WO2019003426A1

WO2019003426A1 - 医療デバイス保持装置及び医療システム

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Publication number: WO2019003426A1
Application number: PCT/JP2017/024187
Authority: WO
Inventors: 隆太郎宇内; 萬壽　和夫
Original assignee: オリンパス株式会社
Priority date: 2017-06-30
Filing date: 2017-06-30
Publication date: 2019-01-03
Also published as: US20200129052A1; US10813535B2

Abstract

この医療デバイス保持装置は、ベースと、前記ベースに対して相対移動可能であり、基端部が前記ベースに接続されているアームと、前記アームに着脱可能に取り付けられ、かつ、医療デバイスが着脱可能に取り付けられるアダプタと、前記アダプタに取り付けられ、前記医療デバイスが前記アダプタを介して前記アームに取り付けられた際に、前記アームの重量バランスを調整するバランス補正部材と、を備え、前記医療デバイスが取り付けられた前記アームを所定の位置に保持可能である。

Description

医療デバイス保持装置及び医療システム

　本発明は、医療デバイス保持装置及び医療システムに関する。

　内視鏡を用いた腹腔鏡下手術等において、内視鏡や手術器具等の医療デバイスを保持する使用者の手ぶれ防止や疲労軽減等を目的として、医療デバイスを保持するための保持装置が用いられている。

　一般に、保持装置は、支柱と、支柱に接続される可動アームと、可動アームに医療器具が取り付けられた状態で保持装置全体のカウンターバランスを取るためのバランス調整機構とを備える。

　例えば、特許文献１には、医療用バランシングスタンドの自動バランス調整構造が開示されている。特許文献１の医療用バランシングスタンドは、横アームの長手方向の中央部が回動可能に縦アームに連結され、横アームの一方の端部に医療器具が着脱可能に取り付けられ、横アームの他方の端部にカウンタウェイトが取付けられている。特許文献１の医療用バランシングスタンドでは、使用者が横アームを回動させて横アームに取り付けられた医療器具の位置を動かした後、使用者が医療器具から手を離した場合でも、カウンタウェイトにより横アームの重量バランスを保ち、医療器具を所望の位置で静止させるように構成されている。このような保持装置により、医療デバイスの位置調整及び保持を容易に行うことができる。

日本国特開２０１４－１１３２３７号公報

　内視鏡を用いた手術の際、複数種類の医療デバイスを用いるため、手術中に医療デバイスを取り替えることがある。医療デバイスは重量や大きさが異なるため、各医療デバイスを保持装置に取り付けた場合の重心が変化する。そのため、特許文献１の医療用バランシングスタンド等、従来の保持装置では、保持装置に取り付ける医療デバイスを取り換える度に、医療器具に応じてカウンタウェイトや医療器具の位置を調整する作業が必要となる。また、手術室内が清潔空間であるのに対し、保持装置は通常滅菌ができないため、ビニール等で形成された柔軟なドレープ等の保護材で覆われた状態で手術室に置かれる。手術中にカウンタウェイトを調整する作業を行う場合、ドレープ内での作業が必要となる。そのため、カウンタウェイト調整作業後に使用者の滅菌作業等が必要となり、手術時間の短縮の妨げとなっていた。

　本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、医療デバイスの取り換え時の操作の煩雑さを解消し、作業効率が向上し、且つ手術時間の短縮を図ることができる医療デバイス保持装置及び医療システムを提供することを目的とする。

　本発明の第一の態様に係る医療デバイス保持装置は、ベースと、前記ベースに対して相対移動可能であり、基端部が前記ベースに接続されているアームと、前記アームに着脱可能に取り付けられ、かつ、医療デバイスが着脱可能に取り付けられるアダプタと、前記アダプタに取り付けられ、前記医療デバイスが前記アダプタを介して前記アームに取り付けられた際に、前記アームの重量バランスを調整するバランス補正部材と、を備え、前記医療デバイスが取り付けられた前記アームを所定の位置に保持可能であることを特徴とする。

　本発明の第二の態様は、第一の態様に係る医療デバイス保持装置において、重量が異なる複数の前記バランス補正部材を備え、前記複数のバランス補正部材の少なくとも一つが前記アダプタに取り付けられていてもよい。

　本発明の第三の態様は、第一の態様に係る医療デバイス保持装置において、前記アダプタは、前記医療デバイスの長尺部を保持する保持部と、前記保持部に保持された前記長尺部の長手軸周りの回転を防止する回転防止部材と、を備えてもよい。

　本発明の第四の態様は、第三の態様に係る医療デバイス保持装置において、前記保持部と前記回転防止部材とはそれぞれに設けられた係合手段により係合されるように構成されており、複数の前記医療デバイスのそれぞれの前記医療デバイスに対応する複数の前記保持部及び前記回転防止部材を備え、前記係合手段は、複数の前記医療デバイスごとに固有の係合関係が設定されていてもよい。

　本発明の第五の態様は、第四の態様に係る医療デバイス保持装置において、前記係合手段は、前記保持部に設けられた溝と、前記回転防止部材に設けられた凸部と、を備え、前記複数の医療デバイスごとに前記保持部の前記溝及び前記回転防止部材の前記凸部の形態が異なり、所定の前記医療デバイスに対応する前記保持部と前記回転防止部材とにおいてのみ、前記溝に前記凸部が係合してもよい。

　本発明の第六の態様は、第五の態様に係る医療デバイス保持装置において、前記保持部は前記長尺部を挿通可能な貫通孔を有し、前記溝は、前記保持部における前記貫通孔の貫通方向の全長にわたって形成されていてもよい。

