WO2022137956A1

WO2022137956A1 - 歯ブラシ及び歯ブラシの製造方法

Info

Publication number: WO2022137956A1
Application number: PCT/JP2021/042989
Authority: WO
Inventors: 佳薇李; 良輔高井; 雄也木本; 晃大石川
Original assignee: ライオン株式会社
Priority date: 2020-12-24
Filing date: 2021-11-24
Publication date: 2022-06-30
Also published as: CN216932265U; JPWO2022137956A1

Abstract

この歯ブラシは、複数の毛束からなるブラシ部と、植毛面に複数の植毛穴が設けられたヘッド部と、ヘッド部から軸方向へ延在するハンドル部と、を有する歯ブラシ本体と、を備え、歯ブラシ本体は、不透明硬質樹脂部および透明硬質樹脂部を有し、透明硬質樹脂部が、歯ブラシ本体の軸方向の全体の長さに対して５％以上、６０％以下の範囲内である第１領域に設けられているとともに、少なくとも一部が歯ブラシ本体の軸回り全体に設けられている。

Description

歯ブラシ及び歯ブラシの製造方法

本発明は、歯ブラシ及び歯ブラシの製造方法に関するものである。
　本願は、２０２０年１２月２４日に、日本に出願された特願２０２０－２１４８８９に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

　消費者のニーズに応じて、歯ブラシのハンドル形状や色を工夫することによって、歯ブラシの外観魅力度を高める手段は、商業面において有効である。特に、透明硬質樹脂を活用した仕様は、女性や若者に好まれる傾向がある。

　一方で、歯ブラシの機能性の観点からすると、ポリプロピレン（ＰＰ）や、ポリアセタール（ＰＯＭ）などの不透明硬質樹脂は、適度なネックの柔軟性を付与したり、ヘッド部を薄くして口腔内操作性を高めたりできるといった利点がある。

　このため、透明硬質樹脂と不透明硬質樹脂とを組み合わせたデザインとすることで、歯ブラシの強度を確保しつつ、外観魅力度を高めることができる。

　このような歯ブラシとして、例えば、不透明硬質樹脂からなる軸材のうち、ハンドル部に相当する領域が透明な軟質合成樹脂で覆われた構成が開示されている（例えば、特許文献１）。被覆材を軟質剛性樹脂とすることで、ハンドル部におけるすべり止め効果や操作性といった機能を高めつつ外観の魅力度を相乗的に高めた構成となっている。

　また、例えば、不透明硬質樹脂からなる軸材のうち、ハンドル部の末端側における少なくとも表面側に透明硬質樹脂を嵌め込むことで、外観の魅力度を高めた構成が開示されている（例えば、特許文献２）。

国際公開第２００８／１５３０７０号特開２０１８－１９８７９５号公報

　しかしながら、不透明硬質樹脂と透明硬質樹脂とは接着性が悪く、構造的に外れやすい。このため、不透明硬質樹脂に対して島状に透明硬質樹脂を設けた嵌合方式の構造とすることが主流であった。不透明硬質樹脂と透明硬質樹脂とを同時に用いる場合、透明硬質樹脂からなるパーツを、不透明硬質樹脂からなるパーツより厚く成形することによって接着性を高め、不透明硬質樹脂から透明硬質樹脂が外れないようにする必要がある。

　その結果、透明硬質樹脂を不透明硬質樹脂よりも厚く不自然な形で成型することになり、外観の魅力度が低くなってしまう。さらに、このようなデザインの歯ブラシは、ハンドル部のフィット性が低下して、操作性も低下してしまう。

　一方で、透明硬質樹脂の代わりに半透明エラストマーを用いるという手段もあるが、エラストマーの透明性が比較的低いことから、不透明硬質樹脂のうち半透明エラストマーで覆った部分が外側から透けて見え難く、外観の魅力度が高い歯ブラシを創作することができない。また、エラストマー自体が既存の商品に汎用されており、店舗等の商品棚において、他の歯ブラシと比べて新規性がなく、外観のデザインから注目を得ることができない。

　本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、成形不良を防いで歯ブラシとして構造上の強度を確保しつつ、外観魅力度を高めることのできるデザインからなる歯ブラシ及び歯ブラシの製造方法を提供することを目的とする。

　本発明の一態様における歯ブラシは、複数の毛束からなるブラシ部と、植毛面に複数の植毛穴が設けられたヘッド部と、前記ヘッド部から軸方向へ延在するハンドル部と、を有する歯ブラシ本体と、を備え、前記歯ブラシ本体は、不透明硬質樹脂部および透明硬質樹脂部を有し、前記透明硬質樹脂部が、前記歯ブラシ本体の前記軸方向の全体の長さに対して５％以上、６０％以下の範囲内である第１領域に設けられているとともに、少なくとも一部が前記歯ブラシ本体の軸回り全体に設けられている。
　また、第１領域（透明硬質樹脂部）は、前記歯ブラシ本体の軸方向の全体の長さに対して、５％以上、６０％以下の範囲内に設けられていることが好ましく、７．５％以上、４５％以下がより好ましく、１０％以上、３０％以下がさらに好ましい。

　このような構成とすることで、多色成形により構成されるデザイン性の高い歯ブラシを得ることができる。また、透明硬質樹脂部の少なくとも一部を歯ブラシ本体の軸回り全体に設けることによって、不透明硬質樹脂部に対する透明硬質樹脂部の接合強度を高めることが可能である。

　本発明の一態様の歯ブラシにおいて、前記第１領域は、前記透明硬質樹脂部の内部に前記不透明硬質樹脂部の少なくとも一部が存在する第２領域を含む構成としてもよい。

　このような構成とすることで、透明硬質樹脂部から不透明硬質樹脂部が透けて見える構成となり、歯ブラシの美的外観が高められる。

　本発明の一態様の歯ブラシにおいて、前記第１領域は、前記軸方向の少なくとも一部が前記透明硬質樹脂部だけで構成された第３領域を含み、前記第２領域の前記軸方向の長さは、前記第１領域の前記軸方向の長さの３０％以上、９０％以下の範囲内の寸法とされている構成としてもよい。

　このような構成とすることで、第３領域を上記範囲内に設けることによって、歯ブラシのデザイン性がより高められる。

　本発明の一態様の歯ブラシにおいて、前記軸方向における前記不透明硬質樹脂部および前記透明硬質樹脂部の境界位置の軸回りに、前記不透明硬質樹脂部と前記透明硬質樹脂部とが存在する構成としてもよい。

