WO2021199950A1 - 人工血管および人工血管の製造方法 - Google Patents

人工血管および人工血管の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】移植手技に必要な柔軟性と止血効果とが適切に確保された人工血管を提供する。 【解決手段】人工血管1は、多孔質構造の繊維で構成された基材11と、基材の表面に形成されたコーティング層12と、を備え、コーティング層は、親水性ポリマーと保湿剤とを有し、親水性ポリマーに対する保湿剤の重量比率は、0.1~40wt%である。

Description

人工血管および人工血管の製造方法
 本発明は、人工血管および人工血管の製造方法に関する。
 多孔質構造を備えた人工血管基材の目止め(シーリング)技術が開発されている。特許文献1に示すように、人工血管の周りに患者の血液を凝固させるプレクロッティングの技術が一般的に知られているが、近年、ゼラチン、コラーゲンなどの生物由来材料によって基材の多孔質構造をコーティングしてシーリングを行う技術が広く用いられるようになっている。
 特許文献2では、ポリエステル繊維(PET)などの繊維を含み、コラーゲンなどで被覆された人工血管に、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、デキストリンなどの生体内吸収物質を予め染み込ませておくと、止血効果が向上するとともに、乾燥を防ぎ、柔軟性を維持することが可能であるとしている。
特開平11-99163号公報 特許4627978号公報
 コラーゲンなどの生物由来材料は、鉗子などを使用した手技や、保管中の外部刺激により剥がれや異物発生が生じやすい。また、乾燥により硬化して取り扱いが煩雑なものとなる。そのため、このような材料よりも外部刺激による異物が発生し難く、乾燥による穿刺性低下が生じにくいシーリング材料が求められる。
 そこで例えば、ポリエチレングリコールのような親水性の合成ポリマーをシーリング材料に使用することが考えられる。しかし、このようなポリマーをシーリング材としてそのまま基材に塗布すると、乾燥によって硬くなり、人工血管の穿刺性が低下し、生体内血管と人工血管との縫合のための針通に支障をきたす。
 本発明は、移植手技に必要な柔軟性と止血効果とが適切に確保された人工血管とその製造方法を提供することを目的とする。
 上記の課題を解決するため、本発明に係る人工血管は、多孔質構造の繊維で構成された基材と、前記基材の表面に形成されたコーティング層と、を備え、前記コーティング層は、親水性ポリマーと保湿剤とを有し、前記親水性ポリマーに対する前記保湿剤の重量比率は、0.1~40wt%である。
 また、本発明に係る人工血管の製造方法では、多孔質構造の繊維で構成された基材の表面の少なくとも一部に、親水性ポリマーと保湿剤とを有し、前記親水性ポリマーに対する前記保湿剤の重量比率が0.1wt%~40wt%であるシール材を塗布することでコーティング層を形成する。
 本発明によると、親水性ポリマーに対する保湿剤の重量比率は、0.1~40wt%であるため、生体内血管と人工血管との縫合のための針通を可能にし、かつ、多孔質構造を備えた人工血管基材の目止めを可能にする。
人工血管を正面から見た図である。 人工血管の長軸方向に沿った断面図である。
 以下、添付した図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。図1は、本発明の好ましい実施形態に係る人工血管1を正面から見た様子を示す。
 人工血管1は、例えば、弓部大動脈の外科的治療(弓部大動脈置換手術)において、該弓部大動脈を部分的に置換する代替物として用いることができる。ただし、具体的な用途や適用する手技の内容について特に制限はない。
 人工血管1の基材11は、可撓性を有し、且つ生体血管の代替物として適用可能な多孔質構造を有する材質によって形成される。このような材質としては、例えば、ポリエステル繊維(PET)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリウレタン等の人工素材を用いることができる。
 基材11は、後述する親水性ポリマーや、内皮細胞やタンパク質等の生体素材によって内周面や外周面の一部または全部がコーティングされることで目止めされうる。
 基材11は、弓部大動脈との置換に適した胸部用大口径人工血管などとなるように、その寸法及び形状が設定されている。例えばこの場合、チューブ16は、外径を12mm~30mm程度、肉厚を0.1mm~1mm程度、長さを100mm~600mm程度に設定すると、弓部大動脈との関係で好適である。
