WO2022124306A1

WO2022124306A1 - 電池パック

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Publication number: WO2022124306A1
Application number: PCT/JP2021/044927
Authority: WO
Inventors: 達也長濱; 和也田中
Original assignee: 株式会社マキタ
Priority date: 2020-12-07
Filing date: 2021-12-07
Publication date: 2022-06-16
Also published as: US20240006699A1; JPWO2022124306A1; EP4246690A1; CN116457991A

Abstract

電池パックは、ケーシングと、電池セルと、回路基板と、係合部材と、係合部材を上方に向けて付勢する第１付勢部材と、係合部材を上方に向けて付勢する第２付勢部材を備えていてもよい。回路基板の少なくとも一部は、第１付勢部材と第２付勢部材の間に配置されていてもよい。係合部材は、ケーシングの外部に突出する係合部を備えていてもよい。係合部は、上下方向および左右方向に沿っており、電気機器に係合する係合面を有していてもよい。前後方向に関して、係合面は、第１付勢部材の前端よりも後方で、かつ第１付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。前後方向に関して、係合面は、第２付勢部材の前端よりも後方で、かつ第２付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。

Description

電池パック

　本明細書で開示する技術は、電池パックに関する。

　特許文献１には、電池パックが開示されている。前記電池パックは、電気機器の電池パック取付部に対してスライドさせることで着脱可能である。前記電池パックを前記電池パック取付部から取り外す際に前記電池パックをスライドさせる方向を前方向とし、前記電池パックを前記電池パック取付部に取り付ける際に前記電池パックをスライドさせる方向を後方向とし、前記電池パックが前記電池パック取付部に取り付けられた状態で、前記電池パックから見て前記電池パック取付部が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、前記電池パックは、ケーシングと、前記ケーシングの内部に収容された電池セルと、前記ケーシングの内部に収容された回路基板と、前記ケーシングに上下方向に移動可能に保持された係合部材と、前記係合部材を上方に向けて付勢する付勢部材を備えている。前記係合部材は、前記ケーシングの外部に突出する係合部を備えている。前記係合部は、上下方向および左右方向に沿っており、前記電気機器に係合する係合面を有している。

米国特許出願公開第２０１４／０２７２５１６号明細書

　上記のような電池パックを粉塵環境下で使用する場合、係合部材とケーシングの隙間に粉塵が入り込むことがある。このため、係合部材がケーシングに対して上下方向に移動する際に、係合部材がケーシングに対して傾いた状態となると、係合部材がケーシングに引っかかってしまい、係合部材がケーシングに対してスムーズに移動できなくなってしまうことがある。本明細書では、電池パックを粉塵環境下で使用する場合でも、係合部材をケーシングに対してスムーズに移動させることが可能な技術を提供する。

　本明細書が開示する電池パックは、電気機器の電池パック取付部に対してスライドさせることで着脱可能であってもよい。前記電池パックを前記電池パック取付部から取り外す際に前記電池パックをスライドさせる方向を前方向とし、前記電池パックを前記電池パック取付部に取り付ける際に前記電池パックをスライドさせる方向を後方向とし、前記電池パックが前記電池パック取付部に取り付けられた状態で、前記電池パックから見て前記電池パック取付部が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、前記電池パックは、ケーシングと、前記ケーシングの内部に収容された電池セルと、前記ケーシングの内部に収容された回路基板と、前記ケーシングに上下方向に移動可能に保持された係合部材と、前記係合部材を上方に向けて付勢する第１付勢部材と、前記第１付勢部材に対して左右方向に離間して配置されており、前記係合部材を上方に向けて付勢する第２付勢部材を備えていてもよい。前記回路基板の少なくとも一部は、前記第１付勢部材と前記第２付勢部材の間に配置されていてもよい。前記係合部材は、前記ケーシングの外部に突出する係合部を備えていてもよい。前記係合部は、上下方向および左右方向に沿っており、前記電気機器に係合する係合面を有していてもよい。前後方向に関して、前記係合面は、前記第１付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第１付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。前後方向に関して、前記係合面は、前記第２付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第２付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。

　上記の構成によれば、左右方向に互いに離間して配置された第１付勢部材と第２付勢部材が、係合部材を上方に向けて付勢するので、係合部材に対して作用する付勢力の左右方向のバランスを取ることができ、係合部材がケーシングに対して左右方向に傾くことを抑制することができる。また、上記の構成によれば、係合部材に対して付勢力が作用する作用点の前後方向の位置を、係合部の前後方向の位置に近接させることができる。これによって、係合部材とケーシングの隙間に粉塵が入り込み、係合部がケーシングに対して引っかかってしまう場合であっても、引っかかりを解消するように第１付勢部材と第２付勢部材の付勢力を係合部材に作用させることができる。さらに、上記の構成によれば、回路基板の少なくとも一部が第１付勢部材と第２付勢部材の間に配置されているので、第１付勢部材と第２付勢部材の間のスペースを有効に活用することができる。

　本明細書が開示する別の電池パックは、電気機器の電池パック取付部に対してスライドさせることで着脱可能であってもよい。前記電池パックを前記電池パック取付部から取り外す際に前記電池パックをスライドさせる方向を前方向とし、前記電池パックを前記電池パック取付部に取り付ける際に前記電池パックをスライドさせる方向を後方向とし、前記電池パックが前記電池パック取付部に取り付けられた状態で、前記電池パックから見て前記電池パック取付部が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、前記電池パックは、ケーシングと、前記ケーシングの内部に収容された電池セルと、前記ケーシングに上下方向に移動可能に保持された係合部材と、前記係合部材を上方に向けて付勢する第１付勢部材と、前記第１付勢部材に対して左右方向に離間して配置されており、前記係合部材を上方に向けて付勢する第２付勢部材を備えていてもよい。前記係合部材は、前記ケーシングの外部に突出する係合部を備えていてもよい。前記係合部が、上下方向および左右方向に沿っており、前記電気機器に係合する係合面を有していてもよい。前後方向に関して、前記係合面は、前記第１付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第１付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。前後方向に関して、前記係合面は、前記第２付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第２付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。左右方向に関して、前記第１付勢部材の右端は、前記係合面の右端よりも右方に配置されていてもよい。左右方向に関して、前記第２付勢部材の左端は、前記係合面の左端よりも左方に配置されていてもよい。

　上記の構成によれば、左右方向に互いに離間して配置された第１付勢部材と第２付勢部材が、係合部材を上方に向けて付勢するので、係合部材に対して作用する付勢力の左右方向のバランスを取ることができ、係合部材がケーシングに対して左右方向に傾くことを抑制することができる。また、上記の構成によれば、係合部材に対して付勢力が作用する作用点の前後方向の位置を、係合部の前後方向の位置に近接させることができる。これによって、係合部材とケーシングの隙間に粉塵が入り込み、係合部がケーシングに対して引っかかってしまう場合であっても、引っかかりを解消するように第１付勢部材と第２付勢部材の付勢力を係合部材に作用させることができる。さらに、上記の構成によれば、第１付勢部材と第２付勢部材の間の間隔が広く確保されるので、係合部材に対して作用する付勢力の左右方向のバランスを取りやすく、係合部材がケーシングに対して左右方向に傾くことを効果的に抑制することができる。

　本明細書が開示するさらに別の電池パックは、機器側端子を備える電気機器の電池パック取付部に対してスライドさせることで着脱可能であってもよい。前記電池パックを前記電池パック取付部から取り外す際に前記電池パックをスライドさせる方向を前方向とし、前記電池パックを前記電池パック取付部に取り付ける際に前記電池パックをスライドさせる方向を後方向とし、前記電池パックが前記電池パック取付部に取り付けられた状態で、前記電池パックから見て前記電池パック取付部が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、前記電池パックは、ケーシングと、前記ケーシングの内部に収容された電池セルと、前記機器側端子に機械的に係合し、かつ電気的に接続する電池側端子と、前記ケーシングに上下方向に移動可能に保持された係合部材と、前記係合部材を上方に向けて付勢する第１付勢部材と、前記第１付勢部材に対して左右方向に離間して配置されており、前記係合部材を上方に向けて付勢する第２付勢部材を備えていてもよい。前記係合部材は、前記ケーシングの外部に突出する係合部を備えていてもよい。前記係合部は、上下方向および左右方向に沿っており、前記電気機器に係合する係合面を有していてもよい。前後方向に関して、前記係合面は、前記第１付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第１付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。前後方向に関して、前記係合面は、前記第２付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第２付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。左右方向に関して、前記第１付勢部材の右端は、前記電池側端子の右端よりも右方に配置されていてもよい。左右方向に関して、前記第２付勢部材の左端は、前記電池側端子の左端よりも左方に配置されていてもよい。

　本明細書が開示するさらに別の電池パックは、電気機器の電池パック取付部に対してスライドさせることで着脱可能であってもよい。前記電池パックは、ケーシングと、前記ケーシングの外部に突出する係合部を有する係合部材と、前記ケーシングの外部に露出する操作面を有する操作部材を備えていてもよい。前記係合部は、前記操作面が押圧された時に、前記ケーシングの内部に向けて移動してもよい。前記操作面に、規則的に配置された凸形状および／または凹形状からなる滑り止め部が形成されていてもよい。前記滑り止め部は、前記操作面において、前記係合部に近い側に配置されていてもよい。なお、ここでいう係合部材と操作部材は、一体化された部材であってもよいし、互いに別体の部材であってもよい。

　上記の構成によれば、ユーザが電池パック取付部に取り付けられた電池パックを取り外す際に、操作面において係合部に近い側に配置された滑り止め部に指先を当てて操作面を押圧するように、ユーザに促すことができる。このため、ユーザが操作面を押圧する際の押圧力を係合部に近い位置で作用させることができ、係合部材をケーシングに対してスムーズに移動させることができる。

実施例１に係る電池パック２を前方右方上方から見た斜視図である。実施例１に係る電池パック２が取り付けられる電気機器４を前方右方上方から見た斜視図である。実施例１に係る電池パック２が取り付けられる電気機器４の電池パック取付部６の近傍を後方右方下方から見た斜視図である。実施例１に係る電池パック２の電池セルユニット２２を前方右方上方から見た斜視図である。実施例１に係る電池パック２の電池セルユニット２２の縦断面図である。実施例１に係る電池パック２の電力用端子３８を後方右方上方から見た斜視図である。実施例１に係る電池パック２の電力用端子３８の右側面図である。実施例１に係る電池パック２の信号用端子４０を後方右方上方から見た斜視図である。実施例１に係る電池パック２の信号用端子４０の右側面図である。実施例１に係る電池パック２の電池セルユニット２２および下ケーシング２４の上面図である。実施例１に係る電池パック２を後方左方下方から見た斜視図である。実施例１に係る電池パック２の前ガード部５２の近傍の縦断面図である。実施例１に係る電池パック２の後ガード部５４の近傍の縦断面図である。実施例１に係る電池パック２の係合部材７６を上方右方前方から見た斜視図である。実施例１に係る電池パック２の係合部材７６を下方右方後方から見た斜視図である。実施例１に係る電池パック２の上ケーシング２６の前方の部分を後方右方下方から見た斜視図である。実施例１に係る電池パック２において、係合部材７６と操作部材７８が上ケーシング２６に取り付けられた状態での、上ケーシング２６の前方の部分を後方右方下方から見た斜視図である。実施例１に係る電池パック２の操作部材７８を前方右方上方から見た斜視図である。実施例１に係る電池パック２の操作部材７８を後方右方下方から見た斜視図である。実施例１に係る電池パック２の係合部材７６と操作部材７８が当接する箇所の近傍の縦断面図である。実施例１に係る電池パック２の圧縮バネ８０，８２の近傍の縦断面図である。実施例２に係る電池パック１０２を前方右方上方から見た斜視図である。実施例２に係る電池パック１０２の電池セルユニット１０８を前方右方上方から見た斜視図である。実施例２に係る電池パック１０２の縦断面図である。実施例２に係る電池パック１０２の電池セルユニット１０８および下ケーシング１１０の上面図である。実施例２に係る電池パック１０２の係合部材１２２を前方右方上方から見た斜視図である。実施例２に係る電池パック１０２の係合部材１２２を後方右方下方から見た斜視図である。実施例２に係る電池パック１０２の上ケーシング１１２の前方の部分を後方右方下方から見た斜視図である。実施例２に係る電池パック１０２において、係合部材１２２が上ケーシング１１２に取り付けられた状態での、上ケーシング１１２の前方の部分を後方右方下方から見た斜視図である。実施例２に係る電池パック１０２の係合部材１２２の近傍の縦断面図である。実施例１の変形例に係る電池パック２の操作部材７８の近傍を前方右方上方から見た斜視図である。