　このような構成とすることで、不透明硬質樹脂部に対する透明硬質樹脂部の軸回りへの回転を防ぐことができる。

　本発明の一態様の歯ブラシにおいて、前記境界位置が軟質樹脂部により覆われている構成としてもよい。

　このような構成とすることで、不透明硬質樹脂部と透明硬質樹脂部との境界位置を水分や衝撃から保護することができ、不透明硬質樹脂部および透明硬質樹脂部の接合状態を長期的に維持することが可能である。

　本発明の一態様の歯ブラシにおいて、前記不透明硬質樹脂のうち、前記透明硬質樹脂部内に存在する第１部位は、前記軸方向に交差する幅方向で最も細くなる最細部と、前記幅方向で最も太くなる最太部と、を有し、前記最太部は、前記最細部よりも前記軸方向の後端側に位置する構成としてもよい。

　このような構成とすることで、デザイン性を高めるだけでなく、不透明硬質樹脂部に対する透明硬質樹脂部の軸方向への抜け止めとして第１部位を機能させることができる。

　本発明の一態様の歯ブラシにおいて、前記最細部の前記幅方向の寸法は、１．５ｍｍ以上、４．０ｍｍ以下が好ましく、１．７ｍｍ以上、３．５ｍｍ以下がより好ましく、２．０ｍｍ以上、３．０ｍｍ以下がさらに好ましい。前記最太部の前記幅方向の寸法は、前記最太部の前記幅方向の寸法は、前記最細部の前記幅方向の寸法の１．５倍以上、６．７倍以下が好ましく、２．０倍以上、５．０倍以下がより好ましく、２．５倍以上、３．５倍以下がさらに好ましい。

　このような構成とすることで、デザイン性を高めるだけでなく透明硬質樹脂部の射出成形時の温度によって第１部位が溶解してしまうのを防ぐことができる。

　本発明の一態様における歯ブラシの製造方法は、複数の毛束からなるブラシ部と、植毛面に複数の植毛穴が設けられたヘッド部と、前記ヘッド部から軸方向へ延在するハンドル部と、を有する歯ブラシ本体と、を備え、前記歯ブラシ本体は、不透明硬質樹脂部および透明硬質樹脂部を含んで構成され、前記歯ブラシ本体の軸方向の全体の長さに対して５％以上、６０％以下の範囲内の第１領域に前記透明硬質樹脂部が設けられているとともに、そのうちの少なくとも一部の透明樹脂が、前記歯ブラシ本体の外周面における軸回りに重なるように設けられており、前記透明硬質樹脂部の射出ゲート痕が、前記透明硬質樹脂部の末端頂点に形成される。
　また、第１領域（透明硬質樹脂部）は、前記歯ブラシ本体の軸方向の全体の長さに対して、５％以上、６０％以下の範囲内に設けられていることが好ましく、７．５％以上、４５％以下がより好ましく、１０％以上、３０％以下がさらに好ましい。

　このような構成とすることで、透明硬質樹脂部の末端頂点に射出ゲート痕が形成されるような金型を用いて製造することによって、透明硬質樹脂部の射出成形時（二次成形時）に圧力がコントロールしやすくなり、一次成形で得た不透明硬質樹脂部の一部が溶解し難くなる。

　本発明では、成形不良を防いで歯ブラシとして構造上の強度を確保しつつ、外観魅力度を高めることのできるデザインからなる歯ブラシ及び歯ブラシの製造方法を提供することができる。

図１は、本発明の一実施形態に係る歯ブラシ１の全体構成を示す正面図である。図２は、本発明の一実施形態に係る歯ブラシ１の全体構成を示す側面図である。図３は、本発明の一実施形態に係る歯ブラシ１の全体構成を示す背面図である。図４は、歯ブラシ本体２を構成する不透明硬質樹脂部２０１及び透明硬質樹脂部２０３を示す正面図である。図５は、歯ブラシ本体２を構成する不透明硬質樹脂部２０１及び透明硬質樹脂部２０３を示す側面図である。図６は、歯ブラシ本体２を構成する不透明硬質樹脂部２０１及び透明硬質樹脂部２０３を示す背面図である。図７は、図２におけるＦ－Ｆ線に沿う断面図である。図８は、図２におけるＧ－Ｇ線に沿う断面図である。図９は、図２におけるＨ－Ｈ線に沿う断面図である。図１０は、歯ブラシ本体２の末端側における分解斜視図である。

　以下、本発明の歯ブラシの実施の形態を、図１～図１０を参照して説明する。
　なお、以下の実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせている。

＜歯ブラシ＞
　本発明の歯ブラシについて、以下に図面を参照して説明する。
　図１は、本発明の一実施形態に係る歯ブラシ１の全体構成を示す正面図である。図２は、本発明の一実施形態に係る歯ブラシ１の全体構成を示す側面図である。図３は、本発明の一実施形態に係る歯ブラシ１の全体構成を示す背面図である。

　図１～図３に示すように、歯ブラシ１は、歯ブラシ本体２とブラシ部３とから構成され、中心軸Ｏに沿って長さを有する長尺形状とされている。本実施形態の歯ブラシは、歯ブラシ本体２が不透明硬質樹脂材料、透明硬質樹脂材料、軟質樹脂材料を組み合わせた仕様になっており、不透明硬質樹脂材料からなる部位が、透明硬質樹脂材料からなる部位から一部透けて見える構成となっている。

［歯ブラシ本体］
　歯ブラシ本体２は、中心軸Ｏに沿って長さを有するハンドル部２１と、ハンドル部２１の先端からハンドル部２１とは反対側へ向かって延設されたネック部２２と、ネック部２２の先端側であってハンドル部２１とは反対側に設けられたヘッド部２３と、を有する。

（ヘッド部）
　ヘッド部２３の幅、即ち正面側から見たときに長軸方向と直交する幅方向の長さ（以下、単に幅と称する）と、軸方向の長さ（以下、単に長さと称する）は、特に限定されない。植毛面２３ａにブラシ部３を設けることのできる面積を十分に確保できればよい。

