WO2020184048A1

WO2020184048A1 - 折り畳まれた吸収性物品および吸収性物品個包装体

Info

Publication number: WO2020184048A1
Application number: PCT/JP2020/005559
Authority: WO
Inventors: 里穂吉田
Original assignee: 株式会社リブドゥコーポレーション
Priority date: 2019-03-11
Filing date: 2020-02-13
Publication date: 2020-09-17
Also published as: CN212788890U; DE112020001208T5; CN113412101A; JP7272830B2; US20220175589A1; JP2020146122A

Abstract

折り畳まれた吸収性物品であって、吸収性物品（１）はトップシート（２）とバックシート（３）の間に吸収体（４）が配されて構成され、吸収性物品（１）は、肌面側を内側にして、前後方向の前側部（１１）と後側部（１３）がそれらの間の中間部（１２）と重なるように折り返されて前後方向に３つ折りされ、吸収体（４）は中間部（１２）から前側部（１１）および後側部（１３）に延在して設けられ、バックシート（３）の非肌面側には、中間部（１２）に吸収体（４）と重なって滑り止め部（７）が設けられ、前側部（１１）と後側部（１３）にフック部材または粘着層からなる取付固定部（８）が設けられている。

Description

折り畳まれた吸収性物品および吸収性物品個包装体

　本発明は、尿パッド、失禁パッド、生理用ナプキン等の吸収性物品であって、パンツやショーツ等の下着に取り付けて使用することができる吸収性物品が展開可能に折り畳まれることにより形成された折り畳まれた吸収性物品と、当該吸収性物品の個包装体に関するものである。

　従来、吸収性物品の非肌面側にフック部材や粘着層が設けられ、これらのフック部材や粘着層によってパンツやショーツ等の下着の肌面側に設置して使用する吸収性物品が知られている（例えば、特許文献１、２）。また、吸収性物品の非肌面側に滑り止め層が設けられた吸収性物品も知られている（例えば、特許文献３）。

特表平１１－５０６３６５号公報特開２００３－２１０５２４号公報特開２００８－１１９３２号公報

　吸収性物品をパンツやショーツ等の下着の肌面側に取り付けて使用する場合、吸収性物品を下着の肌面側の所望する位置に適切に取り付けることが望まれる。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、折り畳まれた吸収性物品であって、吸収性物品を下着の肌面側に取り付けて使用する際に、下着の所望する位置に容易に取り付けることができる吸収性物品と、当該吸収性物品が包装シートで包装された吸収性物品の個包装体を提供することにある。

　前記課題を解決することができた本発明の吸収性物品とは、折り畳まれた吸収性物品であって；吸収性物品は、幅方向と前後方向を有し、トップシートとバックシートの間に吸収体が配されて構成され；吸収性物品は、肌面側を内側にして、前後方向の前側部と後側部がそれらの間の中間部と重なるように折り返されて前後方向に３つ折りされ；吸収体は、中間部から前側部および後側部に延在して設けられ；バックシートの非肌面側には、中間部に吸収体と重なって滑り止め部が設けられ、前側部と後側部にフック部材または粘着層からなる取付固定部が設けられているところに特徴を有する。

　本発明の折り畳まれた吸収性物品は、上記のようにバックシートの非肌面側に滑り止め部と取付固定部が設けられることにより、吸収性物品を下着の適切な位置に取り付けることが容易になる。すなわち、吸収性物品を下着に取り付ける際、吸収性物品を完全に平面状に広げない状態で、吸収性物品の中間部を下着の肌面側に沿って移動させることにより、吸収性物品を下着の肌面側の適切な位置にセットすることができる。吸収性物品の設置位置が決まったら、中間部に設けられた滑り止め部を利用して、中間部を下着に押し当てながら吸収性物品を平面状に広げ、前側部と後側部を下着に押圧して取付固定部を下着に止着することにより、吸収性物品を下着の肌面側の所望する位置に位置ズレすることなく取り付けることが容易に行えるようになる。

　前側部の取付固定部よりも前側および後側部の取付固定部よりも後側には、滑り止め部は設けられないことが好ましい。このように滑り止め部を設けることにより、吸収性物品の前後端部が比較的柔軟に形成され、当該部分での吸収性物品のフィット性を高めやすくなる。

　前側部の取付固定部は、吸収体の前側端と重なって設けられるか、前側端よりも前側に設けられ、後側部の取付固定部は、吸収体の後側端と重なって設けられるか、後側端よりも後側に設けられることが好ましい。このように取付固定部を設けることにより、吸収性物品を安定して下着の肌面側に固定することができる。

