WO2020090211A1 - カチオン性人工オリゴ糖による二重鎖rnaの安定化 - Google Patents

カチオン性人工オリゴ糖による二重鎖rnaの安定化 Download PDF

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Abstract

(1)二重鎖RNAの骨格に修飾を導入するステップと、(2)ステップ(1)により得られた二重鎖RNAと、2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノーステトラマーなどのカチオン性オリゴ糖とを接触させるステップとを含む、二重鎖RNAの安定性を調節する方法を提供する。また、骨格に修飾が導入された二重鎖RNAと、2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノーステトラマーなどのカチオン性オリゴ糖との複合体を含んでなる核酸組成物であって、未修飾の二重鎖RNAと同等の薬学的活性を有し、かつ、未修飾の二重鎖RNAと比較して5倍以上長い血清半減期を有する、核酸組成物を提供する。

Description

カチオン性人工オリゴ糖による二重鎖RNAの安定化
 本発明は、カチオン性人工オリゴ糖による二重鎖RNAの安定化に関する。
 近年、siRNAまたはmiRNAなどの二重鎖RNAを用いた核酸医薬の開発が盛んになりつつある。核酸医薬は、生体内のあらゆる遺伝子を標的とすることができるため、従来の薬剤では治療が困難であった種々の疾患に対して効果を発揮する新世代の治療薬として強く期待されている。一方、核酸は生体内のヌクレアーゼにより容易に分解されてしまうことが、核酸医薬の開発において大きな障壁となっている。
 現在開発が進められている核酸医薬では、ヌクレアーゼによる分解を防ぐために、様々な化学修飾が導入された核酸アナログが用いられている。化学修飾の代表的なものとして、リボース環の2’位の水酸基を2’-O-メチル基に置換した修飾(2’-O-メチル化)や、核酸と核酸をつなぐリン酸部の非架橋酸素原子の一つを硫黄原子に置換したホスホロチオエート修飾(チオリン酸化)などがある。これらの化学修飾はいずれもヌクレアーゼ抵抗性の付与を目的としたものであるが、その効果は限定的である。さらに、例えばsiRNAやmiRNAに過剰な化学修飾を導入すると、目的の遺伝子発現抑制作用が減弱してしまうという問題がある。そのため、二重鎖RNAを用いた核酸医薬の本来の機能活性を保持したまま、ヌクレアーゼ抵抗性を付与できる手法の確立が望まれている。
 二重鎖RNAを用いた核酸医薬のヌクレアーゼ抵抗性を向上させる別の方策として、カチオン性化合物をキャリア分子として用いることによる二重鎖構造の安定化が試みられている。血清中に存在するRNaseは、二重鎖が解離して生じる一重鎖RNAを特異的に切断することから、二重鎖構造の安定化により、二重鎖RNAを用いた核酸医薬のRNase抵抗性を改善できることが期待される。本発明者らは、二重鎖RNAに対して高い親和性を有するオリゴアミノ糖の合成に成功しており(特許文献1)、それらが二重鎖RNAのRNase抵抗性をある程度向上させることを確認している(非特許文献1)。しかし、核酸医薬が薬学的活性を示す際には二重鎖が解離することが必要であるため、二重鎖構造が過度に安定化されてしまうと、核酸医薬の薬学的活性が低下することが問題となる。
国際公開第2010/104192号
Hara,R.I.et al.,Org.Biomol.Chem.,(2017),Vol.15,pp.1710-1717
 本発明は、従来技術の諸問題を解消し、核酸医薬の機能活性を損なうことなく、安定性を高める方法を提供することを目的としてなされたものである。
 本発明者らは、鋭意研究の結果、骨格修飾を有する二重鎖RNAと、カチオン性オリゴ糖とを組み合わせることにより、二重鎖RNAの薬学的活性を維持したまま、血清半減期を飛躍的に改善できることを見出した。
 すなわち、本発明は、一実施形態によれば、二重鎖RNAの安定性を調節する方法であって、(1)二重鎖RNAの骨格に修飾を導入するステップと、(2)ステップ(1)により得られた二重鎖RNAと、一般式(I):
  R-O-(X)-R
[式中、
 RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または1価の置換基であり、
 nは、3~6の整数であり、
 n個のXは同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、以下の(a)~(i):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000005
で表される2価の基(ここで、Rは、NH または式(II):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000006
 (ここで、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子もしくはメチル基である)で表される基である)から選択される]で表されるカチオン性オリゴ糖とを接触させるステップとを含む方法を提供するものである。
 また、本発明は、一実施形態によれば、(1)骨格に修飾が導入された二重鎖RNAと、(2)上記一般式(I)で表されるカチオン性オリゴ糖との複合体を含んでなる核酸組成物であって、未修飾の二重鎖RNAと同等の薬学的活性を有し、かつ、未修飾の二重鎖RNAと比較して5倍以上長い血清半減期を有する、核酸組成物を提供するものである。
 前記一般式(I)において、Rが水素原子であり、Rが水素原子または置換もしくは非置換のアルキル基であり、nが3または4であることが好ましい。
 前記一般式(I)で表されるカチオン性オリゴ糖は、2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノーステトラマーであることが好ましい。
 前記二重鎖RNAの骨格全体の少なくとも10%が修飾されていてよい。
 前記修飾は2’-O-メチル化およびホスホロチオエート化から選択されてよく、ホスホロチオエート化であることが好ましい。
 前記修飾は、前記二重鎖RNAを構成する少なくとも一方のRNA鎖の3’末端領域の骨格に導入されることが好ましい。
 前記二重鎖RNAは12~50塩基対長であることが好ましい。
 本発明に係る方法は、骨格修飾の種類および数と、カチオン性オリゴ糖の種類を適切に組み合わせることにより、二重鎖RNAの薬学的活性を維持しつつ、二重鎖RNAに対して所望の安定性を付与することができる。そのため、二重鎖RNAを用いた核酸医薬の血清半減期を自在に制御でき、不必要かつ不本意な作用を低減または回避することが可能となる。
 また、本発明に係る核酸組成物は、薬学的活性を維持したまま、飛躍的に改善された血清半減期を有するため、少ない用量でも十分な効果を得ることができる。
