WO2020153257A1 - タルボ用格子 - Google Patents
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Abstract
[課題]シリコンウェハを用いた従来技術とは全く異なる手段で、高輝度で大面積化・厚層化・傾斜化が可能であり、取り扱い性や熱的安定性にも優れたタルボ用格子を提供する。 X線吸収層とX線透過層とが、X線の入射方向に対して略平行方向に繰り返し積層された構造を有するタルボ用格子であり、X線吸収層とX線透過層の少なくとも一方の層が接着性樹脂を含有し、かつ、X線入射方向に対して直交する面の少なくとも一方の面が支持体により保持されてなることを特徴とするタルボ用格子。
Description
本発明は、タルボシステムに使用される格子、すなわちタルボ用格子に関する。
現在、X線画像診断では、X線の物体透過後の減弱を画像化する吸収画像が用いられている。一方でX線は電磁波の一種であることから、この波動性に着目し、X線物体透過後の位相の変化を画像化する試みが近年なされてきた。これらはそれぞれ吸収コントラストと位相コントラストと呼ばれる。この位相コントラストを用いた撮影技術は、従来の吸収コントラストと比較して、軽元素への感度が高いことから、これが多く含まれる人体の軟部組織への感度が高いと考えられている。
しかしながら、従来の位相コントラスト撮影技術は、シンクロトロンX線源や微小焦点X線管を用いる必要があったため、前者は巨大な施設が必要であること、後者は人体を撮影するために十分なX線量が確保できないことから、一般医療施設での実用は難しいと考えられていた。
この課題を解決するために、従来から医療現場で用いられるX線源を用いて位相コントラスト画像を取得することができる、X線タルボ・ロー干渉計を用いた、X線画像診断(タルボシステム)が期待されている。
タルボ・ロー干渉計は、図1に示されるように、医療用X線管とFPDの間にG0格子、G1格子、G2格子が各々配置され、被写体によるX線の屈折をモアレ縞として可視化するものである。上部に配置されたX線源から縦方向にX線が照射され、G0、被写体、G1、G2を通って画像検出器に到達する。
格子の製造方法としては、例えば、X線透過性の高いシリコンウェハをエッチングして格子状の凹部を設け、その中にX線遮蔽性の高い重金属を充填する方法が知られている。
しかしながら、エッチングによってシリコンウェハに深い凹部を形成するのは容易でない上に、凹部の奥まで金属を均一に充填することも難しいため、X線を充分遮蔽するだけの厚みを有する格子は作製困難である。このため、特に高圧撮影条件ではX線が格子を透過してしまい良好な画像を得ることができない。
しかしながら、エッチングによってシリコンウェハに深い凹部を形成するのは容易でない上に、凹部の奥まで金属を均一に充填することも難しいため、X線を充分遮蔽するだけの厚みを有する格子は作製困難である。このため、特に高圧撮影条件ではX線が格子を透過してしまい良好な画像を得ることができない。
また、X線源から放射されたX線はコーンビーム状に広がるので、格子の周縁部におけるX線のケラレが発生する。ケラレの問題は、格子が厚くなるほど、格子が大面積になるほど、また、格子とX線源が近いほど顕著になる。ケラレを小さくするためには、X線吸収部およびX線透過部がX線の焦点に向かって収束するように傾けられた収束構造にする必要があり、そのためには、格子を所望の曲率で湾曲させる等の工夫が必要である。
しかしながら、シリコンに凹部を形成して重金属を充填する従来の方式では、構成材料のシリコンと重金属が柔軟性に乏しいため、所望の曲率に湾曲することは容易ではない。また、入手できるシリコンウェハのサイズやエッチング装置の制約等により大面積化が困難であり、撮影対象は小さな部位に限定される等の課題がある。
これらの課題を解決するため、X線吸収材料とX線透過材料を積層して格子を形成する手段が検討されている。例えば、特許文献1では、アルミニウムなどの低X線吸収材料とタンタル等の高X線吸収材料を積層し圧縮した後、外周部を箱形部材と半田で補強した上で所望の厚さにスライスすることで格子を作製する技術が開示されている。本方式により厚膜の格子は作製可能だが、部材が金属のみで構成されているため柔軟性に乏しく、ケラレ対策として格子を湾曲することは困難である。特許文献1には、低X線吸収材料を兼ねた接着剤と高X線吸収材料を繰り返し積層し接合する方式も開示されている。本方式では構成要素として柔軟性のある樹脂が含まれているので物理的には格子を湾曲することは可能ではあるが、所望の厚さにスライスするプロセスで各層の接着面積が小さくなるため、接着力の低下による層間剥離が発生しやすくなる。仮に、上記プロセスで層間剥離が発生しなかったとしても、その後の取り扱いによる僅かな外力や湾曲プロセスにより容易に層間剥離が発生し、タルボ格子としての機能を大きく損なってしまう。また、既存のタルボ用格子の構成材料であるシリコンや重金属と比較すると、接着性樹脂は熱膨張係数が大きく、撮影時の温度変化による熱膨張で積層ピッチが容易に変動し画質を劣化させるといった課題もあった。
特許文献2では、X線吸収層とX線透過層の間に接着性の緩衝層を設ける方式が開示されているが、こちらも特許文献1と同じ理由で層間剥離が発生しやすく、また、熱膨張の影響を受けやすいためタルボ格子としての実用性に乏しい。また、タルボ用格子にはミクロンオーダーのピッチ精度が要求されるため、ピッチ変動に直結する材料の膜厚変動はできるだけ小さく抑える必要があるが、特許文献2の構成では、X線吸収層とX線透過層が有する膜厚変動に緩衝層の膜厚変動が加わり、ピッチ変動が加算されることで、画質が低下するとの課題も有している。