　本発明の第七の態様は、第一から第五の態様に係る医療デバイス保持装置において、前記アダプタは、ドレープを接続するドレープ接続部を有してもよい。

　本発明の第八の態様は、医療システムであって、複数の医療デバイスと、ベース、前記ベースに対して相対移動可能であり、基端部が前記ベースに接続されているアーム、及び前記アームに着脱可能に取り付けられ、かつ、前記複数の医療デバイスのいずれか一つが着脱可能に取り付けられるアダプタを備える医療デバイス保持装置と、前記アダプタに着脱可能に取り付けられる少なくとも一つの錘と、を備え、前記医療デバイスの一つが取り付けられた状態の前記アダプタの総重量を基準重量Ｍ１、他の前記複数の医療デバイスと前記錘とが取り付けられた状態の前記アダプタの総重量をＭ２としたとき、１．１５≧Ｍ２／Ｍ１≧０．８５の関係を満たす。

　本発明の第九の態様は、医療システムであって、第１の医療デバイスと、前記第１の医療デバイスと重量が異なる第２の医療デバイスと、カウンタウェイトを有するベース、前記ベースに対して相対移動可能であり基端部が前記ベースに接続されているアーム、及び前記アームに着脱可能に取り付けられ、かつ、前記第１の医療デバイスまたは前記第２の医療デバイスが着脱可能に取り付けられるアダプタを備える医療デバイス保持装置と、前記アダプタに着脱可能に取り付けられる第１の錘及び第２の錘と、を備え、前記第１の医療デバイス及び前記第１の錘と前記カウンタウェイトとの重量バランスがとれた状態において、前記第１の医療デバイスを前記第２の医療デバイスに取り換え、且つ前記第１の錘を前記第２の錘に取り換えた際も、前記第２の医療デバイス及び前記第２の錘と前記カウンタウェイトとの重量バランスがとれるように構成されている。

　本発明の医療デバイス保持装置及び医療システムは、医療デバイスの取り換え時の操作の煩雑さを解消し、作業効率が向上し、且つ手術時間の短縮を図ることができる。

本発明の第１実施形態に係る医療デバイス保持装置及び医療システムの全体図である。第１実施形態のアダプタ及びバランス補正部材を示す斜視図である。第１実施形態のアダプタに及び医療デバイスを取り付けた状態を示す側面図である。第１実施形態のアダプタ及びバランス補正部材を示す断面図である。第１実施形態の第一変形例を示す正面図である。第１実施形態の第二変形例を示す正面図である。第１実施形態の第二変形例を示す斜視図である。第２実施形態のアダプタ及びバランス補正部材を示す側面図である。第２実施形態の第一変形例のバランス補正部材を示す側面図である。第１実施形態の第三変形例を示す斜視図である。第１実施形態の第四変形例を示す側面図である。

　以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
［第１実施形態］
　本発明の第１実施形態に係る医療デバイス保持装置１及び医療システム１００について説明する。図１は、本実施形態に係る医療デバイス保持装置１の全体図である。図２は、本実施形態のアダプタ４及びバランス補正部材４２を示す斜視図である。図３は、本実施形態のアダプタ４に及び医療デバイス３００を取り付けた状態を示す側面図である。図４は、本実施形態のアダプタ及びバランス補正部材４２を示す断面図である。図４では、アーム接続部４１及びスライドロック４４の記載を省略している。

　図１に示すように、医療システム１００は、医療デバイス保持装置１と、複数の医療デバイス３００と、複数のバランス補正部材５（第１の錘、第２の錘）と、を備える。医療デバイス３００は、例えば、内視鏡や各種処置具等、複数の種類やサイズが異なるデバイスが用いられる。医療デバイス３００は、長尺部３０１を有する。本実施形態に係る医療デバイス保持装置１は、ベース８と、アーム３と、アダプタ４と、バランス補正部材５と、を備える。

　ベース８は、支持部８１と、支柱８０と、アーム可動機構２００と、カウンタウェイト２０ａ，２０ｂとを備える。
　支持部８１は、床に直接あるいは間接的に載置される基台である。本実施形態では、支持部８１は床に載置される。支持部８１は、公知のストッパ機能付きのキャスタ８２を備え、床上を医療デバイス保持装置１が容易に移動可能であり、且つ、床上で移動しないように停止可能に構成されている。
　支持部８１は、床に載置される構成の他、例えば、手術台や他の手術支援装置等に連結する連結部を設けて、医療デバイス保持装置１が手術台や他の手術支援装置等に固定される構成であってもよい。

　支柱８０は、下端部が支持部８１に取り付けられ、鉛直方向に立設された部材である。支柱８０は、支持部８１に対して支柱８０の軸周りに水平回転可能に取り付けられている。支柱８０には上部及び下部にそれぞれ支柱から水平方向に突出する上側リンク支持部８０ａ及び下側リンク支持部８０ｂが設けられている。

　アーム可動機構２００は、支柱８０に取り付けられた平行リンク機構であり、第１回動軸２１１ならびに第２回動軸２１２を介して上側リンク支持部８０ａならびに下側リンク支持部８０ｂに軸支される。アーム可動機構２００は、支柱８０の上方に位置する端部にアーム連結部２２０を備える。アーム連結部２２０にはアーム３の基端部３ａが取り付けられる。

　アーム可動機構２００は、上側リンク支持部８０ａとアーム連結部２２０との間に設けられる第１平行リンク機構と、上側リンク支持部８０ａと下側リンク支持部８０ｂとの間に設けられる第２平行リンク機構及び第３平行リンク機構とを有する。

　第１平行リンク機構は、４つのリンク２０１，２０２，２０３，２０４が、回動軸２１１，２１３，２１４，２１５を介して互いに回動可能に連結されている。第１平行リンク機構では、下部に配置されるリンク２０１及びリンク２０２が上側リンク支持部８０ａと第１回動軸２１１を介して接続されている。

　第２平行リンク機構は、複数のリンク２０２，２０８，２０９が回動軸２１１，２１２，２１７，２１６を介して連結され、上側リンク支持部８０ａと下側リンク支持部８０ｂとに接続されている。第２平行リンク機構の鉛直方向に延びる１本のリンク２０８に第１カウンタウェイト２０ａが取付けられている。第２平行リンク機構は、第１カウンタウェイト２０ａが常に鉛直方向に垂下する状態を維持する機能を有する。