　ヘッド部２３の最小厚みは、２．０ｍｍ以上であることが好ましく、３．０ｍｍであることがより好ましい。

　ヘッド部２３は、正面側に植毛面２３ａを有している。植毛面２３ａには、複数の植毛穴２３ｂが形成されている。図１に示す本実施形態では、植毛面２３ａに４４個の大きさが大小異なる植毛穴２３ｂが形成されているが、植毛穴２３ｂの個数はこれに限らない。

　各植毛穴２３ｂには、複数の用毛を略円柱状に束ねた毛束３１がそれぞれ植設されている。各植毛穴２３ｂに植設された複数の毛束３１によってブラシ部３が構成されている。

［ブラシ部］
　ブラシ部３の複数の毛束３１を構成する用毛としては、ストレート毛や毛先に向かって漸次その径が小さくなる用毛（テーパー毛）、先端分岐毛、スパイラル毛、異形断面用毛などが挙げられる。
　毛束３１の先端形状は、平切り、山切り、凸状、凹状などが挙げられる。また、平線植毛にて、平線を境にした半毛束同士で段差を設けたオフセット形状としてもよい。
　用いる用毛の種類や毛束３１の先端形状は、ブラシ部３に求める清掃効果や歯茎に対する当たり心地などを考慮して適宜設定される。

（ネック部）
　ネック部２２は、ハンドル部２１とヘッド部２３との間に配置され、ハンドル部２１とヘッド部２３とを連結する部分である。本実施形態のネック部２２は、ヘッド部２３からハンドル部２１へ向かって所定の幅で延在し、後端においてハンドル部２１側へ行くにしたがって幅が漸次大きくなるように形成されている。

　ネック部２２の長さや幅は、材質等を勘案して適宜設定され、ネック部２２としての必要な強度を確保しつつ、口腔内での操作性や奥歯への到達性を高められる寸法とする。
　本実施形態において、ネック部２２の幅及び厚みは、３．０ｍｍ以上であることが好ましい。ネック部２２の幅は５．０ｍｍ以下がより好ましく、厚みは４．０ｍｍ以下がより好ましい。

（ハンドル部）
　ハンドル部２１は、ネック部２２から後端側へ向かって延在する。ハンドル部２１は、ネック部２２よりも大きい幅を有しており、ネック部２２側から後端側へ向かうに従って、漸次大きくなるように形成されている。
　ハンドル部２１は、使用者がブラッシング時に把持する部分であり、長尺柱状に形成されている。使用者がハンドル部２１を把持して使用するのに十分な長さを確保するため、正面視における位置Ｗからハンドル部２１の後端までの長さを、例えば１００ｍｍ以上、１５０ｍｍ以下とすることが好ましい。

　このようにして構成される歯ブラシ本体２は、３種類の樹脂材料から構成されており、不透明硬質樹脂部２０１と、軟質樹脂部２０２と、透明硬質樹脂部２０３と、を備えている。

［歯ブラシ本体］
　以下、歯ブラシ本体２の構成について詳述する。
　図４は、歯ブラシ本体２を構成する不透明硬質樹脂部２０１及び透明硬質樹脂部２０３を示す正面図である。図５は、歯ブラシ本体２を構成する不透明硬質樹脂部２０１及び透明硬質樹脂部２０３を示す側面図である。図６は、歯ブラシ本体２を構成する不透明硬質樹脂部２０１及び透明硬質樹脂部２０３を示す背面図である。図７は、図２におけるＦ－Ｆ線に沿う断面図である。図８は、図２におけるＧ－Ｇ線に沿う断面図である。図９は、図２におけるＨ－Ｈ線に沿う断面図である。図１０は、歯ブラシ本体２の末端側における分解斜視図である。

（不透明硬質樹脂部）
　図４～図６に示すように、不透明硬質樹脂部２０１は、ヘッド構成部２３Ａ、ネック構成部２２Ａ、ハンドル構成部２１Ａを有する。不透明硬質樹脂部２０１は、不透明硬質樹脂材料を用いた射出成形により形成されている。

　不透明硬質樹脂部２０１を構成する材料としては、ポリプロピレン樹脂（ＰＰ）、ポリアセタール樹脂（ＰＯＭ）、ポリスチレン樹脂（ＰＳ）、ポリエチレンテレフタレート樹脂（ＰＥＴ）、ポリブチレンテレフタレート樹脂（ＰＢＴ）、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂（ＡＢＳ）、ポレアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂（ＰＣＴＡ）などが挙げられる。これらの中でも、強度が高く、成形性に優れる点等から、ＰＰ、ＰＯＭ、ＰＢＴが好ましく、ＰＰ、ＰＯＭがより好ましい。また、より低コストで本発明の効果をより得ることができる点から、不透明硬質樹脂部２０１の材質は、ＰＰが特に好ましい。

　ヘッド構成部２３Ａは、歯ブラシ１のヘッド部２３を構成する部位である。
　ネック構成部２２Ａは、歯ブラシ１のネック部２２を構成する部位である。
　ハンドル構成部２１Ａは、後述する軟質樹脂部２０２及び透明硬質樹脂部２０３とともに歯ブラシ１のハンドル部２１を構成する部位である。

　不透明硬質樹脂部２０１におけるハンドル構成部２１Ａは、最もネック構成部２２Ａ側に位置する先端部２１ｂ１と、先端部２１ｂ１から後方へ向かって延びる把持部湾曲面２１ｂ２と、把持部湾曲面２１ｂ２から後方へ向かって延びる把持部２１ｂ３と、ハンドル構成部２１Ａの後端に位置し、把持部２１ｂ３の後端からさらに後方へと延びるデザイン部（第１部位）２１ｂ４と、把持部湾曲面２１ｂ２から把持部２１ｂ３にかけて形成された軟質樹脂収容部２１ｂ５と、を有する。

　先端部２１ｂ１の軸方向先端側の位置は、ネック構成部２２Ａとハンドル構成部２１Ａとの境界である。先端部２１ｂ１の幅は、ネック構成部２２Ａ側へ向かうにしたがって漸次小さくなっている。先端部２１ｂ１とネック構成部２２Ａとの境界に段差はなく、双方が滑らかに接続されている。