このような状況の下、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のタルボ用格子の構成を見出し、本発明を完成するに至った。本発明の構成は以下の通りである。
[1]X線吸収層とX線透過層とが、X線の入射方向に対して略平行方向に繰り返し積層された構造を有するタルボ用格子であり、
X線吸収層とX線透過層の少なくとも一方の層が接着性樹脂を含有し、かつ、X線入射方向に対して直交する面の少なくとも一方の面が支持体により保持されてなるタルボ用格子。
[2]前記X線透過層が、少なくとも接着性樹脂を含有する、タルボ用格子[1]。
[3]前記X線吸収層が、少なくとも金属を含有する、タルボ用格子[1]。
[4]前記X線吸収層が、少なくともX線吸収粒子と接着性樹脂とを含有する、タルボ用格子[3]。
[5]前記X線吸収粒子が、金、タングステン、スズの少なくともいずれかを主成分として含有する、タルボ用格子[4]。
[6]前記X線透過層が、高分子材料を主成分として構成されている、タルボ用格子[1]または[2]。
[7]前記タルボ用格子において、
i)放射線入射側を第1面、ii)第1面と対向する側を第2面としたとき、
第2面における前記X線吸収層とX線透過層のピッチが、第1面における前記X線吸収層とX線透過層のピッチよりもが大きい、タルボ用格子[1]~[6]。
[8]前記第1面と第2面がいずれも平面である、タルボ用格子[7]。
[9]前記第1面と第2面がいずれも曲面である、タルボ用格子[7]。
[1]X線吸収層とX線透過層とが、X線の入射方向に対して略平行方向に繰り返し積層された構造を有するタルボ用格子であり、
X線吸収層とX線透過層の少なくとも一方の層が接着性樹脂を含有し、かつ、X線入射方向に対して直交する面の少なくとも一方の面が支持体により保持されてなるタルボ用格子。
[2]前記X線透過層が、少なくとも接着性樹脂を含有する、タルボ用格子[1]。
[3]前記X線吸収層が、少なくとも金属を含有する、タルボ用格子[1]。
[4]前記X線吸収層が、少なくともX線吸収粒子と接着性樹脂とを含有する、タルボ用格子[3]。
[5]前記X線吸収粒子が、金、タングステン、スズの少なくともいずれかを主成分として含有する、タルボ用格子[4]。
[6]前記X線透過層が、高分子材料を主成分として構成されている、タルボ用格子[1]または[2]。
[7]前記タルボ用格子において、
i)放射線入射側を第1面、ii)第1面と対向する側を第2面としたとき、
第2面における前記X線吸収層とX線透過層のピッチが、第1面における前記X線吸収層とX線透過層のピッチよりもが大きい、タルボ用格子[1]~[6]。
[8]前記第1面と第2面がいずれも平面である、タルボ用格子[7]。
[9]前記第1面と第2面がいずれも曲面である、タルボ用格子[7]。
本発明にかかるタルボ用格子は、所定の構成を採用しているので、高エネルギーのX線でも遮蔽できるレベルに厚くすることが可能であり、取り扱い中に層間剥離が発生することが無く、湾曲などによる傾斜化が容易であり、熱的安定性に優れ、大面積化も容易に行うことができる。
本発明にかかるタルボ用格子は、G0、G1、G2いずれの格子にも適用可能であるが、X線源から最も近くケラレの影響を受けやすいG0格子として特に有用である。
このため、本発明のタルボ用格子を備えた、X線画像撮影装置は、高圧撮影も可能となり、胸腹部、大腿部、肘関節、膝関節、股関節などの厚みのある被写体撮影も可能となる。
このため、本発明のタルボ用格子を備えた、X線画像撮影装置は、高圧撮影も可能となり、胸腹部、大腿部、肘関節、膝関節、股関節などの厚みのある被写体撮影も可能となる。
従来、軟骨の画像診断では、MRIが主流であり、大がかりな機材を使うため撮影コストが高く、撮影時間も長いという欠点もあった。これに対し、本発明によれば、より低コストでスピーディーなX線画像で、軟骨、筋腱、靭帯などの軟部組織や、内臓組織を写すことができる。このため、関節リュウマチ、変形性膝関節症等の整形外科疾患や、乳がんをはじめ、柔らかい組織の画像診断などへ、広く応用が期待できる。
また、本発明のタルボ用格子を備えたX線画像撮影装置は、非破壊検査にも使用することができる。
また、本発明のタルボ用格子を備えたX線画像撮影装置は、非破壊検査にも使用することができる。
本発明のタルボ用格子について説明する。かかるタルボ用格子は図2に示されるように、X線吸収層とX線透過層が、放射線の入射方向に対して略平行方向に繰り返し積層された構造を有する。
図1に示すように、タルボ・ロー干渉計は、G0、G1、G2の各格子を備え、上部に配置されたX線源から縦方向にX線が照射され、たとえば、G0、被写体、G1、G2を通って画像検出器に到達する。被写体は、通常G0格子とG1格子との間に設置され、被写体によるX線の屈折や散乱をモアレ縞として可視化し、電気信号に変換しデジタル画像を取得することができる。
略平行とは、ほぼ平行あり、完全に平行でも多少の傾斜あっても略平行の範疇に含まれるが、本発明のタルボ用格子は、X線の点源に収束するように、各層が構成されることが好ましい。
すなわち、i)放射線入射側を第1面、ii)第1面と対向する側を第2面としたとき、第2面における前記X線吸収層とX線透過層のピッチが、第1面における前記X線吸収層とX線透過層のピッチよりも大きいことが好ましい。このような構成を図2に示す。
図2(a)には、前記第1面と第2面がいずれも曲面であるものを示している。このような形態は格子を湾曲することで得られる。