 また、基材11は、側面が手術中に折り曲げてもつぶれないように蛇腹構造が採用されている。なお、基材11は、この蛇腹構造に替えてリング状のリブが外周面に形成されていてもよく、また基材11自体に一定の弾性力があれば平滑面に形成されていてもよい。また、人工血管1は、基材11(本管)から分岐する分枝管を備えていてもよい。分枝管の数、位置、内径や外径等について特に制限はない。
 なお、人工血管1の移植後、基材11の内側の多孔質構造に生体組織が入り込み、内面と外面は生体組織、中腔はポリエステル繊維などの人工素材で構成された血管となりうる。
 図2は人工血管1の長軸方向に沿った部分断面図を示す。
 基材11の内面および外面には、コーティング層12がスプレーなどで塗布されて設けられている。コーティング層12の一部は、基材の網目の間に入り込んでいる。これにより、基材11の多孔質構造が目止めされ、人工血管1の止血効果を発現する。コーティング層12は、親水性ポリマーと保湿剤とを含有している。図示は省略するが、コーティング層12は、基材11の内面および外面の少なくとも一方の一部または全部に設けられていてもよい。
 コーティング層12の保湿剤は、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコールなどのうち任意の1つ以上で構成することができる。
 コーティング層12の親水性ポリマーは、ポリエチレングリコール(PEG)骨格を有するポリマーの縮合重合で形成される化学合成ポリマーや、デキストリンなどの生体適合性ポリマーで構成される。
 より好ましくは、コーティング層12の親水性ポリマーは、以下の化学式1およびか化学式2で示されるような、ポリエチレングリコール骨格を有する2種類の四分岐型ポリマーのA-B型相互連結反応すなわち、両ポリマーの官能基が交互に縮合重合することにより生成され、3次元架橋(網目)構造を有するTetra-PEGにより構成される。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 化学式1における末端の官能基X1~X4はそれぞれ、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、およびアルデヒド基のうちいずれか1つである。この中でも、生体的合成の観点から、官能基X1~X4はアミノ基またはチオール基のいずれかであることが好ましい。Tetra-PEGは、3次元的に均一な網目構造を持つことで知られている。したがって、ゼラチンのように不均一な網目構造を持つ親水性ポリマーよりも高強度であり、鉗子などを使用した手技による破壊や異物発生が起こりにくくなる。
 ただしTetra-PEGは高強度で柔軟性に乏しいため、そのままでは縫合針等を通す際の穿刺抵抗が大きすぎて、血管と人工血管1との縫合手技が煩雑になる。そのためコーティング層12にグリセリンなどの生体内吸収物質で構成された保湿剤を塗布して柔軟性を確保する必要がある。一方で、この保湿剤を必要以上にコーティング層12に塗布すると、人工血管1が柔らくなりすぎてしまい、鉗子による把持などの手技に支障をきたし、また止血効果が低下するおそれがある。
 本発明者は、実験の結果、コーティング層12(シール材)は、親水性ポリマーと保湿剤とを有し、上記親水性ポリマーに対する上記保湿剤の重量比率は、0.1~40wt%であると、高強度かつ手技に支障のない柔軟性と止血効果を有する人工血管1が得られることを発見した。
 また、本発明者は、上記重量比率で構成されたコーティング層12を、基材11の単位長さ当たり0.12g/cm2~0.14g/cm2の搭載量で基材11の表面に塗布すると、高強度かつ手技に支障のない柔軟性と止血効果を有し、手技による異物発生も抑制する人工血管1が得られることを発見した。
 以下、実施例および比較例を用いて、上記重量比率で構成されたコーティング層12の効果を説明する。
 <針孔シール性試験>
 実施例及び比較例の人工血管へ、中央付近約2mm幅で2カ所、穿刺及び縫合操作を実施した。その後、人工血管の片側を水圧計と接続し、エアー抜き操作後、もう一方側を鉗子で封止した。水圧を徐々に上げ、液漏れが生じた時の圧力を記録した。尚、負荷圧力は一般的な正常血圧幅の中、高値の120mmHgに相当する16kPaを基準とし、20kPaを試験上限値とした。
 <刺通抵抗試験>
