WO2019203022A1

WO2019203022A1 - 移動体、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム

Info

Publication number: WO2019203022A1
Application number: PCT/JP2019/015098
Authority: WO
Inventors: 貴雅堀部; 諒渡辺
Original assignee: ソニー株式会社
Priority date: 2018-04-20
Filing date: 2019-04-05
Publication date: 2019-10-24
Also published as: EP3783453A1; EP3783453A4; CN111971635A; US20210179142A1

Abstract

本技術の一形態に係る移動体は、取得部と、検出部と、決定部とを具備する。前記取得部は、移動体の状況に関する状況情報を取得する。前記検出部は、前記取得された状況情報に基づいて、前記移動体の自律走行制御に対する不安定要素を検出する。前記決定部は、前記検出された不安定要素に基づいて、前記自律走行制御を実行するための制御方法を決定する。

Description

移動体、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム

　本技術は、自律移動が可能な移動体、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。

　近年、車両等の自律移動を実現するための技術が開発されている。例えば、特許文献１に記載の制御システムでは、車両の現在位置及び姿勢の推定値の信頼性が低い場合に、車体の揺れや傾きを緩和するように車両が制御される。これにより自律走行の安定性と、追従性との両立が図られている（特許文献１の段落［００７３］～［００７６］）。

特許第５８３７９０２号公報

　今後、様々な移動体に関して自律移動技術の利用が活発になると考えられる。移動体の自律移動制御を安定して実行することが可能となる技術が求められている。

　以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、自律移動制御の安定性を向上させることが可能な移動体、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。

　上記目的を達成するため、本技術の一形態に係る移動体は、取得部と、検出部と、決定部とを具備する。
　前記取得部は、移動体の状況に関する状況情報を取得する。
　前記検出部は、前記取得された状況情報に基づいて、前記移動体の自律走行制御に対する不安定要素を検出する。
　前記決定部は、前記検出された不安定要素に基づいて、前記自律走行制御を実行するための制御方法を決定する。

　この移動体では、移動体の状況に関する状況情報に基づいて、移動体の自律移動制御に対する不安定要素が検出される。検出された不安定要素に基づいて、自律移動制御を実行するための制御方法が決定される。これにより、自律移動制御の安定性を向上させることが可能となる。

　前記移動体は、さらに、前記自律移動制御を実行するための複数の制御則を記憶する記憶部を具備してもよい。この場合、前記決定部は、前記記憶された複数の制御則から、実行対象となる制御則を選択してもよい。

　前記決定部は、前記検出された不安定要素に基づいて、前記実行対象となる制御則を動的に変更してもよい。

　前記複数の制御則は、ＳＤＲＥ（State Dependent Riccati Equation）制御、ＬＱＲ（Linear Quadratic Regulator）制御、Ｈ∞（H-infinity control theory）制御、適応制御、ゲインが低く設定されたＰＩＤ制御、及びゲインが高く設定されたＰＩＤ制御の少なくとも１つを含んでもよい。

　前記検出部は、前記取得された状況情報に基づいて、前記自律移動制御に関する複数の不安定パラメータの各々に対して、不安定レベルを算出してもよい。

　前記複数の不安定パラメータは、自己位置推定に関する不安定レベル、路面環境に関する不安定レベル、制御周期に関する不安定レベル、制御遅延に関する不安定レベル、モデル化計算に関する不安定レベル、定常外乱に関する不安定レベル、及びインパルス外乱に関する不安定レベルの少なくとも１つを含んでもよい。

　前記決定部は、前記複数の制御則の各々に対して設定された評価情報に基づいて、前記実行対象となる制御則を選択してもよい。

　前記評価情報は、前記複数の制御則の各々の精度レベルと、前記複数の不安定パラメータに対応する複数の耐性パラメータの各々に関する耐性レベルとを含んでもよい。

　前記複数の耐性パラメータは、自己位置推定に関する耐性レベル、路面環境に関する耐性レベル、制御周期に関する耐性レベル、制御遅延に関する耐性レベル、モデル化計算に関する耐性レベル、定常外乱に関する耐性レベル、及びインパルス外乱に関する耐性レベルの少なくとも１つを含んでもよい。

　前記移動体は、さらに、駆動制御部と、推定部と、経路取得部と、算出部とを具備する。
　前記駆動制御部は、前記移動体の駆動を制御する。
　前記推定部は、前記取得された状況情報に基づいて、移動体の位置及び姿勢を推定する
　前記経路取得部は、前記移動体の目標経路を取得する。
　前記算出部は、前記推定された前記移動体の位置及び姿勢と前記取得された目標経路とに基づいて、前記移動体を駆動させるための制御値を算出し、前記駆動制御部に出力する。
　この場合、前記決定部は、前記自律移動制御を実行するための制御方法として、前記算出部による前記制御値の算出方法を決定してもよい。

　前記制御値は、前記移動体のステアリング制御に関する制御値、及び速度制御に関する制御値を含んでもよい。

　前記状況情報は、前記移動体の周辺情報、及び前記移動体の状態情報の少なくとも一方を含んでもよい。

　前記取得部は、外界センサ、及び内界センサを含んでもよい。

　前記決定部は、前記自律移動制御を実行するための制御パラメータを決定してもよい。

　前記決定部は、前記自律移動制御を実行するためのＰＩＤ制御のゲインを調整してもよい。

　前記状況情報は、前記移動体の駆動状態を含んでもよい。この場合、前記決定部は、前記移動体の駆動開始時には、前記複数の制御則から、ゲインが低く設定されたＰＩＤ制御を選択してもよい。

　前記状況情報は、時間情報を含んでもよい。この場合、前記決定部は、夜間の時間帯には、前記複数の制御則から、自己位置推定に関する耐性レベルが高い制御則を選択してもよい。

　前記状況情報は、天候に関する情報を含んでもよい。この場合、前記決定部は、雨天の場合には、前記複数の制御則から、自己位置推定に関する耐性レベル、及び路面環境に関する耐性レベルが高い制御則を選択してもよい。

　前記状況情報は、前記移動体に対する光の照射状態に関する情報を含んでもよい。この場合、前記決定部は、逆光状態である場合には、前記複数の制御則から、自己位置推定に関する耐性レベル、及びインパルス外乱に関する耐性レベルが高い制御則を選択してもよい。

　前記取得部は、外界センサを含んでもよい。この場合、前記決定部は、前記外界センサの種類及び数に基づいて、前記複数の不安定パラメータに対応する複数の耐性パラメータの各々に関する耐性レベルを算出してもよい。

　前記移動体は、自律移動制御が可能な車両、ドローン、及びロボットでもよい。

　本技術の一形態に係る情報処理装置は、取得部と、検出部と、決定部とを具備する。
　前記取得部は、移動体の状況に関する状況情報を取得する。
　前記検出部は、前記取得された状況情報に基づいて、前記移動体の自律走行制御に対する不安定要素を検出する。
　前記決定部は、前記検出された不安定要素に基づいて、前記自律走行制御を実行するための制御方法を決定する。

　本技術の一形態に係る情報処理方法は、コンピュータシステムにより実行される情報処理方法であって、移動体の状況に関する状況情報を取得することを含む。
　前記取得された状況情報に基づいて、前記移動体の自律走行制御に対する不安定要素が検出される。
　前記検出された不安定要素に基づいて、前記自律走行制御を実行するための制御方法が決定される。

　本技術の一形態に係るプログラムは、コンピュータシステムに以下のステップを実行させる。
　移動体の状況に関する状況情報を取得するステップ。
　前記取得された状況情報に基づいて、前記移動体の自律移動制御に対する不安定要素を検出するステップ。
　前記検出された不安定要素に基づいて、前記自律移動制御を実行するための制御方法を決定するステップ。

　以上のように、本技術によれば、自律移動制御の安定性を向上させることが可能となる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。

本技術の第１の実施形態に係る車両の構成例を示す外観図である車両１０の制御を行う車両制御システム１００の構成例を示すブロック図である。自律走行の制御則の選択処理の一例を示すフローチャートである。自律走行の制御方法の決定を実行するための機能的な構成例を示すブロック図である。制御則の精度と安定性の一例を示す図である。自動運転の制御における安定性を示す図である。自動運転の制御を不安定にする要素を示す図である。自動運転の制御を不安定にする要素との相関性を示す図である。制御則の選択方法の一例を示す図である。選択される制御則の一例を示す図である。制御則の選択方法の他の例を示す図である。制御則の選択する際の評価を示す図である。

　以下、本技術に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。

　［車両］
　図１は、本技術の一実施形態に係る車両の構成例を示す外観図である。図１Ａは、車両１０の構成例を示す斜視図であり、図１Ｂは、車両１０を上方から見た場合の模式図である。車両１０は、目的地までの自動走行が可能な自動運転機能を備えている。車両１０は、本技術に係る移動体の一実施形態に相当する。

　車両１０は、自動運転に用いられる各種のセンサ２０を備える。一例として、例えば図１Ａには、車両１０の前方に向けられた撮像装置２１及び距離センサ２２が模式的に図示されている。撮像装置２１及び距離センサ２２は、後述する外界センサ１９０として機能する。また図１Ｂには、各車輪の回転等を検出する車輪エンコーダ２３が模式的に図示されている。車輪エンコーダ２３は、後述する内界センサ１９５として機能する。

　撮像装置２１は、車両１０の前方に向けて配置され、車両１０の前方を撮影して画像情報を検出する。撮像装置２１としては、例えばＣＣＤやＣＭＯＳ等のイメージセンサを備えたＲＧＢカメラ等が用いられる。これに限定されず、赤外光や偏光光を検出するイメージセンサ等が撮像装置２１として用いられてもよい。

　距離センサ２２は、車両１０の前方に向けて配置される。距離センサ２２は、その検出範囲に含まれる物体との距離に関する情報を検出し、車両１０の周辺の奥行情報を検出する。距離センサ２２としては、例えばＬｉＤＡＲ（Laser Imaging Detection and Ranging）センサ等が用いられる。

　ＬｉＤＡＲセンサを用いることで、例えば奥行情報を持った画像（デプス画像）等を容易に検出することが可能である。また距離センサ２２として、例えばＴＯＦ（Time of Fright）方式のデプスセンサ等が用いられてもよい。この他距離センサ２２の種類等は限定されずレンジファインダー、ミリ波レーダ、及び赤外線レーザ等を用いた任意のセンサが用いられてよい。

　この他、車両１０には様々なセンサ２０が搭載され、センサ２０からの出力をもとに車両１０の移動制御が行なわれる。例えば、車両１０の後方や側方等の任意の方向にセンサ２０が配置されてもよい。

　［車両制御システムの構成］
　図２は、車両１０の制御を行う車両制御システム１００の構成例を示すブロック図である。車両制御システム１００は、車両１０に設けられ、車両１０の各種の制御を行うシステムである。なお、以下、車両１０を他の車両と区別する場合、自車又は自車両と称する。