図2(b)には、前記第1面と第2面がいずれも平面であるものを示し、X線吸収層とX線透過層が台形に近い断面形状で繰り返し積層された構造を有する。
図2(b)には、前記第1面と第2面がいずれも平面であるものを示し、X線吸収層とX線透過層が台形に近い断面形状で繰り返し積層された構造を有する。
図2(a)、(b)はいずれも、格子の両面が支持体で保持された構成を示しているが、支持体によって保持される面は、格子のいずれか片側の面でもよい。
本発明における一対のX線吸収層とX線透過層の積層方向の厚さ(以下、積層ピッチ)、およびX線吸収層とX線透過層の積層方向の厚さの比率は、X線撮像に必要なタルボ干渉条件より導かれ、積層ピッチは0.5~200μmであることが好ましく、1~50μmであることがより好ましく、1~25μmであることがさらに好ましい。X線吸収層/X線透過層の積層方向の厚さの比率は20/80~80/20であることが好ましい。本発明におけるX線入射方向に対して直交する面の大きさ(以下、格子の大きさ)は、撮影対象の大きさや各種格子の配置にもよるが、通常5mm×5mm~500mm×500mmの範囲である。積層ピッチの繰り返し積層数は、格子の大きさや光学設計によって決まるが、通常100~500,000層の範囲である。
本発明における一対のX線吸収層とX線透過層の積層方向の厚さ(以下、積層ピッチ)、およびX線吸収層とX線透過層の積層方向の厚さの比率は、X線撮像に必要なタルボ干渉条件より導かれ、積層ピッチは0.5~200μmであることが好ましく、1~50μmであることがより好ましく、1~25μmであることがさらに好ましい。X線吸収層/X線透過層の積層方向の厚さの比率は20/80~80/20であることが好ましい。本発明におけるX線入射方向に対して直交する面の大きさ(以下、格子の大きさ)は、撮影対象の大きさや各種格子の配置にもよるが、通常5mm×5mm~500mm×500mmの範囲である。積層ピッチの繰り返し積層数は、格子の大きさや光学設計によって決まるが、通常100~500,000層の範囲である。
本発明におけるX線入射方向の格子の厚さ(以下、格子の厚さ)は10~2,000μmが好ましく、50~1,500μmがより好ましく、100~1,000μmが更に好ましい。上記数値よりも格子が薄くなると、X線が充分に遮蔽されず画質が低下する。高圧撮影では格子が厚膜であることが望まれるが、上記数値よりも格子が厚くなると、格子の積層構造が僅かに歪んだだけでもケラレが発生しやすくなり、画像が安定しなくなる。なお、格子の厚さは、例えば後述の方法によって作成したX線吸収層とX線透過層よりなる繰り返し積層体をX線入射方向に対して直交する方向にスライスすることで任意に調整することができる。
本発明におけるX線吸収層とX線透過層の少なくともいずれかの層は接着性樹脂を含有している。格子を構成するいずれかの層が接着性樹脂を含有することで格子が柔軟になり、湾曲などの手段を使って容易に傾斜化することができる。
・X線吸収層
本発明におけるX線吸収層とは、X線を吸収する層であり、X線吸収性の高い材料(以下、X線吸収材料)を主成分として含有する。X線吸収材料としては、例えば金、白金、銀、鉛、タングステン、スズ、モリブデン、インジウム、ルテニウム、タンタル、ランタン、ビスマス、バリウム、レニウム、オスミウム、イリジウム等の重金属もしくはその化合物が挙げられる。中でも、金、タングステン、スズの少なくとも1種を主成分として含有することが好ましい。上記X線吸収材料は2種類以上混合して使用しても良い。
本発明におけるX線吸収層とは、X線を吸収する層であり、X線吸収性の高い材料(以下、X線吸収材料)を主成分として含有する。X線吸収材料としては、例えば金、白金、銀、鉛、タングステン、スズ、モリブデン、インジウム、ルテニウム、タンタル、ランタン、ビスマス、バリウム、レニウム、オスミウム、イリジウム等の重金属もしくはその化合物が挙げられる。中でも、金、タングステン、スズの少なくとも1種を主成分として含有することが好ましい。上記X線吸収材料は2種類以上混合して使用しても良い。
X線吸収材層は、板状のX線吸収材料を箔状に延伸したものを用いても良いし、蒸着やスパッタなどの気相法やメッキによって基材(X線透過層)上に形成しても良いし、微粒子化したものを基材(X線透過層)上に塗布することで形成しても良い。
本発明におけるX線吸収層は、X線吸収材料とともに接着性樹脂を含有してもよい。この場合、X線吸収材料は粒子(以下、X線吸収粒子)であることが好ましい。
X線吸収粒子の平均粒径は、好ましくは0.01~20μm、より好ましくは0.05~10μm、さらに好ましくは0.1~3μmである。平均粒径が上記値に満たない場合は、塗布液中で粒子の分散性が低下し、上記値を超える場合は、粒子の沈降が問題となる。X線吸収粒子は、平均粒径の異なる2種類以上を組み合わせて用いても良い。
X線吸収粒子の平均粒径は、好ましくは0.01~20μm、より好ましくは0.05~10μm、さらに好ましくは0.1~3μmである。平均粒径が上記値に満たない場合は、塗布液中で粒子の分散性が低下し、上記値を超える場合は、粒子の沈降が問題となる。X線吸収粒子は、平均粒径の異なる2種類以上を組み合わせて用いても良い。
X線吸収層内におけるX線吸収粒子の体積含有率は、好ましくは30~80vol%、より好ましくは50~80vol%である。X線吸収粒子の体積含有率が上記値に満たない場合は、タルボ干渉に必要なX線遮蔽能が得られない。また、上記値を超える場合は、相対的に層内の接着性樹脂の含有量が低下し、X線吸収層とX線透過層が界面剥離しやすくなる。