 実施例及び比較例の人工血管へ、中央付近2mm幅で2カ所、穿刺及び縫合操作を実施した。その際、穿刺時の抵抗値及び縫合糸の糸通りについて、感応試験によりスコア化を実施した。その際、比較例5に示す人工血管のスコアを3とし、1:劣る、2:やや劣る、3:同等、4:やや優れる、5:優れるとした。
 <異物試験>
 実施例及び比較例の人工血管を、生理食塩水中に5分間浸漬させた後、取り出した。取り出した人工血管の中央付近において、鉗子で5回封止操作を繰り返した。鉗子を取り除き、目視で観察を行い、シール層剥離に伴う異物の発生を確認した場合は×、確認できなかった場合は〇とした。
 <漏れ試験>
 実施例及び比較例の人工血管を、片側を水圧計と接続し、エアー抜き操作後、もう一方側を鉗子で封止した。水圧を徐々に上げ、液漏れが生じた時の圧力を記録した。尚、負荷圧力は一般的な正常血圧幅の中、高値の120mmHgに相当する16kPaを試験上限値とした。
 (製造方法)
 <基材>
 実施例1~2および比較例1~5の全ての人工血管基材として、総繊度44dtexのポリエステル糸で有孔度350程度にあわせて織られたポリエステル系繊維から成る内径8mmの筒状体を用いた。なお有孔度とは、生理食塩水を120mmHgの圧力で人工血管内に注入したときに、1分間に1cm2あたりに漏出する生理食塩水の量を表した値である。
 <実施例1>
 Tetra-PEGの中、四分岐の各末端の官能基がチオール基であるSUNBRIGHT PTE-100SH(油化産業株式会社)を20%(w/v)に調製し、調製液Aとした。調製液Aは溶媒として、25mMのリン酸緩衝液と45mMの炭酸ナトリウム水溶液の混合液を用いた。Tetra-PEGの中、四分岐の各末端がN-ヒドロキシエステルであるSUNBRIGHT PTE-100GS(油化産業株式会社製)を20%(w/v)に調製し、調製液Bとした。調製液Bは溶媒として、0.125mMのリン酸緩衝液を用いた。調整液Aと調整液Bを1:1で混合した後、混合液中へノンコートの人工血管基材を10分間浸漬した。10分後、液中より人工血管基材を回収し、1晩室温で乾燥した(前処理後の状態)。乾燥後、25%(w/v)に調製したグリセリン水溶液に20分間浸漬した。20分後、液中より人工血管基材を回収し、エタノールで洗浄処理を行った後、100℃オーブンにて1h乾燥処理を行った(最終処理後の状態)。本サンプルを実施例1とした。
 <実施例2>
 Tetra-PEGの中、四分岐の各末端の官能基がチオール基であるSUNBRIGHT PTE-100SH(油化産業株式会社製)を20%(w/v)に調製し、調製液Aとした。調製液Aは溶媒として、25mMのリン酸緩衝液と45mMの炭酸ナトリウム水溶液の混合液を用いた。Tetra-PEGの中、四分岐の各末端がN-ヒドロキシエステルであるSUNBRIGHT PTE-100GS(油化産業株式会社製)を20%(w/v)に調製し、調製液Bとした。調製液Bは溶媒として、0.125mMのリン酸緩衝液を用いた。調整液Aと調整液Bを1:1で混合した後、混合液中へノンコートの人工血管基材を10分間浸漬した。10分後、液中より人工血管基材を回収し、1晩室温で乾燥した。乾燥後、50%(w/v)に調製したグリセリン水溶液に20分間浸漬した。20分後、液中より人工血管基材を回収し、エタノールで洗浄処理を行った後、100℃オーブンにて1h乾燥処理を行った。本サンプルを実施例2とした。
 <比較例1>
 Tetra-PEGの中、四分岐の各末端の官能基がチオール基であるSUNBRIGHT PTE-100SH(油化産業株式会社製)を20%(w/v)に調製し、調製液Aとした。調製液Aは溶媒として、25mMのリン酸緩衝液と45mMの炭酸ナトリウム水溶液の混合液を用いた。Tetra-PEGの中、四分岐の各末端がN-ヒドロキシエステルであるSUNBRIGHT PTE-100GS(油化産業株式会社製)を20%(w/v)に調製し、調製液Bとした。調製液Bは溶媒として、0.125mMのリン酸緩衝液を用いた。調整液Aと調整液Bを1:1で混合した後、混合液中へノンコートの人工血管基材を10分間浸漬した。10分後、液中より人工血管基材を回収し、1晩室温で乾燥した。乾燥後、1%(w/v)に調製したグリセリン水溶液に20分間浸漬した。20分後、液中より人工血管基材を回収し、エタノールで洗浄処理を行った後、100℃オーブンにて1h乾燥処理を行った。本サンプルを比較例1とした。
 <比較例2>