　吸収体とバックシートの間には繊維シートが設けられ、繊維シートはトップシートとバックシートよりも目付が大きく、繊維シートは、吸収体の前側端よりも前側に延在し、吸収体の後側端よりも後側に延在していることが好ましい。これにより、吸収性物品の吸収体が存在しない前後端部における剛性を高めることができる。そのため、吸収性物品を下着に取り付ける際に、吸収性物品の前後端部の折れ曲がりを防ぎ、吸収性物品を安定して下着の肌面側に取り付けることができる。

　滑り止め部は、中間部のみに設けられていることが好ましい。滑り止め部を中間部のみに設けることにより、吸収性物品の前側部と後側部が比較的柔軟に形成され、当該部分での吸収性物品のフィット性を高めやすくなる。また、滑り止め部を中間部のみに設けることにより、折り畳まれた吸収性物品の折り目に滑り止め部が存在しないようになり、折り畳まれた吸収性物品が嵩張らず、厚みを薄く形成することができる。

　滑り止め部は、前後方向に並んで複数設けられていることが好ましい。滑り止め部を前後方向に並んで複数設けることにより、吸収性物品を下着に取り付けた際に、１つの滑り止め部にズレ応力が発生しても、別の滑り止め部に当該ズレ応力が直接伝わらなくなる。そのため、吸収性物品の設置位置がずれたり、吸収性物品の広範囲にわたって歪みが生じることを抑えることができる。また、滑り止め部を前後方向に並んで複数設けることにより、吸収性物品を前後方向に湾曲させることが容易になり、吸収性物品の着用者の股間部へのフィット性を高めることができる。

　吸収性物品は、幅方向に延びる第１の折り目と第２の折り目で折り返されることにより前後方向に３つ折りされ、滑り止め部は、第１の折り目から前後方向に１０ｍｍ以内の領域に設けられるとともに、第２の折り目から前後方向に１０ｍｍ以内の領域に設けられることが好ましい。第１の折り目とその近傍および第２の折り目とその近傍では、吸収性物品を平面状に広げた状態で、吸収性物品が非肌面側に膨らんで形成され、当該部分で下着と強く接触しやすくなる。従って、そのような箇所に滑り止め部を設けることにより、吸収性物品の折り畳みを展開して平面状に広げる際に、吸収性物品の中間部を下着の肌面側の所望の位置に保持することが容易になる。

　滑り止め部は樹脂層から形成されていることが好ましい。これにより、滑り止め部によるズレ止め効果が好適に発揮されやすくなる。

　本発明はまた、上記に説明した吸収性物品が包装シートで包装された吸収性物品の個包装体であって、包装シートは、吸収性物品の非肌面側に重ねられて、取付固定部と剥離可能に貼着され、吸収性物品とともに前後方向に３つ折りされている吸収性物品の個包装体も提供する。本発明の吸収性物品の個包装体は、個包装体の折り畳みを展開して包装シート吸収性物品から剥がすことで、吸収性物品を下着の肌面側に取り付けることができる。この際、吸収性物品を完全に平面状に広げない状態で、吸収性物品の非肌面側の中間部を下着の肌面側の適切な位置にセットし、吸収性物品の中間部を下着に押し当てながら吸収性物品を平面状に広げて前側部と後側部を下着に押圧することにより、吸収性物品を下着の肌面側の所望する位置に取り付けることが容易に行えるようになる。

　本発明の折り畳まれた吸収性物品は、下着に取り付けて使用する際、吸収性物品を完全に平面状に広げない状態で、吸収性物品の中間部を下着の肌面側に沿って移動させることにより、吸収性物品の下着の肌面側の適切な位置にセットすることができる。吸収性物品の設置位置が決まったら、中間部に設けられた滑り止め部を利用して、中間部を下着に押し当てながら吸収性物品を平面状に広げ、前側部と後側部を下着に押圧して取付固定部を下着に止着することにより、吸収性物品を下着の肌面側の所望する位置に位置ズレすることなく取り付けることが容易に行えるようになる。

本発明の吸収性物品の一例を表し、展開状態の吸収性物品を肌面側から見た平面図を表す。図１に示した吸収性物品を非肌面側から見た平面図を表す。図１および図２に示した吸収性物品のＩＩＩ－ＩＩＩ断面図を表す。図４（ａ），（ｂ）は吸収性物品の個包装体の形成方法の一例を表し、図４（ｂ）は吸収性物品個包装体の平面図を表す。