　本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された電池パックを提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。

　また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。

　本明細書及び／又は請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び／又は請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、電気機器の電池パック取付部に対してスライドさせることで着脱可能であってもよい。前記電池パックを前記電池パック取付部から取り外す際に前記電池パックをスライドさせる方向を前方向とし、前記電池パックを前記電池パック取付部に取り付ける際に前記電池パックをスライドさせる方向を後方向とし、前記電池パックが前記電池パック取付部に取り付けられた状態で、前記電池パックから見て前記電池パック取付部が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、前記電池パックは、ケーシングと、前記ケーシングの内部に収容された電池セルと、前記ケーシングの内部に収容された回路基板と、前記ケーシングに上下方向に移動可能に保持された係合部材と、前記係合部材を上方に向けて付勢する第１付勢部材と、前記第１付勢部材に対して左右方向に離間して配置されており、前記係合部材を上方に向けて付勢する第２付勢部材を備えていてもよい。前記回路基板の少なくとも一部は、前記第１付勢部材と前記第２付勢部材の間に配置されていてもよい。前記係合部材は、前記ケーシングの外部に突出する係合部を備えていてもよい。前記係合部は、上下方向および左右方向に沿っており、前記電気機器に係合する係合面を有していてもよい。前後方向に関して、前記係合面は、前記第１付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第１付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。前後方向に関して、前記係合面は、前記第２付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第２付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、左右方向に関して、前記第１付勢部材の右端は、前記係合面の右端よりも右方に配置されていてもよい。左右方向に関して、前記第２付勢部材の左端は、前記係合面の左端よりも左方に配置されていてもよい。

　上記の構成によれば、第１付勢部材と第２付勢部材の間の間隔が広く確保されるので、回路基板において素子や配線を実装可能なスペースを広く確保することができる。また、第１付勢部材と第２付勢部材の間の間隔が広く確保されるので、係合部材に対して作用する付勢力の左右方向のバランスを取りやすく、係合部材がケーシングに対して左右方向に傾くことを効果的に抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、左右方向に関して、前記第１付勢部材の左端は、前記係合面の右端よりも右方に配置されていてもよい。左右方向に関して、前記第２付勢部材の右端は、前記係合面の左端よりも左方に配置されていてもよい。

　上記の構成によれば、第１付勢部材と第２付勢部材の間の間隔がより広く確保されるので、回路基板において素子や配線を実装可能なスペースをより広く確保することができる。また、第１付勢部材と第２付勢部材の間の間隔がより広く確保されるので、係合部材に対して作用する付勢力の左右方向のバランスをより取りやすく、係合部材がケーシングに対して左右方向に傾くことをより効果的に抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、前記電池パック取付部は、機器側端子を備えていてもよい。前記回路基板は、前記機器側端子に機械的に係合し、かつ電気的に接続する電池側端子を備えていてもよい。左右方向に関して、前記第１付勢部材の右端は、前記電池側端子の右端よりも右方に配置されていてもよい。左右方向に関して、前記第２付勢部材の左端は、前記電池側端子の左端よりも左方に配置されていてもよい。

　上記の構成によれば、第１付勢部材と第２付勢部材の間の間隔が広く確保されるので、回路基板において素子や配線を実装可能なスペースを広く確保することができる。また、第１付勢部材と第２付勢部材の左右方向の間隔が広く確保されるので、係合部材に対して作用する付勢力の左右方向のバランスを取りやすく、係合部材がケーシングに対して左右方向に傾くことを効果的に抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、左右方向に関して、前記第１付勢部材の左端は、前記電池側端子の右端よりも右方に配置されていてもよい。左右方向に関して、前記第２付勢部材の右端は、前記電池側端子の左端よりも左方に配置されていてもよい。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、前記回路基板は、前記電気機器への放電および／または前記電気機器からの充電のための電流が流れる電力経路を備えていてもよい。前記電力経路は、前記第１付勢部材と前記第２付勢部材の間を通過していてもよい。

　上記の構成によれば、電力経路が、第１付勢部材と第２付勢部材の間の回路基板に設けられているので、回路基板の他の箇所を、他の素子や配線を実装するスペースとして有効に活用することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、前記回路基板は、前記電池パックの動作を制御するマイクロコントローラを備えていてもよい。前記マイクロコントローラは、前記第１付勢部材と前記第２付勢部材の間に配置されていてもよい。

　上記の構成によれば、マイクロコントローラが、第１付勢部材と第２付勢部材の間の回路基板に設けられているので、回路基板の他の箇所を、他の素子や配線を実装するスペースとして有効に活用することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、前記電池パックは、前記ケーシングに回動可能に保持されており、ユーザによって操作される操作面を有する操作部材をさらに備えていてもよい。前記操作部材は、前記ユーザによって前記操作面が押された時に、前記係合部材を下方に向けて押し下げる方向に回動してもよい。

　上記の構成によれば、係合部材と操作部材が一体化されている構成と比べて、係合部材がケーシングに対して上下に移動する際に、係合部材がケーシングに対して傾斜しにくくなるので、係合部材がケーシングに引っかかりにくくすることができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、前記操作面は、前記ケーシングの前上面に配置されていてもよい。

　上記の構成によれば、ユーザが電池パック取付部に取り付けられた電池パックを取り外す際に、一方の手の親指以外の四指を電池パックの下面に当て、親指によって操作面を押下することで、ユーザは操作面を押下した状態を維持したまま、電池パックを把持して、電池パックを前方に向けてスライドさせることができる。ユーザが電池パックを取り外す際の操作を簡便なものとすることができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、前記操作部材は、左右方向に沿った回動軸周りに回動可能に前記ケーシングに保持されていてもよい。

　上記の構成によれば、ユーザが操作面を押下した時に、操作面が左右方向に傾くことを抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、前記係合部材は、被当接部を備えていてもよい。前記操作部材は、前記被当接部の上方に配置された当接部を備えていてもよい。前後方向に関して、前記当接部と前記被当接部が当接する位置は、前記第１付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第１付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。前後方向に関して、前記当接部と前記被当接部が当接する位置は、前記第２付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第２付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。

　上記の構成によれば、操作部材から係合部材に作用する下方向の力の作用点の前後方向の位置を、第１付勢部材および第２付勢部材から係合部材に作用する上方向の力の作用点の前後方向の位置に近接させることができる。これによって、係合部材が前後方向に傾いてしまうことを抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、前記被当接部は、左右方向に延びる棒状部を備えていてもよい。前記当接部は、前記棒状部の上方に配置された当接片を備えていてもよい。

　上記の構成によれば、操作部材と係合部材の構成を簡素化することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、前記ケーシングは、前記係合部材の前後方向の移動を禁止し、前記係合部材の上下方向の移動を許容するガイド部をさらに備えていてもよい。前後方向に関して、前記第１付勢部材は、前記ガイド部の前端よりも後方で、かつ前記ガイド部の後端よりも前方に配置されていてもよい。前後方向に関して、前記第２付勢部材は、前記ガイド部の前端よりも後方で、かつ前記ガイド部の後端よりも前方に配置されていてもよい。

　上記の構成によれば、第１付勢部材および第２付勢部材から係合部材に作用する付勢力の作用点の前後方向の位置を、ガイド部の前後方向の位置に近接させることができる。これによって、係合部材が前後方向に傾いてしまうことを抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、電池パックは、電気機器の電池パック取付部に対してスライドさせることで着脱可能であってもよい。前記電池パックを前記電池パック取付部から取り外す際に前記電池パックをスライドさせる方向を前方向とし、前記電池パックを前記電池パック取付部に取り付ける際に前記電池パックをスライドさせる方向を後方向とし、前記電池パックが前記電池パック取付部に取り付けられた状態で、前記電池パックから見て前記電池パック取付部が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、前記電池パックは、ケーシングと、前記ケーシングの内部に収容された電池セルと、前記ケーシングに上下方向に移動可能に保持された係合部材と、前記係合部材を上方に向けて付勢する第１付勢部材と、前記第１付勢部材に対して左右方向に離間して配置されており、前記係合部材を上方に向けて付勢する第２付勢部材を備えていてもよい。前記係合部材は、前記ケーシングの外部に突出する係合部を備えていてもよい。前記係合部が、上下方向および左右方向に沿っており、前記電気機器に係合する係合面を有していてもよい。前後方向に関して、前記係合面は、前記第１付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第１付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。前後方向に関して、前記係合面は、前記第２付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第２付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。左右方向に関して、前記第１付勢部材の右端は、前記係合面の右端よりも右方に配置されていてもよい。左右方向に関して、前記第２付勢部材の左端は、前記係合面の左端よりも左方に配置されていてもよい。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、電池パックは、機器側端子を備える電気機器の電池パック取付部に対してスライドさせることで着脱可能であってもよい。前記電池パックを前記電池パック取付部から取り外す際に前記電池パックをスライドさせる方向を前方向とし、前記電池パックを前記電池パック取付部に取り付ける際に前記電池パックをスライドさせる方向を後方向とし、前記電池パックが前記電池パック取付部に取り付けられた状態で、前記電池パックから見て前記電池パック取付部が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、前記電池パックは、ケーシングと、前記ケーシングの内部に収容された電池セルと、前記機器側端子に機械的に係合し、かつ電気的に接続する電池側端子と、前記ケーシングに上下方向に移動可能に保持された係合部材と、前記係合部材を上方に向けて付勢する第１付勢部材と、前記第１付勢部材に対して左右方向に離間して配置されており、前記係合部材を上方に向けて付勢する第２付勢部材を備えていてもよい。前記係合部材は、前記ケーシングの外部に突出する係合部を備えていてもよい。前記係合部は、上下方向および左右方向に沿っており、前記電気機器に係合する係合面を有していてもよい。前後方向に関して、前記係合面は、前記第１付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第１付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。前後方向に関して、前記係合面は、前記第２付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第２付勢部材の後端よりも前方に配置されていてもよい。左右方向に関して、前記第１付勢部材の右端は、前記電池側端子の右端よりも右方に配置されていてもよい。左右方向に関して、前記第２付勢部材の左端は、前記電池側端子の左端よりも左方に配置されていてもよい。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、電池パックは、電気機器の電池パック取付部に対してスライドさせることで着脱可能であってもよい。前記電池パックは、ケーシングと、前記ケーシングの外部に突出する係合部を有する係合部材と、前記ケーシングの外部に露出する操作面を有する操作部材を備えていてもよい。前記係合部は、前記操作面が押圧された時に、前記ケーシングの内部に向けて移動してもよい。前記操作面に、規則的に配置された凸形状および／または凹形状からなる滑り止め部が形成されていてもよい。前記滑り止め部は、前記操作面において、前記係合部に近い側に配置されていてもよい。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、前記滑り止め部は、前記電池パックを前記電池パック取付部から取り外す際に前記電池パックをスライドさせる方向に対して略直交する方向に延びる複数の凸条および／または凹条からなってもよい。