　把持部湾曲面２１ｂ２は、図４に示す正面視において、先端部２１ｂ１と把持部２１ｂ３との間に位置する。把持部湾曲面２１ｂ２の正面視における幅は、先端部２１ｂ１の後端側及び把持部２１ｂ３の先端側の各幅よりも小さい。すなわち、把持部湾曲面２１ｂ２と先端部２１ｂ１との間、及び把持部湾曲面２１ｂ２と把持部２１ｂ３との間には、それぞれ段差２１ｃ１，２１ｃ２が形成されている。把持部湾曲面２１ｂ２の正面視における軸方向の幅は、ほぼ一定である。

　図５に示すように、把持部湾曲面２１ｂ２の外周面２１２ｈは、先端部２１ｂ１の外周面２１１ｈ、及び後述する把持部２１ｂ３の正面側表面２１３ｈ１に対して一段下がった形状をなし、上記外周面２１１ｈ及び正面側表面２１３ｈ１より中心軸Ｏに近い面である。

　把持部２１ｂ３は、正面側に形成された正面側表面２１３ｈ１と、背面側に形成された背面側表面２１３ｈ２とを有する。背面側表面２１３ｈ２は、正面側表面２１３ｈ１よりも中心軸Ｏに近い面であり、把持部湾曲面２１ｂ２の外周面２１２ｈに連続する。これら正面側表面２１３ｈ１及び背面側表面２１３ｈ２は、ともに中心軸Ｏの軸回りに倣うように湾曲する面である。

　把持部２１ｂ３は、正面側表面２１３ｈ１と背面側表面２１３ｈ２との間に段差２１ｃ３を形成する一対の側端面２１３を有する。一対の側端面２１３は、図６に示すように把持部２１ｂ３の幅方向両側に位置し、それぞれが背面側を向いて軸方向に沿って延びている。図５に示す側面視において、各側端面２１３は、植毛面２３ａに平行し、植毛面２３ａよりも背面側に位置する。

　すなわち、本実施形態において、射出成形によって形成される不透明硬質樹脂部２０１の外周面には、図５に示す側面視において、中心軸Ｏに沿ったパーティングラインＰＬが存在するが、各側端面２１３は、上記パーティングラインＰＬよりも背面側に位置する。側端面２１３に交差する方向において、側端面２１３とパーティングラインＰＬとの距離は、例えば、２．５ｍｍである。

　また、各側端面２１３は、軟質樹脂収容部２１ｂ５のうち、把持部２１ｂ３の背面側に位置する背面側表面２１３ｈ２よりも植毛面２３ａ側に位置する。これら一対の側端面２１３は、軟質樹脂収容部２１ｂ５内に配置される軟質樹脂部２０２によって隠れる部分である。

　図１０に示すように、把持部２１ｂ３の後端には、軸方向に交差するとともに、正面側表面２１３ｈ１よりも軸方向後端側へ突出する後端面２１３ａ１及び傾斜面２１３ｂ１が形成されている。これら後端面２１３ａ１及び傾斜面２１３ｂ１は、中心軸Ｏよりも正面側に位置する。

　後端面２１３ａ１及び傾斜面２１３ｂ１は、中心軸Ｏを中心とした半円環状形状をなす。
　傾斜面２１３ｂ１は、後端面２１３ａ１の径方向外側に位置し、正面側表面２１３ｈ１の後端縁から軸方向後端側へ行くにしたがって縮径する傾斜面であって、上記後端面２１３ａ１に接続する。

　さらに、把持部２１ｂ３の後端には、中心軸Ｏよりも背面側にも、ともに中心軸Ｏを中心とした半円環状形状の後端面２１３ａ２と傾斜面２１３ｂ２とが形成されている。傾斜面２１３ｂ２は、後端面２１３ａ２の径方向外側に位置している。傾斜面２１３ｂ２は、背面側湾曲面２１３ｗの後端縁から軸方向後端側へ行くにしたがって縮径する傾斜面であって後端面２１３ａ２に接続する。

　背面側の後端面２１３ａ２の径方向における寸法幅は、正面側の後端面２１３ａ１の径方向における寸法幅よりも狭い。そのため、正面側の後端面２１３ａ１の一部に背面側の後端面２１３ａ２が接続されており、後端面２１３ａ１の中心軸Ｏ側において軸回りに連続している。
　背面側の傾斜面２１３ｂ２と正面側の傾斜面２１３ｂ１とは、中心軸Ｏに対する傾斜角度が異なるため、軸回りに連続してはいない。

　把持部２１ｂ３の背面側湾曲面２１３ｗは、背面側表面２１３ｈ２よりもさらに一段下がった形状をなし、背面側表面２１３ｈ２よりも中心軸Ｏに近い面である。把持部２１ｂ３は、背面側表面２１３ｈ２と背面側湾曲面２１３ｗとの間に段差２１ｃ４を形成する後端面２１４を有する。後端面２１４は、中心軸Ｏに直交する垂直面２１４ａと、垂直面２１４ａに連続するとともに後端側へ行くにしたがって正面側へと傾斜する一対の傾斜面２１４ｂとを有する。

　正面側の後端面２１３ａ１及び背面側の後端面２１３ａ２の中心軸Ｏ側には、中心軸Ｏの軸回りに形成された環状テーパー面２１５が形成されている。環状テーパー面２１５は、後端面２１３ａ１，２１３ａ２よりも軸方向後端側へ突出し、後端側へ行くにしたがって縮径している。環状テーパー面２１５の後端側中央に、後述するデザイン部２１ｂ４が形成されている。

　デザイン部２１ｂ４は、図１及び図２に示すように、中心軸Ｏと同軸をなし、把持部２１ｂ３の後端にある環状テーパー面２１５からさらに後端側へ突出する部分である。デザイン部２１ｂ４は、軸方向に交差する幅方向で最も細くなる最細部２１６と、軸方向に交差する幅方向で最太部２１７と、を有する。

　本実施形態におけるデザイン部２１ｂ４の形状は、例えば、しずく型形状である。具体的には、環状テーパー面２１５側の先端に位置する最細部２１６において最も径が小さく、軸方向の後端側へ行くにしたがって緩やかに拡径し、最太部２１７において最大径となった後、すぐに縮径した形状をなす。デザイン部２１ｂ４内で最も径が大きくなる最太部２１７は、デザイン部２１ｂ４内で最も径が小さくなる最細部２１６よりも軸方向の後端側に位置する。デザイン部２１ｂ４の最太部２１７よりも軸方向の後端側は、最太部２１７の位置における中心軸Ｏを中心とした半球形状をなす。