　第３平行リンク機構は、複数のリンク２０１，２０５，２０６が回動軸２１１，２１２，２１３，２１８を介して連結され、上側リンク支持部８０ａと下側リンク支持部８０ｂとに接続されている。第３平行リンク機構の鉛直方向に延びる１本のリンク２０６に第２カウンタウェイト２０ｂが取付けられている。第３平行リンク機構は、第２カウンタウェイト２０ｂが常に鉛直方向に垂下する状態を維持する機能を有する。

　アーム可動機構２００は、本実施形態の平行リンク機構に限定されず、支柱等の支持体に対してアームを可動状態で支持できる構成であればよく、例えば、プーリとワイヤとからなる可動機構や、モータと検出器を用いた可動機構等、公知の他の機構を用いてもよい。また、カウンタウェイトの数は２つに限定されない。

　アーム３は、基端部３ａがアーム連結部２２０（ベース）に接続されている。アーム３は、ベース８に対して相対移動可能に取り付けられている。アーム３の先端部３ｂには揺動アーム３ｅが設けられている。揺動アーム３ｅの一端部は球形であり、アーム３の先端部３ｂの円形の把持部３ｄ内に係合されている。揺動アーム３ｅは、球形の一端部を中心に揺動可能に把持部３ｄに係合されている。
　なお、揺動アーム３ｅは把持部３ｄに対して揺動可能に係合される構成であれば上記態様に限定されない。

　揺動アーム３ｅの下端には医療デバイス３００を取り付けるためのデバイス連結部３ｆが設けられている。アーム３は、基端部３ａと先端部３ｂとの間に水平方向に延びる水平部３ｃを有する。アーム３は、アーム可動機構２００により、水平部３ｃの高さが変更可能に構成されている。

　アダプタ４は、アーム３の先端部３ｂのデバイス連結部３ｆに着脱可能に取り付けられるように構成されている。また、アダプタ４は、医療デバイス３００が着脱可能に取り付けられるように構成されている部材である。

　図２及び図３に示すように、アダプタ４は、アダプタ本体４０と、アーム接続部４１と、医療デバイス保持部４２と、スライドロック４４と、を備える。アダプタ本体４０は、板状の部材が曲折した形状を有し、第一平面４０ａと第二平面４０ｂと湾曲部４０ｃとからなる。

　第一平面４０ａにアーム接続部４１が設けられている。アーム接続部４１は、シャフト４１ａを備え、デバイス連結部３ｆにシャフト４１ａが挿入され嵌合するように構成されている。

　図２及び図３に示すように、スライドロック４４は、略Ｕ字型の部材であり、平行に延びる二平面である当接部４４ａと係止部４４ｂとが垂直平面４４ｃで接続されている。当接部４４ａにスリット４４ｅが形成されている。当接部４４ａが第一平面４０ａの下面に当接され、ネジ４４ｄ（図３参照）がスリット４４ｅに挿通されてアダプタ４に連結されている。スライドロック４４は、アダプタ４に対してスリット４４ｅに沿って相対移動可能に連結されている。スライドロック４４は、アーム接続部４１がデバイス連結部３ｆに嵌合したときに、当接部４４ａと係止部４４ｂとの間にアダプタ４とアーム接続部４１とデバイス連結部３ｆの一部とを挟持して、アダプタ４とアーム３との連結状態をより安定させるために設けられている（図８参照）。

　アダプタ４の第二平面４０ｂには、アダプタ４の厚さ方向に貫通する孔４０ｄ（図４参照）が形成されている。医療デバイス保持部４２は、アダプタ４の第二平面４０ｂの孔４０ｄに挿通されて取り付けられている。

　図４に示すように、医療デバイス保持部４２は、ネジ形状の部材であり、頭部４２ａとネジ山４２ｄが形成された軸４２ｂとを備える。医療デバイス保持部４２は、頭部４２ａから軸４２ｂまで全長にわたって貫通する挿通孔４２ｃが形成されている。

　医療デバイス保持部４２の挿通孔４２ｃには、回転防止部材７が挿入されている。回転防止部材７は、弾性部材からなる筒状部材であり、長手軸方向の全長にわたって貫通孔７０が形成されている。回転防止部材７は挿通孔４２ｃに挿入可能であり、挿通孔４２ｃの内面と摩擦係合可能な程度の外径を有する。回転防止部材７の長手軸方向の長さは挿通孔４２ｃの全長より長い。回転防止部材７の貫通孔７０の内径は、医療デバイス３００の長尺部３０１が挿通可能な大きさを有する。

　バランス補正部材５は、図２及び図４に示すように、ナット状の形状を有する重量物であり、アダプタ本体４０に取り付けられる。バランス補正部材５は、中央部に貫通孔５０が形成されている。バランス補正部材５の外周には、ノブ５３が形成されている。バランス補正部材５は錘として機能する。

　貫通孔５０において、アダプタ４に対向する第一面５１側の端部から長手軸方向中間部までの領域にはネジ溝５０ｂが形成されている。ネジ溝５０ｂは、医療デバイス保持部４２のネジ山４２ｄと螺合可能に形成されている。貫通孔５０は、中間部（ネジ溝５０ｂの終端）から第一面５１と反対側の第二面５２側の端部に向かって開口径が次第に縮径するようにテーパ部５０ａが形成されている。第二面５２側の貫通孔５０の開口径は、回転防止部材７の外径よりも小さい。

　図２に示すように、アダプタ４にはさらにドレープ接続部４３が設けられている。ドレープ接続部４３は、アーム接続部４１とデバイス連結部３ｆとの間に設けられる。ドレープ接続部４３にはドレープ４００が取付けられている。ドレープ４００は、ドレープ接続部４３よりもアーム側の領域（不潔域）と、アダプタ側（医療デバイス側）の領域（清潔域）とを仕切り、医療デバイス３００の清潔域を確保する目的で設けられる。