　上記の構成によれば、ユーザが電池パック取付部に取り付けられた電池パックを取り外すために、滑り止め部に指先を当てて操作面を押圧する際に、指先が滑り止め部から滑ってしまうことを効果的に抑制することができる。

（実施例１）
　図１に示す本実施例の電池パック２は、図２に示す電気機器４に取り付けて使用される。電気機器４は、電池パック２から供給される電力によって動作する電気機器である。電気機器４は、例えば、ドライバやドリル等のモータを動力源とする電動工具であってもよいし、草刈機やブロワ等のモータを動力源とする電動作業機であってもよい。あるいは、電気機器４は、ライトやラジオ、スピーカ等の、モータを備えていない電気機器であってもよい。あるいは、電気機器４は、電池パック２に対して電力を供給する充電器であってもよい。電池パック２の定格電圧は、例えば３６Ｖである。電池パック２の定格容量は、例えば５．０Ａｈである。電池パック２の重量は、例えば、１．０ｋｇ－２．０ｋｇの範囲内である。電池パック２の重量は、より具体的には、例えば１．３３ｋｇや１．９ｋｇである。

　図２に示すように、電気機器４は、電池パック取付部６を備えている。電池パック２は、電池パック取付部６に対して所定のスライド方向にスライドさせることで、電池パック取付部６に取り付け可能である。以下では、電池パック２を電池パック取付部６に取り付ける際に電池パック２をスライドさせる方向を後方向といい、電池パック２を電池パック取付部６から取り外す際に電池パック２をスライドさせる方向を前方向という。また、電池パック２を電池パック取付部６に取り付けた状態で、電池パック２から見て電池パック取付部６が位置する方向を上方向といい、上方向の逆方向を下方向という。さらに、前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向という。

　図３に示すように、電気機器４の電池パック取付部６には、機器側端子８と、機器側レール１０と、係合溝１２が設けられている。機器側端子８は、電池パック２との間での電力の充放電のための２つの電力用端子１４と、電池パック２との間での信号の通信のための３つの信号用端子１６を備えている。なお、信号用端子１６の個数は３つに限られず、電気機器４は、１つまたは２つの信号用端子１６を備えていてもよいし、４つの信号用端子１６を備えていてもよい。電力用端子１４は、信号用端子１６よりも左側および右側に配置されている。機器側レール１０と係合溝１２は、電気機器４のハウジング１８の下側端部に形成されている。機器側レール１０は、機器側端子８よりも左側および右側に配置されており、前後方向に伸びている。係合溝１２は、機器側端子８よりも前側に配置されており、上方に向けて陥凹している。係合溝１２には、上下方向および左右方向に沿って配置されており、後方を向いた係合面１２ａが設けられている。

　図１に示すように、電池パック２は、ケーシング２０と、ケーシング２０の内部に収容された電池セルユニット２２（図４参照）を備えている。ケーシング２０は、下ケーシング２４と、上ケーシング２６を備えている。

　図４に示すように、電池セルユニット２２は、電池セル２８と、電池セル２８を保持する樹脂製のセルホルダ３０と、セルホルダ３０の上方でセルホルダ３０に保持された制御回路基板３２と、セルホルダ３０の左右の側面に配置されており、電池セル２８と制御回路基板３２を電気的に接続するリード板３４と、制御回路基板３２の上面に設けられた電池側端子３６を備えている。電池側端子３６は、電気機器４の電力用端子１４に対応して配置された２つの電力用端子３８と、電気機器４の信号用端子１６に対応して配置された４つの信号用端子４０を備えている。

　図５に示すように、電池セル２８は、上下方向に４段に配置されている。それぞれの電池セル２８は、例えばリチウムイオン電池セルである。それぞれの電池セル２８は、略円柱形状を有しており、長手方向が左右方向に沿うように配置されている。それぞれの電池セル２８の形状は、例えば、１８６５０型であって、直径が１８ｍｍ、長手方向の寸法が６５ｍｍである。下から１段目には、４個の電池セル２８が前後方向に並んで配置されている。下から１段目の電池セル２８のうち、前から１個目の電池セル２８と後から１個目の電池セル２８は、他の電池セル２８よりもわずかに上方に配置されている。下から２段目には、５個の電池セル２８が前後方向に並んで配置されている。前後方向に関して、下から２段目の電池セル２８のそれぞれの中心の位置は、下から１段目の電池セル２８のそれぞれの中心の位置と重ならないように配置されている。下から２段目の電池セル２８のうち、前から１個目の電池セル２８と後から１個目の電池セル２８は、他の電池セル２８よりもわずかに下方に配置されている。下から３段目には、６個の電池セル２８が前後方向に並んで配置されている。前後方向に関して、下から３段目の電池セル２８のそれぞれの中心の位置は、下から２段目の電池セル２８のそれぞれの中心の位置と重ならないように配置されている。下から３段目の電池セル２８のうち、前から２個目の電池セル２８と、後から２個目の電池セル２８は、他の電池セル２８よりもわずかに下方に配置されている。下から４段目、すなわち上から１段目には、５個の電池セル２８が前後方向に並んで配置されている。前後方向に関して、下から４段目の電池セル２８のそれぞれの中心の位置は、下から３段目の電池セル２８のそれぞれの中心の位置と重ならないように配置されている。下から４段目の電池セル２８は、上下方向の位置が略同じとなるように配置されている。

　図６、図７に示すように、それぞれの電力用端子３８は、基部３８ａと、基部３８ａの左右両端から上方に屈曲する挟持部３８ｂと、基部３８ａの前端から下方に屈曲する前端支持部３８ｃと、基部３８ａの後端から下方に屈曲する後端支持部３８ｄと、基部３８ａの前後方向の中央近傍の左端から下方に屈曲する中央支持部３８ｅを備えている。電池パック２が電気機器４に取り付けられた時に、挟持部３８ｂは電気機器４の電力用端子１４を左右方向から弾性的に挟持する。これによって、電力用端子３８は電気機器４の電力用端子１４と機械的に係合するとともに、電気的に接続する。前端支持部３８ｃと、後端支持部３８ｄと、中央支持部３８ｅは、制御回路基板３２に形成された孔に差し込まれた状態で、制御回路基板３２にはんだ付けされている。これによって、電力用端子３８は制御回路基板３２に、機械的に固定されるともに、電気的に接続されている。

　図８、図９に示すように、それぞれの信号用端子４０は、基部４０ａと、基部４０ａの左右両端から上方に屈曲する挟持部４０ｂと、基部４０ａの前端から下方に屈曲する前端支持部４０ｃと、基部４０ａの後端から下方に屈曲する後端支持部４０ｄを備えている。電池パック２が電気機器４に取り付けられた時に、挟持部４０ｂは電気機器４の信号用端子１６を左右方向から弾性的に挟持する。これによって、信号用端子４０は電気機器４の信号用端子１６と機械的に係合するとともに、電気的に接続する。前端支持部４０ｃと、後端支持部４０ｄは、制御回路基板３２に形成された孔に差し込まれた状態で、制御回路基板３２にはんだ付けされている。これによって、信号用端子４０は制御回路基板３２に、機械的に固定されるともに、電気的に接続されている。

　電力用端子３８は、信号用端子４０に比べて、大きな電流が流れるので、発熱に伴う温度上昇も大きくなる。このため、仮に電力用端子３８が、信号用端子４０と同様に、中央支持部３８ｅを備えておらず、前端支持部３８ｃと、後端支持部３８ｄのみを備える構成とした場合、前端支持部３８ｃおよび後端支持部３８ｄのそれぞれに大きな電流が流れて、発熱に伴う温度上昇が非常に大きなものとなってしまう。図６、図７に示すように、本実施例の電池パック２では、電力用端子３８は、前端支持部３８ｃと、後端支持部３８ｄと、中央支持部３８ｅを介して制御回路基板３２に電気的に接続している。このため、前端支持部３８ｃ、後端支持部３８ｄおよび中央支持部３８ｅのそれぞれに流れる電流を小さくすることができ、発熱に伴う温度上昇を抑制することができる。

　図４に示すように、制御回路基板３２の上面には、電力用端子３８の間、信号用端子４０の間、および電力用端子３８と信号用端子４０の間の短絡を抑制するために、樹脂製のブラケット４２が設けられている。また、制御回路基板３２の上面には、制御回路基板３２から上方に離間した位置で前後方向に伸びており、前端が下方に屈曲して制御回路基板３２に固定されており、後端も下方に屈曲して制御回路基板３２に固定されている、金属製の導電部材４４が設けられている。導電部材４４は、電気的に、電池セル２８と電力用端子３８の間の電流経路上に配置されている。導電部材４４を設けることによって、電池セル２８と電力用端子３８の間の電流経路の全てを制御回路基板３２上のプリント配線とした場合に比べて、制御回路基板３２の発熱を抑制することができる。また、導電部材４４から周囲の空気へ放熱が行われることで、制御回路基板３２の温度上昇を抑制することができる。

　図１０に示すように、制御回路基板３２の上面は、種々の回路素子が実装される回路素子領域４６，４８を有している。回路素子領域４６は、電池側端子３６よりも前方に配置されている。回路素子領域４８は、電池側端子３６よりも後方に配置されている。回路素子領域４６には、電池パック２の動作を制御するマイクロコントローラ５０が実装されている。

　図１１に示すように、下ケーシング２４の前下右端と前下左端には、前方および下方に向けて突出する前ガード部５２が形成されている。下ケーシング２４の後下右端と後下左端には、後方および下方に向けて突出する後ガード部５４が形成されている。電池パック２が不意に落下した場合には、前ガード部５２または後ガード部５４が地面や床面と衝突する。図１２に示すように、前ガード部５２は、前ガード部５２に近接する２つの電池セル２８に跨るセルホルダ３０の面に対向して配置されており、そのセルホルダ３０の面と前ガード部５２との間には、１３．０ｍｍ以上のクリアランスが確保されている。このため、前ガード部５２が衝突により変形した場合でも、電池セル２８が損傷することを抑制することができる。また、図１３に示すように、後ガード部５４は、後ガード部５４に近接する２つの電池セル２８に跨るセルホルダ３０の面に対向して配置されており、そのセルホルダ３０の面と後ガード部５４との間には、９．０ｍｍ以上のクリアランスが確保されている。このため、後ガード部５４が衝突により変形した場合でも、電池セル２８が損傷することを抑制することができる。

