WO2020045239A1 - クランクシャフト及びその製造方法 - Google Patents

クランクシャフト及びその製造方法 Download PDF

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    • F16C3/08Crankshafts made in one piece

Definitions

  • the journal 11 is formed coaxially with the center axis of the crankshaft 10 and is connected to a cylinder block (not shown).
  • the pin portion 12 is formed at a position distant from the central axis of the crankshaft 10 and is connected to a connecting lot (not shown).
  • the arm 13 connects the journal 11 and the pin 12.
  • Step S5 Carry out a surface hardening treatment on the machined intermediate crankshaft as necessary (step S5).
  • the surface hardening treatment is, for example, fillet roll processing, induction hardening, soft nitriding, or the like.
  • the surface hardening step (Step S5) is an optional step, and may be omitted depending on the required characteristics of the crankshaft.
  • the journal 11 and the pin 12 are ground (step S6-1).
  • the roughness depends on the size of abrasive grains used for grinding. Therefore, it is preferable to grind using the smallest possible abrasive grains.
  • step S6-2 and S6-3 the following (1) to (4) are used in order to prevent a concave shape as described in JP-A-2004-276121. Is preferably performed.
  • (2) make the abrasive grains as small as possible. This reduces the depth of cut so that excessive grinding is alleviated.
  • step S6-2 and S6-3 Increase the amount of lubricating oil (water). This can increase the thickness of the oil (water) film between the film and the workpiece.
  • FIG. 10 schematically shows a change over time of the surface pressure applied to the test axis TP.
  • the holding time at the same surface pressure was 3 minutes, the increase in the surface pressure per step was 4.35 MPa, and the time required for the increase in the surface pressure was 15 seconds. It was determined that seizure occurred when the surface temperature of the test shaft TP became 280 ° C. or more or the torque applied to the test shaft became 25 Nm or more.
  • FIG. 11 is a diagram showing the relationship between the average roughness Ra and the arithmetic average height Pa of the cross-sectional curve. From FIG. 11, it can be seen that even if the values of Ra are equal, the value of Pa may be different.
  • the arithmetic mean height Pa of the cross-sectional curve is set to 0.090 ⁇ m or less, and by setting the protruding peak height Rpk to 0.070 ⁇ m or less, the seizure resistance can be remarkably improved compared to the related art. confirmed.

Abstract

耐焼付き性に優れたクランクシャフトを提供する。クランクシャフトは、ジャーナル部及びピン部を備え、ジャーナル部及びピン部の各々は、断面曲線の算術平均高さPaが0.090μm以下であり、かつ、突出山部高さRpkが0.070μm以下である表面形状を有する。ここで、断面曲線の算術平均高さPaはJIS B 0601(2001)に定義されたものであり、突出山部高さRpkはJIS B 0671(2002)に定義されたものである。