図1は、カチオン性オリゴ糖である2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノーステトラマー(ODAGal4)の、二重鎖RNAの主溝に対する相互作用様式を示す模式図である。 図2は、血清溶液で処理されたODAGal4と複合体化された/されていない未修飾siRNA(HP2)を電気泳動により検出した図である。 図3は、図2の結果を定量化したグラフである。 図4は、図3の結果から算出されたsiRNAの血清半減期を示すグラフである。 図5は、血清溶液で処理されたODAGal4と複合体化された/されていない未修飾siRNA(B2M2)を電気泳動により検出した図である。 図6は、図5の結果を定量化したグラフである。 図7は、図6の結果から算出されたsiRNAの血清半減期を示すグラフである。 図8は、骨格修飾(2’-O-メチル化またはホスホロチオエート化)および/またはODAGal4との複合体化を有する/有しないsiRNA(HP2、HP2-M1~HP2-M3およびHP2-S1~HP2-S3)の血清半減期を示すグラフである。 図9は、図8の結果から算出された血清半減期の相対比を示すグラフである。 図10は、骨格修飾(2’-O-メチル化またはホスホロチオエート化)および/またはODAGal4との複合体化を有する/有しないsiRNA(B2M2、B2M2-M1~B2M2-M3およびB2M2-S1~B2M2-S3)の血清半減期を示すグラフである。 図11は、図10の結果から算出された血清半減期の相対比を示すグラフである。 図12は、骨格修飾(2’-O-メチル化またはホスホロチオエート化)および/またはODAGal4との複合体化を有する/有しないsiRNA(HP2、HP2-M1~HP2-M3およびHP2-S1~HP2-S3)のノックダウン効率(ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ1(HPRT1)遺伝子発現レベルの相対比)を示すグラフである。 図13は、骨格修飾(2’-O-メチル化またはホスホロチオエート化)および/またはODAGal4との複合体化を有する/有しないsiRNA(B2M2、B2M2-M1~B2M2-M3およびB2M2-S1~B2M2-S3)のノックダウン効率(β-2-マイクログロブリン遺伝子発現レベルの相対比)を示すグラフである。 図14(A)は、骨格修飾(ホスホロチオエート化)および/またはODAGal4との複合体化を有する/有しないsiRNA(HP2、HP2-S4~HP2-S7)の血清半減期を示すグラフである。図14(B)は、(A)の結果から算出された血清半減期の相対比を示すグラフである。 図15(A)は、骨格修飾(ホスホロチオエート化)および/またはODAGal4との複合体化を有する/有しないsiRNA(HP2、HP2-S8~HP2-S11)の血清半減期を示すグラフである。図15(B)は、(A)の結果から算出された血清半減期の相対比を示すグラフである。 図16(A)は、骨格修飾(ホスホロチオエート化)および/またはODAGal4との複合体化を有する/有しないsiRNA(B2M2、B2M2-S4~B2M2-S7)の血清半減期を示すグラフである。図16(B)は、(A)の結果から算出された血清半減期の相対比を示すグラフである。 図17(A)は、骨格修飾(ホスホロチオエート化)および/またはODAGal4との複合体化を有する/有しないsiRNA(B2M2、B2M2-S8~B2M2-S11)の血清半減期を示すグラフである。図17(B)は、(A)の結果から算出された血清半減期の相対比を示すグラフである。 図18(A)は、骨格修飾(ホスホロチオエート化)および/またはODAGal4との複合体化を有する/有しないsiRNA(HP2、HP2-S7、HP2-S12およびHP2-S13)の血清半減期を示すグラフである。図18(B)は、(A)の結果から算出された血清半減期の相対比を示すグラフである。 図19(A)は、骨格修飾(ホスホロチオエート化)および/またはODAGal4との複合体化を有する/有しないsiRNAであって、3’突出DNA末端を有するsiRNA(HP2、HP2-TおよびHP2-TS)の血清半減期を示すグラフである。図19(B)は、(A)の結果から算出された血清半減期の相対比を示すグラフである。 図20(A)は、骨格修飾(ホスホロチオエート化)および/またはODAGal4との複合体化を有する/有しないsiRNA(HP2、HP2-S14~HP2-S16)の血清半減期を示すグラフである。図20(B)は、(A)の結果から算出された血清半減期の相対比を示すグラフである。 図21(A)は、骨格修飾(2’-O-メチル化および/またはホスホロチオエート化)および/またはODAGal4との複合体化を有する/有しないsiRNA(HP2、HP2-M1、HP2-S1、HP2-MS1、HP2-M4、HP2-S2およびHP2-MS2)の血清半減期を示すグラフである。図21(B)は、(A)の結果から算出された血清半減期の相対比を示すグラフである。 図22(A)は、骨格修飾(2’-F化および/またはホスホロチオエート化、LNA化および/またはホスホロチオエート化)および/またはODAGal4との複合体化を有する/有しないsiRNA(HP2、HP2-F、HP2-FS、HP2-LおよびHP2-LS)の血清半減期を示すグラフである。図22(B)は、(A)の結果から算出された血清半減期の相対比を示すグラフである。 図23(A)は、骨格修飾(ホスホロチオエート化)および/またはODAGal4との複合体化を有する/有しない平滑末端である短い二重鎖RNA(12塩基対)(12Mおよび12M-S)の血清半減期を示すグラフである。図23(B)は、(A)の結果から算出された血清半減期の相対比を示すグラフである。 図24(A)は、骨格修飾(ホスホロチオエート化)および/または各種カチオン性オリゴ糖との複合体化を有する/有しないsiRNA(HP2およびHP2-S3)の血清半減期を示すグラフである。図24(B)は、(A)の結果から算出された血清半減期の相対比を示すグラフである。
 以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではない。
 本発明は、第一の実施形態によれば、二重鎖RNAの安定性を調節する方法であって、(1)二重鎖RNAの骨格に修飾を導入するステップと、(2)ステップ(1)により得られた二重鎖RNAと、一般式(I):
  R-O-(X)-R
[式中、
 RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または1価の置換基であり、
 nは、3~6の整数であり、
 n個のXは同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、以下の(a)~(i):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000007
で表される2価の基(ここで、Rは、NH または式(II):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000008
 (ここで、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子もしくはメチル基である)で表される基である)から選択される]で表されるカチオン性オリゴ糖とを接触させるステップとを含む方法である。