　次に、医療デバイス保持装置１と医療デバイス３００との使用態様について説明する。
　図４に示すように、アダプタ本体４０の孔４０ｄに医療デバイス保持部４２の軸４２ｂが挿入され、頭部４２ａをアダプタ本体４０の第二平面４０ｂに当接させる。

　医療デバイス保持部４２の挿通孔４２ｃに回転防止部材７を挿入する。回転防止部材７の一端が医療デバイス保持部４２の頭部４２ａの端面と面一に配置され、回転防止部材７の一部が軸４２ｂ側の端部から外部に突出している状態となるように挿入される。挿通孔４２ｃに挿入された回転防止部材７は、挿通孔４２ｃの内面と摩擦係合する。

　バランス補正部材５は、医療デバイス保持部４２の軸４２ｂに外装される。具体的には、図４に示すように、バランス補正部材５を医療デバイス保持部４２に近付ける。アダプタ本体４０の孔４０ｄに挿通された医療デバイス保持部４２の軸４２ｂをバランス補正部材５の貫通孔５０に挿入し、ネジ山４２ｄとネジ溝５０ｂとが螺合することにより、バランス補正部材５が医療デバイス保持部４２に係合される。このとき、医療デバイス保持部４２の外部に突出している回転防止部材７は、テーパ部５０ａに当接して径方向に押圧されて弾性変形して貫通孔７０が縮径する。

　医療デバイス保持部４２、回転防止部材７、及びバランス補正部材５が接続されたアダプタ４をアーム３に取り付ける。図２に示すように、アーム接続部４１のシャフト４１ａをドレープ接続部４３及びデバイス連結部３ｆに挿入して嵌合させる。その後、スライドロック４４をスライドさせて係止部４４ｂをデバイス連結部３ｆに係止してアダプタ４とアーム３とを連結状態に保持する。

　アーム３に連結されたアダプタ４に医療デバイス３００の長尺部３０１が挿通される。このとき、バランス補正部材５と医療デバイス保持部４２との螺合を緩めて回転防止部材７の医療デバイス保持部４２からの突出部分の縮径状態を解除した状態とする。この状態で長尺部３０１が挿通され、その後、再度、バランス補正部材５を医療デバイス保持部４２に螺合させると、回転防止部材７の上記突出部分が縮径状態となり、長尺部３０１が回転防止部材７との摩擦係合により保持される。この結果、医療デバイス保持部４２に保持された長尺部３０１の長手軸周りの回転が防止部材７により防止される。
　回転防止部材７と長尺部３０１との摩擦係合力は、医療デバイス３００への外力が掛からない状態では長尺部３０１の回転が防止されるが、使用者が医療デバイス３００に対して上記長手軸周りの回転させるために力を加えると長尺部３０１が相対回転可能な程度に設定されている。

　バランス補正部材５は、医療デバイス３００がアダプタ４を介してアーム３に取り付けられることで、アーム３の両側の重量バランスを保ち、バランス姿勢が取れた状態でアーム３を静止させるために取り付ける。

　「バランス姿勢が取れている」とは、アーム３自体がベース８に対して所望の位置で静止する状態を言う。つまり、使用者がアーム３や医療デバイス３００に触れていない状態でもアーム３の位置が静止する。例えば、アーム３が水平にバランス姿勢を保つ状態の他、アームに取り付けられた医療デバイスの床からの高さが所望の高さとなる位置でアームが水平面に対して傾いた状態で静止する状態や、アーム３に取り付けられた医療デバイス３００が揺動アーム３ｅの揺動により動いた場合でもアーム３が揺動前の姿勢で静止する状態等である。

　医療デバイス保持装置１は、アーム可動機構２００により、医療デバイス３００がアーム３の先端に取り付けられた状態でアーム３の姿勢が静止するように構成されている。医療デバイスは種類やサイズが異なると重量やアーム３取付時の重心位置が異なる。種類やサイズが異なる複数のデバイスが医療デバイス３００として用いられると、医療デバイス３００が取り換えられたときに、医療デバイス３００の種類によってアーム３の姿勢が変化する。このような場合に、従来の保持装置では、使用者がカウンタウェイトの調整を行い、アームのバランス姿勢を調整する作業を行っていた。

　しかし、本発明の医療デバイス保持装置１は、バランス補正部材５が補正用の錘として機能し、医療デバイス３００交換前後の重量バランス変化がアダプタ４の取付位置で補正される。その結果、医療デバイス３００交換前後でアーム３の姿勢の静止状態が保持される。複数の医療デバイス３００に対して個別にバランス補正部材５の重量や大きさを設定し、各医療デバイス３００に個別に対応する複数のバランス補正部材５を用意し、アダプタ４に取り付けている。

　具体的には、医療デバイス３００の中から任意の基準デバイスを選定する。選定された基準の医療デバイス３００がアダプタ４を介して医療デバイス保持装置１に取り付けられた状態で、アーム３のバランス姿勢が保たれるようにカウンタウェイト２０ａ，２０ｂを設定する。また、基準の医療デバイス３００がアダプタ４に取り付けられた時の基準の医療デバイス３００とアダプタ４との重量を基準重量に設定する。