　図１１に示すように、下ケーシング２４と上ケーシング２６は、電池パック２の前方の２つのボルト５６と、電池パック２の後方の２つのボルト５８によって、互いに固定されている。図５に示すように、ボルト５６は、下ケーシング２４の前端近傍に形成されたボルト受け部６０を下方から貫通して、上ケーシング２６の前端近傍に形成されたボルト孔６２に螺合している。ボルト５６の頭部５６ａは、複数の電池セル２８のうち最も前方に位置する電池セル２８（本実施例では、下から３段目の前から１個目の電池セル２８）の下端よりも下方に配置されている。このような構成とすることで、ボルト５６を複数の電池セル２８に近接して配置することができ、電池パック２の前後方向の寸法を小型化することができる。また、ボルト５８は、下ケーシング２４の後端近傍に形成されたボルト受け部６４を下方から貫通して、上ケーシング２６の後端近傍に形成されたボルト孔６６に螺合している。ボルト５８の頭部５８ａは、複数の電池セル２８のうち最も後方に位置する電池セル２８（本実施例では、下から３段目の後から１個目の電池セル２８）の下端よりも下方に配置されている。このような構成とすることで、ボルト５８を複数の電池セル２８に近接して配置することができ、電池パック２の前後方向の寸法を小型化することができる。

　図１に示すように、上ケーシング２６の上面には、端子用開口６８と、電池側レール７０と、係合用開口７２と、操作用開口７４が形成されている。端子用開口６８は、電池側端子３６（図４参照）に対応する位置に配置されている。電池パック２を電気機器４に取り付ける際には、電気機器４の機器側端子８（図３参照）が端子用開口６８を介して上ケーシング２６の内部に入り込む。これによって、機器側端子８は、電池側端子３６と機械的に係合するとともに、電気的に接続する。電池側レール７０は、端子用開口６８よりも左側および右側で、前後方向に沿って伸びている。電池パック２を電気機器４に取り付ける際には、電池側レール７０が電気機器４の機器側レール１０（図３参照）と前後方向に摺動可能に係合する。係合用開口７２は、端子用開口６８よりも前方に配置されている。係合用開口７２には、係合部材７６が取り付けられている。操作用開口７４は、係合用開口７２よりも前方に配置されている。操作用開口７４には、操作部材７８が取り付けられている。

　図１４に示すように、係合部材７６は、基部７６ａと、基部７６ａから上方に向けて突出する係合部７６ｂと、基部７６ａの右方に配置された右支持部７６ｃと、基部７６ａの左方に配置された左支持部７６ｄを備えている。基部７６ａは、基部７６ａの右端で前後方向および上下方向に沿って配置された右壁７６ｅと、基部７６ａの左端で前後方向および上下方向に沿って配置された左壁７６ｆと、基部７６ａの左右方向の中央で前後方向および上下方向に沿って配置された中央壁７６ｇと、左右方向および上下方向に沿って配置されており、右壁７６ｅの後部と、左壁７６ｆの後部と、中央壁７６ｇの後部を接続する後壁７６ｈと、前後方向および左右方向に沿って配置されており、右壁７６ｅの後方上部と、左壁７６ｆの後方上部と、中央壁７６ｇの後方上部を接続する上壁７６ｉと、左右方向に伸びており、右壁７６ｅの前後方向の中央の下部と、中央壁７６ｇの前後方向の中央下部を接続する右梁７６ｊと、左右方向に伸びており、左壁７６ｆの前後方向の中央の下部と、中央壁７６ｇの前後方向の中央の下部を接続する左梁７６ｋを備えている。係合部７６ｂは、係合部７６ｂの右端に配置された右係合部７６ｌと、係合部７６ｂの左端に配置された左係合部７６ｍと、右係合部７６ｌと左係合部７６ｍを連結する連結部７６ｎを備えている。右係合部７６ｌは、左右方向および上下方向に沿って配置されており、前方を向いた右係合面７６ｏと、右係合面７６ｏよりも後方で後方上方を向いて配置されており、前方から後方に向かうにつれて上方から下方に向かうように傾斜した右傾斜面７６ｐを備えている。左係合部７６ｍは、左右方向および上下方向に沿って配置されており、前方を向いた左係合面７６ｑと、左係合面７６ｑよりも後方で後方上方を向いて配置されており、前方から後方に向かうにつれて上方から下方に向かうように傾斜した左傾斜面７６ｒを備えている。

　図１５に示すように、右支持部７６ｃは、下方に向けて開口した略円柱形状のバネ受け溝７６ｓを備えている。左支持部７６ｄは、下方に向けて開口した略円柱形状のバネ受け溝７６ｔを備えている。バネ受け溝７６ｓには、圧縮バネ８０（図４参照）が取り付けられる。バネ受け溝７６ｔには、圧縮バネ８２（図４参照）が取り付けられる。図４に示すように、セルホルダ３０の上部には、圧縮バネ８０を支持するバネ支持部８４と、圧縮バネ８２を支持するバネ支持部８６が形成されている。制御回路基板３２は、右側縁から左方に向けて延びる切り欠き８８と、左側縁から右方に向けて延びる切り欠き９０を備えている。バネ支持部８４は、切り欠き８８を貫通して上方に突出している。バネ支持部８６は、切り欠き９０を貫通して上方に突出している。圧縮バネ８０，８２は、係合部材７６をセルホルダ３０に対して、上方に向けて付勢する。

　図１６に示すように、上ケーシング２６の係合用開口７２の近傍の内面には、右ガイド部９２と左ガイド部９４が形成されている。右ガイド部９２は、係合部材７６の右支持部７６ｃを、上下方向に移動可能であり、前後方向および右方向に移動不能に収容する。左ガイド部９４は、係合部材７６の左支持部７６ｄを、上下方向に移動可能であり、前後方向および左方向に移動不能に収容する。図１７に示すように、係合部材７６は、係合部７６ｂが係合用開口７２から上ケーシング２６の外部に突出し、かつ、右支持部７６ｃが右ガイド部９２に収容され、左支持部７６ｄが左ガイド部９４に収容されるように、上ケーシング２６に取り付けられる。

　図１８、図１９に示すように、操作部材７８は、操作部７８ａと、操作部７８ａの前方下方に配置された支持部７８ｂと、操作部７８ａの後方に配置された当接部７８ｃを備えている。操作部７８ａは、ユーザによって押圧操作される略平面状の操作面７８ｄを備えている。操作面７８ｄには、操作面７８ｄから外側に突出する複数の（例えば６個の）凸条７８ｈが形成されている。複数の凸条７８ｈは、左右方向に沿って、互いに平行に配置されている。複数の凸条７８ｈは、ユーザの指先が滑ることを抑制する滑り止め部７８ｉを構成する。なお、複数の凸条７８ｈの個数は、２個、３個、４個、５個または７個以上であってもよい。また、滑り止め部７８ｉは、複数の凸条７８ｈに加えて、または複数の凸条７８ｈに代えて、複数の（例えば６個の）凹条（図示せず）を備えていてもよい。あるいは、滑り止め部７８ｉは、例えば格子の交点に配置された複数の凸部または複数の凹部のような、他の規則的に配置された凸形状および／または凹形状から構成されていてもよい。図１に示すように、滑り止め部７８ｉは、操作面７８ｄにおいて、係合部材７６に近い側に配置されている。言い換えると、複数の凸条７８ｈの前後方向の中心は、操作面７８ｄの前後方向の中心よりも後方に（すなわち係合部材７６に近い側に）オフセットして配置されている。図１８、図１９に示すように、支持部７８ｂは、左右方向に延びる回動シャフト７８ｅを備えている。当接部７８ｃは、後方に向けて延びる右当接片７８ｆと、後方に向けて延びる左当接片７８ｇを備えている。右当接片７８ｆと左当接片７８ｇは、左右に並んで配置されている。

　図１６に示すように、上ケーシング２６の前端近傍の内面には、シャフト保持部９６が形成されている。シャフト保持部９６は、操作部材７８の回動シャフト７８ｅの右端および左端を、回動可能に保持する。図１７に示すように、操作部材７８は、右当接片７８ｆと左当接片７８ｇが係合部材７６の基部７６ａに差し込まれ、操作部７８ａの操作面７８ｄが操作用開口７４を介して上ケーシング２６の外部に露出し、支持部７８ｂの回動シャフト７８ｅがシャフト保持部９６に保持されるように、上ケーシング２６に取り付けられる。

　図２０に示すように、係合部材７６と操作部材７８を上ケーシング２６に取り付けた状態では、操作部材７８の右当接片７８ｆは係合部材７６の右梁７６ｊの上方に配置されており、操作部材７８の左当接片７８ｇは係合部材７６の左梁７６ｋの上方に配置されている。このため、圧縮バネ８０，８２が係合部材７６をセルホルダ３０に対して上方に向けて付勢することで、係合部材７６が上ケーシング２６に押し付けられるとともに、操作部材７８の右当接片７８ｆと左当接片７８ｇが係合部材７６の右梁７６ｊと左梁７６ｋによって上方に向けて押し上げられ、操作部材７８も上ケーシング２６に押し付けられている。

　図２１を参照して、電池パック２を電気機器４に取り付ける際の係合部材７６の動作について説明する。電池パック２を電気機器４に取り付ける際には、電気機器４のハウジング１８（図３参照）が係合部材７６の右傾斜面７６ｐと左傾斜面７６ｒに当接して後方から前方に向けて移動することで、係合部材７６が圧縮バネ８０，８２の付勢力に抗して下方に押し下げられる。その後、電気機器４の係合溝１２（図３参照）が係合部材７６の係合部７６ｂの上方まで移動すると、圧縮バネ８０，８２の付勢力によって係合部材７６が上方に押し上げられて、係合部７６ｂが係合溝１２に入り込む。この状態では、係合部材７６の右係合面７６ｏと左係合面７６ｑが、電気機器４の係合面１２ａ（図３参照）と対向して配置されるので、電池パック２を電気機器４に対して前方にスライドさせることが禁止される。これによって、電気機器４から電池パック２を取り外すことが禁止される。

　図２０を参照して、電池パック２を電気機器４から取り外す際の係合部材７６の動作について説明する。電池パック２を電気機器４から取り外す際には、ユーザは、操作部材７８の操作面７８ｄに押下操作を行う。この操作によって、操作部材７８が回動シャフト７８ｅを回動軸として回動するとともに、係合部材７６の右梁７６ｊと左梁７６ｋが操作部材７８の右当接片７８ｆと左当接片７８ｇによって下方に向けて押し下げられ、係合部材７６が圧縮バネ８０，８２の付勢力に抗して下方に押し下げられる。これによって、係合部材７６の係合部７６ｂが電気機器４の係合溝１２から抜け出し、電池パック２を電気機器４に対して前方にスライドさせることが許容される。この状態から、ユーザは、電池パック２を電気機器４に対して前方にスライドさせることで、電気機器４から電池パック２を取り外すことができる。

