WO2019077715A1

WO2019077715A1 - ガス手動切替調整器

Info

Publication number: WO2019077715A1
Application number: PCT/JP2017/037790
Authority: WO
Inventors: 加藤　俊一; 俊輝渡邉
Original assignee: 株式会社桂精機製作所
Priority date: 2017-10-19
Filing date: 2017-10-19
Publication date: 2019-04-25

Abstract

２つのガス容器からガスを供給するためのガス自動切替調整器において、ガスの自動切替を一旦停止させておくことのできるガス手動切替調整器を提供する。供給していた一方のガス容器が空になっても、シート押え15とセンターロッド22の規制部材24との間にスペーサ20を介在させておくことにより、回転板23の薄肉部23bは、他方のガス容器に接続した開閉弁11bの弁棒13bに当接ことが防止できる。そして、切換ハンドル40を切替えることで、他方のガス容器からガスを供給することができ、他方のガス容器が空になるまでの間に新たなガス容器を購入しておくことができる。

Description

ガス手動切替調整器

本発明は、２つのガス容器を接続させておくことができ、この２つのガス容器からガスを供給するためのガス手動切替調整器に関する。

一般的にガス自動切替調整器は、２つのガス容器を接続し、そのうち一方のガス容器をガス供給用のガス容器として使用し、他方のガス容器を予備用のガス容器として使用する。そして、供給していた一方のガス容器のガス圧力が設定圧以下の空の状態になると、自動的に他方のガス容器からガスを供給できる構成になっている。これにより、ガスの供給が遮断されることなく、連続してガスを供給することができる。また、ガス自動切替調整器には、ガス供給用のガス容器と予備用のガス容器とを手動で切替える手動操作部が設けられている。

　このような構成を備えたガス自動切替調整器としては、ガス自動切替調整器（下記特許文献１参照）などが提案されている。

特開２００６－４６３７１号公報

　上述したような従来のガス自動切替調整器では、ガス容器が空の状態になると自動的に他方の予備用のガス容器からガスの供給が行われる。しかし、予備用のガス容器も空の状態になっていることに気が付かなかったときには、二つのガス容器をそれぞれ新たなガス容器に交換するまでガスを使用できなくなる。

　従来のガス自動切替調整器を用いても、ガス容器が空の状態になる前にガス業者が定期的にガス容器の状態を確認してくれる契約になっていて　、空になったガス容器を新しいガス容器に交換していってくれる場合には、自動的に切替っても問題がない。しかし、ガス業者が定期的にガス容器の状態を確認してくれる契約になっていない場合には、自動的に空になったガス容器から予備用のガス容器に切替ってガスが供給され続けても、予備用だったガス容器も空の状態になると、２本のガス容器が空になって初めて、ガスが使用できない状態になっていることが分かる。

　そして、新しいガス容器がガス自動切替調整器に接続されるまでの間、ガスを使用できない状態になる。このようにして、新たなガス容器を購入してくるまでの間、あるいはガス業者から新たなガス容器を設置して貰うまでの間、長期に亘ってガスを使用することができない状態が続く。

　本発明は、ガスを供給していたガス容器のガス圧力が設定圧以下の空の状態になったとき、自動的に予備用のガス容器からのガスの供給に切替わることが防止され、手動操作部を操作することによって初めて予備用のガス容器に切り替えることができるガス手動切替調整器の提供を目的としている。

上記目的を達成するために、本発明に係るガス手動切替調整器は、ガスを外部に供給するための減圧室と、外部に配設した２つのガス容器にそれぞれ連通可能で、前記各ガス容器から供給されたガスをそれぞれ受け入れる２つの受入室と、前記各受入室と前記減圧室とを接続する各接続路にそれぞれ配設された開閉弁と、前記減圧室のガス圧に応動するダイヤフラムの変位により前後動するセンターロッドと、前記減圧室内にある前記センターロッドの部位に取着され、前記各開閉弁に対峙する面に肉厚部と薄肉部からなる段差状のカム面を形成した回転板と、前記各開閉弁から前記減圧室内にそれぞれ伸びる弁棒と、前記減圧室内のガス圧を加圧する方向に前記ダイヤフラムを付勢する調整バネと、
　前記各開閉弁を閉塞する方向にそれぞれ付勢するバックバネと、前記減圧室外の前記センターロッドの端部に取着され、前記肉厚部及び前記肉薄部を前記各弁棒の先端部にそれぞれ対峙させた位置に切替える切替ハンドルと、を備え、
　前記切替ハンドルの切替えにより前記回転板を回転させて、前記肉厚部に当接した一方の前記弁棒の前記開閉弁を開放状態にさせ、前記薄肉部を他方の前記弁棒の先端部との間に所定の距離離間させて、前記他方の弁棒の前記開閉弁を閉塞状態にしておくガス手動切替調整器において、
　ガスを供給していた一方のガス容器のガス圧が設定圧以下に低下した際に、前記薄肉部が前記他方の弁棒の先端部に近接しても、前記薄肉部と前記他方の弁棒の先端部とは依然として非当接状態が維持されていることを特徴としている。