 本実施形態において、二重鎖RNAの「安定性」とは、RNAの二重鎖構造の熱安定性および/または血中RNaseなどのヌクレアーゼに対する抵抗性を意味する。
 本実施形態の方法では、二重鎖RNAの骨格に修飾を導入する。本実施形態における「二重鎖RNA」とは、任意の配列からなる一重鎖のRNAと、前記配列に相補性を有する一重鎖のRNAとが互いにハイブリダイズしたものをいう。なお、本実施形態における二重鎖RNAは、二重鎖RNAから実質的に構成されるものを含み得る。ここで、二重鎖RNAから「実質的に構成される」とは、二重鎖RNAの全体構造には影響しない程度に、例えば二重鎖RNAの末端などに、1~3塩基対程度の二重鎖DNAまたは二重鎖DNA/RNAが含まれることを意味する。
 本実施形態における二重鎖RNAの長さは、特に限定されないが、例えば10~200塩基対長であってよく、好ましくは12~50塩基対長であってよい。本実施形態における好ましい二重鎖RNAとしては、例えば、siRNA、miRNA、およびそれらの前駆体などが挙げられる。
 本実施形態における二重鎖RNAは、その全体にわたって完全な二重鎖を形成するものでなくともよく、実質的に二重鎖が形成されることを限度として、1つまたは複数(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上)のミスマッチまたはバルジが含まれてよい。言い換えれば、本実施形態における二重鎖RNAは、完璧または完全な(すなわち100%の)相補性を有している必要はなく、少なくとも80%以上、90%以上、95%以上、または100%の相補性を有していればよい。また、二重鎖を構成するRNA鎖のそれぞれは、同じ長さであってもよいし、異なる長さであってもよい。したがって、二重鎖RNAの末端は、平滑末端であってもよいし、粘着末端(5’突出または3’突出末端)であってもよい。あるいは、二重鎖RNAの末端の一方が相互に連結されてもよく、この場合、二重鎖RNAはヘアピン構造を形成することができる。
 本実施形態において、二重鎖RNAの「骨格」とは、ヌクレオシド間の結合部分(天然の核酸においては、3’から5’へのホスホジエステル結合)および/または糖部分を意味する。したがって、本実施形態の方法では、二重鎖を構成するRNA鎖のヌクレオシド間の結合部分および/または糖部分に修飾を導入する。ヌクレオシド間の結合部分における修飾としては、例えば、ホスホロチオエート化、ボラノホスフェート化、ホスホロジチオエート化、ボラノホスホロチオエート化などが挙げられる。糖部分における修飾としては、2’位の修飾(例えば、2’-O-メチル化、2’-O-メトキシメチル化、2’-F化など)、2’位と4’位の架橋(例えば、2’,4’-BNA(別名LNA(Locked Nucleic Acid))、amino-LNA、thio-LNA、α-L-oxy-LNA、ENA(2’-O,4’-C-Ethylene-bridged Nucleic Acid)、AmNA(Amido-bridged Nucleic Acid)、GuNA(Guanidine-bridged Nucleic Acid)、scpBNA(2’-O,4’-C-spirocyclopropylene-bridged Nucleic Acid)、cEt-BNA(constrained ethy-bridged Nucleic Acid)、3’-amino-2’,4’-BNA、5’-amino-2’,4’-BNA、PrNA(2’-O,4’-C-Propylene-bridged Nucleic Acid)、2’,4’-BNANC(2’-O,4’-C-aminomethylene-bridged Nucleic Acid)、2’,4’-BNACOC(2’-O,4’-C-methyleneoxymethylene-bridged Nucleic Acid)など)、糖部分のモルフォリノ環による置換などが挙げられる。本実施形態の方法では、これらの1種のみまたは2種以上の修飾を組み合わせて用いることができる。本実施形態の方法における好ましい修飾は、二重鎖RNAの用途や機能により異なるが、例えば、siRNAやmiRNAなどの二重鎖RNAには、2’-O-メチル化および/またはホスホロチオエート化が導入されることが好ましく、ホスホロチオエート化が導入されることが特に好ましい。
 本実施形態の方法では、二重鎖を構成するRNA鎖のいずれか一方または両方の骨格に少なくとも1つの修飾を導入することができる。RNA鎖の骨格に含まれる修飾の数は、二重鎖RNAの所望の安定性に応じて適宜決定すればよい。本実施形態における二重鎖RNAは、その長さに応じて、例えば、5、10、15、20、25、30個またはそれ以上の骨格修飾を含み得る。言い換えれば、本実施形態における二重鎖RNAは、例えば、二重鎖RNAの骨格全体(すなわち、二重鎖RNA全体に含まれるヌクレオシド間の結合部分および/または糖部分)の約10%以上、15%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、または100%が修飾されたものであってよい。また、修飾を導入する部位は特に限定されず、例えば、全長にわたって分散して修飾を導入してもよいし、末端部分にのみ連続して修飾を導入してもよく、好ましくは、二重鎖を構成する少なくとも一方のRNA鎖の3’末端領域に修飾を導入することができる。
 RNAの骨格への修飾の導入は、すでに確立された従来公知の方法により行うことができる。また、核酸合成の受託業者に委託して、骨格修飾を有するRNAを合成してもよい。
 次いで、骨格に修飾を導入された二重鎖RNAと、一般式(I)で表されるカチオン性オリゴ糖とを接触させる。
 一般式(I)において、RおよびRはそれぞれ独立して、水素原子または1価の置換基である。1価の置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、置換もしくは非置換のアルキル基が挙げられる。アルキル基は、例えばC1-20アルキル基であってよく、好ましくはC1-12アルキル基であってよく、さらに好ましくはC1-6アルキル基であってよい。また、アルキル基には、直鎖状、分枝鎖状および環状のいずれの形態のものも含まれてよい。アルキル基は、1つまたは複数の水素原子が置換基によって置換されていてもよい。この場合における置換基には、例えば、水酸基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、スルホ基などが挙げられる。置換基の数および置換位置は特に限定されないが、置換基の数としては、0~3個が好ましい。一般式(I)において、好ましくは、Rは水素原子であり、Rは水素原子または置換もしくは非置換のC1-6アルキル基である。