　なお、電池パック２において、操作部材７８の操作面７８ｄは、図３１に示す形状に形成されていてもよい。図３１に示す例では、操作面７８ｄは、略平面状の第１操作面７８ｊと、第１操作面７８ｊの前端から前方下方に屈曲した略平面状の第２操作面７８ｋを備えている。第１操作面７８ｊには、複数の凸条７８ｈからなる滑り止め部７８ｉが形成されている。第２操作面７８ｋには、第２操作面７８ｋから外側に突出した幅広の指当て部７８ｌが形成されている。図３１に示す例では、ユーザが電池パック２を把持した手の指で操作面７８ｄを押圧する際に、指の基節または中節を指当て部７８ｌに当てた状態で、指先（指の末節）で滑り止め部７８ｉを押圧することができるので、操作面７８ｄの押圧操作をより容易に行うことができる。図３１に示す例でも、滑り止め部７８ｉは、操作面７８ｄにおいて、係合部材７６に近い側に配置されている。言い換えると、複数の凸条７８ｈの前後方向の中心は、操作面７８ｄの前後方向の中心よりも後方に（すなわち係合部材７６に近い側に）オフセットして配置されている。

　以上のように、１つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック２は、電気機器４の電池パック取付部６に対してスライドさせることで着脱可能である。電池パック２を電池パック取付部６から取り外す際に電池パック２をスライドさせる方向を前方向とし、電池パック２を電池パック取付部６に取り付ける際に電池パック２をスライドさせる方向を後方向とし、電池パック２が電池パック取付部６に取り付けられた状態で、電池パック２から見て電池パック取付部６が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、電池パック２は、ケーシング２０と、ケーシング２０の内部に収容された電池セル２８と、ケーシング２０の内部に収容された制御回路基板３２（回路基板の例）と、ケーシング２０に上下方向に移動可能に保持された係合部材７６と、係合部材７６を上方に向けて付勢する圧縮バネ８０（第１付勢部材の例）と、圧縮バネ８０に対して左右方向に離間して配置されており、係合部材７６を上方に向けて付勢する圧縮バネ８２（第２付勢部材の例）を備えている。制御回路基板３２の少なくとも一部は、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間に配置されている。係合部材７６は、ケーシング２０の外部に突出する係合部７６ｂを備えている。係合部７６ｂは、上下方向および左右方向に沿っており、電気機器４に係合する右係合面７６ｏおよび左係合面７６ｑ（係合面の例）を有している。前後方向に関して、右係合面７６ｏおよび左係合面７６ｑは、圧縮バネ８０の前端よりも後方で、かつ圧縮バネ８２の後端よりも前方に配置されている。前後方向に関して、右係合面７６ｏおよび左係合面７６ｑは、圧縮バネ８２の前端よりも後方で、かつ圧縮バネ８２の後端よりも前方に配置されている。

　上記の構成によれば、左右方向に互いに離間して配置された圧縮バネ８０と圧縮バネ８２が、係合部材７６を上方に向けて付勢するので、係合部材７６に対して作用する付勢力の左右方向のバランスを取ることができ、係合部材７６がケーシング２０に対して左右方向に傾くことを抑制することができる。また、上記の構成によれば、係合部材７６に対して付勢力が作用する作用点の前後方向の位置を、係合部７６ｂの前後方向の位置に近接させることができる。これによって、係合部材７６とケーシング２０の隙間に粉塵が入り込み、係合部７６ｂがケーシング２０に対して引っかかってしまう場合であっても、引っかかりを解消するように圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の付勢力を係合部材７６に作用させることができる。さらに、上記の構成によれば、制御回路基板３２の少なくとも一部が圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間に配置されているので、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間のスペースを有効に活用することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、左右方向に関して、圧縮バネ８０の右端は、右係合面７６ｏの右端よりも右方に配置されている。左右方向に関して、圧縮バネ８２の左端は、左係合面７６ｑの左端よりも左方に配置されている。

　上記の構成によれば、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間の間隔が広く確保されるので、制御回路基板３２において素子や配線を実装可能なスペースを広く確保することができる。また、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間の間隔が広く確保されるので、係合部材７６に対して作用する付勢力の左右方向のバランスを取りやすく、係合部材７６がケーシング２０に対して左右方向に傾くことを効果的に抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、左右方向に関して、圧縮バネ８０の左端は、右係合面７６ｏの右端よりも右方に配置されている。左右方向に関して、圧縮バネ８２の右端は、左係合面７６ｑの左端よりも左方に配置されている。

　上記の構成によれば、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間の間隔がより広く確保されるので、制御回路基板３２において素子や配線を実装可能なスペースをより広く確保することができる。また、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間の間隔がより広く確保されるので、係合部材７６に対して作用する付勢力の左右方向のバランスをより取りやすく、係合部材７６がケーシング２０に対して左右方向に傾くことをより効果的に抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック取付部６は、機器側端子８を備えている。制御回路基板３２は、機器側端子８に機械的に係合し、かつ電気的に接続する電池側端子３６を備えている。左右方向に関して、圧縮バネ８０の右端は、電池側端子３６の右端よりも右方に配置されている。左右方向に関して、圧縮バネ８２の左端は、電池側端子３６の左端よりも左方に配置されている。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、左右方向に関して、圧縮バネ８０の左端は、電池側端子３６の右端よりも右方に配置されている。左右方向に関して、圧縮バネ８２の右端は、電池側端子３６の左端よりも左方に配置されている。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、制御回路基板３２は、電気機器４への放電および／または電気機器４からの充電のための電流が流れる導電部材４４（電力経路の例）を備えている。導電部材４４は、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間を通過している。

　上記の構成によれば、導電部材４４が、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間を通過しているので、制御回路基板３２の他の箇所を、他の素子や配線を実装するスペースとして有効に活用することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、制御回路基板３２は、電池パック２の動作を制御するマイクロコントローラ５０を備えている。マイクロコントローラ５０は、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間に配置されている。

　上記の構成によれば、マイクロコントローラ５０が、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間に配置されているので、制御回路基板３２の他の箇所を、他の素子や配線を実装するスペースとして有効に活用することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック２は、ケーシング２０に回動可能に保持されており、ユーザによって操作される操作面７８ｄを有する操作部材７８をさらに備えている。操作部材７８は、ユーザによって操作面７８ｄが押された時に、係合部材７６を下方に向けて押し下げる方向に回動する。

　上記の構成によれば、係合部材７６と操作部材７８が一体化されている構成と比べて、係合部材７６がケーシング２０に対して上下に移動する際に、係合部材７６がケーシング２０に対して傾斜しにくくなるので、係合部材７６がケーシング２０に引っかかりにくくすることができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、操作面７８ｄは、ケーシング２０の前上面に配置されている。

　上記の構成によれば、ユーザが電池パック取付部６に取り付けられた電池パック２を取り外す際に、一方の手の親指以外の四指を電池パック２の下面に当て、親指によって操作面７８ｄを押下することで、ユーザは操作面７８ｄを押下した状態を維持したまま、電池パック２を把持して、電池パック２を前方に向けてスライドさせることができる。ユーザが電池パック２を取り外す際の操作を簡便なものとすることができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、操作部材７８は、左右方向に沿った回動軸周りに回動可能にケーシング２０に保持されている。

　上記の構成によれば、ユーザが操作面７８ｄを押下した時に、操作面７８ｄが左右方向に傾くことを抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、係合部材７６は、右梁７６ｊおよび左梁７６ｋ（被当接部の例）を備えている。操作部材７８は、右梁７６ｊおよび左梁７６ｋの上方に配置された右当接片７８ｆおよび左当接片７８ｇ（当接部の例）を備えている。前後方向に関して、右当接片７８ｆおよび左当接片７８ｇと右梁７６ｊおよび左梁７６ｋが当接する位置は、圧縮バネ８０の前端よりも後方で、かつ圧縮バネ８０の後端よりも前方に配置されている。前後方向に関して、右当接片７８ｆおよび左当接片７８ｇと右梁７６ｊおよび左梁７６ｋが当接する位置は、圧縮バネ８２の前端よりも後方で、かつ圧縮バネ８２の後端よりも前方に配置されている。

　上記の構成によれば、操作部材７８から係合部材７６に作用する下方向の力の作用点の前後方向の位置を、圧縮バネ８０および圧縮バネ８２から係合部材７６に作用する上方向の力の作用点の前後方向の位置に近接させることができる。これによって、係合部材７６が前後方向に傾いてしまうことを抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、右梁７６ｊおよび左梁７６ｋ（棒状部の例）は、左右方向に延びる棒状の形状を有する。右当接片７８ｆおよび左当接片７８ｇ（当接片の例）は、右梁７６ｊおよび左梁７６ｋの上方に配置されている。

　上記の構成によれば、操作部材７８と係合部材７６の構成を簡素化することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、ケーシング２０は、係合部材７６の前後方向の移動を禁止し、係合部材７６の上下方向の移動を許容する右ガイド部９２および左ガイド部９４（ガイド部の例）をさらに備えている。前後方向に関して、圧縮バネ８０は、右ガイド部９２および左ガイド部９４の前端よりも後方で、かつ右ガイド部９２および左ガイド部９４の後端よりも前方に配置されている。前後方向に関して、圧縮バネ８２は、右ガイド部９２および左ガイド部９４の前端よりも後方で、かつ右ガイド部９２および左ガイド部９４の後端よりも前方に配置されている。

　上記の構成によれば、圧縮バネ８０および圧縮バネ８２から係合部材７６に作用する付勢力の作用点の前後方向の位置を、右ガイド部９２および左ガイド部９４の前後方向の位置に近接させることができる。これによって、係合部材７６が前後方向に傾いてしまうことを抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック２は、電気機器４の電池パック取付部６に対してスライドさせることで着脱可能である。電池パック２を電池パック取付部６から取り外す際に電池パック２をスライドさせる方向を前方向とし、電池パック２を電池パック取付部６に取り付ける際に電池パック２をスライドさせる方向を後方向とし、電池パック２が電池パック取付部６に取り付けられた状態で、電池パック２から見て電池パック取付部６が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、電池パック２は、ケーシング２０と、ケーシング２０の内部に収容された電池セル２８と、ケーシング２０に上下方向に移動可能に保持された係合部材７６と、係合部材７６を上方に向けて付勢する圧縮バネ８０（第１付勢部材の例）と、圧縮バネ８０に対して左右方向に離間して配置されており、係合部材７６を上方に向けて付勢する圧縮バネ８２（第２付勢部材の例）を備えている。係合部材７６は、ケーシング２０の外部に突出する係合部７６ｂを備えている。係合部７６ｂは、上下方向および左右方向に沿っており、電気機器４に係合する右係合面７６ｏおよび左係合面７６ｑ（係合面の例）を有している。前後方向に関して、右係合面７６ｏおよび左係合面７６ｑは、圧縮バネ８０の前端よりも後方で、かつ圧縮バネ８２の後端よりも前方に配置されている。前後方向に関して、右係合面７６ｏおよび左係合面７６ｑは、圧縮バネ８２の前端よりも後方で、かつ圧縮バネ８２の後端よりも前方に配置されている。左右方向に関して、圧縮バネ８０の右端は、右係合面７６ｏの右端よりも右方に配置されている。左右方向に関して、圧縮バネ８２の左端は、左係合面７６ｑの左端よりも左方に配置されている。