本発明に係るガス手動切替調整器では、ガスを供給していた一方のガス容器のガス圧が設定圧以下に低下して、ガスの供給が行えない状態になっても、回転板の薄肉部は他方の減圧室に伸びる弁棒の先端に当接しない。これにより、他方の受入室の開閉弁は閉塞状態が維持され、他方のガス容器からのガスの供給が行えない状態が維持される。

そして、表示器によりガス使用者に対してガス容器のガス圧が設定圧以下に低下したことを知らせることができ、ガス使用者が切替ハンドルを切替えることによって、他方のガス容器からガスを供給することができる。また、切替ハンドルの切替えをガス使用者が行うことになるので、切替えによって接続させた他方のガス容器のガス圧が設定圧以下となる前に、新たに購入したガス容器を空になったガス容器と交換しておくことができる。

このように、ガスが使用できない期間を短くすることができる。また、ガス容器を慌てて購入することも必要なくなり、ガス業者にとっても緊急にガス容器の配達を行う必要がなく、ガス容器を配達する順番に計画性を持たせることができる。

図１（Ａ）は、右側からガスを供給し始めた状態を示すガス手動切替調整器の側断面図であり、図１（Ｂ）は、図１（Ａ）において丸で囲った領域の拡大図である。（実施形態１）左側からガスを供給し始めた状態を示すガス手動切替調整器の側断面図である。（実施形態１）図３（Ａ）は、減圧室内のガス圧が高い状態を示す側断面図であり、図３（Ｂ）は、減圧室内のガス圧が中程に下がった状態を示す側断面図であり、図３（Ｃ）は、減圧室内のガス圧が低くなった状態を示す側断面図である。（実施形態１）図４（Ａ）は、図３（Ａ）において丸で囲った領域の拡大図であり、図４（Ｂ）は、図３（Ｂ）において丸で囲った領域の拡大図であり、図４（Ｃ）は、図３（Ｃ）において丸で囲った領域の拡大図である。（実施形態１）図５（Ａ）は、右側からガスを供給し始めた状態を示すガス手動切替調整器の側断面図であり、図５（Ｂ）は、図５（Ａ）において丸で囲った領域の拡大図である。（実施形態２）図６（Ａ）は、右側からガスを供給し始めた状態を示すガス手動切替調整器の側断面図であり、図６（Ｂ）は、図６（Ａ）において丸で囲った領域の拡大図である。（実施形態３）図７（Ａ）は、右側からガスを供給し始めた状態を示すガス手動切替調整器の側断面図であり、図７（Ｂ）は、図７（Ａ）において丸で囲った領域の拡大図である。（実施形態４）図８（Ａ）は、右側からガスを供給し始めた状態を示すガス手動切替調整器の側断面図であり、図８（Ｂ）は、図８（Ａ）において丸で囲った領域の拡大図である。実施形態５）図９（Ａ）は、右側からガスを供給し始めた状態を示すガス手動切替調整器の側断面図であり、図９（Ｂ）は、図９（Ａ）において丸で囲った領域の拡大図である。（実施形態６）

以下、本発明を実施するための形態について、実施形態を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。本発明に係るガス手動切替調整器1は、ＬＰガス容器などのガス容器からの燃料ガスを所定圧力まで減圧して消費器側（ガスレンジなどの燃焼器）に供給するものである。

尚、以下で説明する各実施形態におけるガス手動切替調整器1の構成において、ガス手動切替調整器1に接続している２つのガス容器の図示は省略している。また、ガス手動切替調整器1の構成として、切替ハンドル40を下方側に配設した構成を示しているが、通常の使用では、図の上下を逆さまにして切替ハンドル40が上方側に配設した構成で使用することも、切替ハンドル40が水平方向を向いた配置構成にしておくことができる。