　各医療デバイス３００は、基準重量と同等となるように、各医療デバイス３００とバランス補正部材５とを組み合わせる。具体的には、使用される複数の医療デバイス３００のそれぞれの重量と上記基準重量との差に応じてバランス補正部材５の重量を設定する。例えば、基準重量より軽い医療デバイスには基準重量との重量差に等しい重量のバランス補正部材５を設定する。基準重量より重い医療デバイスの場合は、バランス補正部材５の大きさや形状を変えることにより重心を調整して基準重量の医療デバイス装着時と同等のバランス姿勢が取れるように設定する。あるいは、アダプタ４への取付位置を変えて重心を調整したバランス補正部材５を用意してもよい。例えば、バランス補正部材５は、医療デバイス３００の基端側の部分とアダプタ本体４０の第二平面４０ｂとの間に取り付けても良い。つまり、医療デバイス３００をアダプタ４に取り付けた状態の重量または重心をバランス補正部材５により調整して、重量が異なる医療デバイス３００でも、最適なバランス補正部材５と共にアダプタ４に取り付けることにより、各アダプタ４の総重量が基準の医療デバイス３００をアダプタ４に取り付けた状態と同等となる。その結果、基準の医療デバイス３００が取り付けられた場合と同様にアーム３のバランス姿勢が制御可能である。したがって、重量や重心が異なる複数の医療デバイス３００のいずれをアーム３に取り付ける場合であっても、アーム３の重量バランスが保たれて、カウンタウェイトの調整が不要となる。

　使用される複数の医療デバイス３００について、それぞれ設定されたバランス補正部材５と、医療デバイス３００とをアダプタ本体４０に取り付けた状態の重量は、基準重量に対して１５％の範囲内であれば、医療デバイス３００を取り換えてもアーム３の重量バランスが変化せず、基準の医療デバイス３００取付時と同様にアーム３が静止するように医療デバイス保持装置１が構成されている。医療デバイス保持装置１は、バランス補正部材５で補正した医療デバイス３００を取り付けたアダプタ４の重量の基準重量に対する変化率が１５％以内であれば、一定の操作性を担保しつつ、医療デバイス３００を安定的に保持できる。また、上記変化率が１５％を超えた医療デバイス３００であっても保持可能であるが、その場合、アーム３の操作感が非常に重くなる。

　本実施形態に係る医療デバイス保持装置１は、上記構成を有する結果、使用者がアダプタ４を取り換えて医療デバイス３００を取り換える作業を行っても、医療デバイス３００の交換前と同様にアーム３は重量バランスを保ちバランス姿勢で静止できる。したがって、従来の保持装置のようにカウンタウェイトを調整する作業が不要となる。また、カウンタウェイト２０ａ，２０ｂは不潔域に配置されているので、カウンタウェイトの調整作業が不要になる結果、使用者が手術中に不潔域を操作する必要が無い。

　なお、上述の通り、バランス補正部材５は医療デバイス保持部４２及び回転防止部材７と接続される。回転防止部材７も各医療デバイス３００の長尺部３０１の外径に応じて複数用意される。そのため、各医療デバイス３００に応じて、バランス補正部材５と医療デバイス保持部４２及び回転防止部材７との組み合わせが設定され、これらが取り付けられた複数のアダプタ４が用意される。

　医療システム１００の使用時、各医療デバイス３００に応じて複数のアダプタ４が個別に用意される。使用者は、使用する医療デバイス３００に応じて対応するアダプタ４をアーム３に取り付けて使用する。

　ここで、使用時の作業の効率化と作業時間の短縮を図るため、複数のアダプタ４及びバランス補正部材５と各医療デバイス３００との対応関係が容易に確認できることが好ましい。また、同様の目的で、外観が類似する複数の医療デバイス保持部４２ならびに回転防止部材７がある場合、所望の医療デバイス保持部４２及び回転防止部材７と異なる部品を誤ってアダプタ本体４０に取り付ける誤組を防ぐことが望まれる。そこで、アダプタ４は、以下の変形例に示すような構成を備えるとより好ましい。

　図５に第１実施形態の第一変形例のアダプタ４Ａを示す。以下の説明において、第１実施形態に係る医療デバイス保持装置１及び医療システム１００と同様の構成を有する部分については、同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。図５に示すように、医療デバイス保持部４２及び回転防止部材７には、それぞれマーカ４５，７５が設けられている。

　各医療デバイス３００に応じて設定されたバランス補正部材５に対応する医療デバイス保持部４２及び回転防止部材７には、それぞれ同じ色のマーカ４５，７５が付される。この結果、使用者がアダプタ本体４０に医療デバイス保持部４２及び回転防止部材７を取り付ける際に、必要な医療デバイス保持部４２及び回転防止部材７の組み合わせが容易に認識でき、且つ、誤組を防止できる。

　また、バランス補正部材５は、医療デバイス３００の重量や重心の位置に応じて、適正な部材が選択されて使用される。このとき、バランス補正部材５は、錘として機能するため、医療デバイス３００の種類に応じてバランス補正部材５の大きさや形状が異なる。バランス補正部材５の形状や大きさが異なると、螺合する医療デバイス保持部４２の形状も異なる。さらに、洗浄時に、医療デバイス保持部４２をアダプタ４から外す場合がある。図示は省略するが、バランス補正部材５にも、医療デバイス保持部４２及び回転防止部材７と同じ色のマーカを付すと、アダプタ４における医療デバイス保持部４２、回転防止部材７及びバランス補正部材５の組み合わせが容易に認識でき、且つ誤組を防止できる。

　図６に第１実施形態の第二変形例のアダプタ４Ｂを示す。図６には、医療デバイス保持部４２Ｂが取り付けられたアダプタ４Ｂと、２つの回転防止部材７Ｂ１，７Ｂ２を長手軸方向から見た図を示している。医療デバイス３００は、デバイスの種類によって長尺部３０１の外径が異なる場合がある。そこで、長尺部３０１の外径が異なる複数の医療デバイス３００を安定して保持するために、貫通孔７０の内径が異なる複数の回転防止部材７Ｂ１，７Ｂ２が必要となる。

　図７に示すように、第二変形例では、医療デバイス保持部４２Ｂの挿通孔４２ｃには、貫通方向の全長にわたって溝４２ｅが形成されている。回転防止部材７Ｂ１，７Ｂ２の外周面には、径方向に突出する凸部７４が形成されている。