　車両制御システム１００は、入力部１０１、データ取得部１０２、通信部１０３、車内機器１０４、出力制御部１０５、出力部１０６、駆動系制御部１０７、駆動系システム１０８、ボディ系制御部１０９、ボディ系システム１１０、記憶部１１１、及び、自動運転制御部１１２を備える。入力部１０１、データ取得部１０２、通信部１０３、出力制御部１０５、駆動系制御部１０７、ボディ系制御部１０９、記憶部１１１、及び、自動運転制御部１１２は、通信ネットワーク１２１を介して、相互に接続されている。通信ネットワーク１２１は、例えば、ＣＡＮ（Controller Area Network）、ＬＩＮ（Local Interconnect Network）、ＬＡＮ（Local Area Network）、又は、ＦｌｅｘＲａｙ（登録商標）等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークやバス等からなる。なお、車両制御システム１００の各部は、通信ネットワーク１２１を介さずに、直接接続される場合もある。

　なお、以下、車両制御システム１００の各部が、通信ネットワーク１２１を介して通信を行う場合、通信ネットワーク１２１の記載を省略するものとする。例えば、入力部１０１と自動運転制御部１１２が、通信ネットワーク１２１を介して通信を行う場合、単に入力部１０１と自動運転制御部１１２が通信を行うと記載する。

　入力部１０１は、搭乗者が各種のデータや指示等の入力に用いる装置を備える。例えば、入力部１０１は、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ、及び、レバー等の操作デバイス、並びに、音声やジェスチャ等により手動操作以外の方法で入力可能な操作デバイス等を備える。また、例えば、入力部１０１は、赤外線若しくはその他の電波を利用したリモートコントロール装置、又は、車両制御システム１００の操作に対応したモバイル機器若しくはウェアラブル機器等の外部接続機器であってもよい。入力部１０１は、搭乗者により入力されたデータや指示等に基づいて入力信号を生成し、車両制御システム１００の各部に供給する。

　データ取得部１０２は、車両制御システム１００の処理に用いるデータを取得する各種のセンサ等を備え、取得したデータを、車両制御システム１００の各部に供給する。

　例えば、データ取得部１０２は、車両１０の状態等を検出するための各種のセンサを備える。具体的には、例えば、データ取得部１０２は、ジャイロセンサ、加速度センサ、慣性計測装置（ＩＭＵ）、及び、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数、モータ回転数、若しくは、車輪の回転速度等を検出するためのセンサ等を備える。

　また、例えば、データ取得部１０２は、車両１０の外部の情報を検出するための各種のセンサを備える。具体的には、例えば、データ取得部１０２は、ＴｏＦ（Time Of Flight）カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ、及び、その他のカメラ等の撮像装置を備える。また、例えば、データ取得部１０２は、天候又は気象等を検出するための環境センサ、及び、車両１０の周囲の物体を検出するための周囲情報検出センサを備える。環境センサは、例えば、雨滴センサ、霧センサ、日照センサ、雪センサ等からなる。周囲情報検出センサは、例えば、超音波センサ、レーダ、ＬｉＤＡＲ（Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging）、ソナー等からなる。

　さらに、例えば、データ取得部１０２は、車両１０の現在位置を検出するための各種のセンサを備える。具体的には、例えば、データ取得部１０２は、航法衛星であるＧＮＳＳ（Global Navigation Satellite System）衛星からの衛星信号（以下、ＧＮＳＳ信号と称する）を受信するＧＮＳＳ受信機等を備える。

　また、例えば、データ取得部１０２は、車内の情報を検出するための各種のセンサを備える。具体的には、例えば、データ取得部１０２は、運転者を撮像する撮像装置、運転者の生体情報を検出する生体センサ、及び、車室内の音声を集音するマイクロフォン等を備える。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座っている搭乗者又はステアリングホイールを握っている運転者の生体情報を検出する。

　通信部１０３は、車内機器１０４、並びに、車外の様々な機器、サーバ、基地局等と通信を行い、車両制御システム１００の各部から供給されるデータを送信したり、受信したデータを車両制御システム１００の各部に供給したりする。なお、通信部１０３がサポートする通信プロトコルは、特に限定されるものではなく、また、通信部１０３が、複数の種類の通信プロトコルをサポートすることも可能である。

　例えば、通信部１０３は、無線ＬＡＮ、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）、ＮＦＣ（Near Field Communication）、又は、ＷＵＳＢ（Wireless USB）等により、車内機器１０４と無線通信を行う。また、例えば、通信部１０３は、図示しない接続端子（及び、必要であればケーブル）を介して、ＵＳＢ（Universal Serial Bus）、ＨＤＭＩ（登録商標）（High-Definition Multimedia Interface）、又は、ＭＨＬ（Mobile High-definition Link）等により、車内機器１０４と有線通信を行う。

　さらに、例えば、通信部１０３は、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク（例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク）上に存在する機器（例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ）との通信を行う。また、例えば、通信部１０３は、Ｐ２Ｐ（Peer To Peer）技術を用いて、車両１０の近傍に存在する端末（例えば、歩行者若しくは店舗の端末、又は、ＭＴＣ（Machine Type Communication）端末）との通信を行う。さらに、例えば、通信部１０３は、車車間（Vehicle to Vehicle）通信、路車間（Vehicle to Infrastructure）通信、車両１０と家との間（Vehicle to Home）の通信、及び、歩車間（Vehicle to Pedestrian）通信等のＶ２Ｘ通信を行う。また、例えば、通信部１０３は、ビーコン受信部を備え、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行規制又は所要時間等の情報を取得する。

　車内機器１０４は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、車両１０に搬入され若しくは取り付けられる情報機器、及び、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置等を含む。

　出力制御部１０５は、車両１０の搭乗者又は車外に対する各種の情報の出力を制御する。例えば、出力制御部１０５は、視覚情報（例えば、画像データ）及び聴覚情報（例えば、音声データ）のうちの少なくとも１つを含む出力信号を生成し、出力部１０６に供給することにより、出力部１０６からの視覚情報及び聴覚情報の出力を制御する。具体的には、例えば、出力制御部１０５は、データ取得部１０２の異なる撮像装置により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像等を生成し、生成した画像を含む出力信号を出力部１０６に供給する。また、例えば、出力制御部１０５は、衝突、接触、危険地帯への進入等の危険に対する警告音又は警告メッセージ等を含む音声データを生成し、生成した音声データを含む出力信号を出力部１０６に供給する。

　出力部１０６は、車両１０の搭乗者又は車外に対して、視覚情報又は聴覚情報を出力することが可能な装置を備える。例えば、出力部１０６は、表示装置、インストルメントパネル、オーディオスピーカ、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ、ランプ等を備える。出力部１０６が備える表示装置は、通常のディスプレイを有する装置以外にも、例えば、ヘッドアップディスプレイ、透過型ディスプレイ、ＡＲ（Augmented Reality）表示機能を有する装置等の運転者の視野内に視覚情報を表示する装置であってもよい。

　駆動系制御部１０７は、各種の制御信号を生成し、駆動系システム１０８に供給することにより、駆動系システム１０８の制御を行う。また、駆動系制御部１０７は、必要に応じて、駆動系システム１０８以外の各部に制御信号を供給し、駆動系システム１０８の制御状態の通知等を行う。

　駆動系システム１０８は、車両１０の駆動系に関わる各種の装置を備える。例えば、駆動系システム１０８は、内燃機関又は駆動用モータ等の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、舵角を調節するステアリング機構、制動力を発生させる制動装置、ＡＢＳ（Antilock Brake System）、ＥＳＣ（Electronic Stability Control）、並びに、電動パワーステアリング装置等を備える。

　ボディ系制御部１０９は、各種の制御信号を生成し、ボディ系システム１１０に供給することにより、ボディ系システム１１０の制御を行う。また、ボディ系制御部１０９は、必要に応じて、ボディ系システム１１０以外の各部に制御信号を供給し、ボディ系システム１１０の制御状態の通知等を行う。

　ボディ系システム１１０は、車体に装備されたボディ系の各種の装置を備える。例えば、ボディ系システム１１０は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、パワーシート、ステアリングホイール、空調装置、及び、各種ランプ（例えば、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカ、フォグランプ等）等を備える。

　記憶部１１１は、例えば、ＲＯＭ（Read Only Memory）、ＲＡＭ（Random Access Memory）、ＨＤＤ（Hard Disc Drive）等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、及び、光磁気記憶デバイス等を備える。記憶部１１１は、車両制御システム１００の各部が用いる各種プログラムやデータ等を記憶する。例えば、記憶部１１１は、ダイナミックマップ等の３次元の高精度地図、高精度地図より精度が低く、広いエリアをカバーするグローバルマップ、及び、車両１０の周囲の情報を含むローカルマップ等の地図データを記憶する。

　自動運転制御部１１２は、自律走行又は運転支援等の自動運転に関する制御を行う。具体的には、例えば、自動運転制御部１１２は、車両１０の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両１０の衝突警告、又は、車両１０のレーン逸脱警告等を含むＡＤＡＳ（Advanced Driver Assistance System）の機能実現を目的とした協調制御を行う。また、例えば、自動運転制御部１１２は、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行う。自動運転制御部１１２は、検出部１３１、自己位置推定部１３２、状況分析部１３３、計画部１３４、及び、動作制御部１３５を備える。なお自律走行制御を、自律移動制御に含まれる概念とみなすことも可能である。

　自動運転制御部１１２は、本実施形態に係る情報処理装置に相当し、例えばＣＰＵ、ＲＡＭ、及びＲＯＭ等のコンピュータに必要なハードウェアを有する。ＣＰＵがＲＯＭに予め記録されている本技術に係るプログラムをＲＡＭにロードして実行することにより、本技術に係る情報処理方法が実行される。

　自動運転制御部１１２の具体的な構成は限定されず、例えばＦＰＧＡ（Field Programmable Gate Array）等のＰＬＤ（Programmable Logic Device）、その他ＡＳＩ（Application Specific Integrated Circuit）等のデバイスが用いられてもよい。

　図２に示すように、自動運転制御部１１２は、検出部１３１、自己位置推定部１３２、状況分析部１３３、計画部１３４、動作制御部１３５、及び、制御調節部１３６を備える。例えば、自動運転制御部１１２のＣＰＵが所定のプログラムを実行することで、各機能ブロックが構成される。

　検出部１３１は、自動運転の制御に必要な各種の情報の検出を行う。検出部１３１は、車外情報検出部１４１、車内情報検出部１４２、及び、車両状態検出部１４３を備える。本実施形態において、検出部１３１とデータ取得部１０２とは、「取得部」に相当し、取得部は、外界センサ、及び内界センサを含む。

　車外情報検出部１４１は、車両制御システム１００の各部からのデータ又は信号に基づいて、車両１０の外部の情報の検出処理を行う。例えば、車外情報検出部１４１は、車両１０の周囲の物体の検出処理、認識処理、及び、追跡処理、並びに、物体までの距離の検出処理を行う。検出対象となる物体には、例えば、車両、人、障害物、構造物、道路、信号機、交通標識、道路標示等が含まれる。また、例えば、車外情報検出部１４１は、車両１０の周囲の環境の検出処理を行う。検出対象となる周囲の環境には、例えば、天候、気温、湿度、明るさ、及び、路面の状態等が含まれる。車外情報検出部１４１は、検出処理の結果を示すデータを自己位置推定部１３２、状況分析部１３３のマップ解析部１５１、交通ルール認識部１５２、及び、状況認識部１５３、並びに、動作制御部１３５の緊急事態回避部１７１等に供給する。