 Tetra-PEGの中、四分岐の各末端の官能基がチオール基であるSUNBRIGHT PTE-100SH(油化産業株式会社製)を20%(w/v)に調製し、調製液Aとした。調製液Aは溶媒として、25mMのリン酸緩衝液と45mMの炭酸ナトリウム水溶液の混合液を用いた。Tetra-PEGの中、四分岐の各末端がN-ヒドロキシエステルであるSUNBRIGHT PTE-100GS(油化産業株式会社製)を20%(w/v)に調製し、調製液Bとした。調製液Bは溶媒として、0.125mMのリン酸緩衝液を用いた。調整液Aと調整液Bを1:1で混合した後、混合液中へノンコートの人工血管基材を10分間浸漬した。10分後、液中より人工血管基材を回収し、1晩室温で乾燥した。乾燥後、75%(w/v)に調製したグリセリン水溶液に20分間浸漬した。20分後、液中より人工血管基材を回収し、エタノールで洗浄処理を行った後、100℃オーブンにて1h乾燥処理を行った。本サンプルを比較例2とした。
 <比較例3>
 Tetra-PEGの中、四分岐の各末端の官能基がチオール基であるSUNBRIGHT PTE-100SH(油化産業株式会社製)を20%(w/v)に調製し、調製液Aとした。調製液Aは溶媒として、50mMのリン酸緩衝液と90mMの炭酸ナトリウム水溶液の混合液を用いた。Tetra-PEGの中、四分岐の各末端がN-ヒドロキシエステルであるSUNBRIGHT PTE-100GS(油化産業株式会社製)を20%(w/v)に調製し、調製液Bとした。調製液Bは溶媒として、0.25mMのリン酸緩衝液を用いた。調整液Aと調整液Bを1:1で混合した後、混合液中へノンコートの人工血管基材を10分間浸漬した。10分後、液中より人工血管基材を回収し、1晩室温で乾燥した。乾燥後、50%(w/v)に調製したグリセリン水溶液に20分間浸漬した。20分後、液中より人工血管基材を回収し、エタノールで洗浄処理を行った後、100℃オーブンにて1h乾燥処理を行った。本サンプルを比較例3とした。
 <比較例4>
 Tetra-PEGの中、四分岐の各末端の官能基がチオール基であるSUNBRIGHT PTE-100SH(油化産業株式会社製)を5%(w/v)に調製し、調製液Aとした。調製液Aは溶媒として、25mMのリン酸緩衝液と45mMの炭酸ナトリウム水溶液の混合液を用いた。Tetra-PEGの中、四分岐の各末端がN-ヒドロキシエステルであるSUNBRIGHT PTE-100GS(油化産業株式会社製)を5%(w/v)に調製し、調製液Bとした。調製液Bは溶媒として、0.125mMのリン酸緩衝液を用いた。調整液Aと調整液Bを1:1で混合した後、混合液中へノンコートの人工血管基材を10分間浸漬した。10分後、液中より人工血管基材を回収し、1晩室温で乾燥した。乾燥後、50%(w/v)に調製したグリセリン水溶液に20分間浸漬した。20分後、液中より人工血管基材を回収し、エタノールで洗浄処理を行った後、100℃オーブンにて1h乾燥処理を行った。本サンプルを比較例4とした。
 <比較例5>
 上記基材をゼラチン製のシール材で被覆した人工血管を比較例5とした。
 実施例1~2、比較例1~5の人工血管に対する針孔シール性試験、刺通抵抗試験、異物試験、漏れ試験の結果は、以下の表1の通りとなる。なお、表1において、保湿剤の重量X=最終処理後の状態のサンプル重量-前処理後の状態のサンプル重量、親水性ポリマーの重量Y=前処理後の状態のサンプル重量-基材重量とし、親水性ポリマーに対する保湿剤の重量比=X/Y(wt%)とした。また表1において、シール材搭載量は以下の計算式で算出する。ここで直径0.8cmとは表裏の直径である。
 表面積・・・0.8([cm]:直径)×3.14×長さ[cm]×2
 シール材搭載量・・・(コート後重量-ノンコート重量)÷表面積
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 表1から確認できるように、刺通抵抗試験、異物試験、漏れ試験について、実施例1および実施例2は、比較例5と比して同等の性能を示した。さらに針孔シール性試験について、実施例1および実施例2は、比較例5よりも高い性能を示した。
 実施例1と実施例2を比較すると、針孔シール性試験、刺通抵抗試験、異物試験、漏れ試験について、同等の性能を示した。したがって、保湿剤の重量比が5wt%以上21wt%以下かつ単位長さ当たりのシール材搭載量が0.12g/cm以上0.14g/cm以下であれば、従来と同等かそれ以上の針孔シール性、刺通抵抗、異物発生抑制、シール性を得ることができる。