 一般式(I)において、n個のXは同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、上記の(a)~(i)で表される2価の基から選択される。ここで、(a)~(i)において、Rは、NH または上記の式(II)で表されるグアニジノ基であり、一般式(II)において、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基である。一般式(I)において、n個のXのすべてが同一の2価の基であってもよい。例えば、(a)~(i)において、RがNH であって、(a)で表される2価の基がn個結合した場合には、2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-α-(1→4)-D-グルコピラノースオリゴマーとなり、(b)で表される2価の基がn個結合した場合には、3,6-ジアミノ-3,6?ジデオキシ-α-(1→4)-D-グルコピラノースオリゴマーとなり、(d)で表される2価の基がn個結合した場合には、2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-α-(1→4)-D-マンノピラノースオリゴマーとなり、(e)で表される2価の基がn個結合した場合には、3,6-ジアミノ-3,6-ジデオキシ-α-(1→4)-D-マンノピラノースオリゴマーとなる。また、(g)で表される2価の基がn個結合した場合には、2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノースオリゴマーとなり、(h)で表される2価の基がn個結合した場合には、3,6-ジアミノ-3,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノースオリゴマーとなる。一般式(I)において、n個のXがすべて(a)、n個のXがすべて(d)、またはn個のXがすべて(g)であることが好ましく、n個のXがすべて(g)であることが特に好ましい。nは、3~6の整数であり、好ましくは3または4である。
 すなわち、本実施形態の方法において用いることができるカチオン性オリゴ糖は、2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-α-(1→4)-D-グルコピラノーストリマーもしくはテトラマー、3,6-ジアミノ-3,6-ジデオキシ-α-(1→4)-D-グルコピラノーストリマーもしくはテトラマー、2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-α-(1→4)-D-マンノピラノーストリマーもしくはテトラマー、3,6-ジアミノ-3,6-ジデオキシ-α-(1→4)-D-マンノピラノートリマーもしくはテトラマー、2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノーストリマーもしくはテトラマー、3,6-ジアミノ-3,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノーストリマーもしくはテトラマー、2,6-ジグアニジノ-2,6-ジデオキシ-α-(1→4)-D-グルコピラノーストリマーもしくはテトラマー、3,6-ジグアニジノ-3,6-ジデオキシ-α-(1→4)-D-グルコピラノーストリマーもしくはテトラマー、2,6-ジグアニジノ-2,6-ジデオキシ-α-(1→4)-D-マンノピラノーストリマーもしくはテトラマー、3,6-ジグアニジノ-3,6-ジデオキシ-α-(1→4)-D-マンノピラノーストリマーもしくはテトラマー、2,6-ジグアニジノ-2,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノーストリマーもしくはテトラマー、または3,6-ジグアニジノ-3,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノーストリマーもしくはテトラマーであることが好ましく、本実施形態の方法では、これらの1種のみまたは2種以上のカチオン性オリゴ糖を組み合わせて用いることができる。本実施形態の方法において用いることができるカチオン性オリゴ糖は、2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノーステトラマーであることが特に好ましい。
 本実施形態の方法において用いることができるカチオン性オリゴ糖は、国際公開第2010/104192号パンフレットに開示される化学合成方法およびそれに準ずる化学合成方法に、適宜従来公知の種々の方法を組み合わせて行うことにより合成することができる。
 骨格に修飾を導入された二重鎖RNAと、一般式(I)で表されるカチオン性オリゴ糖とは、両者を水または低塩濃度の緩衝液(例えばリン酸緩衝生理食塩水やトリス塩酸緩衝液など)に添加して、一定時間インキュベートすることにより接触させることができる。二重鎖RNAの濃度は、例えば1nM~1mMの範囲で適宜選択することができる。カチオン性オリゴ糖の濃度は、二重鎖RNAの所望の安定性により異なるが、例えば1nM~10mMの範囲で適宜選択することができる。二重鎖RNAとカチオン性オリゴ糖との混合比(モル比)は、例えば21塩基対長の二重鎖RNAであれば、二重鎖RNA:カチオン性オリゴ糖=1:1~1:10とすることができる。インキュベーション時間は、例えば10秒~24時間であってよく、インキュベーション温度は、例えば0~40℃であってよい。
 あるいは、一般式(I)で表されるカチオン性オリゴ糖を含む水溶液または低塩濃度の緩衝溶液中において、骨格に修飾を導入された一重鎖RNAおよびそれに相補性を有する一重鎖RNAをアニーリングすることによって、骨格に修飾を導入された二重鎖RNAと一般式(I)で表されるカチオン性オリゴ糖とを接触させてもよい。アニーリング条件は、例えば、溶液を90~95℃で3~20分保持した後、-0.5~-1.5℃/分の速度で0~30℃まで冷却すればよい。RNAおよびカチオン性オリゴ糖の濃度ならびに混合比は、上記と同様であってよい。
 二重鎖RNAは、一般に、A型らせん構造と呼ばれる、狭く深い主溝と広く浅い副溝を有する立体構造をとっている。二重鎖RNAと、一般式(I)で表されるカチオン性オリゴ糖とが接触すると、カチオン性オリゴ糖はらせん構造の主溝に相互作用して二重鎖構造を安定化する。例として、カチオン性オリゴ糖である2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノーステトラマーの、二重鎖RNAの主溝に対する相互作用様式を図1に示す。ここで、RNaseは、らせん構造が崩れて生じる一重鎖RNA部分を切断することにより、二重鎖RNAを分解する。したがって、特定の理論に拘束されることを望むものではないが、カチオン性オリゴ糖により安定化された二重鎖RNAは、一重鎖RNA部分を生じにくい結果として、間接的に高いRNase耐性を獲得することができるものと考えられる。これに対し、2’-O-メチル化やホスホロチオエート化などの骨格修飾は、主に一重鎖RNAに直接的にRNase耐性を付与するものである。したがって、二重鎖構造を安定化するカチオン性オリゴ糖と、一重鎖RNAのRNase耐性を高める骨格修飾との併用により、二重鎖RNAの安定性を自在に調節することができるものと考えられる。そのため、本実施形態の方法によれば、所望の血清半減期を有するRNAベースの核酸医薬を得ることができ、高い薬理作用を得るとともに、不必要かつ不本意な作用を低減または回避することができる。