　また本実施形態では、車外情報検出部１４１により、機械学習に用いられる学習データが生成される。従って車外情報検出部１４１は、車両１０の外部の情報の検出処理と、学習データの生成処理とをそれぞれ実行することが可能である。

　車内情報検出部１４２は、車両制御システム１００の各部からのデータ又は信号に基づいて、車内の情報の検出処理を行う。例えば、車内情報検出部１４２は、運転者の認証処理及び認識処理、運転者の状態の検出処理、搭乗者の検出処理、及び、車内の環境の検出処理等を行う。検出対象となる運転者の状態には、例えば、体調、覚醒度、集中度、疲労度、視線方向等が含まれる。検出対象となる車内の環境には、例えば、気温、湿度、明るさ、臭い等が含まれる。車内情報検出部１４２は、検出処理の結果を示すデータを状況分析部１３３の状況認識部１５３、及び、動作制御部１３５の緊急事態回避部１７１等に供給する。

　車両状態検出部１４３は、車両制御システム１００の各部からのデータ又は信号に基づいて、車両１０の状態の検出処理を行う。検出対象となる車両１０の状態には、例えば、速度、加速度、舵角、異常の有無及び内容、運転操作の状態、パワーシートの位置及び傾き、ドアロックの状態、並びに、その他の車載機器の状態等が含まれる。車両状態検出部１４３は、検出処理の結果を示すデータを状況分析部１３３の状況認識部１５３、及び、動作制御部１３５の緊急事態回避部１７１等に供給する

　車外情報取得部１４１及び車内情報取得部１４２に検出される車両１０の外部及び車内の情報は、本実施形態において、車両１０の周辺情報、及び車両１０の状態情報の少なくとも一方を含む移動体の状況に関する状況情報に相当する。

　自己位置推定部１３２は、車外情報検出部１４１、及び、状況分析部１３３の状況認識部１５３等の車両制御システム１００の各部からのデータ又は信号に基づいて、車両１０の位置及び姿勢等の推定処理を行う。また、自己位置推定部１３２は、必要に応じて、自己位置の推定に用いるローカルマップ（以下、自己位置推定用マップと称する）を生成する。自己位置推定用マップは、例えば、ＳＬＡＭ（Simultaneous Localization and Mapping）等の技術を用いた高精度なマップとされる。自己位置推定部１３２は、推定処理の結果を示すデータを状況分析部１３３のマップ解析部１５１、交通ルール認識部１５２、及び、状況認識部１５３等に供給する。また、自己位置推定部１３２は、自己位置推定用マップを記憶部１１１に記憶させる。

　以下では、車両１０の位置及び姿勢等の推定処理を自己位置推定処理と記載する場合がある。また車両１０の位置及び姿勢の情報を位置姿勢情報と記載する。従って自己位置推定部１３２により実行される自己位置推定処理は、車両１０の位置姿勢情報を推定する処理となる。

　状況分析部１３３は、車両１０及び周囲の状況の分析処理を行う。状況分析部１３３は、マップ解析部１５１、交通ルール認識部１５２、状況認識部１５３、及び、状況予測部１５４を備える。

　マップ解析部１５１は、自己位置推定部１３２及び車外情報検出部１４１等の車両制御システム１００の各部からのデータ又は信号を必要に応じて用いながら、記憶部１１１に記憶されている各種のマップの解析処理を行い、自動運転の処理に必要な情報を含むマップを構築する。マップ解析部１５１は、構築したマップを、交通ルール認識部１５２、状況認識部１５３、状況予測部１５４、並びに、計画部１３４のルート計画部１６１、行動計画部１６２、及び、動作計画部１６３等に供給する。

　交通ルール認識部１５２は、自己位置推定部１３２、車外情報検出部１４１、及び、マップ解析部１５１等の車両制御システム１００の各部からのデータ又は信号に基づいて、車両１０の周囲の交通ルールの認識処理を行う。この認識処理により、例えば、車両１０の周囲の信号の位置及び状態、車両１０の周囲の交通規制の内容、並びに、走行可能な車線等が認識される。交通ルール認識部１５２は、認識処理の結果を示すデータを状況予測部１５４等に供給する。

　状況認識部１５３は、自己位置推定部１３２、車外情報検出部１４１、車内情報検出部１４２、車両状態検出部１４３、及び、マップ解析部１５１等の車両制御システム１００の各部からのデータ又は信号に基づいて、車両１０に関する状況の認識処理を行う。例えば、状況認識部１５３は、車両１０の状況、車両１０の周囲の状況、及び、車両１０の運転者の状況等の認識処理を行う。また、状況認識部１５３は、必要に応じて、車両１０の周囲の状況の認識に用いるローカルマップ（以下、状況認識用マップと称する）を生成する。状況認識用マップは、例えば、占有格子地図（Occupancy Grid Map）とされる。

　認識対象となるには、例えば、車両１０の位置、姿勢、動き（例えば、速度、加速度、移動方向等）、並びに、異常の有無及び内容等が含まれる。認識対象となる車両１０の周囲の状況には、例えば、周囲の静止物体の種類及び位置、周囲の動物体の種類、位置及び動き（例えば、速度、加速度、移動方向等）、周囲の道路の構成及び路面の状態、並びに、周囲の天候、気温、湿度、及び、明るさ等が含まれる。認識対象となる運転者の状態には、例えば、体調、覚醒度、集中度、疲労度、視線の動き、並びに、運転操作等が含まれる。

　状況認識部１５３は、認識処理の結果を示すデータ（必要に応じて、状況認識用マップを含む）を自己位置推定部１３２及び状況予測部１５４等に供給する。また、状況認識部１５３は、状況認識用マップを記憶部１１１に記憶させる。

　状況予測部１５４は、マップ解析部１５１、交通ルール認識部１５２及び状況認識部１５３等の車両制御システム１００の各部からのデータ又は信号に基づいて、車両１０に関する状況の予測処理を行う。例えば、状況予測部１５４は、車両１０の状況、車両１０の周囲の状況、及び、運転者の状況等の予測処理を行う。

　予測対象となる車両１０の状況には、例えば、車両１０の挙動、異常の発生、及び、走行可能距離等が含まれる。予測対象となる車両１０の周囲の状況には、例えば、車両１０の周囲の動物体の挙動、信号の状態の変化、及び、天候等の環境の変化等が含まれる。予測対象となる運転者の状況には、例えば、運転者の挙動及び体調等が含まれる。

　状況予測部１５４は、予測処理の結果を示すデータを、交通ルール認識部１５２及び状況認識部１５３からのデータとともに、計画部１３４のルート計画部１６１、行動計画部１６２、及び、動作計画部１６３等に供給する。

　ルート計画部１６１は、マップ解析部１５１及び状況予測部１５４等の車両制御システム１００の各部からのデータ又は信号に基づいて、目的地までのルートを計画する。例えば、ルート計画部１６１は、グローバルマップに基づいて、現在位置から指定された目的地までのルートを設定する。また、例えば、ルート計画部１６１は、渋滞、事故、通行規制、工事等の状況、及び、運転者の体調等に基づいて、適宜ルートを変更する。ルート計画部１６１は、計画したルートを示すデータを行動計画部１６２等に供給する。

　行動計画部１６２は、マップ解析部１５１及び状況予測部１５４等の車両制御システム１００の各部からのデータ又は信号に基づいて、ルート計画部１６１により計画されたルートを計画された時間内で安全に走行するための車両１０の行動を計画する。すなわち、車両１０の目標経路を取得する。例えば、行動計画部１６２は、発進、停止、進行方向（例えば、前進、後退、左折、右折、方向転換等）、走行車線、走行速度、及び、追い越し等の計画を行う。行動計画部１６２は、計画した車両１０の行動を示すデータを動作計画部１６３等に供給する。

　動作計画部１６３は、マップ解析部１５１及び状況予測部１５４等の車両制御システム１００の各部からのデータ又は信号に基づいて、行動計画部１６２により計画された行動を実現するための車両１０の動作を計画する。例えば、動作計画部１６３は、加速、減速、及び、走行軌道等の計画を行う。動作計画部１６３は、計画した車両１０の動作を示すデータを、動作制御部１３５の加減速制御部１７２及び方向制御部１７３等に供給する。

　動作制御部１３５は、車両１０の動作の制御を行う。動作制御部１３５は、緊急事態回避部１７１、加減速制御部１７２、及び、方向制御部１７３を備える。

　緊急事態回避部１７１は、車外情報検出部１４１、車内情報検出部１４２、及び、車両状態検出部１４３の検出結果に基づいて、衝突、接触、危険地帯への進入、運転者の異常、車両１０の異常等の緊急事態の検出処理を行う。緊急事態回避部１７１は、緊急事態の発生を検出した場合、急停車や急旋回等の緊急事態を回避するための車両１０の動作を計画する。緊急事態回避部１７１は、計画した車両１０の動作を示すデータを加減速制御部１７２及び方向制御部１７３等に供給する。

　加減速制御部１７２は、動作計画部１６３又は緊急事態回避部１７１により計画された車両１０の動作を実現するための加減速制御を行う。例えば、加減速制御部１７２は、計画された加速、減速、又は、急停車を実現するための駆動力発生装置又は制動装置の制御目標値を演算し、演算した制御目標値を示す制御指令を駆動系制御部１０７に供給する。

　方向制御部１７３は、動作計画部１６３又は緊急事態回避部１７１により計画された車両１０の動作を実現するための方向制御を行う。例えば、方向制御部１７３は、動作計画部１６３又は緊急事態回避部１７１により計画された走行軌道又は急旋回を実現するためのステアリング機構の制御目標値を演算し、演算した制御目標値を示す制御指令を駆動系制御部１０７に供給する。

　制御調節部１３６は、車両１０の自律移動制御を実行するための制御を調節する。制御調節部１３６は、不安定要素監視システム１８１と制御調節システム１８２とを有する。

　不安定要素監視システム１８１は、検出部１３１からのデータまたは信号に基づいて、車両１０の自動運転の制御を不安定にすると予測される不安定要素を検出する。検出された不安定要素はパラメータ毎に分類され、数値化される。すなわち、不安定要素監視システム１８１は、取得された状況情報に基づいて、車両１０の自律移動制御に対する不安定要素を検出する。

　ここで不安定要素とは、自律移動制御を不安定にすると予想される要素である。例えば、外が暗い、霧が出ている、太陽光が強い、温度が低い、車両１０のＣＰＵの利用率が高い、車両１０のＣＰＵの温度が高い、雨や雪が降っている、車両１０の周囲に移動体が多い、周囲が平坦、走行時に周期的な衝撃が生じる、突風、及び山道等が含まれる。本実施形態では、不安定要素監視システム１８１は、「検出部」に相当する。