　上記の構成によれば、左右方向に互いに離間して配置された圧縮バネ８０と圧縮バネ８２が、係合部材７６を上方に向けて付勢するので、係合部材７６に対して作用する付勢力の左右方向のバランスを取ることができ、係合部材７６がケーシング２０に対して左右方向に傾くことを抑制することができる。また、上記の構成によれば、係合部材７６に対して付勢力が作用する作用点の前後方向の位置を、係合部７６ｂの前後方向の位置に近接させることができる。これによって、係合部材７６とケーシング２０の隙間に粉塵が入り込み、係合部７６ｂがケーシング２０に対して引っかかってしまう場合であっても、引っかかりを解消するように圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の付勢力を係合部材７６に作用させることができる。さらに、上記の構成によれば、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間の間隔が広く確保されるので、係合部材７６に対して作用する付勢力の左右方向のバランスを取りやすく、係合部材７６がケーシング２０に対して左右方向に傾くことを効果的に抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック２は、機器側端子８を備える電気機器４の電池パック取付部６に対してスライドさせることで着脱可能である。電池パック２を電池パック取付部６から取り外す際に電池パック２をスライドさせる方向を前方向とし、電池パック２を電池パック取付部６に取り付ける際に電池パック２をスライドさせる方向を後方向とし、電池パック２が電池パック取付部６に取り付けられた状態で、電池パック２から見て電池パック取付部６が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、電池パック２は、ケーシング２０と、ケーシング２０の内部に収容された電池セル２８と、機器側端子８に機械的に係合し、かつ電気的に接続する電池側端子３６と、ケーシング２０に上下方向に移動可能に保持された係合部材７６と、係合部材７６を上方に向けて付勢する圧縮バネ８０（第１付勢部材の例）と、圧縮バネ８０に対して左右方向に離間して配置されており、係合部材７６を上方に向けて付勢する圧縮バネ８２（第２付勢部材の例）を備えている。係合部材７６は、ケーシング２０の外部に突出する係合部７６ｂを備えている。係合部７６ｂは、上下方向および左右方向に沿っており、電気機器４に係合する右係合面７６ｏおよび左係合面７６ｑ（係合面の例）を有している。前後方向に関して、右係合面７６ｏおよび左係合面７６ｑは、圧縮バネ８０の前端よりも後方で、かつ圧縮バネ８２の後端よりも前方に配置されている。前後方向に関して、右係合面７６ｏおよび左係合面７６ｑは、圧縮バネ８２の前端よりも後方で、かつ圧縮バネ８２の後端よりも前方に配置されている。左右方向に関して、圧縮バネ８０の右端は、電池側端子３６の右端よりも右方に配置されている。左右方向に関して、圧縮バネ８２の左端は、電池側端子３６の左端よりも左方に配置されている。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック２は、電気機器４の電池パック取付部６に対してスライドさせることで着脱可能である。電池パック２は、ケーシング２０と、ケーシング２０の外部に突出する係合部７６ｂを有する係合部材７６と、ケーシング２０の外部に露出する操作面７８ｄを有する操作部材７８を備えている。係合部７６ｂは、操作面７８ｄが押圧された時に、ケーシング２０の内部に向けて移動する。操作面７８ｄに、規則的に配置された複数の凸条７８ｈ（凸形状および／または凹形状の例）からなる滑り止め部７８ｉが形成されている。滑り止め部７８ｉは、操作面７８ｄにおいて、係合部７６ｂに近い側に配置されている。

　上記の構成によれば、ユーザが電池パック取付部６に取り付けられた電池パック２を取り外す際に、操作面７８ｄにおいて係合部７６ｂに近い側に配置された滑り止め部７８ｉに指先を当てて操作面７８ｄを押圧するように、ユーザに促すことができる。このため、ユーザが操作面７８ｄを押圧する際の押圧力を係合部７６ｂに近い位置で作用させることができ、係合部材７６をケーシング２０に対してスムーズに移動させることができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、滑り止め部７８ｉは、電池パック２を電池パック取付部６から取り外す際に電池パック２をスライドさせる方向（例えば前方向）に対して略直交する方向に延びる複数の凸条７８ｈからなる。

　上記の構成によれば、ユーザが電池パック取付部６に取り付けられた電池パック２を取り外すために、滑り止め部７８ｉに指先を当てて操作面７８ｄを押圧する際に、指先が滑り止め部７８ｉから滑ってしまうことを効果的に抑制することができる。

（実施例２）
　図２２に示す本実施例の電池パック１０２は、実施例１の電池パック２と同様に、電気機器４（図２、図３参照）に取り付けて使用される。電池パック１０２は、電気機器４の電池パック取付部６に対して所定のスライド方向にスライドさせることで、電池パック取付部６に取り付け可能である。以下では、電池パック１０２を電池パック取付部６に取り付ける際に電池パック１０２をスライドさせる方向を後方向といい、電池パック１０２を電池パック取付部６から取り外す際に電池パック１０２をスライドさせる方向を前方向という。また、電池パック１０２を電池パック取付部６に取り付けた状態で、電池パック１０２から見て電池パック取付部６が位置する方向を上方向といい、上方向の逆方向を下方向という。さらに、前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向という。なお、以下の説明では、実施例１の電池パック２と同様の構成については、同様の参照符号を付して、詳細な説明は省略する。電池パック１０２の定格電圧は、例えば３６Ｖである。電池パック１０２の定格容量は、例えば４．０Ａｈである。電池パック１０２の重量は、１．０ｋｇ以下であり、例えば１．０ｋｇである。

　電池パック１０２は、ケーシング１０６と、ケーシング１０６の内部に収容された電池セルユニット１０８（図２３参照）を備えている。ケーシング１０６は、下ケーシング１１０と、上ケーシング１１２を備えている。下ケーシング１１０と上ケーシング１１２は、４つのボルト（図示せず）によって互いに固定されている。

　図２３に示すように、電池セルユニット１０８は、電池セル１１４（図２４参照）と、電池セル１１４を保持する樹脂製のセルホルダ１１６と、セルホルダ１１６の上方でセルホルダ１１６に保持された制御回路基板１１８と、セルホルダ１１６の左右の側面に配置されており、電池セル１１４と制御回路基板１１８を電気的に接続するリード板１２０と、制御回路基板１１８の上面に設けられた電池側端子３６を備えている。

　図２４に示すように、電池セル１１４は、上下方向に２段に配置されている。それぞれの電池セル１１４は、例えばリチウムイオン電池セルである。それぞれの電池セル１１４は、略円柱形状を有しており、長手方向が左右方向に沿うように配置されている。それぞれの電池セル１１４の形状は、例えば、２１７００型であって、直径が２１ｍｍ、長手方向の寸法が７０ｍｍである。下段には、５個の電池セル１１４が前後方向に並んで配置されている。下段の電池セル１１４は、上下方向の位置が略同じとなるように配置されている。上段には、５個の電池セル１１４が前後方向に並んで配置されている。上段の電池セル１１４のそれぞれの前後方向の中心の位置は、下段の電池セル１１４のそれぞれの前後方向の中心の位置と略一致するように配置されている。上段の電池セル１１４は、上下方向の位置が略同じとなるように配置されている。

　図２３に示すように、制御回路基板１１８の上面には、電池側端子３６の間の短絡を抑制するためにブラケット４２が設けられている。図２５に示すように、制御回路基板１１８の上面は、回路素子領域４６，４８を有している。回路素子領域４６には、マイクロコントローラ５０が実装されている。

　図２２に示すように、上ケーシング１１２の上面には、端子用開口６８と、電池側レール７０と、係合用開口７２と、操作用開口７４が形成されている。係合用開口７２と操作用開口７４には、係合部材１２２が取り付けられている。

　図２６に示すように、係合部材１２２は、基部１２２ａと、基部１２２ａの後部から上方に向けて突出する係合部１２２ｂと、基部１２２ａの右方に配置された右支持部１２２ｃと、基部１２２ａの左方に配置された左支持部１２２ｄと、基部１２２ａから前方下方に延びる操作部１２２ｅと、操作部１２２ｅの前端近傍から下方に延びる支持部１２２ｆを備えている。係合部１２２ｂは、係合部１２２ｂの右端に配置された右係合部１２２ｇと、係合部１２２ｂの左端に配置された左係合部１２２ｈと、右係合部１２２ｇと左係合部１２２ｈを連結する連結部１２２ｉを備えている。右係合部１２２ｇは、左右方向および上下方向に沿って配置されており、前方を向いた右係合面１２２ｊと、右係合面１２２ｊよりも後方で後方上方を向いて配置されており、前方から後方に向かうにつれて上方から下方に向かうように傾斜した右傾斜面１２２ｋを備えている。左係合部１２２ｈは、左右方向および上下方向に沿って配置されており、前方を向いた左係合面１２２ｌと、左係合面１２２ｌよりも後方で後方上方を向いて配置されており、前方から後方に向かうにつれて上方から下方に向かうように傾斜した左傾斜面１２２ｍを備えている。図２７に示すように、右支持部１２２ｃは、下方に向けて開口した略円柱形状のバネ受け溝１２２ｎを備えている。バネ受け溝１２２ｎには、圧縮バネ８０（図２３参照）が取り付けられる。左支持部１２２ｄは、下方に向けて開口した略円柱形状のバネ受け溝１２２ｏを備えている。バネ受け溝１２２ｏには、圧縮バネ８２（図２３参照）が取り付けられる。図２６に示すように、操作部１２２ｅは、ユーザによって押圧操作される操作面１２２ｐを備えている。支持部１２２ｆは、支持部１２２ｆの右端から右方に突出しており、上下方向に伸びる右ガイド突起１２２ｑと、支持部１２２ｆの左端から左方に突出しており、上下方向に伸びる左ガイド突起１２２ｒを備えている。

　図２３に示すように、セルホルダ１１６の上部には、圧縮バネ８０を支持するバネ支持部１２４と、圧縮バネ８２を支持するバネ支持部１２６が形成されている。制御回路基板１１８は、制御回路基板１１８の右端近傍に配置された貫通孔１２８と、制御回路基板１１８の左端近傍に配置された貫通孔１３０を備えている。バネ支持部１２４は、貫通孔１２８を貫通して上方に突出している。バネ支持部１２６は、貫通孔１３０を貫通して上方に突出している。圧縮バネ８０，８２は、係合部材１２２をセルホルダ１１６に対して、上方に向けて付勢する。

　図２８に示すように、上ケーシング１１２の係合用開口７２の近傍の内面には、右ガイド部１３２と左ガイド部１３４が形成されている。右ガイド部１３２は、係合部材１２２の右支持部１２２ｃを、上下方向に移動可能であり、前後方向および右方向に移動不能に収容する。左ガイド部１３４は、係合部材１２２の左支持部１２２ｄを、上下方向に移動可能であり、前後方向および左方向に移動不能に収容する。また、上ケーシング１１２の前端近傍の内面には、右前ガイド部１３６と左前ガイド部１３８が形成されている。右前ガイド部１３６は、係合部材１２２の右ガイド突起１２２ｑを、上下方向に移動可能であり、前後方向および右方向に移動不能に保持する。左前ガイド部１３８は、係合部材１２２の左ガイド突起１２２ｒを、上下方向に移動可能であり、前後方向および左方向に移動不能に保持する。図２９に示すように、係合部材１２２は、係合部１２２ｂが係合用開口７２から上ケーシング１１２の外部に突出し、操作部１２２ｅの操作面１２２ｐが操作用開口７４を介して上ケーシング１１２の外部に露出し、右支持部１２２ｃが右ガイド部１３２に収容され、左支持部１２２ｄが左ガイド部１３４に収容され、右ガイド突起１２２ｑが右前ガイド部１３６に保持され、かつ左ガイド突起１２２ｒが左前ガイド部１３８に保持されるように、上ケーシング１１２に取り付けられる。