　挿通孔４２ｃの溝４２ｅの数、挿通孔４２ｃ内の周方向の位置、大きさ、及び形状は、保持される医療デバイス３００の種類に応じて異なる形態となるように形成される。同様に、回転防止部材７の凸部７４の数、回転防止部材７の周方向の位置、大きさ、及び形状は、保持される医療デバイス３００の種類に応じて異なる形態となるように形成される。

　医療デバイス保持部４２及び回転防止部材７が複数種類あると、それぞれの対応関係を間違えて取り付ける誤組が生じる場合がある。このような誤組を防止するため、回転防止部材７の凸部７４と医療デバイス保持部４２の溝４２ｅとは、対応する部材固有の位置にそれぞれ形成されている。

　医療デバイス保持部４２の挿通孔４２ｃに回転防止部材７を挿入する。このとき、挿通孔４２ｃに形成された溝４２ｅに回転防止部材７に形成された凸部７４が挿入されて係合するように位置合わせして回転防止部材７を挿通孔４２ｃに挿入する。この結果、医療デバイス保持部４２の挿通孔４２ｃには、対応する所定の回転防止部材のみ（例えば、図６に示す例では右側の回転防止部材７Ｂ１）が挿入可能となり、他の構成と凸部を有する回転防止部材（例えば、図６に示す左側の回転防止部材７Ｂ２）は挿通孔４２ｃに挿通できず、誤組を防止することができる。

　また、凸部７４と溝４２ｅとにより回転防止部材７Ｂと医療デバイス保持部４２Ｂとが係合することにより、回転防止部材７が医療デバイス保持部４２に対して相対回転することなく保持される。したがって、医療デバイス３００を、長尺部３０１の長手軸周りに回転させる操作が行われたとき、回転防止部材７Ｂが医療デバイス保持部４２Ｂに対して相対回転することを防ぎ、長尺部３０１の回転をより確実に防止する効果も得られる。

　さらに、アダプタ４Ｂにおいては、挿通孔４２ｃ内の洗浄が行われる。図７に示すように、医療デバイス保持部４２Ｂの挿通孔４２ｃには、全長にわたって溝４２ｅが形成されている。そのため、アダプタ４Ｂの洗浄時に、洗浄用ブラシを挿通孔４２ｃの全長にわたって挿通可能であり、アダプタ４Ｂの隅部分まで容易に洗浄できる。

　以上説明したように、本実施形態に係る医療デバイス保持装置１及び医療システム１００によれば、医療デバイス３００の取り換え時の操作の煩雑さを解消し、作業効率が向上し、且つ手術時間の短縮を図ることができる。また、複数の医療デバイス３００及び複数のアダプタ４を取り換える際の作業効率を高め、誤組を防止することができる。

　［第２実施形態］
　第２実施形態に係る医療デバイス保持装置１Ａについて説明する。図８は、第２実施形態に係る医療デバイス保持装置１Ａのアダプタ４周辺を示す図である。図８に示すように、第２実施形態に係る医療デバイス保持装置１Ａは、バランス補正部材の構成が第１実施形態と異なる。

　本実施形態に係る医療デバイス保持装置１Ａには、揺動アーム３ｅに取り付けられた医療デバイス３００を所定の姿勢で保持するためのバランス補正部材５Ａを備える。

　バランス補正部材５Ａは、第１実施形態と同様のバランス補正部材５に、補助バランス補正部材５５がワイヤ５９を介して接続されている。ワイヤ５９により、補助バランス補正部材５５がバランス補正部材５と分離しない。補助バランス補正部材５５は、円盤状の部材からなり挿通孔５５ａを有する重量部材である。

　挿通孔５５ａには、弾性部材からなるチューブ５５ｂが挿入されて固定されている。挿通孔５５ａに医療デバイス３００の長尺部３０１が挿通される。補助バランス補正部材５５は、長尺部３０１に対してスライド可能である。

　長尺部３０１は、チューブ５５ｂの内周面と当接しているため、補助バランス補正部材５５を長尺部３０１に対してスライドさせるとき、チューブ５５ｂとの間の摩擦力により摺動抵抗が生じる。長尺部３０１とチューブ５５ｂとの間には、使用者が補助バランス補正部材５５を把持して摺動させることは可能であり、かつ、外力無負荷時は、摺動しない程度の摩擦力が生じる。また、長尺部３０１とチューブ５５ｂとの間には、補助バランス補正部材５５に直接外力が付加されない場合は、長尺部３０１が傾いても自重で摺動することがないレベルの摩擦力が生じる。

　医療デバイス３００の重心位置によって揺動アーム３ｅが揺動して、医療デバイス３００が水平面に対して傾斜して姿勢が不安定になる場合がある。このような場合に、バランス補正部材５Ａの補助バランス補正部材５５を長尺部３０１に対してスライドさせることにより、アダプタ４に取り付けられた医療デバイス３００の重心位置を適正な位置に補正することができる。この結果、揺動アーム３ｅが揺動しても医療デバイス３００は所望の平衡状態に保つことができる。

　バランス補正部材５Ａの構成は図８に示す態様に限定されない。図９に第２実施形態のバランス補正部材５Ａの第一変形例を示す。図９に示すバランス補正部材５Ｂは、第一部材５６と第二部材５７とからなる。第一部材５６は、第１実施形態のバランス補正部材５と同じ構成の頭部５６ａを有し、頭部５６ａの第二面５２から長手軸方向に突出した管状軸部５６ｂが設けられている。管状軸部５６ｂは、円筒状で、頭部５６ａの挿通孔４３ｃから延設される挿通孔（不図示）が形成されている。管状軸部５６ｂの外周面にはネジ山５６ｃが形成されている。

　第二部材５７は環状の重量物であり、内周面に第一部材５６のネジ山５６ｃと螺合可能なネジ溝（不図示）が形成されている。第二部材５７は、管状軸部５６ｂに対して長手軸方向に移動可能である。医療デバイス３００の長尺部３０１は第一部材５６の挿通孔４３ｃに挿通される。アダプタ４に医療デバイス３００が取り付けられた状態において、第二部材５７を管状軸部５６ｂに対して相対移動させることにより、アダプタ４に取り付けられた医療デバイス３００の重心位置を適正な位置に補正することができる。この結果、揺動アーム３ｅが揺動しても医療デバイス３００は所望の平衡状態に保つことができる。