X線吸収層が、X線吸収粒子と接着性樹脂を含有する場合、接着性樹脂はX線吸収粒子のバインダーとしても機能する。
接着性樹脂としては、本発明の目的を損なわない限り特に限定されず、例えば、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリ(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂などのような合成高分子物質が挙げられる。なお、これらの樹脂はエポキシやイソシアネート等の架橋剤によって架橋されていてもよく、これらの接着性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。接着性樹脂は、熱可塑性でも熱硬化性のいずれでもよい。
接着性樹脂としては、本発明の目的を損なわない限り特に限定されず、例えば、ゼラチン等の蛋白質、デキストラン等のポリサッカライド、またはアラビアゴムのような天然高分子物質;および、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース、エチルセルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリ(メタ)アクリレート、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、ポリウレタン、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂などのような合成高分子物質が挙げられる。なお、これらの樹脂はエポキシやイソシアネート等の架橋剤によって架橋されていてもよく、これらの接着性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。接着性樹脂は、熱可塑性でも熱硬化性のいずれでもよい。
X線吸収層内における接着性樹脂の体積含有率は、好ましくは10~70vol%、より好ましくは10~50vol%である。接着性樹脂の体積含有率が前記範囲の下限値よりも低いと充分な接着性が得られず、逆に前記範囲の上限値よりも高いと、相対的にX線吸収粒子の含有量が低下するためX線吸収性が不充分となることがある。
X線吸収層の形成方法としては、前記X線吸収粒子と接着性樹脂を溶媒に溶解もしくは分散した組成物をコートしてもよいし、前記X線吸収粒子と接着性樹脂を含有する混合物を加熱溶融して調製した組成物をコートしてもよい。
前記X線吸収粒子と接着性樹脂を含有する混合物を加熱溶融してコートする場合、接着性樹脂としてホットメルト樹脂を使用することが好ましい。ホットメルト樹脂には、例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリウレタン系若しくはアクリル系の樹脂を主成分としたものを用いることができる。これらのうち、光透過性、防湿性および接着性の観点から、ポリオレフィン系の樹脂を主成分としたものが好ましい。ポリオレフィン系の樹脂としては、例えばエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-アクリル酸エステル共重合体(EMA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体(EMMA)、アイオノマー樹脂等を用いることができる。なお、これらの樹脂は、二種以上組み合わせた、いわゆるポリマーブレンドとして用いてもよい。
X線吸収層を形成するための組成物のコート手段としては、特に制約はないが、通常のコート手段、例えば、ドクターブレード、ロールコーター、ナイフコーター、押し出しコーター、ダイコーター、グラビアコーター、リップコーター、キャピラリー式コーター、バーコーターなどを用いることができる。
・X線透過層
本発明におけるX線透過層とは、X線を透過する層であり、X線透過性の高い高分子材料を主成分として含有することが好ましい。ただし、これに限定されることは無く、アルミニウムのような比較的X線透過性の高い金属をX線透過層に用いても良い。また、X線透過層には前述の接着性樹脂を一部もしくは主成分として含有してもよい。
本発明におけるX線透過層とは、X線を透過する層であり、X線透過性の高い高分子材料を主成分として含有することが好ましい。ただし、これに限定されることは無く、アルミニウムのような比較的X線透過性の高い金属をX線透過層に用いても良い。また、X線透過層には前述の接着性樹脂を一部もしくは主成分として含有してもよい。
X線透過層に用いることができる高分子材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)を始めとするポリエステル、ナイロンを始めとする脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、トリアセテート系樹脂、セルロースアセテート系樹脂、エポキシ系樹脂、ビスマレイミド系樹脂、ポリ乳酸、ポリフェニレンサルファイドやポリエーテルスルホンを始めとする含硫黄ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタンなどが挙げられる。これらの高分子材料には、ガラス繊維やキトサンやセルロースなどのバイオナノファイバーを含有しても良い。中でも、PET、ポリイミド、アラミドが好ましく、PETが特に好ましい。