　上記の不安定要素が検出された場合に、車両１０の動作の制御が不安定になる可能性がある。例えば、外が暗い、霧が出ている、及び太陽光が強い場合は、車両１０の自己位置推定や障害物推定に失敗する可能性がある。温度が低い場合は、車両１０のバッテリーの劣化、ジャイロのバイアスが変化し、自動運転の制御に失敗する可能性がある。車両１０のＣＰＵの利用率が高い、及び車両１０のＣＰＵの温度が高い場合は、制御周期が一定でなくなる可能性がある。雨や雪が降っている場合は、マップマッチングの失敗や、摩擦係数が変化することでスリップする可能性がある。車両１０の周囲に移動体が多い、及び周囲が平坦の場合は、マップマッチングに失敗する可能性がある。走行時に周期的な衝撃が生じる場合は、車輪が故障し、走行が不安定になる可能性がある。突風、及び山道の場合、走行が乱れる可能性がある。

　このように不安定要素は、移動体の走行経路等の周囲の環境及び移動体の内部環境等の様々な要因の中で、移動体の自動運転等の自律移動制御の制御性能を低下させる可能性がある要因を指す。不安定要素を、外部環境に関連した不安定要素や内部環境に関連した不安定要素等に分類することも可能である。

　不安定要素監視システム１８１は、本実施形態では、不安定要素を取得された状況情報に基づいて、前記自律移動制御に関する複数の不安定パラメータとして、自己位置ノイズ、路面状況外乱、制御周期不安定、制御遅延、モデル化誤差、定常外乱、及びインパルス外乱にパラメータ分けを行う。

　不安定要素監視システム１８１は、これらの不安定パラメータごとに不安定レベルとして数値化を行う。すなわち、取得された状況情報に基づいて、車両１０の自律移動制御に関する複数の不安定パラメータの各々に対して、不安定レベルを算出する。

　不安定パラメータの具体的な数値化の方法は図７及び図８に後述される。不安定要素監視システム１８１は、検出した不安定要素を示すデータを制御調節部１３６の制御調節システム１８２に供給する。

　ここで、自己位置ノイズとは、検出部１３１から得られる車両１０の状況及び周囲の状況等から車両１０自身がどの位置にどのような姿勢でいるかの推定が正確に検出されなくなる可能性がある不安定要素である。例えば、暗さ、霧、太陽光が強い、雨、雪、車両１０の周囲に移動体が多い、及び周囲が平坦等が自己位置ノイズの原因となる。

　路面状況外乱とは、車外情報検出部１４１から得られる車両１０の走行経路にある路面の環境等によって車両１０の制御が不安定になる可能性がある不安定要素である。例えば、雨、雪、及び路面の凹凸等が路面状況外乱の原因となる。

　制御周期不安定とは、動作制御部１３５による車両１０への制御の周期が一定ではなくなる可能性がある不安定要素である。例えば、車両１０のＣＰＵの利用率が高い、及び車両１０のＣＰＵの温度が高い等が制御周期不安定の原因となる。

　制御遅延とは、動作制御部１３５による車両１０への制御の指令が遅延する可能性がある不安定要素である。例えば、車両１０の周囲に移動体が多い、路面が凹凸している、車両１０のステリング制御、及び車両１０の加減速等の車両１０への制御の指令が複雑になる。複雑な制御の指令を計算することにより、車両１０のＣＰＵの温度が高くなる等が制御遅延の原因となる。

　モデル化誤差とは、行動計画部１６２及び動作計画部１６３から得られる目標経路（数式による運動力学モデル）に車両１０が追従を行う精度が悪くなる可能性がある不安定要素である。例えば、車両１０の車輪がパンク等の故障により、ブレーキの効きが悪くなる等がモデル化誤差の原因となる。

　定常外乱とは、車両１０の自動運転の制御に影響を与える現象が一定に起きており、その現象が車両１０の自動運転の制御を不安定にする可能性がある不安定要素である。例えば、一定の強い横風、及び路面の予想外の摩擦等が定常外乱の原因となる。

　インパルス外乱とは、車両１０の自動運転の制御に影響を与える現象が瞬間的に起き、その現象が車両１０の自動運転の制御を不安定にする可能性がある不安定要素である。例えば、突風、及び山道のように路面の凹凸が一定ではない等がインパルス外乱の原因となる。

　本実施形態では、自己位置ノイズは、自己位置推定に関する不安定レベルに相当する。路面状況外乱は、路面環境に関する不安定レベルに相当する。制御周期不安定は、制御周期に関する不安定レベルに相当する。制御遅延は、制御遅延に関する不安定レベルに相当する。モデル化誤差は、モデル化計算に関する不安定レベルに相当する。定常外乱は、定常外乱に関する不安定レベルに相当する。インパルス外乱は、インパルス外乱に関する不安定レベルに相当する。

　制御調節システム１８２は、不安定要素監視システム１８１により不安定パラメータが数値化された不安定レベルに基づいて、車両１０の自動運転の制御を実行するための複数の制御則を記憶する記憶部１１１から制御則を選択する。すなわち、検出された不安定要素に基づいて、自律移動制御を実行するための制御方法を決定する。

　制御則の具体的な選択方法は図３及び図５に後述する。制御調節システム１８２は、選択した制御則を示すデータを、動作制御部１３５に供給する。本実施形態では、制御調節システム１８２は、「決定部」に相当する。

　制御則は、複数の制御則の各々に対して設定された評価情報に基づいて、実行対象となる制御則が選択される。評価情報とは、複数の制御則の各々の精度レベルと、複数の不安定パラメータに対応する複数の耐性パラメータの各々に関する耐性レベルとを含む。ここで、耐性パラメータとは、不安定要素が検出される状況下でも安定して車両１０の自動運転が制御可能であることを含む。

　耐性パラメータは、不安定パラメータである自己位置ノイズ、路面状況外乱、制御周期不安定、制御遅延、モデル化誤差、定常外乱、及びインパルス外乱に対応して、自己位置ノイズ耐性、路面状況外乱耐性、制御周期ロバスト性、制御遅延耐性、モデル化誤差耐性、定常外乱耐性、及びインパルス外乱耐性にパラメータ分けされる。

　本実施形態では、自己位置ノイズ耐性は、自己位置推定に関する耐性レベルに相当する。路面状況外乱耐性は、路面環境に関する耐性レベルに相当する。制御周期ロバスト性は、制御周期に関する耐性レベルに相当する。制御遅延耐性は、制御遅延に関する耐性レベルに相当する。モデル化誤差耐性は、モデル化計算に関する耐性レベルに相当する。定常外乱耐性は、定常外乱に関する耐性レベルに相当する。インパルス外乱耐性は、インパルス外乱に関する耐性レベルに相当する。

　記憶部１１１は、精度レベルと各耐性パラメータと各耐性レベルとが設定されている複数の制御則を記憶する。本実施形態では、６種類の制御則が記憶される。なお、記憶部１１１の記憶する制御則の数等は限定されない。車両１０の状況及び周囲の状況を想定して、制御則が記憶されてもよい。精度レベルの具体的な説明は図６で後述する。

　図３は、自律走行の制御則の選択処理の一例を示すフローチャートである。図４は、自律走行の制御方法の決定を実行するための機能的な構成例を示すブロック図である。図５は、制御則の精度と安定性の一例を示す図である。

　図３に示すように、車外情報検出部１４１及び車内情報検出部１４２により車両１０の状況に関する状況情報を取得する（ステップ２０１）。不安定要素監視システム１８１は、取得された車両１０の状況情報に基づいて、車両１０の自律移動制御に対する不安定要素を検出し、数値化を行う（ステップ２０２）。

　制御調節システム１８２は、各不安定パラメータに対応する全ての耐性パラメータの耐性レベルが不安定レベル以上である制御則の中から、最も精度が高いものを選ぶ（ステップ２０３）。すなわち、自律移動制御を実行するための複数の制御則を記憶し、記憶された複数の制御則から、実行対象となる制御則が選択される。

　選択された最も精度が高い制御則に基づいて、動作制御部１３５は車両１０の自動運転の制御を変更する（ステップ２０４）。ステップ２０４の次に、車両１０の運転が終了した場合は、図３のフローチャートは終了する。車両１０の走行が継続される場合は、ステップ２０１に戻り、車両１０の状況及び周囲の状況を取得する。すなわち、検出された不安定要素に基づいて、実行対象となる制御則を動的に変更する。これにより、車両１０の状況及び周囲の状況の変化に対応し、制御則を動的に変化させ、制御精度を向上させることが可能となる。

　図３のフローチャートを実行するための構成例は、図４に示すように、制御調節部１４０と自己位置推定１３７と制御指令値計算１３８と車両駆動１３９とにより構成される。

　自己位置推定１３７は、車両１０の自己位置を推定するための機能的な構成を示しており、自己位置推定１３７内に、外界センサ１９０と地図データ１９１と自己位置推定部１９２とが図示されている。

　外界センサ１９０は、図２に示すデータ取得部１０２と車外情報検出部１４１とに相当する。外界センサ１９０は、ステップ２０１の処理である、車両１０の周囲の状況の測定を行う。外界センサ１９０に相当するセンサは、データ取得部１０２の種々のセンサの中で、ＴｏＦ（Time Of Flight）カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ、その他のカメラ等の撮像装置、雨滴センサ、霧センサ、日照センサ、雪センサ、超音波センサ、レーダ、及びＬｉＤＡＲ（Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging）等を含む。

　地図データ１９１は、図２に示す記憶部１１１とマップ解析部１５１とに相当する。地図データ１９１は、各種の地図データを記憶し、自己位置推定部に地図データを供給する。

　自己位置推定部１９２は、外界センサ１９０から測定される車両１０の周囲の状況と内界センサ１９５から測定される車両１０の状況と地図データ１９１とを照合することにより、車両１０の自己位置を推定する。すなわち、取得された状況情報に基づいて、車両１０の位置及び姿勢を推定する。外界センサ１９０は、測定した車両１０の周囲の状況を示すデータを不安定要素監視システム１９８に供給する。

　制御指令値計算１３８は、図２に示す駆動系制御部１０７と計画部１３４とに相当する。制御指令値計算１３８は、車両１０の自律走行の制御指令値を計算するための機能的な構成を示している。すなわち、車両１０の自律移動制御を実行するための制御方法として、算出される制御値の算出方法を決定する。制御指令値計算１３８内に、ステアリング制御部１９４と速度制御部１９３とが図示されている。

　制御指令値は、自己位置推定部１９２及び制御調節システム１９９から得られる車両１０の状況情報及び目標経路のデータに基づいて、目標経路に追従する車両１０を駆動させるための目標速度と目標ステアリング角度とを算出した値を含む。すなわち、車両１０のステアリング制御に関する制御値、及び速度制御に関する制御値が算出される。

　制御指令値計算１３８は、自己位置推定部１９２、内界センサ１９５、目標指令値、及び制御調節システム１９９のデータ又は信号に基づいて、ステアリング制御部１９４及び速度制御部１９３は車両１０のステアリング制御及び速度制御を行う。すなわち、推定された車両１０の位置及び姿勢と取得された目標経路とに基づいて、車両１０を駆動させるための制御値を算出し、駆動制御部に出力する。つまり、車両１０の目標経路が取得され、車両１０の位置姿勢情報と制御調節システム１９９に選択された制御則とに従って、車両１０を目標経路に追従させるように、車両１０のステアリング角度と加減速が計算される。ここで、目標指令値とは、車両１０が目的地に向かうための速度、位置、軌道等を含む。