 また、本実施形態の方法によれば、二重鎖構造を安定化するカチオン性オリゴ糖の種類と、一重鎖RNAのRNase耐性を高める骨格修飾種類および数とを適切に組み合わせることにより、薬学的活性を損なうことなく、極めて長い血清半減期を有する核酸組成物を調製することが可能である。本実施形態の方法によれば、未修飾の二重鎖RNAと比較して5倍以上、好ましくは10倍以上、特に好ましくは20倍以上の長い血清半減期を達成することができる。
 すなわち、本発明は、第二の実施形態によれば、(1)骨格に修飾が導入された二重鎖RNAと、(2)一般式(I):
  R-O-(X)-R
[式中、
 RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または1価の置換基であり、
 nは、3~6の整数であり、
 n個のXは同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、以下の(a)~(i):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000009
で表される2価の基(ここで、Rは、NH または式(II):
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000010
 (ここで、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子もしくはメチル基である)で表される基である)から選択される]で表されるカチオン性オリゴ糖と
の複合体を含んでなる核酸組成物であって、未修飾の二重鎖RNAと同等の薬学的活性を有し、かつ、未修飾の二重鎖RNAと比較して5倍以上長い血清半減期を有する、核酸組成物である。
 本実施形態における「二重鎖RNA」、「骨格」、「修飾」および「カチオン性オリゴ糖」は、第一の実施形態において定義したものと同様である。
 本実施形態の核酸組成物は、骨格に修飾が導入された二重鎖RNAと、一般式(I)で表されるカチオン性オリゴ糖との複合体(以下、「修飾二重鎖核酸-カチオン性オリゴ糖複合体」と記載する)を含んでなる。本実施形態における修飾二重鎖核酸-カチオン性オリゴ糖複合体は、第一の実施形態の方法と同様の手順にしたがって調製することができる。
 本実施形態の核酸組成物は、修飾二重鎖核酸-カチオン性オリゴ糖複合体のみから構成されてもよいが、一般的には、さらに任意の成分として、薬学的に許容される公知の希釈液、担体、賦形剤などを含んでよい。本実施形態の核酸組成物において、修飾二重鎖核酸-カチオン性オリゴ糖複合体の含有量は、特に限定されないが、通常は、核酸組成物100重量部あたり、0.001~100重量部程度とすればよい。
 本実施形態の核酸組成物は、種々の剤型に製剤化することができ、剤型としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤などが挙げられる。したがって、本実施形態の核酸組成物は、経口投与、腹腔内投与、皮内投与、静脈内投与、筋肉内投与、脳内投与など、種々の方法により投与することができる。本実施形態の核酸組成物は、固形剤または液剤とすることができ、好ましくは、注射剤や直腸投与剤などの液剤とすることができる。固形剤とする場合には、常法により、適切な添加物、例えば、デンプン、乳糖、白糖、マンニトール、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩などの添加剤や、さらに所望により結合剤、崩壊剤、潤沢剤などを配合することができる。固形剤を錠剤または丸剤とする場合は、所望によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロースなどの糖衣または胃溶性もしくは腸溶性物質のフィルムで被覆してもよい。液剤とする場合には、常法により、修飾二重鎖核酸-カチオン性オリゴ糖複合体を注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの希釈剤に溶解し、必要に応じ、殺菌剤、安定剤、等張化剤、無痛化剤などを加えることにより調製すればよい。
 本実施形態の核酸組成物の投与量は、有効成分である二重鎖RNAまたはの量に換算し、所望の薬学的活性を得ることができる範囲において適宜設定すればよい。
 本実施形態の核酸組成物は、未修飾の二重鎖RNAと同等の薬学的活性を有し、かつ、未修飾の二重鎖RNAと比較して5倍以上、好ましくは10倍以上、特に好ましくは20倍以上の長い血清半減期を有する。本実施形態の核酸組成物が、とりわけ長い血清半減期を有するためには、カチオン性オリゴ糖として2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノーステトラマーを用い、かつ、二重鎖RNAの骨格全体の約10%以上、15%以上、20%以上、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、または100%がホスホロチオエート化されることが好ましい。骨格の一部を修飾する場合には、二重鎖を構成するRNA鎖の少なくとも一方の3’末端領域にホスホロチオエート化を導入することが好ましい。
 本実施形態の核酸組成物は、本来の薬学的活性および改善された血清半減期の両方を有する。そのため、少ない用量で所望の効果(例えば、siRNAであれば標的遺伝子の発現抑制効果)を得ることができるため、有用である。
 以下に実施例を挙げ、本発明についてさらに説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
<1.材料および方法>
(1)siRNAの合成
 2’-O-メチル化またはホスホロチオエート化を含む/含まないヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ1(HPRT1)を標的とするsiRNA(以下、「HP2」と記載する)およびβ-2-マイクログロブリンを標的とするsiRNA(以下、「B2M2」と記載する)を調製した。siRNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖は、グライナー・ジャパン社またはジーンデザイン社に依頼して合成した。siRNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖を緩衝液(100mMの酢酸カリウム、2mMの酢酸マグネシウム、30mMのHEPES-KOH、pH7.4)中で混合し、サーマルサイクラー(C1000、BIO-RAD社)により、95℃で3分間加温した後、95℃から25℃まで-1.5℃/分の速度で冷却することによりアニーリングし、二重鎖siRNAを得た。
 siRNAの配列を表1に示す。大文字は未修飾RNAを、小文字の太字は2’-O-メチル化修飾を、小文字の斜体はホスホロチオエート化修飾を示す(具体的には、ホスホロチオエート化修飾は、小文字斜体で表記されたヌクレオシド間の結合部分に導入されている。以下の表3および表4についても同様である)。
 表1.siRNAの配列
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000011