X線透過層に用いることができる高分子材料はフィルム形状(以下、高分子フィルム)であることが取扱いの観点より好ましい。高分子フィルムは市販品を使用しても良く、また、剥離性を有するセパレータフィルム上に高分子フィルムを形成した後、セパレータフィルムより剥離して使用しても良い。高分子フィルムにはブロッキング防止や搬送時のすべり性改善を目的としてシリカ等の微粒子を含有させても良い。
本発明では、X線吸収層とX線透過層とを接合することで繰り返し積層体を形成する。本発明における接合とは、X線吸収層とX線透過層を接着して一体化することを指す。
本発明ではX線吸収層もしくはX線透過層の少なくともいずれかの層に接着性樹脂を含有することが好ましい。このような構成とすることで、接着機能を有する層を新たに設けなくても両者を接合することができる。
本発明ではX線吸収層もしくはX線透過層の少なくともいずれかの層に接着性樹脂を含有することが好ましい。このような構成とすることで、接着機能を有する層を新たに設けなくても両者を接合することができる。
なお、X線透過層に接着性樹脂を含有させるには、上記したX線透過性の高い高分子材料の少なくとも一部に、前記した接着性樹脂を使用し、フィルム状に成形すればよい。また、X線透過性の高い高分子材料からなるX線透過粒子と接着性樹脂とを溶媒に溶解もしくは分散した組成物をコートしてもよいし、前記X線透過粒子と接着性樹脂を含有する混合物を加熱溶融して調製した組成物をコートしてもよい。X線透過層中の接着性樹脂の体積含有率は、10~100vol%であることが好ましい。この範囲にあれば、充分な接着性を発揮する。なお、X線吸収層に接着性樹脂が含まれる場合には、X線透過層中に接着性樹脂を必ずしも含んでいなくともよい。
タルボ用格子にはミクロンオーダーのピッチ精度が要求されるため、ピッチ変動に直結する材料の膜厚変動はできるだけ小さく抑える必要があるが、本発明ではX線吸収層とX線透過層以外に余分な層を設けないので、格子のミクロなピッチ変動が抑制でき、良好な画質特性が得られる。
積層ピッチを所望の値に調整するには、複数のX線吸収層とX線透過層よりなる繰り返し積層体を所望の寸法になるように加圧すればよい。また、必要に応じて、加圧の前、加圧の後、もしくはその両方に加熱工程を設けても良い。加熱工程を設けることで、接着性樹脂の流動が促進され、被着体との接触面積が増加することで接着強度が向上する。
なお、積層体が加圧される前の状態としては、X線吸収層の内部、X線透過層の内部、もしくはX線吸収層とX線透過層の界面に空隙が存在していることが好ましい。もし空隙が全く存在しない状態で加圧した場合には、積層端面より構成材料の一部が流出して積層ピッチに乱れが生じるか、あるいは加圧を解除すると元の寸法に戻ってしまうこともある。空隙が存在していれば、加圧しても空隙がクッションとなり、空隙がゼロになるまでの範囲であれば積層体を任意の寸法に調整することができ、即ち、積層ピッチを任意の値に調整することができる。
前記X線吸収層と前記X線透過層があらかじめ接合された部分積層体を複数作成したのち、当該複数の部分積層体をさらに積層して前記積層体を形成することが、効率性の観点で好ましい。X線吸収層とX線透過層からなる部分積層体が巻取り可能なフィルム形状であれば、効率的に積層することが可能となる。
X線吸収層とX線透過層からなる部分積層体の形成方法には特に制約は無いが、X線透過層として高分子フィルムを選択し、少なくともその片面に、X線吸収粒子と接着性樹脂を含有する組成物をコートすることでX線吸収層を形成してよい。また、X線吸収層として金属箔を選択し、少なくともその片面に、接着性樹脂を主成分する組成物をコートすることでX線透過層を形成してよい。
本発明において格子の厚さは、X線吸収層とX線透過層よりなる積層体をX線入射方向に対して直交する方向にスライスすることで任意に調整することができる。スライスの方法は特に制限されず、ワイヤーやナイフで切断してもよく、また、機械切削や研磨、あるいはエッチングなどで所定の厚さとなるように、削ってもよい。なお、スライス作業は、後述の支持体を片面のみ貼り合わせた状態で行っても良く、支持体を全く貼り合わせていない状態で行っても良い。
・支持体
接着剤を用いて接合されたX線吸収層とX線透過層の繰り返し積層体は、所望の厚さにスライスするプロセスで各層の接着面積が小さくなることにより接着力が低下し、層間剥離が発生しやすくなる課題があった。また、仮に、上記プロセスで層間剥離が発生しなかったとしても、その後の取り扱いによる僅かな外力や湾曲プロセスにより、容易に層間剥離が発生してしまうことから改善が求められていた。また、既存のタルボ用格子の構成材料であるシリコンや重金属と比較すると、接着性樹脂は熱膨張係数が大きく、撮影時の温度変化による熱膨張で積層ピッチが容易に変動し画質を劣化させるといった課題もあった。本発明では、X線吸収層とX線透過層の繰り返し積層体のX線入射方向に対して直交する面の少なくとも一方の面を支持体により保持することにより本課題を改善した。支持体を設けることにより、積層体が外力を受けても変形しにくくなり層間剥離が抑制される。また、環境の熱影響に対しては、支持体として熱膨張係数の小さい材料を選択することで、熱によるピッチ変動を抑止することができる。