　ここで、内界センサ１９５は、図２に示すデータ取得部１０２と車内情報検出部１４２と車両状態検出部１４３とに相当する。内界センサ１９５は、車両１０の状況の測定を行う。内界センサ１９５に相当するセンサは、ジャイロセンサ、加速度センサ、慣性計測装置（ＩＭＵ）、及び、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数、モータ回転数、若しくは、車輪の回転速度等を検出するためのセンサ等を含む。

　速度制御部１９３は、図２に示す加減速制御部１７２に相当する。速度制御部１９３は、目標速度で車両１０を走行させるために必要なアクセル及びブレーキの開度を算出する。速度制御部１９３は、計算されたアクセル及びブレーキの開度を示すデータをアクセル／ブレーキ部１９６に供給する。

　ステアリング制御部１９４は、図２に示す方向制御部１７３に相当する。ステアリング制御部１９３は、目標経路に車両１０を沿わせるために必要なステアリングの角度をリアルタイムに算出する。ステアリング制御部１９４は、計算されたステアリングの角度を示すデータをステアリングアクチュエータ部１９７に供給する。

　車輪駆動１３９は、図２に示す駆動系制御部１０７と駆動系システム１０８とボディ系制御部１０９とボディ系システム１１０とに相当する。車輪駆動１３９は、車両１０の自律走行制御の制御指令値を実行し、車両１０の駆動を制御するための機能的な構成を示しており、車輪駆動１３９内に、ステアリングアクチュエータ部１９７とアクセル／ブレーキ部１９６とが図示されている。

　車輪駆動１３９は、車両１０、内界センサ１９５、アクセル／ブレーキ部１９６、及びステアリングアクチュエータ部１９７を有する。速度制御部１９３及びステアリング制御部１９４により計算されたデータはアクセル／ブレーキ部１９６及びステアリングアクチュエータ部１９７に供給され、車両１０は計算されたステアリング角度及び加減速で制御される。

　アクセル／ブレーキ部１９６は、図２に示す駆動系システム１０８に相当し、速度制御部１９３の算出結果に基づいて、車両１０のアクセル／ブレーキを調節し、目標速度に合わせるように車両１０の速度を調節する。

　ステアリングアクチュエータ部１９７は、図２に示す駆動系システム１０８に相当し、ステアリング制御部１９４の算出結果に基づいて、車両１０のステアリングを算出された角度に合わせるためにステアリングトルクを調節する。

　内界センサ１９５が制御される車両１０の状態を取得し、データを自己位置推定、不安定要素監視システム１９８、制御指令値計算１３８に供給する。

　制御調節１４０は、図２に示す制御調節部１３６に相当する。車両１０の動作の制御を調節するための機能的な構成を示しており、制御調節部１４０内に、不安定要素監視システム１９８と制御調節システム１９９とが図示されている。

　不安定要素監視システム１９８は、図２に示す不安定要素監視システム１８１に相当する。不安定要素監視システム１９８は、ステップ２０２の処理である、外界センサ１９０及び内界センサ１９５等のデータ又は信号に基づいて、車両１０の自動運転の制御を不安定にすると予測される不安定要素を検出し、数値化する。不安定要素は自己位置ノイズ、路面状況外乱、制御周期不安定、制御遅延、モデル化誤差、定常外乱、及びインパルス外乱に不安定パラメータとしてパラメータ分けされる。

　不安定パラメータは、車両１０の自動運転の制御を不安定にすると予測される度合いを示す不安定レベルとして数値化される。本実施形態では、不安定レベルは、１～１０の段階に分けられる。

　例えば、自己位置ノイズが「１」の場合は、雨等の自己位置のノイズが少なく車両１０の位置が僅かに分かりづらくなる可能性がある。自己位置ノイズが「１０」の場合は、自己位置のノイズが大きく車両１０の位置がほぼ分からない状態になる可能性がある。

　路面状況外乱が「１」の場合は、路面の凹凸等が少ない等の車両１０の制御が僅かに不安定になる可能性がある。路面状況外乱が「１０」の場合は、路面の凹凸等が多い等の車両１０の制御が大きく不安定になる可能性がある。

　制御周期不安定が「１」の場合は、車両１０のＣＰＵ使用率が高くなる等の車両１０の制御周期が僅かに不安定になる可能性がある。制御周期不安定が「１０」の場合は、車両１０のＣＰＵ使用率が１００％近くになる等の車両１０の制御周期が大きく不安定になる可能性がある。

　制御遅延が「１」の場合は、制御遅延が少し遅れ車両１０の制御が僅かに遅延する可能性がある。制御遅延が「１０」の場合は、制御遅延が大きく遅れ車両１０の制御が大きく遅れる状態になる可能性がある。

　モデル化誤差が「１」の場合は、車両１０の故障等が車両１０の制御に与える影響が少なく車両１０の制御が僅かに不安定になる可能性がある。モデル化誤差が「１０」の場合は、車両１０の故障等が車両１０の制御に与える影響が大きく車両１０の制御が大きく不安定になる可能性がある。

　定常外乱が「１」の場合は、一定の外乱が弱く車両１０の制御が僅かに不安定になる可能性がある。定常外乱が「１０」の場合は、一定の外乱が強く車両１０の制御が大きく不安定状態になる可能性がある。

　インパルス外乱が「１」の場合は、瞬間的な外乱が弱く車両１０の制御が僅かに不安定になる可能性がある。インパルス外乱が「１０」の場合は、瞬間的な外乱が強く車両１０の制御が大きく不安定状態になる可能性がある。

　なお、不安定レベルの数値及び数値に応じた段階等は限定されない。例えば、１～１０以外の数値、もしくは、アルファベットで段階分けされてもよい。

　不安定要素監視システム１９８は、検出された不安定要素を数値化した不安定レベルを示すデータを制御調節システム１９８に供給する。

　制御調節システム１９９は、図２に示す制御調節システム１８２に相当する。制御調節システム１９９は、ステップ２０３である、不安定要素監視システム１９８により不安定パラメータが数値化された不安定レベルに基づいて、車両１０の自動運転の制御を実行するための制御則を選択する。この選択された制御則のデータを制御指令値計算１３８に供給する。

　耐性パラメータは、車両１０の制御を不安定にする可能性と予測される度合いである不安定レベルに対して、どれくらい車両１０の制御を安定させることができるかを示す。耐性パラメータは、車両１０の制御を安定させる度合いである耐性レベルとして数値化される。本実施形態では、耐性レベルは、１～１０の段階に分けられる。

　例えば、自己位置ノイズ耐性が「１」の場合、自己位置ノイズが２～１０のときは、車両１０の制御を安定させることができない。自己位置ノイズ耐性が「１０」の場合、自己位置ノイズが１～１０の値でも、車両１０の制御を安定させることができる。

　路面状況外乱耐性が「１」の場合、路面状況外乱が２～１０のときは、車両１０の制御を安定させることができない。路面状況外乱耐性が「１０」の場合、路面状況外乱が１～１０の値でも、車両１０の制御を安定させることができる。

　制御周期ロバスト性が「１」の場合、制御周期不安定が２～１０のときは、車両１０の制御を安定させることができない。制御周期ロバスト性が「１０」の場合、制御周期不安定が１～１０の値でも、車両１０の制御を安定させることができる。

　制御遅延耐性が「１」の場合、制御遅延が２～１０のときは、車両１０の制御を安定させることができない。制御遅延耐性が「１０」の場合、制御遅延が１～１０の値でも、車両１０の制御を安定させることができる。

　モデル化誤差耐性が「１」の場合、モデル化誤差が２～１０のときは、車両１０の制御を安定させることができない。モデル化誤差耐性が「１０」の場合、モデル化誤差が１～１０の値でも、車両１０の制御を安定させることができる。

　定常外乱耐性が「１」の場合、定常外乱が２～１０のときは、車両１０の制御を安定させることができない。定常外乱耐性が「１０」の場合、定常外乱が１～１０の値でも、車両１０の制御を安定させることができる。

　インパルス外乱耐性が「１」の場合、インパルス外乱が２～１０のときは、車両１０の制御を安定させることができない。インパルス外乱耐性が「１０」の場合、インパルス外乱が１～１０の値でも、車両１０の制御を安定させることができる。

なお、耐性レベルの数値及び数値に応じた段階等は限定されない。例えば、１～１０以外の数値、もしくは、アルファベットで段階分けされてもよい。また、本実施形態では、耐性レベルが不安定レベルと同一の場合、車両１０の自動運転は安定に制御される。

　制御則は、図５に示すように、車両１０の自動運転の制御の精度と不安定パラメータに対応した耐性パラメータの耐性レベルに基づいて選択される。例えば、耐性レベルが不安定レベルよりも小さい場合は、その制御則は検出された不安定要素に対して安定した車両１０の制御ができないので、その制御則は選択されない。

　ここで精度とは、精度レベルのことを指し、本実施形態では、１～１０の段階に分けられる。例えば、精度が「１０」の場合は、車両１０は目標経路及び目標速度等に正確に追従することが可能である。精度が「１」の場合は、車両１０は目標経路及び目標速度等に非常に粗く追従する。

　なお、精度の数値及び数値に応じた段階等は限定されない。例えば、１～１０以外の数値、もしくは、アルファベットで段階分けされてもよい。

　以下、図５を参照して、ステップ２０３の処理である制御則の選択方法の具体例について説明する。なお、本実施形態では、全ての各耐性レベルが全ての対応する各不安定レベルを上回る複数の制御則の中で精度が最も高い制御則が選択される。

　本実施形態では、複数の制御則は、ＳＤＲＥ（State Dependent Riccati Equation）制御である制御則１、ＬＱＲ（Linear Quadratic Regulator）制御である制御則２、Ｈ∞（H-infinity control theory）制御である制御則３、適応制御である制御則４、及びゲインが高く設定されたＰＩＤ制御である制御則５、及びゲインが低く設定されたＰＩＤ制御である制御則６がある。これらの制御則の具体的な耐性レベルを以下説明する。

　例えば、制御則１（ＳＤＲＥ（State Dependent Riccati Equation））は、精度が「１０」、自己位置ノイズ耐性が「３」、路面状況外乱耐性が「５」、制御周期ロバスト性が「２」、制御遅延耐性が「５」、モデル化誤差耐性が「７」、定常外乱耐性が「４」、インパルス外乱耐性が「３」である。

　制御則１が選択される状況は、例えば、自己位置ノイズが「２」、路面状況外乱が「４」、制御周期不安定が「１」、制御遅延が「４」、モデル化誤差が「７」、定常外乱が「３」、インパルス外乱が「１」とする。この場合、制御則１と制御則４と制御則６とが選択される候補に挙がるが、精度が高い制御則１が選択される。