また、ガス手動切替調整器1における接続ポート4a、4b、受入室3a、3b、開閉弁11a、11b及び開閉弁11a、11bを構成する部材は、それぞれ同一の構成を備えている。そのため以下の図面においては、右側に配設したこれらの部材と、左側に配設したこれらの部材とを区別するため、右側の部材には「ａ」の符号を付加しており、左側の部材には「ｂ」の符号を付加している。更に、各図において、部材を示す引き出し線が複雑になるのを防ぐため、一部の部材については、その部材を示す部材番号を付与していない。
［実施形態１］

図１～図４を用いて、本発明の実施形態１に係るガス手動切替調整器1の構成について説明する。図１（Ａ）は、後述する切替ハンドル40を切替えて、右側からガスを供給し始めたときの状態を、側断面図で示している。図１（Ｂ）は、図１（Ａ）において丸で囲った領域Ａの拡大図を示している。図２は、切替ハンドル40を切替えて、左側からガスを供給し始めたときの状態を、側断面図で示している。図３、図４は、表示器の構成を側断面図で示している。
（構成）

　ガス手動切替調整器1は、上部ハウジング5と下部ハウジング6とを備え、これらが組み付けられることにより本体10が形成されている。下部ハウジング6には、それぞれ異なるガス容器（不図示）を接続した２つのガス入口用の接続ポート4a、4bが形成されている。接続ポート4a、4bから供給される高圧ガスは、それぞれ受入室3a、3b内に導入される。各受入室3a、3bに導入された高圧ガスは、開閉弁11a、11bを介して減圧室2に供給することができる。

　開閉弁11a、11bは、弁体12a、12bと、弁体12a、12bを閉塞方向に付勢するバックバネ17a、17bと、弁体12a、12bが摺動する弁座体19a、19bと、弁体12a、12bに連結した弁棒13a、13bと、弁座体19a、19bに接続したシート14a、14bと、を備えた構成になっている。シート14a、14bは、下部ハウジング6に支持されたシート押え15に当接している。そして、弁座体19a、19bは、シート押え15と下部ハウジング6とによって、支持固定されている。弁体12a、12bが、弁座体19a、19bの弁座に当接することによって、開閉弁11a、11bを閉塞状態にすることができ、弁体12a、12bが、弁座体19a、19bの弁座から離間することによって、開閉弁11a、11bを開放状態にすることができる。

　減圧室2は、図示せぬガス出口流路に接続されており、ガス手動切替調整器1にて減圧された燃料ガスは、ガス出口流路を介して例えばガスメータ等に供給される。ガス出口流路は、接続ポー4a、4bから受入室3a、3bまでのガス入口流路に対して、例えば直交する方向に形成されている。

　上部ハウジング5と下部ハウジング6との間には、ダイヤフラム30が配設されている。ダイヤフラム30は、周縁が上部ハウジング5と下部ハウジング6との間に挟持固定されており、上部ハウジング5と下部ハウジング6との間を気密に仕切っている。そして、ダイヤフラム30を境にして、減圧室2と大気解放室7が形成されている。

　減圧室2は、下部ハウジング6とダイヤフラム30によって囲まれた空間として形成されている。ダイヤフラム30の中央部は、ダイヤフラム受32とダイヤフラムサポート31によって、挟持されている。また、ダイヤフラム30は、上部ハウジング5とダイヤフラム受32との間に配設した調整バネ33と大気圧とによって、減圧室2の容積を減少させる方向（図１では上方向）に付勢されている。

　減圧室2は、ダイヤフラム30からの付勢力によって、受入室3a、3bから導入された高圧ガスを設定圧力に減圧する場所として構成されている。大気解放室7は、ガス手動切替調整器1の外部と連通しており、大気解放室7の内部は、大気圧になっている。

　ダイヤフラム30の軸心部には、ダイヤフラムサポート31がダイヤフラム30の軸心と軸線を一致させて固定されており、ダイヤフラムサポート31には、センターロッド22が回転自在に挿入されている。センターロッド22は、ダイヤフラムサポート31に対して軸方向に固定されるとともに、上部ハウジング5に固定された軸受部材26に回転自在に支持されている。軸受部材26は、ダイヤフラム30の軸心と同軸に配設されている。そして、減圧室2内のガス圧力の変動に伴って、ダイヤフラム30と共にダイヤフラム30の軸心方向（図中の上下方向）に摺動する。