　本発明は、折り畳まれた吸収性物品に関するものであり、詳細には、尿パッド、失禁パッド、生理用ナプキンなど、パンツやショーツ等の下着等に取り付けて使用することができる吸収性物品であって、当該吸収性物品が折り返されることにより形成された折り畳まれた吸収性物品に関するものである。

　まず、本発明で用いられる吸収性物品の基本構成について、図面を参照して説明する。図１は、平面状に展開した状態の吸収性物品（失禁パッド）を肌面側から見た平面図を表し、図２は、図１に示した吸収性物品を非肌面側から見た平面図を表し、図３は、図１と図２に示した吸収性物品のＩＩＩ－ＩＩＩ断面図を表す。本願の図では、矢印ｘが幅方向、矢印ｙが前後方向を表し、矢印ｘ，ｙにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向ｚを表す。図１および図２では、図面の上側が吸収性物品の前側に相当し、図面の下側が吸収性物品の後側に相当する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。

　吸収性物品１は、トップシート２とバックシート３とこれらの間に設けられた吸収体４とを有する。トップシート２は吸収体４の肌面側に配され、バックシート３は吸収体４の非肌面側に配されている。トップシート２を透過した排泄物は、吸収体４により収容される。バックシート３は排泄物が外へ漏れるのを防いでいる。

　吸収性物品１は、前後方向ｙと幅方向ｘを有する。前後方向ｙとは、吸収性物品を着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。幅方向ｘとは、吸収性物品と同一面上にあり前後方向ｙと直交する方向を意味し、吸収性物品を着用した際の着用者の左右方向に相当する。また、吸収性物品を着用者が着用した際に、着用者の肌に向かう側を肌面側とし、その反対側を非肌面側とする。

　トップシート２は吸収体４の肌面側に配され、吸収性物品の着用の際に着用者の肌に面するように設けられる。トップシート２は、液透過性であることが好ましい。トップシート２としては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や；ポリオレフィン（例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン）、ポリエステル（例えば、ＰＥＴ）、ポリアミド（例えば、ナイロン）等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート２として、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。

　バックシート３は吸収体４の非肌面側に配され、液不透過性であることが好ましい。バックシート３としては、ポリオレフィン（例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン）、ポリエステル（例えば、ＰＥＴ）、ポリアミド（例えば、ナイロン）等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、バックシート３として、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。バックシート３の非肌面側は、吸収性物品をパンツやショーツ等の下着に取り付けて使用する際の下着対向面となる。

　吸収体４は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収体４としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いたり、あるいは当該成形体を紙シート（例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙）や液透過性不織布シート等の被覆シートで覆ったものを用いることができる。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、ＰＥＴ等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。

　吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収体４は親水性繊維（特にパルプ繊維）と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。

　吸収体４は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は、不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。

　吸収体４の形状（平面形状）は特に限定されない。吸収体４の形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、略長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。

　吸収性物品１には、トップシート２の幅方向ｘの両側に、前後方向ｙに延在するサイドシート５が設けられることが好ましい。サイドシート５は、トップシート２の幅方向ｘの両側に接合される。図１および図３では、幅方向ｘの一方側と他方側のサイドシート５に、各々起立用弾性部材６が３本設けられている。吸収性物品の使用時には、起立用弾性部材６の収縮力によりサイドシート５の内方部が着用者の肌に向かって立ち上がり、これにより立ち上がりフラップが形成され、尿等の排泄物の横漏れが防止される。サイドシート５は、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成することができ、バックシート３に使用可能なシート材料を用いることができる。

　図面では吸収体４とバックシート３との間に繊維シート９が設けられており、繊維シート９により吸収性物品１の形状保持性を向上させることができる。繊維シート９は、クレープ紙や不織布から構成することができる。

　トップシート２やバックシート３やサイドシート５として不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、ＳＭＳ不織布等を用いることが好ましい。

　吸収性物品１は、肌面側を内側にして、前後方向ｙの前側部１１と後側部１３がそれらの間の中間部１２と重なるように折り返されて前後方向ｙに３つ折りされている。すなわち、吸収性物品１は、幅方向ｘに延びる第１の折り目Ｆ１と第２の折り目Ｆ２で折り返されることにより、前後方向ｙに３つ折りされている。前側部１１と中間部１２は第１の折り目Ｆ１によって区分され、中間部１２と後側部１３は第２の折り目Ｆ２によって区分される。吸収体４は、中間部１２から前側部１１および後側部１３に延在して設けられる。