　デザイン部２１ｂ４は、最細部２１６及び最太部２１７の軸方向に交差する断面形状が中心軸Ｏを中心とした円形状であってもよいし、楕円形状であってもよい。

　デザイン部２１ｂ４の形状は、図示した形状に限られず、より複雑な形状などに適宜変更が可能である。デザイン部２１ｂ４の形状としては、例えば、軸方向において、最太部２１７が最細部２１６よりも後端側に位置していればよく、最太部２１７の軸方向における位置は特に問わない。このような形状とすることによって、デザイン部２１ｂ４が意匠性を目的とするだけでなく、後述する透明硬質樹脂部の抜け止めとしても機能する。

　本実施形態において、デザイン部２１ｂ４の軸方向の全体の長さは、後述する透明硬質樹脂部２０３の透明部２０３Ａの軸方向長さよりも短く、例えば、５ｍｍ以上、３５ｍｍ以下の範囲内に設定されている。デザイン部２１ｂ４の軸方向の全体の長さは、５ｍｍ以上、３５ｍｍ以下が好ましく、８ｍｍ以上、２７ｍｍ以下がより好ましく、１０ｍｍ以上、２０ｍｍ以下がさらに好ましい。
　図４に示すように、最太部２１７は、デザイン部２１ｂ４の軸方向の全体の長さＬ１に対して、４０％以上、８０％以下の位置が好ましく、４８％以上、７２％以下の位置がより好ましく、５５％以上、６５％以下の位置がさらに好ましい。
　デザイン部２１ｂ４の軸方向の全体の長さは、透明部２０３Ａの軸方向の全体の長さＬ２に対して４０％以上、８０％以下を占めるとともに、歯ブラシ本体２の軸方向の長さに対して、５％以上、４０％以下が好ましく、５．５％以上、３０％以下がより好ましく、６％以上、２０％以下がさらに好ましい。

　このように、デザイン部２１ｂ４の軸方向長さを、後述する透明硬質樹脂部２０３の軸方向の長さよりも短い長さにすることで、デザイン部２１ｂ４の全体が透明硬質樹脂部２０３によって覆われることになるため、透明硬質樹脂部２０３に対する接着面積が増える。これにより、不透明硬質樹脂部２０１に対する透明硬質樹脂部２０３の接合強度を高めることができる。

　本実施形態において、最細部２１６の幅方向の寸法は、１．５ｍｍ以上が好ましく、２．０ｍｍ以上、４．０ｍｍ以下の範囲内がより好ましい。
　また、本実施形態において、最太部２１７の幅方向の寸法は、最細部２１６の幅方向の寸法に対して、１．５倍以上、６．７倍以下の範囲内である。

　軟質樹脂収容部２１ｂ５は、図５及び図６に示すように、把持部湾曲面２１ｂ２の軸回りの全体と、把持部２１ｂ３の背面側に形成されている。軟質樹脂収容部２１ｂ５は、把持部湾曲面２１ｂ２の外周面２１２ｈと背面側湾曲面２１３ｗとを含んでおり、歯ブラシ本体２の背面側において、一部が把持部湾曲面２１ｂ２の先端側から把持部２１ｂ３の後端側にかけて形成されている。軟質樹脂収容部２１ｂ５は、上記段差２１ｃ１，２１ｃ２，２１ｃ３の大きさに応じた深さを有し、後述する軟質樹脂部２０２の厚さに相当する。

（透明硬質樹脂部）
　透明硬質樹脂部２０３は、歯ブラシ本体２の末端部分を構成する。透明硬質樹脂部２０３は、不透明硬質樹脂部２０１における把持部２１ｂ３の一部とデザイン部２１ｂ４の全体を覆って設けられている。透明硬質樹脂部２０３は、透明硬質樹脂材料を用いた射出成形により形成されている。透明硬質樹脂部２０３を構成する材料としては、例えば、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂（ＡＳ樹脂）等を挙げることができる。

　透明硬質樹脂部２０３は、デザイン部２１ｂ４を覆って歯ブラシ本体２の末端側の外形を形成する透明部２０３Ａと、把持部２１ｂ３の背面側の一部を覆う被覆部２０３Ｂと、を有する。

　透明部２０３Ａは、中心軸Ｏの軸回り全体に形成されている。透明部２０３Ａは、不透明硬質樹脂部２０１と接続する端面２０３ａ側が最も径が大きく、後端側へ行くにしたがって漸次縮径する形状をなす。透明部２０３Ａの末端は、球状面２０３ｂとされている。透明部２０３Ａの端面２０３ａは、中心軸Ｏに交差する。本実施形態では、透明部２０３Ａ内に、不透明硬質樹脂部２０１のデザイン部２１ｂ４が存在しており、当該デザイン部２１ｂ４が透明部２０３Ａの外部から透けて見える構成となっている。また、透明部２０３Ａは、不透明硬質樹脂部２０１に対して、把持部２１ｂ３の後端側を覆って接続されていることから、把持部２１ｂ３の後端を構成する後端面２１３ａ１，傾斜面２１３ｂ１，後端面２１３ａ２，傾斜面２１３ｂ２も、透明部２０３Ａの外部から透けて見える。

　被覆部２０３Ｂは、図５に示す不透明硬質樹脂部２０１における把持部２１ｂ３の背面側湾曲面２１３ｗを覆う部分である。被覆部２０３Ｂは、中心軸Ｏよりも背面側に設けられ、透明部２０３Ａの端面２０３ａから軸方向の先端側へ向かって突出している。被覆部２０３Ｂの軸方向長さは、透明部２０３Ａの軸方向長さより小さい。

　図６、図８及び図１０に示すように、被覆部２０３Ｂは、所定の厚さを有し、中心軸Ｏの軸回りに沿って湾曲した樋形状をなす。図５に示すように、被覆部２０３Ｂの端面２０３ｄは、軸方向の後端側へ行くにしたがって中心軸Ｏに近づく傾斜面とされており、把持部２１ｂ３の後端面２１４の傾斜方向とは相反する方向へ傾斜している。被覆部２０３Ｂの端面２０３ｄと把持部２１ｂ３の後端面２１４とは軸方向で互いに接触している。このように、透明硬質樹脂部２０３の先端側と、不透明硬質樹脂部２０１の後端側は、相反する形状をなし、不透明硬質樹脂部２０１に対して透明硬質樹脂部２０３が隙間なく設けられている。