Description

クランクシャフト及びその製造方法
 本発明は、クランクシャフト及びその製造方法に関する。
 クランクシャフトには、疲労強度や耐摩耗性に加えて、耐焼付き性が要求される。
 従来から、摺動部品の表面形状を制御して耐焼付き性を改善する提案がなされている。例えば特開2017-218951号公報には、冷凍機械用圧縮機のクランク軸の表面粗さRaを0.05μm以下にすることが記載されている。国際公開第2016/072305号には、軸受と軸とからなる回転すべり軸受において、軸の表面粗さRaを0.10μm以下にすることが記載されている。
 特許第5503417号公報には、摺動特性を向上させるため、肌焼鋼部品の表面粗さRaを0.16μm以下にすることが記載されている。特許第4352261号公報には、ピッチング強度を向上させるため、歯車表面の荷重移動方向の表面粗さを0.2μm≦Rpk+0.5Rk≦0.8μmにすることが記載されている。
 特開2004-276121号公報には、断面円弧状加工面を有するワークにバニッシングローラを押付けて仕上げ加工するローラバニッシュ加工方法において、ワークの加工面をラッピング加工により中凹状に加工した後、両端部の凸部をバニッシングローラによりバニッシング加工するローラバニッシュ加工方法が記載されている。
 近年、燃費向上を目的として潤滑油の低粘度化やクランクシャフト摺動部の細軸化が進んでおり、クランクシャフトには、より優れた耐焼付き性が求められている。
 本発明の目的は、耐焼付き性に優れたクランクシャフト及びその製造方法を提供することである。
 本発明の一実施形態によるクランクシャフトは、ジャーナル部及びピン部を備え、前記ジャーナル部及びピン部の各々は、断面曲線の算術平均高さPaが0.090μm以下であり、かつ、突出山部高さRpkが0.070μm以下である表面形状を有する。
 本発明の一実施形態によるクランクシャフトの製造方法は、上記のクランクシャフトの製造方法であって、前記ジャーナル部及びピン部を研削する研削工程と、前記研削されたジャーナル部及びピン部を、アルミナ砥粒がコーティングされたフィルムを用いてラッピングする粗ラッピング工程と、前記粗ラッピングされたジャーナル部及びピン部を、ダイヤモンド砥粒がコーティングされたフィルムを用いてラッピングする仕上ラッピング工程とを備える。
 本発明によれば、耐焼付き性に優れたクランクシャフトが得られる。
図1は、本発明の一実施形態によるクランクシャフトの概略図である。 図2は、断面曲線の例である。 図3は、粗さ曲線の例である。 図4は、粗さ曲線と負荷曲線との関係を示す図である。 図5は、突出山部を説明するための図である。 図6は、図1のクランクシャフトの製造方法の一例を示すフロー図である。 図7は、実施例で作製した試験軸のヒートパターンである。 図8は、実施例で作製した試験軸の断面曲線である。 図9は、焼付き試験で使用した評価装置の模式図である。 図10は、試験軸に加えた面圧の時間変化の模式図である。 図11は、平均粗さRaと断面曲線の算術平均高さPaとの関係を示す図である。 図12は、仕上加工の条件と、表面形状(Pa及びRpk)との関係を示す図である。 図13は、Paと焼付面圧との関係を示す図である。 図14は、比較例の試験軸の断面曲線である。 図15は、実施例の試験軸の断面曲線である。
 上述した特開2017-218951号公報、国際公開第2016/072305号、及び特許第5503417号公報では、粗さ曲線の算術平均高さRa(以下「平均粗さRa」という。)を用いて表面形状を規定している。しかし、平均粗さRaによる規定には、以下のような問題がある。
 クランクシャフトを始めとする工業製品の表面形状には、短周期成分(粗さ)に加えて、研削機の振動等に由来する長周期成分(うねり)が少なからず含まれている。平均粗さRaは、うねり成分を高域フィルタで除いた粗さ曲線に基づくため、実際の表面形状を正確に評価しているとは言いがたい。また平均粗さRaの値は、粗さ曲線を得る際に用いられる高域フィルタのカットオフ値λcによって大きく変動する。
 実際、平均粗さRaが同程度であっても、うねりの大きさによって耐焼付き性は大きく変動する。そのため、耐焼付き性を制御する指標としては、断面曲線を輪郭曲線とした評価パラメータを用いることが適切である。
 また、平均粗さRaが同程度であっても、突起や谷の形状によって耐焼付き性は変動する。具体的には、平均粗さRaが同程度であっても、突起の高さが大きい場合、相手材との接触頻度が増加して耐焼付き性が低下する。
 本発明者らは、種々の表面形状を有する試験軸を作製して耐焼付き性を評価し、表面形状と耐焼付き性との関係を調査した。その結果、断面曲線の算術平均高さPaを0.090μm以下にし、かつ、突出山部高さRpkを0.070μm以下にすることで、耐焼付き性を従来よりも顕著に向上できることを明らかにした。
 本発明は、以上の知見に基づいて完成された。以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。各図に示された構成部材間の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