　第２実施形態のバランス補正部材５Ａ，５Ｂは、揺動アーム３ｅが揺動する場合のみならず、第１実施形態のバランス補正部材としても使用可能である。第２実施形態のバランス補正部材５Ａ，５Ｂを用いると、使用者により重心バランスの微調整を行うことができる。

　以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。

　上記実施形態では、医療デバイス保持部４２をアダプタ本体４０と別体で設ける例を示したが、医療デバイス保持部４２の構成はこれに限定されず、アダプタ本体４０と一体に形成されていてもよい。また、上記実施形態では、医療デバイス保持部４２とバランス補正部材５とを螺合させる例を示したが、医療デバイス保持部４２とバランス補正部材５との係合手段はこれに限定されず、それぞれの部材に係合手段を備えて、両者が係合可能であればよい。

　例えば、図１０に第１実施形態の第三変形例のアダプタ４Ｃの概要の断面図を示す。図１０に示すように、本変形例のアダプタ４Ｃは、第１実施形態の医療デバイス保持部４２と構成が異なる。

　アダプタ本体４０の第二平面４０ｂに磁極４０ｅが設けられている。磁極４０ｅはアダプタ本体４０の孔４０ｄの周囲に環状に設けられている。バランス補正部材５Ｃは、円柱状の部材であり、円の中心線に沿って貫通孔５０ｃが形成されている。貫通孔５０ｃは、アダプタ本体４０の第二平面４０ｂに当接する第一面５１側の端部から反対側の第二面５２側の端部に向かって開口径が次第に縮径するようにテーパ部５０ａが形成されている。第二面５２側の貫通孔５０の開口径は、回転防止部材７の外径よりも小さい。

　第一面５１の貫通孔５０の開口の周囲には、円環状の磁極５０ｅが設けられている。バランス補正部材５Ｃの磁極５０ｅは、アダプタ本体４０の第二平面４０ｂと当接するときに、アダプタ本体４０の磁極４０ｅと対向する位置に設けられている。本実施形態では、バランス補正部材５Ｃの磁極５０ｅはＮ極であり、アダプタ本体４０の磁極４０ｅはＳ極である。

　アダプタ本体４０の孔４０ｄに回転防止部材７が挿入されている。回転防止部材７の一端が、アダプタ本体４０の第二平面４０ｂの一方側の面４０ｂ１と面一に配置され、回転防止部材７の他方の端部が第二平面４０ｂから突出している状態となるように挿入される。回転防止部材７は、孔４０ｄの内面と摩擦係合する。つまり、本変形例では、第二平面４０ｂが医療デバイス保持部として機能する。

　回転防止部材７の突出部分がバランス補正部材５Ｃの貫通孔５０ｃ内に挿入されるようにバランス補正部材５Ｃの第一面５１をアダプタ本体４０の第二平面４０ｂに近付けると、磁極４０ｅ，５０ｅの磁力により、アダプタ本体４０とバランス補正部材５Ｃとが引き付けられて当接し、この当接状態が保持される。このとき、アダプタ本体４０の第二平面４０ｂから突出している回転防止部材７は、テーパ部５０ａに当接して径方向に押圧されて弾性変形して貫通孔７０が縮径する。その他の構成は第１実施形態と同様である。

　本変形例によれば、第１実施形態と同様に医療デバイス３００の取り換え時の操作の煩雑さを解消し、作業効率が向上し、且つ手術時間の短縮を図ることができる。また、アダプタ本体４０とバランス補正部材５とを磁力により接合させるので、バランス補正部材５をアダプタ本体４０に取り付ける作業が容易となる。

　なお、アダプタ本体４０及びバランス補正部材５Ｃに設ける磁極の構成は、バランス補正部材５Ｃがアダプタ本体４０に接合された状態が保持可能であればよく、上記態様に限定されるものではない。

　本実施形態では、アーム可動機構にカウンタウェイトを取り付けて、アームのバランス姿勢を保持してアーム３を静止させる例を挙げたが、カウンタウェイトは必須の構成ではなく、アームが所定のバランス姿勢で静止可能な構成であればよい。

　次に、バランス補正部材５の大きさや形状を変えることにより重心を調整する例を図１１に示す。図１１に示す第四変形例では、バランス補正部材５Ｄが円錐台形状を有する。その他の構成は、第１実施形態のバランス補正部材５と同じである。バランス補正部材５Ｄは、円錐台形状の底面積が小さい方の面５４ａがアダプタ４の第二平面４０ｂに当接し、底面積が大きい方の面５４ｂが医療デバイス３００の先端側に位置するように配置される。この場合、底面積が大きい方の面５４ｂ側の領域にバランス補正部材５Ｄの重心が位置するので、同じ重量のバランス補正部材であっても重心位置を変えることができる。

　本変形例によれば、第１実施形態と同様に医療デバイス３００の取り換え時の操作の煩雑さを解消し、作業効率が向上し、且つ手術時間の短縮を図ることができる。また、医療デバイス３００の重心位置の調整が必要な場合に好適である。

　上記実施形態では、ドレープ接続部及びドレープを設ける例を示したが、本願発明の医療デバイスを交換してもバランス姿勢を保ちながらアームを静止させるという目的においては、ドレープ接続部及びドレープは必須の構成ではない。

　デバイス連結部とアーム接続部との連結構造は、上記実施形態に限定されず、他の中間部材等が設けられている構成であってもよい。

（実施例）
　第１実施形態の医療デバイス保持装置１及び医療システム１００を用い、複数種類の医療デバイスＡ～Ｌを用意し、重量が異なるバランス補正部材ｉ～ｉｉｉを適宜取り付けて、医療デバイス保持装置１のアーム３のバランス状態を試験した。医療デバイスとバランス補正部材との組み合わせ及びバランス補正部材で補正した場合の所定重量からの変化率（単位：％）を表１に示す。