　吸収性物品１の中間部１２には、バックシート３の非肌面側に、吸収体４と重なって滑り止め部７が設けられ、前側部１１と後側部１３にフック部材または粘着層からなる取付固定部８が設けられている。滑り止め部７は、吸収性物品１をパンツやショーツ等の下着の肌面側に設置した際に、下着に対して非接着の状態で、下着に対する位置ズレを防止するために設けられる。一方、取付固定部８は、吸収性物品１を下着の肌面側に固定するために設けられる。吸収性物品１は、このようにバックシート３の非肌面側に滑り止め部７と取付固定部８が設けられることにより、吸収性物品１を下着の適切な位置に取り付けることが容易になる。すなわち、吸収性物品１を下着に取り付ける際、吸収性物品１を完全に平面状に広げない状態で、吸収性物品１の中間部１２を下着の肌面側に沿って移動させることにより、吸収性物品１の下着の肌面側の適切な位置にセットすることができる。吸収性物品１の設置位置が決まったら、中間部１２を下着に押し当てながら吸収性物品１を平面状に広げて前側部１１と後側部１３を下着に押圧して取付固定部８を下着に止着することにより、吸収性物品１を下着の肌面側の所望する位置に位置ズレすることなく適切に取り付けることができる。

　滑り止め部７は、少なくとも中間部１２に設けられ、前側部１１と後側部１３にも設けられてもよい。前側部１１と後側部１３に滑り止め部７が設けられる場合、滑り止め部７は、前側部１１と後側部１３において吸収体４と重なって設けられることが好ましい。一方、取付固定部８は、前側部１１と後側部１３のみに設けられ、中間部１２には設けられないことが好ましい。なお、滑り止め部７は、前側部１１の取付固定部８よりも前側および後側部１３の取付固定部８よりも後側には設けられないことが好ましい。滑り止め部７を前側部１１の取付固定部８よりも前側および後側部１３の取付固定部８よりも後側に設けても、吸収性物品１を下着に取り付ける際の吸収性物品１の位置固定に寄与しない。むしろ、当該部分に滑り止め部７を設けないことにより、吸収性物品１の前後端部が比較的柔軟に形成され、当該部分での吸収性物品１のフィット性を高めやすくなる。

　滑り止め部７は、第１の折り目Ｆ１またはその近傍および第２の折り目Ｆ２またはその近傍に少なくとも設けられることが好ましい。具体的には、滑り止め部７は、第１の折り目Ｆ１から前後方向ｙに１０ｍｍ以内の領域に設けられるとともに、第２の折り目Ｆ２から前後方向ｙに１０ｍｍ以内の領域に設けられることが好ましい。第１の折り目Ｆ１とその近傍および第２の折り目Ｆ２とその近傍では、吸収性物品１を平面状に広げた状態で、吸収性物品１が非肌面側に膨らんで形成され、当該部分で下着と強く接触しやすくなる。従って、そのような箇所に滑り止め部７を設けることにより、吸収性物品１の折り畳みを展開して平面状に広げる際に、吸収性物品１の中間部１２を下着の肌面側の所望の位置に保持することが容易になる。滑り止め部７は、第１または第２の折り目Ｆ１，Ｆ２から前後方向ｙに５ｍｍ以内の領域に設けられることがより好ましく、３ｍｍ以内の領域に設けられることがさらに好ましい。第１の折り目Ｆ１の正確な位置は、吸収性物品１を前後方向ｙに３つ折りにした状態で前側部１１と中間部１２との重なり位置をマーキングし、吸収性物品１を平面状に展開してマーキング位置の前後方向ｙの中点を求めることにより、決めることができる。第２の折り目Ｆ２の正確な位置も、同様の方法により決めることができる。

　滑り止め部７は、中間部１２のみに設けられ、前側部１１と後側部１３には設けられなくてもよい。滑り止め部７を中間部１２のみに設けることにより、吸収性物品１の前側部１１と後側部１３が比較的柔軟に形成され、当該部分での吸収性物品１のフィット性を高めやすくなる。また、滑り止め部７を中間部１２のみに設けることにより、吸収性物品１を第１の折り目Ｆ１と第２の折り目Ｆ２で折り返しやすくなり、折り畳まれた吸収性物品１が嵩張らず、厚みを薄く形成することができる。