接着剤を用いて接合されたX線吸収層とX線透過層の繰り返し積層体は、所望の厚さにスライスするプロセスで各層の接着面積が小さくなることにより接着力が低下し、層間剥離が発生しやすくなる課題があった。また、仮に、上記プロセスで層間剥離が発生しなかったとしても、その後の取り扱いによる僅かな外力や湾曲プロセスにより、容易に層間剥離が発生してしまうことから改善が求められていた。また、既存のタルボ用格子の構成材料であるシリコンや重金属と比較すると、接着性樹脂は熱膨張係数が大きく、撮影時の温度変化による熱膨張で積層ピッチが容易に変動し画質を劣化させるといった課題もあった。本発明では、X線吸収層とX線透過層の繰り返し積層体のX線入射方向に対して直交する面の少なくとも一方の面を支持体により保持することにより本課題を改善した。支持体を設けることにより、積層体が外力を受けても変形しにくくなり層間剥離が抑制される。また、環境の熱影響に対しては、支持体として熱膨張係数の小さい材料を選択することで、熱によるピッチ変動を抑止することができる。
本発明に用いることのできる支持体は、前記X線吸収層とX線透過層より構成される積層構造体よりも剛性が大きければ特に制約は無く、例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラス等の板ガラス、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素、アモルファスカーボン等のセラミック;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素等の半導体;ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)を始めとするポリエステル、ナイロンを始めとする脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、トリアセテート、セルロースアセテート、エポキシ、ビスマレイミド、ポリ乳酸、ポリフェニレンサルファイドやポリエーテルスルホンを始めとする含硫黄ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン等のポリマー;炭素繊維強化樹脂(CFRP)、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)、上記樹脂とセルロース等を含有する複合材料;アルミニウム、鉄、銅等の金属シート等を使用することができる。
本発明の支持体は、画質影響の観点からX線透過性ができるだけ高いことが望ましく、また、熱環境の熱影響による格子のピッチ変動を抑制するためには熱膨張係数が小さいことが望ましい。以上の要求より、本発明に用いることができる支持体としては、炭素繊維強化樹脂(CFRP)、アモルファスカーボン、ガラス、シリコン等が好ましく、中でも特に炭素繊維強化樹脂(CFRP)が好ましい。
本発明において支持体の大きさは格子の大きさと同等以上であることが好ましく、支持体の厚さは材料にもよるが、一般的に50μm~2,000μm程度である。
本発明の格子を支持体で保持するには、X線吸収層とX線透過層の繰り返し積層体と支持体を接合する必要がある。接合には、公知の接着剤を使用することができる。接着剤には特に制約は無いが、格子の熱的安定性を改善するためには、接着剤の耐熱性も高いことが好ましい。具体的には、ガラス転移点が使用環境温度以上でることが好ましい。また、支持体の有する剛性や熱的安定性等の特性を有効に活用するには、支持体と積層体が強固に接着されている必要があるため、接着剤は弾性率が高いことが好ましい。具体的には、硬化タイプの接着剤が適している。
本発明の格子を支持体で保持するには、X線吸収層とX線透過層の繰り返し積層体と支持体を接合する必要がある。接合には、公知の接着剤を使用することができる。接着剤には特に制約は無いが、格子の熱的安定性を改善するためには、接着剤の耐熱性も高いことが好ましい。具体的には、ガラス転移点が使用環境温度以上でることが好ましい。また、支持体の有する剛性や熱的安定性等の特性を有効に活用するには、支持体と積層体が強固に接着されている必要があるため、接着剤は弾性率が高いことが好ましい。具体的には、硬化タイプの接着剤が適している。
本発明の支持体が格子を保持する面は、X線入射方向に対して直交する面の片面でも両面でもよいが、支持体の機能を充分発現させるためには格子の両面を保持していることが好ましい。
X線等の放射線を発する線源は一般に点波源であるため、個々のX線吸収層とX線透過層が完全に平行に形成されている場合には、タルボ用格子の周辺領域では、X線が斜め入射してしまう。この結果、前記周辺領域では、放射線が充分に透過しない、いわゆるケラレが生じてしまう。ケラレの問題は、格子が厚くなるほど、格子が大面積になるほど、また、格子とX線源が近いほど顕著になる。
本課題については、前記タルボ用格子において、放射線入射側を第1面、第1面と対向する側を第2面としたとき、第2面における前記X線吸収層とX線透過層の積層ピッチを、第1面における前記X線吸収層とX線透過層の積層ピッチよりも大きくすることで、個々のX線吸収層とX線透過層が放射線に対して平行になるように配置して改善できる。より具体的な態様としては、タルボ用格子を傾斜構造とすることで実現可能である。
タルボ用格子を傾斜構造にする一例を、図3を参照しながら説明する。
図3(a)には湾曲による傾斜化の例を示す。湾曲には例えば、上下一組となる湾曲治具が使用される。上下の湾曲治具間には、所定の円弧状(扇状)となるように、空隙が設けられ、積層体を載置したのち、上下の湾曲治具間を必要に応じ加圧して、積層体を湾曲させる。図3(a)には図示されていないが、本発明において、X線入射方向に対して直交する面の少なくともいずれか一方の面に支持体が設けられている。