　制御則２（ＬＱＲ（Linear Quadratic Regulator））は、精度が「９」、自己位置ノイズ耐性が「５」、路面状況外乱耐性が「５」、制御周期ロバスト性が「３」、制御遅延耐性が「６」、モデル化誤差耐性が「４」、定常外乱耐性が「６」、インパルス外乱耐性が「５」である。

　制御則２が選択される状況は、例えば、自己位置ノイズが「２」、路面状況外乱が「４」、制御周期不安定が「３」、制御遅延が「４」、モデル化誤差が「３」、定常外乱が「３」、インパルス外乱が「４」とする。この場合、制御則２と制御則６が選択される候補に挙がるが、精度が高い制御則２が選択される。

　制御則３（Ｈ∞（H-infinity control theory））は、精度が「８」、自己位置ノイズ耐性が「４」、路面状況外乱耐性が「４」、制御周期ロバスト性が「１」、制御遅延耐性が「１」、モデル化誤差耐性が「４」、定常外乱耐性が「５」、インパルス外乱耐性が「８」である。

　制御則３が選択される状況は、例えば、自己位置ノイズが「４」、路面状況外乱が「４」、制御周期不安定が「１」、制御遅延が「１」、モデル化誤差が「３」、定常外乱が「４」、インパルス外乱が「８」とする。この場合、制御則３と制御則６が選択される候補に挙がるが、精度が高い制御則３が選択される。

　制御則４（適応制御）は、精度が「７」、自己位置ノイズ耐性が「８」、路面状況外乱耐性が「１０」、制御周期ロバスト性が「３」、制御遅延耐性が「６」、モデル化誤差耐性が「１０」、定常外乱耐性が「９」、インパルス外乱耐性が「１」である。

　制御則４が選択される状況は、例えば、自己位置ノイズが「５」、路面状況外乱が「３」、制御周期不安定が「１」、制御遅延が「３」、モデル化誤差が「９」、定常外乱が「４」、インパルス外乱が「１」とする。この場合、制御則４と制御則６が選択される候補に挙がるが、精度が高い制御則４が選択される。

　制御則５（ＰＩＤ（Proportional Integral Differential Controller）Ｈｉｇｈゲイン）は、精度が「５」、自己位置ノイズ耐性が「６」、路面状況外乱耐性が「７」、制御周期ロバスト性が「４」、制御遅延耐性が「３」、モデル化誤差耐性が「５」、定常外乱耐性が「９」、インパルス外乱耐性が「５」である。

　制御則５が選択される状況は、例えば、自己位置ノイズが「４」、路面状況外乱が「４」、制御周期不安定が「３」、制御遅延が「２」、モデル化誤差が「３」、定常外乱が「７」、インパルス外乱が「４」とする。この場合、制御則５と制御則６が選択される候補に挙がるが、精度が高い制御則５が選択される。

　制御則６（ＰＩＤＬｏｗゲイン）は、精度が「２」、自己位置ノイズ耐性が「１０」、路面状況外乱耐性が「１０」、制御周期ロバスト性が「１０」、制御遅延耐性が「１０」、モデル化誤差耐性が「１０」、定常外乱耐性が「１０」、インパルス外乱耐性が「１０」である。

　制御則６が選択される状況は、例えば、自己位置ノイズが「４」、路面状況外乱が「２」、制御周期不安定が「７」、制御遅延が「６」、モデル化誤差が「７」、定常外乱が「６」、インパルス外乱が「１０」とする。この場合、制御則１～５は設定された耐性パラメータのいずれか１つ以上が不安定レベルを下回っているので、制御則６が選択される。

　なお、制御則の内容、実行可能な制御則を選択する方法、及び耐性パラメータの設定方法等はこれに限定されず、任意に設定されてよい。例えば、車両１０に搭載されるセンサ２０の種類及び数に基づいて、設定される耐性レベルを変更してもよい。すなわち、外界センサの種類及び数に基づいて、複数の不安定パラメータに対応する複数の耐性パラメータの各々に関する耐性レベルを算出する。

　例としては、ＬｉＤＡＲのみでは、大草原のような特徴点がない状況では自己位置ノイズ耐性が低くなる。レーダのみでは、強い明かりや大草原のような特徴点がない状況では自己位置ノイズ耐性が低くなる。カメラのみでは、周囲が暗いと自己位置ノイズ耐性が低くなる。

　車両１０に搭載されるセンサ２０の種類及び数に基づいて、耐性レベルが変更される以外にもセンサ２０の種類及び数に応じた専用の制御則を設定してもよい。これにより、センサの一部が故障しても、その状況情報に適した制御則が選択されることが可能となる。

　なお、図５に示されている精度、自己位置ノイズ耐性、路面状況外乱耐性、制御周期ロバスト性、制御遅延耐性、モデル化誤差耐性、定常外乱耐性、及びインパルス外乱耐性以外の任意のアルゴリズムが採用されてもよい。

　制御則が選択された後に、車両１０の状況及び周囲の状況に基づいて、他の制御則に切り替えてもよい。例えば、非連続的に制御則を切替えてもよいし、線形的に制御則を徐々に変化させてもよい。

　また、上記の制御則の選択方法以外の例として、車両１０が特定の場面で走行している時に、専用の制御則もしくは専用の制御則の選択方法を設定してもよい。

　第１の例として、車両１０が駆動開始した（走行し始めた）場合は、初速度が低いため、全ての耐性レベルが高い制御則６（ＰＩＤＬｏｗゲイン）が選択される。すなわち、取得された車両１０の状況情報である駆動状態が算出され、車両１０の駆動開始時には、複数の制御則から、ゲインが低く設定されたＰＩＤ制御が選択される。

　第２の例として、夜間の時間帯の場合、周囲が暗いため、自己位置ノイズ耐性が高い制御則６（ＰＩＤＬｏｗゲイン）が選択される。すなわち、取得された状況情報である時間情報が算出され、夜間の時間帯には、複数の制御則から、自己位置推定に関する耐性レベルが高い制御則が選択される。

　第３の例として、雨天の場合、周囲の見通しが悪く、路面の摩擦も変わるため、自己位置ノイズ耐性及び路面状況外乱耐性が高い制御則４（適応制御）が選択される。すなわち、取得された状況情報である天候に関する情報が算出され、雨天の場合には、複数の制御則から、自己位置推定に関する耐性レベル、及び路面環境に関する耐性レベルが高い制御則が選択される。

　第４の例として、逆光状態の場合、周囲の見通しが悪く、瞬間的な外乱であるため、自己位置ノイズ耐性が及びインパルス外乱耐性が高い制御則３（Ｈ∞）が選択される。すなわち、取得された状況情報である移動体に対する光の照射状態に関する情報が算出され、逆光状態である場合には、複数の制御則から、自己位置推定に関する耐性レベル、及びインパルス外乱に関する耐性レベルが高い制御則が選択される。

　もちろん、上記だけではなく、車両１０の様々な状況及び周囲の状況に合わせて専用の制御則もしくは専用の制御則の選択方法を設定してもよい。

　図６は、自動運転の制御における安定性を示す図である。図６Ａは、車両１０の自動運転の制御が安定している状態を示す図である。図６Ｂは、車両１０の自動運転の制御が不安定の状態を示す図である。

　自動運転の制御によって、車両１０が設定された目標経路及び目標速度に追従される。この際に、不安定要素によって自動運転の制御が不安定になる。例えば、図６Ａの場合、車両１０の自動運転の制御が安定しており、実線の目標速度に沿って、破線の車両１０の速度が追従している。

　以下では、図６Ａに示すように、車両１０の目標速度及び目標経路に対して正確に追従させる制御則を精度が高いと記載する場合がある。また、図６Ｂに示すように、車両１０の目標速度及び目標経路に対して追従が粗い場合は、精度が低いと記載する場合がある。つまり、本実施形態では、精度が高いことは精度レベルの数値が大きいことを意味する。

　図６Ａの場合は、車両１０の状況及び周囲の状況に不安定要素が存在しない、もしくは、不安定レベルが小さく、精度の高い制御則を選択できていることを意味する。例えば、図５に示すように、車両１０がモデル化誤差の不安定レベルが低い故障をした場合に、制御則１が選択されていることが挙げられる。

　図６Ｂの場合、不安定要素により車両１０の自動運転の制御が不安定であり、実線の目標速度に対して、破線の車両１０の速度が追従できていない。このような状態は、例えば、車両１０の車輪がパンクしており、ＩＭＵ（Inertial Measurement Unit）等の車輪の速度が正確に検出できない等のモデル化誤差が原因として挙げられる。

　制御が不安定になることの例として、車両１０が街中を時速４０ｋｍで走行しているとする。この時に、車両１０のＣＰＵ利用率が高く、制御周期が乱れる場合を考える。通常時の車両１０の制御周期が毎秒１０００回とすると、一周期で車両１０は１ｃｍ動いていることになる。制御周期が乱れ、毎秒８００回になった場合、車両１０の制御が２００ｃｍずれる。当然、車両１０の速度が上がるほど車両１０の制御は大きくずれることとなる。

　このような制御が不安定になることを未然に防ぐために、不安定要素監視システム１９８は、制御を不安定にする可能性がある不安定要素を検出する。検出された不安定要素と直接的に制御を不安定にする要因との相関性を予め算出しておくことで、検出された不安定要素が車両１０の自動運転の制御にどれくらいの影響を与えるかをこれ予測することができる。これにより、制御調節システム１８２は、制御が不安定になる前に制御則を切替える。

　以下、図７及び図８を参照し、不安定要素の数値化を行う方法を具体的に説明する。

　図７は、自動運転の制御を不安定にする要素を示す図である。図８は、自動運転の制御を不安定にする要素との相関性を示す図である。

　図７は、車両１０の自動運転の制御に対して、制御指令値計算１３８が直接不安定になる要因（以下、直接要因と記す）と、直接要因を生み出す要素である不安定要素が示されている。

　不安定要素は、車両１０の状況及び周囲の状況の全てを含めたシステム全体から、不安定要素監視システム１９８により検出される。直接制御指令値計算１３８に影響を与えないが、直接要因を生み出す原因となる。

　直接要因は、車両１０の自己位置、制御周期、及び外乱等の車両１０の自動運転の制御指令値計算１３８に直接影響を与え、制御を不安定にする要因である。不安定要素と直接要因との相関を予め設定しておくことによって、直接要因が発生する可能性を不安定要素が検出されることによって予測することが可能となる。

　例えば、図６に示すように、車外情報検出部１４１により車両１０の周囲に移動体が多いと検出された場合、既存の地図データとマッチングしにくいので、自己位置にノイズが入る。これにより、自己位置が正確に出なくなり、目標速度等に追従できず、車両１０の速度は振動してしまう（図６Ｂ参照）。この結果、車両１０の自動運転の制御は不安定になる。

　図８の場合に、移動体の数をＡとし、自己位置ノイズの値をＢとおく。このＡとＢとの相関性を予め実験及びシミュレーション等で計算することにより、Ｂが検出される前に、Ａを検出することで、Ｂの発生を予測することができる。