　滑り止め部７は、前後方向ｙに並んで複数設けられることが好ましい。滑り止め部７によって、吸収性物品１を下着の肌面側に取り付けた際の吸収性物品１のズレ止め効果（特に中間部１２におけるズレ止め効果）も期待できるが、滑り止め部７を前後方向ｙに並んで複数設けることにより、吸収性物品１を下着に取り付けた際に、１つの滑り止め部７にズレ応力が発生しても、別の滑り止め部７に当該ズレ応力が直接伝わらなくなる。そのため、吸収性物品１の設置位置がずれたり、吸収性物品１の広範囲にわたって歪みが発生することを抑えることができる。また、滑り止め部７を前後方向ｙに並んで複数設けることにより、吸収性物品１を前後方向ｙに湾曲させることが容易になり、吸収性物品１の着用者の股間部へのフィット性を高めることができる。なお、前後方向ｙに並んで設けられた各滑り止め部７は、幅方向ｘに長い形状で、幅方向ｘに連続的に延在するように設けられることが好ましい。

　滑り止め部７は、前後方向ｙに並んで４個以上設けられることが好ましく、８個以上がより好ましく、１２個以上がさらに好ましい。滑り止め部７の設置数の上限は特に限定されず、滑り止め部７は前後方向ｙに並んで例えば８０個以下設けられてもよく、６０個以下、５０個以下、または４０個以下設けられてもよい。１つの滑り止め部７の前後方向ｙの長さは、滑り止め部７によるズレ止め効果を高める点から、１ｍｍ以上が好ましく、３ｍｍ以上がより好ましく、５ｍｍ以上がさらに好ましい。一方、吸収性物品１を前後方向ｙにスムーズに湾曲させやすくする点から、１つの滑り止め部７の前後方向ｙの長さは３０ｍｍ以下が好ましく、２５ｍｍ以下がより好ましく、２０ｍｍ以下がさらに好ましい。滑り止め部７の幅方向ｘの長さは、２０ｍｍ以上が好ましく、２５ｍｍ以上がより好ましく、３０ｍｍ以上がさらに好ましい。

　滑り止め部７は、吸収体４よりも幅方向ｘの外方に延在しないことが好ましい。すなわち、滑り止め部７は、吸収体４の幅方向ｘの一方端および他方端よりも幅方向ｘの外方に延在しないように設けられることが好ましい。このように滑り止め部７を設けることにより、吸収性物品１を下着に取り付けた際に、吸収性物品１の幅方向ｘの両端部の下着の動きへの滑り性が高まる。そのため、吸収性物品１を下着に取り付けた状態で着用者が大腿部を大きく動かした際に、吸収性物品１に歪みが生じにくくなる。

　取付固定部８は、吸収体４の前側端または後側端と重なって設けられるか、それよりも前後方向ｙの外方に設けられることが好ましい。具体的には、前側部１１の取付固定部８は、吸収体４の前側端と重なって設けられるか、当該前側端よりも前側に設けられ、後側部１３の取付固定部８は、吸収体４の後側端と重なって設けられるか、当該後側端よりも後側に設けられることが好ましい。このように取付固定部８を設けることにより、吸収性物品１を安定して下着の肌面側に固定することができる。

　吸収性物品１を下着に取り付ける際に、より安定して吸収性物品１を下着の肌面側に固定する点からは、前側部１１の取付固定部８は吸収体４の前側端と重なって設けられ、後側部１３の取付固定部８は吸収体４の後側端と重なって設けられることが好ましい。吸収性物品１は、吸収体４の前側端と後側端において剛性が不連続的に変化することにより、吸収体４の前側端と後側端に沿って折れ曲がりやすくなる。しかし、取付固定部８を吸収体４の前側端と後側端と重なって設けることにより、吸収性物品１が吸収体４の前側端と後側端に沿って折れ曲がることを抑えることができる。特に、吸収性物品１を下着に取り付ける際に吸収性物品１の前後端部の折れ曲がりを防ぐことで、吸収性物品１を平面状に広げた状態で下着の肌面側に取り付けることが容易になる。

　取付固定部８は滑り止め部７よりも幅方向ｘに広く設けられることが好ましい。これにより、吸収性物品１を安定して下着の肌面側に固定することができる。より好ましくは、取付固定部８は吸収体４よりも幅方向ｘに広く設けられる。

　取付固定部８は、前側部１１または後側部１３において、１つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。例えば、取付固定部８は、前側部１１において前後方向ｙに複数並んで設けられてもよく、後側部１３において前後方向ｙに複数並んで設けられてもよい。

　前側部１１または後側部１３に設けられた取付固定部８は、前後方向ｙの長さが５ｍｍ以上であることが好ましく、１０ｍｍ以上がより好ましく、また８０ｍｍ以下が好ましく、５０ｍｍ以下がより好ましく、３０ｍｍ以下がさらに好ましい。前側部１１または後側部１３に設けられた取付固定部８が前後方向ｙに複数並んで設けられる場合は、複数並んで設けられた取付固定部８全体の前後方向ｙの長さがこのような範囲にあることが好ましい。このように取付固定部８を設けることにより、取付固定部８の設置面積を減らしつつ、吸収性物品１を下着の肌面側に安定して位置固定することができる。