減圧室2内のセンターロッド22の先端側の部位には、開閉弁を開放する方向に弁棒13a、13bを押圧する回転板23が設けられている。

回転板23は、円板状に形成されており、弁棒13a、13bに対向する面の部位には、厚肉部23aと薄肉部23bとが形成されたカム円板として構成されている。厚肉部23aと薄肉部23bは、回転板23の回転中心に対して点対称の位置に形成されており、回転板23の周方向に連続する傾斜面によって連続的につながっている。

　大気解放室7内におけるセンターロッド22の後端部には、ガス手動切替調整器1に接続したガス容器の切替状態を示す表示器50が接続されている。また、軸受部材26には、切替ハンドル40が支持固定されており、切替ハンドル40は、ダイヤフラム30の軸心回りに回転可能に構成されている。

尚、切替ハンドル40は、ダイヤフラム30の軸心回りに１８０度回転可能に構成しておくことも、３６０度以上回転可能に構成しておくこともできる。また、切替ハンドル40は、大気解放室7と外気を連通させると共に、水滴などの浸入を防止する防水構造を有している。

　つまみ部40aを持って切換ハンドル40を回転させて切替えることで、回転板23の厚肉部23aを一対の弁棒13a、13bのうち一方の弁棒に当接させ、薄肉部23bを他方の弁棒と対向する位置に切替えることができる。切替ハンドル40の切替位置は、切替ハンドル40の内周面に形成した係合凹部に対して、軸受部材23の外周面に形成した係合突部を係合させることで、位置決めを行うことができる。

　図３、図４を用いて、表示器50の構成を説明する。図３（Ａ）、図４（Ａ）は、減圧室２内のガス圧が高圧の状態を示している。図３（Ｂ）、図４（Ｂ）は、減圧室２内のガス圧が中圧の状態を示している。図３（Ｃ）、図４（Ｃ）は、減圧室2内のガス圧が低圧の状態を示している。

　表示器50は、軸受部材26に設けた回転支軸52を回動するＬ字状の回動片51から構成している。回動片51は、図示せぬ渦巻きバネによって回転支軸52を中心として図の反時計回り方向に付勢されている。図３（Ｂ）、図４（Ｂ）に示すように、減圧室2内の圧力が低下して、センターロッド22が切替ハンドル40側に移動したとき、センターロッド22の先端部が回動片51の側面に摺接する構成になっている。

　回動片51の頭部面51aは、例えば赤色が塗付された表示面として構成されている。即ち、図３（Ｂ）、（Ｃ）、図４（Ｂ）、（Ｃ）に示すように、切替ハンドル40の頭部に形成した表示窓41から頭部面51aを視認することで、減圧室2内の圧力状態を確認することができる。表示窓41からの視認領域は、図４で示したハッチングにより示している。

図３（Ａ）では、表示器50が回動していない状態を示しており、表示窓51からは、例えば白色の状態を視認することができる。図３（Ｂ）では、表示器50が途中まで回動した状態を示しており、表示窓51からは、例えば赤色の面を半分視認することができる。図３（Ｃ）では、表示器50が完全に回動した状態を示しており、表示窓51からは、例えば赤色の面を全面で視認できる。

　センターロッド22のシート押え15側には、センターロッド22の移動量を規制する規制部材24が形成されている。図１（Ａ）において丸で囲った領域Ａの拡大図である図１（Ｂ）に示すように、規制部材24は、センターロッド22の先端部側に形成した肩部として構成されている。規制部材24の構成としては、図１（Ｂ）に示すよな肩部の構成に限定されるものではなく、センターロッド22の先端部側への移動量を規制する構成であれば、他の構成を採用することができる。

　図１（Ｂ）に示すように、規制部材24とシート押え15との間には、スペーサ20が配設されている。スペーサ20は、シート押え15側や規制部材24側に固定しておくことも、固定せずに配設しておくこともできる。

　図１（Ａ）、（Ｂ）では、回転板23の肉厚部23aが一方の弁棒13aに当接した状態において、スペーサ20の板厚によって、薄肉部23bと他方の弁棒13bとの間に微小の隙間が形成されている状態を示している。即ち、図の右側に配置したガス容器からガスの供給が行われ、左側に配置したガス容器からガスの供給が停止されている状態を示している。

図２は、図の左側に配置したガス容器からガスの供給が行われ、右側に配置したガス容器からガスの供給が停止されている状態を示している。上述したように、図１（Ａ）における状態が左右逆の状態になっている構成であるので、重複した説明を除くため、図２に示した構成については、その説明を省略する。
（作用）