図3(a)には湾曲による傾斜化の例を示す。湾曲には例えば、上下一組となる湾曲治具が使用される。上下の湾曲治具間には、所定の円弧状(扇状)となるように、空隙が設けられ、積層体を載置したのち、上下の湾曲治具間を必要に応じ加圧して、積層体を湾曲させる。図3(a)には図示されていないが、本発明において、X線入射方向に対して直交する面の少なくともいずれか一方の面に支持体が設けられている。
湾曲させた積層体(湾曲積層体)は、治具に固定した状態で加熱処理を施してもよい。これにより、湾曲による応力が緩和され、湾曲した形状にて安定化する。
図3(b)には、積層体を加圧する工程において加圧方向を斜めにすることで、格子を傾斜化する例を示す。図3(b)には図示されていないが、本発明において、X線入射方向に対して直交する面の少なくともいずれか一方の面に支持体が設けられている。なお、同様の形状は、図3(a)の湾曲積層体をX線入射方向に対して垂直方向にスライスすることでも実現できる。
図3(b)には、積層体を加圧する工程において加圧方向を斜めにすることで、格子を傾斜化する例を示す。図3(b)には図示されていないが、本発明において、X線入射方向に対して直交する面の少なくともいずれか一方の面に支持体が設けられている。なお、同様の形状は、図3(a)の湾曲積層体をX線入射方向に対して垂直方向にスライスすることでも実現できる。
実施例
以下、本発明を実施例により説明するが本発明はかかる実施例に何ら制限されるものではない。
以下、本発明を実施例により説明するが本発明はかかる実施例に何ら制限されるものではない。
[実施例1]
平均粒径1μmのタングステン粒子とエチレン-酢酸ビニル系ホットメルト樹脂(三井・デュポン ポリケミカル製エバフレックスEV150、融点=61℃)を固形分比率(体積分率)が(75/25)となるように混合し、X線吸収層形成用の組成物を得た。
平均粒径1μmのタングステン粒子とエチレン-酢酸ビニル系ホットメルト樹脂(三井・デュポン ポリケミカル製エバフレックスEV150、融点=61℃)を固形分比率(体積分率)が(75/25)となるように混合し、X線吸収層形成用の組成物を得た。
この組成物を200℃で溶融し、理論膜厚が6μm(重量より算出)のPETフィルム(X線透過層)上に、理論膜厚が12μm(重量より算出)になるようにダイコーターを用いてコートすることで、X線吸収層とX線透過層からなる部分積層体を作製した。その後、上記部分積層体を20mm×5mmに断裁したものを1,000枚積層した。本積層体の実測膜厚は23mmであった。本積層体の理論膜厚は18mmなので、この時点での空隙率は28%である。
続いて、上記積層体の膜厚が20mmになるよう、金属製の治具を用いて積層面に対して平行に加圧し、さらにこの状態で、100℃、1時間加熱することで1,000層の部分積層体よりなる積層ブロック(20mm×20mm×5mm)を作製した。本積層体の理論膜厚は18mmなので空隙率は11%である。
得られた積層ブロックの側面(20mm×20mmの面)に常温硬化型のエポキシ接着剤を塗布し、CFRP板(25mm×25mm×0.5mm)を貼り合せた。その後、5mm厚の積層ブロックを1000μmの厚さになるよう切削してタルボ用格子を作製した。この後、タルボ撮影のため、図3(a)に示すような湾曲治具を用いて格子を曲率R=100mmの湾曲構造になるように調整した。なお、タルボ撮影用の湾曲冶具は、X線の遮蔽による画質低下を避けるため、冶具の上下部材の中央部の10mm×10mmの領域を開口とした。
[実施例2]
平均粒径1μmのタングステン粒子とポリエステル樹脂(東洋紡製バイロン670、Tg=7℃)を固形分比率(体積分率)が75/25となるようにメチルエチルケトン(MEK)溶剤中で混合し、X線吸収層形成用の組成物を得た。この組成物を実施例1で使用された理論膜厚が6μmのPETフィルム(X線透過層)上に、理論膜厚が12μm(重量より算出)になるようにダイコーターを用いてコートすることで、X線吸収層とX線透過層からなる部分積層体を作製した。その後、上記部分積層体を20mm×5mmに断裁したものを1,000枚積層した。本積層体の実測膜厚は25mmであった。本積層体の理論膜厚は18なので、この時点での空隙率は39%である。
平均粒径1μmのタングステン粒子とポリエステル樹脂(東洋紡製バイロン670、Tg=7℃)を固形分比率(体積分率)が75/25となるようにメチルエチルケトン(MEK)溶剤中で混合し、X線吸収層形成用の組成物を得た。この組成物を実施例1で使用された理論膜厚が6μmのPETフィルム(X線透過層)上に、理論膜厚が12μm(重量より算出)になるようにダイコーターを用いてコートすることで、X線吸収層とX線透過層からなる部分積層体を作製した。その後、上記部分積層体を20mm×5mmに断裁したものを1,000枚積層した。本積層体の実測膜厚は25mmであった。本積層体の理論膜厚は18なので、この時点での空隙率は39%である。
上記積層体を実施例1と同様にして加工し、積層体の膜厚が20mmになるよう、金属製の治具を用いて積層面に対して平行に加圧し、さらにこの状態で、100℃、1時間加熱することで1,000層の部分積層体よりなる積層ブロック(20mm×20mm×5mm)を作製した。本積層体の理論膜厚は18mmなので空隙率は11%である。この後は、実施例1と同様にしてタルボ用格子を作製し、曲率R=100mmの湾曲構造とした。
[実施例3]
実施例2において、積層ブロックを1000μmの厚さに切削したのち、積層ブロックの反対側の面(20mm×20mmの面)にも同様にして常温硬化型のエポキシ接着剤を塗布し、CFRP板(25mm×25mm×0.5mm)を貼り合せた。その後、接着剤が硬化しないうちに、図3(a)に示すような湾曲治具を用いて格子を曲率R=100mmの湾曲構造になるように調整した。