　例えば、カメラの視野の８０％が移動体の場合は、移動体の数Ａが観測した点群データにおける移動体の割合は８０％となる。その時に、予めに行った実験（例えば、自己位置の推定共分散行列のトレース等）により、自己位置ノイズの値Ｂが分かっていたとすると、ＡとＢの相関性が求まる。

　実際に車両１０が走行しているときにＡが検出された場合、車両１０の自動運転の制御がどのくらい不安定になるかがＡとＢとの相関性から算出され、車両１０の自動運転の制御が不安定になる前に適切な制御則の選択が行うことが可能となる。

　なお、不安定要素の種類や直接要因との相関性はこれに限定されない。不安定要素は自己位置ノイズ、路面状況外乱、制御周期不安定、制御遅延、モデル化誤差、定常外乱、及びインパルス外乱以外の車両１０の自動運転の制御を不安定にする要因であってもよい。また、不安定要素と直接要因との相関性もゲイン余裕や位相余裕等の値から安定性を評価してもよい。

　上記の制御則の選択方法以外の例を図９～図１２等を参照して、具体的に説明する。

　図９は、制御則の選択方法の一例を示す図である。図１０は、選択される制御則の一例を示す図である。図１１は、制御則の選択方法の他の例を示す図である。図１２は、制御則の選択する際の評価を示す図である。

　以下、全ての各耐性レベルが全ての対応する各不安定レベルを上回る制御則の中で精度が最も高い制御則が選択される方法以外に、不安定レベル、耐性レベル、及び精度に重み付けをし、所定の計算を行い、点数が最も高い制御則が選択される方法を図９～図１２を参照して、具体的に説明する。

　図９は、制御則の点数を計算するための式と各変数とが図示されている。精度重みをｗａ（ｗｅｉｇｈｔ＿ａｃｃｕｒａｃｙ）、耐性レベル重みをｗｔｉ（ｉ－ｔｈｗｅｉｇｈｔ＿ｔｏｌｅｒａｎｃｅ）、制御則の精度をａ（ａｃｃｕｒａｃｙ）、制御則のｉ番目の耐性レベルをｔｉ（ｉ－ｔｈｔｏｌｅｒａｎｃｅ）、現在のｉ番目の不安定レベルをｎｌｉ（ｉ－ｔｈｎｏｉｓｅ＿ｌｅｖｅｌ）とおく。制御則の点数は以下の式で表される。
　点数＝ａ×ｗａ＋Σｉ｛（ｔｉ－ｎｌｉ）×ｗｔｉ｝

　ここで、精度重み及び耐性レベル重みの値は、数値が大きい方が車両１０の自動運転の制御として求められる要素が大きいことを意味する。つまり、ｗａ＜ｗｔｉの場合は、精度よりも自己位置ノイズ耐性を重要視している。

　制御則のｉ番目の耐性レベルとは、ｉ＝１のとき自己位置ノイズ耐性、ｉ＝２のとき路面状況外乱耐性、ｉ＝３のとき制御周期ロバスト性、ｉ＝４のとき制御遅延耐性、ｉ＝５のとき定常外乱耐性、及びｉ＝６のときインパルス外乱耐性のことである。

　現在のｉ番目の不安定レベルとは、ｉ＝１～６のときの耐性パラメータに応じた不安定パラメータである。つまり、ｉ＝１のとき自己位置ノイズ、ｉ＝２のとき路面状況外乱、ｉ＝３のとき制御周期不安定、ｉ＝４のとき制御遅延、ｉ＝５のとき定常外乱、及びｉ＝６のときインパルス外乱のことである。

　図１０は、制御則１と制御則２との精度と自己位置ノイズ耐性、及び各制御則の点数計算が図示されている。制御則１及び制御則２の精度と耐性レベルで、図９の式に代入を行うと、制御則１の精度（ａ）「１０」、自己位置ノイズ耐性（ｔｉ）「３」、制御則２の精度（ａ）「５」、及び自己位置ノイズ耐性（ｔｉ）「８」を代入する。ここで、現在の自己位置ノイズの不安定レベル（ｎｌｉ）を「５」、精度重み（ｗａ）を「３」、及び耐性レベル重み（ｗｔｉ）を「１０」とし、代入を行うと、制御則１及び制御則２の点数は以下の式で表される。

　制御則１の点数＝１０×３＋（３－５）×１０＝１０
　制御則２の点数＝５×３＋（８－５）×１０＝４５

　制御則１及び２の点数計算の結果により、点数の高い制御則２が選択される。なお、点数の計算方法、精度重み、及び耐性レベル重み等は、車両１０の走行時の状況及び周囲の状況等に基づいて、自由に設定されてよい。例えば、激しい雨と突風とが検出されている場合に、自己位置ノイズ耐性及びインパルス外乱耐性の耐性レベル重みを大きくしてもよい。

　また、図１１に示すように、制御則の点数を以下の式で表してもよい。
　点数＝ａ×ａｒｃｔａｎ（Ｃａ×ｗａ）＋Σｉ｛ａｒｃｔａｎ（Ｃｔ×（ｔｉ－ｎｌｉ））×ｗｔｉ｝

　ここで、Ｃａ及びＣｔは、Ａｒｃｔａｎ関数を調節するための定数である。この式は、図９に示す式の値が大きく成り過ぎるのをＡｒｃｔａｎ関数により抑えることを可能とする式である。点数計算の式に用いられるＡｒｃｔａｎ関数のグラフが図１２である。

　図１２は、ｘ軸は耐性レベル及びｙ軸は点数を示す。図１２に示すように、ｘの絶対値が大きくなるほど、ｙの値は一定になっていく。例えば、不安定レベルが非常に小さいとき（０に近いとき）、耐性レベル（ｘ）が５以上なら、十分に車両１０の自動運転の制御を安定させることが可能とする。Ａｒｃｔａｎ関数を用いることで５～１０のノイズ耐性についての点数（ｙ）を略同じ値にすることが可能となる。これにより、制御則の点数を車両１０の状況及び周囲の状況に合わせることで、車両１０の自動運転の制御精度を向上させることが可能となる。

　なお、制御則の数及び選択方法はこれに限定されない。想定される車両１０の状況及び周囲の状況に基づいて、適した制御則が設定され、選択されてもよい。

　以上、本実施形態に係る車両１０では、車両１０の外部及び車内の情報に基づいて、車両１０の自律移動制御に対する不安定要素が検出される。検出された不安定要素に基づいて、自律移動制御を実行するための制御方法が決定される。これにより、自律移動制御の安定性を向上させることが可能となる。

　＜その他の実施形態＞
　本技術は、以上説明した実施形態に限定されず、他の種々の実施形態を実現することができる。

　上記では、複数の制御則から実行対象となる制御則が選択された。しかし、車両１０の自律移動制御を実行するための制御方法はこれに限定されない。車両１０の自律移動制御を実行するための制御パラメータが決定されてもよい。例えば、ＰＩＤ制御のゲインが高いほど精度が高くなるが制御の安定性は低くなるため、ＰＩＤ制御のゲインを不安定レベルに応じて定めて、制御則を無限個の連続的な値として取り扱ってもよい。すなわち、車両１０の自律移動制御を実行するためのＰＩＤ制御のゲインを調整してもよい。本実施形態では、ＰＩＤ制御のゲインは、前記自律移動制御を実行するための制御パラメータに含まれる。

　また、制御則が１つだけの場合でもよい。例えば、算出された不安定レベルに基づいて、１つしかない制御則の耐性レベル等が変更されるように制御パラメータが決定されてもよい。また、取得された車両１０の状況に関する状況情報の変化に基づいて、制御パラメータが動的に変更されてもよい。

　もちろん、車両１０の自律移動制御を実行するための制御方法は、複数の制御則から実行対象となる制御則が選択される方法と、制御パラメータが決定される方法とが組み合わされてもよい。

　上記の実施形態では、車両に自動運転が用いられる場合を例に挙げた。本技術は、ドローン及び室内ロボット等の制御を行うシステム全般にも適用可能である。すなわち、移動体は、自律移動制御が可能な車両、ドローン、及びロボットである。

　例えば、ドローン等のような空を飛ぶ機体は、気流の影響を強く受けるため、突風が吹きやすい状況下や雨天時、霧で周りが見えない、及び気温が低い等が不安定要素として考えられる。これらの状況に適した制御則を設定し、選択されてもよい。

　また、例えば、室内ロボット等の場合は、床がカーペット等で滑りやすいため急な速度の変更を控えるような制御、もしくは、滑っても安定な制御を用いてもよい。

　上記の実施形態では、記憶部により、複数の制御則が予め設定されて記憶された。これに限定されず、例えば、移動体の様々な状況情報を想定した制御則が、ネットワークを介してサーバ等にアップロードされ、その制御則が選択されてもよい。サーバ等に制御則を記憶させることで、移動体の処理負荷等を抑制することが可能となる。

　また移動体に搭載されたコンピュータ（自動運転制御部）と、ネットワーク等を介して通信可能な他のコンピュータ（クラウドサーバ）とが連動することで、本技術に係る情報処理方法、及びプログラムが実行され、本技術に係る移動体、及び情報処理装置が構築されてもよい。

　すなわち本技術に係る情報処理方法、及びプログラムは、単体のコンピュータにより構成されたコンピュータシステムのみならず、複数のコンピュータが連動して動作するコンピュータシステムにおいても実行可能である。なお、本開示において、システムとは、複数の構成要素（装置、モジュール（部品）等）の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、１つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている１つの装置は、いずれもシステムである。

　コンピュータシステムによる本技術に係る情報処理方法、及びプログラムの実行は、例えば、移動体の状況に関する状況情報の取得、移動体の自律移動制御に対する不安定要素の検出、記憶された複数の制御則から、実行対象となる制御則の選択等が、単体のコンピュータにより実行される場合、及び各処理が異なるコンピュータにより実行される場合の両方を含む。また所定のコンピュータによる各処理の実行は、当該処理の一部または全部を他のコンピュータに実行させその結果を取得することを含む。

　以上説明した本技術に係る特徴部分のうち、少なくとも２つの特徴部分を組み合わせることも可能である。すなわち各実施形態で説明した種々の特徴部分は、各実施形態の区別なく、任意に組み合わされてもよい。また上記で記載した種々の効果は、あくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果が発揮されてもよい。