　図１（Ａ）に示すように、切替ハンドル40が右側の接続ポート4aに接続したガス容器（不図示）からガスを供給する場合を例に挙げて説明する。

減圧室2の状態が、図３（Ａ）の状態から図３（Ｂ）の状態の方に変わると、即ち、減圧室2内のガス圧が設定圧力以下の空の状態になると、図１（Ａ）に示すようにダイヤフラム30が、大気圧と調整バネ33の付勢力により図１の上方側に移動する。ダイヤフラム30の上方への移動により、回転板23の厚肉部23aが弁棒13aを押圧する。弁棒13aが押圧されて図１の上方側に移動すると、弁体12aは弁座体19aの弁座から離間して、開閉弁11aを開放状態にする。

開閉弁11aが開放状態になると、右側のガス容器から受入室3a内に流入した高圧ガスが、開閉弁11aを通って、減圧室2内に流入する。減圧室2に流入した高圧ガスのガス圧と弁棒13aを押圧しているバックバネ17aのバネ力との合力が、大気圧と調整バネ33の付勢力に打ち勝つと、ダイヤフラム30は減圧室2を拡大する方向に後退する。

減圧室2内のガス圧とバックバネ17aのバネ力との合力が、大気圧と調整バネ33の付勢力に釣り合うと、弁体12bは、弁座体19aの弁座に当接して、受入室3aから減圧室2へのガスの導入を停止する。ガス器具に供給するガスの圧力が低下してくると、ダイヤフラム30は減圧室2の容積を減少させる方向に移動して、回転板23に形成した厚肉部23aによって、弁棒13aを押圧する。これにより、開閉弁11aを開放させ、接続ポート4aに接続した右側のガス容器から高圧ガスを減圧室2内に導入することができる。これにより、右側のガス容器のガスを減圧室２に供給することができ、減圧室2内のガス圧を設定圧に維持することができる。

接続ポート4aに接続した右側のガス容器が消費されて、開閉弁11aを開放させるだけのガス圧が右側のガス容器内に存在しなくなると、表示器50は、図３（Ｃ）で示される状態になる。このとき、図１（Ａ）に示すように、ダイヤフラム30の移動によってセンターロッド22の規制部材24は、スペーサ20を介してシート押え15を押圧する。そして、センターロッド22の移動は停止させられる。しかし、減圧室2は、右側の空になったガス容器に接続されているだけなので、減圧室2には高圧のガスを導入することができない。

従来のガス自動切替調整器では、スペーサ20が設けられていないので、右側のガス容器が空になったときには、回転板23に形成した薄肉部23bが左側の受入室3bに接続した開閉弁11bの弁棒13bを押圧して、開閉弁11bを自動的に開放させることができる。

しかし、本願発明に係るガス手動切替調整器1では、スペーサ20をシート押え15とセンターロッド22の規制部材24との間に介在させているので、図１（Ｂ）に示すように、回転板23の薄肉部23bと開閉弁11bの弁棒13bの先端部18bとの間に隙間を形成している。これにより、左側に接続したガス容器から高圧のガスを減圧室2内に導入することができない。
（効果）

右側のガス容器が空の状態になると、消費者はガスを使用することができなくなり、切替ハンドル40に形成した後述する表示器50の表示内容から、右側に接続したガス容器が空の状態になったことを理解することができる。

　そして、切替ハンドル40を半回転させることで、回転板23の厚肉部23aを左側の開閉弁11bの弁棒13bに当接させて、開閉弁11bを開放状態に切換え、左側のガス容器からガスを供給させることができる。これにより、減圧室2に対してガスを供給することができる。同時に、ガス業者に新しいガス容器を購入しに行くことも、ガス業者に新しいガス容器を届けて貰う手続きを取ることができる。

　従来のガス自動切替調整器を用いても、ガス容器が空の状態になる前にガス業者が定期的にガス容器の状態を確認してくれて、空になったガス容器を新しいガス容器に交換していってくれる契約になっている場合には、自動的に切替っても問題がない。しかし、ガス業者が定期的にガス容器の状態を確認してくれない場合には、自動的に空になった右側のガス容器から左側のガス容器に切替ってガスが供給され続けても、左側のガス容器も空の状態になると、左右２本のガス容器が空になって初めて、ガスが使用できない状態になっていることが分かる。そして、新しいガス容器がガス自動切替調整器に接続されるまでの間、ガスを使用できない状態が続くことになる。