　滑り止め部７は樹脂層から構成することができる。樹脂層は弾性（詳細には、人が手で扱う程度の力で発揮される弾性）を有することが好ましく、エラストマー樹脂から構成されることが好ましい。エラストマー樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、スチレン系樹脂（例えば、スチレン－ブタジエン共重合体（ＳＢＲ）、スチレン－イソプレン－スチレンブロック共重合体（ＳＩＳ）、スチレン－ブタジエン－スチレンブロック共重合体（ＳＢＳ）、スチレン－エチレン－ブタジエン－スチレンブロック共重合体（ＳＥＢＳ）、スチレン－エチレン－プロピレン－スチレンブロック共重合体（ＳＥＰＳ）等）、アクリル樹脂、α－オレフィン樹脂、ブタジエン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、天然ゴム等が挙げられる。

　樹脂層は、実質的に非着性であることが好ましく、例えば粘着付与成分の含有率が５質量％以下であることが好ましく、３質量％以下がより好ましく、１質量％以下がさらに好ましい。接着剤には、接着性や粘着性を発揮させるために、粘着付与成分が通常１０質量％以上含まれているが、滑り止め部７の樹脂層にはそのような粘着付与成分が多く含まれないことが好ましい。粘着付与成分としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、Ｃ５系またはＣ９系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂等が挙げられる。

　滑り止め部７は、バックシート３の非肌面側の表面から盛り上がって形成されていることが好ましい。滑り止め部７の高さ（バックシート３の非肌面側の表面からの高さ）は、例えば０．１ｍｍ以上が好ましく、０．２ｍｍ以上がより好ましく、０．３ｍｍ以上がさらに好ましく、また３．０ｍｍ以下が好ましく、２．０ｍｍ以下がより好ましく、１．０ｍｍ以下がさらに好ましい。

　滑り止め部７は、デュロメーター硬さＡが９０以下が好ましく、８０以下がより好ましく、７０以下がさらに好ましく、また２０以上が好ましく、２５以上がより好ましく、３０以上がさらに好ましい。これにより、滑り止め部７による位置固定効果やズレ止め効果が好適に発揮されやすくなる。デュロメーター硬さＡはＪＩＳ　Ｋ　６２５３－３（２０１２）に準拠して測定する。

　滑り止め部７は、剥離接着強さが０．１Ｎ未満であることが好ましく、０．０５Ｎ未満がより好ましく、０．０３Ｎ未満がさらに好ましい。滑り止め部７の剥離接着強さは、次の方法に従って測定する。ＪＩＳ　Ｋ　６８５４－２（１９９９）「接着剤－剥離接着強さ試験方法（１８０度剥離）」に準じて、剥離力の積分平均荷重を測定し、１０回の試験の平均値を剥離接着強さとして用いる。ただし、剥離速度（つかみ移動速度）は３００ｍｍ／分で行う。測定に用いる試験片は、滑り止め部が設けられた部分（滑り止め部は複数並んで設けられていてもよい）のバックシートを１００ｍｍ×１０ｍｍの大きさで切り出し、当該バックシートを１５０ｍｍ×２５ｍｍの大きさの基材に貼り付け、これに基材と同じ大きさのカナキン３号綿布を重ね合わせて調製する。なお、切り出したバックシートは、滑り止め部と反対側の面を基材に貼り付け、滑り止め部が設けられた面にカナキン３号綿布を重ね合わせる。カナキン３号綿布は、ＪＩＳ　Ｌ　０８０３「染色堅ろう度試験」に用いられるものを使用する。滑り止め部が設けられた部分のバックシートが１００ｍｍ×１０ｍｍの大きさに満たない場合は、複数を繋ぎ合わせて１００ｍｍ×１０ｍｍの大きさに形成する。滑り止め部が設けられたバックシートとカナキン３号綿布は、ローラー（テスター産業株式会社製、ＳＡ－１００３－Ｂ、荷重２ｋｇｆ、幅４５ｍｍ、直径９５ｍｍ）を３往復させることにより貼り合わせ、試験片を調製する。

　取付固定部８として用いられるフック部材は、フック・ループ・ファスナーのフック部材を用いることができ、鉤形、錨形、きのこ形等の形状の係合部を有するフック部材が一般によく知られている。フック部材の係合部の形状はこれらに限定されず、下着の肌面側に係合可能であれば、特に形状は限定されない。