 [クランクシャフト]
 図1は、本発明の一実施形態によるクランクシャフト10の概略図である。クランクシャフト10は、ジャーナル部11、ピン部12、及びアーム部13を備えている。
 クランクシャフト10は、例えば機械構造用鋼材からなる。クランクシャフト10は、これらに限定されないが、JIS G 4051:2009の機械構造用炭素鋼鋼材、JIS G 4052:2008の焼入れ性を保証した機械構造用鋼鋼材(H鋼)、JIS G4053:2008の機械構造用合金鋼鋼材等からなるものを用いることができる。これらの鋼材の中でも、JIS G 4051:2009のS45C及びS50C、並びにJIS G 4053:2008のSMn438が好適であり、また、これらの鋼材に被削性を向上させるためにSを添加した鋼材が特に好適である。
 クランクシャフト10の化学組成は例えば、質量%で、C:0.30~0.60%、Si:0.01~2.0%、Mn:0.1~2.0%、Cr:0.01~0.50%、Al:0.001~0.06%、N:0.001~0.02%、P:0.03%以下、S:0.20%以下を含む。クランクシャフト10の化学組成は、上記以外の元素(例えばVやNb等)を含有してもよい。
 ジャーナル部11は、クランクシャフト10の中心軸と同軸に形成され、シリンダブロック(不図示)と連結される。ピン部12は、クランクシャフト10の中心軸から離れた位置に形成され、コネクティングロット(不図示)と連結される。アーム部13は、ジャーナル部11とピン部12とを接続する。
 ジャーナル部11及びピン部12の各々は、断面曲線の算術平均高さPaが0.090μm以下であり、かつ、突出山部高さRpkが0.070μm以下である表面形状を有する。ここで、断面曲線の算術平均高さPaはJIS B 0601(2001)に定義されたものであり、突出山部高さRpkはJIS B 0671(2002)に定義されたものである。
 図2及び図3はそれぞれ、断面曲線及び粗さ曲線の例である。図4は粗さ曲線と負荷曲線との関係を示す図であり、図5は突出山部を説明するための図である。これらの図を参照して、断面曲線の算術平均高さPa及び突出山部高さRpkの測定方法を説明する。
 クランクシャフト10の測定対象箇所(ジャーナル部11及びピン部12)から試験片を採取し、接触式粗さ試験機を用いて測定断面曲線を取得する。接触粗さ試験機の触針の先端半径は2μm、円錐のテーパ角度は60°とする。走査速度は0.5mm/s以下とし、測定長さは5mm以上とする。
 測定断面曲線にカットオフ値λsの低域フィルタを適用して、断面曲線を得る(図2を参照。)。断面曲線を輪郭曲線として、評価長さlにおけるZ(x)の絶対値の平均を求め、断面曲線の算術平均高さPaとする。ここで、Z(x)は位置xにおける縦座標である。カットオフ値λsは2.5μm、評価長さlは5mmとする。
 断面曲線にカットオフ値λcの高域フィルタを適用して、粗さ曲線を得る(図3を参照)。粗さ曲線を得る際のカットオフ値λcは0.25mmとする。
 粗さ曲線から負荷曲線を求める。負荷曲線とは、粗さ曲線の負荷長さ率Rmrを負荷レベルcの関数として表した曲線である(図4を参照)。負荷曲線を求める際の評価長さlは5mmとする。
 粗さ曲線の測定点の40%を含む負荷曲線の中央部分において、負荷長さ率の差ΔMrを40%にして引いた負荷曲線の割線が最も緩い傾斜となる直線を等価直線とし、等価直線が負荷長さ率0%及び100%の位置で縦軸と交わる二つの高さ位置の間をコア部とする。コア部の上にある突出山部の平均高さを突出山部高さRpkとする(図5を参照)。
 断面曲線の算術平均高さPaを0.090μm以下にし、かつ、突出山部高さRpkを0.070μm以下にすることで、耐焼付き性を従来よりも顕著に向上させることができる。断面曲線の算術平均高さPaは、好ましくは0.080μm以下である。突出山部高さRpkは、好ましくは0.060μm以下である。
 [クランクシャフトの製造方法]
 次に、クランクシャフト10の製造方法の一例を説明する。以下に説明する製造方法は、あくまでも例示であって、クランクシャフト10の製造方法を限定するものではない。
 図6は、クランクシャフト10の製造方法の一例を示すフロー図である。この製造方法は、素材を準備する工程(ステップS1)、熱間鍛造工程(ステップS2)、熱処理工程(ステップS3)、機械加工工程(ステップS4)、表面硬化処理工程(ステップS5)、及び仕上加工工程(ステップS6)を備えている。以下、各工程を詳述する。
 クランクシャフト10の素材を準備する(ステップS1)。クランクシャフト10の素材は、これに限定されないが、例えば化学組成が、質量%で、C:0.30~0.60%、Si:0.01~2.0%、Mn:0.1~2.0%、Cr:0.01~0.50%、Al:0.001~0.06%、N:0.001~0.02%、P:0.03%以下、S:0.20%以下を含むものを用いることができる。クランクシャフト10の素材は、上記以外の元素(例えばVやNb等)を含有するものであってもよい。