　しかし、本発明に係るガス手動切替調整器1では、一つのガス容器が空の状態になっても、他方のガス容器はガスが充填されている状態になっているので、切替ハンドル40を切替えることで、他方のガス容器からガスを供給することができるので、ガスが使用できない期間を短縮することができる。しかも、空になったガス容器を新たなガス容器に交換する作業も、接続させた他方のガス容器が空の状態になるまで、時間的なゆとりをもって行うことができる。

　尚、スペーサ20を取り外した状態でガス手動切替調整器1を使用すれば、上述したような従来のガス自動切替調整器と同様に使用することができる。
［実施形態２］

図５（Ａ）、（Ｂ）を用いて、本発明の実施形態２に係るガス手動切替調整器1の構成について説明する。センターロッド22の移動量を規制するための構成として、実施形態１では、スペーサ20を用いた構成となっているが、実施形態２ではスペーサ20を用いる代わりに、センターロッド22の先端部の長さ寸法が、実施形態１におけるセンターロッド２２の先端部の長さ寸法よりも長い構成になっている。他の構成は、実施形態１と同様の構成になっている。そこで、実施形態１と同様の構成については、実施形態１で用いた部材符号と同じ部材符号を用いることで、重複した説明を省略する。また、図の右側に接続したガス容器からガスを供給している場合を例に挙げて説明する。
（構成、作用効果）

　図５（Ａ）、（Ｂ）に示すように、センターロッド22の先端部の長さ寸法として、実施形態１におけるスペーサ20の板厚と略同じ寸法分長く構成している。
　これにより、図３（Ｃ）のように、ガス容器が空になると、延長させたセンターロッド22の先端部が、下部ハウジング6に当接しても、回転板23の薄肉部23bと左側の開閉弁11bにおける弁棒13bとの間に隙間が形成された状態になる。そして、左側に配したガス容器からの供給を停止させておくことができる。

　消費者は、ガスが供給されていないことに気が付くと、表示器50を確認することで使用していた右側のガス容器が空になっていることが分かる。そして、切替ハンドル40を切替えて左側に配してあるガス容器からガスの供給を行わせることで、ガスが使用できる状態にできる。そして、交換したガス容器のガスを使用している間に新しいガス容器を購入することができる。しかも、新たに接続した左側のガス容器が空になる前に、右側のガス容器を新たなガス容器に交換することができる。
これにより、ガスを使用できない期間を短縮することができる。
［実施形態３］

図６（Ａ）、（Ｂ）を用いて、本発明の実施形態３に係るガス手動切替調整器1の構成について説明する。センターロッド22の移動量を規制するための構成として、実施形態１では、スペーサ20を用いた構成となっているが、実施形態３ではスペーサ20を用いる代わりに、センターロッド22に形成した規制部材24をシート押え15側に延設させた構成になっている。延設させた長さ寸法は、スペーサ20の板厚と略同じ長さ寸法に構成されている。他の構成は、実施形態１と同様の構成になっている。そこで、実施形態１と同様の構成については、実施形態１で用いた部材符号と同じ部材符号を用いることで、重複した説明を省略する。また、図の右側に接続したガス容器からガスを供給している場合を例に挙げて説明する。
（構成、作用効果）

　図６（Ａ）、（Ｂ）に示すように、規制部材24をシート押え15側に延設させた長さ寸法として、実施形態１におけるスペーサ20の板厚と略同じ長さ寸法となるように構成している。

　これにより、図３（Ｃ）のように、ガス容器が空になると、延長させたセンターロッド22の先端部が、下部ハウジング6（本体10）に当接しても、回転板23の薄肉部23bと左側の開閉弁11bにおける弁棒13bとの間には依然として隙間が形成された状態になっている。そして、左側に配したガス容器からの供給を停止させておくことができる。

　消費者は、ガスが供給されていないことに気が付くと、表示器50を確認することで使用していた右側のガス容器が空になったことが分かる。そして、切替ハンドル40を切替えて左側に配してあるガス容器からガスの供給を行わせることで、ガスの供給を再開することができる。そして、交換したガス容器のガスを使用している間に新しいガス容器を購入することができる。しかも、新たに接続した左側のガス容器が空になる前に、右側のガス容器を新たなガス容器に交換することができる。
これにより、ガスを使用できない期間を短縮することができる。
［実施形態４］

図７（Ａ）、（Ｂ）を用いて、本発明の実施形態４に係るガス手動切替調整器1の構成について説明する。センターロッド22の移動量を規制するための構成として、実施形態１では、スペーサ20を用いた構成となっているが、実施形態４ではスペーサ20を用いる代わりに、シート押え15に規制部材24側に突出したフランジ部16を形成した構成になっている。

