング２０が図１７に示す取付開始位置から図１０に示す取付完了位置に至ると、当接部３７に当接することでハウジング２０の回動を停止させる（図８、図２２および図２３参照）。ハウジング２０が取付完了位置に至ったことは、図４に示すように、各マーク８、３４の頂点同士が一致することによっても判断できる。

　ハウジング２０が取付完了位置に至った状態では、パネルフード３の後端部と第２シール面３６の間で圧縮された面シール８３の弾性によって各ロック突部５が各当接部３７に当接し、各ロック突部５と各当接部３７の間で発生する摩擦力によってハウジング２０がパネル１に対して回動しない状態で固定される。

［パネル取付型コネクタの動作説明］
　次に、パネル取付型コネクタ１０の動作説明を行う。パネル取付型コネクタ１０をパネル１に取り付けるには、図１１に示すように、前面視で各ロック突部５が各入口３８Ａに位置するようにハウジング２０を配置しておき、パネル嵌合部３０をコネクタ取付孔２に後方から挿入する。すると、図１２に示すように、パネル嵌合部３０のロック受け部３１がコネクタ取付孔２の内壁４に沿って嵌合し、パネルフード３の内周側にシールリング８０の軸シール８１が嵌合する。これにより、軸シール８１は、パネルフード３の内周面とシール装着部３２の第１シール面３５との間で径方向に圧縮されて各リップ８４が潰れた状態となる。このとき、面シール８３は、パネルフード３の後端部とシール装着部３２の第２シール面３６との間で前後方向に圧縮されていない。

　各ロック突部５が各入口３８Ａを通って進入溝３８の始端に配置されると、ハウジング２０は取付開始位置に配置される。ハウジング２０を取付開始位置から取付完了位置に向けて回動させると、各ロック突部５のテーパ面が各当接部３７に摺接しつつ各ロック突部５が各当接部３７に乗り上げる。この乗り上げに伴って面シール８３がパネルフード３の後端部とシール装着部３２の第２シール面３６との間で前後方向に圧縮され、ハウジング２０の回動に伴って各ロック突部５と各当接部３７が摺接する。ハウジング２０が取付完了位置に至ると、各ロック突部５と各当接部３７の間で発生する摩擦力によってハウジング２０が取付完了位置に保持されるとともに、各係止部６が各被係止部３９に係止可能な状態となる。この状態でハウジング２０が取付完了位置から取付開始位置に向かう方向に力がかかったとしても、各係止部６が各被係止部３９に係止することでハウジング２０の不意な回動は抑制される。

［パネル取付型コネクタの作用効果］
　本開示のパネル取付型コネクタ１０は、前面視で円形のコネクタ取付孔２を有するパネル１に取り付けられるパネル取付型コネクタ１０であって、ハウジング２０と、シールリング８０と、を備え、パネル１は、コネクタ取付孔２の外周縁部から後方に突出するパネルフード３と、コネクタ取付孔２を構成する内壁４から内周側に突出するロック突部５と、を有し、ハウジング２０は、コネクタ取付孔２の内壁４に嵌合するパネル嵌合部３０と、パネル嵌合部３０から前方に突出して設けられたコネクタフード４０と、を有し、パネル嵌合部３０は、ロック突部５を受け入れるロック受け部３１と、シールリング８０が装着されるシール装着部３２と、を有し、シール装着部３２は、パネルフード３の内周面との間でシールリング８０を圧縮する第１シール面３５と、パネルフード３の後端部との間でシールリング８０を圧縮する第２シール面３６と、を有し、ロック受け部３１の外周面は第１シール面３５と面一に連続しており、圧縮されたシールリング８０の弾性によってロック突部５とロック受け部３１が当接するとともに、ロック突部５とロック受け部３１の間に生じる摩擦力によってハウジング２０がパネル１に固定されている、パネル取付型コネクタ１０である。

　シールリング８０は、第１シール面３５とパネルフード３の内周面との間で圧縮されることで軸シール８１として機能するとともに、第２シール面３６とパネルフード３の後端部との間で圧縮されることで面シール８３として機能する。このように軸シール８１と面シール８３を併用することで、高い防水性を確保できる。また、圧縮されたシールリング８０の弾性によってロック突部５とロック受け部３１が当接しているから、がたつきを抑制できる。さらに、ロック受け部３１の外周面が第１シール面３５と面一に連続しているから、ロック受け部３１が第１シール面３５の高さ範囲内に配されることになり、ハウジング２０を小型化できる。

　ハウジング２０は、パネル１に対して取付開始位置と取付完了位置の間で回動可能とされており、ロック突部５とロック受け部３１の一方は係止部６を有し、他方は係止部６に係止することでハウジング２０が取付完了位置から取付開始位置に回動することを抑制する被係止部３９を有することが好ましい。
　ハウジング２０は、ロック突部５とロック受け部３１の間に生じる摩擦力によって取付完了位置に保持されているが、摩擦力を超える大きな力を受けた場合には取付完了位置から取付開始位置に回動しうる。そこで、ロック突部５とロック受け部３１の一方に係止部６が設けられ、他方に被係止部３９が設けられ、係止部６と被係止部３９が係止することで取付開始位置への回動を抑制できる。