 また、HPRT1遺伝子およびβ-2-マイクログロブリン遺伝子のいずれに対しても作用しない配列からなるsiRNA(センス鎖:5’-GUACCGCACGUCAUUCGUAUC-3’(配列番号29)/アンチセンス鎖:5’-UACGAAUGACGUGCGGUACGU-3’(配列番号30))を、上記と同様の手順により調製した(陰性対照)。
 カチオン性オリゴ糖である2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノーステトラマー(以下「ODAGal4」と記載する)を、Haraらの方法(Org.Biomol.Chem.,(2017),Vol.15,pp.1710-1717)により合成した。
(2)siRNAの血清半減期の解析
 siRNA(5pmol)およびODAGal4(20pmol)を緩衝液(100mMの酢酸カリウム、2mMの酢酸マグネシウム、30mMのHEPES-KOH、pH7.4)中で混合することにより、siRNA-ODAGal4複合体を形成させた。その後、終濃度10%のマウス血清(シグマ・アルドリッチ社)を加え、37℃でインキュベートした。血清の添加から0、4、6、8、12、24、36、48、72または96時間後に、反応液に電気泳動用緩衝液(EXELDYE 6×DNA Loading Dye、SMOBIO社)を添加し、反応を停止し、15%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SuperSep DNA、富士フイルム和光純薬社)に供した。泳動後のゲルをSYBR Green II(タカラバイオ社)で蛍光染色し、LAS-4000(富士フイルム社)で画像を取得した。siRNAの蛍光強度をImageJソフトウェア(National Institute of Health,USA)により解析し、siRNAを定量した。得られた測定値をDeltaGraphソフトウェア(Red Rock software社)またはExcelソフトウェア(マイクロソフト社)で解析し、指数近似曲線式を得た。この曲線の関数式から、反応液中のsiRNAの残存量が反応開始時の半分となるのに要する時間(分解半減期)を算出した。
(3)siRNAの融解温度(Tm値)の解析
 200mMの塩化ナトリウムを含む20mMリン酸緩衝溶液(pH7.0)(100μL)と滅菌水(70μL)を混合した水溶液に、100μMのsiRNAセンス鎖またはアンチセンス鎖水溶液を各5μLずつ加え、十分に混和した。サーマルサイクラーを用いて95℃で20分間加熱した後、-0.5℃/分の速度で20℃まで冷却した。100μMのODAGal4水溶液または滅菌水を20μL加え、全量で200μLの水溶液を調製した。これを、UV-1650PC(島津製作所社)を用いて、20℃から95℃まで0.5℃/分の速度で昇温し、0.2℃ごとに260nmと320nmの紫外吸光度を測定した。横軸に温度、縦軸に260nmの吸光度から320nmの吸光度を差し引いた測定値をプロットし、融解温度曲線を得た。この曲線を1次微分し、ピーク値を示す温度をTm値として算出した。
(4)遺伝子発現に対するsiRNAの抑制作用の解析
 肝がん細胞株Hep3Bを48ウェルプレート(グライナー・ジャパン社)に播き、10%仔牛胎児血清(FCS)を添加したDMEM培地中で24時間培養した。siRNA(2.5pmol)およびODAGal4(10pmol)を緩衝液(100mMの酢酸カリウム、2mMの酢酸マグネシウム、30mMのHEPES-KOH、pH7.4)中で混合した。その後、0.75μのLipofectamine RNAi max(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社)と混合し、得られた混合液をウェルに添加し、4時間培養することにより、siRNAを細胞に導入した。その後、新鮮培地に交換し、さらに2日間培養を継続した。次に、細胞から全RNAをTRIzol試薬(サーモフィッシャー・サイエンティフィック社)を用いて抽出し、PrimeScript RT Master Mix(タカラバイオ社)を用いて逆転写反応を行った。得られたcDNAを鋳型として、TB Green Premix Ex Taq II(タカラバイオ社)とLightCycler 480(ロシュ社)を使用して定量的PCRを行った。定量的PCRに用いたオリゴヌクレオチドは、ProbeFindeソフトウェア(ロシュ社)によって設計した。
<2.未修飾siRNA-ODAGal4複合体の血清半減期の解析>
 上記(1)で調製された未修飾siRNAであるHP2およびB2M2を用いて、上記(2)の手順により、未修飾siRNA-ODAGal4複合体の血清半減期を解析した。同時に、HP2-ODAGal4複合体およびB2M2-ODAGal4複合体に代えて、ODAGal4と複合体化していないHP2およびB2M2を用いた以外は、上記(2)と同様の手順により、ODAGal4と複合体化していない未修飾siRNAの血清半減期を解析した(陰性対照)。
 HP2についての結果を図2~4に、B2M2についての結果を図5~7に示す。HP2およびB2M2のいずれの未修飾siRNAも、ODAGal4と複合体化することにより、血清半減期が2倍程度延長された(図4および図7)。また、HP2およびB2M2の他にも、9種類の異なる遺伝子に対する未修飾siRNAについて同様の解析を行った結果、いずれも血清半減期が延長され、全11種類を平均して2.05倍に血清半減期が延長されることが確認された(データは省略)。この結果から、ODAGal4の安定化効果は、siRNAの配列に依存しない普遍性の高いものであることが示された。
<3.骨格を修飾されたsiRNA-ODAGal4複合体の血清半減期の解析>
 上記(1)で調製された2’-O-メチル化またはホスホロチオエート化を含む/含まない各種siRNAについて、上記(2)の手順により、siRNA-ODAGal4複合体の血清半減期を解析した。同時に、対照として、ODAGal4と複合体化していないsiRNAの血清半減期を解析した。
 結果を図8~11に示す。図8および10は血清半減期(時間)を、図9および11はODAGal4と複合体化していない未修飾siRNA(それぞれ、HP2またはB2M2)の血清半減期を1とした場合の相対値を示す。骨格に2’-O-メチル化を含むsiRNAは、ODAGal4と複合体化していない状態では、2’-O-メチル化の数を増やすにしたがって、1~5倍程度まで延長された血清半減期を示した。一方、骨格にホスホロチオエート化を含むsiRNAは、ODAGal4と複合体化していない状態では、血清半減期はほとんど変化しなかった。これに対し、骨格に2’-O-メチル化またはホスホロチオエート化を含むsiRNAとODAGal4との複合体は、いずれも血清半減期が顕著に延長された。特に、ホスホロチオエート化を含むsiRNAとODAGal4との複合体は、約10~20倍の血清半減期を有しており、ホスホロチオエート化とODAGal4による複合体化を組み合わせることにより、二重鎖RNAの血清半減期を相乗的かつ飛躍的に延長できることが示された。
<4.siRNA-ODAGal4複合体のTm値の解析>
 骨格修飾およびODAGal4によるsiRNAの二重鎖構造に対する安定化効果を評価するために、上記(3)の手順により、ODAGal4と複合体化した、またはしていない各種siRNAについて、Tm値を測定した。