　取付固定部８として用いられる粘着層は、公知の粘着剤から構成することができ、その種類は特に限定されない。粘着層は、粘着付与成分を１０質量％以上含有することが好ましく、１５質量％以上がより好ましく、２０質量％以上がさらに好ましい。粘着層は、上記に説明した剥離接着強さが０．２Ｎ以上であることが好ましく、０．３Ｎ以上がより好ましく、０．４Ｎ以上がさらに好ましい。

　吸収性物品１の保形性を高める点から、吸収体４とバックシート３の間には繊維シート９が設けられ、繊維シート９は吸収体４の前側端よりも前側に延在し、かつ吸収体４の後側端よりも後側に延在していることが好ましい。これにより、吸収性物品１の吸収体４が存在しない前後端部における剛性を高めることができる。そのため、吸収性物品１を下着に取り付ける際に、吸収性物品１の前後端部の折れ曲がりを防ぎ、吸収性物品１を安定して下着の肌面側に取り付けることができる。吸収性物品１の前後端部の剛性をより高める点から、繊維シート９は、トップシート２とバックシート３よりも目付が大きいことが好ましい。繊維シート９の目付は、例えば３０ｇ／ｍ²～６０ｇ／ｍ²とすることが好ましい。

　繊維シート９は、前側部１１の取付固定部８よりも前側に延在し、後側部１３の取付固定部８よりも後側に延在していることが好ましい。特に、取付固定部８が吸収体４の前側端または後側端と重なって設けられるか、それよりも前後方向ｙの外方に設けられる場合は、そのように繊維シート９が設けられることが好ましい。これにより、吸収性物品１が取付固定部８の前側端または後側端に沿って折れ曲がりにくくなり、吸収性物品１を下着に取り付ける際に、取付固定部８を下着の肌面側に安定して固定させやすくなる。

　吸収性物品１は、前後方向ｙに３つ折りされて、包装シートに包装されていてもよい。この場合、包装シートは、吸収性物品１の非肌面側に重ねられて、取付固定部８と剥離可能に貼着され、吸収性物品１とともに前後方向ｙに３つ折りされることが好ましく、これにより吸収性物品の個包装体を形成することができる。

　図４には、図１～図３に示した吸収性物品を包装シートで包装して個包装体に形成する方法の一例を示した。図４（ａ）には包装前の吸収性物品と包装シートが示され、図４（ｂ）には吸収性物品の個包装体が示されている。図４（ｂ）では、吸収性物品が包装シートで個包装されている。

　個包装体２１は、吸収性物品１が包装シート２２で包装されている。図４では、個包装体２１は、吸収性物品１が包装シート２２とともに第１の折り目Ｆ１と第２の折り目Ｆ２で折り返されることにより形成されている。詳細には、個包装体２１は、吸収性物品１の非肌面側の少なくとも一部に包装シート２２が重ねられ、吸収性物品１が包装シート２２とともに幅方向ｘに延びる第１の折り目Ｆ１と第２の折り目Ｆ２で折り返され、その結果、吸収性物品１が前後方向ｙに３つ折りに折り畳まれている。この際、包装シート２２は、吸収性物品１のバックシート３に設けられた取付固定部８と剥離可能に接合していることが好ましい。

　包装シート２２は１つのシート部材から形成されてもよく、２つ以上のシート部材を繋ぎ合わせて形成されてもよい。包装シート２２は、例えば、プラスチックフィルム、紙、布材料（不織布、織布、編布等）、これらの任意の組み合わせによる積層体により構成することができる。取付固定部８がフック部材から構成される場合は、包装シート２２の吸収性物品１と面する側は布材料から構成されることが好ましく、具体的には、包装シート２２は布材料から構成される、あるいは吸収性物品１と面する側が布材料から構成された積層体であることが好ましい。取付固定部８が粘着層から構成される場合は、包装シート２２の吸収性物品１と面する側はプラスチックフィルムから構成されることが好ましく、具体的には、包装シート２２はプラスチックフィルムから構成される、あるいは吸収性物品１と面する側がプラスチックフィルムから構成された積層体であることが好ましい。

　包装シート２２は、吸収性物品１側に向いた内側面とその反対側に向いた外側面とを有する。包装シート２２の内側面と外側面は、包装シート２２が吸収性物品１を包装した状態を基準に定められる。包装シート２２の外側面の少なくとも一部は個包装体２１の外側に露出し、個包装体２１の外面を構成する。