 比較例1は、実施例1よりも親水性ポリマーに対する保湿剤の重量比が少ない。比較例1は、刺通抵抗試験について、比較例5よりも性能が劣っていた。したがって、比較例1の保湿剤の重量比では針通確保が不十分であることが分かった。
 比較例2は、実施例2よりも親水性ポリマーに対する保湿剤の重量比が多い。比較例2は、針孔シール性試験について、比較例5よりも性能が劣っていた。したがって、比較例2の保湿剤の重量比は針孔シール性確保に関して過剰であることが分かった。
 比較例3は、実施例2よりも親水性ポリマーに対する保湿剤量の重量比と単位長さ当たりのシール材搭載量が多い。比較例3は、異物試験について、比較例5よりも性能が劣っていた。すなわち、シール材搭載量を増やすことで、針孔シール性試験、刺通抵抗試験、漏れ試験については従来と同等の性能が得られるが、従来よりも異物の発生が増加する。したがって、比較例3の保湿剤の重量比は針孔シール性確保等に関して過剰ではないが、シール材搭載量は異物の発生に関して過剰であることが分かった。
 比較例4は、実施例1よりも親水性ポリマーに対する保湿剤量の重量比が多く、かつ実施例2よりも少ない。また、比較例4の単位長さ当たりのシール材搭載量は、実施例1および実施例2よりも少ない。比較例4は、針孔シール性試験および漏れ試験について、比較例5よりも性能が劣っていた。したがって、比較例3のシール材搭載量では針孔シール性などに関して不十分であることが分かった。
 この表1に基づいて、親水性ポリマーと保湿剤とを有し、上記親水性ポリマーに対する上記保湿剤の重量比率が0.1~40wt%(より好ましくは5~40wt%)であるシール材を基材11の表面に塗布してコーティング層12を得ると、高強度かつ手技に支障のない柔軟性と止血効果を有し、手技による異物発生も抑制される人工血管1を得ることができる。
 また、表1に基づいて、上記重量比率で構成されたコーティング層12を、基材11の単位面積当たり0.05g/cm2~2g/cm2(より好ましくは0.1cm2~2g/cm2)の搭載量で基材11の表面に設けると、高強度かつ手技に支障のない柔軟性と止血効果を有し、手技による異物発生も抑制される人工血管1を得ることができる。
 本出願は、2020年3月31日に出願された日本国特許出願第2020-062165号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。
1 人工血管
11 基材
12 コーティング層

Claims (7)

  1.  多孔質構造の繊維で構成された基材と、
     前記基材の表面に形成されたコーティング層と、を備え、
     前記コーティング層は、親水性ポリマーと保湿剤とを有し、前記親水性ポリマーに対する前記保湿剤の重量比率は、0.1wt%~40wt%である人工血管。
  2.  前記親水性ポリマーはポリエチレングリコール骨格を有する四分岐型ポリマーである請求項1に記載の人工血管。
  3.  前記親水性ポリマーは、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001

    であり、官能基X1ないしX4はそれぞれ、アミノ基、チオール基、カルボキシル基、およびアルデヒド基のうちいずれか1つで示される四分岐高分子と、
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002

    で示される四分岐高分子との相互連結反応により生成されるTetra-PEGにより構成される請求項2に記載の人工血管。
  4.  前記保湿剤はグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、およびエチレングリコールのうち少なくとも1つを含む請求項1~3のいずれか1項に記載の人工血管。
  5.  前記繊維はポリエチレンテレフタレートで構成される請求項1~4のいずれか1項に記載の人工血管。
  6.  前記コーティング層は、前記基材の単位面積当たり0.05g/cm2~2g/cm2の重量で前記基材の表面に塗布されている請求項1~5のいずれか1項に記載の人工血管。
  7.  多孔質構造の繊維で構成された基材の表面の少なくとも一部に、親水性ポリマーと保湿剤とを有し、前記親水性ポリマーに対する前記保湿剤の重量比率が0.1wt%~40wt%であるシール材を塗布することでコーティング層を形成する人工血管の製造方法。
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