突出したフランジ部16の長さ寸法は、スペーサ20の板厚と略同じ長さ寸法に構成されている。他の構成は、実施形態１と同様の構成になっている。そこで、実施形態１と同様の構成については、実施形態１で用いた部材符号と同じ部材符号を用いることで、重複した説明を省略する。また、図の右側に接続したガス容器からガスを供給している場合を例に挙げて説明する。
（構成、作用効果）

　図７（Ａ）、（Ｂ）に示すように、規制部材24側に突出したフランジ部16の長さ寸法として、実施形態１におけるスペーサ20の板厚と略同じ長さ寸法となるように構成している。
　これにより、図３（Ｃ）のように、ガス容器が空になると、延長させたセンターロッド22の規制部材24が、シート押え15のフランジ部16に当接しても、回転板23の薄肉部23bと左側の開閉弁11bにおける弁棒13bとの間に隙間が形成されたままの状態になる。そして、左側に配したガス容器からの供給を停止させておくことができる。

　消費者は、ガスが供給されていないことに気が付くと、表示器50を確認することで使用していた右側のガス容器が空になったことが分かる。そして、切替ハンドル40を切替えて左側に配してあるガス容器からガスの供給を行わせることで、ガスの供給を再開することができる。そして、交換したガス容器のガスを使用している間に新しいガス容器を購入することができる。しかも、新たに接続した左側のガス容器が空になる前に、右側のガス容器を新たなガス容器に交換することができる。
これにより、ガスを使用できない期間を短縮することができる。
［実施形態５］

図８（Ａ）、（Ｂ）を用いて、本発明の実施形態４に係るガス手動切替調整器1の構成について説明する。センターロッド22の移動量を規制するための構成として、実施形態１では、スペーサ20を用いた構成となっているが、実施形態５ではスペーサ20を用いる代わりに、センターロッド22の先端部が当接する下部ハウジング6（図８（Ｂ）では、本体10で示している）の部位に、センターロッド22側に吐出する突出部10aを形成した構成になっている。

突出部10aの長さ寸法は、スペーサ20の板厚と略同じ長さ寸法に構成されている。他の構成は、実施形態１と同様の構成になっている。そこで、実施形態１と同様の構成については、実施形態１で用いた部材符号と同じ部材符号を用いることで、重複した説明を省略する。また、図の右側に接続したガス容器からガスを供給している場合を例に挙げて説明する。
（構成、作用効果）

　図８（Ａ）、（Ｂ）に示すように、突出部10aの長さ寸法として、実施形態１におけるスペーサ20の板厚と略同じ長さ寸法となるように構成している。
　これにより、図３（Ｃ）のように、ガス容器が空になると、センターロッド22の先端部が、本体10の突出部10aに当接しても、回転板23の薄肉部23bと左側の開閉弁11bにおける弁棒13bとの間に隙間が形成されたままの状態になる。そして、左側に配したガス容器からの供給を停止させておくことができる。

　消費者は、ガスが供給されていないことに気が付くと、表示器50を確認することで使用していた右側のガス容器が空になったことが分かる。そして、切替ハンドル40を切替えて左側に配してあるガス容器からガスの供給を行わせることで、ガスの供給を再開することができる。そして、交換したガス容器のガスを使用している間に新しいガス容器を購入することができる。しかも、新たに接続した左側のガス容器が空になる前に、右側のガス容器を新たなガス容器に交換することができる。
これにより、ガスを使用できない期間を短縮することができる。
［実施形態６］

図９（Ａ）、（Ｂ）を用いて、本発明の実施形態６に係るガス手動切替調整器1の構成について説明する。センターロッド22の移動量を規制するための構成として、実施形態１では、スペーサ20を用いた構成となっているが、実施形態６ではスペーサ20を用いる代わりに、各弁棒13a、13bの長さ寸法を短く形成した構成になっている。

各弁棒13a、13bの長さ寸法は、スペーサ20の板厚と略同じ長さ寸法分短く構成されている。他の構成は、実施形態１と同様の構成になっている。そこで、実施形態１と同様の構成については、実施形態１で用いた部材符号と同じ部材符号を用いることで、重複した説明を省略する。また、図の右側に接続したガス容器からガスを供給している場合を例に挙げて説明する。
（構成、作用効果）