　図３０に示すように、係合部材１２２を上ケーシング１１２に取り付けた状態では、圧縮バネ８０，８２が係合部材１２２をセルホルダ１１６に対して上方に向けて付勢することで、係合部材１２２が上ケーシング１１２に押し付けられている。

　電池パック１０２を電気機器４に取り付ける際には、電気機器４のハウジング１８（図３参照）が係合部材１２２の右傾斜面１２２ｋと左傾斜面１２２ｍに当接して後方から前方に向けて移動することで、係合部材１２２が圧縮バネ８０，８２の付勢力に抗して下方に押し下げられる。その後、電気機器４の係合溝１２（図３参照）が係合部材１２２の係合部１２２ｂの上方まで移動すると、圧縮バネ８０，８２の付勢力によって係合部材１２２が上方に押し上げられて、係合部１２２ｂが係合溝１２に入り込む。この状態では、係合部材１２２の右係合面１２２ｊと左係合面１２２ｌが、電気機器４の係合面１２ａ（図３参照）と対向して配置されるので、電池パック１０２を電気機器４に対して前方にスライドさせることが禁止される。これによって、電気機器４から電池パック１０２を取り外すことが禁止される。

　電池パック１０２を電気機器４から取り外す際には、ユーザは、係合部材１２２の操作面１２２ｐに押下操作を行う。この操作によって、係合部材１２２が圧縮バネ８０，８２の付勢力に抗して下方に押し下げられる。これによって、係合部材１２２の係合部１２２ｂが電気機器４の係合溝１２から抜け出し、電池パック１０２を電気機器４に対して前方にスライドさせることが許容される。この状態から、ユーザは、電池パック１０２を電気機器４に対して前方にスライドさせることで、電気機器４から電池パック１０２を取り外すことができる。

　以上のように、１つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック１０２は、電気機器４の電池パック取付部６に対してスライドさせることで着脱可能である。電池パック１０２を電池パック取付部６から取り外す際に電池パック１０２をスライドさせる方向を前方向とし、電池パック１０２を電池パック取付部６に取り付ける際に電池パック１０２をスライドさせる方向を後方向とし、電池パック１０２が電池パック取付部６に取り付けられた状態で、電池パック１０２から見て電池パック取付部６が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、電池パック１０２は、ケーシング１０６と、ケーシング１０６の内部に収容された電池セル１１４と、ケーシング１０６の内部に収容された制御回路基板１１８（回路基板の例）と、ケーシング１０６に上下方向に移動可能に保持された係合部材１２２と、係合部材１２２を上方に向けて付勢する圧縮バネ８０（第１付勢部材の例）と、圧縮バネ８０に対して左右方向に離間して配置されており、係合部材１２２を上方に向けて付勢する圧縮バネ８２（第２付勢部材の例）を備えている。制御回路基板１１８の少なくとも一部は、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間に配置されている。係合部材１２２は、ケーシング１０６の外部に突出する係合部１２２ｂを備えている。係合部１２２ｂは、上下方向および左右方向に沿っており、電気機器４に係合する右係合面１２２ｊおよび左係合面１２２ｌ（係合面の例）を有している。前後方向に関して、右係合面１２２ｊおよび左係合面１２２ｌは、圧縮バネ８０の前端よりも後方で、かつ圧縮バネ８２の後端よりも前方に配置されている。前後方向に関して、右係合面１２２ｊおよび左係合面１２２ｌは、圧縮バネ８２の前端よりも後方で、かつ圧縮バネ８２の後端よりも前方に配置されている。

　上記の構成によれば、左右方向に互いに離間して配置された圧縮バネ８０と圧縮バネ８２が、係合部材１２２を上方に向けて付勢するので、係合部材１２２に対して作用する付勢力の左右方向のバランスを取ることができ、係合部材１２２がケーシング１０６に対して左右方向に傾くことを抑制することができる。また、上記の構成によれば、係合部材１２２に対して付勢力が作用する作用点の前後方向の位置を、係合部１２２ｂの前後方向の位置に近接させることができる。これによって、係合部材１２２とケーシング１０６の隙間に粉塵が入り込み、係合部１２２ｂがケーシング１０６に対して引っかかってしまう場合であっても、引っかかりを解消するように圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の付勢力を係合部材１２２に作用させることができる。さらに、上記の構成によれば、制御回路基板１１８の少なくとも一部が圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間に配置されているので、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間のスペースを有効に活用することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、左右方向に関して、圧縮バネ８０の右端は、右係合面１２２ｊの右端よりも右方に配置されている。左右方向に関して、圧縮バネ８２の左端は、左係合面１２２ｌの左端よりも左方に配置されている。

　上記の構成によれば、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間の間隔が広く確保されるので、制御回路基板１１８において素子や配線を実装可能なスペースを広く確保することができる。また、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間の間隔が広く確保されるので、係合部材１２２に対して作用する付勢力の左右方向のバランスを取りやすく、係合部材１２２がケーシング１０６に対して左右方向に傾くことを効果的に抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、左右方向に関して、圧縮バネ８０の左端は、右係合面１２２ｊの右端よりも右方に配置されている。左右方向に関して、圧縮バネ８２の右端は、左係合面１２２ｌの左端よりも左方に配置されている。

　上記の構成によれば、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間の間隔がより広く確保されるので、制御回路基板１１８において素子や配線を実装可能なスペースをより広く確保することができる。また、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間の間隔がより広く確保されるので、係合部材１２２に対して作用する付勢力の左右方向のバランスをより取りやすく、係合部材１２２がケーシング１０６に対して左右方向に傾くことをより効果的に抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック取付部６は、機器側端子８を備えている。制御回路基板１１８は、機器側端子８に機械的に係合し、かつ電気的に接続する電池側端子３６を備えている。左右方向に関して、圧縮バネ８０の右端は、電池側端子３６の右端よりも右方に配置されている。左右方向に関して、圧縮バネ８２の左端は、電池側端子３６の左端よりも左方に配置されている。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、制御回路基板１１８は、電池パック１０２の動作を制御するマイクロコントローラ５０を備えている。マイクロコントローラ５０は、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間に配置されている。

　上記の構成によれば、マイクロコントローラ５０が、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間の制御回路基板１１８に設けられているので、制御回路基板１１８の他の箇所を、他の素子や配線を実装するスペースとして有効に活用することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、ケーシング１０６は、係合部材１２２の前後方向の移動を禁止し、係合部材１２２の上下方向の移動を許容する右ガイド部１３２および左ガイド部１３４（ガイド部の例）をさらに備えている。前後方向に関して、圧縮バネ８０は、右ガイド部１３２および左ガイド部１３４の前端よりも後方で、かつ右ガイド部１３２および左ガイド部１３４の後端よりも前方に配置されている。前後方向に関して、圧縮バネ８２は、右ガイド部１３２および左ガイド部１３４の前端よりも後方で、かつ右ガイド部１３２および左ガイド部１３４の後端よりも前方に配置されている。

　上記の構成によれば、圧縮バネ８０および圧縮バネ８２から係合部材１２２に作用する付勢力の作用点の前後方向の位置を、右ガイド部１３２および左ガイド部１３４の前後方向の位置に近接させることができる。これによって、係合部材１２２が前後方向に傾いてしまうことを抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック１０２は、電気機器４の電池パック取付部６に対してスライドさせることで着脱可能である。電池パック１０２を電池パック取付部６から取り外す際に電池パック１０２をスライドさせる方向を前方向とし、電池パック１０２を電池パック取付部６に取り付ける際に電池パック１０２をスライドさせる方向を後方向とし、電池パック１０２が電池パック取付部６に取り付けられた状態で、電池パック１０２から見て電池パック取付部６が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、電池パック１０２は、ケーシング１０６と、ケーシング１０６の内部に収容された電池セル１１４と、ケーシング１０６に上下方向に移動可能に保持された係合部材１２２と、係合部材１２２を上方に向けて付勢する圧縮バネ８０（第１付勢部材の例）と、圧縮バネ８０に対して左右方向に離間して配置されており、係合部材１２２を上方に向けて付勢する圧縮バネ８２（第２付勢部材の例）を備えている。係合部材１２２は、ケーシング１０６の外部に突出する係合部１２２ｂを備えている。係合部１２２ｂは、上下方向および左右方向に沿っており、電気機器４に係合する右係合面１２２ｊおよび左係合面１２２ｌ（係合面の例）を有している。前後方向に関して、右係合面１２２ｊおよび左係合面１２２ｌは、圧縮バネ８０の前端よりも後方で、かつ圧縮バネ８２の後端よりも前方に配置されている。前後方向に関して、右係合面１２２ｊおよび左係合面１２２ｌは、圧縮バネ８２の前端よりも後方で、かつ圧縮バネ８２の後端よりも前方に配置されている。左右方向に関して、圧縮バネ８０の右端は、右係合面１２２ｊの右端よりも右方に配置されている。左右方向に関して、圧縮バネ８２の左端は、左係合面１２２ｌの左端よりも左方に配置されている。

　上記の構成によれば、左右方向に互いに離間して配置された圧縮バネ８０と圧縮バネ８２が、係合部材１２２を上方に向けて付勢するので、係合部材１２２に対して作用する付勢力の左右方向のバランスを取ることができ、係合部材１２２がケーシング１０６に対して左右方向に傾くことを抑制することができる。また、上記の構成によれば、係合部材１２２に対して付勢力が作用する作用点の前後方向の位置を、係合部１２２ｂの前後方向の位置に近接させることができる。これによって、係合部材１２２とケーシング１０６の隙間に粉塵が入り込み、係合部１２２ｂがケーシング１０６に対して引っかかってしまう場合であっても、引っかかりを解消するように圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の付勢力を係合部材１２２に作用させることができる。さらに、上記の構成によれば、圧縮バネ８０と圧縮バネ８２の間の間隔が広く確保されるので、係合部材１２２に対して作用する付勢力の左右方向のバランスを取りやすく、係合部材１２２がケーシング１０６に対して左右方向に傾くことを効果的に抑制することができる。

　１つまたはそれ以上の実施形態において、電池パック１０２は、機器側端子８を備える電気機器４の電池パック取付部６に対してスライドさせることで着脱可能である。電池パック１０２を電池パック取付部６から取り外す際に電池パック１０２をスライドさせる方向を前方向とし、電池パック１０２を電池パック取付部６に取り付ける際に電池パック１０２をスライドさせる方向を後方向とし、電池パック１０２が電池パック取付部６に取り付けられた状態で、電池パック１０２から見て電池パック取付部６が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、電池パック１０２は、ケーシング１０６と、ケーシング１０６の内部に収容された電池セル１１４と、機器側端子８に機械的に係合し、かつ電気的に接続する電池側端子３６と、ケーシング１０６に上下方向に移動可能に保持された係合部材１２２と、係合部材１２２を上方に向けて付勢する圧縮バネ８０（第１付勢部材の例）と、圧縮バネ８０に対して左右方向に離間して配置されており、係合部材１２２を上方に向けて付勢する圧縮バネ８２（第２付勢部材の例）を備えている。係合部材１２２は、ケーシング１０６の外部に突出する係合部１２２ｂを備えている。係合部１２２ｂは、上下方向および左右方向に沿っており、電気機器４に係合する右係合面１２２ｊおよび左係合面１２２ｌ（係合面の例）を有している。前後方向に関して、右係合面１２２ｊおよび左係合面１２２ｌは、圧縮バネ８０の前端よりも後方で、かつ圧縮バネ８２の後端よりも前方に配置されている。前後方向に関して、右係合面１２２ｊおよび左係合面１２２ｌは、圧縮バネ８２の前端よりも後方で、かつ圧縮バネ８２の後端よりも前方に配置されている。圧縮バネ８０の右端は、電池側端子３６の右端よりも右方に配置されている。左右方向に関して、圧縮バネ８２の左端は、電池側端子３６の左端よりも左方に配置されている。