 素材は、例えば棒鋼である。素材は例えば、上記の化学組成を有する溶鋼を連続鋳造又は分塊圧延して製造することができる。
 素材を熱間鍛造してクランクシャフトの粗形状にする(ステップS2)。熱間鍛造は、粗鍛造と仕上鍛造とに分けて実施してもよい。
 熱間鍛造によって製造されたクランクシャフトの粗形品に対して、必要に応じて焼準し等の熱処理を実施する(ステップS3)。熱処理工程(ステップS3)は任意の工程であり、クランクシャフトの要求特性等によってはこの工程を省略してもよい。
 クランクシャフトの粗形品を機械加工する(ステップS4)。機械加工は、切削加工や研削加工、孔開け加工等である。この工程により、最終製品に近い形状を有する中間品が製造される。
 機械加工されたクランクシャフトの中間品に対して、必要に応じて表面硬化処理を実施する(ステップS5)。表面硬化処理は例えば、フィレットロール加工や高周波焼入れ、軟窒化等である。表面硬化処理工程(ステップS5)は任意の工程であり、クランクシャフトの要求特性等によってはこの工程を省略してもよい。
 表面硬化処理は、クランクシャフトの中間品全体に対して実施してもよいし、摺動箇所であるジャーナル部及びピン部のみに実施してもよい。
 表面硬化処理工程(ステップS5)を実施する場合、表面の組織を均一にしなければ、後述する仕上加工工程(ステップS6)において表面のうねりを除去することが困難になる。表面の組織を均一にするためには、例えば高周波焼入れの場合、Ac点以上に昇温して表面の組織を完全にオーステナイトに変態させた後に焼入れを行うこと等が考えられる。
 クランクシャフトの中間品に対して仕上加工を実施する(ステップS6)。仕上加工工程(ステップS6)は、研削工程(ステップS6-1)、粗ラッピング工程(ステップS6-2)、及び仕上ラッピング工程(ステップS6-3)を含んでいる。
 まず、ジャーナル部11及びピン部12を研削する(ステップS6-1)。断面曲線の平均高さPaを小さくするためには、粗さ及びうねりの両方を小さくする必要がある。このうち粗さは、研削に用いる砥粒の大きさに依存する。そのため、できるだけ細かい砥粒を用いて研削することが好ましい。
 ジャーナル部11及びピン部12には、機械加工(ステップS4)の際の工具の送りや振動に起因して、数100μm~数mm周期のうねりが存在している。粗さを十分に小さくしても(粗さ曲線の算術平均高さRaを十分に小さくしても)、うねりが残っていると断面曲線の算術平均高さPaは小さくならない。そのため、研削工程(ステップS6-1)では、Raが小さくなった後も研削を続けて、うねりを十分に除去する必要がある。
 続いて、ジャーナル部11及びピン部12をラッピングする。具体的には、微細な砥粒をコーティングしたフィルムを用いてジャーナル部11及びピン部12を研磨する。ラッピングは、粗ラッピング工程(ステップS6-2)と仕上ラッピング工程(ステップS6-3)とに分けて実施し、粗ラッピング工程(ステップS6-2)ではアルミナ砥粒を、仕上ラッピング工程(ステップS6-3)ではダイヤモンド砥粒をコーティングしたフィルムを用いる。
 ラッピング工程(ステップS6-2及びS6-3)によって、ジャーナル部11及びピン部12の表面の鋭利な突起部が削られ、プラトー表面が得られる。これによって、突出山部高さRpkを小さくすることができる。
 ラッピング工程(ステップS6-2及びS6-3)の際、特開2004-276121号公報に記載されているような中凹状の形状になることを防止するため、以下の(1)~(4)を実施することが好ましい。(1)幅が狭いフィルムを使用して軸方向に送りながら研磨する。これによって、潤滑油がフィルム中央部まで到達しやすくなる。(2)砥粒をできるだけ小径にする。これによって、切り込み深さが浅くなるので過度な研削が緩和される。(3)工作物の回転速度を高くし、かつ押しつけ力を小さくする。これによって、フィルムと工作物との間の油(水)膜の厚さを増加させることができる。(4)潤滑油(水)の量を多くする。これによって、フィルムと工作物との間の油(水)膜の厚さを増加させることができる。
 粗ラッピング工程(ステップS6-2)及び仕上ラッピング工程(ステップS6-3)のいずれにおいても、クランクシャフトの軸方向のフィルムの送り速度をできるだけ小さくする。これによって、微細なうねりが除去され、断面曲線の算術平均高さPaをより小さくすることができる。
 以上、本発明の一実施形態によるクランクシャフト10の構成、及びその製造方法の一例を説明した。本実施形態によれば、耐焼付き性に優れたクランクシャフトが得られる。
 以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されない。
 表1に示す化学組成を有する鋼を素材として、焼付き試験用の試験軸を作製した。図7に、試験軸作製時のヒートパターンを示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 具体的は、素材を1250℃で1時間加熱した後、1100℃~850℃で熱間鍛造を実施し、鍛造終了後、室温まで空冷した。その後、1250℃で20分間加熱した後空冷する焼準しを実施した後、機械加工(切削加工)によって外径を約48mmにした。その後、高周波焼入れを実施して表面硬さをHV650に調整した。