　被覆部２０３Ｂの内面２０３ｃは、把持部２１ｂ３の背面側湾曲面２１３ｗに密着し、背面側湾曲面２１３ｗを覆っている。また、被覆部２０３Ｂの端面２０３ｄは、把持部２１ｂ３における後端面２１４に密着し、後端面２１４を覆っている。

　被覆部２０３Ｂの軸方向に交差する方向の厚さは、把持部２１ｂ３における背面側表面２１３ｈ２と背面側湾曲面２１３ｗとの間の段差の大きさに等しい。被覆部２０３Ｂの外面２０３ｗと、把持部２１ｂ３の背面側外周面２１３ｈ２との間には段差はなく、同一面とされている。

　被覆部２０３Ｂの外面２０３ｗは、透明部２０３Ａの表面２０３ｈ（図５）よりも中心軸Ｏに近く、これらの間には段差２１ｃ５が形成されている。段差２１ｃ５は、上述した把持部２１ｂ３における段差２１ｃ１～２１ｃ４とほぼ同じ大きさを有し、軟質樹脂収容部２１ｂ５の厚さに相当する。

　本実施形態の被覆部２０３Ｂの外面２０３ｗは、軟質樹脂収容部２１ｂ５の一部を構成する。すなわち、透明硬質樹脂部２０３のうち被覆部２０３Ｂ（外面２０３ｗ）は、軟質樹脂部２０２によって覆われる部分であり、外側には露出しない。一方、透明部２０３Ａは軟質樹脂部２０２によって被覆されることなく露出する。

　図５に示すように、軸方向における透明硬質樹脂部２０３と不透明硬質樹脂部２０１との境界位置では、軸回りに、透明硬質樹脂部２０３と不透明硬質樹脂部２０１とが存在している。本実施形態の透明硬質樹脂部２０３は、透明部２０３Ａに対して被覆部２０３Ｂが軸方向の先端側へ突出した形状とされており、図５に示す側面視において、不透明硬質樹脂部２０１との境界側における形状が、略Ｌ字形状をなす。透明硬質樹脂部２０３と不透明硬質樹脂部２０１との境界位置における形状は、図示した形状に限らず、適宜変更が可能である。

　例えば、本実施形態では、透明部２０３Ａに対して、不透明硬質樹脂部２０１へ向かって突出する被覆部２０３Ｂが１つだけ形成されているが、複数形成されていてもよい。例えば、不透明硬質樹脂部２０１の正面側及び背面側へそれぞれ突出する一対の被覆部２０３Ｂを設けることで、不透明硬質樹脂部２０１との境界位置の形状が、透明硬質樹脂部２０３の側面視においてコ字状とされていてもよい。

　これにより、透明硬質樹脂部２０３と不透明硬質樹脂部２０１との境界位置において、透明硬質樹脂部２０３と不透明硬質樹脂部２０１とが軸回りに交互に存在することになる。これにより、透明硬質樹脂部２０３と不透明硬質樹脂部２０１とが、互いに接着する面積が増えて、高い接合強度で取り付けられる。また、透明硬質樹脂部２０３の軸回りへの回転を防ぐことができる。

　図５に示すように、軸方向において、透明硬質樹脂部２０３と不透明硬質樹脂部２０１とが軸回りに重なる領域Ａ４の軸方向の長さは、３．０ｍｍ以上、２０ｍｍ以下が好ましく、４．０ｍｍ以上、１５ｍｍ以下がより好ましく、５．０ｍｍ以上、１０ｍｍ以下がさらに好ましい。

　透明硬質樹脂部２０３には、図６及び図１０に示すように、透明部２０３Ａの末端頂点Ｐとなる位置に、射出成形時に形成される射出ゲート痕２０３ｘが形成されている。

（軟質樹脂部）
　図１～図３に示す軟質樹脂部２０２は、不透明硬質樹脂部２０１の上記軟質樹脂収容部２１ｂ５内に形成され、歯ブラシ本体２における背面側において、不透明硬質樹脂部２０１と透明硬質樹脂部２０３との境界位置を覆う。

　軟質樹脂収容部２１ｂ５は、把持部湾曲面２１ｂ２における軸回り全体の外周面２１２ｈと、把持部２１ｂ３における背面側湾曲面２１３ｈ２と、透明硬質樹脂部２０３における被覆部２０３Ｂの外面２０３ｗと、を覆って形成されている。軟質樹脂部２０２は、軟質樹脂材料を用いた射出成形により形成されている。軟質樹脂部２０２を構成する材料としては、スチレン系エラストマーやオレフィン系エラストマーなどの熱可塑性を有するエラストマー樹脂が挙げられる。

　軟質樹脂部２０２は、ハンドル部２１の先端側であって、不透明硬質樹脂部２０１における把持部湾曲面２１ｂ２に対応する部分に、指当て部２０２Ａを有している。
　指当て部２０２Ａは、複数の凸条部２０ａと複数の凹条部２０ｂとを有している。
　これら複数の凸条部２０ａ及び凹条部２０ｂは、ハンドル部２１における滑り止め効果や操作性といった機能を高めるためのものであり、ハンドル部２１の軸回り全体に設けられている。複数の凸条部２０ａと、各凸条部２０ａの間に形成される複数の凹条部２０ｂとは、ハンドル部２１の軸方向に交互に並んで形成され、凹凸を繰り返しながら連続した表面を形成している。

　本実施形態では、凸条部２０ａが５つ、凹条部２０ｂが４つ形成されている。なお、凸条部２０ａ及び凹条部２０ｂの数はこれに限らず適宜変更が可能である。上述したような滑り止め効果や操作性といった機能を得ることができる数であればよい。

　軸方向において、凸条部２０ａの幅は、凹条部２０ｂの軸方向における幅よりも広い。
　また、軸方向に並ぶ複数の凸条部２０ａのうち、各凹条部２０ｂの間に位置する３つの凸条部２０ａの軸方向における幅は、互いに等しく、軸方向における先端側と後端側に位置する凸条部２０ａの軸方向における幅よりも狭い。本実施形態では、凹条部２０ｂの軸方向における幅は、１．４ｍｍとされているが、適宜変更が可能である。
　また、各凸条部２０ａに対する各凹条部２０ｂの深さは一定である。本実施形態では、凹条部２０ｂの深さが０．２ｍｍとされているが、適宜変更が可能である。