（変形例）
　上記の実施例では、バネ支持部８４，８６，１２４，１２６がセルホルダ３０，１１６に形成されており、圧縮バネ８０，８２が係合部材７６，１２２をセルホルダ３０，１１６に対して上方に付勢する場合を例として説明したが、バネ支持部８４，８６，１２４，１２６が上ケーシング２６，１１２または下ケーシング２４，１１０に形成されており、圧縮バネ８０，８２が係合部材７６，１２２を上ケーシング２６，１１２または下ケーシング２４，１１０に対して上方に付勢する構成としてもよい。

　上記の実施例では、第１付勢部材が圧縮バネ８０である場合を例として説明したが、第１付勢部材は、引張バネや捩りバネ等の他の種類のバネであってもよいし、バネ以外の弾性部材であってもよいし、弾性部材以外の付勢部材であってもよい。同様に、上記の実施例では、第２付勢部材が圧縮バネ８２である場合を例として説明したが、第２付勢部材は、引張バネや捩りバネ等の他の種類のバネであってもよいし、バネ以外の他の種類の弾性部材であってもよいし、弾性部材以外の他の種類の付勢部材であってもよい。

　上記の実施例では、回路基板が電池側端子３６を備える制御回路基板３２，１１８である場合を例として説明したが、回路基板は、電池側端子３６を備えていなくてもよい。あるいは、回路基板は、マイクロコントローラ５０を備えておらず、電池側端子３６を備える端子回路基板であってもよい。あるいは、回路基板は、電池側端子３６とマイクロコントローラ５０の両方を備えていなくてもよい。例えば、回路基板は、ユーザからの操作入力を受けつけるスイッチを備える操作回路基板であってもよいし、ユーザへの表示のための表示灯を備える表示回路基板であってもよい。

　上記の実施例では、電池セル２８，１１４がリチウムイオン電池セルである場合について説明したが、電池セル２８，１１４は他の種類の二次電池セルであってもよい。また、上記の実施例では、電池セル２８，１１４が略円柱形状を有する場合について説明したが、電池セル２８，１１４は他の形状を有していてもよい。電池パック２，１０２が備える電池セル２８，１１４の個数は、上記の実施例とは異なる個数であってもよい。

Claims

　電気機器の電池パック取付部に対してスライドさせることで着脱可能な電池パックであって、
　前記電池パックを前記電池パック取付部から取り外す際に前記電池パックをスライドさせる方向を前方向とし、前記電池パックを前記電池パック取付部に取り付ける際に前記電池パックをスライドさせる方向を後方向とし、前記電池パックが前記電池パック取付部に取り付けられた状態で、前記電池パックから見て前記電池パック取付部が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、
　前記電池パックは、
　ケーシングと、
　前記ケーシングの内部に収容された電池セルと、
　前記ケーシングの内部に収容された回路基板と、
　前記ケーシングに上下方向に移動可能に保持された係合部材と、
　前記係合部材を上方に向けて付勢する第１付勢部材と、
　前記第１付勢部材に対して左右方向に離間して配置されており、前記係合部材を上方に向けて付勢する第２付勢部材を備えており、
　前記回路基板の少なくとも一部が、前記第１付勢部材と前記第２付勢部材の間に配置されており、
　前記係合部材が、前記ケーシングの外部に突出する係合部を備えており、
　前記係合部が、上下方向および左右方向に沿っており、前記電気機器に係合する係合面を有しており、
　前後方向に関して、前記係合面が、前記第１付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第１付勢部材の後端よりも前方に配置されており、
　前後方向に関して、前記係合面が、前記第２付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第２付勢部材の後端よりも前方に配置されている、電池パック。
　左右方向に関して、前記第１付勢部材の右端が、前記係合面の右端よりも右方に配置されており、
　左右方向に関して、前記第２付勢部材の左端が、前記係合面の左端よりも左方に配置されている、請求項１の電池パック。
　左右方向に関して、前記第１付勢部材の左端が、前記係合面の右端よりも右方に配置されており、
　左右方向に関して、前記第２付勢部材の右端が、前記係合面の左端よりも左方に配置されている、請求項２の電池パック。
　前記電池パック取付部が、機器側端子を備えており、
　前記回路基板が、前記機器側端子に機械的に係合し、かつ電気的に接続する電池側端子を備えており、
　左右方向に関して、前記第１付勢部材の右端が、前記電池側端子の右端よりも右方に配置されており、
　左右方向に関して、前記第２付勢部材の左端が、前記電池側端子の左端よりも左方に配置されている、請求項１から３の何れか一項の電池パック。
　左右方向に関して、前記第１付勢部材の左端が、前記電池側端子の右端よりも右方に配置されており、
　左右方向に関して、前記第２付勢部材の右端が、前記電池側端子の左端よりも左方に配置されている、請求項４の電池パック。
　前記回路基板が、前記電気機器への放電および／または前記電気機器からの充電のための電流が流れる電力経路を備えており、
　前記電力経路が、前記第１付勢部材と前記第２付勢部材の間を通過している、請求項１から５の何れか一項の電池パック。
　前記回路基板が、前記電池パックの動作を制御するマイクロコントローラを備えており、
　前記マイクロコントローラが、前記第１付勢部材と前記第２付勢部材の間に配置されている、請求項１から６の何れか一項の電池パック。
　前記ケーシングに回動可能に保持されており、ユーザによって操作される操作面を有する操作部材をさらに備えており、
　前記操作部材は、前記ユーザによって前記操作面が押された時に、前記係合部材を下方に向けて押し下げる方向に回動する、請求項１から７の何れか一項の電池パック。
　前記操作面が、前記ケーシングの前上面に配置されている、請求項８の電池パック。
　前記操作部材が、左右方向に沿った回動軸周りに回動可能に前記ケーシングに保持されている、請求項９の電池パック。
　前記係合部材が、被当接部を備えており、
　前記操作部材が、前記被当接部の上方に配置された当接部を備えており、
　前後方向に関して、前記当接部と前記被当接部が当接する位置が、前記第１付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第１付勢部材の後端よりも前方に配置されており、
　前後方向に関して、前記当接部と前記被当接部が当接する位置が、前記第２付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第２付勢部材の後端よりも前方に配置されている、請求項６から１０の何れか一項の電池パック。
　前記被当接部が、左右方向に延びる棒状部を備えており、
　前記当接部が、前記棒状部の上方に配置された当接片を備えている、請求項１１の電池パック。
　前記ケーシングが、前記係合部材の前後方向の移動を禁止し、前記係合部材の上下方向の移動を許容するガイド部をさらに備えており、
　前後方向に関して、前記第１付勢部材が、前記ガイド部の前端よりも後方で、かつ前記ガイド部の後端よりも前方に配置されており、
　前後方向に関して、前記第２付勢部材が、前記ガイド部の前端よりも後方で、かつ前記ガイド部の後端よりも前方に配置されている、請求項１から１２の何れか一項の電池パック。
　電気機器の電池パック取付部に対してスライドさせることで着脱可能な電池パックであって、
　前記電池パックを前記電池パック取付部から取り外す際に前記電池パックをスライドさせる方向を前方向とし、前記電池パックを前記電池パック取付部に取り付ける際に前記電池パックをスライドさせる方向を後方向とし、前記電池パックが前記電池パック取付部に取り付けられた状態で、前記電池パックから見て前記電池パック取付部が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、
　前記電池パックは、
　ケーシングと、
　前記ケーシングの内部に収容された電池セルと、
　前記ケーシングに上下方向に移動可能に保持された係合部材と、
　前記係合部材を上方に向けて付勢する第１付勢部材と、
　前記第１付勢部材に対して左右方向に離間して配置されており、前記係合部材を上方に向けて付勢する第２付勢部材を備えており、
　前記係合部材が、前記ケーシングの外部に突出する係合部を備えており、
　前記係合部が、上下方向および左右方向に沿っており、前記電気機器に係合する係合面を有しており、
　前後方向に関して、前記係合面が、前記第１付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第１付勢部材の後端よりも前方に配置されており、
　前後方向に関して、前記係合面が、前記第２付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第２付勢部材の後端よりも前方に配置されており、
　左右方向に関して、前記第１付勢部材の右端が、前記係合面の右端よりも右方に配置されており、
　左右方向に関して、前記第２付勢部材の左端が、前記係合面の左端よりも左方に配置されている、電池パック。
　機器側端子を備える電気機器の電池パック取付部に対してスライドさせることで着脱可能な電池パックであって、
　前記電池パックを前記電池パック取付部から取り外す際に前記電池パックをスライドさせる方向を前方向とし、前記電池パックを前記電池パック取付部に取り付ける際に前記電池パックをスライドさせる方向を後方向とし、前記電池パックが前記電池パック取付部に取り付けられた状態で、前記電池パックから見て前記電池パック取付部が配置されている方向を上方向とし、上方向の逆方向を下方向とした場合に、
　前記電池パックは、
　ケーシングと、
　前記ケーシングの内部に収容された電池セルと、
　前記機器側端子に機械的に係合し、かつ電気的に接続する電池側端子と、
　前記ケーシングに上下方向に移動可能に保持された係合部材と、
　前記係合部材を上方に向けて付勢する第１付勢部材と、
　前記第１付勢部材に対して左右方向に離間して配置されており、前記係合部材を上方に向けて付勢する第２付勢部材を備えており、
　前記係合部材が、前記ケーシングの外部に突出する係合部を備えており、
　前記係合部が、上下方向および左右方向に沿っており、前記電気機器に係合する係合面を有しており、
　前後方向に関して、前記係合面が、前記第１付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第１付勢部材の後端よりも前方に配置されており、
　前後方向に関して、前記係合面が、前記第２付勢部材の前端よりも後方で、かつ前記第２付勢部材の後端よりも前方に配置されており、
　左右方向に関して、前記第１付勢部材の右端が、前記電池側端子の右端よりも右方に配置されており、
　左右方向に関して、前記第２付勢部材の左端が、前記電池側端子の左端よりも左方に配置されている、電池パック。
　電気機器の電池パック取付部に対してスライドさせることで着脱可能な電池パックであって、
　前記電池パックは、
　ケーシングと、
　前記ケーシングの外部に突出する係合部を有する係合部材と、
　前記ケーシングの外部に露出する操作面を有する操作部材を備えており、
　前記係合部が、前記操作面が押圧された時に、前記ケーシングの内部に向けて移動し、
　前記操作面に、規則的に配置された凸形状および／または凹形状からなる滑り止め部が形成されており、
　前記滑り止め部が、前記操作面において、前記係合部に近い側に配置されている、電池パック。
　前記滑り止め部が、前記電池パックを前記電池パック取付部から取り外す際に前記電池パックをスライドさせる方向に対して略直交する方向に延びる複数の凸条および／または凹条からなる、請求項１６の電池パック。