 仕上加工として、(1)研削のみ、(2)研削+粗ラッピング、及び(3)研削+粗ラッピング+仕上ラッピングのそれぞれを実施し、種々の表面形状を有する試験軸を作製した。粗ラッピングは粒径9-15μmのアルミナ砥粒がコーティングされたフィルムを用いて、仕上ラッピングは粒径1-3μm(#8000-#4000)のダイヤモンド砥粒がコーティングされたフィルムを用いて行った。試験軸の外径は、後述する焼付き試験に用いる軸受とのクリアランスが約0.090mmになるように調整した。
 作製した試験軸の表面形状は、接触粗さ試験機(株式会社ミツトヨ製SJ-412)を用いて、実施形態で説明した方法に沿って測定した。
 図8に、作製した試験軸の断面曲線の例を示す。左が研削のみを実施した試験軸の断面曲線であり、右が研削に加えてラッピングを実施した試験軸の断面曲線である。図8に示すように、研削のみを実施した試験軸では、鋭利な突出山部が存在し、山部が三角形状になっているのに対し、研削に加えてラッピングを実施した試験軸では、突出山部が削られ、山部が台形状になっていることが分かる。
 次に、作製した試験軸を用いて、焼付き試験を実施した。焼付き試験は、神鋼造機株式会社製クランクメタル耐摩耗焼付き性評価装置を用いて実施した。評価装置20の模式図を図9に示す。試験軸TPを複数の軸受21に挿入し、軸受21に給油しながら、モータ(不図示)によって試験軸TPを8000rpmで回転させた。軸受のメタルは、HV40~50のAl合金を使用した。潤滑油は0W-20、給油温度は140℃、油圧は0.8MPaとした。
 この状態で、軸受21の一つを引き下げて試験軸TPに加わる面圧を段階的に増加させながら、焼付きが発生するまで運転した。図10に、試験軸TPに加えた面圧の時間変化を模式的に示す。同一面圧での保持時間は3分間、1ステップあたりの面圧増加幅は4.35MPa、面圧増加にかける時間は15秒間とした。試験軸TPの表面温度が280℃以上になるか、試験軸にかかるトルクが25Nm以上になったときに焼付きが発生したと判定した。
 各試験軸の仕上加工の条件、表面形状、及び焼付面圧を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 図11は、平均粗さRaと断面曲線の算術平均高さPaとの関係を示す図である。図11から、Raの値が同等であっても、Paの値は異なり得ることが分かる。
 図12は、仕上加工の条件と、表面形状(Pa及びRpk)との関係を示す図である。図12から、仕上加工として研削に加えてラッピングを実施すると、研削のみの場合と比較して、突出山部高さRpkが小さくなる傾向があることが分かる。また、研削、粗ラッピング、及び仕上ラッピングを実施することで、断面曲線の算術平均高さPaが0.090μm以下であり、かつ、突出山部高さRpkが0.070μm以下である表面形状が得られることが分かる。
 図13は、Paと焼付面圧との関係を示す図である。図13から、断面曲線の算術平均高さPaが小さいほど、焼付面圧が大きくなることが分かる。また、研削に加えてラッピングを実施することで、研削のみの場合と比較して、焼付面圧を大きくできることが分かる。さらに、研削、粗ラッピング、及び仕上ラッピングを実施してPa:0.090μm以下、かつRpk:0.070μm以下にした試験軸では、焼付面圧が顕著に向上していることが分かる。
 図14は、比較例(符号15)の試験軸の断面曲線である。図15は、実施例(符号1)の試験軸の断面曲線である。図14と図15との比較から、実施例の試験軸(図15)では、表面粗さだけではなく、うねりも小さくなっていることが分かる。
 以上の結果から、断面曲線の算術平均高さPaを0.090μm以下にし、かつ、突出山部高さRpkを0.070μm以下にすることで、耐焼付き性を従来よりも顕著に向上できることを確認した。
 以上、本発明の一実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。

Claims (2)

  1.  ジャーナル部及びピン部を備え、
     前記ジャーナル部及びピン部の各々は、断面曲線の算術平均高さPaが0.090μm以下であり、かつ、突出山部高さRpkが0.070μm以下である表面形状を有する、クランクシャフト。
  2.  請求項1に記載のクランクシャフトの製造方法であって、
     前記ジャーナル部及びピン部を研削する研削工程と、
     前記研削されたジャーナル部及びピン部を、アルミナ砥粒がコーティングされたフィルムを用いてラッピングする粗ラッピング工程と、
     前記粗ラッピングされたジャーナル部及びピン部を、ダイヤモンド砥粒がコーティングされたフィルムを用いてラッピングする仕上ラッピング工程とを備える、クランクシャフトの製造方法。
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