　パネル嵌合部３０は前面視で円形とされ、コネクタフード４０は前面視で方形とされ、前面視におけるコネクタフード４０の対角寸法は、パネル嵌合部３０の直径以下でかつパネル嵌合部３０の直径と同程度の寸法とされており、コネクタフード４０の外周面は、２つの第１平面４１と、２つの第２平面４２と、これらを互いに連結する４つの曲面４３と、を備えて構成され、ロック受け部３１は、ロック突部５を進入させてハウジング２０を取付開始位置に位置させる入口３８Ａを有し、入口３８Ａは、前面視で第１平面４１と第２平面４２とに対応する位置に設けられていることが好ましい。
　コネクタフード４０の対角寸法がパネル嵌合部３０の直径以下でかつパネル嵌合部３０の直径と同程度の寸法とされることで、パネル嵌合部３０を最小化できる。また、ロック受け部３１の入口３８Ａが前面視でコネクタフード４０の各平面４１、４２に対応する位置に設けられているから、コネクタフード４０の各平面４１、４２とロック受け部３１の外周面との間の領域を有効活用してロック受け部３１の入口３８Ａを設けることができる。

　ハウジング２０は、コネクタ取付孔２に後方から挿入され、コネクタフード４０がパネル１から前方に突出した姿勢でパネル１に固定されていることが好ましい。
　ハウジング２０がコネクタ取付孔２に後方から挿入されているから、ハウジング２０がコネクタ取付孔２の前方に脱落することを抑制できる。

　＜他の実施形態＞
　（１）上記実施形態では保護壁８２を有するシールリング８０を例示したが、保護壁がないシールリングとしてもよい。

　（２）上記実施形態ではハウジング２０がパネル１に対して回動可能なものを例示したが、例えば撓み可能なロック片を用いてハウジングをパネルに対して後方から押し込むだけでロック突部とロック受け部が当接した状態に保持されるものでもよい。

　（３）上記実施形態では入口３８Ａを構成する底面とコネクタフード４０の平面４１、４２とが面一に連続しているものを例示したが、これらが段差状に連続しているものでもよい。

　（４）上記実施形態ではハウジング２０がコネクタ取付孔２に後方から挿入されるものを例示したが、ハウジング２０がコネクタ取付孔２に前方から挿入されるものでもよい。

１：パネル　２：コネクタ取付孔　３：パネルフード　４：内壁　５：ロック突部　６：係止部　７：回り止め部　８：マーク　９：テーパ面
１０：パネル取付型コネクタ
２０：ハウジング
３０：パネル嵌合部　３１：ロック受け部　３２：シール装着部　３３：フランジ　３４：マーク　３５：第１シール面　３６：第２シール面　３７：当接部　３８：進入溝　３８Ａ：入口　３９：被係止部
４０：コネクタフード　４１：第１平面　４２：第２平面　４３：曲面
５０：端子収容部　５１：キャビティ　５２：ランス
６０：フロントリテーナ　６１：係止片
７０：ムービングプレート　７１：挿通孔
８０：シールリング　８１：軸シール　８２：保護壁　８３：面シール　８４：リップ

Claims

　前面視で円形のコネクタ取付孔を有するパネルに取り付けられるパネル取付型コネクタであって、
　ハウジングと、
　シールリングと、を備え、
　前記パネルは、前記コネクタ取付孔の外周縁部から後方に突出するパネルフードと、前記コネクタ取付孔を構成する内壁から内周側に突出するロック突部と、を有し、
　前記ハウジングは、前記コネクタ取付孔の内壁に嵌合するパネル嵌合部と、前記パネル嵌合部から前方に突出して設けられたコネクタフードと、を有し、
　前記パネル嵌合部は、前記ロック突部を受け入れるロック受け部と、前記シールリングが装着されるシール装着部と、を有し、
　前記シール装着部は、前記パネルフードの内周面との間で前記シールリングを圧縮する第１シール面と、前記パネルフードの後端部との間で前記シールリングを圧縮する第２シール面と、を有し、
　前記ロック受け部の外周面は前記第１シール面と面一に連続しており、
　圧縮された前記シールリングの弾性によって前記ロック突部と前記ロック受け部が当接するとともに、前記ロック突部と前記ロック受け部の間に生じる摩擦力によって前記ハウジングが前記パネルに固定されている、パネル取付型コネクタ。
　前記ハウジングは、前記パネルに対して取付開始位置と取付完了位置の間で回動可能とされており、
　前記ロック突部と前記ロック受け部の一方は係止部を有し、他方は前記係止部に係止することで前記ハウジングが前記取付完了位置から前記取付開始位置に回動することを抑制する被係止部を有する、請求項１に記載のパネル取付型コネクタ。
　前記パネル嵌合部は前面視で円形とされ、前記コネクタフードは前面視で方形とされ、
　前面視における前記コネクタフードの対角寸法は、前記パネル嵌合部の直径以下でかつ前記パネル嵌合部の直径と同程度の寸法とされており、
　前記コネクタフードの外周面は、４つの平面とこれらを互いに連結する４つの曲面とを備えて構成され、前記ロック受け部は、前記ロック突部を進入させて前記ハウジングを前記取付開始位置に位置させる入口を有し、前記入口は、前面視で前記平面に対応する位置に設けられている、請求項２に記載のパネル取付型コネクタ。
　前記ハウジングは、前記コネクタ取付孔に後方から挿入され、前記コネクタフードが前記パネルから前方に突出した姿勢で前記パネルに固定されている、請求項１から請求項３のいずれか１項に記載のパネル取付型コネクタ。