　軸方向における凸条部２０ａ及び凹条部２０ｂの幅及び深さは、上述したような滑り止め効果や操作性といった機能を得ることができる寸法であればよい。特に、複数の凹条部２０ｂの間に形成された複数の凸条部２０ａの感触が、持ったときに手に伝わるような寸法であることが好ましい。

＜歯ブラシの寸法＞
　次に、本実施形態における歯ブラシ１の寸法について詳述する。
　上述したように、本実施形態の歯ブラシ１は、図１に示すように、不透明硬質樹脂部２０１、軟質樹脂部２０２及び透明硬質樹脂部２０３からなる歯ブラシ本体２を有する。
　透明硬質樹脂部２０３は、歯ブラシ本体２の軸方向の全体の長さに対して、５％以上、６０％以下の範囲内である第１領域Ａ１に設けられている。本実施形態では、歯ブラシ本体２の正面側において、不透明硬質樹脂部２０１の後端から軟質樹脂部２０２の指当て部２０２Ａまでの範囲であって、軸方向全体の５％以上、６０％以下の範囲内が第１領域Ａ１とされている。

　第１領域Ａ１が取り得る、軸方向で最も先端側の位置は、軟質樹脂部２０２（指当て部２０２Ａ）と、不透明硬質樹脂部２０１の把持部２１ｂ３の正面側表面２１３ｈ１との境界位置に一致する。
　透明硬質樹脂部２０３は、その少なくとも一部が、歯ブラシ本体２の外周面における軸回り全体に設けられている。

　第１領域Ａ１は、透明硬質樹脂部２０３内に不透明硬質樹脂部２０１の少なくとも一部が存在する第２領域Ａ２を含む。第２領域Ａ２における透明硬質樹脂部２０３内では、不透明硬質樹脂部２０１のデザイン部２１ｂ４が軸方向に沿って延びている。

　また、第１領域Ａ１は、軸方向の少なくとも一部が透明硬質樹脂部２０３だけで構成された第３領域Ａ３を含む。第３領域Ａ３における透明硬質樹脂部２０３内には、不透明硬質樹脂部２０１は存在していない。

　本実施形態において、第２領域Ａ２の軸方向の長さは、第１領域Ａ１の軸方向の長さの３０％以上、９０％以下の範囲内の寸法とされている。より好ましくは、４０％以上、８０％以下の範囲内である。

（実施例）
　歯ブラシ１（歯ブラシ本体２）の軸方向全体の長さ：１８９．９ｍｍ
　ハンドル構成部２１Ａの軸方向の長さ：９３．９ｍｍ
　不透明硬質樹脂の軸方向の長さ：１８１．１ｍｍ
　軸方向においてハンドル部２１に対して第３領域Ａ３が占める割合：１１．６％
　第１領域Ａ１の軸方向の長さ：２２．０ｍｍ
　第２領域Ａ２の軸方向の長さ：１３．２ｍｍ
　第３領域Ａ３の軸方向の長さ：８．８ｍｍ

　第１領域Ａ１に対する第２領域Ａ２の軸方向の長さが占める割合：６０．２％

　透明硬質樹脂部２０３と不透明硬質樹脂部２０１とが軸回りに重なる第４領域Ａ４の軸方向長さ６．８ｍｍ
　軸方向において第１領域Ａ１に対して第４領域Ａ４が占める割合：３４．０％

　透明硬質樹脂部２０３のうち、デザイン部２１ｂ４の最太部２１７の位置における軸方向に交差する幅寸法は、最太部２１７の幅寸法の１．５倍以上、３．０倍以下であることが好ましい。
　透明硬質樹脂部２０３のうち、デザイン部２１ｂ４の最細部２１６の位置における軸方向に交差する幅寸法は、最細部２１６の３．５倍以上、１０．０倍以下であることが好ましい。

　デザイン部２１ｂ４の最太部２１７の幅寸法が６．３ｍｍ、最細部２１６の幅寸法が２．２ｍｍのとき、デザイン部２１ｂ４の最太部２１７の位置における、透明硬質樹脂部２０３の軸方向に交差する幅寸法を、デザイン部２１ｂ４の最太部２１７の幅寸法の２．９倍とする。

　デザイン部２１ｂ４の最太部２１７の幅寸法が１４．９ｍｍ、最細部２１６の幅寸法が２．２ｍｍのとき、デザイン部２１ｂ４の最細部２１６の位置における、透明硬質樹脂部２０３の軸方向に交差する幅寸法を、デザイン部２１ｂ４の最細部２１６の幅寸法の６．８倍とする。

　透明硬質樹脂部２０３の幅に対して、デザイン部２１ｂ４の最細部２１６の幅が小さすぎると、２次側の透明硬質樹脂部２０３の成形時に最細部２１６が溶けてしまう。逆に、透明硬質樹脂部２０３の幅に対して、デザイン部２１ｂ４の最細部２１６の幅が大きすぎると、デザイン性が損なわれてしまう。透明硬質樹脂部２０３の幅に対するデザイン部２１ｂ４の最細部２１６の幅を、上記範囲内に設定することによって、歯ブラシ１の全体に対する透明硬質樹脂部２０３及びデザイン部２１ｂ４のバランスが取れて、美的外観が高められる。

＜歯ブラシの製造方法＞
　次に、本実施形態の歯ブラシ１の製造方法について簡単に述べる。
　本実施形態の歯ブラシ１は、まず、不透明硬質樹脂部２０１を一次成形により形成した後、透明硬質樹脂部２０３を二次成形により形成し、最後に軟質樹脂部２０２を三次成形により形成することによって得られる。

　二次成形時のゲート位置は、透明硬質樹脂部２０３の射出ゲート痕２０３ｘが、透明部２０３Ａの外面２０３ｗのうち、透明部２０３Ａの末端頂点Ｐに形成されることが好ましい。これにより、一次成形によって得た不透明硬質樹脂部２０１が、二次成形時に溶解し難くなる。また、不透明硬質樹脂部２０１におけるデザイン部２１ｂ４を綺麗な形にキープできる。また、ガスが抜けやすくなるので、空隙を抑制できる。
　軟質樹脂部２０２の射出ゲート痕は、軟質樹脂部２０２のうち、歯ブラシ１の背面側を構成する外面に形成されることが好ましい。