実施例2において、積層ブロックを1000μmの厚さに切削したのち、積層ブロックの反対側の面(20mm×20mmの面)にも同様にして常温硬化型のエポキシ接着剤を塗布し、CFRP板(25mm×25mm×0.5mm)を貼り合せた。その後、接着剤が硬化しないうちに、図3(a)に示すような湾曲治具を用いて格子を曲率R=100mmの湾曲構造になるように調整した。
[比較例1]
実施例2において、支持体を設けなかった以外は実施例2と同様にしてタルボ用格子を作製した。
以上の実施例および比較例で得られたタルボ用格子を用いて以下のように評価した。
実施例2において、支持体を設けなかった以外は実施例2と同様にしてタルボ用格子を作製した。
以上の実施例および比較例で得られたタルボ用格子を用いて以下のように評価した。
<積層構造の評価>
作製した格子の表面(20mm×20mmの面)を顕微鏡で観察し、積層構造の仕上がりについて評価を行った。その結果、実施例1~3はいずれも層間剥離等の異常無く、X線吸収層/X線透過層の積層ピッチも、6μm/12μmと正確に配列していることが判った(実施例3については両面に支持体を貼り合わせた状態では構造を観察することができないので、支持体を片面に積層した段階、すなわち実施例2と同じ状態にて観察した)。
作製した格子の表面(20mm×20mmの面)を顕微鏡で観察し、積層構造の仕上がりについて評価を行った。その結果、実施例1~3はいずれも層間剥離等の異常無く、X線吸収層/X線透過層の積層ピッチも、6μm/12μmと正確に配列していることが判った(実施例3については両面に支持体を貼り合わせた状態では構造を観察することができないので、支持体を片面に積層した段階、すなわち実施例2と同じ状態にて観察した)。
一方、比較例1はいたるところに層間剥離が見られ、その影響によりX線吸収層/X線透過層の積層ピッチも不均一であることが判った。脆弱な格子を保持する支持体が無かったため、取り扱い中に、層間剥離が発生したと考えられる。
<輝度評価>
作製した格子(曲率R=100mmになるように湾曲した状態)をX線管球から100mmの位置にセットし、管電圧60KvpのX線を照射した。格子を通過したX線をCMOSフラットパネル(ラドアイコン社製X線CMOSカメラシステムShad-o-Box6KHS)が検出し、得られたカウント値から、下記式に基づいてカウント値の面内分布を算出した。
カウント値の面内分布=(面内のカウントの最大値-面内のカウントの最小値)÷面内のカウントの平均値×100(%)
作製した格子(曲率R=100mmになるように湾曲した状態)をX線管球から100mmの位置にセットし、管電圧60KvpのX線を照射した。格子を通過したX線をCMOSフラットパネル(ラドアイコン社製X線CMOSカメラシステムShad-o-Box6KHS)が検出し、得られたカウント値から、下記式に基づいてカウント値の面内分布を算出した。
カウント値の面内分布=(面内のカウントの最大値-面内のカウントの最小値)÷面内のカウントの平均値×100(%)
カウント値は、格子のX線透過率に対応しているので、ケラレの無い理想的な格子構造、すなわちX線透過率が面内均一な格子では、カウント値の面内分布は限りなく小さい値となる。一方、格子構造にひずみが発生した場合は、ケラレにより部分的にX線透過率が低下するため、カウント値の面内分布は大きな値となる。カウント値の面内分布を温度環境23℃と40℃の条件で比較し、格子の熱的安定性を評価した。
実施例1~3の結果が示すように、タルボ用格子に支持体を設けることにより、いずれの温度環境においてもカウント値の面内分布が小さく、理想に近い格子構造が保たれていることが判る。特に、支持体を両面に設けることで、高温環境下での安定性がより高まっていることが判る。一方、支持体無しの場合は、カウント値の分布が大きく、層間剥離による構造の乱れを反映した結果と考えられる。温度上昇により、カウント値の面内分布はさらに悪化するが、これは、支持体を設けなかったことで格子が熱膨張し積層ピッチが広がったことで、タルボ干渉機能が著しく低下したためと考えられる。
Claims (9)
- X線吸収層とX線透過層とが、X線の入射方向に対して略平行方向に繰り返し積層された構造を有するタルボ用格子であり、
X線吸収層とX線透過層の少なくとも一方の層が接着性樹脂を含有し、かつ、X線入射方向に対して直交する面の少なくとも一方の面が支持体により保持されてなる、タルボ用格子。 - 前記X線透過層が、少なくとも接着性樹脂を含有する、請求項1記載のタルボ用格子。
- 前記X線吸収層が、少なくとも金属を含有する、請求項1記載のタルボ用格子。
- 前記X線吸収層が、少なくともX線吸収粒子と接着性樹脂とを含有する、請求項3記載のタルボ用格子。
- 前記X線吸収粒子が、金、タングステン、スズの少なくともいずれかを主成分として含有する、請求項4記載のタルボ用格子。
- 前記X線透過層が、高分子材料を主成分として構成されている、請求項1または2記載のタルボ用格子。
- 前記タルボ用格子において、
i)放射線入射側を第1面、ii)第1面と対向する側を第2面としたとき、
第2面における前記X線吸収層とX線透過層のピッチが、第1面における前記X線吸収層とX線透過層のピッチよりもが大きい、請求項1~6記載のタルボ用格子。 - 前記第1面と第2面がいずれも平面である、請求項7記載のタルボ用格子。
- 前記第1面と第2面がいずれも曲面である、請求項7記載のタルボ用格子。
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