　図９（Ａ）、（Ｂ）に示すように、各弁棒13a、13bの長さ寸法として、実施形態１におけるスペーサ20の板厚と略同じ長さ寸法分短くなるように構成している。
　これにより、図３（Ｃ）のように、ガス容器が空になると、センターロッド22の先端部が、本体10の突出部10aに当接しても、回転板23の薄肉部23bと左側の開閉弁11bにおける弁棒13bとの間に隙間が形成された状態になる。そして、左側に配したガス容器からの供給を停止させておくことができる。

　消費者は、ガスが供給されていないことに気が付くと、表示器50を確認することで使用していた右側のガス容器が空になったことが分かる。そして、切替ハンドル40を切替えて左側に配してあるガス容器からガスの供給を行わせることで、ガスの供給を再開することができる。そして、交換したガス容器のガスを使用している間に新しいガス容器を購入することができる。しかも、新たに接続した左側のガス容器が空になる前に、右側のガス容器を新たなガス容器に交換することができる。
これにより、ガスを使用できない期間を短縮することができる。

なお、本発明は、上述した各実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の請求の範囲に記載した構成と実質的に同一な構成を有し、且つ、同様な作用効果を奏する範囲において多様な変更が可能である。

２　　　　　　　減圧室
３ａ、３ｂ　　　受入室
１０　　　　　　本体
１０ａ　　　　　突出部
１１ａ、１１ｂ　開閉弁
１２ａ、１２ｂ　弁体
１３ａ、１３ｂ　弁棒
１８ａ、１８ｂ　先端部
１９ａ、１９ｂ　弁座体
２０　　　　　　センターロッド
２３　　　　　　回転板
２３ａ　　　　　厚肉部
２３ｂ　　　　　薄肉部
２４　　　　　　規制部材
３３　　　　　　調整バネ
４０　　　　　　切替ハンドル
４１　　　　　　表示窓
５０　　　　　　表示器
５１　　　　　　回動片
５１ａ　　　　　表示面

Claims

ガスを外部に供給するための減圧室と、
外部に配設した２つのガス容器にそれぞれ連通可能で、前記各ガス容器から供給されたガスをそれぞれ受け入れる２つの受入室と、
　前記各受入室と前記減圧室とを接続する各接続路にそれぞれ配設された開閉弁と、
　前記減圧室のガス圧に応動するダイヤフラムの変位により前後動するセンターロッドと、前記減圧室内にある前記センターロッドの部位に取着され、前記各開閉弁に対峙する面に肉厚部と薄肉部からなる段差状のカム面を形成した回転板と、
　前記各開閉弁から前記減圧室内にそれぞれ伸びる弁棒と、
　前記減圧室内のガス圧を加圧する方向に前記ダイヤフラムを付勢する調整バネと、
　前記各開閉弁を閉塞する方向にそれぞれ付勢するバックバネと、
　前記減圧室外の前記センターロッドの端部に取着され、前記肉厚部と前記肉薄部を前記各弁棒の先端部にそれぞれ対峙させた位置に切替える切替ハンドルと、
を備え、
　前記切替ハンドルの切替えにより前記回転板を回転させて、前記肉厚部を当接させた一方の前記弁棒の前記開閉弁を開放状態にさせ、前記薄肉部を他方の前記弁棒の先端部との間に所定の距離離間させて、前記他方の弁棒の前記開閉弁を閉塞状態にしておくガス手動切替調整器において、
　ガスを供給していた一方のガス容器のガス圧が設定圧以下に低下したときには、一方の前記開閉弁が開放状態から閉塞状態となり、かつ前記薄肉部が前記他方の弁棒の先端部に近接しても、前記薄肉部と前記他方の弁棒の先端部とは依然として非当接状態が維持されていることを特徴とするガス手動切替調整器。
　前記減圧室内の前記センターロッドの部位に、前記減圧室の容積を減少させる方向への前記センターロッドの移動量を規制する規制部材が設けられ、
　前記減圧室に面して形成された前記開閉弁のシート押えと前記回転板との間にスペーサが配設され、
　前記スペーサの板厚により、前記薄肉部と前記他方の弁棒の先端部との前記非当接状態が維持されていることを特徴とする請求項１に記載のガス手動切替調整器。
　前記減圧室外の前記センターロッドの端部に、前記センターロッドの前後動により切替わる表示体が設けられ、
　前記切替ハンドルに前記表示体を目視するのぞき窓が形成されていることを特徴とする請求項１又は２に記載のガス手動切替調整器。