　なお、本技術は以下のような構成も採ることができる。
（１）移動体の状況に関する状況情報を取得する取得部と、
　前記取得された状況情報に基づいて、前記移動体の自律移動制御に対する不安定要素を検出する検出部と、
　前記検出された不安定要素に基づいて、前記自律移動制御を実行するための制御方法を決定する決定部と
　を具備する移動体。
（２）（１）に記載の移動体であって、さらに、
　前記自律移動制御を実行するための複数の制御則を記憶する記憶部を具備し、
　前記決定部は、前記記憶された複数の制御則から、実行対象となる制御則を選択する
　移動体。
（３）（２）に記載の移動体であって、
　前記決定部は、前記検出された不安定要素に基づいて、前記実行対象となる制御則を動的に変更する
　移動体。
（４）（２）又は（３）に記載の移動体であって、
　前記複数の制御則は、ＳＤＲＥ（State Dependent Riccati Equation）制御、ＬＱＲ（Linear Quadratic Regulator）制御、Ｈ∞（H-infinity control theory）制御、適応制御、ゲインが低く設定されたＰＩＤ制御、及びゲインが高く設定されたＰＩＤ制御の少なくとも１つを含む
　移動体。
（５）（２）から（４）のうちいずれか１つに記載の移動体であって、
　前記検出部は、前記取得された状況情報に基づいて、前記自律移動制御に関する複数の不安定パラメータの各々に対して、不安定レベルを算出する
　移動体。
（６）（５）に記載の移動体であって、
　前記複数の不安定パラメータは、自己位置推定に関する不安定レベル、路面環境に関する不安定レベル、制御周期に関する不安定レベル、制御遅延に関する不安定レベル、モデル化計算に関する不安定レベル、定常外乱に関する不安定レベル、及びインパルス外乱に関する不安定レベルの少なくとも１つを含む
　移動体。
（７）（５）又は（６）に記載の移動体であって、
　前記決定部は、前記複数の制御則の各々に対して設定された評価情報に基づいて、前記実行対象となる制御則を選択する
　移動体。
（８）（７）に記載の移動体であって、
　前記評価情報は、前記複数の制御則の各々の精度レベルと、前記複数の不安定パラメータに対応する複数の耐性パラメータの各々に関する耐性レベルとを含む
　移動体。
（９）（８）に記載の移動体であって、
　前記複数の耐性パラメータは、自己位置推定に関する耐性レベル、路面環境に関する耐性レベル、制御周期に関する耐性レベル、制御遅延に関する耐性レベル、モデル化計算に関する耐性レベル、定常外乱に関する耐性レベル、及びインパルス外乱に関する耐性レベルの少なくとも１つを含む
　移動体。
（１０）（１）から（９）のうちいずれか１つに記載の移動体であって、さらに、
　前記移動体の駆動を制御する駆動制御部と、
　前記取得された状況情報に基づいて、移動体の位置及び姿勢を推定する推定部と、
　前記移動体の目標経路を取得する経路取得部と、
　前記推定された前記移動体の位置及び姿勢と前記取得された目標経路とに基づいて、前記移動体を駆動させるための制御値を算出し、前記駆動制御部に出力する算出部と
　を具備し、
　前記決定部は、前記自律移動制御を実行するための制御方法として、前記算出部による前記制御値の算出方法を決定する
　移動体。
（１１）（１）から（１０）のうちいずれか１つに記載の移動体であって、
　前記決定部は、前記自律移動制御を実行するための制御パラメータを決定する
　移動体。
（１２）（１１）に記載の移動体であって、
　前記決定部は、前記自律移動制御を実行するためのＰＩＤ制御のゲインを調整する
　移動体。
（１３）（２）に記載の移動体であって、
　前記状況情報は、前記移動体の駆動状態を含み、
　前記決定部は、前記移動体の駆動開始時には、前記複数の制御則から、ゲインが低く設定されたＰＩＤ制御を選択する
　移動体。
（１４）（２）又は（１３）に記載の移動体であって、
　前記状況情報は、時間情報を含み、
　前記決定部は、夜間の時間帯には、前記複数の制御則から、自己位置推定に関する耐性レベルが高い制御則を選択する
　移動体。
（１５）（２）、（１３）及び（１４）のうちいずれか１つに記載の移動体であって、
　前記状況情報は、天候に関する情報を含み、
　前記決定部は、雨天の場合には、前記複数の制御則から、自己位置推定に関する耐性レベル、及び路面環境に関する耐性レベルが高い制御則を選択する
　移動体。
（１６）（２）、（１３）から（１５）のうちいずれか１つに記載の移動体であって、
　前記状況情報は、前記移動体に対する光の照射状態に関する情報を含み、
　前記決定部は、逆光状態である場合には、前記複数の制御則から、自己位置推定に関する耐性レベル、及びインパルス外乱に関する耐性レベルが高い制御則を選択する
　移動体。
（１７）（８）に記載の移動体であって、
　前記取得部は、外界センサを含み、
　前記決定部は、前記外界センサの種類及び数に基づいて、前記複数の不安定パラメータに対応する複数の耐性パラメータの各々に関する耐性レベルを算出する
　移動体。
（１８）移動体の状況に関する状況情報を取得する取得部と、
　前記取得された状況情報に基づいて、前記移動体の自律移動制御に対する不安定要素を検出する検出部と、
　前記検出された不安定要素に基づいて、前記自律移動制御を実行するための制御方法を決定する決定部と
　を具備する情報処理装置。
（１９）移動体の状況に関する状況情報を取得し、
　前記取得された状況情報に基づいて、前記移動体の自律移動制御に対する不安定要素を検出し、
　前記検出された不安定要素に基づいて、前記自律移動制御を実行するための制御方法を決定する
　ことをコンピュータシステムが実行する情報処理方法。
（２０）移動体の状況に関する状況情報を取得するステップと、
　前記取得された状況情報に基づいて、前記移動体の自律移動制御に対する不安定要素を検出するステップと、
　前記検出された不安定要素に基づいて、前記自律移動制御を実行するための制御方法を決定するステップと
　をコンピュータシステムに実行させるプログラム。

　１０…車両
　２０…センサ
　１１２…自動運転制御部
　１３１…検出部
　１３２…自己位置推定部
　１３５…動作制御部
　１３６…制御調節部
　１８１…不安定要素監視システム
　１８２…制御調節システム

Claims

　移動体の状況に関する状況情報を取得する取得部と、
　前記取得された状況情報に基づいて、前記移動体の自律移動制御に対する不安定要素を検出する検出部と、
　前記検出された不安定要素に基づいて、前記自律移動制御を実行するための制御方法を決定する決定部と
　を具備する移動体。
　請求項１に記載の移動体であって、さらに、
　前記自律移動制御を実行するための複数の制御則を記憶する記憶部を具備し、
　前記決定部は、前記記憶された複数の制御則から、実行対象となる制御則を選択する
　移動体。
　請求項２に記載の移動体であって、
　前記決定部は、前記検出された不安定要素に基づいて、前記実行対象となる制御則を動的に変更する
　移動体。
　請求項２に記載の移動体であって、
　前記複数の制御則は、ＳＤＲＥ（State Dependent Riccati Equation）制御、ＬＱＲ（Linear Quadratic Regulator）制御、Ｈ∞（H-infinity control theory）制御、適応制御、ゲインが低く設定されたＰＩＤ制御、及びゲインが高く設定されたＰＩＤ制御の少なくとも１つを含む
　移動体。
　請求項２に記載の移動体であって、
　前記検出部は、前記取得された状況情報に基づいて、前記自律移動制御に関する複数の不安定パラメータの各々に対して、不安定レベルを算出する
　移動体。
　請求項５に記載の移動体であって、
　前記複数の不安定パラメータは、自己位置推定に関する不安定レベル、路面環境に関する不安定レベル、制御周期に関する不安定レベル、制御遅延に関する不安定レベル、モデル化計算に関する不安定レベル、定常外乱に関する不安定レベル、及びインパルス外乱に関する不安定レベルの少なくとも１つを含む
　移動体。
　請求項５に記載の移動体であって、
　前記決定部は、前記複数の制御則の各々に対して設定された評価情報に基づいて、前記実行対象となる制御則を選択する
　移動体。
　請求項７に記載の移動体であって、
　前記評価情報は、前記複数の制御則の各々の精度レベルと、前記複数の不安定パラメータに対応する複数の耐性パラメータの各々に関する耐性レベルとを含む
　移動体。
　請求項８に記載の移動体であって、
　前記複数の耐性パラメータは、自己位置推定に関する耐性レベル、路面環境に関する耐性レベル、制御周期に関する耐性レベル、制御遅延に関する耐性レベル、モデル化計算に関する耐性レベル、定常外乱に関する耐性レベル、及びインパルス外乱に関する耐性レベルの少なくとも１つを含む
　移動体。
　請求項１に記載の移動体であって、さらに、
　前記移動体の駆動を制御する駆動制御部と、
　前記取得された状況情報に基づいて、移動体の位置及び姿勢を推定する推定部と、
　前記移動体の目標経路を取得する経路取得部と、
　前記推定された前記移動体の位置及び姿勢と前記取得された目標経路とに基づいて、前記移動体を駆動させるための制御値を算出し、前記駆動制御部に出力する算出部と
　を具備し、
　前記決定部は、前記自律移動制御を実行するための制御方法として、前記算出部による前記制御値の算出方法を決定する
　移動体。
　請求項１に記載の移動体であって、
　前記決定部は、前記自律移動制御を実行するための制御パラメータを決定する
　移動体。
　請求項１１に記載の移動体であって、
　前記決定部は、前記自律移動制御を実行するためのＰＩＤ制御のゲインを調整する
　移動体。
　請求項２に記載の移動体であって、
　前記状況情報は、前記移動体の駆動状態を含み、
　前記決定部は、前記移動体の駆動開始時には、前記複数の制御則から、ゲインが低く設定されたＰＩＤ制御を選択する
　移動体。
　請求項２に記載の移動体であって、
　前記状況情報は、時間情報を含み、
　前記決定部は、夜間の時間帯には、前記複数の制御則から、自己位置推定に関する耐性レベルが高い制御則を選択する
　移動体。
　請求項２に記載の移動体であって、
　前記状況情報は、天候に関する情報を含み、
　前記決定部は、雨天の場合には、前記複数の制御則から、自己位置推定に関する耐性レベル、及び路面環境に関する耐性レベルが高い制御則を選択する
　移動体。
　請求項２に記載の移動体であって、
　前記状況情報は、前記移動体に対する光の照射状態に関する情報を含み、
　前記決定部は、逆光状態である場合には、前記複数の制御則から、自己位置推定に関する耐性レベル、及びインパルス外乱に関する耐性レベルが高い制御則を選択する
　移動体。
　請求項８に記載の移動体であって、
　前記取得部は、外界センサを含み、
　前記決定部は、前記外界センサの種類及び数に基づいて、前記複数の不安定パラメータに対応する複数の耐性パラメータの各々に関する耐性レベルを算出する
　移動体。
　移動体の状況に関する状況情報を取得する取得部と、
　前記取得された状況情報に基づいて、前記移動体の自律移動制御に対する不安定要素を検出する検出部と、
　前記検出された不安定要素に基づいて、前記自律移動制御を実行するための制御方法を決定する決定部と
　を具備する情報処理装置。
　移動体の状況に関する状況情報を取得し、
　前記取得された状況情報に基づいて、前記移動体の自律移動制御に対する不安定要素を検出し、
　前記検出された不安定要素に基づいて、前記自律移動制御を実行するための制御方法を決定する
　ことをコンピュータシステムが実行する情報処理方法。
　移動体の状況に関する状況情報を取得するステップと、
　前記取得された状況情報に基づいて、前記移動体の自律移動制御に対する不安定要素を検出するステップと、
　前記検出された不安定要素に基づいて、前記自律移動制御を実行するための制御方法を決定するステップと
　をコンピュータシステムに実行させるプログラム。