　医療デバイスＩは、基準の医療デバイスと重量が略等しく、バランス補正部材を設けなくてもアームの重量バランスが取れたのでバランス補正部材を取り付けなかった。
　バランス補正部材を設けていないアダプタに基準の医療デバイスを取り付けた場合の、アダプタ及び医療デバイスの重量を基準重量とする。バランス補正部材で補正した場合の基準重量からの変化率は、各医療デバイスＡ～Ｌに対応して組み合わされたバランス補正部材ｉ～ｉｉｉを取り付けた各アダプタに、各医療デバイスＡ～Ｌを取り付けた場合のアダプタ及び医療デバイスの重量を基準重量で除して得た。全ての医療デバイスＡ～Ｌの上記変化率がマイナス１５％からプラス１５％の範囲となるように、バランス補正部材ｉ～ｉｉｉを取り付けた。医療デバイス保持装置１に各医療デバイスＡ～Ｌを順次取り換えて取り付けたところ、アームは重量バランスを保つことができた。

　医療器具の取り換え時の操作の煩雑さを解消し、作業効率が向上し、且つ手術時間の短縮を図ることができる。

１，１Ａ　医療デバイス保持装置
３　アーム
４，４Ａ，４Ｂ，４Ｃ　アダプタ
５，５Ａ，５Ｂ，５Ｃ，５Ｄ　バランス補正部材
７，７Ｂ，７Ｂ１，７Ｂ２　回転防止部材
８　ベース
２０ａ，２０ｂ　カウンタウェイト
４２，４２Ｂ　医療デバイス保持部（保持部）
４２ｅ　溝（係合手段）
４３　ドレープ接続部
７０　貫通孔
７４　凸部（係合手段）
１００　医療システム
３００　医療デバイス
３０１　長尺部
４００　ドレープ

Claims

　ベースと、
　前記ベースに対して相対移動可能であり、基端部が前記ベースに接続されているアームと、
　前記アームに着脱可能に取り付けられ、かつ、医療デバイスが着脱可能に取り付けられるアダプタと、
　前記アダプタに取り付けられ、前記医療デバイスが前記アダプタを介して前記アームに取り付けられた際に、前記アームの重量バランスを調整するバランス補正部材と、を備え、
　前記医療デバイスが取り付けられた前記アームを所定の位置に保持可能であることを特徴とする医療デバイス保持装置。
　重量が異なる複数の前記バランス補正部材を備え、
　前記複数のバランス補正部材の少なくとも一つが前記アダプタに取り付けられる
　請求項１に記載の医療デバイス保持装置。
　前記アダプタは、
　　前記医療デバイスの長尺部を保持する保持部と、
　　前記保持部に保持された前記長尺部の長手軸周りの回転を防止する回転防止部材と、
　を備える請求項１に記載の医療デバイス保持装置。
　前記保持部と前記回転防止部材とはそれぞれに設けられた係合手段により係合されるように構成されており、
　複数の前記医療デバイスのそれぞれの前記医療デバイスに対応する複数の前記保持部及び前記回転防止部材を備え、
　前記係合手段は、複数の前記医療デバイスごとに固有の係合関係が設定される請求項３に記載の医療デバイス保持装置。
　前記係合手段は、
　　前記保持部に設けられた溝と、
　　前記回転防止部材に設けられた凸部と、を備え、
　前記複数の医療デバイスごとに前記保持部の前記溝及び前記回転防止部材の前記凸部の形態が異なり、
　所定の前記医療デバイスに対応する前記保持部と前記回転防止部材とにおいてのみ、前記溝に前記凸部が係合する
　請求項４に記載の医療デバイス保持装置。
　前記保持部は前記長尺部を挿通可能な貫通孔を有し、
　前記溝は、前記保持部における前記貫通孔の貫通方向の全長にわたって形成されている
　請求項５に記載の医療デバイス保持装置。
　前記アダプタは、ドレープを接続するドレープ接続部を有する
　請求項１から請求項６のいずれか一項に記載の医療デバイス保持装置。
　複数の医療デバイスと、
　ベース、前記ベースに対して相対移動可能であり、基端部が前記ベースに接続されているアーム、及び前記アームに着脱可能に取り付けられ、かつ、前記複数の医療デバイスのいずれか一つが着脱可能に取り付けられるアダプタを備える医療デバイス保持装置と、
　前記アダプタに着脱可能に取り付けられる少なくとも一つの錘と、を備え、
　前記医療デバイスの一つが取り付けられた状態の前記アダプタの総重量を基準重量Ｍ１、他の前記複数の医療デバイスと前記錘とが取り付けられた状態の前記アダプタの総重量をＭ２としたとき、
　１．１５≧Ｍ２／Ｍ１≧０．８５
　の関係を満たすことを特徴とする医療システム。
　第１の医療デバイスと、
　前記第１の医療デバイスと重量が異なる第２の医療デバイスと、
　カウンタウェイトを有するベース、前記ベースに対して相対移動可能であり基端部が前記ベースに接続されているアーム、及び前記アームに着脱可能に取り付けられ、かつ、前記第１の医療デバイスまたは前記第２の医療デバイスが着脱可能に取り付けられるアダプタを備える医療デバイス保持装置と、
　前記アダプタに着脱可能に取り付けられる第１の錘及び第２の錘と、を備え、
　前記第１の医療デバイス及び前記第１の錘と前記カウンタウェイトとの重量バランスがとれた状態において、
　前記第１の医療デバイスを前記第２の医療デバイスに取り換え、且つ前記第１の錘を前記第２の錘に取り換えた際も、前記第２の医療デバイス及び前記第２の錘と前記カウンタウェイトとの重量バランスがとれるように構成されていることを特徴とする医療システム。