 結果を表2に示す。未修飾siRNAであるHP2およびB2M2は、ODAGal4と複合体化することにより、それぞれTm値が1.1および3.7℃上昇した。また、2’-O-メチル化を増やすにしたがってTm値が上昇し、2’-O-メチル化とODAGal4による複合体化を組み合わせることにより、さらにTm値が上昇した。これに対し、ホスホロチオエート化されたsiRNAは、ODAGal4と複合体化されていないときにはTm値が低下するが、ODAGal4による複合体化と組み合わされることにより、Tm値が大きく上昇することが示された。特に、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方がホスホロチオエート化されたsiRNA(HP2-S3およびB2M2-S3)は、それぞれTm値が4.6および7.9℃上昇した。これらの結果は、上記の血清半減期の解析結果とも一致するものであり、ODAGal4が二重鎖RNAに対して優れた安定化効果を有するものであることが示された。
 表2.ODAGal4と複合体化した、またはしていないsiRNAのTm値
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000012
<5.siRNA-ODAGal4複合体の遺伝子発現に対する抑制効果の解析>
 骨格修飾およびODAGal4によるsiRNAの活性への影響を評価するために、上記(4)の手順により、ODAGal4と複合体化した、またはしていない上記(1)で調製された各種siRNAについて、遺伝子発現に対する抑制効果を解析した。
 結果を図12および13に示す。図中、「None」は、siRNAを含まない緩衝液(100mMの酢酸カリウム、2mMの酢酸マグネシウム、30mMのHEPES-KOH、pH7.4)を用いて同様の手順を行った結果を示し、「Negative control」は、HPRT1遺伝子およびβ-2-マイクログロブリン遺伝子のいずれに対しても作用しない配列からなるsiRNAを用いて同様の手順を行った結果を示す。ODAGal4と複合体化されていない未修飾siRNA(HP2およびB2M2)は、いずれも約20%程度にまで遺伝子発現レベルを抑制したが、2’-O-メチル化の導入により、ノックダウン効果が減弱する傾向が確認された。特に、2’-O-メチル化が多く導入されたsiRNA(HP2-M3およびB2M2-M3)は、弱いノックダウン効果しか示さなかった。一方、ホスホロチオエート化されたsiRNAはいずれも、未修飾siRNAと同程度に遺伝子発現レベルを抑制した。ここで、ODAGal4により複合体化したsiRNAはいずれも、ODAGal4により複合体化されていないsiRNAと比較して、ノックダウン効果はほとんど変化しなかった。これらの結果から、ODAGal4はsiRNAの活性に対して影響せず、二重鎖RNAの性質を変化させないものであることが明らかとなった。
 以上の結果から、骨格修飾とODAGal4とを組み合わせることにより、高い活性と安定性を兼ね備えた二重鎖RNA医薬品を提供できることが示された。
<6.骨格修飾の種類および導入部位の異なる二重鎖RNAの調製>
 上記(1)と同様の手順により、骨格修飾の種類および導入部位の異なる種々の二重鎖siRNAを調製した。配列を表3に示す。大文字は未修飾RNAを示す(ただし、「T」はチミジン(DNA)を示す)。小文字は修飾RNAを示し:太字は2’-O-メチル化修飾を、斜体はホスホロチオエート化修飾を、太字の斜体は2’-O-メチル化修飾かつホスホロチオエート化修飾を、下線を付した太字は2’-F化修飾を示す。また、下線を付した大文字の太字はLNAを示す。
 表3.siRNAの配列
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000013
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000014
 表3に記載の各種siRNAについて、上記(2)の手順により、siRNA-ODAGal4複合体の血清半減期を解析した。同時に、対照として、ODAGal4と複合体化していないsiRNAの血清半減期を解析した(図14~22)。なお、図14~22において、(A)は血清半減期(時間)を、(B)はODAGal4と複合体化していない未修飾siRNAの血清半減期を1とした場合の相対値を示す。
<7.骨格修飾の導入部位が異なるsiRNA-ODAGal4複合体の安定性の比較>
 センス鎖またはアンチセンス鎖の一部(6塩基間)にホスホロチオエート化結合を導入したsiRNAについての結果を図14~17に示す。図14は、センス鎖の一部がホスホロチオエート化されたHP2(HP2-S4~HP2-S7)についての結果を示し、図15はアンチセンス鎖の一部がホスホロチオエート化されたHP2(HP2-S8~HP2-S11)についての結果を示し、図16はセンス鎖の一部がホスホロチオエート化されたB2M2(B2M2-S4~B2M2-S7)についての結果を示し、図17はアンチセンス鎖の一部がホスホロチオエート化されたB2M2(B2M2-S8~B2M2-S11)についての結果を示す。いずれの場合にも、ホスホロチオエート化領域が3’末端に近いほど、ODAGal4との複合体化による顕著に高い安定化効果が見られた。
 センス鎖の一部(4塩基間)にホスホロチオエート化結合を導入したsiRNA(HP2-S12およびHP2-S13)についての結果を図18に示す。センス鎖の突出領域を含めた3’末端の4塩基間にホスホロチオエート化結合を導入したHP2(HP2-S12)とODAGal4との複合体は、わずかに改善された血清半減期を示した一方で、突出領域を除いた3’末端の4塩基間にホスホロチオエート化結合を導入したHP2(HP2-S13)とODAGal4との複合体は、顕著に改善された血清半減期を示した。なお、突出領域をDNAに変更した場合でも同様の結果が得られた(図19、HP2-TS)。
 センス鎖および/またはアンチセンス鎖の中央領域(11塩基間)にホスホロチオエート化結合を導入したsiRNA(HP2-S14~HP2-S16)についての結果を図20に示す。いずれもODAGal4との複合体化による高い安定化効果が得られたが、siRNAの片鎖のみにホスホロチオエート化を導入した場合には、センス鎖またはアンチセンス鎖のどちらをホスホロチオエート化するかで安定化効果の程度が変化した。
 以上の結果から、siRNA-ODAGal4複合体において、siRNAに導入する骨格修飾の導入部位やその長さを変更することにより、siRNAに所望の安定性を付与することができることが示された。さらに、siRNA-ODAGal4複合体において、siRNAの片鎖の3’末端の二重鎖領域のわずか4塩基間にホスホロチオエート化結合を導入するのみでも、顕著に高い安定化効果が得られることが示された。
<8.骨格修飾の種類が異なるsiRNA-ODAGal4複合体の安定性の比較>