　個包装体２１は、包装シート２２の幅方向ｘの両端部が封止部２４で封止されることが好ましい。封止部２４は、接着剤、熱溶着、超音波溶着等の公知の接合手段により形成することができる。

　個包装体２１には、包装シート２２に、包装シート２２の一部と他部とを繋いで個包装体２１の包装状態を維持する封止テープ２３が設けられることが好ましい。図４では、封止テープ２３が、包装シート２２の前後方向ｙの端部と、包装シート２２が折り畳まれた状態で、前記端部と重ねられた部分の近傍とを繋ぐように設けられている。

　吸収性物品１を個包装体２１から取り出して使用する場合は、個包装体２１の折り畳みを展開して包装シート２２を吸収性物品１から剥がし、吸収性物品１を完全に平面状に広げない状態で、吸収性物品１の非肌面側の中間部１２を下着の肌面側の適切な位置にセットする。次いで、吸収性物品１の中間部１２を下着に押し当てながら吸収性物品１を平面状に広げて前側部１１と後側部１３を下着に押圧することにより、吸収性物品１を下着の肌面側の所望する位置に適切に取り付けることができる。

　本願は、２０１９年３月１１日に出願された日本国特許出願第２０１９－０４４０１０号に基づく優先権の利益を主張するものである。２０１９年３月１１日に出願された日本国特許出願第２０１９－０４４０１０号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。

　１：吸収性物品
　２：トップシート
　３：バックシート
　４：吸収体
　５：サイドシート
　６：起立用弾性部材
　７：滑り止め部
　８：取付固定部
　９：繊維シート
　１１：前側部
　１２：中間部
　１３：後側部
　２１：吸収性物品個包装体
　２２：包装シート
　２３：封止テープ

Claims

　折り畳まれた吸収性物品であって、
　前記吸収性物品は、幅方向と前後方向を有し、トップシートとバックシートの間に吸収体が配されて構成され、
　前記吸収性物品は、肌面側を内側にして、前後方向の前側部と後側部がそれらの間の中間部と重なるように折り返されて前後方向に３つ折りされ、
　前記吸収体は、前記中間部から前記前側部および前記後側部に延在して設けられ、
　前記バックシートの非肌面側には、前記中間部に前記吸収体と重なって滑り止め部が設けられ、前記前側部と前記後側部にフック部材または粘着層からなる取付固定部が設けられていることを特徴とする吸収性物品。
　前記前側部の取付固定部よりも前側および前記後側部の取付固定部よりも後側には、滑り止め部は設けられない請求項１に記載の吸収性物品。
　前記前側部の取付固定部は、前記吸収体の前側端と重なって設けられるか、前記前側端よりも前側に設けられ、
　前記後側部の取付固定部は、前記吸収体の後側端と重なって設けられるか、前記後側端よりも後側に設けられている請求項１または２に記載の吸収性物品。
　前記吸収体と前記バックシートの間には繊維シートが設けられ、
　前記繊維シートは、前記トップシートと前記バックシートよりも目付が大きく、
　前記繊維シートは、前記吸収体の前側端よりも前側に延在し、前記吸収体の後側端よりも後側に延在している請求項１～３のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記滑り止め部は、前記中間部のみに設けられている請求項１～４のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記滑り止め部は、前後方向に並んで複数設けられている請求項１～５のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記吸収性物品は、幅方向に延びる第１の折り目と第２の折り目で折り返されることにより前後方向に３つ折りされ、
　前記滑り止め部は、前記第１の折り目から前後方向に１０ｍｍ以内の領域に設けられるとともに、前記第２の折り目から前後方向に１０ｍｍ以内の領域に設けられている請求項１～６のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記滑り止め部は樹脂層から形成されている請求項１～７のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記滑り止め部は、前記吸収体よりも幅方向の外方に延在していない請求項１～８のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記取付固定部は、前記滑り止め部よりも幅方向に広く設けられている請求項１～９のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記滑り止め部は、前記バックシートの非肌面側の表面から盛り上がって形成されている請求項１～１０のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　前記滑り止め部は、デュロメーター硬さＡが２０以上９０以下である請求項１～１１のいずれか一項に記載の吸収性物品。
　請求項１～１２のいずれか一項に記載の吸収性物品が包装シートで包装された吸収性物品の個包装体であって、
　前記包装シートは、前記吸収性物品の非肌面側に重ねられて、前記取付固定部と剥離可能に貼着され、前記吸収性物品とともに前後方向に３つ折りされていることを特徴とする吸収性物品の個包装体。