　本実施形態では、一次成形時の成形温度を二次成形時の成形温度よりも高い温度に設定する。このとき、成形温度の差が３０℃以内となるように設定する。一次成形時と二次成形時とで、成形温度の差を小さくすることによって、二次成形時に一次成形によって得た不透明硬質樹脂部２０１の一部が溶けるのを防ぐことができる。

　一次成形によって得た不透明硬質樹脂部２０１の外表面には、射出成形時のパーティングラインＰＬが形成される。本実施形態の歯ブラシ１では、軟質樹脂部２０２がパーティングラインＰＬを覆うことなく成形される。軟質樹脂部２０２が、パーティングラインＰＬを覆うようにして形成されていると、覆った部分に段差が生じやすいが、パーティングラインＰＬを避けて設ける設計とすることによって、射出成形時の発生しやすいバリが抑制される。

　このように、多色成形によって歯ブラシ１を構成することにより、歯ブラシ１のデザイン性が高められ、歯ブラシ１の全体の美的外観を向上させることができる。また、透明硬質樹脂部２０３の外部から透けて見えるデザイン部２１ｂ４の形状を適宜変えることによって、多様なデザインの歯ブラシを得ることができる。その結果、コンセプトに応じて歯ブラシ１のデザインを多様化できるとともに、歯ブラシ１としての外観魅力度が向上し、店頭において消費者の気を引くことが可能になる。

　また、透明硬質樹脂部２０３の少なくとも一部を歯ブラシ本体２の軸回り全体に設けることによって、不透明硬質樹脂部２０１に対する透明硬質樹脂部２０３の接合強度を高めることが可能である。

　また、透明硬質樹脂部２０３の一部（被覆部２０３Ｂ）を不透明硬質樹脂部２０１側に突出させ、この被覆部２０３Ｂによって、不透明硬質樹脂部２０１の後端側における外周面の一部（背面側湾曲面２１３ｗ）を径方向外側から覆う構成となっているので、単に、不透明硬質樹脂部２０１の後端面に透明硬質樹脂部２０３を接続させる構成よりも、不透明硬質樹脂部２０１に対する透明硬質樹脂部２０３の接合面積が増えるので、互いの接合強度がより高められる。

　さらにこれら不透明硬質樹脂部２０１及び透明硬質樹脂部２０３の境界位置を、径方向外側から軟質樹脂部２０２によって覆う構成となっているので、不透明硬質樹脂部２０１及び透明硬質樹脂部２０３の境界位置を水分や衝撃から保護することができ、これらの接合状体を長期的に維持することが可能である。

　以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。

　例えば、上記実施形態では、歯ブラシ１の末端側に、デザイン部２１ｂ４と透明硬質樹脂部２０３が設けられているが、これらの軸方向における位置は歯ブラシ１の末端側に限らず、適宜変更が可能である。

　１…歯ブラシ、２…歯ブラシ本体、３…ブラシ部、２１…ハンドル部、２３…ヘッド部、２３ａ…植毛面、２３ｂ…植毛穴、３１…毛束、２０１…不透明硬質樹脂部、２０２…軟質樹脂部、２０３…透明硬質樹脂部、２０３ｘ…射出ゲート痕、２１ｂ４…デザイン部（第１部位）、２１６…最細部、２１７…最太部、Ａ１…第１領域、Ａ２…第２領域、Ａ３…第３領域、Ａ４…第４領域、Ｌ１…デザイン部２１ｂ４の全長、Ｌ２…透明部２０３Ａの全長、Ｗ…位置

Claims

　複数の毛束からなるブラシ部と、
　植毛面に複数の植毛穴が設けられたヘッド部と、前記ヘッド部から軸方向へ延在するハンドル部と、を有する歯ブラシ本体と、を備え、
　前記歯ブラシ本体は、不透明硬質樹脂部および透明硬質樹脂部を有し、
　前記透明硬質樹脂部が、前記歯ブラシ本体の前記軸方向の全体の長さに対して５％以上、６０％以下の範囲内である第１領域に設けられているとともに、少なくとも一部が前記歯ブラシ本体の軸回り全体に設けられている、
歯ブラシ。
　前記第１領域は、
　前記透明硬質樹脂部の内部に前記不透明硬質樹脂部の少なくとも一部が存在する第２領域を含む、
請求項１に記載の歯ブラシ。
　前記第１領域は、
　前記軸方向の少なくとも一部が前記透明硬質樹脂部だけで構成された第３領域を含み、
　前記第２領域の前記軸方向の長さは、前記第１領域の前記軸方向の長さの３０％以上、９０％以下の範囲内の寸法とされている、
請求項２に記載の歯ブラシ。
　前記軸方向における前記不透明硬質樹脂部および前記透明硬質樹脂部の境界位置の軸回りに、前記不透明硬質樹脂部と前記透明硬質樹脂部とが存在する、
請求項１から３のいずれか１項に記載の歯ブラシ。
　前記境界位置が軟質樹脂部により覆われている、
請求項４に記載の歯ブラシ。
　前記不透明硬質樹脂部のうち、前記透明硬質樹脂部内に存在する第１部位は、前記軸方向に交差する幅方向で最も細くなる最細部と、前記幅方向で最も太くなる最太部と、を有し、
　前記最太部は、前記最細部よりも前記軸方向の後端側に位置する、
請求項２から４のいずれか１項に記載の歯ブラシ。
　前記最細部の前記幅方向の寸法は、１．５ｍｍ以上であり、
　前記最太部の前記幅方向の寸法は、前記最細部の前記幅方向の寸法の１．５倍以上、６．７倍以下の範囲内である、
請求項６に記載の歯ブラシ。
　複数の毛束からなるブラシ部と、
　植毛面に複数の植毛穴が設けられたヘッド部と、前記ヘッド部から軸方向へ延在するハンドル部と、を有する歯ブラシ本体と、を備え、
　前記歯ブラシ本体は、不透明硬質樹脂部および透明硬質樹脂部を含んで構成され、
　前記歯ブラシ本体の軸方向の全体の長さに対して５％以上、６０％以下の範囲内の第１領域に前記透明硬質樹脂部が設けられているとともに、そのうちの少なくとも一部の透明樹脂が、前記歯ブラシ本体の外周面における軸回りに重なるように設けられており、前記透明硬質樹脂部の射出ゲート痕が、前記透明硬質樹脂部の末端頂点に形成される、
歯ブラシの製造方法。