 ホスホロチオエート化に代えて、またはホスホロチオエート化と組み合わせて、2’-O-メチル化、2’-F化、もしくはLNAを導入したHP2と、ODAGal4との複合体の血清半減期を、上記(2)の手順により解析した。結果を図21および22に示す。いずれの種類の骨格修飾を導入した場合でも、ODAGal4との複合体化による安定化効果が得られたが、特に、ホスホロチオエート化と組み合わせた場合に極めて高い安定化効果が得られた(図21、HP2-MS1、HP2-MS2;図22、HP2-FS、HP2-LS)。
<9.短い二重鎖RNA-ODAGal4複合体の安定性>
 上記(1)と同様の手順により、ホスホロチオエート化を含む、または含まない、12塩基対からなる短い二重鎖RNA(平滑末端)を調製した。配列を表4に示す。大文字は未修飾RNAを示す。小文字の斜体はホスホロチオエート化修飾RNAを示す。
 表4.短鎖RNAの配列
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000015
 siRNAに代えて、短い二重鎖RNAを用いた以外は、上記(2)と同様の手順により、短い二重鎖RNAの血清半減期を解析した。結果を図23に示す。(A)は血清半減期(時間)を、(B)はODAGal4と複合体化していない未修飾siRNAの血清半減期を1とした場合の相対値を示す。この結果から、平滑末端かつ短い二重鎖RNAにおいても、ホスホロチオエート化とODAGal4による複合体化とを組み合わせることにより、顕著に高い安定化効果が得られることが示された(図23、12M-S)。
<10.ホスホロチオエート化siRNA-各種カチオン性オリゴ糖複合体の安定性の比較>
 ホスホロチオエート化siRNAであるHP2-S3と、各種カチオン性オリゴ糖との複合体について、上記(2)と同様の手順により血清半減期を解析した。結果を図24に示す。図24中、「ODAGlc4」は、2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-α-(1→4)-D-グルコピラノーステトラマーを示し;「ODAMan4」は、2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-α-(1→4)-D-マンノピラノーステトラマーを示し;「ODGGal3」は、2,6-ジグアニジノ-2,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノーストリマーを示す。また、(A)は血清半減期(時間)を、(B)はODAGal4と複合体化していない未修飾siRNAの血清半減期を1とした場合の相対値を示す。この結果から、ODAGal4以外のカチオン性オリゴ糖による複合体化でも同様に、ホスホロチオエート化と組み合わせることにより、二重鎖RNAを顕著に安定化できることが確認された。

Claims (11)

  1.  二重鎖RNAの安定性を調節する方法であって、
     (1)二重鎖RNAの骨格に少なくとも1つの修飾を導入するステップと、
     (2)ステップ(1)により得られた二重鎖RNAと、一般式(I):
      R-O-(X)-R
    [式中、
     RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または1価の置換基であり、
     nは、3~6の整数であり、
     n個のXは同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、以下の(a)~(i):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
    で表される2価の基(ここで、Rは、NH または式(II):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
     (ここで、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子もしくはメチル基である)で表される基である)から選択される]
    で表されるカチオン性オリゴ糖とを接触させるステップと
    を含む、方法。
  2.  前記一般式(I)において、
     Rが水素原子であり、
     Rが水素原子または置換もしくは非置換のC1-6アルキル基であり、
     nが3もしくは4である、
    請求項1に記載の方法。
  3.  前記一般式(I)で表されるカチオン性オリゴ糖が、2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノーステトラマーである、請求項1または2に記載の方法。
  4.  前記修飾が2’-O-メチル化およびホスホロチオエート化から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5.  (1)骨格に修飾が導入された二重鎖RNAと、
     (2)一般式(I):
      R-O-(X)-R
    [式中、
     RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子または1価の置換基であり、
     nは、3~6の整数であり、
     n個のXは同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立して、以下の(a)~(i):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
    で表される2価の基(ここで、Rは、NH または式(II):
    Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
     (ここで、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子もしくはメチル基である)で表される基である)から選択される]
    で表されるカチオン性オリゴ糖と
    の複合体を含んでなる核酸組成物であって、未修飾の二重鎖RNAと同等の薬学的活性を有し、かつ、未修飾の二重鎖RNAと比較して5倍以上長い血清半減期を有する、核酸組成物。
  6.  前記一般式(I)において、
     Rが水素原子であり、
     Rが水素原子または置換もしくは非置換のC1-6アルキル基であり、
     nが3または4である、
    請求項5に記載の核酸組成物。
  7.  前記カチオン性オリゴ糖が、2,6-ジアミノ-2,6-ジデオキシ-β-(1→4)-D-ガラクトピラノーステトラマーである、請求項5または6に記載の核酸組成物。
  8.  前記二重鎖RNAの骨格全体の少なくとも10%が修飾されている、請求項5~7のいずれか1項に記載の核酸組成物。
  9.  前記修飾が2’-O-メチル化およびホスホロチオエート化から選択される、請求項5~8のいずれか1項に記載の核酸組成物。
  10.  前記修飾が、前記二重鎖RNAを構成する少なくとも一方のRNA鎖の3’末端領域の骨格に導入される、請求項5~9のいずれか1項に記載の核酸組成物。
  11.  前記二重鎖RNAが12~50塩基対長である、請求項5~10のいずれか1項に記載の核酸組成物。
     
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